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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/08 20060101AFI20241225BHJP
【FI】
D06F39/08 331
D06F39/08 321
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021143921
(22)【出願日】2021-09-03
(65)【公開番号】P2023037273
(43)【公開日】2023-03-15
【審査請求日】2024-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】内山 具典
(72)【発明者】
【氏名】加藤 瞬
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-007224(JP,A)
【文献】特開2006-110091(JP,A)
【文献】特開2016-209331(JP,A)
【文献】特開2016-202525(JP,A)
【文献】特開2019-180471(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0250823(US,A1)
【文献】特開2015-165858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F39/00-39/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽と、
前記水槽の外部に設けられ前記水槽から流出した水を前記水槽に戻すための経路である循環経路と、
前記循環経路の途中に設けられ前記水槽から流出した水を吸い込んで吐出可能な循環ポンプと、
前記循環経路の途中に設けられ前記循環経路を流れる水にマイクロバブル又はナノバブルの少なくとも一方を析出させる機能を有する微細気泡発生器と
内部に前記微細気泡発生器が収容された状態で前記循環経路のうち前記循環ポンプの下流側の少なくとも一部を構成する下流側配管部材に挿入される接続部材と、
を備え、
前記接続部材は、当該接続部材の内側に前記微細気泡発生器を収容した状態で前記接続部材に前記循環ポンプからの水が吐出される吐出部が挿入され、前記微細気泡発生器に接触して前記微細気泡発生器を前記吐出部の先端部分に押さえ付ける機能を有する押え部を有し、
前記微細気泡発生器は、前記接続部材の上流側に前記吐出部が挿入されて、前記押え部と前記吐出部との間に挟まれて着脱可能に固定されている、
洗濯機。
【請求項2】
前記循環ポンプは、2つの前記吐出部を有し、
前記微細気泡発生器は、2つの前記吐出部のうち一方に設けられている、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記循環ポンプは、2つの前記吐出部を有し、
前記微細気泡発生器は、2つの前記吐出部の両方に設けられている、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項4】
水槽と、
前記水槽の外部に設けられ前記水槽から流出した水を前記水槽に戻すための経路である循環経路と、
前記循環経路の途中に設けられ前記水槽から流出した水を吸い込んで吐出可能な循環ポンプと、
前記循環経路の途中に設けられ前記循環経路を流れる水にマイクロバブル又はナノバブルの少なくとも一方を析出させる機能を有する微細気泡発生器と
内部に前記微細気泡発生器が収容された状態で前記循環経路のうち前記循環ポンプの上流側の少なくとも一部を構成する上流側配管部材に挿入される接続部材と、
を備え、
前記接続部材は、当該接続部材の内側に前記微細気泡発生器を収容した状態で前記接続部材に前記循環ポンプ内に水を吸い込む吸込部が挿入され、前記微細気泡発生器に接触して前記微細気泡発生器を前記吸込部の先端部分に押さえ付ける機能を有する押え部を有し、
前記微細気泡発生器は、前記接続部材の下流側に前記吸込部が挿入されて、前記押え部と前記吸込部との間に挟まれて着脱可能に固定されている、
洗濯機。
【請求項5】
