(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】ドラム式洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 33/32 20200101AFI20241225BHJP
D06F 33/36 20200101ALI20241225BHJP
D06F 33/38 20200101ALI20241225BHJP
【FI】
D06F33/32
D06F33/36
D06F33/38
(21)【出願番号】P 2021065979
(22)【出願日】2021-04-08
【審査請求日】2024-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【氏名又は名称】大西 雅直
(74)【代理人】
【識別番号】100129377
【氏名又は名称】瀬川 耕司
(72)【発明者】
【氏名】松下 丈也
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-272020(JP,A)
【文献】特開2013-052124(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105088638(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/32
D06F 33/36
D06F 33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗い行程及び濯ぎ行程を実施可能なドラム式洗濯機であって、
筐体内に配置された外槽と、
前記外槽内に配置され、水平軸または水平方向に対して傾く傾斜軸を中心に回転可能なドラムと、
前記ドラムを所定方向に回転させるための駆動モータと、
前記駆動モータを制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記洗い行程
において、70rpmより大きく200rpm以下の回転数で前記ドラムが回転する高速回転と、
50rpm以上70rpm以下の回転数で前記ドラムが回転する低速回転とが
交互に行われる
とともに、
前記濯ぎ行程において、前記高速回転と前記低速回転とが交互に行われるように前記駆動モータを制御
し、
前記洗い行程で回転数を切り替える周期と前記濯ぎ行程で回転数を切り替える周期とが異なることを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項2】
前記濯ぎ行程で回転数を切り替える周期は、前記洗い行程で回転数を切り替える周期より短いことを特徴とする請求項
1に記載のドラム式洗濯機。
【請求項3】
前記制御手段は、前記洗い行程において、前記低速回転が前記高速回転よりも長時間行われるように前記駆動モータを制御することを特徴とする請求項1
または2に記載のドラム式洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラム式洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
ドラム式洗濯機で洗濯物を洗濯する場合、洗濯物がドラム内に投入された後、洗い行程、濯ぎ行程、脱水行程の順に運転が行われるのが一般的である。その洗い行程や濯ぎ行程では、ドラム内に水を給水する給水動作、ドラムを回転させる洗浄動作、ドラム内から水を排水する排水動作が順に行われた後で脱水動作が行われる。
【0003】
洗浄動作の際には、底部に水を溜めた外槽内で横軸型のドラムを回転させ、ドラム内に設けたバッフルにより洗濯物を持ち上げては落下させて、洗濯物をドラムの内周面に叩き付けることにより洗濯物を洗濯する(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来から、ドラム式洗濯機において衣類などの洗濯物の他に、敷布団の洗濯が行われる場合がある。この場合も衣類などの洗濯物と同様に、敷布団がドラム内に投入された後、洗い行程、濯ぎ行程、脱水行程の順に運転が行われる。
【0006】
しかしながら、ドラム式洗濯機で敷布団を洗う場合、そのまま投入して通常のたたき洗いを行うと、敷布団がドラム内の一方向に偏った状態となり、脱水が出来なかったり、たたき洗いによって敷布団そのものが型崩れしたりすることがある。そのため、通常の洗濯コースで敷布団を洗う場合、紐などで巻いて敷布団が移動しにくい状態にしてから、その敷布団を洗濯機に投入する洗い方が考えられる。しかし、この方法では敷布団が巻いた状態のため、敷布団の外側に比べて内側に水が浸透しにくく、十分な洗浄効果を得ることが困難である。
