(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】経口用組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20241225BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20241225BHJP
A23L 2/70 20060101ALI20241225BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20241225BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20241225BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241225BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20241225BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20241225BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20241225BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20241225BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20241225BHJP
【FI】
A23L33/105
A23L2/00 F
A23L2/00 K
A61P25/28
A61K31/352
A61K9/08
A61K9/10
A61K9/14
A61K9/16
A61K9/20
A61K47/14
(21)【出願番号】P 2020186554
(22)【出願日】2020-11-09
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石 紘太朗
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/074436(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/071220(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/071182(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23F 5/00
A23L33/105
A23L 2/00
A61K31/352
CAPLUS/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B);
(A)
ノビレチン 4~
40質量%、及び
(B)
モノカフェオイルキナ酸 60~96質量%
を含有し、
成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が1~30である、
経口用固形組成物。
【請求項2】
次の成分(A)及び(B);
(A)
ノビレチン 0.04~0.6質量%
、及び
(B)
モノカフェオイルキナ酸 0.05~2質量%
を含有し、
成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が1~30である、
経口用液体組成物。
【請求項3】
次の成分(A)及び(B);
(A)
ノビレチン 4~40質量%、及び
(B)
モノカフェオイルキナ酸 60~96質量%
を、成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が1~30となる割合で共存させる、
ノビレチンに起因する経口摂取時の舌上のざらつき抑制方法。
【請求項4】
次の成分(A)及び(B);
(A)
ノビレチン 0.04~0.6質量、及び
(B)
モノカフェオイルキナ酸 0.05~2質量%
を、成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が1~30となる割合で共存させる、
ノビレチンに起因する飲料形態での濁りの抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ノビレチン、タンゲレチンといったポリアルコキシフラボノイドは、ミカン科植物の抽出物に含まれており、神経成長因子(NGF)に応答して脳の神経突起を伸長することで、記憶力等の改善やサポートへの寄与が期待される有用な成分である。
【0003】
しかしながら、ポリアルコキシフラボノイドは、水への溶解度が0.01mg/mL未満と、難水溶性ポリフェノールの中でも、水への溶解度が特に低い成分であるため、飲食品や医薬品等で有効活用することが難しい。そこで、ポリアルコキシフラボノイドを水に可溶化させる技術が種々検討されている。例えば、ノビレチン又はノビレチン含有物を20~90体積%のエタノール水溶液に溶解し、得られた溶解液を乾燥することで、ノビレチンが非晶質の状態で分散した固体分散体とする方法(特許文献1)、ノビレチン又はノビレチン含有物に水溶性ヘスペリジン誘導体を混合し、加熱溶融させた後、冷却、固化させることで、ノビレチンが非晶質の状態で分散した固体分散体とする方法(特許文献2)、ノビレチンをポリペプチド及び多糖類と混合し、加熱溶融させた後、冷却、固化させることで、ポリペプチド及び多糖類にノビレチンが非晶質の状態で分散した固体分散体とする方法(特許文献3)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-167336号公報
