(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】テレケリックポリオレフィンおよびこれを調製するための方法
(51)【国際特許分類】
C08F 10/00 20060101AFI20241225BHJP
C08L 23/02 20250101ALI20241225BHJP
C08F 4/646 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
C08F10/00
C08L23/02
C08F4/646
(21)【出願番号】P 2021538027
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(86)【国際出願番号】 US2019068782
(87)【国際公開番号】W WO2020140058
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-12-14
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】スン、リーシン
(72)【発明者】
【氏名】スズロミ、アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】カルナハン、エドモンド エム.
【審査官】久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-510018(JP,A)
【文献】国際公開第2013/039152(WO,A1)
【文献】VISHAL B. Patil et al.,Efficient Synthesis of α,ω-Divinyl-Functionalized Polyolefins,Macromolecular Chemistry and Physics,2014年,215,1140-1145
【文献】TAKASHI Sawaguchi et al.,Preparation of α,ω-Diisopropenyloligopropylene by Thermal Degradation of Isotactic Polypropylene,Macromolecules,1995年,Vol.28, No.24,7973-7978
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 10/00
C08F 110/00
C08F 210/00
C08L 23/02
C08F 4/646
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)のテレケリックポリオレフィンであって、
A
1L
1L
2A
2 (I)、式中
L
1が、ポリオレフィンであり、
A
1が、ビニル基、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基、式Y
1CH=CH-のビニレン基、
およびそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択され、
Y
1が、出現ごとに独立して、C
1~C
30ヒドロカルビル基であり、
L
2が、C
1~C
32ヒドロカルビレン基であり、かつ
A
2が、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基であり、
前記ヒンダード二重結合が、ビニリデン基の環式二重結合、ビニレン基の環式二重結合、三置換アルケンの二重結合、および分岐状α-炭素に結合したビニル基の二重結合からなる群から選択される、テレケリックポリオレフィン。
【請求項2】
L
1がエチレン系ポリマーである、請求項1に記載のテレケリックポリオレフィン。
【請求項3】
L
1が、エチレンホモポリマーであるか、またはエチレンとC
3~C
30α-オレフィンとに由来する単位を含むエチレン/α-オレフィンコポリマーである、請求項1または2に記載のテレケリックポリオレフィン。
【請求項4】
前記C
3~C
30α-オレフィンが、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択される、請求項3に記載のテレケリックポリオレフィン。
【請求項5】
A
2が、非置換シクロアルケン、アルキル置換シクロアルケン、および非環式アルキル基からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載のテレケリックポリオレフィン。
【請求項6】
A
2が、以下からなる群から選択され、
【化1】
式中、(AA)~(AF)の環内二重結合が、環員である任意の2つの隣接する炭素原子の間にあり得、(AD)~(AF)のペンダントメチル基が、環員である任意の炭素原子に結合し得、(AG)~(AL)の環外二重結合が、3つ以上の炭素原子にまだ結合していない任意の環員炭素原子に結合し得る、請求項1~5のいずれか1項に記載のテレケリックポリオレフィン。
【請求項7】
前記テレケリックポリオレフィンが、1,000~1,000,000g/molの範囲の重量平均分子量(Mw)を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のテレケリックポリオレフィン。
【請求項8】
L
1が、炭素-炭素単結合を介してA
1およびL
2それぞれに共有結合しており、L
2が、炭素-炭素単結合を介してA
2に共有結合している、請求項1~7のいずれか1項に記載のテレケリックポリオレフィン。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のテレケリックポリオレフィンを含む、組成物。
【請求項10】
テレケリックポリオレフィンを調製するための方法であって、前記方法が、
1)(A)モノマー成分、(B)連鎖移動剤成分、および(C)プロ触媒を含む触媒成分を含む出発物質を組み合わせて溶液を形成し、前記溶液中の10mol%超~99mol%以下の前記(A)モノマー成分を重合することと、
2)前記溶液を加熱することと、
3)前記テレケリックポリオレフィンを含む生成物を回収することと、を含み、
前記(B)連鎖移動剤成分が、式Al(CH
2CH(Y
2)A
2)
3の有機アルミニウム化合物を含み、
Y
2が、出現ごとに独立して、水素またはC
1~C
30ヒドロカルビル基であり、かつ
A
2が、出現ごとに独立して、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基であり、
前記ヒンダード二重結合が、ビニリデン基の環式二重結合、ビニレン基の環式二重結合、三置換アルケンの二重結合、および分岐状α-炭素に結合したビニル基の二重結合からなる群から選択される、方法。
【請求項11】
前記出発物質が(D)溶媒をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップ2)が、前記溶液を少なくとも160℃の温度に加熱し、前記溶液を少なくとも160℃の前記温度で少なくとも30秒の時間にわたって保持することである、請求項10または11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年12月28日に出願された米国仮出願第62/786084号の優先権の利益を主張するものであり、これは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
実施形態は、テレケリックポリオレフィンおよびこれを調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリオレフィンは、極めて重要かつ世界で広く使用されているポリマー材料のうちの1つである。それらの固有の化学的不活性を理由として、反応性官能基を導入して2つの反応性末端基を有するテレケリックポリオレフィンを形成することが、長年にわたって積極的に追い求められてきた。しかしながら、当技術分野では、テレケリックポリオレフィンを調製するための商業的に実行可能な方法が必要とされている。本開示は、そのような必要性に対処し、また、新規のテレケリックポリオレフィン組成物に関する。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、式(I)のテレケリックポリオレフィンを含む組成物であって、
A1L1L2A2 (I)、式中
L1が、ポリオレフィンであり、
A1が、ビニル基、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基、式Y1CH=CH-のビニレン基、ビニル基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物、ビニル基と式CH2=C(Y1)-のビニリデン基との混合物、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物、およびビニル基と、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と、式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物からなる群から選択され、
Y1が、出現するごとに、独立して、C1~C30ヒドロカルビル基であり、
L2が、C1~C32ヒドロカルビレン基であり、かつ
A2が、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基である、組成物に関する。
【0005】
本開示はさらに、テレケリックポリオレフィンを含む組成物を調製するための方法であって、方法が、
1)(A)モノマー成分、(B)連鎖移動剤成分、および(C)触媒成分を含む出発物質を組み合わせて溶液を形成し、溶液中の10mol%超~99mol%以下の(A)モノマー成分を重合することと、
2)溶液を加熱することと、
3)テレケリックポリオレフィンを含む組成物を含む生成物を回収することと、を含み、
(B)連鎖移動剤成分が、式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物を含み、
Y2が、出現するごとに、独立して、水素またはC1~C30ヒドロカルビル基であり、かつ
A2が、出現するごとに、独立して、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基である、方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A-1B】CTA1の合成についての1H NMRおよびGC/MSスペクトルをそれぞれ提供する。
【
図2】CTA2の合成についての1H NMRスペクトルを提供する。
【
図3】CTA7を使用したテレケリックポリオレフィンの合成についての1H NMRスペクトルを提供する。
【
図4】CTA8を使用したテレケリックポリオレフィンの合成についての1H NMRスペクトルを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
定義
本明細書における元素周期表へのすべての言及は、CRC Press,Inc.によって2003年に出版および著作権化された元素周期表を指すものとする。また、族(複数可)へのいずれの参照も、族の付番のためにIUPACシステムを使用して、元素のこの周期表に反映された族(複数可)に対するものとする。反対のことが記載されないか、文脈から示唆されないか、または当技術分野で慣習的でない限り、すべての部およびパーセントは、重量に基づく。米国特許実務の目的のため、本明細書で参照される任意の特許、特許出願、または刊行物の内容は、特に当技術分野における合成技法、定義(本明細書に提供される任意の定義と矛盾しない程度において)、および一般的な知識に関して、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる(または、それらの同等の米国版が、参照によってそのように組み込まれる)。
【0008】
本明細書に開示されている数値範囲は、下限値および上限値を含む、下限値から上限値のすべての値を含む。明確な数値(例えば、1、または2、または3~5、または6、または7)を含む範囲については、いずれかの2つの明確な数値間の任意の部分範囲が含まれる(例えば、1~2、2~6、5~7、3~7、5~6など)。本明細書に開示される数値範囲は、任意の2つの明示的な値の間の分数をさらに含む。
【0009】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、およびそれらの派生語は、任意のさらなる構成要素、ステップ、または手順が、具体的に開示されるかに関わらず、それらの存在を除外するようには意図されていない。疑義を回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用を通じて特許請求されるすべての組成物は、反対の記載がない限り、ポリマーであろうとなかろうと、任意のさらなる添加剤、アジュバント、成分、または化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、任意の後続の詳述の範囲から、操作性に必要不可欠ではないものを除き、任意の他の構成成分、ステップ、または手順を除外する。「からなる(consisting of)」という用語は、具体的に記述または列挙されていない任意の成分、ステップ、または手順を除外する。「または」という用語は、別途記載がない限り、列挙された部材を個々に、および任意の組み合わせで指す。
【0010】
「ヒンダード二重結合」という用語は、配位重合に容易に関与することができない炭素-炭素二重結合を指す。言い換えるなら、ヒンダード二重結合は、配位重合に関与する反応性が無視できる程度である。ヒンダード二重結合の例としては、ビニリデン基の二重結合、ビニレン基の二重結合、三置換アルケンの二重結合、および分岐状α-炭素に結合したビニル基の二重結合が挙げられるが、これらに限定されることはない。本明細書で定義される場合、「ヒンダード二重結合」という用語からは、配位重合に容易に関与することができる歪んだ環式オレフィンの二重結合が除外される。当業者であれば理解するように、そのような歪んだ環式オレフィンの例としては、ノルボルネン、エチリデンノルボルネン(ENB)、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、ジシクロペンタジエン、ノルボルナジエン、5-メチレン-2-ノルボルネン(MNB)、5-プロペニル-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-(4-シクロペンテニル)-2-ノルボルネン、5-シクロヘキシリデン-2-ノルボルネンなどが挙げられるが、これらに限定されることはない。本明細書で定義される場合、「ヒンダード二重結合」という用語からは、非分岐状α-炭素に結合したビニル基の二重結合がさらに除外される。
【0011】
「組成物」という用語は、組成物を構成する材料または成分の混合物を指す。したがって、「を含む組成物」という用語および同様の用語は、組成物の任意のさらなる成分の存在を、これが具体的に開示されているかどうかにかかわらず排除することを意図してはいない。
【0012】
「非環式」という用語は、線状または分岐状である、ポリマーまたは化合物中の一連の原子を指す。したがって、「非環式ヒドロカルビル基」という用語は、線状または分岐状のヒドロカルビル基を指す。
【0013】
「環式」という用語は、1つ以上の環を含む、ポリマーまたは化合物中の一連の原子を指す。したがって、「環式ヒドロカルビル基」という用語は、1つ以上の環を含むヒドロカルビル基を指す。本明細書で使用される場合、「環式ヒドロカルビル基」は、1つ以上の環に加えて、非環式(線状または分岐状)部分を含み得る。
【0014】
「置換」という用語は、1つ以上の水素原子を、例えばアルキル基によって置換することを指す。「非置換」という用語は、そのような置換がないことを指す。
【0015】
当業者であれば理解するであろう「ヘテロ原子」という用語は、炭素または水素ではない任意の主族原子を指す。好適なヘテロ原子としては、窒素、酸素、硫黄、リン、およびハロゲンが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0016】
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」、「ヒドロカルビル基」などの用語は、脂肪族、芳香族、非環式、環式、多環式、分岐状、非分岐状、飽和、および不飽和の化合物を含む、完全に水素および炭素から構成される化合物を指す。
【0017】
「ヒドロカルビル」、「ヒドロカルビル基」、「アルキル」、「アルキル基」、「アリール」、「アリール基」、「シクロアルケン」などの用語は、あらゆる構造異性体または立体異性体を含む、あらゆる可能な異性体を含むことを意図している。同じことが、ヘテロヒドロカルビル、ヒドロカルビレン、ヘテロヒドロカルビレン、アルキレン、ヘテロアルキル、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリール、ヘテロアリーレン、シクロアルキル、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロシクロアルキレンを含むがこれらに限定されることはない同様の用語に当てはまる。
【0018】
「環内二重結合」という用語は、環員である2つの炭素原子間の二重結合を指す。「環外二重結合」という用語は、炭素原子のうちの一方のみが環員である2つの炭素原子間の二重結合を指す。
【0019】
「活性触媒」、「活性触媒組成物」、および同様の用語は、助触媒の有無にかかわらず不飽和モノマーを重合することができる遷移金属化合物を指す。活性触媒とは、助触媒なしで活性になって不飽和モノマーを重合する「プロ触媒」であり得る。あるいは、活性触媒とは、助触媒と組み合わさって活性になり不飽和モノマーを重合する「プロ触媒」であり得る。
【0020】
「プロ触媒」という用語は、「触媒」、「プレ触媒」、「触媒前駆体」、「遷移金属触媒」、「遷移金属触媒前駆体」、「重合触媒」、「重合触媒前駆体」、「遷移金属錯体」、「遷移金属化合物」、「金属錯体」、「金属化合物」、「錯体」、「金属-配位子錯体」などの用語と互換的に使用される。
【0021】
「助触媒」とは、特定のプロ触媒を活性化して、不飽和モノマーの重合が可能な活性触媒を形成することができる化合物を指す。「助触媒」という用語は、「活性剤」および同様の用語と互換的に使用される。
【0022】
「ポリマー」とは、同じ種類であるか異なる種類であるかにかかわらず、モノマーを重合することによって調製される化合物を指す。したがって、「ポリマー」という総称は、1種類のモノマーのみから調製されたポリマーを指す「ホモポリマー」という用語、および本明細書で定義される「インターポリマー」または「コポリマー」という用語を包含する。微量の不純物、例えば、触媒残渣が、ポリマー中および/またはポリマー内に組み込まれ得る。
【0023】
「インターポリマー」または「コポリマー」とは、少なくとも2つの異なる種類のモノマーを重合することによって調製されたポリマーを指す。これらの総称は、2つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーと、2つより多くの異なる種類のモノマーから調製されるポリマー(例えば、ターポリマー、テトラポリマーなど)との両方を含む。これらの総称は、ランダム、ブロック、均一、不均一などのような、すべての形態のインターポリマーまたはコポリマーを包含する。
【0024】
「エチレン系ポリマー」または「エチレンポリマー」とは、ポリマーの重量を基準として過半量(50重量%超)の重合されたエチレンを含み、かつ任意選択的に、少なくとも1つのコモノマーの重合単位をさらに含み得る、ポリマーである。「エチレン系インターポリマー」とは、インターポリマーの重量を基準として過半量(50重量%超)のエチレンをポリマー化された形態で含み、かつ少なくとも1つのコモノマーの重合単位をさらに含む、インターポリマーである。好ましくは、エチレン系インターポリマーは、ランダムインターポリマーである(すなわち、ランダムに分布したそのモノマー構成要素を含む)。「エチレンホモポリマー」とは、エチレンに由来する繰り返し単位を含むが他の成分の残留量を除外しないポリマーである。
【0025】
「プロピレン系ポリマー」または「プロピレンポリマー」とは、ポリマーの重量を基準として過半量(50重量%超)の重合されたプロピレンを含み、かつ任意選択的に、少なくとも1つのコモノマーの重合単位をさらに含み得る、ポリマーである。「プロピレン系インターポリマー」とは、インターポリマーの重量を基準として過半量(50重量%超)のプロピレンをポリマー化された形態で含み、かつ少なくとも1つのコモノマーの重合単位をさらに含む、インターポリマーである。好ましくは、プロピレン系インターポリマーは、ランダムインターポリマーである(すなわち、ランダムに分布したそのモノマー構成要素を含む)。「プロピレンホモポリマー」とは、プロピレンに由来する繰り返し単位を含むが他の成分の残留量を除外しないポリマーである。
【0026】
「エチレン/α-オレフィンインターポリマー」とは、インターポリマーの重量を基準として過半量(50重量%超)の重合されたエチレンを含み、かつ少なくとも1つのα-オレフィンの重合単位をさらに含む、インターポリマーである。好ましくは、エチレン/α-オレフィンインターポリマーは、ランダムインターポリマーである(すなわち、ランダムに分布したそのモノマー構成要素を含む)。「エチレン/α-オレフィンコポリマー」とは、コポリマーの重量を基準として過半量(50重量%超)の重合されたエチレンを含み、かつα-オレフィンの重合単位をさらに含む、コポリマーである。好ましくは、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、ランダムコポリマーである(すなわち、ランダムに分布したそのモノマー構成要素を含む)。
【0027】
「プロピレン/α-オレフィンインターポリマー」とは、インターポリマーの重量を基準として過半量(50重量%超)の重合されたプロピレンを含み、かつ少なくとも1つのα-オレフィンの重合単位をさらに含む、インターポリマーである。好ましくは、プロピレン/α-オレフィンインターポリマーは、ランダムインターポリマーである(すなわち、ランダムに分布したそのモノマー構成要素を含む)。「プロピレン/α-オレフィンコポリマー」とは、コポリマーの重量を基準として過半量(50重量%超)の重合されたプロピレンを含み、かつα-オレフィンの重合単位をさらに含む、インターポリマーである。好ましくは、プロピレン/α-オレフィンコポリマーは、ランダムコポリマーである(すなわち、ランダムに分布したそのモノマー構成要素を含む)。
【0028】
「ポリオレフィン」とは、オレフィンモノマーから生成されるポリマーであって、オレフィンモノマー(アルケンとも呼ばれる)が、少なくとも1つの二重結合を有する炭素および水素の線状、分岐状、または環式化合物である、ポリマーである。
【0029】
本明細書で使用される場合、「連鎖移動剤成分」および「連鎖移動剤」という用語は、活性触媒部位との可逆的または不可逆的なポリマー交換を起こすことができる1つの化合物または化合物の混合物を指す。不可逆的連鎖移動とは、成長中のポリマー鎖が活性触媒から連鎖移動剤に移動し、その結果、ポリマー鎖の成長が停止することを指す。可逆的連鎖移動とは、成長中のポリマー鎖が活性触媒と連鎖移動剤との間で行き来して移動することを指す。
【0030】
「オレフィンブロックコポリマー」または「OBC」という用語は、エチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマーを指し、エチレンと、化学的または物理的性質が異なる、2つ以上(好ましくは3つ以上)の重合モノマー単位の複数のブロックまたはセグメントを特徴とする1つ以上の共重合性α-オレフィンコモノマーとを重合形態で含む。具体的には、「オレフィンブロックコポリマー」という用語は、線状様式で接合された2つ以上(好ましくは3つ以上)の化学的に異なる領域またはセグメント(「ブロック」と呼ばれる)を含むポリマー、すなわち、ペンダントまたはグラフト方式ではなく、重合官能基に関して端部と端部とが接合(共有結合)している化学的に区別された単位を含むポリマーを指す。ブロックは、そこに組み込まれるコモノマーの量もしくは種類、密度、結晶化度の量、結晶化度の種類(例えば、ポリエチレン対ポリプロピレン)、そのような組成のポリマーに起因する結晶子サイズ、立体規則性の種類もしくは程度(アイソタクチックもしくはシンジオタクチック)、領域規則性もしくは領域不規則性、長鎖分岐もしくは超分岐を含む分岐の量、均一性、および/または任意の他の化学的もしくは物理的特性において異なる。ブロックコポリマーは、例えば、触媒系と組み合わせたシャトリング剤の使用効果に基づいて、ポリマー分子量分布(PDIまたはMw/Mn)およびブロック長分布の両方において独特の分布を持つことを特徴とする。本開示のオレフィンブロックコポリマーの非限定的な例、ならびにこれらを調製するための方法は、米国特許第7,858,706B2号、同第8,198,374号B2号、同第8,318,864B2号、同第8,609,779B2号、同第8,710,143B2号、同第8,785,551B2号、および同第9,243,090B2号に開示されており、これらはすべて、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0031】
「ブロック複合体」(「BC」)という用語は、3つのポリマー成分:(i)エチレン系ポリマー(EP)中の重合モノマー単位の総モル数を基準として10mol%~90mol%のエチレン含有量を有するエチレン系ポリマー(EP)(軟質コポリマー)と、(ii)α-オレフィン系ポリマー(AOP)中の重合モノマー単位の総モル数を基準として90mol%超のα-オレフィン含有量を有するα-オレフィン系ポリマー(AOP)(硬質コポリマー)と、(iii)エチレンブロック(EB)およびα-オレフィンブロック(AOB)を有するブロックコポリマー(ジブロックコポリマー)と、を含む、ポリマーであって、ブロックコポリマーのエチレンブロックが、ブロック複合体の成分(i)のEPと同じ組成であり、ブロックコポリマーのα-オレフィンブロックが、ブロック複合体の成分(ii)のAOPと同じ組成である、ポリマーを指す。さらに、ブロック複合体において、EPの量とAOPの量との間の組成分割は、ブロックコポリマー中の対応するブロック間の組成分割と本質的に同じになるであろう。本開示のブロック複合体の非限定的な例、ならびにこれらを調製するための方法は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,686,087号および同第8,716,400号に開示されている。
【0032】
「特定のブロック複合体」(「SBC」)という用語は、3つのポリマー成分:(i)エチレン系ポリマー(EP)中の重合モノマー単位の総モル数を基準として78mol%~90mol%のエチレン含有量を有するエチレン系ポリマー(EP)(軟質コポリマー)と、(ii)α-オレフィン系ポリマー(AOP)中の重合モノマー単位の総モル数を基準として61mol%~90mol%のα-オレフィン含有量を有するα-オレフィン系ポリマー(AOP)(硬質コポリマー)と、(iii)エチレンブロック(EB)およびα-オレフィンブロック(AOB)を有するブロックコポリマー(ジブロックコポリマー)と、を含む、ポリマーであって、ブロックコポリマーのエチレンブロックが、特定のブロック複合体の成分(i)のEPと同じ組成であり、ブロックコポリマーのα-オレフィンブロックが、特定のブロック複合体の成分(ii)のAOPと同じ組成である、ポリマーを指す。さらに、特定のブロック複合体において、EPの量とAOPの量との間の組成分割は、ブロックコポリマー中の対応するブロック間の組成分割と本質的に同じになるであろう。本開示の特定のブロック複合体の非限定的な例、ならびにこれらを調製するための方法は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれるWO2017/044547に開示されている。
【0033】
「結晶性ブロック複合体」(「CBC」)という用語は、3つの成分:(i)結晶性エチレン系ポリマー(CEP)中の重合モノマー単位の総モル数を基準として90mol%超のエチレン含有量を有する結晶性エチレン系ポリマー(CEP)と、(ii)結晶性α-オレフィン系コポリマー(CAOP)中の重合モノマー単位の総モル数を基準として90mol%超のα-オレフィン含有量を有する結晶性α-オレフィン系ポリマー(CAOP)と、(iii)結晶性エチレンブロック(CEB)および結晶性α-オレフィンブロック(CAOB)を含むブロックコポリマーと、を含む、ポリマーであって、ブロックコポリマーのCEBが、結晶性ブロック複合体の成分(i)のCEPと同じ組成であり、ブロックコポリマーのCAOBが、結晶性ブロック複合体の成分(ii)のCAOPと同じ組成である、ポリマーを指す。さらに、結晶性ブロック複合体において、CEPの量とCAOPの量との間の組成分割は、ブロックコポリマー中の対応するブロック間の組成分割と本質的に同じになるであろう。本開示の結晶性ブロック複合体の非限定的な例、ならびにこれらを調製するための方法は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,822,598B2号およびWO2016/01028961A1に開示されている。
【0034】
「結晶性」という用語は、示差走査熱量測定(DSC)または同等の技法によって決定される第1次転移または結晶融点(Tm)を有するポリマーを指す。この用語は、「半結晶性」という用語と互換的に使用され得る。「非晶質」という用語は、示差走査熱量測定(DSC)または同等の技法によって決定される結晶融点を欠いているポリマーを指す。
【0035】
テレケリックポリオレフィン
本開示は、式A1L1L2A2のテレケリックポリオレフィン、ならびにそのようなテレケリックポリオレフィンを含む組成物に関する。
【0036】
具体的には、本開示は、式(I)のテレケリックポリオレフィンまたは式(I)のテレケリックポリオレフィンを含む組成物であって、
A1L1L2A2 (I)、式中
L1が、ポリオレフィンであり、
A1が、ビニル基、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基、式Y1CH=CH-のビニレン基、ビニル基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物、ビニル基と式CH2=C(Y1)-のビニリデン基との混合物、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物、およびビニル基と、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と、式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物からなる群から選択され、
Y1が、出現するごとに、独立して、C1~C30ヒドロカルビル基であり、
L2が、C1~C32ヒドロカルビレン基であり、かつ
A2が、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基であり、かつ
式(I)のテレケリックポリオレフィンが、1,000~10,000,000g/molの重量平均分子量を含む、式(I)のテレケリックポリオレフィンまたは式(I)のテレケリックポリオレフィンを含む組成物に関する。
【0037】
特定の実施形態では、L2は、-CH2CH(Y2)-であり、そのため、式(I)のテレケリックポリオレフィンは、A1L1CH2CH(Y2)A2であり、ここで、Y2は、水素またはC1~C30ヒドロカルビル基である。特定の実施形態では、Y2基は水素である。さらなる実施形態では、Y2基は、C1~C10アルキル基、またはC1~C6アルキル基、またはC1~C3アルキル基である。さらなる実施形態では、Y2基はエチル基である。
【0038】
当業者であれば、式A1L1L2A2に関して、A1は、炭素-炭素単結合を介してL1に共有結合しており、L1は、炭素-炭素単結合を介してL2に共有結合しており、L2は、炭素-炭素単結合を介してA2に共有結合していると理解するであろう。したがって、本明細書において、式A1L1L2A2のL1がポリオレフィンであると述べられている場合、L1は、炭素-炭素単結合を介してA1およびL2基それぞれに共有結合している二価ポリオレフィン基(2つの水素を欠くポリオレフィン)であると理解される。同様に、式A1L1L2A2のL1がポリマーであると述べられている場合、L1は、炭素-炭素単結合を介してA1およびL2基それぞれに共有結合している二価ポリマー基(2つの水素を欠くポリマー)であると理解される。例えば、L1がエチレンホモポリマーであると述べられている場合、L1は、炭素-炭素単結合を介してA1およびL2基それぞれに共有結合している二価エチレンホモポリマー基(2つの水素を欠くエチレンホモポリマー)であると理解される。さらなる例として、L1がエチレン/α-オレフィンコポリマーであると述べられている場合、L1は、炭素-炭素単結合を介してA1およびL2基それぞれに共有結合している二価エチレン/α-オレフィンコポリマー基(2つの水素を欠くエチレン/α-オレフィンコポリマー)であると理解される。
【0039】
いくつかの実施形態では、式(I)のL1は、不飽和モノマー(およびコモノマー)の配位重合から生じるポリオレフィンである。好適なモノマー(およびコモノマー)の例としては、エチレンおよび3~30個の炭素原子、好ましくは3~20個の炭素原子のα-オレフィン、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、3,5,5-トリメチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、5-エチル-1-ノネン、1-オクタデセンおよび1-エイコセン;共役または非共役ジエン、例えば、ブタジエン、イソプレン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、1,3-ヘキサジエン、1,5-ヘプタジエン、1,6-ヘプタジエン、1,3-オクタジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエンおよび5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、3,7-ジメチル-1,7-オクタジエンおよびジヒドロミルセンとジヒドロオシメンとの混合異性体;ノルボルネンおよびアルケニル、アルキリデン、シクロアルケニルおよびシクロアルキリデンノルボルネン、例えば、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-プロペニル-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-(4-シクロペンテニル)-2-ノルボルネン、5-シクロヘキシリデン-2-ノルボルネンおよびノルボルナジエン;ならびに芳香族ビニル化合物、例えば、スチレン、モノまたはポリアルキルスチレン(スチレン、o-メチルスチレン、t-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o,p-ジメチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレンおよびp-エチルスチレンを含む)が挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0040】