前記微細気泡発生器の上流側に設けられて前記水槽から流出した後でかつ前記微細気泡発生器に流入する前の水に含まれる異物を捕集するフィルタ装置を更に備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ファインバブルと称されるマイクロバブルやウルトラファインバブル等の微細気泡を含む微細気泡水を洗濯機に用いることで洗浄効果を向上させる技術が注目されている。このような洗濯機においては、微細気泡の濃度を高めるために水槽内の水を循環させる循環経路の途中に微細気泡発生器を設ける構成が知られている。しかしながら、このような従来構成において、微細気泡発生器の着脱や交換等のメンテナンス性に改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-209331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、循環経路の途中に設けた微細気泡発生器に対する着脱の作業性を向上することができる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の洗濯機は、水槽と、前記水槽の外部に設けられ前記水槽から流出した水を前記水槽に戻すための経路である循環経路と、前記循環経路の途中に設けられ前記水槽から流出した水を吸い込んで吐出可能な循環ポンプと、前記循環経路の途中に設けられ前記循環経路を流れる水にマイクロバブル又はナノバブルの少なくとも一方を析出させる機能を有する微細気泡発生器と、を備える。前記微細気泡発生器は、前記循環ポンプからの水が吐出される吐出部と、前記循環経路のうち前記循環ポンプの下流側の少なくとも一部を構成する下流側配管部材と、の間に挟まれて固定されている。又は、前記微細気泡発生器は、前記循環ポンプ内に水を吸い込む吸込部と、前記循環経路のうち前記循環ポンプの上流側の少なくとも一部を構成する上流側配管部材と、の間に挟まれて固定されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態による縦型洗濯機の一例を概略的に示す図
図2】第1実施形態によるドラム式洗濯機の一例を概略的に示す図
図3】第1実施形態について、循環ポンプ及び微細気泡発生器の構成の一例を示す断面図
図4】第1実施形態について、図3のX4-X4線に沿って示す断面図
図5】第1実施形態について、図3のX5-X5線に沿って切断した微細気泡発生器を拡大して示す断面図
図6】第1実施形態について、羽根車の回転方向と吐出態様の関係を示す図
図7】第2実施形態について、循環ポンプ及び微細気泡発生器の構成の一例を示す断面図
図8】第3実施形態について、循環ポンプ及び微細気泡発生器の構成の一例を示す断面図
図9】第3実施形態について、図8のX9-X9線に沿って示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0008】
(第1実施形態)
第1実施形態について、図1から図6を参照しながら説明する。本実施形態は、図1に示す縦軸型の洗濯機いわゆる全自動洗濯機10、及び図2に示す横軸または斜め軸型のドラム式洗濯機20のいずれにも適用することができる。また、図1及び図2に示す洗濯機10、20は、洗濯物の乾燥が可能な乾燥機能を備えたものであっても良いし、備えていないものでも良い。
【0009】
図1に示す洗濯機10は、外箱11、水槽12、回転槽13、モータ14、注水装置31、排水経路32、排水弁33、フィルタ装置34、循環経路40、循環ポンプ50、及び微細気泡発生器60を備えている。なお、図1において、洗濯機10の設置面側つまり鉛直下側を洗濯機10の下側とし、設置面と反対側つまり鉛直上側を洗濯機10の上側とする。洗濯機10は、回転槽13の回転軸が鉛直方向を向いた縦型洗濯機である。図1の縦型洗濯機10は、全自動洗濯機と称することもできる。水槽12及び回転槽13は、洗濯物を収納する洗濯槽として機能する。
【0010】
図2に示す洗濯機20は、外箱21、水槽22、回転槽23、モータ24、注水装置31、排水経路32、排水弁33、フィルタ装置34、循環経路40、循環ポンプ50、及び微細気泡発生器60を備えている。なお、図2において、洗濯機20の設置面側つまり鉛直下側を洗濯機20の下側とし、設置面と反対側つまり鉛直上側を洗濯機20の上側とする。洗濯機20は、回転槽23の回転軸が水平へ向かう横軸型又は後方へ向かって下降傾斜した斜め軸型のドラム式洗濯機である。水槽22及び回転槽23は、洗濯物を収納する洗濯槽として機能する。
【0011】
図1に示す縦型洗濯機10及び図2に示すドラム式洗濯機20において、水槽12、22は、外箱11、21内に配置されて図示しないサスペンションによって弾性的に支持されている。水槽12、22は、排水口121、221を有している。排水口121、221は、水槽12、22の底部付近に設けられており、水槽12、22内に貯留されている水を水槽12、22の外部に排水するためのものである。回転槽13、23は、水槽12、22内に回転可能に配置されており、モータ14、24によって回転駆動される。
【0012】