【文献】特開2018-131432号公報
【文献】特開2016-49105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、ポリアルコキシフラボノイドの経口用組成物への応用を検討するに際して、ポリアルコキシフラボノイドの水への溶解性の低さに起因して、ポリアルコキシフラボノイドを直接又はインスタント飲料の形態で経口摂取する際に、舌上にざらつきを感じ、継続して摂取するうえで障害となること、また、容器詰飲料の形態とした際には濁りが発生しやすく、飲料の美観を損うため、消費者の購入意欲の低下につながるという課題が存在することを見出した。さらに、上記した先行技術は、ポリアルコキシフラボノイドに水可溶性を付与するうえで非晶質固体分散体という形態とすることが必須であり、より簡便にポリアルコキシフラボノイドを水可溶化するといった点に関して、改良の余地があることを見出した。
【0006】
本発明は、ポリアルコキシフラボノイドの水への溶解性を改善し、ポリアルコキシフラボノイドに起因する経口摂取時の舌上に感じるざらつきや飲料形態での濁りが抑制された経口用組成物をより簡便に提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、特定量のポリアルコキシフラボノイドに対し、特定のポリフェノールを特定の質量比で含有させることで、ポリアルコキシフラボノイドの水への溶解性が改善され、経口摂取したときの舌上のざらつきや飲料形態にしたときの濁りを抑制できることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、次の〔1〕~〔5〕を提供する。
〔1〕 次の成分(A)及び(B)を含有し、成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が1~30である、経口用組成物。
(A)下記式(1)で示されるポリアルコキシフラボノイド 固形分中に3~50質量%、及び
(B)クロロゲン酸類
〔2〕 次の成分(A)及び(B)を含有し、成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が1~30である、経口用固形組成物。
(A)下記式(1)で示されるポリアルコキシフラボノイド 3~50質量%、及び
(B)クロロゲン酸類
〔3〕 次の成分(A)及び(B)を含有し、成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が1~30である、経口用液体組成物。
(A)下記式(1)で示されるポリアルコキシフラボノイド 0.03質量%以上、及び
(B)クロロゲン酸類
〔4〕 次の成分(A)及び(B)を含有し、成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が1~30となる割合で共存させる、ポリアルコキシフラボノイドに起因する経口摂取時の舌上のざらつき抑制方法。
(A)下記式(1)で示されるポリアルコキシフラボノイド、及び
(B)クロロゲン酸類
〔5〕 次の成分(A)及び(B)を含有し、成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が1~30となる割合で共存させる、ポリアルコキシフラボノイドに起因する飲料形態での濁りの抑制方法。
(A)下記式(1)で示されるポリアルコキシフラボノイド、及び
(B)クロロゲン酸類
【0009】
【0010】
〔式中、R1は、水素原子又はC1-6アルキル基を示し、R2、R3及びR4は、相互に独立に、水素原子又はC1-6アルコキシ基を示し、R5及びR6は、相互に独立に、C1-6アルキル基を示す。〕
【発明の効果】
【0011】
本発明の経口用組成物は、ポリアルコキシフラボノイドの水への溶解性が改善されているため、経口摂取したときの舌上のざらつきや飲料形態にしたときの濁りを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔経口用組成物〕
本明細書において「経口用組成物」は、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において専ら経口摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品等の区分に制限されるものではない。したがって、本発明の経口用組成物は、経口的に摂取される一般食品、健康食品(機能性飲食品)、保健機能食品(特定保健用食品,栄養機能食品,機能性表示食品)、医薬部外品、医薬品等を構成する飲食品を幅広く含むものを意味する。
【0013】
本発明の経口用組成物は、成分(A)として下記式(1)で示されるポリアルコキシフラボノイドを含有する。
【0014】
【0015】
