(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】荷役車両及び積載装置
(51)【国際特許分類】
B60P 1/64 20060101AFI20241225BHJP
B60R 19/38 20060101ALI20241225BHJP
B60P 3/07 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
B60P1/64 B
B60R19/38 D
B60P3/07 Z
(21)【出願番号】P 2021045079
(22)【出願日】2021-03-18
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】西田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 祐太
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-233117(JP,A)
【文献】特開2016-084829(JP,A)
【文献】米国特許第06193460(US,B1)
【文献】独国特許出願公開第04139791(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/64
B60R 19/38
B60P 3/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両部と積載装置とを有し、前記車両部に前記積載装置が搭載された荷役車両であって、
前記積載装置は、積み降ろし装置と、前記積み降ろし装置を動作させる作動スイッチと、制御装置とを有し、
前記積み降ろし装置は、リフトフレームと、当該リフトフレームの姿勢を傾斜させる傾斜動作を実施する傾斜手段と、前記リフトフレームに沿って直線移動するスライドボディとを有し、前記リフトフレームを傾斜させ、前記スライドボディを直線移動させて前記スライドボディの少なくとも一部を地面に着地させることが可能であり、
前記スライドボディを地上に降ろす降ろし動作と、前記スライドボディを前記車両部上に引き入れる積み込み動作を実施することが可能な荷役車両において、
バンパー装置を有し、当該バンパー装置は、バンパー本体を有し、動力によって前記バンパー本体を走行時に適した走行時位置と、退避した格納位置に位置変更することが可能であり、
前記降ろし動作は、スライドボディを車両部の後部側に移動させるスライドボディ後退工程が行われ、続いてリフトフレームを傾斜させる傾斜工程が開始されるものであり、
前記積み込み動作は、リフトフレームを水平姿勢に戻す着床工程があり、続いてスライドボディを車両部の前側に移動させるスライドボディ前進工程が開始されるものであり、
前記作動スイッチとして、少なくとも前記降ろし動作を実施する降ろしスイッチ又は前記積み込み動作を実施する積み込みスイッチのいずれかがあり、
前記降ろしスイッチをオンすることにより、前記降ろし動作が実行され、
前記積み込みスイッチをオンすることにより、前記積み込み動作が実行され、
前記降ろしスイッチをオンした際にはスライドボディ後退工程と、前記バンパー本体の格納位置側への移動が並行して実行され、
前記積み込みスイッチをオンした際にはスライドボディ前進工程と、前記バンパー本体の走行時位置への移動が並行して実行されることを特徴とする荷役車両。
【請求項2】
車両部と積載装置とを有し、前記車両部に前記積載装置が搭載された荷役車両であって、
前記積載装置は、積み降ろし装置と、前記積み降ろし装置を動作させる作動スイッチと、制御装置とを有し、
前記積み降ろし装置は、リフトフレームと、当該リフトフレームの姿勢を傾斜させる傾斜動作を実施する傾斜手段と、前記リフトフレームに沿って直線移動するスライドボディとを有し、前記リフトフレームを傾斜させ、前記スライドボディを直線移動させて前記スライドボディの少なくとも一部を地面に着地させることが可能であり、
前記スライドボディを地上に降ろす降ろし動作と、前記スライドボディを前記車両部上に引き入れる積み込み動作を実施することが可能な荷役車両において、
バンパー装置を有し、当該バンパー装置は、バンパー本体を有し、動力によって前記バンパー本体を走行時に適した走行時位置と、退避した格納位置に位置変更することが可能であり、
前記降ろし動作は、スライドボディを車両部の後部側に移動させるスライドボディ後退工程が行われ、続いてリフトフレームを傾斜させる傾斜工程が開始されるものであり、
前記作動スイッチとして前記降ろし動作を実施する降ろしスイッチがあり、
前記降ろしスイッチをオンすることにより、前記スライドボディ後退工程と、前記バンパー本体の前記格納位置側への移動が並行して実行されることを特徴とする荷役車両。
【請求項3】
前記積み込み動作は、リフトフレームを水平姿勢に戻す着床工程があり、続いて
前記スライドボディを車両部の前側に移動させるスライドボディ前進工程が開始されるものであり、
前記作動スイッチとして前記積み込み動作を実施する積み込みスイッチがあり、
前記積み込みスイッチをオンすることにより、前記スライドボディ前進工程と、前記バンパー本体の走行時位置側への移動が並行して実行されることを特徴とする請求項2に記載の荷役車両。
【請求項4】
車両部と積載装置とを有し、前記車両部に前記積載装置が搭載された荷役車両であって、
前記積載装置は、積み降ろし装置と、前記積み降ろし装置を動作させる作動スイッチと、制御装置とを有し、
前記積み降ろし装置は、リフトフレームと、当該リフトフレームの姿勢を傾斜させる傾斜動作を実施する傾斜手段と、前記リフトフレームに沿って直線移動するスライドボディとを有し、前記リフトフレームを傾斜させ、前記スライドボディを直線移動させて前記スライドボディの少なくとも一部を地面に着地させることが可能であり、
前記スライドボディを地上に降ろす降ろし動作と、前記スライドボディを前記車両部上に引き入れる積み込み動作を実施することが可能な荷役車両において、
バンパー装置を有し、当該バンパー装置は、バンパー本体を有し、動力によって前記バンパー本体を走行時に適した走行時位置と、退避した格納位置に位置変更することが可能であり、
