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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20241225BHJP
【FI】
H02M3/155 C
H02M3/155 H
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021526172
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(86)【国際出願番号】 JP2020023307
(87)【国際公開番号】W WO2020251045
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】P 2019110968
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020037654
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020037659
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 公亮
(72)【発明者】
【氏名】立石 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】橋口 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】田古部 勲
(72)【発明者】
【氏名】山口 雄平
【審査官】白井 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-156777(JP,A)
【文献】特開2012-253949(JP,A)
【文献】特表2010-525786(JP,A)
【文献】米国特許第06271651(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00~3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を出力電圧に降圧するスイッチング電源装置であって、
第1端が前記入力電圧の印加端に接続可能に構成され、第2端がインダクタの第1端に接続可能に構成される第1スイッチと、
第1端が前記インダクタの第1端及び前記第1スイッチの第2端に接続可能に構成され、第2端が前記入力電圧よりも低い電圧の印加端に接続可能に構成される第2スイッチと、
第1端が前記インダクタの第1端、前記第1スイッチの第2端、及び前記第2スイッチの第1端に接続可能に構成され、第2端が前記インダクタの第2端に接続可能に構成される第3スイッチと、
前記出力電圧のオーバーシュートの発生又はその予兆と、前記出力電圧のオーバーシュートの収束と、を検出する検出部と、
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記第3スイッチのオン/オフを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの発生又はその予兆が検出されてから、前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの収束が検出されるまでの期間、前記第3スイッチがオン状態であるときには前記第1スイッチをオフ状態にし、前記第3スイッチがオン状態であるときには前記第2スイッチをオフ状態にし、前記第3スイッチのオン状態とオフ状態とを固定周期で切り替え
前記第1スイッチのオン状態とは、前記第1スイッチの第1端から第2端に電流が流れることが可能であり、前記第1スイッチの第2端から第1端に電流が流れることも可能である状態であり、
前記第1スイッチのオフ状態とは、前記第1スイッチの第1端から第2端に電流が流れることが不可能である状態であり、
前記第2スイッチのオン状態とは、前記第2スイッチの第1端から第2端に電流が流れることが可能であり、前記第2スイッチの第2端から第1端に電流が流れることも可能である状態であり、
前記第2スイッチのオフ状態とは、前記第2スイッチの第1端から第2端に電流が流れることが不可能である状態であり、
前記第3スイッチのオン状態とは、前記第3スイッチの第1端から第2端に電流が流れることが可能であり、前記第3スイッチの第2端から第1端に電流が流れることも可能である状態であり、
前記第3スイッチのオフ状態とは、前記第3スイッチの第1端から第2端に電流が流れること及び前記第3スイッチの第2端から第1端に電流が流れることの少なくとも一方が不可能である状態である、スイッチング電源装置。
【請求項2】
前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの発生又はその予兆が検出されてから、前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの収束が検出されるまでの期間において、前記第3スイッチのオフ状態期間は固定期間である、請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの発生又はその予兆が検出されてから、前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの収束が検出されるまでの期間において、前記第3スイッチのオフ状態期間は前記固定周期の1/10以下である、請求項2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記第1スイッチと前記第2スイッチとの接続ノードに、1.8MHz以上2.1MHz以下の電圧を発生させる、請求項1~3のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
前記第3スイッチは、互いに直列接続される第1スイッチ素子及び第2スイッチ素子を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
前記第3スイッチのオン状態期間において、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子はオン状態であって、
前記第3スイッチのオフ状態期間において、前記第1スイッチ素子はオフ状態であり前記第2スイッチ素子はオン状態であり、
前記第1スイッチ素子のオン状態とは、前記第1スイッチ素子から前記第2スイッチ素子に向かう電流が流れることが可能であり、前記第2スイッチ素子から前記第1スイッチ素子に向かう電流が流れることも可能である状態であり、
前記第1スイッチ素子のオフ状態とは、前記第1スイッチ素子から前記第2スイッチ素子に向かう電流が流れることが不可能である状態であり、
前記第2スイッチ素子のオン状態とは、前記第1スイッチ素子から前記第2スイッチ素子に向かう電流が流れることが可能であり、前記第2スイッチ素子から前記第1スイッチ素子に向かう電流が流れることも可能である状態であり、
前記第2スイッチ素子のオフ状態とは、前記第2スイッチ素子から前記第1スイッチ素子に向かう電流が流れることが不可能である状態である、請求項5に記載のスイッチング電源装置。
【請求項7】
前記第1スイッチ素子と前記第2スイッチ素子との接続ノードの電圧を所定範囲にクランプするクランプ部を備える、請求項5または請求項6に記載のスイッチング電源装置。
【請求項8】
第1端が入力電圧の印加端に接続可能に構成され、第2端がインダクタの第1端に接続可能に構成される第1スイッチのオン/オフと、第1端が前記インダクタの第1端及び前記第1スイッチの第2端に接続可能に構成され、第2端が前記入力電圧よりも低い電圧の印加端に接続可能に構成される第2スイッチのオン/オフと、第1端が前記インダクタの第1端、前記第1スイッチの第2端、及び前記第2スイッチの第1端に接続可能に構成され、第2端が前記インダクタの第2端に接続可能に構成される第3スイッチのオン/オフと、を制御するスイッチ制御装置であって、
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ、及び前記スイッチ制御装置を含み前記入力電圧を出力電圧に降圧するスイッチング電源装置から出力される前記出力電圧のオーバーシュートの発生又はその予兆と、前記出力電圧のオーバーシュートの収束と、を検出する検出部の検出結果を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記検出結果に基づき前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記第3スイッチのオン/オフを制御し、前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの発生又はその予兆が検出されてから、前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの収束が検出されるまでの期間、前記第3スイッチがオン状態であるときには前記第1スイッチをオフ状態にし、前記第3スイッチがオン状態であるときには前記第2スイッチをオフ状態にし、前記第3スイッチのオン状態とオフ状態とを固定周期で切り替えて前記出力電圧のオーバーシュートを抑制する抑制部と、
を備え
前記第1スイッチのオン状態とは、前記第1スイッチの第1端から第2端に電流が流れることが可能であり、前記第1スイッチの第2端から第1端に電流が流れることも可能である状態であり、
前記第1スイッチのオフ状態とは、前記第1スイッチの第1端から第2端に電流が流れることが不可能である状態であり、
前記第2スイッチのオン状態とは、前記第2スイッチの第1端から第2端に電流が流れることが可能であり、前記第2スイッチの第2端から第1端に電流が流れることも可能である状態であり、
前記第2スイッチのオフ状態とは、前記第2スイッチの第1端から第2端に電流が流れることが不可能である状態であり、
前記第3スイッチのオン状態とは、前記第3スイッチの第1端から第2端に電流が流れることが可能であり、前記第3スイッチの第2端から第1端に電流が流れることも可能である状態であり、
前記第3スイッチのオフ状態とは、前記第3スイッチの第1端から第2端に電流が流れること及び前記第3スイッチの第2端から第1端に電流が流れることの少なくとも一方が不可能である状態である、スイッチ制御装置。
