(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】テラヘルツ放射線を送信および/または受信するための装置、およびその使用
(51)【国際特許分類】
H01S 1/02 20060101AFI20241225BHJP
G01N 21/3581 20140101ALI20241225BHJP
G01B 11/06 20060101ALI20241225BHJP
G01C 3/06 20060101ALI20241225BHJP
G01S 17/08 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
H01S1/02
G01N21/3581
G01B11/06 Z
G01C3/06 120Q
G01S17/08
(21)【出願番号】P 2021562298
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2020086381
(87)【国際公開番号】W WO2021122716
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-08-21
(31)【優先権主張番号】102019135487.0
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】309007036
【氏名又は名称】ヘルムート・フィッシャー・ゲーエムベーハー・インスティテュート・フューア・エレクトロニク・ウント・メステクニク
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マストル、リュディガー
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-181708(JP,A)
【文献】特開2014-219306(JP,A)
【文献】特開2012-198135(JP,A)
【文献】特開2005-311324(JP,A)
【文献】特開2013-171954(JP,A)
【文献】特開2012-222303(JP,A)
【文献】特開2004-354246(JP,A)
【文献】特開2011-203718(JP,A)
【文献】特開2009-124437(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0087690(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0068270(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 1/00 - 1/06
G01N 21/00 - 21/01
G01N 21/17 - 21/61
G01B 11/00 - 11/30
G01C 3/00 - 3/32
G01S 7/48 - 7/51
G01S 17/00 - 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テラヘルツ放射線(TS1、TS2)を送信および/または受信するための装置(100;110a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)であって、
テラヘルツ放射線(TS1、TS2)を生成および/または検出するように構成された少なくとも1つのテラヘルツ要素(110;110a;110b;110a’;110_1、110_2)と、
少なくとも1つの前記テラヘルツ要素(110;110a;110b;110a’;110_1、110_2)に割り当てられた少なくとも1つの電磁場整形要素(120;120a)と、
を含み、
少なくとも1つの前記テラヘルツ要素(110;110a;110b;110a’;110_1、110_2)は、前記電磁場整形要素(120;120a)の第1の表面(121)の領域に配置され、
少なくとも1つの前記テラヘルツ要素(110;110a;110b;110a’;110_1、110_2)は、少なくとも1つの前記テラヘルツ要素(110;110a;110b;110a’;110_1、110_2)と前記電磁場整形要素(120;120a)との間に少なくとも局所的にエバネッセント結合が生じるように前記電磁場整形要素(120;120a)の前記第1の表面(121)に対して配置され、
少なくとも1つの前記テラヘルツ要素(110;110a;110b;110a’;110_1、110_2)が、第1の基板(114)および電極配置(115)を備え、
前記電極配置(115)が、前記第1の基板(114)の第1の表面(114a)上に配置され、
前記電磁場整形要素(120;120a)は前記第1の表面(121)の反対側の第2の表面(122)の領域において、反射低減効果を有する表面改質を有し、
前記装置(100;110a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)
は、少なくとも1つの前記テラヘルツ要素(110;110a;110b;110a’;110_1、110_2)に第1パルス周波数を有する第1パルスレーザ放射(S2a)及び第2パルス周波数を有する第2パルスレーザ放射(S2b)を一時的に印加するように構成され、
前記第2パルス周波数は前記第1パルス周波数と少なくとも一時的に異なる、
装置。
【請求項2】
