(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】加熱済み冷凍食肉加工品の再加熱後の品質低下抑制剤、冷凍食肉加工品および加熱済み冷凍食肉加工品の製造方法、ならびに加熱済み冷凍食肉加工品の再加熱後の品質低下抑制方法
(51)【国際特許分類】
A23L 13/40 20230101AFI20241225BHJP
A23L 13/00 20160101ALI20241225BHJP
A23L 7/157 20160101ALI20241225BHJP
A23L 5/10 20160101ALI20241225BHJP
【FI】
A23L13/40
A23L13/00 A
A23L7/157
A23L5/10 E
(21)【出願番号】P 2020065139
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】505126610
【氏名又は名称】株式会社ニチレイフーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100188651
【氏名又は名称】遠藤 広介
(72)【発明者】
【氏名】今村 渉
【審査官】鉢呂 健
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/139899(WO,A1)
【文献】特開2005-087070(JP,A)
【文献】国際公開第2013/015401(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミロペクチン含有粉末を含有させてなる、加熱済み冷凍食肉
油ちょう食品の再加熱後の品質低下抑制剤であって、
前記品質低下抑制剤が食肉原料に適用するためのものであり、
前記品質低下抑制剤の形態が、水性液体、ピックル液、バッター液、打ち粉、ブレッダー粉、およびパン粉からなる群から選択される少なくとも一つのものであり、
前記アミロペクチン含有粉末におけるアミロペクチンの含有割合が75質量%以上であ
り、
前記アミロペクチン含有粉末が、デンプンまたはデンプンおよびタンパク質の混合物を含んでなり、
前記品質低下抑制剤における前記アミロペクチン含有粉末の含有量が、1~100質量%であり、
前記食肉と前記粉末中のアミロペクチンとの質量比(食肉:アミロペクチン)が、100:15.31~100:50である、剤。
【請求項2】
前記デンプンが、馬鈴薯デンプン、コーンスターチ、小麦デンプン、サゴヤシデンプン、タピオカデンプン、および米デンプン、ならびに、これらに加工を施して得られるデンプンからなる群から選択される少なくとも一つのデンプンである、請求項
1に記載の剤。
【請求項3】
前記デンプンが、未加工のデンプンである、請求項
1または
2に記載の剤。
【請求項4】
前記タンパク質が、乾燥卵白粉、大豆蛋白粉、小麦蛋白粉、およびエンドウ豆蛋白粉からなる群から選択される少なくとも一つのタンパク質である、請求項
1~3のいずれか一項に記載の剤。
【請求項5】
食肉原料と請求項1~
4のいずれか一項に記載の剤とを含んでなる、冷凍食肉
油ちょう食品。
【請求項6】
アミロペクチン含有粉末と液体とを混合したアミロペクチン混合液を食肉原料に注入して得られる容器内保管用冷凍食肉
油ちょう食品であって、
前記アミロペクチン混合液の形態が、水性液体およびピックル液からなる群から選択される少なくとも一つのものであり、
前記アミロペクチン含有粉末におけるアミロペクチン含有割合が75質量%以上であ
り、
前記アミロペクチン含有粉末が、デンプンまたはデンプンおよびタンパク質の混合物を含んでなり、
前記アミロペクチン混合液における前記アミロペクチン含有粉末の含有量が、1~100質量%であり、
前記食肉と前記粉末中のアミロペクチンとの質量比(食肉:アミロペクチン)が、100:15.31~100:50である、冷凍食肉油ちょう食品。
【請求項7】
加熱済み冷凍食肉
油ちょう食品を製造する方法であって、
食肉原料と請求項1~
4のいずれか一項に記載の剤とを接触させて食肉加工品を得る工程、
前記食肉加工品を
油ちょうにより加熱して加熱済み食肉油ちょう食品を得る工程、および
加熱済み食肉
油ちょう食品を冷凍する工程
を含んでなる、方法。
【請求項8】
加熱済み冷凍食肉
油ちょう食品の再加熱後の品質低下の抑制方法であって、
食肉原料と請求項1~
4のいずれか一項に記載の剤とを接触させて食肉加工品を得る工程、
前記食肉加工品を
油ちょうにより加熱
して加熱済み食肉油ちょう食品を得る工程、および
加熱済み
食肉油ちょう食品を冷凍する工程