【請求項9】
前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの発生又はその予兆が検出されてから、前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの収束が検出されるまでの期間において、前記第3スイッチのオフ状態期間は固定期間である、請求項8に記載のスイッチ制御装置。
【請求項10】
前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの発生又はその予兆が検出されてから、前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの収束が検出されるまでの期間において、前記第3スイッチのオフ状態期間は前記固定周期の1/10以下である、請求項9に記載のスイッチ制御装置。
【請求項11】
前記第1スイッチと前記第2スイッチとの接続ノードに、1.8MHz以上2.1MHz以下の電圧を発生させる、請求項8~10のいずれか一項に記載のスイッチ制御装置。
【請求項12】
前記第3スイッチは、互いに直列接続される第1スイッチ素子及び第2スイッチ素子を含む、請求項8~10のいずれか一項に記載のスイッチ制御装置。
【請求項13】
前記第3スイッチのオン状態期間において、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子はオン状態であって、
前記第3スイッチのオフ状態期間において、前記第1スイッチ素子はオフ状態であり前記第2スイッチ素子はオン状態であり、
前記第1スイッチ素子のオン状態とは、前記第1スイッチ素子から前記第2スイッチ素子に向かう電流が流れることが可能であり、前記第2スイッチ素子から前記第1スイッチ素子に向かう電流が流れることも可能である状態であり、
前記第1スイッチ素子のオフ状態とは、前記第1スイッチ素子から前記第2スイッチ素子に向かう電流が流れることが不可能である状態であり、
前記第2スイッチ素子のオン状態とは、前記第1スイッチ素子から前記第2スイッチ素子に向かう電流が流れることが可能であり、前記第2スイッチ素子から前記第1スイッチ素子に向かう電流が流れることも可能である状態であり、
前記第2スイッチ素子のオフ状態とは、前記第2スイッチ素子から前記第1スイッチ素子に向かう電流が流れることが不可能である状態である、請求項12に記載のスイッチ制御装置。
【請求項14】
請求項1~7のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置又は請求項8~13のいずれか一項に記載のスイッチ制御装置を備える、車載機器。
【請求項15】
請求項14に記載の車載機器と、
前記車載機器に電力を供給するバッテリと、
を備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、入力電圧を出力電圧に降圧するスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入力電圧を出力電圧に降圧する降圧型スイッチング電源装置では、一般的に出力電流が急峻に減少すると、出力電圧にオーバーシュートが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第6271651号明細書(第5欄第2-45行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
出力コンデンサの静電容量を大きくすることで出力電圧のオーバーシュートを抑制することができる。しかしながら、出力コンデンサの静電容量を大きくすることは、装置の大型化及びコストアップの要因となる。このため、出力コンデンサの静電容量を大きくせずとも出力電圧のオーバーシュートを抑制できる手法が望まれている。
【0005】
特許文献1に開示されているスイッチング電源装置では、インダクタに並列接続される短絡スイッチのオン状態とオフ状態とを繰り返すことによって、又は、インダクタに並列接続される短絡スイッチのオン抵抗を変化させることによって、出力電圧のアンダーシュート及びオーバーシュートを抑制している。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されているスイッチング電源装置は、出力電圧のオーバーシュートを抑制する際に、短絡スイッチと整流スイッチの両方をオンにするので、負荷から短絡スイッチ及び整流スイッチを介してグランドに電流が流れ、損失が大きくなるという問題を有している。
【0007】
また、出力コンデンサの静電容量を大きくせずとも出力電圧のオーバーシュートを抑制できる手法としては、スイッチング周波数が変動しない手法が望ましい。スイッチング周波数が変動すると、ノイズの周波数も変動するので、固定周波数のノイズを抑制するノイズ抑制手段(例えばフィルタ回路など)の効果が減少してしまうことがあるためである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書中に開示されているスイッチング電源装置は、入力電圧を出力電圧に降圧するスイッチング電源装置であって、第1端が前記入力電圧の印加端に接続可能に構成され、第2端がインダクタの第1端に接続可能に構成される第1スイッチと、第1端が前記インダクタの第1端及び前記第1スイッチの第2端に接続可能に構成され、第2端が前記入力電圧よりも低い電圧の印加端に接続可能に構成される第2スイッチと、第1端が前記インダクタの第1端、前記第1スイッチの第2端、及び前記第2スイッチの第1端に接続可能に構成され、第2端が前記インダクタの第2端に接続可能に構成される第3スイッチと、前記出力電圧のオーバーシュートの発生又はその予兆を検出する検出部と、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記第3スイッチのオン/オフを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの発生又はその予兆が検出されてから前記出力電圧のオーバーシュートが収束するまでの間に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフ状態にし、前記第3スイッチをオン状態にする制御状態を設ける構成(第1の構成)である。
【0009】
上記第1の構成のスイッチング電源装置において、前記制御部は、前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの発生又はその予兆が検出されると、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフ状態にし、前記第3スイッチをオン状態にする構成(第2の構成)としてもよい。
【0010】
上記第2の構成のスイッチング電源装置において、前記検出部は、前記出力電圧のオーバーシュートの収束も検出し、前記制御部は、前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの収束が検出されると、前記第3スイッチをオフ状態にする構成(第3の構成)としてもよい。
【0011】
上記第1の構成のスイッチング電源装置において、前記検出部は、前記出力電圧のオーバーシュートの収束も検出し、前記制御部は、前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの発生又はその予兆が検出されてから、前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの収束が検出されるまでの期間、少なくとも前記第3スイッチがオン状態であるときには前記第1スイッチをオフ状態にし、少なくとも前記第3スイッチがオン状態であるときには前記第2スイッチをオフ状態にし、前記第3スイッチのオン状態とオフ状態とを固定周期で切り替える構成(第4の構成)としてもよい。
【0012】
上記第4の構成のスイッチング電源装置において、前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの発生又はその予兆が検出されてから、前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの収束が検出されるまでの期間において、前記第3スイッチのオフ状態期間は固定期間である構成(第5の構成)としてもよい。
【0013】
上記第5の構成のスイッチング電源装置において、前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの発生又はその予兆が検出されてから、前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの収束が検出されるまでの期間において、前記第3スイッチのオフ状態期間は前記固定周期の1/10以下である構成(第6の構成)としてもよい。
【0014】
上記第4~第6いずれかの構成のスイッチング電源装置において、前記第1スイッチと前記第2スイッチとの接続ノードに、1.8MHz以上2.1MHz以下の電圧を発生させる構成(第7の構成)としてもよい。
【0015】
上記第4~第7いずれかの構成のスイッチング電源装置において、前記第3スイッチは、互いに直列接続される第1スイッチ素子及び第2スイッチ素子を含む構成(第8の構成)としてもよい。
【0016】
上記第8の構成のスイッチング電源装置において、前記第3スイッチのオン状態期間において、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子はオン状態であって、前記第3スイッチのオフ状態期間において、前記第1スイッチ素子はオフ状態であり前記第2スイッチ素子はオン状態である構成(第9の構成)としてもよい。
【0017】
上記第8又は第9の構成のスイッチング電源装置において、前記第1スイッチ素子と前記第2スイッチ素子との接続ノードの電圧を所定範囲にクランプするクランプ部を備える構成(第10の構成)としてもよい。
【0018】