前記電磁場整形要素(120;120a)の前記第1の表面(121)の反対側の前記第2の表面(122)が反射防止コーティング(124)として反射低減効果を有する表面改質を有する、請求項1に記載の装置(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)。
【請求項3】
前記反射低減効果は、3THzから10THzの間の周波数範囲に対して最適化されている請求項1に記載の装置(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)。
【請求項4】
少なくとも局所的に、接合層(130)が、少なくとも1つの前記テラヘルツ要素(110;110a;110b;110a’;110_1,110_2)と前記電磁場整形要素(120;120a)の前記第1の表面(121)との間に配置され、
前記接合層(130)の層厚(d1)が50μm未満である請求項1に記載の装置(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)。
【請求項5】
前記接合層(130)の層厚(d1)が、前記接合層(130)における前記テラヘルツ放射線(TS1、TS2)の波長の4分の1よりも小さい請求項4に記載の装置(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)。
【請求項6】
前記接合層(130)の層厚(d1)が、前記接合層(130)における前記テラヘルツ放射線(TS1、TS2)の最大周波数の波長の4分の1よりも小さい請求項4に記載の装置(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)。
【請求項7】
前記接合層(130)が、以下の材料、a)PEおよび/またはHDPEおよび/またはPPおよび/またはPTFEおよび/またはPMP、b)少なくとも1つの添加材料を含むPEおよび/またはHDPEおよび/またはPPおよび/またはPTFEおよび/またはPMP、c)少なくとも1つの添加材料を含む接着材料、の少なくとも1つを少なくとも部分的に含むか、または少なくとも1つから形成される、請求項4に記載の装置(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)。
【請求項8】
前記接合層(130)が、1.6以上の屈折率nを有する、
請求項4に記載の装置(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)。
【請求項9】
少なくとも1つの前記テラヘルツ要素(110;110a;110b;110a’;110_1,110_2)または前記第1の基板(114)は、光導電性材料を含み、前記光導電性材料は以下の材料(a)リン化インジウム(InP)、(b)ヒ化ガリウム(GaAs)、(c)ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)。
【請求項10】
少なくとも1つの前記テラヘルツ要素(110;110a;110b;110a’;110_1,110_2)は、少なくとも1つのさらなる基板(116)を含み、
前記第1の基板(114)は、少なくとも局所的には、少なくとも1つの前記さらなる基板(116)上に配置され、
前記第1の基板(114)は、少なくとも1つの前記さらなる基板(116)上で、少なくとも局所的に、少なくとも1つの前記さらなる基板(116)上、少なくとも1つの前記さらなる基板(116)の第1の表面(116a)上に、前記第1の基板(114)の第1の表面(114a)の反対側の第2の表面(114b)を備える、請求項1に記載の装置(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)。
【請求項11】
前記第1の基板(114)および/または少なくとも1つのさらなる基板(116)が、1450nm~1650nmの間の波長範囲または850nm~1650nmの間の波長範囲の光放射(S1)に対して少なくとも部分的に透明であり、透過率が90パーセントを超える、請求項1に記載の装置(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)。
【請求項12】
少なくとも1つの前記さらなる基板(116)が、前記第1の基板(114)の材料とは異なる材料を含む、請求項10に記載の装置(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)。
【請求項13】
a)前記第1の基板(114)の前記第1の表面(114a)の反対側の第2の表面(114b)または前記第2の表面(114b)、またはb)少なくとも1つの前記さらなる基板(116)の第1の表面(116a)の反対側の第2の表面(116b)は、第1の光放射(S1)に曝される、請求項10に記載の装置(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)。
【請求項14】
前記第1の光放射(S1)は、1450nm~1650nmの間の波長範囲のレーザ放射(S1)である、請求項13に記載の装置(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)。
【請求項15】
照射装置(140)が、前記テラヘルツ要素(110;110a;110b;110a’;110_1,110_2)の少なくとも1つの領域を前記第1の光放射(S1)に少なくとも一時的に曝露するために設けられ、
