IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋製罐グループホールディングス株式会社の特許一覧 ▶ メビウスパッケージング株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-合成樹脂製容器、及びプリフォーム 図1
  • 特許-合成樹脂製容器、及びプリフォーム 図2
  • 特許-合成樹脂製容器、及びプリフォーム 図3
  • 特許-合成樹脂製容器、及びプリフォーム 図4
  • 特許-合成樹脂製容器、及びプリフォーム 図5
  • 特許-合成樹脂製容器、及びプリフォーム 図6
  • 特許-合成樹脂製容器、及びプリフォーム 図7
  • 特許-合成樹脂製容器、及びプリフォーム 図8
  • 特許-合成樹脂製容器、及びプリフォーム 図9
  • 特許-合成樹脂製容器、及びプリフォーム 図10
  • 特許-合成樹脂製容器、及びプリフォーム 図11
  • 特許-合成樹脂製容器、及びプリフォーム 図12
  • 特許-合成樹脂製容器、及びプリフォーム 図13
  • 特許-合成樹脂製容器、及びプリフォーム 図14
  • 特許-合成樹脂製容器、及びプリフォーム 図15
  • 特許-合成樹脂製容器、及びプリフォーム 図16
  • 特許-合成樹脂製容器、及びプリフォーム 図17
  • 特許-合成樹脂製容器、及びプリフォーム 図18
  • 特許-合成樹脂製容器、及びプリフォーム 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】合成樹脂製容器、及びプリフォーム
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20241225BHJP
   B65D 1/00 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
B65D1/02 220
B65D1/00 120
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021016921
(22)【出願日】2021-02-04
(65)【公開番号】P2022119649
(43)【公開日】2022-08-17
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】518172978
【氏名又は名称】メビウスパッケージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯野 裕喜
(72)【発明者】
【氏名】市川 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】平松 健太
(72)【発明者】
【氏名】中谷 豊彦
(72)【発明者】
【氏名】押川 克哉
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-066776(JP,A)
【文献】特開2013-082119(JP,A)
【文献】特開2017-214071(JP,A)
【文献】特開2006-124019(JP,A)
【文献】特表2009-530205(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01970181(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
B65D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端側に口部が形成され、下端側が半球状に閉塞する胴部を備える有底筒状に形成されたプリフォームであって、
前記胴部が、胴部内層と胴部外層とを含み、
前記胴部内層には、軸方向に沿って延在する突条部が形成され、
前記胴部外層が、前記突条部を除く前記胴部内層の周面を覆うように積層され、
前記口部と前記胴部内層とが、透光性の熱可塑性ポリエステルを用いて一体に成形され、
前記胴部外層が、熱可塑性ポリエステルに発泡剤を含有させた発泡性樹脂を用いて成形され、
前記突条部が形成された部位が透光部形成領域として設けられており、
前記胴部外層が遮光部形成領域として設けられていることを特徴とするプリフォーム。