〔式中、R1は、水素原子又はC1-6アルキル基を示し、R2、R3及びR4は、相互に独立に、水素原子又はC1-6アルコキシ基を示し、R5及びR6は、相互に独立に、C1-6アルキル基を示す。〕
【0016】
式(1)において、R1、R5及びR6におけるC1-6アルキル基は、炭素数が1~6であれば、直鎖状及び分岐状のいずれの形態でもよい。具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基を挙げることができる。中でも、好ましくはC1-3アルキル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基であり、更に好ましくはメチル基である。
また、R2、R3及びR4におけるC1-6アルコキシ基は、炭素数が1~6であれば、直鎖状及び分岐状のいずれの形態でもよい。具体例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基を挙げることができる。中でも、好ましくはC1-3アルコキシ基であり、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基であり、更に好ましくはメトキシ基である。
【0017】
中でも、成分(A)としては、優れた生理効果をもたらす観点から、好ましくはノビレチン及びタンゲレチンから選択される1以上であり、より好ましくはノビレチンである。
【0018】
成分(A)の中でも、ノビレチンを含有すれば、NGFに応答して脳の神経突起を伸長するため、記憶力等の改善やサポートへの寄与を期待できる。よって、本発明の経口用組成物は、記憶力改善用の経口用組成物、記憶力サポート用の経口用組成物、又は神経突起伸長用の経口用組成物として用いることができる。これらの組成物は、ノビレチンを有効成分としてもよいし、後述の成分(B)であるクロロゲン酸類を有効成分としてもよいし、ノビレチンとクロロゲン酸類の両方を有効成分としてもよい。なお、成分(B)クロロゲン酸類の記憶力改善、又は記憶力サポートに関しては、国際公開第2007/091613号(出願人:筑波大学)、特開2018-39797号公報(出願人:花王株式会社)に記載の内容を用いることができる。
【0019】
成分(A)は、市販の試薬でも、ポリアルコキシフラボノイドを含む植物の抽出物の形態で含有させてもよい。植物としては、飲食品の分野において通常使用されているものであれば特に限定されないが、例えば、ノビレチンは、ミカン科植物に含まれている。ミカン科植物としては、例えば、Citrus属のヒラミレモン(Citrus depressa)、ウンシュウミカン(Citrus unshiu)、オオベニミカン(Citrus tangerina)、コベニミカン(Citrus erythrosa)、ダイダイ(Citrus aurantium)、ナツミカン(Citrus Natsudaidai)、ザボン(Citrus grandis)、ユズ(Citrus Junos)、ポンカン(Citrus rericulata)、レモン (Citrus limon)、カラタチ(Citurs trifoliata)、マルブシュカン(Citrus medica L.)を挙げることができる。植物は、1種又は2種以上を使用することができる。中でも、好ましくはヒラミレモン、ウンシュウミカン、ダイダイである。また、植物抽出物は、その濃縮物又はそれらの精製物を使用してもよい。なお、抽出、濃縮、精製の方法・条件は特に限定されず、公知の方法及び条件を採用することができる。
【0020】
本発明の経口用組成物の固形分中の成分(A)の含有量は、優れた生理効果をもたらす観点から、3質量%以上であり、好ましくは4質量%以上、より好ましくは4.5質量%以上であり、また経口摂取したときの舌上のざらつきを抑制する観点、飲料形態にしたときの濁りを抑制する観点、及びポリアルコキシフラボノイド自身が持つ苦味、渋味を抑制する観点から、50質量%以下であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは8質量%以下である。そして、本発明の経口用組成物は、固形分中の成分(A)の含有量が、3~50質量%であり、好ましくは4~40質量%であり、より好ましくは4.5~30質量%であり、更に好ましくは4.5~20質量%であり、より更に好ましくは4.5~8質量%である。なお、本明細書において「固形分」とは、試料1gを105℃の電気恒温乾燥機で3時間乾燥して揮発物質を除いた残分をいい、「固形分量」とは、その残分の質量をいう。また、本明細書において成分(A)の含有量は、上記式(1)で示される化合物の合計量に基づいて定義される。さらに、成分(A)の含有量は、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、液体クロマトグラフィで分析することが可能である。具体的には、後掲の実施例に記載の方法が挙げられる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
【0021】
本発明の経口用組成物は、成分(B)としてクロロゲン酸類を含有する。ここで、本明細書において「クロロゲン酸類」とは、3-カフェオイルキナ酸、4-カフェオイルキナ酸及び5-カフェオイルキナ酸のモノカフェオイルキナ酸と、3-フェルロイルキナ酸、4-フェルロイルキナ酸及び5-フェルロイルキナ酸のモノフェルロイルキナ酸と、3,4-ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸及び4,5-ジカフェオイルキナ酸のジカフェオイルキナ酸を併せての総称である。本発明においては、上記9種のクロロゲン酸類のうち、少なくとも1種を含有すればよい。
