(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】BLGベースのインスタント飲料粉末
(51)【国際特許分類】
A23L 2/39 20060101AFI20241225BHJP
A23L 2/66 20060101ALI20241225BHJP
A23L 2/02 20060101ALI20241225BHJP
A23L 2/38 20210101ALI20241225BHJP
A23L 33/135 20160101ALI20241225BHJP
A23L 33/19 20160101ALI20241225BHJP
A23L 2/68 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
A23L2/00 Q
A23L2/66
A23L2/02 E
A23L2/02 A
A23L2/38 P
A23L33/135
A23L33/19
A23L2/68
A23L2/39
(21)【出願番号】P 2020573262
(86)(22)【出願日】2019-06-26
(86)【国際出願番号】 EP2019067048
(87)【国際公開番号】W WO2020002454
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-23
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2018/067299
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2018/067316
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2018/067280
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520507335
【氏名又は名称】アーラ フーズ エイエムビーエイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラウリドセン、カスペル ベーゲルンド
(72)【発明者】
【氏名】ベルテルセン、ハンス
(72)【発明者】
【氏名】ニールセン、セレン バング
(72)【発明者】
【氏名】デ モーラ マシエル、ギョーム
(72)【発明者】
【氏名】センデルガールド、コーレ
(72)【発明者】
【氏名】パルジコラエイ、ベーナズ ラジ
(72)【発明者】
【氏名】イエーガー、ターニャ クリスティーネ
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-508160(JP,A)
【文献】特表2013-509335(JP,A)
【文献】特開平09-238614(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0172474(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0227828(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも5%重量/重量のベータ-ラクトグロブリン(BLG)を含む、以下のインスタント飲料粉末:
i.タンパク質の総量の少なくとも91%重量/重量はBLGで構成され、
さらに、ビタミン、香味料、着色剤、ミネラル、甘味料、抗酸化剤、食用酸、脂質、炭水化物、プレバイオティクス、プロバイオティクス、消泡剤、及び非ホエイタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つの追加の原料を含む。
【請求項2】
以下の1つ又は2つ以上を含む、請求項1に記載の粉末:
i.甘味料、例えば、砂糖甘味料及び/又は非砂糖甘味料、
ii.香味料、
iii.少なくとも1つの食用酸、例えばクエン酸又は他の適切な食用酸、
iv.インスタント飲料のNa、K、Mg、及びCaの量の合計が最大10mmol/gタンパク質である、
脱塩水中の前記粉末の10%重量/重量溶液が、2~8の範囲のpHを有する。
【請求項3】
総タンパク質に対して少なくとも92%重量/重量のBLG、総タンパク質に対して少なくとも93%重量/重量のBLG、総タンパク質に対して少なくとも94%重量/重量のBLG、総タンパク質に対して少なくとも95%重量/重量のBLG、総タンパク質に対して少なくとも96%重量/重量のBLG、総タンパク質に対して少なくとも97%重量/重量のBLG、総タンパク質に対して少なくとも98%重量/重量のBLG、又は総タンパク質に対して少なくとも99%重量/重量のBLGを含む、請求項1又は2に記載の粉末。
【請求項4】
最大6%重量/重量、例えば、最大5%重量/重量、好ましくは最大4%重量/重量、より好ましくは最大3%重量/重量、さらにより好ましくは最大2%重量/重量の含水量を含む、請求項1~3のいずれかに記載の粉末。
【請求項5】
粉末が以下を含む、請求項1~4のいずれかに記載の粉末:
i.最大6%重量/重量の水
ii.全固形分に対して少なくとも15%重量/重量の総タンパク質
iii.総タンパク質に対して少なくとも91%重量/重量のBLG、
該粉末は乾燥粉末である。
【請求項6】
少なくとも0.30g/mL、好ましくは少なくとも0.4g/mL、より好ましくは0.5g/mL、又はさらにより好ましくは0.5g/mLのかさ密度を有する、請求項1~5のいずれかに記載の粉末。
【請求項7】
Na、K、Mg、及びCaの量の合計が最大10mmol/gタンパク質である、請求項1~6のいずれかに記載の粉末。
【請求項8】
脱塩水中の10%重量/重量溶液において粉末が、室温で2~8の範囲のpHを有する、請求項1~7のいずれかに記載の粉末。
【請求項9】
変性度が、最大10%、好ましくは最大4%、より好ましくは最大1%、さらにより好ましくは最大0.4%、さらにより好ましくは最大0.1%である、請求項1~8のいずれかに記載の粉末。
【請求項10】
BLGの結晶化度が少なくとも20%であり、好ましくは少なくとも40%である、請求項1~9のいずれかに記載の粉末。
【請求項11】
栄養失調であるか又は栄養失調のリスクのある患者の処置方法に使用するための、請求項1~10のいずれかに記載の粉末。
【請求項12】
腎臓病の処置方法で使用するための、請求項1~11のいずれかに記載の粉末。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の粉末を含み、以下を含むキット:
i.前記粉末を測定するためのツール、及び
ii.容器を開閉するための蓋を備えた前記容器、
前記容器は、前記粉末を液体と混合して食品を形成するためのものであり、前記容器が、前記容器から直接食品を飲むように適合されている。
【請求項14】
液体及び請求項1~12のいずれかに記載のインスタント飲料粉末
を含む液体食品を調製するための、以下を含む方法:
i.請求項1~12のいずれかに記載の粉末を液体に添加すること、
ii.任意に、少なくとも1つの追加の原料を添加すること、及び
iii.前記粉末と液体を混合して均一な混合物を形成すること。
【請求項15】
さらなる原料が果物又は野菜から選択される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インスタント飲料粉末製品及びインスタント飲料粉末製品を調製するための方法、インスタント飲料粉末から製造される液体食品、及び液体食品を調製するための方法、液体食品の使用、並びにインスタント飲料粉末製品を含むキットに関する。
【背景技術】
【0002】
乳清タンパク質を含む栄養補助食品は、筋肉の合成、体重管理、並びに筋肉及び体重の維持に一般的に使用されている。栄養補助食品は、様々な種類の消費者、例えば、スポーツをする男性/女性、運動選手、子供、高齢者、及び栄養失調のある若しくは栄養失調のリスクがある、及び/又はタンパク質の必要量が増加している患者を対象としている。そのため、消費者は製品を飲みたいと感じるような、栄養補助食品に対する消費者の認識は非常に重要である。
【0003】
乳清タンパク質は、乳清又はホエイから単離することができる。ホエイは典型的には、ベータ-ラクトグロブリン(BLG)、アルファラクトアルブミン(ALA)、血清アルブミン、及び免疫グロブリンの混合物で構成されており、BLGが最も優勢である。そのため、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)は、これらのタンパク質の混合物を含む。ホエイタンパク質単離物(WPI)は、WPCよりも少ない脂肪及び乳糖を含む。乳清又はホエイからのベータ-ラクトグロブリン(BLG)の単離は、多くの出版物の主題であり、典型的には、精製されたベータ-ラクトグロブリン製品に到達するために、複数の分離工程及び多くの場合クロマトグラフィー技術を伴う。
【0004】
国際特許出願第2002/056707号公報(Nestle)は、少なくとも1つの脂肪又は油源、少なくとも1つの炭水化物源、及び少なくとも1つのタンパク質源を有するバランスのとれた粉末ブレンド組成物に関し、これを記載している。この組成物は、食品の栄養価を補うために食品に有利に添加されるが、食品の味を実質的に変えることはない。
【0005】
国際公開第2018/115520号公報A1は、塩溶様式のBLGの結晶化に基づいて、食用の単離されたベータ-ラクトグロブリン組成物及び/又は結晶化ベータ-ラクトグロブリンを含む組成物を製造する方法を開示している。続いて、結晶化BLGを残りの母液から分離することができる。
【0006】
国際公開第2011/112695号公報A1は、栄養組成物、並びに栄養組成物を製造及び使用する方法を開示している。栄養組成物は、ホエイタンパク質ミセル及びロイシンを含み、低粘度の流体マトリックス及び許容可能な感覚受容特性も維持しながら、ヒトにおいてタンパク質合成を改善するのに十分な量のロイシンを提供する。
【0007】
国際公開第2011/051436号公報A1は、ヒト又は動物の消費を意図した少なくとも部分的に透明な組成物を開示し、かかる組成物の包装に関する。本発明の一実施形態は、少なくとも部分的に透明な水性非アルコール組成物を含む少なくとも部分的に透明な容器に関する。容器は、組成物中に存在する液晶を可視化する少なくとも1つの偏光子を含む。
【0008】
国際公開第2004/049819号公報A2は、1つ又は2つ以上の球状タンパク質の溶液を提供する工程であって、その溶液において、タンパク質(複数の場合がある)が、少なくとも部分的にフィブリルに凝集している工程、並びに以下:pHを上げる工程;塩濃度を上げる工程;溶液を濃縮する工程;及び溶液の溶媒品質を変更する工程、の1つ又は2つ以上をランダムな順序で実施する工程を含む、球状タンパク質の機能特性を改善するための方法を開示している。好ましくは、1つ又は2つ以上の球状タンパク質の溶液は、低pHでの加熱又は変性剤の添加によって提供される。このようにして得られたタンパク質添加物、食品及び非食品用途、並びにタンパク質添加物を含む食品及び非食品へのその使用も開示されている。
【0009】
国際公開第2010/037736号公報A1は、ホエイタンパク質の単離、並びにホエイ製品及びホエイ単離物の調製を開示している。特に、本発明は、動物から得られたホエイからのβ-ラクトグロブリン生成物の単離、及びαに富むホエイタンパク質単離物の単離に関する。本発明によって提供されるαに富むホエイタンパク質単離物は、β-ラクトグロブリンが低いことの他に、α-ラクトアルブミン及び免疫グロブリンGも高い。
【0010】
フランス国特許第2296428号は、任意の既知の分離プロセスによって得られた乳清タンパク質に基づく栄養学的及び処置的使用のためのタンパク質組成物を開示している。該組成物を、乳児及び成人の消化器障害(例えば、下痢)の処置又は予防、腸感染症に対する抵抗性の増加、及び特定の代謝障害(例えば、高フェニルアラニン血症)の処置に使用することができる。それらはまた、皮膚科学的又は美容的に使用することができ、低タンパク食の一部を形成することができる。
【発明の概要】
【0011】
本発明者らは、BLGの含有量が高いインスタント飲料粉末製品を提供した。該製品は常温保存可能であると同時に、食欲をそそる、すなわち、製品の外観及び味が消費者にとって魅力的である食品をもたらす。
【0012】
そのため、本発明の態様は、少なくとも1%重量/重量、好ましくは少なくとも5%のBLGを含むインスタント飲料粉末であって、
i.BLGの結晶化度が少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%であり、及び/又は
ii.タンパク質の総量の少なくとも85%重量/重量がBLGで構成され、
さらに、ビタミン、香味料、着色剤、ミネラル、甘味料、抗酸化剤、食用酸、脂質、炭水化物、プレバイオティクス、プロバイオティクス、消泡剤、及び非ホエイタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つの追加の原料を含む、インスタント飲料粉末に関する。
【0013】
本発明の別の態様は、BLG及び少なくとも1つの任意の原料を含むインスタント飲料粉末を調製するための方法であって、乾燥BLG単離物を、ビタミン、香味料、着色剤、ミネラル、甘味料、抗酸化剤、食品酸、脂質、炭水化物、プレバイオティクス、プロバイオティクス、消泡剤、及び非ホエイタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つの追加の原料とブレンドしてインスタント飲料粉末を得ることを含む、方法に関する。
【0014】
さらに、本発明の一態様は、本発明による液体及び粉末を含む液体食品に関する。
【0015】
本発明のさらなる態様は、本発明による液体食品を調製する方法であって、
i.本発明によるインスタント飲料粉末を添加すること、
ii.任意に、少なくとも1つのさらなる原料を添加すること、並びに
iii.得られた粉末及び液体を混合して均一な混合物を形成すること、を含む方法に関する。
【0016】
本発明のさらなる態様は、栄養補助食品として使用するための、本発明によるインスタント飲料粉末に関する。
【0017】
本発明のさらなる態様は、本発明による粉末を含むキットであって、
i.当該粉末を測定するための手段、及び
ii.容器を開閉するための蓋を有する容器を備え、
当該容器が、当該粉末を液体と混合して食品を形成するためのものであり、当該容器が、容器から直接食品を飲むように適合されている、キットに関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、PCT出願PCT/EP2017/084553号の例3のフィード3から回収されたBLG結晶の顕微鏡写真である。
【
図2】
図2は、PCT出願PCT/EP2017/084553号の例3のフィード2から得られたBLG結晶の全体及びフラグメント化したものの顕微鏡写真を示している。
【
図3】
図3は、例5で調製した6種類の低リン飲料のサブサンプルを含む試験管の写真である。
【0019】
定義
本発明の文脈では、「ベータ-ラクトグロブリン」又は「BLG」という用語は、哺乳動物種に由来し、例えば、ネイティブの、折りたたまれていない及び/又はグリコシル化された形態であり、天然に存在する遺伝的変異体を含むベータ-ラクトグロブリンに関する。該用語はさらに、凝集性BLG、沈殿したBLG及び結晶性BLGを含む。BLGの量に言及する場合、凝集性BLGを含むBLGの合計量が言及される。BLGの総量は、例1.31に従って決定される。「凝集性BLG」という用語は、少なくとも部分的に折りたたまれておらず、さらに、典型的には疎水性相互作用及び/又は共有結合によって、他の変性BLG分子及び/又は他の変性ホエイタンパク質と凝集しているBLGに関する。
【0020】
BLGは、ウシホエイ及び乳清で最も優勢なタンパク質であり、幾つかの遺伝的変異体に存在し、牛乳の主なものはA及びBと標識されている。BLGはリポカリンタンパク質であり、多くの疎水性分子に結合することができ、それらの輸送における役割を示唆している。BLGは、シデロホアを介して鉄に結合できることも示されており、病原体と戦う役割を果たしている可能性がある。BLGのホモログはヒトの母乳に欠けている。
【0021】
ウシBLGは、およそ162アミノ酸残基の比較的小さなタンパク質で、分子量はおよそ18.3~18.4kDaである。生理学的条件下では、ウシBLGは主に二量体であるが、核磁気共鳴分光法を使用して決定されるように、そのネイティブ状態を保持しながら、約pH3未満の単量体に解離する。逆に、BLGはまた、様々な自然条件下で、四量体、八量体、及びその他の多量体の凝集形態でも発生する。
【0022】
本発明の文脈では、「非凝集性ベータ-ラクトグロブリン」又は「非凝集性BLG」という用語は、哺乳動物種に由来し、例えば、ネイティブの、折りたたまれていない及び/又はグリコシル化された形態であり、天然に存在する遺伝的変異体を含むベータ-ラクトグロブリンに関する。しかしながら、該用語には、凝集性BLG、沈殿したBLG、又は結晶化BLGは含まれない。非凝集性BLGの量又は濃度は、例1.6に従って決定される。
【0023】
総BLGに対する非凝集性BLGのパーセンテージは、計算(m総BLG-m非凝集性BLG)/m総BLG*100%によって決定される。m総BLGは、例1.31に従って決定されるBLGの濃度又は量であり、m非凝集性BLGは、例1.6に従って決定される非凝集性BLGの濃度又は量である。
【0024】
本発明の文脈では、「結晶」という用語は、その構成要素(原子、分子、又はイオン等)が高度に秩序化された微視的構造に配置され、全ての方向に延びる結晶格子を形成する固体材料に関する。
【0025】
本発明の文脈では、「BLG結晶」という用語は、高度に秩序化された微視的構造に配置され、全ての方向に延びる結晶格子を形成する、主に非凝集性の好ましくはネイティブのBLGを含むタンパク質結晶に関する。BLG結晶は、例えば、モノリシック又は多結晶であり、例えば無傷の結晶、結晶のフラグメント、又はそれらの組み合わせである。結晶のフラグメントは、例えば、無傷の結晶が加工中に機械的剪断に供される場合に形成される。結晶のフラグメントはまた、結晶の高度に秩序化された微視的構造を有するが、無傷の結晶の均一な表面及び/又は均一な端若しくは角を欠いている場合がある。例えば、多くの無傷のBLG結晶の例については
図1、BLG結晶のフラグメントの例については
図2を参照されたい。いずれの場合も、BLG結晶又は結晶フラグメントは、光学顕微鏡を使用して、明確に定義されたコンパクトでコヒーレントな構造として視覚的に識別できる。BLG結晶又は結晶フラグメントは、多くの場合、少なくとも部分的に透明である。タンパク質結晶はさらに複屈折性であることが知られており、この光学特性を使用して、結晶構造を有する未知の粒子を識別することができる。一方、非結晶性BLG凝集物は、定義が不十分で不透明であり、不規則なサイズの開口した又は多孔性の塊として現れることがよくある。
【0026】
本発明の文脈では、「結晶化」という用語は、タンパク質結晶の形成に関する。結晶化は、例えば、自発的に発生するか、結晶化シードの添加によって開始される。
【0027】
本発明の文脈では、「食用組成物」という用語はヒトの消費及び食品原料としての使用に安全であり、トルエン又は他の望ましくない有機溶媒等の問題のある量の有毒な成分を含まない組成物に関する。
【0028】
本発明の文脈では、「ALA」又は「アルファ-ラクトアルブミン」は、哺乳動物種に由来し、例えば、ネイティブ及び/又はグリコシル化された形態であり、天然に存在する遺伝的変異体を含むアルファ-ラクトアルブミンに関する。該用語はさらに、凝集性ALA及び沈殿したBLGを含む。ALAの量に言及する場合、例えば、凝集性ALAを含むALAの合計量が言及される。ALAの総量は、例1.31に従って決定される。「凝集性ALA」という用語は、典型的には少なくとも部分的に折りたたまれておらず、さらに、典型的には疎水性相互作用及び/又は共有結合によって、他の変性ALA分子及び/又は他の変性ホエイタンパク質と凝集しているALAに関する。
【0029】
アルファ-ラクトアルブミン(ALA)は、ほとんど全ての哺乳動物種の乳に含まれるタンパク質である。ALAはラクトースシンターゼ(LS)ヘテロダイマーの調節サブユニットを形成し、β-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(ベータ4Gal-T1)は触媒成分を形成する。一緒に、これらのタンパク質は、LSがガラクトース部分をグルコースに転移することによってラクトースを生成することを可能にする。ベータ-ラクトグロブリンとの主な構造上の違いの1つは、ALAには共有結合性凝集反応の開始点として機能できる遊離チオール基がないことである。
【0030】
本発明の文脈では、「非凝集性ALA」もまた、哺乳動物種に由来し、例えば、ネイティブの、折りたたまれていない及び/又はグリコシル化された形態であり、天然に存在する遺伝的変異体を含むALAに関する。しかしながら、該用語には、凝集性ALA又は沈殿したALAは含まれない。非凝集性BLGの量又は濃度は、例1.6に従って決定される。
【0031】
総ALAに対する非凝集性ALAのパーセンテージは、計算(m総ALA-m非凝集性ALA)/m総ALA*100%によって決定される。m総ALAは、例1.31に従って決定されるALAの濃度又は量であり、m非凝集性ALAは、例1.6に従って決定される非凝集性ALAの濃度又は量である。
【0032】
本発明の文脈では、「カゼイノマクロペプチド」又は「CMP」という用語は、例えば、ネイティブ及び/又はグリコシル化された形態であり、アスパラギン酸プロテイナーゼによる天然に存在する遺伝的変異体、例えばキモシを含む、哺乳動物種からの「κ-CN」又は「カッパーカゼイン」の加水分解に由来する親水性ペプチド、残基106~169に関する。
【0033】
本発明の文脈では、「BLG単離物」という用語は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量の量でBLGを含む組成物を意味する。BLG単離物は、好ましくは、全固形分に対して少なくとも30%重量/重量、好ましくは少なくとも80%重量/重量の総タンパク質含有量を有する。
【0034】
本発明の文脈では、「BLG単離粉末」という用語は、粉末形態のBLG単離物、好ましくは自由流動性粉末に関する。
【0035】
本発明の文脈では、「BLG分離液」という用語は、液体形態、好ましくは水性液体のBLG単離物に関する。
【0036】
「ホエイ」という用語は、乳のカゼインが沈殿して除去された後に残る液相に関する。カゼインの沈殿は、例えば乳の酸性化及び/又はレンネット酵素の使用によって達成され得る。カゼインのレンネットベースの沈殿によって生成されるホエイ製品である「スイートホエイ」と、カゼインの酸ベースの沈殿によって生成されるホエイ製品である「酸ホエイ」又は「サワーホエイ」等、幾つかのタイプのホエイが存在する。カゼインの酸ベースの沈殿は、例えば、食用酸の添加又は細菌培養によって達成され得る。
【0037】
「乳清」という用語は、例えば、精密濾過又は大孔径限外濾過によってカゼイン及び乳脂肪球が乳から除去されたときに残る液体に関する。乳清は、「理想的なホエイ」と称されることもある。
【0038】
「乳清タンパク質」又は「血清タンパク質」という用語は、乳清中に存在するタンパク質に関する。
【0039】
本発明の文脈では、「ホエイタンパク質」という用語は、ホエイ又は乳清中に見られるタンパク質に関する。ホエイタンパク質は、ホエイ又は乳清に見られるタンパク質種のサブセットである場合、またさらには単一のホエイタンパク質種の場合もあり、又はホエイ又は/及び乳清に見られるタンパク質種の完全なセットである場合がある。
【0040】
本発明の文脈では、スイートホエイに由来する標準的なホエイタンパク質濃縮物の主要な非BLGタンパク質は、ALA、CMP、ウシ血清アルブミン、免疫グロブリン、オステオポンチン、ラクトフェリン、及びラクトペルオキシダーゼである。本発明の文脈では、スイートホエイに由来する標準的なホエイタンパク質濃縮物の主な非BLGホエイタンパク質の重量パーセントは、以下のとおりである:
総タンパク質に対して18%重量/重量の量のALA、
総タンパク質に対して18%重量/重量の量のCMP、
総タンパク質に対して4%重量/重量の量のBSA、
総タンパク質に対して5%重量/重量の量のカゼイン種、
総タンパク質に対して6%重量/重量の量の免疫グロブリン、
総タンパク質に対して0.5%重量/重量の量のオステオポンチン、
総タンパク質に対して0.1%重量/重量の量のラクトフェリン、及び
総タンパク質に対して0.1%重量/重量の量のラクトペルオキシダーゼ。
【0041】
カゼインという用語は、乳に含まれるカゼインタンパク質に関し、個々のカゼイン種である生乳に見られるネイティブミセルカゼインとカゼインの両方を含む。
【0042】
本発明の文脈では、「過飽和」又は「BLGに関して過飽和」である液体は、所与の物理的及び化学的条件で液体中の非凝集性BLGの飽和点を超える溶解した非凝集性BLGの濃度を含む。「過飽和」という用語は、結晶化の分野でよく知られており(例えば、Gerard Coquerela,“Crystallization of molecular systems from solution:phase diagrams,supersaturation and other basic concepts”,Chemical Society Reviews,p.2286-2300,Issue 7,2014を参照されたい)、過飽和は、様々な測定手法(例えば、分光法又は粒子径分析)によって決定され得る。本発明の文脈では、BLGに関する過飽和を、以下の手順によって決定する。
【0043】
特定の条件設定の液体がBLGに関して過飽和であるかどうかを試験する手順:
a)試験する液体のサンプル50mlを、高さ115mm、内径25mm、容量50mLの遠心管(VWRカタログ番号525-0402)に移す。工程a)~h)の間、サンプル及び後続する画分を液体の元の物理的及び化学的条件に保つように注意する必要がある:
b)サンプルを直ちに3000gで3.0分間、最大30秒の加速及び最大30秒の減速で遠心分離する。
c)遠心分離の直後に、上清をできるだけ多く(ペレットが形成された場合にペレットを乱さずに)第2の遠心管(工程aと同じタイプ)に移す。
d)上清の0.05mLサブサンプルを採取する(サブサンプルA)
e)粒子径が最大200ミクロンのBLG結晶10mg(全固形分に対して少なくとも98%純粋、非凝集性BLG)を第2の遠心管に加え、混合物を攪拌する。
f)第2の遠心管を元の温度で60分間放置する。
g)工程f)の直後に、第2の遠心管を500gで10分間遠心分離し、上清の別の0.05mlサブサンプル(サブサンプルB)を採取する。
h)工程g)の遠心分離ペレットを回収し、存在する場合は、milliQ水に再懸濁し、顕微鏡で見える結晶の存在について懸濁液を直ちに検査する。
i)例1.6に概説されている方法を使用して、サブサンプルA及びBの非凝集性BLGの濃度を決定する。結果を、サブサンプルの総重量に対する%BLG重量/重量として表す。サブサンプルAの非凝集性BLGの濃度はCBLG,Aと称され、サブサンプルBの非凝集性BLGの濃度はCBLG,Bと称される。
j)工程a)のサンプルを採取した液体は、CBLG,BがCBLG,Aよりも低く、且つ工程i)で結晶が観察された場合、(特定の条件で)過飽和であった。
【0044】
本発明の文脈では、「液体」及び「溶液」という用語は、例えば、タンパク質結晶又は他のタンパク質粒子等の粒子状物質を含まない組成物と、液体及び固体及び/又は半固体粒子の組み合わせを含む組成物の両方を包含する。したがって、「液体」又は「溶液」は、懸濁液さらにはスラリーであってもよい。しかしながら、「液体」及び「溶液」は、好ましくはポンプ輸送可能である。
【0045】
本発明の文脈では、「ホエイタンパク質濃縮物」(WPC)及び「血清タンパク質濃縮物」(SPC)という用語は、全固形分に対してタンパク質の総量が20~89%重量/重量である乾燥又は水性組成物に関係する。
【0046】
WPC又はSPCには、以下が含まれていることが望ましい:
全固形分に対して20~89%重量/重量のタンパク質、
総タンパク質に対して15~70%重量/重量のBLG、
総タンパク質に対して8~50%重量/重量のALA、及び
タンパク質に対して0~40%重量/重量のCMP。
【0047】
或いは、しかしまた好ましいことに、WPC又はSPCは以下を含み得る:
全固形分に対して20~89%重量/重量のタンパク質、
総タンパク質に対して15~90%重量/重量のBLG、
総タンパク質に対して4~50%重量/重量のALA、及び
タンパク質に対して0~40%重量/重量のCMP。
【0048】
好ましくは、WPC又はSPCは以下を含む:
全固形分に対して20~89%重量/重量のタンパク質、
総タンパク質に対して15~80%重量/重量のBLG、
総タンパク質に対して4~50%重量/重量のALA、及び
タンパク質に対して0~40%重量/重量のCMP。
【0049】
より好ましくは、WPC又はSPCは以下を含む:
全固形分に対して70~89%重量/重量のタンパク質、
総タンパク質に対して30~90%重量/重量のBLG、
総タンパク質に対して4~35%重量/重量のALA、及び
タンパク質と比較して0~25%重量/重量のCMP。
【0050】
SPCには典型的には、CMPが含まれていないか、微量のCMPのみが含まれている。
【0051】
「ホエイタンパク質単離物」(WPI)及び「血清タンパク質単離物」(SPI)という用語は、全固形分に対して90~100%重量/重量のタンパク質の総量を含む乾燥又は水性組成物に関係する。
【0052】
WPI又はSPIには、以下が含まれていることが望ましい:
全固形分に対して90~100%重量/重量のタンパク質、
総タンパク質に対して15~70%重量/重量のBLG、
総タンパク質に対して8~50%重量/重量のALA、及び
総タンパク質に対して0~40%重量/重量のCMP。
【0053】
或いは、しかしまた好ましいことに、WPI又はSPIは以下を含み得る:
全固形分に対して90~100%重量/重量のタンパク質、
総タンパク質に対して30~95%重量/重量のBLG、
総タンパク質に対して4~35%重量/重量のALA、及び
総タンパク質に対して0~25%重量/重量のCMP。
【0054】
より好ましくは、WPI又はSPIは以下を含み得る:
全固形分に対して90~100%重量/重量のタンパク質、
総タンパク質に対して30~90%重量/重量のBLG、
総タンパク質に対して4~35%重量/重量のALA、及び
総タンパク質に対して0~25%重量/重量のCMP。
【0055】
SPIには典型的には、CMPが含まれていないか、微量のCMPのみが含まれている。
【0056】
本発明の文脈では、「追加のタンパク質」という用語は、BLGではないタンパク質を意味する。ホエイタンパク質溶液に存在する追加のタンパク質は、典型的には、乳清又はホエイに見られる非BLGタンパク質の1つ又は2つ以上を含む。かかるタンパク質の非限定的な例は、アルファ-ラクトアルブミン、ウシ血清アルブミン、免疫グロブリン、カゼイノマクロペプチド(CMP)、オステオポンチン、ラクトフェリン、及び乳脂肪球膜タンパク質である。
【0057】
「本質的にからなる」及び「本質的にからなっている」という用語は、問題の請求項又は特徴が、特定の材料又は工程、及び特許請求の範囲に記載された発明の基本的及び新規の特性(複数の場合がある)に実質的に影響を与えないものを包含することを意味する。
【0058】
本発明の文脈では、「Y及び/又はX」という句は、「Y」又は「X」又は「Y及びX」を意味する。同じ論理に沿って、「n1、n2、…、ni-1、及び/又はni」という句は、「n1」又は「n2」又は…又は「ni-1」若しくは「ni」、又は成分の任意の組み合わせ:n1、n2、…ni-1、及びniを意味する。
