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特許7610321充電制御システム、充電制御装置、充電制御方法、および充電制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】充電制御システム、充電制御装置、充電制御方法、および充電制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20241225BHJP
   B60L 53/67 20190101ALI20241225BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20241225BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
H02J7/02 F
B60L53/67
H01M10/44 P
H02J7/00 P
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2024130544
(22)【出願日】2024-08-07
【審査請求日】2024-09-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518268455
【氏名又は名称】株式会社ジゴワッツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】柴田 知輝
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-225971(JP,A)
【文献】特開2023-155689(JP,A)
【文献】特開2020-188668(JP,A)
【文献】特開2011-211891(JP,A)
【文献】特表2013-507902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
B60L 53/67
H01M 10/44
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車の充電器の充電電流を管理する充電制御装置と、
一つ以上の前記充電器と、を有し、
各前記充電器は、
ネットワークを介して前記充電制御装置に所定の時間間隔をおいて定期的に接続する接続部と、
前記接続部によって前記充電制御装置に接続した際に前記充電制御装置から指示された充電電流の値に基づいて充電を実行する充電部と、を有し、
前記充電制御装置は、
使用可能な充電電流の上限値である設定電流情報を取得する設定情報取得部と、
各前記充電器から定期的な接続を受け付けた際に、既に使用されている電流の値と、前記設定電流情報によって示される前記上限値とを比較することによって、使用可能な電流の余力値を特定する特定部と、
前記特定部によって特定された前記余力値が所定の閾値以上である場合は、当該充電器の充電電流の値を増加させ、前記余力値が前記閾値よりも小さい場合は、当該充電器の充電電流の値を減少させるように当該充電器の充電電流の値を決定する決定部と、
前記決定部によって決定された前記充電電流の値を、当該充電器に送信して、当該充電器による前記電気自動車の充電を制御する充電制御部と、
を有する充電制御システム。
【請求項2】
前記設定情報取得部は、前記充電器の充電電流を増加させる際の上昇幅を示す上昇ステップ情報と、前記充電器の充電電流を減少させる際の下降幅を示す下降ステップ情報とをさらに取得し、
前記決定部は、前記充電器に指示されている充電電流の値を取得し、前記余力値が所定の閾値以上である場合は、当該充電器に指示されている充電電流の値に前記上昇ステップ情報によって示される前記上昇幅を加算し、前記余力値が前記閾値よりも小さい場合は、当該充電器に指示されている充電電流の値から前記下降ステップ情報によって示される前記下降幅を減算して当該充電器の充電電流の値を決定する請求項1に記載の充電制御システム。
【請求項3】
前記設定情報取得部は、前記充電器の充電電流を増加させる際の上昇率を示す上昇率情報と、前記充電器の充電電流を減少させる際の下降率を示す下降率情報とをさらに取得し、
前記決定部は、各前記充電器に指示されている充電電流の値を取得し、前記余力値が所定の閾値以上である場合は、前記上昇率情報によって示される前記上昇率を当該充電器に指示されている充電電流の値に適用して増加させ、前記余力値が前記閾値よりも小さい場合は、当該充電器に指示されている充電電流の値に前記下降率情報によって示される前記下降率を適用して減少させて当該充電器の充電電流の値を決定する請求項1に記載の充電制御システム。
【請求項4】
前記余力値に応じて、前記充電器の充電電流を変動させる際の変動度合いを決定する変更部をさらに有し、
前記決定部は、各前記充電器に指示されている充電電流の値を取得し、前記余力値が所定の閾値以上である場合は、前記変更部によって決定された前記変動度合いに基づいて当該充電器に指示されている充電電流の値を増加させ、前記余力値が前記閾値よりも小さい場合は、前記変更部によって決定された前記変動度合いに基づいて当該充電器に指示されている充電電流の値を減少させて当該充電器の充電電流の値を決定する請求項1に記載の充電制御システム。
【請求項5】
前記設定情報取得部は、各前記充電器によって出力される充電電流の上限値に関する充電器上限値情報をさらに取得し、
前記決定部は、前記充電器上限値情報をさらに考慮して、前記充電電流の値を決定する請求項1~4のいずれかに記載の充電制御システム。
【請求項6】
前記充電器の前記接続部は、前記充電部によって充電が実行されている場合には第1の時間間隔をおいて前記充電制御装置に接続し、前記充電部によって充電が実行されていない場合には前記第1の時間間隔よりも長い第2の時間間隔をおいて前記充電制御装置に接続する請求項1~4のいずれかに記載の充電制御システム。
【請求項7】
複数の前記充電器が、前記充電制御装置に接続するタイミングがそれぞれ異なるように設定するタイミング設定部をさらに有する請求項1~4のいずれかに記載の充電制御システム。
【請求項8】
自然エネルギーを用いた発電システムによって出力される電力量に関する情報を取得する電力量取得部と、
前記電力量取得部によって取得された前記電力量に基づいて、充電に使用できる充電電流の上限値を算出する算出部と、をさらに有し、
前記設定情報取得部は、前記算出部によって算出された前記上限値に基づいて前記設定電流情報を取得する請求項1~4のいずれかに記載の充電制御システム。
【請求項9】
複数の前記充電器は、一つの充電スポット内に設置される請求項1~4のいずれかに記載の充電制御システム。
【請求項10】
複数の前記充電器は、離間した複数の異なる充電スポット内に設置される請求項1~4のいずれかに記載の充電制御システム。
【請求項11】
複数の電気自動車の充電器から接続を受け付け可能であり、各充電器の充電電流を管理する充電制御装置であって、
使用可能な充電電流の上限値である設定電流情報を取得する設定情報取得部と、
各前記充電器から所定の間隔ごとに接続を受け付けた際に、既に使用されている電流の値と、前記設定電流情報によって示される前記上限値とを比較することによって、使用可能な電流の余力値を特定する特定部と、
前記特定部によって特定された前記余力値が所定の閾値以上である場合は、当該充電器の充電電流の値を増加させ、前記余力値が前記閾値よりも小さい場合は、当該充電器の充電電流の値を減少させるように当該充電器の充電電流の値を決定する決定部と、
