(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】射出成形機の制御装置、射出成形機、射出成形システム及び、射出成形機の制御方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/84 20060101AFI20241225BHJP
B29C 45/17 20060101ALI20241225BHJP
B29C 51/44 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
B29C45/84
B29C45/17
B29C51/44
(21)【出願番号】P 2021063721
(22)【出願日】2021-04-02
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】堀田 大吾
(72)【発明者】
【氏名】山口 毅秀
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 峻
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勇太
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-191370(JP,A)
【文献】特開2015-231695(JP,A)
【文献】特開2002-103400(JP,A)
【文献】特開2001-030311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/84
B29C 45/17
B29C 51/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形機に用いられ、制御部を有する制御装置であり、
前記射出成形機に取り付けられる金型装置が、該金型装置の内部空間に対して進退変位可能であって前進変位により内部空間に突出する可動突出部を有し、
前記射出成形機が、金型装置の前記可動突出部を駆動する突出駆動装置を備え、
前記制御部により、
金型装置が型締状態にあるときに、金型装置の前記可動突出部の前記内部空間への突出量が、
前記可動突出部が金型装置の内面に接触しないような許容設定値に基づいて制限されるように、突出駆動装置を制御する制御装置。
【請求項2】
ユーザによる情報の入力に用いられる入力部を備える請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
ユーザが、前記入力部に前記許容設定値を入力可能である請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
ユーザが前記入力部に、金型装置に関する金型情報を入力可能であり、
前記制御部が、ユーザにより入力された前記金型情報に基づき、前記許容設定値を決定する請求項2又は3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部が、ユーザによる前記入力部への、前記許容設定値に基づいて制限される前記突出量の入力を禁止する請求項2~4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部が、突出駆動装置で前記可動突出部を前進変位させて前記内部空間に突出させ、前記可動突出部の前進停止位置から前記許容設定値を決定する請求項1~
3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御装置が、ユーザへの情報の伝達に用いられる表示部を有し、
前記制御部が、前記表示部に前記許容設定値を表示させる請求項1~6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記金型装置が、固定金型及び可動金型を有し、
前記射出成形機が、金型装置の固定金型に対する可動金型の離隔変位及び接近変位により金型装置を開閉する型締装置を備え、
前記制御部が、型締装置で金型装置を閉じた状態にて金型装置の内部空間に成形材料を充填した後、型締装置に、固定金型に対して可動金型をさらに接近変位させ、前記内部空間の成形材料を固定金型と可動金型との間で圧縮する型締圧縮を実行させる請求項1~7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
射出成形機に用いられ、制御部を有する制御装置であり、
前記射出成形機に取り付けられる金型装置が、該金型装置の内部空間に対して進退変位可能であって前進変位により内部空間に突出する可動突出部を有し、
前記射出成形機が、金型装置の前記可動突出部を駆動する突出駆動装置を備え、
前記金型装置が、固定金型及び可動金型を有し、
前記射出成形機が、金型装置の固定金型に対する可動金型の離隔変位及び接近変位により金型装置を開閉する型締装置を備え、
前記制御部が、型締装置で金型装置を閉じた状態にて金型装置の内部空間に成形材料を充填した後、突出駆動装置に、前記可動突出部を前進変位させ、該可動突出部により前記内部空間の成形材料を圧縮する突出圧縮を実行させ
、
前記制御部により、金型装置の前記可動突出部の前記内部空間への突出量が、許容設定値に基づいて制限されるように、突出駆動装置を制御する制御装置。
【請求項10】