【0022】
また、クロロゲン酸類は、塩の形態でもよい。塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属との塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミンとの塩、アルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチン等の塩基性アミノ酸との塩が挙げられる。
【0023】
成分(B)は、市販の試薬でも、クロロゲン酸類を含む植物の抽出物の形態で含有させてもよい。植物としては、クロロゲン酸類を含み、飲食品の分野において通常使用されているものであれば特に限定されないが、例えば、ヒマワリ種子、リンゴ未熟果、コーヒー豆、シモン葉、マツ科植物の球果、マツ科植物の種子殻、サトウキビ南天の葉、ゴボウ、ナスの皮、ウメの果実、フキタンポポ、ブドウ科植物等から抽出されたものが挙げられる。植物は、1種又は2種以上を使用することができる。中でも、好ましくはコーヒー豆である。コーヒー豆は、生コーヒー豆でも、焙煎コーヒー豆でも構わないが、クロロゲン酸類含量等の点から、好ましくは生コーヒー豆である。コーヒーの木の種類としては、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種及びアラブスタ種のいずれでもよい。また、植物抽出物は、その濃縮物又はそれらの精製物を使用してもよい。なお、抽出、濃縮、精製の方法・条件は特に限定されず、公知の方法及び条件を採用することができる。
また、クロロゲン酸類として市販のクロロゲン酸類含有製剤を使用してもよく、例えば、フレーバーホルダーRC(長谷川香料(株))が挙げられる。
【0024】
本発明の経口用組成物の固形分中の成分(B)の含有量は、経口摂取したときの舌上のざらつきを抑制する観点、及び飲料形態にしたときの濁りを抑制する観点から、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上であり、また経口用組成物の苦味、渋味を抑制する観点から、好ましくは97質量%以下であり、より好ましくは96質量%以下、更に好ましくは95.5質量%以下である。そして、本発明の経口用組成物の固形分中の成分(B)の含有量は、好ましくは50~97質量%であり、より好ましくは60~96質量%、更に好ましくは70~96質量%、より更に好ましくは80~95.5質量%である。なお、本明細書において成分(B)の含有量は、上記9種の合計量に基づいて定義される。また、成分(B)の含有量は、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、液体クロマトグラフィで分析することが可能である。具体的には、後掲の実施例に記載の方法が挙げられる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
【0025】
本発明の経口用組成物は、成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が、経口摂取したときの舌上のざらつきを抑制する観点から、1以上であり、好ましくは2以上が好ましく、より好ましくは4以上、更に好ましくは12以上、より更に好ましくは16以上であり、また経口用組成物の苦味、渋味を抑制する観点から、30以下であり、好ましくは27以下、より好ましくは24以下、更に好ましくは22以下、より更に好ましくは21以下である。そして、本発明の経口用組成物は、成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が1~30であり、好ましくは2~27、より好ましくは4~24、更に好ましくは12~22、より更に好ましくは16~21である。
【0026】
本発明の経口用組成物は、固体でも、液体でもよく、適宜の形態を採り得る。
本発明の経口用組成物の好適な態様としては、例えば、以下において説明する経口用固形組成物、経口用液体組成物を挙げることができる。
【0027】
〔経口用固形組成物〕
本発明の経口用固形組成物は、常温(20℃±15℃)において固体であればその形状は特に限定されず、例えば、粉末状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状等の種々のものが挙げられる。本発明の経口用固形組成物は、固形分量が通常95質量%以上、好ましくは97質量%以上である。なお、かかる固形分量の上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。
【0028】
本発明の経口用固形組成物は、成分(A)として上記式(1)で示されるポリアルコキシフラボノイドを含有する。なお、ポリアルコキシフラボノイドの具体的構成は、上記において説明したとおりである。
【0029】
成分(A)としては、優れた生理効果をもたらす観点から、好ましくはノビレチン及びタンゲレチンから選択される1以上であり、より好ましくはノビレチンである。