前記照射装置(140)が、少なくとも1つの光ファイバ(140)を含むか、または光ファイバ(140)として形成され、
前記光ファイバ(140)は、前記第1の光放射(S1)を結合するための出射面(141)が、a)前記第1の基板(114)の前記第1の表面(114a)の反対側の第2の表面(114b)もしくは第2の表面(114b)、またはb)少なくとも1つの前記さらなる基板(116)の前記第1の表面(116a)の反対側の第2の表面(116b)、と反対側にあり、
aa)前記第1の基板(114)の前記第2の表面(114b)、またはbb)少なくとも1つの前記さらなる基板(116)の前記第2の表面(116b)、またはその両方が前記第1の光放射(S1)に露光されるように、前記第1の基板(114)および/または少なくとも1つの前記さらなる基板(116)に対して配置または位置合わせされる、請求項13に記載の装置(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)。
【請求項16】
前記光ファイバ(140)は、偏波保持光ファイバである、
請求項15に記載の装置(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)。
【請求項17】
前記装置(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)は、複数のテラヘルツ要素(110_1、110_2、…)を備え、
a)複数の前記テラヘルツ要素(110_1、110_2、…)のうちの少なくとも2つが、前記電磁場整形要素(120;120a)の前記第1の表面(121)の領域に配置され、および/または
b)少なくとも1つの前記電磁場整形要素(120;120a)は、複数の前記テラヘルツ要素(110_1、110_2)のうちの少なくとも2つに割り当てられ、
A)複数の前記テラヘルツ要素(110_1、110_2、…)のうちの少なくとも2つが並んで配置され、少なくとも2つの前記テラヘルツ要素(110_1、110_2、…)のそれぞれの電極配置(115_1、115_2)が少なくとも同じ第1の仮想平面(E1)内で横たわっており、前記第1の仮想平面(E1)は前記電磁場整形要素(120;120a)の第1の表面(121)に平行であり、または、
B)複数のテラヘルツ要素(110_1、110_2、…)のうちの少なくとも2つは、前記テラヘルツ放射線(TS1、TS2)のビーム方向に対して前後に配置され、少なくとも2つの前記テラヘルツ要素(110_1、110_2、…)のそれぞれの電極配置(115_1、115_2)は、互いに異なるそれぞれの仮想平面(E1、E2)内に位置し、前記仮想平面(E1、E2)のうちの少なくとも2つは、前記電磁場整形要素(120;120a)の前記第1の表面(121)に平行である、請求項1に記載の装置(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)。
【請求項18】
複数の前記テラヘルツ要素(110_1、110_2)のうちの少なくとも2つが、空間的に少なくとも部分的に重なり合うか、または、
複数の前記テラヘルツ要素(110_1、110_2)に共通電極構造(115_12)が割り当てられている、請求項17に記載の装置(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)。
【請求項19】
前記装置(100;110a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)が、平行ビームの形成で前記テラヘルツ放射線(TS1、TS2)を出力または受信するか、または、出力および受信するように構成される、請求項1に記載の装置(100;110a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)。
【請求項20】
前記装置(100;110a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)は、前記第1パルスレーザ放射(S2a)を生成および/または提供するための第1のレーザ源(140a)と、前記第2パルスレーザ放射(S2b)を生成および/または提供するための第2のレーザ源(140b)と、を備える、請求項1に記載の装置(100;110a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)。
【請求項21】
前記装置(100;110a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)は、前記テラヘルツ放射線(TS1、TS2)の少なくとも1つのビーム径路(BP)に保護ガス(SG)を含む保護ガス流(SGS)を提供するように構成され、前記保護ガス(SG)は、(a)乾燥空気、(b)乾燥ガス、(c)乾燥ガス混合物、(d)前記テラヘルツ放射線(TS1、TS2)の周波数範囲に吸収線を有さない少なくとも1つのガス、のうちの少なくとも1つを含むか、または少なくとも1つから形成されている、請求項1に記載の装置(100;110a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)。
【請求項22】