を含んでなる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な加熱済み冷凍食肉加工品の再加熱後の品質低下抑制剤、冷凍食肉加工品および加熱済み冷凍食肉加工品の製造方法、ならびに加熱済み冷凍食肉加工品の再加熱後の品質低下抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、加熱済の冷凍畜肉加工品は広く流通している。例えば、国外より輸入するから揚げは、輸出国または輸入国の規制により、凍結前の加熱が必須の場合がある。
【0003】
一般的に、から揚げには、調味液、バッター、打ち粉の中に小麦粉等の粉体を用いることが多い。加熱後に凍結や解凍調理する鶏から揚げにおいても、コーン、小麦等を原料としたデンプン粉や、乾燥卵白や植物性たん白のようなタンパク質粉が含まれる場合が多い。コーン、小麦由来デンプン粉、およびこれら起源原料に加工が施されたデンプン粉は、安価なため多用されている。
【0004】
揚げたてのから揚げは、粉体原料の種類を問わずしっとりさがあるが、揚げた後に冷凍し、再び油ちょうしたから揚げは、冷凍していないから揚げに比べてしっとりさに乏しい食感となる。冷凍から揚げを再び油ちょうした後に加温什器内や惣菜用パック内に保管すると、さらにしっとりさが失われることが知られている。
【0005】
従来、から揚げを製造する際に用いるデンプン粉は、衣部の構成成分となるだけでなく肉と相互作用すること、さらに、その作用はデンプン粉の種類により異なることが報告されている(特許文献1)。例えば畜肉加工品の食感改良方法として、米澱粉とカルシウム塩を作用させる方法(特許文献1)等が知られており、デンプンの特徴に応じ畜肉加工品の食感に与える影響が異なることが知られている。
【0006】
しかしながら、油ちょう後に凍結し、再び油ちょう調理した後に常温下やウォーマー等で保管するといった過酷な条件を経て喫食する冷凍鶏から揚げのしっとりさ等の品質の低下を抑制するか、または再油ちょう後のしっとりさ等の品質の低下を抑制する手段は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【0008】
本発明は、加熱済み冷凍食肉加工品の再加熱後の品質低下抑制剤を提供する。
【0009】
本発明者は、アミロペクチンを特定の割合で含有するアミロペクチン含有粉末を食肉原料に適用して加熱済み冷凍食肉加工品を製造すると、加熱済み冷凍食肉加工品の再加熱後の品質低下が抑制されることを見出した。
【0010】
本発明の一実施態様によれば、以下の発明が提供される。
[1] アミロペクチン含有粉末を含有させてなる、加熱済み冷凍食肉加工品の再加熱後の品質低下抑制剤であって、
上記アミロペクチン含有粉末におけるアミロペクチンの含有割合が75質量%以上である、剤。
[2] 前記品質低下抑制が、再加熱後に保管された加熱済み冷凍食肉加工品の品質低下抑制である、[1]に記載の剤。
[3] 前記アミロペクチン含有粉末が、デンプンまたはデンプンおよびタンパク質の混合物を含んでなる、[1]または[2]に記載の剤。
[4] 前記デンプンが、馬鈴薯デンプン、コーンスターチ、小麦デンプン、サゴヤシデンプン、タピオカデンプン、および米デンプン、ならびに、これらに加工を施して得られるデンプンからなる群から選択される少なくとも一つのデンプンである、[3]に記載の剤。
[5] 前記デンプンが、未加工のデンプンである、[3]または[4]に記載の剤。
[6] 前記タンパク質が、乾燥卵白粉、大豆蛋白粉、小麦蛋白粉、およびエンドウ豆蛋白粉からなる群から選択される少なくとも一つのタンパク質である、[3]~[5]のいずれか一つに記載の剤。
[7] 前記デンプンの平均粒子径が、より大きい、[3]~[6]のいずれか一つに記載の剤。
[8] 前記剤の形態が、ピックル液、バッター液、打ち粉、ブレッダー粉、およびパン粉からなる群から選択される少なくとも一つのものである、[1]~[7]のいずれか一つに記載の剤。
[9] 食肉原料と[1]~[8]のいずれか一つに記載の剤とを含んでなる、冷凍食肉加工品。
[10] 上記冷凍食肉加工品が加熱済み冷凍食肉加工品である、[9]に記載の冷凍食肉加工品。
[11] さらに再加熱されてなる、[9]または[10]またはに記載の冷凍食肉加工品。
[12] さらに保管されてなる、[9]~[11]のいずれか一つに記載の食肉加工品。
[13] アミロペクチン含有粉末と液体とを混合したアミロペクチン混合液を食肉原料に注入して得られる、容器内保管用冷凍食肉加工品であって、前記アミロペクチン含有粉末におけるアミロペクチン含有割合が75質量%以上である、冷凍食肉加工品。
[14] 食肉と前記アミロペクチン含有粉末中のアミロペクチンとの質量比(食肉:アミロペクチン)が、100:15.3~100:50である、[9]~[13]のいずれか一つに記載の食肉加工品。