本明細書中に開示されているスイッチ制御装置は、第1端が入力電圧の印加端に接続可能に構成され、第2端がインダクタの第1端に接続可能に構成される第1スイッチのオン/オフと、第1端が前記インダクタの第1端及び前記第1スイッチの第2端に接続可能に構成され、第2端が前記入力電圧よりも低い電圧の印加端に接続可能に構成される第2スイッチのオン/オフと、第1端が前記インダクタの第1端、前記第1スイッチの第2端、及び前記第2スイッチの第1端に接続可能に構成され、第2端が前記インダクタの第2端に接続可能に構成される第3スイッチのオン/オフと、を制御するスイッチ制御装置であって、前記出力電圧のオーバーシュートの発生又はその予兆を検出する検出部の検出結果を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記検出結果に基づき前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記第3スイッチのオン/オフを制御し、前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの発生又はその予兆が検出されてから前記出力電圧のオーバーシュートが収束するまでの間に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフ状態にし、前記第3スイッチをオン状態にする制御状態を設けて前記出力電圧のオーバーシュートを抑制する抑制部と、を備える構成(第11の構成)である。
【0019】
上記第11の構成のスイッチ制御装置において、前記抑制部は、前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの発生又はその予兆が検出されると、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフ状態にし、前記第3スイッチをオン状態にして前記出力電圧のオーバーシュートを抑制する構成(第12の構成)としてもよい。
【0020】
上記第12の構成のスイッチ制御装置において、前記検出部は、前記出力電圧のオーバーシュートの収束も検出し、前記抑制部は、前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの収束が検出されると、前記第3スイッチをオフ状態にする構成(第13の構成)としてもよい。
【0021】
上記第11の構成のスイッチ制御装置において、前記検出部は、前記出力電圧のオーバーシュートの収束も検出し、前記抑制部は、前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの発生又はその予兆が検出されてから、前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの収束が検出されるまでの期間、少なくとも前記第3スイッチがオン状態であるときには前記第1スイッチをオフ状態にし、少なくとも前記第3スイッチがオン状態であるときには前記第2スイッチをオフ状態にし、前記第3スイッチのオン状態とオフ状態とを固定周期で切り替えて前記出力電圧のオーバーシュートを抑制する構成(第14の構成)としてもよい。
【0022】
上記第14の構成のスイッチ制御装置において、前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの発生又はその予兆が検出されてから、前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの収束が検出されるまでの期間において、前記第3スイッチのオフ状態期間は固定期間である構成(第15の構成)としてもよい。
【0023】
上記第15の構成のスイッチ制御装置において、前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの発生又はその予兆が検出されてから、前記検出部によって前記出力電圧のオーバーシュートの収束が検出されるまでの期間において、前記第3スイッチのオフ状態期間は前記固定周期の1/10以下である構成(第16の構成)としてもよい。
【0024】
上記第14~第16いずれかの構成のスイッチ制御装置において、前記第1スイッチと前記第2スイッチとの接続ノードに、1.8MHz以上2.1MHz以下の電圧を発生させる構成(第17の構成)としてもよい。
【0025】
上記第14~第17いずれかの構成のスイッチ制御装置において、前記第3スイッチは、互いに直列接続される第1スイッチ素子及び第2スイッチ素子を含む構成(第18の構成)としてもよい。
【0026】
上記第18の構成のスイッチ制御装置において、前記第3スイッチのオン状態期間において、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子はオン状態であって、前記第3スイッチのオフ状態期間において、前記第1スイッチ素子はオフ状態であり前記第2スイッチ素子はオン状態である構成(第19の構成)としてもよい。
【0027】
本明細書中に開示されている車載機器は、上記第1~10いずれかの構成のスイッチング電源装置又は上記第11~第19いずれかの構成のスイッチ制御装置を備える構成(第20の構成)である。
【0028】
本明細書中に開示されている車両は、上記第20の構成の車載機器と、前記車載機器に電力を供給するバッテリと、を備える構成(第21の構成)である。
【発明の効果】
【0029】
本明細書中に開示されている発明によれば、スイッチング電源装置の出力電圧のオーバーシュートを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1A】非同期整流型スイッチング電源装置の第1構成例を示す図
図1B】同期整流型スイッチング電源装置の第1構成例を示す図
図1C】第3スイッチの構成例を示す図
図1D】第3スイッチの他の構成例を示す図
図2】出力電圧のオーバーシュートが発生したときの第1構成例に係るスイッチング電源装置の第1動作例を示すタイムチャート
図3】インダクタ電流が回生している状態を示す図
図4】負荷電流のタイムチャート
図5】出力電圧のオーバーシュートが発生したときの第1構成例に係るスイッチング電源装置の第2動作例を示すタイムチャート
図6】インダクタ電流が回生している状態を示す図
図7】インダクタ電流がグランドから第2スイッチのボディダイオードを介してインダクタに向かって流れる状態を示す図
図8】出力電圧及びスイッチ電圧の波形図
図9】インダクタ電流が回生している状態を示す図
図10】インダクタ電流がインダクタから第1スイッチのボディダイオードを介して入力電圧の印加端に向かって流れる状態を示す図
図11】出力電圧及びスイッチ電圧の波形図
図12A】非同期整流型スイッチング電源装置の第2構成例を示す図
図12B】同期整流型スイッチング電源装置の第2構成例を示す図
図13】出力電圧のオーバーシュートが発生したときの第2構成例に係るスイッチング電源装置の動作例を示すタイムチャート
図14】インダクタ電流が回生している状態を示す図(第1制御パターン)
図15】インダクタ電流がグランドから第2スイッチのボディダイオードを介してインダクタに向かって流れる状態を示す図(第1制御パターン)
図16】出力電圧及びスイッチ電圧の波形図(第1制御パターン)
図17】インダクタ電流が回生している状態を示す図(第1制御パターン)
図18】インダクタ電流がインダクタから第1スイッチのボディダイオードを介して入力電圧の印加端に向かって流れる状態を示す図(第1制御パターン)
図19】出力電圧及びスイッチ電圧の波形図(第1制御パターン)
図20】インダクタ電流が回生している状態を示す図(第2制御パターン)
図21】インダクタ電流がグランドから第2スイッチのボディダイオードを介してインダクタに向かって流れる状態を示す図(第2制御パターン)
図22】出力電圧及びスイッチ電圧の波形図(第2制御パターン)
図23】インダクタ電流が回生している状態を示す図(第2制御パターン)
図24】インダクタ電流がインダクタから第1スイッチのボディダイオードを介して入力電圧の印加端に向かって流れる状態を示す図(第2制御パターン)
図25】出力電圧及びスイッチ電圧の波形図(第2制御パターン)
図26】インダクタ電流が回生している状態を示す図(第3制御パターン)
図27】インダクタ電流がグランドから第2スイッチのボディダイオードを介してインダクタに向かって流れる状態を示す図(第3制御パターン)
図28】出力電圧及びスイッチ電圧の波形図(第3制御パターン)
図29】インダクタ電流が回生している状態を示す図(第3制御パターン)
図30】インダクタ電流がインダクタから第1スイッチのボディダイオードを介して入力電圧の印加端に向かって流れる状態を示す図(第3制御パターン)
図31】出力電圧及びスイッチ電圧の波形図(第3制御パターン)
図32】車両の一構成例を示す外観図
図33】第2構成例に係る同期整流型スイッチング電源装置の変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書において、定電圧とは、理想的な状態において一定である電圧を意味しており、実際には温度変化等により僅かに変動し得る電圧である。
【0032】
本明細書において、MOSトランジスタとは、ゲートの構造が、「導電体または抵抗値が小さいポリシリコン等の半導体からなる層」、「絶縁層」、及び「P型、N型、又は真性の半導体層」”の少なくとも3層からなる電界効果トランジスタをいう。つまり、MOSトランジスタのゲートの構造は、金属、酸化物、及び半導体の3層構造に限定されない。
【0033】
<スイッチング電源装置の第1構成例>
図1A及び図1Bは、スイッチング電源装置の構成例を示す図である。図1A及び図1Bに示すスイッチング電源装置1は、入力電圧VINを出力電圧VOUTに降圧するスイッチング電源装置であって、制御部CNT1と、第1~第3スイッチSW1~SW3と、インダクタL1と、出力コンデンサC1と、出力帰還部FB1と、検出部DET1と、を備える。
【0034】
制御部CNT1は、出力帰還部FB1及び検出部DET1の各出力に基づき、第1~第3スイッチSW1~SW3のオン/オフを制御する。言い換えると、制御部CNT1は、第1~第3スイッチSW1~SW3のオン/オフを制御するスイッチ制御装置である。制御部CNT1は、検出部DET1の検出結果を取得する取得部2と、取得部2によって取得された検出部DET1の検出結果に基づき第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第3スイッチSWのオン/オフを制御し、出力電圧VOUTのオーバーシュートを抑制する抑制部3と、を備える。
【0035】