【請求項2】
前記胴部外層が、多数の気泡を含む発泡構造を有する請求項1に記載のプリフォーム。
【請求項3】
請求項1記載のプリフォームをブロー成形してなる合成樹脂製容器の製造方法であって、
前記プリフォームの前記胴部を選択的に加熱して、前記胴部外層を形成する発泡性樹脂を発泡させ、それによって形成された多数の気泡を含む発泡構造を有するように前記胴部外層の内部構造を変化させつつ、ブロー成形が可能な状態とされた前記プリフォームをブロー成形型にセットして、ブロー成形することにより、
前記透光部形成領域によって形成される透光部を、収容部の軸方向に沿った所定の範囲に帯状に形成し、
前記遮光部形成領域によって形成される遮光部を、前記収容部の前記透光部を除く部位に形成することを特徴とする合成樹脂製容器の製造方法。
【請求項4】
請求項2記載のプリフォームをブロー成形してなる合成樹脂製容器の製造方法であって、
前記プリフォームの前記胴部を選択的に加熱して、ブロー成形が可能な状態とされた前記プリフォームをブロー成形型にセットして、ブロー成形することにより、
前記透光部形成領域によって形成される透光部を、収容部の軸方向に沿った所定の範囲に帯状に形成し、
前記遮光部形成領域によって形成される遮光部を、前記収容部の前記透光部を除く部位に形成することを特徴とする合成樹脂製容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容液の液面を視認可能な透光部を備える合成樹脂製容器、及びそのような合成樹脂製容器をブロー成形するためのプリフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を用いて有底筒状のプリフォームを形成し、次いで、このプリフォームを二軸延伸ブロー成形などによってボトル状に成形してなる合成樹脂製の容器が知られている。
【0003】
近年、この種の合成樹脂製容器は、飲料品用、調味料用などに限らず、各種の用途に広く利用されるようになってきており、用途に応じた工夫も種々なされている。例えば、特許文献1には、内容物を紫外線から保護するために、容器自体を着色した樹脂により不透明にするとともに、内容物を再充填して使用する際に、充填の状態が見えるように、縦帯状の透明な窓部が形成された合成樹脂製窓付き容器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-108796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年にあっては、使用済みの容器を回収して、リサイクル樹脂として種々の用途への再利用が図られているところ、特許文献1のように内容物の保護を目的とする場合の外にも、加飾などの目的を以て、顔料などの着色剤を樹脂に配合することによって容器が着色されていると、再利用できる用途が限られてしまうという問題があった。
【0006】
本発明者らは、このような事情に鑑みて、リサイクル性を損なうことなく遮光性を付与して、内容液の光による変質を抑制しながらも、内容液の液面の視認性を高めるべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るプリフォームは、上端側に口部が形成され、下端側が半球状に閉塞する胴部を備える有底筒状に形成されたプリフォームであって、前記胴部が、胴部内層と胴部外層とを含み、前記胴部内層には、軸方向に沿って延在する突条部が形成され、前記胴部外層が、前記突条部を除く前記胴部内層の周面を覆うように積層され、前記口部と前記胴部内層とが、透光性の熱可塑性ポリエステルを用いて一体に成形され、前記胴部外層が、熱可塑性ポリエステルに発泡剤を含有させた発泡性樹脂を用いて成形され、前記突条部が形成された部位が透光部形成領域として設けられており、前記胴部外層が遮光部形成領域として設けられている構成としてある。
【0008】
また、本発明に係る合成樹脂製容器の製造方法は、上記プリフォームをブロー成形することにより、前記透光部形成領域によって形成される透光部を、収容部の軸方向に沿った所定の範囲に帯状に形成し、前記遮光部形成領域によって形成される遮光部を、前記収容部の前記透光部を除く部位に形成する方法としてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、顔料などの着色剤を樹脂に配合せずとも遮光性を付与することができ、リサイクル性を損なうことなく、内容液の光による変質を抑制しながらも、透光部を通して内容液の液面を視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す正面図である。
