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特許7610523直交集成板接合部の不明瞭な締結具用開口部を処理するために交互に鋭利にされた縁部を備える段付きドリルビット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】直交集成板接合部の不明瞭な締結具用開口部を処理するために交互に鋭利にされた縁部を備える段付きドリルビット
(51)【国際特許分類】
   B27G 15/00 20060101AFI20241225BHJP
   E04G 21/18 20060101ALN20241225BHJP
【FI】
B27G15/00 D
E04G21/18 C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021560174
(86)(22)【出願日】2020-04-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-26
(86)【国際出願番号】 US2020026327
(87)【国際公開番号】W WO2020206076
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-03-28
(31)【優先権主張番号】62/829,433
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521438858
【氏名又は名称】ミラー ダウエル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】MILLER DOWEL COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】ミラー, マイケル, アール.
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3090886(JP,U)
【文献】特開2006-082420(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0142152(US,A1)
【文献】実開平04-037303(JP,U)
【文献】実開昭57-204109(JP,U)
【文献】米国特許第02832386(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27G 15/00
E04G 21/14 - 21/22
B26F 1/16
B23B 51/00 - 31/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビットに沿って軸方向に配置され、かつ、木材を切削するように設計された1つまたは複数の縁部と、前記ビットによって切削された前記木材を開口部から排出させるように設計された1つまたは複数の溝とを備えるビットであって、
前記ビットは、前記木材を切削するために動作可能に回転するための手段を有するとともに、あらかじめ形成された前記開口部内で前記ビットに沿って軸方向に移動するように作動し、
前記ビットの前記1つまたは複数の縁部が、前記ビットが直交集成板(CLT)に事前に作られた開口部に配置され回転することで木材を切削して前記開口部に侵入するために鋭利にされた第1の部分を有し、かつ前記ビットが回転し前記ビットに沿った軸方向に前記開口部内を移動する際に、前記木材の肩部に当たったときに前記ビットの軸方向移動を停止させるために鋭利にされていない部分を有する、
直交集成板(CLT)に事前に作られ、変形してしまった前記開口部を処理するための、多段ドリルビット。
【請求項2】
1つの縁部の鋭利にされた第1の部分が前記縁部の50%を含む、請求項1に記載の多段ドリルビット。
【請求項3】
1つの縁部の鋭利にされた第1の部分が前記縁部の20%~50%を含、請求項1に記載の多段ドリルビット。
【請求項4】
2~3箇所の段付き部分を備える、請求項1に記載の多段ドリルビット。
【請求項5】
2~4箇所の段付き部分を備える、請求項1に記載の多段ドリルビット。
【請求項6】
錐面がビットの近位側に向かって大きくなり、前記ビットの遠位端に向かって狭くなるような円錐状であり、
前記円錐の大きい部分では鋭利であり、前記円錐の狭い部分では鈍くなったブレードであって、
前記ビットに沿って軸方向に配置され、かつ、材料を切削するように設計されたブレードと、前記ビットによって切削された前記材料を開口部から排出させる1つまたは複数の溝とを備えるドリルビットであって、