前記許容設定値が設定されていないとき、前記制御部が、前記突出圧縮の実行を禁止する、請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
ユーザにより、前記許容設定値に基づいて制限される前記突出量が企図されたとき、前記制御部が、前記突出圧縮の実行を禁止する、請求項9又は10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記制御部が、金型装置の内部空間に充填された成形材料から成形品を成形した後、突出駆動装置に、前記可動突出部を前進変位させて前記内部空間に突出させ、前記内部空間からの成形品の取出しを実行させる請求項1~11のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の制御装置と、前記突出駆動装置とを備える射出成形機。
【請求項14】
請求項13に記載の射出成形機と、前記射出成形機に取り付けられた金型装置とを備える射出成形システム。
【請求項15】
射出成形機を制御する方法であって、
前記射出成形機に取り付けられる金型装置が、該金型装置の内部空間に対して進退変位可能であって前進変位により内部空間に突出する可動突出部を有し、
前記射出成形機が、金型装置の前記可動突出部を駆動する突出駆動装置を備え、
金型装置が型締状態にあるときに、金型装置の前記可動突出部の前記内部空間への突出量が、
前記可動突出部が金型装置の内面に接触しないような許容設定値に基づいて制限されるように、突出駆動装置を制御することを含む、射出成形機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金型装置の可動突出部を駆動する突出駆動装置を備える射出成形機の制御装置、射出成形機、射出成形システム及び、射出成形機の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の射出成形機としては、たとえば特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
特許文献1では、「金型が取付けられるプラテンを含む型締装置と、前記金型から成形品を突き出すエジェクタ装置とを備え、前記エジェクタ装置は、エジェクタロッドと、前記エジェクタロッドが連結されるエジェクタクロスヘッドと、前記エジェクタクロスヘッドを進退させる駆動機構とを有し、前記プラテンは、前記エジェクタロッドと前記エジェクタクロスヘッドとを連結する作業を実施するための開口部を有し、前記開口部は、前記プラテンの外部空間から前記プラテンの内部空間へのアクセスを可能とするものであって、型開閉方向と直交する方向のアクセスを可能とするものであり、前記開口部を介した前記外部空間から前記内部空間への前記アクセスを許容する第1状態と、前記開口部を介した前記内部空間から前記外部空間への潤滑剤の飛散を抑制する第2状態とに切換わる切換カバーを備える、射出成形機」が開示されている。
特許文献1には、「可動金型部840は、固定金型部830の内部に進退自在に配される。可動金型部840は、例えば、型開閉方向に対し垂直な板状のエジェクタプレート841と、エジェクタプレート841から前方に延びる棒状のエジェクタピン844とを含む。」との記載、「エジェクタ装置200は、制御装置700による制御下で、突き出し工程を行う。突き出し工程では、エジェクタロッド210を設定移動速度で待機位置から突き出し位置まで前進させることにより、可動金型部840を前進させ、成形品を突き出す。」との記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した「エジェクタピン」のような可動突出部を有する金型装置が取り付けられる射出成形機には、その可動突出部を駆動する「エジェクタ装置」等の突出駆動装置が設けられる。
【0006】
そのような射出成形機では、たとえばユーザによる射出成形動作の誤った設定に起因して、金型装置を型締状態にする際に、突出駆動装置が可動突出部を金型装置の内部空間に突出させるべく駆動すると、可動突出部が金型装置の内面に衝突する場合がある。このことは、金型装置を破損させる可能性がある。
【0007】
特に、型締装置による金型装置の固定金型と可動金型との間での成形材料の型締圧縮や、突出駆動装置を用いた可動突出部での成形材料の突出圧縮が実行されるとき、上述した可動突出部の動きによる金型装置の破損のリスクが顕在化し得る。
【0008】
この発明は、このような問題を解決することを課題とするものであり、その目的は、金型装置の破損のリスクを有効に低減することのできる射出成形機の制御装置、射出成形機、射出成形システム及び、射出成形機の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決することができる一の制御装置は、射出成形機に用いられ、制御部を有するものであり、前記射出成形機に取り付けられる金型装置が、該金型装置の内部空間に対して進退変位可能であって前進変位により内部空間に突出する可動突出部を有し、前記射出成形機が、金型装置の前記可動突出部を駆動する突出駆動装置を備え、前記制御部により、金型装置の前記可動突出部の前記内部空間への突出量が、許容設定値に基づいて制限されるように、突出駆動装置を制御するというものである。
【0010】
射出成形機は、上記の制御装置と、前記突出駆動装置とを備えるものである。