前記保護ガス(SG)は、-20℃以下の露点温度を有し、前記保護ガス(SG)は、前記テラヘルツ放射線(TS1、TS2)の各周波数に対して、0.1dB以下のビーム経路(BP)に沿った前記テラヘルツ放射線(TS1、TS2)の減衰を生じさせる、請求項21に記載の装置(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)。
【請求項23】
前記装置(100;110a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)は、a)前記保護ガス流(SGS)を少なくとも一時的に提供するための少なくとも1つの供給装置(150)、またはb)前記保護ガス(SG)の圧力を操作するための少なくとも1つの圧力操作部材、をさらに備える、請求項21に記載の装置(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)。
【請求項24】
前記装置(100;110a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)は、少なくとも1つのノズル(152)をさらに含み、前記ノズル(152)は、前記保護ガス流(SGS)または前記保護ガス流(SGS)の少なくとも一部を前記テラヘルツ放射線(TS1、TS2)の前記ビーム径路(BP)の少なくとも1つの領域内に導くように適合または配置され、少なくとも1つの前記ノズル(152)は、自由噴流ノズルである、請求項21に記載の装置(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)。
【請求項25】
前記装置(100;110a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)は、a)前記装置(100)に対する測定対象物(OBJ’;OBJ”)の距離、b)測定対象物(OBJ’;OBJ”)に対する前記装置(100)の傾斜、c)測定対象物(OBJ;OBJ’;OBJ”)の形状、の少なくとも1つを測定または決定可能な少なくとも1つの光学センサ装置(170)を含む、
請求項1に記載の装置(100;110a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)。
【請求項26】
測定対象物(OBJ;OBJ’;OBJ”;OBJ”’)の少なくとも1つの物理パラメータを決定するための測定装置(1000)であって、請求項1に記載の少なくとも1つの前記装置(100;110a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)を含み、前記測定装置(1000)は、前記少なくとも1つの層(10,11,12)のモデルを用いるモデルベースの方法が用いられることによって、前記測定対象物(OBJ;OBJ’;OBJ”;OBJ”’)の前記少なくとも1つの層(11,12,13)の層厚(t1,t2,t3)を決定するように構成されている、測定装置(1000)。
【請求項27】
請求項1に記載の装置(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f;100g;100h;100i;100j;100k)、および/または、請求項26に記載の測定装置(1000)の使用であって、
a)テラヘルツ放射線(TS1、TS2;TS;TSR)を送信(202)または受信(204)すること、もしくは送信(202)および受信(204)すること、
b)部品(10)上で、1つ以上の層の層厚(t1、t2、t3)を決定(206)すること、
c)前記テラヘルツ放射線(TS1、TS2;TS;TSR)のビーム経路(BP)において、第1ミラー(162a1)を少なくとも一時的に位置決め(207a)すること、および、第2ミラー(162a2)を少なくとも一時的に位置決め(207b)すること、
d)少なくとも1つの前記テラヘルツ要素(110;110a;110b;110a’;110_1、110_2)と前記電磁場整形要素(120;120a)との間のエバネッセント結合を、少なくとも一時的にまたは少なくとも局所的に提供(208)すること、もしくは、少なくとも一時的かつ局所的に提供(208)すること、
e)少なくとも1つの空間領域へ保護ガス(SG)を少なくとも一時的に提供(209a)することであって、少なくとも1つの空間領域へ少なくとも一時的に前記保護ガス(SG)を提供(209a)することは、テラヘルツ放射線(TS1、TS2;TS;TSR)の送信(202)および/または受信(204)と同期される、
提供すること、
f)前記空間領域または前記保護ガス(SG)が印加されている前記空間領域へのテラヘルツ放射線(TS1、TS2;TS;TSR)の印加(209b)すること、
のうち少なくとも1つに対する使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、テラヘルツ(THz)放射線を送信および/または受信するための装置に関する。本開示は、さらに、そのような装置の使用に関する。
【発明の概要】
【0002】
好ましい実施形態は、テラヘルツ(THz)信号を生成および/または検出するように構成された少なくとも1つのテラヘルツ要素と、少なくとも1つのテラヘルツ要素に特に割り当てられた少なくとも1つの電磁場整形要素とを含む、テラヘルツ(THz)放射線を送信および/または受信する装置に関する。ここで、少なくとも1つのテラヘルツ要素は、電磁場整形要素の第1の表面の領域に配置される。
【0003】
