(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】身体加圧器具
(51)【国際特許分類】
A61H 39/04 20060101AFI20241225BHJP
【FI】
A61H39/04 S
(21)【出願番号】P 2024103452
(22)【出願日】2024-06-27
【審査請求日】2024-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】520168653
【氏名又は名称】アクティブラン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135194
【氏名又は名称】田中 智雄
(72)【発明者】
【氏名】杉山 俊二
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-139230(JP,U)
【文献】特開昭47-044987(JP,A)
【文献】特開平11-047228(JP,A)
【文献】登録実用新案第3045262(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 39/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロック部と、前記ブロッ
ク部を搭載する基台と、を有する身体加圧器具であって、
前記ブロック部は、横長略直方体のブロック体であり、上面の長手方向に略円筒状の複数の突起を有し、
前記基台は、全体が扁平長尺の上面を凹ませた長手方向に延びる凹部を有し、当該凹部に前記ブロック部を着脱自在に収容
し、前記凹部の底部が長手方向に傾斜する、
身体加圧器具。
【請求項2】
ブロック部と、前記ブロッ
ク部を搭載する基台と、を有する身体加圧器具であって、
前記ブロック部は、横長略直方体のブロック体であり、上面の長手方向に略円筒状の複数の突起を有し、
上面及び下面の少なくとも一方の面を長手方向の一端から他端にかけて傾斜させて側面視楔形状に構成され、
前記基台は、全体が扁平長尺の上面を凹ませた長手方向に延びる凹部を有し、当該凹部に前記ブロック部を着脱自在に収容する、
身体加圧器具。
【請求項3】
前記ブロック部は、上面に高さが異なる複数の突起が配置されている、請求項
1又は2記載の身体加圧器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体の各部位を加圧して凝りを解消するための身体加圧器具に関する。
【背景技術】
【0002】
身体の所望部位に器具を当てた状態で荷重して圧迫感を付与するものがあり、本発明者もこれまでに種々の器具を開発している(特許文献1及び特許文献2参照)。特許文献1及び特許文献2に開示された器具は、軸方向の略中央部分に括れを設けた断面略三又形状の脚部を有する柱状構造を有し、三つの脚部の何れか二つの脚部を下脚部として設置し、その下脚部の中央部から立設する脚部を以て身体の各部位を加圧して使用する。
【0003】
これら器具を身体の所望部位に当てた状態で荷重すると、脚部の略中央部に設けた括れの作用により器具が若干の撓みを生じ、これにより身体の部位に加わる圧力が緩和され必要以上の加圧による苦痛の発生を抑えることができる。また、括れにより分割されて形成された2つの駱駝瘤部分で身体を加圧することで、身体に加わる圧力が分散されて身体の部位に強い圧迫を加えた場合でも苦痛の発生を抑えることができる。
【0004】
これら器具は、三つの脚部の頂上部の厚みを異ならせているから、三つの脚部のなかから使用者が幅厚の厚い脚部を選択して加圧するれば小さな圧迫を身体に加えることができ、幅厚の薄い脚部を選択して加圧すれば大きな圧迫を身体に加えることができ、かつ使用者の荷重圧力の調整と相まって最も心地よい圧迫感を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】意匠登録第1683804号公報
【文献】意匠登録第1669963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
周知のように人体を構成する骨格や筋肉に直線は存在せず全てが曲線でつくられている。このような形態の身体に適当な加圧を付与するためには、加圧する部位に応じて加圧部材の位置や形状を変える必要がある。また、一つの器具で対応できる範囲が限られており、複数の器具を以て対応せざるを得ないという事情がある。
【0007】
特許文献1及び特許文献2に開示された器具も、本発明者の知見に基づき、脚部の頂上部の厚みを異ならせて、小さい圧迫を身体に加圧したり、大きな圧迫を身体に加圧することを可能にし、適当な加圧を身体の各部位に付与することに成功している。しかしながら、依然として改良の余地を残している。
【0008】
本発明は上記事情に基づいてなされたもので、一つの器具で人体の各部位に適当な加圧を付与することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る身体加圧器具は、ブロック部と、前記ブロックを搭載する基台と、を有する身体加圧器具であって、前記ブロック部は、横長略直方体のブロック体であり、上面の長手方向に略円筒状の複数の突起を有し、前記基台は、全体が扁平長尺の上面を凹ませた長手方向に延びる凹部を有し、当該凹部に前記ブロック部を着脱自在に収容する。
【0010】
