(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】遮断システム、ブレーカ、分電盤、遮断方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02B 1/40 20060101AFI20241225BHJP
【FI】
H02B1/40 A
(21)【出願番号】P 2020160070
(22)【出願日】2020-09-24
【審査請求日】2023-05-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 修平
(72)【発明者】
【氏名】塩川 明実
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-187875(JP,A)
【文献】特開平09-215178(JP,A)
【文献】特開2015-213420(JP,A)
【文献】特開2016-096627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40 - 1/44
H01H 69/00 - 69/01
H01H 71/00 - 83/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
系統電源で発生した停電の継続時間である停電継続時間の情報を取得する取得部と、
前記停電継続時間が所定の閾値時間を超えると、前記系統電源に接続されているブレーカの接点部をオフさせる遮断制御部と、
前記接点部をオフさせることを指示する指示信号を外部装置から受信する受信部と、
を備え、
前記遮断制御部は、前記停電継続時間が前記閾値時間を超えた後に、前記受信部が前記指示信号を受信すると、前記接点部をオフさせる、
遮断システム。
【請求項2】
前記取得部は、前記系統電源で発生した停電の発生時点からの時間を計測するタイマーを備える、
請求項1に記載の遮断システム。
【請求項3】
前記タイマーにより計測した時間をリセットするリセット部を更に備える、
請求項2に記載の遮断システム。
【請求項4】
前記停電継続時間が前記閾値時間を超えた場合に、前記停電継続時間が前記閾値時間を超えたことを示す情報を表示する表示部を更に備える、
請求項1~3のいずれか1項に記載の遮断システム。
【請求項5】
前記停電継続時間が前記閾値時間を超えた場合に、前記停電継続時間が前記閾値時間を超えたことを示す情報を、通信により外部装置へ送信する送信部を更に備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載の遮断システム。
【請求項6】
前記閾値時間を設定する設定部を更に備える、
請求項1~5のいずれか1項に記載の遮断システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の遮断システムと、
前記接点部と、
前記取得部、前記遮断制御部、及び前記接点部を保持する筐体と、
を備える、
ブレーカ。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載の遮断システムと、
前記ブレーカを収容する分電盤用キャビネットと、
を備える、
分電盤。
【請求項9】
系統電源で発生した停電の継続時間である停電継続時間の情報を取得することと、
前記停電継続時間が所定の閾値時間を超えた後に、前記系統電源に接続されているブレーカの接点部をオフさせることを指示する指示信号を外部装置から受信すると、前記接点部をオフさせることと、
を含む、
遮断方法。
【請求項10】
1以上のプロセッサに、請求項9に記載の遮断方法を実行させるための、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に遮断システム、ブレーカ、分電盤、遮断方法、及びプログラムに関する。本開示は、より詳細には、系統電源に接続されるブレーカの遮断を制御する遮断システム、遮断システムを備えるブレーカ、ブレーカを備える分電盤、ブレーカの遮断を制御する遮断方法、及び遮断方法を実行するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、分電盤に、地震発生を感知する感震リレーを備えた感震遮断システムが記載されている。この感震遮断システムでは、所定の震度以上の地震が発生すると、感震リレーがその一定時間後に、分電盤の主幹ブレーカを遮断動作させる。また、感震遮断システムでは、地震が発生すると、分電盤の分岐ブレーカの一部を即時に遮断動作させる。
【0003】
特許文献1には、停電が復旧して復電したら、その復電情報が表示ユニットに表示されることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された分電盤では、地震以外の災害が原因で停電が発生した場合、主幹ブレーカはオンに維持される。そのため、災害発生時の停電からの復電時には、ブレーカの周囲に人がいない状況で、ブレーカへの通電が再開される可能性がある。
【0006】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、災害による停電発生後に、周囲に人がいない状況下でブレーカへの通電が再開される事態を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る遮断システムは、取得部と、遮断制御部と、受信部と、を備える。前記取得部は、系統電源で発生した停電の継続時間である停電継続時間の情報を取得する。前記遮断制御部は、前記停電継続時間が所定の閾値時間を超えると、前記系統電源に接続されているブレーカの接点部をオフさせる。前記受信部は、前記接点部をオフさせることを指示する指示信号を外部装置から受信する。前記遮断制御部は、前記停電継続時間が前記閾値時間を超えた後に、前記受信部が前記指示信号を受信すると、前記接点部をオフさせる。