抑制部3は、例えば、検出部DET1によって出力電圧VOUTのオーバーシュートの発生が検出されると、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態にし、第3スイッチSW3をオン状態にして出力電圧VOUTのオーバーシュートを抑制する。抑制部3は、他の例として、検出部DET1によって出力電圧VOUTのオーバーシュートの発生が検出されてから、検出部DET1によって出力電圧VOUTのオーバーシュートの収束が検出されるまでの期間、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態にし、第3スイッチSW3のオン状態とオフ状態とを固定周期で切り替えて出力電圧VOUTのオーバーシュートを抑制する。
【0036】
取得部2及び抑制部3はそれぞれ、ソフトウェア的に実現されてもよく、ハードウェア回路によって実現されてもよく、フトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0037】
第1スイッチSW1は、第1端が入力電圧VINの印加端に接続可能に構成され、第2端がインダクタL1の第1端に接続可能に構成される。第1スイッチSW1は、入力電圧VINの印加端からインダクタL1に至る電流経路を導通/遮断する。第1スイッチSW1としては、例えばPチャネル型MOSトランジスタ、Nチャネル型MOSトランジスタ等を用いることができる。例えば第1スイッチSW1にNチャネル型MOSトランジスタを用いる場合、入力電圧VINより大きい電圧を生成するためにブートストラップ回路等をスイッチング電源装置1に設けるようにすればよい。なお、第1スイッチSW1のオン状態とは、第1スイッチSW1の第1端から第2端に電流が流れることが可能であり、第1スイッチSW1の第2端から第1端に電流が流れることも可能である状態である。また、第1スイッチSW1のオフ状態とは、第1スイッチSW1の第1端から第2端に電流が流れることが不可能である状態である。
【0038】
第2スイッチSW2は、第1端がインダクタL1の第1端及び第1スイッチSW1の第2端に接続可能に構成され、第2端がグランド電位の印加端に接続可能に構成される。第2スイッチSW2は、グランド電位の印加端からインダクタL1に至る電流経路を導通/遮断する。なお、本構成例とは異なり、第2スイッチSW2は、第2端が入力電圧VINよりも低く且つグランド電位以外の電圧の印加端に接続可能に構成されてもよい。第2スイッチSW2としては、例えばダイオード、Nチャネル型MOSトランジスタ等を用いることができる。なお、第2スイッチSW2のオン状態とは、第2スイッチSW2の第1端から第2端に電流が流れることが可能であり、第2スイッチSW2の第2端から第1端に電流が流れることも可能である状態である。また、第2スイッチSW2のオフ状態とは、第2スイッチSW2の第1端から第2端に電流が流れることが不可能である状態である。
【0039】
例えば第2スイッチSW2にダイオードを用いる場合、スイッチング電源装置1は図1Aに示す非同期整流型スイッチング電源装置になる。
【0040】
スイッチング電源装置1が非同期整流型スイッチング電源装置である場合、制御部CNT1は、スイッチSW1のオン/オフを制御することでスイッチSW2(ダイオード)にかかるバイアス電圧を制御する。スイッチSW2(ダイオード)のオン/オフはスイッチSW2(ダイオード)にかかるバイアス電圧によって決まるので、制御部CNT1は、スイッチSW2(ダイオード)のオン/オフを間接的に制御している。
【0041】
例えば第2スイッチSW2にNチャネル型MOSトランジスタを用いる場合、スイッチング電源装置1は図1Bに示す同期整流型スイッチング電源装置になる。スイッチング電源装置1が同期整流型スイッチング電源装置である場合、スイッチング電源装置1は、軽負荷時に電流連続モードで動作する構成であってもよく、逆流防止機能を有し軽負荷時に電流不連続モードで動作する構成であってもよい。
【0042】
第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2のスイッチングによって、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2の接続ノードにパルス状のスイッチ電圧VSWが生成される。インダクタL1及び出力コンデンサC1は、パルス状のスイッチ電圧VSWを平滑化して出力電圧VOUTを生成し、その出力電圧VOUTを出力電圧VOUTの印加端に供給する。出力電圧VOUTの印加端には負荷LD1が接続され、負荷LD1に出力電圧VOUTが供給される。
【0043】
第3スイッチSW3は、第1端がインダクタL1の第1端、第1スイッチSW1の第2端、及び第2スイッチSW2の第1端に接続可能に構成され、第2端がインダクタL1の第2端に接続可能に構成される。言い換えると、第3スイッチSW3は、インダクタL1に並列接続される。第3スイッチSW3としては、例えばNチャネル型MOSトランジスタ等を用いることができる。なお、第3スイッチSW3は複数の素子によって構成されてもよい。複数の素子によって構成される第3スイッチSW3としては、例えば、図1Cに示すバックゲートが共通接続された2つのNチャネル型MOSトランジスタQ1及びQ2を備える第3スイッチSW3、図1Dに示すようにバックゲートが共通接続された3つのNチャネル型MOSトランジスタQ3~Q5を備える第3スイッチ等を挙げることができる。なお、第3スイッチSW3のオン状態とは、第3スイッチSW3の第1端から第2端に電流が流れることが可能であり、第3スイッチSW3の第2端から第1端に電流が流れることも可能である状態である。また、第3スイッチSW3のオフ状態とは、第3スイッチSW3の第1端から第2端に電流が流れること及び第3スイッチSW3の第2端から第1端に電流が流れることの少なくとも一方が不可能である状態である。
【0044】
出力帰還部FB1は、出力電圧VOUTに応じた帰還信号を生成して出力する。出力帰還部FB1としては、例えば出力電圧VOUTを抵抗分圧して帰還信号を生成する抵抗分圧回路等を用いることができる。また例えば、出力帰還部FB1は、出力電圧VOUTを取得し、出力電圧VOUTそのものを帰還信号として出力する構成であってもよい。なお、出力帰還部FB1は、出力電圧VOUTに応じた帰還信号に加えて、インダクタL1を流れる電流(以下、「インダクタ電流IL」という)に応じた帰還信号も生成して出力する構成であってもよい。出力帰還部FB1がインダクタ電流ILに応じた帰還信号も生成することで電流モード制御が可能になる。
【0045】
検出部DET1は、出力電圧VOUTのオーバーシュートの発生及び収束を検出する。検出部DET1としては、例えば出力電圧VOUTを非反転入力端子に入力し定電圧(出力電圧VOUTの目標値より大きい電圧)を反転入力端子に入力するコンパレータを用いることができる。上記コンパレータは、出力電圧VOUTのオーバーシュートが発生すると、出力信号をローレベルからハイレベルに切り替える。上記コンパレータは、出力電圧VOUTのオーバーシュートが収束すると、出力信号をハイレベルからローレベルに切り替える。後述する図2では、この例示の出力信号を図示している。
【0046】
なお、出力電圧VOUTの代わりに出力電圧VOUTの分圧をコンパレータの非反転入力端子に入力し、上記定電圧の代わりに上記定電圧の分圧をコンパレータの反転入力端子に入力してもよい。
【0047】
また、コンパレータをヒステリシスコンパレータにしたり、オーバーシュート発生検出用のコンパレータとオーバーシュート収束検出用のコンパレータとを別々に設けたりすることで、オーバーシュート発生検出時点の出力電圧VOUTの値とオーバーシュート収束検出時点の出力電圧VOUTの値とを互いに異なる値にすることができる。
【0048】
また、検出部DET1は、必ずしも出力電圧VOUTのオーバーシュートの収束を検出しなくてもよい。例えば、制御部CNT1にカウンタを設け、検出部DET1によって出力電圧VOUTのオーバーシュートの発生が検出された時点から上記カウンタで計時した一定時間が経過すると、制御部CNT1が出力電圧VOUTのオーバーシュートは収束したと判定するようにしてもよい。
【0049】
なお、本構成例とは異なり、検出部DET1が出力電圧VOUTのオーバーシュートの発生の予兆を検出し、検出部DET1によって出力電圧VOUTのオーバーシュートの発生の予兆が検出されると、上述した抑制部3が第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態にし、第3スイッチSW3をオン状態にして出力電圧VOUTのオーバーシュートを抑制するようにしてもよい。
【0050】
また、本構成例とは異なり、検出部DET1が出力電圧VOUTのオーバーシュートの発生の予兆を検出し、検出部DET1によって出力電圧VOUTのオーバーシュートの発生の予兆が検出されると、上述した抑制部3が第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態にし、第3スイッチSW3のオン状態とオフ状態とを固定周期で切り替えて出力電圧VOUTのオーバーシュートを抑制するようにしてもよい。
【0051】
出力電圧VOUTのオーバーシュートの発生の予兆を検出する手法としては、例えば負荷LD1が規則的に変動する負荷であって、或る特定の変動パターン後に急峻に軽負荷になる負荷である場合、或る特定の変動パターンに対応する負荷電流の変動パターンを検出すればよい。
【0052】
<出力電圧のオーバーシュート発生時におけるスイッチング電源装置の第1動作例>
図2は、出力電圧VOUTのオーバーシュートが発生したときのスイッチング電源装置1の第1動作例を示すタイムチャートである。
【0053】
出力電圧VOUTのオーバーシュートの発生が検出部DET1によって検出されると、制御部CNT1の制御により、スイッチング電源装置1は第2状態STATE2になる。図2は、第1状態STATE1の途中(スイッチ電圧VSWのオンデューティ期間の途中)で、出力電圧VOUTのオーバーシュートの発生が検出部DET1によって検出されて検出部DET1の出力がローレベルからハイレベルに切り替わり、スイッチング電源装置1の状態が第1状態STATE1から第2状態STATE2に遷移した場合のタイムチャートである。第1状態STATE1では、制御部CNT1の制御により、第1スイッチSW1がオン状態、第2スイッチSW2がオフ状態、第3スイッチSW3がオフ状態になっている。