【0007】
また、敷布団専用のコースを設けた洗濯機では、敷布団を紐で巻かずにドラム内壁に沿って均等に張り付く状態で設置し、運転開始から運転終了までの間、ドラムを常に一定方向に一定回転数以上で回転させ続け、敷布団がドラム内壁に張り付いた状態を保持できるようする洗い方が考えられる。しかし、敷布団がドラム内壁に張り付いた状態を保持するためにはドラムを通常のたたき洗い時より高速回転させる必要があるため、遠心力によりドラム内の水がドラム外に押し出されて、十分な洗浄効果を得ることが困難である。
【0008】
そこで、本発明は、例えば敷布団を洗いムラなく十分に洗浄することが可能なドラム式洗濯機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のドラム式洗濯機は、洗い行程及び濯ぎ行程を実施可能なドラム式洗濯機であって、筐体内に配置された外槽と、前記外槽内に配置され、水平軸または水平方向に対して傾く傾斜軸を中心に回転可能なドラムと、前記ドラムを所定方向に回転させるための駆動モータと、前記駆動モータを制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記洗い行程において、70rpmより大きく200rpm以下の回転数で前記ドラムが回転する高速回転と、50rpm以上70rpm以下の回転数で前記ドラムが回転する低速回転とが交互に行われるとともに、前記濯ぎ行程において、前記高速回転と前記低速回転とが交互に行われるように前記駆動モータを制御し、前記洗い行程で回転数を切り替える周期と前記濯ぎ行程で回転数を切り替える周期とが異なることを特徴とする。
【0012】
本発明のドラム式洗濯機において、前記濯ぎ行程で回転数を切り替える周期は、前記洗い行程で回転数を切り替える周期より短いことが好適である。
【0013】
本発明のドラム式洗濯機において、前記制御手段は、前記洗い行程において、前記低速回転が前記高速回転よりも長時間行われるように前記駆動モータを制御することが好適である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のドラム式洗濯機では、洗い行程及び濯ぎ行程の少なくとも一方において、ドラムが2段階以上の異なる回転速度に切り替えられる。そのため、高速回転時は、ドラム回転時の遠心力によりドラム内の洗剤水が外に押し出されて敷布団からも軽く脱水されて、低速回転時は、ドラム回転時の遠心力が小さくドラム内に洗剤水が貯まり、敷布団が洗剤水に浸るようになる。よって、敷布団に洗剤水を染み込ませたり敷布団を絞ったりする押し洗い効果が得られて、洗浄力が向上して洗いムラが抑制される。
【0015】
本発明のドラム式洗濯機では、洗い行程及び濯ぎ行程の少なくとも一方において、高速回転と低速回転とが交互に切り替える。そのため、敷布団に洗剤水を染み込ませたり敷布団を絞ったりする押し洗い効果がより効果的に得られる。
【0016】
本発明のドラム式洗濯機では、洗い行程と濯ぎ行程で高速回転時と低速回転時の回転速度を個々に設定することができる。そのため、洗い行程と濯ぎ行程での押し洗いの強さを変更することができ、例えば洗い行程では洗剤水を染み込ませるように柔らかく押し洗いを行い、濯ぎ行程では敷布団内の洗剤水を絞り出すために強く押し洗いを行うことができる。
【0017】
本発明のドラム式洗濯機では、濯ぎ行程において高速回転と低速回転とを切り替える周期を洗い行程で高速回転と低速回転とを切り替える周期より短くして、押し洗い回数を増やすことができる。そのため、濯ぎ水が敷布団を通過する回数を増やすことにより、濯ぎ効果を高めることができる。
【0018】
本発明のドラム式洗濯機では、洗い行程において低速回転時の時間を高速回転時の時間よりも長く設定して、洗剤水に浸る時間を長くすることができる。そのため、洗剤水が敷布団を通過するようになり、敷布団の内部まで十分に洗剤水を浸透させることができ、洗浄効果が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係るドラム式洗濯機1の斜視図である。
【
図2】
図1のドラム式洗濯機1の構成を示す側面断面図である。
【
図4】敷布団洗浄コースの洗い行程の動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図5(a)は、洗い行程でのドラム4の回転数の変化を示す図であり、
図5(b)は、濯ぎ行程でのドラム4の回転数の変化を示す図である。
【
図6】
図6(a)は、低速回転時のドラム4内の敷布団の状態を示す図であり、