【0008】
本開示の一態様に係るブレーカは、前記遮断システムと、前記接点部と、筐体と、を備える。前記筐体は、前記取得部、前記遮断制御部、及び前記接点部を保持する。
【0009】
本開示の一態様に係る分電盤は、前記遮断システムと、分電盤用キャビネットと、を備える。前記分電盤用キャビネットは、前記ブレーカを収容する。
【0010】
本開示の一態様に係る遮断方法は、系統電源で発生した停電の継続時間である停電継続時間の情報を取得することと、前記停電継続時間が所定の閾値時間を超えた後に、前記系統電源に接続されているブレーカの接点部をオフさせることを指示する指示信号を外部装置から受信すると、前記接点部をオフさせることと、を含む。
【0011】
本開示の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、前記遮断方法を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示は、災害による停電発生後に、周囲に人がいない状況下でブレーカへの通電が再開される事態を抑制することが可能となる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る遮断システム及び遮断システムが用いられる分電盤の概略構成を示す説明図である。
【
図2】
図2は、同上の分電盤においてカバーが外された状態を正面から見た説明図である。
【
図3】
図3は、同上の遮断システムの動作を説明するフローチャートである。
【
図4】
図4は、同上の遮断システムの動作例を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態に係る遮断システム10、ブレーカ20、分電盤80、遮断方法、及びプログラムについて、添付の図面を参照して説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0015】
(1)概要
本実施形態の遮断システム10は、
図1に示すように、ブレーカ20の遮断すなわちブレーカ20の接点部21のオフ動作を制御するためのシステムである。本実施形態では、遮断システム10は、ブレーカ20の筐体22に保持(収容)されており、このブレーカ20の遮断を制御する。また、本実施形態では、ブレーカ20は、施設F1に設置された分電盤80の分電盤用キャビネット81に収容されている。
【0016】
本実施形態では、遮断システム10は主幹ブレーカ40に設けられており、主幹ブレーカ40の遮断を制御する。すなわち、遮断システム10による制御対象のブレーカ20は、主幹ブレーカ40である。主幹ブレーカ40は、系統電源90に接続されており、系統電源90から電力が供給される。
【0017】
本実施形態では、「施設」は、店舗、オフィス、工場、ビル、学校、福祉施設、又は病院等の非住宅施設、及び戸建住宅、集合住宅、又は集合住宅の各住戸等の住宅施設を含み得る。非住宅施設には、劇場、映画館、公会堂、遊技場、複合施設、百貨店、ホテル、旅館、幼稚園、図書館、博物館、美術館、地下街、駅及び空港等も含み得る。さらには、本開示でいう「施設」には、建物(建造物)だけでなく、球場、庭、駐車場、グランド及び公園等の屋外施設を含み得る。なお、本実施形態では、住人が居住する戸建住宅を、施設F1の一例として説明する。
【0018】
遮断システム10は、
図1に示すように、取得部122と、遮断制御部124と、を備えている。
【0019】
取得部122は、系統電源90で発生した停電の継続時間である停電継続時間Tcの情報を取得する。本実施形態では、「停電」とは、系統電源90からブレーカ20への電力の供給(送電)が停止した状態を意味する。
【0020】
遮断制御部124は、取得部122で取得された停電継続時間Tcが所定の閾値時間Tthを超えると、ブレーカ20の接点部21をオフさせる。より詳細には、遮断制御部124は、停電継続時間Tcが閾値時間Tthを超えると、遮断システム10が設けられているブレーカ20(主幹ブレーカ40)の接点部21(41)をオフさせる。これにより、ブレーカ20(主幹ブレーカ40)が遮断される。
【0021】
例えば、台風、地震、大雨等の災害(自然災害)の発生時、分電盤80が設けられている施設F1の住人等は、避難又は外出のために施設F1から離れている場合がある。この状態(無人の状態)で、災害のために系統電源90が停電し、その後復電すると、ブレーカ20の周囲に人がいない状況下でブレーカ20への通電が再開されることになる。この場合、ブレーカ20又はブレーカ20に接続された負荷回路等に、災害によって何らかのトラブルが発生していたとしても、住人がそのトラブルに対処することが難しい。
【0022】
本実施形態では、上述のように、停電継続時間Tcが閾値時間Tthを超えると、遮断システム10がブレーカ20を遮断する。そのため、閾値時間Tthを超える長時間の停電が発生するような災害の発生時には、遮断システム10によって、ブレーカ20が遮断される。そのため、例えば、災害によって住人が施設F1から避難して無人となった状況下で、系統電源90が復電したとしても、ブレーカ20が遮断されるためにブレーカ20への電力の供給が抑制される。要するに、本実施形態の遮断システム10によれば、災害による停電発生後に、周囲に人がいない状況下でブレーカ20への通電が再開される事態を、抑制することが可能となる。これにより、ブレーカ20への通電の再開時に発生し得るトラブルを、未然に防ぐことが可能となる。