【0054】
第2状態STATE2では、制御部CNT1の制御により、第1スイッチSW1がオフ状態、第2スイッチSW2がオフ状態、第3スイッチSW3がオン状態になる。出力電圧VOUTのオーバーシュートが発生してスイッチング電源装置1の状態が第2状態STATE2になると、図3に示すようにインダクタ電流ILはインダクタL1及び第3スイッチSW3を含む閉回路で回生する。これにより、負荷LD1側への電流供給を遮断することができる。そして、第2状態STATE2では、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオフ状態であるため、出力電圧VOUTをオーバーシュート発生時のレベル付近にほぼクランプすることができる。すなわち、出力電圧VOUTのオーバーシュート発生時に第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態にし、第3スイッチSW3をオン状態にすることで、出力電圧VOUTがさらに増加することを防止でき、出力電圧VOUTのオーバーシュートを抑制することができる。
【0055】
また、例えば、負荷電流(スイッチング電源装置1の出力電流)が図4に示すように急峻に減少した後に急峻に増加する場合、負荷電流が急峻に増加するときにインダクタL1及び第3スイッチSW3を含む閉回路で蓄えられている回生エネルギーを負荷LD1側に開放することによって、負荷電流が急峻に増加したときの出力電圧VOUTのアンダーシュートも抑制することができる。
【0056】
本動作例では、出力電圧VOUTのオーバーシュートの収束が検出部DET1によって検出されるまで、スイッチング電源装置1の状態は第2状態STATE2に維持される。第2状態STATE2が維持されている間、インダクタ電流ILは第3スイッチSW3のオン抵抗によって徐々に減少する。図2では、出力電圧VOUTのオーバーシュートの収束が検出部DET1によって検出されて検出部DET1の出力がハイレベルからローレベルに切り替わると、スイッチング電源装置1の状態が第2状態STATE2から第1状態STATE1に遷移しているが、この遷移はあくまで例示である。すなわち、第2状態STATE2の終了後に、第1状態STATE1以外の状態に遷移するようにしてもよい。
【0057】
本動作例では、出力電圧VOUTのオーバーシュートの発生から収束までの間、第2状態STATE2が一度も中断されることなく維持される。しかしながら、出力電圧VOUTのオーバーシュートを抑制することができれば、本動作例とは異なり、出力電圧VOUTのオーバーシュートの発生から収束までの間に第2状態STATE2が一時的に中断されてもよく、出力電圧VOUTのオーバーシュートの収束を待たずに第2状態STATE2が終了されてもよい。
【0058】
<出力電圧のオーバーシュート発生時におけるスイッチング電源装置の第2動作例>
図5は、出力電圧VOUTのオーバーシュートが発生したときのスイッチング電源装置1の第2動作例を示すタイムチャートである。
【0059】
出力電圧VOUTのオーバーシュートの発生が検出部DET1によって検出されると、制御部CNT1の制御により、スイッチング電源装置1は第2状態STATE2になる。図5は、第1状態STATE1の途中(スイッチ電圧VSWのオンデューティ期間の途中)で、出力電圧VOUTのオーバーシュートの発生が検出部DET1によって検出されて検出部DET1の出力がローレベルからハイレベルに切り替わり、スイッチング電源装置1の状態が第1状態STATE1から第2状態STATE2に遷移した場合のタイムチャートである。
【0060】
第1状態STATE1では、制御部CNT1の制御により、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2が周期信号S1に基づいて固定周期Tfixで相補的にオン状態とオフ状態を切り替え、第3スイッチSW3がオフ状態になっている。周期信号S1は、固定周期Tfixでパルスが発生する信号である。周期信号S1は、制御部CNT1の内部で生成される信号でもよく、制御部CNT1の外部で生成されて制御部CNT1によって取得される信号でもよい。なお、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2の相補的にオン状態とオフ状態を切り替わりにおいて、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2の双方がオフ状態になるデッドタイム期間を設けることが望ましい。
【0061】
第2状態STATE2では、制御部CNT1の制御により、第1スイッチSW1がオフ状態になり、第2スイッチSW2がオフ状態になり、第3スイッチSW3のオン状態とオフ状態とが固定周期Tfixで切り替わる。第2状態STATE2において、制御部CNT1は、周期信号S1に基づいて第3スイッチSW3のオン状態とオフ状態とを切り替える。
【0062】
第2状態STATE2では、状態STATE2-1と状態STATE2-2との2つの状態が固定周期Tfixで繰り返される。状態STATE2-1は第3スイッチSW3がオン状態である期間であり、状態STATE2-2は第3スイッチSW3がオフ状態である期間である。
【0063】
本動作例では、出力電圧VOUTのオーバーシュートの収束が検出部DET1によって検出されるまで、スイッチング電源装置1の状態は第2状態STATE2に維持される。第2状態STATE2が維持されている間、インダクタ電流ILは第3スイッチSW3のオン抵抗によって徐々に減少する。図5では、出力電圧VOUTのオーバーシュートの収束が検出部DET1によって検出されて検出部DET1の出力がハイレベルからローレベルに切り替わると、スイッチング電源装置1の状態が第2状態STATE2から第3状態STATE3に遷移する。第3状態STATE3では、制御部CNT1の制御により、第1~第3スイッチSW1~SW3がオフ状態になる。
【0064】
そして、第3状態STATE3において、周期信号S1にパルスが発生すると、第3状態STATE3から第1状態STATE1に遷移する。
【0065】
以下、第1~第3スイッチSW1~SW3にNチャネル型MOSトランジスタを用いた場合を例に挙げて、状態STATE2-1及び状態STATE2-2の詳細を説明する。なお、この例とは異なり、例えば第1~第3スイッチSW1~SW3にバイポーラトランジスタを用い、各バイポーラトランジスタに「逆接続ダイオード」を並列接続してもよい。「逆接続ダイオード」の電流が流れる方向(「逆接続ダイオード」のアノードからカソードに向かう方向)は、「逆接続ダイオード」に並列接続されるバイポーラトランジスタの電流が流れる方向と逆である。
【0066】
まずインダクタ電流ILが正の向きである場合について説明する。
【0067】
状態STATE2-1では、図6に示すように、第3スイッチSW3がオン状態であるため、インダクタ電流ILはインダクタL1及び第3スイッチSW3を含む閉回路で回生し、スイッチ電圧VSWと出力電圧VOUTとは略同一になる。
【0068】
状態STATE2-1では、負荷LD1側への電流供給を遮断することができる。そして、状態STATE2-1では、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオフ状態であるため、出力電圧VOUTをオーバーシュート発生時のレベル付近にほぼクランプすることができる。すなわち、出力電圧VOUTのオーバーシュート発生時に第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態にし、第3スイッチSW3をオン状態にすることで、出力電圧VOUTがさらに増加することを防止でき、出力電圧VOUTのオーバーシュートを抑制することができる。
【0069】
状態STATE2-2では、図7に示すように、Nチャネル型MOSトランジスタQ1がオフ状態であるため、インダクタ電流ILは、インダクタL1と、第3スイッチSW3のボディダイオードとを含む閉回路で回生する。したがって、スイッチ電圧VSWはVOUT-Vf SW3 になる。なお、Vf SW3 は第3スイッチSW3のボディダイオードの順方向電圧である。
【0070】
本動作例では、個々の状態STATE2-2の期間は固定期間である。具体的は、個々の状態STATE2-2の期間は周期信号S1のパルス幅に相当する固定期間である。個々の状態STATE2-2の期間は固定周期Tfixの1/10以下であることが望ましい。個々の状態STATE2-2の期間が固定周期Tfixの1/10より長いと、出力電圧VOUTのオーバーシュートが収束するまでに要する時間が許容範囲を超えるからである。
【0071】
インダクタ電流ILが正の向きである場合、第2状態STATEでの出力電圧VOUT及びスイッチ電圧VSWは、図8に示すようになる。なお、図8の紙面縦方向の縮尺に関して、出力電圧VOUTはスイッチ電圧VSWに対して拡大されている。図8から分かるように、スイッチ電圧VSWの周期は固定周期Tfixになる。すなわち、スイッチ電圧VSWの周波数(スイッチング周波数)が変動しないので、スイッチング周波数に起因するノイズの周波数も変動しない。したがって、固定周波数のノイズを抑制するノイズ抑制手段(例えばフィルタ回路など)の効果が減少してしまうおそれがない。
【0072】
次にインダクタ電流ILが負の向きである場合について説明する。
【0073】
状態STATE2-1では、図9に示すように、第3スイッチSW3がオン状態であるため、インダクタ電流ILはインダクタL1及び第3スイッチSW3を含む閉回路で回生し、スイッチ電圧VSWと出力電圧VOUTとは略同一になる。
【0074】
状態STATE2-1では、負荷LD1側への電流供給を遮断することができる。そして、状態STATE2-1では、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオフ状態であるため、出力電圧VOUTをオーバーシュート発生時のレベル付近にほぼクランプすることができる。すなわち、出力電圧VOUTのオーバーシュート発生時に第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態にし、第3スイッチSW3をオン状態にすることで、出力電圧VOUTがさらに増加することを防止でき、出力電圧VOUTのオーバーシュートを抑制することができる。
