(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】極低温条件で保管された生物学的試料の移送を容易にするためのワークステーション及び装置
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20241225BHJP
【FI】
C12M1/00 Z
(21)【出願番号】P 2023518185
(86)(22)【出願日】2021-09-23
(86)【国際出願番号】 US2021051803
(87)【国際公開番号】W WO2022066943
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-05-17
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521084389
【氏名又は名称】ティーエムアールダブリュ ライフサイエンシーズ,インコーポレイテツド
【氏名又は名称原語表記】TMRW Life Sciences, Inc.
【住所又は居所原語表記】250 Hudson Street, Suite 102, New York, New York 10013 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】ビクソン,ブライアン,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ハドソン,シンシア
(72)【発明者】
【氏名】ムレイ,アラン,レロイ
【審査官】市島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-529062(JP,A)
【文献】国際公開第2020/072945(WO,A1)
【文献】特表2019-505042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温凍結試料を取り扱うシステムであって、
前部、後部、作業面、及び少なくとも1つのウェルを有するプラットフォームであって、前記少なくとも1つのウェルは、前記作業面において凹んでおり、底部と、前記少なくとも1つのウェルの前記底部から上方に延在する少なくとも1つの側壁とを有する、該プラットフォームと、
少なくとも1つの第一バケットであって、底部と、上部と、前記第一バケットの前記底部から前記第一バケットの前記上部まで延在する少なくとも1つの側壁と、前記第一バケットの前記上部の開口部を有し、
前記第一バケットは、前記少なくとも1つのウェルによって取り外し可能に受け入れ可能であり、前記ウェルの前記少なくとも1つの側壁は、前記第一バケットの前記少なくとも1つの側壁から隙間の分だけ離間し、前記第一バケットの前記上部の前記開口部は、試料容器のアレイを内部に保持する少なくとも1つのカセット又はキャリアをその中に少なくとも部分的に受け入れるようにサイズ設定された、該
少なくとも1つの第一バケットと、
前記少なくとも1つのウェルの前記底部の下に配置され、前記試料容器を保持する前記カセット又は前記キャリアが前記第一バケット内に配置されるとき、前記試料容器の遠位端の規定された垂直距離内にあるように離間される、アンテナの少なくとも1つのアレイ
を備えるワークステーション
を備えるシステム。
【請求項2】
前記作業面は平面部分を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記作業面は、前記作業面の周囲の少なくとも一部の周りで前記平面部分から上方に延在する周壁を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記プラットフォームの前記後部における前記周壁の一部は、前記プラットフォームの前記後部から前記プラットフォームの前記前部に向かって下方に傾斜する傾斜面を有する、請求項
3に記載のシステム。
【請求項5】
前記作業面は、それを通る第一開口部と第二開口部とを画定し、前記作業面の前記第二開口部は前記作業面の前記第一開口部とは別個であり、前記作業面の前記第一開口部は前記第一バケットをその中に取り外し可能に受け入れるようにサイズ決めされ、前記作業面の前記第二開口部は第二バケットをその中に取り外し可能に受け入れるようにサイズ決めされる、請求項
2に記載のシステム。
【請求項6】
前記第一バケットは、前記第一バケットが前記作業面の前記第一開口部を介して前記
少なくとも1つのウェルに受け入れられるときに、前記第一バケットの上部を前記作業面と同一高さにして前記第一開口部に着座し、前記作業面の前記第二開口部は第二バケットをその中に取り外し可能に受け入れるようにサイズ決めされ、前記第二バケットは前記第二バケットが前記作業面の前記第二開口部を介して前記
少なくとも1つのウェルに受け入れられるときに、前記第二バケットの上部を前記作業面と同一高さにして前記第二開口部に着座する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記作業面は前記作業面の周囲の少なくとも一部の周りで前記平面部分から上方に延在する周壁を含み、前記周壁は各々が前記プラットフォームの前部に位置する第一開口部及び第二開口部を有し、前記周壁の前記第一開口部及び前記第二開口部の各々は、前記第一バケット及び前記第二バケットが前記作業面の前記第一開口部及び前記第二開口部を介して前記
少なくとも1つのウェル内に受け入れられたときに、前記第一バケット及び前記第二バケットのそれぞれの1つのハンドルを、前記それぞれのハンドルをそれぞれ非展開位置に旋回されて収容するようにサイズ決めされる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記作業面は固定平面部とフレームとを含み、前記フレームは前記少なくとも1つのウェルの内部を露出させるように、前記固定平面部から選択的に取り外し可能である、請求項5~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記作業面の前記第一開口部及び前記作業面の前記第二開口部は、それぞれ前記フレーム内に形成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記作業面の前記第一開口部は前記第一バケットの外周部をぴったりと受け入れるように寸法決めされ、前記作業面の前記第二開口部は前記第二バケットの外周部をぴったりと受け入れるように寸法決めされる、請求項5に記載のシステム。
【請求項11】
前記第一バケットが注ぎ口を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記第一バケットは、展開位置と非展開位置との間で旋回するように前記少なくとも1つの側壁に旋回可能に結合されたハンドルを有する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第一バケットは、前記展開位置における前記ハンドルの回転を制限する少なくとも1つの停止部を有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記カセット又は前記キャリアをさらに備え、
前記カセット又は前記キャリアは、試料容器の二次元アレイを保持するようにサイズ決定される
請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記カセット又は前記キャリアが、
上部、底部、及び少なくとも1つの側壁を有する第一バルク容器であって、前記底部は内向き表面及び外向き表面を有し、前記少なくとも1つの側壁は内向き表面及び外向き表面を有し、前記底部の前記内向き表面及び前記少なくとも1つの側壁の前記内向き表面は内部コンパートメントプロファイルを有する前記第一バルク容器の内部コンパートメントの輪郭を描き、前記第一バルク容器は、その上部に開口部を有する、該第一バルク容器と、
第一熱シャントであって、前記第一熱シャントは、金属を含み、第一主要面及び第二主要面を有する基板を含み、前記第二主要面は前記基板の厚さを横切って前記第一主要面と対向し、前記基板は前記基板の前記厚さを通って延在する複数のスルーホールのアレイを有し、前記基板の前記スルーホールのそれぞれはそれを通って第一の数のバイアルのそれぞれのバイアルの少なくとも一部を受け入れるような形状及びサイズにされ、前記基板は前記第一バルク容器の前記内部コンパートメント内にぴったりと受け入れ可能である、該第一熱シャントと、
前記第一バルク容器の前記内部コンパートメント内にぴったりと受け入れ可能である第一スペーサであって、前記第一スペーサはそれを通って延在する複数のスルーホールのアレイを有し、前記第一スペーサの前記スルーホールのそれぞれはそれを通って前記第一の数のバイアルのそれぞれのバイアルの少なくとも一部を受け入れるような形状及びサイズにされた、該第一スペーサ
を備え、
前記第一スペーサ及び前記第一熱シャントが前記第一バルク容器の前記内部コンパートメント内に積み重ねられるとき、前記第一スペーサの前記スルーホールのそれぞれは前記第一熱シャントの前記スルーホールのそれぞれ1つと軸方向に整列される
請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第一バルク容器は前記第一バルク容器の内部において前記底部から上方に延在するいくつかのセットオフを有し、前記第一熱シャントは、前記第一バルク容器の前記底部から前記第一熱シャントを離間させるように前記セットオフによって支持される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記熱シャントの前記基板は、非鉄金属のブロックの形態のヒートシンクである、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記熱シャントの前記基板は、アルミニウムのブロックの形態のヒートシンクである、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記熱シャントの前記基板は、非鉄金属含浸ポリマーのブロックの形態のヒートシンクである、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記スペーサ及び前記熱シャントの前記スルーホールは、それぞれ円形である、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記スペーサ及び前記熱シャントの前記スルーホールは、丸みを帯びた角を有する正方形である、請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
前記第一バルク容器が前記カセットの一部であり、前記第一バルク容器が第一側面に少なくとも第一アパーチャを含み、第二側面に少なくとも第二アパーチャを含み、前記第二側面が、前記第一バルク容器の横寸法に渡って前記第一側面に対向する、請求項15に記載のシステム。
【請求項23】
前記第一バルク容器が前記カセットの一部であり、前記カセットが
前記第一バルク容器に取り外し可能に結合可能なハンドルをさらに備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項24】
前記第一バルク容器が前記キャリアの一部であり、前記キャリアが、
前記第一バルク容器の前記上部の前記開口部を封止するように第一バルク容器に結合可能なカバーをさらに備え、前記スペーサ及び前記熱シャントが前記第一バルク容器の前記内部コンパートメント内に積み重ねられている、請求項15に記載のシステム。
【請求項25】
前記第一バルク容器が前記キャリアの一部であり、前記キャリアが
前記第一バルク容器に旋回可能に連結されるハンドルをさらに備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項26】
前記第一バルク容器の前記少なくとも1つの側壁が断熱側壁である、請求項15に記載のシステム。
【請求項27】
前記第一バルク容器の前記底部の厚さ、前記熱シャント、任意の支持機構、及び前記スペーサの任意の組み合わせが、前記バイアルを、前記底部の外面から規定された距離内で前記バイアルの底部を離間させるように長手方向で位置決めする、請求項15に記載のシステム。
【請求項28】
前記第一バルク容器の前記底部の厚さ、前記熱シャント、任意の支持機構、及び前記スペーサの任意の組み合わせが、前記バイアルを、前記底部の外面から20mm未満の距離内で、前記バイアルの底部を離間させるように長手方向に位置決めする、請求項15に記載のシステム。
【請求項29】
前記第一バルク容器の前記底部の厚さ、前記熱シャント、任意の支持機構、及び前記スペーサの任意の組み合わせが、前記バイアルを、前記アンテナアレイから前記規定された垂直距離内で前記バイアルの底部を離間させるように長手方向に位置決めする、請求項15に記載のシステム。
【請求項30】
前記第一バルク容器の前記底部の厚さ、前記熱シャント、任意の支持機構、及び前記スペーサの任意の組み合わせが、前記バイアルを、前記アンテナアレイから20mm未満の距離内で前記バイアルの底部を離間させるように長手方向に位置決めする、請求項15に記載のシステム。
【請求項31】
前記少なくとも1つのウェル、前記第一バケット、及び前記カセット又は前記キャリアのうちの任意の組み合わせが、前記試料容器を、前記アンテナアレイから前記規定された垂直距離内で前記試料容器の底部を離間させるように長手方向に位置決めする、請求項15に記載のシステム。
【請求項32】
前記少なくとも1つのウェル、前記第一バケット、及び前記カセット又は前記キャリアの任意の組み合わせが、前記試料容器を、前記アンテナアレイから20mm未満の前記規定された垂直距離内で、前記試料容器の底部を長手方向で離間させるように、位置決めする、請求項15に記載のシステム。
【請求項33】
極低温保管デュワーであって、内部と、それを介して試料容器が前記極低温保管デュワーの前記内部に及び前記内部から移送される開口部とを有し、前記プラットフォームの一部が前記極低温保管デュワーのすぐ隣に配置される、該極低温保管デュワー
をさらに備える、請求項1~7又は10~32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
カセットを前記デュワーの内部に配置し、カセットを前記デュワーの内部から取り出すように配置され動作可能なエレベーターをさらに備え、前記エレベーターは少なくとも1つのポートを含み、前記プラットフォームの後部は前記エレベーターの前記少なくとも1つのポートのすぐ隣に配置され、それらの間に開いた隙間はない、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記プラットフォームの前記少なくとも1つのウェルは第一軸に沿って前記エレベーターの前記少なくとも1つのポートから離間し、前記第一軸は前記少なくとも1つのポートから垂直に、かつ前記第一軸に直交する第二軸に沿ってそれに対して横方向に延在している、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記ワークステーション及び前記極低温保管デュワーは、前記ワークステーション及び前記極低温保管デュワーを解放可能に固定する対応する締結具を含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項37】
前記対応する締結具が、前記ワークステーションの第一ブラケットと、前記極低温保管デュワーの第二ブラケットと、前記ワークステーション及び前記極低温保管デュワーを解放可能に固定するために前記第一ブラケット及び前記第二ブラケットの両方の中に受け入れ可能な接続ピンとを含む、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記ウェルの前記底部は、前記第一バケットの前記底部から第二隙間の分だけ離間している、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、生物学的試料(又は、標本/検体/サンプル)(例えば、卵、精子、胚、他の生物学的組織)を、典型的には固定された又は据え付きの極低温フリーザー(又は、冷凍機/冷凍庫/冷蔵庫)(例えば、極低温保管(又は、貯蔵/ストレージ)タンク又は液体窒素浴)と、可搬式断熱キャリア又はカセットとの間で移送し、取扱い中に、保管された生物学的試料の識別を容易にし、保管連鎖(又は、管理の連鎖/チェーンオブカスティディ)を立証するためのワークステーション、装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
凍結保存による細胞及び組織の長期保存は、組織工学、生殖能力(又は、不妊治療/受胎能力)及び生殖医療、再生医療、幹細胞、血液バンキング、動物株保存、臨床サンプル(又は、試料)保管、移植医学、及びインビトロ薬物試験を含む複数の分野において広範な影響を有する。これは、保管装置(例えば、凍結保存ストロー、凍結保存チューブ、スティック又はスパチュラ)の中又は上に含まれる生物学的試料又はサンプル(例えば、卵母細胞、胚、生検材料(又は、生検)が液体窒素等の物質中に生物学的試料及び保管装置を配置することによって急速に冷却されるガラス化のプロセスを含むことができる。これは生物学的試料のガラス様凝固又はガラス状状態(例えば、分子レベルのガラス構造)をもたらし、これは細胞内及び細胞外氷の非存在を維持し(例えば、細胞損傷及び/又は死滅を低減し)、解凍すると、解凍後の細胞生存率を改善する。生存性を確実にするために、ガラス化された生物学的試料は、次いで、マイナス190℃の温度である液体窒素を含有する液体窒素デュワー又は他の容器(又は、コンテナ)中に連続的に保管されなければならない。