L1は、線状(非分岐状)、分岐状、または環式であり得る。L1における分岐の有無および分岐の程度(分岐が存在する場合)は、大きく異なり得て、所望の加工条件および所望のポリマー特性に依存し得る。分岐がL1において存在する場合、分岐は、短鎖分岐または長鎖分岐であり得る。L1に存在し得る長鎖分岐の例示的な種類としては、T型の分岐およびH型の分岐が挙げられるが、これらに限定されることはない。したがって、いくつかの実施形態では、L1は、長鎖分岐を含み得る。言い換えるなら、いくつかの実施形態では、L1は、1つ以上の長鎖分岐を含み得て、各長鎖分岐は、式(I)について本明細書で定義されるA2基を任意選択的に含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、式(I)のA1基は、L1を形成するためのモノマーとコモノマーとの配位重合に基づいて、最後に挿入されるモノマーまたはコモノマーと相関関係にある。したがって、L1の配位重合についてのモノマーおよびコモノマーの選択は、A1基およびY1基が何であり得るかを示すことになる。いくつかの実施形態では、A1基はビニル基である。いくつかの実施形態では、A1基は、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基であり、式中、Y1は、C1~C30ヒドロカルビル基である。いくつかの実施形態では、A1基は、式Y1CH=CH-のビニレン基であり、式中、Y1は、C1~C30ヒドロカルビル基である。いくつかの実施形態では、A1基は、ビニル基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、式中、Y1は、C1~C30ヒドロカルビル基である。いくつかの実施形態では、A1基は、ビニル基と式CH2=C(Y1)-のビニリデン基との混合物であり、式中、Y1は、C1~C30ヒドロカルビル基である。いくつかの実施形態では、A1基は、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、式中、Y1は、C1~C30ヒドロカルビル基である。いくつかの実施形態では、A1基は、ビニル基と、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と、式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、式中、Y1は、C1~C30ヒドロカルビル基である。
【0042】
さらなる実施形態では、A1基は、ビニル基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、式中、A1は、0.99:0.01~0.01:0.99の、ビニル基と式Y1CH=CH-のビニレン基との比を含み、式中、Y1は、C1~C30ヒドロカルビル基である。
【0043】
さらなる実施形態では、A1基は、ビニル基と式CH2=C(Y1)-のビニリデン基との混合物であり、式中、A1は、0.99:0.01~0.01:0.99の、ビニル基と式CH2=C(Y1)-のビニリデン基との比を含み、式中、Y1は、C1~C30ヒドロカルビル基である。
【0044】
さらなる実施形態では、A1基は、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、式中、A1は、0.99:0.01~0.01:0.99の、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と式Y1CH=CH-のビニレン基との比を含み、式中、Y1は、C1~C30ヒドロカルビル基である。
【0045】
さらなる実施形態では、A1基は、ビニル基と、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と、式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、式中、A1は、0.99:0.01~0.01:0.99の、ビニル基と、式Y1CH=CH-のビニレン基、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基、およびビニル基の合計との比を含み、式中、Y1は、C1~C30ヒドロカルビル基である。
【0046】
特定の実施形態では、L1は、1つのモノマーに由来する単位を含むホモポリマーである。モノマーは、前述の好適なモノマーのうちのいずれかから選択され得る。さらなる実施形態では、L1は、エチレンに由来する単位を含むエチレンホモポリマーである。さらなる実施形態では、L1は、プロピレンから誘導された単位を含むプロピレンホモポリマーである。
【0047】
いくつかの実施形態では、L1は、モノマーおよびコモノマーのような少なくとも2つの異なる種類のモノマーに由来する単位を含むインターポリマーである。したがって、特定の実施形態では、L1は、あるモノマーと、このモノマーとは異なる少なくとも1つのコモノマーとに由来する単位を含むインターポリマーである。モノマーおよびこのモノマーとは異なる少なくとも1つのコモノマーはそれぞれ、前述の好適なモノマーのうちのいずれかから選択され得る。
【0048】
さらなる実施形態では、L1は、モノマーおよびコモノマーのような2つの異なる種類のモノマーに由来する単位を含むコポリマーである。したがって、特定の実施形態では、L1は、あるモノマーと、このモノマーとは異なるコモノマーとに由来する単位を含むコポリマーである。モノマーおよびコモノマーはそれぞれ、前述の好適なモノマーのうちのいずれかから選択され得る。
【0049】
特定の実施形態では、L1は、エチレン/α-オレフィンコポリマーである。いくつかの実施形態では、L1は、エチレンとC3~C30α-オレフィンとに由来する単位を含むエチレン/α-オレフィンコポリマーであって、式(I)のテレケリックポリオレフィンが、式(I)のテレケリックポリオレフィンの総重量を基準として、50重量%以上、または60重量%以上、または70重量%以上、または75重量%以上、または80重量%以上、または85重量%以上、または88重量%以上、または89重量%以上、または90重量%以上の量のエチレンを含む、エチレン/α-オレフィンコポリマーである。C3~C30α-オレフィンは、前述の好適なα-オレフィンのうちのいずれかから選択され得る。特定の実施形態では、C3~C30α-オレフィンは、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセンなどであり得る。いくつかの実施形態では、L1は、エチレンとC3~C30α-オレフィンとに由来する単位を含むエチレン/α-オレフィンコポリマーであって、C3~C30α-オレフィンが、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択される、エチレン/α-オレフィンコポリマーである。
【0050】
さらなる実施形態では、L1は、プロピレン/α-オレフィンコポリマーである。L1は、プロピレンとエチレンまたはC4~C30α-オレフィンのいずれかとに由来する単位を含むプロピレン/α-オレフィンコポリマーであって、式(I)のテレケリックポリオレフィンが、式(I)のテレケリックポリオレフィンの総重量を基準として、50重量%以上、または60重量%以上、または70重量%以上、または75重量%以上、または80重量%以上、または85重量%以上、または88重量%以上、または89重量%以上、または90重量%以上の量のプロピレンを含む、プロピレン/α-オレフィンコポリマーであり得る。C4~C30α-オレフィンは、先に論じた好適なα-オレフィンのいずれかであり得る。特定の実施形態では、C4~C30α-オレフィンは、イソブチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセンなどであり得る。特定の実施形態では、L1は、プロピレンとエチレンまたはC4~C30α-オレフィンのいずれかとに由来する単位を含むプロピレン/α-オレフィンコポリマーであって、C4~C30α-オレフィンが、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択される、プロピレン/α-オレフィンコポリマーであり得る。
【0051】
特定の実施形態では、L1は、先に論じた好適なモノマーのうちのいずれかからそれぞれ選択され得る3つの異なる種類のモノマーに由来する単位を含むターポリマーである。さらなる実施形態では、L1は、第1のモノマーとしてのエチレンまたはプロピレンと、第2のモノマーとしてのC3~C30α-オレフィンまたはスチレンと、第3のモノマーとしてのジエンまたは極性モノマーとを含む、ターポリマーである。
【0052】
いくつかの実施形態では、L1は、ジエンモノマーに由来する単位を、式(I)のテレケリックポリオレフィンの総重量を基準として0~10重量%含む。例えば、L1は、ジエンモノマーに由来する単位を、式(I)のテレケリックポリオレフィンの総重量を基準として1~8重量%、または1~5重量%、または1~3重量%含み得る。さらなる実施形態では、L1は、ジエンモノマーに由来する単位を実質的に含んでいなくてもよい。例えば、特定の実施形態では、L1は、ジエンモノマーに由来する単位を、式(I)のテレケリックポリオレフィンの総重量を基準として、0~0.2重量%、または0~0.01重量%、または0~0.001重量%、または0~0.0001重量%含み得る。
【0053】
特定の実施形態では、L1は、本明細書で定義されるオレフィンブロックコポリマーである。さらなる実施形態では、L1は、本明細書で定義される、ブロック複合体、特定のブロック複合体、または結晶性ブロック複合体である。
【0054】
いくつかの実施形態では、A2は、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基である。さらなる実施形態では、A2は、2つ以上のヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基である。
【0055】
特定の実施形態では、ヒンダード二重結合を理由に、A2基は、ポリオレフィンL1を作製するために使用されるプロセス条件下で活性触媒によって容易には組み込まれず、そのため、L1の骨格鎖に沿ったA2の直接の組み込みが、本明細書に記載されている13C NMR法または同様の13C NMR法によって決定される場合に、0.5mol%以下であるか、または0.1mol%以下であるか、または検出されない、基である。
【0056】
いくつかの実施形態では、A2は、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基であって、ヒンダード二重結合が、ビニリデン基の二重結合、ビニレン基の二重結合、三置換アルケンの二重結合、および分岐状α-炭素に結合したビニル基の二重結合からなる群から選択される、ヒドロカルビル基である。
【0057】
さらなる実施形態では、A2は、2つ以上のヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基であって、各ヒンダード二重結合が、独立して、ビニリデン基の二重結合、ビニレン基の二重結合、三置換アルケンの二重結合、および分岐状α-炭素に結合したビニル基の二重結合からなる群から選択される、ヒドロカルビル基である。
【0058】
特定の実施形態では、A2は、官能基を含むヒドロカルビル基であって、官能基が、ビニリデン基、ビニレン基、三置換アルケン、および分岐状α-炭素に結合したビニル基からなる基から選択される、ヒドロカルビル基である。
【0059】
さらなる実施形態では、A2は、2つ以上の官能基を含むヒドロカルビル基であって、各官能基が、独立して、ビニリデン基、ビニレン基、三置換アルケン、および分岐状α-炭素に結合したビニル基からなる基から選択される、ヒドロカルビル基である。
【0060】
A2基は、環式または非環式(線状もしくは分岐状)ヒドロカルビル基であり得る。A2が環式ヒドロカルビル基である場合、A2は、1つ以上の環を含み得て、各環は、単環式、二環式、または多環式の環であり得て、また各環は、1つ以上のヒンダード二重結合を含み得る。
【0061】
さらに、A2が環式ヒドロカルビル基である場合、その中の各ヒンダード二重結合または官能基は、環内二重結合、環外二重結合、または非環式二重結合であり得る。例えば、A2は、ビニレン基を含む環式ヒドロカルビル基であって、ビニレン基の二重結合が、環内二重結合または非環式二重結合であり得る、環式ヒドロカルビル基であり得る。さらなる実施形態では、A2は、ビニリデン基を含む環式ヒドロカルビル基であって、ビニリデン基の二重結合が、環外二重結合または非環式二重結合であり得る、環式ヒドロカルビル基であり得る。さらなる実施形態では、A2は、三置換アルケンを含む環式ヒドロカルビル基であって、三置換アルケンの二重結合が、環内二重結合、環外二重結合、または非環式二重結合であり得る、環式ヒドロカルビル基であり得る。さらなる実施形態では、A2は、分岐状α-炭素に結合したビニル基を含む環式ヒドロカルビル基であって、分岐状α-炭素に結合したビニル基が非環式二重結合である、環式ヒドロカルビル基であり得る。
【0062】
本明細書に記載されている実施形態のいずれにおいても、A2は、3~30個の炭素原子、または3~25個の炭素原子、または3~20個の炭素原子、または3~15個の炭素原子、または3~10個の炭素原子、または3~9個の炭素原子、または3~8個の炭素原子、または3~7個の炭素原子、または3~6個の炭素原子、または3~5個の炭素原子、または3~4個の炭素原子、または3個の炭素原子を含み得る。
【0063】
特定の実施形態では、A2は、アルキル置換または非置換シクロアルケンを含むC3~C30環式ヒドロカルビル基である。さらなる実施形態では、A2は、3~30個の炭素原子、または3~25個の炭素原子、または3~20個の炭素原子、または3~15個の炭素原子、または3~10個の炭素原子、または3~9個の炭素原子、または3~8個の炭素原子、または3~7個の炭素原子、または3~6個の炭素原子を含むアルキル置換または非置換シクロアルケンである。
【0064】
例示的な非置換シクロアルケンとしては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、1,3-シクロヘキサジエン、1,4-シクロヘキサジエン、および1,5-シクロオクタジエンが挙げられるが、これらに限定されることはない。例示的なアルキル置換シクロアルケンとしては、アルキル置換シクロヘキセン、アルキル置換シクロヘプテン、アルキル置換シクロオクテン、アルキル置換1,3-シクロヘキサジエン、アルキル置換1,4-シクロヘキサジエン、およびアルキル置換1,5-シクロオクタジエンが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0065】
いくつかの実施形態では、A2は、メチル置換または非置換シクロヘキセン、メチル置換または非置換シクロヘプテン、およびメチル置換または非置換シクロオクテンからなる群から選択されるメチル置換または非置換シクロアルケンである。いくつかの実施形態では、A2は、メチル置換または非置換シクロヘキセンである。
【0066】
いくつかの実施形態では、A2は、C1~C10非環式アルキル基、またはC3~C10非環式アルキル基、またはC4~C8非環式アルキル基である。
【0067】
式(I)のテレケリックポリオレフィンの例示的なA
2基としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されることはない:
【化1-1】
【化1-2】
【0068】
(AA)~(AZ)および(AZ1)それぞれに関して、
【数1】
記号(波線記号)は、式(I)中のL
2への接続点、例えば、式(I)の特定の実施形態における水素、「Y
2」、および「A
1L
1CH
2」に結合した炭素への接続点を表す。さらに、(AA)~(AZ)および(AZ1)それぞれに関して、
【数2】
記号(波線記号)は、以下で論じる式Al(CH
2CH(Y
2)A
2)
3およびZn(CH
2CH(Y
2)A
2)
2の連鎖移動剤中の水素およびY
2に結合した炭素への接続点を表す。
【0069】
(AA)~(AF)それぞれに関して、環内二重結合は、環員である任意の2つの隣接する炭素原子間にあり得る。
【0070】
(AD)~(AF)それぞれに関して、ペンダントメチル基は、環員である任意の炭素原子に接続され得る。
【0071】
(AG)~(AL)それぞれに関して、環外二重結合は、2つより多くの炭素原子にまだ接続されていない任意の環員炭素原子に接続され得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、式(I)のテレケリックポリオレフィンは、本明細書に記載されているGPC法または同様のGPC法に従って、1,000~10,000,000g/mol、または1,000~5,000,000g/mol、または1,000~1,000,000g/mol、または1,000~750,000g/mol、または1,000~500,000g/mol、または1,000~250,000g/molの重量平均分子量(Mw)を含むか、またはこれを有する。
【0073】
いくつかの実施形態では、式(I)のテレケリックポリオレフィンは、本明細書に記載されているGPC法または同様のGPC法に従って、1,000~10,000,000g/mol、または1,000~5,000,000g/mol、または1,000~1,000,000g/mol、または1,000~750,000g/mol、または1,000~500,000g/mol、または1,000~250,000g/molの数平均分子量(Mn)を含むか、またはこれを有する。
【0074】
いくつかの実施形態では、式(I)のテレケリックポリオレフィンは、本明細書に記載されているGPC法または同様のGPC法に従って、1,000~10,000,000g/mol、または1,000~5,000,000g/mol、または1,000~1,000,000g/mol、または1,000~750,000g/mol、または1,000~500,000g/mol、または5,000~500,000g/mol、または10,000~500,000g/molの平均モル質量(Mz)を含むか、またはこれを有する。
【0075】
いくつかの実施形態では、式(I)のテレケリックポリオレフィンは、本明細書に記載されているGPC法または同様のGPC方法に従って、1~10、または1~7、または1~5、または1.5~4、または2~4のMw/Mn(PDI)を含むか、またはこれを有する。
【0076】
いくつかの実施形態では、式(I)のテレケリックポリオレフィンは、ASTM D-792の方法Bに従って、0.850~0.965g/cc、または0.854~0.950g/cc、または0.854~0.935g/cc、または0.854~0.925g/cc、または0.854~0.910g/cc、または0.854~0.900g/cc、または0.854~0.885g/cc、または0.854~0.880g/cc、または0.854~0.875g/ccの密度を含むか、またはこれを有する。
【0077】
いくつかの実施形態では、式(I)のテレケリックポリオレフィンは、ASTM D-1238、条件190℃/2.16kgに従って、0.01~2000g/10分、または0.01~1,500g/10分、または0.01~1,000g/10分、または0.01~500g/10分、または0.01~100g/10分、または0.5~50g/10分、または0.5~30g/10分のメルトインデックス(I2)を含むか、またはこれを有する。
【0078】
いくつかの実施形態では、式(I)のテレケリックポリオレフィンは、本明細書に記載されているDSC法または同様のDSC法に従って、-25℃~165℃、または25℃~150℃、または-25℃~125℃、または-25℃~100℃、または0℃~80℃、または10℃~60℃の範囲のTmを含むか、またはこれを有する。
【0079】
いくつかの実施形態では、式(I)のテレケリックポリオレフィンは、ASTM D-3236に従って、10~108cP、または10~107cP、または10~106cP、または10~750,000cP、または10~500,000cP、または10~250,000cP、または10~100,000cP、または10~75,000cP、または10~50,000cP、または10~40,000cPのBrookfield粘度(177℃で測定)を含むか、またはこれを有する。
【0080】
いくつかの実施形態では、式(I)のテレケリックポリオレフィンは、本明細書に記載されているDSC法または同様のDSC法に従って、0~235J/g、または0~200J/g、または10~175J/g、または10~150J/g、または10~125J/g、または20~117J/gの融解エンタルピー(ΔHm)を含むか、またはこれを有する。
【0081】
いくつかの実施形態では、式(I)のテレケリックポリオレフィンは、本明細書に記載されているDSC法または同様のDSC法に従って、292J/gのPEΔHmを基準として、0~80%、または0~60%、または5~50%、または7~40%の重量%結晶化度を含むか、またはこれを有する。
【0082】
いくつかの実施形態では、式(I)のテレケリックポリオレフィンは、本明細書に記載されているDSC法または同様のDSC法に従って、-80~100℃、または-80~75℃、または-80~50℃、または-80~25℃、または-80~0℃、または-80~-15℃、または-70~-30℃のTgを含むか、またはこれを有する。
【0083】
いくつかの実施形態では、L1は、ジエンモノマーに由来する単位を実質的に含まず、式(I)のテレケリックポリオレフィンは、1.1以上、または1.2以上、または1.3以上、または1.4以上、または1.5以上、または1.6以上、または1.7以上、または1.8以上、または1.9以上の総不飽和度数を含む。総不飽和度数は、(不飽和度/1000C)*(1000C/鎖)=(不飽和度/1000C)*(Mn/MCH2/1000)として定義され得て、式中、不飽和度/1000Cは、1H NMRによって測定され、Mnは、GPCによって測定した数平均分子量であり、13C NMRによって測定した組成について補正されており、MCH2=14g/molである。報告されているように、GPCによって測定したMnは、ポリマー骨格の数平均分子量である。1H NMRによって測定した不飽和度/1000Cは、ポリマー鎖中の総炭素数を基準としている。エチレン、プロピレン、オクテン、およびエチリデンノルボルネンの場合、2個の骨格炭素原子あたり、それぞれ2個、3個、8個、および9個の総炭素原子がある。したがって、組成について補正されたMnは、GPC時間(mol% C2/2+mol% C3/3+mol% C8/8+mol% ENB/9)/2によって測定したMnである。ここで、13C NMR、1H NMR、およびGPCは、本明細書に記載されている方法または同様の方法を指す。ここで使用される場合、「実質的に含まない」とは、ジエンモノマーに由来する単位を、式(I)のテレケリックポリオレフィンの総重量を基準として、例えば0~0.001重量%含むLを指す。
【0084】
いくつかの実施形態では、L1は、ジエンモノマーに由来する単位を、式(I)のテレケリックポリオレフィンの総重量を基準として、1~8重量%、または1~5重量%、または1~3重量%含み、式(I)のテレケリックポリオレフィンは、(XD+1.1)以上、(XD+1.2)以上、(XD+1.3)以上、(XD+1.4)以上、(XD+1.5)以上、(XD+1.6)以上、(XD+1.7)、(XD+1.8)以上、または(XD+1.9)以上の総不飽和度数を含み、式中、XDは、L1中のジエンモノマーに由来する単位からの不飽和度の数であり、不飽和度は、先の段落で説明したように測定される。
【0085】
特定の実施形態では、式(I)のテレケリックポリオレフィンは、不飽和を、(EPDMまたはポリブタジエンの場合のように)ポリマー骨格に沿ってランダムに分布してではなく、ポリマー鎖の末端に含む。
【0086】
式(I)のテレケリックポリオレフィンは、上記の任意の実施形態または実施形態の任意の組み合わせであり得る。
【0087】
テレケリックポリオレフィンを調製するための方法
本開示はさらに、テレケリックポリオレフィンまたはテレケリックポリオレフィンを含む組成物を調製するための方法であって、方法が、
1)(A)モノマー成分、(B)連鎖移動剤成分、および(C)プロ触媒を含む触媒成分を含む出発物質を組み合わせて溶液を形成し、溶液中の10mol%超~99mol%以下の(A)モノマー成分を重合することと、
2)溶液を少なくとも160℃の温度に加熱し、溶液を少なくとも160℃の温度で少なくとも30秒の時間にわたって保持することと、
3)テレケリックポリオレフィンまたはテレケリックポリオレフィンを含む組成物を含む生成物を回収することと、を含み、
(B)連鎖移動剤成分が、式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物を含み、
Y2が、出現するごとに、独立して、水素またはC1~C30ヒドロカルビル基であり、かつ
A2が、出現するごとに、独立して、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基である、方法に関する。
【0088】
本開示はさらに、式(I)のテレケリックポリオレフィンまたは式(I)のテレケリックポリオレフィンを含む組成物を調製するための方法であって、
A1L1L2A2 (I)、方法が、
1)(A)モノマー成分、(B)連鎖移動剤成分、および(C)プロ触媒を含む触媒成分を含む出発物質を組み合わせて溶液を形成し、溶液中の10mol%超~99mol%以下の(A)モノマー成分を重合することと、
2)溶液を少なくとも160℃の温度に加熱し、溶液を少なくとも160℃の温度で少なくとも30秒の時間にわたって保持することと、
3)式(I)のテレケリックポリオレフィンまたは式(I)テレケリックポリオレフィンを含む組成物を含む生成物を回収することと、を含み、
(B)連鎖移動剤成分が、式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物を含み、
L1が、ポリオレフィンであり、
L2が、C1~C32ヒドロカルビレン基であり、
A1が、ビニル基、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基、式Y1CH=CH-のビニレン基、ビニル基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物、ビニル基と式CH2=C(Y1)-のビニリデン基との混合物、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物、およびビニル基と、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と、式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物からなる群から選択され、
Y1が、出現するごとに、独立して、C1~C30ヒドロカルビル基であり、
Y2が、出現するごとに、独立して、水素またはC1~C30ヒドロカルビル基であり、かつ
A2が、出現するごとに、独立して、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基であり、かつ
式(I)のテレケリックポリオレフィンが、1,000~10,000,000g/molの重量平均分子量を含む、方法に関する。
【0089】
式(I)のL1、A1、Y1、L2、Y2、およびA2基それぞれについての前述の実施形態は、本明細書に開示されている本方法に関して適用される。同様に、式(I)のテレケリックポリオレフィンについての前述の実施形態は、本明細書に開示されている本方法に関して適用される。
【0090】
ステップ1)の出発物質は、(D)溶媒をさらに含み得る。出発物質の(D)溶媒は、任意の芳香族または脂肪族炭化水素であり得る。好適な溶媒としては、トルエン、キシレン、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、ヘプタン、Isopar(商標)、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されることはない。これだけでなく、ステップ1)の出発物質は、水素、アジュバント、捕捉剤、および/または重合助剤をさらに含み得る。
【0091】
ステップ1)は、(A)モノマー成分のモノマーおよびコモノマーから式(I)のテレケリックポリオレフィンの骨格鎖を形成するための配位重合ステップである。ステップ1)の間に、ポリマーアルミニウム種が、(B)連鎖移動剤成分と、(C)触媒成分からの活性触媒との間の連鎖移動を介して形成し得る。続いて、ポリマーアルミニウム種は、ステップ2)の間にβ-水素化物脱離を受けて、式(I)のテレケリックポリオレフィンを含む生成物を形成し、これをステップ3)の間に回収する。
【0092】
本開示のテレケリックポリオレフィンを含む組成物を調製するための方法のステップ1)は、好ましくは、溶液重合ステップとして実施される。最も好ましくは、ステップ1)は、出発物質が反応域に連続的に供給され、ポリマー生成物がそこから連続的に除去される、連続溶液重合ステップとして実施される。この文脈で使用される場合、「連続的な」および「連続的に」という用語の範囲内にあるのは、反応物質の断続的な添加および規則的または不規則な間隔での生成物の除去があることから、経時的に方法全体が実質的に連続的となっている、方法である。
【0093】
ステップ1)は、60℃、または80℃、または100℃、または110℃、または115℃~120℃、または130℃、または140℃、または150℃の温度で実施され得る。例えば、特定の実施形態では、ステップ1)は、60~150℃、または80~140℃、または100~130℃、または110~120℃の温度で実施され得る。
【0094】
当業者であれば、成分(A)~(D)を含む、出発材料の各成分の量を変えて、化学的または物理的特性が1つ以上異なるポリマーを製造することができると理解するであろう。
【0095】
本発明の範囲を何ら制限することなく、ステップ1)を実施するための1つの手段は、以下の通りである。撹拌槽型反応器では、(A)モノマー成分のモノマーが、任意の溶媒または希釈剤と一緒に連続的に導入される。反応器は、任意の溶媒または希釈剤および溶解ポリマーと共にモノマーから実質的に構成される液相を含有する。好ましい溶媒としては、C4~10炭化水素またはそれらの混合物、特に、ヘキサンのようなアルカンまたはアルカンの混合物、および重合に用いられるモノマーのうちの1つ以上が挙げられる。(B)連鎖移動剤成分および(C)触媒成分は、反応器の液相またはその任意の再循環させられた部分に連続的または断続的に導入される。反応器の温度および圧力は、溶媒/モノマー比、(C)触媒成分の添加速度を調節することによって、および冷却もしくは加熱コイル、ジャケット、またはその両方によって制御され得る。重合速度は、(C)触媒成分の添加速度によって制御される。(A)モノマー成分がエチレンおよび少なくとも1つのコモノマーを含む場合、ポリマー生成物のエチレン含有量は、反応器内でのコモノマーに対するエチレンの比率によって決定され、この比率は、反応器へのこれらの成分の各供給速度を操作することによって制御される。ポリマー生成物の分子量は、任意選択的に、温度、モノマー濃度、または当技術分野で知られている他のもののような他の重合変数を制御することによって制御される。連続的なプロセスにおいて、反応器内の活性触媒およびポリマーの平均滞留時間は、一般に、5分~8時間、好ましくは10分~6時間である。
【0096】
あるいは、ステップ1)は、定常状態重合条件下で動作する直列に接続された2つ以上の反応器内で、またはプラグ流重合条件下で動作する反応器の2つ以上の区画において、異なるプロセス条件下で実施され得る。あるいは、ステップ1)は、任意選択的に触媒および/または連鎖移動剤の別々の添加を伴い、かつ断熱もしくは非断熱溶液重合条件下または前述の反応器条件の組み合わせで動作する1つ以上の連続ループ反応器内にて、その異なる領域間に確立される、モノマー、触媒、または連鎖移動剤の勾配ありまたはなしで実施され得る。
【0097】
ステップ1)の後に、ポリマー溶液は、以下でさらに説明されるように、ステップ2)に従って加熱される。そのような加熱としては、反応器後加熱器内での加熱が挙げられるが、これに限定されることはない。ステップ2)の後に、ポリマー生成物は、当技術分野で知られている手段によってステップ3)で回収される。そのような手段は、ポリマー溶液を、水、蒸気、またはアルコールのような触媒殺傷剤と接触させることと、気体モノマーおよび残留溶媒または希釈剤を減圧下でフラッシングすることと、必要に応じて、脱揮押出機のような装置内でさらなる脱揮を実施することとを含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、ステップ2)の溶液は、少なくとも160℃、または少なくとも180℃、または少なくとも200℃、または少なくとも210℃、または少なくとも220℃、または少なくとも230℃、または少なくとも240℃、または少なくとも250℃、または少なくとも260℃、または少なくとも270℃、または少なくとも280℃、または少なくとも290℃、または少なくとも300℃の温度で加熱される。
【0099】
いくつかの実施形態では、ステップ2)の溶液は、少なくとも160℃、または少なくとも180℃、または少なくとも200℃、または少なくとも210℃、または少なくとも220℃、または少なくとも230℃、または少なくとも240℃、または少なくとも250℃、または少なくとも260℃、または少なくとも270℃、または少なくとも280℃、または少なくとも290℃、または少なくとも300℃の温度で、少なくとも30秒、または少なくとも1分、または少なくとも5分、または少なくとも10分、または少なくとも15分、または少なくとも20分、または少なくとも30分、または少なくとも45分、または少なくとも1時間、または少なくとも6時間、または少なくとも12時間、または少なくとも18時間、または少なくとも24時間の時間にわたって加熱される。
【0100】
いくつかの実施形態では、ステップ2)の溶液は、少なくとも160℃、または少なくとも180℃、または少なくとも200℃、または少なくとも210℃、または少なくとも220℃、または少なくとも230℃、または少なくとも240℃、または少なくとも250℃、または少なくとも260℃、または少なくとも270℃、または少なくとも280℃、または少なくとも290℃、または少なくとも300℃の温度に加熱され、少なくとも160℃、または少なくとも180℃、または少なくとも200℃、または少なくとも210℃、または少なくとも220℃、または少なくとも230℃、または少なくとも240℃、または少なくとも250℃、または少なくとも260℃、または少なくとも270℃、または少なくとも280℃、または少なくとも290℃、または少なくとも300℃の温度で、少なくとも30秒、または少なくとも1分、または少なくとも5分、または少なくとも10分、または少なくとも15分、または少なくとも20分、または少なくとも30分、または少なくとも45分、または少なくとも1時間、または少なくとも6時間、または少なくとも12時間、または少なくとも18時間、または少なくとも24時間の時間にわたって加熱される。
【0101】
例えば、特定の実施形態では、ステップ2)の溶液は、160~300℃、または180~300℃、または200~300℃、または210~300℃、または220~290℃、または230~290℃、または240~280℃の温度で加熱される。
【0102】
さらなる実施形態では、ステップ2)の溶液は、160~300℃、または180~300℃、または200~300℃、または210~300℃、または220~290℃、または230~290℃、または240~280℃の温度で、30秒~24時間、または30秒~18時間、または30秒~12時間、または30秒~6時間、または30秒~1時間、または30秒~45分、または30秒~30分、または30秒~20分、または1分~20分、または5分~20分の時間にわたって加熱される。
【0103】
さらなる実施形態では、ステップ2)の溶液は、160~300℃、または180~300℃、または200~300℃、または210~300℃、または220~290℃、または230~290℃、または240~280℃の温度に加熱され、160~300℃、または180~300℃、または200~300℃、または210~300℃、または220~290℃、または230~290℃、または240~280℃の温度で、30秒~24時間、または30秒~18時間、または30秒~12時間、または30秒~6時間、または30秒~1時間、または30秒~45分、または30秒~30分、または30秒~20分、または1分~20分、または5分~20分の時間にわたって加熱される。
【0104】
(A)モノマー成分