図3図2のA-A断面図である。
図4図2のB-B断面図である。
図5】本発明の実施形態に係るプリフォームの概略を示す正面図である。
図6図5のC-C断面図である。
図7】本発明の実施形態に係るプリフォームを成形するための射出成形システムの一例を示す説明図である。
図8】流路部材の一例を示す斜視図である。
図9】流路部材の一例を示す斜視図である。
図10】ノズル部内における樹脂材料の状態を模式的に示す説明図である。
図11】ノズル部内における樹脂材料の状態を模式的に示す説明図である。
図12】樹脂流路内における樹脂材料の流れを示す説明図である。
図13】本発明の実施形態に係るプリフォームの変形例の概略を示す正面図である。
図14図13のD-D断面図である。
図15】本発明の実施形態に係るプリフォームの変形例におけるプリフォーム中間体の概略を示す正面図である。
図16図15のE-E断面図である。
図17】本発明の実施形態に係る合成樹脂製容器の変形例について、図2のA-A断面に相当する断面を示す断面図である。
図18】本発明の実施形態に係るプリフォームの他の変形例の概略を示す正面図である。
図19図18のF-F断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す斜視図であり、図2は、同正面図である。図3は、図2のA-A断面図、図4は、図2のB-B断面図であるが、断面にあらわれる肉厚を誇張して描写しており、実際の寸法は反映されていない。
【0013】
これらの図に示す容器1は、内容液の注入出口となる口部2と、内溶液が収容される収容部3とを備えている。収容部3は、その高さ方向上端側の部位が口部2に向かって縮径して口部2の下端に連接する胴部4と、胴部4の高さ方向下端側を閉塞する底部5とを含むように成形することができる。図示する例では、容器1が、概ね円筒状の容器形状を備えるように成形されているが、容器1の形状は、これに限定されない。
【0014】
ここで、高さ方向とは、口部2側を上にして容器1を水平面に正立させたときに、水平面に直交する方向をいうものとし、容器1の上下左右及び縦横の方向は、口部2側を上にして正立させた図2に示す状態で規定するものとする。
【0015】
図示する例において、円筒状に形成された口部2の周面には、図示しない蓋体を打栓によって取り付けるための係合突部2aが設けられているが、蓋体の取り付け手段は、これに限定されない。係合突部2aに代えてネジ山を設けることにより、螺着によって蓋体が取り付けられるようにしてもよい。
また、口部2の下端側には、周方向に沿って外方に突出する環状のネックリング2bが設けられている。
【0016】
収容部3には、内容液の液面が視認できるように、軸方向に沿って所定の範囲に帯状に形成された透光性を有する透光部6が設けられている。
また、収容部3の透光部6を除く部位には、多数の気泡を含む発泡構造によって遮光性が付与された遮光部7が設けられている。
【0017】
このような容器1によれば、顔料などの着色剤を樹脂に配合せずとも遮光性を付与することができるため、容器1のリサイクル性を損なうことなく、収容された内容液の光による変質を抑制することができる。これに加えて、例えば、内容液を再充填する際には、透光部6を通して内容液の液面を視認できるため、内容液が溢れたりしないようにしながら、適量の内容液を再充填することも可能である。
【0018】
また、内容液の液面の視認性を高めるには、口部2を通しても内容液の液面を視認できるように、口部2が透光性を有しているのが好ましい。着色剤を樹脂に配合する場合、選択的に口部2が着色されないようにするのは困難であり、口部2も着色されてしまうため、口部2が透光性を有するようにはできないが、本実施形態にあっては、そのような不具合はなく、収容部3に透光部6を設けるとともに、口部2が透光性を有するようにして、内容液の液面の視認性を高めることが可能である。
【0019】