【0003】
しかしながら、これらの生物学的試料がどのように保管され、識別され、管理され、インベントリされ、回収されるか等には多くの懸念がある。
【0004】
例えば、各採取された胚は剛性の試料ホルダー(例えば、胚ストロー、棒又はスパチュラ)上に装填される。管状試料ホルダーの場合、管は一端が閉じられ(例えば、栓がされ)、他端が開いてもよい。胚を収容又は保持する凍結保管装置(例えば、試料ホルダー)は例えば、ガラス化を達成するために、およそマイナス190℃の温度で、極低温冷蔵庫内の液体窒素浴中に、生物学的材料と共に凍結保管装置を突っ込むことによって、可能な限り迅速に冷却される。より具体的には、液体窒素保管タンク又はフリーザー内に配置するために、複数の凍結保存保管装置がゴブレット内に配置される。ゴブレットは複数の凍結保存保管装置が液体窒素中に懸垂されるように、液体窒素保管タンクに取り付けられる。適切なマーカーペンを使用して手動で書かれるか、又はカスタムプリンタを使用して印刷されるラベルは、ストロー及び/又はゴブレットに取り付けられる。そのようなラベルは胚が採取された個体に対応する識別情報、及び他の適切な情報(例えば、凍結保存保管装置番号、開業医番号など)を含むことができる。
【0005】
生物学的試料へのアクセスは、通常の操作中に必要とされる。例えば、手順(例えば、受精卵の移植(又は、着床/implantation))を実施するために、特定の生物学的試料又は試料(複数)が必要とされ得る。生物学的試料が保管されている極低温冷蔵庫又は極低温タンクからの凍結保存保管装置及び関連する生物学的試料の回収は回収された生物学的試料を非極低温条件(例えば、マイナス190℃を超える温度)にさらし、曝露の持続時間によっては生物学的試料を危険にさらす。生物学的試料が保管される方法(例えば、カセットに配列された凍結保存保管装置、スタックに配列されたカセット)に起因して、1つ又は複数の所望の生物学的試料の回収はしばしば、その時点で必要とされない追加の生物学的試料の回収を必要とし、こうしたものを危険にさらす。加えて、極低温冷蔵庫から意図された使用(例えば、受精、移植)の部位への生物学的試料の輸送は、生物学的試料をリスクにさらす。
【0006】
これらの生物学的試料の保管及び管理に関して、施設は液体窒素貯蔵タンクを(例えば、必要に応じて液体窒素で補充することによって)維持し、保管された生物学的試料の在庫を(例えば、定期的な会計を実施することによって)管理することを要求される人員を雇用する。しかし、これらの生物学的試料の適切な保管に関しては、記録管理はほとんどない。例えば、ガラス化された生物学的試料又はサンプルのその後の識別又はさもなければ取り扱いは、温度制御された保管からの試料の取り出し、及びサンプルの周囲温度への曝露を伴うことがありえ、したがって、サンプルの生存率を潜在的に危険にさらす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
概要
したがって、典型的には大型で重い機器であり、したがって静止している液体窒素浴を保持する極低温冷蔵庫又は貯蔵タンクと、可搬型断熱キャリアとの間で生物学的試料(例えば、卵、精子、胚)を移送するための新しいワークステーション、装置及び方法を提供することが望ましい。また、保管された生物学的試料又はサンプルの識別を容易にし取扱い中の保管の連鎖を立証するための新しいワークステーション、装置及び方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ワークステーションは試料容器(例えば、キャップを有するバイアル)の、極低温冷蔵庫又はデュワーへの、及びそれらからの移送を容易にする。複数の試料容器は、極低温冷蔵庫又はデュワー内に保管されるように設計された保管カセットによって運ばれてもよい。識別情報は、試料容器によって担持される及び任意選択で保管カセットによって担持されるワイヤレストランスポンダから読み取られる。試料容器の在庫、さらには特定の試料ホルダーの在庫は、保管連鎖の証拠として、又は、保管連鎖の証拠と共に、維持することができる。自動化された保管及び取り出しが提供されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図面において、同一の参照番号は、同様の要素又は作用を示す。図面における要素のサイズ及び相対位置は、必ずしも一定の縮尺で描かれてはいない。例えば、さまざまな要素の形状及び角度は一定の縮尺で描かれず、これらの要素のいくつかは、図面を見やすくするために、随時適当に拡大及び配置されている。さらに、描かれている要素の特定の形状は、特定の要素の実際の形状に関するいかなる情報も伝えることを意図しておらず、図面における認識を容易にするためにのみ選択されている。
図1は、少なくとも1つの図示された実施形態による、液体窒素浴を保持する極低温冷蔵庫又は保管タンクと、極低温冷蔵庫又は保管タンクの内外に生物学的試料(例えば、卵、精子、胚)を移送するように動作可能なロボット移送システムと、極低温冷蔵庫又は保管タンクの内外への生物学的試料の移送を取り扱い、追跡し、生物学的試料のための保管連鎖を維持するためのインターフェースを含むワークステーションとを含む、極低温保管システムの左側正面等角図である。
図2は、一実施形態による、試料容器の正面図である。
図3は、
図2の試料容器の分解等角図である。
図4は、一実施形態による、試料容器の正面図である。
図5は、一実施形態による、試料容器の正面図である。
図6は、一実施形態による、試料容器の等角図である。
図7は、
図4に示されるいくつかの試料容器を支持する保管カセットの等角図である。
図8は、
図7に示された保管カセットの等角図である。
図9は、
図4に示される試料容器の1つを支持する、
図8に示される保管カセットの断面図である。
図10は、
図8に示された保管カセットの等角分解図である。
図11は、一実施形態による、
図8に示される保管カセット及びハンドルの等角図である。
図12は、
図11に示されるハンドルの等角図である。
図13は、
図12に示されるハンドルの分解等角図である。
図14は、一実施形態による試料トランスポーター(又は、運搬装置)の等角図である。
図15は、
図1の極低温保管システムの一部の上面正面等角図であり、ワークステーションをより良く例示している。
図16は、
図1の極低温保管システムの上面図であり、ワークステーションをさらに図示する。
図17は、
図10の極低温保管システムの部分の部分分解上面正面等角図であり、ウェルと、そのウェルによって受容可能な一対のバケットと、取り外し可能なフレームとを含むワークステーションの部分をより良く示す。
図18は、ウェル、バケットの対及びアンテナのアレイを含む、
図17に示されるワークステーションの一部分の分解図である。
図19は、一実施形態による輸送バケットの上面図である。
図20は、輸送バケットを囲むウェルの断面図であり、保管容器を囲み、試料容器が1つのアンテナと位置合わせされるように試料容器を支持する。
図21は、別の実施形態による極低温保管システムの一部の上面正面等角図であり、前部周壁はバケットがワークステーションのウェル内に配置されたときにバケットのハンドルを収容するために、その中に一対の破断部を含む。
図22は、ワークステーションのウェルの底面図である。
図23は、アンテナのアレイのためのエンクロージャの上面図である。
図24は、一実施形態による、アライメント構造を使用してウェル内に配置されたバケットの等角図である。
図25は、
図24に示されるバケット及びアライメント構造の上面平面図である。
図26は、一実施形態による、アライメント構造を使用してウェル内に配置されたバケットの等角図である。
図27は、
図26に示されるバケット及びアライメント構造の上面平面図である。
図28は、一実施形態による、アライメント構造を使用してウェル内に配置されたバケットの等角図である。
図29は、
図28に示されるバケット及びアライメント構造の上面平面図である。
図30は、一実施形態による、保管カセットを支持するワークステーションのバケットの上面図である。
図31は、一実施形態による、保管カセットを支持するワークステーションのバケットの上面図である。
図32は、一実施形態による、アライメント構造を使用してウェル内に配置されたバケットの等角図である。
図33は、
図32に示される、アライメント構造を使用してウェル内に配置されたバケットの側面図である。
図34は、
図32に示すアライメント構造の断面図である。
図35は、一実施形態によるアライメント構造を使用してウェル内に配置されたバケットの等角図である。
図36は、
図35に示されるアライメント構造を使用してウェル内に配置されたバケットの側面図である。
図37は、一実施形態によるレジストレーション(又は、登録)トレイの等角図である。
図38は、別の実施形態によるレジストレーショントレイの等角図である。
図39は、一実施形態によるレジストレーショントレイの分解図である。
図40は、組み立ての1つの段階中の
図1に示される極低温保管システムの等角図である。
図41は、組み立ての別の段階中の
図1に示す極低温保管システムの等角図である。
図42は、組み立ての別の段階中の
図1に示す極低温保管システムの等角図である。
図43は、組み立ての別の段階中の
図1に示す極低温保管システムの等角図である。
図44は、組み立ての別の段階中の
図1に示す極低温保管システムの等角図である。
図45は、組み立ての別の段階中の
図1に示される極低温保管システムの等角図である。
図46は、組み立ての別の段階中の
図1に示される極低温保管システムの等角図である。
図47は、少なくとも1つの実施形態による、極低温保管システムのプロセッサベースのワークステーションの機能ブロック図である。
図48は、少なくとも1つの実施形態による、極低温冷蔵庫内に保管されることができる保管カセット内の位置から可搬型断熱キャリア内の位置に生物学的試料を保持する試料容器を移送するための移送システムにおける動作の方法を示す流れ図の第一部分である。
図49は、
図48に示す流れ図の第二部分である。
図50は、少なくとも1つの実施形態による、可搬型断熱キャリア内の位置から極低温冷蔵庫内に保管されることができる保管カセット内の位置に生物学的試料を保持する試料容器を移送するための移送システムにおける動作方法を示す流れ図の第一部分である。
図51は、
図50に示す流れ図の第二部分である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
種々の実施態様が正しく理解されるように、開示内容の詳細を以下に説明する。但し、当業者ならば、これら特定の細部の1つ又は2つ以上を欠いても、又は他の方法、他の構成部材、他の材料でも実施が可能であることは容易に理解するところであろう。他の例では、コンピュータシステム、アクチュエータシステム、及び/又は通信ネットワークに関連する周知の構造は実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、詳細に図示又は説明されていない。他の事例では実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、1つ又は複数のオブジェクトなどの知覚データ及び体積表現を生成するための周知のコンピュータビジョン方法及び技法は詳細に説明されていない。
【0011】
本明細書及び特許請求の範囲において理由が必要ない限り、用語”を有する”及びその派生語は確定していない包括的な意味、即ち、”含む”であるとみなされるが、それに限定されるものではない。
【0012】
本明細書全体を通して、「一実施形態」又は「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構成又は特徴が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書における表現”一実施形態における”又は”実施形態における”の全てが、必ずしも同様の実施形態について記載されてはいない。さらに、特別な特徴、構造又は特質は1又は複数の実施形態において任意の適当な方法で組み合わせられ得る。
【0013】
本明細書及び同時提出の特許請求の範囲で用いられているように、単数表現はコンテンツが明確に定められていない限り、複数の存在を包含するものである。また、表現”又は”は一般に、コンテンツが明確に定められていない限り、”及び/又は”を包含する意味で用いられる。
【0014】
発明の名称及び要約は便宜上のものであり、本発明の範囲を表すものではなく、又は実施形態を意味するものでもない。
【0015】
図1は、少なくとも1つの図示された実施形態による、極低温保管システム100を示す。
【0016】
極低温保管システム100は典型的には、極低温環境にある、例えば約マイナス190℃以下の温度の液体窒素浴に浸漬された試料容器を貯蔵することができる極低温保管タンク又はフリーザー102を含む、多種多様な形態をとることができる。極低温保管タンク又はフリーザー102は、典型的には高度に断熱され、間に真空及び/又は他の断熱材料を有するステンレス鋼の内壁及び外壁を含むことができる。
【0017】
極低温保管システム100は、保管された生物学的試料の識別を容易にし、前記保管された生物学的試料の取り扱い中の証拠保管連鎖を証明するためのワークステーション104を含むことができる。一実装形態によれば、ワークステーションは極低温保管タンク又はフリーザー102に隣接して、例えば、すぐ隣に配置されてもよい。ワークステーション104は上昇床105を含むことができ、これにより、非上昇床(例えば、極低温保管タンク又はフリーザー102が載っている床)上に立つのとは対照的に、上昇床105上に立っているユーザは極低温保管タンク又はフリーザー102の上部までの距離を容易に縮めることができる。
【0018】
図2及び
図3を参照すると、極低温保管システム100は試料容器200を含むことができ、これは典型的には極低温フリーザーを介して長期保管のために保管される。試料容器200の各々はバイアル(又は、小瓶)204、キャップ206、1つ又は複数のワイヤレス(又は、無線)トランスポンダ(例えば、無線周波数識別(RFID)トランスポンダ)208、及び細長い試料ホルダー209(例えば、ストロー、ロッド、スパチュラ)を含むことができる。さらに、試料容器200は、1つ又は複数の機械可読記号(又は、シンボル)210を含むことができる。試料容器200は一例によれば、生物学的組織の試料、例えば、卵、精子又は胚を保管することができる。試料容器の様々な実装が、2019年9月13日に出願された米国特許出願第62/900,281号、2019年7月31日に出願された米国特許出願第62/880,786号、2019年7月26日に出願された米国特許出願第62/879,160号、2018年10月5日に出願された米国特許出願第62/741,986号、及び2018年10月5日に出願された米国特許出願第62/741,998号に記載されている。
【0019】
図4を参照すると、試料容器300の別の実施形態が示されている。試料容器300はバイアル304と、キャップ306と、1つ又は複数のワイヤレストランスポンダ(たとえば、無線周波数識別(RFID)トランスポンダ)308とを含み得る。試料容器300は
図3を参照して説明した試料ホルダー209と同様の細長い試料ホルダー(例えば、ストロー、ロッド、スパチュラ)(図示せず)を含むことができる。さらに、試料容器300は、1つ又は複数の機械可読記号310を含むことができる。
【0020】
図5を参照すると、試料容器200及び300と同様の試料容器250の実施形態は熱伝導を防止又は抑制するために、サーマルマス(又は、熱質量/熱容量)252及び少なくともサーマルマス252を部分的に囲む断熱材254を含むことができる。サーマルマス252は、試料容器250のバイアル258の内部空洞256内に配置することができる。サーマルマス252は、試料容器250のサンプル凍結保存保管装置(複数可)260及びサンプル凍結保存保管装置260によって保持される任意の生物学的材料262(複数可)に関連するサーマルマスよりも大きいサーマルマスを有することができる。
【0021】
サーマルマス252は非鉄金属又は金属含浸ポリマーの一片の形態をとることができ、金属は、それを通る電流の形成を防止又は遅延させるのに十分に小さく不連続な小片、粒子又はストランドの形態である。断熱材254はエアロゲル(例えば、分散相が気体である微孔性固体、液体成分が気体で置き換えられたゲル、例えば、シリカベース、アルミナベース、酸化クロムベース(又は、クロミアベース/chromiabased)、酸化スズベース及び炭素ベースのエアロゲル)を含むが、これらに限定されない様々な形態をとることができる。
【0022】
サーマルマス252は試料容器に担持される1つ又は複数のワイヤレストランスポンダ、たとえば、第一ワイヤレストランスポンダ264a及び第二ワイヤレストランスポンダ264bから、ワイヤレストランスポンダ262a及び262bを介するワイヤレス通信との干渉を防ぐために、少なくとも最小規定距離(たとえば、3mm)だけ離間されることができる。
【0023】