【0011】
射出成形システムは、上記の射出成形機と、前記射出成形機に取り付けられた金型装置とを備えるものである。
【0012】
上述した課題を解決することができる一の射出成形機の制御方法は、前記射出成形機に取り付けられる金型装置が、該金型装置の内部空間に対して進退変位可能であって前進変位により内部空間に突出する可動突出部を有し、前記射出成形機が、金型装置の前記可動突出部を駆動する突出駆動装置を備え、金型装置の前記可動突出部の前記内部空間への突出量が、許容設定値に基づいて制限されるように、突出駆動装置を制御することを含むものである。
【発明の効果】
【0013】
上記の制御装置、射出成形機の制御方法によれば、金型装置の破損のリスクを有効に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明の一の実施形態の制御装置が用いられ得る射出成形機を、射出成形機に取り付けた金型装置とともに示す断面図である。
【
図2】この発明の一の実施形態の制御装置を示すブロック図である。
【
図3】
図1の射出成形機を用いた射出成形動作の一例を示す、金型装置及び、射出成形機の要部の拡大断面図である。
【
図9】
図2の制御装置の表示部に表示させることができる設定画面の一部を示す図である。
【
図10】
図2の制御装置の入力部に入力可能な金型情報に含まれ得る金型装置の寸法の一例を示す断面図である。
【
図11】
図2の制御装置の入力部に入力可能な金型情報に含まれ得る金型装置の寸法の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に図面を参照しつつ、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
この発明の一の実施形態の制御装置は、たとえば
図1に示すような射出成形機1に用いることができる。
図1の射出成形機1は概して、内部に配置されたスクリュ13の回転及び前進ならびに、周囲に配置されたヒータ14の加熱により、熱可塑性樹脂等の成形材料を溶融させて金型装置101内に向けて射出する射出装置11と、射出装置11を金型装置101に対して前進・後退変位させる移動装置21と、金型装置101を型開状態と型締状態との間で動かせて開閉する型締装置31と、金型装置101の可動突出部104を駆動する突出駆動装置41とを備える。
【0016】
(突出駆動装置)
突出駆動装置41は、金型装置101の可動突出部104を駆動するものである。金型装置101は、可動突出部104の他、型締装置31の固定プラテン32a及び可動プラテン32bのそれぞれに取り付けられ、金型装置101の型締状態で内側にキャビティを含む内部空間Siが区画形成される固定金型102及び可動金型103を有することがある。金型装置101は、製造しようとする成形品の形状等に応じて適宜、射出成形機1に取り付けられ、また交換され得るものであり、射出成形機1の一部とはみなさない。なお、射出成形機1と、射出成形機1に取り付けられた金型装置101とを備えるものを、ここでは射出成形システムという。
【0017】
ここで、金型装置101の可動突出部104は、
図3に示すように、たとえば、可動金型103側で可動金型103の内部に位置し、可動金型103の少なくとも一部を貫通して延びるピン状ないしロッド状等をなす。この例では、三本のピン状の可動突出部104を設けているが、可動突出部の個数ならびに寸法及び形状は適宜変更される。一本もしくは二本又は四本以上の可動突出部を有する金型装置もある。
【0018】
可動金型103の内部で可動突出部104は、金型装置101の内部空間Siに対して進退変位が可能であり、固定金型102側(
図3では右側)に前進変位したときに内部空間Siに突出するように設けられている。一方、可動突出部104が、可動金型103を取り付けた可動プラテン32b側(
図3では左側)に後退変位すると、可動突出部104の先端部は、
図3に示すように、内部空間Siよりも可動プラテン32b側に奥まって位置する。なお、この可動金型103は、可動突出部104の後方側に、それらの三本の可動突出部104が連結されて互いに重なり合う二枚その他の適切な枚数の突出板105aと、突出板105aの背面上に立てた状態で固定されて又は着脱可能に設けた棒状等のロッド当接部材105bとを有する。ロッド当接部材105bに突出駆動装置41の後述する突出ロッド42が当たり、突出板105aは可動突出部104とともに進退変位する。
【0019】
またここで、図示の突出駆動装置41は、可動プラテン32bの内部に延びて、可動金型103のロッド当接部材105bに当って可動突出部104を進退変位させる突出ロッド42と、突出ロッド42を動かす突出モータ及びボールねじ等の運動変換機構を含む突出駆動源43とを有する。突出駆動装置41により、可動突出部104の上述した進退変位がもたらされる。
【0020】
可動突出部104及び突出駆動装置41は、主に、射出装置11から金型装置101の内部空間Siに射出された成形材料が固化してなる成形品を取り出す際に用いられる。金型装置101から成形品を取り出すとき、金型装置101を
図3に示す型開状態とし、突出駆動装置41で可動突出部104を内部空間Siに突出させて前進変位させ、当該可動突出部104により金型装置101内から成形品を押し出す。可動突出部104はエジェクタピン、また突出駆動装置41はエジェクタ装置とそれぞれ称されることもある。
