(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】包装容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/44 20060101AFI20241225BHJP
B65D 5/54 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
B65D5/44 U
B65D5/54 301H
(21)【出願番号】P 2021020007
(22)【出願日】2021-02-10
【審査請求日】2023-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000129493
【氏名又は名称】株式会社クラウン・パッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 千夏
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-132484(JP,A)
【文献】実開昭61-172012(JP,U)
【文献】特開2014-198590(JP,A)
【文献】特開2018-203325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/44
B65D 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装容器であって、
トレー部と、
蓋部と、
内部板と、
連結板、
を有し、
前記トレー部が、底面板と、
前記底面板から上側に伸びる第1背面板と、前記底面板から上側に伸びる立設部を有
し、
前記蓋部が、前記第1背面板の上側に配置されており、回転中心を介して前記第1背面板に接続されており、前記第1背面板に対して
前記回転中心を中心に回転可能に接続された第2背面板を有し、
前記蓋部が、前記回転中心を中心に前記第2背面板と共に前記トレー部に対して回転
することで開閉し、
前記包装容器の中心から前記回転中心に向かう方向が後側であり、後側の反対方向が前側であり、
前記立設部が、前記第1背面板よりも前側に配置されており、
前記蓋部が閉じている状態において、前記内部板が、前記立設部に対して後側から接するように前記底面板上に配置されて
おり、
前記連結板が、前記第2背面板と前記内部板を連結して
おり、
前記第2背面板と、前記連結板と、前記内部板が、連続するシート部材により構成されており、
前記シート部材が、前記第2背面板と前記連結板との境界に沿って伸びる第1折り曲げ部と、前記連結板と前記内部板との境界に沿って伸びる第2折り曲げ部を有し、
前記蓋部が閉じている状態において、前記第1折り曲げ部が、前記回転中心よりも上側に位置しており、
前記蓋部が閉じている状態において、前記第2折り曲げ部が、前記第1折り曲げ部よりも下側かつ前側に位置しており、
前記蓋部が閉じている状態において、前記第2折り曲げ部が、前記回転中心よりも下側に配置されており、
前記蓋部が閉じている状態において、前記第1折り曲げ部が、
前記シート部材のうちの前記内部板の位置において上側となる方の表面において山折りとなり、かつ、上に凸となるように鋭角に折り曲げられており、
前記蓋部が閉じている状態において、前記第2折り曲げ部が
、前記表面において谷折りとなり、かつ、下に凸となるように折り曲げられて
おり、
前記蓋部を開くときに、前記内部板が前記立設部に対して後側から接している状態を維持しながら前記第2折り曲げ部が上昇し、前記第2折り曲げ部が平坦または上に凸となるように変形する、
包装容器。
【請求項2】
前記蓋部と前記トレー部が切込み部を介して接続されており、前記切込み部を切断すると前記蓋部が前記トレー部に対して回転可能となり、
前記蓋部に、開閉部が設けられており、
前記開閉部を開いて前記包装容器内に物品を収容可能とされている、
請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記底面板上に配置されており、前記内部板とは異なる位置で前記連結板に接続された支持板をさらに有する請求項1または2に記載の包装容器。
【請求項4】
前後方向及び上下方向に対して交差する方向が左右方向であり、
前記回転中心、前記第1折り曲げ部、及び、前記第2折り曲げ部が、前記左右方向に沿って伸びている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の包装容器。