(A)モノマー成分は、L1に関して本明細書で論じられるモノマーおよびコモノマーから選択される任意のモノマーを含む。好適なモノマーおよびコモノマーの例としては、エチレンおよび3~30個の炭素原子、好ましくは3~20個の炭素原子のα-オレフィン、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、3,5,5-トリメチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、5-エチル-1-ノネン、1-オクタデセンおよび1-エイコセン;共役または非共役ジエン、例えば、ブタジエン、イソプレン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、1,3-ヘキサジエン、1,5-ヘプタジエン、1,6-ヘプタジエン、1,3-オクタジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエンおよび5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、3,7-ジメチル-1,7-オクタジエンおよびジヒドロミルセンとジヒドロオシメンとの混合異性体;ノルボルネンおよびアルケニル、アルキリデン、シクロアルケニルおよびシクロアルキリデンノルボルネン、例えば、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-プロペニル-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-(4-シクロペンテニル)-2-ノルボルネン、5-シクロヘキシリデン-2-ノルボルネンおよびノルボルナジエン;芳香族ビニル化合物、例えば、スチレン、モノまたはポリアルキルスチレン(スチレン、o-メチルスチレン、t-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o,p-ジメチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレンおよびp-エチルスチレンを含む)が挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0105】
いくつかの実施形態では、(A)モノマー成分は、エチレンモノマーを含む。いくつかの実施形態では、(A)モノマー成分は、プロピレンモノマーを含む。いくつかの実施形態では、(A)モノマー成分は、エチレンモノマーおよびC3~C30α-オレフィンのコモノマーを含む。C3~C30α-オレフィンは、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、3,5,5-トリメチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、5-エチル-1-ノネン、1-オクタデセン、および1-エイコセンから選択され得る。いくつかの実施形態では、(A)モノマー成分は、プロピレンモノマーと、エチレンまたはC4~C30α-オレフィンのコモノマーとを含む。C4~C30α-オレフィンは、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、3,5,5-トリメチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、5-エチル-1-ノネン、1-オクタデセン、および1-エイコセンから選択され得る。
【0106】
特定の実施形態では、(A)モノマー成分は、エチレンモノマーとC3~C30α-オレフィンのコモノマーとを含み、C3~C30α-オレフィンは、プロピレン、1-ヘキセン、1-ブテン、および1-オクテンからなる群から選択される。さらなる実施形態では、(A)モノマー成分は、エチレンモノマーおよびプロピレンコモノマーを含む。さらなる実施形態では、(A)モノマー成分は、エチレンモノマーおよび1-ヘキセンコモノマーを含む。さらなる実施形態では、(A)モノマー成分は、エチレンモノマーおよび1-ブテンコモノマーを含む。さらなる実施形態では、(A)モノマー成分は、エチレンモノマーおよび1-オクテンコモノマーを含む。
【0107】
さらなる実施形態では、(A)モノマー成分は、プロピレンモノマーと、エチレンまたはC4~C30α-オレフィンのコモノマーとを含み、C4~C30α-オレフィンは、1-ヘキセン、1-ブテン、および1-オクテンからなる群から選択される。さらなる実施形態では、(A)モノマー成分は、プロピレンモノマーおよびエチレンコモノマーを含む。さらなる実施形態では、(A)モノマー成分は、プロピレンモノマーおよび1-ヘキセンコモノマーを含む。さらなる実施形態では、(A)モノマー成分は、プロピレンモノマーおよび1-ブテンコモノマーを含む。さらなる実施形態では、(A)モノマー成分は、プロピレンモノマーおよび1-オクテンコモノマーを含む。
【0108】
特定の実施形態では、(A)モノマー成分は、50重量%以上~99重量%以下(例えば、60重量%以上~99重量%以下、または70重量%以上~99重量%以下、または75重量%以上~99重量%以下、または80重量%以上~99重量%以下、または85重量%以上~99重量%以下、または90重量%以上~99重量%以下)のエチレンモノマーと、1重量%以上~50重量%以下(例えば、1重量%以上~40重量%以下、または1重量%以上~30重量%以下、または1重量%以上~25重量%以下、または1重量%以上~20重量%以下、または1重量%以上~15重量%以下、または1重量%以上~10重量%以下)のC3~C30α-オレフィンのコモノマーとを含み、C3~C30α-オレフィンは、プロピレン、1-ヘキセン、1-ブテン、および1-オクテンからなる群から選択される。
【0109】
特定の実施形態では、(A)モノマー成分は、50重量%以上~99重量%以下(例えば、60重量%以上~99重量%以下、または70重量%以上~99重量%以下、または75重量%以上~99重量%以下、または80重量%以上~99重量%以下、または85重量%以上~99重量%以下、または90重量%以上~99重量%以下)のプロピレンモノマーと、1重量%以上~50重量%以下(例えば、1重量%以上~40重量%以下、または1重量%以上~30重量%以下、または1重量%以上~25重量%以下、または1重量%以上~20重量%以下、または1重量%以上~15重量%以下、または1重量%以上~10重量%以下)のエチレンまたはC4~C30α-オレフィンのコモノマーとを含み、C4~C30α-オレフィンは、1-ヘキセン、1-ブテン、および1-オクテンからなる群から選択される。
【0110】
いくつかの実施形態では、(A)モノマー成分は、0~10重量%のジエンモノマーを含む。例えば、(A)モノマー成分は、0.5~8重量%、または1~5重量%、または1~3重量%のジエンモノマーを含み得る。さらなる実施形態では、(A)モノマー成分は、ジエンモノマーを実質的に含んでいなくてもよい。例えば、特定の実施形態では、(A)モノマー成分は、0~0.2重量%、または0~0.01重量%、または0~0.001重量%、または0~0.0001重量%のジエンモノマーを含み得る。
【0111】
(B)連鎖移動剤
特定の実施形態では、(B)連鎖移動剤成分は、式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物を含み、式中、Y2は、出現するごとに、独立して、水素またはC1~C30ヒドロカルビル基であり、かつA2は、出現するごとに、独立して、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基である。さらなる実施形態では、(B)連鎖移動剤成分は、式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物である。Y2およびA2は、式(I)のテレケリックポリオレフィンに関して、Y2およびA2の前述の実施形態のうちのいずれかであり得る。特定の実施形態では、式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物のY2は、水素、メチル基、およびエチル基からなる基から選択され得る。特定の実施形態では、式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物のA2は、前述の(AA)~(AZ)および(AZ1)の中から選択され得る。さらなる実施形態では、式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物のA2は、(AC)、(AF)、(AM)、(AO)、(AP)、(AS)、および(AZ1)からなる群から選択される。(AF)のペンダントメチル基は、環員である任意の炭素原子に接続され得る。
【0112】
式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物は、(a)式CH2=C(Y2)A2の炭化水素、式Al(d)3のアルキルアルミニウム、および任意選択的な溶媒を含む出発物質を組み合わせて有機アルミニウム溶液を形成することと、(b)有機アルミニウム溶液を、60~200℃、または80~180℃、または100~150℃、または110~130℃の温度に加熱し、有機アルミニウム溶液を、60~200℃、または80~180℃、または100~150℃、または110~130℃の温度で、30分~200時間、または30分~100時間、または30分~50時間、または30分~25時間、または1時間~10時間、または1時間~5時間、または3時間~5時間の時間にわたって保持することと、(c)式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物を含む生成物を回収することと、を含み、dが、出現するごとに、独立して、C1~C10アルキル基であり、Y2が、出現するごとに、独立して、水素またはC1~C30ヒドロカルビル基であり、かつA2が、出現するごとに、独立して、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基である、熱的プロセスによって調製され得る。特定の実施形態では、Alに結合しているdの炭素は、第3級炭素に接続された炭素である。例えば、特定の実施形態では、式Al(d)3のアルキルアルミニウムは、トリイソブチルアルミニウムである。
【0113】
式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物を調製する熱的プロセスのために、Y2およびA2は、式(I)のテレケリックポリオレフィンに関して、Y2およびA2の前述の実施形態のうちのいずれかであり得る。任意選択的な溶媒は、本明細書で論じられているいずれかのものであり得る。ステップ(a)の出発物質は、1:10、または1:5、または1:3の、式Al(d)3のアルキルアルミニウムと式CH2=C(Y2)A2の炭化水素との比を含み得る。ステップ(a)の出発物質は、式CH2=C(Y2)A2の1つ以上の炭化水素を含み得て、式中、Y2は、各炭化水素が出現するごとに、独立して、水素またはC1~C30炭化水素基であり、A2は、各炭化水素が出現するごとに、独立して、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基であり、出発物質は、1:10、または1:5、または1:3の、式Al(d)3のアルキルアルミニウムと式CH2=C(Y2)A2の1つ以上の炭化水素との比を含む。特定の実施形態では、Y2は、水素、メチル基、およびエチル基からなる基から選択され得て、A2は、前述の(AA)~(AZ)および(AZ1)の中から選択され得る。さらなる実施形態では、A2は、(AC)、(AF)、(AM)、(AO)、(AP)、(AS)、および(AZ1)からなる群から選択され得る。(AF)のペンダントメチル基は、環員である任意の炭素原子に接続され得る。式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物を調製するこのプロセスでは、式CH2=C(Y2)A2の過剰な炭化水素は、真空および任意選択的な加熱を使用することによって除去され得る。
【0114】
あるいは、式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物は、(a)式CH2=CHA2の炭化水素、式Al(Y2)3のアルキルアルミニウム、プロ触媒、任意選択的な助触媒、および任意選択的な溶媒を含む出発物質を組み合わせることと、(b)式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物を含む生成物を回収することと、を含み、ステップ(a)が、1℃~50℃、または10℃~40℃、または20℃~30℃の温度で、1~50時間、または10~40時間、または15~25時間の時間にわたって実施され、Y2が、出現するごとに、独立して、C1~C30炭化水素基であり、かつA2が、出現するごとに、独立して、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基である、触媒プロセスによって調製され得る。
【0115】
式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物を調製する触媒プロセスについて、Y2は、C1~C30ヒドロカルビル基となり、A2は、式(I)のテレケリックポリオレフィンについての前述の実施形態のいずれかであり得る。プロ触媒、任意選択的な助触媒、および任意選択的な溶媒はそれぞれ、本明細書に開示されているいずれかのものであり得る。ステップ(a)の出発物質は、1:10、または1:5、または1:3の、式Al(Y2)3のアルキルアルミニウムと式CH2=CHA2の炭化水素との比を含み得る。ステップ(a)の出発物質は、式CH2=CHA2の1つ以上の炭化水素を含み得て、式中、A2は、各炭化水素が出現するごとに、独立して、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基であり、出発物質は、1:10、または1:5、または1:3の、式Al(Y2)3のアルキルアルミニウムと式CH2=C(Y2)A2の1つ以上の炭化水素との比を含む。特定の実施形態では、Y2は、C1~C10のアルキル基であり得て、A2は、前述の(AA)~(AZ)および(AZ1)の中から選択され得る。さらなる実施形態では、A2は、(AC)、(AF)、(AM)、(AO)、(AP)、(AS)、および(AZ1)からなる群から選択され得る。(AF)のペンダントメチル基は、環員である任意の炭素原子に接続され得る。
【0116】
さらなる実施形態では、(B)連鎖移動剤成分は、式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物および式Zn(d)2のアルキル亜鉛を含み、式中、Y2は、出現するごとに、独立して、水素またはC1~C30ヒドロカルビル基であり、A2は、出現するごとに、独立して、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基であり、かつdは、出現するごとに、独立して、C1~C10アルキル基である。さらなる実施形態では、(B)鎖移動剤成分は、65mol%~99mol%の式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物および1mol%~35mol%の式Zn(d)2のアルキル亜鉛を含む。Y2およびA2は、式(I)のテレケリックポリオレフィンに関して、Y2およびA2の前述の実施形態のうちのいずれかであり得る。Y2は、水素、メチル基、およびエチル基からなる基から選択され得て、A2は、前述の(AA)~(AZ)および(AZ1)の中から選択され得る。さらに、A2は、(AC)、(AF)、(AM)、(AO)、(AP)、(AS)、および(AZ1)からなる群から選択され得る。(AF)のペンダントメチル基は、環員である任意の炭素原子に接続され得る。特定の理論に縛られるものではないが、式Zn(d)2のアルキル亜鉛の添加は、連鎖移動反応の速度を高め得る。式Zn(d)2のアルキル亜鉛は、ジ(C1~8)アルキル亜鉛であり得る。式Zn(d)2のアルキル亜鉛の非限定的な例は、ジエチル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ジ(n-ヘキシル)亜鉛、およびジ(n-オクチル)亜鉛である。
【0117】
特定の実施形態では、(B)連鎖移動剤成分は、式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物および式Zn(CH2CH(Y2)A2)2の有機亜鉛化合物を含み、式中、Y2は、出現するごとに、独立して、水素またはC1~C30ヒドロカルビル基であり、かつA2は、出現するごとに、独立して、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基である。式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物と式Zn(CH2CH(Y2)A2)2の有機亜鉛化合物とを含む(B)鎖移動剤成分は、式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物および式Zn(CH2CH(Y2)A2)2の有機亜鉛化合物をそれぞれ独立して調製し、次いで、これら2つを、1:99~80:20、または10:90~60:40、または20:80~40:60の、式Zn(CH2CH(Y2)A2)2の有機亜鉛化合物と式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物との比で一緒に混合することによって調製され得る。
【0118】
この目的のために、式Zn(CH2CH(Y2)A2)2の有機亜鉛化合物は、(a)式CH2=CHA2の炭化水素、式Zn(Y2)2の亜鉛アルキル、プロ触媒、任意選択的な助触媒、および任意選択的な溶媒を含む出発物質を組み合わせることと、(b)式Zn(CH2CH(Y2)A2)2の有機亜鉛化合物を含む生成物を回収することと、を含み、ステップ(a)が、1℃~50℃、または10℃~40℃、または20℃~30℃の温度で、1~50時間、または10~40時間、または15~25時間の時間にわたって実施され、Y2が、出現するごとに、独立して、C1~C30炭化水素基であり、かつA2が、出現するごとに、独立して、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基である、触媒プロセスによって調製され得る。
【0119】
式Zn(CH2CH(Y2)A2)2の有機亜鉛化合物を調製する触媒プロセスについて、Y2は、C1~C30ヒドロカルビル基となり、A2は、式(I)のテレケリックポリオレフィンについての前述の実施形態のいずれかであり得る。プロ触媒、任意選択的な助触媒、および任意選択的な溶媒はそれぞれ、本明細書に開示されているいずれかのものであり得る。ステップ(a)の出発物質は、1:10、または1:5、または1:2の、式Zn(Y2)2の亜鉛アルキルと式CH2=CHA2の炭化水素との比を含み得る。ステップ(a)の出発物質は、式CH2=CHA2の1つ以上の炭化水素を含み得て、式中、A2は、各炭化水素が出現するごとに、独立して、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基であり、出発物質は、1:10、または1:5、または1:2の、式Zn(Y2)2の亜鉛アルキルと式CH2=C(Y2)A2の1つ以上の炭化水素との比を含む。特定の実施形態では、Y2は、C1~C10のアルキル基であり得て、A2は、前述の(AA)~(AZ)および(AZ1)の中から選択され得る。さらなる実施形態では、A2は、(AC)、(AF)、(AM)、(AO)、(AP)、(AS)、および(AZ1)からなる群から選択され得る。(AF)のペンダントメチル基は、環員である任意の炭素原子に接続され得る。
【0120】
あるいは、式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物と式Zn(CH2CH(Y2)A2)2の有機亜鉛化合物とを含む(B)連鎖移動剤成分は、触媒プロセスによって調製され得る。具体的には、式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物と式Zn(CH2CH(Y2)A2)2の有機亜鉛化合物とを含む(B)連鎖移動剤成分は、(a)式CH2=CHA2の炭化水素、式Al(Y2)3のアルキルアルミニウム、式Zn(Y2)2の亜鉛アルキル、プロ触媒、任意選択的な助触媒、および任意選択的な溶媒を含む出発物質を組み合わせることと、(b)式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物と式Zn(CH2CH(Y2)A2)2の有機亜鉛化合物とを含む(B)連鎖移動剤成分を含む生成物を回収することと、を含み、ステップ(a)が、1℃~50℃、または10℃~40℃、または20℃~30℃の温度で、1~50時間、または10~40時間、または15~25時間の時間にわたって実施され、Y2が、出現するごとに、独立して、C1~C30炭化水素基であり、かつA2が、出現するごとに、独立して、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基である、プロセスによって調製され得る。
【0121】
式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物と式Zn(CH2CH(Y2)A2)2の有機亜鉛化合物とを含む(B)連鎖移動剤成分を製造する触媒プロセスについて、Y2は、C1~C30ヒドロカルビル基となり、A2は、式(I)のテレケリックポリオレフィンについての前述の実施形態のいずれかであり得る。プロ触媒、任意選択的な助触媒、および任意選択的な溶媒はそれぞれ、本明細書に開示されているいずれかのものであり得る。ステップ(a)の出発物質は、1:1の、式Al(Y2)3のアルキルアルミニウムおよび式Zn(Y2)2のアルキル亜鉛と式CH2=CHA2の炭化水素との比を含み得る。ステップ(a)の出発物質は、さらに、1:99~80:20、または10:90~60:40、または20:80~40:60の、式Zn(Y2)2のアルキル亜鉛と式Al(Y2)3のアルキルアルミニウムとの比を含み得る。ステップ(a)の出発物質は、式CH2=CHA2の1つ以上の炭化水素を含み得て、式中、A2は、各炭化水素が出現するごとに、独立して、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基であり、出発物質は、1:1の、式Al(Y2)3のアルキルアルミニウムおよび式Zn(Y2)2のアルキル亜鉛と式CH2=CHA2の1つ以上の炭化水素との比を含み、かつ1:99~80:20、または10:90~60:40、または20:80~40:60の、式Zn(Y2)2のアルキル亜鉛と式Al(Y2)3のアルキルアルミニウムとの比を含む。特定の実施形態では、Y2は、C1~C10のアルキル基であり得て、A2は、前述の(AA)~(AZ)および(AZ1)の中から選択され得る。さらなる実施形態では、A2は、(AC)、(AF)、(AM)、(AO)、(AP)、(AS)、および(AZ1)からなる群から選択され得る。(AF)のペンダントメチル基は、環員である任意の炭素原子に接続され得る。
【0122】
さらなる実施形態では、式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物と式Zn(CH2CH(Y2)A2)2の有機亜鉛化合物とを含む(B)連鎖移動剤成分は、熱的プロセスによって調製され得る。そのようなプロセスは、実施例におけるCTA6の合成によって示されているが、これに限定されることはない。
【0123】
さらなる実施形態では、(B)連鎖移動剤は、式(d)2AlCH2CH(Y2)A2の有機アルミニウム化合物であり得て、式中、Y2は、出現するごとに、独立して、水素またはC1~C30ヒドロカルビル基であり、かつA2は、出現するごとに、独立して、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基である。式(d)2AlCH2CH(Y2)A2の有機アルミニウム化合物は、(a)式CH2=C(Y2)A2の炭化水素、式AlH(d)2のアルキルアルミニウム、および任意選択的な溶媒を含む出発物質を組み合わせて有機アルミニウム溶液を形成することと、(b)有機アルミニウム溶液を、10~200℃、または20~150℃、または30~100℃、または40~80℃の温度に加熱し、有機アルミニウム溶液を、10~200℃、または20~150℃、または30~100℃、または40~80℃の温度で、30分~200時間、または1~100時間、または5~75時間、または10~50時間、または15~30時間の時間にわたって保持することと、(c)式(d)2AlCH2CH(Y2)A2の有機アルミニウム化合物を含む生成物を回収することと、を含み、dが、C1~C10アルキル基であり、Y2が、出現するごとに、独立して、水素またはC1~C30ヒドロカルビル基であり、A2が、出現するごとに、独立して、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基である、プロセスによって調製され得る。ステップ(a)の出発物質は、1:1の、式AlH(d)2のアルキルアルミニウムと式CH2=C(Y2)A2の炭化水素との比を含み得る。ステップ(a)の出発物質は、式CH2=C(Y2)A2の1つ以上の炭化水素を含み得て、1:1の、式AlH(d)2のアルキルアルミニウムと式CH2=C(Y2)A2の1つ以上の炭化水素との比を含み得る。Y2およびA2は、式(I)のテレケリックポリオレフィンに関して、Y2およびA2の前述の実施形態のうちのいずれかであり得る。特定の実施形態では、Y2は、水素、メチル基、およびエチル基からなる基から選択され得る。特定の実施形態では、A2は、前述の(AA)~(AZ)および(AZ1)の中から選択され得る。さらなる実施形態では、A2は、(AC)、(AF)、(AM)、(AO)、(AP)、(AS)、および(AZ1)からなる群から選択される。(AF)のペンダントメチル基は、環員である任意の炭素原子に接続され得る。
【0124】
(C)触媒成分
特定の実施形態では、(C)触媒成分はプロ触媒を含む。これらの実施形態では、プロ触媒は、助触媒なしで不飽和モノマーを重合するための活性触媒になる。さらなる実施形態では、(C)触媒成分は、プロ触媒および助触媒を含み、そのため、活性触媒は、プロ触媒と助触媒との組み合わせによって形成される。これらの実施形態では、(C)活性触媒成分は、1:2、または1:1.5、または1:1.2の、プロ触媒と助触媒との比を含み得る。
【0125】
好適なプロ触媒としては、WO2005/090426、WO2005/090427、WO2007/035485、WO2009/012215、WO2014/105411、WO2017/173080、米国特許出願公開第2006/0199930号、同第2007/0167578号、同第2008/0311812号、ならびに米国特許第7,858,706B2号、同第7,355,089B2号、同第8,058,373B2号、および同第8,785,554B2号に開示されているものが挙げられるが、これらに限定されることはない。以下の段落を参照すると、「プロ触媒」という用語は、「触媒」、「プレ触媒」、「触媒前駆体」、「遷移金属触媒」、「遷移金属触媒前駆体」、「重合触媒」、「重合触媒前駆体」、「遷移金属錯体」、「遷移金属化合物」、「金属錯体」、「金属化合物」、「錯体」、および「金属-配位子錯体」などの用語と互換的である。
【0126】
不均一系触媒および均一系触媒の両方が使用され得る。不均一系触媒の例としては、周知のチーグラー・ナッタ組成物、特に第2族金属ハライドまたは混合ハライド上に担持された4族金属ハライド、およびアルコキシド、ならびに周知のクロムまたはバナジウム系触媒が挙げられる。好ましくは、本明細書で使用するための触媒は、比較的純粋な有機金属化合物または金属錯体、特に第3~10族または元素周期表のランタニド系列から選択される金属をベースとする化合物または錯体を含む、均一系触媒である。
【0127】
本明細書で使用するための金属錯体は、1つ以上の非局在化π結合配位子または多価ルイス塩基配位子を含有する元素周期表の第3~15族から選択することができる。例としては、メタロセン、ハーフメタロセン、拘束幾何、および多価ピリジルアミン、または他のポリキレート化塩基錯体が挙げられる。錯体は、一般的に、式:MKkXxZzで表されるか、またはそのダイマーであり、式中、
Mは、元素周期表の第3~15族、好ましくは第3~10族、より好ましくは第4~10族、最も好ましくは第4族から選択される金属であり、
Kは、出現するごとに、独立して、それを介してKがMに結合された非局在化π電子または1以上の電子対を含有する基であり、該K基は、水素原子を算入せずに50個までの原子を含有し、任意選択的に、2つ以上のK基は、一緒になって接合して架橋構造を形成してもよく、さらに任意選択的に1個以上のK基は、Z、XまたはZとXの両方に結合していてもよく、
Xは、出現するごとに、独立して、40個までの非水素原子を有する一価のアニオン性部分であり、任意選択的に1つ以上のX基が一緒に結合することによって二価または多価アニオン基を形成してもよく、さらに任意選択的に、1つ以上のX基および1つ以上のZ基が互いに結合することによって、Mに共有結合し、かつそれに配位している部分を形成してもよく、あるいは2つのX基が一緒になって、40個までの非水素原子の二価アニオン性配位子基を形成するか、あるいは一緒に非局在化π電子によってMに結合した4~30個の非水素原子を有する共役ジエンであり、その際、Mは、+2の形式酸化状態にあり、
Zは、出現するごとに、独立して、ZがMに配位する少なくとも1つの非共有電子対を含有する50個までの非水素原子の中性ルイス塩基ドナー配位子であり、
kは、0~3の整数であり、xは、1~4の整数であり、zは、0~3の数であり、
k+xの合計は、Mの形式酸化状態に等しい。
【0128】
好適な金属錯体としては、環式または非環式の非局在化π結合アニオン配位子基であり得る、1~3個のπ結合アニオンまたは中性配位子基を含有するものが挙げられる。そのようなπ結合基の例は、共役または非共役の、環式または非環式のジエンおよびジエニル基、アリル基、ボラタベンゼン基、ホスホール、ならびにアレーン基である。「π結合」という用語は、部分的に非局在化したπ結合からの電子を共有することによって、配位子基が遷移金属に結合していることを意味する。
【0129】
非局在化したπ結合基中の各原子は、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、ハロヒドロカルビル、ヒドロカルビル置換ヘテロ原子からなる群から選択されるラジカルで独立に置換されていてもよく、このヘテロ原子は、周期表の第14~16族から選択され、そのようなヒドロカルビル置換ヘテロ原子は、第15族または第16族のヘテロ原子含有部分でさらに置換される。さらに、2つ以上のそのようなラジカルが一緒になって、部分的にまたは完全に水素化された縮合環系を含む縮合環系を形成してもよく、またはこれらは金属と共に金属環を形成してもよい。「ヒドロカルビル」という用語に含まれるのは、C1~20線状、分岐状および環式アルキルラジカル、C6~20芳香族ラジカル、C7~20アルキル置換芳香族ラジカル、およびC7~20アリール置換アルキルラジカルである。好適なヒドロカルビル置換ヘテロ原子ラジカルとしては、それぞれのヒドロカルビル基が1~20個の炭素原子を含有する、ホウ素、ケイ素、ゲルマニウム、窒素、リンまたは酸素の一置換、二置換および三置換ラジカルが挙げられる。例としては、N、N-ジメチルアミノ、ピロリジニル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、メチルジ(t-ブチル)シリル、トリフェニルゲルミル、およびトリメチルゲルミル基が挙げられる。第15族または第16族ヘテロ原子含有部分の例としては、アミノ、ホスフィノ、アルコキシ、またはアルキルチオ部分もしくはそれらの二価誘導体、例えば遷移金属またはランタニド金属に結合し、かつヒドロカルビル基、π結合基、またはヒドロカルビル置換ヘテロ原子に結合したアミド、ホスフィド、アルキレンオキシまたはアルキレンチオ基が挙げられる。
【0130】
好適なアニオン性、非局在化π-結合基の例としては、シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル、テトラヒドロインデニル、テトラヒドロフルオレニル、オクタヒドロフルオレニル、ペンタジエニル、シクロヘキサジエニル、ジヒドロアントラセニル、ヘキサヒドロアントラセニル、デカヒドロアントラセニル基、ホスホール、およびボラタベンジル基、ならびにそれらの不活性に置換された誘導体、特にそれらのC1~10ヒドロカルビル置換またはトリス(C1~10ヒドロカルビル)シリル置換誘導体が挙げられる。好ましいアニオン性非局在化π結合基は、シクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、テトラメチルシクロペンタジエニル、テトラメチルシリルシクロペンタジエニル、インデニル、2,3-ジメチルインデニル、フルオレニル、2-メチルインデニル、2-メチル-4-フェニルインデニル、テトラヒドロフルオレニル、オクタヒドロフルオレニル、1-インダセニル、3-ピロリジノインデン-1-イル、3,4-(シクロペンタ(1)フェナントレン-1-イル、およびテトラヒドロインデニルである。
【0131】
ボラタベンゼニル配位子は、ベンゼンに対するホウ素含有類似体であるアニオン配位子である。これらは、G.Herberich,et al.,Organometallics,14,1,471-480(1995)に記載されたことから、当技術分野において以前から既知である。好ましいボラタベンゼニル配位子は、以下の式に対応し、
【化2】
式中、R
1は、好ましくは水素、ヒドロカルビル、シリル、ハロまたはゲルミルからなる群から選択される不活性の置換基であり、該R
1は、水素を算入せずに20個までの原子を有し、任意選択的に、隣接する2つのR
1基が一緒になって接合していてもよい。そのような非局在化π結合基の二価誘導体を含む錯体において、その1つの原子は、共有結合または共有結合した二価基によって錯体の他の原子に結合し、それによって架橋系を形成する。
【0132】
ホスホールは、シクロペンタジエニル基に対するリン含有類似体であるアニオン性配位子である。これらは、WO98/50392および他の箇所に記載されている当技術分野において以前から既知である。好ましいホスホール配位子は、以下の式に対応し、
【化3】
式中、R
1は、先に定義した通りである。
【0133】
本明細書における使用に好適な遷移金属錯体は、式:MKkXxZzまたはそのダイマーに対応し、式中、
Mは、第4族の金属であり、
Kは、KがMに結合された非局在化π電子を含有する基であり、該K基は、水素原子を算入せずに50個までの原子を含有し、任意選択的に、2つのK基は、一緒になって接合して架橋構造を形成してもよく、さらに任意選択的に1個のK基は、XまたはZに結合していてもよく、
Xは、出現するごとに、40個までの非水素原子を有する一価のアニオン性部分であり、任意選択的に1つ以上のXおよび1つ以上のK基は、一緒になって結合して金属環を形成し、さらに任意選択的に1つ以上のX基および1つ以上のZ基は一緒になって結合することによって、Mに共有結合し、かつそれに配位している部分を形成し、
Zは、出現するごとに、独立して、ZがMに配位する少なくとも1つの非共有電子対を含有する50個までの非水素原子の中性ルイス塩基ドナー配位子であり、
kは、0~3の整数であり、xは、1~4の整数であり、zは、0~3の数であり、かつ
k+xの合計は、Mの形式酸化状態に等しい。
【0134】
好適な錯体は、1つまたは2つのK基を含有するものを含む。後者の錯体は、2つのK基を連結する架橋基を含むものを含む。好適な架橋基は、式(ER’2)eに対応するものであり、式中、Eは、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、または炭素であり、R’は、出現するごとに、独立して、水素またはシリル、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、およびそれらの組み合わせから選択される基であり、該R’は、30個までの炭素原子またはケイ素原子を有し、eは、1~8である。例示的には、R’は、出現するごとに、独立して、メチル、エチル、プロピル、ベンジル、tert-ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシ、またはフェノキシである。
【0135】
2つのK基を含有する錯体の例は、以下の式に対応する化合物であり、
【化4】
式中、