【0075】
状態STATE2-2では、図10に示すように、第3スイッチSW3がオフ状態であるため、インダクタ電流ILはインダクタL1から第1スイッチSW1のボディダイオードを介して入力電圧VINの印加端に向かって流れる。したがって、スイッチ電圧VSWはVIN+VfSW1になる。なお、VfSW1は第1スイッチSW1のボディダイオードの順方向電圧である。
【0076】
インダクタ電流ILが負の向きである場合、第2状態STATEでの出力電圧VOUT及びスイッチ電圧VSWは、図11に示すようになる。なお、図11の紙面縦方向の縮尺に関して、出力電圧VOUTはスイッチ電圧VSWに対して拡大されている。図11から分かるように、スイッチ電圧VSWの周期は固定周期Tfixになる。すなわち、スイッチ電圧VSWの周波数(スイッチング周波数)が変動しないので、スイッチング周波数に起因するノイズの周波数も変動しない。したがって、固定周波数のノイズを抑制するノイズ抑制手段(例えばフィルタ回路など)の効果が減少してしまうおそれがない。
【0077】
<スイッチング電源装置の第2構成例>
図12A及び図12Bは、スイッチング電源装置の第2構成例を示す図である。なお、図12A及び図12Bにおいて、図1A及び図1Bと同様の部分については適宜説明を省略する。図12A及び図12Bに示すスイッチング電源装置11は、入力電圧VINを出力電圧VOUTに降圧するスイッチング電源装置であって、制御部CNT1と、第1~第3スイッチSW1~SW3と、インダクタL1と、出力コンデンサC1と、出力帰還部FB1と、検出部DET1と、を備える。なお、図12A及び図12B中のダイオードは、MOSトランジスタのボディダイオードである。同様に、後述する図14図15図17図18図20図21図23図24図26図27図29図30、及び図33中のダイオードもMOSトランジスタのボディダイオードである。
【0078】
本構成例では、抑制部3は、取得部2によって取得された検出部DET1の検出結果に基づき第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第3スイッチSWのオン/オフを制御し、検出部DET1によって出力電圧VOUTのオーバーシュートの発生が検出されてから、検出部DET1によって出力電圧VOUTのオーバーシュートの収束が検出されるまでの期間、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態にし、第3スイッチSW3のオン状態とオフ状態とを固定周期で切り替えて出力電圧VOUTのオーバーシュートを抑制する。
【0079】
例えば第2スイッチSW2にダイオードを用いる場合、スイッチング電源装置11は図12Aに示す非同期整流型スイッチング電源装置になる。
【0080】
スイッチング電源装置11が非同期整流型スイッチング電源装置である場合、制御部CNT1は、スイッチSW1のオン/オフを制御することでスイッチSW2(ダイオード)にかかるバイアス電圧を制御する。スイッチSW2(ダイオード)のオン/オフはスイッチSW2(ダイオード)にかかるバイアス電圧によって決まるので、制御部CNT1は、スイッチSW2(ダイオード)のオン/オフを間接的に制御している。
【0081】
例えば第2スイッチSW2にNチャネル型MOSトランジスタを用いる場合、スイッチング電源装置11は図12Bに示す同期整流型スイッチング電源装置になる。スイッチング電源装置11が同期整流型スイッチング電源装置である場合、スイッチング電源装置11は、軽負荷時に電流連続モードで動作する構成であってもよく、逆流防止機能を有し軽負荷時に電流不連続モードで動作する構成であってもよい。
【0082】
第3スイッチSW3としては、例えばNチャネル型MOSトランジスタ等を用いることができる。第3スイッチSW3は、互いに直列接続される第1スイッチ素子及び第2スイッチ素子を含む。なお、第1スイッチ素子のオン状態とは、第1スイッチ素子から第2スイッチ素子に向かう電流が流れることが可能であり、第2スイッチ素子から第1スイッチ素子に向かう電流が流れることも可能である状態である。また、第1スイッチ素子のオフ状態とは、第1スイッチ素子から第2スイッチ素子に向かう電流が流れることが不可能である状態である。また、第2スイッチ素子のオン状態とは、第1スイッチ素子から第2スイッチ素子に向かう電流が流れることが可能であり、第2スイッチ素子から第1スイッチ素子に向かう電流が流れることも可能である状態である。また、第2スイッチ素子のオフ状態とは、第2スイッチ素子から第1スイッチ素子に向かう電流が流れることが不可能である状態である。図1A及び図1Bに示す構成例では、第1スイッチ素子及び第2スイッチ素子として、2つのNチャネル型MOSトランジスタQ1及びQ2が用いられる。Nチャネル型MOSトランジスタQ1のドレインは、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2の接続ノードに接続される。Nチャネル型MOSトランジスタQ1のソース及びバックゲートは、Nチャネル型MOSトランジスタQ2のソース及びバックゲートに接続される。Nチャネル型MOSトランジスタQ2のドレインは、インダクタL1と出力コンデンサC1の接続ノードに接続される。Nチャネル型MOSトランジスタQ1は入力側に設けられ、Nチャネル型MOSトランジスタQ2は出力側に設けられるので、Nチャネル型MOSトランジスタQ1はNチャネル型MOSトランジスタQ2よりも高耐圧のトランジスタにするとよい。
【0083】
検出部DET1は、出力電圧VOUTのオーバーシュートの発生及び収束を検出する。検出部DET1としては、例えば出力電圧VOUTを非反転入力端子に入力し定電圧(出力電圧VOUTの目標値より大きい電圧)を反転入力端子に入力するコンパレータを用いることができる。上記コンパレータは、出力電圧VOUTのオーバーシュートが発生すると、出力信号をローレベルからハイレベルに切り替える。上記コンパレータは、出力電圧VOUTのオーバーシュートが収束すると、出力信号をハイレベルからローレベルに切り替える。後述する図13では、この例示の出力信号を図示している。
【0084】
なお、出力電圧VOUTの代わりに出力電圧VOUTの分圧をコンパレータの非反転入力端子に入力し、上記定電圧の代わりに上記定電圧の分圧をコンパレータの反転入力端子に入力してもよい。
【0085】
また、コンパレータをヒステリシスコンパレータにしたり、オーバーシュート発生検出用のコンパレータとオーバーシュート収束検出用のコンパレータとを別々に設けたりすることで、オーバーシュート発生検出時点の出力電圧VOUTの値とオーバーシュート収束検出時点の出力電圧VOUTの値とを互いに異なる値にすることができる。
【0086】
なお、本構成例とは異なり、検出部DET1が出力電圧VOUTのオーバーシュートの発生の予兆を検出し、検出部DET1によって出力電圧VOUTのオーバーシュートの発生の予兆が検出されると、上述した抑制部3が第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態にし、第3スイッチSW3のオン状態とオフ状態とを固定周期で切り替えて出力電圧VOUTのオーバーシュートを抑制するようにしてもよい。
【0087】
出力電圧VOUTのオーバーシュートの発生の予兆を検出する手法としては、例えば負荷LD1が規則的に変動する負荷であって、或る特定の変動パターン後に急峻に軽負荷になる負荷である場合、或る特定の変動パターンに対応する負荷電流の変動パターンを検出すればよい。
【0088】
<出力電圧のオーバーシュート発生時におけるスイッチング電源装置の動作例>
図13は、出力電圧VOUTのオーバーシュートが発生したときのスイッチング電源装置11の動作を示すタイムチャートである。
【0089】
出力電圧VOUTのオーバーシュートの発生が検出部DET1によって検出されると、制御部CNT1の制御により、スイッチング電源装置11は第2状態STATE2になる。図13は、第1状態STATE1の途中(スイッチ電圧VSWのオンデューティ期間の途中)で、出力電圧VOUTのオーバーシュートの発生が検出部DET1によって検出されて検出部DET1の出力がローレベルからハイレベルに切り替わり、スイッチング電源装置11の状態が第1状態STATE1から第2状態STATE2に遷移した場合のタイムチャートである。
【0090】
第1状態STATE1では、制御部CNT1の制御により、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2が周期信号S1に基づいて固定周期Tfixで相補的にオン状態とオフ状態を切り替え、第3スイッチSW3がオフ状態になっている。周期信号S1は、固定周期Tfixでパルスが発生する信号である。周期信号S1は、制御部CNT1の内部で生成される信号でもよく、制御部CNT1の外部で生成されて制御部CNT1によって取得される信号でもよい。なお、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2の相補的にオン状態とオフ状態を切り替わりにおいて、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2の双方がオフ状態になるデッドタイム期間を設けることが望ましい。
【0091】
第2状態STATE2では、制御部CNT1の制御により、第1スイッチSW1がオフ状態になり、第2スイッチSW2がオフ状態になり、第3スイッチSW3のオン状態とオフ状態とが固定周期Tfixで切り替わる。第2状態STATE2において、制御部CNT1は、周期信号S1に基づいて第3スイッチSW3のオン状態とオフ状態とを切り替える。
【0092】
第2状態STATE2では、状態STATE2-1と状態STATE2-2との2つの状態が固定周期Tfixで繰り返される。状態STATE2-1は第3スイッチSW3がオン状態である期間であり、状態STATE2-2は第3スイッチSW3がオフ状態である期間である。
【0093】
本動作例では、出力電圧VOUTのオーバーシュートの収束が検出部DET1によって検出されるまで、スイッチング電源装置11の状態は第2状態STATE2に維持される。第2状態STATE2が維持されている間、インダクタ電流ILは第3スイッチSW3のオン抵抗によって徐々に減少する。図13では、出力電圧VOUTのオーバーシュートの収束が検出部DET1によって検出されて検出部DET1の出力がハイレベルからローレベルに切り替わると、スイッチング電源装置11の状態が第2状態STATE2から第3状態STATE3に遷移する。第3状態STATE3では、制御部CNT1の制御により、第1~第3スイッチSW1~SW3がオフ状態になる。