前記ビットの前記ブレードが、事前に作られた前記開口部の内壁を適切に成形し、かつ、前記ブレードの鈍い部分が第1の段差部の肩部に到達すると停止される、
直交集成板(CLT)に事前に作られ、その後変形してしまった、軸に沿ってほぼ同心の部分を備える多段開口部を処理するための、多段ドリルビット。
【請求項7】
前記ブレードの鋭利にされた第1の部分が、前記ブレードの50%を含む、請求項6に記載のドリルビット。
【請求項8】
前記ブレードの鋭利にされた第1の部分が、前記ブレードの20%~50%を含み、概して前記ブレードの外縁部が鋭利にされている、請求項6に記載のドリルビット。
【請求項9】
2~3箇所の段付き部分を備える、請求項6に記載のドリルビット。
【請求項10】
2~4箇所の段付き部分を備える、請求項6に記載のドリルビット。
【請求項11】
任意の数の段付き部分を有する、請求項6に記載のドリルビット。
【請求項12】
前記ブレードの前記鋭利にされた部分が、前記開口部の変形を有する領域と等しい深さまでにのみ延出する、請求項6に記載のドリルビット。
【請求項13】
前記ブレードを停止させるための前記障壁が、処理される前記開口部の段付き部分の肩部である、請求項6に記載のドリルビット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直交集成板(CLT)建築、締結具として使用されるダボ、および建築要素の接合のための現場で行う準備の分野に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、2つの建築要素を接合するダボが打ち込まれる、事前に作られた開口部の処理に使用されるドリルビットに関する。このドリルビットは、締結具用開口部が設けられた後で建築要素の構成要素にずれが生じた場合に、その開口部を処理して、ダボまたは締結具を公称通りにその中に挿入し、建設プロセスを完了することができるように使用される。
【背景技術】
【0003】
直交集成板(CLT)を使用した大型要素の建築は、こうした材料を大規模構造物構築に使用することに関して言えば、比較的新しい分野である。持続可能な材料の使用および現代的な設計が重要視される場所では、CLT建築の使用が進んでいる。この材料は、鋼鉄およびコンクリートなどの標準的な建築材料と同等の強度および耐久性を有することが明らかになっているが、持続可能な材料の科学およびこれらの特殊な材料での標準的な締結具の使用に関連する問題の結果として、建築要素を固定する新しい方法が必要になっている。
【0004】
CLT要素は、無垢材の層を接着して作られた木材パネル製品である。板の各層が隣接層と直交するように方向づけられ、通常は外側の層が同一の方向づけを有するように対称性に、各板の広い面に接着される。これまで、このような要素が内装の装飾的部分または建物の芸術的要素の部分として使用された場合、部品の固定には、要素同士を釘打ちするか、または要素を貫通する孔を穿設し、ボルトなどの既存の締結具を使用してCLT部材をワッシャおよびナットで結束する方法を含めることができた。しかし、今日では、記述した種類の木材要素が大型のタワーおよび建物にも外部構造部材として使用されている。
【0005】
理解されるように、木材製品に関連する金属の使用は、金属要素が自然に曝されていない場合、例えば住居内の芸術作品などでは成果を上げることができる。外力に曝された金属は酸化し、サイズおよび形状を変化させて、木材の繊維に損傷を引き起こす可能性がある。さらに、木材要素同士を押し付け合う傾向があるそのような標準的な締結具でCLTを結束すると、締結具を締め付ける力によって、表面の木材繊維が損傷する可能性もある。
【0006】
これらの破壊的条件を緩和するために、CLT建築では、パネルが製造される際にパネルに木製ダボ用の開口部を事前に穿設し、構造計画における位置を特定する方法が採られている。建物または橋の建設に使用する鉄骨要素が、多くの場合、構造における配置を示すマークを付けられ、事前に作られた締結具用の開口部を有するのと同様に、CLT建築では、2つ以上の要素を建設現場で接合することができるように配置されたダボを使用して、建設を容易にするための開口部の作成を含めるようになっている。建築用パネルは工場で製造され、パネルが組み立てられる建物内の特定の位置を参照する。パネルのピースが完成すると、そこに開口部が設けられる。
【0007】