【0023】
(2)詳細
以下、本実施形態の遮断システム10、ブレーカ20、及び分電盤80について、図面を参照してより詳細に説明する。
【0024】
上述のように、本実施形態では、遮断システム10は主幹ブレーカ40に設けられており、主幹ブレーカ40は分電盤80の分電盤用キャビネット81(
図2参照)内に収容されている。
【0025】
(2.1)分電盤
分電盤80は、
図1、
図2に示すように、主幹ブレーカ40と、複数の分岐ブレーカ50と、分電盤用キャビネット81と、を備えている。また、分電盤80は、感震ブレーカ60と、連系ブレーカ65と、を更に備えている。
【0026】
主幹ブレーカ40、複数の分岐ブレーカ50、感震ブレーカ60、及び連系ブレーカ65は、分電盤80の内器として分電盤用キャビネット81に収容されている。
【0027】
分電盤用キャビネット81は、前面が開口した箱状のボディ82(
図2参照)と、ボディ82の前面を塞ぐカバーと、を備えている。カバーは、閉位置と開位置との間で移動可能な状態でボディ82に取り付けられる。閉位置はボディ82の前面を覆う位置であり、開位置はボディ82の前面の少なくとも一部を覆わない位置である。
図2においては、カバーの図示を省略している。分電盤用キャビネット81は、造営材(例えば建物の壁100)に取り付けられる。分電盤用キャビネット81は、例えば、平均的な身長の子供では手が届かないような高さ位置であって、平均的な身長の大人であれば操作が可能なような高さ位置に設けられる。
【0028】
分電盤用キャビネット81の内部には、
図2に示すように、主幹ブレーカ40、複数の分岐ブレーカ50、感震ブレーカ60、及び連系ブレーカ65が収容されている。主幹ブレーカ40、複数の分岐ブレーカ50、感震ブレーカ60、及び連系ブレーカ65は、ボディ82に直接又は取付用の部品等を介して取り付けられている。
図2は、分電盤用キャビネット81の内部における主幹ブレーカ40、複数の分岐ブレーカ50、感震ブレーカ60、及び連系ブレーカ65の配置を示しているが、これらの配置は一例であり、適宜変更が可能である。また、分電盤用キャビネット81の内部には、主幹ブレーカ40に供給される電力及び複数の分岐ブレーカ50の各々に供給される電力を計測するための計測ユニット70も、収容されている。
【0029】
主幹ブレーカ40は、分電盤用キャビネット81の内部において、左右方向の中央よりもやや左側の位置に配置されている。なお、分電盤用キャビネット81の内部での主幹ブレーカ40の位置は、例えば中央よりも右側等、他の位置であってもよい。主幹ブレーカ40は、一次側端子44と、二次側端子と、一次側端子44と二次側端子との間に電気的に接続された接点部41(
図1参照)と、を備えている。また、主幹ブレーカ40は、接点部41を内部に収容する筐体42を備えている。一次側端子44は、筐体42の前面に配置されている。また、主幹ブレーカ40は、接点部41をオン又はオフするためにユーザにより操作される操作レバー43を、筐体42の前面に備えている。また、主幹ブレーカ40は、接点部41に短絡電流又は過負荷電流等の過電流が流れると接点部41をオフさせる引き外し回路を備えている。引き外し回路は、例えば、主幹ブレーカ40内の電路の一部を構成する励磁コイルを含む電磁石装置を含んでいる。また、主幹ブレーカ40は、接点部41に漏電電流が流れる漏電状態を検出すると接点部41をオフさせる漏電遮断機構を備えている。漏電遮断機構は、例えば、不平衡電流を検出するための零相変流器(ZCT)を備えている。
【0030】
本実施形態の分電盤80では、配電方式として単相三線式を想定しているので、主幹ブレーカ40の一次側端子44には、系統電源90(商用電源)の単相三線式の3本の引込線が電気的に接続される。
【0031】
また、主幹ブレーカ40の二次側端子には、第1電圧極(L1相)の導電バー、第2電圧極(L2相)の導電バー、及び中性極(N相)の導電バーが電気的に接続されている。各導電バーは、導電部材により左右方向に長い長尺板状に形成されており、分電盤用キャビネット81の内部において、上下方向の中央であって主幹ブレーカ40の右側の位置に配置されている。
【0032】
複数の分岐ブレーカ50は、中性極の導電バーの上側と下側とに分かれて、それぞれ複数個ずつ左右方向に並ぶように配置されている。本実施形態では、
図2に示すように、導電バーの上側には、12個の分岐ブレーカ50が左右方向に並ぶように配置されている。また、導電バーの下側には、11個の分岐ブレーカ50が左右方向に並ぶように配置されている。
【0033】
各分岐ブレーカ50は、一対の一次側端子と、一対の二次側端子と、を備えている。各分岐ブレーカ50は、一次側端子と二次側端子との間に電気的に接続される接点部51を有している。また、各分岐ブレーカ50は、接点部51を内部に収容する筐体52を備えている。各分岐ブレーカ50の筐体52の前面には、接点部51をオン又はオフするためにユーザにより操作される操作レバー53が設けられている。
【0034】
分岐ブレーカ50には、100V用と200V用とがある。100V用の分岐ブレーカ50が備える一対の一次側端子は、第1電圧極の導電バー及び第2電圧極の導電バーのうちの一方と、中性極の導電バーとにそれぞれ電気的に接続される。200V用の分岐ブレーカ50が備える一対の一次側端子は、第1電圧極の導電バーと、第2電圧極の導電バーとにそれぞれ電気的に接続される。また、分岐ブレーカ50の二次側端子には、対応する配線が電気的に接続される。各分岐ブレーカ50の二次側端子に接続された配線には、例えば、照明器具、給湯設備等の電気機器54、コンセント55(