図6を参照すると、生体試料を保持するための、試料容器200,250及び300と同様の試料容器1100の実施形態が示されている。試料容器1100は、バイアル1104、キャップ1106及びジャケット1107を含むことができる。示されるように、バイアル1104は、外側スリーブ又はフレームとも呼ばれる外側ジャケット1107によって少なくとも部分的に覆われてもよい。キャップ1106は、バイアル1104の第一端部1112aの開口部1120を取り外し可能に閉鎖するようなサイズ及び形状である。バイアル1104は、第一端部1112aと、第二端部1112bと、側壁1114とを含む。第二端部1112bはバイアル1104の長さを越えて(又は、(長さ)を横切って)第一端部1112aから対向し、側壁1114は、第一端部1112aと第二端部1112bとの間に延在して、バイアル1104の内部をその外部から画定する。
【0024】
第二端部1112bは、閉じられてもよく、又は密閉可能であり得る。バイアル1104は円形の輪郭又は断面を有し得る管の形態をとってもよく、あるいは他の形状(例えば、長方形、六角形、八角形)を有してもよい。バイアル1104の開口部1120は例えば、円形であり得るが、開口部1120は他の形状を有する可能性がある。バイアル1104の第二端部1112bは例えば、半球形の先端で終端してもよく、又は、バイアル1104の長手方向軸に垂直な平坦面1122で終端する切頭円錐形(又は、円錐台状)であってもよい。
【0025】
ジャケット1107は図示のように、バイアル1104の外面の少なくとも一部を覆うことができる。一実施形態によれば、ジャケット1107は、バイアル1104がジャケット1107の上部開口部内に受容されることを可能にするような形状及びサイズである。バイアル1104及びジャケット1107の両方は例えば、バイアル1104の外面の円周がジャケット1107の内面の円周とほぼ等しくなるように、円形の断面を有することができる。そのような構成は、バイアル1104とジャケット1107との間のぴったりとした嵌合を可能にする。実装形態ではバイアル1104の第二端部1112b、例えば、平坦面1122で終端する円錐台形先端部はジャケット1107の底部開口部から延在してもよい。
【0026】
ジャケット1107が試料容器1100のライフサイクルを通して特定のバイアルに関連付けられたままである実施形態では、ジャケット1107の内面は例えば摩擦嵌合(friction fit)、熱嵌合、及び/又は、接着剤を介してバイアルの外面に取り付けられてもよい。いくつかの実装形態では、ジャケット1107の内面をバイアル1104の外面に取り外し可能に取り付けることができ、例えば、ジャケット1107が2つ以上のバイアル1104と関連付けられる場合(又はその逆)に、ジャケット1107の取り外し及び交換が可能となる。そのような場合、バイアル1104とジャケット1107との間に弾性圧縮嵌合(elastic compression fit)及び/又は摩擦嵌合があってもよい。
【0027】
実装形態では、ジャケット1107の内面及び/又はバイアル1104の外面は、バイアル1104と外側ジャケット1107との間に圧縮嵌合を形成するように弾性的に圧縮する変形可能な突起(図示せず)を含み得る。実装形態では、ジャケット1107の内面及び/又はバイアル1104の外面は、バイアル1104をジャケット1107内に固定する(すなわち、ジャケット1107をバイアル1104に固定する)ために、対向するねじ山又はリッジを含み得る。実装形態では、ジャケット1107がバイアル1104とは別個に製造されてもよく、例えば、既存のバイアル1104に後付けされてもよい。
【0028】
外側ジャケット1107はバイアル1104の外面が見える開口部1151を有することができ、それによって、バイアル1104が透明又は半透明である実装形態では、バイアル1104の内容物を見ることができる。開口部1151はジャケット1107の長手方向軸に沿った方向に延びるより長い辺と、ジャケット1107の長手方向軸を横切る方向に延び、バイアル1104の周囲に湾曲するより短い辺とを有することができる。
【0029】
いくつかの実装形態では、アーム1152の配置(又は、配列)がジャケット1107の底部開口部からジャケット1107の長手方向に延在して、ジャケット1107の長手方向軸を横切る平面に向けられたプラットフォーム1150、例えば、中実のディスク形状のプラットフォームを支持することができる。例えば、ジャケット1107の円周の周りの90度離れた位置に4つのアーム1152があってもよい。アーム1152及びプラットフォーム1150はプラットフォーム1150の内面がジャケット1107の底部内面1153を形成するように、位置決めされ、サイズ決定されてもよい。ジャケット1107の底部内面1153はバイアルが外側ジャケット1107内に受容されるとき、バイアル1104の底部と接触してもよく、又はほぼ接触してもよい。プラットフォーム1150はアーム1152の端部に取り付けられてもよく、又は、例えば、熱可塑性プラスチック製造プロセスにおいて、アーム1152と一体的に形成されてもよい。
【0030】
試料容器1100は1つ又は複数のワイヤレストランスポンダ、例えば、第一ワイヤレストランスポンダ1108a、第二ワイヤレストランスポンダ1108b等(まとめて1108)を含み得る。第一ワイヤレストランスポンダ1108aは少なくとも1つの実装によれば、プラットフォーム1150によって担持されてもよい。第一ワイヤレストランスポンダ1108aは、プラットフォーム1150の外面上に固定されることができる。
【0031】
実装形態では、プラットフォーム1150自体の少なくとも一部が例えば、無線周波数識別(RFID)ボタンセルの形態をとることができ、これがアーム1152の配置に取り付けられ、第一ワイヤレストランスポンダ1108aとして機能する。場合によっては、プラットフォームの一部分、例えば、上述のプラットフォーム1150よりも厚みのない、薄いディスク状プレートをアーム1152の配置に取り付けて、その上にRFIDボタンセルを取り付けることができる。これらの構成のいずれか、すなわち、トランスポンダがプラットフォーム上に固定されるか、又はプラットフォーム自体の少なくとも一部がRFIDボタンセルである場合においては、第一ワイヤレストランスポンダ1108aは、バイアル1104の底部に形成された凹部内に受容されるか、又は位置決めされる、若しくはさもなければバイアル1104に直接固定されるのとは対照的に、ジャケット1107の構造に固定される。
【0032】
いくつかの実装形態では、第一ワイヤレストランスポンダ1108aの一部分が試料容器1100の底部上で見えるように、機械可読記号(複数可)及び/又は人間可読情報がその上に形成された非導電性ラベル1144aによって少なくとも部分的に覆われ得る。実装形態では、ラベル1144aは、ワイヤレストランスポンダが存在しない状態で、プラットフォーム1150の外面に貼り付けることができる。ラベル1144aは後に、例えば、接着剤バッキングを有するキャリア又は接着剤、例えば、エポキシを使用して取り付け可能なキャリア上に形成された回路等の、取り付け可能なワイヤレストランスポンダ回路によって少なくとも部分的に覆われ得る。エポキシは第一ワイヤレストランスポンダ1108aを封入してもよく、又はプラットフォーム1150とエポキシとの組合せは第一ワイヤレストランスポンダ1108aを封入して、それにしっかりと取り付けて環境保護を提供してもよい。代替的に、第一ワイヤレストランスポンダ1108aは、プラットフォーム1150自体の一部分に成形又は封入されてもよい。
【0033】
いくつかの実装形態では、第二ワイヤレストランスポンダ1108bはジャケット1107の側面に固定されることができる。第二ワイヤレストランスポンダ1108bは、第一ワイヤレストランスポンダ1108aを参照して上記の教示のいずれかを介してジャケット1107に固定されることができる。
【0034】
図2~
図6を参照すると、本明細書に記載の試料容器200,250,300,1100の各々の特徴は、本明細書に記載の試料容器200,250,300,1100の他の任意の特徴と組み合わせることができる。例えば、試料容器300は、サーマルマス252、ジャケット1107、又はサーマルマス252とジャケット1107の両方を含むことができる。
【0035】
図7を参照すると、試料容器300(1つだけ示される)は極低温保管システム100の保管カセット302に配列されてもよく、例えば、2次元配列(例えば、7×7、10×10、8×12、14×14)に配列されてもよい。保管カセット302は試料を回収するために取り外しが必要とされる短時間を除いて、極低温フリーザー内に留まるように設計されてもよい。
【0036】
図7~
図10を参照すると、保管カセット302は少なくとも1つの実装形態によれば、試料容器300のアレイ、例えば、49個の別個の試料容器300のために極低温条件を維持する。図示の実施形態に示すように、保管カセット302は、上部314、底部316及び少なくとも1つの側壁318を有するバルク容器312を含むことができる。底部316は、内向き表面(又は、内側対向面)320及び外向き表面(又は、外側対向面)322を有することができる。少なくとも1つの側壁318は、内向き表面324及び外向き表面326を有することができる。
【0037】
バルク容器312は、少なくとも1つの側壁318に形成された少なくとも1つの第一アパーチャ(又は、穴)327を含むことができる。バルク容器312は、少なくとも1つの側壁318に第二アパーチャ329をさらに含むことができ、例えば、第一アパーチャ327がバルク容器312の横寸法を越えて第二アパーチャ329に対向するようにすることができる。図示の実施形態に示すように、バルク容器312は、少なくとも1つの側壁318に第三アパーチャ331をさらに含むことができ、例えば、第三アパーチャ331が第二アパーチャ329に隣接し、第二アパーチャ329と同じ少なくとも1つの側壁318によって形成されるようにすることができる。
【0038】
底部316の内向き表面320及び少なくとも1つの側壁318の内向き表面324は、バルク容器312の内部コンパートメント(又は、内部区画)328を画定することができる。内部コンパートメント328は内部コンパートメントプロファイルを有することができ、バルク容器312は図示の実施形態に示されるように、その上部に、上部314によって形成される開口部330を有することができる。少なくとも1つの側壁318は、断熱されてもよい。
【0039】
保管カセット302は、基板334を有する熱シャント(又は、サーマルシャント/熱分路)332をさらに含むことができる。一実施形態によれば、基板334は金属を含む。図示されるように、基板334は第一主要面336と第二主要面338とを含み、第二主要面338は、基板334の厚さを横切って、第一主要面336と対向する。基板334は、基板334の厚さを貫通する複数のスルーホール(又は、貫通孔)340のアレイを有することができる。基板334のスルーホール340の各々は、試料容器300のそれぞれのバイアル304の少なくとも一部分を受け入れるような形状及びサイズであり得る。
【0040】
図示のように、基板334は、バルク容器312の内部コンパートメント328内にぴったりと(又は、密接に)受容可能であり得る。熱シャント332は、熱シャント332がバルク容器312の内部コンパートメント328内に正確に配置されることを確実にするために非対称である外側プロファイルを有することができる。熱シャント332は様々な材料のうちのいずれかで作製することができ、好ましくは、保管カセット302に保管される材料と比較して比較的大きなサーマルマスを有する。熱シャント332に適した材料は例えば、非鉄金属のスラブ、又は金属含浸ポリマーであって、その場合金属が非鉄金属であるか、又は金属がそれを通る電流の形成を防止又は遅延させるのに十分に小さく不連続である小片、粒子又はストランドの形態であるものを含むことができる。少なくともいくつかの実装形態では、熱シャント332がアルミニウムのプレート、スラブ又はスラグの形態をとる。
【0041】
保管カセット302はバルク容器312の内部コンパートメント328に密接に受容可能な断熱材料342をさらに含むことができ、断熱材料342は、そこを通って延在する複数のスルーホール344のアレイを有することができる。断熱材料342は、熱シャント332から保管カセット302の外部環境への(伝導、対流、又はその両方を介した)熱伝達を低減する。
【0042】
一実施形態によれば、断熱材料342のスルーホール344の各々は、試料容器300のそれぞれのバイアル304の少なくとも一部分を受容するような形状及びサイズであり得る。一実施形態によれば、断熱材料342は、第一部分346及び第二部分348を含むことができる。図示されるように、第一部分346及び第二部分348は例えば、1つ又は複数の締結具350を用いて、互いに固定可能であり得る。
【0043】
断熱材料342及び熱シャント332は断熱材料342のスルーホール344のそれぞれが、熱シャント332のスルーホール340のそれぞれと軸方向に位置合わせされるように、バルク容器312の内部コンパートメント328内に積み重ねられてもよい。スルーホール340及び344は一致する形状を有してもよく、あるいはスルーホール340がスルーホール344とは異なる形状を有してもよい。スルーホール340、スルーホール344、又はスルーホール340及び344の両方は、円形であり得る。スルーホール340、スルーホール344、又はスルーホール340及び344の両方は、角が丸みを帯びた正方形であり得る。
【0044】
バルク容器312は、底部316の内向き表面320から内部コンパートメント328内に上方に延在するいくつかのセットオフ(又は、段壁)352を含むことができる。図示の実施形態に示されるように、セットオフ352は熱シャント332がバルク容器312の底部316の内向き表面320から離間されるように、熱シャント332を支持するように配置されてもよい。
【0045】
保管カセット302は試料容器300の一部分、例えばワイヤレストランスポンダ308が底部316の外向き表面322の規定された距離17内にあるように、底部316、熱シャント322、断熱材料342、セットオフ352、又はそれらの任意の組合せの厚さを含むことができる。一実施形態によれば、試料容器300は内向き表面320によって直接支持され(すなわち、直接接触し)て、規定された距離17がバルク容器312の底部316の厚さに試料容器300の底部の厚さを加えたものに等しいようにすることができる。
【0046】
保管カセット302は試料容器300内の試料317が熱シャント332によって囲まれ、熱シャントが上方にペーシング(又は、離間)され、ワイヤレストランスポンダ308から離れるように、熱シャント322、セットオフ352、又はその両方の厚さを含むことができる。
【0047】
バルク容器312は、バルク容器312の内部コンパートメント328への低温流体の出入りを可能にする少なくとも1つのアパーチャ353を含むことができる。示されるように、少なくとも1つのアパーチャ353は、バルク容器312の底部316に形成されてもよい。セットオフ352は熱シャント332を上方に、かつ底部316から離れるように配置することができ、それによって、少なくとも1つのアパーチャ353を通る低温流体の流れの改善を提供する。
【0048】
図11を参照すると、極低温保管システム100は、試料トランスポーター380を含むことができる。試料トランスポーター380は
図7~
図10を参照して説明したように、保管カセット302と同様であり、その結果、保管カセット302の説明のいずれも、以下で言及する相違点を除いて、試料トランスポーター380に適用可能である。
【0049】
保管カセット302として極低温保管タンク又はフリーザー102内に保管される複数の試料容器を運ぶのではなく、試料トランスポーター380は例えば採取後又は移植前に、極低温保管タンク又はフリーザー102へ又はそこから輸送されるときに、試料容器のうちの1つ又は複数を保持することができる。図示のように、試料トランスポーター380は、開口部330を封止する(又は、密閉する/シールする)ためのカバー382を含むことができる。少なくとも1つの側壁318は任意のアパーチャ、例えば、第一、第二及び第三アパーチャ327,329及び331を欠くことができ、底部316は任意のアパーチャ、例えば、少なくとも1つのアパーチャ353を欠くことができ、その結果、カバー382が開口部330を封止するとき、内部コンパートメント328は、外部環境から完全に封止される。したがって、試料トランスポーター380の内部コンパートメント328は、ある量の低温流体で充填され、次いで、その中に収容された任意の試料容器のための許容可能な温度を維持するように封止されることができる。試料トランスポーター380は外部環境から封止されたときに内部コンパートメント328の熱安定性を保証するために、二重層の壁を含み得る。カバー382はバルク容器312に恒久的に、例えば旋回可能に取り付けられてもよい。カバー382はカバー382が閉じられ、開口部330を封止するとき、内部コンパートメント328に可視性を提供する透明部分384を含むことができる。
【0050】
試料トランスポーター380は、内部コンパートメント328の底部から内部コンパートメント328の上部に冷たい空気を移送して、内部コンパートメント328全体にわたって均一な温度を維持する熱シャントをさらに含むことができる。
【0051】
図7~
図16を参照すると、保管カセット302は、例えば第一アパーチャ327を介してバルク容器312に取り外し可能に結合可能なハンドル354を含むことができる。
図11~