【請求項5】
前記蓋部が閉じている状態において、前記連結板が、前記第1折り曲げ部から斜め前下方向に伸びており、
前記蓋部が閉じている状態において、前記内部板が、前記連結板よりも緩やかな傾斜角度で前記第2折り曲げ部から斜め前下方向に伸びており、
前記第1折り曲げ部における前記第2背面板の前面と前記連結板の背面の間の角度θ1が鋭角であり、
前記第2折り曲げ部における前記連結板の前面と前記内部板の上面の間の角度θ2が鈍角であり、
前記蓋部を開くときに、前記第2背面板が前記回転中心を中心にして後方に傾斜し、
前記蓋部を開く過程において、前記角度θ1が減少するとともに前記角度θ2が増大し、その後、前記角度θ1が増大するとともに前記角度θ2が180度以上に増大する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、包装容器を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の包装容器は、器箱と、器箱に対して回転する蓋を有している。また、この包装容器の内部には、上げ床と内背面板が設けられている。上げ床は、内背面板を介して蓋に連結されている。この包装容器は、上げ床の上に物品が載置された状態で物品を収容する。この包装容器の蓋を開くと、蓋に接続された内背面板が上方向に引き上げられ、内背面板によって上げ床の端部が上方向に引き上げられる。このため、蓋が開くのに伴って、上げ床が上昇する。その結果、上げ床上に載置された物品が、上方向に移動する。このように、特許文献1の包装容器によれば、蓋が開くのに伴って、包装容器内の物品を上方向に移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の包装容器では、蓋を開いた状態に維持するためには、手で蓋を支持しておく必要がある。したがって、蓋から手を離すと、蓋が下降するとともに包装容器内の物品も元の位置に移動する。このため、物品および蓋を見栄えの良い状態に維持することができない。本明細書では、蓋が開くのに伴って物品を移動させることが可能であるとともに、蓋を開いたときに蓋と物品を適切に支持することが可能な包装容器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する包装容器は、トレー部と、蓋部と、内部板と、連結板とを有する。前記トレー部は、底面板と、第1背面板と、前記底面板から上側に伸びる立設部を有する。前記蓋部は、前記第1背面板に対して回転可能に接続された第2背面板を有し、前記第2背面板と共に前記トレー部に対して回転する。前記内部板は、前記立設部に対して後側から接するように前記底面板上に配置されている。前記連結板は、前記第2背面板と前記内部板を連結している。前記第2背面板と、前記連結板と、前記内部板が、連続するシート部材により構成されている。前記シート部材が、前記第2背面板と前記連結板との境界に沿って伸びる第1折り曲げ部と、前記連結板と前記内部板との境界に沿って伸びる第2折り曲げ部を有する。前記蓋部が閉じている状態において、前記第1折り曲げ部が上に凸となるように鋭角に折り曲げられており、前記第2折り曲げ部が下に凸となるように折り曲げられている。
【0006】
この包装容器では、第2背面板と、連結板と、内部板が、連続するシート部材により構成されている。また、蓋部が閉じている状態において、第2背面板と連結板との間の第1折り曲げ部が上に凸となるように鋭角に折り曲げられている。したがって、第1折り曲げ部には、第1折り曲げ部の角度をより広くしようとする復元力が生じている。この復元力は、第2折り曲げ部を介して内部板に作用している。この復元力は、内部板を前方に押し出すように作用している。しかしながら、内部板が立設部に対して後側から接しているので、内部板は前方に押し出されない。したがって、蓋が閉じている状態では、第1折り曲げ部の復元力が内部板に作用している状態で内部板が底面板上に固定されている。蓋部を開くと、蓋部の第2背面板が後方に傾斜する。第2背面板が後方に傾斜するのに伴って、第1折り曲げ部において連結板が後方に引かれ、連結板が後方に傾斜する。連結板が後方に傾斜すると、第2折り曲げ部において内部板が持ち上げられる。このように蓋部が開くのに伴って内部板が持ち上げられるので、内部板に連動するように物品を配置しておくことで、蓋部が開くのに従って物品を移動させることができる。