上記構成によれば、身体を加圧する突起を有するブロック部を基台から取り外すことができるから、突起のパターンが異なる複数のブロック部を用途に応じて交換して使えば、一つの器具で人体の各部位に適当な加圧を付与することができる。
【0011】
上記構成において、前記基台は、前記凹部の底部が長手方向に傾斜する。
【0012】
上記構成によれば、ブロック部を収容する基台の底部を傾斜させることにより、ブロック部を収容したときの突起の並びも傾斜するから、突起のパターンが異なる複数のブロック部を用途に応じて交換して使えば、さらに多くの突起パターンを提供することができる。
【0013】
上記構成において、前記ブロック部は、上面及び下面の少なくとも一方の面を長手方向の一端から他端にかけて傾斜させて側面視楔形状に構成される。
【0014】
上記構成によれば、ブロック部の上面又は下面の少なくとも一方の面を長手方向に傾斜させることにより、ブロック部の向きを180度反転させて基台に収容させることで突起の並びも変わるから、さらに多くの突起パターンを提供することができる。
【0015】
上記構成において、前記ブロック部は、側面視弓状の上面に複数の突起が配置されている。
【0016】
上記構成によれば、ブロック部の上面を弓状に湾曲させることにより、上面に備える突起の並びを曲線に構成することができ、人体の湾曲する部位に適当な加圧を付与可能なブロック部を構成することができる。
【0017】
上記構成において、前記ブロック部は、上面に高さが異なる複数の突起が配置されている。
【0018】
上記構成によれば、突起の高さを異ならせることで、突起の並びを直線、曲線若しくはこれらを組み合わせで構成することができ、人体の部位に応じて適当な加圧を付与するブロックを構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、身体を加圧する突起を有するブロック部を基台から取り外すことができるから、突起のパターンが異なる複数のブロック部を用途に応じて交換して使えば、一つの器具で人体の各部位に適当な加圧を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る身体加圧器具を示す概略分解斜視図である。
【
図2】
図1に示したブロック部を下面方向から視た概略斜視図である。
【
図3】
図1に示した基台とブロック部とを係合させて状態を示す側面図である。
【
図4】基台に係合させるブロックの他の形態を示す斜視図である。
【
図5】基台と
図4に示したブロック部とを係合させた状態を示す側面図である。
【
図6】本発明に係る身体加圧器具の使用状態を説明するための図である。
【
図7】本発明に係る身体加圧器具の使用状態を説明するための図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る身体加圧器具100を示す概略分解斜視図である。身体加圧器具100は、全体が、上面121の中央を凹ませた凹部123を長手方向に形成し、かつ凹部123の底部125が長手方向に傾斜し、凹部123の両側に双璧127a、127bを設けた扁平長尺の基台120を有する。
【0023】
身体加圧器具100は、さらに、全体が、横長略直方体のブロック体であり、上面141の長手方向に略円筒状の突起143を複数形成し、下面145に形成した図示しない窪み部を基台120の凹部121の底部125に形成した凸部129に合わせて係合させてなるブロック部140を有する。
【0024】
基台120の周囲には、複数の凹凸構造が形成されており、これら凹凸構造は身体加圧器具100を操作するときのグリップを提供する他、身体の部位に適当な加圧を付与する(
図6及び
図7参照)。
【0025】
図2はブロック部140を下面方向から視た概略斜視図を示している。ブロック部140は、下面145に長手方向の前後に窪み部147を備え、基台120の凹部121の底部125の長手方向の前後に形成した凸部129と係合して位置決めされる。
【0026】
ブロック部140は、上面141を長手方向の一端から他端にかけて傾斜して側面視楔形状を呈する。上面141の長手方向に形成した複数の突起143の高さはそれぞれ略等しい。
【0027】
図3は基台120とブロック部140とを係合させて状態を示す側面図であり、
図3(1)、
図3(2)は、互いにブロック部140の向きを異ならせて基台120に係合させた状態を示している。
【0028】
すなわち、
図3(1)に示すように、基台120とブロック部140とを係合させたとき、基台120の凹部121の勾配が高い方に、ブロック部140の下面の勾配が低い方を合わせて係合させて、基台120の下面Bとブロック部140の各突起を結ぶ線Lとが側面視において略平行になる形態を構成する。
【0029】
また、
図3(2)に示すように、基台120とブロック部140とを係合させたとき、基台120の凹部121の勾配が高い方に、ブロック部140の下面の勾配が高い方を合わせて係合させて、基台120の下面Bとブロック部140の各突起を結ぶ線Lとが側面視において非平行になる形態を構成する。
【0030】
基台120の下面Bとブロック部140の各突起を結ぶ線Lとが側面視において略平行になる形態以外の形態は、
図3(2)に示すように、側面視において一端から他端にかけて連続的に傾斜する構成の他、側面視において一端から他端にかけて非連続に傾斜する構成、各突起を結ぶ線が側面視において円弧を描く構成がある。
【0031】
これらの構成は、ブロック部140の上面及び/又は下面の傾斜角度を調整したり、ブロック部140の上面の曲率を変えて上面のカーブを調整すること実現することができる。