図13に示されるように、ハンドル354は、保管カセット302を操作するために使用されることができる。一実施形態によれば、ハンドル354は、保管カセット302と係合するヘッド部分355を含む。図示のように、ヘッド部分355はアパーチャ327を通して挿入可能なフランジ357を含み、ハンドル354を保管カセット302に解放可能に結合する。ハンドル354はハンドル354の移動を介して保管カセット302の操作を容易にするために、操作者(又は、オペレーター)の手に保持されるように寸法決めされたグリップ359を含む。
【0052】
ヘッド部分355及びグリップ359は、互いに解放可能に結合可能な別個の部品を含むことができる。グリップ359は、操作者の手とハンドル354との間の摩擦を改善する表面、例えばテクスチャ加工された表面を有する取り外し可能なシース361を含むことができる。
【0053】
図14~
図16に示すように、試料トランスポーター380はバルク容器312に永久的に、例えば旋回可能に結合されたハンドル356を含むことができる。
【0054】
保管カセット302は極低温保管タンク又はフリーザー102内に、垂直スタック、ラックとも呼ばれる垂直スタック内に保管することができる。保管カセット302のスタック又はラックは、極低温保管タンク又はフリーザー102の中心軸を中心として極低温保管タンク又はフリーザー102内に環状に配列されてもよい。極低温保管タンク又はフリーザー102はその内部にターンテーブル又はコンベヤを含むことができ、その上に保管カセット302のスタック又はラックが運ばれる。これは、保管カセット302のそれぞれのスタック又はラックが配置又は取り出しのために極低温フリーザーの開口部116と位置合わせされることを可能にする。
【0055】
極低温保管タンク又はフリーザー102は開口部116と、開口部116を選択的に開閉するドア又はカバー118とを含むことができ、それぞれ、その外部からの極低温保管タンク又はフリーザー102の内部へのアクセスを提供し、アクセスを防止し、さらに、極低温保管タンク又はフリーザー102の内部の極低温温度を維持するために、外部から内部を封止、例えば密閉するように封止する。
【0056】
保管カセット302のスタック又はラックは、極低温で貯蔵するために極低温保管タンク又はフリーザー102の内部に選択的に配置され、開口部116を介して使用するために極低温保管タンク又はフリーザー102の内部から取り出されてもよい。いくつかの実装形態では、保管カセット302が必要に応じて極低温保管タンク又はフリーザー102から手動で取り出され、極低温で試料容器300内に試料を保管するために極低温保管タンク又はフリーザー102内に手動で配置される。
【0057】
他の実装形態では、極低温保管システム100が必要なときに、極低温保管タンク又はフリーザー102から保管カセット302のスタック又はラックのうちの選択されたスタック又はラックを自動的に取り出し、極低温温度で試料容器300内に試料を保管するために、試料容器300とともに保管カセット302を極低温保管タンク又はフリーザー102に自動的に配置するためのピッカー又はエレベーター120を含む。極低温保管タンク又はフリーザー102の保管及び回収機構(例えば、ターンテーブル、ピッカー又はエレベーター)は人間の動きを自動的に再現することができ、したがって、ロボット又はロボットシステムと呼ばれる。手動で動かすか、自動的に動かすかにかかわらず、通常、約マイナス190℃よりも高い温度(例えば、周囲室温又は約23℃)への試料の曝露を最小限に抑えることが重要である。
【0058】
図15~
図19を参照すると、ワークステーション104は試料容器、例えば、試料容器300の極低温保管タンク又はフリーザー102への、及びそこからの移送を容易にするプラットフォーム122を含むことができる。例えば、プラットフォーム122は1つ又は複数の試料容器300を、試料トランスポーター380等の密封内部コンパートメントを有する容器から、保管カセット、例えば、保管カセット302等の開放内部コンパートメントを有する保管カセットへ、又はその逆の移送を容易にすることができる。一実施形態によれば、プラットフォーム122を含むワークステーション104は従来の市販の極低温自動保管システム(例えば、Brooks Life Sciencesによって販売されているBistore III Cryo -190℃システム)とインターフェースすることができる。
【0059】
図示の実施形態に示すように、プラットフォーム122は、前部124、後部126、作業面128、及び少なくとも1つのウェル(又は、くぼみ)130を含むことができる。少なくとも1つのウェル130は図示のように、作業面128内に凹んでいてもよい。少なくとも1つのウェル130は、底部132と、底部132から上方に延在する少なくとも1つの側壁134とを含む。ワークステーション104は、プラットフォーム122の少なくとも1つのウェル130によって取り外し可能に受け入れ可能な少なくとも1つの第一バケット(又は、容器)136を含むことができる。第一バケット136は、底部138と、上部(又は、頂部)140と、底部138から上部140まで延在する少なくとも1つの側壁142と、上部140に開口部144とを含むことができる。開口部144は、試料容器、例えば試料容器300のアレイをその中に保持するカセット又はキャリア、例えば保管カセット302及び/又は試料トランスポーター380のうちの少なくとも1つを少なくとも部分的にその中に受け入れるように寸法決めされてもよい。
【0060】
第一バケット136は、少なくとも1つの側壁142に結合されたハンドル145を含むことができる。ハンドル145は、ハンドル145が展開位置と非展開位置との間で旋回するように旋回可能に連結されてもよい。第一バケット136は、展開位置でのハンドル145の回転を制限する少なくとも1つの停止部(又は、ストップ/ストッパ)147を含むことができる。第一バケット136は、非展開位置でのハンドル145の回転を制限する少なくとも1つの停止部149を含むことができる。代替的に、ハンドル145が例えば、第一バケット136とモノリシックに固定されてもよい。
【0061】
図18に示される一実施形態によれば、ワークステーション104は、プラットフォーム122の少なくとも1つのウェル130によって同時に取り外し可能に受け入れ可能な第一バケット136及び第二バケット146を含むことができる。第一バケット136及び第二バケット146は、同一であってもよく、保管カセット302及び試料トランスポーター380の両方を(それぞれ1つずつ)受容することが可能であってもよい。代替的に第一バケット136及び第二バケット146が異なる構造を有することができ、その結果、第一バケット136は保管カセット302に対応する特徴を含み、第二バケット146は試料トランスポーター380に対応する特徴を含む。
図19に示されるように、第一バケット136は、保管カセット302のうちの1つ及び試料トランスポーター380のうちの1つ等の複数の保管カセットを同時に受容するようにサイズ決定されることができる。
【0062】
ワークステーション104は、少なくとも1つのウェル130の底部132の下に配置された少なくとも1つのアンテナアレイ150を含むことができる。一実施形態によれば、少なくとも1つのウェル130の底部132は、アンテナ150の少なくとも1つのアレイを担持するプリント回路基板152を受容するエンクロージャ154を含む。代替的に、アンテナの少なくとも1つのアレイ150が少なくとも1つのウェル130の下に取り付けられて、アンテナの少なくとも1つのアレイ150が周囲環境からアクセス可能であり、ウェル132の底部132がエンクロージャ154を欠いているようにしてもよい。代替的に、エンクロージャ154が少なくとも1つのウェル130の底部132の一部ではなく、少なくとも1つのウェル130の底部132に取り付け可能であり得る。
【0063】
ワークステーションはリーダ(又は、読取機)を含むことができ、リーダは少なくとも1つのアンテナアレイ150を含み、その結果、リーダはワイヤレストランスポンダ、例えば、試料容器300(
図4に示される)のそれぞれにタグ付けするために使用される受動無線周波数識別(RFID)トランスポンダの無線質問を実行することができる。リーダはワイヤレストランスポンダ308によって格納された一意の(又は、固有の)識別子を介して試料容器300を個々に識別し、試料容器300の配置内の試料容器300のそれぞれの位置を特定することができる。
【0064】
リーダは、ウェル130の底部132等、ワークステーション104の表面の下に配置された少なくとも1つのアンテナボードを含むことができる。少なくとも1つのアンテナボードはスパイラルアンテナの2次元アレイ、例えば、スパイラルアンテナの9×9(9x9)アレイ(図示せず)までを担持する少なくとも1つのプリント回路基板を含むことができる。
【0065】
図示のように、アンテナの少なくとも1つのアレイ150は、アンテナ150の第一二次元アレイ156と、アンテナ150の第二二次元アレイ158を含むことができる。アンテナボードは、第一二次元アレイ156を担持する第一プリント回路基板と、第二二次元アレイ158を担持する第二プリント回路基板を含むことができる。アンテナの第一及び第二アレイ156,158のレイアウト、ならびにワークステーション104の構成要素の機械的なアライメント(又は、整列)の特徴(以下で詳細に論じる)のおかげで、第一及び第二二次元アレイ156,158内のスパイラルアンテナの各々はワークステーション104が以下で説明するように使用されるときに、それぞれの試料容器300が配置されることができるそれぞれの位置と整列するように位置決めされる。リーダはアンテナ150を介した問い合わせ信号(質問信号)の送信を引き起こし、問い合わせ信号に応答してワイヤレストランスポンダ308によって返された応答信号から一意の識別子を復号する少なくとも1つの無線機(又はラジオ)を含むことができる。
【0066】
図20を参照すると、試料容器300を支持する保管カセット302又はキャリアが第一バケット136内に位置決めされ、第一バケット136が少なくとも1つのウェル130内に位置決めされるとき、少なくとも1つのアンテナアレイ150(1つのみが示されている)は、試料容器300の遠位端、例えばワイヤレストランスポンダ308(1つのみが示されている)の規定された垂直距離160内にあるように位置決めされ得る。ワークステーション104は、バルク容器312の底部316、熱シャント332、任意の支持機構(セットオフ352等)、断熱材料342、又はそれらの任意の組合せの厚さを含むことができ、試料容器300の底部、例えばワイヤレストランスポンダ308がアンテナ150のそれぞれの1つの規定された垂直距離160内にあるように、試料容器300を長手方向に位置決めする。一実施形態によれば、規定された垂直距離160は、20mm未満である。
【0067】
図15~
図17を参照すると、作業面128は、平面部162と、作業面128の周囲166の少なくとも一部分の周りで平面部162から上方に延在する周壁164とを含むことができる。周壁164の一部、例えばプラットフォーム122の後部126には、プラットフォーム122の後部126からプラットフォーム122の前部124に向かって下方に傾斜する傾斜面168を含むことができる。図示の実施形態に示すように、作業面128は、開口部116から少なくとも1つのウェル130への経路を提供することができる。例えば、保管カセット302は開口部116を通って極低温保管タンク又はフリーザー102を出て、次いで、傾斜面168を下方にスライドし、平面部162を横切って少なくとも1つのウェル130まで移動し、次いで、少なくとも1つのウェル130内に少なくとも部分的に配置されてもよい。
【0068】
作業面128は、第一開口部170を含むことができる。第一開口部170は、少なくとも1つのウェル130への入口として機能することができる。作業面128は、固定平面部172及びフレーム174を含むことができる。フレーム174は固定平面部172から選択的に取り外し可能であり、少なくとも1つのウェル130の内部を露出させることができる。フレーム174は1つ又は複数の開口部176、例えば、第一開口部176a及び第二開口部176bを含むことができ、それぞれ、作業面128を通って少なくとも1つのウェル130内へのアクセスを提供する。
【0069】
図示のように、第一バケット136及び第二バケット146は、フレーム174が固定平面部172から取り外された状態で、少なくとも1つの開口部170を通る通路を介して、少なくとも1つのウェル130内に配置されることができる。第一バケット136及び第二バケット146が少なくとも1つのウェル130内の所定の位置にある状態で、フレーム174は、第一開口部170の少なくとも一部分がふさがれるように固定平面部172に隣接して位置決めされることができ、それによって、少なくとも1つのウェル130からの第一バケット136及び第二バケット146の取り出しを防止する。次に、第一容器、例えば、保管カセット302を、第一開口部176aを通る通路を介して第一バケット136内に配置することができ、第二容器、例えば、試料トランスポーター380を、第二開口部176bを通る通路を介して第二バケット146内に配置することができる。
【0070】
図21を参照すると、作業面128は、第一開口部170及び第二開口部171を含むことができる。第一開口部170及び第二開口部171は作業面128の固定平面部172に形成されることができ、作業面128はフレーム174(
図17に示される)を欠いていてもよい。作業面128の第二開口部171は図示のように、作業面128の第一開口部170とは別個であり得る。第一開口部170は第一バケット136の外周部をぴったりと受け入れるように寸法決めされてもよく、第二開口部171は第二バケット146の外周部をぴったりと受け入れるように寸法決めされてもよい。第一バケット136、第二バケット146、又はその両方は注ぎ口178を含んでもよく、第一開口部170、第二開口部171、又はその両方は注ぎ口178の形状に対応するように成形されてもよい。
【0071】
図示のように、第一バケット136は第一開口部170を通る通路を介して少なくとも1つのウェル130のうちの第一ウェル内に配置されてもよく、第二バケット146は第二開口部171を通る通路を介して少なくとも1つのウェル130のうちの第二ウェル内に配置されてもよい。第一バケット136は、第一バケット136の上部180が作業面128と同一平面上にある(又は、同一高さである)ように第一開口部170に着座することができ、第二バケット146は、第二バケット146の上部182が作業面128と同一平面上にあるように第二開口部171に着座することができる。
【0072】
周壁164は、それぞれがプラットフォーム122の前部124に配置された第一開口部184、第二開口部186、又はその両方を有することができる。第一開口部184及び第二開口部186のそれぞれは、それぞれのハンドル145が非展開位置にそれぞれ旋回した状態で、第一バケット136及び第二バケット146のそれぞれ1つが少なくとも1つのウェル130のそれぞれ1つに受容されたときに、第一バケット136及び第二バケット146のそれぞれ1つのハンドル145を収容するように寸法決めされてもよい。
【0073】
第一バケット136及び第二バケット146が少なくとも1つのウェル130のそれぞれの1つの中の所定の位置にある状態で、第一容器、例えば、保管カセット302は第一開口部170を通る通路を介して第一バケット136内に配置することができ、第二容器、例えば、試料トランスポーター380は、第二開口部171を通る通路を介して第二バケット146内に配置することができる。
【0074】
図22~
図34を参照すると、ワークステーション104は試料容器300の各々のワイヤレストランスポンダ308がアンテナ150のそれぞれ1つによって読み取り可能であるように、1つ又は複数のアンテナアレイ150に対する試料容器300の位置決めを容易にする1つ又は複数のアライメント構造を含むことができる。
【0075】
図22及び
図23を参照すると、エンクロージャ154の外側(又は上部)表面188、及び少なくとも1つのウェル130の底部132の外側(又は底部)対向面192は、対応するアライメント構造を含み得る。アライメント構造は、最大6自由度の少なくとも1自由度で沿った少なくとも1つのウェル130と第一バケット136との間の、相対移動を防止するようなサイズ及び形状であり得る。例えば、底部132及び外向き表面188は、T字形の突起と凹部などの、突起194と凹部196とを含むことができる。
【0076】
図24~
図29を参照すると、少なくとも1つのウェル130は、第一バケット136、第二バケット146、又はその両方のアライメント構造に対応するアライメント構造を含むことができる。示されるように、ウェル130の底部132は例えば、隆起バンプ(又は、隆起部)の形態の突出部460を含むことができ、第一バケット136の底部138は、この突出部460を受容し、それによって、少なくとも1つのウェル130と第一バケット136とを整列させる、対応する凹部462を含むことができる。少なくとも1つのウェル130がアンテナの少なくとも1つのアレイ150とすでに整列している場合、突出部460を受容する凹部462は、第一バケット136とアンテナの少なくとも1つのアレイ150とを整列させる。突出部460及び凹部462は、突出部460及び凹部462が第一バケット136に対して保管カセット302を整列させ、それによって保管カセット302(及び内部の任意の試料容器)を少なくとも1つのアンテナアレイ150と整列させるように配置されることができる。