残念なことに、このようにして作られた孔は、各段差部が単一軸を中心にほぼ同心円状に位置付けられた段付き領域を備えており、パネルが建設現場に搬入される時点までに、CLTパネルの製造に使用された構成木材のピースのずれが原因で部分的に塞がれているか、または不明瞭になっていることが判明している。このようなパネルでは、開口部の長さにわたって、すべての要素が同心である単一軸が存在しなくなり、したがってダボのスムーズな嵌め込みを妨げることがわかる。ほとんどの場合、ずれはわずかであるが、概してダボを打ち込むために余分な力が必要となる程度には十分なずれであり、多くの場合、段付きダボでは、1つまたは複数の段差部をダボで十分に埋められなくなることが判明している。ダボを孔に十分に打ち込むことができない場合、ユーザは、通常は開口部の底部に嵌合するダボ要素の位置がその分高くなり、開口部が埋められていないか、または十分に埋められていないことに気付くことなく、表面から延出している部分を切り取り、表面と同一の高さにしてしまう可能性がある。これにより連結が弱くなり、構造強度に致命的な影響を与える可能性がある。
【0008】
したがって、本発明の目的は、ダボを挿入する前に、開口部を設計者または技術者によって指定された以上に深くすることなく、各領域を再びそこを通る単一軸を中心にほぼ同心とし、それによってダボが取り付けられたときに構造要素を適切に固定することができるように、事前に穿設されたCLTパネルの孔を建設現場でクリーンアップする手段を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的および利点は、説明が進むにつれて明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0010】
本発明によれば、段付き領域を含む1つまたは複数の領域を有するドリルビットが、ビットの長軸方向に開口部を伸長することなく、木材パネルの開口部をクリーンアップする特定のタスクのために提供される。ビットは、開口部がその中に挿入されるダボの形状に忠実になるように開口部の壁から材料を削ることを可能にする切れ刃および溝で設計される。ビットは、構造要素のすべての孔で、その要素を他の構造要素に接合する直前に使用され、互いに固定されるもう一方の要素の開口部も接合の直前に同様に処理される。クリーンアップ後には、開口部に割り当てられたダボに接着剤を塗布することができ、接合される要素を互いに近接させることができ、次いでダボを1つの構造要素から隣接する要素の中へより容易に打ち込むことができ、それによってこれらの要素を接合する。
【0011】
別の実施形態では、ダボは、ビスケットとして要素の開口部が止まり穴になるように使用することができ、開口部を本発明のビットによってクリーンアップした後、ダボを一方のパネルに差し込み、他方のパネルの開口部も同様にクリーンアップして、ダボが両方の要素に接着するまで要素を互いに押圧する。場合によっては、開口部内にダボを圧入するだけでもパネルを一体に保持するには十分だが、好ましい実施形態では、ダボは、ダボとパネルとを均質要素として機能させるのに役立つ接着剤と同時に使用されて、2つのパネルは接合し、それに応じて動作することが理解されよう。
【0012】
より具体的には、直交集成板(CLT)に事前に作られ、変形してしまった開口部を処理するためのドリルビットが提供され、このビットは、ビットに沿って軸方向に配置され、かつ、材料を切削するように設計された1つまたは複数の切れ刃と、ビットによって切削された材料を開口部から排出させるように設計された1つまたは複数の溝とを備える。ビットの1つまたは複数の切れ刃のうちの最近位部は、事前に作られて現在は変形してしまった開口部の内壁を適切に形作るために鋭利にされた第1の部分を有し、かつ、ブレードに対する障壁に到達したときにビットの軸方向移動を停止させるために鋭利にされていない部分を有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、ドリルビットの切れ刃の鋭利にされた第1の部分は、切れ刃の50%を含む。ただし、切れ刃の鋭利にされた第1の部分は、切れ刃の20%~50%またはそれ以上を含むことができ、概してブレードの外縁部が鋭利にされていることが理解されよう。さらに、いくつかの実施形態で2~3箇所の段付き部分を備えるドリルビットは、2~4箇所の段付き部分、または実際には任意の数の段付き部分を有することができる。
【0014】
孔が締結具と嵌合するために必要な量の材料のみを除去する機能を持つように、3段の段付き開口部の場合には、ビットの切れ刃は、最も近位の段付き部分および2番目に近位の段付き部分でのみ鋭利である。ただし、ドリルビットが、変形を有する開口部の領域と等しい深さまでにのみ延出するようにブレードの鋭利にされた部分を有することは理解されよう。