また、顔料などの着色剤が樹脂に配合されていないため、容器1がリサイクルに供されずに焼却処分されるような場合に、その燃焼残渣を低減させることもできる。
【0020】
本実施形態において、容器1は、例えば、図5に示すようなプリフォーム10をブロー成形することによって、所定の容器形状を備えるように成形することができる。
【0021】
図5は、容器1をブロー成形するためのプリフォーム10の一例を示しており、プリフォーム10は、上端側に口部20が形成され、下端側が半球状に閉塞する胴部30を備える有底筒状に形成されている。
【0022】
ここで、プリフォーム10の上下左右及び縦横の方向は、口部20側を上にして図5に示す状態で規定するものとする。
なお、図6は、図5のC-C断面図であるが、断面にあらわれる肉厚を誇張して描写しており、実際の寸法は反映されていない。
【0023】
プリフォーム10の口部20は、ブロー成形によって延伸されずに、その外観を概ね維持して容器1の口部2となる部位であり、プリフォーム10の口部20には、容器1に付された符号と同一の符号を以て示す係合突部2a、ネックリング2bが設けられている。プリフォーム10は、後述するように、口部20に設けられたネックリング2bの下方を起点として胴部30が延伸されて、容器1の収容部3となるように成形されることによって、所定の容器形状を呈するようにブロー成形される。その際、容器1の収容部3に透光部6と遮光部7とが形成されるように、プリフォーム10は、透光部6に対応させて設けられた透光部形成領域60と、遮光部7に対応させて設けられた遮光部形成領域70とを備えている。
【0024】
このようなプリフォーム10は、例えば、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,非晶ポリアリレート,ポリ乳酸,ポリエチレンフラノエート又はこれらの共重合体などの透光性の熱可塑性ポリエステルを用いることができ、特に、ポリエチレンテレフタレートなどのエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルを好適に用いて成形することができる。
【0025】
そして、少なくとも遮光部形成領域70が、上記した樹脂を熔融混錬する際に、炭酸ガス、窒素ガスなどの不活性ガスを物理発泡剤として、又は熱分解により炭酸ガスを発生する炭酸塩、熱分解により窒素ガスを発生するアゾ化合物などの熱分解性化合物を化学発泡剤として、熔融された樹脂に溶解させるなどして、所定量の発泡剤を樹脂中に含有させた発泡性樹脂によって形成されるようにし、少なくとも透光部形成領域60が、上記した樹脂に発泡剤を含有させていない樹脂(発泡剤非含有樹脂)によって形成されるようにすることができる。
【0026】
また、このようなプリフォーム10は、射出成形によって、例えば、次のようにして成形することができる。
【0027】
図7は、プリフォーム10を成形するための射出成形システムの一例を示す説明図であり、ノズル部100を含む要部断面を模式的に示している。
【0028】
図7に示す射出成形システムにおいて、プリフォーム10を成形する金型Mのキャビティ内に熔融樹脂を射出するノズル部100は、先端中央部にノズル開口部103が設けられたノズル本体102と、ノズル本体102内に同軸に配設されて、ノズル本体102との間に樹脂流路104を形成する流路部材101とを備えており、ノズル部100内の樹脂が流動可能な熔融状態に維持されるように、図示しないヒータによって加熱制御される。
【0029】
ノズル本体102内に配設される流路部材101は、ノズル本体102との間に樹脂流路104を形成する部位を除いて、円筒状のノズル本体102の内周面に密着するように形成された円柱状の部材であり、ノズル本体102の内周面が、ノズル開口部103に向かって縮径するテーパー面105を含むとともに、かかるテーパー面105に対向して配設される流路部材101の先端側が、先細り状に傾斜するテーパー部106とされている。
【0030】
また、流路部材101の内部には、ノズル開口部103を開閉する細長い円柱状のシャットオフピン108が、中心軸に沿って挿通されるとともに、図示しない射出装置から発泡性樹脂が供給される第一樹脂供給路109と、図示しない射出装置から発泡剤非含有樹脂が供給される第二樹脂供給路110とが、流路部材101の軸方向に沿って穿設されている。
【0031】