【0077】
図24及び
図25に示すように、アライメント構造は、単一の突出部460と、単一の対応する凹部462とを含むことができる。突出部460及び凹部462は、第一バケット136の底部138の平面部分によって囲まれた「島」を形成し得る。
図26及び
図27に示すように、突出部460及び凹部462は底部138の縁部から内向きに延在する「半島」を形成することができ、突出部460及び凹部462の残りの側部は、第一バケット136の底部138の平面部分によって囲まれる。
図28及び
図29に示すように、アライメント構造は、複数の突出部460と、対応する複数の凹部462とを含むことができる。突出部460及び凹部462は例えば、複数の突起及び凹部がT字形を形成するように、複数の「島」を形成してもよい。
【0078】
図18~
図19及び
図30~
図31を参照すると、第一バケット136、第二バケット146、又はその両方は、保管カセット302、試料トランスポーター380、又はその両方のアライメント構造に対応するアライメント構造を含むことができる。図示のように、少なくとも1つの側壁142はテーパ状であり、底部138から上向きに延在することができ、その結果、少なくとも1つの側壁142と底部138との交差部が保管カセット302、試料トランスポーター380、又はその両方の外周の形状に対応する形状を形成する。
【0079】
図18及び
図19に示されるように、第一バケット136、第二バケット146、又はその両方のアライメント構造は、底部138から上方に延在する突出部198を含み得る。突出部198は、少なくとも1つの側壁142と底部138との交差部と協働して、保管カセット302、試料トランスポーター380、又はその両方の外周の形状に対応する形状を形成する。図示の実施形態に示されるように、保管カセット302及び試料トランスポーター380は、突出部198に対応する凹部を欠いていてもよい。
【0080】
図30及び
図31に示されるように、第一バケット136、第二バケット146、又はその両方のアライメント構造は、底部138から上方に延在する突出部198(
図18及び
図19に示される)を欠いてもよい。代わりに、第一バケット136は、底部138における当接を欠く方向への保管カセット302の移動を阻止するように成形されてもよい。例えば、第一バケットは、底部138における当接を欠く方向への保管カセット302の移動を阻止するテーパ部199を含むことができる。
【0081】
図32~
図34を参照すると、少なくとも1つのウェル130は、アライメント構造の一部としてレール220を含むことができる。レール220は図示のように、少なくとも1つのウェル130内に配置することができる。レール220は、第一バケット136のハンドル145の一部に対応する少なくとも1つのノッチ(又は、窪み)222を含むことができる。ハンドル145の一部がノッチ222内に受容されるとき、第一バケット136及びその中に収容される任意の保管カセットは例えば、第一方向L、第二方向A(第一方向Lに垂直)、及び第三方向T(第一方向Lと第二方向Aの両方に垂直)に整列された、アンテナのアレイ150と整列されることができる。
【0082】
ハンドル145の一部がノッチ222内に受容されるとき、第一バケット136は第一バケット136の底部138が少なくとも1つのウェル130の底部132と接触し、第一バケット136の少なくとも1つの側壁142と少なくとも1つのウェル130の少なくとも1つの側壁134との間に接触がないように、少なくとも1つのウェル130に対して位置決めされることができる。代替的に、ハンドル145の一部が、第一バケット136の底部138と少なくとも1つのウェル130の底部132との間に接触がなく、第一バケット136の少なくとも1つの側壁142と少なくとも1つのウェル130の少なくとも1つの側壁134との間に接触がないように、ノッチ222内に受容されてもよい。
【0083】
図32及び33を参照すると、少なくとも1つのウェル130の少なくとも1つの側壁134は、アライメント構造、例えば少なくとも1つの側壁142の一部分、例えば注ぎ口226に形状が対応するノッチ224を含むことができる。注ぎ口226がノッチ224内に受容されるとき、第一バケット136、及びその中に含まれる任意の保管カセットは例えば、第一方向L、第二方向A及び第三方向Tに整列された、アンテナのアレイ150と整列されることができる。
【0084】
注ぎ口226がノッチ224内に受容されるとき、第一バケット136は第一バケット136の底部138が少なくとも1つのウェル130の底部132と接触し、第一バケット136の少なくとも1つの側壁142と少なくとも1つのウェル130の少なくとも1つの側壁134との間に、注ぎ口226及びノッチ224の他に追加の接触がないように、少なくとも1つのウェル130に対して位置決めされることができる。注ぎ口226がノッチ224内に受容されるとき、第一バケット136は第一バケット136の底部138が少なくとも1つのウェル130の底部132と接触し、第一バケット136の少なくとも1つの側壁142の一部、例えば第一方向Lに対して注ぎ口226の反対側の部分が少なくとも1つのウェル130の少なくとも1つの側壁134の一部、例えば第一方向Lに対してノッチ224の反対側の部分と接触するように、少なくとも1つのウェル130に対して位置決めされることができる。少なくとも1つの側壁142及び少なくとも1つの側壁134の他の部分は間隙228によって離間されることができる。
【0085】
アライメント構造は、上述のアライメント構造のいずれかの組み合わせを含み得る。例えば、少なくとも1つのウェル130はノッチ224及び突出部460、例えばT字形の「半島」突起を含んでもよく、第一バケット136は注ぎ口226及び凹部462、例えばT字形の「半島」凹部を含んでもよい。
【0086】
図37~
図39を参照すると、極低温保管システム100は、ワイヤレストランスポンダ208,308を登録するレジストレーション(又は、登録)トレイ700を含むことができる。レジストレーションプロセス中に、ワイヤレストランスポンダ208,308(及びワイヤレストランスポンダ208,308が取り付けられるそれぞれの試料ホルダー200,300,400)のうちの1つ又は複数は、患者及びその生物学的試料と関連付けられ得る。レジストレーショントレイ700は、ハウジング702及びプリント回路基板アセンブリ704を含む。
【0087】
ハウジング702は、試料容器200,300,400のうちの1つを受け入れるように寸法決めされたレジストレーション凹部706を形成する。ハウジング702はプリント回路基板アセンブリ704を取り囲み、その結果、プリント回路基板アセンブリ704は、レジストレーション凹部706内に配置された試料容器200,300,400のワイヤレストランスポンダ208,308を識別するように配置される。
【0088】
ハウジング702は、試料ホルダー200,300,400がレジストレーションされた(又は、登録された)後、試料容器200,300,400のうちの1つをそれぞれ保持する1つ又は複数の格納凹部708を形成することができる。格納凹部708はレジストレーション凹部706内に配置された試料容器200,300,400のレジストレーションを妨げないように、プリント回路基板アセンブリ704に対して配置される。これにより、試料容器200,300,400のうちの1つ又は2つ以上が、レジストレーション及び1人の患者との関連付けの間、オーガナイズされた(又は、整理された)ままであることが可能になる。
【0089】
レジストレーショントレイ700は、レジストレーションプロセスに関連する情報を視覚的に表示するインジケータ710を含むことができる。例えば、インジケータ710は、例えばレジストレーション凹部706の周囲に配置されたライト(光)リングを含むことができる。ライトリングは、レジストレーションプロセスの異なる段階を表す複数の状態を有することができる。ライトリングは試料容器がレジストレーション凹部706内に配置されているが、試料容器がまだレジストされておらず、患者に関連付けられていないときに、第一色を表示することができる。ライトリングは試料容器がレジストレーション凹部706内に配置され、試料容器がレジストされ、患者に関連付けられたときに、第二色を表示することができる。
【0090】
レジストレーショントレイ700は試料容器の組み立て、レジストレーション、又はその両方の前に試料容器の一部を保持するために、ハウジング702に形成された1つ又は複数の窪み(又は、凹部)712を含むことができる。レジストレーショントレイ700は、例えばUSBを介して、レジストレーションプロセスを支援するプロセッサに通信可能に結合することができる。
【0091】
図40~
図46を参照して、極低温保管システム100を設置する方法を説明する。
図40に示すように、極低温保管システム100を設置する方法は、ベースフレーム(又は、基部フレーム)800を極低温保管タンク又はフリーザー102に隣接して配置することを含むことができる。ベースフレーム800は、ベースフレーム800を水平にするように調整可能な1つ又は複数の脚部(又は、足)802を含むことができる。ベースフレーム800は例えば、ボルト、ねじ、リベット等のコネクター、又は溶着等の他の手段を使用して、極低温保管タンク又はフリーザー102に対して固定されてもよい。
【0092】
例えば、極低温保管タンク又はフリーザー102は、極低温保管タンク又はフリーザー102の外面に取り付けられた第一ブラケット805aを含むことができる。ワークステーション104、例えばベースフレーム800は、第二ブラケット805bを含むことができる。極低温保管システム100はワークステーション104を極低温保管タンク又はフリーザー102に解放可能に固定するために、第一ブラケット805a及び第二ブラケット805bによって受容可能な接続ピン807を含むことができる。一実施形態によれば、第一ブラケット805a及び第二ブラケット805b内に受容されたときに、接続ピン807が、極低温保管システム100を設置する方法の間の任意の段階(又は、ステップ)で、第一ブラケット805a及び第二ブラケット805bから挿入可能かつ取り外し可能であるように、第一ブラケット805a、第二ブラケット805b及び接続ピン807が配置される。
【0093】
極低温保管システム100は、第一ブラケット805a、第二ブラケット805b及び接続ピン807の複数のセットを含むことができる。一実施形態によれば、極低温保管システム100は、第一ブラケット805a、第二ブラケット805b及び接続ピン807の各々を2つ含むことができる。一実施形態によれば、極低温保管システム100は、第一ブラケット805a、第二ブラケット805b及び接続ピン807の各々を4つ含むことができる。
【0094】
したがって、ベースフレーム800は極低温保管タンク又はフリーザー102に結合されることができ、次いで、ワークステーション104の残りの部分は以下に説明されるように組み立てられ得る。加えて、ワークステーション104は、極低温保管タンク又はフリーザー102から離れている間に組み立てられてもよく、次いで、組み立てられたワークステーション104は例えば、第一ブラケット805a、第二ブラケット805b及び接続ピン807を介して、極低温保管タンク又はフリーザー102に固定されてもよい。さらに、完全に組み立てられたワークステーション104は、1つの極低温保管タンク又はフリーザー102から取り外され、別の極低温保管タンク又はフリーザー102に固定されてもよい。
【0095】
図41に示すように、本方法は、コンソールフレーム804をベースフレーム800に結合することを含むことができる。コンソールフレーム804は、ウェル130を含み得る。
図42に示されるように、本方法は第一開口部176a及び第二開口部176bがそれぞれ、作業面128を通って少なくとも1つのウェル130内へのアクセスを提供するように、プラットフォーム122をコンソールフレーム804に固定することを含むことができる。ディスプレイ128は、プラットフォーム122に固定されることができる。
【0096】
図43に示されるように、ベースプラットフォーム806はベースプラットフォーム806上に立っているオペレータがプラットフォーム122にアクセスできるように、フレーム800に結合されることができる。ベースプラットフォーム806は、ベースプラットフォーム806を水平にするように調整可能な1つ又は複数の脚部808を含むことができる。
図44に示されるように、ベースプラットフォーム806は、プラットフォーム122にアクセスするオペレータを支持するフロア(又は、床)810を含むことができる。1つ又は複数のガイドレール812はオペレータがベースプラットフォーム806から転落するのを防止するために、ベースプラットフォーム806に固定されてもよい。
図45に示すように、ステップ814をベースプラットフォーム806に結合することができる。
図46に示されるように、サイドスカート816は、ベースプラットフォーム806に結合されて、脚部808を取り囲むことができる。
【0097】
図1~
図40を参照すると、アンテナ150の少なくとも1つのアレイは、それぞれの試料容器300、保管カセット302、及び/又は試料トランスポーター380に物理的に関連付けられた1つ又は複数のワイヤレストランスポンダから情報を読み取るように動作可能であり得る。本明細書で詳細に説明するように、アンテナの少なくとも1つのアレイ150は2次元アレイのアンテナと、1つ又は複数の送信機、受信機、トランシーバ(まとめて無線機)とを含むことができ、これらは、アンテナ150に、問い合わせ信号を発信させ、問い合わせ信号に応答して応答信号を受信させるように動作可能である。
【0098】
ワークステーション104は1つ又は複数の専用のユーザインターフェースコンポーネント(又は、構成要素)(例えば、タッチスクリーンディスプレイ、スピーカ、マイクロフォン)を含むことができ、又は極低温保管システム100のユーザインターフェースコンポーネント、例えばタッチスクリーンディスプレイ128を使用することができる。
【0099】
極低温保管システム100の一部は、従来の設計のものであり得る。例えば、極低温保管タンク又はフリーザー及び/又はピッカー又はエレベーターは市販の自動保管システム(例えば、Brooks Life Sciencesによって販売されているBistore III Cryo -190℃システム)の形態をとることができる。
【0100】
図47は
図1の極低温保管システム100の、又はそれとインターフェースする、プロセッサベースの移送システム122を示す。プロセッサベースの移送システム122は、試料容器300の移送を、自動であろうと手動であろうと、保管カセット302と試料トランスポーター380との間で容易にする。保管カセット302は典型的には大型で重い固定具である極低温フリーザー(例えば、タンク又はデュワー)内での長期保管のために設計されることができる。試料トランスポーター380は、持ち運び可能な形式で一時的に保管するように設計されることができる。
【0101】
好適な保管カセット302、極低温で極低温材料を一時的に維持することができる試料トランスポーター380並びにそれと共に使用するための試料容器200としてのウェルの例は、2019年9月13日に出願された米国特許出願第62/900,281号、2019年7月31日に出願された米国特許出願第62/880,786号、2019年7月26日に出願された米国特許出願第62/879,160号、2018年10月5日に出願された米国特許出願第62/741,986号、及び2018年10月5日に出願された米国特許出願第62/741,998号に記載されている。
【0102】
プロセッサベースの移送システム122は、1つ又は複数のリーダ400a~400e(5つが示され、まとめて400)、制御サブシステム402、及びユーザインターフェースシステム404を含む。プロセッサベースの移送システム122は任意選択で、1つ又は複数のロボット、例えば、極低温保管システム100のピッカー又はエレベーター120(
図1)とインターフェースする1つ又は複数の共同ロボット(又は、補助ロボット/コ-ロボット)405(1つのみ図示)を含む。
【0103】
リーダ400は、様々な形態のいずれかをとることができる。例えば、プロセッサベースの移送システム122は、試料容器300及び/又は保管カセット302及び/又は試料トランスポーター380に物理的に関連付けられたワイヤレストランスポンダ208,308に記憶された情報をワイヤレスで読み取る1つ又は複数のリーダ400a~400dを含む。そのようなリーダ400a~400dは、各々、本明細書では総称的に又は個別に無線機として言及される1つ又は複数の送信機、受信機又はトランシーバを含む。そのようなリーダ400はそれぞれ、それぞれの無線機に通信可能に結合され、ワイヤレス信号(例えば、問い合わせ信号)を発信するように、及び/又はワイヤレストランスポンダ208,308から返信されたワイヤレス信号(例えば、応答信号)を受信するように動作可能な、1つ又は複数のアンテナ401a~401d(図面の混乱を防止するためそれぞれについて1つのアンテナのみ示す)を含む。ワイヤレス信号は、典型的には電磁スペクトルの無線周波数帯域内又はマイクロ波周波数帯域内にある。
【0104】