【0021】
(制御装置及び制御方法)
射出成形機1に用いられる制御装置は、
図2に示すように、少なくとも突出駆動装置41の動作を制御する制御部を有するものである。制御部は、突出駆動装置41に専用のものとすることも可能であるが、多くの場合、突出駆動装置41だけでなく、射出装置11や移動装置21、型締装置31その他の射出成形機1の各装置の動作をも制御し得る。制御部は、射出成形機1の突出駆動装置41が有する突出モータ等の突出駆動源の他、計量モータ、射出モータ及び型締モータその他の各種の駆動源、温度及び回転数等の各種のセンサに接続することができる。
【0022】
制御装置はさらに、図示の実施形態のように、射出成形機1のユーザが情報を入力することに用いる入力部、及び/又は、ユーザに情報を伝達することに用いる表示部を有することがある。入力部及び/又は表示部はそれぞれ、制御部に接続される。入力部及び表示部を有する制御装置では、それらの少なくとも一部をタッチパネルとしてもよい。制御装置は、制御部に接続されて情報ないしデータを記憶する記憶部を含む場合がある。射出成形機1は、このような制御装置を備えることがある。
【0023】
先に述べた突出駆動装置41及び金型装置101では、ユーザが射出成形動作を正しく設定しなかった場合、金型装置101が型締状態になるときに、可動突出部104が、突出駆動装置41で駆動されて金型装置101の内部空間Siに大きく突出することがある。この場合、固定金型102側に前進変位する可動突出部104の先端部が、金型装置101の内面、より詳細には固定金型102の内部空間Siを区画する内面に衝突し、その先端部等において金型装置101の破損が生じ得る。
【0024】
これに対処するため、この実施形態の制御装置は、制御部で、金型装置101の可動突出部104の内部空間Siへの突出量が所定の許容設定値に基づいて制限されるように、突出駆動装置41を制御する。許容設定値は、たとえば、可動突出部104の先端部が固定金型102の内面に接触するときの可動突出部104の突出量等とすることがあり、射出成形動作の実行前に予め設定される。この場合、制御装置は、可動突出部104の内部空間Siへの突出量が、その許容設定値を超えないように、突出駆動装置41を制御することができる。
【0025】
このように制御すれば、金型装置101を型締状態にするときの、金型装置101の内面への可動突出部104の衝突が回避されるので、金型装置101の破損を有効に抑制することができる。
【0026】
ところで、図示の金型装置101は、型締装置31による固定金型102と可動金型103との間での成形材料の型締圧縮を行うことができるように構成されている。
【0027】
より詳細には、一例としてのこの金型装置101では、可動金型103は、可動プラテン32b側から固定金型102側に向けて順次に、可動プラテン32bに取り付けられる可動側取付板106と、内側に先述した突出板105aが配置されるスペースSeを区画するスペーサブロック107と、弾性部材108aが設けられた受け板108と、固定金型102に対向する可動側型板109とを設けたものである。
【0028】
可動金型103の可動側型板109は、受け板108の固定金型102側の表面に固定して取り付けられ、型締圧縮で成形材料を押圧する材料押圧部材109aと、受け板108に弾性部材108aを介して支持され、型締力の作用時に固定金型102に押し付けられる加圧部材109bとを含む複数の部材に分割されている。
図3に示すところでは、固定プラテン32aに対して可動プラテン32bが接近する方向(
図3では左右方向であり、「可動プラテン移動方向」ともいう。)と直交する方向(
図3の上下方向)に、それぞれブロック状等の二個の材料押圧部材109aと三個の加圧部材109bとが、交互に並んで配置されている。
【0029】
受け板108並びに、可動プラテン移動方向に直交する方向で内側に位置する計三個の材料押圧部材109a及び加圧部材109bのそれぞれには、突出板105aのスペースSeから内部空間Siまで延びる貫通孔が形成されている、それらの各貫通孔の内側には、先に述べた複数本の可動突出部104のそれぞれが挿入されて配置されている。
【0030】
なお、受け板108に設ける弾性部材108aは、可動プラテン移動方向に作用する型締力に抗するコイルばね等のばね部材とすることができる他、図示は省略するが、同方向に加圧部材109bを動かすシリンダとしてもよい。
【0031】
図示の固定金型102は、固定プラテン32aに取り付けられる固定側取付板110、及び、固定側取付板110の可動金型103側の表面上に設けられた固定側型板111を含む。固定側取付板110及び固定側型板111のほぼ中央域には、スプルーブッシュ112が設けられる。スプルーブッシュ112の内側には、射出装置11から射出される成形材料Mmを内部空間Siに案内するスプルー112aが形成されている。
【0032】
金型装置101には、可動プラテン移動方向における材料押圧部材109aと固定側型板111との間の間隔を把握することに用いられる間隔測定器121を設けることができる。ここでは、間隔測定器121は、受け板108の周囲に取り付けた非接触式の変位センサ122と、可動側型板109の周囲で変位センサ122に対向する位置に取り付けたターゲット123とを含むものとしている。但し、変位センサとターゲットはその取付け位置を入れ替えることができる他、いずれか一方を受け板108ではなくスペーサブロック107等に、また他方を可動側型板109ではなく固定側型板111等に取り付けることもできる。また、接触式の変位センサを含む間隔測定器を用いてもよい。