図1参照)又は壁スイッチ等の配線器具が負荷として1つ以上接続される。したがって、分電盤80は、分岐ブレーカ50の二次側端子に配線を介して接続された電気機器54、又はコンセント55に接続された電気機器56(例えば空調機器又はテレビ受像器等)等に電力を供給することができる。
【0035】
分岐ブレーカ50は、接点部51に短絡電流又は過負荷電流等の過電流が流れると接点部51をオフさせる引き外し回路を備えている。引き外し回路は、例えば、分岐ブレーカ50内の電路の一部を構成する励磁コイルを含む電磁石装置を含んでいる。また、分岐ブレーカ50は、接点部51に漏電電流が流れる漏電状態を検出すると接点部51をオフさせる漏電遮断機構を備えている。
【0036】
感震ブレーカ60は、導電バーの下側において、分岐ブレーカ50と左右方向に並ぶように配置されている。感震ブレーカ60は、分電盤用キャビネット81に加わる振動を検出する感震センサ61を有している。感震センサ61が所定の基準値(例えば震度5の地震動)を超える大きさの振動を検出すると、感震ブレーカ60は回路を遮断する遮断動作を行う。感震ブレーカ60は、例えば第1電圧極又は第2電圧極と中性極との間を比較的低抵抗のインピーダンス要素を介して電気的に接続することで疑似的な漏電状態を発生させる。感震ブレーカ60が疑似的な漏電状態を発生させると、主幹ブレーカ40の漏電遮断機構が、感震ブレーカ60が発生させた疑似的な漏電状態を検出して接点部41をオフさせる。これにより、地震等によって分電盤用キャビネット81に基準値を超える大きさの振動が加わると、主幹ブレーカ40の二次側に接続された回路への電力供給を遮断することができる。
【0037】
連系ブレーカ65には、施設F1に設けられた分散電源57が接続される。分散電源57は、例えば蓄電池、太陽光発線設備等を含み得る。連系ブレーカ65は、主幹ブレーカ40の二次側端子に電気的に接続された導電バーと、分散電源57との間に電気的に接続される。連系ブレーカ65の接点部がオンになると、分散電源57が系統電源90と連系して負荷に電力を供給することができる。一方、連系ブレーカ65の接点部がオフになると、分散電源57が系統電源90から解列される。
【0038】
(2.2)遮断システム
上述のように、本実施形態では、遮断システム10は主幹ブレーカ40に設けられている。
【0039】
図1に示すように、遮断システム10は、検出部11と、処理部12と、表示部13と、通信部14と、設定部15と、リセット部16と、電源部17と、を備えている。
【0040】
検出部11は、系統電源90での停電の発生に関する電力情報を検出する。検出部11は、ここでは、主幹ブレーカ40内の電路に流れる電流を検出する電流センサを備えている。電流センサは、例えば、ロゴスキコイル、変流器(カレントトランス)、ホール素子、GMR(Giant Magnetic Resistances)素子等の磁気抵抗素子、シャント抵抗等から選択される。検出部11は、検出した電力情報(電流値の情報)を、処理部12へ送信する。なお、検出部11は、系統電源90の停電の発生に関する電力情報を検出できれば、電流センサに限られず、例えば電圧センサ等の他のセンサであってもよい。
【0041】
処理部12は、例えば、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、処理部12としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0042】
処理部12は、停電判定部121、取得部122、遮断判定部123、及び遮断制御部124を備えている。なお、停電判定部121、取得部122、遮断判定部123、及び遮断制御部124は、実体のある構成を示しているわけではなく、処理部12によって実現される機能を示している。
【0043】
停電判定部121は、検出部11から送信される電力情報に基づいて、系統電源90での停電の発生を判定する。停電判定部121は、例えば、検出部11で検出される電流値を所定の閾値と比較することで、停電の発生の有無を判定する。具体的には、停電判定部121は、検出部11から送信される電流値(実効値)が閾値以上の場合、系統電源90から電力が供給されている(系統電源90で停電が発生していない)と判定する。一方、停電判定部121は、検出部11から送信される電流値(実効値)が閾値未満の場合、系統電源90からの電力の供給が停止している(系統電源90で停電が発生している)と判定する。
【0044】
取得部122は、系統電源90で発生した停電の継続時間である停電継続時間Tcの情報を取得する。取得部122は、ここでは、停電判定部121での判定結果に基づいて、停電継続時間Tcの情報を取得する。
【0045】
取得部122は、タイマー1221を備えている。取得部122は、例えば、系統電源90で停電が発生したと停電判定部121によって判定された時点で、タイマー1221の計時を開始する。取得部122は、系統電源90の停電が終了した(復電した)と停電判定部121によって判定された時点で、タイマー1221の計時を終了する。取得部122は、タイマー1221の計時時間を、停電継続時間Tcとして取得する。要するに、取得部122は、系統電源90で発生した停電の発生時点からの時間を計測するタイマー1221を備えている。
【0046】