前記積み込み動作は、リフトフレームを水平姿勢に戻す着床工程があり、続いてスライドボディを車両部の前側に移動させるスライドボディ前進工程が開始されるものであり、
前記作動スイッチとして前記積み込み動作を実施する積み込みスイッチがあり、
前記積み込みスイッチをオンすることにより、前記スライドボディ前進工程と、前記バンパー本体の走行時位置側への移動が並行して実行されることを特徴とする荷役車両。
【請求項5】
車両に搭載される積載装置であって、
積み降ろし装置と、前記積み降ろし装置を動作させる作動スイッチとを有し、
前記積み降ろし装置は、リフトフレームと、当該リフトフレームの姿勢を傾斜させる傾斜動作を実施する傾斜手段と、前記リフトフレームに沿って直線移動するスライドボディとを有し、前記リフトフレームを傾斜させ、前記スライドボディを直線移動させて前記スライドボディの少なくとも一部を地面に着地させることが可能であり、
前記スライドボディを地上に降ろす降ろし動作と、前記スライドボディを前記車両部上に引き入れる積み込み動作を実施することが可能な積載装置において、
バンパー装置を有し、当該バンパー装置は、バンパー本体を有し、動力によって前記バンパー本体を走行時に適した走行時位置と、退避した格納位置に位置変更することが可能であり、
前記降ろし動作は、スライドボディを車両部の後部側に移動させるスライドボディ後退工程が行われ、続いてリフトフレームを傾斜させる傾斜工程が開始されるものであり、
前記積み込み動作は、リフトフレームを水平姿勢に戻す着床工程があり、続いてスライドボディを車両部の前側に移動させるスライドボディ前進工程が開始されるものであり、
前記作動スイッチとして前記降ろし動作を実施する降ろしスイッチ及び/又は前記積み込み動作を実施する積み込みスイッチがあり、
前記降ろしスイッチ及び/又は前記積み込みスイッチをオンすることにより、前記降ろし動作及び/又は前記積み込み動作が実行され、
スライドボディ後退工程又はスライドボディ前進工程と、前記バンパー本体の格納位置側への移動又は前記バンパー本体の走行時位置への移動が並行して実行されることを特徴とする積載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運搬車の様に、荷台部を地上に降ろすことができる荷役車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ボディ積み降ろし車両が開示されている。特許文献1に開示されたボディ積み降ろし車両は、車両運搬車であり、乗用車や土木機械等の車両を運搬する際に使用されるものである。特許文献1に記載の車両運搬車は、リフトフレームとスライド可能なスライドボディが搭載されている。そして特許文献1に開示された車両では、リフトフレームを傾斜させ、スライドボディ(荷台)を下方にスライドさせてボディを地上に降下させることができる。
【0003】
荷役車両には、後部バンパーの装着が義務づけられている。歩行者や他の車両が衝突した際の安全を確保するため、後部バンパーは、車両本体からある程度後方に突出していなければならない。
ところで前記した車両運搬車等は、機能上、荷台部分の姿勢を後方に傾斜させたり、荷台部分を後方から地上に降下させたりするものであり、後部バンパーは車両の後方に突き出した状態で取り付けられているから、荷台部分を傾斜させる等の際に後部バンパーが邪魔になる。
そこで積み下ろし等の作業を行う際に、後部バンパーを退避させる構造が提案されている(特許文献2)。
特許文献2には、バンパーの姿勢が変化する構造の貨物自動車が開示されている。
特許文献2に開示された貨物自動車では、バンパーの姿勢が変わり、積み降ろしの際におけるリフトフレームとバンパーの干渉を防いでいる。
特許文献2の貨物自動車では、降ろし動作の際に、バンパーが張出状態から格納状態に変わる。
その後、降ろし作業が開始される。即ち、特許文献2に開示された貨物自動車では、バンパーが張出状態から格納状態に移行し、その後に、リフトフレームが後退して降ろし作業が開始される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-108768号公報
【文献】特許第3871845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に開示された荷役車両では、張出状態であったバンパーを格納状態とし、その後に、実質的な降ろし作業が開始される。
従って、特許文献2の荷役車両によると、バンパーが格納状態になるまで、実質的に降ろし作業を行うことができない。そのため、特許文献2の荷役車両によると、荷役車両が現場に到着してから、降ろし作業が完了するまでの総所要時間が長い。
【0006】
本発明は、従来技術の上記した点に注目し、降ろし作業が完了するまでの総所要時間を短縮することができる荷役車両及び積載装置を提供することを課題とするものである。
また本発明は、積み込み作業が完了するまでの総所要時間を短縮することができ荷役車両及び積載装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するための態様は、車両部と積載装置とを有し、前記車両部に前記積載装置が搭載された荷役車両であって、前記積載装置は、積み降ろし装置と、前記積み降ろし装置を動作させる作動スイッチと、制御装置とを有し、前記積み降ろし装置は、リフトフレームと、当該リフトフレームの姿勢を傾斜させる傾斜動作を実施する傾斜手段と、前記リフトフレームに沿って直線移動するスライドボディとを有し、前記リフトフレームを傾斜させ、前記スライドボディを直線移動させて前記スライドボディの少なくとも一部を地面に着地させることが可能であり、前記スライドボディを地上に降ろす降ろし動作と、前記スライドボディを前記車両部上に引き入れる積み込み動作を実施することが可能な荷役車両において、バンパー装置を有し、当該バンパー装置は、バンパー本体を有し、動力によって前記バンパー本体を走行時に適した走行時位置と、退避した格納位置に位置変更することが可能であり、前記降ろし動作は、スライドボディを車両部の後部側に移動させるスライドボディ後退工程が行われ、続いてリフトフレームを傾斜させる傾斜工程が開始されるものであり、前記積み込み動作は、リフトフレームを水平姿勢に戻す着床工程があり、続いてスライドボディを車両部の前側に移動させるスライドボディ前進工程が開始されるものであり、前記作動スイッチとして、少なくとも前記降ろし動作を実施する降ろしスイッチ又は前記積み込み動作を実施する積み込みスイッチのいずれかがあり、前記降ろしスイッチをオンすることにより、前記降ろし動作が実行され、前記積み込みスイッチをオンすることにより、前記積み込み動作が実行され、前記降ろしスイッチをオンした際にはスライドボディ後退工程と、前記バンパー本体の格納位置側への移動が並行して実行され、前記積み込みスイッチをオンした際にはスライドボディ前進工程と、前記バンパー本体の走行時位置への移動が並行して実行されることを特徴とする荷役車両である。