【0059】
本発明の文脈では、「乾燥する」又は「乾燥した」という用語は、問題の組成物又は生成物が、最大10%重量/重量の水、好ましくは最大6%重量/重量、より好ましくはさらに少ない水を含むことを意味する。
【0060】
本発明の文脈では、「物理的微生物減少」という用語は、組成物の生存可能な微生物の総量の減少をもたらす組成物との物理的相互作用に関する。該用語は、微生物を死滅させる結果となる化学物質の添加を含まない。該用語はさらに、噴霧乾燥中に噴霧された液滴がさらされる熱曝露を含まないが、噴霧乾燥前の可能な予熱を含む。
【0061】
本発明の文脈では、粉末のpHは、90gの脱塩水に混合した10gの粉末のpHを指し、例1.16に従って測定される。
【0062】
本発明の文脈では、特定の組成物の成分、製品、又は材料の重量パーセント(%重量/重量)は、別の基準が具体的に言及されていない限り(例えば、全固形分又は総タンパク質)、特定の組成物、製品、又は材料の重量に対するその成分の重量パーセントを意味する。
【0063】
本発明の文脈では、プロセスの工程である「濃縮」及び動詞「濃縮する」は、タンパク質の濃度に関するものであり、全固形分ベースのタンパク質の濃度及び総重量ベースのタンパク質の濃度の両方を包含する。これは、例えばその濃度は、タンパク質の含有量が全固形分に対して増加する限り、組成物のタンパク質の絶対濃度重量/重量が増加することを必ずしも必要としない。
【0064】
本発明の文脈では、成分Xと成分Yとの間の「重量比」という用語は、計算mX/mYによって得られる値を意味し、式中、mXは、成分Xの量(重量)であり、mYは、成分Yの量(重量)である。
【0065】
本発明の文脈では、「少なくとも低温殺菌」という用語は、70℃で10秒間の熱処理以上の微生物死滅効果を有する熱処理に関する。殺菌効果を決定するための基準は、大腸菌(E.coli)O157:H7である。
【0066】
本発明の文脈では、「ホエイタンパク質フィード」という用語は、液体BLG単離物が由来するホエイタンパク質源に関する。ホエイタンパク質フィードは、液体BLG単離物よりも総タンパク質に比べてBLGの含有量が少なく、典型的にはWPC、WPI、SPC、又はSPIである。
【0067】
本発明の文脈では、「BLG濃縮組成物」という用語は、ホエイタンパク質フィードからBLGを単離することから生じるBLG濃縮組成物に関する。BLG濃縮組成物は、典型的には、ホエイタンパク質フィードと同じホエイタンパク質を含むが、BLGは、ホエイタンパク質フィードよりも総タンパク質に対して有意に高い濃度で存在する。BLG濃縮組成物は、例えば、クロマトグラフィー、タンパク質結晶化及び/又は膜ベースのタンパク質分画によってホエイタンパク質フィードから調製される。BLG濃縮組成物は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量、好ましくは少なくとも90%重量/重量の量のBLGを含む。場合によっては、BLG濃縮組成物を液体BLG単離物として直接使用することができる。ただし、BLGが豊富な組成物を液体BLG単離物に変換するには、多くの場合、追加の処理が必要である。
【0068】
本発明の文脈では、「ホエイタンパク質溶液」という用語は、塩溶様式でBLGに関して過飽和であり、BLG結晶を調製するのに有用である特殊な水性ホエイタンパク質組成物を説明するために使用される。
【0069】
本発明の文脈では、「滅菌」という用語は、問題の滅菌組成物、又は製品が生存可能な微生物を含まず、したがって、室温での貯蔵中に微生物の増殖がないことを意味する。滅菌された組成物は無菌である。
【0070】
飲料調製物等の液体を滅菌し、滅菌容器に無菌的に包装する場合、典型的には、室温で少なくとも6ヵ月の貯蔵寿命がある。滅菌処理は、液体の腐敗を引き起こす可能性のある胞子及び微生物を死滅させる。
【0071】
本発明の文脈では、「エネルギー含量」という用語は、食品に含まれるエネルギーの総含有量を意味する。エネルギー含量は、キロジュール(kJ)又はキロカロリー(kcal)で測定でき、食品の量あたりのカロリー、例えば、食品100グラムあたりのkcalと称される。一例は、350kcal/100グラムのインスタント飲料粉末のエネルギー含量を有するインスタント飲料粉末である。
【0072】
食品の総エネルギー含量には、食品に存在する全ての多量栄養素、例えばタンパク質、脂質、及び炭水化物からのエネルギーからのエネルギー寄与が含まれる。食品中の多量栄養素からのエネルギーの分布は、食品中の多量栄養素の量、及び食品中の総エネルギー含量に対する多量栄養素の寄与に基づいて計算できる。エネルギー分布は、食品の総エネルギー含量のエネルギーパーセント(E%)として表すことができる。例えば、タンパク質20E%、炭水化物50E%、脂質30E%を含むインスタント飲料粉末の場合、これは、総エネルギーの20%がタンパク質に由来し、総エネルギーの50%が炭水化物に由来し、30%が総エネルギーは脂肪(脂質)に由来する。
【0073】
本発明の文脈では、「栄養補助食品」という用語は、タンパク質、脂質及び/又は炭水化物等の1つ又は2つ以上の多量栄養素を含み、任意にビタミン及びミネラルを含む食品に関する。栄養補助食品は、完全なもの又は不完全なもののいずれでもよい。
【0074】
「栄養的に完全な栄養補助食品」という用語は、タンパク質、脂質、炭水化物を含み、さらにビタミン、ミネラル、微量元素を含む食品を意味し、該食品は完全で健康的な食事に一致する栄養プロファイルを有する。
【0075】
「栄養的に不完全なサプリメント」という用語は、1つ又は2つ以上の多量栄養素を含み、任意に、さらにビタミン、ミネラル、及び微量元素を含む食品を意味する。不完全な栄養補助食品は、唯一の栄養素としてタンパク質を含む場合もあり、又はタンパク質、脂質、及び炭水化物を含む場合もある。
【0076】
「特別な医療目的の食品(FSMP:food for special medical purposes)」又は「医療食品」という用語は、経口摂取又は経管栄養用の食品であり、特有の栄養要求がある特定の医学的障害、疾患、又は状態に対して使用され、また医学的管理下で使用される。医療食品は、栄養的に完全なサプリメントであってもよく、又は栄養的に不完全なサプリメントであってもよい。
【0077】
「栄養素」という用語は、生物が生き残り、成長し、繁殖するために使用する物質を意味する。栄養素は、多量栄養素又は微量栄養素のいずれかである。多量栄養素は、消費されたときにエネルギーを提供する栄養素、例えば、タンパク質、脂質、炭水化物である。微量栄養素は栄養素であり、ビタミン、ミネラル、微量元素である。
【0078】
「インスタント飲料粉末」又は「インスタント飲料粉末製品」という用語は、水等の液体の添加によって液体飲料に変換することができる粉末を意味する。
【0079】
本発明の文脈では、実質的に使用される「飲料調製物」及び「調製物」という用語は、例えば、注ぐ、すする、又は経管栄養によって飲料として摂取することができる任意の水ベースの液体に関する。
【0080】
本発明の文脈では、「タンパク質画分」という用語は、問題の組成物のタンパク質、例えば、タンパク質の粉末又は飲料製剤のタンパク質に関する。
【0081】
本発明の文脈では、「渋味」という用語は、口当たりに関する。渋味は頬の筋肉の収縮のように感じ、唾液の産生を増加させる。したがって、渋味は、それ自体が味ではなく、口の中での物理的な口当たり及び時間依存性の感覚である。
【0082】
本発明の文脈では、「乾いた口当たり」という用語は、口の中の感触に関し、口及び歯の乾燥しているように感じ、唾液生成が最小限に抑えられる。したがって、乾いた口当たりは、それ自体が味ではなく、口の中での物理的な口当たり及び時間依存性の感覚である。
【0083】
本発明の文脈では、本明細書で使用される「ミネラル」という用語は、別段の指定がない限り、主要なミネラル、微量又は少数のミネラル、他のミネラル、及びそれらの組み合わせのいずれか1つを指す。主なミネラルとしては、カルシウム、リン、カリウム、硫黄、ナトリウム、塩素、マグネシウムが挙げられる。微量又は少数のミネラルとしては、鉄、コバルト、銅、亜鉛、モリブデン、ヨウ素、セレン、マンガンが挙げられ、その他のミネラルとしては、クロム、フッ素、ホウ素、リチウム、及びストロンチウムが挙げられる。
【0084】
本発明の文脈では、本明細書で使用される「脂質」、「脂肪」、及び「油」という用語は、別段の指定がない限り、植物若しくは動物に由来するか、又はそれらから加工される脂質材料を指すために同じ意味で使用される。これらの用語には、合成脂質材料がヒトの消費に適している限り、そのような合成脂質材料も含まれる。
【0085】
本発明の文脈では、「透明」という用語は、視覚的に透明な外観を有し、光を通し、それを通して明瞭な画像が現れる飲料調製物を包含する。透明な飲料の濁度は最大200NTUである。
【0086】
本発明の文脈では、「不透明」という用語は、目に見えて不明瞭な外観を有する飲料調製物を包含し、それは200NTUを超える濁度を有する。
【0087】
本発明の文脈では、「母液」という用語は、BLGが結晶化され、BLG結晶が少なくとも部分的に除去された後に残るホエイタンパク質溶液に関する。母液にはまだ幾つかのBLG結晶が含まれている可能性があるが、通常は分離を免れた小さなBLG結晶のみが含まれている。
【0088】
「インスタント飲料粉末」又は「インスタント飲料粉末製品」という用語は、水等の液体の添加によって液体飲料に変換することができる粉末を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0089】
栄養補助食品の全体的な概念は、消費者によって認められている。栄養補助食品は、味と外観が食欲をそそるものでなくてはならず、そうでなければ、消費者によって拒絶される。さらに、消費者は添加物を含まない天然製品を高く評価している。消費者にとって重要なさらなるパラメーターは、製品の貯蔵寿命である。
【0090】
本発明の態様は、少なくとも1%重量/重量、好ましくは少なくとも5%のBLGを含むインスタント飲料粉末であって、
i.BLGの結晶化度が少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%であり、及び/又は
ii.タンパク質の総量の少なくとも85%重量/重量がBLGで構成され、
さらに、ビタミン、香味料、着色剤、ミネラル、甘味料、抗酸化剤、食用酸、脂質、炭水化物、プレバイオティクス、プロバイオティクス、消泡剤、及び非ホエイタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つの追加の原料を含む、インスタント飲料粉末に関する。
【0091】
インスタント飲料粉末に使用されるBLG源は、本特許出願に記載されているように、BLG単離物又はBLG単離粉末であり得る。本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG源は、インスタント飲料粉末の総タンパク質の少なくとも90%重量/重量、より好ましくは少なくとも95%重量/重量、さらにより好ましくは少なくとも98%重量/重量に寄与し、最も好ましくはインスタント飲料粉末の全てのタンパク質に寄与していることである。
【0092】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG源は、BLG単離粉末であり、それは、インスタント飲料粉末中の唯一のタンパク質源である。
【0093】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末は、BLG単離粉末及び他の原料をドライブレンドすることによって調製される。
【0094】
本発明の他の好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末は、溶解形態の少なくとも1つの原料を使用し、続いて乾燥工程を行うことによって調製される。乾燥工程は、例えば、湿式造粒プロセス又は噴霧乾燥工程の一部を形成する。
【0095】
本発明のインスタント飲料粉末のBLGは、好ましくは、変性度が低く、例えば、最大10%、好ましくは最大4%、より好ましくは最大1%、さらにより好ましくは最大0.4%、さらにより好ましくは最大0.1%である。最も好ましくは、BLGは全く変性されていない。インスタント飲料粉末の場合、液体と混合したときに泡立つ傾向が減少するため、BLGの変性度が低いことが有利である。
【0096】
インスタント飲料粉末は、好ましくは、最大10%、好ましくは最大4%、より好ましくは最大1%、さらにより好ましくは最大0.4%、さらにより好ましくは最大0.1%のタンパク質変性度を有する。最も好ましくは、タンパク質は全く変性されていない。
【0097】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、1~90%重量/重量のBLGを含む。本発明の好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末は、30~90%重量/重量のBLG、より好ましくは40~90%重量/重量の範囲のBLG、又はさらにより好ましくは50~90%重量/重量の範囲のBLGを含む。
【0098】
本発明の他の好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末は、10~97%重量/重量のBLGを含む。本発明の好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末は、30~96%重量/重量のBLG、より好ましくは40~95%重量/重量の範囲のBLG、又はさらにより好ましくは50~94%重量/重量の範囲のBLGを含む。
【0099】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、1~50%重量/重量のBLGを含む。本発明の好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末は、2~45%重量/重量のBLG、より好ましくは3~40%重量/重量の範囲のBLG、又はさらにより好ましくは3~35%重量/重量の範囲のBLGを含む。
【0100】
本発明の好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末は、BLGをタンパク質の総量の少なくとも85%重量/重量を含む。
【0101】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、例えば、総タンパク質に対して少なくとも86%重量/重量のBLG、総タンパク質に対して少なくとも87%重量/重量のBLG、総タンパク質に対して少なくとも88%重量/重量のBLG、総タンパク質に対して少なくとも89%重量/重量のBLGを含む。
【0102】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも91%重量/重量のBLG、例えば、総タンパク質に対して少なくとも92%重量/重量のBLG、総タンパク質に対して少なくとも93%重量/重量のBLG、総タンパク質に対して少なくとも94%重量/重量のBLG、総タンパク質に対して少なくとも95%重量/重量のBLG、総タンパク質に対して少なくとも96%重量/重量のBLG、総タンパク質に対して少なくとも97%重量/重量のBLG、総タンパク質に対して少なくとも98%重量/重量のBLG、又は総タンパク質に対して少なくとも99%重量/重量のBLGを含む。
【0103】
本発明のインスタント飲料粉末の幾つかの好ましい実施形態では、タンパク質の少なくとも85%重量/重量はBLGである。好ましくは、タンパク質の少なくとも88%重量/重量はBLGであり、より好ましくは少なくとも90%重量/重量、さらにより好ましくは少なくとも91%重量/重量、最も好ましくは少なくとも92%重量/重量のタンパク質がBLGである。
【0104】
さらに高い相対量のBLGが実現可能且つ望ましいことから、本発明の幾つかの好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末のタンパク質の少なくとも94%重量/重量がBLGであり、より好ましくは、タンパク質の少なくとも96%重量/重量がBLGであり、さらにより好ましくはタンパク質の少なくとも98%重量/重量がBLGであり、最も好ましくタンパク質のおよそ100%重量/重量がBLGである。
【0105】
例えば、インスタント飲料粉末は、好ましくは、総タンパク質に対して、少なくとも97.5%重量/重量、好ましくは少なくとも98.0%重量/重量、より好ましくは少なくとも98.5%重量/重量、さらにより好ましくは少なくとも99.0%の量のBLG、最も好ましくは総タンパク質に対して少なくとも99.5%重量/重量、例えば総タンパク質に対しておよそ100.0%の量のBLGを含む。
【0106】
インスタント飲料粉末のタンパク質は、好ましくは哺乳動物の乳から、好ましくは反芻動物、例えばウシ、ヒツジ、ヤギ、スイギュウ、ラクダ、ラマ、ウマ及び/又はシカの乳から調製される。ウシの乳由来のタンパク質が特に好ましい。したがって、インスタント飲料粉末のタンパク質は、好ましくは牛乳のタンパク質である。
【0107】
インスタント飲料粉末のタンパク質は、好ましくはホエイタンパク質又は乳清タンパク質であり、さらにより好ましくはウシのホエイタンパク質又は乳清タンパク質である。
【0108】
固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)は、BLGのアンフォールディングの程度の尺度であり、本発明者らは、高いBLGトリプトファン蛍光発光比は、BLGのアンフォールディングが低いか全くないことと相関することを見出し、固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)は例1.1に従って測定される。
【0109】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末は、少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有する。
【0110】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末は、少なくとも1.12、好ましくは少なくとも1.13、より好ましくは少なくとも1.15、さらにより好ましくは少なくとも1.17、及び最も好ましくは少なくとも1.19の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有する。
【0111】
インスタント飲料粉末にかなりの量の非タンパク質物質が含まれている場合は、固有トリプトファン蛍光発光比を測定する前にタンパク質画分を単離することが好ましい。そのため、本発明の幾つかの好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末のタンパク質画分は、少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比を有する。
【0112】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末のタンパク質画分は、少なくとも1.12、好ましくは少なくとも1.13、より好ましくは少なくとも1.15、さらにより好ましくは少なくとも1.17、及び最も好ましくは少なくとも1.19の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有する。
【0113】
例えば、インスタント飲料粉末を脱塩水に溶解し、タンパク質を保持するフィルターを使用して溶液を透析又は限外濾過ベースの透析に供することにより、インスタント飲料粉末からタンパク質画分を分離する。
【0114】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末のBLGの結晶化度は、少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%である。BLGの結晶化度が少なくとも20%であるということは、インスタント飲料粉末に乾燥したBLG結晶の形態でかなりの量のBLGが存在することを意味する。
【0115】
本発明者らは、タンパク質が従来のWPIよりも高密度の形態で存在することを意味するのため、少なくとも20%のBLGの結晶化度が有利であることを見出した。これにより、インスタント飲料粉末の全体的なかさ密度が高くなり、粉っぽさが少なくなり、エンドユーザーの取り扱いが容易になる。本発明者らはまた、例えば、タンパク質粉末に加えて、炭水化物粉末及び/又は食用酸粉末を含む、ドライブレンドされたインスタント飲料粉末における粒子分離の傾向が減少していることを観察した。
【0116】
本発明は、甘味と高タンパク質含有量の両方を有する低炭水化物インスタント飲料粉末を提供することを可能にする。
【0117】
したがって、本発明の幾つかの好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末は、以下を含む:
-320~380kcal/粉末100グラムの範囲、好ましくは350~370kcal/100グラムの範囲のエネルギー含量、
-90~100E%の範囲、好ましくは95~100E%の範囲のタンパク質からのエネルギーの寄与、
-総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量、より好ましくは総タンパク質に対して少なくとも94%重量/重量の量のBLG
-0~10E%の範囲、好ましくは0~5E%の範囲の炭水化物からのエネルギーの寄与、
-0.01~4%重量/重量の範囲、好ましくは0.05~3%の範囲の高甘味度甘味料の総量
-少なくとも0.45g/mL、好ましくは少なくとも0.50g/mL、より好ましくは少なくとも0.6g/mLのかさ密度を有する。
【0118】
インスタント飲料粉末のタンパク質は、好ましくは、i)2~4.9、ii)6.1~8.5、又はiii)5.0~6.0の範囲のpHを有し、以下:
-少なくとも90%重量/重量、好ましくは少なくとも95%重量/重量の量の総タンパク質
-総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量、より好ましくは総タンパク質に対して少なくとも94%重量/重量の量のBLG、を含むBLG単離粉末によって提供され、
当該BLG単離粉末は以下:
-少なくとも0.45g/mL、好ましくは少なくとも0.50g/mL、より好ましくは少なくとも0.6g/mLのかさ密度、並びに
-以下の1つ又は2つ以上:
-少なくとも1.11、好ましくは少なくとも1.13、より好ましくは少なくとも1.15の固有トリプトファン蛍光発光比(I330/I350)
-最大10%、好ましくは少なくとも5%のタンパク質変性度
-pH3.9で最大200NTUの熱安定性、及び
-最大1000コロニー形成単位/g、を有する。
【0119】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、ビタミン、香味料、着色剤、ミネラル、甘味料、抗酸化剤、食用酸、脂質、炭水化物、プレバイオティクス、プロバイオティクス、及び非ホエイタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つの追加の原料をさらに含む。
【0120】
さらなる原料は、インスタント飲料粉末が所望の栄養素、すなわち、栄養失調のある患者又は栄養失調のリスクのある患者、腎臓病に苦しむ患者、体重増加のために特に適合された栄養素を含むことを保証するか、又は例えばスポーツマン若しくはアスリートにより栄養補助食品として使用され得る。
【0121】
本発明の好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末は、ビタミンA、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン)、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB9(葉酸)、及びビタミンB12(コバラミン)、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、コリン、イノシトール、それらの塩、それらの誘導体及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるビタミンを含み得る。
【0122】
一実施形態では、インスタント飲料粉末は、塩、香味料、調味料及び/又は香辛料からなる群から選択される香味料を含み得る。本発明の好ましい実施形態では、フレーバーは、チョコレート、ココア、レモン、オレンジ、ライム、ストロベリー、バナナ、フォレストフルーツフレーバー又はそれらの組み合わせを含む。
【0123】
一実施形態では、インスタント飲料粉末は、ホウ素、カルシウム、クロム、銅、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、リン、カリウム、ナトリウム、セレン、シリコン、スズ、バナジウム、亜鉛、又はそれらの組み合わせからなる群から選択されるミネラルを含み得る。
【0124】
インスタント飲料粉末はさらに、ホエイ又は乳由来の製品に典型的に存在する塩及びミネラルを含み得る。インスタント飲料粉末のミネラル含量は、典型的には、食品原料又は製品の灰分として表される。好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末は、ベータカロチン、ビタミンC、ビタミンE、セレン、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される抗酸化剤を含み得る。
【0125】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、炭水化物甘味料、ポリオール及び/又は高甘味度甘味料等の1つ又は2つ以上の甘味料を含み得る。インスタント飲料粉末は、例えば、インスタント飲料粉末の総重量に対して0.001~20%重量/重量の範囲の炭水化物甘味料の総量を含み得る。或いは、インスタント飲料粉末は、食品の総重量に対して0.1~15%重量/重量の範囲の炭水化物甘味料の総量を含み得る。
【0126】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、少なくとも1つの高甘味度甘味料を含む。一実施形態では、少なくとも1つの高甘味度甘味料は、アスパルテーム、シクラメート、スクラロース、アセスルファム塩、ネオテーム、サッカリン、ステビア抽出物、レバウジオシドA等のステビオールグリコシド、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。本発明の幾つかの実施形態では、甘味料は、1つ又は2つ以上の高甘味度甘味料(HIS)を含むか、さらにはそれらからなることが特に好ましい。
【0127】
高甘味度甘味料は、天然甘味料と人工甘味料の両方に見られ、典型的には、ショ糖の少なくとも10倍の甘味度を持っている。
【0128】
使用する場合、高甘味度甘味料の総量は、典型的には、0.01~4%重量/重量の範囲である。例えば、高甘味度甘味料の総量は、0.05~3%重量/重量の範囲であり得る。或いは、高甘味度甘味料の総量は、0.1~2.0%重量/重量の範囲であり得る。
【0129】
甘味料の選択は、製造される飲料、及び製品の消費者に依存し得て、例えば、患者の具体的な診断に合わせて調整され得る。高甘味度の砂糖甘味料(アスパルテーム、アセトスルファム-K、スクラロース等)は、甘味料からのエネルギーの寄与が望まれない飲料に使用され得るが、天然プロファイルを有する飲料の場合は、天然甘味料(ステビオールグリコシド、ソルビトール、スクロース等)が使用され得る。
【0130】
さらに、甘味料は、1つ又は2つ以上のポリオール甘味料を含むか、さらにはそれらからなることが好ましい場合がある。有用なポリオール甘味料の非限定的な例は、マルチトール、マンニトール、ラクチトール、ソルビトール、イノシトール、キシリトール、トレイトール、ガラクチトール又はそれらの組み合わせである。使用する場合、ポリオール甘味料の総量は、典型的には、1~40%重量/重量の範囲である。例えば、ポリオール甘味料の総量は、2~30%重量/重量の範囲であり得る。或いは、ポリオール甘味料の総量は、4~20%重量/重量の範囲であり得る。
【0131】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、以下の1つ又は2つ以上を含み得る:
i.甘味料、例:砂糖甘味料及び/又は非砂糖甘味料、
ii.香味料、
iii.少なくとも1つの食用酸、例えばクエン酸又は他の適切な食用酸、
iv.インスタント飲料のNa、K、Mg、及びCaの量の合計は、最大10mmol/gタンパク質であり、
ここで、脱塩水中の粉末の10%重量/重量溶液は、2~8の範囲のpHを有する。
【0132】
インスタント飲料粉末のpHは、例1.16に記載されているように、室温で90mlの脱塩水に10グラムのインスタント飲料粉末を溶解することによって測定することができる。
【0133】
本発明者らは、例えば、腎臓病の患者に特に有用なインスタント飲料粉末の場合、インスタント飲料粉末に低リン/低カリウムBLG単離粉末を使用することが有利であることを見出した。
【0134】
甘味料、香味料、及び/又は食用酸を添加することにより、インスタント飲料粉末が消費者にアピールするように製品の味を設計することができる。本発明の一実施形態では、消費者は患者であり得て、インスタント飲料粉末のフレーバー、甘味料、及び酸性プロファイルが該患者のニーズ及び診断に適合するように調整される。
【0135】
本発明の好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末は、高甘味度甘味料及び香味料を含み得る。本発明のさらにより好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末は、0.001~0.05%重量/重量のスクラロース、及び0.01~0.2%重量/重量、並びにチョコレート、ココア、レモン、オレンジ、ライム、イチゴ、バナナ、フォレストフルーツフレーバー又はそれらの組み合わせから選択されるフレーバーを含む。
【0136】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、消泡剤を含む。消泡剤は、食品に適した消泡剤から選択することができる。消泡剤は、油系消泡剤、水系消泡剤、シリコーン系消泡剤、EP/PO系消泡剤、又はそれらの組み合わせから選択され得る。
【0137】
インスタント飲料粉末の含水量は最大6%重量/重量である。本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、最大5%重量/重量の水、好ましくは最大4%重量/重量の水、より好ましくは最大3%重量/重量の水、さらにより好ましくは最大2%重量/重量の水を含む。
【0138】
インスタント飲料粉末の貯蔵安定性は、粉末の含水量を下げると高められる可能性がある。
【0139】
本発明者らは、インスタント飲料粉末の一部の所望の特性に到達ようにミネラル含量を制御することが有利であり得ることを見出した。
【0140】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg、及びCaの量の合計は、最大10mmol/gタンパク質である。好ましくは、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg、及びCaの量の合計は、最大6mmol/gタンパク質、より好ましくは最大4mmol/gタンパク質、さらにより好ましくは最大2mmol/gタンパク質である。