【0033】
上記のような金型装置101が射出成形機1に取り付けられた場合、制御装置の制御部は、たとえば、次に述べるようにして成形材料Mmの型締圧縮を実行することができる。
【0034】
はじめに、
図3に示す型開状態の金型装置101で、型締装置31を用いて固定金型102に対して可動金型103を接近変位させ、金型装置101を、
図4に示すように型閉状態とする。このとき、可動金型103の加圧部材109bは、固定金型102の固定側型板111に接触するが、金型装置101に型締力がほぼ作用しておらず、加圧部材109bと受け板108との間の弾性部材108aは実質的に圧縮されない。
【0035】
次いで、
図5に示すように、型締装置31で固定金型102に対して可動金型103をさらに接近変位させ、弾性部材108aを圧縮させつつ、加圧部材109bを固定側型板111に押し付ける。これにより、金型装置101の内部空間Siにキャビティが区画される。ここでは、圧縮した弾性部材108aの復元力により、加圧部材109bが所定の型締力で固定側型板111に押し付けられる。それにより、加圧部材109bと固定側型板111との間で、後述するようにキャビティに成形材料Mmが充填された後に成形される成形品にバリが発生することが抑制される。
【0036】
その後、射出装置11のシリンダ12の先端部に蓄積されている成形材料Mmを、ノズル12bから射出する。射出装置11から射出された成形材料Mmは、
図6に示すように、スプルーブッシュ112の内側のスプルー112aを通って金型装置101の内部空間Siに到達し、当該内部空間Siに充填される。なおこの例では、可動金型103の可動側型板109の弾性部材108aで支持された加圧部材109bのうち、スプルー112aに対向する中央の加圧部材109bは、その対向面が、他の加圧部材109bと固定側型板111との間の境界であるパーティングラインよりも可動プラテン32b側に窪む形状に形成されている。内部空間Siのうち、当該中央の加圧部材109bと固定側型板111との間の空所は、ランナーとして機能する。中央の加圧部材109bとその両側に隣り合う各材料押圧部材109aとの間には、材料押圧部材109a側の内部空間Siのキャビティに成形材料Mmを流入させるゲート109cが形成される(
図5参照)。
【0037】
金型装置101の内部空間Siに成形材料Mmをある程度充填した後、型締圧縮として、
図7に示すように、型締装置31で、弾性部材108aをさらに圧縮させつつ可動金型103を固定金型102にさらに接近変位させ、内部空間Siの成形材料Mmを固定金型102と可動金型103との間で圧縮する。型締圧縮を行うと、比較的薄型の成形品を成形する場合であっても、成形材料Mmが内部空間Siのキャビティの全体に十分に行き渡るので、ヒケ等の成形不良の発生を有効に防止することができる。型締圧縮では、先述した間隔測定器121による測定値等に基づいて、材料押圧部材109aと固定側型板111との間の間隔や、弾性部材108aの圧縮量が調整され得る。
【0038】
また制御部は、上記の型締圧縮に加えて又は型締圧縮を実行せずに、突出駆動装置41を用いて可動突出部104で成形材料Mmを圧縮する突出圧縮を実行することができる。
【0039】
型締圧縮及び突出圧縮の両方を行う場合、金型装置101の内部空間Siに成形材料Mmを充填する前に予め、
図5に示すように、突出駆動装置41で金型装置101の可動突出部104を後退変位させて、可動突出部104の先端部を貫通孔内で内部空間Siよりも奥まった位置に配置しておく。
【0040】
この状態で、
図6に示すように、射出装置11から成形材料Mmを射出し、成形材料Mmを金型装置101の内部空間に充填すると、可動突出部104が挿入されている貫通孔内で先端部までの隙間にも、成形材料Mmが入り込む。次いで、上述したようにして、
図7に示す型締圧縮を行う。
【0041】
型締圧縮の間又は後に、突出圧縮として、突出駆動装置41で可動突出部104を駆動し、
図8に示すように、たとえば可動突出部104の先端部が内部空間Siに突出する手前の位置まで、可動突出部104を前進変位させる。これにより、可動突出部104が挿入されている貫通孔内に入り込んでいた成形材料Mmは、前進変位する可動突出部104で内部空間Siに押し出され、内部空間Siの成形材料Mmが圧縮される。
【0042】
なおその後は、内部空間Siで成形材料Mmを冷却して硬化させ、成形品を成形する。制御部は、内部空間Siで成形品を成形した後、図示は省略するが、金型装置101を型開状態とし、突出駆動装置41に、可動突出部104を前進変位させて内部空間Siに突出させ、内部空間Siからの成形品の取出しを実行させることができる。
【0043】
上述したように型締圧縮及び突出圧縮を行う場合において、ユーザが突出駆動装置41の動作を誤って設定すると、金型装置101の破損の問題が顕在化し得る。これはすなわち、型締圧縮の前や途中に、可動突出部104が内部空間Siに大きく突出して、その先端部が固定金型102の内面に当ったときは、その後に型締圧縮で大きな型締力が可動突出部104に作用する。それにより、可動突出部104が折れる等といったような金型装置101の破損リスクが高まる。それ故に、この実施形態は、制御装置の制御部で型締圧縮や突出圧縮を実行する場合に、金型装置101の上述した破損リスクを低減できるので特に有利である。