Mは、+2または+4の形式酸化状態にあるチタン、ジルコニウム、またはハフニウム、好ましくはジルコニウムまたはハフニウムであり;R
3は、出現するごとに、独立して、水素、ヒドロカルビル、シリル、ゲルミル、シアノ、ハロ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、該R
3は、20個の非水素原子を有し、または隣接R
3基が一緒になって二価誘導体(すなわち、ヒドロカルバジイル、シラジイル、またはゲルマジイル基)を形成し、それによって縮合環系を形成し、
X’’は、出現するごとに、独立して、40個までの非水素原子のアニオン性配位子基であり、または、2つのX’’基が一緒になって40個までの非水素原子の二価アニオン性配位子基を形成し、もしくは一緒になって、非局在化π電子によりMに結合した4~30個の非水素原子を有する共役ジエンであり、Mは、+2の形式酸化状態にあり、
R’、E、およびeは、先に定義した通りである。
【0136】
2つのπ結合基を含有する例示的な架橋配位子は、ジメチルビス(シクロペンタジエニル)シラン、ジメチルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)シラン、ジメチルビス(2-エチルシクロペンタジエン-1-イル)シラン、ジメチルビス(2-t-ブチルシクロペンタジエン-1-イル)シラン、2,2-ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)プロパン、ジメチルビス(インデン-1-イル)シラン、ジメチルビス(テトラヒドロインデン-1-イル)シラン、ジメチルビス(フルオレン-1-イル)シラン、ジメチルビス(テトラヒドロフルオレン-1-イル)シラン、ジメチルビス(2-メチル-4-フェニルインデン-1-イル)-シラン、ジメチルビス(2-メチルインデン-1-イル)シラン、ジメチル(シクロペンタジエニル)(フルオレン-1-イル)シラン、ジメチル(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレン-1-イル)シラン、ジメチル(シクロペンタジエニル)(テトラヒドロフルオレン-1-イル)シラン、(1,1,2,2-テトラメチル)-1,2-ビス(シクロペンタジエニル)ジシラン、(1,2-ビス(シクロペンタジエニル)エタン、およびジメチル(シクロペンタジエニル)-1-(フルオレン-1-イル)メタンである。
【0137】
好適なX’’基は、水素化物、ヒドロカルビル、シリル、ゲルミル、ハロヒドロカルビル、ハロシリル、シリルヒドロカルビル、およびアミノヒドロカルビル基から選択されるか、または2つのX’’基は、一緒になって、共役ジエンの二価誘導体を形成するか、さもなければこれらは、一緒になって、中性のπ結合した共役ジエンを形成する。例示的なX’’基は、C1~20ヒドロカルビル基である。
【0138】
本開示において利用されるさらなるクラスの金属錯体は、前述の式MKZzXxまたはそのダイマーに対応し、式中、M、K、X、x、およびzは、先に定義した通りであり、Zは、Kと一緒になってMを伴う金属環を形成する、50個までの非水素原子の置換基である。
【0139】
好適なZ置換基は、酸素、硫黄、ホウ素、またはKに直接結合した元素周期表の第14族の構成要素である少なくとも1個の原子を含む、30個までの非水素原子と、Mに共有結合している窒素、リン、酸素、または硫黄からなる群から選択される異なる原子とを含有する基を含む。
【0140】
より具体的には、本発明に従って使用されるこのクラスの第4族の金属錯体には、以下の式に対応する「拘束幾何触媒」が含まれ、
【化5】
式中、Mは、チタンまたはジルコニウム、好ましくは、+2、+3、または+4の形式酸化状態のチタンであり、
K
1は、1~5個のR
2基で任意選択的に置換された非局在化π結合配位子基であり、
R
2は、出現するごとに、独立して、水素、ヒドロカルビル、シリル、ゲルミル、シアノ、ハロおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され、該R
2は、20個までの非水素原子を有し、または、隣接R
2基が一緒になって二価誘導体(すなわち、ヒドロカルバジイル、シラジイル、またはゲルマジイル基)を形成し、それによって縮合環系を形成し、
各Xは、ハロ、ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、またはシリル基であり、該基は、20個までの非水素原子を有し、または、2個のX基が一緒になって中性C5~30共役ジエンもしくはその二価誘導体を形成し、
xは、1または2であり、
Yは、-O-、-S-、-NR’-、-PR’-であり、
X’は、SiR’
2、CR’
2、SiR’
2SiR’
2、CR’
2CR’
2、CR’=CR’、CR’
2SiR’
2、またはGeR’
2であり、式中、
R’は、出現するごとに、独立して、水素、またはシリル、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、およびそれらの組み合わせから選択される基であり、該R’は、30個までの炭素原子またはケイ素原子を有する。
【0141】
前述の拘束幾何構造の金属錯体の具体例としては、以下の式に対応する化合物が挙げられ、
【化6】
式中、
Arは、水素を算入せずに6~30個の原子のアリール基であり、
R
4は、出現するごとに、独立して、水素、Ar、または、ヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルゲルミル、ハライド、ヒドロカルビルオキシ、トリヒドロカルビルシロキシ、ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ、ジ(ヒドロカルビル)アミノ、ヒドロカルバジイルアミノ、ヒドロカルビルイミノ、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ、ヒドロカルバジイルホスフィノ、ヒドロカルビルスルフィド、ハロ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ置換ヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル置換ヒドロカルビル、ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ置換ヒドロカルビル、ジ(ヒドロカルビル)アミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビレンアミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビレンホスフィノ置換ヒドロカルビル、もしくはヒドロカルビルスルフィド置換ヒドロカルビルから選択されるAr以外の基であり、該R基は、水素原子を算入せずに40個までの原子を有し、任意選択的に2つの隣接R
4基が一緒になって接合して多環式縮合環基を形成してもよく、
Mは、チタンであり、
X’は、SiR
6
2、CR
6
2、SiR
6
2SiR
6
2、CR
6
2CR
6
2、CR
6=CR
6、CR
6
2SiR
6
2、BR
6、BR
6L’’、またはGeR
6
2であり、
Yは、-O-、-S、-NR
5-、-PR
5-、-NR
5
2、または-PR
5
2であり、
R
5は、出現するごとに、独立して、ヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、またはトリヒドロカルビルシリルヒドロカルビルであり、該R
5は、水素以外の20個までの原子を有し、任意選択的に2つのR
5基またはR
5とYまたはZとが一緒になって環系を形成し、
R
6は、出現するごとに、独立して、水素、またはヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、シリル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール、-NR
5
2、およびそれらの組み合わせから選択される員であり、該R
6は、20個までの非水素原子を有し、任意選択的に2つのR
6基またはR
6とZとが一緒になって環系を形成し、
Zは、任意選択的にR
5、R
6、またはXに結合した中性ジエンまたは単座もしくは多座ルイス塩基であり、
Xは、水素原子、水素原子を算入せずに60個までの原子を有する一価のアニオン性配位子基、または2つのX基が、一緒になって接合して、二価配位子基を形成し、
xは、1または2であり、
zは、0、1、または2である。
【0142】
本明細書における好適な金属錯体のさらなる例は、以下の式に対応する多環式錯体であり、
【化7】
式中、Mは、+2、+3、または+4のホルマール酸化状態のチタンであり、
R
7は、出現するごとに、独立して、水素化物、ヒドロカルビル、シリル、ゲルミル、ハライド、ヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルシロキシ、ヒドロカルビルシリルアミノ、ジ(ヒドロカルビル)アミノ、ヒドロカルビレンアミノ、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ、ヒドロカルビレン-ホスフィノ、ヒドロカルビルスルフィド、ハロ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ置換ヒドロカルビル、シリル置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルシロキシ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルシリルアミノ置換ヒドロカルビル、ジ(ヒドロカルビル)アミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビレンアミノ置換ヒドロカルビル、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビレン-ホスフィノ置換ヒドロカルビル、またはヒドロカルビルスルフィド置換ヒドロカルビルであり、該R
7基は、水素を算入せずに40個までの原子を有し、任意選択的に2つ以上の前述の基が一緒になって二価誘導体を形成してもよく、
R
8は、金属錯体の残りの部分と縮合系を形成する二価ヒドロカルビレンまたは置換ヒドロカルビレン基であり、該R
8は、水素を算入せずに1~30個の原子を含み、
X
aは、二価部分、または1つのπ結合と、Mへの配位共有結合を形成することが可能な中性の2電子対とを含む部分であり、該X
aは、ホウ素または元素周期表の第14族の構成要素を含み、かつ窒素、リン、硫黄、または酸素も含み、
Xは、環式、非局在化、π結合配位子基である配位子のクラスを除く60個までの原子を有する一価のアニオン性配位子基であり、任意選択的に2つのX基が一緒になって二価配位子基を形成し、
Zは、出現するごとに、独立して、20個までの原子を有する中性配位化合物であり、
xは、0、1、または2であり、
zは、ゼロまたは1である。
【0143】
触媒として有用に用いられる金属錯体のさらなる例は、多価ルイス塩基の錯体、例えば、以下の式に対応する化合物であり、
【化8】
式中、T
bは、架橋基であり、好ましくは水素以外の2個以上の原子を含み、
X
bおよびY
bは、それぞれ独立して、窒素、硫黄、酸素、およびリンからなる群から選択され、より好ましくは、X
bおよびY
bの両方が窒素であり、
R
bおよびR
b’は、出現するごとに、独立して、水素または1個以上のヘテロ原子を任意選択的に含むC
1~50ヒドロカルビル基もしくはそれらの不活性に置換された誘導体である。好適なR
bおよびR
b’基の非限定的な例としては、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、(ポリ)アルキルアリール、およびシクロアルキル基、ならびにそれらの窒素、リン、酸素、およびハロゲン置換誘導体が挙げられる。好適なRbおよびRb’基の具体例としては、メチル、エチル、イソプロピル、オクチル、フェニル、2,6-ジメチルフェニル、2,6-ジ(イソプロピル)フェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、ペンタフルオロフェニル、3,5-トリフルオロメチルフェニル、およびベンジルが挙げられ、
gおよびg’は、それぞれ独立して、0または1であり、
M
bは、元素周期表の第3~15族、またはランタニド系列から選択される金属元素である。好ましくは、M
bは、第3~13族金属であり、より好ましくは、M
bは、第4~10族金属であり、
L
bは、水素を算入せずに1~50個の原子を含む一価、二価、または三価のアニオン性配位子である。好適なL
b基の例としては、ハライド;水素化物;ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、ジ(ヒドロカルビル)アミド、ヒドロカルビレンアミド、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィド、ヒドロカルビルスルフィド;ヒドロカルビルオキシ、トリ(ヒドロカルビルシリル)アルキル;およびカルボキシレートが挙げられる。より好ましいL
b基は、C1~20アルキル、C
7~20アラルキル、およびクロリドであり、
hおよびh’は、それぞれ独立して、1~6、好ましくは1~4、より好ましくは1~3の整数であり、jは、1または2であり、h×jの値は、電荷平衡を提供するように選択され、
Z
bは、M
bに配位した中性配位子基であり、水素を算入せずに原子を50個まで含有する。好ましいZ
b基としては、脂肪族および芳香族アミン、ホスフィン、ならびにエーテル、アルケン、アルカジエン、およびそれらの不活性に置換された誘導体が挙げられる。好適な不活性に置換された基としては、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ジ(ヒドロカルビル)アミン、トリ(ヒドロカルビル)シリル、およびニトリル基が挙げられる。好ましいZ
b基としては、トリフェニルホスフィン、テトラヒドロフラン、ピリジン、および1,4-ジフェニルブタジエンが挙げられ、
fは、1~3の整数であり、
T
b、R
b、およびR
b’のうちの2つまたは3つは、一緒になって接合して、単一または複数の環構造を形成してもよく、
hは、1~6、好ましくは1~4、より好ましくは1~3の整数であり、
【0144】
一実施形態では、Rbは、Xbに対して比較的低い立体障害を有することが好ましい。この実施形態では、最も好ましいRb基は、線状アルキル基、線状アルケニル基、最も近い分岐点がXbから除去された少なくとも3個の原子である分岐状アルキル基、およびそれらのハロ、ジヒドロカルビルアミノ、アルコキシまたはトリヒドロカルビルシリル置換誘導体である。この実施形態において極めて好ましいRb基は、C1~8線状アルキル基である。
【0145】
同時に、この実施形態では、R
b’は、好ましくは、Y
bに関して比較的高い立体障害を有する。この実施形態に好適なR
b’基の非限定的な例としては、1つ以上の第2級または第3級炭素中心を含有するアルキルまたはアルケニル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、脂肪族または芳香族複素環式基、有機または無機オリゴマー、ポリマーまたは環式基、およびそれらのハロ、ジヒドロカルビルアミノ、アルコキシ、またはトリヒドロカルビルシリル置換誘導体が挙げられる。この実施形態における好ましいR
b’基は、水素を算入せずに3~40個、より好ましくは3~30個、最も好ましくは4~20個の原子を含み、分岐状または環式である。好ましいT
b基の例は、以下の式に対応する構造であり、
【化9】
式中、
各R
dは、C1~10ヒドロカルビル基、好ましくはメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、t-ブチル、フェニル、2,6-ジメチルフェニル、ベンジル、またはトリルである。各R
eは、C1~10ヒドロカルビル、好ましくはメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、t-ブチル、フェニル、2,6-ジメチルフェニル、ベンジル、またはトリルである。さらに、2つ以上のR
d基もしくはR
e基、またはRd基とRe基との混合物が一緒になってヒドロカルビル基の二価または多価誘導体、例えば、1,4-ブチレン、1,5-ペンチレン、または単環式環もしくは多環式縮合環、多価ヒドロカルビルもしくはヘテロヒドロカルビル基、例えば、ナフタレン-1,8-ジイルを形成し得る。
【0146】
前述の多価ルイス塩基錯体の好適な例としては、以下のものが挙げられ、
【化10】
式中、R
dは、出現するごとに、独立して、水素、および任意選択的に1個以上のヘテロ原子を含むC1~50ヒドロカルビル基、もしくはその不活性に置換された誘導体からなる群から選択され、または、さらに任意選択的に、2つの隣接するR
d’基が一緒になって二価架橋基を形成してもよく、
d’は、4であり、
M
b’は、第4族金属、好ましくはチタンもしくはハフニウム、または10族金属、好ましくはNiもしくはPdであり、
L
b’は、水素を算入せずに50個までの原子の一価配位子、好ましくはハライドもしくはヒドロカルビルであるか、または2つのL
b’基が一緒になって二価もしくは中性配位子基、好ましくはC
2~50ヒドロカルビレン、ヒドロカルバジイル、もしくはジエン基である。
【0147】
本発明において使用するための多価ルイス塩基錯体としては、特に、第4族の金属誘導体、特に、以下の式に対応するヒドロカルビルアミン置換ヘテロアリール化合物のハフニウム誘導体が挙げられ、
【化11】
式中、
R
11は、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、および水素を算入せずに1~30個の原子を含むそれらの不活性に置換された誘導体またはそれらの二価誘導体から選択され、
T
1は、水素以外の1~41個の原子、好ましくは水素以外の1~20個の原子の二価架橋基、最も好ましくはモノ-またはジ-C1~20ヒドロカルビル置換メチレンまたはシラン基であり、
R
12は、ルイス塩基官能基を含むC
5~20ヘテロアリール基、特にピリジン-2-イル-もしくは置換ピリジン-2-イル基、またはそれらの二価誘導体であり、
M
1は、第4族金属、好ましくはハフニウムであり、
X
1は、アニオン性、中性またはジアニオン性の配位子基であり、
x’は、そのようなX
1基の数を示す0~5の数であり、結合、任意選択的な結合および電子供与性相互作用は、それぞれ線、点線、および矢印で表される。
【0148】
好適な錯体は、配位子形成が、アミン基からの、および任意選択的に1つ以上のさらなる基、特にR
12からの水素脱離から生じる錯体である。さらに、ルイス塩基官能基、好ましくは電子対からの電子供与は、金属中心にさらなる安定性を提供する。好適な金属錯体は、以下の式に対応し、
【化12】
式中、M
1、X
1、x’、R
11およびT
1は、先に定義した通りであり、
R
13、R
14、R
15、およびR
16は、水素、ハロ、または水素を算入せずに20個までの原子のアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、もしくはシリル基であるか、あるいは隣接するR
13、R
14、R
15、またはR
16基が、一緒になって接合されて縮合環誘導体を形成してもよく、結合、任意選択的な結合、および電子対供与性相互作用は、それぞれ、線、点線、および矢印で表される。前述の金属錯体の好適例は、以下の式に対応し、
【化13】
式中、
M
1、X
1、およびx’は、先に定義した通りであり、
R
13、R
14、R
15、およびR
16は、先に定義した通りであり、好ましくは、R
13、R
14、およびR
15は、水素またはC1~4アルキルであり、R
16は、C
6~20アリール、最も好ましくはナフタレニルであり、
R
aは、出現するごとに、独立して、C
1~4アルキルであり、aは、1~5であり、最も好ましくは、窒素への2つのオルト位置のR
aは、イソプロピルまたはt-ブチルであり、
R
17およびR
18は、出現するごとに、独立して、水素、ハロゲン、またはC
1~20アルキルもしくはアリール基であり、最も好ましくは、R
17およびR
18の一方が水素であり、他方がC6~20アリール基、特に2-イソプロピル、フェニルまたは縮合多環式アリール基、最も好ましくはアントラセニル基であり、結合、任意選択的な結合および電子対供与性相互作用は、それぞれ、線、点線および矢印で表される。
【0149】
触媒として本明細書で使用するための例示的な金属錯体は、以下の式に対応し、
【化14】
式中、X
1は、出現するごとに、ハライド、N,N-ジメチルアミド、またはC
1~
4アルキルであり、好ましくは出現するごとに、X
1はメチルであり、
R
fは、出現するごとに、独立して、水素、ハロゲン、C1~20アルキル、もしくはC6~20アリールであるか、または2つの隣接するR
f基が一緒になって接合して環を形成し、fは1~5であり、
R
cは、出現するごとに、独立して、水素、ハロゲン、C
1~20アルキル、もしくはC
6~20アリールであるか、または2つの隣接するR
c基が一緒になって接合して環を形成し、cは1~5である。
【0150】
本発明による触媒として使用するための金属錯体の好適な例は、以下の式の錯体であり、
【化15】
式中、R
xは、C1~4アルキルまたはシクロアルキル、好ましくはメチル、イソプロピル、t-ブチル、またはシクロヘキシルであり、
X
1は、出現するごとに、ハライド、N,N-ジメチルアミド、またはC1~4アルキル、好ましくはメチルである。
【0151】
本発明による触媒として有用に用いられる金属錯体の例としては、以下のものが挙げられる:
[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(o-トリル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ハフニウムジメチル;
[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(o-トリル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ハフニウムジ(N,N-ジメチルアミド);
[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(o-トリル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ハフニウムジクロリド;
[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(2-イソプロピルフェニル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ハフニウムジメチル;
[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(2-イソプロピルフェニル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ハフニウムジ(N、N-ジメチルアミド);
[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(2-イソプロピルフェニル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ハフニウムジクロリド;
[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(フェナントレン-5-イル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ハフニウムジメチル;
[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(フェナントレン-5-イル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ハフニウムジ(N,N-ジメチルアミド);および
[N-(2,6-ジ(l-メチルエチル)フェニル)アミド)(フェナントレン-5-イル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ハフニウムジクロリド。
【0152】
本開示において使用される金属錯体を調製するために使用される反応条件下で、ピリジン-2-イル基の6位で置換されたα-ナフタレン基の2位の水素は、脱離に供され、それによって、得られたアミド基とα-ナフタレニル基の2位との両方に金属が共有結合し、かつ窒素原子の電子対を介してピリジニル窒素原子に配位することにより安定化された、金属錯体を形成する。
【0153】
好適なさらなるプロ触媒としては、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、WO2007/130307A2、WO2007/130306A2、および米国特許出願公開第2009/0306318A1号に開示されているものに対応するイミダゾールアミン化合物が挙げられる。そのようなイミダゾールアミン化合物としては、以下の式に対応するものが挙げられ、
【化16】
式中、
Xは、独立して、出現するごとに、アニオン配位子であるか、または2つのX基は、一緒になってジアニオン配位子基もしくは中性ジエンを形成し、Tは、1つ以上の環を含む脂環式または芳香族基であり、R
1は、独立して、出現するごとに、水素、ハロゲン、もしくは一価の多原子アニオン配位子であるか、または2つ以上のR
1基は、一緒に結合されて、それによって多価縮合環系を形成し、R
2は、独立して、出現するごとに、水素、ハロゲン、もしくは一価の多原子アニオン配位子であるか、または2つ以上のR
2基は、一緒に結合されて、多価の縮合環系を形成し、R
4は、水素、1~20個の炭素のアルキル、アリール、アラルキル、トリヒドロカルビルシリル、もしくはトリヒドロカルビルシリルメチルである。
【0154】
そのようなイミダゾールアミン化合物のさらなる例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されることはない:
【化17】
式中、
R
1は、独立して、出現するごとに、C
3~12アルキル基であり、フェニル環に結合した炭素は、第2級または第3級になるように置換されており、R
2は、独立して、出現するごとに、水素またはC
1~2アルキル基であり、R
4は、メチルまたはイソプロピルであり、R
5は、水素またはC
1~6アルキルであり、R
6は、水素、C
1~6アルキル、またはシクロアルキルであり、2つの隣接するR
6基は、一緒になって縮合芳香族環を形成し、T’は、酸素、硫黄、またはC
1~20ヒドロカルビル置換窒素またはリン基であり、T’’は、窒素またはリンであり、Xは、メチルまたはベンジルである。
【0155】
本明細書で使用するための多価ルイス塩基のさらなる好適な金属錯体としては、以下の式に対する化合物が挙げられ、
【化18】
式中、
R
20は、水素を算入せずに5~20個の原子を含有する芳香族もしくは不活性置換芳香族基、またはその多価誘導体であり、
T
3は、水素を算入せずに1~20個の原子を有するヒドロカルビレンもしくはヒドロカルビルシラン基、またはそれらの不活性に置換された誘導体であり、
M
3は、第4族金属、好ましくはジルコニウムまたはハフニウムであり、
Gは、アニオン性、中性またはジアニオン性配位基;好ましくは、水素を算入せずに20個までの原子を有するハライド、ヒドロカルビル、シラン、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、またはジヒドロカルビルアミド基であり、
gは、そのようなG基の数を示す1~5の数であり、結合および電子供与性相互作用は、それぞれ、線および矢印で表される。
【0156】
例示的に、そのような錯体は、以下の式に対応し、
【化19】
式中
T
3は、水素を算入せずに2~20個の原子の二価架橋基、好ましくは置換または非置換のC3~6アルキレン基であり、
Ar
2は、独立して、出現するごとに、水素を算入せずに6~20個の原子のアリーレンまたはアルキルもしくはアリール置換アリーレン基であり、
M
3は、第4族金属、好ましくはハフニウムまたはジルコニウムであり、
Gは、独立して、出現するごとに、アニオン性、中性、またはジアニオン性配位基であり、
gは、そのようなX基の数を示す1~5の数であり、電子供与性相互作用は矢印で表される。
【0157】
前述の式の金属錯体の好適な例としては、以下の化合物が挙げられ、
【化20】
式中、M
3は、HfまたはZrであり、
Ar
4は、C
6~20アリールまたはその不活性に置換された誘導体、特に、3,5-ジ(イソプロピル)フェニル、3,5-ジ(イソブチル)フェニル、ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル、またはアントラセン-5-イルであり、
T
4は、出現するごとに、独立して、C
3~6アルキレン基、C
3~6シクロアルキレン基、またはそれらの不活性に置換された誘導体を含み、
R
21は、出現するごとに、独立して、水素、ハロ、ヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、または水素を算入せずに50個までの原子のトリヒドロカルビルシリルヒドロカルビルであり、
Gは、出現するごとに、独立して、ハロ、または水素を算入せずに20個までの原子のヒドロカルビルもしくはトリヒドロカルビルシリル基であるか、あるいは2個のG基は、一緒になって、前述のヒドロカルビルまたはトリヒドロカルビルシリル基の二価誘導体である。
【0158】
好適な化合物は、以下の式の化合物であり、
【化21】
式中、Ar
4は、3,5-ジ(イソプロピル)フェニル、3,5-ジ(イソブチル)フェニル、ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル、またはアントラセン-5-イルであり、
R
21は、水素、ハロ、またはC1~4アルキル、特にメチルであり、
T
4は、プロパン-1,3-ジイルまたはブタン-1,4-ジイルであり、
Gは、クロロ、メチル、またはベンジルである。
【0159】
前述の式の例示的な金属錯体は、以下のものである:
【化22】
【0160】
本開示による使用のための好適な金属錯体としては、以下の式に対応する化合物がさらに挙げられ、
【化23】
、
式中、
Mは、ジルコニウムまたはハフニウムであり、
R
20は、出現するごとに、独立して、水素を算入せずに5~20個の原子を含有する二価の芳香族基または不活性に置換された芳香族基であり、
T
3は、水素を算入せずに3~20個の原子を有する二価の炭化水素もしくはシラン基、またはそれらの不活性に置換された誘導体であり、
R
Dは、出現するごとに、独立して、水素を算入せずに1~20個の原子の一価配位子基であるか、または2つのR
D基は、一緒になって、水素を算入せずに1~20個の原子の二価配位子基である。
【0161】
そのような錯体は、以下の式に対応し得て、
【化24】
、
式中、
Ar
2は、出現するごとに、独立して、水素または任意の置換基の任意の原子を算入せずに6~20個の原子の、アリーレン、またはアルキル、アリール、アルコキシ、もしくはアミノ置換アリーレン基であり、
T
3は、水素を算入せずに3~20個の原子の二価炭化水素架橋基、好ましくは、酸素原子を隔てる少なくとも3個の炭素原子を有する二価の置換または非置換C
3~6脂肪族、脂環式、またはビス(アルキレン)置換脂環式の基であり、
R
Dは、出現するごとに、独立して、水素を算入せずに1~20個の原子の一価配位子基であるか、または2つのR
D基は、一緒になって、水素を算入せずに1~40個の原子の二価配位子基である。
【0162】
本明細書における使用に好適な金属錯体のさらなる例としては、以下の式の化合物が挙げられ、
【化25】
、
式中、
Ar
4は、出現するごとに、独立して、C
6~20アリールまたはその不活性に置換された誘導体、特に、3,5-ジ(イソプロピル)フェニル、3,5-ジ(イソブチル)フェニル、ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル、ナフチル、アントラセン-5-イル、1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イルであり、
T
4は、出現するごとに、独立して、プロピレン-1,3-ジイル基、ビス(アルキレン)シクロヘキサン-1,2-ジイル基、またはそれぞれ20個までの炭素を有する1~5個のアルキル、アリール、もしくはアラルキル置換基で置換された、それらの不活性に置換された誘導体であり、
R
21は、出現するごとに、独立して、水素、ハロ、水素を算入せずに50個までの原子のヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、アルコキシ、またはアミノであり、
R
Dは、出現するごとに、独立して、ハロ、または水素を算入せずに20個までの原子のヒドロカルビルもしくはトリヒドロカルビルシリル基であるか、あるいは2つのR
D基は、一緒になって、水素を算入せずに40個までの原子の二価ヒドロカルビレン、ヒドロカルバジイル、またはトリヒドロカルビルシリル基である。
【0163】
例示的な金属錯体は、以下の式の化合物であり、
【化26】
、
式中、Ar
4は、出現するごとに、独立して、3,5-ジ(イソプロピル)フェニル、3,5-ジ(イソブチル)フェニル、ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル、またはアントラセン-5-イルであり、
R
21は、出現するごとに、独立して、水素、ハロ、水素を算入せずに50個までの原子のヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、アルコキシ、またはアミノであり、
T
4は、プロパン-1,3-ジイルまたはビス(メチレン)シクロヘキサン-1,2-ジイルであり、
R
Dは、出現するごとに、独立して、ハロ、または水素を算入せずに20個までの原子のヒドロカルビルもしくはトリヒドロカルビルシリル基であるか、あるいは2つのR
D基は、一緒になって、水素を算入せずに40個までの原子のヒドロカルビレン、ヒドロカルバジイル、またはヒドロカルビルシランジイル基である。
【0164】
本開示による好適な金属錯体は、以下の式に対応し、
【化27】
式中、R
Dは、出現するごとに、独立して、クロロ、メチル、またはベンジルである。
【0165】
好適な金属錯体の具体例は、以下の化合物である:
A)ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-1,3-プロパンジイルハフニウム(IV)ジメチル、
ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-1,3-プロパンジイルハフニウム(IV)ジクロリド、
ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-1,3-プロパンジイルハフニウム(IV)ジベンジル、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-1,3-プロパンジイルハフニウム(IV)ジメチル、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-1,3-プロパンジイルハフニウム(IV)ジクロリド、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-1,3-プロパンジイルハフニウム(IV)ジベンジル、
B)ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-1,4-ブタンジイルハフニウム(IV)ジメチル、
ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-1,4-ブタンジイルハフニウム(IV)ジクロリド、
ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-1,4-ブタンジイルハフニウム(IV)ジベンジル、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-1,4-ブタンジイルハフニウム(IV)ジメチル、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-1,4-ブタンジイルハフニウム(IV)ジクロリド、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-1,4-ブタンジイルハフニウム(IV)ジベンジル、