遮断判定部123は、取得部122で取得された停電継続時間Tcの情報に基づいて、ブレーカ20(主幹ブレーカ40)の遮断の要否を判定する。遮断判定部123は、停電継続時間Tcと閾値時間Tthとを比較する。遮断判定部123は、停電継続時間Tcが閾値時間Tthを超えると、ブレーカ20の遮断が必要(ブレーカ20を遮断すべき)と判定する。遮断判定部123は、停電継続時間Tcが閾値時間Tthを超える(ブレーカ20の遮断が必要と判定する)と、遮断フラグを設定する。
【0047】
遮断制御部124は、遮断判定部123の判定結果に基づいて、ブレーカ20(主幹ブレーカ40)を遮断する。遮断制御部124は、ブレーカ20の遮断が必要と遮断判定部123によって判定されると、ブレーカ20を遮断する。遮断制御部124は、ブレーカ20の遮断が必要と遮断判定部123によって判定されると、系統電源90の停電の終了後(復電後)に、ブレーカ20を遮断する。具体的には、遮断制御部124は、停電後の復電時に、遮断フラグが設定されていれば、ブレーカ20を遮断する。要するに、遮断制御部124は、停電継続時間Tcが閾値時間Tthを超えると、系統電源90に接続されているブレーカ20(主幹ブレーカ40)の接点部21(41)をオフさせる。遮断制御部124は、例えば、主幹ブレーカ40の引き外し回路を動作させることで、接点部41をオフさせる。
【0048】
表示部13は、ブレーカ20(主幹ブレーカ40)の筐体22(42)の前面に設けられている。表示部13は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示装置を備えている。表示部13は、処理部12に制御されることで、ユーザに対して種々の情報を表示する。なお、
図2では、表示部13の図示を省略している。
【0049】
表示部13が表示する情報は、停電継続時間Tcが閾値時間Tthを超えたことを示す情報を含み得る。これにより、ユーザは、停電継続時間Tcが閾値時間Tthを超えたことすなわち系統電源90に長時間の停電が発生したことを、把握することができる。
【0050】
また、表示部13が表示する情報は、ブレーカ20(主幹ブレーカ40)が遮断された原因の情報を含み得る。例えば、引き外し回路が動作したことでブレーカ20が遮断された場合、表示部13は、「使い過ぎ」との文字列を表示することで、過電流(電気の使い過ぎ)によりブレーカ20が遮断されたことをユーザに提示する。例えば、漏電遮断機構が動作したことでブレーカ20が遮断された場合、表示部13は、「漏電」との文字列を表示することで、漏電の発生によりブレーカ20が遮断されたことをユーザに提示する。例えば、停電継続時間Tcが閾値時間Tthを超えたことで、遮断制御部124によってブレーカ20が遮断された場合、表示部13は、「停電」との文字列を表示することで、系統電源90での停電の発生によりブレーカ20が遮断されたことをユーザに提示する。これにより、ユーザは、表示部13の表示内容を見ることで、ブレーカ20が遮断された原因を把握することができる。
【0051】
要するに、遮断システム10は、停電継続時間Tcが閾値時間Tthを超えた場合に、停電継続時間Tcが閾値時間Tthを超えたことを示す情報を表示する表示部13を備えている。
【0052】
通信部14は、外部装置と通信可能に構成されている。通信部14は、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、外部装置との間で信号を授受する。外部装置は、例えば、ユーザが所有する情報端末(スマートフォン、タブレット端末等)である。その他、外部装置は、計測ユニット70又はサーバ装置等であってもよい。
【0053】
通信部14が外部装置に送信する情報は、何らかの原因でブレーカ20が遮断されたことを示す情報を含み得る。通信部14が外部装置に送信する情報は、ブレーカ20が遮断された原因の情報を含んでもよい。
【0054】
また、通信部14が外部装置に送信する情報は、停電継続時間Tcが閾値時間Tthを超えたことを示す情報を含み得る。この情報を受け取った外部装置は、外部装置が備えるディスプレイに、停電継続時間Tcが閾値時間Tthを超えたことを示す文字列等を表示する。これにより、外部装置のユーザは、停電継続時間Tcが閾値時間Tthを超えたことすなわち系統電源90に長時間の停電が発生したことを把握することができる。
【0055】
要するに、遮断システム10は、停電継続時間Tcが閾値時間Tthを超えた場合に、停電継続時間Tcが閾値時間Tthを超えたことを示す情報を、通信により外部装置へ送信する送信部(通信部14)を備える。
【0056】
設定部15は、閾値時間Tthを設定する。本実施形態では、閾値時間Tthは可変であり、設定部15によって設定(変更)される。設定部15は、ユーザの操作を受け付けるインタフェースを備え、ユーザからの操作入力に応じて閾値時間Tthを設定する。設定部15のインタフェースは、表示部13と一体化されたタッチパネルにより構成されていてもよい。なお、
図2では、設定部15の図示を省略している。
【0057】
設定部15による設定の前(ブレーカ20の出荷時)において、閾値時間Tthにはデフォルト値が設定されている。デフォルト値は、例えば12時間である。ただしこれに限らず、閾値時間Tthのデフォルト値は、8時間、24時間等他の値であってもよい。
【0058】
リセット部16は、タイマー1221により計測した時間をリセットする。
【0059】
一例において、リセット部16は、停電判定部121によって系統電源90の停電の終了(復電)が判定されてタイマー1221の計時が終了してから、所定の待機時間が経過すると、タイマー1221をリセットする。一例において、リセット部16は、ブレーカ20(主幹ブレーカ40)の筐体22(42)に設けられたリセットボタンがユーザによって操作されると、タイマー1221をリセットする。一例において、リセット部16は、ブレーカ20(主幹ブレーカ40)の操作レバー43が操作(例えば、接点部41をオンするように操作)されると、タイマー1221をリセットする。一例において、リセット部16は、タイマー1221をリセットすることを指示する指示信号を、通信部14を介して外部装置から受け取ると、タイマー1221をリセットする。