[15] 加熱済み冷凍食肉加工品を製造する方法であって、
食肉原料と[1]~[8]のいずれか一つに記載の剤とを接触させて食肉加工品を得る工程、
前記食肉加工品を加熱する工程、および
加熱済み食肉加工品を冷凍する工程
を含んでなる、方法。
[16] 加熱済み冷凍食肉加工品を再加熱する工程
をさらに含んでなる、[15]に記載の方法。
[17] 前記再加熱された加熱済み冷凍食肉加工品を保管する工程をさらに含んでなる、[16]に記載の方法。
[18] 加熱済み冷凍食肉加工品の再加熱後の品質低下の抑制方法であって、
食肉原料と[1]~[8]のいずれか一つに記載の剤とを接触させて食肉加工品を得る工程、
前記食肉加工品を加熱する工程、および
加熱済み食肉加工品を冷凍する工程
を含んでなる、方法。
[19] 加熱済み冷凍食肉加工品を再加熱する工程
をさらに含んでなる、[18]に記載の方法。
【0011】
本発明の一実施態様によれば、加熱済み冷凍食肉加工品の再加熱後の品質低下を抑制することができる。本発明の好ましい実施態様によれば、加熱済み冷凍食肉加工品を再加熱した後にウォーマー等により保管しても、品質低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、官能評価による品質(しっとりさ)の得点とアミロペクチン割合の間の散布図である。
【発明の具体的説明】
【0013】
本発明の一実施態様によれば、加熱済み冷凍食肉加工品の再加熱後の品質低下抑制剤は、アミロペクチン含有粉末を含有させてなり、上記アミロペクチン含有粉末におけるアミロペクチンの含有割合は75質量%以上である。
【0014】
本発明の好ましい実施態様によれば、アミロペクチン含有粉末は、アミロペクチンを含有していれば特に限定されず、デンプンまたはデンプンおよびタンパク質の混合物を含んでなり、好ましくは、デンプンまたはデンプンおよびタンパク質の混合物からなる。上述のデンプンまたはデンプンおよびタンパク質の混合物としては、例えば、小麦粉、大麦粉、米粉、コーンフラワー等の穀粉類であってもよく、その場合のアミロペクチンの含有割合は、それら穀粉類が含有するデンプンやタンパク質の割合から、後述の式(1)により計算できる。
【0015】
デンプン
本発明の一実施態様によれば、デンプンは、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、例えば、馬鈴薯デンプン、コーンスターチ、小麦デンプン、サゴヤシデンプン、タピオカデンプン、甘藷デンプン、米デンプン、緑豆デンプン等の未加工のデンプン、およびこれらに加工を施して得られるデンプンが挙げられる。ここで、例えば、コーンスターチとしては、スイート種、デント種、ワキシー種およびハイアミロース種等の品種は問わず、単一またはその組み合わせであってもよい。加工が施されたデンプンは、原料となるデンプンを化学的加工法、物理的加工法、酵素的加工法等により処理することによって製造することができる。化学的加工法としては、エステル化、エーテル化、架橋化、酸化、漂白処理、アルカリ処理、酸処理、または、それら処理の2種以上の組み合わせ等の公知の方法が挙げられる。エステル化デンプンの例としては、アセチル化デンプン、リン酸化デンプン、オクテニルコハク酸化デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム等が挙げられる。エーテル化デンプンの例としては、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチル化デンプン、デンプングルコール酸ナトリウム等が挙げられる。架橋デンプンの例としては、リン酸架橋デンプン等が挙げられる。エステル化、エーテル化、架橋化、酸化、漂白処理、アルカリ処理、および酸処理のうちの2種以上を組み合わせて施されたデンプンとしては、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン等が挙げられる。物理的加工法としては、湿熱処理、油脂加工、ボールミル処理、微粉砕処理、α化、加熱処理(例えば、焙焼処理)等が挙げられる。物理加工が施されたデンプンとして、好ましくは、油脂加工が施されたデンプン、湿熱処理デンプン等が挙げられる。上記に挙げたデンプンは、いずれかを単独で使用してもよく、または2種類以上を組み合わせて使用してもよい。以上の中でも、未加工のデンプン、物理加工が施されたデンプンが好ましく、未加工のデンプンがより好ましく、未加工の、コーンスターチ、サゴヤシデンプン、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプンがさらに好ましい。