また、例えば、1つ又は複数のリーダ400(すなわち、機械可読記号(又は、シンボル)リーダ又はスキャナ)は試料容器200,300、保管カセット302及び試料トランスポーター380によって担持されるか、それらの上に印刷されるか、又はそれらに刻み込まれた、1つ又は複数の機械可読記号210,310(例えば、1次元又はバーコードシンボル、2次元又はエリアコードシンボル)に格納又は符号化された情報を光学的に読み取ることができる。
【0105】
リーダ400a~400eはそれぞれ、1つ又は複数のプロセッサ、たとえば、1つ又は複数のマイクロコントローラ、1つ又は複数のマイクロプロセッサ、1つ又は複数の中央処理ユニット、1つ又は複数のデジタル信号プロセッサ(DSP)、1つ又は複数のグラフィック処理ユニット(GPU)、1つ又は複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ又は複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及び/又は1つ又は複数のプログラマブルロジックコントローラ(PLC)のうちの1つ又は複数を含み得る。リーダ400a~400eはそれぞれ、1つ又は複数の非一時的記憶媒体、例えば、1つ又は複数の不揮発性記憶媒体及び/又は1つ又は複数の揮発性記憶媒体、例えば、1つ又は複数のリードオンリーメモリ(ROM)、1つ又は複数のランダムアクセスメモリ(RAM)、1つ又は複数のフラッシュメモリ、1つ又は複数の磁気ディスクドライブ、1つ又は複数の光ディスクドライブ、1つ又は複数のソリッドステートドライブ、1つ又は複数のキャッシュメモリ、及び/又は1つ又は複数のプロセッサの1つ又は複数のレジスタのうちの1つ又は複数を含み得る。
【0106】
いくつかの実装形態では、プロセッサベースの移送システム122がマッピング又はボックスリーダ(mapping or box reader)400aと、関連するアンテナ(複数可)401aと、信号試料容器リーダ400bと、関連するアンテナ(複数可)401bと、カセット識別リーダ400cと、関連するアンテナ(複数可)401cと、バルクリーダ400dと、関連するアンテナ401dとを含む。マッピング又はボックスリーダ400aはアンテナ401aの2次元アレイを含むことができ、2次元アレイの位置の走査を可能にし、これを使用して、保管カセット302及び/又は試料トランスポーター830の内容物を問い合わせ又は監査することができる。
【0107】
アンテナアレイ150は例えば、プリント回路基板152の一方の側に形成又は担持されてもよく、一方、プリント回路基板の場合、様々な電気的又は電子的構成要素(例えば、インダクタ、抵抗器、コンデンサ)は他方の側に担持されてもよく、それによって、使用中に試料容器に面する実質的に平坦な平面を提供し、それらの間の距離を最小化する(例えば、2mm以下)。信号試料容器リーダ400bは固定されていてもよく、又はより好ましくは手持ち式(又は、ハンドヘルド型)であってもよく、例えば、試料容器200,300が保管カセット202,302のうちの1つから取り外されたときに、個々の試料容器200,300のワイヤレストランスポンダ208,308から情報を読み取るように動作可能である。
【0108】
カセット識別リーダ400cのアンテナ401cは例えば、保管カセット202,302が1つ又は複数のステーションに配置されている場合に、キャリア又は保管カセット202,302と物理的に関連した(例えば、取り付けられた又はその上に固定された)ワイヤレストランスポンダ208,308からカセット識別子を読み取るように配置されている。バルクリーダ400dは例えば、手持ち式であってもよく、それぞれ、保管カセット202,302のうちの1つによって保持されるすべての試料容器200,300のそれぞれのワイヤレストランスポンダ208,308から情報を読み取るように動作可能である。
【0109】
制御サブシステム402は1つ又は複数のプロセッサ406、例えば、1つ又は複数のマイクロコントローラ、1つ又は複数のマイクロプロセッサ、1つ又は複数の中央処理ユニット、1つ又は複数のデジタル信号プロセッサ(DSP)、1つ又は複数のグラフィック処理ユニット(GPU)、1つ又は複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ又は複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及び/又は1つ又は複数のプログラマブルロジックコントローラ(PLC)のうちの1つ又は複数を含み得る。制御サブシステム402は1つ又は複数の非一時的記憶媒体、例えば、1つ又は複数の不揮発性記憶媒体及び/又は1つ又は複数の揮発性記憶媒体、例えば、1つ又は複数の読取り専用メモリ(ROM)410、1つ又は複数のランダムアクセスメモリ(RAM)412、1つ又は複数のFLASH(登録商標)メモリ、1つ又は複数の磁気ディスク414及び関連ドライブ416、1つ又は複数の光ディスクドライブ418及び関連ドライブ420、1つ又は複数のソリッドステートドライブ422、1つ又は複数のキャッシュメモリ、及び/又は1つ又は複数のプロセッサ406の1つ又は複数のレジスタのうちの1つ又は複数を含むシステムメモリ408を含み得る。制御サブシステム402はプロセッサ(複数可)を記憶媒体と通信可能に結合する1つ又は複数の通信チャネル424(たとえば、バス)を含み得る。制御サブシステム402は1つ又は複数の通信ポート、例えば、1つ又は複数の有線通信ポート426、ワイヤレス通信ポート428(例えば、Wi-Fi及び/又はBluetoothラジオ及び関連するアンテナ430;赤外線トランシーバ)を含むことができ、これらは、制御サブシステム402と外部デバイス(例えば、ピッカー又はエレベーター120を伴うか又は伴わない従来の極低温フリーザーシステムの専用制御システム)との間の通信を提供する。
【0110】
制御サブシステム402のプロセッサ(複数可)406は例えば、1つ又は複数の非一時的記憶媒体によってプロセス実行可能命令として記憶された1つ又は複数のアルゴリズムを実行するために、論理を実行するように動作可能である。適切なアルゴリズムは、本明細書に記載されている。プロセス実行可能命令は例えば、例えば、ROM410に記憶された基本入出力オペレーティングシステム(BIOS)432を含むことができる。プロセス実行可能命令は例えば、実行中にRAM412に記憶されるオペレーティングシステム(OS)434を含むことができる。プロセス実行可能命令は例えば、ユーザ情報を収集するロジックを提供し、保管カセットとキャリアカセットとの間の移送をマップし、試料容器がキャリアカセット又は保管カセット内の正しい位置にあることを検証し、そのための保管連鎖の証拠を確立する、1つ又は複数のアプリケーションプログラム436を含むことができ、アプリケーションプログラム(複数可)は例えば、動作中にRAM412に記憶される。
【0111】
プロセス実行可能命令は例えば、外部デバイスとの通信を提供し、及び/又は共同ロボット(複数可)405の動作を制御するための、1つ又は複数の他のプログラム又はモジュール438を含むことができ、これは、例えば、実行中にRAM412に記憶することができる。1つ又は複数のデータ構造440は情報、例えば、特定のユーザを識別し、特定の臨床医を識別し、特定の患者を識別し、特定の手順を識別し、特定の試料容器を識別し、特定の試料容器を特定の患者と関連付け、試料容器をそれぞれの保管カセット及び/又はキャリアカセットにマッピングする情報を記憶することができる。データ構造440は、データベース、データセット、レコード及びフィールド、テーブル、リンクリスト、ツリー、バイナリツリー等を含む様々な形態をとることができる。データ構造440は実行中に、例えば、RAM412に記憶されることができる。
【0112】
制御サブシステム402のプロセッサ406(複数可)はリーダ400a~400eから情報を受信し、任意選択でリーダ400a~400eのうちの1つ又は複数の動作を制御するように、通信可能に接続されて動作可能(例えば、有線、光、ワイヤレス又は無線で)である。制御サブシステム402のプロセッサ(複数可)406はまた、ユーザインターフェースシステム404の1つ又は複数のユーザインターフェースデバイスからユーザ入力を受信し、ユーザアウト(又は、ユーザアウトプット)を該デバイスに提供して、人間のユーザがプロセッサベースの移送システム122と対話することを可能にするように動作可能である。
【0113】
ユーザインターフェースシステム404は例えば、1つ又は複数のディスプレイスクリーン、1つ又は複数のタッチセンシティブディスプレイスクリーン442、1つ又は複数のスピーカ444、1つ又は複数のマイクロフォン446、1つ又は複数のキーボード448、1つ又は複数のポインタデバイス450(例えば、コンピュータマウス、トラックパッド、トラックボール)、1つ又は複数の触覚インターフェースのうちの1つ又は複数を含み得る。ユーザインターフェース406(複数可)は1つ又は複数の周辺インターフェース452a、452bを介してプロセッサと通信可能に結合され(たとえば、有線、光、ワイヤレス又は無線で)、プロセッサ406(複数可)にユーザ入力を提供し、ユーザに提示されるべきプロセッサ406(複数可)からの出力を受信する。特に、プロセッサ(複数可)406は例えばタッチスクリーンディスプレイ442を介して、デバイスにユーザインターフェース(例えば、グラフィカルユーザインターフェース)を提示させるプロセッサ実行可能命令を実行してもよい。本明細書では、様々なユーザインターフェース要素が図示され、説明される。
【0114】
少なくともいくつかの実施形態では、極低温保管システム100が例えば、既存の試料容器(例えば、Brooks Life Sciencesから入手可能な、FluidX(登録商標)24-Formatチューブ、FluidX(登録商標)48-Formatチューブ、FluidX(登録商標)96-Formatチューブ)又はプレート又はラック(例えば、5 1/4インチ×5 1/4インチのプレート又はウェル、Brooks Life Sciencesから入手可能な、Vision Plate(登録商標)96ウェルプレート、Vision Plate(登録商標)24ウェルプレート、10x10 Cryo Rackラック、14x14 Cryo Rackラック)を用いて、既存の実験室装置で動作するように設計されてもよい。既存の実験室装置で動作するように極低温保管システム100を設計することは、構造ならびに動作に多くの制約を課す。例えば、アンテナの2次元アレイは、様々な利用可能なフォーマットでRFIDトランスポンダアレイへの問い合わせが成功するように設計されなければならない。これは、問い合わせに用いられ、RFIDトランスポンダからの応答信号を受信されるアンテナのサイズ(例えば、コイルサイズ)に制限を課すことができる。
【0115】
より小さいアンテナは典型的には範囲を低減し、これは、範囲の損失を補償するために、より高い送信電力を必要とし得る。これは、特に、ワイヤレストランスポンダのアンテナが極端に低温にさらされる場合、例えば、ワイヤレストランスポンダが液体窒素浴に浸漬され、一方、リーダのアンテナが室温である場合に当てはまり得る。また、従来の機器フォーマットによって規定される比較的近い間隔は問い合わせ中のクロストークの量を増加させてしまい、この場合、1つのアンテナからの問い合わせ信号が2つ以上のワイヤレストランスポンダからの応答信号を励起し、引き出す。クロストークはまた、例えば、従来の空間フォーマットによって規定される間隔に対応するために、アンテナサイズが小さくなければならない場合、送信電力を増加させるとともに増加し得る。また、既存のワイヤレストランスポンダ及びリーダ(例えば、RFIDインターロゲータ又はRFIDリーダ)のユーザは、構造及び/又は操作において特定の調整を行う必要がある場合もある。例えば、RFIDリーダは、通常、自動利得制御を採用する。
【0116】
極低温保管システム100は、アンテナの2次元アレイに空間的に配列された複数のアンテナを備え、アンテナの2次元アレイは1組の次元(又は、寸法)又はオーダー(又は、次数)(例えば、2x2、3x3、5x5、4x6、7x7、9x9、8x12)を有する。1つ又は複数の無線機が通信可能に結合されて、アンテナを駆動して、ワイヤレストランスポンダに問い合わせるために問い合わせ信号を発信し、アンテナのうちの1つ又は複数の範囲内の任意のワイヤレストランスポンダから応答信号を受信する。例えば、様々なアンテナに多重化される単一の無線機が存在し得る。代替的に、アンテナごとに1つの無線機が存在し得る。代替的に、アンテナは、セット、たとえば4つのセットにグループ化され、セットごとに1つの無線機があり、それぞれのセットのアンテナに多重化され得る。
【0117】
いくつかの例では無線機は送信機であり、いくつかの無線機は受信機であり、さらに他の例では無線機はトランシーバである。プロセッサベースの制御システムは、無線機(複数可)に通信可能に結合される。プロセッサベースの制御システムは所与の問い合わせに応答して受信された応答信号に基づいて、ワイヤレストランスポンダのうちの少なくとも1つが、保管又は移送カセットのうちの1つの予想される位置に位置するかどうかを決定する。ワイヤレストランスポンダのうちの少なくとも1つが、保管又は移送カセットのうちの1つの予想される位置に位置していないという決定に応答して、プロセッサベースの制御システムは予想しない状態の発生を示す信号を提供させる。予想しない状態の発生を示す信号を提供させるために、プロセッサベースの制御システムは、視覚的プロンプトを提示させ、及び/又はロボットに動きを行わせる信号をロボットに提供させるようにすることができる。
【0118】
所与の問い合わせに応答して受信された各応答信号について、プロセッサベースの制御システムは、どの応答信号が、ワイヤレストランスポンダが応答しているそれぞれの問い合わせ信号を発したアンテナに最も近いワイヤレストランスポンダのうちの1つから返されたかを決定することができる。例えば、所与の問い合わせに応答して受信された各応答信号について、プロセッサベースの制御システム又は少なくとも1つの無線機のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの無線機によって導入される任意の自動利得調整を考慮するために、応答信号の受信信号強度を示すそれぞれの受信信号強度インジケータ(RSSI)値を正規化することができる。
【0119】
例えば、各問い合わせについて、プロセッサベースの制御システムは、所与の問い合わせに応答して受信された応答信号のそれぞれの正規化されたRSSI値のうちのどれが最大の絶対値を有するかを決定する。所与の問い合わせに応答して受信された応答信号のそれぞれの正規化されたRSSI値のうちのどれが各問い合わせについて最大絶対値を有するかを決定するために、プロセッサベースの制御システムは、受信された応答信号のそれぞれの正規化されたRSSI値を互いに比較することができる。
【0120】
ワイヤレストランスポンダが応答しているそれぞれの問い合わせ信号を発したアンテナに最も近いワイヤレストランスポンダのうちの1つからどの応答信号が返されたかを決定するために、プロセッサベースの制御システムは、さらに応答するワイヤレストランスポンダの各々について、それぞれの読み出しレートを互いに比較することができ、そのそれぞれの読み出しレートは、それぞれのワイヤレストランスポンダが1単位時間当たりに読み出される総回数を表す。ワイヤレストランスポンダが応答しているそれぞれの問い合わせ信号を発したアンテナに最も近いワイヤレストランスポンダのうちの1つからどの応答信号が返されたかを決定するために、プロセッサベースの制御システムは、さらに又は代替的に、応答するワイヤレストランスポンダの各々について、それぞれの応答時間を互いに比較することができ、そのそれぞれの応答時間は、それぞれのワイヤレストランスポンダが問い合わせに最初に応答するのに要する時間量を表す。
【0121】
プロセッサベースの制御システムが、ワイヤレストランスポンダのうちの少なくとも1つが保管又は移送カセットのうちの一方の予想される位置に位置するかどうかを決定する前に、プロセッサベースの制御システムはさらに、試料容器の1つをそれと関連するワイヤレストランスポンダと共に移送する際に、試料容器の移送元である、保管又は移送カセットのうちの一方の位置と、試料容器の移送先である、保管又は移送カセットのうちの他方の位置とを示すプロンプトを提示させることができ、その予想される位置は試料容器が移送されることになる保管又は移送カセットのうちの他方の位置である。
【0122】
プロセッサベースの制御システムは、1つ又は複数の問い合わせに応答して受信された応答信号に基づいて、保管又は移送カセットのうちの1つの中の予想しない位置にワイヤレストランスポンダのうちのそれぞれの1つによってマークされた試料容器があるかどうかをさらに決定し、保管又は移送カセットのうちの1つの中の予想しない位置にワイヤレストランスポンダのうちのそれぞれの1つによってマークされた少なくとも1つの試料容器があるという決定に応答して、予想しない状態の発生を示す信号を提供させることができる。
【0123】
プロセッサベースの制御システムは、1つ又は複数の問い合わせに応答して受信された応答信号に基づいて、保管又は移送カセットのうちの1つから欠落している、ワイヤレストランスポンダのそれぞれの1つによってマークされた試料容器があるかどうかをさらに決定し、保管又は移送カセットのうちの1つから欠落している、マークされた少なくとも1つの試料容器があるという決定に応答して、予想せぬ状態の発生を示す信号を提供させることができる。予想しない状態の発生を示す信号を提供させるために、プロセッサベースの制御システムは、予想しない状態の発生を示し、保管又は移送カセットのうちの少なくとも1つにおける試料容器の不正確な(又は、誤った)位置及び正確な(又は、正しい)位置のうちの少なくとも1つを示す信号の提示を提供させることができる。