注水装置31は、外部の給水源に接続されて、外部の給水源から供給された水を水槽12、22内に供給する機能を有する。注水装置31は、図1及び図2に示すように、給水ホース100を介して、例えば図示しない水道の蛇口など外部の給水源に接続される。注水装置31は、例えば注水ケース311、処理剤ケース312、及び複数の給水弁313、314を有して構成することができる。
【0013】
注水ケース311は、注水装置31の外殻を構成するものであり、例えば樹脂製であって内部に空間を有する箱状に形成されている。処理剤ケース312は、ユーザから洗剤や柔軟仕上げ剤等の洗濯処理剤の投入を受けるための部材であり、例えば注水ケース311に出し入れ可能又は着脱可能に構成することができる。給水弁313、314は、電磁的に開閉動作可能な液体用の開閉弁で構成することができ、図示しない制御装置によって駆動制御される。例えば給水弁313、314のいずれか一方又は両方が開かれると、外部の水源から供給された水が、注水ケース311を介して水槽12、22内に給水される。
【0014】
排水経路32は、水槽12、22の底部付近に設けられた排水口121、221からフィルタ装置34及び排水弁33を経て洗濯機10、20の機外に至る経路である。排水経路32は、水槽12、22内に貯留されている水を洗濯機10、20の機外に排出する機能を有する。排水弁33は、電磁的に開閉動作が可能な液体用の開閉弁である。排水弁33は、排水経路32上に設けられており、図示しない制御装置からの制御信号に基づいて排水経路32を開閉する。排水弁33が閉じると、水槽12、22の内部に水が貯留可能となる。また、排水弁33が開くと、水槽12、22内の水を機外へ排出可能となる。
【0015】
フィルタ装置34は、排水口121、221の下流側に設けられており、水槽12、22から流出した水に含まれるリントやゴミ等の異物を捕集する機能を有する。フィルタ装置34は、内部に網目状のフィルタ341を有しており、そのフィルタ341によって、フィルタ装置34内を通過する水に含まれるリントやゴミ等の異物を捕集する。
【0016】
循環経路40は、水槽12、22の排水口121、221からフィルタ装置34及び循環ポンプ50を経て再び水槽12、22に戻る経路である。循環経路40は、水槽12、22の外部に設けられており、水槽12、22の排水口121、221から流出した水を、水槽12、22に戻して循環させる機能を有する。
【0017】
本実施形態の場合、排水経路32と循環経路40とは、排水口121、221からフィルタ装置34に至る部分において共通した経路となっている。すなわち、排水経路32と循環経路40とは、フィルタ装置34の下流側において2方向に分岐している。そして、分岐した後、排水経路32は機外に至り、循環経路40は水槽12、22に戻る。フィルタ装置34は、排水経路32と循環経路40との共通部分に設けられている。
【0018】
循環ポンプ50は、循環経路40の途中に設けられている。循環ポンプ50は、水槽12、22の排水口121、221から流出しフィルタ装置34を通過した水を吸い込んで下流側に吐出し、これにより水槽12、22内の水を、循環経路40を通して循環させる機能を有する。循環ポンプ50は、1つの吸込部511と1つ以上の吐出部512、513を有して構成されている。本実施形態の場合、循環ポンプ50は、2つの吐出部512、513を有している。
【0019】
循環ポンプ50は、例えば遠心ポンプや容積ポンプ等、各種の方式のポンプで構成することができる。循環ポンプ50は、図3及び図4に示すように、例えばポンプケース51、羽根車52、及びモータ53を有している。ポンプケース51は、循環ポンプ50の外殻を構成するものであり、内部に水が通過する空間を有している。
【0020】
羽根車52は、ポンプケース51内に回転可能に設けられている。羽根車52は、例えば円板部521、回転軸部522、及び複数の羽根部523を有して構成されている。円板部521は、円板状に形成された部分であり、回転軸部522及び羽根部523を配置するための土台となる部分である。回転軸部522は、羽根車52の回転中心となる部分である。回転軸部522は、円板部521の中心に設けられており、円板部521の厚み方向へ向かって突出している。そして、複数の羽根部523は、円板部521の一方側に面に設けられており、回転軸部522から円板部521の外側へ向かって放射状に配置されている。
【0021】
モータ53は、ポンプケース51の外部に設けられている。モータ53の回転軸は、羽根車52の中心軸に接続されている。モータ53は、図示しない制御装置からの制御を受けて駆動し、これにより、羽根車52を回転させる。本実施形態の場合、モータ53は、羽根車52を正方向及び逆方向に切り替えて回転させることができるとともに、回転速度を調節することができる。