【0141】
本発明の他の好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg、及びCaの量の合計は、最大1mmol/gタンパク質である。好ましくは、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg、及びCaの量の合計は、最大0.6mmol/gタンパク質、より好ましくは最大0.4mmol/gタンパク質、さらにより好ましくは最大0.2mmol/gタンパク質、最も好ましくは最大0.1mmol/gタンパク質である。
【0142】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、例えば、PCT/EP2017/084553号明細書に記載されている1つ又は2つ以上の方法で入手可能な乾燥BLG結晶を含む。BLG結晶を含むインスタント飲料粉末は、少なくとも0.30g/mL、好ましくは少なくとも0.4g/mLのかさ密度を有し得る。
【0143】
本発明者らは、BLGの少なくとも一部が結晶形態にあるインスタント飲料粉末は、BLG結晶を含まない同等のインスタントBLG組成物よりも高密度であることを観察した。したがって、本発明の幾つかの好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末は、少なくとも0.30g/mL、好ましくは少なくとも0.40g/mLのかさ密度を有する。好ましくは、インスタント飲料粉末は、少なくとも0.45g/mLのかさ密度を有する。より好ましくは、インスタント飲料粉末は、少なくとも0.50g/mLのかさ密度を有する。インスタント飲料粉末が少なくとも0.6g/mLのかさ密度を有することがさらにより好ましい。インスタント飲料粉末は、例えば、少なくとも0.7g/mLのかさ密度を有し得る。
【0144】
本発明のインスタント飲料粉末は、好ましくは、0.3~1.0g/mLの範囲、好ましくは0.40~0.9g/mLの範囲、より好ましくは0.45~0.8g/mLの範囲、さらにより好ましくは0.45~0.75g/mLの範囲、さらにより好ましくは0.50~0.75g/mLの範囲、最も好ましくは0.6~0.75g/mLの範囲のかさ密度を有する。
【0145】
粉末のかさ密度は、例1.17に従って測定することができる。
【0146】
本発明のインスタント飲料粉末中の総タンパク質含有量及びエネルギー含量は、インスタント飲料粉末の使用目的に依存する。インスタント飲料粉末のエネルギー含量は、200~500kcal/粉末100グラムの範囲である。
【0147】
インスタント飲料粉末の場合、タンパク質からのエネルギーの寄与は、少なくとも7E%、好ましくは少なくとも25E%、より好ましくは少なくとも30E%、さらにより好ましくは少なくとも40E%であり得る。
【0148】
本発明の好ましい実施形態では、タンパク質からのエネルギーの寄与は、10~30E%の範囲、好ましくは10~15E%の範囲、さらにより好ましくは11E%である。或いは、タンパク質からのエネルギーの寄与は、15~25E%の範囲、好ましくは18~22E%の範囲である。
【0149】
本発明の好ましい実施形態では、タンパク質からのエネルギーの寄与は、7~25E%の範囲、好ましくは10~25E%の範囲、より好ましくは15~20E%であるか、又はさらにより好ましくはインスタント飲料粉末には、タンパク質から15E%若しくはタンパク質から20E%のエネルギーが含まれているか、又はタンパク質からのエネルギーの寄与は8~15E%の範囲である。
【0150】
本発明の別の好ましい実施形態では、タンパク質からのエネルギーの寄与は、少なくとも50E%、好ましくは少なくとも60E%又は少なくとも70E%、又はさらにより好ましいのは少なくとも80E%である。本発明の好ましい実施形態では、タンパク質からのエネルギーの寄与は、80~100E%の範囲、好ましくは90~100E%の範囲、又はさらにより好ましくは95~100E%の範囲である。
【0151】
本発明の好ましい実施形態では、タンパク質からのエネルギーの寄与は、30~80E%の範囲、好ましくは60~80E%の範囲である。本発明の別の実施形態では、タンパク質からのエネルギーの寄与は、30~40E%の範囲であり、さらにより好ましくは、インスタント飲料粉末は、タンパク質から33E%を含む。
【0152】
インスタント飲料粉末は、例えば、栄養失調のある若しくは栄養失調のリスクのある患者の処置、腎臓病に苦しむ患者に対して、又は体重増加のために栄養補助食品として使用され得るか、又は運動前、運動中若しくは運動後にスポーツマン若しくはアスリートにより栄養補助食品として使用され得る。
【0153】
本発明のインスタント飲料粉末は、タンパク質以外の多量栄養素を含み得る。インスタント飲料粉末は、タンパク質に加えて炭水化物及び/又は脂質を含むことができる。本発明のインスタント飲料粉末中の総脂質含有量は、インスタント飲料粉末の使用目的に依存する。本発明の一実施形態では、脂質からのエネルギーの寄与は、0~60E%の範囲である。
【0154】
本発明の好ましい実施形態では、脂質からのエネルギーの寄与は、0~5E%の範囲で、好ましくは0~2E%の範囲であるか、又はより好ましいのは脂質から0~3E%の範囲である。
【0155】
さらに脂質が少ないことが好ましい場合があり、そのため本発明の好ましい実施形態では、脂質からのエネルギーの寄与は、0~1E%の範囲で、好ましくは0~0.1E%の範囲であるか、又はより好ましいのは脂質から0~0.01E%の範囲である。
【0156】
本発明の好ましい実施形態では、脂質からのエネルギーの寄与は、30~60E%の範囲、好ましくは30~50E%の範囲であり、又はさらにより好ましくは、インスタント飲料粉末は脂質から35E%、脂質から45E%又は脂質から50E%を含む。或いは、脂質からのエネルギーの寄与は25~45E%の範囲である。
【0157】
本発明の好ましい実施形態では、脂質からのエネルギーの寄与は、15~20E%の範囲、好ましくは16~18E%の範囲であり、又はさらにより好ましくは、インスタント飲料粉末は脂質から16E%を含む。
【0158】
インスタント飲料粉末は、例えば、栄養失調のある若しくは栄養失調のリスクのある患者の処置、腎臓病に苦しむ患者に対して、又は体重増加のために栄養補助食品として使用され得るか、又は運動前、運動中若しくは運動後にスポーツマン若しくはアスリートにより栄養補助食品として使用され得る。
【0159】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、タンパク質に加えて炭水化物を含み得る。インスタント飲料粉末の総エネルギーに対する炭水化物のエネルギー寄与は、0~90E%の範囲であり得る。
【0160】
炭水化物は、糖、オリゴ糖又は多糖から選択することができる。糖の例は、単糖、二糖、及びポリオールである。オリゴ糖の例は、マルトデキストリン等のマルトオリゴ糖、又はラフィノース、スタキオース、又はフラクトオリゴ糖等の他のオリゴ糖である。多糖類の例は、アミロース、アミロペクチン、又は加工デンプン等のデンプン、及び食物繊維、セルロース、ペクチン、及び親水コロイド等の非デンプン多糖類である。本発明の好ましい実施形態では、炭水化物は、マルトデキストリン、サッカロース又はグルコースシロップから選択される。
【0161】
本発明のインスタント飲料粉末中の炭水化物含有量は、インスタント飲料粉末の使用目的に依存する。スポーツマン又はアスリートに使用されるインスタント飲料粉末の場合、スポーツマンの即時エネルギーを高めるために砂糖の形態で炭水化物を添加するか、満腹感を長引かせるために遅い(slow)炭水化物の形態で炭水化物又は食物繊維を添加することができる。
【0162】
本発明の好ましい実施形態では、炭水化物からのエネルギーの寄与は、70~90E%の範囲、好ましくは75~85E%の範囲であり、又はより好ましくは、インスタント飲料粉末は、89E%の炭水化物を含む。
【0163】
本発明の好ましい実施形態では、炭水化物からのエネルギーの寄与は、30~50E%の範囲、好ましくは35~45E%の範囲であり、又はさらにより好ましくは、インスタント飲料粉末は、炭水化物から35E%、炭水化物から45E%若しくは炭水化物から50E%を含む。或いは、炭水化物からのエネルギーの寄与は、45~55E%の範囲等、40~60E%の範囲である。
【0164】
本発明の別の好ましい実施形態では、炭水化物からのエネルギーの寄与は、0~20E%の範囲である。本発明の好ましい実施形態では、炭水化物からのエネルギーの寄与は、0~10E%の範囲、好ましくは0~5E%の範囲である。
【0165】
本発明のさらに好ましい実施形態では、炭水化物からのエネルギーの寄与は、0~4E%、より好ましくは0~1E%、さらにより好ましくは0~0.2E%の範囲である。
【0166】
本発明の別の好ましい実施形態では、炭水化物からのエネルギーの寄与は、3~20E%の範囲である。本発明の好ましい実施形態では、炭水化物からのエネルギーの寄与は4~15E%の範囲である。本発明の別の実施形態では、炭水化物からのエネルギーの寄与は、45~55E%の範囲である。
【0167】
インスタント飲料粉末は、例えば、栄養失調のある若しくは栄養失調のリスクのある患者の処置、腎臓病に苦しむ患者に対して、又は体重増加のために栄養補助食品として使用され得るか、又は運動前、運動中若しくは運動後にスポーツマン若しくはアスリートにより栄養補助食品として使用され得る。
【0168】
本発明のインスタント飲料粉末はタンパク質を含み、タンパク質に加えて、インスタント飲料粉末の使用目的に応じて脂質及び/又は炭水化物を含み得る。
【0169】
本発明の好ましい実施形態では、インスタント粉末は、ビタミン、ミネラル、及び微量元素をさらに含む。インスタント飲料粉末は、例えば、栄養失調のある若しくは栄養失調のリスクのある患者の処置、腎臓病に苦しむ患者に対して、又は体重増加のために栄養補助食品として使用され得るか、又はスポーツマン若しくはアスリートにより栄養補助食品として使用され得る。
【0170】
インスタント飲料粉末のエネルギー含量は、200~400kcal/粉末100グラムの範囲であり得る。本発明の好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末のエネルギー含量は、300~400kcal/粉末100グラムの範囲であり、さらにより好ましいのは、インスタント飲料粉末のエネルギー含量は、320~380kcal/粉末100グラムの範囲であり、又は最も好ましいのは350~370kcal/粉末100グラムの範囲である。
【0171】
本発明の好ましい実施形態では、インスタント飲料サプリメントは、タンパク質10~30E%、炭水化物70~90E%、及び脂質0~5E%のようなエネルギー分布を有する。本発明のより好ましい実施形態では、インスタント飲料サプリメントは、タンパク質10~15E%、炭水化物75~85E%、及び脂質0~1E%のエネルギー分布を有する。本発明の好ましい実施形態では、インスタント飲料サプリメントは、タンパク質11E%、炭水化物89E%、及び脂質0E%のエネルギー分布を有する。
【0172】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、タンパク質、炭水化物、及び脂質を含み、任意に、ビタミン、ミネラル、及び微量元素を含む。飲料粉末の推奨される1日の摂取量が、ビタミン、ミネラル、及び微量元素の推奨される1日の摂取量を供給するように、インスタント飲料粉末を設計することができる。しかしながら、これは必要条件ではない。
【0173】
かかるインスタント飲料粉末は、消費者が、エネルギー分布、多量栄養素及び微量栄養素に関して健康的な食事を反映する多量栄養素の割合を備えた栄養補助食品に関心がある場合、例えば、栄養補助食品が、医療専門家の監督の下で与えられる場合、栄養補助食品として有用な場合がある。
【0174】
インスタント飲料粉末のエネルギー含量は、400~500kcal/粉末100グラムの範囲である。本発明の好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末のエネルギー含量は、410~490kcal/粉末100グラムの範囲であり、さらにより好ましくは、インスタント飲料粉末のエネルギー含量は、420~480kcal/粉末100グラムの範囲であり、又は最も好ましいのは440~460kcal/粉末100グラムの範囲である。
【0175】
本発明の好ましい実施形態では、インスタント飲料サプリメントは、タンパク質7~25E%、炭水化物30~50E%、及び脂質30~55E%のようなエネルギー分布を有する。本発明のより好ましい実施形態では、インスタント飲料サプリメントは、タンパク質10~25E%、炭水化物30~50E%及び脂質30~55E%、又はさらにより好ましくはタンパク質15~20E%、炭水化物35~45E%及びの脂質35~50E%エネルギー分布を有する。本発明のさらにより好ましい実施形態では、インスタント飲料サプリメントは、タンパク質15E%、炭水化物35E%及び脂質50E%のエネルギー分布を有し、タンパク質20E%、炭水化物45E%及び脂質35E%のエネルギー分布を有し、又は8~15E%タンパク質、40~47E%炭水化物及び45E%脂質のエネルギー分布を有する。
【0176】
本発明の好ましい実施形態では、インスタント粉末は、ビタミン、ミネラル、及び微量元素をさらに含む。
【0177】
インスタント飲料粉末は、例えば、栄養失調のある若しくは栄養失調のリスクのある患者の処置、腎臓病に苦しむ患者に対して、又は体重増加のために栄養補助食品として使用され得るか、又は運動前、運動中若しくは運動後にスポーツマン若しくはアスリートにより栄養補助食品として使用され得る。
【0178】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、タンパク質、炭水化物、及び脂質を含む。かかるインスタント飲料粉末は、タンパク質の摂取が消費者の最優先事項である場合、例えば、消費者が通常の食事を補うことを望む場合、栄養補助食品として有用となる可能性がある。インスタント飲料粉末のエネルギー含量は、200~500kcal/粉末100グラムの範囲である。本発明の好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末のエネルギー含量は、200~350kcal/粉末100グラムの範囲であり、さらにより好ましくは、インスタント飲料粉末のエネルギー含量は、200~300kcal/粉末100グラムの範囲である。
【0179】
本発明の好ましい実施形態では、インスタント飲料サプリメントは、タンパク質80~98E%、炭水化物0~20E%、及び脂質0~5E%のようなエネルギー分布を有する。本発明のより好ましい実施形態では、インスタント飲料サプリメントは、タンパク質90~98E%、炭水化物0~10E%、及び脂質0~3E%のエネルギー分布を有する。本発明のさらにより好ましい実施形態では、インスタント飲料サプリメントは、タンパク質95~98E%、炭水化物0~5E%、及び脂質0~2E%のエネルギー分布を有する。
【0180】
本発明の一実施形態では、インスタント粉末は、ビタミン、ミネラル、及び微量元素をさらに含む。本発明の好ましい実施形態では、インスタント粉末は、ビタミン、ミネラル、及び微量元素をさらに含む。インスタント飲料粉末は、例えば、栄養失調のある若しくは栄養失調のリスクのある患者の処置、腎臓病に苦しむ患者に対して、又は体重増加のために栄養補助食品として使用され得るか、又はスポーツマン若しくはアスリートにより栄養補助食品として使用され得る。
【0181】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、タンパク質、炭水化物、及び脂質を含む。インスタント飲料粉末のエネルギー含量は、200~420kcal/粉末100グラムの範囲である。本発明の好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末のエネルギー含量は、300~420kcal/粉末100グラムの範囲であり、又はより好ましいのは、インスタント飲料粉末のエネルギー含量は、320~380kcal/粉末100グラムの範囲であり、又はさらにより好ましいのは、インスタント飲料粉末のエネルギー含量は、350~370kcal/粉末100グラムの範囲である。
【0182】
本発明の好ましい実施形態では、インスタント飲料サプリメントは、タンパク質30~80E%、炭水化物3~20E%、及び脂質15~20E%のようなエネルギー分布を有する。本発明のより好ましい実施形態では、インスタント飲料サプリメントは、タンパク質60~80E%、炭水化物4~15E%、及び脂質16~18E%のエネルギー分布を有する。本発明のさらにより好ましい実施形態では、インスタント飲料サプリメントは、タンパク質30~40E%、炭水化物45~55E%、及び脂質12~18E%、例えば、タンパク質33E%、炭水化物46E%、及び脂質15E%等のエネルギー分布を有する。
【0183】
或いは、インスタント飲料粉末のエネルギー含量は、タンパク質10~30E%、炭水化物40~60E%及び脂質25~45E%、又は好ましくはタンパク質15~25E%、炭水化物45~55E%及び脂質30~40E%のようなエネルギー分布で、150~250kcal/粉末100グラムの範囲であり得る。
【0184】
本発明の一実施形態では、インスタント粉末は、ビタミン、ミネラル、及び微量元素をさらに含む。
【0185】
本発明の好ましい実施形態では、インスタント粉末は、ビタミン、ミネラル、及び微量元素をさらに含む。インスタント飲料粉末は、例えば、栄養失調のある若しくは栄養失調のリスクのある患者の処置、腎臓病に苦しむ患者に対して、又は体重増加のために栄養補助食品として使用され得るか、又はスポーツマン若しくはアスリートにより栄養補助食品として使用され得る。
【0186】
本発明の好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末は、香味料、着色剤、甘味料、抗酸化剤、食用酸、脂質、炭水化物、プレバイオティクス、プロバイオティクス、又は非ホエイタンパク質をさらに含み得る。
【0187】
便宜上、インスタント飲料粉末は、本発明のインスタント粉末、当該粉末を測定するためのツール、及び容器を開閉するための蓋を有する容器を備えたキットで販売することができ、当該容器は、当該粉末を液体と混合して食品を形成するものであり、当該容器は、容器から直接食品を飲むように適合されている。有用な容器の例は、例えば、ボトル、カートン、ブリックパック(bricks)、ポーチ、及び/又はバッグである。
【0188】
キットを購入する消費者は、本発明による液体食品を容易に調製するための全ての物品を入手する。測定ツールは、消費者が容器内の水の量に対して正しい量のインスタント粉末を計量することを保証する。
【0189】
本発明の一実施形態では、インスタント粉末を測定するためのツールはスプーンであり、容器は飲用ボトルである。本発明の一実施形態では、容器は、容器を満たす液体の量の内部表示を有する。本発明の一実施形態では、蓋は、容器から直接液体食品を飲むために、及び液体食品を混合する間、閉じるために適合された開口部を有する。
【0190】
インスタント飲料粉末から調製される製品の味は製品のpHに依存するため、インスタント飲料粉末のpHは重要である。粉末のpHは、例1.16に記載されているように、25℃の脱塩水中のインスタント飲料粉末の10%重量/重量溶液中のpHを測定することによって決定することができる。本発明の一実施形態では、脱塩水中の10%重量/重量溶液中のインスタント飲料粉末のpHは、25℃で2~8の範囲である。
【0191】
本発明の一実施形態では、pHは、2.0~4.9の範囲、例えば、2.5~4.7、より好ましくは2.8~4.3、さらにより好ましくは3.2~4.0、最も好ましくは3.4~3.9の範囲である。或いは、しかしまた好ましいことに、インスタント飲料粉末は、3.6~4.3の範囲のpHを有し得る。
【0192】
或いは、脱塩水中の10%重量/重量溶液中のインスタント飲料粉末のpHは、25℃で5.0~6.0の範囲のpHであり、好ましくは、粉末は5.1~5.9、より好ましくは5.2~5.8、さらにより好ましくは5.3~5.7、最も好ましくは5.4~5.6の範囲のpHを有する。
【0193】
或いは、インスタント飲料粉末のpHは、6.1~8.5、より好ましくは6.2~8.0、さらにより好ましくは6.3~7.7、最も好ましくは6.5~7.5の範囲である。
【0194】
さらに、本発明の一態様は、本明細書で食品原料として定義されるインスタント飲料の使用に関する。
【0195】
本発明の一態様は、本明細書に記載のインスタント飲料粉末製品を含む容器を含む、包装されたインスタント飲料粉末製品に関する。
【0196】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末製品は、容器内に密閉され、任意に不活性ガスと共に包装される。
【0197】
インスタント飲料粉末製品を保管するために、多種多様な容器を使用することができる。例えば、容器は、ボトル、缶、バッグ、ポーチ、及び小袋からなる群から選択される容器であり得る。
【0198】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~500kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含む。
【0199】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~500kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2~8の範囲である。
【0200】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~500kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2.0~4.9の範囲である。
【0201】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~500kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは5.0~6.0の範囲である。
【0202】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~500kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは6.1~8.5の範囲である。
【0203】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~500kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2~8の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含む。
【0204】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~500kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2.0~4.9の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含む。
【0205】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~500kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは5.0~6.0の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含む。
【0206】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~500kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは6.1~8.5の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含む。
【0207】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~500kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2~8の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含み、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg及びCaの合計は最大10mmol/gタンパク質である。
【0208】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~500kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2.0~4.9の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含み、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg及びCaの合計は最大10mmol/gタンパク質である。
【0209】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~500kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは5.0~6.0の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含み、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg及びCaの合計は最大10mmol/gタンパク質である。
【0210】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~500kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは6.1~8.5の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含み、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg及びCaの合計は最大10mmol/gタンパク質である。
【0211】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、400~500kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質7~25E%、炭水化物30~50E%、及び脂質30~55E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含む。
【0212】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、400~500kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質7~25E%、炭水化物30~50E%、及び脂質30~55E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2~8の範囲である。
【0213】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、400~500kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質7~25E%、炭水化物30~50E%、及び脂質30~55E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2.0~4.9の範囲である。
【0214】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、400~500kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質7~25E%、炭水化物30~50E%、及び脂質30~55E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは5.0~6.0の範囲である。
【0215】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、400~500kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質7~25E%、炭水化物30~50E%、及び脂質30~55E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは6.1~8.5の範囲である。
【0216】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、400~500kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質7~25E%、炭水化物30~50E%、及び脂質30~55E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2~8の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含む。
【0217】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、400~500kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質7~25E%、炭水化物30~50E%、及び脂質30~55E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2.0~4.9の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含む。
【0218】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、400~500kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質7~25E%、炭水化物30~50E%、及び脂質30~55E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは5.0~6.0の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含む。
【0219】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、400~500kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質7~25E%、炭水化物30~50E%、及び脂質30~55E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは6.1~8.5の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含む。