前記決定部によって決定された前記充電電流の値を、当該充電器に送信して、当該充電器による前記電気自動車の充電を制御する充電制御部と、
を有する充電制御装置。
【請求項12】
複数の電気自動車の充電器から接続を受け付け可能であり、各充電器の充電電流を管理する充電制御装置によって実行される充電制御方法であって、
使用可能な充電電流の上限値である設定電流情報を取得する設定情報取得ステップと、
各前記充電器から所定の間隔ごとに接続を受け付けた際に、既に使用されている電流の値と、前記設定電流情報によって示される前記上限値とを比較することによって、使用可能な電流の余力値を特定する特定ステップと、
前記特定ステップにおいて特定された前記余力値が所定の閾値以上である場合は、当該充電器の充電電流の値を増加させ、前記余力値が前記閾値よりも小さい場合は、当該充電器の充電電流の値を減少させるように当該充電器の充電電流の値を決定する決定ステップと、
前記決定ステップにおいて決定された前記充電電流の値を、当該充電器に送信して、当該充電器による前記電気自動車の充電を制御する充電制御ステップと、
を含む充電制御方法。
【請求項13】
情報処理装置を請求項11に記載の充電制御装置として機能させるための充電制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電制御システム、充電制御装置、充電制御方法、および充電制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、低炭素社会の実現に向けて、電気自動車の導入が促進されつつある。これに伴い、電気自動車の充電を行うための装置やサービスも提供されている。さらに近年では、複数の電気自動車を効率的に充電するための技術も提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2023-154651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1記載の技術は、制御親機が電流の余力を示す差分情報を複数の制御子機それぞれに送信し、各制御子機が、受信した差分情報と当該制御子機が制御する各充電器の電流基準値に基づいて、各充電器の充電電流を増減させるものである。この場合、各制御子機は、他の制御子機によって実施される充電電流の変更を考慮することなく、制御親機から送信された差分情報に基づいて、自身が制御する複数の充電器の充電電流を変更させることになる。そのため、各制御子機は、他の制御子機に制御される充電器の充電電流も含めた充電電流の合計を考慮せずに、自身が制御する充電器の充電電流を変更することになる。したがって、充電電流の変更量が最小電流設定値であるとしても、複数の制御子機それぞれに制御される複数の充電器による充電電流の合計が、使用可能な電流の最大値を超えてしまい問題となる可能性がある。また、充電電流の合計が、使用可能な電流の最大値を超えてしまった場合、制御親機はその旨を示す差分情報を各制御子機に送信し、各制御子機は当該差分情報に基づいて各充電器の充電電流を減少させる。したがって、充電電流の合計が最大値よりも大きく減少してしまい、大きな余力が発生してしまうという問題も発生しうる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、複数の電気自動車を充電する際に、設定された電流の上限値を超えることなく、また、使用可能な電力の余力を極力少なくしつつ、各電気自動車を効率的に充電するための充電制御システム、充電制御装置、充電制御方法、および充電制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
充電制御システムは、電気自動車の充電器の充電電流を管理する充電制御装置と、一つ以上の充電器と、を有する。各充電器は、ネットワークを介して充電制御装置に所定の時間間隔をおいて定期的に接続する接続部と、接続部によって充電制御装置に接続した際に充電制御装置から指示された充電電流の値に基づいて充電を実行する充電部と、を有する。充電制御装置は、設定情報取得部と、特定部と、決定部と、充電制御部と、を有する。設定情報取得部は、使用可能な充電電流の上限値である設定電流情報を取得する。特定部は、各充電器から定期的な接続を受け付けた際に、既に使用されている電流の値と、設定電流情報によって示される上限値とを比較することによって、使用可能な電流の余力値を特定する。決定部は、特定部によって特定された余力値が所定の閾値以上である場合は、当該充電器の充電電流の値を増加させ、余力値が閾値よりも小さい場合は、当該充電器の充電電流の値を減少させるように当該充電器の充電電流の値を決定する。充電制御部は、決定部によって決定された充電電流の値を、当該充電器に送信して、当該充電器による電気自動車の充電を制御する。
【0007】
充電制御装置は、複数の電気自動車の充電器から接続を受け付け可能であり、各充電器の充電電流を管理する。充電制御装置は、設定情報取得部と、特定部と、決定部と、充電制御部と、を有する。設定情報取得部は、使用可能な充電電流の上限値である設定電流情報を取得する。特定部は、各充電器から定期的な接続を受け付けた際に、既に使用されている電流の値と、設定電流情報によって示される上限値とを比較することによって、使用可能な電流の余力値を特定する。決定部は、特定部によって特定された余力値が所定の閾値以上である場合は、当該充電器の充電電流の値を増加させ、余力値が閾値よりも小さい場合は、当該充電器の充電電流の値を減少させるように当該充電器の充電電流の値を決定する。充電制御部は、決定部によって決定された充電電流の値を、当該充電器に送信して、当該充電器による電気自動車の充電を制御する。
【0008】
充電制御方法は、複数の電気自動車の充電器から接続を受け付け可能であり、各充電器の充電電流を管理する充電制御装置によって実行される。充電制御方法は、設定情報取得ステップと、特定ステップと、決定ステップと、充電制御ステップと、を含む。設定情報取得ステップは、使用可能な充電電流の上限値である設定電流情報を取得する。特定ステップは、各充電器から定期的な接続を受け付けた際に、既に使用されている電流の値と、設定電流情報によって示される上限値とを比較することによって、使用可能な電流の余力値を特定する。決定ステップは、特定ステップにおいて特定された余力値が所定の閾値以上である場合は、当該充電器の充電電流の値を増加させ、余力値が閾値よりも小さい場合は、当該充電器の充電電流の値を減少させるように当該充電器の充電電流の値を決定する。充電制御ステップは、決定ステップにおいて決定された充電電流の値を、当該充電器に送信して、当該充電器による電気自動車の充電を制御する。
【0009】
充電制御プログラムは、情報処理装置を上記の充電制御装置として機能させるように構成される。
【発明の効果】
【0010】