【0022】
図4に示す吸込部511及び図3に示す吐出部512、513は、それぞれポンプケース51に設けられている。吸込部511は、例えばポンプケース51において羽根車52の回転軸部522に対向する部分に設けられている。吸込部511は、例えば円筒状に形成されており、回転軸部522の軸方向に沿ってポンプケース51の外側へ突出している。吸込部511は、上流側配管部材41の接続を受ける機能を有する。吸込部511の内側はポンプケース51の内部に連通している。回転軸部522の軸方向と、吸込部511の中心軸の方向は一致している。
【0023】
吐出部512、513は、例えばポンプケース51において羽根車52の径方向の外側に対応する部分に設けられている。吐出部512、513は、例えば円筒状に形成されており、羽根車52の径方向の外側へ向かって突出している。すなわち、吐出部512、513は、例えば羽根車52の回転軸部522の軸方向に対して直角方向の外側へ向かって延びている。吐出部512、513は、下流側配管部材42、43の接続を受ける機能を有する。吐出部512、513の内側は、それぞれポンプケース51内に連通している。
【0024】
また、循環経路40は、図1から図4に示すように、上流側配管部材41を有するとともに、1つ以上の吐出部512、513に対応した1つ以上の下流側配管部材42、43を有して構成することができる。本実施形態の場合、循環経路40は、2つの吐出部512、513に対応して2つの下流側配管部材42、43を有している。上流側配管部材41は、循環経路40のうち循環ポンプ50の上流側の少なくとも一部又は全部を構成する。この場合、循環経路40のうち循環ポンプ50の上流側とは、水槽12、22の排水口121、221から循環ポンプ50の吸込部511に至るまでの部分を意味する。
【0025】
本実施形態の場合、上流側配管部材41は、循環経路40のうちフィルタ装置34と循環ポンプ50の吐出部511との間を構成しており、フィルタ装置34と循環ポンプ50とを接続している。上流側配管部材41は、例えば金属製又は樹脂製で水を通すことが可能な配管部材で構成することができる。また、上流側配管部材41は、例えば可撓性を有して折り曲げ可能に構成されていても良いし、剛性を有して折り曲げ不可に構成されていても良い。
【0026】
下流側配管部材42、43は、循環経路40のうち循環ポンプ50の下流側の少なくとも一部又は全部を構成する。この場合、循環経路40のうち循環ポンプ50の下流側とは、循環ポンプ50の吐出部512、513から水槽12、22に至るまでの部分を意味する。
【0027】
本実施形態の場合、下流側配管部材42、43は、循環経路40のうち循環ポンプ50の吐出部512、513から水槽12、22に至るまでの経路を構成している。下流側配管部材42、43は、例えば樹脂製で水を通すことが可能な配管部材で構成することができる。また、下流側配管部材42、43は、例えば可撓性を有して折り曲げ可能に構成されていている。
【0028】
本実施形態の場合、2つの下流側配管部材42、43は、それぞれ水槽12、22の異なる箇所に接続されている。この場合、水槽12、22の異なる箇所とは、洗濯機10、20に対する高さ方向、幅方向、又は奥行方向の少なくともいずれか1つが異なることを意味する。本実施形態の場合、2つの下流側配管部材42、43は、回転槽13、23の回転中心を挟んだ両側に接続されている。下流側配管部材42、43の下流側の端部421、431は、それぞれ水槽12、22内の中心に向けて配置されている。循環ポンプ50の吐出部512、513から吐出された水は、下流側配管部材42、43の下流側の端部421、431から水槽12、22内に注水される。なお、下流側配管部材42、43は、単一の部材で構成しても良いし、複数の部材を組み合わせて構成しても良い。
【0029】
微細気泡発生器60は、循環経路40の途中に設けられており、循環経路40を流れる水にマイクロバブル又はナノバブルの少なくとも一方を析出させる機能を有する。本明細書では、マイクロバブル及びナノバブルを総称して微細気泡と称することがある。微細気泡発生器60は、微細気泡の生成に外気の導入を必要としない構成とすることができる。本実施形態の場合、微細気泡発生器60は、フィルタ装置34の下流側に設けられている。すなわち、本実施形態の場合、フィルタ装置34は、微細気泡発生器60の上流側に設けられており、水槽12、22から流出した後でかつ微細気泡発生器60に流入する前の水に含まれる異物を捕集する機能を有する。
【0030】
微細気泡発生器60は、2つの吐出部512、513のいずれか一方又は両方に対応して設けることができる。すなわち、洗濯機10は、例えば循環ポンプ50の2つの吐出部512、513の一方に対応して微細気泡発生器60を1つ備えていても良いし、2つの吐出部512、513の両方に対応して微細気泡発生器60を2つ備えていても良い。