【0016】
本発明の一実施態様によれば、品質低下抑制剤におけるデンプンの含有量は特に限定されるものではないが、好ましくは1~100質量%、より好ましくは3~100質量%とすることができる。
【0017】
本発明の一実施態様によれば、品質低下抑制剤におけるデンプンはデンプン粉の形態で用いてもよい。デンプン粉の平均粒子径は特に限定されるものではないが、好ましくは25μmより大きく、より好ましくは28μm以上である。また、デンプン粉の平均粒子径の上限値は特に限定されないが、好ましくは100μmであり、より好ましくは50μmである。かかる平均粒子径は、実施例を含めてレーザー回折・散乱法により測定することができる。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、マスターサイザー3000(Malvern社製)等を使用することができる。具体的にはレーザー回折式粒度分布測定装置により、デンプン粉の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒子径とすることで測定できる。
【0018】
本発明の一実施態様によれば、品質低下抑制剤における、アミロペクチン含有粉末におけるアミロペクチンの含有割合(質量による割合)は、以下の式(1)により算出できる:
粉末中アミロペクチン割合=デンプン量×(100質量%-デンプン中アミロース含有率)/(デンプン量+タンパク質量)×100(質量%) (1)
【0019】
本発明の一実施態様によれば、アミロペクチンは、アミロペクチン含有粉末の原料に含まれていた原料含有成分であってもよいし、アミロペクチン自体が添加成分であってもよい。したがって、好ましい態様によれば、アミロペクチンは、アミロペクチン添加物である。
【0020】
本発明の一実施態様によれば、品質低下抑制剤における、アミロペクチン含有粉末におけるアミロペクチンの含有割合は、再加熱した加熱済み冷凍食肉加工品のしっとりさの改善の観点から、好ましくは75質量%以上であり、より好ましくは、80質量%以上であり、さらに好ましくは、85質量%以上である。ここで、アミロペクチン含有粉末におけるアミロペクチンの含有割合とは、例えば、アミロペクチン含有粉末がデンプンのみである場合ではデンプンの総量に対するアミロペクチンの含有割合、または、アミロペクチン含有粉末がデンプンとタンパク質との混合物である場合には、デンプンおよびタンパク質の総量に対するアミロペクチンの含有割合である。かかるアミロペクチンの含有割合は式(1)により算出でき、アミロースの含有率は、実施例を含めてコンカナバリンA法により測定することができる。アミロースの測定キットとしては、Amylose/Amylopectin Assay Kit(メガザイム社製)を使用することができる。
【0021】
タンパク質
本発明の一実施態様によれば、タンパク質としては、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、例えば、乾燥卵白粉、大豆蛋白粉、小麦蛋白粉、およびエンドウ豆蛋白粉等が挙げられる。好ましいタンパク質としては、乾燥卵白粉、大豆蛋白粉が挙げられる。本発明の剤におけるタンパク質はタンパク質粉の形態で用いてもよい。
【0022】
本発明の一実施態様によれば、品質低下抑制剤におけるタンパク質の含有量は特に限定されるものではないが、好ましくは0~30質量%、より好ましくは0~25質量%とすることができる。
【0023】
本発明の一実施態様によれば、アミロペクチン含有粉末におけるタンパク質の含有量は特に限定されるものではないが、好ましくは0~30質量%、より好ましくは0~25質量%とすることができる。
【0024】
本発明の一実施態様によれば、アミロペクチン含有粉末におけるデンプンとタンパク質の質量比(デンプン:タンパク質)は、特に限定されるものではないが、例えば、100:0~100:30、好ましくは、100:0~100:25とすることができる。
【0025】
その他の成分
本発明の一実施態様によれば、品質低下抑制剤は、例えば、上記デンプン、および所望によりタンパク質の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、また、他の効果を発揮させるために、他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、食塩、砂糖、アミノ酸、しょうゆ、酒、みりん等の調味料、水、増粘剤、色素、香料、酸味料、pH調整剤、糖類、食物繊維等が挙げられ、かかる成分は調味液を構成するものであってもよい。
一つの実施態様によれば、上記剤は、食用油脂、および/または、乳酸カルシウム、塩化カルシウム等のカルシウム塩を除くものとする。