C)ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-2,4-ペンタンジイルハフニウム(IV)ジメチル、
ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-2,4-ペンタンジイルハフニウム(IV)ジクロリド、
ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-2,4-ペンタンジイルハフニウム(IV)ジベンジル、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-2,4-ペンタンジイルハフニウム(IV)ジメチル、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-2,4-ペンタンジイルハフニウム(IV)ジクロリド、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-2,4-ペンタンジイルハフニウム(IV)ジベンジル、
D)ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-メチレンtrans-1,2-シクロヘキサンジイルハフニウム(IV)ジメチル、
ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-メチレンtrans-1,2-シクロヘキサンジイルハフニウム(IV)ジクロリド、
ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-メチレンtrans-1,2-シクロヘキサンジイルハフニウム(IV)ジベンジル、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-メチレンtrans-1,2-シクロヘキサンジイルハフニウム(IV)ジメチル、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-メチレンtrans-1,2-シクロヘキサンジイルハフニウム(IV)ジクロリド、および
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-メチレンtrans-1,2-シクロヘキサンジイルハフニウム(IV)ジベンジル。
【0166】
前述の金属錯体は、遷移金属源および中性多官能配位子源を含む標準的な金属化および配位子交換手順によって都合よく調製され得る。使用される技術は、USP6,827,976およびUS2004/0010103、ならびに他の場所で開示されているものと同じであるか、または類似している。
【0167】
前述の多価ルイス塩基錯体は、(周期表の)4族金属源および中性多官能配位子源を含む標準的な金属化および配位子交換手順によって都合よく調製され得る。さらに、錯体はまた、対応する第4族金属テトラアミドおよびトリメチルアルミニウムのようなヒドロカルビル化剤から出発するアミド除去およびヒドロカルビル化プロセスによっても調製され得る。他の技術も同様に使用され得る。これらの錯体は、とりわけ、米国特許第6,320,005号、同第6,103,657号、WO02/38628、WO03/40195、およびUS04/0220050の開示から知られている。
【0168】
高いコモノマー組み込み特性を有する触媒はまた、重合中にβ-水素化物の除去および成長中のポリマーの連鎖停止を介して偶然に生じる、その場で調製された長鎖オレフィンを再組み込みすること、または他の方法で知られる。そのような長鎖オレフィンの濃度は、高い転化率、特に95%以上のエチレン転化率、より好ましくは97%以上のエチレン転化率での連続溶液重合条件の使用によって特に高められる。そのような条件下では、少量だが検出可能な量のオレフィン末端ポリマーが成長中のポリマー鎖に再組み込みされ、長鎖分岐、すなわち他の意図的に添加されたコモノマーから生じるよりも長い炭素長の分岐の形成をもたらす。さらに、そのような鎖は反応混合物中に存在する他のコモノマーの存在を反映している。すなわち、鎖は、反応混合物のコモノマー組成に応じて、短鎖または長鎖分岐も同様に含み得る。オレフィンポリマーの長鎖分岐は、USP5,272,236、5,278,272、および5,665,800においてさらに説明されている。
【0169】
あるいは、超分岐を含む分岐は、得られるポリマーに「連鎖移動(chain-walking)」をもたらすことが知られている特定の触媒を使用することによって、本マルチブロックコポリマーの特定のセグメントに誘導され得る。例えば、Kaminski,et al.,J.Mol.Catal.A:Chemical,102(1995)59-65、Zambelli,et al.,Macromolecules,1988,21,617-622、またはDias, et al.,J.Mol.Catal.A:Chemical,185(2002)57-64によって開示された特定の均一架橋ビスインデニル-または部分的水素化ビスインデニル-ジルコニウム触媒を使用して、エチレンを含む単一のモノマーから分岐コポリマーを調製することができる。
【0170】
使用に適したさらなる錯体としては、以下の式に対応する第4~10族の誘導体が挙げられ、
【化28】
式中、
M
2は、元素周期表の第4~10族の金属、好ましくは第4族の金属、Ni(II)、またはPd(II)、最も好ましくはジルコニウムであり、
T
2は、窒素、酸素、またはリン含有基であり、
X
2は、ハロ、ヒドロカルビル、またはヒドロカルビルオキシであり、
tは、1または2であり、
x’’は、電荷バランスを提供するために選択された数であり、
T
2およびNは、架橋配位子によって連結されている。
そのような触媒は、他の開示では、以前にJ.Am.Chem.Soc.,118,267-268(1996)、J.Am.Chem.Soc.,117,6414-6415(1995)、およびOrganometallics,16,1514-1516,(1997)に開示されている。
【0171】
触媒としての使用のための前述の金属錯体の好適な例は、以下の式に対応する第4族金属、特にジルコニウムの芳香族ジイミンまたは芳香族ジオキシイミン錯体であり、
【化29】
式中、
M
2、X
2、およびT
2は、先に定義した通りであり、
R
dは、出現するごとに、独立して、水素、ハロゲン、またはR
eであり、
R
eは、出現するごとに、独立して、C1~20ヒドロカルビルまたはそのヘテロ原子、特にそのF、N、S、またはP置換誘導体、より好ましくはC1~20ヒドロカルビルまたはそのFもしくはN置換誘導体、最も好ましくは、アルキル、ジアルキルアミノアルキル、ピロリル、ピペリデニル、ペルフルオロフェニル、シクロアルキル、(ポリ)アルキルアリール、またはアラルキルである。
【0172】
触媒として使用するための前述の金属錯体の好適な例は、以下の式に対応するジルコニウムの芳香族ジオキシイミン錯体であり、
【化30】
式中、
X
2は、先に定義した通りであり、好ましくはC1~10ヒドロカルビル、最も好ましくはメチルまたはベンジルであり、
R
e’は、メチル、イソプロピル、t-ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2-メチルシクロヘキシル、2,4-ジメチルシクロヘキシル、2-ピロリル、N-メチル-2-ピロリル、2-ピペリデニル、N-メチル-2-ピペリデニル、ベンジル、o-トリル、2,6-ジメチルフェニル、ペルフルオロフェニル、2,6-ジ(イソプロピル)フェニル、または2,4,6-トリメチルフェニルである。
【0173】
特定のホスフィンイミン錯体も含むものとして使用するための前述の錯体は、EP-A-890581に開示されている。これらの錯体は、式:[(Rf)3-P=N]fM(K2)(Rf)3-fに対応し、式中、Rfは、一価配位子であり、または2つのRf基が一緒になって、二価の配位子であり、好ましくは、Rfは、水素またはC1~4アルキルであり、
Mは、第4族の金属であり、
K2は、それを介してK2がMに結合された非局在化π電子を含有する基であり、該K2基は、水素原子を算入せずに50個までの原子を含有し、fは1または2である。
【0174】
さらなる好適なプロ触媒としては、参照によってその全体が組み込まれるWO2017/173080A1に開示されているものが挙げられる。そのようなプロ触媒としては、式(i)の金属-配位子錯体が挙げられ、
【化31】
、
式中、Mは、チタン、ジルコニウム、またはハフニウムであり、
各Z1は、独立して、中性、モノアニオン性、またはジアニオン性の単座または多座配位子であり、nnは整数であり、Z1およびnnは、式(i)の金属-配位子錯体が全体として中性であるように選択され、
各Q
1およびQ
10は、独立して、(C
6~C
40)アリール、置換(C
6~C
40)アリール、(C
3~C
40)ヘテロアリール、および置換(C
3~C
40)ヘテロアリールからなる群から選択され、
各Q
2、Q
3、Q
4、Q
7、Q
8、およびQ
9は、独立して、水素、(C
1~C
40)ヒドロカルビル、置換(C
1~C
40)ヒドロカルビル、(C
1~C
40)ヘテロヒドロカルビル、置換(C
1~C
40)ヘテロヒドロカルビル、ハロゲン、およびニトロ(NO
2)からなる群から選択され、
各Q
5およびQ
6は、独立して、(C
1~C
40)アルキル、置換(C
1~C
40)アルキル、および[(Si)
1-(C+Si)
40]置換オルガノシリルからなる群から選択され、
各Nは、独立して、窒素であり、
任意選択的に、Q
1~5基のうちの2つ以上は、一緒に組み合わさって、環構造を形成することができ、そのような環構造は、いずれの水素原子も除いて環中に5~16個の原子を有し、
任意選択的に、Q
6~10基のうちの2つ以上は、一緒に組み合わさって、環構造を形成することができ、そのような環構造は、いずれの水素原子も除いて環中に5~16個の原子を有する。
【0175】
上記の式(i)の金属配位子錯体および本明細書のそのすべての特定の実施形態は、その配位異性体を含むすべての可能性のある立体異性体を含むことが意図される。
【0176】
上記の式(i)の金属配位子は、ホモレプティックプロ触媒成分およびヘテロレプティックプロ触媒成分を提供する。
【0177】
代替的な実施形態では、Q1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6、Q7、Q8、Q9、およびQ10のうちのいずれか1つ以上の(C1~C40)ヒドロカルビルおよび(C1~C40)ヘテロヒドロカルビルはそれぞれ、それぞれ独立して、非置換または1つ以上のRS置換基で置換され、各RSは、独立して、ハロゲン原子、ポリフルオロ置換、ペルフルオロ置換、非置換(C1~C18)アルキル、(C6~C18)アリール、F3C、FCH2O、F2HCO、F3CO、(RC1)3Si、(RC1)3Ge、(RC1)O、(RC1)S、(RC1)S(O)、(RC1)S(O)2、(RC1)2P、(RC1)2N、(RC1)2C=N、NC、NO2、(RC1)C(O)O、(RC1)OC(O)、(RC1)C(O)N(RC1)、または(RC1)2NC(O)であるか、あるいはRSのうちの2つは、一緒になって、非置換(C1~C18)アルキレンを形成し、各RSは、独立して、非置換(C1~C18)アルキルであり、独立して、各RC1は、水素、非置換(C1~C18)ヒドロカルビル、または非置換(C1~C18)ヘテロヒドロカルビルであるか、または存在しない(例えば、Nが-N=を含む場合、存在しない)。特定の実施形態では、Q5およびQ6は、それぞれ独立して、親配位子構造のアミン窒素へのその接続に関して、(C1~C40)の第1級または第2級アルキル基である。第1級および第2級アルキル基という用語は、本明細書ではそれらの通常の慣習的な意味を持ち、すなわち、第1級とは、配位子窒素に直接連結した炭素原子が少なくとも2つの水素原子を担持することを示し、第2級とは、配位子窒素に直接連結した炭素原子が1つのみの水素原子を担持することを示す。
【0178】
任意選択的に、2つ以上のQ1~5基または2つ以上のQ6~10基は、それぞれ独立して、一緒に組み合わさって、環構造を形成し、そのような環構造は、いずれの水素原子も除いて環中に5~16個の原子を有する。
【0179】
好ましい実施形態では、Q5およびQ6は、それぞれ独立して、(C1~C40)の第1級または第2級アルキル基であり、最も好ましくは、Q5およびQ6は、それぞれ独立して、プロピル、イソプロピル、ネオペンチル、ヘキシル、イソブチル、およびベンジルである。
【0180】
特定の実施形態では、式(i)のオレフィン重合プロ触媒のQ
1およびQ
10は、式(ii)に示されるような置換フェニル基であり、
【化32】
式中、J
1~J
10は、それぞれ独立して、R
s置換基および水素からなる群から選択され、各R
Sは、独立して、ハロゲン原子、ポリフルオロ置換、ペルフルオロ置換、非置換(C
1~C
18)アルキル、(C
6~C
18)アリール、F
3C、FCH
2O、F
2HCO、F
3CO、(R
C1)
3Si、(R
C1)
3Ge、(R
C1)O、(R
C1)S、(R
C1)S(O)、(R
C1)S(O)
2、(R
C1)
2P、(R
C1)
2N、(R
C1)
2C=N、NC、NO
2、(R
C1)C(O)O、(R
C1)OC(O)、(R
C1)C(O)N(R
C1)、または(R
C1)
2NC(O)であるか、あるいはR
Sのうちの2つは、一緒になって、非置換(C
1~C
18)アルキレンを形成し、各R
Sが、独立して、非置換(C
1~C
18)アルキルであり、独立して、各R
C1が、水素、非置換(C
1~C
18)ヒドロカルビルまたは非置換(C
1~C
18)ヘテロヒドロカルビルであるか、または存在しない(例えば、Nが-N=を含む場合、存在しない)。より好ましくは、式(ii)のJ
1、J
5、J
6、およびJ
10は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、(C
1~C
8)アルキル基、および(C
1~C
8)アルコキシル基からなる群から選択される。最も好ましくは、式(ii)のJ
1、J
5、J
6、およびJ
10は、それぞれ独立して、メチル、エチル、またはイソプロピルである。
【0181】
「[(Si)1-(C+Si)40]置換オルガノシリル」という用語は、炭素原子とケイ素原子との合計数が1~40になるように、1~40個のケイ素原子と0~39個の炭素原子とを有する置換シリルラジカルを意味する。[(Si)1-(C+Si)40]置換オルガノシリルの例としては、トリメチルシリル、トリイソプロピルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、およびトリエチルシリルが挙げられる。
【0182】
好ましくは、式(i)の金属-配位子錯体において、S(O)またはS(O)2ジラジカル官能基中のO-S結合以外に、O-O、S-S、またはO-S結合は存在しない。より好ましくは、式(i)の金属-配位子錯体において、S(O)またはS(O)2ジラジカル官能基中のO-S結合以外に、O-O、P-P、S-S、またはO-S結合は存在しない。
【0183】
Mは、チタン、ジルコニウム、またはハフニウムである。一実施形態では、Mはチタンである。別の実施形態では、Mはジルコニウムである。別の実施形態では、Mはハフニウムである。いくつかの実施形態では、Mは、+2、+3、または+4の形式酸化状態にある。各Z1は、独立して、中性、モノアニオン性、またはジアニオン性の単座または多座配位子である。Z1およびnnは、式(i)の金属-配位子錯体が全体として中性であるように選択される。いくつかの実施形態では、各Z1は、独立して、単座配位子である。一実施形態では、2つ以上のZ1単座配位子がある場合、各Z1は同一である。いくつかの実施形態では、単座配位子は、モノアニオン性配位子である。モノアニオン性配位子は、-1の正味形式酸化状態を有する。各モノアニオン性配位子は、独立して、水素化物、(C1~C40)ヒドロカルビルカルバニオン、(C1~C40)ヘテロヒドロカルビルカルバニオン、ハロゲン化物、硝酸塩、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、水素化ホウ素、硫酸塩、HC(O)O-、アルコキシドまたはアリールオキシド(RO-)、(C1~C40)ヒドロカルビルC(O)O-、HC(O)N(H)-、(C1~C40)ヒドロカルビルC(O)N(H)-、(C1~C40)ヒドロカルビルC(O)N((C1~C20)ヒドロカルビル)-、RKRLB-、RKRLN-、RKO-、RKS-、RKRLP-、またはRMRKRLSi-であってもよく、各RK、RL、およびRMは、独立して、水素、(C1~C40)ヒドロカルビル、または(C1~C40)ヘテロヒドロカルビルであるか、またはRKおよびRLは一緒になって(C2~C40)ヒドロカルビレンまたは(C1~C40)ヘテロヒドロカルビレンを形成し、RMは先に定義した通りである。
【0184】
いくつかの実施形態では、Z1の少なくとも1つの単座配位子は、独立して、中性配位子である。一実施形態では、中性配位子は、RX1NRKRL、RKORL、RKSRL、またはRX1PRKRLである中性ルイス塩基基であり、各RX1が、独立して水素、(C1~C40)ヒドロカルビル、[(C1~C10)ヒドロカルビル]3Si、[(C1~C10)ヒドロカルビル]3Si(C1~C10)ヒドロカルビル、または(C1~C40)ヘテロヒドロカルビルであり、各RKおよびRLが、独立して、先に定義した通りである。
【0185】
いくつかの実施形態では、各Z1は、独立してハロゲン原子、非置換(C1~C20)ヒドロカルビル、非置換(C1~C20)ヒドロカルビルC(O)O-、またはRKRLN-である単座配位子であり、RKおよびRLはそれぞれ、独立して、非置換(C1~C20)ヒドロカルビルである。いくつかの実施形態では、各単座配位子Z1は、塩素原子、(C1~C10)ヒドロカルビル(例えば、(C1~C6)アルキルまたはベンジル)、非置換(C1~C10)ヒドロカルビルC(O)O-、またはRKRLN-であり、RKおよびRLはそれぞれ、独立して、非置換(C1~C10)ヒドロカルビルである。
【0186】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つのZ1sが存在し、2つのZ1sは、一緒になって二座配位子を形成する。いくつかの実施形態では、二座配位子は、中性二座配位子である。一実施形態では、中性二座配位子は、式(RD1)2C=C(RD1)-C(RD1)=C(RD1)2のジエンであり、式中、各RD1は、独立して、H、非置換(C1~C6)アルキル、フェニル、またはナフチルである。いくつかの実施形態では、二座配位子は、モノアニオン性-モノ(ルイス塩基)配位子である。モノアニオン性モノ(ルイス塩基)配位子は、式(D):RE1-C(O-)=CH-C(=O)-RE1(D)の1,3-ジオナートであってもよく、式中、各RE1は、独立して、H、非置換(C1~C6)アルキル、フェニル、またはナフチルである。いくつかの実施形態では、二座配位子は、ジアニオン性配位子である。ジアニオン性配位子は、-2の正味形式酸化状態を有する。一実施形態では、各ジアニオン性配位子は、独立して、カーボネート、オキサレート(すなわち、-O2CC(O)O-)、(C2~C40)ヒドロカルビレンジカルバニオン、(C1~C40)ヘテロヒドロカルビレンジカルバニオン、ホスフェート、またはスルフェートである。
【0187】
前述のように、Z1の数および電荷(中性、モノアニオン性、ジアニオン性)は、式(i)の金属-配位子錯体が全体として中性になるように、Mの形式酸化状態に応じて選択される。
【0188】
いくつかの実施形態では、各Z1は同一であり、各Z1は、メチル、イソブチル、ネオペンチル、ネオフィル、トリメチルシリルメチル、フェニル、ベンジル、またはクロロである。いくつかの実施形態では、nnは2であり、各Z1は同一である。
【0189】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つのZ1は異なる。いくつかの実施形態では、各Z1は、メチル、イソブチル、ネオペンチル、ネオフィル、トリメチルシリルメチル、フェニル、ベンジル、およびクロロのうちの異なるものである。
【0190】
一実施形態では、式(i)の金属-配位子錯体は、単核金属錯体である。
【0191】
さらなる好適なプロ触媒としては、Acc.Chem.Res.,2015,48(8),pp2209-2220に開示されているものが挙げられるが、以下の構造のものに限定されることはない:
【化33】
【0192】
好適なプロ触媒としては、助触媒を使用せずにオレフィン重合を触媒することができる「単一成分触媒」がさらに挙げられる。そのような単純成分触媒としては、Watson,P.L.J.Am.Chem.Soc.1982,104,337-339、Yasuda,H.;Ihara,E.Adv.Polym.Sci.1997,133,53-101、Ihara,E.;Nodono,M.;Katsura,K.;Adachi,Y.;Yasuda,H.;Yamagashira,M.;Hashimoto,H.;Kanehisa,N.;およびKai,Y.Organometallics 1998,17,3945-3956、Long,D.P.;Bianconi,P.A.J.Am.Chem.Soc.1996,118,12453-12454、Gilchrist,J.H.;Bercaw,J.E.J.Am.Chem.Soc.1996,118,12021-12028、Mitchell,J.P.;Hajela,S.;Brookhart,S.K.;Hardcastle,K.I.;Henling,L.M.;Bercaw,J.E.J.Am.Chem.Soc.1996,118,1045-1053、Evans,W.J.;DeCoster,D.M.;Greaves,J.Organometallics 1996,15,3210-3221、Evans,W.J.;DeCoster,D.M.;Greaves,J.Macromolecules 1995,28,7929-7936、Shapiro,P.J.;Cotter,W.D.;Schaefer,W.P.;Labinger,J.A.;Bercaw,J.E.J.Am.Chem.Soc.1994,116,4623-4640、Schaverien,C.J.Organometallics 1994,13,69-82、Coughlin,E.B.J.Am.Chem.Soc.1992,114,7606-7607、Piers,W.E.;Bercaw,J.E.J.Am.Chem.Soc.1990,112,9406-9407、Burger,B.J.;Thompson,M.E.,Cotter,W.D.;Bercaw,J.E.J.Am.Chem.Soc.1990,112,1566-1577、Shapiro,P.J.;Bunel,E.;Schaefer,W.P.Organometallics 1990,9, 867-869、Jeske,G.;Lauke,H.;Mauermann,H.;Swepston,P.N.;Schumann,H.;Marks,T.J.J.Am.Chem.Soc.1985,107,8091-8103、Jeske,G.;Schock,L.E.;Swepston,P.N.;Schumann,H.;Marks,T.J.J.Am.Chem.Soc.1985,107,8103-8110、およびOrganometallics,2001,20(9),pp1752-1761に開示されているものが挙げられる。そのような単純成分触媒の例示的な非限定的な式としては、以下のものが挙げられ、
【化34】
式中、
Mは、SmまたはYであり、Rは、水素を算入せずに50個までの原子の一価配位子、好ましくはハライドもしくはヒドロカルビルであるか、または2つのL
b’基が一緒になって二価もしくは中性配位子基、好ましくはC
2~50ヒドロカルビレン、ヒドロカルバジイル、もしくはジエン基である。
【0193】
好適なプロ触媒としては、(Cat1)~(Cat17)と称される以下のものが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0194】
(Cat1)は、WO03/40195および米国特許第6,953,764B2号の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化35】
。
【0195】
(Cat2)は、WO03/40195およびWO04/24740の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化36】
。
【0196】
(Cat3)は、当技術分野で知られている方法に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化37】
。
【0197】
(Cat4)は、米国特許出願公開第2004/0010103号の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化38】
。
【0198】
(Cat5)は、米国特許第7,858,706B2号の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化39】
。
【0199】
(Cat6)は、米国特許第7,858,706B2号の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化40】
。
【0200】
(Cat7)は、米国特許第6,268,444号の教示によって調製することができ、以下の構造を有する:
【化41】
。
【0201】
(Cat8)は、米国特許出願公開第2003/004286号の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化42】
。
【0202】
(Cat9)は、米国特許出願公開第2003/004286号の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化43】
。
【0203】
(Cat10)は、Sigma-Aldrichから市販されており、以下の構造を有する:
【化44】
。
【0204】
(Cat11)は、WO2017/173080A1の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化45】
。
【0205】
(Cat12)は、WO2017/173080A1の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化46】
。
【0206】
(Cat13)は、Macromolecules(Washington、DC、米国),43(19),7903-7904(2010)の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化47】
。
【0207】
(Cat14)は、WO2011/102989A1の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化48】
。
【0208】
(Cat15)は、米国特許第8,101,696B2の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化49】
。
【0209】
(Cat16)は、WO2018/170138A1の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化50】
。
【0210】
(Cat17)は、WO2018/170138A1の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化51】
。
【0211】
特定の実施形態では、(C)触媒成分は、プロ触媒および助触媒を含む。これらの実施形態では、プロ触媒は、助触媒(活性剤)、好ましくは、カチオン形成助触媒、強ルイス酸、またはそれらの組み合わせと組み合わせることによって活性化され、活性触媒を形成することができる。
【0212】
好適なカチオン形成助触媒としては、金属オレフィン重合錯体について当技術分野において以前から知られているものが挙げられる。例としては、中性ルイス酸、例えば、C1~30ヒドロカルビル置換第13族化合物、特にトリ(ヒドロカルビル)ホウ素化合物、および各ヒドロカルビルもしくはハロゲン化ヒドロカルビル基中に1~10個の炭素を有するそのハロゲン化(過ハロゲン化を含む)誘導体、より詳細にはペルフルオロ化トリ(アリール)ホウ素化合物、最も詳細にはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン;非ポリマー性、相溶性、非配位性、イオン形成性の化合物(酸化条件下でのそのような化合物の使用を含む)、特に、相溶性の非配位性アニオンのアンモニウム塩、ホスホニウム塩、オキソニウム塩、カルボニウム塩、シリリウム塩もしくはスルホニウム塩の使用、または相溶性の非配位性アニオンのフェロセニウム塩、鉛塩もしくは銀塩の使用;ならびに前述のカチオン形成助触媒および技術の組み合わせが挙げられる。前述の活性化助触媒および活性化技術は、オレフィン重合用の種々の金属錯体に関して、以下の参考文献中で以前に教示されている:EP-A-277,003、米国特許第5,153,157号、同第5,064,802号、同第5,321,106号、同第5,721,185号、同第5,350,723号、同第5,425,872号、同第5,625,087号、同第5,883,204号、同第5,919,983号、同第5,783,512号、WO99/15534、およびWO99/42467。
【0213】
中性ルイス酸の組み合せ、特に各アルキル基中に1~4個の炭素を有するトリアルキルアルミニウム化合物および各ヒドロカルビル基中に1~20個の炭素を有するハロゲン化トリ(ヒドロカルビル)ホウ素化合物、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランの組み合せ、そのような中性ルイス酸混合物とポリマーまたはオリゴマーアルモキサンとのさらなる組み合わせ、および単一の中性ルイス酸、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとポリマーまたはオリゴマーアルモキサンとの組み合わせを、活性化助触媒として使用することができる。金属錯体:トリス(ペンタフルオロフェニル-ボラン:アルモキサン)の例示的なモル比は、1:1:1~1:5:20、例えば1:1:1.5~1:5:10である。
【0214】
本開示の一実施形態において助触媒として有用な好適なイオン形成化合物は、プロトンを供与することができるブレンステッド酸であるカチオン、および相溶性の非配位アニオンA-を含む。本明細書で使用される場合、「非配位性」という用語は、第4族金属含有前駆体錯体およびそれに由来する触媒誘導体に配位しないか、またはそのような錯体に弱く配位するだけで、それによって、中性ルイス塩基によって置き換えられるには十分に不安定なままである、アニオンまたは物質を指す。非配位アニオンは、カチオン性金属錯体中で電荷均衡アニオンとして機能するときに、アニオン性置換基またはそのフラグメントを該カチオンに移動させず、それによって中性錯体を形成しないアニオンを具体的に指す。「相溶性アニオン」とは、最初に形成された錯体が分解したときに中性まで分解せず、所望のその後の重合または錯体の他の用途を妨げないアニオンである。
【0215】
好適なアニオンは、2つの成分が組み合わされるときに形成され得る活性触媒種(金属カチオン)の電荷を均衡させることができる電荷保有金属または半金属コアを含む単一配位錯体を含有するものである。また、該アニオンは、オレフィン系、ジオレフィン系およびアセチレン系不飽和化合物、または他の中性ルイス塩基、例えばエーテルまたはニトリルによって置換されるのに十分に不安定であるべきである。好適な金属としては、アルミニウム、金、および白金が挙げられるが、これらに限定されることはない。好適な半金属としては、ホウ素、リン、およびケイ素が挙げられるが、これらに限定されることはない。単一の金属原子または半金属原子を含む配位錯体を含むアニオンを含有する化合物は、当然のことながらよく知られており、多くの、特にアニオン部分に単一のホウ素原子を含有するそのような化合物が市販されている。
【0216】
一態様では、好適な助触媒は、以下の一般式:
(L*-H)g+(A)g-で表すことができ、式中、
L*は、中性ルイス塩基であり、
(L*-H)+は、L*の共役ブレンステッド酸であり、
Ag-は、g-の電荷を有する非配位性の相溶性アニオンであり、gは、1~3の整数である。
【0217】
より詳細には、Ag-は、式:[M’Q4]-に対応し、式中、
M’は、+3の形式酸化状態のホウ素またはアルミニウムであり、
Qは、出現するごとに、独立して、水素化物、ジアルキルアミド、ハロゲン化物、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシド、ハロ置換ヒドロカルビル、ハロ置換ヒドロカルビルオキシ、およびハロ置換シリルヒドロカルビルラジカル(過ハロゲン化ヒドロカルビル-過ハロゲン化ヒドロカルビルオキシ-および過ハロゲン化シリルヒドロカルビルラジカルを含む)から選ばれ、各Qは、1回以下の出現においてQがハロゲン化物であるという条件で、20個までの炭素を有する。好適なヒドロカルビルオキシドQ基の例は、米国特許第5,296,433号に開示されている。
【0218】
例示的な実施形態では、gは1であり、すなわち、対イオンは、単一の負電荷を有し、A-である。本開示の触媒の調製において特に有用であるホウ素を含む活性化助触媒は、以下の一般式:
(L*-H)+(BQ4)-で表すことができ、式中、
L*は、先に定義した通りであり、
Bは、3の形式酸化状態のホウ素であり、
Qは、20個までの非水素原子のヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基、フッ素化ヒドロカルビル基、フッ素化ヒドロカルビルオキシ基、またはフッ素化シリルヒドロカルビル基であり、ただし、1回以下の出現において、Qはヒドロカルビルである。
【0219】
特に有用なルイス塩基塩は、アンモニウム塩であり、より好ましくは、1つ以上のC12~40アルキル基を含有するトリアルキルアンモニウム塩である。この態様では、例えば、Qは、出現するごとに、フッ素化アリール基、特にペンタフルオロフェニル基であり得る。
【0220】
本開示の改良された触媒の調製において活性化助触媒として使用され得るホウ素化合物の例示的であるが限定されない例としては、三置換アンモニウム塩、例えば、
トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリ(sec-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N、N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N、N-ジメチルアニリニウムn-ブチルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N、N-ジメチルアニリニウムベンジルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N、N-ジメチルアニリニウムテトラキス(4-(t-ブチルジメチルシリル)-2,3,5,6テトラフルオロフェニル)ボレート、
N、N-ジメチルアニリニウムテトラキス(4-(トリイソプロピルシリル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、
N、N-ジメチルアニリニウムペンタフルオロフェノキシトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N、N-ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N、N-ジメチル-2,4,6-トリメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジメチルオクタデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
メチルジオクタデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