図6(b)は、高速回転時のドラム4内の敷布団の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態であるドラム式洗濯機1について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態のドラム式洗濯機1の斜視図である。
図2は、
図1のドラム式洗濯機1の構成を示す側面断面図である。
【0021】
本実施形態のドラム式洗濯機1は、
図1及び
図2に示すように、箱形状の筐体2を有しており、筐体2の内部には、略円筒形状の内周面を有する外槽3が配置され、外槽3の内部には、洗濯物を収容するための略円筒形状の内周面を有するドラム4が前後方向に延伸する主軸5により軸支されている。ドラム4は、水平軸を中心に回転可能である。
【0022】
筐体2の前面には、使用者が操作するための操作部2aと、ドラム4の前端に形成された開口4aと対向する衣類投入口6が形成される。筐体2には、衣類投入口6を開閉するドア8が設けられており、衣類投入口6は、ドア8により開閉され、ドア8が開放された状態でドラム4内に洗濯物の出し入れが可能となっている。
【0023】
ドラム4の内周面には、ドラム4内に突出するように複数のバッフル4bが設けられている。バッフル4bは、ドラム4に収容された洗濯物を持ち上げるための突起であり、例えば、洗い行程時において、ドラム4が後述する駆動モータ11の駆動力によって回転されると、ドラム4内の水を含んだ洗濯物がバッフル4bにより持ち上げられ自然落下される、いわゆる叩き洗いが行われる。
【0024】
ドラム4の内周面には、多数の通水孔4cが穿設されており、洗浄や濯ぎ時に外槽3内に供給された水は、通水孔4cを通してドラム4内へ流入し、遠心脱水時にドラム4内で洗濯物から吐き出された水は、この通水孔4cを通して外槽3側へと飛散する。
【0025】
主軸5は、外槽3の背面壁に装着された軸受5aによって回転自在に支承され、さらに後方に突出した主軸5の先端には、主プーリ10が取り付けられている。筐体2の底部には、駆動モータ11が設置され、駆動モータ11の回転軸には、モータプーリ12が取り付けられており、モータプーリ12のトルクは、タイミングベルト16を介して主プーリ10に伝達される。これにより、駆動モータ11が駆動されると、ドラム4が主軸5を中心に回転する。
【0026】
外槽3の背面壁の上部には、途中に給水バルブ30aが設けられた給水管30が接続されており、給水バルブ30aが開放されると、外部から供給される水が給水管30を介して外槽3へと供給される。外槽3の底部に設けられた排水口には、途中に排水バルブ31aが設けられた排水管31が接続されており、排水バルブ31aが開放されると、外槽3内の水が排水管31を通して機外へと排出される。
【0027】
図3は、ドラム式洗濯機1の制御ブロック図である。ドラム式洗濯機1の制御部50は、
図3に示すように、例えば、マイクロコンピュータなどで構成されており、CPUと、ドラム式洗濯機1の動作を制御するプログラムが格納されたROMと、上記プログラムを実行する際に用いられるデータ等が一時的に記憶されるRAMとを備えている。ドラム式洗濯機1の運転動作は、制御部50によって制御される。制御部50には、操作部2aと、給水バルブ30aと、排水バルブ31aと、駆動モータ11とが接続されている。
【0028】
ドラム式洗濯機1では、使用者が、筐体2の操作部2aを操作することにより、標準洗浄コースと、敷布団洗浄コースとを選択可能になっている。なお、ドラム式洗濯機1において、筐体2の操作部2aを操作することにより種々の運転コースを選択可能であるが、以下の説明では、敷布団洗浄コースについてのみ説明する。
【0029】
敷布団洗浄コースは、敷布団を洗濯する際に使用されるコースであり、洗い行程、濯ぎ行程及び脱水行程の順に運転が実施される。
【0030】
敷布団洗浄コースの洗い行程について、
図4に基づいて説明する。
図4は、敷布団洗浄コースの洗い行程の動作を示すフローチャートである。
【0031】
<ステップS1>
ステップS1において、制御部50は、ドラム4を低速で回転させる。本実施形態では、制御部50は、ドラム4が回転数N1(例えば60rpm)の低速で回転するように駆動モータ11を制御する。その後、ステップS2に進む。
【0032】
<ステップS2>
ステップS2において、制御部50は、給水バルブ30aを開いて、外槽3に水を供給する。この際、制御部50は、排水バルブ31aを閉じていて、供給された水は、外槽3内に溜められ、通水孔4cを通ってドラム4内にも溜められる。
【0033】
<ステップS3>