【0008】
「スライドボディを車両部の後部側に移動させるスライドボディ後退工程」は、リフトフレームを後部側に移動させることによって、リフトフレーム上のスライドボディを車両部の後部側に移動させる動作を含む。またスライドボディを単独で、車両部の後部側に移動させる場合もある。
「スライドボディを車両部の前側に移動させるスライドボディ前進工程」は、リフトフレームを前側に移動させることによって、リフトフレーム上のスライドボディを車両部の前側に移動させる動作を含む。またスライドボディを単独で、車両部の前側に移動させる場合もある。
本態様の荷役車両は、降ろし動作や積み込み動作と並行してバンパーを駆動する。そのため降ろし作業や積み込み作業に要する時間が短い。
降ろし動作に注目すると、スライドボディを備えた荷役車両では、リフトフレームを傾斜させる際にスライドボディやリフトフレームがバンパーと接触する危険がある。
本態様の荷役車両では、降ろし動作は、リフトフレームを車両部の後部側に移動させるリフトフレーム後退工程が行われ、続いてリフトフレームを傾斜させる傾斜工程が開始される。本態様の荷役車両では、リフトフレームの傾斜工程の前にバンパー本体を格納位置に移動させるので、スライドボディを降ろす際にスライドボディ等がバンパー本体と接触することはない。
積み込み動作に注目すると、スライドボディを備えた荷役車両では、リフトフレームの傾斜を変化させる際にスライドボディやリフトフレームがバンパーと接触する危険がある。
本態様の荷役車両では、積み込み動作は、リフトフレームを水平姿勢に戻す着床工程があり、続いてリフトフレームを車両部の前側に移動させるリフトフレーム前進工程が開始される。本態様の荷役車両では、リフトフレームが水平姿勢に復帰した後にバンパー本体を走行時位置に移動させるので、スライドボディを積み込む際にスライドボディ等がバンパー本体と接触することはない。
本態様の荷役車両では、バンパー本体を自動的に走行時位置に移動させるので、バンパー本体が格納位置にある状態で走行してしまうこと防ぐことができる。
【0009】
同様の課題を解決するためのもう一つの態様は、車両部と積載装置とを有し、前記車両部に前記積載装置が搭載された荷役車両であって、前記積載装置は、積み降ろし装置と、前記積み降ろし装置を動作させる作動スイッチと、制御装置とを有し、前記積み降ろし装置は、リフトフレームと、当該リフトフレームの姿勢を傾斜させる傾斜動作を実施する傾斜手段と、前記リフトフレームに沿って直線移動するスライドボディとを有し、前記リフトフレームを傾斜させ、前記スライドボディを直線移動させて前記スライドボディの少なくとも一部を地面に着地させることが可能であり、前記スライドボディを地上に降ろす降ろし動作と、前記スライドボディを前記車両部上に引き入れる積み込み動作を実施することが可能な荷役車両において、バンパー装置を有し、当該バンパー装置は、バンパー本体を有し、動力によって前記バンパー本体を走行時に適した走行時位置と、退避した格納位置に位置変更することが可能であり、前記降ろし動作は、スライドボディを車両部の後部側に移動させるスライドボディ後退工程が行われ、続いてリフトフレームを傾斜させる傾斜工程が開始されるものであり、前記作動スイッチとして前記降ろし動作を実施する降ろしスイッチがあり、前記降ろしスイッチをオンすることにより、前記スライドボディ後退工程と、前記バンパー本体の前記格納位置側への移動が並行して実行されることを特徴とする荷役車両である。
【0010】
上記した態様において、前記積み込み動作は、リフトフレームを水平姿勢に戻す着床工程があり、続いてリフトフレームを車両部の前側に移動させるスライドボディ前進工程が開始されるものであり、前記作動スイッチとして前記積み込み動作を実施する積み込みスイッチがあり、前記積み込みスイッチをオンすることにより、前記スライドボディ前進工程と、前記バンパー本体の走行時位置側への移動が並行して実行されることが望ましい、
【0011】
同様の課題を解決するためのもう一つの態様は、車両部と積載装置とを有し、前記車両部に前記積載装置が搭載された荷役車両であって、前記積載装置は、積み降ろし装置と、前記積み降ろし装置を動作させる作動スイッチと、制御装置とを有し、前記積み降ろし装置は、リフトフレームと、当該リフトフレームの姿勢を傾斜させる傾斜動作を実施する傾斜手段と、前記リフトフレームに沿って直線移動するスライドボディとを有し、前記リフトフレームを傾斜させ、前記スライドボディを直線移動させて前記スライドボディの少なくとも一部を地面に着地させることが可能であり、前記スライドボディを地上に降ろす降ろし動作と、前記スライドボディを前記車両部上に引き入れる積み込み動作を実施することが可能な荷役車両において、バンパー装置を有し、当該バンパー装置は、バンパー本体を有し、動力によって前記バンパー本体を走行時に適した走行時位置と、退避した格納位置に位置変更することが可能であり、前記積み込み動作は、リフトフレームを水平姿勢に戻す着床工程があり、続いてスライドボディを車両部の前側に移動させるスライドボディ前進工程が開始されるものであり、前記作動スイッチとして前記積み込み動作を実施する積み込みスイッチがあり、前記積み込みスイッチをオンすることにより、前記スライドボディ前進工程と、前記バンパー本体の走行時位置側への移動が並行して実行されることを特徴とする荷役車両である。