【0031】
本実施形態の場合、洗濯機10は、例えば循環ポンプ50の2つの吐出部512、513の一方に対応して微細気泡発生器60を1つ備えている。なお、本実施形態では、2つの吐出部512、513のうち微細気泡発生器60が設けられた方を微細気泡側吐出部512と称し、微細気泡発生器60が設けられていない方を非微細気泡側吐出部513と称することがある。
【0032】
微細気泡発生器60は、直径及び全長が例えば数mm~数十mm程度、具体的には直径が最大約15mmで長さが約10mmに設定されている。微細気泡発生器60は、図3及び図5に示すように、絞り部61、ストレート部62、及び衝突部63を有している。絞り部61及びストレート部62は、循環ポンプ50側から下流側配管部材42へ向かって水を流す流路を構成する。
【0033】
絞り部61は、微細気泡発生器60の流入側つまり上流側に設けられている。絞り部61は、微細気泡発生器60の長手方向の上流側端部から途中部分にかけて流路の断面積つまり内径が連続的に徐々に減少するようないわゆる截頭円錐形のテーパ管状に形成されている。ストレート部62は、絞り部61の下流側に設けられている。ストレート部62は、内径が変化しない、すなわち流路の断面積つまり液体の通過可能な面積が変化しない円筒形、いわゆるストレート管状に形成されている。
【0034】
衝突部63は、ストレート部62の下流端部分に設けられている。衝突部63は、微細気泡発生器60における水の通過可能な断面積を局所的に縮小することで、微細気泡発生器60を通過する液体中に主としてナノオーダーの微細気泡を多量に発生させる機能を有する。
【0035】
また、本実施形態の場合、衝突部63は、図5に示すように、例えば先端が尖った4本の棒状の部分で構成することができる。衝突部63は、ストレート部62の内周面からこのストレート部62の断面における中心方向へ向かって突出している。4本の衝突部63は、ストレート部62の断面の周方向に向かって相互に等間隔に離間した状態で配置されている。この場合、各衝突部63の下流側の面は、平坦面に形成されている。また、各衝突部63で構成される隙間の面積が、微細気泡発生器60における水の通過可能な最小断面積となる。
【0036】
微細気泡発生器60の上流側に水が流入すると、截頭円錐テーパ形状に縮小するように形成された絞り部61において流路断面積が絞られることによって、流体力学のいわゆるベルヌーイの定理に基づき流速が高められるとともに減圧によるキャビテーションが発生する。そして、その高速流が衝突部63に衝突することで作用するせん断力によって細分化された微細気泡が生成される。これにより、微細気泡発生器60は、微細気泡発生器60内を通過する水の中に溶存している空気を微細気泡として多量に析出させて、微細気泡発生器60を通過する以前よりも微細気泡を多量に含んだ微細気泡水を供給することができる。
【0037】
微細気泡発生器60は、図3に示すように、微細気泡側吐出部512と、微細気泡側吐出部512の下流側に設けられる下流側配管部材42と、の間に直接的又は間接的に挟まれて固定されている。微細気泡発生器60は、例えば接続部材70を用いて、微細気泡側吐出部512と下流側配管部材42との間に間接的に挟んで固定することができる。この場合、微細気泡発生器60に対しては、ねじや接着剤等の部材は用いられていない。すなわち、微細気泡発生器60と接続部材70との関係について見ると、微細気泡発生器60は、接続部材70に挿入されているだけである。このため、微細気泡発生器60は、接続部材70に対しては大きな抵抗もなく簡単でかつ小さい力で着脱可能に構成されている。
【0038】
接続部材70は、例えば剛性を有する金属製又は樹脂製によって、全体として円筒形状の部材で構成することができる。接続部材70は、内部に微細気泡発生器60を収容可能に構成されているとともに、微細気泡側吐出部512の先端部分を挿入可能に構成されている。この場合、微細気泡側吐出部512と接続部材70とは、相互に軽圧入可能な構成としたり、微細気泡側吐出部512の外周面と接続部材70の内周面とにそれぞれ雄ねじ及び雌ねじを設けたりすることにより、相互に着脱可能に構成することができる。
【0039】
接続部材70は、例えば押え部71及びフランジ部72を有して構成することができる。押え部71は、接続部材70の内側に微細気泡発生器60を収容した状態で接続部材70に微細気泡側吐出部512が挿入された場合に、微細気泡発生器60に接触して微細気泡発生器60を微細気泡側吐出部512の先端部分に押さえ付ける機能を有する。押え部71は、例えば接続部材70をいわゆる段付きの円筒形状とした場合における段部の内側面とすることができる。