ステップS3において、制御部50は、外槽3内の水位が洗い行程の設定水位に到達したか否かを繰り返し判定する。そして、制御部50により外槽3内の水位が設定水位に到達したと判定されると、制御部50は、給水バルブ30aを閉じて、ステップS4に進む。
【0034】
<ステップS4>
ステップS4において、制御部50は、ドラム4が低速回転中か否かを判定する。制御部50によりドラム4が低速回転中と判定された場合、ステップS5に進む。制御部50によりドラム4が低速回転中でないと判定された場合、ステップS7に進む。
【0035】
<ステップS5>
ステップS5において、制御部50は、ドラム4の低速回転が開始された後で所定時間T1が経過したか否かを判定する。本実施形態において、所定時間T1は、例えば60secである。制御部50によりドラム4の低速回転が開始された後で所定時間T1が経過したと判定された場合、ステップS6に進む。制御部50によりドラム4の低速回転が開始された後で所定時間T1が経過していないと判定された場合、ステップS9に進む。
【0036】
<ステップS6>
ステップS6において、制御部50は、ドラム4の低速回転が所定時間T1継続したため、ドラム4の高速回転を開始する。本実施形態では、制御部50は、ドラム4が回転数N2(例えば80rpm)の高速で回転するように駆動モータ11を制御する。その後、ステップS9に進む。
【0037】
<ステップS7>
ステップS7において、制御部50は、ドラム4の高速回転が開始された後で所定時間T2が経過したか否かを判定する。本実施形態において、所定時間T2は、例えば30secである。制御部50によりドラム4の高速回転が開始された後で所定時間T2が経過したと判定された場合、ステップS8に進む。制御部50によりドラム4の高速回転が開始された後で所定時間T2が経過していないと判定された場合、ステップS9に進む。
【0038】
<ステップS8>
ステップS8において、制御部50は、ドラム4の高速回転が所定時間T2継続したため、ドラム4の低速回転を開始する。その後、ステップS9に進む。
【0039】
<ステップS9>
ステップS9において、制御部50は、洗い行程が終了したか否かを判定する。本実施形態では、洗い行程の所要時間があらかじめ設定されており、ステップS1においてドラム4の低速回転が開始された後、その所要時間が経過したときに洗い行程が終了される。制御部50により洗い行程が終了したと判定された場合、ステップS10に進む。制御部50により洗い行程が終了していないと判定された場合、ステップS4に進む。
【0040】
<ステップS10>
ステップS10において、制御部50は、洗い行程が終了したため、排水バルブ31aを開いて、外槽3内の洗濯水を、排水管31を介して機外へ排水して、処理を終了する。
【0041】
図5(a)は、上述した洗い行程でのドラム4の回転数の変化を示している。洗い行程が開始されると、ドラム4の低速回転が開始される。すなわち、本実施形態では、ドラム4が回転数N1(例えば60rpm)で回転する低速回転が所定時間T1(例えば60sec)継続される。ドラム4の低速回転が所定時間T1継続されると、ドラム4の高速回転に切り替えられる。すなわち、本実施形態では、ドラム4が回転数N2(例えば80rpm)で回転する高速回転が所定時間T2(例えば30sec)継続される。ドラム4の高速回転が所定時間T2継続された後は、洗い行程の所要時間が経過するまで、上述と同様の低速回転と高速回転とが交互に繰り返される。
【0042】
なお、敷布団洗浄コースの濯ぎ行程の動作は、上述した洗い行程の動作と同様に、ドラム4の低速回転と高速回転とが交互に繰り返される。
【0043】
洗い行程と濯ぎ行程で異なる点は、ドラム4の低速回転時及び高速回転時のドラム回転数とその回転数が継続される所定時間である。すなわち、洗い行程において、ドラム回転数N1で所定時間T1の低速回転と、ドラム回転数N2で所定時間T2の高速回転とが交互に繰り返されるのに対して、濯ぎ行程では、ドラム回転数N3で所定時間T3の低速回転と、ドラム回転数N4で所定時間T4の高速回転とが交互に繰り返される。
【0044】
そのため、
図4の洗い行程の動作を示すフローチャートにおいて、ステップS5で所定時間T1が経過したかを判定するのに代えて、所定時間T3が経過したかを判定するとともに、ステップS7で所定時間T2が経過したかを判定するのに代えて、所定時間T4が経過したかを判定するようにすると、濯ぎ行程の動作を示すフローチャートになる。なお、ステップS9において、濯ぎ行程が終了したか否かを判定する際には、あらかじめ設定された濯ぎ行程の所要時間が使用される。
【0045】