【0015】
好ましい実施形態では、孔の内部でブレードの進行を停止させるための障壁は、処理される開口部の段付き部分の肩部である。
【0016】
別の実施形態では、直交集成板(CLT)に事前に作られ、その後変形してしまった、軸に沿ってほぼ同心の部分を備える多段開口部を処理するための多段ドリルビットが提供され、ドリルビットは、ビットの最近位段差部でビットに沿って軸方向に配置され、かつ、材料を切削するように設計されたブレードと、ビットによって切削された材料を開口部から排出させる1つまたは複数の溝とを備える。ビットのブレードは、錐面がビットの近位側に向かって大きくなり、ビットの遠位端に向かって狭くなるような円錐状であり、ブレードが円錐の大きい部分では鋭利であり、円錐の狭い部分では鈍くなっているため、ビットのブレードは、事前に作られた開口部の内壁を適切に成形し、かつ、ブレードの鈍い部分が第1の段差部の肩部に到達すると停止される。
【0017】
本発明のより詳細な説明は、以下の説明および特許請求の範囲に提供され、添付の図面に示される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】接合に備えて作られた開口部を有する、長さは自由に変更可能な木材要素の斜視図である。
図2】固定のための所定位置にある、図1の木材要素の図である。
図3図2の線3-3に沿って作られた、図2の要素の断面図である。
図4図3の開口部内に本発明のドリルビットがある状態の図である。
図5A】工場で木材に作られた開口部の図である。
図5B】工場で図5Aと異なる種類の木材に作られた開口部の図である。
図6A】工場で木材に作られた開口部内で所定の位置にあるダボの図である。
図6B】工場で図6Aと異なる種類の木材に作られた開口部内で所定の位置にあるダボの図である。
図7A】本発明のドリルビットの斜視図である。
図7B図7Aの領域Bの拡大図である。
図8図7Aのドリルビットの遠位端の図である。
図9図7Aのドリルビットの平面図である。
図10図7Aのドリルビットの立面図である。
図11】不特定数の段差部を示す代替的なドリルビットの図である。
図12】本発明のドリルビットを使用する前にダボを挿入しようとした状態を示す、隣接する木材要素の断面図である。
図13】本発明のドリルビットを使用中の隣接する木材要素の断面図である。
図14】本発明のドリルビットを使用した後の状態を示す、隣接する木材要素の断面図である。
図15】本発明のドリルビットを使用した後にダボが挿入された状態の隣接する木材要素の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は様々な形の実施形態が可能であるが、以下でより詳細に説明する複数の現在好ましいと考えられる実施形態を図面に示す。本開示は、本発明の例示とみなされるべきであり、本発明を例示された特定の実施形態に限定することを意図するものではないことを理解されたい。本出願のこのセクションの表題(「発明を実施するための形態」)は、米国特許庁の要件に関連し、本明細書に開示される主題を限定するものとみなされてはならないことをさらに理解されたい。
【0020】
図面を参照すると、図1および図2は、本発明のドリルビットの使用対象となる2つの木材パネルの1種類の接合を示す。要素10と要素12とは、要素10の締結具用開口部14と要素12の締結具用開口部16とを使用してほぼ直角に接合され、ダボなどの締結具がその中に押し込まれて要素同士を接合する前に位置合わせされる。本発明の好ましい実施形態(図12および図15に最も明確に示されている)では、使用される締結具は段付きの木製締結具であり、締結具の主軸に沿って、締結具の近位端から遠位端へと円周が次第に小さくなるセグメントが存在することを意味する。図3は、図2の線3-3から取られた連結部の断面を示す。断面では、木材要素10および木材要素12は、層ごとにそれぞれの木目20が垂直に配置された状態で積層された木材の層18を使用して作られており、直交集成板(CLT)木材要素を作ることがわかる。図1図2および図3では、木材要素10、12の開口部が示され、図3から明らかなように、2つの要素10、12を一体に保持するために使用される締結具の種類は段付き締結具、すなわち、同一軸に沿って直径の異なる領域を備える締結具である。CLT構造物の組み立てにおける好ましい締結具は、図12および図15に、ならびに図6Aおよび図6Bの断面に示すように、木製ダボ24である。現在の状況では、より小さい直径の開口部16が遠位端にあり、より大きい開口部14が近位端にあり、それによって段付き締結具を開口部に配置することができる。