【0220】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、400~500kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質7~25E%、炭水化物30~50E%、及び脂質30~55E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2~8の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含み、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg及びCaの合計は最大10mmol/gタンパク質である。
【0221】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、400~500kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質7~25E%、炭水化物30~50E%、及び脂質30~55E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2.0~4.9の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含み、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg及びCaの合計は最大10mmol/gタンパク質である。
【0222】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、400~500kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質7~25E%、炭水化物30~50E%、及び脂質30~55E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは5.0~6.0の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含み、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg及びCaの合計は最大10mmol/gタンパク質である。
【0223】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、400~500kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質7~25E%、炭水化物30~50E%、及び脂質30~55E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは6.1~8.5の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含み、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg及びCaの合計は最大10mmol/gタンパク質である。
【0224】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~400kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質10~30E%、炭水化物70~90E%、及び脂質0~5E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含む。
【0225】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~400kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質10~30E%、炭水化物70~90E%、及び脂質0~5E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2~8の範囲である。
【0226】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~400kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質10~30E%、炭水化物70~90E%、及び脂質0~5E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2.0~4.9の範囲である。
【0227】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~400kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質10~30E%、炭水化物70~90E%、及び脂質0~5E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは5.0~6.0の範囲である。
【0228】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~400kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質10~30E%、炭水化物70~90E%、及び脂質0~5E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは6.1~8.5の範囲である。
【0229】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~400kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質10~30E%、炭水化物70~90E%、及び脂質0~5E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2~8の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含む。
【0230】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~400kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質10~30E%、炭水化物70~90E%、及び脂質0~5E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2.0~4.9の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含む。
【0231】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~400kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質10~30E%、炭水化物70~90E%、及び脂質0~5E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは5.0~6.0の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含む。
【0232】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~400kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質10~30E%、炭水化物70~90E%、及び脂質0~5E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは6.1~8.5の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含む。
【0233】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~400kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質10~30E%、炭水化物70~90E%、及び脂質0~5E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2~8の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含み、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg及びCaの合計は最大10mmol/gタンパク質である。
【0234】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~400kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質10~30E%、炭水化物70~90E%、及び脂質0~5E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2.0~4.9の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含み、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg及びCaの合計は最大10mmol/gタンパク質である。
【0235】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~400kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質10~30E%、炭水化物70~90E%、及び脂質0~5E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは5.0~6.0の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含み、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg及びCaの合計は最大10mmol/gタンパク質である。
【0236】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~400kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質10~30E%、炭水化物70~90E%、及び脂質0~5E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは6.1~8.5の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含み、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg及びCaの合計は最大10mmol/gタンパク質である。
【0237】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~350kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質80~98E%、炭水化物0~20E%、及び脂質0~5E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含む。
【0238】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~350kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質80~98E%、炭水化物0~20E%、及び脂質0~5E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2~8の範囲である。
【0239】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~350kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質80~98E%、炭水化物0~20E%、及び脂質0~5E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも95%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2.0~4.9の範囲である。
【0240】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~350kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質80~98E%、炭水化物0~20E%、及び脂質0~5E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは5.0~6.0の範囲である。
【0241】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~350kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質80~98E%、炭水化物0~20E%、及び脂質0~5E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは6.1~8.5の範囲である。
【0242】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~350kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質80~98E%、炭水化物0~20E%、及び脂質0~5E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2~8の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含む。
【0243】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~350kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質80~98E%、炭水化物0~20E%、及び脂質0~5E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2.0~4.9の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含む。
【0244】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~350kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質80~98E%、炭水化物0~20E%、及び脂質0~5E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは5.0~6.0の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含む。
【0245】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~350kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質80~98E%、炭水化物0~20E%、及び脂質0~5E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは6.1~8.5の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含む。
【0246】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~350kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質80~98E%、炭水化物0~20E%、及び脂質0~5E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2~8の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含み、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg及びCaの合計は最大10mmol/gタンパク質である。
【0247】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~350kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質80~98E%、炭水化物0~20E%、及び脂質0~5E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2.0~4.9の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含み、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg及びCaの合計は最大10mmol/gタンパク質である。
【0248】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~350kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質80~98E%、炭水化物0~20E%、及び脂質0~5E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは5.0~6.0の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含み、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg及びCaの合計は最大10mmol/gタンパク質である。
【0249】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~350kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質80~98E%、炭水化物0~20E%、及び脂質0~5E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは6.1~8.5の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含み、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg及びCaの合計は最大10mmol/gタンパク質である。
【0250】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~420kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質30~80E%、炭水化物3~20E%、及び脂質15~20E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含む。
【0251】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~420kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質30~80E%、炭水化物3~20E%、及び脂質15~20E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2~8の範囲である。
【0252】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~420kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質30~80E%、炭水化物3~20E%、及び脂質15~20E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2.0~4.9の範囲である。
【0253】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~420kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質30~80E%、炭水化物3~20E%、及び脂質15~20E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは5.0~6.0の範囲である。
【0254】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~420kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質30~80E%、炭水化物3~20E%、及び脂質15~20E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは6.1~8.5の範囲である。
【0255】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~420kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質30~80E%、炭水化物3~20E%、及び脂質15~20E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2~8の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含む。
【0256】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~420kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質30~80E%、炭水化物3~20E%、及び脂質15~20E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2.0~4.9の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含む。
【0257】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~420kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質30~80E%、炭水化物3~20E%、及び脂質15~20E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは5.0~6.0の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含む。
【0258】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~420kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質30~80E%、炭水化物3~20E%、及び脂質15~20E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは6.1~8.5の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含む。
【0259】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~420kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質30~80E%、炭水化物3~20E%、及び脂質15~20E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2~8の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含み、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg及びCaの合計は最大10mmol/gタンパク質である。
【0260】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~420kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質30~80E%、炭水化物3~20E%、及び脂質15~20E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2.0~4.9の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含み、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg及びCaの合計は最大10mmol/gタンパク質である。
【0261】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~420kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質30~80E%、炭水化物3~20E%、及び脂質15~20E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは5.0~6.0の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含み、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg及びCaの合計は最大10mmol/gタンパク質である。
【0262】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、200~420kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質30~80E%、炭水化物3~20E%、及び脂質15~20E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは6.1~8.5の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含み、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg及びCaの合計は最大10mmol/gタンパク質である。
【0263】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、150~250kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質10~30E%、炭水化物40~60E%、及び脂質25~45E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含む。
【0264】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、150~250kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質10~30E%、炭水化物40~60E%、及び脂質25~45E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2~8の範囲である。
【0265】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、150~250kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質10~30E%、炭水化物40~60E%、及び脂質25~45E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2.0~4.9の範囲である。
【0266】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、150~250kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質10~30E%、炭水化物40~60E%、及び脂質25~45E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは5.0~6.0の範囲である。
【0267】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、150~250kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質10~30E%、炭水化物40~60E%、及び脂質25~45E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは6.1~8.5の範囲である。
【0268】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、150~250kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質10~30E%、炭水化物40~60E%、及び脂質25~45E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2~8の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含む。
【0269】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、150~250kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質10~30E%、炭水化物40~60E%、及び脂質25~45E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2.0~4.9の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含む。
【0270】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、150~250kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質10~30E%、炭水化物40~60E%、及び脂質25~45E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは5.0~6.0の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含む。
【0271】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、150~250kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質10~30E%、炭水化物40~60E%、及び脂質25~45E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは6.1~8.5の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含む。