また、連結板が後方に傾斜すると、第2折り曲げ部の角度(すなわち、連結板と内部板との間の角度)が大きくなる。蓋部を開くことによって第2折り曲げ部の角度が大きくなると、第1折り曲げ部の復元力が内部板の厚み方向に作用するようになる。このため、第2折り曲げ部の角度が一定角度以上まで大きくなると、第1折り曲げ部の復元力が解放され、第1折り曲げ部の角度(すなわち、第2背面板と連結板の間の角度)が大きくなるように連結板が動く。すると、第2折り曲げ部が上昇し、第2折り曲げ部が平坦または上に凸となるように変形する。このように第2折り曲げ部が変形すると、蓋部が閉じる方向に移動することが防止される。すなわち、連結板及び内部板によって蓋部が支持される。このように、連結板及び内部板によって蓋部が開いた位置に固定されるので、内部板も固定され、物品も固定される。このように、この包装容器では、蓋部を開いたときに、蓋部と物品を静止した状態で支持することができる。
【0007】
本明細書が開示する一例の包装容器では、前記蓋部と前記トレー部が切込み部を介して接続されていてもよい。前記切込み部を切断すると前記蓋部が前記トレー部に対して回転可能となってもよい。前記蓋部に、開閉部が設けられていてもよい。前記開閉部を開いて前記包装容器内に物品を収容可能とされていてもよい。この構成によれば、蓋部を開くことなく(すなわち、切込み部を切断することなく)、包装容器内に物品を収容することができる。
【0008】
本明細書が開示する一例の包装容器は、前記底面板上に配置されており、前記内部板とは異なる位置で前記連結板に接続された支持板をさらに有していてもよい。この構成では、支持板が内部板とは異なる態様で動く。したがって、物品を支持板に連動させることで、物品を内部板とは異なる態様で移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】蓋部20が閉じている状態の包装容器10の斜視図。
【
図2】天面板23が開いている状態の包装容器10の斜視図。
【
図3】蓋部20が開いている状態の包装容器10の斜視図。
【
図4】蓋部20が開いている状態の包装容器10と物品90の斜視図。
【
図10】蓋部20が開いている状態の包装容器100の斜視図。
【
図11】蓋部20が開いている状態の包装容器100と物品90の斜視図。
【
図12】包装容器100の前後方向に沿う縦断面図。
【
図13】包装容器100の前後方向に沿う縦断面図。
【
図14】包装容器100の前後方向に沿う縦断面図。
【
図15】包装容器100の前後方向に沿う縦断面図。
【
図16】変形例の包装容器の前後方向に沿う縦断面図。
【0010】
(第1実施例)
図1~4に示す包装容器10は、食品、日用品等の物品を収容するための容器である。包装容器10は、直方体形状を有する。変形例では、包装容器10は、立方体形状、多角形柱形状等の他の形状を有していてもよい。
図3、4に示すように、包装容器10は、トレー部40に対して回転する蓋部20を有している。以下では、包装容器10の中央から蓋部20の回転中心である折り曲げ部63に向かう方向を後側といい、その反対方向を前側という。
【0011】
図5は、包装容器10を形成するための展開体12を示している。展開体12は、段ボール紙等の厚紙により構成されている。但し、別の変形例では、展開体12は、プラスチック等の紙以外のシート部材により構成されてもよい。図中の一点鎖線と二点鎖線は折り曲げ線を示す。折り曲げ線は、例えば、展開体12の製造過程において押圧された箇所である。換言すると、折り曲げ線は、他の部分と比べて折り曲げ易い箇所である。一点鎖線は山折りされる折り曲げ線であり、二点鎖線は谷折りされる折り曲げ線である。また、図中のハッチングは、両面テープ、接着剤等の接着部の位置を示す。
【0012】
展開体12は、包装容器10の正面部を形成するための正面板22、42を有している。展開体12は、包装容器10の天面部を形成するための天面板23及びフラップ30、32を有している。天面板23の先端に、差し込みフラップ33が設けられている。展開体12は、包装容器10の右側面部を形成するための右側面板21、41を有している。展開体12は、包装容器10の左側面部を形成するための左側面板25、45を有している。展開体12は、包装容器10の底面部を形成するための底面板43a、43b及びフラップ34、36を有している。展開体12は、包装容器10の背面部を形成するための背面板24、44を有している。