充電制御装置は、使用可能な充電電流の上限値である設定電流情報を取得する。充電制御装置は、各充電器から定期的な接続を受け付けた際に、既に使用されている電流の値と、設定電流情報によって示される上限値とを比較することによって、使用可能な電流の余力値を特定する。充電制御装置は、特定された余力値が所定の閾値以上である場合は、当該充電器の充電電流の値を増加させ、余力値が閾値よりも小さい場合は、当該充電器の充電電流の値を減少させるように当該充電器の充電電流の値を決定する。充電制御装置は、決定された充電電流の値を、当該充電器に送信して、当該充電器による電気自動車の充電を制御する。これにより、複数の電気自動車を充電する際に、設定された電流の上限値を超えることなく、また、使用可能な電力の余力を極力少なくしつつ、各電気自動車を効率的に充電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るシステムの概略構成を示す図である。
図2】充電器の概略構成を示すブロック図である。
図3】情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図4】外部サーバーの概略構成を示すブロック図である。
図5】ユーザー端末の概略構成を示すブロック図である。
図6】情報処理装置の制御部の概略構成を示すブロック図である。
図7】充電制御システムによって実行される処理の手順を示すフローチャートである。
図8】充電制御システムによって複数の充電器による充電が制御される様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張され、実際の比率とは異なる場合がある。
【0013】
<システム構成>
まず、本発明の一実施形態に係るシステムについて説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係るシステムの概略構成を示す図である。
【0015】
図1に示すように、システム1は、複数の電気自動車100(電気自動車100a、100b、…、100x)、複数の充電器200(充電器200a、200b、…、200x)、情報処理装置300、外部サーバー400、およびユーザー端末500によって構成される。各電気自動車100と各充電器200とは、専用の充電ケーブルによって接続される。充電器200、情報処理装置300、外部サーバー400、およびユーザー端末500は、インターネット等のネットワークを介して、相互に通信可能に接続されている。なお、各構成間の接続は、上記の例に限定されず、各構成同士が任意の方法によって接続されてもよい。充電器200および情報処理装置300は、充電制御システムを構成する。
【0016】
以下、各構成について詳細に説明する。
【0017】
<電気自動車100>
電気自動車100は、充電器200によって充電される電力を利用して走行可能な各種車両である。電気自動車100は、電力のみを利用して走行可能ないわゆる電気自動車(EV)であってもよく、電力以外のエネルギーも活用して走行可能ないわゆるハイブリッドタイプの車両であってもよい。電気自動車100の種類は特に限定されず、1輪、2輪、3輪、4輪、あるいは5輪以上を有する自動車、バイク、スクーター、キックボード、スケートボード等、いかなる車両であってもよい。
【0018】
<充電器200>
充電器200は、電気自動車100のバッテリーを充電するための充電装置であり、需要家であるユーザーの住宅や事業所、各種店舗、駐車場等に設けられている。充電器200は、ネットワークを介して遠隔地から制御可能である。複数の充電器200は、一つの充電スポット(充電器200が設置されたエリア)内に設置されてもよく、離間した複数の異なる充電スポット内に設置されてもよい。
【0019】
図2は、充電器200の概略構成を示すブロック図である。
【0020】
図2に示すように、充電器200は、制御部210、記憶部220、通信部230、および充電部240を備える。各構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。また、各構成要素は、バスを介さずに直接ネットワークを介して情報処理装置300と接続されてもよい。
【0021】
制御部210は、CPU(Central Processing Unit)を備え、プログラムに従い、上述した各構成要素の制御や各種の演算処理を実行する。
【0022】
記憶部220は、予め各種プログラムや各種データを記憶するROM(Read Only Memory)、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM(Random Access Memory)等を備える。
【0023】
通信部230は、ネットワークを介して、他の端末や装置と通信するためのインターフェースを備える。通信部230は、たとえば、情報処理装置300と各種データ等の送受信を行う。
【0024】
充電部240は、家庭用コンセント(たとえば200V)等を介して供給される電力を用いて、情報処理装置300から送信されて設定された電流値により電気自動車100のバッテリーの充電を行う。
【0025】
充電部240に電気自動車100が接続されると、通信部230は、接続部として、ネットワークを介して所定の時間間隔をおいて定期的に情報処理装置300に接続する。充電器200は、充電部240によって充電が実行されている場合には第1の時間間隔をおいて情報処理装置300に接続し、充電部240によって充電が実行されていない場合には第1の時間間隔よりも長い第2の時間間隔をおいて情報処理装置300に接続する。
【0026】
充電部240によって充電が実行されている場合、充電器200が上記のように通信部230を介して情報処理装置300に接続した際に、情報処理装置300から充電電流の値に関する指示を受信する。充電部240は、情報処理装置300から指示された充電電流の値に基づいて、電気自動車100の充電を実行する。
【0027】
<情報処理装置300>
情報処理装置300は、充電器200を適切に制御する充電制御サービスを提供する事業者等によって設けられるサーバーである。本実施形態において、情報処理装置300は、充電制御装置として機能する。
【0028】
図3は、情報処理装置300の概略構成を示すブロック図である。
【0029】
図3に示すように、情報処理装置300は、制御部310、記憶部320、通信部330、および操作表示部340を備える。各構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。
【0030】
情報処理装置300の制御部310、記憶部320、および通信部330の各構成は、充電器200の対応する構成と同様であるため、重複する説明を省略する。
【0031】
操作表示部340は、各種の情報を表示したり、ユーザーからの入力を受け付けたりするための構成であり、たとえば、タッチパネル式のディスプレイによって構成される。操作表示部340は、液晶ディスプレイ、マウス等のポインティングデバイス、キーボード等の組み合わせによって構成されてもよい。
【0032】
記憶部320には、制御部310を、設定情報取得部、特定部、決定部、充電制御部、変更部、タイミング設定部、電力量取得部、および算出部として機能させるためのプログラムが記憶されている。また、記憶部320には、上記の各部による処理を実行するために必要となる各種情報も記憶されている。たとえば、記憶部320には、一つの充電スポットまたは離間した複数の異なる充電スポットにおいて使用可能な充電電流の上限を示す値である設定電流情報が記憶され得る。また、記憶部320には、使用可能な電流に余裕があるか否かを判断するための余力値の閾値を示す情報も記憶され得る。また、記憶部320には、充電器200の充電電流を増加させる際の上昇幅を示す上昇ステップ情報、または上昇率を示す上昇率情報、減少させる際の下降幅を示す下降ステップ情報、下降率を示す下降率情報等も記憶され得る。また、記憶部320には、余力値に応じて、充電器200の充電電流を変動させる際の変動度合いを決定するためのテーブル情報等も記憶され得る。また、記憶部320には、各充電器200によって出力される充電電流の上限値に関する充電器上限値情報および下限値に関する情報も記憶され得る。情報処理装置300の機能について、詳細は後述する。