多くのジアルキルアンモニウム塩、例えば、
ジ-(i-プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
メチルオクタデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
メチルオクタドデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、および
ジオクタデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
様々な三置換ホスホニウム塩、例えば、
トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
メチルジオクタデシルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、および
トリ(2,6-ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
二置換オキソニウム塩、例えば、
ジフェニルオキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジ(o-トリル)オキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジ(オクタデシル)オキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ならびに
二置換スルホニウム塩、例えば、
ジ(o-トリル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、および
メチルコタデシルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
【0221】
本開示のこの態様に加えて、有用な(L*-H)+カチオンの例としては、メチルジオクタデシルアンモニウムカチオン、ジメチルオクタデシルアンモニウムカチオン、および1個または2個のC14~18アルキル基を含有するトリアルキルアミンの混合物に由来するアンモニウムカチオンが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0222】
別の好適なイオン形成性活性化助触媒は、カチオン性酸化剤と、以下の式:
(Oxh+)g(Ag-)hで表される非配位性の相溶性アニオンとの塩を含み、式中、
Oxh+は、h+の電荷を有するカチオン性酸化剤であり、
hは、1~3の整数であり、
Ag-およびgは、先に定義した通りである。
【0223】
カチオン性酸化剤の例としては、フェロセニウム、ヒドロカルビル置換フェロセニウム、Ag+、またはPb+2が挙げられる。Ag-の特に有用な例は、ブレンステッド酸含有活性化助触媒に関して先に定義したアニオン、特にテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0224】
他の好適なイオン形成性活性化助触媒は、カルベニウムイオンと、以下の式:
[C]+A-で表される非配位性の相溶性アニオンとの塩である化合物であり得て、
式中、
[C]+は、C1~20カルベニウムイオンであり、
-1の電荷を有する非配位性の相溶性アニオンである。例えば、良好に機能する1つのカルベニウムイオンは、トリチルカチオン、すなわちトリフェニルメチリウムである。
【0225】
さらなる好適なイオン形成性活性化助触媒は、シリリウムイオンと、以下の式:
(Q1
3Si)+A-で表される非配位性の相溶性アニオンとの塩である化合物を含み、
式中、
Q1は、C1~10ヒドロカルビルであり、A-は、先に定義した通りである。
【0226】
好適なシリリウム塩活性化助触媒としては、トリメチルシリルテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、トリエチルシリリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、およびそれらのエーテル置換付加物が挙げられる。シリリウム塩は、以前に、一般的に、J.Chem.Soc.Chem.Comm.1993,383-384およびLambert,J.B.,et al.,Organometallics 1994,13,2430-2443で開示されている。付加重合触媒用の活性化助触媒としての上記のシリリウム塩の使用は、米国特許第5,625,087号にも記載されている。
【0227】
アルコール、メルカプタン、シラノール、およびオキシムと、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとの特定の錯体も有効な触媒活性剤であり、本開示に従って使用することができる。そのような助触媒は、米国特許第5,296,433号に開示されている。
【0228】
本明細書での使用に適した活性化助触媒はまた、ポリマーまたはオリゴマーアルモキサン(アルミノキサンとも呼ばれる)、特にメチルアルモキサン(MAO)、トリイソブチルアルミニウム変性メチルアルモキサン(MMAO)、またはイソブチルアルモキサン;ルイス酸変性アルモキサン、特に、各ヒドロカルビルまたはハロゲン化ヒドロカルビル基中に1~10個の炭素を有する、過ハロゲン化トリ(ヒドロカルビル)アルミニウム-または過ハロゲン化トリ(ヒドロカルビル)ホウ素変性アルモキサン、最も詳細にはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン変性アルモキサンも含む。そのような助触媒は、以前に、米国特許第6,214,760号、同第6,160,146号、同第6,140,521号、および同第6,696,379号で開示されている。
【0229】
米国特許第6,395,671号にさらに開示されている、一般に膨張アニオンと呼ばれる非配位性アニオンを含む助触媒のクラスは、オレフィン重合のために本開示の金属錯体を活性化するために好適に使用され得る。一般に、これらの助触媒(イミダゾリド、置換イミダゾリド、イミダゾリニド、置換イミダゾリニド、ベンズイミダゾリド、または置換ベンズイミダゾリドアニオンを有するものによって例示される)は、以下のように表すことができる:
【化52】
式中、
A
*+は、カチオン、特にプロトン含有カチオンであり、また1個または2個のC
10~40アルキル基を含有するトリヒドロカルビルアンモニウムカチオン、特にメチルジ(C
14~20アルキル)アンモニウムカチオンであり得て、
Q
3は、出現するごとに、独立して、水素、または水素を算入せずに30個までの原子のハロ、ヒドロカルビル、ハロカルビル、ハロヒドロカルビル、シリルヒドロカルビル、またはシリル(例えば、モノ-、ジ-およびトリ(ヒドロカルビル)シリル)基、例えば、C
1~20アルキルであり、
Q
2は、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、またはトリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)である。
【0230】
これらの触媒活性剤の例としては、トリヒドロカルビルアンモニウム塩、特に、以下のもののメチルジ(C14~20アルキル)アンモニウム塩が挙げられる:
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-2-ウンデシルイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-2-ヘプタデシルイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-4,5-ビス(ウンデシル)イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-4,5-ビス(ヘプタデシル)イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-2-ウンデシルイミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-2-ヘプタデシルイミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-4,5-ビス(ウンデシル)イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-4,5-ビス(ヘプタデシル)イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-5,6-ジメチルベンズイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-5,6-ビス(ウンデシル)ベンズイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-2-ウンデシルイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-2-ヘプタデシルイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-4,5-ビス(ウンデシル)イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-4,5-ビス(ヘプタデシル)イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-2-ウンデシルイミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-2-ヘプタデシルイミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-4,5-ビス(ウンデシル)イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-4,5-ビス(ヘプタデシル)イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-5,6-ジメチルベンズイミダゾリド、および
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-5,6-ビス(ウンデシル)ベンズイミダゾリド。
【0231】
他の活性剤としては、トリス(2,2’,2’’-ノナフルオロビフェニル)フルオロアルミネートなどのPCT公開WO98/07515に記載されているものが挙げられる。活性剤の組み合わせ、例えば、アルモキサンとイオン化活性剤との組み合わせもまた本開示によって企図されており、例えば、EP-A-0573120、PCT公開WO94/07928およびWO95/14044、ならびに米国特許第5,153,157号および同第5,453,410号を参照されたい。例えば、かつ一般論として、WO98/09996には、過塩素酸塩、過ヨウ素酸塩、およびヨウ素酸塩(それらの水和物を含む)を用いて触媒化合物を活性化することが記載されている。WO99/18135には、有機ホウ素アルミニウム活性剤の使用が記載されている。WO03/10171には、ブレンステッド酸とルイス酸との付加物である触媒活性剤が開示されている。触媒化合物を活性化するための他の活性剤または方法は、例えば、米国特許第5,849,852号、同第5,859,653号、および同第5,869,723号に、EP-A-615981に、ならびにPCT公開WO98/32775に記載されている。本開示によると、前述の触媒活性剤のすべてならびに遷移金属錯体触媒用の他の任意の既知の活性剤を、単独でまたは組み合わせて使用することができる。しかしながら、一態様では、助触媒は、アルモキサンを含んでいなくてもよい。別の態様では、例えば、助触媒は、本明細書に開示されているように、いかなる具体的に命名された活性剤または活性剤のクラスも含まない場合があり得る。
【0232】
さらなる態様では、使用されるプロ触媒/助触媒のモル比は、一般に、1:10,000~100:1、例えば、1:5000~10:1または1:1000~1:1の範囲にある。アルモキサンは、活性化助触媒としてそれ自体で使用される場合、大量に、一般にモル基準で金属錯体の量の少なくとも100倍の量で使用することができる。
【0233】
活性化助触媒として使用される場合、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランは、一般に0.5:1~10:1、例えば1:1~6:1および1:1~5:1の金属錯体に対するモル比で使用することができる。残りの活性化助触媒は、一般に金属錯体とほぼ等モル量で使用される。
【0234】
本開示の例示的な実施形態では、共触媒は、[(C16-18H33-37)-2CH3NH]テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート塩である。
【0235】
好適な助触媒としては、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第62650423号、同第62650412号、および同第62650453号に開示されているものも挙げられる。そのような助触媒としては、アニオンと対カチオンとを含むイオン複合体のものが挙げられ、アニオンは、以下の構造を有し、
【化53】
式中、Mは、アルミニウム、ホウ素、またはガリウムであり、nは、2、3、または4であり、各Rは、独立して、基(II)および基(III)からなる群から選択され、
【化54】
各Yは、独立して、炭素またはケイ素であり、各R
11、R
12、R
13、R
21、R
22、R
23、R
24、およびR
25は、独立して、(C
1~C
40)アルキル、(C
6~C
40)アリール、-OR
C、-O-、-SR
C、-H、または-Fから選択され、式中、Rが基(III)による基である場合、R
21~25のうちの少なくとも1つは、ハロゲン置換(C
1~C
40)アルキル、ハロゲン置換(C
6~C
40)アリール、または-Fであり、ただし、各Rが基(II)であり、かつYが炭素である場合、R
11~13のうちの少なくとも1つは、ハロゲン置換(C
1~C
40)アルキル、ハロゲン置換(C
6~C
40)アリール、または-Fであり;あるいはMがアルミニウムであり、かつnが4であり、かつ各Rが基(II)であり、かつ各Yが炭素である場合、各Rの各R
11、R
12、およびR
13は、ハロゲン置換(C
1~C
40)アルキル、ハロゲン置換(C
6~C
40)アリール、または-Fであり;あるいは各RのR
11、R
12、およびR
13におけるハロゲン原子の総数は、少なくとも6であり、各Xは、独立して、ハロゲン置換(C
1~C
20)アルキル、(C
1~C
20)アルキル、ハロゲン置換(C
6~C
40)アリール、(C
6~C
40)アリール、トリフレート、または-S(O)
3から選択される単座配位子であり、任意選択的に、2つの基Rが共有結合されており、各R
NおよびR
Cは、独立して、(C
1~C
30)ヒドロカルビルまたは-Hである。
【0236】
そのような助触媒としては、アニオンと対カチオンとを含む二元金属活性剤複合体がさらに挙げられ、アニオンは、以下の構造を有し、
【化55】
式中、各Mは、独立して、アルミニウム、ホウ素、またはガリウムであり、Lは、少なくとも2つのルイス塩基性サイトを有する種から選択され、各Qは、独立して、単座配位子であり、nは、0、1、または2であり、式中、nが0の場合、Qは存在せず、xは、0、1、または2であり、式中、xが0の場合、Qは存在せず、各Rは、独立して、基(II)および基(III)からなる群から選択され、
【化56】
各Yは、独立して、炭素またはケイ素であり、各R
11、R
12、R
13、R
21、R
22、R
23、R
24、およびR
25は、独立して、(C
1~C
40)アルキル、(C
6~C
40)アリール、-H、-NR
N
2、-OR
C、-SR
C、またはハロゲンから選択され、式中、Rが基(II)である場合、R
11~13のうちの少なくとも1つは、過ハロゲン化(C
1~C
40)アルキル、過ハロゲン化(C
6~C
40)アリール、または-Fであり、かつ式中、Rが基(III)である場合、R
21~25のうちの少なくとも1つは、過ハロゲン化(C
1~C
40)アルキル、過ハロゲン化(C
6~C
40)アリール、または-Fであり、任意選択的に、nが0または1である場合、2つのR基は、共有結合しており、各R
NまたはR
Cは、独立して、(C
1~C
30)ヒドロカルビルまたは-Hである。
【0237】
そのような助触媒としては、アニオンと対カチオンとを含む金属活性剤がさらに挙げられ、アニオンは、以下の構造を有し、
【化57】
式中、nは、0または1であり、各Rは、独立して、基(II)および基(III)からなる群から選択され、
【化58】
各Yは、独立して、炭素またはケイ素であり、各R
11、R
12、R
13、R
21、R
22、R
23、R
24、およびR
25は、独立して(C
1~C
40)アルキル、ハロゲン置換(C
1~C
40)アルキル、(C
6~C
40)アリール、ハロゲン置換(C
6~C
40)アリール、-OR
C、-SR
C、-H、-F、またはClから選択され、R
11~13のうちの少なくとも1つおよびR
21~25のうちの1つは、ハロゲン置換(C
1~C
40)アルキル、ハロゲン置換(C
6~C
40)アリール、または-Fであり、各Xは、独立してハロゲン置換(C
1~C
20)アルキルまたはハロゲン置換(C
6~C
40)アリールから選択される単座配位子であり、任意選択的に、2つのX基は、共有結合されており、各R
Cは、独立して、ハロゲン置換(C
1~C
30)ヒドロカルビルであり、ただし、対カチオンが(Ph)
3C
+であり、アニオンがAl(C
6F
5)
4である場合である。
【0238】
用途および最終的な使用
本開示のテレケリックポリオレフィンは、ブロー成形、射出成形、または回転成形された物品、押出品、繊維、および織布または不織布のような、鋳造、ブロー、カレンダー加工、または押出プロセスによって調製される物体を含む、有用な物品を製造するための様々な従来の製造プロセスで使用され得る。本開示のテレケリックポリエステルを含む組成物は、他の天然または合成ポリマー、油、UV安定剤、顔料、粘着付与剤、充填剤(タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、炭素繊維など)、添加剤、炭酸カルシウムまたは炭酸マグネシウムのような強化剤、脂肪酸およびその塩、耐発火性添加剤、スコーチ抑制剤、酸化防止剤、安定剤、着色剤、増量剤、カーボンブラック、架橋剤、発泡剤、酸化亜鉛またはステアリン酸亜鉛、シリカ、ケイ酸アルミニウムのような活性剤、ジカルボン酸のジアルキルエステルのような可塑剤、劣化防止剤、軟化剤、ワックス、(ポリ)アルコール、(ポリ)アルコールエーテル、ポリエステル、金属塩、捕捉剤、核形成剤、安定性制御剤、難燃剤、潤滑剤、加工助剤、押出助剤、および化学保護剤をさらに含み得るが、これらに限定されることはない。
【0239】
特に有用なのは、式(I)のテレケリックポリオレフィンを含む硬化性配合物である。いくつかの実施形態では、式(I)のテレケリックポリオレフィンを含む硬化性配合物は、架橋剤を必要とせずに、Eビーム(電子ビーム)によって硬化され得る。さらなる実施形態では、硬化性配合物は、架橋剤をさらに含み、また、助剤、硬化添加剤、スコーチ抑制剤、および/または促進剤を含み得る。架橋剤をさらに含む硬化性配合物は、Eビームによる硬化によってレオロジーが改変され得る。
【0240】
好適な架橋剤の非限定的な例としては、過酸化物;フェノール;アジド;アルデヒド-アミン反応生成物;置換尿素;置換グアニジン;置換キサンテート;置換ジチオカルバメート;チアゾール、スルフェンアミド、チウラミジスルフィド、パラキノンジオキシム、ジベンゾパラキノンジオキシム、硫黄のような硫黄含有化合物;イミダゾール;シラン;酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉛のような金属酸化物;p-キノン-ジオキシムおよびp,p’-ジベンゾイルキノン-ジオキシムのようなジニトロソ化合物;ヒドロキシメチルまたはハロメチル官能基を含むフェノール-ホルムアルデヒド樹脂、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。これらの架橋剤のいずれかの適合性は、配合技術の当業者によく知られているように、ポリマーの選択によって大きく支配されるであろう。
【0241】
架橋剤としては、アルキルペルオキシド、アリールペルオキシド、ペルオキシエステル、ペルオキシカーボネート、ジアシルペルオキシド、ペルオキシケタール、環式過酸化物、ジアルキルペルオキシド、ペルオキシエステル、ペルオキシジカーボネート、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含むがこれらに限定されることはない1つ以上の有機過酸化物が挙げられ得る。過酸化物の例としては、ジ-tert-ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ(3,3,5-トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、t-ブチルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシネオデカノエート、ジ(sec-ブチル)ペルオキシジカーボネート、t-アミルペルオキシネオデカノエート、1,1-ジ-t-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシル)ヘキサン、1,3-ビス(tert-ブチル-ペルオキシル-イソプロピル)ベンゼン、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されることはない。例示的な架橋剤は、Arkemaから商品名LUPEROX(登録商標)またはAkzo Nobelから商品名TRIGONOX(登録商標)で市販されているジクミルペルオキシドである。さらなる例示的な架橋剤は、Vanderbilt ChemicalsのVAROX(登録商標)DBPH-50である。架橋剤が過酸化物である場合、ステアリン酸およびZnOのような特定の加工助剤および硬化活性剤も使用され得る。
【0242】
過酸化物系硬化剤が使用される場合、共活性剤または助剤がそれらと組み合わされて使用され得る。好適な助剤としては、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、トリアリルシアヌレート(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、および1,4-フェニレンジマレイミド(TCI Chemicalsから入手可能)が挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0243】
好適な助剤としては、参照によってその全体が本明細書に組み込まれるWO2019/000311およびWO2019/000654に開示されているアルケニル官能性単環式オルガノシロキサンがさらに挙げられるが、これに限定されることはない。例えば、助剤は、式[R1,R2SiO2/2]nの単環式オルガノシロキサンであって、式中、下付き文字nが、3以上の整数であり、各R1が、独立して、(C2~C4)アルケニルまたはH2C=C(R1a)-C(=O)-O-(CH2)m-であり、式中、R1aが、Hまたはメチルであり、下付き文字mが、1~4の整数であり、各R2が、独立して、H、(C1~C4)アルキル、フェニル、またはR1である、単環式オルガノシロキサンであり得る。そのような単環式オルガノシロキサンの例としては、2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニルシクロトリシロキサン、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0244】
スコーチ抑制剤/遅延剤は、早期硬化を阻害する分子またはそのような分子の集合体である。スコーチ抑制剤/遅延剤の例は、ヒンダードフェノール、セミヒンダードフェノール、TEMPO、TEMPO誘導体、1,1-ジフェニルエチレン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン(α-メチルスチレンダイマーまたはAMSDとも呼ばれる)、およびUS6277925B1の第2欄第62行~第3欄第46行に記載されているアリル含有化合物である。
【0245】
好適な架橋剤としては、元素硫黄のような硫黄系のものが挙げられる。硫黄系硬化剤が使用される場合、アミン、ジスルフィド、グアニジン、チオ尿素、チアゾール、チウラム、スルフェンアミド、ジチオカルバメート、キサンテート、4,4’-ジチオジモルホリン、チウラムジ-およびポリスルフィド、アルキルフェノールジスルフィドおよび2-モルホリノ-ジチオベンゾチアゾール、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)、2-メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、2-メルカプトベンゾチアゾレートジスルフィド(MBTS)、亜鉛-2-メルカプトベンゾチアゾレート(ZMBT)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛亜鉛(ZDEC)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDBC)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)、N-t-ブチルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド(TBBS)、ならびにそれらの混合物のような促進剤および硬化活性剤も同様に使用され得る。
【0246】
さらなる架橋剤としては、フェノール樹脂、アジド、アルデヒド-アミン反応生成物、ビニルシラン、ヒドロシリル化剤、置換尿素、置換グアニジン、置換キサンテート、置換ジチオカルバメート、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されることはない。架橋剤は、任意選択的な助剤と一緒になったフェノール系硬化剤もしくは過酸化物硬化剤、またはヒドロシリル化触媒と一緒になったヒドロシリル化架橋剤、または任意選択的な助剤アルミナ三水和物(「ATH」)と一緒になったジブチルスズジラウレート(「DBTDL」)であり得る。人気のある工業用触媒は、「Speierの触媒」、H2PtCl6、およびアルケンで安定化された白金(0)触媒であるKarstedtの触媒である。
【0247】
架橋剤が使用される場合、架橋は、硬化性配合物中の架橋剤を活性化することによって誘発され得る。架橋剤は、その分解温度より上の温度にこれを曝すことによって活性化され得る。温度は、50℃~300℃、例えば80℃~275℃の範囲にある。時間は、選択されたポリマーおよび硬化成分に応じて、当業者によって決定され得る。
【0248】
あるいは、架橋剤は、架橋剤からフリーラジカルの生成を引き起こす放射線にこれを曝すことによって活性化され得る。好適な放射線の非限定的な例としては、UV放射線もしくは可視放射線、電子ビーム、またはベータ線、ガンマ線、X線もしくは中性子線が挙げられる。放射線は、ポリマー中にラジカルを生成することによって架橋を活性化させると考えられ、これは、引き続き結合し、架橋し得る。放射線量は、多くの要因に依存し、当業者によって決定され得る。架橋剤が、ジベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、過酸化水素、ペルオキシジスルフェート、および2,2-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンのような過酸化物光開始剤である場合、UV放射線または可視放射線の活性化が行われ得る。
【0249】
いくつかの実施形態では、熱、湿気硬化、および放射線から選択される組み合わせのような、少なくとも2つの活性化方法を含む二重硬化系が効果的に使用され得る。例えば、過酸化物架橋剤をシラン架橋剤と併用すること、過酸化物架橋剤を放射線と併用すること、硫黄含有架橋剤をシラン架橋剤と併用することなどが望ましい場合がある。当業者であれば、所望の架橋レベル、ポリマーの特性、例えば、分子量、分子量分布、コモノマー含有量、架橋促進助剤、他の添加剤などの存在に基づいて、架橋剤の量を容易に選択することができるであろう。
【0250】
テレケリックポリオレフィン含有組成物が少なくとも部分的に架橋されている場合、架橋度は、組成物を特定の期間にわたって溶媒に溶解させ、ゲルまたは抽出不可能な成分のパーセントを計算することによって測定することができる。ゲルのパーセントは、通常、架橋レベルの増加と共に増加する。本発明による硬化された物品の場合、パーセントでのゲル含有量は、望ましくは、0~100パーセント、または5~100パーセント、または10~95パーセント、または20~90パーセント、または30~85パーセント、または40~80パーセントの範囲にある。
【0251】
繊維は、本テレケリックポリオレフィンから調製され得る。調製され得る繊維としては、ステープル繊維、粗麻、多成分系、シース/コア、撚合、およびモノフィラメントが挙げられる。好適な繊維形成プロセスは、米国特許第4,430,563号、同第4,663,220号、同第4,668,566号、および同第4,322,027号に開示されているスピンボンドメルトブロー技術、米国特許第4,413,110号に開示されているゲル紡糸繊維、米国特許第3,485,706号に開示されている織布および不織布、またはポリエステル、ナイロン、もしくは綿のような他の繊維とのブレンド、熱成形された物品、異形押出もしくは共押出を含む押出された形状、カレンダー加工された物品、ならびに延伸、撚合、もしくは捲縮糸もしくは繊維を含むそのような繊維から作製された構造を含む。本明細書に記載されている新たなポリマーは、ワイヤーおよびケーブルのコーティング作業に、ならびに真空形成作業のためのシート押出において、および射出成形、ブロー成形プロセス、または回転成形プロセスの使用を含む成形品の形成においても有用である。テレケリックポリオレフィンを含む組成物はまた、ポリオレフィン加工の当業者によく知られている従来のポリオレフィン加工技術を使用して、前述のもののような加工品に形成することもできる。
【0252】
本テレケリックポリオレフィンまたはこれを含む配合物を使用して、分散液(水性および非水性の両方)を形成することもできる。
【0253】
本テレケリックポリオレフィンを含む任意の配合物には、添加剤およびアジュバントが含まれ得る。好適な添加剤としては、充填剤、例えば、粘土、タルク、二酸化チタン、ゼオライト、粉末状金属を含む有機または無機粒子、炭素繊維、窒化ケイ素繊維、鋼線もしくはメッシュ、およびナイロンもしくはポリエステルコードを含む有機または無機繊維、ナノサイズの粒子、粘土など;粘着付与剤、パラフィン油またはナフテン油を含む油エクステンダー;ならびに本発明による他のポリマーを含む他の天然および合成ポリマーが挙げられる。
【0254】
本開示のテレケリックポリオレフィンとのブレンドに好適なポリマーとしては、天然および合成ポリマーを含む熱可塑性および非熱可塑性ポリマーが挙げられる。そのようなポリマーとしては、不飽和ポリオレフィン熱可塑性樹脂(EPDM、ポリブタジエンなど)、不飽和度が低いまたはないポリオレフィン熱可塑性樹脂(PE、PP、エチレン/α-オレフィンインターポリマー)、他のエラストマー(SBC、PVC、EVA、イオノマーなど)、および他のエンジニアリング熱可塑性樹脂(スチレン、ポリアミド、ポリエステルなど)が挙げられる。ブレンド用の例示的なポリマーとしては、ポリプロピレン(衝撃改質ポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、およびランダムエチレン/プロピレンコポリマーの両方)、様々な種類のポリエチレン(高圧フリーラジカルLDPE、チーグラー・ナッタLLDPE、複数反応器PE(米国特許第6,545,088号、同第6,538,070号、同第6,566,446号、同第5,844,045号、同第5,869,575号、および同第6,448,341号に開示されている生成物のようなチーグラー・ナッタPEとメタロセンPEとの「反応器内」ブレンド)を含むメタロセンPEを含む)、エチレン-酢酸ビニル(EVA)、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、ポリスチレン、耐衝撃性改質ポリスチレン、ABS、スチレン/ブタジエンブロックコポリマーおよびそれらの水素化誘導体(SBSおよびSEBS)、エチレン系オレフィンブロックコポリマー(例えば、the Dow Chemical Companyから入手可能なINFUSE(商標)の商品名で入手可能なもの)、プロピレン系オレフィンブロックコポリマー(例えば、the Dow Chemical Companyから入手可能な商品名INTUNE(商標)という商品名で入手可能なもの)、および熱可塑性ポリウレタンが挙げられる。オレフィンプラストマーのような均質なポリマー、ならびにエチレン/α-オレフィンコポリマーおよび不飽和度が低いまたはないプロピレン系コポリマーのようなエラストマー(例えば、The Dow Chemical Companyから入手可能なVERSIFY(商標)、The Dow Chemical Companyから入手可能なENGAGE(商標)、Mitsui ChemicalsのTAFMER(商標)、ExxonMobilのExact(商標)、およびExxonMobilのVISTAMAXX(商標)の商品名で入手可能なポリマー)も、本ポリマーを含むブレンドの成分として有用であり得る。
【0255】
好適な最終的な使用としては、フィルム用の架橋性または非架橋性の配合物;繊維;歯ブラシの取っ手および電気製品の取っ手のような柔らかい手触りの物品;ガスケットおよびプロファイル;接着剤(機能性接着剤、架橋接着剤、ホットメルト接着剤);履物(靴底および靴ライナーを含む);自動車内装部品およびプロファイル;発泡体物品(連続気泡および独立気泡の両方);高密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、または他のオレフィンポリマーのような他の熱可塑性ポリマー用の耐衝撃性改良剤;コーティングされた生地;ホース;管材;ウェザーストリッピング;キャップライナー;床材;建設または建築部品;木工;コーティング(粉体塗装、飲料および食品ライナー用の水性コーティング、工業金属コーティング用の溶剤系コーティング);防水;太陽光発電用途;ワイヤーおよびケーブル用途;熱可塑性加硫物(TPV)用途;EPDM熱硬化性樹脂;シール、ベルト、コンベヤーベルト、自動車用タイミングベルトなど、ガスケット、ダンパー;タイヤコンパウンド;高度に充填されたコンパウンド、サイドウォールおよびトレッドコンパウンド;熱硬化性ゴム用助剤;架橋管材;液体(低粘度)反応射出成形;射出成形スキン;3Dプリント;ならびに配管が挙げられる。
【0256】
組成物はまた、通常の技量のゴム化学者に知られているオゾン防止剤または酸化防止剤も含み得る。オゾン防止剤は、表面に出て部品を酸素またはオゾンから保護するワックス状材料のような物理的保護剤である場合もあれば、酸素またはオゾンと反応する化学的保護剤である場合もある。好適な化学的保護剤としては、スチレン化フェノール、ブチル化オクチル化フェノール、ブチル化ジ(ジメチルベンジル)フェノール、p-フェニレンジアミン、p-クレゾールとジシクロペンタジエン(DCPD)とのブチル化反応生成物、ポリフェノール系酸化防止剤、ヒドロキノン誘導体、キノリン、ジフェニレン酸化防止剤、チオエステル酸化防止剤、およびそれらのブレンドが挙げられる。そのような製品のいくつかの代表的な商品名としては、Wingstay(商標)S酸化防止剤、Polystay(商標)100酸化防止剤、Polystay(商標)100AZ酸化防止剤、Polystay(商標)200酸化防止剤、Wingstay(商標)L酸化防止剤、Wingstay(商標)LHLS酸化防止剤、Wingstay(商標)K酸化防止剤、Wingstay(商標)29酸化防止剤、Wingstay(商標)SN-1酸化防止剤、およびIrganox(商標)酸化防止剤が挙げられる。いくつかの用途では、使用される酸化防止剤およびオゾン防止剤は、好ましくは、非汚染性かつ非遊走性であろう。
【0257】