【0030】
本発明の経口用固形組成物の成分(A)の含有量は、優れた生理効果をもたらす観点から、3質量%以上であり、好ましくは4質量%以上、より好ましくは4.5質量%以上であり、また経口摂取したときの舌上のざらつきを抑制する観点、及びポリアルコキシフラボノイド自身が持つ苦味、渋味を抑制する観点から、50質量%以下であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは8質量%以下である。そして、本発明の経口用固形組成物は、成分(A)の含有量が、3~50質量%であり、好ましくは4~40質量%であり、より好ましくは4.5~30質量%であり、更に好ましくは4.5~20質量%であり、より更に好ましくは4.5~8質量%である。なお、成分(A)の分析法は、上記において説明したとおりである。
【0031】
本発明の経口用固形組成物は、成分(B)としてクロロゲン酸類を含有する。なお、クロロゲン酸類の具体的構成は、上記において説明したとおりである。
【0032】
本発明の経口用固形組成物の成分(B)の含有量は、経口摂取したときの舌上のざらつきを抑制する観点から、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上であり、また経口用固形組成物の苦味、渋味を抑制する観点から、好ましくは97質量%以下であり、より好ましくは96質量%以下、更に好ましくは95.5質量%以下である。そして、本発明の経口用固形組成物の成分(B)の含有量は、好ましくは50~97質量%であり、より好ましくは60~96質量%、更に好ましくは70~96質量%、より更に好ましくは80~95.5質量%である。なお、成分(B)の分析法は、上記において説明したとおりである。
【0033】
本発明の経口用固形組成物は、成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が、経口摂取したときの舌上のざらつきを抑制する観点から、1以上であり、好ましくは2以上が好ましく、より好ましくは4以上、更に好ましくは12以上、より更に好ましくは16以上であり、また経口用固形組成物の苦味、渋味を抑制する観点から、30以下であり、好ましくは27以下、より好ましくは24以下、更に好ましくは22以下、より更に好ましくは21以下である。そして、本発明の経口用固形組成物は、成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が1~30であり、好ましくは2~27、より好ましくは4~24、更に好ましくは12~22、より更に好ましくは16~21である。
【0034】
本発明の経口用固形組成物は、所望により、甘味料、酸味料、アミノ酸、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、香料、果汁、植物エキス、エステル、色素、乳化剤、乳成分、ココアパウダー、調味料、植物油脂、酸化防止剤、保存料、pH調整剤、ゲル化剤、担体等の添加剤を1種又は2種以上を含有することができる。添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することができる。
【0035】
本発明の経口用固形組成物の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、インスタント飲料;チーズ等の乳製品;アイスクリーム等の冷菓;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、クッキーパン等の菓子類;そば、うどん等の麺類;サプリメント等の健康・美容・栄養補助食品;散剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、トローチ等の医薬品、医薬部外品等を挙げることができる。
【0036】
中でも、サプリメント、散剤、錠剤、顆粒剤、インスタント飲料が好ましい。サプリメント、散剤、錠剤、顆粒剤等の経口用固形組成物は、直接服用する形態であり、成分(A)及び/又は成分(B)による優れた生理効果がもたらされることから本発明において好適な態様である。
また、インスタント飲料は、所定の用法にしたがい液体で希釈して還元飲料として経口摂取することで、成分(A)及び/又は成分(B)による優れた生理効果がもたらされることから本発明において好適な態様である。液体は飲料に還元できれば特に限定されず、例えば、水、炭酸水、牛乳、豆乳等が挙げられ、液体の温度は問わない。なお、希釈倍率は、所定の用法にしたがえばよいが、通常20~600質量倍、好ましくは80~600質量倍である。なお、インスタント飲料から所定の用法にしたがって調製された還元飲料は、当該還元飲料中の成分(A)及び(B)の含有量、質量比[(B)/(A)]並びにpHについて後述する経口用液体組成物と同一の構成を具備することができる。
【0037】
インスタント飲料は、例えば、瓶等に容器詰し飲用する際にカップ1杯分をスプーン等で計量するもの、1杯分を収容したカップタイプ、カップ1杯分毎に小分け包装したスティックタイプ等とすることができる。なお、カップの容量は30~320mLであることが好ましく、また小分け包装の内容量はカップ容量に適合するように適宜設定することが可能である。小分け包装は、アルミ蒸着フィルム等を材質とする包装材料で包装することができる。なお、容器内及び包材内は窒素ガスを充填してもよく、また包材は酸素透過性の低いものが品質維持の点で好ましい。