【0033】
<外部サーバー400>
外部サーバー400は、太陽光発電等の自然エネルギーを用いた発電システムによって出力される電力量に関する情報を保有して提供するサーバーである。
【0034】
図4は、外部サーバー400の概略構成を示すブロック図である。
【0035】
図4に示すように、外部サーバー400は、制御部410、記憶部420、通信部430、および操作表示部440を備える。各構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。
【0036】
外部サーバー400の制御部410、記憶部420、通信部430、および操作表示部440の各構成は、情報処理装置300の対応する構成と同様であるため、重複する説明を省略する。
【0037】
<ユーザー端末500>
ユーザー端末500は、電気自動車100を充電するユーザーが使用するスマートフォン、タブレットPC、ノートPC等の情報端末である。
【0038】
図5は、ユーザー端末500の概略構成を示すブロック図である。
【0039】
図5に示すように、ユーザー端末500は、制御部510、記憶部520、通信部530、および操作表示部540を備える。各構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。
【0040】
ユーザー端末500の制御部510、記憶部520、通信部530、および操作表示部540の各構成は、情報処理装置300の対応する構成と同様であるため、重複する説明を省略する。
【0041】
<情報処理装置300の機能>
図6は、情報処理装置の制御部の概略構成を示すブロック図である。
【0042】
図6に示すように、情報処理装置300は、制御部310のCPUが記憶部320に記憶されたプログラムを読み込んで処理を実行することによって、設定情報取得部311、特定部312、決定部313、充電制御部314、変更部315、タイミング設定部316、電力量取得部317、および算出部318として機能する。
【0043】
設定情報取得部311は、使用可能な充電電流の上限を示す値である設定電流情報を取得する。
【0044】
特定部312は、各充電器200から定期的な接続を受け付けた際に、当該情報処理装置300に接続される各充電器200によって既に使用されている電流の値と、設定電流情報によって示される上限値とを比較することによって、使用可能な電流の余力値を特定する。
【0045】
決定部313は、特定部312によって特定された余力値が所定の閾値以上である場合は、当該充電器200の充電電流の値を増加させ、余力値が閾値よりも小さい場合は、当該充電器200の充電電流の値を減少させるように当該充電器200の充電電流の値を決定する。
【0046】
充電制御部314は、決定部313によって決定された充電電流の値を、当該充電器200に送信して、当該充電器200による電気自動車100の充電を制御する。
【0047】
設定情報取得部311は、充電器200の充電電流を増加させる際の上昇幅を示す上昇ステップ情報と、充電器200の充電電流を減少させる際の下降幅を示す下降ステップ情報とを取得してもよい。この場合、決定部313は、充電器200に指示されている充電電流の値を取得し、余力値が所定の閾値以上である場合は、当該充電器200に指示されている充電電流の値に上昇ステップ情報によって示される上昇幅を加算して、当該充電器200の充電電流の値を決定してもよい。また、余力値が閾値よりも小さい場合は、決定部313は、当該充電器200に指示されている充電電流の値から下降ステップ情報によって示される下降幅を減算して、当該充電器200の充電電流の値を決定してもよい。
【0048】
また、設定情報取得部311は、充電器200の充電電流を増加させる際の上昇率を示す上昇率情報と、充電器200の充電電流を減少させる際の下降率を示す下降率情報とを取得してもよい。この場合、決定部313は、充電器200に指示されている充電電流の値を取得し、余力値が所定の閾値以上である場合は、上昇率情報によって示される上昇率を当該充電器200に指示されている充電電流の値に適用して増加させて、当該充電器200の充電電流の値を決定してもよい。また、余力値が閾値よりも小さい場合は、決定部313は、当該充電器200に指示されている充電電流の値に下降率情報によって示される下降率を適用して減少させて、当該充電器200の充電電流の値を決定してもよい。
【0049】
変更部315は、余力値に応じて、充電器200の充電電流を変動させる際の変動度合いを決定する。この場合、決定部313は、充電器200に指示されている充電電流の値を取得し、余力値が所定の閾値以上である場合は、変更部315によって決定された変動度合いに基づいて当該充電器200に指示されている充電電流の値を増加させて、当該充電器200の充電電流の値を決定してもよい。また、余力値が閾値よりも小さい場合は、変更部315によって決定された変動度合いに基づいて当該充電器200に指示されている充電電流の値を減少させて、当該充電器200の充電電流の値を決定してもよい。
【0050】
設定情報取得部311は、各充電器200によって出力される充電電流の上限値に関する充電器上限値情報をさらに取得してもよい。この場合、決定部313は、充電器上限値情報をさらに考慮して、各充電器200の充電電流の値を決定してもよい。
【0051】
タイミング設定部316は、複数の充電器200が、情報処理装置300に接続するタイミングがそれぞれ異なるように各充電器200の接続タイミングを設定する。
【0052】
電力量取得部317は、自然エネルギーを用いた発電システムによって出力される電力量に関する情報を取得する。
【0053】
算出部318は、電力量取得部317によって取得された電力量に基づいて、充電に使用できる充電電流の上限値を算出する。この場合、設定情報取得部311は、算出部318によって算出された上限値に基づいて設定電流情報を取得することができる。
【0054】
<システムにおける処理フロー>
図7は、充電制御システムによって実行される処理の手順を示すシーケンスチャートである。図7に示される各構成によって実行される処理は、各構成の記憶部にプログラムとして記憶されており、制御部のCPUが各部を制御することにより実行される。
【0055】
図7に示すように、各充電器200(200a、200b、…、200x)は、予め記憶部220に記憶された所定の時間間隔が経過しているか否かを判断する(ステップS201)。充電器200は、当該充電器200の充電部240によって充電が実行されている場合には、上記の所定の時間間隔として、第1の時間間隔を使用する。また、充電器200は、当該充電器200の充電部240によって充電が実行されていない場合には、上記の所定の時間間隔として、第1の時間間隔よりも長い第2の時間間隔を使用する。たとえば、第1の時間間隔は、数十秒程度の比較的短い時間であり、第2の時間間隔は、数分程度の比較的長い時間である。本実施形態では、第1の時間間隔は、30秒であり、第2の時間間隔は、5分であるものとして説明する。