【0026】
本発明の一実施態様によれば、品質低下抑制剤は、食肉原料に添加して使用することが好ましい。品質低下抑制剤は、インジェクション等により食肉原料の内部に注入してもよいし、塗布、付着処理等により食肉原料の表面に衣等として存在してもよい。本発明の剤の形態としては、上記添加方法を実施する観点から、ピックル液(例えば、タンブリングピックル液、インジェクションピックル液)、バッター液、打ち粉、ブレッダー粉、パン粉、またはそれらの組み合わせが挙げられ、好ましくは、タンブリングピックル液、インジェクションピックル液、バッター液、打ち粉、またはそれらの組み合わせである。
【0027】
本発明の別の実施態様によれば、品質低下抑制剤としては、アミロペクチン含有粉末と液体とを混合したアミロペクチン混合液が挙げられる。ここで、液体としては、食品として使用可能な液体であれば特に限定されず、好ましくは水性液体、より好ましくは水である。かかるアミロペクチン混合液は、例えば、アミロペクチン含有粉末単体の混合液でもよく、あるいは、該混合液に食肉原料を調味等するための調味料を加えた調味液(例えば、ピックル液)等としてもよい。上記アミロペクチン混合液は、インジェクション等による食肉原料の内部への注入に好適に用いられる。
【0028】
本発明の一実施態様によれば、品質低下抑制剤を、食肉加工品のしっとりさの低下の抑制において有利に利用することができる。したがって、本発明の好ましい実施態様によれば、品質低下抑制は、しっとりさの低下抑制である。ここで、「品質低下抑制」は試験例1に記載の評価方法により判定することができる。
【0029】
食肉加工品
本発明の一実施態様によれば、食肉加工品は、食肉原料とアミロペクチン含有粉末(例えば、品質低下抑制剤)とを含んでなるか、それらを原料とする。ここで、食肉加工品は、未加熱の食肉加工品、加熱済み食肉加工品、加熱済み冷凍食肉加工品、または再加熱しかつ保管された加熱済み冷凍食肉加工品であってもよいが、好ましくは加熱済み冷凍食肉加工品、または再加熱しかつ保管された加熱済み冷凍食肉加工品である。上記加熱済み冷凍食肉加工品は、例えば、食肉原料とアミロペクチン含有粉末とを接触させて食肉加工品を得る工程、前記食肉加工品を加熱する工程、および前記加熱済み食肉加工品を冷凍する工程により得ることができる。
【0030】
本発明の一実施態様によれば、食肉加工品は、冷凍食肉加工品であってもよい。冷凍食肉加工品としては、冷凍または冷蔵保管された食肉加工品が挙げられ、例えば、未加熱の冷凍食肉加工品、加熱済み冷凍食肉加工品、再加熱された加熱済み冷凍食肉加工品、または再加熱しかつ保管された加熱済み冷凍食肉加工品が挙げられる。
【0031】
本発明の一実施態様によれば、冷凍食肉加工品は、容器内保管用冷凍食肉加工品であってもよい。ここで、容器としては、パックおよび什器が挙げられる。好ましいパックとしては、フードパックが挙げられる。好ましい什器としては、常温(例えば、約20℃)什器または加温(例えば、約65℃)什器が挙げられ、より好ましくは、ホットウォーマー(例えば、約65℃に保温されているホットウォーマー)である。
【0032】
本発明の一実施態様によれば、食肉原料に用いられる食肉は、食用可能な肉であれば特に限定されるものではなく、例えば、牛肉、豚肉、羊肉、馬肉等の畜肉、鶏、七面鳥、カモ、ガチョウ、アヒル、ウズラ等の家禽類の肉、魚介類等が挙げられ、好ましくは、鶏肉、牛肉、または豚肉である。
【0033】
また、食肉原料(食肉含有原料と称してもよい)は、食肉そのものであってもよいし、食肉を含んでなる中種(具材)であってもよいし、アミロペクチン含有粉末を含まない食品添加物(例えば、調味料)が添加されたものであってもよい。
【0034】
本発明の一実施態様によれば、食肉加工品としては、加熱調理され、温めて保管される食肉加工品が好ましい。かかる食肉加工品としては、例えば、から揚げ、フライドチキン、メンチカツ、とんかつが挙げられ、好ましくは、から揚げ、フライドチキンである。ここで、から揚げは、モモ肉から揚げであってもムネ肉から揚げであってもよい。
【0035】
本発明の一実施態様によれば、食肉加工品(好ましくは、未加熱の食肉加工品)における食肉とアミロペクチンの質量比(食肉:アミロペクチン)は、特に限定されるものではないが、食肉加工品のしっとりさの低下の抑制の観点から、例えば、100:15.3以上、好ましくは、100:15.3~100:50、より好ましくは、100:15.3~100:25である。
【0036】