【0044】
そのような破損リスクを有効に低減するため、可動突出部104の突出量の制限に用いる許容設定値が設定されていないときに、制御部は、ユーザによる上記の突出圧縮の実行を禁止することが好ましい。たとえば、許容設定値が設定されていない場合、制御部は、ユーザが入力部で突出圧縮の実行を選択できないようにし、又は当該実行を選択してもその突出圧縮を含む射出成形の動作が開始されないようにすることができる。また、制御部は、表示部への表示やアラーム等により、許容設定値が未設定であることをユーザに認識させてもよい。
【0045】
突出圧縮を実行する場合、ユーザは、突出圧縮に際して突出駆動装置41で可動突出部104を前進変位させるときの一段階又は複数段階の突出量を、入力部に入力して設定することができる。
図9に一例として、制御部が表示部に表示させることができる設定画面のうち、可動突出部104の突出量に関する表示部分201を示す。この例では、突出圧縮の実行に当り、可動突出部104の1stから4thまでの四段階の突出量を設定することができる。
【0046】
ここで、ユーザが、1stから4thまでの少なくとも一段階の可動突出部104の突出量として、許容設定値に基づいて制限される突出量、たとえば許容設定値を超える突出量を入力部から入力する等して企図したとき、制御部は、突出圧縮の実行を禁止することが好ましい。また制御部は、ユーザが入力部に、許容設定値に基づいて制限される突出量を入力することを禁止してもよい。そのような突出量で突出圧縮等の突出駆動装置41の動作が実行されると、金型装置101が破損するリスクが高まるからである。必要に応じて、たとえば表示部を用いて、ユーザに、突出圧縮の実行を禁止する旨の示唆や、許容設定値によって制限される突出量の入力を禁止する旨の示唆が与えられる。
【0047】
予め設定された許容設定値は、
図9に「制限位置」として示すように、表示部に表示させることが好適である。これにより、ユーザは、許容設定値が設定されていることや、それによって突出圧縮の実行が可能であること、許容設定値が入力可能な各段階の突出量の上限値であること等を容易に認識することができる。
【0048】
許容設定値は、ユーザが決定して入力部から入力することにより設定することができる。この場合、ユーザが設定した許容設定値に基づいて、突出駆動装置41が制御され得る。
【0049】
ユーザが許容設定値を入力可能にすることに加えて又は代えて、ユーザが入力部に、金型装置に関する金型情報を入力できるようにし、制御部は、ユーザにより入力された当該金型情報から、許容設定値を決定することが好ましい。
【0050】
この金型情報には、金型装置101の寸法についての情報が含まれ得る。具体的に金型情報としては、たとえば、
図10に示すように、可動プラテン移動方向にて、可動金型103を固定金型102に最も押し付けた状態での、可動突出部104の突出位置における固定金型102の内面と可動金型の内面との離隔距離D1がある。離隔距離D1は、型締状態の内部空間Siに突出可能な可動突出部104の最大突出量であり、制御部は、これを許容設定値とすることがある。
【0051】
金型情報は、
図11に示すように、可動プラテン移動方向にて、突出駆動装置41の突出ロッド42を最も後退させたときの、金型装置101のロッド当接部材105bの、突出ロッド42の先端からの離隔距離D2を含むことがある。離隔距離D1及びD2を足し合わせた値は、突出ロッド42のストローク量の許容設定値になり、制御部は、そのようなストローク量の許容設定値に基づいて突出駆動装置41を制御してもよい。なお、先述した
図9の「制限位置」は、突出ロッド42のストローク量の許容設定値(突出ロッド42の先端の最後進位置から許容される最前進位置までストローク量)としている。
【0052】
また制御部は、射出成形機1に取り付けられた金型装置101について許容設定値を決定するため、たとえば型締状態の金型装置101で、突出駆動装置41により可動突出部104を前進変位させて内部空間Siに突出させることができる。この前進変位により可動突出部104が金型装置101の内面に当って停止したとき、制御部は、その可動突出部104の前進停止位置から、許容設定値を決定することができる。
【0053】
ここでは、許容設定値を決定することを目的として可動突出部104を前進変位させるので、金型装置101の内部空間Siに成形材料を充填することを要しない。これまでとは異なる金型装置101に交換された際に、制御部は、射出成形動作の実行に先立って、当該可動突出部104の前進変位による許容設定値の決定を実行することができる。なお、そのような可動突出部104の前進変位は、金型装置101を損傷ないし破損させないように、突出駆動装置41により比較的低トルクで駆動されることが望ましい。
【0054】
(型締装置)
型締装置31は、金型装置101の固定金型102に対して可動金型103を接近変位させ又は離隔変位させて金型装置101を開閉し、金型装置101を型締状態、型閉状態又は型開状態とする。この型締装置31は、固定プラテン32a及び可動プラテン32bを含むプラテン32と、プラテン32を稼働させるプラテン稼働機構33とを有してなる。