【0056】
所定の時間間隔が経過していない場合(ステップS201:NO)、充電器200は、所定の時間間隔が経過するまで待機する。
【0057】
所定の時間間隔が経過した場合(ステップS201:YES)、充電器200は、充電器200による充電に関する各種情報を含む充電情報を取得し、情報処理装置300に送信する(ステップS202)。
【0058】
たとえば、各充電器200は、電源が投入されて使用開始されると、情報処理装置300に接続し、そのタイミングから、所定の時間間隔のカウントを開始する。したがって、各充電器200は、基本的にはそれぞれ異なるタイミングにおいて情報処理装置300に接続する。複数の充電器200が同じタイミングにおいて、情報処理装置300に接続した場合、情報処理装置300は、キューを用いて各充電器200からの接続を受け付けて必要な処理を順次実行する。ここで、情報処理装置300は、複数の充電器200が、情報処理装置300に接続するタイミングがそれぞれ異なるように各充電器200の接続タイミングを設定してもよい。複数の充電器200は、設定された接続タイミングにおいて情報処理装置300に接続した後は、所定の時間間隔ごとに情報処理装置300に接続するため、その後も異なるタイミングにおいて情報処理装置300に接続することになる。
【0059】
充電情報には、充電器200を識別するための識別情報、充電器200の状況(充電実施中、待機中等)を示すステータス情報、情報処理装置300から指示されて充電器200に設定されている充電電流の値を示す情報等が含まれる。充電情報には、充電器200による実効電流の値を示す情報や電力を示す情報等が含まれてもよい。
【0060】
情報処理装置300は、充電器200から送信された充電情報を取得する(ステップS301)。
【0061】
情報処理装置300は、使用可能な電流の余力値を特定する(ステップS302)。具体的には、情報処理装置300は、ステップS301の処理において取得した対象の充電器200の充電情報と、記憶部320に記憶されている他の充電器200に設定されている充電電流に関する情報に基づいて、現在使用されている電流の値を取得する。情報処理装置300は、現在使用されている電流の値と、設定電流情報として記憶部320に記憶されている使用可能な充電電流の上限を示す値とを比較することによって、使用可能な電流の余力値を特定する。
【0062】
情報処理装置300は、特定された余力値に基づいて、対象の充電器200の充電電流を決定する(ステップS303)。たとえば、情報処理装置300は、余力値が所定の閾値以上である場合は、対象の充電器200の充電電流の値を増加させ、余力値が所定の閾値よりも小さい場合は、対象の充電器200の充電電流の値を減少させる。
【0063】
たとえば、情報処理装置300は、充電器200の充電電流を増加させる際の上昇幅を示す上昇ステップ情報と、充電器200の充電電流を減少させる際の下降幅を示す下降ステップ情報を、ユーザー端末500を介したユーザーからの入力等によって受け付けて記憶部320に予め記憶してもよい。この場合、情報処理装置300は、余力値が所定の閾値以上である場合は、当該充電器200に指示されている充電電流の値に上昇ステップ情報によって示される上昇幅を加算して当該充電器200の充電電流の値を決定してもよい。また、情報処理装置300は、余力値が所定の閾値よりも小さい場合は、当該充電器200に指示されている充電電流の値から下降ステップ情報によって示される下降幅を減算して当該充電器200の充電電流の値を決定してもよい。
【0064】
あるいは、情報処理装置300は、充電器200の充電電流を増加させる際の上昇率を示す上昇率情報と、充電器200の充電電流を減少させる際の下降率を示す下降率を、ユーザー端末500を介したユーザーからの入力等によって受け付けて記憶部320に予め記憶してもよい。この場合、情報処理装置300は、余力値が所定の閾値以上である場合は、上昇率情報によって示される上昇率を当該充電器200に指示されている充電電流の値に適用して増加させて、当該充電器200の充電電流の値を決定してもよい。また、情報処理装置300は、余力値が所定の閾値よりも小さい場合は、当該充電器200に指示されている充電電流の値に下降率情報によって示される下降率を適用して減少させて、当該充電器200の充電電流の値を決定してもよい。
【0065】
あるいは、情報処理装置300は、余力値に応じて、充電器200の充電電流を変動させる際の変動度合いを異ならせてもよい。たとえば、情報処理装置300は、余力値に応じて、上昇幅、下降幅、上昇率、下降率が異なるようなテーブル情報を予め記憶しておくことによって、余力値に応じて充電電流の変動度合いを異ならせてもよい。また、情報処理装置300は、余力値に応じて充電電流の変動度合いが異なるような算出式やルールを記憶しておくことによって、余力値に応じて充電電流の変動度合いを異ならせてもよい。また、情報処理装置300は、多数の教師データを用いて機械学習された学習済モデルを用いることによって、余力値に応じて充電電流の変動度合いを異ならせてもよい。この場合、情報処理装置300は、余力値が所定の閾値以上である場合は、変動度合いに基づいて当該充電器200に指示されている充電電流の値を増加させて、当該充電器200の充電電流の値を決定してもよい。また、情報処理装置300は、余力値が所定の閾値よりも小さい場合は、変動度合いに基づいて当該充電器200に指示されている充電電流の値を減少させて、当該充電器200の充電電流の値を決定してもよい。なお、上記の例では、情報処理装置300は、余力値が所定の閾値以上か否かを判断した上で充電電流の変動度合いを変更する例について説明したが、情報処理装置300は、閾値との比較を行うことなく、余力値に応じて充電電流の変動度合いを変更してもよい。
【0066】
なお、情報処理装置300は、充電器200によって出力される充電電流の上限値に関する充電器上限値情報を記憶している。これにより、情報処理装置300は、充電器200によって出力される充電電流の上限値を考慮した上で、充電器200の充電電流を決定することができる。
【0067】
情報処理装置300は、ステップS303の処理において決定された充電電流の値を、充電電流情報として、対象の充電器200に送信することによって、対象の充電器200に充電電流の値を指示する。
【0068】
対象の充電器200は、情報処理装置300から指示された充電電流の値に基づいて、電気自動車100の充電を実行する(ステップS203)。各充電器200が、情報処理装置300に充電情報を送信してから、充電電流の指示を受信するまでにかかる時間は、概ね1秒程度である。
【0069】
<処理例>
たとえば、ある充電スポットにおいて、使用可能な充電電流の上限を示す値が70Aに設定されており、充電器200として、充電器200a~200cの3台が情報処理装置300に接続されている場合を例に挙げて、システムの動作例を説明する。各充電器200によって出力される充電電流の上限値は32A、下限値は6Aに設定されているものとする。また、上昇ステップ情報として4A、下降ステップ情報として6A、余力値の閾値として3Aが設定されているものとする。最初に充電器200aと充電器200bの2台が情報処理装置300に接続されて先に充電が開始され、その後で充電器200cが接続される場合について説明する。