本発明の一実施態様によれば、未加熱の食肉加工食品は、食肉(食肉原料)と、品質低下抑制剤とを接触させることにより製造することができる。接触処理の好ましい方法としては、食肉原料への品質低下抑制剤の注入、食肉原料表面に対する品質低下抑制剤の付着、食肉原料表面の品質低下抑制剤によるコーティング等が挙げられる。上記接触処理は、タンブラー、インジェクター、バタリングマシン、粉付け機(例えば、ブレッディングマシン)、または人手により実施することができる。より具体的には、未加熱の食肉加工食品として加熱前の鶏から揚げを製造する場合、適当な大きさにカットし調味液により下味を付けた鶏肉の表面に、品質低下抑制剤を含むバッター液および/または打ち粉を付着させることにより、加熱前の鶏から揚げを得ることができる。さらに、上記調味液は品質低下抑制剤を含むインジェクションピックル液としたものを用い、鶏肉に注入してもよい。
【0037】
また、上述の通り、本発明の一実施態様によれば、未加熱の食肉加工食品は加熱されて加熱済み食肉加工食品として提供される。加熱方法としては、例えば、油ちょう処理および/またはオーブン、蒸煮装置、またはマイクロ波加熱装置等による加熱が挙げられる。油ちょう処理は、例えば、製造された直後の未加熱の食肉加工食品、または製造された後に冷凍もしくは冷蔵保管された未加熱の食肉加工食品を、140~200℃の油中で10~600秒間油ちょう加熱することにより、行うことができる。オーブン、蒸煮装置、またはマイクロ波加熱装置等による加熱は、例えば、製造された直後の未加熱の食肉加工食品、または製造された後に冷凍もしくは冷蔵保管された未加熱の食肉加工食品を、60~150℃、湿度70~95%で3~10分間加熱することにより、行うことができる。
【0038】
本発明の一実施態様によれば、未加熱の食肉加工食品または加熱済み食肉加工食品は冷凍または冷蔵保管し、冷凍食肉加工品としてもよい。冷凍ないし冷蔵方法は、加熱前または加熱後のいずれに行ってもよいが、加熱後が好ましい。冷凍または冷蔵の方法は特に限定されるものではなく、常法により行うことができる。例えば、冷凍保管の場合、エアーブラスト式凍結法、セミエアーブラスト式凍結法、コンタクト式凍結法等の凍結法にしたがって、未加熱の食肉加工食品または加熱済み食肉加工食品を凍結した後に、-18℃以下で保管する方法や、液化窒素や液化炭酸を噴霧して未加熱の食肉加工食品または加熱済み食肉加工食品を凍結した後に、-18℃以下で保管する方法を用いることができる。特に、凍結方法としては、-35℃前後での急速冷凍が好ましい。
【0039】
さらに、本発明の一実施態様によれば、加熱済み冷凍食肉加工品は、加熱調理等の二次調理(再加熱ともいう)を施すことができる。本発明の再加熱した加熱済み冷凍食肉加工品を得るための再加熱処理の方法は、本発明の加熱済み食肉加工食品の加熱処理方法について上述したものと同様とすることができ、140~200℃の油中で120~600秒間油ちょう加熱することが好ましい。
【0040】
さらに、本発明の一実施態様によれば、加熱済み冷凍食肉加工品は再加熱した後に、20~75℃において、0.25~10時間保管することが好ましい。加熱済み冷凍食肉加工品を再加熱した後に上記温度において保管する方法は特に限定されるものではないが、例えば、常温(例えば、約20℃)下でフードパック等に入れた状態で1~10時間、好ましくは1~8時間、またはホットウォーマー等の加温器または保温器を用いて、40~75℃の下、0.25~8時間、好ましくは、65℃で、0.5~6時間、再加熱した加熱済み冷凍食肉加工品を保管する方法が挙げられる。
【0041】
また、本発明の別の態様によれば、加熱済み冷凍食肉加工品を製造する方法であって、食肉原料と品質低下抑制剤とを接触させて食肉加工品を得る工程、食肉加工品を加熱する工程、および、加熱済み食肉加工品を冷凍する工程を含んでなる方法が提供される。好ましい別の態様によれば、上記方法は、加熱済み冷凍食肉加工品を再加熱する工程をさらに含む。好ましい別の態様によれば、上記方法は、再加熱された加熱済み冷凍食肉加工品を保管する工程をさらに含む。
【0042】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、加熱済み冷凍食肉加工品の再加熱後の品質低下の抑制方法であって、食肉原料と品質低下抑制剤とを接触させて食肉加工品を得る工程、食肉加工品を加熱する工程、および加熱済み食肉加工品を冷凍する工程を含んでなる方法が提供される。好ましい別の態様によれば、上記方法は、加熱済み冷凍食肉加工品を再加熱する工程をさらに含む。
【0043】
上述の、加熱済み冷凍食肉加工品を製造する方法および加熱済み冷凍食肉加工品の再加熱後の品質低下の抑制方法は、本発明の品質抑制剤、食肉加工品、冷凍食肉加工品の製造方法に関する記載に準じて実施することができる。
【実施例】
【0044】