【0124】
さらに、速度は、通常、商業的動作にとって重要である。速度を上げるために、アンテナは複数のセット(又は、組)にグループ化されることができ、これらのセットは互いに並列に動作する。例えば、8×12のアレイとして配置された96個のアンテナの2次元アレイアンテナはA、B、C、Dと名付けた4つのセットにグループ化され、2次元アレイの4つの象限(例えば、左上の象限においてAから始まって時計回りに配置されたセットA、B、C、D)に対応し得る。各象限内の位置は、行及び列を表す一対の整数によって表すことができる。動作中、第一セットAの第一アンテナ1,1、第二セットBの第一アンテナ1,1、第三セットCの第一アンテナ1,1、及び第四セットDの第一アンテナ1,1は第一問い合わせサイクル中にそれぞれの問い合わせ信号(例えば、搬送波)を同時に送信するように動作することができる。
【0125】
第一セットA、第二セットB、第三セットC及び第四セットDの他のアンテナは、第一問い合わせサイクルの一部として応答信号について監視されることができる。続いて、第一セットAの第二アンテナ1,2、第二セットBの第二アンテナ1,2、第三セットCの第二アンテナ1,2、及び第四セットDの第二アンテナ1,2は第二問い合わせサイクル中にそれぞれの問い合わせ信号(例えば、搬送波)を同時に送信するように動作することができる。第一セットA、第二セットB、第三セットC及び第四セットDの他のアンテナは、第二問い合わせサイクルの一部として応答信号について監視されることができる。
【0126】
その後の問い合わせサイクルはセットの残りのアンテナを循環し、各セットからのアンテナのうちの1つを動作させて、互いに現在的に(又は、同時的に)インターロゲーション(又は、問い合わせ)を送信することができる。いくつかの実装形態では、動作が任意の2つのセットの送信アンテナ間に固定された距離が存在することをもたらし得る。例えば、任意の所与の問い合わせサイクルの間、1つのセット内の送信アンテナは、他のセット内の他の送信アンテナの相対位置と、それ自体のセット内の同じ相対位置にあり得る。これは、各問い合わせサイクル中、各セットの送信アンテナの行/列ペアが互いに一致する場合の上述の動作と同様である。
【0127】
代替的に、動作は任意の所与の問い合わせサイクル中に、同時に送信するアンテナ間に最大達成可能距離が存在することをもたらし得る。例えば、第一セットAの第一アンテナ1,1、第二セットBの第六アンテナ1,6、第三セットCの第十九アンテナ4,1、及び第四セットDの第二十四アンテナ4,6は第一問い合わせサイクル中にそれぞれの問い合わせ信号(例えば、搬送波)を同時に送信するように動作することができる。したがって、第一問い合わせサイクル中に、2次元アレイの対向する4隅にあるアンテナは、問い合わせ信号を同時に送信する。後続の問い合わせサイクルの間、各セットA、B、C、D内のアンテナは例えば、ある行に沿って連続的にアンテナから、次いで、次の行から連続的に問い合わせ信号を送信する等、互いに一致する順序でステップスルーする(又は、ステップごとに行う)ことができる。
【0128】
4つのセットを記述したが、任意の数のアンテナのセットが採用されてもよい。アンテナの活性化(又は、アクチベーション)の2つのパターンを記述したが、他のパターンが採用されてもよい。また、概して、応答信号を監視するために問い合わせ信号を直近(又は、最直近)に発信したアンテナを除くすべてのアンテナを使用するものとして記述したが、他の手法が採用されてもよい。例えば、問い合わせ信号を直近に発信したアンテナを含む、すべてのアンテナが監視されることができる。そのような実装形態では、典型的には遅延を採用して、応答信号の検出を可能にするように送信アンテナ内の共振を十分に減衰させる。代替的に、アンテナのうちの選択されたもの(単数又は複数)のみが、応答信号を監視するために使用されることができる。例えば、いくつかの実装形態では、応答信号の受信のために、通常は遅延時間の後に、問い合わせ信号を直近に送信したアンテナのみが監視される。
【0129】
図48及び
図49は少なくとも1つの図示された実装形態による、極低温フリーザー102内に保管されることができる保管カセット302から、試料トランスポーター380、例えば、可搬型断熱極低温キャリアに試料容器200,300を移送するための動作の方法500を示す。方法500は、保管カセット302及び試料トランスポーター380がそれぞれワークステーションの少なくとも1つのウェル130内に位置するときに実行されてもよい。
【0130】
方法500は、502で開始する。例えば、方法は、プロセッサベースの移送システム122又はその構成要素の電源投入に応答して、リーダにおける保管カセット302及び/又は試料トランスポーター380の検出、ユーザ入力の受信、又は呼び出しルーチン又はプログラムからの呼び出しに応答して開始することができる。
【0131】
503において、プロセッサベースの移送システム122はユーザ識別情報を受信し、検証し、記憶する。ユーザ識別情報は様々な形態、例えば、ユーザ識別子、パスワード又はパスフレーズ、及び/又は生体データ(例えば、デジタル指紋、デジタル虹彩スキャン、顔の特徴)をとることができる。
【0132】
504において、プロセッサベースの移送システム122は、識別情報を受信する。識別情報は例えば、ユーザインターフェースを介したユーザ入力として、又は別のシステムからの、例えば、臨床処置管理プロセッサベースのシステムからの情報の電子移送として受信されることができる。識別情報は例えば、患者名、一意の患者識別子、出生の患者データ、処置タイプ又は一意の処置識別子、試料容器識別子、及び/又は試料識別子を含むことができる。
【0133】
506において、プロセッサベースの移送システム122は、1つ又は複数の試料容器200,250,300,1100を保持する保管カセット302のうちのどれを取り出すかを決定する。例えば、試料容器200,250,300,1100のうちの1つ又は複数は、所与の患者の所与の処置において使用されるべき生物学的試料又は組織を保持することができる。プロセッサベースの移送システムは例えば、識別情報を使用してデータ構造をクエリする(又は、照会する)ことができる。
【0134】
508において、プロセッサベースの移送システム122は、保管カセット302内の識別された試料容器200,250,300,1100の1つ又は複数の位置を決定する。プロセッサベースの移送システムは例えば、識別情報を使用してデータ構造をクエリすることができる。
【0135】
510において、プロセッサベースの移送システム122は、保管カセット302から移送される試料容器(複数可)200,250,300,1100を保持するための試料トランスポーター380の位置(複数可)を決定する。プロセッサベースの移送システムは例えば、識別情報を使用してデータ構造をクエリすることができる。
【0136】
512において、プロセッサベースの移送システム122は、キャリア環境の条件を確認するためのクエリの提示を引き起こす。クエリは、ユーザインターフェースを介して視覚的又は聴覚的に提示されることができる。クエリはユーザが試料トランスポーター380の準備ができていること、試料トランスポーター380内に十分な流体(例えば、液体窒素)があること、及びその流体が十分に低温(例えば、約190℃以下)であることを確認する要求(又は、リクエスト)を含むことができる。
【0137】
514において、プロセッサベースの移送システム122は、試料トランスポーター380の環境の状態(複数可)を示す情報を受信する。情報は例えば、ユーザインターフェースを介して受信されることができる。
【0138】
任意選択で、516において、プロセッサベースの移送システム122は、1つ又は複数の条件が1つ又は複数の閾値を満たすことを検証する。例えば、ユーザは、流体レベル及び/又は流体の温度を入力することができ、これを閾値レベル及び/又は閾値温度と比較することができる。
【0139】
518において、プロセッサベースの移送システム122は、保管カセット302の選択位置から試料トランスポーター380の選択位置(複数可)へと試料容器200,250,300,1100を移送させるための1つ又は複数のコマンドを送信する。手動移送の場合、コマンドは、ユーザインターフェースを介してプロンプトとしてユーザに提示されることができる。自動移送の場合、コマンドは、ロボット又は他の機械的搬送による実行のための動作計画の形態であり得る。
【0140】
520において、プロセッサベースの移送システム122は、移送の確認を受信する。確認は、ユーザインターフェースを介してユーザから受信されることができる。代替的に、一連の動作が完了したことを示す確認は、プロセッサベースのシステム、例えばロボットから来てもよい。
【0141】
522において、プロセッサベースの移送システム122は、試料トランスポーター380に問い合わせる。例えば、リーダは、試料トランスポーター380内の各位置に順次問い合わせ、どの位置がワイヤレストランスポンダタグ付き試料容器を有するか、さらには試料容器を有する各位置における各試料容器の識別(又は、同一性)を決定することができる。そのようなものは、例えば、RFIDリーダ又はインテロゲータを介して、試料トランスポーター380のそれぞれの位置と位置合わせされるように配置されたアンテナの2次元アレイを用いて実施されてもよい。
【0142】
524において、プロセッサベースの移送システム122は、移送された試料容器(複数可)が試料トランスポーター380内の位置(複数可)を正確にあるかどうかを判定する。プロセッサベースの移送システム122は、データ構造をクエリして、試料容器を有すると想定される試料トランスポーター380の各位置について、その位置にあると想定される試料容器の識別を決定することができる。プロセッサベースの移送システム122はインターロゲーションを介して決定された実際のマッピングを意図されたマッピングと比較して、各試料容器が正しい位置にあることを検証し、誤った位置にある試料容器を識別し、以下に説明するように、欠落した試料容器及び/又は試料トランスポーター380内にあるべきではない試料容器を識別する。
【0143】
524において、移送された試料容器(複数可)が試料トランスポーター380内の正しい位置(複数可)にないと判定された場合、プロセッサベースの移送システム122は、どんな具体的なエラーが発生したかを判定することを試みる。例えば、526において、プロセッサベースの移送システム122は、移送された試料容器(複数可)がその試料トランスポーター380内に存在するかどうかを判定する。526において、移送された試料容器(複数可)が試料トランスポーター380内に存在しないと判定された場合、528において、プロセッサベースの移送システム122はユーザインターフェースに、その試料容器を保管カセット302からその試料トランスポーター380に移送するための、保管カセット302及び試料トランスポーター380内の特定の位置を識別する、プロンプトを提示させ、制御は520に戻って、移送が完了したという確認の受信を待つ。
【0144】
代替的に、プロセッサベースの移送システム122は、試料容器(複数可)200,250,300,1100の移送を実施するためにロボットに命令を提供する。526において、移送された試料容器(複数可)が試料トランスポーター380内に存在すると判定された場合、530において、プロセッサベースのシステム122は、ユーザインターフェースにその試料容器(複数可)を試料容器がそこから移動させられるべき位置(移動元)及び試料容器がそこへ移動させられるべき位置(移動先)の識別を含む、試料トランスポーター380内の正しい位置(複数可)に移動するための、通知又はプロンプトを提示させる。次いで、制御は、移送が完了したという確認の受信を待つために520に戻る。
【0145】
524において、移送された試料容器(複数可)が試料トランスポーター380内の正しい位置(複数可)にあると判定された場合、任意選択で532において、プロセッサベースの移送システム122は、試料トランスポーター380内に誤った試料容器(複数可)が存在するかどうかを判定する。532において、試料トランスポーター380内に誤った試料容器(複数可)が存在すると判定された場合、534において、プロセッサベースの移送システム122はユーザインターフェースに、誤った位置(複数可)を識別する、誤った試料容器(複数可)が試料トランスポーター380内に存在するという通知を提示させる。次いで、制御は、移送が完了したという確認の受信を待つために520に戻る。532において、試料トランスポーター380内に誤った試料容器(複数可)が存在しないと判定された場合、制御は536に進む。
【0146】
536において、プロセッサベースの移送システム122は、移送を反映するようにデータ構造を更新する。データ構造は例えば、データベース、テーブル、ツリー構造又はリンクリストの形態をとることができる。
【0147】
538において、プロセッサベースの移送システム122は、保管連鎖の証拠を、好ましくは改ざん(又は、/いたずら/不正開封)防止の又は改ざんが分かる形態で記憶する。権原連鎖(チェーンオブタイトル)の証拠は例えば、ブロッチェーン形式で記憶されてもよい。
【0148】
方法500は例えば、再び呼び出されるまで、540で終了する。
【0149】
図50及び
図51は少なくとも1つの図示された実施形態による、試料トランスポーター380、例えば、可搬型断熱極低温キャリアから、極低温フリーザー102に保管するための保管カセット302に試料容器200,250,300,1100を移送するための動作の方法600を示す。方法500は、保管カセット302及び試料トランスポーター380がそれぞれワークステーションの少なくとも1つのウェル130内に位置するときに実行されてもよい。
【0150】
方法600は、602で開始する。例えば、方法は、プロセッサベースの移送システム122又はその構成要素の電源投入に応答して、リーダにおける保管カセット302及び/又は試料トランスポーター380の検出、ユーザ入力の受信、又は呼び出しルーチン又はプログラムからの呼び出しに応答して開始することができる。
【0151】
603において、プロセッサベースの移送システム122はユーザ識別情報を受信し、検証し、記憶する。ユーザ識別情報は様々な形態、例えば、ユーザ識別子、パスワード又はパスフレーズ、及び/又は生体データ(例えば、デジタル指紋、デジタル虹彩スキャン、顔の特徴)をとることができる。
【0152】
604において、プロセッサベースの移送システム122は、識別情報を受信する。識別情報は例えば、ユーザインターフェースを介したユーザ入力として、又は別のシステムからの、例えば、臨床処置管理プロセッサベースのシステムからの情報の電子移送として受信されることができる。識別情報は例えば、患者名、一意の患者識別子、出生の患者データ、処置タイプ又は一意の処置識別子、試料容器識別子、及び/又は試料識別子を含むことができる。
【0153】
606において、プロセッサベースの移送システム122は、どの試料トランスポーター380が極低温保管タンク又はフリーザー102に保管されるべき1つ又は複数の試料容器200,250,300,1100を保持するかを決定する。例えば、1つ又は複数の試料容器は、所与の患者の所与の処置から収集された生物学的試料又は組織を保持することができる。プロセッサベースの移送システム122は例えば、識別情報を使用してデータ構造をクエリすることができる。
【0154】
608において、プロセッサベースの移送システム122は、試料トランスポーター380内の識別された試料容器の1つ又は複数の位置を決定する。プロセッサベースの移送システム122は例えば、識別情報を使用してデータ構造をクエリすることができる。
【0155】
610において、プロセッサベースの移送システム122は、試料トランスポーター380から移送される試料容器(複数可)を保持するための保管カセットの位置(複数可)を決定する。プロセッサベースの移送システム122は例えば、識別情報を使用してデータ構造をクエリすることができる。
【0156】
612において、プロセッサベースの移送システム122は、保管カセット302の選択位置(複数可)に、試料トランスポーター380の選択位置から試料容器を移送させるための1つ又は複数のコマンドを送信する。手動移送の場合、コマンドは、ユーザインターフェースを介してプロンプトとしてユーザに提示されることができる。自動移送の場合、コマンドは、ロボット又は他の機械的搬送による実行のための動作計画の形態であり得る。
【0157】
614において、プロセッサベースの移送システム122は、移送の確認を受信する。確認は、ユーザインターフェースを介してユーザから受信されることができる。代替的に、一連の動作が完了したことを示す確認は、プロセッサベースのシステム、例えばロボットから来てもよい。
【0158】
任意選択で、616において、プロセッサベースの移送システム122は、保管カセット302に問い合わせる。例えば、リーダは、保管カセット302内の各位置に順次問い合わせ、どの位置がワイヤレストランスポンダタグ付き試料容器を有するか、さらには試料容器を有する各位置における各試料容器の識別を決定することができる。そのようなものは、例えば、RFIDリーダ又はインターロゲータを介して保管カセット302のそれぞれの位置と位置合わせされるように配置されたアンテナの2次元アレイを用いて実施されてもよい。