【0012】
積載装置に関する態様は、車両に搭載される積載装置であって、積み降ろし装置と、前記積み降ろし装置を動作させる作動スイッチとを有し、前記積み降ろし装置は、リフトフレームと、当該リフトフレームの姿勢を傾斜させる傾斜動作を実施する傾斜手段と、前記リフトフレームに沿って直線移動するスライドボディとを有し、前記リフトフレームを傾斜させ、前記スライドボディを直線移動させて前記スライドボディの少なくとも一部を地面に着地させることが可能であり、前記スライドボディを地上に降ろす降ろし動作と、前記スライドボディを前記車両部上に引き入れる積み込み動作を実施することが可能な積載装置において、バンパー装置を有し、当該バンパー装置は、バンパー本体を有し、動力によって前記バンパー本体を走行時に適した走行時位置と、退避した格納位置に位置変更することが可能であり、前記降ろし動作は、スライドボディを車両部の後部側に移動させるスライドボディ後退工程が行われ、続いてリフトフレームを傾斜させる傾斜工程が開始されるものであり、前記積み込み動作は、リフトフレームを水平姿勢に戻す着床工程があり、続いてスライドボディを車両部の前側に移動させるスライドボディ前進工程が開始されるものであり、前記作動スイッチとして前記降ろし動作を実施する降ろしスイッチ及び/又は前記積み込み動作を実施する積み込みスイッチがあり、前記降ろしスイッチ及び/又は前記積み込みスイッチをオンすることにより、前記降ろし動作及び/又は前記積み込み動作が実行され、スライドボディ後退工程又はスライドボディ前進工程と、前記バンパー本体の格納位置側への移動又は前記バンパー本体の走行時位置への移動が並行して実行されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の荷役車両及び積載装置は、従来に比べて、降ろし作業が完了するまでに要する総所要時間が短い。
また本発明の荷役車両及び積載装置は、従来に比べて、積み込み作業が完了するまでに要する総所要時間が短い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態の荷役車両の側面図である。
【
図2】
図1に示す荷役車両であり、(a)(b)は、降ろし動作における各部の動作を示す側面図である。
【
図3】
図1に示す荷役車両であり、(c)(d)(e)は、降ろし動作における
図2に続く各部の動作を示す側面図である。
【
図4】
図1に示す荷役車両であり、(a)(b)(c)(d)は、積み込み動作における各部の動作を示す側面図である。
【
図5】
図1に示す荷役車両であり、(e)(f)は、積み込み動作における
図4に続く各部の動作を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。
以下の説明において、前後の関係は、荷役車両1の前後を基準とする。即ち前側とは、運転席100側を意味し、後側はその反対側を意味する。
本実施形態の荷役車両1は、車両運搬車であり、車両部5上にあったスライドボディ32を地上に降ろして自動車等を載せ、この状態でスライドボディ32を車両部5上に引き上げて搬送するものである。
荷役車両1は、
図1の様に、車両部5と積載装置18を有している。積載装置18は、積み降ろし装置26を有している。積み降ろし装置26は、大きく分けてリフトフレーム30と、チルト機構(傾斜手段)31及びスライドボディ32によって構成されている。
【0016】
また積載装置18には、制御装置6と、油圧装置7及びバンパー装置50が含まれている。さらに積載装置18にはリモートコントロール装置(以下 リモコンと称する)8が含まれる。
車両部5は、公知のトラックの車体であり、エンジンを有し、車輪を回転させて道路上を走行するものである。
リフトフレーム30は、車両部5のサブフレーム33に設置されており、車両部5の後端側に設けられたピン(図示せず)を中心として揺動する。即ち
図3、
図4の様に傾斜姿勢をとることができる。
また図示しない油圧シリンダーの作用によって、リフトフレーム30自体が車両部5に対して前後方向に移動する。
【0017】
チルト機構(傾斜手段)31は、油圧シリンダ35及びリンク機構36によって構成され、前記したリフトフレーム30を後方側が下となる傾斜姿勢にするためのものである。チルト機構31は、リフトフレーム30の角度を変化させる傾斜動作を実施する傾斜手段である。
【0018】
スライドボディ32は、前記したリフトフレーム30に対してスライド可能に取り付けられており、図示しないチェーン等が懸架されていてリフトフレーム30に沿って直線移動する。またスライドボディ32の後端には踏み板37が設けられている。
踏み板37はスライドボディ32の後端にあって起立姿勢と平置姿勢とに姿勢変更可能である。
【0019】
リフトフレーム30には、最後端検知手段17が設けられている。最後端検知手段17は、公知の近接センサーや光電センサー等であり、スライドボディ32がリフトフレーム30の最後端に至ったか否かを検知するものである。
【0020】
車両部5又は積載装置18のいずれかに初期位置検知手段15が設けられている。初期位置検知手段15は、公知の近接センサーや光電センサー等であり、リフトフレーム30とスライドボディ32が、初期位置にあるか否かを検知するものである。
また車両部5又は積載装置18のいずれかに後退位置検知手段16と、後退継続検知手段70が設けられている。後退位置検知手段16及び後退継続検知手段70は、公知の近接センサーや光電センサー等である。後退位置検知手段16は、リフトフレーム30及びスライドボディ32が、後退位置に到達したことを検知するものである。後退継続検知手段70は、リフトフレーム30が、初期位置を離れ、後退位置に向かって移動している途中であることを検知するものである。
【0021】
また車両部5又は積載装置18のいずれかに着床検知手段71が設けられている。
着床検知手段71は、公知の近接センサーや光電センサー等であり、リフトフレーム30がサブフレーム33と略平行な水平姿勢であることを検知するものである。即ち着床検知手段71は、リフトフレーム30が車両部5に着床していることを検知するものである。