以下、試験例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。なお、特段の記載のない限り、下記の実験の詳細は日本工業規格(JIS)の規定に従う。
【0045】
以下の試験例では、以下の原材料を使用した。
馬鈴薯デンプン(商品名 スタビローズ-1000、松谷化学工業株式会社製)、
コーンスターチ(商品名 コーンスターチY、株式会社J-オイルミルズ製)、
小麦デンプン(商品名 小麦澱粉浮粉、三和澱粉工業株式会社製)、
サゴヤシデンプン(商品名 かんざんS、上越スターチ株式会社製)、
タピオカデンプン(商品名 かんざんT2、上越スターチ株式会社製)、
もち種コーン粉(商品名 ワキシーコーンスターチY、株式会社J-オイルミルズ製、アミロペクチン割合:99.99%)、
ハイアミロースコーン粉(商品名 HS-7、株式会社J-オイルミルズ製、アミロペクチン割合:40%(30~50%))、
アセチル化アジピン酸架橋デンプン(商品名 アラウンドスターAX-500、三和澱粉工業株式会社製)、
油脂加工が施されたデンプン(商品名 BT-700、三和澱粉工業株式会社製)、
ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン(商品名 てんじん300、王子コーンスターチ株式会社製)、
乾燥卵白粉(商品名 乾燥卵白K、キユーピータマゴ株式会社製)、
大豆蛋白粉(商品名 ニューフジプロ2000N、不二製油株式会社製)
以下の試験例において、平均粒子径はレーザー回折・散乱法を含む方法で測定し、アミロースの含有率はコンカナバリンA法を含む方法により測定した。
レーザー回折・散乱法では、レーザー回折式粒度分布測定装置マスターサイザー3000(Malvern社製)を用い、乾式法にて、分散圧2.0bar、散乱強度1%~10%の条件で、デンプン粉の粒度を測定した。その後、デンプン粉の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒子径とした。試験区毎に、10回の連続測定を3回行い、その平均値を算出した。
【0046】
試験例1:起源原料が異なる各種デンプン粉を使用した加熱済冷凍鶏モモから揚げの、再加熱後の品質の検討
(1)加熱済冷凍鶏から揚げの製造
1.鶏肉として鶏モモ肉(うわもも)を用い、かかる鶏肉を24~26gにカットした。
2.カットした鶏肉と調味液をビニール袋に入れ、適度に空気が入るように封をし、真空タンブラー(VTH-20、竹内食品機械社製)を用い15rpm、60minの条件にて鶏肉への調味液混合を行った。ここで、調味液の配合は表1に記載通りである。
3.鶏肉と調味液が入ったビニール袋の中身を取出し、100gの肉に対し10質量%分のバッター液(100gの肉に対し澱粉粉5質量%、水5質量%)と混合し、+2℃設定の冷蔵庫にて保管し、2時間以内に工程4を行った。
4.バッター液に用いたデンプン粉と同じ粉を打ち粉として鶏肉に付着させた。
5.衣を付けた鶏肉を、160℃の油で30秒油ちょうした後、コンベクションオーブン110℃湿度90%の条件にて8分30秒加熱を行い、から揚げを得た。
6.工程5で得られたから揚げを金属板の上に並べ、-35℃の凍結庫にて凍結した。
7.工程6で凍結したから揚げをビニール袋に入れ封をして、-18℃にて保管した。
8.工程7で得られた冷凍から揚げを175℃4分間油ちょうした。
9.工程8で得られたから揚げをウォーマー(温蔵ショーケース CHS-090CSE、サンデン株式会社製)内に食品の中心温度が50~65℃程度になる出力設定にて3時間30分~4時間程度保管した。
【0047】
(2)官能評価
上記(1)の製造方法の工程5で得られた未凍結および油ちょう調理直後(調理後10分以内に評価を開始)のから揚げを目標品(試験区1)とし、試験区2~4および試験区5~8のから揚げについて上記製造方法の工程8の油ちょう調理直後(10分以内)と工程9のウォーマー保管後に官能評価に供した。なお、試験区3ではコーンスターチYを用いた。
官能評価は、専門パネル3名により、喫食により行われた。官能評価の結果は表1に示した。
しっとりさ:
1点:しっとりしていない ~(2.00点以上:許容)~ 5点:しっとりしている
未凍結および油ちょう調理直後のから揚げをしっとりさの良好な目標品(試験区1)とし、そのしっとりさを5点とした。
この官能評価におけるしっとりさとは、から揚げを噛んだ際に、肉部が液体に富み、乾燥していないことを知覚できる食感であることを示す。
【0048】
【0049】