【0055】
プラテン32のうち、固定プラテン32aは、ベースフレーム2に固定して取り付けられる。一方、可動プラテン32bは、ベースフレーム2上に敷設されたガイド部材32d上に配置されて、固定プラテン32aに対して離隔する方向及び接近する方向にスライドすることができる。型締装置31には、固定プラテン32aから後述のリヤプラテン34側に延びて固定プラテン32aとリヤプラテン34とを連結する一本又は複数本のタイバー32cが設けられている。可動プラテン32bは、この例では、タイバー32cにより固定プラテン32aに対する離隔・接近変位が案内されるものとしているが、タイバー32cで案内されなくてもかまわない。
【0056】
プラテン稼働機構33は、ベースフレーム2上に配置されたリヤプラテン34と、リヤプラテン34上に設けた型締モータ35と、型締モータ35の回転運動を、可動プラテン移動方向の直線運動に変換する運動変換機構36と、運動変換機構36に伝達された力を増大させて可動プラテン32bに伝えるトグル機構37とを備えるものである。
【0057】
このうち、運動変換機構36は、回転運動を直線運動に変換できる種々の機構とすることができるが、この例では、型締モータ35により回転駆動されるねじ軸36a及び、ねじ軸36aに羅合するナット36bを含んで構成されるものとしている。運動変換機構36をボールねじとすることも可能である。
【0058】
そして、運動変換機構36からの伝達力を増大させるトグル機構37は、リヤプラテン34及びナット36bと可動プラテン32bとをつなぐ複数のリンク37a~37cを、ジョイントで揺動可能に接続してなるものである。
リンク及びジョイントの個数ならびにその形状は適宜変更することが可能であるが、
図1に示すところでは、ナット36bに接続されて上下方向に延びるクロスヘッド37dに、該クロスヘッド37dを隔てて上下に位置するリンク37a~37cからなる一対のリンク群が、揺動可能に接続されて設けられている。
【0059】
なお、リヤプラテン34上には、上述した型締モータ35の他、型厚調整モータ38も設けることができる。この型厚調整モータ38は、先述のプラテン32の各タイバー32cの延長部分に接続されたねじ軸及びナットに回転駆動力を付与することにより、固定プラテン32aと、ベースフレーム2上で移動可能に載置されたリヤプラテン34との間の間隔を調整するべく機能する。これにより、金型装置101の交換や、温度変化に起因する金型装置101の厚みの変更等の際にも、金型装置101に所期したとおりの型締力を与えることができるように型厚の調整を行うことができる。図示は省略するが、ベースフレーム2上で固定プラテン側を移動可能とし、リヤプラテン側を固定としても、型厚の調整を実現可能である。
【0060】
図示の型締装置31は、可動プラテン32bの移動方向が水平方向と平行な横型のものであるが、該移動方向を垂直方向とした竪型のものとすることも可能である。
【0061】
(射出装置)
射出装置11は主に、金型装置101に向けて延びる円筒状等のシリンダ12と、シリンダ12の内部にそれと中心軸線を平行にして配置されて、周囲にフライトが螺旋状に設けられたスクリュ13と、シリンダ12の外周側にその周囲を取り囲んで配置されたバンド状等のヒータ14と、シリンダ12及びスクリュ13の後方側に配置されたモータボックス15とを備える。図示は省略するが、モータボックス15内には、シリンダ12の先端部に所定の量の成形材料を蓄積させるため、スクリュ13を中心軸線周りに回転させる計量モータや、金型装置101に接近する方向及び金型装置101から離れる方向の各方向へのスクリュ13の前進及び後退変位を行う射出モータ、スクリュ13が成形材料から受ける圧力を検出する圧力検出センサ等が配置されている。
【0062】
なおここでは、金型装置101の固定金型102が取り付けられる型締装置31の固定プラテン32aに接近する向きを前方側とし、固定プラテン32aから離隔する向きを後方側とする。
図1では固定プラテン32aの右側に位置する射出装置11について見ると、固定プラテン32aに接近する左向きが前方側となり、固定プラテン32aから離隔する右向きが後方側になる。
【0063】
シリンダ12は、後方側でモータボックス15の手前に、成形材料をシリンダ12内に投入するためのホッパーが取り付けられ得る供給口12aが設けられる。また、金型装置101に近接するシリンダ12の先端部には、その前方側で横断面積が小さくなるノズル12bが設けられている。なお、供給口12aの近傍には水冷等による水冷シリンダ12cを設けることができる。
【0064】
ノズル12bの周囲を含むシリンダ12の周囲に配置されるヒータ14は、たとえば図示のように、シリンダ軸線方向で複数の部分に分割されて、各ヒータ部分の内側のシリンダ12の内部を異なる温度で加熱できるものとすることができる。各ヒータ部分には、温度検出器を設けることができる。
【0065】
スクリュ13の先端側は、図示は省略するが、その外径を部分的に小さくして設けた括れ部の周囲に、スクリュ13とともに前進及び後退変位してそれより前方側に送られた成形材料の後方側への逆流を防止する逆流防止リングが配置されることがある。この逆流防止リングは、たとえば、それよりも前方側もしくは後方側に位置する成形材料から受ける圧力に応じて、スクリュ13に対して前後に変位し、これにより後方側から前方側に向かう成形材料の流れのみを許容するものである。