【0272】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、150~250kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質10~30E%、炭水化物40~60E%、及び脂質25~45E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2~8の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含み、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg及びCaの合計は最大10mmol/gタンパク質である。
【0273】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、150~250kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質10~30E%、炭水化物40~60E%、及び脂質25~45E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは2.0~4.9の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含み、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg及びCaの合計は最大10mmol/gタンパク質である。
【0274】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、150~250kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質10~30E%、炭水化物40~60E%、及び脂質25~45E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは5.0~6.0の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含み、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg及びCaの合計は最大10mmol/gタンパク質である。
【0275】
本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、150~250kcal/粉末100グラムの範囲のエネルギー含量を有し、エネルギー分布は、タンパク質10~30E%、炭水化物40~60E%、及び脂質25~45E%の範囲であり、インスタント飲料粉末は、総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量のBLG、好ましくは総タンパク質に対して少なくとも90%重量/重量のBLGを含み、粉末のpHは6.1~8.5の範囲であり、インスタント飲料粉末は、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含み、インスタント飲料粉末のNa、K、Mg及びCaの合計は最大10mmol/gタンパク質である。
【0276】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、食品は、乾燥食品、例えば、炭水化物及びタンパク質を含むバー又はインスタント飲料粉末であり、当該乾燥食品は、少なくとも1%重量/重量のBLG、好ましくは少なくとも5%を含み、ここで、
i)BLGの結晶化度は少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%であり、及び/又は
ii)タンパク質の総量の少なくとも90%重量/重量がBLGで構成されている。
【0277】
本発明の幾つかの特に好ましい実施形態では、食品は、タンパク質100gあたり最大40mgのリンを含む低リン食品である。
【0278】
食品の非限定的な例は、例えば、乳製品、キャンディー、飲料、インスタント飲料、プロテインバー、経腸栄養組成物、ベーカリー製品である。
【0279】
本発明の他の好ましい実施形態では、食品は、以下:
-少なくとも1%重量/重量、好ましくは少なくとも5%重量/重量のBLGの総量を提供する粉末形態の本明細書に定義される食用BLG組成物であって、
少なくとも20%のBLGの結晶化度を有する当該食用BLG組成物と、
-粉末形態の甘味料、例えば砂糖甘味料及び/又は非砂糖甘味料と、
-任意に、香料と、
-粉末形態の少なくとも1つの食用酸、例えばクエン酸又は他の適切な食用酸と、
-最大80mgのリン/100gのタンパク質と、
を含むか、又はそれらから本質的になるインスタント飲料粉末であり、
ここで、脱塩水中のインスタント飲料粉末の10%溶液は、
2.5~4.0の範囲のpHを有する。
【0280】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、食用BLG組成物は、以下:
-最大6%重量/重量の水
-全固形分に対して少なくとも80%の総タンパク質
-総タンパク質に対して少なくとも95%のBLG、を含み、
当該食用BLG組成物は、
-乾燥粉末であり、
-少なくとも0.50g/mL、好ましくは少なくとも0.60g/mLのかさ密度を有する。
【0281】
本発明の他の好ましい実施形態では、食用BLG組成物は、以下:
-最大6%重量/重量の水
-全固形分に対して少なくとも80%の総タンパク質
-総タンパク質に対して少なくとも95%のBLG、を含み、
当該食用BLG組成物は、
-乾燥粉末であり、
-少なくとも0.50g/mL、好ましくは少なくとも0.60g/mLのかさ密度を有し、
-少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%のBLGの結晶化度を有する。
【0282】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、食用BLG組成物は、以下:
-最大6%重量/重量の水
-全固形分に対して少なくとも80%の総タンパク質
-総タンパク質に対して少なくとも95%のBLG
-タンパク質100gあたり最大80mgのリン、を含み、
当該食用BLG組成物は、
-乾燥粉末である。
【0283】
本発明のさらに好ましい実施形態では、食用BLG組成物は、以下:
-最大6%重量/重量の水
-全固形分に対して少なくとも90%の総タンパク質
-総タンパク質に対して少なくとも97%のBLG
-タンパク質100gあたり最大50mgのリン、を含み、
当該食用BLG組成物は、
-乾燥粉末である。
【0284】
本発明の他の好ましい実施形態では、食用BLG組成物は、以下:
-最大6%重量/重量の水
-全固形分に対して少なくとも80%の総タンパク質、好ましくは全固形分に対して少なくとも90%の総タンパク質、
-総タンパク質に対して30~70%のBLG、
-総タンパク質に対して8~25%重量/重量のALA、を含み、
当該食用BLG組成物は、
-乾燥粉末であり、
-少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%のBLGの結晶化度を有する。
【0285】
本発明の一態様では、液体食品は、インスタント飲料粉末から調製される。本発明のインスタント飲料粉末を使用することにより、非常に短時間で液体食品を得ることができる。
【0286】
そのため、本発明のさらなる態様は、本発明による液体食品を調製する方法に関し、当該方法は、
i.本発明によるインスタント飲料粉末の添加すること、
ii.任意に、少なくとも1つの追加の原料を添加すること、
iii.得られた粉末及び液体を混合して均一な混合物を形成すること、を含む。
【0287】
一実施形態では、液体は、水、乳製品、果汁、野菜果汁、飲料、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。一実施形態では、さらなる原料は、果物又は野菜から選択される。
【0288】
粉末と液体を混合する場合は、振とうすることで混合することができる。液体食品を振とうした後、インスタント飲料粉末は完全に溶解するために1/2~2分間放置してもよい。インスタント飲料粉末の1つの利点は、インスタント飲料粉末が容易に溶解し、均一な溶液を形成し、均一な溶液のままである、すなわち、実質的に分離が起こらないことである。
【0289】
インスタント飲料粉末に通常関連する問題は、粉末から液体食品を調製するときに泡が発生することである。本発明のインスタント飲料粉末は、粉末から液体食品を調製するときに泡立ちにくい。
【0290】
本発明の液体及び粉末を含む液体食品は、本発明のインスタント飲料粉末を液体と混合することによって調製することができる。本発明の一実施形態では、インスタント飲料粉末は、当該液体100グラムあたり最大40グラムの当該粉末、例えば、当該液体100グラムあたり最大30グラムの当該粉末を含み得る。本発明の好ましい実施形態では、液体食品は、当該液体100グラムあたり1~30グラムの当該粉末、より好ましくは1~20グラムの当該粉末、さらにより好ましくは1~10グラムの当該粉末、又は好ましくは当該粉末1~5グラム、又はさらにより好ましくは当該粉末2.5~5グラムを含む。
【0291】
本発明の一実施形態では、液体食品は、液体100グラムあたり5~25グラムの当該粉末、好ましくは液体100グラムあたり5~25グラムの当該粉末、より好ましくは10~15グラムの当該粉末、さらにより好ましくは11~14グラムの当該粉末、又はより好ましくは11~12グラムの当該粉末を含む。
【0292】
本発明の一実施形態では、食品は、30~300kcal/食品100グラムの範囲、好ましくは30~100kcal/食品100グラムの範囲、より好ましくは40~90kcal/食品100グラムの範囲、又はさらにより好ましくは40~70kcal/食品100グラムの範囲のエネルギー含量を有する。
【0293】
或いは、食品は、100~300kcal/食品100グラムの範囲、好ましくは100~250kcal/食品100グラムの範囲、又はより好ましくは125~225kcal/食品100グラムの範囲のエネルギー含量を有する。
【0294】
液体食品は、水、乳製品、果汁、野菜果汁、飲料、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される液体を含み得る。
【0295】
液体食品、例えばインスタント飲料粉末から調製された飲料の外観は、消費者にとって非常に重要である。透明性は、消費者が製品を評価するために使用するパラメーターである。液体食品の透明度を決定する1つの方法は、例1.7に記載するように製品の濁度を測定することである。
【0296】
インスタント飲料粉末から調製された飲料の幾つかの実施形態では、飲料が透明であることが有益である。これは、例えば、飲料がスポーツ飲料として、又は「タンパク質水」で使用される場合に有利である可能性があり、その場合、飲料は外観が水に似ていることが有益である。
【0297】
本発明の好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末から調製された飲料は、最大200NTUの濁度を有し、かかる飲料は、透明及び/又は半透明である。
【0298】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末から調製された飲料は、最大150NTUの濁度、又は好ましくは最大100NTUの濁度、又は好ましくは最大80NTUの濁度、又は好ましくは最大60NTUの濁度、又はより好ましくは最大40NTUの濁度、又は好ましくは最大30NTUの濁度、好ましくは最大20NTUの濁度、より好ましくは最大10NTUの濁度、より好ましくは最大5NTUの濁度を有し、さらにより好ましくは、飲料は最大2NTUの濁度を有する。
【0299】
本発明の好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末から調製された飲料は、200NTUを超える濁度を有し、かかる飲料は不透明である。
【0300】
インスタント飲料粉末から調製された飲料の幾つかの実施形態では、飲料が不透明であることが有益である。これは、例えば、飲料が乳に似ていて、乳白色の外観を有するべきである場合に有利である。栄養的に完全な栄養補助食品の外観は、典型的には、不透明である。
【0301】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末から調製された飲料は、250NTUを超える濁度を有する。好ましくは、飲料は、300NTUを超える濁度を有し、より好ましくは、500NTUを超える濁度を有し、より好ましくは、1000を超える濁度、好ましくは1500NTUを超える濁度を有し、さらにより好ましくは、2000NTUを超える濁度を有する。
【0302】
製品の色は消費者にとって非常に重要である。ホエイタンパク質を含むインスタント飲料粉末製品は、わずかに黄色をしている。しかしながら、少なくとも20%の結晶化度を有するBLGを含むインスタント飲料粉末、又はタンパク質の少なくとも90%がBLGによって構成されるインスタント飲料粉末を使用する場合、製品の色は実質的に黄色が少なく、製品はより白色に見える。したがって、黄色をマスクするためにインスタント飲料粉末に色を加える必要はない。
【0303】
製品の色を測定する1つの方法は、色を3つの数値として表すCIELAB色空間を使用することであり、L*は明度、a*及びb*は緑-赤及び青-黄色の色成分である。例1.9は、液体食品のL*、a*、及びb*値を測定する方法を示している。
【0304】
本発明の一実施形態では、液体食品のタンパク質画分が、CIELABカラースケールで-0.10~+0.51の範囲の色値デルタb*を有し、ここで、室温で測定した場合、デルタb*=b6.0重量/重量%タンパク質に標準化されたサンプル*-b脱塩水*である。
【0305】
本発明の別の態様は、BLG及び少なくとも1つの任意の原料を含むインスタント飲料粉末を調製するための方法であって、乾燥BLG単離物を、ビタミン、香味料、着色剤、ミネラル、甘味料、抗酸化剤、食品酸、脂質、炭水化物、プレバイオティクス、プロバイオティクス、消泡剤、及び非ホエイタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つの追加の原料とブレンドしてインスタント飲料粉末を得ることを含む、方法に関する。
【0306】
本発明の一実施形態では、BLG源のBLGは、有機酸でコーティングされている。BLG源が、例えば粉末である場合、これは、粉末が有機酸でコーティングされていることを意味する。タンパク質を含むインスタント飲料粉末を調製する場合、タンパク質の溶解度を改善するためにレシチンが一般的に使用される。しかしながら、レシチンはリンの供給源である。したがって、タンパク質を含むインスタント飲料粉末の溶解度を改善する別の方法を見つけることが望ましい。
【0307】
本発明者らは、BLG源のBLG結晶又は粉末粒子を1つ又は2つ以上の有機酸でコーティングすることにより、インスタント飲料粉末の溶解度が向上することを見出した。有機酸又は有機酸の塩は、ピルビン酸塩、アコニット酸塩、クエン酸塩、iso-クエン酸塩、ケトグルタル酸塩、スクシニル-CoA、コハク酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、オキサロ酢酸塩、酒石酸塩、酢酸塩、タンニン酸、安息香酸、マレイン酸及び乳酸塩からなる群から選択され得る。本発明の好ましい実施形態では、BLG結晶は、ピルビン酸塩、クエン酸塩、iso-クエン酸塩、ケトグルタル酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、オキサロ酢酸塩、酒石酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩及び乳酸塩、並びにそれらの塩からなる群から選択される有機酸又は有機酸の塩でコーティングされる。
【0308】
本発明の好ましい実施形態では、BLG源のBLG結晶は、クエン酸塩、例えば、クエン酸三ナトリウム、クエン酸カリウム及びクエン酸カルシウムからなる群から選択されるクエン酸塩でコーティングされている。
【0309】
本発明の好ましい実施形態では、BLG源のBLGは、噴霧乾燥又は流動床を使用することによって有機酸でコーティングされる。乾燥されたBLG結晶が、例えば、噴霧乾燥又は流動床を使用して、有機酸又はその塩でコーティングされることが特に好ましい。
【0310】
BLG源を、BLGが結晶として分離されるホエイタンパク質フィードから取得できる。BLG単離物を調製する1つの方法は、参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願PCT/EP2017/084553号明細書に記載されている。BLG単離物は、出願時のPCT/EP2017/084553明細書第6頁、23~32行目に記載されるように調製することができ、結晶化及び/又は単離された形態のBLGを含む食用組成物は、本発明のBLG単離物に対応する。好ましい実施形態では、BLG単離物は、出願時のPCT/EP2017/084553明細書第39頁、15~34行目に記載されている方法によって調製される。別の好ましい実施形態では、BLG単離物は、出願時のPCT/EP2017/084553明細書第41頁、1~24行目に記載されている方法によって調製される。
【0311】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末は、乾燥BLG結晶を含むBLG単離粉末を含むか、さらにはそれからなり、当該BLG単離粉末は、有機酸及び/又は有機酸の塩でコーティングされている。BLG単離物の重量と有機酸及び脱プロトン化有機酸の合計の総重量との間の重量比は、好ましくは5~100、より好ましくは8~60、さらにより好ましくは10~40、最も好ましくは12~30である。
【0312】
本発明の一態様は、有機酸及び/又は有機酸の塩でコーティングされたBLG単離粉末を製造する方法に関し、該方法は、以下:
-好ましくは本明細書に記載のBLG結晶化プロセスによって得られた、好ましくは乾燥BLG結晶を含むか、さらにはそれからなる、コーティングされるBLG単離粉末を提供する工程、及び
-コーティングされるBLG単離粉末に有機酸及び/又は有機酸の塩を、好ましくはBLG単離粉末をコーティングするのに十分な量であるが、それが溶解することを避けて適用する工程、
-任意に、コーティングされたBLG単離粉末から残留水分を蒸発させる工程、を含む。
【0313】
コーティングされるBLG単離粉末は、好ましくは、高いタンパク質含有量及び高いBLG純度の両方を有する。コーティングされるBLG単離粉末は、好ましくは、少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも80%のBLGの結晶化度を有する。
【0314】
BLG単離粉末の重量と有機酸及び脱プロトン化有機酸の合計の総重量との間の重量比を提供するのに十分な量でコーティングされるBLG単離粉末に対して、有機酸及び/又は有機酸の塩は、好ましくは5~100、より好ましくは8~60、さらにより好ましくは10~40、最も好ましくは12~30である。
【0315】
有機酸及び/又は有機酸の塩は、好ましくは、有機酸及び/又は有機酸の塩を、好ましくは溶解形態で流動床に噴霧して、BLG単離粉末をコーティングすることにより、流動床システムにおいてBLG単離粉末に適用される。動作中の温度は、好ましくは5~70℃の範囲であり、より好ましくは50~65℃の範囲であり、好ましくはおよそ60℃等である。
【0316】
有機酸及び/又は有機酸の塩を適用した後、コーティングされたBLG単離物を処理して、好ましくは含水量が最大6%重量/重量、より好ましくは最大5%重量/重量になるまで追加の水分を蒸発させることができる。
【0317】
有機酸は、好ましくは食用有機酸、すなわちいわゆる食用酸である。
【0318】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末を調製するために使用されるBLG源は、少なくとも20%重量/重量の固形分を有する。好ましくは、BLG源は、少なくとも30%重量/重量の固形分を有し、より好ましくは、BLG源は、少なくとも40%重量/重量の固形分を有し、さらにより好ましくは、BLG源は、少なくとも50%重量/重量、例えば少なくとも60%重量/重量等の固形分を有する。
【0319】
本発明の他の好ましい実施形態では、インスタント飲料粉末を調製するために使用されるBLG源は、20~80%重量/重量の範囲の固形分を有する。好ましくは、BLG源は、30~70%重量/重量の範囲の固形分を有する。より好ましくは、BLG源は、40~65%重量/重量の範囲の固形分を有する。さらにより好ましくは、BLG源は、50~65%重量/重量の範囲、例えばおよそ60%重量/重量等の固形分を有する。
【0320】
BLG源は、好ましくは、BLG単離粉末であるか、又は液体BLG単離物は、水及びBLG単離粉末の固形物を1~50%重量/重量の範囲の量で含む。BLG源がBLG単離粉末であることが特に好ましい。
【0321】
ベータ-ラクトグロブリン(BLG)単離粉末は、好ましくは噴霧乾燥によって調製され、i)2~4.9、ii)6.1~8.5、又はiii)5.0~6.0の範囲のpHを有し、
-少なくとも30%重量/重量の量の総タンパク質と、
-総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量の量のBLGと、
-最大10%重量/重量の量の水と、を含む。
【0322】
BLG単離粉末は、好ましくは、以下の1つ又は2つ以上を有する:
-少なくとも0.2g/cm3のかさ密度、
-少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330/I350)
-最大10%のタンパク質変性度、
-pH3.9で最大200NTUの熱安定性、及び
-最大1000コロニー形成単位/g。
【0323】
BLG単離粉末は、好ましくは食用組成物である。本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、本明細書で定義される食用BLG組成物である。
【0324】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、2~4.9の範囲のpHを有する。かかる粉末は、酸性食品、特に酸性飲料に特に有用である。
【0325】
本発明の他の好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、6.1~8.5の範囲のpHを有する。
【0326】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、少なくとも40%重量/重量、好ましくは少なくとも50%重量/重量、少なくとも60%重量/重量、より好ましくは少なくとも70%重量/重量、さらにより好ましくは少なくとも80%重量/重量の量の総タンパク質を含む。
【0327】
さらに高いタンパク質含有量が必要とされる場合があり、本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、少なくとも85%重量/重量、好ましくは少なくとも90%重量/重量、少なくとも92%重量/重量、より好ましくは少なくとも94%重量/重量、さらにより好ましくは少なくとも95%重量/重量の量の総タンパク質を含む。
【0328】
総タンパク質は、例1.5に従って測定される。
【0329】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、総タンパク質に対して、少なくとも92%重量/重量、好ましくは少なくとも95%重量/重量、より好ましくは少なくとも97%重量/重量、さらにより好ましくは少なくとも98%の量のBLG、最も好ましくは総タンパク質に対して少なくとも99.5%重量/重量の量のBLGを含む。
【0330】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、アルファ-ラクトアルブミン(ALA)及びカゼイノマクロペプチド(CMP)の合計は、粉末の非BLGタンパク質の少なくとも40%重量/重量、好ましくは、粉末の非BLGタンパク質の少なくとも60%重量/重量、より好ましくは少なくとも70%重量/重量、最も好ましくは少なくとも90%重量/重量を構成する。
【0331】
本発明の他の好ましい実施形態では、各主要な非BLGホエイタンパク質は、総タンパク質に対する重量パーセンテージで存在し、これは、スイートホエイに由来する標準的なホエイタンパク質濃縮物中の総タンパク質に対するその重量パーセンテージで最大25%、好ましくは最大20%、より好ましくは最大15%、さらにより好ましくは最大10%、最も好ましくは最大6%である。
【0332】
さらに低い濃度の主要な非BLGホエイタンパク質が望ましい場合がある。そのため、本発明の追加の好ましい実施形態では、各主要な非BLGホエイタンパク質は、総タンパク質に対する重量パーセンテージで存在し、これは、スイートホエイに由来する標準的なホエイタンパク質濃縮物中の総タンパク質に対するその重量パーセンテージで最大4%、好ましくは最大3%、より好ましくは最大2%、さらにより好ましくは最大1%である。
【0333】
本発明者らは、ラクトフェリン及び/又はラクトペルオキシダーゼの還元が、無彩色の(colour-neutral)ホエイタンパク質生成物を得るのに特に有利であるという徴候を見てきた。
【0334】
そのため、本発明の幾つかの好ましい実施形態では、ラクトフェリンは、総タンパク質に対する重量パーセンテージで存在し、これは、スイートホエイに由来する標準的なホエイタンパク質濃縮物中の総タンパク質に対するその重量パーセンテージの最大25%、好ましくは最大20%、より好ましくは最大15%、さらにより好ましくは最大10%、最も好ましくは最大6%である。さらに低濃度のラクトフェリンが望ましい場合がある。そのため、本発明の追加の好ましい実施形態では、ラクトフェリンは、総タンパク質に対する重量パーセンテージで存在し、これは、スイートホエイに由来する標準的なホエイタンパク質濃縮物中の総タンパク質に対するその重量パーセンテージの最大4%、好ましくは最大3%、より好ましくは最大2%、さらにより好ましくは最大1%である。
【0335】
同様に、本発明の幾つかの好ましい実施形態では、ラクトペルオキシダーゼは、総タンパク質に対する重量パーセンテージで存在し、これは、スイートホエイに由来する標準的なホエイタンパク質濃縮物中の総タンパク質に対するその重量パーセンテージの最大25%、好ましくは最大20%、より好ましくは最大15%、さらにより好ましくは最大10%、最も好ましくは最大6%である。さらに低濃度のラクトペルオキシダーゼが望ましい場合がある。そのため、本発明の追加の好ましい実施形態では、ラクトペルオキシダーゼは、総タンパク質に対する重量パーセンテージで存在し、これは、スイートホエイに由来する標準的なホエイタンパク質濃縮物中の総タンパク質に対するその重量パーセンテージの最大4%、好ましくは最大3%、より好ましくは最大2%、さらにより好ましくは最大1%である。
【0336】
ラクトフェリン及びラクトペルオキシダーゼは、例1.29に従って定量化される。
【0337】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、最大10%重量/重量、好ましくは最大7%重量/重量、より好ましくは最大6%重量/重量、さらにより好ましくは最大4%重量/重量の量の含水量を有し、最も好ましいのは最大2%重量/重量である。
【0338】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、最大60%重量/重量、好ましくは最大50%重量/重量、より好ましくは最大20%重量/重量、さらにより好ましくは最大10%重量/重量、さらにより好ましくは最大1%重量/重量、最も好ましくは最大0.1%の量の炭水化物を含む。例えば、BLG単離粉末は、例えば、ラクトース、オリゴ糖、及び/又はラクトースの加水分解生成物(すなわち、グルコース及びガラクトース)、スクロース、及び/又はマルトデキストリン等の炭水化物を含み得る。
【0339】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、最大10%重量/重量、好ましくは最大5%重量/重量、より好ましくは最大2%重量/重量、さらにより好ましくは最大0.1%重量/重量の量の脂質を含む。
【0340】
本発明者らは、BLG単離粉末の一部の所望の特性に達するようにミネラル含量を制御することが有利となり得ることを見出した。
【0341】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG単離粉末のNa、K、Mg、及びCaの量の合計は、最大10mmol/gタンパク質である。好ましくは、BLG単離粉末のNa、K、Mg、及びCaの量の合計は、最大6mmol/gタンパク質、より好ましくは最大4mmol/gタンパク質、さらにより好ましくは最大2mmol/gタンパク質である。
【0342】
本発明の他の好ましい実施形態では、BLG単離粉末のNa、K、Mg、及びCaの量の合計は、最大1mmol/gタンパク質である。好ましくは、BLG単離粉末のNa、K、Mg、及びCaの量の合計は、最大0.6mmol/gタンパク質、より好ましくは最大0.4mmol/gタンパク質、さらにより好ましくは最大0.2mmol/gタンパク質、最も好ましくは最大0.1mmol/gタンパク質である。
【0343】
本発明の他の好ましい実施形態では、BLG単離粉末のMg及びCaの量の合計は、最大5mmol/gタンパク質である。好ましくは、BLG単離粉末のMg及びCaの量の合計は、最大3mmol/gタンパク質、より好ましくは最大1.0mmol/gタンパク質、さらにより好ましくは最大0.5mmol/gタンパク質である。
【0344】
本発明の他の好ましい実施形態では、BLG単離粉末のMg及びCaの量の合計は、最大0.3mmol/gタンパク質である。好ましくは、BLG単離粉末のMg及びCaの量の合計は、最大0.2mmol/gタンパク質、より好ましくは最大0.1mmol/gタンパク質、さらにより好ましくは最大0.03mmol/gタンパク質、最も好ましくは最大0.01mmol/gタンパク質である。
【0345】
本発明者らは、腎臓病の患者に特に有用な低リン/低カリウム変異体のBLG単離粉末を使用することが可能であることを見出した。かかる製品を製造するには、BLG単離粉末のリン及びカリウムの含有量が等しく低くなければならない。
【0346】
そのため、本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、タンパク質100gあたり最大100mgのリンの総リン含有量を有する。好ましくは、BLG単離粉末は、タンパク質100gあたり最大80mgのリンの総含有量を有する。より好ましくは、BLG単離粉末は、タンパク質100gあたり最大50mgのリンの総含有量を有する。さらにより好ましくは、BLG単離粉末は、タンパク質100gあたり最大20mgのリンの総リン含有量を有する。BLG単離粉末のリンの総含有量は、タンパク質100gあたり最大5mgである。
【0347】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、タンパク質100gあたり最大600mgのカリウムを含む。より好ましくは、BLG単離粉末は、タンパク質100gあたり最大500mgのカリウムを含む。より好ましくは、BLG単離粉末は、タンパク質100gあたり最大400mgのカリウムを含む。より好ましくは、BLG単離粉末は、タンパク質100gあたり最大300mgのカリウムを含む。さらにより好ましくは、BLG単離粉末は、タンパク質100gあたり最大200mgのカリウムで粉末を単離する。さらにより好ましくは、BLG単離粉末は、タンパク質100gあたり最大100mgのカリウムを含む。さらにより好ましくは、BLG単離粉末は、100gタンパク質あたり最大50mgのカリウムを含み、さらにより好ましくは、BLG単離粉末は、100gタンパク質あたり最大10mgのカリウムを含む。