試験区2~4は、ウォーマー保管後にしっとりさが失われていた。試験区5~8のしっとりさは、試験区2~4のしっとりさに比べて良好であり、目標品(試験区1)に近いしっとりさを有していた。試験区2~4のウォーマー保管後のから揚げと試験区5~8のウォーマー保管後のから揚げとの比較により、起源原料によらずアミロペクチン割合が高いデンプン粉を使用することによって、ウォーマー保管後に鶏から揚げのしっとりさが高くなる可能性が示唆された。
【0050】
試験例2:起源原料が同一でアミロペクチン割合が異なるデンプン粉を使用した加熱済冷凍鶏モモから揚げの再加熱後の品質の検討
もち種コーン粉とハイアミロースコーン粉とを表2に示す比率で混合した混合粉をデンプンとして用い、工程8の冷凍から揚げの油ちょうの温度・時間を170℃、3分45秒とした以外は試験例1と同様の工程で加熱済冷凍鶏から揚げを製造し、官能評価を実施した。
試験例2の官能評価結果を表2に示す。
【0051】
【0052】
試験区9、10と試験区11~13を比較して、粉末中のアミロペクチン割合が高いほどウォーマー保管後の鶏から揚げのしっとりさが高い値を示した。試験例1および試験例2の試験結果におけるしっとりさ平均得点と粉末中アミロペクチン割合間の相関係数は、調理直後でr=0.831、ウォーマー保管後でr=0.791と、高い値であった。
図1にしっとりさ得点とアミロペクチン割合間の散布図を示す。アミロペクチン割合が高いデンプン粉を使用することで、ウォーマー保管後に鶏から揚げのしっとりさが高くなることが確認できた。
【0053】
試験例3:加熱済冷凍鶏ムネから揚げの再加熱後の品質の検討
食肉としてムネ肉を用いる以外は試験例2と同様の工程にて加熱済冷凍鶏ムネから揚げを製造し、官能評価を実施した。試験例3の官能評価結果を表3に示す。
【0054】
【0055】
試験区14と試験区15~17との比較結果は、試験区9と試験区11~13との傾向と同様に粉末中アミロペクチン割合が高いほどウォーマー保管後の鶏から揚げのしっとりさが高い値を示す傾向であった。したがって、食肉として鶏ムネ肉を使用した場合でも、粉末中アミロペクチン割合が高いと、ウォーマー保管後に鶏から揚げのしっとりさが高いことが確認できた。
【0056】
試験例4:加工が施されたデンプンを使用した加熱済冷凍鶏モモから揚げの再加熱後の品質の検討
デンプンとして表4に示す各種デンプン粉を用いる以外は試験例1と同様の工程にて加熱済冷凍鶏から揚げを製造し、官能評価を実施した。試験例4の官能評価結果を表4に示す。なお、試験区18のコーンスターチの未加工のデンプンは、試験区8のコーンスターチと同じデンプンである。
【0057】
【0058】
ウォーマー保管後のから揚げのしっとりさに関し、加工が施されたデンプン(試験区19~21)に比べて未加工のデンプン(試験区18)は高い値を示した。
また、ワキシーコーンを起源原料としたリン酸架橋デンプン(サナス株式会社)を用いた冷凍から揚げの比較では、リン酸架橋度合が高まるにつれウォーマー保管後の鶏から揚げのしっとりさが低減する傾向にあることが確認された。
【0059】
試験例5:加熱済冷凍鶏ムネから揚げの再加熱後の品質の検討
表5に示すデンプン粉、または、デンプン粉とタンパク質粉との組み合わせを用い、専門パネルを1名とする以外は試験例1と同様の工程にて加熱済冷凍鶏から揚げを製造し、官能評価を実施した。試験例5の官能評価結果を表5に示す。
【表5】
【0060】
試験区22~25のウォーマー保管後のから揚げの結果により、デンプン粉とタンパク質粉との混合物であってもアミロペクチン割合が高い粉を使用することによって、ウォーマー保管後に鶏から揚げのしっとりさが高くなる可能性が示唆された。
【0061】
試験例6:加熱済冷凍鶏ムネから揚げの再加熱後の品質の検討
表6に示す調味液(インジェクションピックル液)、衣(バッター液)、衣(打ち粉)を用い、さらに、工程2、工程3を下記の工程とする以外は試験例1と同様の工程にて加熱済冷凍鶏から揚げを製造し、官能評価を実施した。試験例6の官能評価結果を表6に示す。
2.注射器(テルモシリンジ SS-20ESZ、テルモ株式会社社製)および針を用いて、カットした鶏肉に調味液を注入した。
3.調味液が注入された鶏肉とバッター液とを混合した。具体的には、100gの肉に対し10質量%分のバッター液(100gの肉に対し澱粉粉5質量%、水5質量%)と混合し、+2℃設定の冷蔵庫にて保管し、2時間以内に工程4を行った。なお、打ち粉の付着分は試験区26、27ともに食肉300質量部に対して39質量部であった。
【0062】
【0063】
試験例7:アミロペクチンと肉との質量比についての検討
肉100gに対するアミロペクチン量を算出し、以下に示す。
【表7】
【0064】
表7の結果より、肉に対するアミロペクチン量が15.31%以上である鶏から揚げにおける、ウォーマー保管後の鶏から揚げのしっとりさが高い傾向を示した。