車両部5又はチルト機構31(リンク機構36)のいずれかに傾斜検知手段72が設けられている。傾斜検知手段72は、リフトフレーム30の傾斜角度を検知するものであり、リフトフレーム30が後記する第一傾斜工程における傾斜角度となったことや、リフトフレーム30が後記する第二傾斜工程における傾斜角度となったことを検知するものである。
なお上記した各検知手段、具体的には、初期位置検知手段15、後退位置検知手段16、後退継続検知手段70及び着床検知手段71は、リミットスイッチ等の機械的なスイッチでもよい。
【0022】
バンパー装置50は、バンパー本体10と、バンパー本体10を前後に移動させるバンパー移動機構52を有している。
バンパー本体10は、車両部5の幅方向にのびるバー状や板状の部材である。バンパー本体10は、公知のそれと同様、衝突に対する衝撃を緩和したり、他の車両が車両部5の下に潜り込んだりすることを防ぐものである。
【0023】
バンパー移動機構52は、油圧シリンダ53によって、バンパー本体10を前後方向に平行移動させるものである。
バンパー移動機構52には、図示しないガイドがあり、油圧シリンダ53を伸縮することによって、バンパー本体10を前後方向に平行移動する。
バンパー移動機構52の構造は限定するものではなく、リンク機構を採用したものや、モータによってバンパー本体10を移動させるものであってもよい。
また単にバンパー本体10を水平方向に移動するだけでなく、高さ方向にも変位させることができるものであってもよい。
【0024】
バンパー装置50は、バンパー移動機構52によって、バンパー本体10を走行時に適した走行時位置と、車両部5側に退避した格納位置に位置変更することが可能である。
本実施形態では油圧シリンダ53を伸ばして、バンパー本体10を後方に張り出した位置が走行時位置であり、油圧シリンダ53を縮めてバンパー本体10を前方に配置した位置が格納位置である。
【0025】
本実施形態の荷役車両1では、バンパー装置50に格納検知手段55と、張出検知手段56が設けられている。格納検知手段55は、バンパー本体10が格納位置にあるか否かを検知するセンサーである。張出検知手段56は、バンパー本体10が、走行時位置にあるか否かを検知するセンサーである。
格納検知手段55及び張出検知手段56は、公知の近接センサーや光電センサー等である。格納検知手段55及び張出検知手段56は、リミットスイッチ等の機械的なスイッチでもよい。
【0026】
油圧装置7は、公知の油圧ポンプや電磁弁等がセットされたものである。
油圧ポンプは、車両部5のエンジンから動力伝動を受けて回転する。即ち油圧装置7は、車両部5のPTO軸に接続されており、作業者が図示しないPTOスイッチを操作することによって油圧ポンプが回転し、油圧を発生させる。
油圧装置7には、油圧シリンダ25に油圧を供給する電磁弁と、油圧シリンダ53に油圧を供給する電磁弁が設けられている(いずれも図示せず)。
【0027】
制御装置6は、所定の手順に則って、各電磁弁に信号を送る回路を備えている。制御装置6の信号によって、積み降ろし装置26が所定の順番に動作する。
制御装置6は、リモコン8と通信する通信手段を有している。
【0028】
リモコン8には、積み降ろし装置26を動作させる作動スイッチとして、自動降ろしスイッチ60と、自動積み込みスイッチ61と、手動降ろしスイッチ65と、手動積み込みスイッチ66が装備されている。
またリモコン8には、バンパー移動機構52を動作させるバンパー作動スイッチとして、バンパー張出スイッチ67及びバンパー格納スイッチ68が装備されている。
これらのスイッチ60、61、65、66は、いずれもボタンスイッチであり、作業者が押している間だけオン状態となり、手を離すとオフ状態となる。
【0029】
本実施形態では、後記するように、積み降ろし装置26と、バンパー装置50を連携させて自動的にスライドボディ32を降ろす自動降ろし動作を行うことができる。また、積み降ろし装置26と、バンパー装置50を連携させて自動的にスライドボディ32を積み込む自動積み込み動作を行うことができる。
自動降ろし動作は、自動降ろしスイッチ60を押すことによって開始され、自動降ろしスイッチ60を押し続けることによって実行される。
従って、自動降ろしスイッチ60は、降ろし動作を実施する降ろしスイッチであり、降ろし動作を開始する機能と、降ろし動作を継続する機能を有している。
自動積み込み動作は、自動積み込みスイッチ61を押すことによって開始され、自動積み込みスイッチ61を押し続けることによって実行される。
従って、自動積み込みスイッチ61は、積み込み動作を実施する積み込みスイッチであり、積み込み動作を開始する機能と、積み込み動作を継続する機能を有している。
【0030】
また本実施形態では、手動降ろしスイッチ65又は手動積み込みスイッチ66を操作して、積み降ろし装置26だけを動作することもできる。
【0031】
さらに本実施形態では、バンパー張出スイッチ67又はバンパー格納スイッチ68を操作して、バンパー本体10だけを移動させることもできる。
バンパー張出スイッチ67及びバンパー格納スイッチ68は、バンパー移動機構52の油圧シリンダ53に作動油を供給する電磁弁を切り替えるスイッチである。
【0032】
バンパー張出スイッチ67を押し続けると、バンパー本体10が後方に移動し、走行時位置に向かう。バンパー本体10が格納位置を離れると、格納検知手段55が非検知状態となる。バンパー本体10が後方に移動し、走行時位置に至ると、張出検知手段56が検知状態となる。
バンパー格納スイッチ68を押し続けると、バンパー本体10が前方に移動し、格納位置に向かう。バンパー本体10が走行時位置から離れると、張出検知手段56が非検知状態となる。バンパー本体10が前方に移動し、格納位置に至ると格納検知手段55が検知状態となる。
【0033】
次に、スライドボディ32を積み込む際の積み降ろし装置26等の動作について説明する。
【0034】
荷役車両1は、走行時においては、