背面板24、44の隣に、接着部48が設けられている。展開体12は、背面板24から伸びる連結板50と内部板52を有している。背面板24と連結板50との境界に沿って伸びる折り曲げ線によって、折り曲げ部61が形成されている。連結板50と内部板52との境界に沿って伸びる折り曲げ線によって、折り曲げ部62が形成されている。背面板24と背面板44との境界に沿って伸びる折り曲げ線によって、折り曲げ部63が形成されている。折り曲げ部63の延長線に沿って直線状にミシン目71が形成されている。ミシン目71は、正面板22、42の境界、右側面板21、41の境界、及び、左側面板25、45の境界に沿って伸びている。また、ミシン目71に対して平行に、ミシン目72が設けられている。ミシン目71、72によって囲まれた範囲によって、ジッパー73が形成されている。
【0013】
展開体12から包装容器10を組み立てる際には、
図2に示すように右側面板21、41、正面板22、42、左側面板25、45及び背面板24、44を枠状に折り曲げ、接着部48を右側面板21、41に接着する。また、底面板43a、43b及びフラップ34、36を互いに組み合わせた上でフラップ34、36の各接着部を底面板43a、43bに接着することで、
図2に示すように包装容器10の底面板43を形成する。また、折り曲げ部61が上に凸となるように折り曲げ部61を鋭角に折り曲げることで、
図2に示すように連結板50と内部板52を包装容器10の内部に入れる。このとき、折り曲げ部62が下に凸となるように折り曲げ部62を折り曲げる。このように折り曲げ部61と折り曲げ部62を折り曲げると、内部板52の前端が正面板42に対して後方から接触する。その後、フラップ30、32を閉じ、差し込みフラップ33が包装容器10内に差し込まれるように天面板23を閉じることで、
図1に示す包装容器10が完成する。差し込みフラップ33は折り曲げ部61と略平行に伸びているので、包装容器10内に差し込みフラップ33を差し込むと、
図3に示すように、差し込みフラップ33が連結板50の前面に面接触する。
【0014】
図1に示すように包装容器10を組み立てると、右側面板21、正面板22、天面板23、背面板24、及び、左側面板25によって、蓋部20が形成される。また、右側面板41、正面板42、底面板43、背面板44、及び、左側面板45によって、トレー部40が形成される。ジッパー73を切除するとともに残りのミシン目71を切断することで、
図3、4に示すように蓋部20を開くことができる。すなわち、背面板24と背面板44の間の折り曲げ部63を中心に蓋部20をトレー部40に対して回転させて蓋部20を持ち上げることで、蓋部20を開くことができる。
図4に示すように、包装容器10の内部の内部板52上には、物品90が載置される。後に詳述するが、蓋部20を開くのに伴って内部板52が上昇する。このため、
図4に示すように、蓋部20を開くと、物品90がトレー部40から上側に飛び出す。また、
図2に示すように、蓋部20に設けられた天面板23を開くことでも包装容器10を開放することができる。
図2に示すように天面板23を開くことで、内部板52上に物品90を載置することができる。このように、包装容器10は、ミシン目71、72を切断しなくても、内部に物品90を収納できるように構成されている。したがって、ユーザ(例えば、物品90の購入者)は、ミシン目71、72を切断して蓋部20を開くことができる。このように蓋部20を開くと、物品90がトレー部40から上方向に持ち上がるように動きながら現れる。
【0015】
次に、
図6~9を用いて、蓋部20を開くときの連結板50、及び、内部板52の動きについて説明する。
図6は、蓋部20が閉じている状態の包装容器10を示している。
図6に示すように、底面板43の前端から上方向に向かって正面板42が伸びている。すなわち、正面板42は、底面板43上に立設された立設部である。正面板42の上端42aは、ミシン目71を切断した部分である。底面板43の後端から上方向に向かって背面板44が伸びている。背面板44の上端は、左右方向に伸びる折り曲げ部63を介して蓋部20の背面板24に接続されている。背面板24の上端から前側に天面板23が伸びており、天面板23の前端から下方向に正面板22が伸びている。なお、
図1、2に示されるように、天面板23は、背面板24に直接接続されておらず、正面板22と左右の側面板21、25を介して背面板24に接続されている。正面板22の下端22aは、ミシン目72を切断した部分である。