【0070】
<初期段階の処理例>
まず、充電器200aおよび充電器200bの使用が順次開始され、充電器200aおよび充電器200bが情報処理装置300に順次接続すると、充電器200aおよび充電器200bそれぞれの充電電流は、下限値である6Aに設定される。その後、充電器200aおよび充電器200bが所定の時間間隔ごとに情報処理装置300に接続すると、余力値は閾値よりも十分に大きいため、上昇ステップ情報に基づいて充電電流の増加が指示される。その結果、充電器200aおよび充電器200bそれぞれの充電電流は、充電器200としての上限値である32Aまで増加する。この時点で、充電スポットにおいて使用されている電流の値は、64Aである。なお、余力値に応じて変動度合いを異ならせることによって、たとえば余力値が大きい場合には、充電電流の増加の度合いを大きくして効率的に充電を行うことができる。
【0071】
この段階で、充電器200cの使用が開始され、充電器200cが情報処理装置300に接続すると、余力値は上限の70Aから使用中の64Aを引いた6Aであり、充電器200cの充電電流は下限値である6Aに設定される。この時点で、充電スポットにおいて使用されている電流の値は70Aとなる。
【0072】
<充電器3台が接続されてから1巡目の処理例>
次に、充電器200aが所定の時間間隔の経過によって情報処理装置300に接続すると、充電スポットにおいて使用されている電流の値は70Aであり、余力値は0Aとなる。したがって、余力値が閾値である3Aよりも小さいために、情報処理装置300は、充電器200aの充電電流を下降ステップ情報に基づいて6A減少させて、26Aに決定する。この時点で、充電スポットにおいて使用されている電流の値は64Aとなる。
【0073】
次に、充電器200bが所定の時間間隔の経過によって情報処理装置300に接続すると、充電スポットにおいて使用されている電流の値は64Aであり、余力値は6Aとなる。したがって、余力値が閾値である3A以上であるために、情報処理装置300は、充電器200bの充電電流を上昇ステップ情報に基づいて4A増加させる。しかし、充電器200bの充電電流は既に充電器200の上限値である32Aであるため、情報処理装置300は、充電器上限値情報を考慮して、充電器200bの充電電流を32Aに決定する。この時点で、充電スポットにおいて使用されている電流の値は64Aとなる。
【0074】
次に、充電器200cが所定の時間間隔の経過によって情報処理装置300に接続すると、充電スポットにおいて使用されている電流の値は64Aであり、余力値は6Aとなる。したがって、余力値が閾値である3A以上であるために、情報処理装置300は、充電器200cの充電電流を上昇ステップ情報に基づいて4A増加させる。したがって、情報処理装置300は、充電器200cの充電電流を10Aに決定する。この時点で、充電スポットにおいて使用されている電流の値は68Aとなる。
【0075】
<充電器3台が接続されてから2巡目の処理例>
次に、充電器200aが所定の時間間隔の経過によって情報処理装置300に接続すると、充電スポットにおいて使用されている電流の値は68Aであり、余力値は2Aとなる。したがって、余力値が閾値である3Aよりも小さいために、情報処理装置300は、充電器200aの充電電流を下降ステップ情報に基づいて6A減少させて、20Aに決定する。この時点で、充電スポットにおいて使用されている電流の値は62Aとなる。
【0076】
次に、充電器200bが所定の時間間隔の経過によって情報処理装置300に接続すると、充電スポットにおいて使用されている電流の値は62Aであり、余力値は8Aとなる。したがって、余力値が閾値である3A以上であるために、情報処理装置300は、充電器200bの充電電流を上昇ステップ情報に基づいて4A増加させる。しかし、充電器200bの充電電流は既に充電器200の上限値である32Aであるため、情報処理装置300は、充電器上限値情報を考慮して、充電器200bの充電電流を32Aに決定する。この時点で、充電スポットにおいて使用されている電流の値は62Aとなる。
【0077】
次に、充電器200cが所定の時間間隔の経過によって情報処理装置300に接続すると、充電スポットにおいて使用されている電流の値は62Aであり、余力値は8Aとなる。したがって、余力値が閾値である3A以上であるために、情報処理装置300は、充電器200cの充電電流を上昇ステップ情報に基づいて4A増加させる。したがって、情報処理装置300は、充電器200cの充電電流を14Aに決定する。この時点で、充電スポットにおいて使用されている電流の値は66Aとなる。
【0078】
<充電器3台が接続されてから3巡目の処理例>
次に、充電器200aが所定の時間間隔の経過によって情報処理装置300に接続すると、充電スポットにおいて使用されている電流の値は66Aであり、余力値は4Aとなる。したがって、余力値が閾値である3A以上であるために、情報処理装置300は、充電器200aの充電電流を上昇ステップ情報に基づいて4A増加させて、24Aに決定する。この時点で、充電スポットにおいて使用されている電流の値は70Aとなる。
【0079】
次に、充電器200bが所定の時間間隔の経過によって情報処理装置300に接続すると、充電スポットにおいて使用されている電流の値は70Aであり、余力値は0Aとなる。したがって、余力値が閾値である3Aよりも小さいために、情報処理装置300は、充電器200bの充電電流を下降ステップ情報に基づいて6A減少させて、26Aに決定する。この時点で、充電スポットにおいて使用されている電流の値は64Aとなる。
【0080】
次に、充電器200cが所定の時間間隔の経過によって情報処理装置300に接続すると、充電スポットにおいて使用されている電流の値は64Aであり、余力値は6Aとなる。したがって、余力値が閾値である3A以上であるために、情報処理装置300は、充電器200cの充電電流を上昇ステップ情報に基づいて4A増加させて、充電器200cの充電電流を18Aに決定する。この時点で、充電スポットにおいて使用されている電流の値は68Aとなる。
【0081】
以降、同様の処理が繰り返されることによって、充電に使用できる充電電流の上限値の範囲内で、各充電器200の充電電流が自律的に調整され、複数の充電器200による複数の電気自動車100の充電を効率的に行うことができる。
【0082】
<実施例>
図8は、充電制御システムによって複数の充電器による充電が制御される様子を示す図である。
【0083】
上段および下段の表は、それぞれ、ある充電スポット(車庫または駐車場)において、6台の充電器200が情報処理装置300に接続されており、各充電器200に電気自動車100が順次接続されて、充電が実行された結果を示している。各電気自動車100が充電スポットに到着して充電に接続される時刻や、各電気自動車100が充電スポットを離れるために充電器200との接続を解除する時刻は、各電気自動車100の利用状況に応じて異なっている。また、各電気自動車100が必要とする充電電力量も、各電気自動車100の利用状況に応じて異なっている。
【0084】