図5(b)は、濯ぎ行程でのドラム4の回転数の変化を示している。濯ぎ行程が開始されると、ドラム4の低速回転が開始される。すなわち、本実施形態では、ドラム4が回転数N3(例えば60rpm)で回転する低速回転が所定時間T3(例えば60sec)継続される。ドラム4の低速回転が所定時間T3継続されると、ドラム4の高速回転に切り替えられる。すなわち、本実施形態では、ドラム4が回転数N4(例えば100rpm)で回転する高速回転が所定時間T4(例えば30sec)継続される。ドラム4の高速回転が所定時間T4継続された後は、濯ぎ行程の所要時間が経過するまで、上述と同様の低速回転と高速回転とが交互に繰り返される。
【0046】
なお、本実施形態のドラム式洗濯機1において、低速回転時の回転速度としては、
図6(a)に示すように、ドラム回転時の遠心力が小さくドラム4内に洗剤水が貯まり、敷布団が洗剤水に浸る程度の回転速度(例えば50~70rpm)に設定される。これによって洗剤水を敷布団に浸み込ますことができる。
【0047】
高速回転時の回転速度としては、
図6(b)に示すように、ドラム回転時の遠心力によりドラム4内の洗剤水が外に押し出され、敷布団からも軽く脱水される程度の回転速度(例えば70~100rpm)に設定される。これによって敷布団内から洗剤水を絞ることができる。
【0048】
このように、本実施形態のドラム式洗濯機1では、低速回転と高速回転とが一定時間ごとに切り替えられるため、敷布団に洗剤水を染み込ませたり、敷布団を絞ったりすることを繰り返すこととなり、押し洗い効果を得ることができる。
【0049】
また、洗い行程では、敷布団が洗剤水に浸る時間を長くするため、低速回転時の所定時間T1を高速回転時の所定時間T2より長く設定している。これにより、洗剤水が敷布団を通過するようになり、敷布団の内部まで十分に洗剤水を浸透させることができるようになるため、洗浄効果が高まる。
【0050】
これに対して、濯ぎ行程では、敷布団に染み込んだ洗剤成分を押し出すため、低速回転時の所定時間T3と高速回転時の所定時間T4を同じに設定している。これにより、濯ぎ水が敷布団を通過する回数が増えるため、濯ぎ効果を高めることができる。
【0051】
本実施形態のドラム式洗濯機1は、洗い行程及び濯ぎ行程を実施可能なドラム式洗濯機であって、筐体2内に配置された外槽3と、外槽3内に配置され、水平軸を中心に回転可能なドラム4と、ドラム4を所定方向に回転させるための駆動モータ11と、駆動モータ11を制御する制御手段である制御部50とを備え、制御部50は、洗い行程及び濯ぎ行程において、所定回転数よりも大きい回転数でドラム4が回転する高速回転と、所定回転数以下の回転数でドラム4が回転する低速回転とが行われるように駆動モータ11を制御する。
【0052】
これにより、本実施形態のドラム式洗濯機1では、洗い行程及び濯ぎ行程の少なくとも一方において、ドラム4が2段階以上の異なる回転速度に切り替えられる。そのため、高速回転時は、ドラム回転時の遠心力によりドラム4内の洗剤水が外に押し出されて敷布団からも軽く脱水されて、低速回転時は、ドラム回転時の遠心力が小さくドラム4内に洗剤水が貯まり、敷布団が水に浸るようになる。よって、敷布団に洗剤水を染み込ませたり敷布団を絞ったりする押し洗い効果が得られて、洗浄力が向上して洗いムラが抑制される。
【0053】
本実施形態のドラム式洗濯機1において、制御手段である制御部50は、洗い行程及び濯ぎ行程において、高速回転と低速回転とを交互に切り替えるように駆動モータ11を制御する。
【0054】
これにより、本実施形態のドラム式洗濯機1では、洗い行程と濯ぎ行程で高速回転時と低速回転時の回転速度を個々に設定することができる。そのため、洗い行程と濯ぎ行程での押し洗いの強さを変更することができ、例えば洗い行程では洗剤水を染み込ませるように柔らかく押し洗いを行い、濯ぎ行程では敷布団内の洗剤水を絞り出すために強く押し洗いを行うことができる。
【0055】
本実施形態のドラム式洗濯機1において、制御手段である制御部50は、洗い行程において高速回転と低速回転とを交互に切り替えるとともに、濯ぎ行程において高速回転と低速回転とを交互に切り替えるように駆動モータ11を制御し、洗い行程で回転数を切り替える周期Ta(高速回転の所定時間T1と低速回転の所定時間T2の合計)と濯ぎ行程で回転数を切り替える周期Tb(高速回転の所定時間T3と低速回転の所定時間T4の合計)とが異なる。
【0056】
これにより、本実施形態のドラム式洗濯機1では、洗い行程と濯ぎ行程で高速回転時と低速回転時の回転速度を個々に設定することができる。そのため、洗い行程と濯ぎ行程での押し洗いの強さを変更することができ、例えば洗い行程では洗剤水を染み込ませるように柔らかく押し洗いを行い、濯ぎ行程では敷布団内の洗剤水を絞り出すために強く押し洗いを行うことができる。