【0060】
タイマー1221がリセットされることで、短時間(例えば12時間未満)の停電が長期間(例えば一年間)にわたって複数回発生した場合であっても、停電時間の累積時間ではなく、一回の停電ごとの停電継続時間Tcと閾値時間Tthとの比較が可能となる。
【0061】
電源部17は、遮断システム10の動作用の電源を生成する。電源部17は、電力変換回路と、電池と、を備えている。電力変換回路は、系統電源90の通常時(非停電時)に、系統電源90からの電力を用いて、遮断システム10の各部の動作用の電力を生成する。電池は、系統電源90の非常時(停電時)に、遮断システム10の各部に動作用の電力を供給する。電池は、少なくとも検出部11及び処理部12に、動作用の電力を供給する。電池は、ここでは、引き外し回路には電力を供給しない。
【0062】
(3)動作
以下、遮断システム10の動作の一例について、
図3のフローチャートを参照して説明する。
【0063】
処理部12(停電判定部121)は、検出部11の検出結果(電力情報)に基づいて、系統電源90に停電が発生しているか否かを判定する(ST1)。停電が発生した場合(ST1:Yes)、処理部12(取得部122)は、タイマー1221の計時を開始する(ST2)。
【0064】
処理部12(遮断判定部123)は、タイマー1221で計測された時間(停電継続時間Tc)が閾値時間Tthを超えたか否かを判定する(ST3)。停電継続時間Tcが閾値時間Tthを超えた場合(ST3:Yes)、処理部12(遮断判定部123)は、遮断フラグを設定する(ST4)。また、処理部12(停電判定部121)は、系統電源90の停電が終了(復電)したか否かを判定する(ST5)。
【0065】
停電が終了すると(ST5:Yes)、処理部12(遮断制御部124)は、停電終了時点で遮断フラグが設定されているか否かを判定する(ST6)。遮断フラグが設定されている場合(ST6:Yes)、処理部12(遮断制御部124)は、引き外し回路を動作させてブレーカ20を遮断させる。遮断フラグが設定されていない場合(ST6:No)、処理部12は、ブレーカ20を導通状態に維持する(ST8)。
【0066】
以下では、特に、災害が発生し、系統電源90に長時間の停電が発生した場合の遮断システム10の具体的な動作例について、
図4のタイムチャートを参照して説明する。本動作例では、災害としての台風によって、施設F1の住人が避難した状況下で、系統電源90に停電が発生した場合を想定する。
【0067】
時点t1では、台風の避難情報等に基づいて、住人が施設F1から避難する。この時点では、系統電源90は停電しておらず、またブレーカ20の接点部21もオンされている。そのため、施設F1の負荷への電力の供給は、維持されている。
【0068】
時点t2において、系統電源90に停電が発生する。このとき、処理部12は、停電判定部121の判定結果に基づいて、タイマー1221の計時を開始する。この時点では、ブレーカ20の接点部21がオンに維持されているものの、系統電源90が停電しているため、負荷への電力の供給が停止する。また、通信部14は、停電が発生したことを示す情報を、通信により外部装置(情報端末等)へ送信する。
【0069】
時点t3において、タイマー1221の計時時間(停電継続時間Tc)が閾値時間Tthを超えると、処理部12は、停電継続時間Tcが閾値時間Tthを超えたことを示す遮断フラグを設定する。
【0070】
時点t4において、系統電源90の停電が終了(復電)すると、系統電源90からブレーカ20への電力の供給が再開され、負荷への電力の供給も再開される。このとき、処理部12は、遮断フラグが設定されていることに基づいて、引き外し回路を動作させ、ブレーカ20の接点部21をオフさせる。これにより、負荷への電力の供給が再度断たれる(時点t5)。
【0071】
その後、時点t6において住人が施設F1へ帰宅し、施設F1内の安全の確認後、住人がブレーカ20の操作レバーを操作することで、接点部21が再度オンされる。これにより、系統電源90から負荷への電力の供給が再開される(時点t7)。
【0072】
このように、本実施形態の遮断システム10によれば、停電継続時間Tcが閾値時間Tthを超えると、ブレーカ20(主幹ブレーカ40)の接点部21(41)がオフされる。すなわち、災害によって閾値時間Tthを超える長時間の停電が発生した後には、遮断システム10によってブレーカ20が遮断される。そのため、災害による停電発生後に、周囲に人がいない状況下でブレーカ20への通電が再開される事態を、抑制することが可能となる。
【0073】
(4)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、遮断システム10と同様の機能は、遮断方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0074】
一態様に係る遮断方法は、系統電源90で発生した停電の継続時間である停電継続時間Tcの情報を取得することと、停電継続時間Tcが所定の閾値時間Tthを超えると、系統電源90に接続されているブレーカ20の接点部21をオフさせることと、を含む。
【0075】
一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の遮断方法を実行させるためのプログラムである。