上段の表は、使用可能な充電電流の上限値が200Aに設定されている場合の例であり、下段の表は、使用可能な充電電流の上限値が100Aに設定されている場合の例である。左側の表は、各充電器200における必要な充電電力量、電気自動車100の接続時刻および接続解除時刻、電気自動車100が接続されている接続時間、電気自動車100の充電が実行されている充電時間、接続時間に対する充電時間の割合を示している。右側のグラフは、各充電器200における電気自動車100の接続時刻、電気自動車100の充電が実行されている時間(濃いグレー)、電気自動車100が接続されているが充電が実行されていない時間(薄いグレー)、電気自動車100の接続解除時間を示している。
【0085】
上限値が200Aの場合は、上限値が100Aの場合と比較すると、6台の充電が早く完了しているが、電気自動車100が充電器200に接続されているのに、充電が実行されていない時間の割合が多くなっている。実際に、上限値が200Aの場合の充電時間割合が24%であるのに対して、上限値が100Aの場合の充電時間割合は35%となっている。すなわち、上限値を100Aに設定することによって、各電気自動車100が充電器200に接続されている時間を有効に活用して、電力利用のピーク性緩和、電力の効率的利用を実現できている。また、設定電流の上限値を100Aからさらに下げて、70Aあるいは50A等に設定しても、各電気自動車100を順次充電器200に接続するだけで、充電可能な時間を有効に活用して、効率的に各電気自動車の充電を実行することができる。
【0086】
なお、上記の例では、充電に使用できる充電電流の上限値は、設定電流情報として予め記憶部320に記憶されているものとして説明したが、これに限定されない。たとえば、情報処理装置300は、外部サーバー400にアクセスして、太陽光発電等の自然エネルギーを用いた発電システムによって出力される電力量に関する情報を取得し、取得された電力量に基づいて、充電に使用できる充電電流の上限値を算出してもよい。この場合、情報処理装置300は、算出された上限値を設定電流情報として取得して使用することができる。
【0087】
以上のように、本実施形態の充電制御システムは、電気自動車100の充電器200の充電電流を管理する情報処理装置300と、一つ以上の充電器200とを有する。各充電器200は、ネットワークを介して情報処理装置300に所定の時間間隔をおいて定期的に接続し、情報処理装置300に接続した際に情報処理装置300から指示された充電電流の値に基づいて充電を実行する。情報処理装置300は、使用可能な充電電流の上限値である設定電流情報を取得する。情報処理装置300は、各充電器200から定期的な接続を受け付けた際に、既に使用されている電流の値と、設定電流情報によって示される上限値とを比較することによって、使用可能な電流の余力値を特定する。情報処理装置300は、特定された余力値が所定の閾値以上である場合は、当該充電器200の充電電流の値を増加させ、余力値が閾値よりも小さい場合は、当該充電器200の充電電流の値を減少させるように当該充電器200の充電電流の値を決定する。情報処理装置300は、決定された充電電流の値を、当該充電器200に送信して、当該充電器200による電気自動車100の充電を制御する。これにより、複数の電気自動車を充電する際に、設定された電流の上限値を超えることなく、また、使用可能な電力の余力を極力少なくしつつ、各電気自動車を効率的に充電することができる。
【0088】
本実施形態の充電制御システムによれば、複数の充電器200を情報処理装置300に接続して、使用可能な電流の上限値を設定するだけで、各充電器200が定期的に情報処理装置300に接続して、電力の余力値に応じた充電電流を取得して充電を実行する。したがって、使用可能な充電電流の上限値の範囲内で、各充電器200の充電電流が自律的に調整され、複数の充電器200による複数の電気自動車100の充電を効率的に行うことができる。
【0089】
さらに、電力利用のピーク性を低減させることができるため、電力供給の逼迫を緩和することができる。
【0090】
従来は、たとえばユーザーが充電スポットに複数の充電器200を設置した場合、電力使用量のピークに合わせて電力供給元との契約アンペア数を大幅に増加させる必要があった。本実施形態の充電制御システムによれば、電流の上限値を設定して、使用可能な電力量の範囲内で、複数の充電器200の充電電流を効率的に調整して充電を実行することができる。したがって、契約アンペア数を大幅に増加させることなく、複数の電気自動車100の充電を効率的に実行することができる。
【0091】
また、情報処理装置300は、充電器200の充電電流を増加させる際の上昇幅を示す上昇ステップ情報と、充電器200の充電電流を減少させる際の下降幅を示す下降ステップ情報とをさらに取得する。情報処理装置300は、充電器200に指示されている充電電流の値を取得し、余力値が所定の閾値以上である場合は、当該充電器200に指示されている充電電流の値に上昇ステップ情報によって示される上昇幅を加算する。情報処理装置300は、余力値が閾値よりも小さい場合は、当該充電器200に指示されている充電電流の値から下降ステップ情報によって示される下降幅を減算する。これにより、各充電器200の充電電流の増減を、任意の上昇幅および下降幅によって適切に調整することができる。
【0092】
また、情報処理装置300は、充電器200の充電電流を増加させる際の上昇率を示す上昇率情報と、充電器200の充電電流を減少させる際の下降率を示す下降率情報とをさらに取得する。情報処理装置300は、各充電器200に指示されている充電電流の値を取得し、余力値が所定の閾値以上である場合は、上昇率情報によって示される上昇率を当該充電器200に指示されている充電電流の値に適用して増加させる。情報処理装置300は、余力値が閾値よりも小さい場合は、当該充電器200に指示されている充電電流の値に下降率情報によって示される下降率を適用して減少させる。これにより、各充電器200の充電電流の増減を、任意の上昇率および下降率によって適切に調整することができる。
【0093】
また、情報処理装置300は、余力値に応じて、充電器200の充電電流を変動させる際の変動度合いを決定する。情報処理装置300は、各充電器200に指示されている充電電流の値を取得し、余力値が所定の閾値以上である場合は、決定された変動度合いに基づいて当該充電器200に指示されている充電電流の値を増加させる。情報処理装置300は、余力値が閾値よりも小さい場合は、決定された変動度合いに基づいて当該充電器200に指示されている充電電流の値を減少させる。これにより、余力値に応じて変動度合いを異ならせることができ、たとえば余力値が大きい場合には、充電電流の増加の度合いを大きくして、使用可能な電力の余力を極力少なくすることによって、効率的に充電を実行することができる。また、余力値が小さい場合には、充電電流の増加の度合いを小さくして、各充電器200の充電電流を細かく調整することによって、効率的に充電を実行することができる。
【0094】
また、情報処理装置300は、各充電器200によって出力される充電電流の上限値に関する充電器上限値情報を取得し、充電器上限値情報をさらに考慮して、充電電流の値を決定する。これにより、充電器200が出力可能な電流の上限値を考慮して充電を実行できるため、充電器200に無理な負荷をかけることを回避しつつ、充電器200の性能を最大限に発揮させて、効率的かつ安全に充電を実行することができる。
【0095】