【0348】
リンの含有量は、問題の組成物の元素リンの総量に関し、例1.19に従って決定される。同様に、カリウムの含有量は、問題の組成物の元素カリウムの総量に関し、例1.19に従って決定される。
【0349】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、最大リン100mg/タンパク質100g及び最大カリウム700mg/タンパク質100g、好ましくは最大リン80mg/タンパク質100g及び最大カリウム600mg/タンパク質100g、より好ましくは最大リン60mg/タンパク質100g及び最大カリウム500mg/タンパク質100g、より好ましくは最大リン50mg/タンパク質100g及び最大400mgカリウム/タンパク質100g、又はより好ましくは最大リン20mg/タンパク質100g及び最大カリウム200mg/タンパク質100g、又はさらにより好ましくは最大リン10mg/タンパク質100g及び最大カリウム50mg/100gのタンパク質を含む。本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、最大リン(phosphor)100mg/タンパク質100g、及び最大カリウム340mg/タンパク質100gを含む。
【0350】
本発明による低リン及び/又は低カリウム組成物は、腎機能が低下している患者群用の食品を製造するための食品原料として使用することができる。
【0351】
本発明者らは、幾つかの用途について、例えば、酸性食品、特に酸性飲料の場合、pHが最大4.9、さらにより好ましくは最大4.3の酸性BLG単離粉末を有することが特に有利であることを見出した。これは、高タンパクで透明な酸性飲料に特に当てはまる。
【0352】
本発明の文脈では、透明な液体は、例1.7に従って測定された最大200NTUの濁度を有する。
【0353】
そのため、本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、2~4.9の範囲のpHを有する。好ましくは、BLG単離粉末は、2.5~4.7、より好ましくは2.8~4.3、さらにより好ましくは3.2~4.0、最も好ましくは3.4~3.9の範囲のpHを有する。或いは、しかしまた好ましいことに、BLG単離粉末は、3.6~4.3の範囲のpHを有し得る。
【0354】
本発明者らは、幾つかの用途について、例えば、pH中性の食品、特にpH中性の飲料では、pH中性のBLG単離粉末を使用することが特に有利であることを見出した。これは、高タンパク質で、透明又は不透明のpH中性飲料に特に当てはまる。
【0355】
そのため、本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、6.1~8.5の範囲のpHを有する。好ましくは、粉末は、6.1~8.5、より好ましくは6.2~8.0、さらにより好ましくは6.3~7.7、最も好ましくは6.5~7.5の範囲のpHを有する。
【0356】
本発明の他の好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、5.0~6.0の範囲のpHを有する。好ましくは、粉末は、5.1~5.9、より好ましくは5.2~5.8、さらにより好ましくは5.3~5.7、及び最も好ましくは5.4~5.6の範囲のpHを有する。
【0357】
有利には、本発明で使用されるBLG単離粉末は、少なくとも0.20g/cm3、好ましくは少なくとも0.30g/cm3、より好ましくは少なくとも0.40g/cm3、さらにより好ましくは少なくとも0.45g/cm3、より好ましくは少なくとも0.50g/cm3、最も好ましくは少なくとも0.6g/cm3のかさ密度を有し得る。
【0358】
凍結乾燥したBLG単離物等の低密度粉末はふわふわしており、使用中に製造現場の空気中に容易に引き込まれる。これは、凍結乾燥粉末が他の食料製品に対する相互汚染のリスクを高め、ほこりの多い環境が衛生上の問題の原因であることが知られていることから、問題がある。極端な場合、ほこりの多い環境では粉塵爆発のリスクも高まる。
【0359】
本発明の高密度変形物は、取り扱いがより容易であり、周囲の空気に流れ込みにくい。
【0360】
本発明の高密度変異体の追加の利点は、それらが輸送中に占めるスペースが少なく、それにより、1つの体積単位で輸送することができるBLG単離粉末の重量を増加させることである。
【0361】
しかしながら、本発明の高密度変異体の利点は、それらが他の粉末食品の原料、例えば、粉砂糖(かさ密度およそ0.56g/cm3)、グラニュー糖(かさ密度およそ0.71g/cm3)、クエン酸粉末(かさ密度およそ0.77g/cm3)等との粉末混合物で使用される場合、それらが分離しにくいことである。
【0362】
本発明のBLG単離粉末は、かさ密度が0.2~1.0g/cm3の範囲、好ましくは0.30~0.9g/cm3の範囲、より好ましくは0.40~0.8g/cm3の範囲、さらにより好ましくは0.45~0.75g/cm3、さらにより好ましくは0.50~0.75g/cm3の範囲、最も好ましくは0.6~0.75g/cm3の範囲の範囲を有し得る。
【0363】
粉末のかさ密度は、例1.17に従って測定される。
【0364】
本発明者らは、BLGのネイティブの立体構造を維持することが有利であることを見出し、BLGが酸性飲料に使用される場合、BLGのアンフォールディングの増加が乾いた口当たりのレベルの増加をもたらすという徴候を見てきた。
【0365】
固有トリプトファン蛍光発光比(I330/I350)は、BLGのアンフォールディングの程度の尺度であり、本発明者らは、BLGのアンフォールディングが低いか全くないことと相関する高い固有トリプトファン蛍光発光比では、乾いた口当たりが少ないと観察されたことを見出した。固有トリプトファン蛍光発光比(I330/I350)は、例1.1に従って測定される。
【0366】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330/I350)を有する。
【0367】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、少なくとも1.12、好ましくは少なくとも1.13、より好ましくは少なくとも1.15、さらにより好ましくは少なくとも1.17、及び最も好ましくは少なくとも1.19の固有トリプトファン蛍光発光比(I330/I350)を有する。
【0368】
BLG単離粉末にかなりの量の非タンパク質物質が含まれている場合は、固有トリプトファン蛍光発光比を測定する前にタンパク質画分を単離することが好ましい。そのため、本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG単離粉末のタンパク質画分は、少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比を有する。
【0369】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG単離粉末のタンパク質画分は、少なくとも1.12、好ましくは少なくとも1.13、より好ましくは少なくとも1.15、さらにより好ましくは少なくとも1.17、及び最も好ましくは少なくとも1.19の固有トリプトファン蛍光発光比(I330/I350)を有する。
【0370】
例えば、BLG単離粉末を脱塩水に溶解し、タンパク質を保持するフィルターを使用して溶液を透析又は限外濾過ベースの透析に供することにより、BLG単離粉末からタンパク質画分を分離する。BLG単離粉末が干渉レベルの脂質を含む場合、かかる脂質は、例えば、精密濾過によって除去される。精密濾過と限外濾過/ダイアフィルトレーションの工程を組み合わせて、タンパク質画分から脂質と小分子の両方を除去することができる。
【0371】
BLG単離粉末のかなりの量のBLGが非凝集性BLGであることがしばしば好ましい。好ましくはBLGの少なくとも50%は、非凝集性BLGである。より好ましくは、BLGの少なくとも少なくとも80%は、非凝集性BLGである。BLGの少なくとも90%が非凝集性BLGであることがさらに好ましい。BLGの少なくとも95%が非凝集性BLGであることが最も好ましい。BLG単離粉末のBLGのおよそ100%が非凝集性BLGであることがさらにより好ましい。
【0372】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、最大10%、好ましくは最大8%、より好ましくは最大6%、さらにより好ましくは最大3%、さらにより好ましくは最大1%、及び最も好ましくは最大0.2%のタンパク質変性度を有する。
【0373】
しかしながら、例えば、不透明な飲料が必要な場合のように、BLG単離粉末が有意なレベルのタンパク質変性を有することもまた好ましい場合がある。したがって、本発明の他の好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、少なくとも11%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも40%、さらにより好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも90%のタンパク質変性度を有する。
【0374】
BLG単離粉末がかなりのレベルのタンパク質変性を有する場合、低レベルの不溶性タンパク質物質、すなわち、貯蔵中に飲料に沈殿する沈殿タンパク質物質を維持することがしばしば好ましい。不溶性物質のレベルは、例1.10に従って測定される。
【0375】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、最大20%重量/重量の不溶性タンパク質物質、好ましくは最大10%重量/重量の不溶性タンパク質物質、より好ましくは最大5%重量/重量の不溶性タンパク質物質を含み、さらに好ましいのは最大3%重量/重量の不溶性タンパク質物質、最も好ましいのは最大1%重量/重量の不溶性タンパク質物質を含むことである。BLG単離粉末が不溶性タンパク質物質を全く含まないことがさらに好ましい場合がある。
【0376】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、最大19%、好ましくは最大10%、より好ましくは最大5%、最も好ましくは0%のBLGの結晶化度を有する。
【0377】
本発明の他の好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも60%、最も好ましくは少なくとも80%のBLGの結晶化度を有する。これらの実施形態は、かなりの量の乾燥BLG結晶を含み、タンパク質源を固体のコンパクトな形態で存在させるという利点を提供する。
【0378】
本発明者らは、BLG単離粉末のpH3.9での熱安定性が、透明な高タンパク質飲料に対するその有用性の良好な指標であることを見出した。pH3.9での熱安定性は、例1.2に従って測定される。
【0379】
BLG単離粉末が、pH3.9で最大200NTU、好ましくは最大100NTU、より好ましくは最大60NTU、さらにより好ましい最大40NTUの熱安定性を有し、最も好ましいのは最大20NTUである。さらにより良好な熱安定性が可能であり、BLG単離粉末は、好ましくは、pH3.9で最大10NTU、好ましくは最大8NTU、より好ましくは最大4NTUの熱安定性を有し、さらに好ましいのは最大2NTUである。
【0380】
BLG単離粉末の微生物の含有量は、好ましくは最小限に保たれる。しかしながら、微生物減少プロセスはタンパク質のアンフォールディング及び変性につながる傾向があるため、高度なタンパク質のネイティブ性及び低含有量の微生物の両方を得ることは困難である。本発明は、非常に低い微生物の含有量を得ると同時に、高レベルのBLGのネイティブ性を維持することを可能にする。
【0381】
そのため、本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、最大15000コロニー形成単位(CFU)/gを含む。好ましくは、BLG単離粉末は、最大10000CFU/gを含む。より好ましくは、BLG単離粉末は、最大5000CFU/gを含む。さらにより好ましくは、BLG単離粉末は、最大1000CFU/gを含む。さらにより好ましくは、BLG単離粉末は、最大300CFU/gを含む。最も好ましくは、BLG単離粉末は、最大100CFU/g、例えば最大10CFU/g等を含む。特に好ましい実施形態では、粉末は無菌である。無菌のBLG単離粉末は、例えば、酸性pHでの精密濾過及び熱処理等のBLG単離粉末の製造中に幾つかの物理的微生物減少プロセスを組み合わせることによって調製され得る。
【0382】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、i)2~4.9、ii)6.1~8.5、又はiii)5.0~6.0の範囲のpHを有し、
-少なくとも30%重量/重量、好ましくは少なくとも80%重量/重量、さらにより好ましくは少なくとも90%重量/重量の量の総タンパク質と、
-総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量、好ましくは少なくとも90%重量/重量の量のベータ-ラクトグロブリン(BLG)と
-最大6%重量/重量の量の水と、
-最大2%重量/重量、好ましくは最大0.5%重量/重量の量の脂質と、を含み、
当該BLG単離粉末は、
-少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330/I350)
-最大10%のタンパク質変性度、及び
-pH3.9で最大200NTUの熱安定性、を有する。
【0383】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、i)2~4.9、又はii)6.1~8.5の範囲のpHを有し、
-少なくとも30%重量/重量、好ましくは少なくとも80%重量/重量、さらにより好ましくは少なくとも90%重量/重量の量の総タンパク質と、
-総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量、好ましくは少なくとも90%重量/重量、より好ましくは総タンパク質に対して少なくとも94%重量/重量の量のベータ-ラクトグロブリン(BLG)と
-最大6%重量/重量の量の水と、
-最大2%重量/重量、好ましくは最大0.5%重量/重量の量の脂質と、を含み、
当該BLG単離粉末は、
-少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330/I350)
-最大10%、好ましくは最大5%のタンパク質変性度、及び
-pH3.9で最大70NTU、好ましくは最大50NTU、さらにより好ましくは最大40NTUの熱安定性、を有する。
【0384】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、i)2~4.9、又はii)6.1~8.5の範囲のpHを有し、
-少なくとも30%重量/重量の量の総タンパク質と、
-総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量、好ましくは少なくとも90%重量/重量の量のベータ-ラクトグロブリン(BLG)と
-最大6%重量/重量の量の水と、を含み、
当該BLG単離粉末は、
-少なくとも0.2g/cm3のかさ密度、
-少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330/I350)
-最大10%のタンパク質変性度、及び
-pH3.9で最大200NTUの熱安定性、を有する。
【0385】
本発明の他の好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、2~4.9の範囲のpHを有し、
-少なくとも80%重量/重量、好ましくは少なくとも90%重量/重量、さらにより好ましくは少なくとも94%重量/重量の量の総タンパク質と、
-総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量、好ましくは少なくとも90%重量/重量、さらにより好ましくは総タンパク質に対して少なくとも94%重量/重量の量のベータ-ラクトグロブリン(BLG)と
-最大6%重量/重量の量の水と、
-最大2%重量/重量、好ましくは最大0.5%重量/重量の量の脂質と、を含み、
当該BLG単離粉末は、
-少なくとも0.2g/cm3、好ましくは少なくとも0.3g/cm3、より好ましくは少なくとも0.4g/cm3のかさ密度、
-少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330/I350)
-最大10%、好ましくは最大5%、より好ましくは最大2%のタンパク質変性度、及び
-pH3.9で最大50NTU、好ましくは最大30NTU、さらにより好ましくは最大10NTUの熱安定性、を有する。
【0386】
本発明のさらに好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、6.1~8.5の範囲のpHを有し、
-少なくとも80%重量/重量、好ましくは少なくとも90%重量/重量、さらにより好ましくは少なくとも94%重量/重量の量の総タンパク質と、
-総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量、好ましくは少なくとも90%重量/重量、さらにより好ましくは総タンパク質に対して少なくとも94%重量/重量の量のベータ-ラクトグロブリン(BLG)と
-最大6%重量/重量の量の水と、
-最大2%重量/重量、好ましくは最大0.5%重量/重量の量の脂質と、を含み、
当該BLG単離粉末は、
-少なくとも0.2g/cm3、好ましくは少なくとも0.3g/cm3、及びより好ましくは少なくとも0.4g/cm3のかさ密度、
-最大10%、好ましくは最大5%、より好ましくは最大2%のタンパク質変性度、及び
-pH3.9で最大50NTU、好ましくは最大30NTU、さらにより好ましくは最大10NTUの熱安定性、を有する。
【0387】
本発明のさらに好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、6.1~8.5の範囲のpHを有し、
-少なくとも80%重量/重量、好ましくは少なくとも90%重量/重量、さらにより好ましくは少なくとも94%重量/重量の量の総タンパク質と、
-総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量、好ましくは少なくとも90%重量/重量、さらにより好ましくは総タンパク質に対して少なくとも94%重量/重量の量のベータ-ラクトグロブリン(BLG)と
-最大6%重量/重量の量の水と、
-最大2%重量/重量、好ましくは最大0.5%重量/重量の量の脂質と、を含み、
当該BLG単離粉末は、
-少なくとも0.2g/cm3、好ましくは少なくとも0.3g/cm3、より好ましくは少なくとも0.4g/cm3のかさ密度、
-最大10%、好ましくは最大5%、より好ましくは最大2%のタンパク質変性度、及び
-pH3.9で最大50NTU、好ましくは最大30NTU、さらにより好ましくは最大10NTUの熱安定性、を有する。
【0388】
本発明のさらに好ましい実施形態では、BLG単離粉末は、5.0~6.0の範囲のpHを有し、
-少なくとも80%重量/重量、好ましくは少なくとも90%重量/重量、さらにより好ましくは少なくとも94%重量/重量の量の総タンパク質と、
-総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量、好ましくは少なくとも90%重量/重量、さらにより好ましくは総タンパク質に対して少なくとも94%重量/重量の量のベータ-ラクトグロブリン(BLG)と
-最大6%重量/重量の量の水と、
-最大2%重量/重量、好ましくは最大0.5%重量/重量の量の脂質と、を含み、
当該BLG単離粉末は、
-少なくとも0.2g/cm3、好ましくは少なくとも0.3g/cm3、より好ましくは少なくとも0.4g/cm3のかさ密度、
-最大10%、好ましくは最大5%、より好ましくは最大2%のタンパク質変性度、
-pH3.9で最大50NTU、好ましくは最大30NTU、さらにより好ましくは最大10NTUの熱安定性、及び
-好ましくは、10%未満のBLG結晶化度を有する。
【0389】
総タンパク質に対して少なくとも85%重量/重量の量のBLGを含む、BLG単離粉末は、典型的には、
a)以下、
i)2~4.9の範囲のpH、
ii)6.1~8.5の範囲のpH、又は
iii)5.0~6.0の範囲のpH、を有する液体BLG単離物を提供する工程であって、
当該液体BLG単離物が、総タンパク質に対して少なくとも85重量/重量の量のBLGを含む工程、
b)任意に、液体BLG単離物を物理的微生物減少に供する工程、
c)好ましくは、噴霧乾燥により液体BLG単離物を乾燥させる工程、を含む、方法によって提供される。
【0390】
液体BLG単離物は、好ましくは哺乳動物の乳から、好ましくは反芻動物、例えばウシ、ヒツジ、ヤギ、スイギュウ、ラクダ、ラマ、雌ウマ及び/又はシカの乳から調製される。ウシの乳由来のタンパク質が特に好ましい。したがって、BLGは好ましくはウシBLGである。
【0391】
液体BLG単離物は、幾つかの異なる方法で提供され得る。
【0392】
典型的には、液体BLG単離物の提供は、以下の方法のうちの1つ又は2つ以上によってBLG濃縮組成物を提供するために、ホエイタンパク質フィードからBLGを分離することを含むか、さらにはそれからなる:
-塩溶によるBLGの結晶化又は沈殿、
-塩析によるBLGのBLGの結晶化又は沈殿、
-イオン交換クロマトグラフィー、及び
-限外濾過によるホエイタンパク質の分画。
【0393】
BLG濃縮組成物を提供するための特に好ましい方法は、BLGの結晶化によるものであり、好ましくは塩溶によるか、或いは塩析によるものである。
【0394】
ホエイタンパク質フィードは、好ましくは、WPC、WPI、SPC、SPI、又はそれらの組み合わせである。
【0395】
「ホエイタンパク質フィード」という用語は、BLG濃縮組成物及びその後の液体BLG単離物が由来する組成物に関する。
【0396】
本発明の幾つかの実施形態では、BLG濃縮組成物の調製は、米国特許第2,790,790号公報A1によるpH範囲3.6~4.0での高塩BLG結晶化を含むか、又はそれからなる。
【0397】
本発明の他の実施形態では、BLG濃縮組成物の調製は、de Jongh et al(Mild Isolation Procedure Discloses New Protein Structural Properties of β-Lactoglobulin,J Dairy Sci.,vol.84(3),2001,pages 562-571)、又はVyas et al(Scale-Up of Native β-Lactoglobulin Affinity Separation Process,J.Dairy Sci.85:1639-1645,2002)によって記載される方法を含むか、さらにはそれからなる。
【0398】
しかしながら、本発明の特に好ましい実施形態では、BLG濃縮組成物は、PCT出願PCT/EP2017/084553号明細書に記載されている塩溶条件下でpH5~6での結晶化によって調製され、これは、全ての目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【0399】
本発明の幾つかの好ましい実施形態では、BLG濃縮組成物は、総タンパク質に対して少なくとも90%のBLGを含み、好ましくはBLG結晶を含む、PCT/EP2017/084553による食用BLG組成物である。
【0400】
液体BLG単離物として使用するために必要な特性をまだ持っていない場合、ホエイタンパク質フィードから分離されたBLG濃縮組成物を、液体BLG単離物を提供する一環として、以下:
-脱塩、
-ミネラルの添加、
-希釈、
-濃縮、
-物理的微生物減少、及び
-pH調整、
の群から選択される1つ又は2つ以上の工程に供することができる
【0401】
脱塩の非限定的な例としては、例えば、透析、ゲル濾過、UF/ダイアフィルトレーション、NF/ダイアフィルトレーション、及びイオン交換クロマトグラフィーが挙げられる。
【0402】
ミネラル添加の非限定的な例としては、例えば、例えば、Na、K、Ca、及び/又はMgの塩等の可溶性の食品に許容可能な塩の添加が含まれる。かかる塩は、例えば、リン酸塩、塩化物塩、又は例えば、クエン酸塩若しくは乳酸塩等の食用酸の塩であり得る。ミネラルを、固体、懸濁、又は溶解した形態で添加することができる。
【0403】
希釈の非限定的な例としては、例えば、水、脱塩水、又はミネラル、酸、塩基の水溶液等の液体希釈剤の添加が挙げられる。
【0404】
濃度の非限定的な例としては、例えば、蒸発、逆浸透、ナノ濾過、限外濾過及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0405】
濃度が全固形分に対してタンパク質の濃度を増加させる必要がある場合は、限外濾過又は代わりに透析等の濃縮工程を使用することが好ましい。濃度が全固形分に対してタンパク質の濃度を増加させる必要がない場合、例えば、蒸発、ナノ濾過及び/又は逆浸透が有用である可能性がある。
【0406】
物理的微生物減少の非限定的な例としては、例えば、熱処理、細菌濾過、UV照射、高圧処理、パルス電界処理、及び超音波が挙げられる。これらの方法は、当業者によく知られている。
【0407】
pH調整の非限定的な例としては、例えば、塩基及び/又は酸、好ましくは食品に許容可能な塩基及び/又は酸の添加が挙げられる。二価金属カチオンをキレート化することができる酸及び/又は塩基を使用することが特に好ましい。かかる酸及び/又は塩基の例は、クエン酸、クエン酸塩、EDTA、乳酸、乳酸塩、リン酸、リン酸塩、及びそれらの組み合わせである。
【0408】
以下において、BLG濃縮組成物からの工程a)の液体BLG単離物の提供の幾つかの好ましい実施形態。この文脈で言及されたプロセスの工程は、BLG濃縮組成物に続くBLG含有生成物流に適用される。
【0409】
本発明を、特定の実施形態を参照して上で説明した。しかしながら、上記以外の実施形態は、本発明の範囲内で等しく可能である。本発明の様々な実施形態及び態様の異なる特徴及び工程は、特に明記しない限り、本明細書に記載されているもの以外の方法で組み合わせることができる。
【0410】
例
例1:分析の方法
例1.1:内因性トリプトファン蛍光によるタンパク質のネイティブ性の決定
トリプトファン(Trp)蛍光分光法は、タンパク質のフォールディング及びアンフォールディングを監視するためのよく知られたツールである。ネイティブタンパク質内に埋め込まれたTrp残基は、典型的には、折りたたまれていないタンパク質等の溶媒に曝露される位置に存在する場合よりも、330nm付近で最も高い蛍光発光を示す。折りたたまれていないタンパク質では、Trp蛍光発光の波長は典型的には、より高い波長へとシフトし、350nm付近で測定されることがよくある。本発明者らは、ここで、この遷移を利用して、330nm及び350nmでの蛍光発光の比率を計算し、加熱温度の影響を調査することにより、熱的に誘発されたアンフォールディングを監視する。
【0411】
分析は以下の工程を含む:
・飲料組成物をMQ水で0.6mg/mLに希釈した。
・300μlのサンプルを、気泡を避けて白色96ウェルプレートに移すか、又は3mlを10mmの石英キュベットに移した。
・310~400nmのトリプトファン蛍光発光強度を、5nmスリットを使用して295で励起することにより上部から記録した。
・サンプルを、プレートリーダーアクセサリ(G9810A)又はシングルキュベットホルダーを備えたCaryEclipse蛍光分光光度計を使用して22℃で測定した。
・発光強度比を、330nmで測定された蛍光発光強度を350nmでの発光強度で割ること、すなわちR=I330/I350によって計算し、タンパク質のネイティブ率(nativity)の尺度として使用した。
o少なくとも1.11のRは、優勢なネイティブBLG立体構造を表し、
o1.11未満のRは、少なくとも部分的なアンフォールディング及び凝集を報告する。
【0412】
例1.2:PH3.9での熱安定性
pH3.9での熱安定性:
pH3.9での熱安定性は、pH3.9での長時間の低温殺菌時にタンパク質組成物が透明な状態を維持する能力の尺度である。
【0413】
pH3.9での熱安定性は、pH3.9の水溶液を形成し、試験する粉末又は液体のサンプルを水と混合することにより6.0%重量/重量タンパク質を含め(又は、希薄な液体の場合、代替的には、低温蒸発によって濃縮する)、最小限の0.1M NaOH又は0.1M HClでpHを3.9に調整することによって決定される。
【0414】
pHを調整した混合物を30分間静置した後、25mLの混合物を30mLの薄壁ガラス試験管に移す。75.0℃の水浴に浸漬することで300秒間、75.0℃に加熱する。加熱後直ちにガラス試験管を氷浴に移して1~5℃に冷却し、熱処理されたサンプルの濁度を、例1.7に従って測定する。
【0415】
例1.3:ホエイタンパク質組成物のタンパク質変性度の決定
変性ホエイタンパク質は、pH4.6未満又はpH4.6超のpH値よりもpH4.6での溶解度が低いことが知られているため、ホエイタンパク質組成物の変性度は、溶液中のタンパク質が安定しているpHでのタンパク質の総量に対するpH4.6での可溶性タンパク質の量を測定することによって決定される。
【0416】
より具体的には、ホエイタンパク質の場合、分析されるホエイタンパク質組成物(例えば、粉末又は水溶液)は、以下に変換される:
-総タンパク質5.0%(重量/重量)を含み、pHが7.0又は3.0の第1の水溶液、及び
-総タンパク質5.0%(重量/重量)を含み、pHが4.6の第2の水溶液。
【0417】
pH調整を、3%(重量/重量)NaOH(水溶液)又は5%(重量/重量)HCl(水溶液)を使用して行う。
【0418】
第1の水溶液の総タンパク質含有量(PpH7.0又は3.0)を、例1.5に従って決定する。
【0419】
第2の水溶液を室温で2時間保管し、続いて3000gで5分間遠心分離する。上清のサンプルを回収し、例1.5に従って分析して、上清中のタンパク質濃度(SpH4.6)を得る。
【0420】
ホエイタンパク質組成物のタンパク質変性度、Dを次のとおり計算する:
D=((PpH7.0又は3.0-SpH4.6)/PpH7.0又は3.0)*100%
【0421】
例1.4逆相UPLC分析を使用したタンパク質変性の決定(PH4.6酸沈殿を伴う)。
BLGサンプル(非加熱参照及び加熱BLG飲料組成物等)をMQ水で2%に希釈した。5mlのタンパク質溶液、10mlのMilli-Q、4mlの10%酢酸、及び6mlの1.0M NaOAcを混合し、20分間攪拌して、pH4.6付近で変性タンパク質を沈殿凝集させる。溶液を0.22μmフィルターで濾過し、凝集物及び非ネイティブタンパク質を除去する。
【0422】
全てのサンプルを、研磨水(polished water)を加えることによって同じ程度の希釈に供した。
【0423】
各サンプルについて、UPLCカラム(Protein BEH C4;300Å;1.7μm;150×2.1mm)を備えたUPLCシステムに同じ容量を充填し、214nmで検出した。
【0424】
サンプルを、次の条件を使用して流した:
バッファーA:Milli-Q水、0.1%重量/重量TFA