【0094】
そして、第3状態STATE3において、周期信号S1にパルスが発生すると、第3状態STATE3から第1状態STATE1に遷移する。
【0095】
以下、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2にNチャネル型MOSトランジスタを用いた場合を例に挙げて、状態STATE2-1及び状態STATE2-2の詳細を3つの制御パターンに分けて説明する。なお、この例とは異なり、例えば第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2にバイポーラトランジスタを用い、各バイポーラトランジスタに「逆接続ダイオード」を並列接続してもよい。「逆接続ダイオード」の電流が流れる方向(「逆接続ダイオード」のアノードからカソードに向かう方向)は、「逆接続ダイオード」に並列接続されるバイポーラトランジスタの電流が流れる方向と逆である。同様に、Nチャネル型MOSトランジスタQ1及びQ2の代わりにバイポーラトランジスタを用い、各バイポーラトランジスタに「逆接続ダイオード」を並列接続してもよい。
【0096】
<第1制御パターン>
まずインダクタ電流ILが正の向きである場合について説明する。
【0097】
状態STATE2-1では、図14に示すように、Nチャネル型MOSトランジスタQ1及びQ2がオン状態であるため、インダクタ電流ILはインダクタL1並びにNチャネル型MOSトランジスタQ1及びQ2を含む閉回路で回生し、スイッチ電圧VSWと出力電圧VOUTとは略同一になる。
【0098】
状態STATE2-1では、負荷LD1側への電流供給を遮断することができる。そして、状態STATE2-1では、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオフ状態であるため、出力電圧VOUTをオーバーシュート発生時のレベル付近にほぼクランプすることができる。すなわち、出力電圧VOUTのオーバーシュート発生時に第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態にし、Nチャネル型MOSトランジスタQ1及びQ2をオン状態にすることで、出力電圧VOUTがさらに増加することを防止でき、出力電圧VOUTのオーバーシュートを抑制することができる。
【0099】
状態STATE2-2では、図15に示すように、Nチャネル型MOSトランジスタQ1がオフ状態であるため、インダクタ電流ILは、インダクタL1と、Nチャネル型MOSトランジスタQ1のボディダイオードと、Nチャネル型MOSトランジスタQ2とを含む閉回路で回生する。したがって、スイッチ電圧VSWはVOUT-VfQ1になる。なお、VfQ1はNチャネル型MOSトランジスタQ1のボディダイオードの順方向電圧である。
【0100】
本動作例では、個々の状態STATE2-2の期間は固定期間である。具体的は、個々の状態STATE2-2の期間は周期信号S1のパルス幅に相当する固定期間である。個々の状態STATE2-2の期間は固定周期Tfixの1/10以下であることが望ましい。個々の状態STATE2-2の期間が固定周期Tfixの1/10より長いと、出力電圧VOUTのオーバーシュートが収束するまでに要する時間が許容範囲を超えるからである。
【0101】
インダクタ電流ILが正の向きである場合、第2状態STATEでの出力電圧VOUT及びスイッチ電圧VSWは、図16に示すようになる。なお、図16の紙面縦方向の縮尺に関して、出力電圧VOUTはスイッチ電圧VSWに対して拡大されている。図16から分かるように、スイッチ電圧VSWの周期は固定周期Tfixになる。すなわち、スイッチ電圧VSWの周波数(スイッチング周波数)が変動しないので、スイッチング周波数に起因するノイズの周波数も変動しない。したがって、固定周波数のノイズを抑制するノイズ抑制手段(例えばフィルタ回路など)の効果が減少してしまうおそれがない。
【0102】
次にインダクタ電流ILが負の向きである場合について説明する。
【0103】
状態STATE2-1では、図17に示すように、Nチャネル型MOSトランジスタQ1及びQ2がオン状態であるため、インダクタ電流ILはインダクタL1並びにNチャネル型MOSトランジスタQ1及びQ2を含む閉回路で回生し、スイッチ電圧VSWと出力電圧VOUTとは略同一になる。
【0104】
状態STATE2-1では、負荷LD1側への電流供給を遮断することができる。そして、状態STATE2-1では、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオフ状態であるため、出力電圧VOUTをオーバーシュート発生時のレベル付近にほぼクランプすることができる。すなわち、出力電圧VOUTのオーバーシュート発生時に第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態にし、Nチャネル型MOSトランジスタQ1及びQ2をオン状態にすることで、出力電圧VOUTがさらに増加することを防止でき、出力電圧VOUTのオーバーシュートを抑制することができる。
【0105】
状態STATE2-2では、図18に示すように、Nチャネル型MOSトランジスタQ1がオフ状態であるため、インダクタ電流ILはインダクタL1から第1スイッチSW1のボディダイオードを介して入力電圧VINの印加端に向かって流れる。したがって、スイッチ電圧VSWはVIN+VfSW1になる。なお、VfSW1は第1スイッチSW1のボディダイオードの順方向電圧である。
【0106】
インダクタ電流ILが負の向きである場合、第2状態STATEでの出力電圧VOUT及びスイッチ電圧VSWは、図19に示すようになる。なお、図19の紙面縦方向の縮尺に関して、出力電圧VOUTはスイッチ電圧VSWに対して拡大されている。図19から分かるように、スイッチ電圧VSWの周期は固定周期Tfixになる。すなわち、スイッチ電圧VSWの周波数(スイッチング周波数)が変動しないので、スイッチング周波数に起因するノイズの周波数も変動しない。したがって、固定周波数のノイズを抑制するノイズ抑制手段(例えばフィルタ回路など)の効果が減少してしまうおそれがない。
【0107】
<第2制御パターン>
まずインダクタ電流ILが正の向きである場合について説明する。
【0108】
状態STATE2-1では、図20に示すように、Nチャネル型MOSトランジスタQ1及びQ2がオン状態であるため、インダクタ電流ILはインダクタL1並びにNチャネル型MOSトランジスタQ1及びQ2を含む閉回路で回生し、スイッチ電圧VSWと出力電圧VOUTとは略同一になる。
【0109】
状態STATE2-1では、負荷LD1側への電流供給を遮断することができる。そして、状態STATE2-1では、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオフ状態であるため、出力電圧VOUTをオーバーシュート発生時のレベル付近にほぼクランプすることができる。すなわち、出力電圧VOUTのオーバーシュート発生時に第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態にし、Nチャネル型MOSトランジスタQ1及びQ2をオン状態にすることで、出力電圧VOUTがさらに増加することを防止でき、出力電圧VOUTのオーバーシュートを抑制することができる。
【0110】
状態STATE2-2では、図21に示すように、Nチャネル型MOSトランジスタQ2がオフ状態であるため、インダクタ電流ILはグランドから第2スイッチSW2のボディダイオードを介してインダクタL1に向かって流れる。したがって、スイッチ電圧VSWは-VfSW2になる。なお、VfSW2は第2スイッチSW2のボディダイオードの順方向電圧である。
【0111】
インダクタ電流ILが正の向きである場合、第2状態STATEでの出力電圧VOUT及びスイッチ電圧VSWは、図22に示すようになる。なお、図22の紙面縦方向の縮尺に関して、出力電圧VOUTはスイッチ電圧VSWに対して拡大されている。図22から分かるように、スイッチ電圧VSWの周期は固定周期Tfixになる。すなわち、スイッチ電圧VSWの周波数(スイッチング周波数)が変動しないので、スイッチング周波数に起因するノイズの周波数も変動しない。したがって、固定周波数のノイズを抑制するノイズ抑制手段(例えばフィルタ回路など)の効果が減少してしまうおそれがない。
【0112】
次にインダクタ電流ILが負の向きである場合について説明する。
【0113】
状態STATE2-1では、図23に示すように、Nチャネル型MOSトランジスタQ1及びQ2がオン状態であるため、インダクタ電流ILはインダクタL1並びにNチャネル型MOSトランジスタQ1及びQ2を含む閉回路で回生し、スイッチ電圧VSWと出力電圧VOUTとは略同一になる。
【0114】
状態STATE2-1では、負荷LD1側への電流供給を遮断することができる。そして、状態STATE2-1では、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオフ状態であるため、出力電圧VOUTをオーバーシュート発生時のレベル付近にほぼクランプすることができる。すなわち、出力電圧VOUTのオーバーシュート発生時に第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態にし、Nチャネル型MOSトランジスタQ1及びQ2をオン状態にすることで、出力電圧VOUTがさらに増加することを防止でき、出力電圧VOUTのオーバーシュートを抑制することができる。
【0115】
状態STATE2-2では、図24に示すように、Nチャネル型MOSトランジスタQ2がオフ状態であるため、インダクタ電流ILは、インダクタL1と、Nチャネル型MOSトランジスタQ1と、Nチャネル型MOSトランジスタQ2のボディダイオードとを含む閉回路で回生する。したがって、スイッチ電圧VSWはVOUT+VfQ2になる。なお、VfQ2はNチャネル型MOSトランジスタQ2のボディダイオードの順方向電圧である。
【0116】