図2(a)の様にリフトフレーム30が水平姿勢となっており、スライドボディ32は、リフトフレーム30上に引き上げられている。リフトフレーム30の姿勢は水平(着床状態)であり、且つ前後方向には、前端の位置(初期位置)にある。またスライドボディ32についても、前端の位置(初期位置)にある。
リフトフレーム30とスライドボディ32が、初期位置にあるので、初期位置検知手段15がオン状態となっている。リフトフレーム30が、着床状態であるから、着床検知手段71がオン状態となっている。
【0035】
そして積み降ろし装置26で、スライドボディ32を地上に降ろす。
降ろし動作は、次の工程を順次実行することにより行われる。
(1)リフトフレーム後退工程(スライドボディ後退工程)
(2)第一傾斜工程(最初の傾斜動作)
(3)スライドボディ降下工程
(4)第二傾斜工程
【0036】
(1)リフトフレーム後退工程(スライドボディ後退工程)
リフトフレーム後退工程は、図示しない油圧シリンダによって、リフトフレーム30を水平姿勢のままで後方に移動させる工程である。
リフトフレーム後退工程は、スライドボディを車両部の後部側に移動させるスライドボディ後退工程でもある。スライドボディ後退工程とは、車両部に対してスライドボディを後方移動させる工程である。
リフトフレーム30が後退し始めると、初期位置検知手段15がオフとなり、代わって後退継続検知手段70がオン状態となる。
図2(b)の様に、リフトフレーム30が所定の位置まで後退すると、後退位置検知手段16がこれを検知してオン状態となる。
【0037】
(2)第一傾斜工程
第一傾斜工程は、降ろし動作における最初の傾斜動作である。第一傾斜工程は、油圧シリンダ35を起動し、チルト機構31を動作させて、
図3(c)の様にリフトフレーム30を一定の角度まで傾斜させる工程である。第一傾斜工程が開始され、リフトフレーム30が傾斜すると、着床検知手段71がオフ状態となる。
図3(c)の様にリフトフレーム30が所定の角度まで傾斜すると、傾斜検知手段72がこれを検知してオン状態となり、チルト機構31(リフトフレーム30の傾斜)を停止させる。
【0038】
(3)スライドボディ降下工程
スライドボディ降下工程は、
図3(d)の様に、スライドボディ32をリフトフレーム30にそって車両後方側に直線移動させスライドボディ32の後端を地面に着地させてスライドボディ32をずり下ろす工程である。
スライドボディ32前部がリフトフレーム30の後端に至ると、最後端検知手段17がこれを検知してオン状態となり、スライドボディ32の車両後方側への移動を停止させる。
【0039】
(4)第二傾斜工程
第二傾斜工程は、
図3(e)の様に、リフトフレーム30を最高角度まで上昇させ、引き続きスライドボディ32を車両後方側に移動させ、スライドボディ32の底面全体を地上に着地させる工程である。リフトフレーム30が最高角度に達したことは、傾斜検知手段72によって検知される。
そして踏み板37を水平姿勢にし、車両を搬入又は搬出する。
【0040】
積み込み動作は、概ね前記した降ろし動作を逆の順序で実行することにより行われる。即ち積み込み動作は、次の工程を順次実行することにより行われる。
(1)第一傾斜戻し工程(最初の傾斜動作)
(2)スライドボディ上昇工程
(3)第二傾斜戻し工程(着床工程)
(4)リフトフレーム前進工程(スライドボディ前進工程)
【0041】
(1)第一傾斜戻し工程
第一傾斜工程は、積み込み動作における最初の傾斜動作である。第一傾斜戻し工程は、
図4(a)の様なスライドボディ32の底面全体を地上に着地した状態から、
図4(b)の様に、リフトフレーム30の傾斜角度を傾斜検知手段72がオン状態となるまで低下させ、リフトフレーム30の後端を地面から離す工程である。
【0042】
(2)スライドボディ上昇工程
スライドボディ上昇工程は、
図4(c)の様に、スライドボディ32をリフトフレーム30にそって車両前方側に移動させ、
図4(d)の様に、スライドボディ32の全部をリフトフレーム30に載せる工程である。
【0043】
(3)第二傾斜戻し工程(着床工程)
第二傾斜戻し工程は、
図4(e)の様に、リフトフレーム30の角度をさらに低下させて水平姿勢に復帰させる着床工程である。第二傾斜戻し工程により、リフトフレーム30が、車両部5に着床する。
第二傾斜戻し工程(着床工程)が完了し、リフトフレーム30が水平姿勢に復帰すると、着床検知手段71がオン状態に切り替わる。
【0044】
(4)リフトフレーム前進工程(スライドボディ前進工程)
リフトフレーム前進工程は、リフトフレーム30を前進させ、
図4(f)の様に、リフトフレーム30を初期位置に戻す工程である。
リフトフレーム前進工程は、スライドボディを車両部の前側に移動させるスライドボディ前進工程である。スライドボディ前進工程とは、車両部に対してスライドボディを前方移動させる工程である。
リフトフレーム30が前進を開始すると、後退位置検知手段16がオフ状態となり、後退継続検知手段70がオン状態となる。
リフトフレーム30とスライドボディ32が、初期位置に戻ることにより、初期位置検知手段15がオン状態とる。リフトフレーム30が初期位置に戻ると、後退継続検知手段70がオフ状態となる。
【0045】
次に、本実施形態の荷役車両1の自動降ろし動作について説明する。
自動降ろし動作においては、積み降ろし装置26とバンパー装置50が連携して動作する。即ち自動降ろし動作においては、積み降ろし装置26とバンパー装置50が一連のシーケンス制御によって動作する。
本実施形態で採用するリモコン8は、自動降ろしスイッチ60を有している。そして、自動降ろしスイッチ60を押し続けている間、一連のバンパー動作と降ろし動作が継続する。
【0046】
自動降ろし動作を開始する前の状態は、
図2(a)の様に積み降ろし装置26が、初期位置に復帰しており、この状態が初期位置検知手段15で検知されている。
また
図2(a)の様に バンパー本体10は、油圧シリンダ53が伸びた状態であり、バンパー本体10は、後方に張り出して走行時位置にある。そのため、張出検知手段56が検知状態となる。また格納検知手段55は非検知状態となっている。
【0047】
スライドボディ32を地上に降ろす際には、自動降ろしスイッチ60を押し続ける。
以下、
図7のフローチャートに基づいて自動降ろし動作の制御を説明する。