【0076】
以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0077】
本開示における遮断システム10は、処理部12等にコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における処理部12としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0078】
また、処理部12における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは遮断システム10に必須の構成ではなく、処理部12の各々の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。また、遮断システム10における処理部12等の少なくとも一部の機能は、例えば、サーバ又はクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0079】
一変形例において、遮断制御部124は、ユーザからブレーカ20の遮断の指示を受けた場合にのみ、ブレーカ20を遮断してもよい。例えば、遮断制御部124は、遮断フラグが設定されると、その時点(或いは復電した時点)で、ブレーカ20の遮断の要否を問い合わせる質問信号を、通信部14を介してユーザの情報端末へ送信する。そして、遮断制御部124は、ユーザの情報端末から、ブレーカ20の遮断を指示する指示信号を受け取った場合、ブレーカ20を遮断する。要するに、遮断システム10は、接点部21をオフさせることを指示する指示信号を外部装置から受信する受信部(通信部14)を備えていてもよい。遮断制御部124は、停電継続時間Tcが閾値時間Tthを超えた後に、受信部が指示信号を受信すると、接点部21をオフさせてもよい。なお、遮断制御部124は、質問信号を送信してから所定時間が経過しても、ブレーカ20の遮断を拒否する拒否信号を受け取らなかった場合、ブレーカ20を遮断してもよい。
【0080】
一変形例において、遮断システム10の制御対象のブレーカ20は、主幹ブレーカ40に限られず分岐ブレーカ50等であってもよい。例えば、遮断システム10は、複数の分岐ブレーカ50のうちの少なくとも1つの分岐ブレーカ50に設けられ、遮断システム10が設けられた分岐ブレーカ50の遮断を制御してもよい。この場合、遮断システム10は、分電盤80に設けられている複数の分岐ブレーカ50の全てを遮断することが好ましい。
【0081】
一変形例において、遮断システム10は、ブレーカ20に設けられていなくてもよい。例えば、遮断システム10は、分電盤用キャビネット81の内部においてブレーカ20の外部に配置されてもよい。例えば、遮断システム10は、計測ユニット70に設けられていてもよい。或いは、遮断システム10は、分電盤用キャビネット81の外部に配置されてもよい。例えば、遮断システム10は、サーバ装置に設けられていてもよい。例えば、遮断制御部124は、引き外し回路を動作させるための適宜の指示信号をブレーカ20に送信する、又は、ブレーカ20に疑似漏電信号を供給することで、ブレーカ20の接点部21をオフすればよい。
【0082】
一変形例において、遮断システム10の制御対象のブレーカ20は、1つに限られず、主幹ブレーカ40及び複数の分岐ブレーカ50のうちから選択される2以上のブレーカ20が、1つの遮断システム10の制御対象であってもよい。この場合、遮断システム10は、制御対象のブレーカ20に配置されていてもよいし、ブレーカ20の外部に配置されていてもよい。
【0083】
上記の実施形態では、処理部12(停電判定部121)は、系統電源90からの電力供給が停止していれば、分散電源57からの電力の供給が継続されていても「停電」とみなしているが、これに限られない。一変形例において、遮断システム10は、系統電源90と分散電源57との両方からの電力の供給が停止したことをもって「停電」とみなしてもよい。
【0084】
一変形例において、「停電継続時間Tc」は、不連続な複数の停電時間の総計であってもよい。一纏まりの停電継続時間Tcとして累計される複数の停電時間は、例えば、リセット部16がタイマー1221をリセットするための待機時間未満の間隔で連続する停電時間であり得る。
【0085】
一変形例において、停電判定部121は、検出部11以外からの電力情報に基づいて、停電の発生を判定してもよい。例えば、電力情報は、計測ユニット70で計測された主幹電流の電流値であってもよい。
【0086】
一変形例において、取得部122は、タイマー1221を備えていなくてもよい。取得部122は、例えば、メモリに記憶された停電の発生時点と停電の終了時点(復電時点)との差分に基づいて、停電継続時間Tcの情報を取得してもよい。
【0087】
一変形例において、処理部12は、停電判定部121を備えていなくてもよい。例えば、取得部122は、停電が発生した時間の情報及び停電が終了した時間の情報を外部装置等から取得してもよいし、停電継続時間Tcの情報自体を外部装置等から取得してもよい。
【0088】
一変形例において、遮断制御部124は、引き外し回路を動作させる以外の方法で接点部21をオフさせてもよい。例えば、遮断制御部124は、漏電遮断機構を動作させることで、接点部21をオフさせてもよい。
【0089】
一変形例において、表示部13は、ディスプレイ等の表示装置に限られない。例えば、表示部13は、点灯/消灯することによって情報を表示する表示灯、色の変化によって情報を表示する画面等であってもよい。
【0090】