第一樹脂供給路109は、流路部材101の円柱部の側面に開口して、ノズル本体102との間に形成される樹脂流路104に発泡性樹脂を供給する第一開口部109aを有している。第二樹脂供給路110は、流路部材101の先端側のテーパー部106に開口して、ノズル本体102との間に形成される樹脂流路104に発泡剤非含有樹脂を供給する第二開口部110aを有している。第一開口部109aと第二開口部110aは、それぞれ流路部材101の中心軸を間に挟んで当該中心軸を含む同一平面上に位置するように開口する。
【0032】
また、図8及び図9に示すように、流路部材101の外周面には、第一開口部109aを始端として、流路部材101の側面に沿って二方向に対称に分かれて第二開口部110aに向かうとともに、終端側が湾曲してテーパー部106に至り、第二開口部110aでV字状に交差して終端するガイド溝111が刻設されている。そして、流路部材101のガイド溝111よりも先端側の部位が、ノズル本体102の内周面に密着する他の部位よりも小径に形成されており、これによって、ノズル本体102の内周面との間に樹脂流路104となる間隙が形成されるようにしている。
【0033】
なお、図8では、第二開口部110aが前面側にあらわれるように流路部材101を斜視して示しており、図9では、第一開口部109aが前面側にあらわれるように流路部材101を斜視して示している。
【0034】
このように構成されたノズル部100によれば、第一開口部109aから供給された発泡性樹脂が、ガイド溝111に案内されて第二開口部110aに向かっていきながら、樹脂流路104内をノズル開口部103に向かって流動していくようにすることができる(図10及び図12参照)。その際、ガイド溝111が、その終端側が湾曲してテーパー部106に至り、第二開口部110aでV字状に交差して終端していることから、ガイド溝111に案内されてきた発泡性樹脂には、第二開口部110aに向かって左右から合流しながらノズル開口部103へと向かう方向性を伴った流れ(図12中矢印αで示す)が生じるようになる。そこに、第二開口部110aから発泡剤非含有樹脂を供給すると(図11参照)、第二開口部110aに向かって左右から合流する発泡性樹脂の間に押し出された透光性の樹脂が、発泡性樹脂の流れに伴われて、図12中矢印βで示すように、ノズル開口部103に向かって所定の幅を以て直線状に流動していくようにすることができる。
【0035】
ここで、図10は、第二樹脂供給路110に発泡剤非含有樹脂が滞留した状態で、第一樹脂供給路109の第一開口部109aから発泡性樹脂が供給された際のノズル部100内における樹脂の状態を模式的に示しており、図11は、それに加えて、第二樹脂供給路110の第二開口部110aから発泡剤非含有樹脂が供給された際のノズル部100内における樹脂の状態を模式的に示している。図10及び図11において、発泡剤非含有樹脂は網掛けで示し、発泡性樹脂はベタ塗りで示している。
【0036】
このようにして樹脂流路104内を流動する樹脂をノズル開口部103から射出するにあたっては、発泡性樹脂を第一樹脂供給路109に供給する射出装置の射出スクリュと、発泡剤非含有樹脂を第二樹脂供給路110に供給する射出装置の射出スクリュの駆動をそれぞれ制御する。そして、第一開口部109aから発泡性樹脂が供給されるタイミングと、第二開口部110aから発泡剤非含有樹脂が供給されるタイミングとを適宜調整しつつ、発泡性樹脂の流動中の破泡と充填後の発泡を抑制できるように、高圧に保持された金型Mのキャビティ内に、保圧しながら射出充填する。これにより、発泡剤非含有樹脂からなる透光部形成領域60が、軸方向に沿って所定の範囲に帯状に延在するように胴部30に設けられ、それ以外の遮光部形成領域70を含む部位が発泡性樹脂によって形成されたプリフォーム10を成形することができる。
なお、図5に示すプリフォーム10の一例において、発泡性樹脂によって形成された部位を斜線で網掛けして示すが、この段階では、発泡性樹脂によって形成された部位は非発泡であり、当該部位においても透光性を有する状態でプリフォーム10が成形される。
【0037】