UV放射線に対してさらなる安定性をもたらすために、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)およびUV吸収剤も使用され得る。好適な例としては、Ciba Specialty Chemicalsから入手可能なTinuvin(商標)123、Tinuvin(商標)144、Tinuvin(商標)622、Tinuvin(商標)765、Tinuvin(商標)770、およびTinuvin(商標)780、ならびに米国テキサス州ヒューストンのCytex Plasticsから入手可能なChemisorb(商標)T944が挙げられる。米国特許第6,051,681号に開示されているように、優れた表面品質を達成するために、ルイス酸がHALS化合物と一緒に含まれ得る。
【0258】
いくつかの組成物については、さらなる混合プロセスを使用して、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、カーボンブラック、UV吸収剤、および/または光安定剤を予備分散させてマスターバッチを形成し、続いて、これからポリマーブレンドを形成することができる。
【0259】
本発明による組成物はまた、有機もしくは無機充填剤、または他の添加剤、例えば、デンプン、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ポリマー繊維(ナイロン、レーヨン、綿、ポリエステル、およびポリアラミドを含む)、金属繊維、フレークもしくは粒子、粘土、雲母、シリカ、アルミナ、アルミノケイ酸塩もしくはアルミノリン酸塩のような膨張性層状ケイ酸塩、リン酸塩もしくは炭酸塩、カーボンウィスカー、炭素繊維、ナノチューブを含むナノ粒子、ウォラストナイト、グラファイト、ゼオライト、および炭化ケイ素、窒化ケイ素またはチタニアのようなセラミックを含み得る。より良好な充填剤結合のために、シラン系または他のカップリング剤も使用され得る。
【0260】
好適な発泡剤としては、無機発泡剤、有機発泡剤、化学発泡剤、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されることはない。好適な無機発泡剤の非限定的な例としては、二酸化炭素、窒素、アルゴン、水、空気、窒素、およびヘリウムが挙げられる。好適な有機発泡剤の非限定的な例としては、1~6個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素、1~3個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、ならびに1~4個の炭素原子を有する完全および部分ハロゲン化脂肪族炭化水素が挙げられる。好適な脂肪族炭化水素の非限定的な例としては、メタン、エタン、プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタンなどが挙げられる。好適な脂肪族アルコールの非限定的な例としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、およびイソプロパノールが挙げられる。好適な完全および部分ハロゲン化脂肪族炭化水素の非限定的な例としては、フルオロカーボン、クロロカーボン、およびクロロフルオロカーボンが挙げられる。好適なフルオロカーボンの非限定的な例としては、フッ化メチル、ペルフルオロメタン、フッ化エチル、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、ペンタフルオロエタン、ジフルオロメタン、ペルフルオロエタン、2,2-ジフルオロプロパン、1,1,1-トリフルオロプロパン、ペルフルオロプロパン、ジクロロプロパン、ジフルオロプロパン、ペルフルオロブタン、ペルフルオロシクロブタンが挙げられる。好適な部分ハロゲン化クロロカーボンおよびクロロフルオロカーボンの非限定的な例としては、塩化メチル、塩化メチレン、塩化エチル、1,1,1-トリクロロエタン、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン(HCFC-14Ib)、1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン(HCFC-142b)、1,1-ジクロロ-2,2,2-トリフルオロエタン(HCFC-123)、および1-クロロ-1,2,2,2-テトラフルオロエタン(HCFC-124)が挙げられる。好適な完全ハロゲン化クロロフルオロカーボンの非限定的な例としては、トリクロロモノフルオロメタン(CFC-11)、ジクロロジフルオロメタン(CFC-12)、トリクロロトリフルオロエタン(CFC-113)、1,1,1-トリフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン(CFC-114)、クロロヘプタフルオロプロパン、およびジクロロヘキサフルオロプロパンが挙げられる。好適な化学発泡剤の非限定的な例としては、アゾジカルボンアミド、アゾジイソブチロニトリル、ベンゼンスルホンヒドラジド、4,4-オキシベンゼンスルホニル-セミカルバジド、p-トルエンスルホニルセミカルバジド、バリウムアゾジカルボキシレート、N,N’-ジメチル-N,N’-ジニトロソテレフタルアミド、およびトリヒドラジノトリアジンが挙げられる。いくつかの実施形態では、発泡剤は、アゾジカルボンアミドイソブタン、CO2、またはそれらの混合物である。
【0261】
本開示のテレケリックポリオレフィンはまた、グラフト化(例えば、無水マレイン酸(MAH)、シラン、グリシジルメタクリレート、または他のグラフト化剤の使用による)、ハロゲン化、アミノ化、スルホン化、または他の化学修飾などによって化学的に修飾され得る。
【0262】
具体的な実施形態
以下は、本発明を例示し、かつ本願におけるいずれかのクレームについての詳細な開示を提供する、非限定的な実施形態である。特に明記しない限り、以下の実施形態における測定される特性または特性評価は、本明細書に開示されている試験方法に従う。
1.式(I)のテレケリックポリオレフィンを含む組成物であって、
A
1L
1L
2A
2 (I)、式中
L
1が、ポリオレフィンであり、
A
1が、ビニル基、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基、式Y
1CH=CH-のビニレン基、ビニル基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物、ビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基との混合物、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物、およびビニル基と、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と、式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物からなる群から選択され、
Y
1が、出現するごとに、独立して、C
1~C
30ヒドロカルビル基であり、
L
2が、C
1~C
32ヒドロカルビレン基であり、かつ
A
2が、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基である、組成物。
2.L
2が-CH
2CH(Y
2)-であり、式中、Y
2が水素またはC
1~C
30ヒドロカルビル基である、実施形態1に記載の組成物。
3.L
1が、エチレンに由来する単位を含むエチレンホモポリマーである、実施形態1または2に記載の組成物。
4.A
1がビニル基である、実施形態3に記載の組成物。
5.A
1が式Y
1CH=CH-のビニレン基であり、式中、Y
1がC
1~C
30アルキル基である、実施形態3に記載の組成物。
6.Y
1がメチル基である、実施形態5に記載の組成物。
7.A
1がビニル基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、式中、Y
1がC
1~C
30アルキル基である、実施形態3に記載の組成物。
8.Y
1がメチル基である、実施形態7に記載の組成物。
9.A
1が、0.99:0.1~0.1:0.99の、ビニル基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との比を含む、実施形態7または8に記載の組成物。
10.L
1が、プロピレンに由来する単位を含むプロピレンホモポリマーである、実施形態1または2に記載の組成物。
11.A
1が式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基であり、式中、Y
1がメチル基である、実施形態10に記載の組成物。
12.A
1が式Y
1CH=CH-のビニレン基であり、式中、Y
1がメチル基である、実施形態10に記載の組成物。
13.A
1が、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、式中、Y
1が、出現するごとに、独立して、メチル基である、実施形態10に記載の組成物。
14.A
1が、0.99:0.01~0.01:0.99の、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との比を含む、実施形態13に記載の組成物。
15.L
1が、エチレンとC
3~C
30α-オレフィンとに由来する単位を含むエチレン/α-オレフィンコポリマーである、実施形態1または2に記載の組成物。
16.C
3~C
30α-オレフィンが、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択される、実施形態15に記載の組成物。
17.C
3~C
30α-オレフィンがプロピレンであり、L
1がエチレン/プロピレンコポリマーである、実施形態16に記載の組成物。
18.A
1がビニル基である、実施形態17に記載の組成物。
19.A
1が式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基であり、式中、Y
1がメチル基である、実施形態17に記載の組成物。
20.A
1が式Y
1CH=CH-のビニレン基であり、式中、Y
1がメチル基である、実施形態17に記載の組成物。
21.A
1がビニル基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、式中、Y
1がメチル基である、実施形態17に記載の組成物。
22.A
1が、0.99:0.1~0.1:0.99の、ビニル基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との比を含む、実施形態21に記載の組成物。
23.A
1がビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基との混合物であり、式中、Y
1がメチル基である、実施形態17に記載の組成物。
24.A
1が、0.99:0.1~0.1:0.99の、ビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基との比を含む、実施形態23に記載の組成物。
25.A
1が、ビニル基と、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と、式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、式中、Y
1が、出現するごとに、独立して、メチル基である、実施形態17に記載の組成物。
26.A
1が、0.99:0.01~0.01:0.99の、ビニル基と、式Y
1CH=CH-のビニレン基、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基、およびビニル基の合計との比を含む、実施形態25に記載の組成物。
27.C
3~C
30α-オレフィンが1-ブテンであり、L
1がエチレン/1-ブテンコポリマーである、実施形態16に記載の組成物。
28.A
1がビニル基である、実施形態27に記載の組成物。
29.A
1が式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基であり、式中、Y
1がエチル基である、実施形態27に記載の組成物。
30.A
1が式Y
1CH=CH-のビニレン基であり、式中、Y
1がエチル基である、実施形態27に記載の組成物。
31.A
1がビニル基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、式中、Y
1がエチル基である、実施形態27に記載の組成物。
32.A
1が、0.99:0.1~0.1:0.99の、ビニル基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との比を含む、実施形態31に記載の組成物。
33.A
1がビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基との混合物であり、式中、Y
1がエチル基である、実施形態27に記載の組成物。
34.A
1が、0.99:0.1~0.1:0.99の、ビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基との比を含む、実施形態33に記載の組成物。
35.A
1が、ビニル基と、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と、式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、式中、Y
1が、出現するごとに、独立して、エチル基である、実施形態27に記載の組成物。
36.A
1が、0.99:0.01~0.01:0.99の、ビニル基と、式Y
1CH=CH-のビニレン基、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基、およびビニル基の合計との比を含む、実施形態35に記載の組成物。
37.C
3~C
30α-オレフィンが1-ヘキセンであり、L
1がエチレン/1-ヘキセンコポリマーである、実施形態16に記載の組成物。
38.A
1がビニル基である、実施形態37に記載の組成物。
39.A
1が式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基であり、式中、Y
1がブチル基である、実施形態37に記載の組成物。
40.A
1が式Y
1CH=CH-のビニレン基であり、式中、Y
1がブチル基である、実施形態37に記載の組成物。
41.A
1がビニル基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、式中、Y
1がブチル基である、実施形態37に記載の組成物。
42.A
1が、0.99:0.1~0.1:0.99の、ビニル基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との比を含む、実施形態41に記載の組成物。
43.A
1がビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基との混合物であり、式中、Y
1がブチル基である、実施形態37に記載の組成物。
44.A
1が、0.99:0.1~0.1:0.99の、ビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基との比を含む、実施形態43に記載の組成物。
45.A
1が、ビニル基と、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と、式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、式中、Y
1が、出現するごとに、独立して、ブチル基である、実施形態37に記載の組成物。
46.A
1が、0.99:0.01~0.01:0.99の、ビニル基と、式Y
1CH=CH-のビニレン基、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基、およびビニル基の合計との比を含む、実施形態45に記載の組成物。
47.C
3~C
30α-オレフィンが1-オクテンであり、L
1がエチレン/1-オクテンコポリマーである、実施形態16に記載の組成物。
48.A
1がビニル基である、実施形態47に記載の組成物。
49.A
1が式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基であり、式中、Y
1がC6アルキル基である、実施形態47に記載の組成物。
50.A
1が式Y
1CH=CH-のビニレン基であり、式中、Y
1がC6アルキル基である、実施形態47に記載の組成物。
51.A
1がビニル基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、式中、Y
1がC6アルキル基である、実施形態47に記載の組成物。
52.A
1が、0.99:0.1~0.1:0.99の、ビニル基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との比を含む、実施形態51に記載の組成物。
53.A
1がビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基との混合物であり、式中、Y
1がC6アルキル基である、実施形態47に記載の組成物。
54.A
1が、0.99:0.1~0.1:0.99の、ビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基との比を含む、実施形態53に記載の組成物。
55.A
1が、ビニル基と、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と、式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、式中、Y
1が、出現するごとに、独立して、C6アルキル基である、実施形態47に記載の組成物。
56.A
1が、0.99:0.01~0.01:0.99の、ビニル基と、式Y
1CH=CH-のビニレン基、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基、およびビニル基の合計との比を含む、実施形態55に記載の組成物。
57.L
1が、プロピレンとエチレンまたはC
4~C
30α-オレフィンのいずれかとに由来する単位を含むプロピレン/α-オレフィンコポリマーである、実施形態1または2に記載の組成物。
58.C
4~C
30α-オレフィンが、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択される、実施形態57に記載の組成物。
59.L
1がプロピレン/エチレンコポリマーである、実施形態57に記載の組成物。
60.A
1がビニル基である、実施形態59に記載の組成物。
61.A
1が式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基であり、式中、Y
1がメチル基である、実施形態59に記載の組成物。
62.A
1が式Y
1CH=CH-のビニレン基であり、式中、Y
1がメチル基である、実施形態59に記載の組成物。
63.A
1がビニル基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、式中、Y
1がメチル基である、実施形態59に記載の組成物。
64.A
1が、0.99:0.1~0.1:0.99の、ビニル基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との比を含む、実施形態63に記載の組成物。
65.A
1がビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基との混合物であり、式中、Y
1がメチル基である、実施形態59に記載の組成物。
66.A
1が、0.99:0.1~0.1:0.99の、ビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基との比を含む、実施形態65に記載の組成物。
67.A
1が、ビニル基と、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と、式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、式中、Y
1が、出現するごとに、独立して、メチル基である、実施形態59に記載の組成物。
68.A
1が、0.99:0.01~0.01:0.99の、ビニル基と、式Y
1CH=CH-のビニレン基、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基、およびビニル基の合計との比を含む、実施形態67に記載の組成物。
69.Y
2が水素である、実施形態2~68のいずれか1つに記載の組成物。
70.Y
2がC1~C10アルキル基である、実施形態2~68のいずれか1つに記載の組成物。
71.Y
2がエチル基である、実施形態70に記載の組成物。
72.ヒンダード二重結合が、ビニリデン基の二重結合、ビニレン基の二重結合、三置換アルケンの二重結合、および分岐状α-炭素に結合したビニル基の二重結合からなる群から選択される、実施形態1~71のいずれか1つに記載の組成物。
73.A
2がC
3~C
30環式ヒドロカルビル基またはC
3~C
30非環式ヒドロカルビル基である、実施形態1~72のいずれか1つに記載の組成物。
74.A
2が、非置換シクロアルケン、アルキル置換シクロアルケン、および非環式アルキル基からなる群から選択される、実施形態1~73のいずれか1つに記載の組成物。
75.A
2が、以下のものからなる群から選択される、実施形態1~74のいずれか1つに記載の組成物:
【化59-1】
【化59-2】
76.A
2が、(AC)、(AF)、(AM)、(AO)、(AP)、(AS)、および(AZ1)からなる群から選択される、実施形態1~75のいずれか1つに記載の組成物。
77.式(I)のテレケリックポリオレフィンが、1,000~10,000,000g/mol、1,000~5,000,000g/mol、1,000~1,000,000g/mol、1,000~750,000g/mol、1,000~500,000g/mol、および1,000~250,000g/molからなる群から選択される重量平均分子量(Mw)範囲を含むか、またはこれを有する、実施形態1~76のいずれか1つに記載の組成物。
78.式(I)のテレケリックポリオレフィンが、1,000~10,000,000g/mol、1,000~5,000,000g/mol、1,000~1,000,000g/mol、1,000~750,000g/mol、1,000~500,000g/mol、および1,000~250,000g/molからなる群から選択される数平均分子量(Mn)範囲を含むか、またはこれを有する、実施形態1~77のいずれか1つに記載の組成物。
79.式(I)のテレケリックポリオレフィンが、1,000~10,000,000g/mol、1,000~5,000,000g/mol、1,000~1,000,000g/mol、1,000~750,000g/mol、1,000~500,000g/mol、5,000~500,000g/mol、および10,000~500,000g/molからなる群から選択される平均モル質量(Mz)範囲を含むか、またはこれを有する、実施形態1~78のいずれか1つに記載の組成物。
80.式(I)のテレケリックポリオレフィンが、1~10、1~7、1~5、1.5~4、および2~4からなる群から選択されるMw/Mn(PDI)範囲を含むか、またはこれを有する、実施形態1~79のいずれか1つに記載の組成物。
81.式(I)のテレケリックポリオレフィンが、ASTM D-792の方法Bによって測定した場合に、0.850~0.965g/cc、0.854~0.950g/cc、0.854~0.935g/cc、0.854~0.925g/cc、0.854~0.910g/cc、0.854~0.900g/cc、0.854~0.885g/cc、0.854~0.880g/cc、および0.854~0.875g/ccからなる群から選択される密度範囲を含むか、またはこれを有する、実施形態1~80のいずれか1つに記載の組成物。
82.式(I)のテレケリックポリオレフィンは、ASTM D-1238、条件190℃/2.16kgによって測定した場合に、0.01~2000g/10分、0.01~1,500g/10分、0.01~1,000g/10分、0.01~500g/10分、0.01~100g/10分、0.5~50g/10分、および0.5~30g/10分からなる群から選択されるメルトインデックス(I2)範囲を含むか、またはこれを有する、実施形態1~81のいずれか1つに記載の組成物。
83.式(I)のテレケリックポリオレフィンが、-25℃~165℃、-25℃~150℃、-25℃~125℃、-25℃~100℃、0℃~80℃、および10℃~60℃からなる群から選択されるT
m範囲を含むか、またはこれを有する、実施形態1~82のいずれか1つに記載の組成物。
84.式(I)のテレケリックポリオレフィンが、177℃でASTM D-3236によって測定した場合に、10~10
8cP、10~10
7cP、10~10
6cP、10~750,000cP、10~500,000cP、10~250,000cP、10~100,000cP、10~75,000cP、10~50,000cP、および10~40,000cPからなる群から選択されるBrookfield粘度範囲を含むか、またはこれを有する、実施形態1~83のいずれか1つに記載の組成物。
85.式(I)のテレケリックポリオレフィンが、0~235J/g、0~200J/g、10~175J/g、10~150J/g、10~125J/g、および20~117J/gからなる群から選択される融解エンタルピー(ΔHm)範囲を含む、実施形態1~84のいずれか1つに記載の組成物。
86.式(I)のテレケリックポリオレフィンが、-80~100℃、-80~75℃、-80~50℃、-80~25℃、-80~0℃、-80~-15℃、および-70~-30℃からなる群から選択されるT
g範囲を含むか、またはこれを有する、実施形態1~85のいずれか1つに記載の組成物。
87.式(I)のテレケリックポリオレフィンが、ジエンモノマーに由来する単位を0重量%~0.001重量%含む、実施形態1~86のいずれか1つに記載の組成物。
88.式(I)のテレケリックポリオレフィンが、1.1以上、1.2以上、1.3以上、1.4以上、1.5以上、1.6以上、1.7以上、1.8以上、および1.9以上からなる群から選択される範囲の総不飽和度数を含むか、またはこれを有する、実施形態88に記載の組成物。
89.式(I)のテレケリックポリオレフィンが、292J/gのPEΔHmを基準として、0~80%、0~60%、5~50%、および7~40%からなる群から選択される重量%結晶化度範囲を含むか、またはこれを有する、実施形態3~9、15~56、および69~88のいずれか1つに記載の組成物。
90.L
1が、炭素-炭素単結合を介してA
1およびL
2それぞれに共有結合しており、L
2が、炭素-炭素単結合を介してA
2に共有結合している、実施形態1~89のいずれか1つに記載の組成物。
91.L
1が、2つの水素を欠いており、かつA
1およびL
2それぞれに共有結合している、ポリオレフィンである、実施形態1~90のいずれか1つに記載の組成物。
92.実施形態1~91のいずれか1つに記載の式(I)のテレケリックポリオレフィン。
1a.テレケリックポリオレフィンまたはテレケリックポリオレフィンを含む組成物を調製するための方法であって、方法が、
1)(A)モノマー成分、(B)連鎖移動剤成分、および(C)プロ触媒を含む触媒成分を含む出発物質を組み合わせて溶液を形成し、溶液中の10mol%超~99mol%以下の(A)モノマー成分を重合することと、
2)溶液を加熱することと、
3)テレケリックポリオレフィンまたはテレケリックポリオレフィンを含む組成物を含む生成物を回収することと、を含み、
(B)連鎖移動剤成分が、式Al(CH
2CH(Y
2)A
2)
3の有機アルミニウム化合物を含み、
Y
2が、出現するごとに、独立して、水素またはC
1~C
30ヒドロカルビル基であり、かつ
A
2が、出現するごとに、独立して、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基である、方法。
2a.出発材料が(D)溶媒をさらに含む、実施形態1aに記載の方法。
3a.ステップ2)が、溶液を、少なくとも160℃、または少なくとも180℃、または少なくとも200℃、または少なくとも220℃の温度に加熱し、溶液を、少なくとも160℃、または少なくとも180℃、または少なくとも200℃、または少なくとも220℃の温度で、少なくとも30秒、または少なくとも1分、または少なくとも5分の時間にわたって保持することである、実施形態1aまたは2aに記載の方法。
4a.ステップ2)が、溶液を、少なくとも160℃、または少なくとも180℃、または少なくとも200℃、または少なくとも220℃の温度で、少なくとも30秒、または少なくとも1分、または少なくとも5分の時間にわたって加熱することである、実施形態1a~3aのいずれか1つに記載の方法。
5a.ステップ2)が、溶液を、220℃~290℃の温度で5分~20分の時間にわたって加熱することである、実施形態1a~4aのいずれか1つに記載の方法。
6a.ステップ2)が、溶液を、220℃~290℃の温度に加熱し、溶液を、220℃~290℃の温度で5分~20分の時間にわたって保持することである、実施形態1a~5aのいずれか1つに記載の方法。
7a.上記のように、プロ触媒を(Cat1)~(Cat17)からなる群から選択する、実施形態1a~6aのいずれか1つに記載の方法。
8a.上記のように、プロ触媒が、(Cat1)、(Cat13)、(Cat14)、または(Cat17)である、実施形態7aに記載の方法。
9a.触媒成分が助触媒をさらに含む、実施形態1a~8aのいずれか1つに記載の方法。
10a.助触媒が、[(C
16~18H
33~37)
-2CH
3NH]テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート塩である、実施形態1a~9aのいずれか1つに記載の方法。
11a.(B)連鎖移動剤成分が、式Zn(d)
2のアルキル亜鉛をさらに含み、dが、出現するごとに、独立して、C1~C10アルキル基である、実施形態1a~10aのいずれか1つに記載の方法。
12a.(B)鎖移動剤成分が、65mol%~99mol%の式Al(CH
2CH(Y
2)A
2)
3の有機アルミニウム化合物および1mol%~35mol%の式Zn(d)
2のアルキル亜鉛を含む、実施形態11aに記載の方法。
13a.(B)連鎖移動剤成分が、式Al(CH
2CH(Y
2)A
2)
3の有機アルミニウム化合物および式Zn(CH
2CH(Y
2)A
2)
2の有機亜鉛化合物を含み、式中、Y
2が、出現するごとに、独立して、水素またはC
1~C
30ヒドロカルビル基であり、かつA
2が、出現するごとに、独立して、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基である、実施形態1a~10aのいずれか1つに記載の方法。
14a.(B)連鎖移動剤成分が、20:80~40:60の、式Al(CH
2CH(Y
2)A
2)
3の有機アルミニウム化合物と式Zn(CH
2CH(Y
2)A
2)
2の有機亜鉛化合物との比を含む、実施形態13aに記載の方法。
15a.テレケリックポリオレフィンを含む組成物が、実施形態1~91のいずれか1つに記載の組成物である、実施形態1a~14aのいずれか1つに記載の方法。
16a.テレケリックポリオレフィンが、実施形態92に記載のテレケリックポリオレフィンである、実施形態1a~15aのいずれか1つに記載の方法。
【0263】
試験方法
特に明記しない限り、前述の開示および以下の実施例で論じられる測定可能な特性は、以下の分析方法に従っている。
【0264】
密度
密度を測定したサンプルを、全体が参照によって本明細書に組み込まれるASTM D-1928に従って調製した。測定は、全体が参照によって本明細書に組み込まれるASTM D-792の方法Bを使用して、サンプルプレスの1時間以内に行った。
【0265】
メルトインデックス/メルトフローレート
メルトインデックス(I2)を、参照によって全体が本明細書に組み込まれるASTM D-1238、条件190℃/2.16kgに従って測定し、10分あたりに溶出されるグラムで報告した。メルトフローレート(I10)を、ASTM D-1238、条件190℃/10kgに従って測定し、10分あたりに溶出されるグラムで報告した。
【0266】
GPC
サンプルポリマーを、以下に従ってGPCによってそれらの特性について試験した。
【0267】
PolymerChar Inc(スペイン、バレンシア)からの赤外線濃度検出器(IR-5)からなる高温ゲル浸透クロマトグラフィーシステム(GPCIR)を、分子量(MW)および分子量分布(MWD)の決定に使用した。担体溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)であった。オートサンプラーコンパートメントを160℃で稼働させ、カラムコンパートメントを150℃で稼働させた。使用したカラムは、4つのPolymer Laboratories Mixed A LS、20ミクロンカラムであった。クロマトグラフィー溶媒(TCB)およびサンプル調製溶媒は、250ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)および窒素を散布した同じ溶媒源からのものであった。サンプルを、TCB中で2mg/mLの濃度で調製した。ポリマーサンプルを、160℃で2時間にわたって穏やかに振とうした。注入量は200μlであり、流速は1.0ml/分であった。
【0268】
GPCカラムセットの較正は、21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物を用いて実施した。標準物の分子量は、580~8,400,000g/molの範囲であり、個々の分子量は少なくとも一桁の間隔で、6つの「カクテル」混合物に配置した。
【0269】
実施例を実行する前に、21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質を実行することによって、GPCカラムセットを較正した。標準物質の分子量(Mw)は、1モルあたり580~8,400,000グラム(g/mol)の範囲であり、標準物は、6つの「カクテル」混合物に含有されていた。各標準混合物には、個々の分子量間で少なくとも1桁の分離があった。標準混合物は、Polymer Laboratories(シュロップシャー、英国)から購入した。ポリスチレン標準物質を、1,000,000g/mol以上の分子量について50mLの溶媒中0.025グラム、および1,000,000g/mol未満の分子量について50mLの溶媒中0.05グラムで調製した。ポリスチレン標準を、80℃で30分にわたって、静かに撹拌しながら溶解した。狭い標準混合物を最初に、かつ分解を最小限に抑えるために最高分子量(Mw)成分を減少させる順序で行った。ポリスチレン標準ピーク分子量を、Mark-Houwink定数を用いてポリエチレンMwに変換した。定数を得たら、溶出カラムの関数としてのポリエチレン分子量およびポリエチレン固有粘度に関する2つの線形基準通常較正を構築するために2つの値を使用した。
【0270】
ポリスチレン標準ピーク分子量を、以下の等式を使用してポリエチレン分子量に変換した(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6, 621(1968)):
Mポリエチレン=A(Mポリスチレン)B (1)
【0271】
ここで、Bの値は、1.0であり、Aの実験的に決定された値は、約0.41である。
【0272】
三次多項式を使用し、方程式(1)から得られたそれぞれのポリエチレン等価較正点を、それらの観察されたポリスチレン標準の溶出堆積に適合させた。
【0273】
数平均、重量平均、およびz平均分子量は、以下の式に従って計算した:
【数3】
【0274】
式中、Wfiは、i番目の成分の重量分率であり、Miは、i番目の成分の分子量である。
【0275】
MWDは、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比として表した。