【0040】
フランジ部72は、例えば接続部材70のうち微細気泡側吐出部512側の端部を外方に突出させた形状に形成されている。この場合、ポンプケース51は、微細気泡側吐出部512に対応して係止部514を有している。係止部514は、微細気泡側吐出部512の外側へ向かって例えば円環状に突出したいわゆる鍔状に形成されている。フランジ部72と係止部514とは、接続部材70に対する微細気泡側吐出部512の挿入量つまり挿入の深さ寸法を規定する機能を有する。接続部材70の内側に微細気泡側吐出部512の先端部分を挿入し、その挿入の深さ寸法が所定量に至ると、フランジ部72が係止部514に接触する。これにより、接続部材70に対する微細気泡側吐出部512の更なる挿入が規制される。
【0041】
また、接続部材70は、下流側配管部材42の端部内に挿入可能に構成されている。この場合、下流側配管部材42の端部と接続部材70とは、軽圧入可能な構成としたり、下流側配管部材42の端部付近の内周面と接続部材70の外周面とにそれぞれ雌ねじ及び雄ねじを設けたりすることにより、相互に着脱可能に構成することができる。
【0042】
なお、微細気泡発生器60の外周面つまり微細気泡発生器60と接続部材70との間には、図示しないシール部材を設けることができる。これにより、微細気泡発生器60と接続部材70との間の水密性が確保される。同様に、接続部材70と下流側配管部材42との間にも、図示しないシール部材を設けることができる。これにより、接続部材70と下流側配管部材42との間の水密性が確保される。更に、接続部材70自身を、シール性を有する部材で構成しても良い。これによれば、シール機能を専用とするシール部材を設ける必要がなくなるため、部品点数や組み立て工数を削減することができる。
【0043】
本実施形態の循環ポンプ50は、羽根車52の回転方向及び回転速度を調整することで、2つの吐出部512、513のうちいずれの吐出部512、513から水を吐出するのかを選択的に切り替えることができる。本実施形態の循環ポンプ50は、2つの吐出部512、513の両方から吐出させる態様と、2つの吐出部512、513のうち微細気泡発生器60が設けられていない非微細気泡側吐出部513のみから吐出させる態様と、を選択的に切り替えることができる。以下の説明では、羽根車52の回転方向に関し、図3における時計回り方向つまり実線矢印の方向を正回転とし、反時計回り方向つまり破線矢印を逆回転とする。
【0044】
ここで、2つの吐出部512、513のうち微細気泡側吐出部512には、微細気泡発生器60が設けられている。そして、微細気泡発生器60は、微細気泡側吐出部512と下流側配管部材42との間の流路を局所的に狭めて絞る機能を有する。そのため、微細気泡側吐出部512と下流側配管部材42との間の流路抵抗は、非微細気泡側吐出部513と下流側配管部材43との間の流路抵抗よりも大きい。したがって、循環ポンプ50内の水は、微細気泡側吐出部512よりも非微細気泡側吐出部513から優先的に吐出される。
【0045】
すなわち、本実施形態の循環ポンプ50は、循環ポンプ50内の水を、微細気泡側吐出部512から微細気泡発生器60を通過させて吐出させるために必要な圧力と、非微細気泡側吐出部513から吐出させるために必要な圧力と、が異なっている。この場合、循環ポンプ50内の水を、微細気泡側吐出部512から微細気泡発生器60を通過させて吐出させるためには、非微細気泡側吐出部513から吐出させる場合よりも高い圧力を要する。
【0046】
具体的には、循環ポンプ50は、図6に示すように、羽根車52を正方向でかつ高速に回転させることで、微細気泡側吐出部512と非微細気泡側吐出部513との両方から水を吐出させることができる。これにより、微細気泡発生器60を通過させて微細気泡の濃度を増した水と、微細気泡発生器60を通過させずに微細気泡の濃度を増さない水と、の両方を水槽12、22に戻すことができる。また、羽根車52を逆方向でかつ低速に回転させることで、非微細気泡側吐出部513からのみ水を吐出させることができる。これにより、微細気泡発生器60を通過させずに微細気泡の濃度を増さない水のみを、水槽12、22に戻すことができる。
【0047】
すなわち、羽根車52を高速で回転させると、循環ポンプ50内の圧力が高くなる。そして、羽根車52の回転方向を図3の実線矢印で示す正回転にすると、微細気泡側吐出部512には、非微細気泡側吐出部513から吐出される前の圧力が作用する。このため、微細気泡側吐出部512には、非微細気泡側吐出部513よりも高い吐出圧力が作用するとともに、非微細気泡側吐出部513には、微細気泡側吐出部512よりも低い吐出圧が作用する。