このようにして成形されたプリフォーム10をブロー成形するには、まず、プリフォーム10を加熱、軟化させてブロー成形が可能な状態としてから、図示しないブロー成形型にセットする。プリフォーム10を加熱するには、例えば、赤外線ヒータなどによって加熱することができる。その際、口部20を遮蔽体で覆うなどして、胴部30が選択的に加熱されるようにするが、このような加熱処理を経ることによって、口部20を形成する発泡性樹脂が発泡しないようにしつつ、胴部30の遮光部形成領域70を形成する発泡性樹脂を発泡させ、それによって形成された多数の気泡を含む発泡構造を有するように、胴部30に設けられた遮光部形成領域70の内部構造を変化させることができる。
【0038】
そして、ブロー成形型にセットされたプリフォーム10は、必要に応じて延伸ロッドにより軸方向(縦方向)に延伸されつつ、プリフォーム10内に吹き込まれたブローエアーによって軸方向及び周方向(横方向)に延伸される。このとき、口部20に設けられたネックリング2bの下方を起点として胴部30が延伸され、ブロー成形型のキャビティ形状が転写されることによって、延伸された胴部30が容器1の収容部3となるように成形される。
【0039】
このようにしてプリフォーム10をブロー成形することで、成形された容器1にあっては、発泡剤非含有樹脂からなる透光部形成領域60によって透光部6が形成され、多数の気泡を含む発泡構造を有する遮光部形成領域70によって遮光部7が形成される。その結果、軸方向に沿って所定の範囲に帯状に形成された透光性を有する透光部6が設けられ、透光部6を除く部位に、多数の気泡を含む発泡構造によって遮光性が付与された遮光部7が設けられた収容部3を備える容器1を成形することができる。
【0040】
ここで、図示する例では、容器1に設けられた透光部6が、ネックリング2bの下方から底部5に至る範囲に、軸方向に沿って帯状に形成されているが、透光部6が形成される範囲は、これに限定されない。透光部6が形成される範囲は、プリフォーム10に設ける透光部形成領域60に応じて定まるため、前述したようにしてプリフォーム10を成形する際に、発泡性樹脂を供給するタイミングと、発泡剤非含有樹脂を供給するタイミングとを適宜調整して、発泡剤非含有樹脂によって形成される透光部形成領域60の範囲を変更することによって、内容液の液面の視認性を損なわない範囲で、透光部6が形成される範囲を変更することができる。このようにしてプリフォーム10を成形するに際し、発泡剤非含有樹脂によって形成される部位が、例えば、図5に鎖線で示すように、透光部形成領域60が形成されるべき範囲を越えて口部20に至っていてもよい。
【0041】
また、図5に示すプリフォーム10の一例において、プリフォーム10の口部20を形成する発泡性樹脂が発泡してしまうと、プリフォーム10の口部20、ひいては容器1の口部2の寸法安定性が発泡によって低下して、蓋体の取り付けに支障が生じてしてしまう虞がある。このような不具合を回避するためにも、前述したように、口部20を形成する発泡性樹脂を発泡させずに、容器1の口部2が非発泡のまま、容器1が成形されるようにするのが好ましい。さらに、容器1の口部2を非発泡とすることで、収容部3に透光部6を設けるとともに、口部2が透光性を有するようにして、内容液の液面の視認性を高めることが可能にもなる。
【0042】
本実施形態において、プリフォーム10は、前述したようにして共射出により成形する外に、二色成形又はダブルモールドと称される射出成形法によって、図13に示す変形例のように成形することもできる。
【0043】
図13に示すプリフォーム10は、図5に示す例と同様に、上端側に口部20が形成され、下端側が半球状に閉塞する胴部30を備える有底筒状に形成されているが、胴部30が、胴部内層30aと胴部外層30bとを含む二層に形成されている。そして、胴部内層30aには、図示するように、軸方向に沿って延在する突条部60aを形成するとともに、かかる突条部60aを除く胴部内層30aの周面を覆うように胴部外層30bが積層されることによって、突条部60aが形成された部位が透光部形成領域60として形成され、胴部外層30bが遮光部形成領域70として形成されるようにしている。
なお、図14は、図13のD-D断面図であるが、断面にあらわれる肉厚を誇張して描写しており、実際の寸法は反映されていない。
【0044】