また、充電器200は、充電部240によって充電が実行されている場合には第1の時間間隔をおいて情報処理装置300に接続し、充電部240によって充電が実行されていない場合には第1の時間間隔よりも長い第2の時間間隔をおいて情報処理装置300に接続する。これにより、充電器200が充電を実行している間は、比較的短い時間間隔ごとに充電器200を情報処理装置300に接続させて充電電流を調整することができ、複数の充電器200による充電を効率的に実行することができる。また、充電器200が充電を実行していない間は、比較的長い時間間隔ごとに充電器200を情報処理装置300に接続させることによって、処理リソースや消費電力の無駄を削減することができる。
【0096】
また、情報処理装置300は、複数の充電器200が、情報処理装置300に接続するタイミングがそれぞれ異なるように設定する。これにより、複数の充電器200は、順次情報処理装置300に接続して、その時点の余力値に基づいて決定された充電電流によって充電を実行することによって、各電気自動車100を効率的に充電することができる。
【0097】
また、情報処理装置300は、自然エネルギーを用いた発電システムによって出力される電力量に関する情報を取得する。情報処理装置300は、取得された電力量に基づいて、充電に使用できる充電電流の上限値を算出し、算出された上限値に基づいて設定電流情報を取得する。これにより、太陽光発電等の出力される電力量が状況によって変動する発電システムを利用して充電する場合であっても、出力される電力量に基づいて使用可能な充電電流の上限値を設定することができる。したがって、自然エネルギーを用いた発電システムによって複数の電気自動車を充電する場合であっても、使用可能な電流の上限値を超えることなく、また、使用可能な電力の余力を極力少なくしつつ、各電気自動車を効率的に充電することができる。
【0098】
複数の充電器200は、一つの充電スポット内に設置されてもよい。一つの充電スポットは、たとえば、バスやタクシー等の公共交通機関の車庫や複数の車両を使用する各種事業者の車庫、店舗や住宅の駐車場等である。充電スポットに設置される複数の充電器200を情報処理装置300に接続して、使用可能な電流の上限値を設定しておくだけで、設定された電流の上限値を超えることなく、また、使用可能な電力の余力を極力少なくしつつ、複数の電気自動車を効率的に充電することができる。
【0099】
また、複数の充電器200は、離間した複数の異なる充電スポット内に設置されてもよい。これにより、充電器200が設置されている場所に関わらず、複数の充電器200によって充電を実行する際に、設定された電流の上限値を超えることなく、また、使用可能な電力の余力を極力少なくしつつ、効率的に充電を実行することができる。たとえば、バーチャルパワープラント(VPP:Virtual Power Plant)によって、離間した複数の異なる充電スポットに対して、所定の電力を供給する場合が考えられる。このような場合でも、離間した複数の異なる充電スポット内に設置された複数の充電器200によって充電を実行する際に、設定された電流の上限値を超えることなく、また、使用可能な電力の余力を極力少なくしつつ、効率的に充電を実行することができる。
【0100】
なお、本発明は、上述した実施形態および各変形例のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0101】
たとえば、情報処理装置300は、上述した実施形態および各変形例において別々に説明された処理を、適宜組み合わせて実行することができる。
【0102】
また、システム1に含まれる電気自動車100、充電器200、情報処理装置300、外部サーバー400、およびユーザー端末500の各構成は、それぞれ上記の構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上記の構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
【0103】
また、各構成が有する機能は、他の構成によって実現されてもよい。たとえば、情報処理装置300が有するものとして説明した機能の一部を、電気自動車100、充電器200、外部サーバー400、またはユーザー端末500等の他の構成が実行するようにしてもよい。
【0104】
また、電気自動車100、充電器200、情報処理装置300、外部サーバー400、およびユーザー端末500は、それぞれ複数の装置によって構成されてもよく、あるいは単一の装置によって構成されてもよい。
【0105】
また、上述した実施形態に係るシステムにおける処理は、上記のシーケンスチャートのステップ以外のステップを含んでもよく、あるいは、上述したステップのうちの一部を含まなくてもよい。また、ステップの順序は、上述した実施形態に限定されない。さらに、各ステップは、他のステップと組み合わされて一つのステップとして実行されてもよく、他のステップに含まれて実行されてもよく、複数のステップに分割されて実行されてもよい。
【0106】
また、上述したシーケンスチャートは、一部のステップを省略してもよく、他のステップが追加されてもよい。また各ステップの一部は同時に実行されてもよく、一つのステップが複数のステップに分割されて実行されてもよい。
【0107】
上述した実施形態に係るシステムにおける各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえば、フレキシブルディスクおよびCD-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、システムの一機能としてその装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0108】
1 システム、
100(100a、100b、…、100x) 電気自動車、
200(200a、200b、…、200x) 充電器、
210 制御部、
220 記憶部、
230 通信部、
240 充電部、
300 情報処理装置、
310 制御部、
311 設定情報取得部、
312 特定部、
313 決定部、
314 充電制御部、
315 変更部、
316 タイミング設定部、
317 電力量取得部、
318 算出部、
320 記憶部、
330 通信部、
340 操作表示部、
400 外部サーバー、
410 制御部、
420 記憶部、
430 通信部、
440 操作表示部、
500 ユーザー端末、
510 制御部、
520 記憶部、
530 通信部、
540 操作表示部。
【要約】
【課題】複数の電気自動車を充電する際に、設定された電流の上限値を超えることなく、また、使用可能な電力の余力を極力少なくしつつ、各電気自動車を効率的に充電するための充電制御システムを提供する。
【解決手段】充電制御装置300は、各充電器200から定期的な接続を受け付けた際に、既に使用されている電流の値と、設定電流情報によって示される上限値とを比較することによって、使用可能な電流の余力値を特定する。充電制御装置300は、特定された余力値が所定の閾値以上である場合は、当該充電器200の充電電流の値を増加させ、余力値が閾値よりも小さい場合は、当該充電器200の充電電流の値を減少させるように当該充電器200の充電電流の値を決定する。充電制御装置300は、決定された充電電流の値を、当該充電器200に送信して、当該充電器200による電気自動車の充電を制御する。
【選択図】図1
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図8