前提条件として、作業者が図示しないPTOスイッチを操作し、油圧ポンプが回転し、油圧が発生し、各電磁弁の開閉によって、各油圧シリンダ35、53に作動油を供給可能な状態となっている。
ステップ1で、自動降ろしスイッチ60が操作されるのを待つ。作業者が自動降ろしスイッチ60を押すことにより、自動降ろしスイッチ60がオン状態となり、ステップ2に移行する。
【0048】
ステップ2では、バンパー本体10の格納位置側への移動と、リフトフレーム後退工程が同時に開始される。
バンパー装置50側について説明すると、バンパー移動機構52の油圧シリンダ53に作動油を供給する電磁弁が切り替えられる。
その結果、バンパー移動機構52の油圧シリンダ53が収縮し、バンパー本体10が、車両部5の前方側に移動する。
積み降ろし装置26側について説明すると、リフトフレーム30が後方側に移動する。
【0049】
続くステップ3、ステップ4では、バンパー本体10が格納位置に到達したか否かと、リフトフレーム30が後退位置に到達したか否かが、確認される。
本実施形態では、ステップ3で、バンパー本体10が格納位置に到達したか否かが確認される。バンパー本体10が後方側に移動すると
図2(b)の様に バンパー本体10が格納位置に到達し、格納検知手段55が、バンパー本体10が格納位置にあることを検知することとなる。その結果、ステップ3がイエスとなる。
【0050】
本実施形態では、ステップ4で、リフトフレーム30が後退位置に到達したか否かが、確認される。具体的には、後退位置検知手段16の検知状態が確認され、後退位置検知手段16がオン状態であれば、ステップ4がイエスとなりステップ5に進む。
なお、バンパー本体10が格納位置に到達したか否かと、リフトフレーム30が後退位置に到達したか否かの確認は、順不動であり、いずれが先でもよく、同時でもよい。
【0051】
ステップ5では、第一傾斜工程が実行され、リフトフレーム30が、一定の角度まで傾斜する。
続いてステップ6に移行し、スライドボディ降下工程が実行される。さらにステップ7に移行し、第二傾斜工程が実行されてスライドボディ32が地上に降ろされる。
【0052】
本実施形態では、第一傾斜工程の前に、バンパー本体10が格納位置に移動し、バンパー本体10が格納位置にあることが確認されているので、第一傾斜工程や、第二傾斜工程が実行されても、スライドボディ32等がバンパー本体10と接触することはない。
【0053】
作業の途中で、作業者が自動降ろしスイッチ60を離すと、その時点で積み降ろし装置26が停止する。作業者が自動降ろしスイッチ60を再度押すと、停止した状態から、前記した一連の動作が再開される。即ち、積み降ろし装置26の動作は、既に開始されており、作業者が自動降ろしスイッチ60を離すことによって、積み降ろし装置26の動きが一時的に停止しているに過ぎない状態であるから、作業者が自動降ろしスイッチ60を再度押すと、停止した状態から、前記した一連の動作が再開される。
降ろし動作が完了すると、ステップ8がYESとなり、一連の自動降ろし動作が終了する。
【0054】
仮に格納検知手段55が、バンパー本体10が格納位置にあることを検知しなければ、原則としてそれ以降の降ろし動作が始まらない。
また本実施形態では、バンパー本体10の格納位置への移動と、リフトフレーム30の後退が並行して行われるので、降ろし作業が完了するまでの総所要時間が短い。
【0055】
次に、
図8のフローチャートに基づいて自動積み込み動作の制御を説明する。
自動積み込み動作の制御では、ステップ1で、自動積み込みスイッチ61が操作されるのを待つ。作業者が自動積み込みスイッチ61を押すことにより、自動積み込みスイッチ61がオン状態となり、ステップ2に移行する。
【0056】
ステップ2では、格納検知手段55が、バンパー本体10が格納位置にあるか否かを判断する。
通常、自動積み込み動作の開始時点では、バンパー本体10は、格納位置にあるから、多くの場合、ステップ2はYESとなり、ステップ3に移行し、積み込み動作が始まる。
【0057】
バンパー本体10が格納位置にあるならば、ステップ2がYESとなり、ステップ3以降に進む。ステップ3以降では、一連の積み込み動作が実行される。
ステップ3で、第一傾斜戻し工程が実行され、
図4(a)の様なスライドボディ32の底面全体を地上に着地した状態から、
図4(b)の様に、リフトフレーム30の角度を低下させ、リフトフレーム30の後端を地面から離される。
【0058】
続くステップ4では、スライドボディ上昇工程が実行され、
図4(c)の様に、スライドボディ32をリフトフレーム30にそって車両前方側に移動する。
続くステップ5では、第二傾斜戻し工程(着床工程)が実行され、リフトフレーム30の角度がさらに低下して水平姿勢に向かう。
そして第二傾斜戻し工程(着床工程)が完了し、ステップ6でリフトフレーム30が水平姿勢に復帰したか否かが検知される。
具体的には、着床検知手段71の検知状況を確認する。
着床検知手段71がオン状態に切り替わっていればステップ6がYESとなり、ステップ7に移行する。
【0059】
ステップ7では、バンパー本体10の走行時置側への移動と、リフトフレーム前進工程が同時に開始される。
即ちバンパー移動機構52の油圧シリンダ53に作動油を供給する電磁弁が切り替えられる。
その結果、バンパー移動機構52の油圧シリンダ53が伸び、バンパー本体10が、車両部5の後方側に移動する。
【0060】
続くステップ8、ステップ9では、リフトフレーム30が前端位置に到達したか否かと、バンパー本体10が走行時位置に到達したか否かが、確認される。
即ち、リフトフレーム30が前端位置に到達し、積み降ろし装置26が初期位置に復帰すると、初期位置検知手段15がそれを検知し、ステップ8がYESとなる。
バンパー本体10が走行時位置側に移動し、バンパー本体10が走行時位置に至ったことを張出検知手段56が検知すると、ステップ9がYESとなり、一連の自動積み込み動作が終了する。
なお、バンパー本体10が走行時位置に到達したか否かと、リフトフレーム30が前端位置に到達したか否かの確認は、順不動であり、いずれが先でもよく、同時でもよい。