【0021】
建築用のCLTパネル10、12の製造では、締結具用開口部14、16は製造時点で設けられ、木材要素10、12は組み立ての準備が整った状態で現場に出荷され、建築計画における正確な位置が特定されることが一般的である。所望の締結具が必要に応じて広い直径でより大きな強度を提供する段付き締結具であるため、そのような締結具と協働するように作られた孔または開口部もまた段差部を有し、しかも締結具が開口部内に配置される時に、締結具の各段差部が、開口部の対応する段差部に合致しなければならないことが理解されよう。基本的な鍵と鍵穴の関係である。これは、図3および図4ならびに図12図15のいずれにも明確に示されている。図5aおよび図5Bは、孔25に締結具が入る前の要素10と要素12との接合部を示す。図5Aおよび図5bは、出荷前に工場で見られる開口部25のままの理想的な開口部25を示し、層18のすべては、そこを通る開口部が完全に揃った状態で示されている。
【0022】
図6Aに示すように、締結具用開口部14の位置は、締結具の各層の肩部24sおよびシャフト24tが木材の協働要素との連結に最大強度を提供する配置となるように正確に作られなければならず、図6Aでは、締結具の最も近位の肩部24sが構成層の中央部分に適切に配置され、次に遠位の肩部24s′は、締結具の堅牢な部分またはシャフト24tが2つの木材要素10、12の実際の連結部26を跨ぐ形で第2の木材要素12に設置され、そこに締結具の途切れのないスパンを提供することがわかる。この締結具用開口部の作成および事前準備のシステムでは、時間、移動、および周囲条件の変化に伴い、CLTの積層された層にずれが生じる可能性があり、多くの場合はずれが生じることが明らかとなっている。これが、本発明が解決しようとする課題である。
【0023】
特に図3(および図12)で、上部要素の木材の構成層18(この断面は木材要素の木目の平面に垂直な平面に沿って取られ、下部の断面は、木目の軸に平行な単一層を通って取られるものとして見える)は、開口部25が作られてから要素10、12が建設現場に搬入されるまでの期間にずれが生じる傾向があることがわかるだろう。層ごとに示されている開口部14Aの軸は、ずれのために折れ曲がった線として示され、開口部の円筒状セグメントが同心でなくなっていることに留意されたい。図12に示すように、ずれのために、締結具24は、そのために設けられた開口部14に嵌合することができなくなっている。
【0024】
事前に作られた開口部14内に締結具24を嵌合させるために使用される従来技術の解決策は、図4に示すように、孔25を作るために使用された元のドリルビット30を使用して孔25を処理することであった。しかし、この作業で元のドリルビット30を使用すると、工場の理想的な条件では可能な精度が現場では得られないため、開口部に損傷を引き起こす傾向があり、元のドリルビットで開口部を処理する作業者は、特に、当初よりも25dをより深くすることによって、各段付き層での肩部24sの掘り下げおよび最も低い(または最も遠位の)層27へのより深い穿孔を含め、孔を損傷する傾向があった。このような行為により、締結具は開口部のより深くに配置されて、締結具と接合部との強度に影響を与え、構造を損なうほどエンジニアリングに変化を及ぼす。また、現場での元のドリルビットの使用は、工場では得られる制御が欠如するために、開口部を損傷させる、大きくしすぎる、歪ませるなどの結果を招く可能性が大いにあることが理解されよう。
【0025】
本発明は、図7Aおよび図7Bに示す、孔25を作るために使用される元のドリルビットとサイズおよび構成が類似しているが、開口部14を処理するのに役立ち、ただし開口部の当初のパラメータを超えるように切削することはできない、ビット40上に設けられた鋭い縁部42と鈍い縁部44とを戦略的に有するドリルビット40を提供する。典型的なドリルビットは、ビットに切削力を提供するために全体を通して鋭利にされた表面で構成されているが、本明細書では、ビットが締結具用開口部14の当初の形状を超えて締結具用孔25の深さ全体を切削することが望ましくないことは、当業者には理解されよう。
【0026】