【0048】
これにより、循環ポンプ50内の水は、微細気泡側吐出部512及び非微細気泡側吐出部513の両方から吐出される。このとき、微細気泡側吐出部512から吐出される水は、微細気泡発生器60を通過することにより、循環ポンプ50に吸い込まれる前の水に比べて微細気泡の濃度が増す。そして、微細気泡発生器60を通過して多量の微細気泡を含んだ水は、下流側配管部材42を通って水槽12、22内に注がれる。
【0049】
また、非微細気泡側吐出部513から吐出される水は、微細気泡発生器60を通過しないため、循環ポンプ50に吸い込まれる前の水に比べて微細気泡の濃度は増えない。そして、非微細気泡側吐出部513から吐出される水は、下流側配管部材43を通って水槽12、22内に注がれる。この場合、微細気泡側吐出部512から吐出される水と、非微細気泡側吐出部513から吐出される水とは、それぞれ異なる位置から水槽12、22に注がれる。
【0050】
これに対し、羽根車52を低速で回転させると、循環ポンプ50内の圧力はそれほど高くならない。すなわち、羽根車52を低速で回転させた場合には、羽根車52を高速で回転させた場合に比べて、循環ポンプ50内の圧力は低い。このときの羽根車52の回転速度は、循環ポンプ50内の水が、非微細気泡側吐出部513からは吐出されるが微細気泡側吐出部512からは吐出されない程度に設定することができる。
【0051】
そして、羽根車52を低速で回転させるとともに、羽根車52の回転方向を図3の破線矢印で示す逆回転にすると、羽根車52の回転による吐出圧力は、微細気泡側吐出部512よりも先に非微細気泡側吐出部513側に作用する。これにより、循環ポンプ50内の水は、微細気泡側吐出部512からは吐出されずに、非微細気泡側吐出部513からのみ吐出される。そのため、この場合、微細気泡発生器60を通過せずに微細気泡の濃度が増加されていない水のみが、下流側配管部材43を通って水槽12、22に戻される。なお、この場合、微細気泡側吐出部512から多少の水が漏れ出る程度は許容される。
【0052】
以上説明した実施形態によれば、洗濯機10、20は、水槽12、22と、循環経路40と、循環ポンプ50と、微細気泡発生器60と、を備えている。循環経路40は、水槽12、22の外部に設けられており、水槽12、22から流出した水を水槽12、22に戻すための経路である。循環ポンプ50は、循環経路40の途中に設けられており、水槽12、22から流出した水を吸い込んで吐出可能に構成されている。微細気泡発生器60は、循環経路40の途中に設けられており、循環経路40を流れる水にマイクロバブル又はナノバブルの少なくとも一方を析出させる機能を有する。
【0053】
この構成によれば、循環経路40の途中に微細気泡発生器60が設けられている。このため、水槽12、22内の水を、微細気泡発生器60を通過するように循環させることで、水槽12、22内の水に含まれる微細気泡の濃度を増大させる又は濃度の低下を抑制することができる。その結果、微細気泡による高い洗浄効果を発揮することができる。
【0054】
そして、本実施形態の微細気泡発生器60は、循環ポンプ50からの水が吐出される微細気泡側吐出部512と、循環経路40のうち循環ポンプ50の下流側の少なくとも一部を構成する下流側配管部材42と、の間に挟まれて固定されている。
【0055】
この場合、循環ポンプ50の吐出部512と下流側配管部材42とを接続する作業は、微細気泡発生器60を有さない構成であっても、循環経路40を構成するためには必要な作業である。そのため、本実施形態のように微細気泡発生器60を、吐出部512と下流側配管部材42との間に挟んで固定する構成とすることで、循環経路40を構成するために必要な作業に若干の作業を加えるだけで、微細気泡発生器60を循環経路40の途中に取り付けることができる。このように、本実施形態によれば、微細気泡発生器60を取り付けるための大掛かりな作業を行う必要がなくなり、その結果、循環経路40の途中に設けた微細気泡発生器60に対する着脱や交換等の作業性を向上させることができる。
【0056】
また、循環ポンプ50は、2つの吐出部512、513を有している。そして、微細気泡発生器60は、2つの吐出部512、513のうち一方に設けられている。ここで、本実施形態の微細気泡発生器60は、水の通過可能な面積を局所的に狭めることで微細気泡を析出させる構成である。このため、循環ポンプ50の吐出圧力が一定とした場合、循環経路40に微細気泡発生器60を設けた場合には、微細気泡発生器60を設けない場合に比べて、循環経路40を循環する水の流量が少なくなる。
【0057】