【0032】
図4は基台120に係合させるブロックの他の形態を示す斜視図である。ブロック部240は、全体が、横長略直方体のブロック体であり、上面241の長手方向に略円筒状の突起243を複数形成し、下面245に形成した図示しない凹部を基台120の凹部121の底部125に形成した凸部129に合わせて係合させてなる。
【0033】
ブロック部240は、上面を中央やや後方よりから後端に向けて略円弧状に形成し、上面の中央から前端に向けて傾斜させて側面視略楔形状に構成されている。ブロック部240は、上面に高さが略等しい複数の突起243が形成されており、図示例では、中央やや後方よりから後端にかけて2つの突起が形成され、中央から先端にかけて3つの突起が形成されている。
【0034】
図5は基台120とブロック部240とを係合させた状態を示す側面図であり、
図5(1)、
図5(2)は、互いにブロック部240の向きを異ならせて基台120に係合させた状態を示している。
【0035】
すなわち、
図5(1)に示すように、基台120とブロック部240とを係合させたとき、基台120の凹部121の勾配が高い方に、ブロック部240の下面の勾配が低い方を合わせて係合させて、基台120の下面Bに対してブロック部240の各突起を結ぶ線Lが側面視において滑らかな円弧を描きながら図中中央やや右を頂点に中央より右側一つの突起が僅かに低く、中央より左側3つの突起の高さが暫時低くなるように傾斜する形態を有する。
【0036】
さらに、
図5(2)に示すように、基台120とブロック部240とを係合させたとき、基台120の凹部121の勾配が高い方に、ブロック部240の下面の勾配が高い方を合わせて係合させて、基台120の下面Bに対してブロック部240の各突起を結ぶ線Lが側面視において図中左側二つの突起を略同じ高さにし、右側3つの突起の高さが暫時低くなるように図中左側一端から右側他端にかけて傾斜する形態を有する。
【0037】
ブロック部の上面の傾斜角度や曲率を変えて、各突起を結ぶ線を側面視において傾斜させたり、円弧を描くように構成することができる他、各突起の高さをそれぞれ変えて各突起を結ぶ線を側面視において傾斜させたり、円弧を描くように構成することもできる。また、ブロック部の上面の傾斜角度、曲率若しくは各突起の高さを変え、若しくはこれらの組み合わて、各突起の高さを調整することができる。
【0038】
身体加圧器具100は、ブロック部に設けられた突起を身体の部位に当てて使用する他、身体加圧器具100の側面に設けられた凹凸構造を身体の部位に当てて使用することができる。
【0039】
図6に示すように、基台120の凹部123にブロック部140を係合させて側面視略「T」字状を呈する身体加圧器具100を、基台120の一方の側面131及びブロック部140の突起143で支持して基台120の他方の側面133を身体の部位に当てて使用する形態と、
図7に示すように、基台120の他方の側面133及びブロック部140の突起143で支持して基台の一方の側面131を身体の部位に当てて使用する形態と、がある。
【0040】
基台120の一方の側面131と他方の側面133には、それぞれ異なる凹凸が設けられており、図示例では、基台120の一方の側面131には鋸齒状の凹凸が形成されて、他方の側面133には、中央やや前端よりが凹陥され、その他の面に複数の凹凸部が形成されている。
【0041】
基台120の一方の側面131及び他方の側面133並びにブロック部140の突起143の3つのなかから使用者が選択した部分を身体の部位に当てて所望の加圧を付与することができる。
【0042】
また、ブロック部140に代えてブロック部240を基台120に係合させた身体加圧器具100により、同様に使用することができる。
【0043】
以上説明した実施の形態によれば、身体を加圧する突起を有するブロック部140、240を基台120から取り外すことができるから、突起パターンが異なる複数のブロック部を用途に応じて交換して使えば、一つの器具で人体の各部位に適当な加圧を付与することができる。
【0044】
また、基台120とブロック部140、240とが傾斜を介して係合しているため、基台とブロック部の位置を水平方向に相対的にずらせば、基台120の底面からブロック部の突起までの高さを低くしたり高くしたりすることができ、身体の部位に応じた適当な加圧を付与することができる。
【0045】
さらに、ブロック部140、240の向きを180度変えて基台120に収納することにより、突起パターンの傾斜角度や突起パターンの曲率を変えることができる。
【符号の説明】
【0046】
100、身体加圧器具
120 基台
140、240 ブロック部
123 凹部
125 底部
127a、127b 双璧
129 凸部
121、141、241 上面
131、133 側面
143、243 突起
145、245 下面
147 窪み部
【要約】
【課題】 一つの器具で人体の各部位に適当な加圧を付与する。
【解決手段】身体加圧器具100は、全体が、上面121の中央を凹ませた凹部123を長手方向に形成し、かつ凹部123の底部125が長手方向に傾斜し、凹部123の両側に双璧127a、127bを設けた扁平長尺の基台120と、全体が、横長略直方体のブロック体であり、上面141の長手方向に略円筒状の突起143を複数形成し、下面145に形成した図示しない窪み部を基台120の凹部121の底部125に形成した凸部129に合わせて係合させてなるブロック部140とを有する。
【選択図】
図1