このようなプリフォーム10を成形するには、まず、プリフォーム10の内周面及び口部20の上端面を成形するコア型200と、ネックリング2bの上面及び周端面を含む口部20の周面側を成形する口部型201と、ネックリング2bの下面及び突条部60aを含む胴部内層30aの周面側を成形する第一の胴部型202aとを型締めし、キャビティ内に発泡剤非含有樹脂を射出することにより、図15に示すプリフォーム中間体10aを成形する。次いで、第一の胴部型202aに代えて、成形されたプリフォーム中間体10aとの間に、胴部外層30bを成形する空隙が形成されるように構成された第二の胴部型202bを用いて型締めし直してから、発泡剤を含有させた発泡性樹脂を射出して胴部外層30bを成形する。
なお、図16は、図15のE-E断面図であるが、断面にあらわれる肉厚を誇張して描写しており、実際の寸法は反映されていない。
【0045】
これにより、発泡剤非含有樹脂からなる透光部形成領域60(突条部60aが形成された部位)が、軸方向に沿って所定の範囲に帯状に延在するように胴部30に設けられ、胴部30の透光部形成領域60を除く部位に、発泡性樹脂からなる遮光部形成領域70(胴部外層30b)が設けられたプリフォーム10を成形することができる。
【0046】
このようにして成形されたプリフォーム10にあっても、前述した例と同様の加熱処理を経ることにより、遮光部形成領域70を形成する発泡性樹脂を発泡させ、それによって形成された多数の気泡を含む発泡構造を有するように、胴部30に設けられた遮光部形成領域70の内部構造を変化させることができる。そして、かかるプリフォーム10をブロー成形することによって、前述した例と同様の外観を呈し、軸方向に沿って所定の範囲に帯状に形成された透光性を有する透光部6が設けられ、透光部6を除く部位に、多数の気泡を含む発泡構造によって遮光性が付与された遮光部7が設けられた収容部3を備える容器1を成形することができる。
【0047】
また、容器1の口部2となるプリフォーム10の口部20が、発泡性樹脂によって形成される前述した例とは異なり、本変形例では、容器1の口部2となるプリフォーム10の口部20が、発泡剤非含有樹脂によって形成されるようにすることが容易である。このため、本変形例によれば、発泡性樹脂が発泡しないようにする手間を要さずに、成形された容器1の口部2が透光性を有するようにして、内容液の液面の視認性を高めることが可能である。
【0048】
また、本変形例において成形された容器1について、図2のB-B断面に相当する断面を図17に示すが、本変形例の容器1は、収容部3の内面側に、胴部内層30aによって形成された非発泡層8を有している。このため、遮光部形成領域70(胴部外層30b)が発泡することによる影響を受けることなく、収容部3の内面が平滑に成形されるようにすることができる。
なお、図17では、断面にあらわれる肉厚を誇張して描写しており、実際の寸法は反映されていない。
【0049】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0050】
例えば、前述した実施形態では、容器1をブロー成形するためのプリフォーム10として、二つの例を挙げて説明したが、軸方向に沿って所定の範囲に帯状に形成された透光性を有する透光部6が設けられ、透光部6を除く部位に、多数の気泡を含む発泡構造によって遮光性が付与された遮光部7が設けられた収容部3を備える容器1を成形することができれば、前述した例には限定されない。図18に示す他の変形例のように、軸方向に沿って透光部形成領域60が形成されるように、遮光部形成領域70を形成する発泡性樹脂が、発泡剤非含有樹脂中に埋設されるように共射出することによって、プリフォーム10を成形するなどしてもよい。
なお、図19は、図18のF-F断面図であるが、断面にあらわれる肉厚を誇張して描写しており、実際の寸法は反映されていない。
また、前述した実施形態では、ブロー成形時の加熱処理により、遮光部形成領域70を形成する発泡性樹脂を発泡させているが、プリフォーム10を射出成形した時点で、遮光部形成領域70を形成する発泡性樹脂が発泡していてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 容器
2 口部
3 収容部
6 透光部
7 遮光部
8 非発泡層
10 プリフォーム
60 透光部形成領域
70 遮光部形成領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19