【0057】
本実施形態のドラム式洗濯機1において、濯ぎ行程で回転数を切り替える周期Tbは、洗い行程で回転数を切り替える周期Taより短い。
【0058】
これにより、本実施形態のドラム式洗濯機1では、濯ぎ行程で回転数を切り替える周期Tbを洗い行程で回転数を切り替える周期Taより短くして、押し洗い回数を増やすことができる。そのため、濯ぎ水が敷布団を通過する回数を増やすことにより、濯ぎ効果を高めることができる。
【0059】
本実施形態のドラム式洗濯機1において、制御手段である制御部50は、洗い行程において、低速回転が高速回転よりも長時間行われるように駆動モータ11を制御する。
【0060】
これにより、本実施形態のドラム式洗濯機1では、洗い行程において低速回転時の時間を高速回転時の時間よりも長く設定して、洗剤水に浸る時間を長くすることができる。そのため、洗剤水が敷布団を通過するようになり、敷布団の内部まで十分に洗剤水を浸透させることができ、洗浄効果が高まる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0062】
例えば上記実施形態では、洗い行程及び濯ぎ行程でのドラム回転速度の設定を2段階で切り替え可能であるが、それに限られない。例えば、洗い行程及び濯ぎ行程でのドラム回転速度の設定を3段階以上に切り替え可能でもよい。
【0063】
上記実施形態では、洗い行程及び濯ぎ行程の何れにおいても、ドラム4の低速回転と高速回転とが行われる場合を説明したが、洗い行程及び濯ぎ行程の何かにおいてのみ、ドラム4の低速回転と高速回転とが行われてもよい。
【0064】
上記実施形態では、敷布団洗浄コースの洗い行程についてドラム回転数N1,N2の具体例を示し、濯ぎ行程についてドラム回転数N3,N4の具体例を示したが、それらは任意に設定することができる。例えば、低速回転時のドラム回転数N1,N3は、例えば50~70rpmの回転数でもよく、高速回転時のドラム回転数N3,N4は、例えば70~200rpmでもよく、好ましくは、70~100rpmの回転数でもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、洗い行程において低速回転のドラム回転数N1及び高速回転のドラム回転数N2が常に一定である場合を説明したが、周期Taごとに低速回転のドラム回転数N1及び高速回転のドラム回転数N2の少なくとも一方を変化させてもよい。例えば、洗い行程において高速回転のドラム回転数N2を変化させることで、洗い方を強くしたり弱くしたりすることができる。なお、周期Tbごとに低速回転のドラム回転数N3及び高速回転のドラム回転数N4の少なくとも一方を変化させてもよい点は、濯ぎ行程についても同様である。
【0066】
上記実施形態では、敷布団洗浄コースの洗い行程について低速回転の所定時間T1及び高速回転の所定時間T2の具体例を示し、濯ぎ行程について低速回転の所定時間T3及び高速回転の所定時間T4の具体例を示したが、それらは任意に設定することができる。
【0067】
また、上記実施形態では、洗い行程において低速回転の所定時間T1及び高速回転の所定時間T2が常に一定である場合を説明したが、周期Taごとに低速回転の所定時間T1及び高速回転の所定時間T2の少なくとも一方を変化させてもよい。例えば、洗い行程において高速回転の所定時間T2を変化させることで、洗い方を強くしたり弱くしたりすることができる。なお、周期Tbごとに低速回転の所定時間T1及び高速回転の所定時間T2の少なくとも一方を変化させてもよい点は、濯ぎ行程についても同様である。
【0068】
上記実施形態では、濯ぎ行程で回転数を切り替える周期Tbが、洗い行程で回転数を切り替える周期Taより短いが、それに限られない。上記実施形態では、洗い行程において低速回転が高速回転よりも長時間行われるが、それに限られない。上記実施形態では、濯ぎ行程において高速回転の時間T3と低速回転時の時間T4とが同一に設定されているが、それに限られない。
【0069】
上記実施形態では、敷布団を洗浄する場合について説明したが、例えば敷布団以外の布団を洗浄する場合にも適用可能である。上記実施形態では、洗い行程、濯ぎ行程及び脱水行程を実施可能なドラム式洗濯機1について説明したが、本発明は、洗い行程、濯ぎ行程及び脱水行程と共に乾燥行程を実施可能な洗濯乾燥機にも適用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 ドラム式洗濯機
2 筐体
3 外槽
4 ドラム
11 駆動モータ
50 制御部(制御手段)