【0038】
〔経口用液体組成物〕
本発明の経口用液体組成物は、常温(20℃±15℃)において流動性を有すればその形状は特に限定されず、例えば、濃縮形態でもよい。本発明の経口用液状組成物としては、例えば、RTD(飲料);濃縮飲料;ヨーグルト、加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;ドリンク剤等の健康・美容・栄養補助食品を挙げることができる。
【0039】
中でも、本発明の効果を享受しやすい点で、RTD(飲料)が好ましい。RTD(飲料)は、容器詰飲料でもよい。容器としては通常の包装容器であれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等が挙げられる。
【0040】
本発明の経口用液体組成物は、成分(A)として上記式(1)で示されるポリアルコキシフラボノイドを含有する。なお、ポリアルコキシフラボノイドの具体的構成は、上記において説明したとおりである。
【0041】
成分(A)としては、優れた生理効果をもたらす観点から、好ましくはノビレチン及びタンゲレチンから選択される1以上であり、より好ましくはノビレチンである。
【0042】
本発明の経口用液体組成物中の成分(A)の含有量は、優れた生理効果をもたらす観点から、0.03質量%以上であり、好ましくは0.04質量%以上であり、また液体の濁りを抑制する観点、及びポリアルコキシフラボノイド自身が持つ苦味、渋味を抑制する観点から、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.6質量%以下である。そして、本発明の経口用液体組成物の成分(A)の含有量は、好ましくは0.03~1質量%であり、更に好ましくは0.04~0.6質量%である。なお、成分(A)の含有量の分析法は、上記において説明したとおりである。
【0043】
本発明の経口用固形組成物は、成分(B)としてクロロゲン酸類を含有する。なお、クロロゲン酸類の具体的構成は、上記において説明したとおりである。
【0044】
本発明の経口用液体組成物中の成分(B)の含有量は、液体の濁りを抑制する観点から、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上、更により好ましくは0.2質量%以上、より更に好ましくは0.4質量%以上、より更に好ましくは0.6質量%以上であり、また経口用液体組成物の苦味、渋味を抑制する観点から、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは1.2質量%以下、更に好ましくは0.8質量%以下である。そして、本発明の経口用液体組成物中の成分(B)の含有量は、好ましくは0.05~2質量%であり、より好ましくは0.1~1.2質量%、更に好ましくは0.2~1.2質量%であり、より更に好ましくは0.4~1.2質量%であり、より更に好ましくは0.6~0.8質量%である。なお、成分(B)の含有量の分析法は、上記において説明したとおりである。
【0045】
本発明の経口用液体組成物は、成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が、液体の濁りを抑制する観点から、1以上であり、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは8以上、より更に好ましくは12以上、より更に好ましくは16以上であり、また経口用液体組成物の苦味、渋味を抑制する観点から、30以下であり、好ましくは27以下、より好ましくは24以下、更に好ましくは22以下、より更に好ましくは21以下である。そして、本発明の経口用液体組成物は、成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が1~30であり、好ましくは2~27、より好ましくは4~24、更に好ましくは8~24、より更に好ましくは12~22、より更に好ましくは16~21である。
【0046】
本発明の経口用液体組成物は、pH(20℃)が、苦味、渋味を抑制する観点から、好ましくは3以上であり、より好ましくは3.5以上であり、更に好ましくは4以上であり、また好ましくは7以下であり、より好ましくは6.8以下であり、更に好ましくは6.5以下である。そして、本発明の経口用液体組成物のpH(20℃)は、好ましくは3~7であり、より好ましくは3.5~6.8であり、更に好ましくは4~6.5である。なお、pHは、20℃に温度調整をしてpHメータにより測定するものとする。
【0047】
本発明の経口用液体組成物は、茶飲料でも、非茶飲料でもよい。非茶飲料としては、例えば、清涼飲料、炭酸飲料、茶飲料、果汁飲料、野菜飲料、乳飲料、アルコール飲料を挙げることができる。
【0048】
本発明の経口用液体組成物が容器詰飲料である場合、加熱殺菌済でもよい。加熱殺菌方法としては、適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた条件に適合するものであれば特に限定されない。例えば、飲料を容器に充填し、密栓若しくは密封した後殺菌するか、又は自記温度計をつけた殺菌器等で殺菌したもの若しくはろ過器等で除菌したものを自動的に容器に充填した後、密栓若しくは密封すればよい。より具体的には、レトルト殺菌法、高温短時間殺菌法(HTST法)、超高温殺菌法(UHT法)等を挙げることができる。なお、容器は、上記において説明したとおりである。