ここで図7Aを参照すると、本発明のドリルビット40が示されている。ビット40は、段付き締結具24のための開口部を作ることができるように、段付き穿孔領域46、47、および48を備えることがわかるだろう。ビット40は、当業者には周知の方法でドリルビットが木材に切込み、切削された木材を開口部から除去することを可能にする切れ刃50と溝52とを有しているように図示されている。しかし、本発明のビットでは、図7Bに最も明確に示すように、ビット40の切れ刃50は、切削ブレード42の近位側が鋭利にされ、ブレードの遠位側44が鈍くなるように作られる。好ましい実施形態では、鋭利にされた表面はブレード面の約半分であり、鈍い領域はブレードの残りの半分である。ビットの切削表面が円錐形領域を含むため、ブレード42の鋭利にされた部分は、シャフト48またはドリルビット40の軸から最も遠位の部分であることがわかり、一方、切削表面の鈍い縁部44は、シャフト48またはビット40の軸に最も近い表面部分であることも同様に理解されよう。本発明でのクリーンアップは孔の外周に向けられており、表面の鈍い部分は、後述するように、適切な瞬間にプロセスを停止するために使用されるので、鋭利な要素と鈍い要素との相対的位置は、プロセスの理解に重要である。当業者には、本発明の新規性の範囲から逸脱することなく、所望の結果を得るために鋭利な部分と鈍い部分との割合を変化させ得ることが理解されよう。
【0027】
木材の構成層18でのずれは、締結具用の孔が積層された木材の構成層18に垂直に作られている木材要素10にのみ影響を及ぼし、ビットが木材の木目に沿って切削する木材要素14(図1の下部木材要素を参照)の部分では、少なくとも修理が必要な程度にまで、ずれは生じないことも理解されよう。
【0028】
したがって、本発明のクリーンアップ用ドリルビットの作成では、ビットの鋭利にされた領域をビットの最近位層のみに作っても、下層に影響を与えることなく、その周囲で発生する木材層のずれを処理する十分な効果を発揮することができる。ビット40の領域46では、ビット49の残りのブレードを鈍いままにすることができ、図3からわかるように、木材にずれがなく、したがってその場所を処理する必要のない場所56では、これらのブレードは締結具用開口部25の内周に到達するのみである。
【0029】
上述した方法および図7Aおよび図7Bで鋭利にされたビット40上のブレード50を使用することで、ビットは開口部の周囲(層のずれの作用によって開口部内にずれ込んだ材料)から材料を除去するが、下側または内側部分44が鋭利にされていないため、ビット40は肩部24sをそれ以上深く切削しない。ビット40上のブレード50の鈍い縁部44は、鈍い縁部44が肩部24sに当たるとビット40を実際に停止させ、処理プロセスが完了したことを示す。
【0030】
当業者には、本発明の新規性の範囲から逸脱することなく、(図11に示すように)任意の数の肩部を設け得ること、ならびに、必要に応じて、本発明のビットが任意のブレード上に鋭利にされたセグメントを木材の層の数および積層部分の長さに従って有し得ることが理解されよう。ビット40の要素は、図8図11でより明確に示されている。
【0031】
図4は、締結具用開口部25内の従来技術のビット30を示し、ここでは開口部の軸線14Aが開口部25を通って完全に真っ直ぐになり、開口部が拡大されて、その結果、この開口部用に選択された締結具24が開口部に対してやや小さすぎるものとなり、開口部内に過度に深く埋まって連結を弱める。
【0032】
締結具用開口部を処理するステップを示すために図12図15の一連の図面が含まれており、締結具24を開口部14に適切に押し込むことができない状態を示すことによって説明されている構成層のずれが原因で、締結具24を2つの木材要素10、12の接合部の所望の位置に配置することができず、締結具が開口部への中間点付近で詰まっている様子が最初に示される。図13では、開口部を処理するために、本発明のビット30がここで使用されている。この作業は、ドリルビット40を備えたドリルをその中で使用し、本発明の作用によってビットが停止するまで孔25の内部でビットを作動することによって実行される。これは、壁がビット40のブレード部分42によって切削され、ブレード部分44が孔の内部で肩要素に当たってブレードが停止するまでビットが作動していることを意味する。次に、図14に示すように、より良好な、処理された状態でここでは示されている孔25からビットを取り出すことができる。その後、図15に示すように、必要に応じて締結具24を配置することができる。
【0033】
本発明の例示的な実施形態を示し、説明してきたが、本発明の新規性および範囲から逸脱することなく、様々な修正および置換が当業者によって行われ得ることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15