【0061】
本実施形態では、バンパー本体10の走行時位置への移動と、リフトフレーム30の初期位置への移動が並行して行われるので、積み込み作業が完了するまでの総所要時間が短い。
【0062】
本実施形態の荷役車両1には、バンパー張出スイッチ67とバンパー格納スイッチ68があり、これらを操作することによってもバンパー本体10を移動させることができる。
また本実施形態の荷役車両1では、リモコン8に手動降ろしスイッチ65と手動積み込みスイッチ66があり、これらを操作してスライドボディ32の積み降ろしを行うこともできる。即ち、手動降ろしスイッチ65を操作して手動積み降ろし動作を行うことができる。また手動積み込みスイッチ66を操作して、手動積み込み動作を行うことができる。
【0063】
以上説明した実施形態では、積み降ろし装置26を動作させる作動スイッチとして、自動降ろしスイッチ60と、自動積み込みスイッチ61と、手動降ろしスイッチ65と、手動積み込みスイッチ66が装備されているが、さらに積み降ろし装置26の各部を個別に動作させるスイッチがあってもよい。
例えば、リモコン8は、次のスイッチを有するものであってもよい。
(1)リフトフレーム30を後方に移動させるスイッチ。
(2)リフトフレーム30を前方に移動させるスイッチ。
(3)リフトフレーム30の傾斜が強くなる方向に揺動させるスイッチ。
(4)リフトフレーム30の傾斜が緩くなる方向に揺動させるスイッチ。
(5)スライドボディ32を降下させるスイッチ。
(6)スライドボディ32を上昇させるスイッチ。
【0064】
以上説明した実施形態では、リモコンのスイッチとして、ボタンスイッチを採用した。上記した実施形態で採用したボタンスイッチは、モーメンタリースイッチの一種であり、作業者が押している間だけオン状態となり、手を離すとオフ状態となる。
しかしながら本発明は、このスイッチを採用するものに限定されず、一旦オンスイッチを操作すると、オフ操作を行うまでオン状態が維持される場合(オルタネイトスイッチ)や、電気的にオン状態を自己保持させるスイッチを採用することもできる。
【0065】
以上説明した荷役車両1は、降ろし動作の際に、(1)リフトフレーム後退工程、(2)第一傾斜工程、(3)スライドボディ降下工程、(4)第二傾斜工程、が順次実施されるが、この工程をすべて実行することは、必須ではない。例えば、第二傾斜工程が省略されたものであってもよい。
以上説明した荷役車両1は、スライドボディ32を地面に完全に降ろし、スライドボディ32を水平に直地させて車両の積み下ろしを行うものであるが、スライドボディ32が傾斜した状態で、車両の積み下ろしを行うものであってもよい。
【0066】
以上説明した実施は形態では、自動降ろし動作において、バンパー本体10の格納位置側への移動と、リフトフレーム後退工程(スライドボディ後退工程)を同時に開始した。
この制御方法は、望ましいものであるが、バンパー本体10の格納位置側への移動開始時期と、リフトフレーム後退工程の開始時期がずれていてもよい。
即ち、いずれかのタイミングで、バンパー本体10の格納位置側への移動と、リフトフレーム30の後退が共に行われていればよい。
自動積み込み動作における、バンパー本体10の走行時位置側への移動と、リフトフレーム前進工程(スライドボディ前進工程)についても同様であり、開始が同時であることが望ましいが、両者の開始時期がずれていてもよい。
即ち、いずれかのタイミングで、バンパー本体10の走行時位置側への移動と、リフトフレーム30の前進が共に行われていればよい。
【0067】
また自動降ろし動作においては、バンパー本体10の格納位置側への移動と、リフトフレーム後退工程(スライドボディ後退工程)を同時に開始し、自動積み込み動作においては、開始をずらして、例えばリフトフレーム前進工程(スライドボディ前進工程)を開始した後にバンパー本体10を格納位置側へ移動させてもよい。
その反対に、自動積み込み動作においては、リフトフレーム前進工程(スライドボディ前進工程)とバンパー本体10の走行時位置側への移動を同時に開始し、自動降ろし動作の際には、バンパー本体10の格納位置側への移動を開始した後に、リフトフレーム後退工程(スライドボディ後退工程)を同時に開始してもよい。
【0068】
スライドボディを車両部の後部側に移動(車両部に対してスライドボディを後方移動)させるスライドボディ後退工程として、リフトフレーム30を後方に移動させることでスライドボディ32を後方に移動させるリフトフレーム後退工程を行ったが、スライドボディ後退工程は、リフトフレーム30は移動させずリフトフレーム30に対してスライドボディ32を後方に移動させてもよい。この場合のスライドボディ後退工程は、リフトフレーム30に設けられたチェーン等によりスライドボディ32を後方に移動させる。スライドボディ32が所定の位置まで後退すると、後退位置検知手段16がスライドボディ32を検知してオン状態となり、スライドボディ32の移動を停止する。この場合の後退位置検知手段16は、リフトフレーム30の中間位置に設けてもよい。
スライドボディを車両部の前部側に移動(車両部に対してスライドボディを前方移動)させるスライドボディ前進工程として、リフトフレーム30を前方に移動させることでスライドボディ32を前方に移動させるリフトフレーム前進工程を行ったが、スライドボディ前進工程は、リフトフレーム30は移動させずリフトフレーム30に対してスライドボディ32を前方に移動させてもよい。この場合のスライドボディ前進工程は、リフトフレーム30に巻きかけられたチェーン等によりスライドボディ32を前方に移動させる。スライドボディ32が、初期位置に戻ることにより、初期位置検知手段15がオン状態となり、スライドボディ32の移動を停止する。
【符号の説明】
【0069】
1 荷役車両
5 車両部
6 制御装置
8 リモコン
10 バンパー本体
15 初期位置検知手段
16 後退位置検知手段
18 積載装置
26 積み降ろし装置
30 リフトフレーム
31 チルト機構(傾斜手段)
32 スライドボディ
50 バンパー装置
52 バンパー移動機構
55 格納検知手段
56 張出検知手段
60 自動降ろしスイッチ
61 自動積み込みスイッチ