【0159】
任意選択で、618において、プロセッサベースの移送システム122は、移送された試料容器(複数可)が保管カセット302内の位置(複数可)を正確にあるかどうかを判定する。プロセッサベースの移送システム122は、データ構造をクエリして、試料容器を有すると想定される保管カセット302の各位置について、その位置にあると想定される試料容器の識別を決定することができる。プロセッサベースの移送システム122はインターロゲーションを介して決定された実際のマッピングを意図されたマッピングと比較して、各試料容器が正しい位置にあることを検証し、誤った位置にある試料容器を識別し、以下に説明するように、欠落した試料容器及び/又は保管カセット302内にあるべきではない試料容器を識別する。
【0160】
618において、移送された試料容器(複数可)が保管カセット302内の正しい位置(複数可)にないと判定された場合、620において、プロセッサベースの移送システム122は、移送された試料容器(複数可)が保管カセット302内に存在するかどうかを判定する。620において、移送された試料容器(複数可能)が保管カセット302に存在しないと判定された場合、622において、プロセッサベースの移送システム122はユーザインターフェースに、その試料容器を試料トランスポーター380からその保管カセット302に移送するための、試料トランスポーター380及び保管カセット302内の特定の位置を識別するプロンプトを提示させる。代替的に、プロセッサベースの移送システム122は、試料容器(複数可)の移送を実施するための命令をロボットに提供する。次いで、制御は、移送が完了したという確認の受信を待つために614に戻る。620において、移送された試料容器(複数可)が保管カセット302内に存在すると判定された場合、624において、プロセッサベースのシステム122はユーザインターフェースに、その試料容器(複数可)を保管カセット302(複数可)に移動するための、試料容器がそこから移動させられるべき位置(移動元)及び試料容器がそこから移動させられるべき位置(移動先)の識別を含む、通知又はプロンプトを提示させる。次いで、制御は、移送が完了したという確認の受信を待つために614に戻る。
【0161】
618において、移送された試料容器(複数可)が保管カセット302内の正しい位置(複数可)にあると判定された場合、任意選択で626において、プロセッサベースの移送システム122は、保管カセット302内に誤った試料容器(複数可)が存在するかどうかを判定する。620において、保管カセット302内に誤った試料容器(複数可)が存在すると判定された場合、628において、プロセッサベースの移送システム122はユーザインターフェースに、保管カセット302内に誤った位置(複数可)を識別する誤った試料容器(複数可)が存在するという通知を提示させる。次いで、制御は、移送が完了したという確認の受信を待つために614に戻る。620において、保管カセット302内に誤った試料容器(複数可)が存在しないと判定された場合、制御は630に進む。
【0162】
630において、プロセッサベースの移送システム122は、移送を反映するようにデータ構造を更新する。データ構造は例えば、データベース、テーブル、ツリー構造又はリンクリストの形態をとることができる。
【0163】
632において、プロセッサベースの移送システム122は、保管連鎖の証拠を、好ましくは不正開封防止の又は改ざんが分かる形態で記憶する。権原連鎖の証拠は例えば、ブロックチェーン形式で記憶されてもよい。
【0164】
方法600は例えば、再び呼び出されるまで、634で終了する。
【0165】
上述の様々な実装形態及び実施形態は、さらなる実装形態及び実施形態を提供するために組み合わせることができる。2019年9月13日に出願された米国特許出願第62/900,281号、2019年7月31日に出願された米国特許出願第62/880,786号、2019年7月26日に出願された米国特許出願第62/879,160号、2018年10月5日に出願された米国特許出願第62/741,986号、2018年10月5日に出願された米国特許出願第62/741,998号、2019年10月29日に出願された米国特許出願第62/927,566号、及び2020年9月24日に出願された米国特許出願第63/082,789号を含むが、これらに限定されない、本願データシートに記載された米国特許出願のすべては参照によりそれぞれ本明細書に組み込まれる。上記の詳細説明に照らして、上記の及び他の変形がそれらの実施形態に対して行われることが可能である。
【0166】
概して、以下の特許請求の範囲では、使用される用語が特許請求の範囲を、本明細書及び特許請求の範囲に開示される特定の実装形態及び実施形態に限定するように解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲とともに、すべての可能な実装形態及び実施形態を含むように解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されない。
下記は、本願の出願当初に記載の発明である。
<請求項1>
極低温凍結試料を取り扱うシステムであって、
前部、後部、作業面、及び少なくとも1つのウェルを有するプラットフォームであって、前記少なくとも1つのウェルは、前記作業面において凹んでおり、底部と、前記少なくとも1つのウェルの前記底部から上方に延在する少なくとも1つの側壁とを有する、該プラットフォームと、
前記プラットフォームの前記少なくとも1つのウェルによって取り外し可能に受け入れ可能な少なくとも1つの第一バケットであって、前記第一バケットは、底部と、上部と、前記第一バケットの前記底部から前記第一バケットの前記上部まで延在する少なくとも1つの側壁と、前記第一バケットの前記上部の開口部を有し、前記第一バケットの前記上部の前記開口部は、試料容器のアレイを内部に保持する少なくとも1つのカセット又はキャリアをその中に少なくとも部分的に受け入れるようにサイズ設定された、該バケットと、
前記少なくとも1つのウェルの前記底部の下に配置され、前記試料容器を保持する前記カセット又は前記キャリアが前記第一バケット内に配置されるとき、前記試料容器の遠位端の規定された垂直距離内にあるように離間される、アンテナの少なくとも1つのアレイ
を備えるワークステーション
を備えるシステム。
<請求項2>
前記作業面は平面部分を含む、請求項1に記載のシステム。
<請求項3>
前記作業面は、前記作業面の周囲の少なくとも一部の周りで前記平面部分から上方に延在する周壁を含む、請求項2に記載のシステム。
<請求項4>
前記プラットフォームの前記後部における前記周壁の一部は、前記プラットフォームの前記後部から前記プラットフォームの前記前部に向かって下方に傾斜する傾斜面を有する、請求項2に記載のシステム。
<請求項5>
前記作業面は、それを通る第一開口部と第二開口部とを画定し、前記作業面の前記第二開口部は前記作業面の前記第一開口部とは別個であり、前記作業面の前記第一開口部は前記第一バケットをその中に取り外し可能に受け入れるようにサイズ決めされ、前記作業面の前記第二開口部は第二バケットをその中に取り外し可能に受け入れるようにサイズ決めされる、請求項1に記載のシステム。
<請求項6>
前記第一バケットは、前記第一バケットが前記作業面の前記第一開口部を介して前記第一ウェルに受け入れられるときに、前記第一バケットの上部を前記作業面と同一高さにして前記第一開口部に着座し、前記作業面の前記第二開口部は第二バケットをその中に取り外し可能に受け入れるようにサイズ決めされ、前記第二バケットは前記第二バケットが前記作業面の前記第二開口部を介して前記第一ウェルに受け入れられるときに、前記第二バケットの上部を前記作業面と同一高さにして前記第二開口部に着座する、請求項5に記載のシステム。
<請求項7>
前記作業面は前記作業面の周囲の少なくとも一部の周りで前記平面部分から上方に延在する周壁を含み、前記周壁は各々が前記プラットフォームの前部に位置する第一開口部及び第二開口部を有し、前記周壁の前記第一開口部及び前記第二開口部の各々は、前記第一バケット及び前記第二バケットが前記作業面の前記第一開口部及び前記第二開口部を介して前記第一ウェル内に受け入れられたときに、前記第一バケット及び前記第二バケットのそれぞれの1つのハンドルを、前記それぞれのハンドルをそれぞれ非展開位置に旋回されて収容するようにサイズ決めされる、請求項6に記載のシステム。
<請求項8>
前記作業面は固定平面部とフレームとを含み、前記フレームは前記少なくとも1つのウェルの内部を露出させるように、前記固定平面部から選択的に取り外し可能である、請求項5~7のいずれか一項に記載のシステム。
<請求項9>
前記作業面の前記第一開口部及び前記作業面の前記第二開口部は、それぞれ前記フレーム内に形成される、請求項8に記載のシステム。
<請求項10>
前記作業面の前記第一開口部は前記第一バケットの外周部をぴったりと受け入れるように寸法決めされ、前記作業面の前記第二開口部は前記第二バケットの外周部をぴったりと受け入れるように寸法決めされる、請求項5に記載のシステム。
<請求項11>
前記第一バケットが注ぎ口を有する、請求項1に記載のシステム。
<請求項12>
前記第一バケットは、展開位置と非展開位置との間で旋回するように前記少なくとも1つの側壁に旋回可能に結合されたハンドルを有する、請求項11に記載のシステム。
<請求項13>
前記第一バケットは、前記展開位置における前記ハンドルの回転を制限する少なくとも1つの停止部を有する、請求項12に記載のシステム。
<請求項14>
前記カセット又は前記キャリアをさらに備え、
前記カセット又は前記キャリアは、試料容器の二次元アレイを保持するようにサイズ決定される
請求項1に記載のシステム。
<請求項15>
前記カセット又は前記キャリアが、
上部、底部、及び少なくとも1つの側壁を有する第一バルク容器であって、前記底部は内向き表面及び外向き表面を有し、前記少なくとも1つの側壁は内向き表面及び外向き表面を有し、前記底部の前記内向き表面及び前記少なくとも1つの側壁の前記内向き表面は内部コンパートメントプロファイルを有する前記第一バルク容器の内部コンパートメントの輪郭を描き、前記第一バルク容器は、その上部に開口部を有する、該第一バルク容器と、
第一熱シャントであって、前記第一熱シャントは、金属を含み、第一主要面及び第二主要面を有する基板を含み、前記第二主要面は前記基板の厚さを横切って前記第一主要面と対向し、前記基板は前記基板の前記厚さを通って延在する複数のスルーホールのアレイを有し、前記基板の前記スルーホールのそれぞれはそれを通って第一の数のバイアルのそれぞれのバイアルの少なくとも一部を受け入れるような形状及びサイズにされ、前記基板は前記第一バルク容器の前記内部コンパートメント内にぴったりと受け入れ可能である、該第一熱シャントと、
前記第一バルク容器の前記内部コンパートメント内にぴったりと受け入れ可能である第一スペーサであって、前記第一スペーサはそれを通って延在する複数のスルーホールのアレイを有し、前記第一スペーサの前記スルーホールのそれぞれはそれを通って前記第一の数のバイアルのそれぞれのバイアルの少なくとも一部を受け入れるような形状及びサイズにされた、該第一スペーサ
を備え、
前記第一スペーサ及び前記第一熱シャントが前記第一バルク容器の前記内部コンパートメント内に積み重ねられるとき、前記第一スペーサの前記スルーホールのそれぞれは前記第一熱シャントの前記スルーホールのそれぞれ1つと軸方向に整列される
請求項14に記載のシステム。
<請求項16>
前記第一バルク容器は前記第一バルク容器の内部において前記底部から上方に延在するいくつかのセットオフを有し、前記第一熱シャントは、前記第一バルク容器の前記底部から前記第一熱シャントを離間させるように前記セットオフによって支持される、請求項15に記載のシステム。
<請求項17>
前記熱シャントの前記基板は、非鉄金属のブロックの形態のヒートシンクである、請求項15に記載のシステム。
<請求項18>
前記熱シャントの前記基板は、アルミニウムのブロックの形態のヒートシンクである、請求項15に記載のシステム。
<請求項19>
前記熱シャントの前記基板は、非鉄金属含浸ポリマーのブロックの形態のヒートシンクである、請求項15に記載のシステム。
<請求項20>
前記スペーサ及び前記熱シャントの前記スルーホールは、それぞれ円形である、請求項15に記載のシステム。
<請求項21>
前記スペーサ及び前記熱シャントの前記スルーホールは、丸みを帯びた角を有する正方形である、請求項15に記載のシステム。
<請求項22>
前記第一バルク容器が前記カセットの一部であり、前記第一バルク容器が第一側面に少なくとも第一アパーチャを含み、第二側面に少なくとも第二アパーチャを含み、前記第二側面が、前記第一バルク容器の横寸法に渡って前記第一側面に対向する、請求項15に記載のシステム。
<請求項23>
前記第一バルク容器が前記カセットの一部であり、前記カセットが
前記第一バルク容器に取り外し可能に結合可能なハンドルをさらに備える、請求項15に記載のシステム。
<請求項24>
前記第一バルク容器が前記キャリアの一部であり、前記キャリアが、
前記第一バルク容器の前記上部の前記開口部を封止するように第一バルク容器に結合可能なカバーをさらに備え、前記スペーサ及び前記熱シャントが前記第一バルク容器の前記内部コンパートメント内に積み重ねられている、請求項15に記載のシステム。
<請求項25>
前記第一バルク容器が前記キャリアの一部であり、前記キャリアが
前記第一バルク容器に旋回可能に連結されるハンドルをさらに備える、請求項15に記載のシステム。
<請求項26>
前記第一バルク容器の前記少なくとも1つの側壁が断熱側壁である、請求項15に記載のシステム。
<請求項27>
前記第一バルク容器の前記底部の厚さ、前記熱シャント、任意の支持機構、及び前記スペーサの任意の組み合わせが、前記バイアルを、前記底部の外面から規定された距離内で前記バイアルの底部を離間させるように長手方向で位置決めする、請求項15に記載のシステム。
<請求項28>
前記第一バルク容器の前記底部の厚さ、前記熱シャント、任意の支持機構、及び前記スペーサの任意の組み合わせが、前記バイアルを、前記底部の外面から20mm未満、又はより好ましくは15mm未満の距離内で、前記バイアルの底部を離間させるように長手方向に位置決めする、請求項15に記載のシステム。
<請求項29>
前記第一バルク容器の前記底部の厚さ、前記熱シャント、任意の支持機構、及び前記スペーサの任意の組み合わせが、前記バイアルを、前記アンテナアレイから前記規定された垂直距離内で前記バイアルの底部を離間させるように長手方向に位置決めする、請求項15に記載のシステム。
<請求項30>
前記第一バルク容器の前記底部の厚さ、前記熱シャント、任意の支持機構、及び前記スペーサの任意の組み合わせが、前記バイアルを、前記アンテナアレイから20mm未満、又はより好ましくは15mm未満の距離内で前記バイアルの底部を離間させるように長手方向に位置決めする、請求項15に記載のシステム。
<請求項31>
前記少なくとも1つのウェル、前記第一バケット、及び前記カセット又は前記キャリアのうちの任意の組み合わせが、前記試料容器を、前記アンテナアレイから前記規定された垂直距離内で前記試料容器の底部を離間させるように長手方向に位置決めする、請求項15に記載のシステム。
<請求項32>
前記少なくとも1つのウェル、前記第一バケット、及び前記カセット又は前記キャリアの任意の組み合わせが、前記試料容器を、前記アンテナアレイから20mm未満、又はより好ましくは15mm未満の前記規定された垂直距離内で、前記試料容器の底部を長手方向で離間させるように、位置決めする、請求項15に記載のシステム。
<請求項33>
極低温保管デュワーであって、内部と、それを介して試料容器が前記極低温保管デュワーの前記内部に及び前記内部から移送される開口部とを有し、前記プラットフォームの一部が前記極低温保管デュワーのすぐ隣に配置される、該極低温保管デュワー
をさらに備える、請求項1~7又は10~32のいずれか一項に記載のシステム。
<請求項34>
カセットを前記デュワーの内部に配置し、カセットを前記デュワーの内部から取り出すように配置され動作可能なエレベーターをさらに備え、前記エレベーターは少なくとも1つのポートを含み、前記プラットフォームの後部は前記エレベーターの前記少なくとも1つのポートのすぐ隣に配置され、それらの間に開いた隙間はない、請求項33に記載のシステム。
<請求項35>
前記プラットフォームの前記少なくとも1つのウェルは第一軸に沿って前記エレベーターの前記少なくとも1つのポートから離間し、前記第一軸は前記少なくとも1つのポートから垂直に、かつ前記第一軸に直交する第二軸に沿ってそれに対して横方向に延在している、請求項34に記載のシステム。
<請求項36>
前記ワークステーション及び前記極低温保管デュワーは、前記ワークステーション及び前記極低温保管デュワーを解放可能に固定する対応する締結具を含む、請求項33に記載のシステム。
<請求項37>
前記対応する締結具が、前記ワークステーションの第一ブラケットと、前記極低温保管デュワーの第二ブラケットと、前記ワークステーション及び前記極低温保管デュワーを解放可能に固定するために前記第一ブラケット及び前記第二ブラケットの両方の中に受け入れ可能な接続ピンとを含む、請求項36に記載のシステム。