【0049】
本発明の経口用液体組成物は、ポリアルコキシフラボノイドの水への溶解性が改善され、分散性に優れるため、液体の濁りが抑制されている。例えば、経口用液体組成物中の成分(A)の含有量を0.05質量%に調整したときに、当該容器詰飲料の濁度(OD660)を、0.35以下、好ましくは0.31以下、より好ましくは0.25以下、更に好ましくは0.2以下とすることができる。なお、濁度(OD660)の下限値は特に限定されず、0であっても構わない。ここで、本明細書において「濁度」とは、分光光度計により90°透過散乱比較方式で20℃にて測定される、波長660nmにおける吸光度をいう。具体的には、後掲の実施例に記載の方法により測定することができる。なお、濁度(OD660)は、その値が低いほど、清澄度の高い飲料であることを意味する。
【0050】
本発明の経口用組成物は、常法にしたがって製造することが可能であり、適宜の方法を採り得る。例えば、成分(A)及び(B)、必要により他の成分を混合し、成分(A)の含有量、及び質量比[(B)/(A)]を調整して製造することができる。成分(A)及び(B)の混合順序は特に限定されず、任意の順序で添加して混合しても、両者を同時に添加して混合してもよい。
混合方法としては、撹拌、震盪等の適宜の方法を採用することが可能であり、混合装置を使用しても構わない。混合装置の混合方式は、容器回転型でも、容器固定型でもよい。容器回転型として、例えば、水平円筒型、V型、ダブルコーン型、立方体型等を採用することができる。また、容器固定型として、例えば、リボン型、スクリュー型、円錐形スクリュー型、パドル型、流動層型、フィリップスブレンダ-等を採用することができる。また、本発明の経口用組成物が経口用固形組成物である場合、公知の造粒法により造粒物としてもよい。造粒方法としては、例えば、噴霧造粒、流動層造粒、圧縮造粒、転動造粒、撹拌造粒、押出造粒、粉末被覆造粒等が挙げられる。なお、造粒条件は、造粒方法により適宜選択することができる。また、錠剤とする場合には、湿式打錠及び乾式打錠のいずれでもよく、公知の圧縮成形機を使用することができる。更に、濃縮液状である場合、例えば、常圧にて溶媒の蒸発を行う常圧濃縮法、減圧にて溶媒の蒸発を行う減圧濃縮法、膜分離により溶媒を除去する膜濃縮法等の公知の濃縮方法を採用することができる。
【0051】
本発明の経口用組成物が経口用固形組成物である場合、製造工程中に成分(A)をエタノール水溶液に溶解させる工程を有さずとも、経口摂取したときの舌上のざらつきを抑制された経口用固形組成物を簡便に製造することができる。また、本発明の経口用組成物が経口用液体組成物である場合、製造工程中に成分(A)をエタノール水溶液に溶解させる工程を有さずとも、液体の濁りが抑制された飲料を簡便に製造することができる。すなわち、本発明は、簡便に経口用組成物を製造する観点から、製造工程中に成分(A)をエタノール水溶液に溶解させる工程を有さないことが好ましい。
【0052】
本発明の経口用組成物が経口用固形組成物である場合、製造工程中に成分(A)を加熱溶解させる工程を有さずとも、経口摂取したときの舌上のざらつきを抑制された経口用固形組成物を簡便に製造することができる。また、本発明の経口用組成物が経口用液体組成物である場合、製造工程中に成分(A)を加熱溶解させる工程を有さずとも、液体の濁りが抑制された飲料を簡便に製造することができる。すなわち、本発明は、簡便に経口用組成物を製造する観点から、製造工程中に成分(A)を加熱溶解させる工程を有さないことが好ましい。具体的には、成分(A)の加熱温度は好ましくは90℃未満であり、より好ましくは50℃未満であり、実質的に加熱する工程を含まないことが最も好ましい。
【0053】
〔抑制方法〕
本発明のポリアルコキシフラボノイドに起因する経口摂取時の舌上のざらつき及び飲料形態での濁りの抑制方法は、成分(A)及び(B)を、成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が1~30となる割合で共存させるものである。これにより、ポリアルコキシフラボノイドの水への溶解性を改善することができる。好適な態様として、例えば、ポリアルコキシフラボノイドを含有する経口製品にクロロゲン酸類を含有させる態様が挙げられる。なお、経口製品の固形分中の成分(A)及び成分(B)の各含有量、並びに質量比[(B)/(A)]は上記において説明したとおりである。また、成分(A)及び(B)、並びに経口製品の具体的態様についても上記において説明したとおりである。
【実施例】
【0054】
1.ポリアルコキシフラボノイドの分析
アジレント・テクノロジー株式会社製高速液体クロマトグラフを用い、化学物質評価研究機構製カラムL-Column ODS―2(4.6mmφ×50mm、2μm)を装着し、カラム温度40℃でグラジエント法により行った。
【0055】
分析条件は次の通りである。
試料注入量は10μL、移動相A液は0.1質量%トリフルオロ酢酸水溶液、B液はアセトニトリルとし、1.0mL/分で送液した。