【0276】
正確なA値は、方程式(3)を使用して計算されたMwおよび対応する保持堆積多項式が、標準線状ポリエチレンホモポリマー参照物の既知のMw値120,000g/molに一致するまで、方程式(1)のA値を調整することにより決定された。
【0277】
GPCシステムは、オンボード示差屈折計(RI)を備えた、Waters(ミルフォード、マサチューセッツ)製の150℃高温クロマトグラフ(他の好適な高温GPC機器としては、Polymer Laboratories(シュロップシャー、英国)モデル210およびモデル220が挙げられる)からなる。さらなる検出器としては、Polymer ChAR(バレンシア、スペイン)製のIR4赤外線検出器、Precision Detector(アマースト、マサチューセッツ)製の2角度レーザー光散乱検出器モデル2040、およびViscotek(ヒューストン、テキサス)製の150R4-毛管溶液粘度計が挙げられ得る。最後の2つの独立した検出器と、少なくとも1つの最初の検出器と、を有するGPCは、時に「3D-GPC」と称されるが、「GPC」という用語単独では、一般に従来のGPCを指す。サンプルに応じて、光散乱検出器の15度または90度のいずれかを計算のために使用した。
【0278】
データ収集は、Viscotek TriSEC software,Version 3および4-channel Viscotek Data Manager DM400を使用して行った。このシステムには、Polymer Laboratories(シュロップシャー、UK)製のオンライン溶媒脱気機器も備わっていた。4つの長さ30cmのShodex HT803 13ミクロンカラムまたは20ミクロンの混合細孔サイズで充填された4つの30cmのPolymer Labsカラムのような好適な高温GPCカラムを使用することができた(MixA LS、Polymer Labs)。サンプルのカルーセルコンパートメントを140℃で稼働させ、カラムコンパートメントを150℃で稼働させた。サンプルを、50ミリリットルの溶媒中0.1グラムのポリマーの濃度で調製した。クロマトグラフ溶媒およびサンプル調製溶媒は、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する。両方の溶媒に窒素を散布した。ポリエチレンサンプルを160℃で4時間(4h)にわたって穏やかに撹拌した。注入量は、200マイクロリットル(μL)であった。GPCを通る流量を、1ml/分に設定した。
【0279】
NMR(13Cおよび1H)
サンプル調製:13C NMRの場合、約2.7gのストック溶媒を10mmのNMRチューブ内の0.20~0.40gのサンプルに添加することによって、サンプルを調製した。ストック溶媒は、0.025Mクロムアセチルアセトネート(緩和剤)を含有するテトラクロロエタン-d2である。サンプルに蓋をして、テフロンテープで密封した。チューブおよびその内容物を135℃~140℃で加熱することによって、サンプルを溶解させて均質化した。
【0280】
サンプル調製:1H NMRの場合、130mgのサンプルを、10mmのNMRチューブ内で0.001MのCr(AcAc)3を含む3.25gの50/50重量テトラクロロエタン-d2/ペルクロロエチレンに添加することによって、サンプルを調製した。酸化を防止するために、管に挿入したピペットを介して、約5分にわたって溶媒を通してN2をバブリングすることによってサンプルをパージし、蓋をして、テフロンテープで密封した。サンプルを115℃で加熱し、ボルテックスして、均質性を確保した。
【0281】
データ取得パラメータ:13C NMRの場合、データは、Bruker高温CryoProbeを備えたBruker 400/600MHz分光計を使用して収集した(下記の参考文献1を参照)。データファイルあたり256~8000回の過渡応答、7.3秒のパルス繰り返し遅延(6秒の遅延+1.3秒の取得時間)、90度のフリップ角、および120℃のサンプル温度での修正された逆ゲート付きデカップリングを使用して、データを取得した(下記の参考文献2を参照)。すべての測定を、固定様式の非回転サンプルに対して実施した。加熱した(125℃)NMRサンプル交換器に挿入する直前にサンプルを均質化し、データ取得前に7分にわたってプローブ中で熱平衡化した。
【0282】
データ取得パラメータ:1H NMRは、Bruker高温CryoProbeを備えたBruker AVANCE 400/600MHz分光計上で、サンプル温度120℃で実施した。スペクトル、合計ポリマープロトンを定量化するための対照スペクトル、および二重予備飽和実験を得るために、2つの実験を実施し、それによって、強いポリマー骨格ピークを抑圧し、末端基の定量化のための高感度スペクトルを可能にした。対照は、ZGパルス、4回のスキャン、SWH10,000Hz、AQ1.64s、D114sで実施した。二重予備飽和実験は、修正されたパルスシーケンス、lc1prf2.zz1、TD32768、100スキャン、DS4、SWH10,000Hz、AQ1.64s、D1 1s、D13 13sで実施した。
【0283】
データ分析:コモノマー含有量は、対応するマトリックスまたは代数法で分析した。不飽和度は、下記の参考文献3の方法で分析した。
【0284】
参考文献1:Z.Zhou,R.Kuemmerle,J.C.Stevens,D.Redwine,Y.He,X.Qiu,R.Cong,J.Klosin,N.Montanez,G.Roof,Journal of Magnetic Resonance,2009,200,328。
【0285】
参考文献2:Z.Zhou,R.Kummerle,X.Qiu,D.Redwine,R.Cong,A.Taha,D.Baugh,B.Winniford,Journal of Magnetic Resonance:187(2007)225。
【0286】
参考文献3:Z.Zhou,R.Cong,Y.He,M.Paradkar,M.Demirors,M.Cheatham,W.deGroot,Macromolecular Symposia,2012,312,88。
【0287】
Brookfield粘度
Brookfield粘度は、Brookfield RV-DV-II-Pro粘度計およびスピンドルSC-31を使用して、ASTM D-3236に従って、177℃で測定した。
【0288】
GC/MS
電子衝撃イオン化法(EI)を用いたタンデムガスクロマトグラフィー/低分解能質量分析は、Agilent Technologies 5975 inert XL質量選択検出器およびAgilent Technologiesキャピラリーカラム(HP1MS、15m×0.25mm、0.25ミクロン)を備えるAgilent Technologies 6890Nシリーズガスクロマトグラフにて、70eVで、以下に従って実行する:
プログラムされた方法:
50℃での0.5分にわたるオーブン平衡化時間
その後、25℃/分で200℃にして5分にわたって保持
実施時間11分
【0289】
DSC
示差走査熱量測定(DSC)を、RCS冷却ユニットとオートサンプラーとを備えるTA Instruments Discovery DSCを使用して実施した。50mL/分の窒素パージガス流を使用した。高分子量サンプル(190℃で<50dg/分のメルトインデックス)を、190℃で、Carver油圧プレスにおいて、20,000psiの圧力で、4分にわたってプレスして薄膜にし、続いて、23℃の温度で、20,000psiの圧力で、1分にわたって冷却した。約3~10mgの材料をプレスフィルムから切り取り、重量を測定し、軽いアルミニウムパンに入れ、圧着して閉じた。低分子量サンプル(190℃で>50dg/分のメルトインデックス)の場合、受け取ったままのベール(bale)から約3~10mgの材料を切り取り、秤量し、軽いアルミニウムパンに入れ、圧着して閉じた。サンプルの熱挙動を、以下の温度プロファイルを使用して調査した。サンプルを、急速に180℃に加熱し、5分にわたって等温で保持した。次いで、サンプルを10℃/分で-90℃に冷却し、5分にわたって等温で保持した。次いで、サンプルを10℃/分で150℃に加熱した。冷却曲線および第2加熱曲線を分析に使用した。ガラス転移温度(Tg)、融解温度(Tm)、およびエンタルピー熱(ΔHm)は、2番目の熱データから取得した。結晶化温度(Tc)は、最初の冷却データから取得した。Tgは、半値幅法(half-height method)を使用して決定した。TmおよびTcは、それぞれ融解吸熱および結晶化発熱のピークとして決定した。第2熱曲線から決定した融解熱(Hf)を、PEの場合は292J/gの理論融解熱で除算し、この量に100を乗算することによって、パーセント結晶化度を計算する(例えば、%結晶化度=(Hf/292J/g)×100(PEの場合))。例が大部分のプロピレンを含有する場合、PPの場合の理論上の融解熱165J/gを使用する。
【0290】
DMS
レオロジーは、「25mm」のステンレス鋼平行板を備えたAdvanced Rheometric Expansion System(ARES)で測定した。0.1~100rad/sの周波数範囲での一定温度の動的周波数掃引は、190℃の窒素パージのもと実施した。約「直径25.4mm」および「厚さ3.2mm」のサンプルを、Carver油圧式ホットプレスで、温度190℃、圧力20,000psiで4分の時間にわたって圧縮成形し、その後、温度23℃、圧力20,000psi、1分の時間にわたって冷却した。サンプルを下部プレートに置き、5分にわたって融解させた。次いで、プレートを2.0mmのギャップまで閉じ、サンプルを「直径25mm」にトリミングした。試験を開始する前に、サンプルを190℃で5分にわたって平衡化させた。複素粘度は、10%の定ひずみ振幅で測定した。0.1rad/s(V0.1)および100rad/s(V100)での粘度と、2つの粘度値の比(V0.1/V100)が報告されている。
【実施例】
【0291】
材料の調製
特に明記しない限り、すべての出発試薬および材料をSigma-Aldrichから得た。以下の実施例で使用されるプロ触媒(Cat1)、(Cat13)、(Cat14)、および(Cat17)、ならびに他のものは、先に記載したものと同じであり、先に記載した方法に従って調製する。プロ触媒(Cat1)は、[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(2-イソプロピルフェニル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)]メタン)]ハフニウムジメチルとも識別され得る。「Cocat A」とは、以下の実施例で使用される助触媒であり、ビス(水素化タローアルキル)メチル、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(1-)アミンである。
【0292】
トリス(2-(シクロヘキセン-3-エン-1-イル)エチル)アルミニウム(「CTA1」)の合成。本開示の例示的な連鎖移動剤は、以下のように調製した。ドライボックス内で、4-ビニル-1-シクロヘキセン(3.2mL、24.6mmol)およびトリイソブチルアルミニウム(2.0ml、7.92mmol)を、キャップに撹拌棒および通気針を備えたバイアル内のデカン5mLに添加した。この混合物を、3時間にわたって撹拌しながら120℃で加熱した。3時間後に、サンプルを
1H NMR分析のためにベンゼン-d6に溶解させて、別のアリコートを水で加水分解してGC/MSによって分析した。
1H NMRは、すべてのビニル基が反応し、内部二重結合が残っていることを示した(
図1A)。GC/MSは、エチルシクロヘキセンの分子量と一致して、110のm/zできれいなピークを示した(
図1B)。したがって、
1H NMRおよびGC/MSによって、非限定的なスキーム1を介するトリス(2-(シクロヘキサ-3-エン-1-イル)エチル)アルミニウム(「CTA1」)の合成が確認された。
【化60】
【0293】
トリス(3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-イル)アルミニウム(「CTA2」)の合成:窒素を満たしたドライボックス内で、40mLバイアルに、撹拌棒を備え、DIBAL-H(8.10mL、9.64mmol;トルエン中で20重量%の溶液)およびシトロネレン(4.00g、28.93mmol;異性体の混合物)を入れた。バイアルを加熱ブロック内に配置し、通気針をヘッドスペースに挿入した。溶液を9時間にわたって110~112℃に加熱して、無色透明の溶液を得た([Al]=0.88M)。材料は、C
6D
6に溶解されたアリコートの
1H NMRならびに加水分解アリコートのGC/MS(m/z=140)を介して所望の生成物であると判定した(
図2)。したがって、
1H NMRおよびGC/MSによって、非限定的なスキーム2を介するトリス(3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-イル)アルミニウム(「CTA2」)の合成が確認された。
【化61】
【0294】
ヘキサ-4-エン-1-イルジイソブチルアルミニウム(「CTA3」)の合成:本開示の例示的な連鎖移動剤は、以下のように調製した。窒素を満たしたドライボックス内で、DIBAL-H(0.800g、5.63mmol)および1,4-ヘキサジエン(0.65mL、5.63mmol、d0.710;シスおよびトランス異性体の混合物)を3mLの乾燥した脱気トルエンに添加した。反応混合物を25℃で14時間にわたって撹拌した。加水分解されたサンプル(以下の加水分解手順を参照)の
1H NMR分析は、反応を示さなかった。溶液を22時間にわたって撹拌しながら60℃で加熱した。バイアルを25℃に冷却した後に、アリコートを加水分解して分析した。反応の完了は、開始ジエンの消失と、加水分解生成物イソブタンおよび2-ヘキセンに一致する信号の出現とによって示される
1H NMRで観察した。分析のための加水分解は、バイアル中で約0.1mLのサンプルを約2mLのC
6D
6で希釈し、サンプルをグローブボックスから取り出し、約0.1mLの窒素パージした水をシリンジで添加することによって実施した。バイアルを振とうした後に、混合物を0.45μmのシリンジフィルタに通した。有機相は、水相よりも通過しやすいので、分析のために有機相を素早く分離することができる。次いで、サンプルを少量のシリカゲルと混合し、再び濾過した。これは、ゲル化を引き起し得る残留Al種を除去するのに役立つ。したがって、
1H NMRによって、非限定的なスキーム3を介するヘキサ-4-エン-1-イルジイソブチルアルミニウム(「CTA3」)の合成が確認された。
【化62】
【0295】
ビス(-2-エチルヘキサ-4-エン-1-イル)亜鉛(「CTA4」)の合成:窒素を満たしたドライボックス内にて、ジエチル亜鉛(3.40mL、5.00mmol、トルエン中で20重量%)、1,4-ヘキサジエン(1.16mL、10.00mmol、d0.710;シスおよびトランス異性体の混合物)、および活性剤[HNMe(C
18H
37)
2][B(C
6F
5)
4](1.40mL、0.09mmol、メチルシクロヘキサン中で0.064M)をバイアル内で混合した。(Cat13)(0.045g、0.08mmol))を固体として添加し、反応混合物を25℃で20時間にわたって撹拌した。加水分解されたサンプル(以下の加水分解手順を参照)の
1H NMRおよびGC/MS分析は、完全な反応を示した。
1H NMRは、開始ジエンの消失と、加水分解生成物5-メチルへプタ--2-エンに一致する信号の出現とよって示される。GC/MSは、同じ予想される加水分解生成物を示した。したがって、
1H NMRおよびGC/MSによって、非限定的なスキーム4を介するビス(-2-エチルヘキサ-4-エン-1-イル)亜鉛(「CTA4」)の合成が確認された。
【化63】
【0296】
「CTA5」の合成:ジエチル亜鉛(0.66mL、0.97mmol;トルエン中で1.47M溶液)、4-ビニルシクロヘキセン(1.77mL、13.58mmol;d0.832)、メチルシクロヘキサン(0.60mL、0.039mmol;0.0644M)中に入った活性剤([HNMe(C
18H
37)
2][B(C
6F
5)
4])溶液、およびトリエチルアルミニウム(0.53mL、3.88mmol;ニート、93%)をトルエン(約10mL)に溶解させた。(Cat13)(0.023g、0.039mmol)を固体として添加し、反応混合物を25℃で14時間にわたって撹拌した。アリコートをC
6D
6に溶解させ、水で急冷した。GC/MSおよび
1H NMRによって、4-ビニルシクロヘキセンの消費および所望の生成物の形成が確認された(m/z=138)。したがって、これによって、CTA5が非限定的なスキーム5を介して調製されたことが確認される。
【化64】
【0297】
「CTA6」の合成:トリス(2-(シクロヘキサ-3-エン-1-イル)エチル)アルミニウム(10mL、[Al]=0.424M)のトルエン溶液をジイソブチル亜鉛(0.286g、1.59mmol)および4-ビニルシクロヘキセン(0.416mL、3.19mmol;d0.830)と混合した。溶液を110℃で4時間にわたって加熱し、通気針をバイアルのセプタムキャップに通して挿入して、イソブチレンを逃がした。この処理中に、DIBZからの
iBu基がAlに転移し、イソブチレンの熱脱離とそれに続く4-ビニルシクロヘキセンの挿入とによって、AlおよびZnにおけるすべてのアルキル基がシクロヘキセニルエチル基であることが確実になった。この混合物のアリコート(0.1mL)をC
6D
6(0.5mL)で希釈し、
1H NMR分析のために加水分解した。
1H NMR分析によって、CTAが非限定的なスキーム6を介して合成されたことが確認された。
【化65】
【0298】
「CTA7」の合成:CTA7の合成は、非限定的なスキーム7に例示されており、以下のように記載されている。これは、2つのステップで実施した。第1のステップでは、トリビニルシクロヘキサン(TVCH)を、触媒量のDIBAL-Hの存在下で分子内環化によってジエンに変換し、第2のステップでは、さらなるDIBAL-Hを添加してCTAを形成した。したがって、窒素を満たしたドライボックス内で、DIBAL-H(0.30g、2.11mmol)をTVCH(4.09mL、21.1mmol;d0.836)に添加した。混合物を160℃で加熱し、2時間にわたって撹拌して、環化されたTVCHを形成した。別個のバイアル内で、さらなるDIBAL-H(0.35g、2.46mmol)をデカン(5mL)に溶解させ、続いて、上記で得られた環化されたTVCH(2.05mL、10.5mmol)の一部を添加した。溶液を130℃で2時間にわたって維持して、Al-TVCH溶液を得た。
【化66】
【0299】
「CTA8」の合成:CTA8の合成は、非限定的なスキーム8に例示されており、以下のように記載されている。窒素を満たしたドライボックス内で、20mLバイアルに、撹拌棒を備え、DIBAL-H(2.00mL、2.39mmol;トルエン(1.196M)中で20重量%)および(R)-(+)-リモネン(2.32mL、14.35mmol;d0.842)を入れた。バイアルを加熱ブロック内に入れ、通気針をセプタムキャップに通して挿入し、溶液を110~112℃で11時間にわたって加熱した。溶媒および過剰のリモネンを、真空のもと50℃で一晩かけて除去して、所望の生成物を無色の粘稠な油として得た(0.870g、83%)。
【化67】
【0300】
「CTA9」の合成:CTA9の合成は、非限定的なスキーム9に例示されており、以下のように記載されている。窒素を満たしたドライボックス内で、40mLバイアルに、撹拌棒を備え、DIBAL-H(2.00g、14.06mmol)、トルエン(9.2mL)、および7-メチル-1,6-オクタジエン(5.24g、42.19mmol)を入れた。即時の発熱(いくらか泡立ちが伴う)が観察された。バイアルを加熱ブロック内に入れ、通気針をセプタムキャップに通して挿入し、溶液を110~112℃で3時間にわたって加熱した。3時間の反応時間の後に、アリコートは反応の進行を示した。この溶液は、少量の懸濁した白色固体粒子を含有していた。反応をさらに22時間にわたって続けた。反応はほぼ完了した。アルケン試薬からの少量のダイマー形成が観察された。反応をさらに16時間にわたって続けた。アリコートの分析では、有意な変化は示されなかった。
【化68】
【0301】
テレケリックポリオレフィンのバッチ反応器合成
式A1L1L2A2のテレケリックポリオレフィンの3セットの非限定的な例を、以下のようにバッチ反応器によって合成した。
【0302】
セット1
表1A~1Cを参照すると、セット1は、ランBR1~BR12で作製された本発明のテレケリックポリマーを含み、これは、以下のように調製された。各ランにおいて、1ガロンの撹拌オートクレーブ反応器に、Isopar(商標)E混合アルカン溶媒(約1.3kg)、所望の質量のプロピレンもしくはオクテン、および/またはエチリデンノルボルネン(ENB)(60g)、およびCTAを入れる。反応器を120℃に加熱し、エチレン(20g)を入れる。活性触媒溶液を、プロ触媒と活性剤混合物(1.2当量のCocat Aと10当量の変性メチルアルミノキサン(MMAO-3A)との混合物)とを混合することによって、不活性雰囲気のもとドライボックス内で調製し、その際、活性触媒溶液は、プロ触媒とCocat Aとの比が1:1.2である。活性触媒溶液を反応器に注入して、重合を開始する。重合中にエチレンを供給し、必要に応じて反応器を冷却することによって、反応器圧力および温度を一定に保持する。10分後に、反応器を200℃に加熱し、その温度で20分にわたって保持した。エチレンの供給を遮断し、ポリマー溶液を窒素パージした樹脂ケトルに移す。リン安定剤とフェノール系酸化防止剤とを含有する添加剤溶液(トルエン中で重量比2:1のIrgafos(登録商標)168およびIrganox(登録商標)1010)を添加して、ポリマー中の総添加剤含有量を約0.1%にする。ポリマーを真空オーブン内で完全に乾燥させる。
【表1】
【表2】
【表3】
【0303】
セット2
表2を参照すると、セット2は、セット1と同様の手順によってランB1~B7で作製された本発明のテレケリックポリマーを含む。ランB1では、1:1.2:10の(Cat1):Cocat A:捕捉剤の比で、捕捉剤MMAO-3Aを使用した。ランB2~B7では、1:1.2のプロ触媒と助触媒との比率を使用した。表2のすべてのランは、水素なしで実施した。すべてのランの条件は、以下の通りであった:エチレン(g):20、1-オクテン(g):60、圧力(psi):55、溶媒(Isopar E、g):1325。CTA5の充填は、転移可能な基の数に基づいていた。ランB1、B2、B4、およびB6は、120℃で10分にわたるものであった。ランB3、B5、およびB7は、200℃での20分(120から200℃への移行時間を除く)にわたるさらなる加熱ステップを含んでいた。
【表4】
【0304】
セット3
セット3は、本発明のテレケリックポリエチレンポリマーを合成するための以下の例を含む。
【0305】
窒素を満たしたドライボックス内で、撹拌棒を備えたバイアルに、オクテン(10mL)、Cocat A(0.023mLの0.075M溶液、0.0017mmol)、およびCTA7(0.402mLの0.5M溶液、0.2mmol)を入れる。バイアルをセプタムキャップで密封し、100℃に設定された加熱ブロック内に入れる。(小さなシリンダーからの)エチレンラインを接続し、バイアルのヘッドスペースを、針を介してゆっくりとパージする。Cat13(0.067mLの0.02M溶液、0.0013mmol)を注入し、パージ針を取り外して、総圧を20psigで維持する。重合を20分にわたって維持し、次いで、エチレンラインを取り外し、ポリマー溶液を冷却した。このポリマー溶液を600mLのParr反応器に移して密封した。反応器を200psigのエチレン圧力下で30分にわたって200℃に加熱した。ポリマーを多量のメタノールで急冷し、濾過し、真空のもと一晩かけて乾燥させた。1H NMR(
図3)によって、合成が以下に示される非限定的な反応スキームを介して起こったことが確認された。
【化69】
【0306】
窒素を満たしたドライボックス内で、撹拌棒を備えたバイアルに、オクテン(10mL)、Cocat A(0.023mLの0.075M溶液、0.0017mmol)、およびCTA8(0.088g、0.2mmol)を入れる。バイアルをセプタムキャップで密封し、100℃に設定された加熱ブロック内に入れる。(小さなシリンダーからの)エチレンラインを接続し、バイアルのヘッドスペースを、針を介してゆっくりとパージする。Cat13(0.067mLの0.02M溶液、0.0013mmol)を注入し、パージ針を取り外して、総圧を20psigで維持する。重合を20分にわたって維持し、次いで、エチレンラインを取り外し、ポリマー溶液を冷却した。このポリマー溶液を600mLのParr反応器に移して密封した。反応器を200psigのエチレン圧力下で30分にわたって200℃に加熱した。ポリマーを多量のメタノールで急冷し、濾過し、真空のもと一晩かけて乾燥させた。1H NMR(
図4)分析によって、合成が以下の非限定的な反応スキームを介して起こったことが確認された。
【化70】
【0307】
テレケリックポリオレフィンの連続溶液重合
式A1L1L2A2のテレケリックポリオレフィンの非限定的な例を、以下のように連続溶液重合によって作製した。
【0308】
内部撹拌機を備えたコンピューター制御オートクレーブ反応器内で、連続溶液重合を実施する。精製された混合アルカン溶媒(ExxonMobilから入手可能なIsopar(商標)E)、モノマー、および分子量調節剤(水素または連鎖移動剤)を、温度制御用のジャケットを備えた3.8Lの反応器に供給する。反応器への溶媒供給量は、質量流量コントローラーによって測定される。可変速ダイヤフラムポンプが、溶媒の流量と反応器への圧力を制御する。ポンプの吐出口では、プロ触媒、活性剤、および連鎖移動剤(触媒成分溶液)注入ラインにフラッシュフローを提供するために側流が取られる。これらの流は、Micro-Motion質量流量計によって測定され、制御弁によって制御される。残りの溶媒をモノマーおよび水素と混合し、反応器に供給する。溶媒/モノマー溶液の温度は、反応器に入る前に熱交換器を使用することによって制御される。この流は、反応器の底部に入る。触媒成分溶液は、ポンプおよび質量流量計を使用して計量され、触媒フラッシュ溶媒と組み合わされて、反応器の底部に導入される。反応器は、激しく撹拌しながら、500psigで液体が一杯となっている。ポリマーは、反応器の頂部にある出口ラインを通して除去する。反応器からのすべての出口ラインは、蒸気トレースされて断熱されている。次いで、生成物流を、反応器後加熱器(PRH)を通過させることによって230℃で加熱し、そこで、ポリマーAlのβ水素脱離が起こる。少量のイソプロピルアルコールを、任意の安定剤または他の添加剤と共に、PRHの前(比較例の場合)またはPRHの後(本発明の例の場合)のいずれかに、脱揮前に添加する。ポリマー生成物を、脱揮押出機を使用した押出によって回収する。
【0309】
本発明の例および比較例についての重合プロセス条件および反応器後加熱(PRH)前の結果を表3および4に列挙する。式A1L1L2A2の本発明のテレケリックポリオレフィンは、本発明のTP1~TP10と呼ばれる。比較用ポリマーは、比較AおよびBと称される。表中のさらなる略語は、以下のように説明する:「Co」とはコモノマーを表し、「sccm」とは標準cm3/分を表し、「T」とは温度を表し、「Cat」はプロ触媒を表し、「Cat1」とはプロ触媒(Cat1)を表し、「Cat17」とはプロ触媒(Cat17)を表し、「Cocat」とはCocat Aを表し、「Al CTA」とはアルミニウム連鎖移動剤を表し、「TEA」とはトリエチルアルミニウムを表し、「TOA」とはトリオクチルアルミニウムを表し、「Poly Rate」とはポリマー生成速度を表し、「Conv」とは反応器内のパーセントエチレン転化率を表し、「Eff」とは、効率であるkgポリマー/g触媒金属を表す。
【0310】
さらに、[CTA]/[C2H4]は、反応器内のモル比を指す;Al/C2
*1000=(Al供給流量*Al濃度/1000000/AlのMw)/(総エチレン供給流量*(1-分数エチレン変換率(1-fractional ethylene conversion rate))/エチレンのMw)*1000。「Al/C2
*1000」の「Al」とは、重合プロセスで使用されるCTA中のAlの量を指し、「C2」とは、重合プロセスで使用されるエチレンの量を指す。
【0311】
反応器後加熱および回収後の本発明のポリマーおよび比較用ポリマーの特性を表5~8に記載する。
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【0312】
上記の表に見られるように、1H NMRおよび13C NMR分析によって、本開示の本発明の方法を介した新たなテレケリックポリオレフィンTP1~TP10の合成が確認される。具体的には、当業者であれば理解するように、1H NMRおよび13C NMR分析によって、TP1~TP10についての新たなテレケリックポリオレフィンの形成が確認され、その際、そのようなポリオレフィンは、両端に不飽和を有する。具体的には、そのようなポリオレフィンは、一方の端部にA1基(ビニル、ビニレン、ビニリデン)を有し、もう一方の端部にヒンダード二重結合を有するA2基(シクロヘキセンまたは三置換アルケン)を有する。対照的に、本開示の本発明の方法に従って調製されなかった比較ポリマーAおよびBは、1H NMRおよび13C NMR分析によって見られるように、不飽和が低いポリマーである。
【0313】
本発明のTP5では、A2基のヒンダード二重結合は三置換不飽和であり、上記の表で報告されているように、多数の三置換不飽和/1000000Cをもたらす。TP5の三置換不飽和の数は、同様の反応器条件下で同じ触媒を用いて、ただし分子量を制御するために水素を用いて生成された比較Bよりも多い。少数の三置換不飽和が、β水素化物脱離とそれに続くエチレン/α-オレフィンの不飽和の転位とによって形成され得る。この熱による終端メカニズムによって形成される三置換不飽和の数は、使用される触媒およびプロセス条件に依存する。この熱による終端メカニズムからの少数の三置換不飽和は、すべての比較例および本発明の例において存在するが、三置換不飽和の大部分がA2基からのものであるTP5を除いて、ビニルおよびビニリデンよりも低いレベルにある。
【0314】
上記のように、本開示の新規のテレケリックポリオレフィンは、不飽和を、ポリマー骨格に沿ってランダムに分布してではなく、鎖の末端に含む。そのようなテレケリックポリオレフィンは、硬化性配合物に好適であり得て、架橋を改善し得る。ポリマー鎖末端に対する不飽和の位置を制御することによって、より制御されたネットワーク構造が形成され(架橋間の均一なMw)、ポリマー鎖の不飽和がより効率的に使用される。これによって、所定の分子量について優れた機械的特性を有する架橋ネットワークを形成するために必要な不飽和がより少なくなるので、熱およびUV老化安定性がより良好になるはずである。本開示の低Mwテレケリックポリオレフィンの低い粘度によって、高Mw EPDMとは異なり、架橋前の優れた加工性および流動性が提供されるであろう。
【0315】
さらに、本開示のテレケリックポリオレフィンは、エチレンおよびα-オレフィンから低コストの溶液重合で製造され、これは、文献においてはるかにより高価で複雑な合成経路を介して製造されてきたテレケリックポリオレフィンには類を見ないものとなっている。さらに、テレケリックポリオレフィンは、不飽和を有するランダムコポリマーとは異なり、制御して鎖を延長して高分子量の熱可塑性樹脂にすることも可能にする。不飽和は鎖の端部にあるので、テレケリックポリオレフィンを鎖延長して高分子量の熱可塑性樹脂を形成することができる。好適な架橋および鎖延長の化学作用は、過酸化物、チオレン、硫黄硬化、フェノール硬化などを含むが、これらに限定されることはない。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
式(I)のテレケリックポリオレフィンであって、
A
1L
1L
2A
2 (I)、式中
L
1が、ポリオレフィンであり、
A
1が、ビニル基、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基、式Y
1CH=CH-のビニレン基、ビニル基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物、ビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基との混合物、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物、およびビニル基と、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と、式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物からなる群から選択され、
Y
1が、出現するごとに、独立して、C
1~C
30ヒドロカルビル基であり、
L
2が、C
1~C
32ヒドロカルビレン基であり、かつ
A
2が、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基である、テレケリックポリオレフィン。
項2.
L
1がエチレン系ポリマーである、項1に記載のテレケリックポリオレフィン。
項3.
L
1が、エチレンホモポリマーであるか、またはエチレンとC
3~C
30α-オレフィンとに由来する単位を含むエチレン/α-オレフィンコポリマーである、項1または2に記載のテレケリックポリオレフィン。
項4.
前記C
3~C
30α-オレフィンが、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択される、項3に記載のテレケリックポリオレフィン。
項5.
前記ヒンダード二重結合が、ビニリデン基の二重結合、ビニレン基の二重結合、三置換アルケンの二重結合、および分岐状α-炭素に結合したビニル基の二重結合からなる群から選択される、項1~4のいずれか1項に記載のテレケリックポリオレフィン。
項6.
A
2がC
3~C
30環式ヒドロカルビル基またはC
3~C
30非環式ヒドロカルビル基である、項1~5のいずれか1項に記載のテレケリックポリオレフィン。
項7.
A
2が、非置換シクロアルケン、アルキル置換シクロアルケン、および非環式アルキル基からなる群から選択される、項1~6のいずれか1項に記載のテレケリックポリオレフィン。
項8.
A
2が、
【化2】
からなる群から選択され、式中、(AC)および(AF)の環内二重結合が、環員である任意の2つの隣接する炭素原子間にあり得て、(AF)のペンダントメチル基が、環員である任意の炭素原子に接続され得る、項1~7のいずれか1項に記載のテレケリックポリオレフィン。
項9.
前記式(I)の前記テレケリックポリオレフィンが、1,000~1,000,000g/molの範囲の重量平均分子量(Mw)を含む、項1~8のいずれか1項に記載のテレケリックポリオレフィン。
項10.
L
1が、炭素-炭素単結合を介してA
1およびL
2それぞれに共有結合しており、L
2が、炭素-炭素単結合を介してA
2に共有結合している、項1~9のいずれか1項に記載のテレケリックポリオレフィン。
項11.
項1~10のいずれか1項に記載のテレケリックポリオレフィンを含む、組成物。
項12.
テレケリックポリオレフィンを調製するための方法であって、前記方法が、
1)(A)モノマー成分、(B)連鎖移動剤成分、および(C)プロ触媒を含む触媒成分を含む出発物質を組み合わせて溶液を形成し、前記溶液中の10mol%超~99mol%以下の前記(A)モノマー成分を重合することと、
2)前記溶液を加熱することと、
3)前記テレケリックポリオレフィンを含む生成物を回収することと、を含み、
前記(B)連鎖移動剤成分が、式Al(CH
2CH(Y
2)A
2)
3の有機アルミニウム化合物を含み、
Y
2が、出現するごとに、独立して、水素またはC
1~C
30ヒドロカルビル基であり、かつ
A
2が、出現するごとに、独立して、ヒンダード二重結合を含むヒドロカルビル基である、方法。
項13.
前記出発材料が(D)溶媒をさらに含む、項12に記載の方法。
項14.
ステップ2)が、前記溶液を少なくとも160℃の温度に加熱し、前記溶液を少なくとも160℃の前記温度で少なくとも30秒の時間にわたって保持することである、項12または13に記載の方法。