インダクタ電流ILが負の向きである場合、第2状態STATEでの出力電圧VOUT及びスイッチ電圧VSWは、図25に示すようになる。なお、図25の紙面縦方向の縮尺に関して、出力電圧VOUTはスイッチ電圧VSWに対して拡大されている。図25から分かるように、スイッチ電圧VSWの周期は固定周期Tfixになる。すなわち、スイッチ電圧VSWの周波数(スイッチング周波数)が変動しないので、スイッチング周波数に起因するノイズの周波数も変動しない。したがって、固定周波数のノイズを抑制するノイズ抑制手段(例えばフィルタ回路など)の効果が減少してしまうおそれがない。
【0117】
<第3制御パターン>
まずインダクタ電流ILが正の向きである場合について説明する。
【0118】
状態STATE2-1では、図26に示すように、Nチャネル型MOSトランジスタQ1及びQ2がオン状態であるため、インダクタ電流ILはインダクタL1並びにNチャネル型MOSトランジスタQ1及びQ2を含む閉回路で回生し、スイッチ電圧VSWと出力電圧VOUTとは略同一になる。
【0119】
状態STATE2-1では、負荷LD1側への電流供給を遮断することができる。そして、状態STATE2-1では、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオフ状態であるため、出力電圧VOUTをオーバーシュート発生時のレベル付近にほぼクランプすることができる。すなわち、出力電圧VOUTのオーバーシュート発生時に第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態にし、Nチャネル型MOSトランジスタQ1及びQ2をオン状態にすることで、出力電圧VOUTがさらに増加することを防止でき、出力電圧VOUTのオーバーシュートを抑制することができる。
【0120】
状態STATE2-2では、図27に示すように、Nチャネル型MOSトランジスタQ1及びQ2がオフ状態であるため、インダクタ電流ILはグランドから第2スイッチSW2のボディダイオードを介してインダクタL1に向かって流れる。したがって、スイッチ電圧VSWは-VfSW2になる。
【0121】
インダクタ電流ILが正の向きである場合、第2状態STATEでの出力電圧VOUT及びスイッチ電圧VSWは、図28に示すようになる。なお、図28の紙面縦方向の縮尺に関して、出力電圧VOUTはスイッチ電圧VSWに対して拡大されている。図28から分かるように、スイッチ電圧VSWの周期は固定周期Tfixになる。すなわち、スイッチ電圧VSWの周波数(スイッチング周波数)が変動しないので、スイッチング周波数に起因するノイズの周波数も変動しない。したがって、固定周波数のノイズを抑制するノイズ抑制手段(例えばフィルタ回路など)の効果が減少してしまうおそれがない。
【0122】
次にインダクタ電流ILが負の向きである場合について説明する。
【0123】
状態STATE2-1では、図29に示すように、Nチャネル型MOSトランジスタQ1及びQ2がオン状態であるため、インダクタ電流ILはインダクタL1並びにNチャネル型MOSトランジスタQ1及びQ2を含む閉回路で回生し、スイッチ電圧VSWと出力電圧VOUTとは略同一になる。
【0124】
状態STATE2-1では、負荷LD1側への電流供給を遮断することができる。そして、状態STATE2-1では、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオフ状態であるため、出力電圧VOUTをオーバーシュート発生時のレベル付近にほぼクランプすることができる。すなわち、出力電圧VOUTのオーバーシュート発生時に第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態にし、Nチャネル型MOSトランジスタQ1及びQ2をオン状態にすることで、出力電圧VOUTがさらに増加することを防止でき、出力電圧VOUTのオーバーシュートを抑制することができる。
【0125】
状態STATE2-2では、図30に示すように、Nチャネル型MOSトランジスタQ1及びQ2がオフ状態であるため、インダクタ電流ILはインダクタL1から第1スイッチSW1のボディダイオードを介して入力電圧VINの印加端に向かって流れる。したがって、スイッチ電圧VSWはVIN+VfSW1になる。
【0126】
インダクタ電流ILが負の向きである場合、第2状態STATEでの出力電圧VOUT及びスイッチ電圧VSWは、図31に示すようになる。なお、図31の紙面縦方向の縮尺に関して、出力電圧VOUTはスイッチ電圧VSWに対して拡大されている。図31から分かるように、スイッチ電圧VSWの周期は固定周期Tfixになる。すなわち、スイッチ電圧VSWの周波数(スイッチング周波数)が変動しないので、スイッチング周波数に起因するノイズの周波数も変動しない。したがって、固定周波数のノイズを抑制するノイズ抑制手段(例えばフィルタ回路など)の効果が減少してしまうおそれがない。
【0127】
<用途>
次に、先に説明したスイッチング電源装置1及び11の用途例について説明する。図32は、車載機器を搭載した車両の一構成例を示す外観図である。本構成例の車両Xは、車載機器X11~X17と、これらの車載機器X11~X17に電力を供給するバッテリ(不図示)と、を搭載している。
【0128】
車載機器X11は、エンジンに関連する制御(インジェクション制御、電子スロットル制御、アイドリング制御、酸素センサヒータ制御、及び、オートクルーズ制御など)を行うエンジンコントロールユニットである。
【0129】
車載機器X12は、HID[high intensity discharged lamp]やDRL[daytime running lamp]などの点消灯制御を行うランプコントロールユニットである。
【0130】
車載機器X13は、トランスミッションに関連する制御を行うトランスミッションコントロールユニットである。
【0131】
車載機器X14は、車両Xの運動に関連する制御(ABS[anti-lock brake system]制御、EPS[electric power Steering]制御、電子サスペンション制御など)を行うボディコントロールユニットである。
【0132】
車載機器X15は、ドアロックや防犯アラームなどの駆動制御を行うセキュリティコントロールユニットである。
【0133】
車載機器X16は、ワイパー、電動ドアミラー、パワーウィンドウ、電動サンルーフ、電動シート、及び、エアコンなど、標準装備品やメーカーオプション品として、工場出荷段階で車両Xに組み込まれている電子機器である。
【0134】
車載機器X17は、車載A/V[audio/visual]機器、カーナビゲーションシステム、及び、ETC[Electronic Toll Collection System]など、ユーザの任意で車両Xに装着される電子機器である。
【0135】
なお、先に説明したスイッチング電源装置1及び11はいずれも、車載機器X11~X17のいずれにも組み込むことが可能である。
【0136】
<留意点>
なお、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0137】
上述した第2動作例において、例えば、インダクタ電流ILが正の向きである場合、制御部CNT1が状態STATE2-2において第2スイッチSW2をオン状態にしてもよい。また、例えば、インダクタ電流ILが負の向きである場合、制御部CNT1が状態STATE2-2において第1スイッチSW1をオン状態にしてもよい。
【0138】
上述した第2動作例において、例えば、固定周期Tfixの設定値は変更可能であってもよい。周期信号S1の周期を変更することで、固定周期Tfixの設定値を変更することができる。
【0139】
上述したスイッチング電源装置11の動作例において、例えば、第2制御パターン又は第3制御パターンでインダクタ電流ILが正の向きである場合、制御部CNT1が状態STATE2-2において第2スイッチSW2をオン状態にしてもよい。また、例えば、第1制御パターン又は第3制御パターンでインダクタ電流ILが負の向きである場合、制御部CNT1が状態STATE2-2において第1スイッチSW1をオン状態にしてもよい。
【0140】
上述したスイッチング電源装置11の動作例において、例えば、固定周期Tfixの設定値は変更可能であってもよい。周期信号S1の周期を変更することで、固定周期Tfixの設定値を変更することができる。
【0141】
上述したスイッチング電源装置11において、上述した第1スイッチ素子と上述した第2スイッチ素子との接続ノードの電圧を所定範囲にクランプするクランプ部を設けることが望ましい。例えば、図33に示す変形例では、Nチャネル型MOSトランジスタQ3のボディダイオードを上述したクランプ部として用いている。Nチャネル型MOSトランジスタQ3のドレインは、第1スイッチ素子として用いられるNチャネル型MOSトランジスタQ1と第2スイッチ素子として用いられるNチャネル型MOSトランジスタQ2との接続ノードに接続される。Nチャネル型MOSトランジスタQ3のゲート及びソースはグランド電位に接続される。図33に示す変形例では、Nチャネル型MOSトランジスタQ1とNチャネル型MOSトランジスタQ2との接続ノードの電圧の下限値は、グランド電位からNチャネル型MOSトランジスタQ3のボディダイオードの順方向電圧を引いた値になる。また、図33に示す変形例では、Nチャネル型MOSトランジスタQ1とNチャネル型MOSトランジスタQ2との接続ノードの電圧の上限値は、グランド電位からNチャネル型MOSトランジスタQ3のボディダイオードのアバランシェ降伏電圧になる。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明は、あらゆる分野(家電分野、自動車分野、産業機械分野など)で用いられる降圧型スイッチング電源装置に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0143】
1、11 スイッチング電源装置
2 取得部
3 抑制部
C1 出力コンデンサ
CNT1 制御部
DET1 検出部
FB1 出力帰還部
L1 インダクタ
LD1 負荷
Q1~Q5 Nチャネル型MOSトランジスタ
SW1~SW3 第1~第3スイッチ
X 車両
X11~X17 車載機器
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33