【0056】
濃度勾配条件(体積%)
時間 溶離液A 溶離液B
0分 99% 1%
1分 99% 1%
4分 5% 95%
5分 5% 95%
5.01分 99% 1%
6分 99% 1%
【0057】
ノビレチンの検出は波長320nmの吸光度により定量した。なお、ノビレチン及びタンゲレチンは、先述の方法の他に、特開2015-202065号公報に記載の方法を用いても分析することができる。
【0058】
2.クロロゲン酸類の分析
分析機器はHPLCを使用した。装置の構成ユニットの型番は次の通りである。
・UV-VIS検出器:SPD-20A((株)島津製作所)
・カラムオーブン:CTO-20AC((株)島津製作所)
・ポンプ:LC-20AD((株)島津製作所)
・オートサンプラー:SIL-20AC((株)島津製作所)
・カラム:Cadenza CD-C18 内径4.6mm×長さ150mm、粒子径3μm(インタクト(株))
【0059】
分析条件は次の通りである。
・サンプル注入量:10μL
・流量:1.0mL/min
・UV-VIS検出器設定波長:325nm
・カラムオーブン設定温度:35℃
・溶離液C:50mM酢酸、0.1mM 1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、10mM 酢酸ナトリウム、5(V/V)%アセトニトリル溶液
・溶離液D:アセトニトリル
【0060】
濃度勾配条件(体積%)
時間 溶離液C 溶離液D
0.0分 100% 0%
10.0分 100% 0%
15.0分 95% 5%
20.0分 95% 5%
22.0分 92% 8%
50.0分 92% 8%
52.0分 10% 90%
60.0分 10% 90%
60.1分 100% 0%
70.0分 100% 0%
【0061】
・3-カフェオイルキナ酸 : 5.3min
・5-カフェオイルキナ酸 : 8.8min
・4-カフェオイルキナ酸 :11.6min
・3-フェルラキナ酸 :13.0min
・5-フェルラキナ酸 :19.9min
・4-フェルラキナ酸 :21.0min
・3,4-ジカフェオイルキナ酸:36.6min
・3,5-ジカフェオイルキナ酸:37.4min
・4,5-ジカフェオイルキナ酸:44.2min
ここで求めたarea%から5-カフェオイルキナ酸(東京化成工業社)を標準物質とし、クロロゲン酸類の含有量(質量%)を求めた。
【0062】
3.濁度(OD660)の測定
ポリアルコキシフラボノイド濃度を0.05質量%に調整した試料を、分光光度計(U2810形、日立製作所製)を用いて、波長660nmにおける吸光度を90°透過散乱比較方式で20℃にて測定した。
【0063】
4.pHの測定
20℃に温度調整し、pHメータ(HORIBA コンパクトpHメータ、堀場製作所製)を用いて測定した。
【0064】
実施例1~5及び比較例1
表1に示す割合の各成分を均一に混合し、インスタント飲料を得た。得られたインスタント飲料について分析を行い、下記の方法により官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0065】
官能評価1
各インスタント飲料を、20℃の水で希釈後成分(A)が0.05質量%になるように希釈した還元飲料の「経口摂取時の舌上のざらつき」について専門パネル5名が官能試験を行った。官能試験は、各専門パネルが「経口摂取時の舌上のざらつき」の評価基準を、下記の評価基準とすることに合意したうえで実施した。そして、各専門パネルが決定した評点に基づいて協議により最終評価を決定した。
【0066】
経口摂取時の舌上のざらつきの評価基準
評点5:ざらつきを感じない(実施例5相当)。
4:ざらつきをあまり感じない。
3:ざらつきをやや感じる。
2:ざらつきを感じる。
1:ざらつきを強く感じる(比較例1相当)。
【0067】
【0068】
実施例6~10及び比較例2
表2に示す割合の各成分を混合し、次いで超高温短時間殺菌(UHT殺菌、98℃、30秒)し透明PETボトルに充填して容器詰飲料を調製した。次いで、得られた容器詰飲料について、分析及び濁度測定を行った。その結果を表2に示す。
【0069】
【0070】
実施例11及び比較例3
表3に示す割合の各成分を混合し、経口用粉末組成物を得た。得られた経口用粉末組成物について、分析及び官能評価を行った。その結果を表3に示す。
【0071】
官能評価2
各経口用粉末組成物0.1gを口腔内に含んだ後、唾液により口内で溶かし、完全に消滅したときの「経口摂取時の舌上のざらつき」について、専門パネル5名が官能試験を行った。官能試験は、各専門パネルが「経口摂取時の舌のざらつき」の評価基準を、下記の評価基準とすることに合意したうえで実施した。そして、各専門パネルが決定した評点に基づいて協議により最終評価を決定した。
【0072】
経口摂取時の舌上のざらつきの評価基準
評点5:ざらつきを感じない。
4:ざらつきをあまり感じない。
3:ざらつきをやや感じる。
2:ざらつきを感じる。
1:ざらつきを強く感じる。
【0073】
【0074】
表1~3から、ポリアルコキシフラボノイドに対し、クロロゲン酸類を特定の質量比で含有させることで、ポリアルコキシフラボノイドの水への溶解性が高められ、経口摂取したときの舌上のざらつきや飲料形態としたときの濁りを抑制できることがわかる。