図6に示すように、蓋部20が閉じている状態では、折り曲げ部63は折れ曲がっておらず、背面板44と背面板24は同一平面を構成している。
図7~9に示すように、背面板24は、折り曲げ部63を中心にして背面板44に対して回転することができる。背面板24は、折り曲げ部63を中心にして後方に傾斜するように回転することができる。背面板24が折り曲げ部63を中心にして後方に傾斜すると、背面板24と共に蓋部20の全体が回転する。これによって、蓋部20が開く。
図6に示すように、背面板24の上端は、左右方向に伸びる折り曲げ部61を介して連結板50に接続されている。連結板50は、折り曲げ部61から斜め前下方向に伸びている。以下では、背面板24と連結板50の間の角度(より詳細には、背面板24の前面と連結板50の後面の間の角度)を、角度θ1という。折り曲げ部61は、角度θ1が鋭角となるように折り曲げられている。すなわち、折り曲げ部61は、上向きに凸となるように鋭角に折り曲げられている。連結板50の下端は、左右方向に伸びる折り曲げ部62を介して内部板52に接続されている。折り曲げ部62は、折り曲げ部63よりも下側に配置されている。内部板52は、連結板50よりも緩やかな傾斜角度で折り曲げ部62から斜め前下方向に伸びている。以下では、連結板50と内部板52の間の角度(より詳細には、連結板50の前面と内部板52の上面の間の角度)を、角度θ2という。折り曲げ部62は、角度θ2が鈍角となるように折り曲げられている。すなわち、折り曲げ部62は、下向きに凸となるように鈍角に折り曲げられている。なお、本明細書において、折り曲げ部が下向きに凸となるように折り曲げられているとは、折り曲げ部に形成される角部が、水平方向よりも下側を向いていることを意味する。
図6では、折り曲げ部62は斜め後下方向に凸となるように折り曲げられているので、折り曲げ部62は下向きに凸となるように折り曲げられているといえる。内部板52の前端52fは、底面板43の上面と正面板42の後面に接している。すなわち、内部板52の前端52fは、正面板42に対して後方から接している。内部板52上に、物品90が載置されている。
【0016】
図6のように蓋部20が閉じている状態では、角度θ1が鋭角であるので、折り曲げ部61において角度θ1を大きくするように復元力F1が発生している。復元力F1は、内部板52を前方に押し出すように作用している。しかしながら、内部板52の前端52fが正面板42に後方から接触しているので、内部板52は前方に移動できない。したがって、蓋部20が閉じている状態では、折り曲げ部61に復元力F1が発生している状態で、連結板50と内部板52が固定されている。
【0017】
図7は、
図6の状態から蓋部20を少し開いた状態を示している。蓋部20を開くと、背面板24が後傾し、背面板24の後傾に伴って連結板50も後傾する。この状態では、折り曲げ部61の角度θ1が
図6よりも狭くなるので、復元力F1がより大きくなる。また、連結板50が後傾すると、連結板50の下端である折り曲げ部62が上昇する。このため、内部板52の後端が上昇し、内部板52が前側に少し起き上がる。このように、連結板50が後傾するとともに内部板52が前側に起き上がるので、折り曲げ部62の角度θ2が
図6よりも大きくなる。また、物品90は内部板52上に載置されているので、内部板52が前側に起き上がるのに伴って物品90が前傾する。なお、
図7の状態でも、内部板52が復元力F1に対して抗する。したがって、
図7の状態においてユーザが蓋部20から手を離すと、内部板52によって連結板50が押し戻されて、蓋部20が閉じる。
【0018】
図8は、
図7の状態から蓋部20をさらに開いた状態を示している。このように蓋部20をさらに開くと、背面板24と連結板50がさらに後傾する。このため、折り曲げ部62がさらに上昇し、内部板52がさらに前側に起き上がる。内部板52が前側に起き上がるのに伴って、物品90がさらに前傾する。連結板50が後傾するとともに内部板52が前側に起き上がるので、折り曲げ部62の角度θ2が
図7の状態よりもさらに大きくなって180度に近くなる。このように、角度θ2が180度に近くなると、復元力F1が作用する方向が、内部板52の厚み方向に近くなる。すると、
図9に示すように、復元力F1によって連結板50と内部板52が素早く変形する。すなわち、角度θ1が大きくなるように連結板50が折り曲げ部61を中心に上方向に回転する。また、連結板50の回転に伴って折り曲げ部62が上方向に移動し、角度θ2が180度より大きくなるように内部板52が移動する。その結果、