これに対し、本実施形態のように、2つの吐出部512、513のうち、一方に微細気泡発生器60を設け、他方に微細気泡発生器60を設けない構成とすることで、微細気泡発生器60が設けられていない方を流路抵抗の小さいいわゆるバイパスとすることができる。これにより、微細気泡を発生させつつ、流量を確保することができる。
【0058】
また、洗濯機10、20は、フィルタ装置34を更に備える。フィルタ装置34は、微細気泡発生器60の上流側に設けられており、水槽12、22から流出した後でかつ微細気泡発生器60に流入する前の水に含まれる異物を捕集する機能を有する。これによれば、水槽12、22から流出した水は、フィルタ装置34によって異物が取り除かれた状態で微細気泡発生器60に流入するため、水に含まれる異物によって微細気泡発生器60が詰まってしまうことを低減することができる。
【0059】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図7を参照して説明する。なお、ここで説明しない構成については、第1実施形態と共通している。第2実施形態では、循環ポンプ50の2つの吐出部512、513の両方に、微細気泡発生器60が設けられている。微細気泡発生器60の取付け構造は、上記第1実施形態と同様の構造とすることができる。この場合、2つの吐出部512、513の両方を、微細気泡側吐出部512、513と称することができる。
【0060】
本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。また、本実施形態のように、2つの吐出部512、513の両方に微細気泡発生器60を設けることで、吐出部512、513の片方に微細気泡発生器60を設けた場合に比べて微細気泡の濃度を高めることができるとともに、流量も確保することができる。
【0061】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について図8及び図9を参照して説明する。なお、ここで説明しない構成については、第1実施形態と共通している。第3実施形態において、微細気泡発生器60は、循環ポンプ50内に水を吸い込む吸込部511と、循環経路40のうち循環ポンプ50の上流側の少なくとも一部を構成する上流側配管部材41と、の間に挟まれて固定されている。
【0062】
本実施形態において、微細気泡発生器60は、図9に示すように、吸込部511と上流側配管部材41との間に直接的又は間接的に挟まれて固定されている。微細気泡発生器60は、上記各実施形態と同様に、例えば接続部材70を用いて、吸込部511と上流側配管部材41との間に間接的に挟んで固定することができる。この場合、係止部514は、吸込部511の外周面に設けられている。
【0063】
また、この場合、接続部材70は、例えばテーパ部73を有する構成とすることができる。テーパ部73は、接続部材70の長手方向の上流側端部から途中部分にかけて流路の断面積つまり内径が連続的に徐々に減少するようないわゆる截頭円錐形のテーパ管状に形成された部分である。テーパ部73の内面は、微細気泡発生器60の絞り部61の面と連続した面を構成している。これにより、テーパ部73は、上流側配管部材41を流れた水を、微細気泡発生器60へ滑らかに水を導くことができる。
【0064】
本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。また、本実施形態のように吸込部511側に微細気泡発生器60を設けることで、例えば循環ポンプ50が2つの吐出部512、513を有する構成の場合、1つの微細気泡発生器60によって2つの吐出部512、513から微細気泡の濃度を高めた水を吐出することができる。
【0065】
なお、各実施形態は、相互に組み合わせて適用することもできる。
また、各実施形態において、循環ポンプ50は、2つの吐出部512、513を有する構成としたが、1つの吐出部のみを有する構成でも良い。例えば第1実施形態において、循環ポンプ50は、微細気泡発生器60が取り付けられる微細気泡側吐出部512のみを有し、微細気泡発生器60が取り付けられない非微細気泡側吐出部513を有さない構成とすることもできる。
また、例えば第3実施形態において、循環ポンプ50は、1つの吐出部512のみを有する構成とすることもできる。
【0066】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
10、20…洗濯機、12、22…水槽、34…フィルタ装置、40…循環経路、41…上流側配管部材、42、43…下流側配管部材、50…循環ポンプ、60…微細気泡発生器、511…吸込部、512、513…吐出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9