バッファーB:HPLCグレードのアセトニトリル、0.1%重量/重量TFA
流量:0.4ml/分
勾配:0~6.00分 24~45%B;6.00~6.50分 45~90%B;6.50~7.00分 90%B;7.00~7.50分 90~24%B、及び7.50~10.00分 24%B。
【0425】
タンパク質標準(Sigma L0130)に対するBLGピークの面積を使用して、サンプル中のネイティブbLGの濃度を決定した(5レベルの検量線)
【0426】
サンプルをさらに希釈し、線形範囲外の場合は再注入した。
【0427】
例1.5:総タンパク質の決定
サンプルの総タンパク質含有量(真のタンパク質)を、以下によって決定する:
1)ISO 8968-1/2|IDF 020-1/2-牛乳-窒素含有量の決定-第1/2部:ケルダール法を使用した窒素含有量の決定に準拠したサンプルの全窒素の窒素含有量の決定。
2)ISO 8968-4|IDF 020-4-乳-窒素含有量の決定-第4部:非タンパク質窒素含有量の決定に準拠したサンプルの非タンパク質窒素の決定。
3)タンパク質の総量を(m総窒素-m非タンパク質-窒素)*6.38として計算する。
【0428】
例1.6:非凝集性BLG、ALA、及びCMPの決定
非凝集性アルファ-ラクトアルブミン(ALA)、ベータ-ラクトグロブリン(BLG)、及びカゼイノマクロペプチド(CMP)の含有量を、それぞれ0.4ml/分のHPLC分析で分析した。25マイクロLの濾過サンプルを、溶離液(Milli-Q水465g、アセトニトリル417.3g及びトリフルオロ酢酸1ml)で平衡化したプレカラムPWxl(6mm×4cm、Tosohass、日本)を取り付けて、連続して接続された2つのTSKgel3000PWxl(7.8mm 30cm、Tosohass、日本)カラムに注入し、210nmのUV検出器を使用した。
【0429】
ネイティブアルファ-ラクトアルブミン(Cアルファ)、ベータ-ラクトグロブリン(Cベータ)、及びカゼイノマクロペプチド(CCMP)の含有量の定量的決定を、対応する標準タンパク質で得られたピーク面積をサンプルのピーク面積と比較することによって行った。
【0430】
追加のタンパク質(非BLGタンパク質)の総量を、総タンパク質の量(例1.5に従って決定)からBLGの量を差し引くことによって決定した。
【0431】
例1.7:濁度の測定
濁度は、空気中の煙と同様に、一般に肉眼では見えない多数の粒子によって引き起こされる流体の曇り又はもやである。
【0432】
濁度は比濁濁度単位(NTU)で測定される。
【0433】
20mlの飲料/サンプルをNTUガラスに添加し、Turbiquant(登録商標) 3000 IR濁度計に入れた。NTU値を安定化後に測定し、2回繰り返した。
【0434】
例1.8:粘度の決定
飲料調製物の粘度を、レオメーター(Anton Paar,Physica MCR301)を使用して測定した。
【0435】
3.8mLのサンプルをカップDG26.7に添加した。サンプルを22℃に平衡化した後、50s-1で30秒間事前に剪断し、その後30秒間の平衡時間、そして1s-1~200s-1及び1s-1の剪断速度スイープを実行した。
【0436】
特に明記しない限り、粘度は100s-1の剪断速度で単位センチポアズ(cP)で表される。測定されたcP値が高いほど、粘度が高くなる。
【0437】
或いは、GilsonによるViscomanを使用して粘度を推定し、約300s-1の剪断速度で報告した。
【0438】
例1.9:色の決定
色彩色差計(Konica Minolta、CR-400)を用いて色を測定した。15gのサンプルを小さなペトリ皿(55×14.2mm、VWRカタログ番号391-0895)に追加して、気泡の形成を回避した。サンプルのタンパク質含有量は、6.0重量/重量%タンパク質以下に標準化した。
【0439】
クロマメーターを白色の較正プレート(No.19033177)に較正した。光源をD65に設定し、オブザーバーを2度に設定した。色(CIELAB色空間、a*値、b*値、L*値)を、ペトリ皿の様々な場所での3つの個別の読み取り値の平均として、懸濁液を覆う蓋をして測定した。
【0440】
脱塩水基準の値は次のとおりである。
L*39.97±0.3
a*0.00±0.06
b*-0.22±0.09
【0441】
測定値を、脱塩水測定値に基づいてデルタ/差の値に変換した。
デルタL*=L6.0重量/重量%タンパク質に標準化されたサンプル*-L脱塩水*、室温で測定。
デルタa*=a6.0重量/重量%タンパク質に標準化されたサンプル*-a脱塩水*、室温で測定。
デルタb*=b6.0重量/重量%タンパク質に標準化されたサンプル-b脱塩水*、室温で測定。
【0442】
サンプルは6.0重量/重量%タンパク質以下に標準化されている。
【0443】
L*a*b*色空間(CIELAB空間とも称される)は、1976年に国際照明委員会(CIE)によって定義された均一色空間の1つであり、明度及び色相を定量的に報告するために使用された(ISO 11664-4:2008(E)/CIE S 014-4/E:2007)。
【0444】
この空間では、L*は明度(0~100の値)を示し、L*=0で最も暗い黒、L*=100で最も明るい白を示す。
【0445】
カラーチャネルa*及びb*は、a*=0及びb*=0での真のニュートラルグレー値を表す。a*軸は緑と赤の成分を表し、緑は負の方向、赤は正の方向である。b*軸は青と黄色の成分を表し、負の方向が青、正の方向が黄色である。
【0446】
例1.10飲料安定性試験/不溶性タンパク質物質
3000gで5分間遠心分離した際に、加熱されたサンプル中の総タンパク質の15%未満が沈殿した場合、ホエイタンパク質飲料の組成は安定していると見なされた:
・およそ20gのサンプルを遠心管に加え、3000gで5分間遠心分離した。
・遠心分離前のタンパク質及び遠心分離後の上清のケルダール分析を使用して、タンパク質の回収率を定量した。例1.5を参照されたい。
【0447】
【0448】
このパラメーターは、不溶性タンパク質物質のレベルと称されることもあり、液体サンプルと粉末サンプルの両方の分析に使用できる。サンプルが粉末の場合、10gの粉末を90gの脱塩水に懸濁し、22℃で1時間穏やかに攪拌しながら水和させる。遠心管に対しておよそ20gのサンプル(液体サンプル又は懸濁粉末サンプル等)を3000gで5分間遠心分離する。遠心分離前のタンパク質(Ptotal)及び遠心分離後の上清(P3000×g)のケルダール分析を使用して、例1.5に従ってタンパク質の回収率を定量した。
【0449】
【0450】
例1.11:官能評価
熱処理された飲料調製物は、記述的な官能評価を受けた。飲料調製物は、プレート熱交換器を使用して加熱に供した。
【0451】
1容量のサンプルを1容量の水と混合し、非加熱ホエイタンパク質単離物と比較し、乳酸及びクエン酸も最終試飲セッションの前に属性リストを作成するために使用する。
【0452】
クラッカー、白茶、メロン、及び水を使用して、各サンプルの間に参加者の口を浄化した。
【0453】
周囲温度(20~25℃)の15ml試験サンプルを小さなカップで提供した。
【0454】
試験サンプルは、無作為化された順序で3つの異なるブロックで3回にわたって10名の個人にそれぞれ提供された。
【0455】
属性(上記の表を参照)を、0=低強度、15=高強度で15cmスケールで評価した。
【0456】
統計分析は、「Panelcheck」ソフトウェアで、複数の反復に対して3元配置ANOVA検定を使用して実施した。サンプルを固定し、パネルを無作為に設定した。
【0457】
最小の有意差値(文字に関連付けられた群のペアワイズ比較)を意味するボンフェローニ補正を使用して、サンプル間の有意差を評価した。
【0458】
例1.12:イメージングによる透明度の決定
飲料調製物の写真を、「lorem ipsum」のテキストが書かれた紙片に触れている濁度NTU測定バイアルにサンプルを入れることによって行った。スマートフォンを使用してバイアルを撮影し、本発明者らは、バイアルを通してテキストがはっきりと観察できるかどうかを評価した。
【0459】
例1.13:灰分含有量の決定
食品の灰分を、NMKL 173:2005「食品中の灰分重量計測式決定」に従って測定する。
【0460】
例1.14:導電率の決定
水溶液の「導電率」(「比導電率」と称されることもある)は、溶液が電気を伝導する能力の尺度である。導電率は、例えば、2つの電極間の溶液のAC抵抗を測定することによって決定され、結果は典型的には、ミリジーメンス/cm(mS/cm)の単位で示される。導電率は、例えば、EPA(米国環境保護庁)の方法番号120.1に従って測定することができる。
【0461】
本明細書に記載されている導電率の値は、別段の指定がない限り、25℃に正規化されている。
【0462】
導電率は、導電率計(テトラコン325電極を備えたWTW Cond 3210)で測定される。
【0463】
システムは、使用前にマニュアルに記載されているように較正されている。電極は、局所的な希釈を避けるために、測定が行われるのと同じタイプの媒質でよくすすいでおく。測定が行われる領域が完全に水没するように、電極を媒質に下げる。次いで、電極を攪拌して、電極に閉じ込められた空気を全て除去する。次いで、電極を、安定した値が表示から取得され、記録されるまで静止状態に保つ。
【0464】
例1.15:溶液の全固形分の決定
溶液の全固形分は、NMKL 110第2版、2005(全固形分(水)-乳及び乳製品の重量分析)に従って決定することができる。NMKLは、「ヨーロッパ標準分析法と食品分析に関する北欧委員会(Nordisk Metodikkomite for Naeringsmidler)」の略語である。
【0465】
溶液の含水量は、100%から全固形分の相対量(%重量/重量)を引いたものとして計算できる。
【0466】
例1.16:PHの決定
全てのpH値は、pHガラス電極を使用して測定され、25℃に正規化されている。
【0467】
pHガラス電極(温度補償付き)は、使用前に注意深くすすぎ、使用前に較正する。
【0468】
サンプルが液体の場合、pHは25℃の溶液中で直接測定される。
【0469】
サンプルが粉末の場合、10グラムの粉末を90mlの脱塩水に室温で激しく攪拌しながら溶解する。次いで、溶液のpHを25℃で測定する。
【0470】
例1.17:緩み密度及びかさ密度の決定
乾燥粉末の密度は、特定の条件下で特別なStampf体積計(メスシリンダー)を使用して分析される粉末の重量と体積の関係として定義される。密度は典型的には、g/mL又はkg/Lで表される。
【0471】
この方法では、乾燥粉末のサンプルをメスシリンダーに詰め込む。指定された回数のタッピングの後、製品の体積を読み取り、密度を計算する。
【0472】
この方法により、以下の3種類の密度を定義ですることができる:
・充填密度、これは、指定されたメスシリンダーに移された後の粉末の体積で割った質量である。
・緩み密度、この規格で指定された条件に従って、100回のタッピング後の粉末の体積で割った質量である。
・かさ密度、この規格で指定された条件に従って、625回のタッピング後の粉末の体積で割った質量である。
【0473】
この方法では、0~250mlに目盛りを付けた、250mlのメスシリンダー、重量190±15g(J.Engelsmann A.G.67059 Ludwigshafen/Rh)の特殊なメスシリンダー、及び例えば、J.エンゲルスマンA.G.のStampf体積計を使用する。
【0474】
乾燥製品の緩み密度及びかさ密度を、以下の手順で決定する。
【0475】
前処理:
測定するサンプルを室温で保管する。
【0476】
次いで、容器を繰り返し回転及び転倒させてサンプルを完全に混合する(粒子の粉砕を避ける)。容器は2/3を超えて満たされていない。
【0477】
手順:
100.0±0.1グラムの粉末を量り、メスシリンダーに移す。容量V0をmlで読み取る。
【0478】
100gの粉末がシリンダーに収まらない場合は、量を50又は25グラムに減らす必要がある。
【0479】
メスシリンダーをStampf体積計に固定し、これを100回をタップする。スパチュラで表面を平らにし、容量V100をmlで読み取る。
【0480】
タブの数を625(100タップを含む)に変更する。軽くたたいた後、表面を水平にし、容量V625をmlで読み取る。
【0481】
密度の計算:
次の式に従って、g/mLで表される緩み密度及びかさ密度を計算する:
かさ密度=M/V
式中、Mは計量されたサンプルをグラムで示し、Vは625回のタッピング後の容量をmlで示す。
【0482】
例1.18:粉末の含水量の決定
食品の含水量は、ISO 5537:2004(粉乳-含水量の測定(基準法))に従って測定される。NMKLは、「ヨーロッパ標準分析法と食品分析に関する北欧委員会(Nordisk Metodikkomite for Naeringsmidler)」の略語である。
【0483】
例1.19:カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、リンの量の測定(ICP-MS法)
カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、及びリンの総量は、サンプルを最初にマイクロ波分解を使用して分解し、次いでミネラル(複数の場合がある)の総量がICP装置を使用して決定される手順を使用して決定される。
【0484】
装置:
マイクロ波はAnton Paar製であり、ICPはPerkinElmer Inc製のOptima 2000DVである。
【0485】
材料:
1M HNO3
2%HNO3中のイットリウム
5%HNO3中のカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、及びリンの適切な標準
【0486】
前処理:
一定量の粉末を量り取り、その粉末をマイクロ波分解チューブに移す。5mlの1M HNO3を添加する。電子レンジの指示に従って、電子レンジでサンプルを分解する。分解されたチューブをドラフトチャンバーに入れ、蓋を外して揮発性のヒュームを蒸発させる。
【0487】
測定手順:
既知量のMilli-Q水を使用して、前処理したサンプルをDigiTUBEに移す。2%HNO3中のイットリウムの溶液を分解チューブに添加し(50mlの希釈サンプルあたり約0.25ml)、Milli-Q水を使用して既知の容量に希釈する。製造元が説明する手順を使用して、ICPでサンプルを分析する。
【0488】
ブラインドサンプルは、Milli-Q水を使用して、10mlの1M HNO3及び0.5mLのイットリウム2%HNO3溶液の混合物を最終容量100mLに希釈することによって調製される。
【0489】
予想されるサンプル濃度を挟む濃度を持つ少なくとも3つの標準サンプルを調製する。
【0490】
例1.20:フロシン値の決定:
フロシン値は、“Maillard Reaction Evaluation by Furosine Determination During Infant Cereal Processing”,Guerra-Hernandez et al,Journal of Cereal Science 29(1999)171-176に記載されるとおりに決定され、タンパク質の総量は例1.5に従って決定される。フロシン値は、タンパク質100gあたりmg単位のフロシンで報告される。
【0491】
例1.21:液体中のBLGの結晶化度の決定
以下の方法を使用して、pHが5~6の範囲の液体中のBLGの結晶化度を決定する。
a)問題の液体のサンプル10mlを、孔径0.45ミクロンのCAメンブレンを備えたMaxi-Spinフィルターに移す。
b)遠心分離機を2℃に保って、直ちにフィルターを1500gで5分間回転させる。
c)スピンフィルターの被保持物側に2mlの冷Milli-Q水(2℃)を加え、直ちに、遠心分離機を2℃に冷却したまま、フィルターを1500gで5分間スピンし、透過液(透過液A)を収集して、体積を測定し、例1.31に概説されている方法を使用してHPLCを介してBLG濃度を決定する。
d)フィルターの被保持物側に4mlの2M NaClを加え、すばやく攪拌し、混合物を25℃で15分間放置する。
e)直ちにフィルターを1500gで5分間回転させ、透過液を収集する(透過液B)
f)例1.31に概説されている方法を使用して、透過液A及び透過液BのBLGの総重量を決定し、その結果を重量パーセントではなくBLGの総重量に変換する。透過液A中のBLGの重量はm透過物Aと称され、透過液BのBLGの重量はm透過物Bと称される。
g)BLGに関する液体の結晶化度は、次のように決定される:
結晶化度=m透過物B/(m透過物A+m透過物B)*100%
【0492】
例1.22:乾燥粉末中のBLGの結晶化度の決定
この方法は、乾燥粉末中のBLGの結晶化度を決定するために使用される。
a)5.0グラムの粉末サンプルを20.0グラムの冷Milli-Q水(2℃)と混合し、2℃で5分間放置する。
b)問題の液体のサンプルを0.45ミクロンのCAメンブレンを備えたMaxi-Spinフィルターフィルターに移す。
c)遠心分離機を2℃に保って、直ちに、フィルターを1500gで5分間回転させる。
d)スピンフィルターの被保持物側に2mLの冷Milli-Q水(2℃)を添加し、直ちにフィルターを1500gで5分間回転させ、透過液(透過液A)を収集し、容量を測定してBLGを決定する。例1.6に概説されている方法を使用してHPLCを介して濃縮し、結果を重量パーセントではなくBLGの総重量に変換する。透過液AのBLGの重量は、m
透過液Aと称される。
f)次いで、粉末中のBLGの結晶化度を、次の式を使用して計算する:
【数3】
式中、m
BLG合計は、工程a)の粉末サンプル中のBLGの総量である。
【0493】
粉末サンプルのBLGの総量が不明な場合は、別の5gの粉末サンプル(同じ粉末供給源に由来する)を20.0グラムのMilli-Q水に懸濁し、NaOH水溶液を添加してpHを7.0に調整し、混合物を攪拌しながら25℃で1時間放置し、最後に例1.31を使用して粉末サンプルのBLGの総量を決定することにより、これを決定してもよい。
【0494】
例1.23:UF透過導電率の決定
15mLのサンプルを3kDaカットオフ(3000 NMWL)のAmicon Ultra-15遠心フィルターユニットに移し、4000gで20~30分間、又は導電率を測定するのに十分な容量のUF透過液がフィルターユニットの下部に蓄積するまで遠心分離する。遠心分離直後に導電率を測定する。サンプルの取り扱い及び遠心分離は、サンプルの供給源の温度で行われる。
【0495】
例1.24:粉末中の乾燥BLG結晶の検出
粉末中の乾燥BLG結晶の存在は、次の方法でされ得る:
【0496】
分析する粉末のサンプルを再懸濁し、4℃の温度の脱塩水に2部の水及び1部の粉末の重量比で穏やかに混合し、4℃で1時間再水和させる。
【0497】
再水和されたサンプルを、結晶の存在を識別するために顕微鏡検査によって調べ、好ましくは複屈折を検出するために平面偏光を使用する。
【0498】
結晶様物質を分離し、結晶構造の存在を確認するためX線結晶構造解析に供し、また、好ましくは結晶格子(空間群及び単位格子の寸法)がBLG結晶の格子に対応していることも確認する。
【0499】
分離された結晶様物質の化学組成を分析して、その固体が主にBLGで構成されていることを確認する。
【0500】
例1.25:乳糖の総量の決定
乳糖の総量は、ISO 5765-2:2002(IDF 79-2:2002)「粉乳、乾燥アイスミックス、及びプロセスチーズ-乳糖含有量の測定-第2部:乳糖のガラクトース部分を利用した酵素法」に従って測定される。
【0501】
例1.26:炭水化物の総量の決定:
炭水化物の量は、Sigma Aldrich Total Carbohydrate Assay Kit(Cat MAK104-1KT)を使用して決定され、このキットでは、炭水化物が加水分解され、フルフラール及びヒドロキシフルフラールに変換されて、これらが490nmで分光光度的にモニターされるクロマゲンに変換される。
【0502】
例1.27:脂質の総量の決定
脂質の量は、ISO 1211:2010(脂肪含有量の決定-Rose-Gottlieb重量分析法)に従って決定される。
【0503】
例1.28:ブリックスの決定
ブリックス測定を、研磨水(逆浸透によって濾過された水で最大0.05mS/cmの導電率が得られる)に対して較正されたPAL-αデジタル手持ち屈折計(Atago)を使用して行った。
【0504】
およそ500μlのサンプルを装置のプリズム面に移し、測定を開始した。測定値を読み取り、記録した
【0505】
ホエイタンパク質溶液のブリックスは、全固形分(TS)の含有量に比例し、TS(%重量/重量)はおよそブリックス*0.85である。
【0506】
例1.29ラクトフェリン及びラクトペルオキシダーゼの測定
ラクトフェリンの濃度は、Soyeurt 2012で概説されているELISAイムノアッセイによって決定される(Soyeurt et al;Mid-infrared prediction of lactoferrin content in bovine milk:potential indicator of mastitis;Animal(2012),6:11,pp1830-1838)。
【0507】
ラクトペルオキシダーゼの濃度は、市販のウシラクトペルオキシダーゼキットを使用して決定される。
【0508】
例1.30:コロニー形成単位の数の決定
サンプル1グラムあたりのコロニー形成単位の数の決定は、ISO 4833-1:2013(E):食品及び動物の飼料原料の微生物学-微生物の列挙のための水平法-30℃でのコロニーカウント手法に従って実行される。
【0509】
例1.31:BLG、ALA、及びCMPの総量の決定
この手順は、ALA、BLG、CMP等のタンパク質、及び任意に、組成物中の他のタンパク質種を定量分析するための液体クロマトグラフィー(HPLC)法である。例1.6の方法とは反対に、本方法はまた、凝集されたものの中に存在するタンパク質を測定し、したがって、問題の組成物中のタンパク質種の総量の測定値を提供する。
【0510】
分離モードはサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)であり、この方法ではサンプル溶媒及びHPLC移動相の両方として6MグアニジンHCIバッファーを使用する。メルカプトエタノールは、タンパク質又はタンパク質凝集物のジスルフィド(S-S)を還元して、折りたたまれていない単量体構造を作成する還元剤として使用される。
【0511】
サンプル前処理は、移動相に10mg相当のタンパク質を溶解することで容易に達成される。
【0512】
2つのTSK-GEL G3000SWXL(7.7mm×30.0cm)カラム(GPCカラム)及びガードカラムを直列に配置して、原材料中の主要なタンパク質の適切な分離を達成する。
【0513】
溶出された分析対象物を、UV検出(280nm)によって検出及び定量する。
【0514】
機器/材料:
1.手動シールワッシャー付きHPLCポンプ515(Waters)
2.HPLCポンプコントローラーモジュールII(Waters)
3.オートサンプラー717(Waters)
4.デュアル吸光度検出器2487(Waters)
5.定量的レポートを生成できるコンピュータソフトウェア(Empower 3、Waters)
6.分析カラム:2つのTSK-GEL G3000SWXL(7.8×300mm、P/N:08541)。
ガードカラム:TSK-Guard Column SWxL(6.0×40mm、P/N:08543)。
7.超音波浴(Branson 5200)
0.2μm酢酸セルロースメンブレンを備えた8.25mmシリンジフィルター(514-0060、VWR)
【0515】
手順:
移動相:
A.ストック緩衝液。
1.1000mlのビーカーに56.6gのNa2HPO4、3.5gのNaH2PO4、及び2.9gのEDTAを量り入れる。
800mlの水に溶かす。
2.pHを測定し、必要に応じてHCl(pHを下げる)又はNaOH(pHを上げる)で7.5±0.1に調整する。
3.1000mlのメスフラスコに移し、水で希釈して容量を調整する。
【0516】
B.6MグアニジンHCl移動相。
1.2000mLのビーカーに1146gのグアニジンHClを量り取り、200mlのストック緩衝液(A)を加える。
2.マグネチックスターラー(50℃)で混合しながら、この溶液を水で約1600mlに希釈する。
3.NaOHでpHを7.5±0.1に調整する。4.2000mlのメスフラスコに移し、水で希釈して容量を調整する。5.0.22μmメンブレンフィルターを備えた溶媒濾過装置を使用して濾過する。
【0517】
較正標準。
定量する各タンパク質の較正標準を、以下の方法で調製する:
1.約25mgのタンパク質参照標準を10mlに正確に(0.01mgまで)計量し、
メスフラスコに入れ、10mlの水に溶かす。
これは、タンパク質のタンパク質ストック標準液(S1)である。
2.200μlのS1を20mlメスフラスコにピペットで入れ、移動相で希釈して容量を調整する。
これは、低希釈標準溶液WS1である。
3.500μLのS1を10mlメスフラスコにピペットで入れ、移動相で希釈して容量を調整する。
これは標準溶液WS2である。
4.500μLのS1を5mlメスフラスコにピペットで入れ、移動相で希釈して容量を調整する。
これは標準溶液WS3である。
5.750μLのS1を5mlメスフラスコにピペットで入れ、移動相で希釈して容量を調整する。
これは標準ソリューションWS4である。
6.1.0mLのS1を5mLメスフラスコにピペットで入れ、移動相で容量まで希釈する。
これは、高希釈標準溶液WS5である。
7.目盛り付き使い捨てピペットを使用して、1.5mLのWS1~5を別々のバイアルに移す。
各バイアル及びキャップに10μLの2-メルカプトエタノールを加える。溶液を10秒間ボルテックスする。
標準液を周囲温度で約1時間置く。
8.0.22μmの酢酸セルロースシリンジフィルターを使用して標準液を濾過する。
【0518】
タンパク質の純度は、ケルダール(N×6.38)を使用して測定し、HPLCを使用して標準溶液WS5からの面積%を測定する。
タンパク質(mg)=「タンパク質標準重量」(mg)×P1×P2
P1=P%(ケルダール)
P2=タンパク質面積%(HPLC)
【0519】
サンプルの調製
1.元のサンプルのタンパク質25mgに相当する量を25mLメスフラスコに量り取る。
2.およそ20mLの移動相を加え、サンプルを約30分間溶解させる。
3.移動相を容量に加え、167μLの2-メルカプトエタノールを25mlのサンプル溶液に加える。
4.約30分間超音波処理し、その後、サンプルを周囲温度で約1時間半放置する。
5.溶液を混合し、0.22μlの酢酸セルロースシリンジフィルターを使用して濾過する。
【0520】
HPLCシステム/カラム
カラムの平衡化
1.GPCガードカラムと2つのGPC分析カラムとを直列に接続する。
新しいカラムは通常、リン酸塩緩衝液中で出荷される。
2.新しいカラムに30~60分間0.1mL/分から0.5mL/分で徐々に水を流す。
約1時間フラッシュを続ける。
3.流量を0.5mL/分から0.1mL/分に徐々に下げ、
リザーバーにおいて移動相に交換する。
4.圧力ショックを回避するために、ポンプの流量を30~60分間で0.1mL/分から0.5mL/分まで徐々に増やし、0.5mL/分のままにする。
5.10種類のサンプルを注入してカラムを飽和させ、ピークが溶出するのを待つ。
これは、カラムのコンディショニングに役立つ。
この工程は、次の注入の前に各注入が完了するのを待つ必要はなく、行われる。
6.移動相で少なくとも1時間平衡化する。
【0521】
結果の計算
定量されるタンパク質、例えばアルファ-ラクトアルブミン、ベータ-ラクトグロブリン、及びカゼイノマクロペプチドの含有量の定量的決定を、対応する標準タンパク質で得られたピーク面積をサンプルのピーク面積と比較することによって行った。結果は、特定のタンパク質/100gの元のサンプル、又は元のサンプルの重量に対する特定のタンパク質の重量パーセントとして報告される。
【0522】
例2:粗ホエイタンパク質濃縮物からのベータ-ラクトグロブリンの結晶化
プロトコル:
標準的なチーズ製造プロセスからのスイートホエイに由来し、1.2ミクロンのフィルターで濾過されたラクトース枯渇UF保持液を、BLG結晶化プロセスのフィードとして使用した。スイートホエイフィードを、46ミルのスペーサー、フィード圧力1.5~3.0バールでKoch HFK-328タイプのメンブレンを使用し、全固形分21%(TS)±5のフィード濃度を使用し、またイアフィルトレーション媒質として研磨水(逆浸透によって濾過された水で、最大0.05mS/cmの導電率が得られる)を使用して、限外濾過セットアップ上でコンディショニングした。限外濾過中のフィード及び保持液の温度はおよそ12℃であった。次いで、HClを加えることによってpHを調整して、およそ5.40のpHを得た。保持液の導電率の低下が20分間にわたって0.03mS/cmを下回るまで、ダイアフィルトレーションを続けた次いで、保持液をおよそ30%TSに濃縮した(濃縮保持液の総重量に対しておよそ23.1%の総タンパク質)。濃縮された保持液のサンプルを3000gで5分間遠心分離したが、目に見えるペレットは形成されなかった。上清をHPLC分析に供した。フィードの組成を表1に示す。
【0523】
濃縮された保持液に、自発的なBLG結晶化から得られた0.5g/Lの純粋なBLG結晶材料によりシードした(フィード2の関連で例3に記載されるとおり)。シーディング材料は、BLG結晶スラリーをMilliQ水で5回洗浄し、各洗浄後にBLG結晶を収集することによって調製した。洗浄後、BLG結晶を凍結乾燥し、乳棒及び乳鉢を使用して粉砕し、次いで、200ミクロンのふるいに通した。したがって、結晶化シードの粒子径は200ミクロン未満であった。
【0524】
濃縮された保持液を300Lの結晶化タンクに移し、そこで約4℃に冷却し、穏やかに攪拌しながらこの温度で一晩保持した。翌朝、冷却された濃縮保持液のサンプルを試験管に移し、視覚的及び顕微鏡的に検査した。一晩で、急速に沈降する結晶が明らかに形成された。結晶と母液の両方を含む混合物の実験室サンプルを、氷水浴中でさらに0℃に冷却した。母液及び結晶を3000gで5分間遠心分離して分離し、HPLC分析のため上清及びペレットのサンプルを採取した。結晶を冷研磨水で一度洗浄し、次に再度遠心分離してからペレットを凍結乾燥させた。
【表1】
【0525】
HPLCによるBLG相対収量の定量:
全てのサンプルを、研磨水(polished water)を加えることによって同じ程度の希釈に供した。サンプルを0.22ミクロンのフィルターで濾過した。各サンプルについてPhenomenex Jupiter(登録商標)5μm C4 300Å、LCカラム250×4.6mm(Part Number:00G-4167-E0)を備えたHPLCシステムに同じ容量をロードし、214nmで検出した。
【0526】
サンプルを、次の条件を使用して流した:
バッファーA:MilliQ水、0.1%重量/重量TFA
バッファーB:HPLCグレードのアセトニトリル、0.085%重量/重量TFA
流量:1ml/分
勾配:0~30分 82~55%A及び18~45%B;30~32分 55~10%A及び45~90%B;32.5~37.5分 10%A及び90%B;38~48分 10~82%A及び90~18%B。
【0527】
データ処理:
全てのサンプルを同じ方法で処理したため、本発明者らは、BLGピークの面積を直接比較して、相対収量を得ることができる。結晶にはBLGのみが含まれており、サンプルは全て同じ方法で処理されているため、アルファ-ラクトアルブミン(ALA)の濃度、したがってALAの面積は全てのサンプルで同じはずである。したがって、結晶化前後のALAの面積は、相対収量を計算する際の補正係数(cf)として使用される。