【0066】
このような構成を有する射出装置11によれば、供給口12aからシリンダ12の内部に投入された成形材料は、計量工程で、シリンダ12の外周側のヒータ14による加熱の下、計量モータで駆動されるスクリュ13の回転に基づいて溶融されつつ、シリンダ12の内部で前方側に向けて送られて、シリンダ12の先端部に蓄積される。この際に、スクリュ13は射出モータにより後退変位させられ、シリンダ12の先端部に、成形材料が蓄積される空間を形成する。
【0067】
その後、充填工程で、スクリュ13を前進変位させることにより、シリンダ12の先端部の成形材料は、ノズル12bを経て金型装置101に向けて射出される。さらにその後の保圧工程では、シリンダ12の先端部に残留している成形材料を通じて、金型装置101のキャビティに充填された成形材料に圧力を作用させる。このとき、金型装置101のキャビティで成形材料の冷却収縮に起因して不足した成形材料を補充することができる。
【0068】
なお、この射出成形機1はインラインスクリュ式のものであるが、可塑化シリンダ及び可塑化スクリュと、射出シリンダ及び射出プランジャーとに構造及び機能上分離させたプリプラ式の射出成形機とすることも可能である。
【0069】
(移動装置)
移動装置21は、たとえば射出装置11のモータボックス15の下部等に設けられ、固定プラテン32aに対して射出装置11を前進及び後退変位させる進退駆動機構である。
移動装置21を構成する進退駆動機構としては種々の機構を採用することができるが、図示の移動装置21は、油圧等の液圧ポンプ22と、液圧ポンプ22を作動させる電動等によるポンプ作動用モータ23と、液圧ポンプ22から作動液が供給されて、先端が固定プラテン32aに固定されたピストンロッドを押出・引込運動させる複動型の液圧シリンダ24とを含んで構成されている。
【0070】
この移動装置21は、上述した液圧ポンプ22、ポンプ作動用モータ23及び液圧シリンダ24が取り付けられたスライドベース25、ならびに、ベースフレーム2上に敷設されて該スライドベース25の直線運動を案内するガイド26をさらに含む。それにより、スライドベース25の上部に載置された射出装置11の進退変位を実現する。
【0071】
移動装置21により、射出装置11を金型装置101から離隔させたり、また、射出装置11を金型装置101に接近させて、射出装置11のシリンダ12のノズル12bを所定の圧力で金型装置101に押し付ける、いわゆるノズルタッチを行ったりすることが可能になる。
【0072】
(射出成形動作)
制御部は、成形品を製造するため、次に述べるような射出成形動作を実行することができる。
【0073】
前回の成形の際の後半に既に射出装置11の内部に成形材料が所定の量で計量されて配置された状態で、型締装置31を用いて、金型装置101を型閉状態とする型閉工程並びに、所定の型締力が作用するまで可動金型103を固定金型102に押し付ける昇圧工程及び型締工程を行う。
【0074】
次いで、スクリュ13の前進により上記の成形材料を金型装置101内に向けて射出し、成形材料を金型装置101内のキャビティに充填する充填工程と、スクリュ13をさらに前進させて射出装置11の先端部の内部にある成形材料を所定の圧力に保持する保圧工程とを順次に行う。このとき、先に述べた型締圧縮及び/又は突出圧縮を行ってよい。
【0075】
そしてその後、金型装置101のキャビティに充填された成形材料を冷却させて固化させ、成形品を得る冷却工程を行う。この際に、射出装置11内に別途投入した成形材料を、ヒータ14による加熱下でスクリュ13の回転により射出装置11の先端部に向けて送りながら溶融させ、所定の量の成形材料を先端部に配置する計量工程が行われる。
【0076】
さらにその後、型締装置31を作動させて、金型装置101への型締力を低下させる脱圧工程及び、金型装置101を開く型開工程を経て、突出駆動装置41により可動突出部104を移動させ、金型装置101から成形品を取り出す取出工程を行う。
【符号の説明】
【0077】
1 射出成形機
2 ベースフレーム
11 射出装置
12 シリンダ
12a 供給口
12b ノズル
12c 水冷シリンダ
13 スクリュ
14 ヒータ
15 モータボックス
21 移動装置
22 液圧ポンプ
23 ポンプ作動用モータ
24 液圧シリンダ
25 スライドベース
26 ガイド
31 型締装置
32 プラテン
32a 固定プラテン
32b 可動プラテン
32c タイバー
32d ガイド部材
33 プラテン稼働機構
34 リヤプラテン
35 型締モータ
36 運動変換機構
36a ねじ軸
36b ナット
37 トグル機構
37a~37c リンク
37d クロスヘッド
38 型厚調整モータ
41 突出駆動装置
42 突出ロッド
43 突出駆動源
101 金型装置
102 固定金型
103 可動金型
104 可動突出部
105a 突出板
105b ロッド当接部材
106 可動側取付板
107 スペーサブロック
108 受け板
108a 弾性部材
109 可動側型板
109a 材料押圧部材
109b 加圧部材
109c ゲート
110 固定側取付板
111 固定側型板
112 スプルーブッシュ
112a スプルー
121 間隔測定器
122 変位センサ
123 ターゲット
201 表示部の表示部分
D1、D2 離隔距離
Mm 成形材料
Se スペース
Si 内部空間