一変形例において、遮断システム10は、表示部13に代えて或いは加えて、停電継続時間Tcが閾値時間Tthを超えたことを示す情報を音声により通知する音声通知部を備えていてもよい。
【0091】
一変形例において、遮断制御部124は、系統電源90の停電の終了(復電)を待つことなく、遮断フラグが設定された時点で(或いはその所定時間後に)、ブレーカ20の接点部21をオフさせてもよい。
【0092】
(5)態様
以上説明した実施形態及び変形例等から以下の態様が開示されている。
【0093】
第1の態様の遮断システム(10)は、取得部(122)と、遮断制御部(124)と、を備える。取得部(122)は、系統電源(90)で発生した停電の継続時間である停電継続時間(Tc)の情報を取得する。遮断制御部(124)は、停電継続時間(Tc)が所定の閾値時間(Tth)を超えると、系統電源(90)に接続されているブレーカ(20)の接点部(21)をオフさせる。
【0094】
この態様によれば、災害による停電発生後に、周囲に人がいない状況下でブレーカ(20)への通電が再開される事態を抑制することが可能となる。
【0095】
第2の態様の遮断システム(10)は、第1の態様において、表示部(13)を更に備える。表示部(13)は、停電継続時間(Tc)が閾値時間(Tth)を超えた場合に、停電継続時間(Tc)が閾値時間(Tth)を超えたことを示す情報を表示する。
【0096】
この態様によれば、ユーザは、表示部(13)を確認することで、系統電源(90)に長時間の停電が発生したことを把握することができる。
【0097】
第3の態様の遮断システム(10)は、第1又は第2の態様において、送信部(通信部14)を更に備える。送信部は、停電継続時間(Tc)が閾値時間(Tth)を超えた場合に、停電継続時間(Tc)が閾値時間(Tth)を超えたことを示す情報を、通信により外部装置へ送信する。
【0098】
この態様によれば、ユーザは、外部装置を確認することで、系統電源(90)に長時間の停電が発生したことを把握することができる。
【0099】
第4の態様の遮断システム(10)は、第1~第3のいずれか1つの態様において、受信部(通信部14)を更に備える。受信部は、接点部(21)をオフさせることを指示する指示信号を外部装置から受信する。遮断制御部(124)は、停電継続時間(Tc)が閾値時間(Tth)を超えた後に、受信部が指示信号を受信すると、接点部(21)をオフさせる。
【0100】
この態様によれば、外部装置からの指示信号に応じて、ブレーカ(20)を遮断させることが可能となる。
【0101】
第5の態様の遮断システム(10)は、第1~第4のいずれか1つの態様において、設定部(15)を更に備える。設定部(15)は、閾値時間(Tth)を設定する。
【0102】
この態様によれば、例えばブレーカ(20)が設置されている地域に応じて、閾値時間(Tth)の設定を変更することが可能となる。
【0103】
第6の態様の遮断システム(10)では、第1~第5のいずれか1つの態様において、取得部(122)は、系統電源(90)で発生した停電の発生時点からの時間を計測するタイマー(1221)を備える。
【0104】
この態様によれば、タイマー(1221)により、停電継続時間(Tc)を容易に取得することができる。
【0105】
第7の態様の遮断システム(10)は、第6の態様において、リセット部(16)を更に備える。リセット部(16)は、タイマー(1221)により計測した時間をリセットする。
【0106】
この態様によれば、短時間の停電が長期間にわたって複数回発生した場合であっても、一回の停電ごとの停電継続時間(Tc)と閾値時間(Tth)との比較が可能となる。
【0107】
第8の態様のブレーカ(20)は、第1~第7のいずれか1つの態様の遮断システム(10)と、接点部(21)と、筐体と、を備える。筐体は、取得部(122)、遮断制御部(124)、及び接点部(21)を保持する。
【0108】
この態様によれば、災害による停電発生後に、周囲に人がいない状況下でブレーカ(20)への通電が再開される事態を抑制することが可能となる。
【0109】
第9の態様の分電盤は、第1~第7のいずれか1つの態様の遮断システム(10)と、ブレーカ(20)を収容する分電盤用キャビネット(81)と、を備える。
【0110】
この態様によれば、災害による停電発生後に、周囲に人がいない状況下でブレーカ(20)への通電が再開される事態を抑制することが可能となる。
【0111】
第10の態様の遮断方法は、系統電源(90)で発生した停電の継続時間である停電継続時間(Tc)の情報を取得することと、停電継続時間(Tc)が所定の閾値時間(Tth)を超えると、系統電源(90)に接続されているブレーカ(20)の接点部(21)をオフさせることと、を含む。
【0112】
この態様によれば、災害による停電発生後に、周囲に人がいない状況下でブレーカ(20)への通電が再開される事態を抑制することが可能となる。
【0113】
第11の態様のプログラムは、1以上のプロセッサに、第10の態様の遮断方法を実行させる。
【0114】
この態様によれば、災害による停電発生後に、周囲に人がいない状況下でブレーカ(20)への通電が再開される事態を抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0115】
10 遮断システム
122 取得部
1221 タイマー
124 遮断制御部
13 表示部
14 通信部(送信部、受信部)
15 設定部
16 リセット部
20 ブレーカ
21 接点部
80 分電盤
81 分電盤用キャビネット
90 系統電源
Tc 停電継続時間
Tth 閾値時間