【数4】
【0528】
【0529】
結果
スイートホエイに由来するBLGの結晶化の前後から得られたクロマトグラムから、BLGの濃度の大幅な減少が起こったことが明らかであり、前述の収率の計算を使用して、除去されたBLGの収率を64.5%重量/重量と決定した。
【0530】
結晶スラリーを顕微鏡で調べた。サンプルには六方晶が含まれており、その多くは200ミクロンよりかなり大きいサイズであり、観察された結晶がシーディング結晶だけではないことを示している。針で押すと簡単に粉々になり、タンパク質の結晶であることが確認された。
【0531】
洗浄された結晶生成物のクロマトグラムは、BLGがクロマトグラムの総面積の98.9%を占めることを示している。BLG生成物の純度は、追加の洗浄によってさらに高めることができる。
【0532】
結論:
この例は、驚くべきことに、総タンパク質に対して48%を超える非BLGタンパク質を含む粗ホエイタンパク質濃縮物からBLGを選択的に結晶化することが可能であり、得られたBLG結晶単離物が非常に高い純度を有することを実証している。この発見は、BLGが他のタンパク質成分から穏やかな方法で分離され、高温及び問題のある化学物質への長時間の曝露を回避することが好まれる、工業用乳タンパク質分離の新たなアプローチへの道を開く。
【0533】
例3:3種類のホエイタンパク質溶液におけるBLGの結晶化
プロトコル:
例2と同じ実験的及び分析的設定を使用して、3つの異なるタイプのホエイタンパク質含有原材料を結晶化のためのフィードとして試験した。ただし、フィード2を用いて行われた実験ではシードは使用されなかった。フィード1及び2は、スイートホエイに基づいており、例2に記載されているように、処理前にSynder FR膜を介して脂肪を減少させた。フィード3は酸性ホエイに由来した。
【0534】
3つのフィードの組成を、下記表2、表3、及び表4に示す。フィード3は21%TS(フィードの総重量に対して13.3%重量/重量の総タンパク質)で結晶化され、他の2つ(フィード1の総タンパク質は26.3%重量/重量、フィード2は25.0%)よりも有意に低濃度であった。
【0535】
結晶化した供給物1のスラリーを、0.45ミクロンのCA膜を備えたMaxi-Spinフィルター上で1500gで5分間遠心分離した。次いで、2倍量のMilliQ水をフィルターケーキに加えてから、再度遠心分離した。得られたフィルターケーキをHPLCで分析した。フィード2からのペレットを2倍量のMilliQ水で洗浄し、標準条件下で再度遠心分離してから、ペレットをHPLCで分析した。フィード3からのペレットを洗浄せずに分析した。
【0536】
フィード2から作製された結晶を10%TSに希釈し、1M NaOHを使用してpHをpH7に調整して、結晶化を逆転させた。結晶化を逆転させるために、フィード2からの結晶スラリー、36%TSにNaClを加えた。
【表2】
【表3】
【表4】
【0537】
結果
フィード1:
フィードのタンパク質組成物及び母液のクロマトグラムから、BLGの大部分が上記プロセスによって結晶として回収されたことが明らかである。単離されたBLGの収率(例2に記載されるように計算される)は、フィード中のBLGの総量に対しておよそ65%である。
【0538】
結晶化期間の初期に撮影されたサンプルの顕微鏡写真、及び結晶化が終了したときに撮影されたサンプルの顕微鏡写真から、BLG結晶が比較的壊れやすいことが明らかである。幾つかの結晶は攪拌中に壊れるように見え、六角形又は菱形の形状から結晶のフラグメントに変換され、結晶のフラグメントは依然として非常にコンパクトで明確に見えるが、より不規則な形状をしている。
【0539】
分離してスピンフィルターで洗浄したBLG結晶のクロマトグラムから、純度が非常に高く、他のホエイタンパク質の除去が非常に効率的であることがわかる。
【0540】
フィード2:
フィード2のタンパク質組成物及び得られた母液のクロマトグラムから、BLGの大部分が除去されていることが明らかであり、計算された収率はフィード2中のBLGの総量に対して82%であった。
【0541】
結晶化の前後のフィード2を調べると、結晶化中にフィードが透明な液体(攪拌磁石が見える)から乳白色の不透明な液体に変化したことがわかる。
【0542】
BLG結晶の顕微鏡写真は、結晶の大部分が破壊されているが、六角形の形状を示している。
【0543】
2倍量のMilliQ水で洗浄した後のBLG結晶の分離ペレットのクロマトグラムは、結晶が非常に高純度でBLGを含んでいることを明確に示している。
【0544】
導電率を上げる(NaClを加える)又はpHを変える(NaOHを加えることでpHを7に調整する)ことで、環境が結晶構造に適さなくなるようにすると、いずれの場合も、BLG結晶が溶解するにつれて乳白色の懸濁液が透明の液体に変わることを示している。
【0545】
フィード2から得られた結晶調製物のミネラル組成を表5に示す。本発明者らは、リンとタンパク質の比率が非常に低かったことが、結晶調製物を腎臓病の患者のタンパク質源として適したものすると認識している。
【表5】
【0546】
フィード3:
フィード3のタンパク質組成物及び得られた母液のクロマトグラムから、BLGの大部分が単離されたことが明らかである(フィード中のBLGの総量に対して計算された収率70.3%)。結晶化前にタンパク質含有量が多ければ、得られる収量はさらに高かったであろう。
【0547】
フィード3(実質的にCMPを含まない)から単離されたBLG結晶の顕微鏡写真は、結晶が六角形ではなく長方形の形状を有していたことを示している。長方形の結晶は六角形の結晶よりも頑丈に見えた。洗浄せずに分離した結晶ペレットのクロマトグラムの場合、クロマトグラムは、結晶が六角形ではなく長方形であるにもかかわらず、BLG結晶であることを明確に示している。
【表6】
【0548】
フィード3に由来する結晶調製物は、45mgのP/100gタンパク質を含んでいた。本発明者らは、リンとタンパク質の比率が非常に低いことが、結晶調製物を腎臓病の患者のタンパク質源として適したものとすると認識している。
【0549】
結論:
3つのフィードはいずれもBLG結晶化プロセスに適していた。BLG結晶は、塩を加えるか、又はpH若しくは温度を上げることで簡単に溶解した。この新たな方法により、リンの含有量が非常に少ないBLG製剤を調製でき、該調製物を腎疾患を有する患者のタンパク質源として適したものとしている。
【0550】
例4:噴霧乾燥されたBLG結晶の調製及びかさ密度の決定
例3(フィード2を使用)で生成されたBLG結晶の一部を、デカンター遠心分離機で、1200g、5180RPM、64ミルのスペーサー(ミルは1/1000インチを意味する)により110RPM差、及び25~30L/時のフローで分離した。次いで、BLG結晶相を研磨水と1:1で混合し、同じ設定を使用してデカンター遠心分離機で再度分離した。次いで、BLG結晶相を研磨水と混合して、それをおよそ25%の乾燥物を含み、およそ80のBLGの結晶化度を有するスラリーにして、続いて、180℃の入口温度及び85℃の出口温度を有するパイロットプラント噴霧乾燥機で予熱せずに乾燥させた。噴霧乾燥までの液体流の温度は10~12℃であった。出口でサンプリングされて得られた粉末は、4.37%重量/重量の含水量を有していた。
【0551】
スラリー中のBLGの結晶化度はおよそ90%であった。
【0552】
本発明者らはまた、350g、2750RPM、64ミルのスペーサーにより150RPM差、及び75L/時の流量でデカンター遠心分離機上においてBLG結晶及び母液のスラリーを分離することに成功した。続いて、BLG結晶相を研磨水と1:2で混合した。次に、BLG結晶相を研磨水と混合してより薄いスラリーにし、その後、上記と同じパラメーターを使用してパイロットプラント噴霧乾燥機で乾燥させた。
【0553】
次いで、噴霧乾燥粉末のかさ密度を例1.17に従って測定し、同じ装置で乾燥させた標準WPIのかさ密度と比較した。標準のWPIのかさ密度(625回のスタンピングに基づく)は0.39g/mLであり、これはWPI粉末の通常の範囲の上限である。しかしながら、噴霧乾燥されたBLG結晶調製物のかさ密度は0.68g/mLであり、標準のWPIのかさ密度よりも75%超高かった。これは本当に驚くべきことであり、ロジスティック及び適用に関する両方の利点を数多く提供する。
【表7】
【0554】
続いて、噴霧乾燥されたBLG結晶調製物のサンプルを冷脱塩水に再懸濁すると、BLG結晶は依然として顕微鏡検査によってはっきりと見えた。クエン酸又はNaClを添加すると、BLG結晶が溶解し、不透明な結晶懸濁液が透明な液体に変化した。
【0555】
本発明者らは、乾燥工程中の長時間の加熱が、結晶形態であるBLGの量を減少させるという徴候を見てきた。したがって、BLG結晶調製物の熱曝露は可能な限り低いことが好ましい。
【0556】
結論:
この例は、BLG結晶を含むスラリーを噴霧乾燥できること、及び乾燥工程中の加熱が制御されている場合、BLG結晶が再懸濁された噴霧乾燥粉末にまだ存在することを示している。
【0557】
本発明者らはさらに、BLG結晶を含むホエイタンパク質粉末のかさ密度が、溶解したタンパク質流の通常の噴霧乾燥によって得られるものよりもかなり高いことを見出した。高密度粉末は、粉末1kgあたりに必要な包装材料が少なくて済み、所与のコンテナ又はトラックでより多くの粉末(質量)を輸送できるため、より費用効果の高い粉末の包装及びロジスティクスが可能になる。
【0558】
高密度粉末はまた、取り扱いが容易であり、製造及び使用中のふわふわ及びほこりが少ないように見える。
【0559】
例5:低リンタンパク質飲0 例3からの精製BLG生成物(フィード3から得られた結晶調製物)を使用して、6種類の低リンインスタント飲料粉末を調製した。全ての乾燥原料をブレンドしてインスタント飲料粉末を得てから、脱塩水と混合して各サンプル10kgを得て、10℃で1時間水和させた。
【表8】
【0560】
6種類のサンプルのサブサンプルの濁度をTurbiquant(登録商標)3000 IR濁度計で測定し、粘度をGilson製のvicomanで測定した。結果を下の表に示す。
【表9】
【0561】
6種類の低リン飲料サンプルのサブサンプルを含む試験管の写真を
図3に示す。左から右に、サブサンプルはサンプルA、B、C、D、E、及びFであった。試験管の目視検査により、濁度測定が検証され、全ての飲料サンプルが透明であり、特にサンプルC及びD(pH3.0)は非常に透明であったことが記録された。低粘度は、飲料サンプルを容易に飲めることを示している。
【0562】
飲料の調製に使用された原料はいずれもリンが少なく、不要なミネラルを含まなかった。したがって、得られた飲料は、リン含有量がおよそ45 mg P/100gタンパク質であり、概してミネラル含量が非常に低かった。したがって、インスタント飲料粉末から調製された6種類の液体食品は、腎臓病患者のインスタントタンパク質飲料としての使用に適していた。
【0563】
例6:動的クロスフロー濾過による結晶分離
標準的なチーズ製造プロセスからのスイートホエイに由来し、1.2ミクロンのフィルターで濾過されたラクトース枯渇UF保持液を結晶化プロセスのフィードとして使用した。スイートホエイフィードを、46ミルのスペーサー、フィード圧力1.5~3.0バールでKoch HFK-328タイプのメンブレンを使用し、全固形分10%(TS)±5のフィード濃度を使用し、またイアフィルトレーション媒質として研磨水(逆浸透によって濾過された水で、最大0.05mS/cmの導電率が得られる)を使用して、限外濾過セットアップ上でコンディショニングした。限外濾過中のフィード及び保持液の温度はおよそ12℃であった。次いで、HClを加えることによってpHを調整して、およそ5.60のpHを得た。保持液の導電率が1.30mS/cmを下回るまで、ダイアフィルトレーションを続けた次いで、保持液をおよそ27%TS(濃縮保持液の総重量に対しておよそ21%の総タンパク質)に濃縮する前に、供給物を25℃に加熱した。透過導電率は、濃縮終了時に0.33mS/cmであった。濃縮された保持液のサンプルを3000gで5分間遠心分離したが、目に見えるペレットは形成されなかった。
【0564】
濃縮された保持液を300Lの結晶化タンクに移し、そこで約6℃に冷却し、穏やかに攪拌しながらこの温度で一晩保持した。翌朝、保持液が結晶化していた。母液及び結晶を3000gで5分間遠心分離して分離し、HPLC分析のため上清及びペレットのサンプルを採取した。このプロセスからのBLGの収率を67%と計算した。
【0565】
300Lのタンクからの結晶スラリーを、口径500nmの1つのディスクメンブレンを使用するAndritz DCF 152Sシステムのフィードに使用した。濾過を8℃で行い、回転速度は32Hzであり、膜貫通圧力は0.4バールであった。このシステムは、保持液が連続的に除去される大型のユニットとは異なり、濾過チャンバー内に保持液が蓄積されるデッドエンド濾過として機能する。濾過は40分の間安定して行われ、その時点で濾過チャンバー内に蓄積した固形物が濾過に影響を及ぼし始めた。
【0566】
結晶塊の量は、DFC操作中に大幅に増加した。
【0567】
結論:DCFは、MLから結晶を分離するための安定した効率的な手段を提供する。必要に応じて、洗浄液をDCFに追加することができた。
【0568】
例7:様々なホエイタンパク質製品のタンパク質変性度
市販製品と4つのBLG単離物のタンパク質変性度を比較した。BLG単離物は、本発明のインスタント飲料粉末を調製するのに適している。サンプルを以下に説明する。
【0569】
サンプルB~Eを次の方法で調製した。
結晶スラリーを、例6に記載するように調製し、例4に記載するように分離した。分離したBLGスラリーの一部を取り出し、4つに分けた。
【0570】
サンプルB:分離されたBLG結晶スラリーの第1の部分を、3%NaOHを使用してBLG結晶スラリーのpHを7.01に調整することにより、乾燥せずに再溶解し、次いで、サンプルをブリックス6に希釈して、およそ5%のタンパク質溶液を作製した。
【0571】
サンプルC:分離したBLG結晶スラリーの第2の部分を凍結乾燥した。次いで、粉末を研磨水に再懸濁し、3%NaOHを使用してpHを7.09に調整し、サンプルをブリックス6に希釈して、およそ5%のタンパク質溶液を作製した。
【0572】
サンプルD:分離されたBLG結晶スラリーの第3の部分を、3%NaOHを使用してpHを7.0に調整することによって再溶解し、次いで凍結乾燥した。次いで、凍結乾燥した粉末を研磨水に再懸濁し、pHを7.07と測定した。次いで、サンプルをブリックス6に希釈して、およそ5%のタンパク質溶液を作製した。
【0573】
サンプルE:分離されたBLG結晶スラリーの第4の部分を、例4に記載されるように処理し、噴霧乾燥した。次いで、粉末を研磨水に再懸濁し、3%NaOHを使用してpHを7.04に調整した。次いで、サンプルをブリックス6に希釈して、およそ5%のタンパク質溶液を作製した。
【0574】
各サンプルのタンパク質変性度を、例1.3に従って決定し、結果を下記表に示す
【0575】
結論:
乾燥方法に関係なく、BLG単離物の変性タンパク質の程度は驚くほど低く、比較に使用された市販のWPIでみられるものの10分の1にすぎなかった。噴霧乾燥されたBLG結晶スラリー製品が依然として全ての生成物の中で最も低い変性度を有することは特に驚くべきことである。
【0576】
例8:噴霧乾燥された酸性BLG単離粉末の製造
ホエイタンパク質フィード
標準的なチーズ製造プロセスからのスイートホエイに由来するラクトース枯渇UF保持液は1.2ミクロンのフィルターで濾過されており、BLG結晶化プロセスのフィードとして使用される前にSynder FRメンブレンにより脂肪が減少されていた。フィードの化学組成を表10に示す。本発明者らは、この例で言及されているBLG、ALA等の特定のタンパク質の全ての重量パーセントが、総タンパク質に対する非凝集性タンパク質の重量パーセントに関係していることを認識している。
【0577】
コンディショニング
スイートホエイフィードを、全固形分21%(TS)±5のフィード濃度まで、46ミルのスペーサー、フィード圧力1.5~3.0バールで、Koch HFK-328タイプのメンブレン(70m2メンブレン)を使用し、またダイアフィルトレーション媒質として研磨水(逆浸透によって濾過された水で、最大0.05mS/cmの導電率が得られる)を使用して、20℃の限外濾過セットアップ上でコンディショニングした。次いで、pHがおよそ5.5になるようにHClを加えることによってpHを調整した。保持液の導電率の低下が20分間にわたって0.1mS/cmを下回るまで、ダイアフィルトレーションを続けた次に、透過液フローが1.43L/時/m2を下回るまで、保持液を濃縮した。濃縮保持液の第1のサンプルを採取し、3000gで5分間遠心分離した。第1のサンプルの上清をBLG収量の測定に使用した。
【0578】
結晶化
濃縮された保持液を300Lの結晶化タンクに移し、そこで再水和され噴霧乾燥されたBLG結晶から作られた純粋なBLG結晶材料と共にシードした。続いて、シードされたホエイタンパク質溶液を、20℃からおよそ6℃まで、およそ10時間かけて冷却して、BLG結晶を形成して成長させた。
【0579】
冷却後、結晶を含むホエイタンパク質溶液のサンプル(第2のサンプル)を採取し、3000gで5分間の遠心分離によってBLG結晶を分離した。第2のサンプルに由来する上清及び結晶ペレットを以下に説明するようにHPLC分析に供した。結晶化の収率を、以下に概説するように計算し、57%と決定した。
【表10】
【0580】
HPLCを使用したBLG収率の決定:
第1及び第2のサンプルの上清を研磨水を加えることによって同程度に希釈し、希釈した上清を0.22μmのフィルターで濾過した。濾過及び希釈した上清ごとに、同じ容量をPhenomenex Jupiter(登録商標)5μm C4 300Å、LCカラム250×4.6mm、Ea.を備えたHPLCシステムに充填し、214nmで検出した。
【0581】
サンプルを、以下の条件を使用して流した:
バッファーA:MilliQ水、0.1%重量/重量TFA
バッファーB:HPLCグレードのアセトニトリル、0.085%重量/重量TFA
流量:1ml/分
カラム温度:40℃
勾配:0~30分 82~55%A及び18~45%B;30~32分 55~10%A及び45~90%B;32.5~37.5分 10%A及び90%B;38~48分 10~82%A及び90~18%B。
【0582】
データ処理:
両方の上清を同じ方法で処理したため、BLGピークの面積を直接比較して、相対収量を計算することができる。結晶にはBLGのみが含まれており、サンプルは全て同じ方法で処理されているため、アルファ-ラクトアルブミン(ALA)の濃度、したがってALAの面積は全てのサンプルで同じはずである。したがって、結晶化前後のALAの面積は、相対収量を計算する際の補正係数(cf)として使用される。
【数6】
【0583】
【0584】
BLC結晶の酸溶解
結晶化タンクからの残りの材料を、デカンターを使用して、350g、2750RPM、64スペーサーにより150RPM差、及び75L/時のフィードフローで分離した後、供給物を研磨水と1:2で混合した。次いで、結晶を迅速に溶解させるためリン酸を加えてpHをおよそ3.0に下げる前に、デカンターからのBLG結晶/固相を研磨水と混合してより薄いスラリーにした。
【0585】
BLG結晶を溶解した後、純粋なBLGタンパク質液を、結晶化のためのフィードを調製するために使用したのと同じUF設定で15ブリックスに濃縮し、pHをおよそ3.8の最終pHに調整した。次いで、液体BLG単離物を75度に5分間加熱し、続いて10℃に冷却した。熱処理により、熱処理前の137.000CFU/gから熱処理後の1000CFU/g未満に微生物負荷が減少することがわかった。熱処理はタンパク質の変性を引き起こさず、固有のトリプトファン蛍光比(330nm/350nm)は1.20と決定され、BLG分子のネイティブ立体構造を示している。
【0586】
BLGを、180℃の入口温度及び75℃の出口温度を有するパイロットプラント噴霧乾燥機で乾燥した。出口でサンプリングされた得られた粉末は、およそ4%重量/重量の含水量を有し、粉末の化学組成を表11に示す。乾燥粉末のサンプルを溶解し、タンパク質変性度を1.5%と決定し、固有トリプトファン蛍光発光比(I330/I350)を1.20と測定した。
【表11】
【0587】
噴霧乾燥粉末のかさ密度(625タップ)は0.2~0.3g/cm3と推定された。
【0588】
結論:上記のプロセスを使用することにより、本発明者らは、処理中にタンパク質の変性又はタンパク質のアンフォールディングを実質的に発生させることなく熱処理できる高純度のBLG生成物を製造することができた。熱処理は、タンパク質生成物に損傷を与えることなく、細菌レベルを大幅に低下させた。
【0589】
本発明者らは、噴霧乾燥の前にタンパク質含有量を増加させることにより、さらに高いかさ密度を得ることができるという徴候を見てきた。また、本発明者らは、噴霧乾燥に使用される入口及び/又は出口温度が低下した場合、さらに低い程度の変性が得られることを観察した。
【0590】
例9:噴霧乾燥したpH中性BLG単離粉末の製造
例2と同じプロトコル及び実験設定を使用する場合、表12に示されるラクトース還元ホエイタンパク質単離物をコンディショニングし、結晶化のためのフィードに使用した。結晶化の収率を68%と計算した。
【0591】
本発明者らは、この例で言及されているBLG及びALA等の特定のタンパク質の全ての重量パーセントが、総タンパク質に対する非凝集性タンパク質の重量パーセントに関係していることを認識している。
【表12】
【0592】
結晶化タンクからの残りの材料を、デカンター上で、350g、2750RPM、64スペーサーによる150RPM差、及び75L/時の供給流量で分離した後、供給物を研磨水と1:2で混合した。次いで、結晶を迅速に溶解させるため0.1M水酸化カリウムを加えて、pHをおよそ7に調整する前に、デカンターからのBLG結晶/固相を研磨水と混合してより薄いスラリーにした。
【0593】
結晶を溶解した後、純粋なBLGタンパク質液を、結晶化のためのホエイタンパク質溶液を調製するために使用したのと同じUF設定で15ブリックスに濃縮し、pHを7.0の最終pHに調整した。BLGを、180℃の入口温度及び75℃の出口温度を有するパイロットプラント噴霧乾燥機で乾燥した。出口でサンプリングして得られた粉末は、およそ4%重量/重量の含水量を有していた。粉末の組成を表13に示す。乾燥後、粉末の一部を脱塩水に溶解し、タンパク質変性度を9.0%と決定し、固有のトリプトファン蛍光比(330nm/350nm)は1.16であった。
【表13】
【0594】
噴霧乾燥粉末のかさ密度(625タップ)は0.2~0.3g/cm3と推定された。
【0595】
結論:上記のプロセスを使用することにより、本発明者らは、処理中のタンパク質の変性が最小限であるか又は全くない、pH中性で高純度のBLG生成物を製造することができる。本発明者らは、噴霧乾燥の前にタンパク質含有量を増加させることにより、さらに高いかさ密度を得ることができるという徴候を見てきた。また、本発明者らは、噴霧乾燥に使用される入口及び/又は出口温度が低下した場合、さらに低い程度の変性が得られることを観察した。噴霧乾燥の前にミネラル含量を減らすことにより、変性のレベルをさらに下げることができる。
【0596】
例10:コーティングされたBLG単離粉末の調製
例4又は例9に記載されるとおりに製造した噴霧乾燥BLG単離物を使用して、コーティングされたBLG単離物を流動床(DIOSNA、MINILAB XP番号365~146l)で製造した。入口温度は60℃であった。プロセスの期間中、粉末温度は40~50℃であり、空気流は1時間あたり25~35m3であった。コーティング材料を50gの脱塩水に溶解し、流動床にゆっくりと注入し、そこで噴霧した。各バッチについて、500gの噴霧乾燥されたBLG単離物を使用した。コーティング材料を添加した後、コーティングされたBLG単離物の含水量が4~5%になるまで乾燥を続けた。この設定を使用して、25gのクエン酸でコーティングされたBLG単離物、及び30gのクエン酸三ナトリウムでコーティングされたBLG単離物を生成した。
【0597】
表に示すように試験サンプルを調製し、以下に説明するように溶解度に関して分析した。記載されている10%重量/重量溶液に加えて、BLG単離粉末の30%重量/重量溶液を調製して試験した。試験サンプルを、以下に記載されるように、濡れ性に関してさらに分析した。加えて、試験サンプルを、例1.11に設定されたパラメーターに従って、訓練を受けた2名の試験担当者によって感覚的に評価した。
【0598】
例8に由来するBLG単離粉末を使用して、レシチンでコーティングされた粉末を、上記と同じ流動床で生成した。500gの粉末を流動床に加え、入口温度は75℃であり、空気流は25m3/時であった。粉末温度が38℃に達したとき、50mLの水をネブライザーを介してゆっくりと加えた。粉末温度を45℃まで上昇させ、5mlのレシチンをネブライザーを通して注入した。粉末を65℃に加熱し、水分が5%未満になるまで乾燥させた。
【0599】
溶解性試験:本試験により、本発明の粉末の溶解性及び溶解しやすさ(readiness)を測定することができる。密封可能な透明な試験管内の90グラムの脱塩水(8℃)に10グラムの粉末を加える。混合物を手で30秒間激しく振とうする。混合物を直ちに評価し、1分間放置した後、混合物を再度評価する。評価は、液相の透明性、泡の形成、色、及び粉末がどの程度溶解したかというパラメーターの目視検査によって行われる。
結果
【0600】
結論:製造したBLG単離粉末は、良好な凝集構造を持ち、水に容易に溶解した。全てのコーティングされたBLG単離粉末(サンプル1、3~5、及び7~8)は、この試験で通常コーティングされたWPI(試験サンプル2)と同等又はそれ以上の性能を示した。30%のバージョンを試験すると、コーティングされたものとされていないものの両方のBLG単離物を驚くほど簡単に溶解できたため(試験サンプル1、3~5、7~8)、タンパク質濃度が30%を超える可能性があると考えられる。30%溶液(サンプル7~8)のコーティングされたBLG単離物及びコーティングされていないBLG単離物はいずれも、泡の中に目に見える粒子があった標準WPI(サンプル9)と比較して容易に溶解した。
【0601】
濡れ性:該方法を粉末の濡れ性を表すために使用する。濡れ性は、サンプル全体が濡れるまでにかかる時間として定義される。0.5グラムの粉末を計り取り、直径5cmの円筒形容器内の100gの脱塩水(5℃)の表面に置く。粉末を水面に置いてから粉末が溶解するか、水面を通過するまでの時間を測定する。
結果
【0602】
結論:コーティングされたBLG単離粉末(サンプル10、12、14)は、クエン酸でコーティングされたBLG単離粉末(サンプル13)を除いて、通常のインスタント化されたWPI(サンプル11、15)と同様の方法で濡れた。コーティングされていないBLG単離粉末が標準のWPI(サンプル6)よりもはるかによく濡れたことは驚くべきことであった。
【0603】
例11:コーティングされていないBLG単離物の濡れ性
この例では、コーティングされていない酸性BLG単離物及びコーティングされていない中性BLG単離物の濡れ性を、コーティングされていないホエイタンパク質単離物(WPI)の濡れ性と比較する。濡れ性は、サンプル全体が濡れるまでにかかる時間として定義される。0.5グラムの粉末を計り取り、直径5cmの円筒形容器内の100gの脱塩水(10℃)の表面に置く。粉末を水面に置いてから粉末が溶解するか、水面を通過するまでの時間を測定する。
結果
【0604】
結論:コーティングされていないBLG単離粉末(サンプル2、3)が標準のWPI(サンプル1)よりもはるかによく濡れたことは驚くべきことであった。
【0605】
例12:インスタント飲料粉末の調製
栄養補助食品として使用されるインスタント粉末の調製。
【0606】
インスタント粉末100gを、以下の原料をブレンドすることによって調製する:例4で調製される少なくとも85%重量/重量のBLGを含むホエイタンパク質濃縮物91グラム、及びダイズレシチン4グラム。
【0607】
100グラムのインスタント粉末には、次のようなエネルギー分布を持つ360Kcalが含まれている:脂質から2E%、炭水化物から1E%、タンパク質から97E%。インスタント粉末から調製された食品を、インスタント粉末を水と混合して飲料を得るか、又は粉末を通常の食事に加えることによって、栄養失調の患者又は栄養失調のリスクのある患者の処置のためのタンパク質サプリメントとして使用できる。10~15グラムのインスタント粉末を15~25℃の温度の水中で攪拌する。調製されたインスタント粉末飲料は、味、色及び粘度がよい。
【0608】
例13:インスタント飲料粉末の調製
BLGを含む栄養的に完全なインスタント粉末の調製。
【0609】
100gのインスタント粉末を、植物油(パーム核油、ココナッツ油、ナタネ油、及びヒマワリ油からなる混合物)18.2グラム、グルコースシロップ56.4グラム、並びに例4で調製される90%重量/重量のBLG及びダイズレシチン約3グラムを含むホエイタンパク質濃縮物少なくとも20グラムをブレンドすることによって調製する。
【0610】
さらに、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸水素カリウム、塩化マグネシウム、塩化コリン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、L-アスコルビン酸ナトリウム、芳香族(aroma)、硫酸鉄、L-アスコルビン酸、硫酸亜鉛、クエン酸マグネシウム、DL-アルファ-トコフェリルアセタート、硫酸マンガン、ニコチンアミド、D-ビオチン、硫酸銅、カルシウム-D-パントテン酸、プテロイルモノグルタミン酸、フッ化ナトリウム、DL-α-トコフェロール、塩酸チアミン、塩酸ピリドキシン、カロテノイド、パルミチン酸レチニル、リボフラビン、シアノコバラミン、コレカルシフェロール、塩化クロム、モリブデンナトリウム、ヨウ化カリウム、亜セレン酸ナトリウム及びフィトメナジオンを添加して、381μgのREビタミンA、0.91mgのカロテノイド、3.3μgのビタミンD、5.9mgのα-TEビタミンE、24μgのビタミンK、0.69mgのビタミンB1、0.74mgのビタミンB2、8.3mgの-NEナイアシン、2.5mgのパントテン酸、0.79μgのビタミンB6、123μgの葉酸、0.98μgのビタミンB12、24μgのビオチン、60mgのビタミンC、156mgのコリン、1.17グラムの塩、469mgのナトリウム、705mgのカリウム、578mgの塩化物、371mgのカルシウム、337mgのリン、107mgのマグネシウム、7.4mgの鉄、5.6mgの亜鉛、0.83mgの銅、1.5mgのマンガン、0.5gのフッ化物、48μgのモリブデン、26μgセレン、25μgのクロム、61μgのヨウ化物の栄養プロファイルを有するインスタント粉末を得る。
【0611】
インスタント粉末には、462Kcal/100グラムが含まれており、エネルギー分布は次のとおりである:脂質から35.6E%、炭水化物から48.7E%、及びタンパク質から15.7E%。インスタント粉末から調製された食品は、例えば、インスタント粉末を水と混合して飲み物を得るか、又は経管栄養に使用するため、栄養失調のある又は栄養失調のリスクのある患者の処置のための栄養的に完全な食品として使用することができる。22グラムのインスタント粉末を85mlの冷水(沸騰させたもの)に入れて攪拌し、100kcalを含む飲料を得る。33グラムのインスタント粉末を78mlの冷水(沸騰させたもの)に入れて攪拌し、150kcalを含む飲料を得る。調製されたインスタント粉末飲料は、味、色、及び粘度がよい。