図8において下に凸であった折り曲げ部62が、
図9に示すように上に凸となる。折り曲げ部62が上に凸となるように内部板52が移動するので、内部板52上の物品90がさらに前傾する。このように、蓋部20が開くのに伴って内部板52が移動し、内部板52の移動に伴って物品90が上昇する。
【0019】
図9の位置まで連結板50と内部板52が移動すると、蓋部20が連結板50と内部板52によって支持されるため、ユーザが蓋部20から手を放しても蓋部20が閉じなくなる。すなわち、蓋部20が、
図9に示す状態で固定される。また、内部板52は蓋部20に伴って上昇するので、蓋部20が固定されると内部板52も固定される。したがって、蓋部20が固定されると、内部板52上の物品90も固定される。したがって、ユーザが蓋部20から手を放しても、蓋部20及び物品90は下降しない。
【0020】
以上に説明したように、蓋部20を
図8の位置まで開くと、復元力F1によって蓋部20と物品90が
図9の位置まで移動する。そして、
図9の位置まで移動すると、蓋部20と物品90が固定される。したがって、蓋部20を開いた後に、包装容器10と物品90を見栄えの良い状態に維持することができる。
【0021】
また、蓋部20を
図8の位置まで開くと、復元力F1によって物品90が
図9の位置まで素早く移動する。このため、物品90を勢いよくポップアップさせることができ、包装容器10を開いた者に強いインパクトを与えることができる。
【0022】
なお、実施例1では、
図9の状態において角度θ2が180度よりも大きくなったが、
図9の状態において角度θ2が180度であってもよい。角度θ2が180度であっても、連結板50と内部板52によって蓋部20を閉じないように支持することができる。
【0023】
(第2実施例)
図10~15は、実施例2の包装容器100を示している。実施例2の包装容器100は、内部に支持板102を有している点で実施例1の包装容器10とは異なる。また、実施例2の包装容器100の連結板50及び内部板52の形状は、実施例1の包装容器10の連結板50及び内部板52の形状とは異なる。実施例2の包装容器100のその他の構成は、実施例1の包装容器10と等しい。したがって、以下では、実施例2の包装容器100の連結板50、内部板52、及び、支持板102について説明する。
【0024】
図10に示すように、実施例2の包装容器100では、連結板50が、中央部50cと2つの側部50a、50bを有している。中央部50cは連結板50の左右方向における中央に配置されている。2つの側部50a、50bは、中央部50cの左右に配置されている。
【0025】
実施例2の包装容器100では、内部板52が、内部板52aと内部板52bに分割されている。内部板52aは、左右方向に伸びる折り曲げ部62aを介して側部50aに接続されており、内部板52bは、左右方向に伸びる折り曲げ部62bを介して側部50bに接続されている。
図12に示すように、蓋部20が閉じている状態では、側部50aの下端に折り曲げ部62aが位置しており、内部板52aは折り曲げ部62aから前方に向かって略水平に伸びている。内部板52aの前端には、内部板52aから下方向に折れ曲がった縦板104aが設けられている。内部板52aの前端は、正面板42の上端42aの近傍で、正面板42に対して後ろから接している。内部板52bも、内部板52aと略同様の構成を備えいている。すなわち、包装容器100が閉じている状態では、側部50bの下端に折り曲げ部62bが位置しており、内部板52bは折り曲げ部62bから前方に向かって略水平に伸びている。内部板52bの前端には縦板104bが設けられており、内部板52bの前端は正面板42の上端42aの近傍で正面板42に対して後ろから接している。
【0026】
図12に示すように蓋部20が閉じている状態では、連結板50の中央部50cは、側部50a、50bよりも下側まで伸びている。支持板102は、左右方向に伸びる折り曲げ部64を介して中央部50cの下端に接続されている。したがって、包装容器100が閉じている状態では、折り曲げ部64は、折り曲げ部62a、62bよりも下側に位置している。包装容器100が閉じている状態では、支持板102は折り曲げ部64から前方に向かって略水平に伸びており、支持板102の下面が底面板43の上面に接している。包装容器100が閉じている状態では、支持板102の前端102fは、正面板42に接していない。支持板102上に、物品90が載置されている。
【0027】
図12に示す状態から蓋部20を開くと、実施例1と略同様に連結板50と内部板52(すなわち、内部板52a、52b)が動く。すなわち、
図13に示すように蓋部20を少し開くと、背面板24が後傾し、背面板24の後傾に伴って連結板50も後傾する。その結果、角度θ1が小さくなり、角度θ2が大きくなる。この状態では、内部板52a、52bが折り曲げ部61の復元力F1に対して抗する。したがって、
図13の状態においてユーザが蓋部20から手を離すと、内部板52a、52bによって連結板50が押し戻されて、蓋部20が閉じる。
図14のように蓋部20をさらに開くと、背面板24がさらに後傾し、折り曲げ部62の角度θ2が180度に近い角度まで大きくなる。その結果、復元力F1が作用する方向が内部板52a、52bの厚み方向に近くなる。すると、復元力F1が解放され、
図15に示すように、角度θ2が180度未満の角度から180度または180度以上の角度まで拡大する。また、後に詳述するが、実施例2の包装容器100でも、物品90が蓋部20が開くのに伴って移動する。
図15の位置まで連結板50と内部板52a、52bが移動すると、蓋部20が固定されるので、物品90も固定される。したがって、蓋部20を開いた後に、包装容器100と物品90を見栄えの良い状態に維持することができる。
【0028】
また、
図12に示すように、蓋部20が閉じている状態では、支持板102の前端102fが正面板42に接していない。したがって、蓋部20が開くと、
図13、14に示すように、支持板102全体が前方に向かって移動し、物品90も前方に向かって移動する。また、蓋部20が開くのに伴って、
図13、14に示すように、折り曲げ部64が上昇し、折り曲げ部64の角度θ4が徐々に拡大する。したがって、蓋部20が開くのに伴って、物品90が徐々に前傾する。そして、復元力F1が解放されると、
図15に示すように、角度θ4が180度以上まで拡大し、支持板102全体が持ち上げられ、物品90も持ち上げられる。このように、実施例2の包装容器100では、物品90に対して、前方へスライドさせる動き、前傾する動き、上方へ持ち上げる動きを組み合わせて発生させることができる。以上のとおり、実施例2の包装容器によれば、物品90をより複雑に移動させることができる。また、実施例2の包装容器によれば、蓋部20の回転中心である折り曲げ部63に対して、折り曲げ部64が折り曲げ部62a、62bよりも遠い位置に配置されている。したがって、折り曲げ部64に接続された支持板102を、折り曲げ部62a、62bに接続された内部板52よりも大きく移動させることができる。このように、実施例2の包装容器100によれば、物品90をより複雑に、かつ、より大きく移動させることができる。したがって、包装容器100を開いた者に強いインパクトを与えることができる。また、実施例2の包装容器100でも、実施例1の包装容器10と同様に、復元力F1によって物品90をポップアップさせることができる。これによっても、包装容器100を開いた者に強いインパクトを与えることができる。
【0029】
なお、上述した実施例1、2では、内部板52の前端が正面板42に対して後方から接していた。しかしながら、例えば
図16に示すように、底面板43上に正面板42とは異なる立設部120が設けられており、内部板52の前端52fが立設部120に対して後方から接していてもよい。この構成でも、内部板52が前側に移動することを防止できるので、上述した実施例1、2と同様に内部板52を機能させることができる。
【0030】
実施例の各構成要素と、請求項の各構成要素との関係について説明する。実施例の折り曲げ部61は第1折り曲げ部の一例である。実施例の折り曲げ部62は第2折り曲げ部の一例である。実施例の折り曲げ部63は第3折り曲げ部の一例である。実施例の正面板42は、立設部の一例である。実施例のミシン目71、72は切込み部の一例である。
【0031】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0032】
10:包装容器、12:展開体、20:蓋部、22:正面板、23:天面板、24:背面板、33:差し込みフラップ、40:トレー部、42:正面板、43:底面板、44:背面板、50:連結板、52:内部板、61~64:折り曲げ部、90:物品