さらに好ましい実施形態では、少なくとも1つのテラヘルツ要素が、電磁場整形要素の第1の表面に対して、特に少なくとも局所的に、少なくとも1つのテラヘルツ要素と電磁場整形要素との間にエバネッセント結合が存在するように配置されることが提供される。このようにして、例えば、少なくとも1つのテラヘルツ要素によって生成されるテラヘルツ放射線を、電磁場整形要素内に効率的に結合することができ、および/または受け取るべきテラヘルツ放射線を、電磁場整形要素からテラヘルツ要素内に効率的に結合することができる。これにより、成分間のテラヘルツ放射線の結合の効率が高まる。
【0004】
さらに好ましい実施形態では、少なくとも1つのテラヘルツ要素が、特に少なくとも局所的には、少なくとも1つのテラヘルツ要素と電磁場整形要素との間でフラストレート全反射が発生し得るおよび/または発生し得るように、電磁場整形要素の第1の表面に対して配置されることが提供される。
【0005】
さらに好ましい実施態様において、電磁場整形要素が少なくとも1つのレンズを含みおよび/またはレンズとして形成されることが提供される。
【0006】
さらに好ましい実施形態では、少なくとも1つのレンズが、半球レンズとして、または超半球レンズとして、または非球面レンズとして形成されることが提供される。
【0007】
さらに好ましい実施形態では、電磁場整形要素は、特に1THz~10THzの範囲で、好ましくは屈折率の変化が5%未満の低い分散、および/またはテラヘルツ放射線に対して好ましくは2%未満の低い吸収、を有することが提供される。
【0008】
さらに好ましい実施態様において、電磁場整形要素は、少なくとも次の材料のうちの少なくとも1つを少なくとも部分的に含むか、または以下の材料のうちの少なくとも1つから形成されることが提供される。a)シリコン、b)ポリマー材料、特に、PEおよび/またはHDPEおよび/またはPPおよび/またはPTFEおよびまたはおよび/またはポリメチルペンテン、PMP、c)ポリマー材料、特に、PEおよび/またはHDPEおよび/またはPPおよび/またはPTFEおよび/またはPMPであり、少なくとも1つの添加材料、特に、屈折率増加添加材料、例えば、二酸化チタン、TiO2および/または二酸化アルミニウム、Al2O3。
【0009】
さらに好ましい実施態様において、電磁場整形要素は、少なくとも1つの表面の領域、特に第1の表面の領域および/または第1の表面に対向する第2の表面上に、反射低減効果を有する表面改質、好ましくは反射防止コーティングを有し、ここに、反射低減効果、特に反射防止コーティングは、1THzから10THzの間、特に1THzから10THzの間の周波数範囲、さらに特に4.5THzから6.5THzの間に最適化されることが提供される。
【0010】
さらに好ましい実施形態では、少なくとも局所的に、接合層、特に接着層が、少なくとも1つのテラヘルツ要素と電磁場整形要素の第1の表面との間に配置されることが提供される。
【0011】
さらに好ましい実施態様において、接合層の層厚が50マイクロメートル(μm)未満特に10μm以下、特に7μm以下、さらに特に4.0μm以下、さらに特に1.0μm以下であることが提供される。
【0012】
さらに好ましい実施形態では、接合層の層の厚さは、接合層内のテラヘルツ信号の波長の4分の1よりも小さく、特に、接合層内のテラヘルツ信号の最大周波数の波長の4分の1よりも小さいことが提供される。
【0013】
さらに好ましい実施態様において、接合層は、少なくとも次の材料のうちの少なくとも1つを部分的に含むか、または少なくとも次の材料のうちの少なくとも1つから形成されることが提供される。a)ポリマー材料、特にPEおよび/またはHDPEおよび/またはPPおよび/またはPTFEおよび/またはPMP、b)ポリマー材料、特にPEおよび/またはHDPEおよび/またはPPおよび/またはPTFEおよびまたはおよび/またはPMP、であって少なくとも1つの添加材料、特に屈折率増加添加材料、例えば二酸化チタン、TiO2、および/または酸化アルミニウム、Al2O3を含むもの、c)接着材料、特に少なくとも1つの添加材料、特に屈折率増加添加材料、例えば二酸化チタン、TiO2、および/または二酸化アルミニウム、Al2O3、を用いた接着材料。
【0014】
さらに好ましい実施態様において、接合層が、1.6以上、特に2.0より大きい、特に3.0より大きい屈折率nを有することが提供される。
【0015】
さらに好ましい実施形態では、少なくとも1つのテラヘルツ要素が、特に少なくとも局所的に、力適合および/または形状適合および/または材料適合の方法で電磁場整形要素に接続され、特にクランプ接続および/またははんだ接続が提供される。
【0016】
さらに好ましい実施形態では、少なくとも局所的に、少なくとも1つのテラヘルツ要素と電磁場整形要素の第1の表面との間に、ギャップ、特に空隙、さらに特に技術的ゼロギャップが設けられる。
【0017】
さらに好ましい実施態様において、少なくとも1つのテラヘルツ要素は、第1の表面を有する電磁場整形要素の第1の表面上に、特に少なくとも局所的に、面積的に載置されることが提供される。
【0018】
さらに好ましい実施形態では、少なくとも1つのテラヘルツ要素は、第1の基板および電極配列を備え、特に、電極配列は、第1の基板の第1の表面上に配列されることが提供される。さらに好ましい実施形態によれば、電極配列は、例えば、テラヘルツパルスを生成するために使用され得る電気のDC電圧を提供するために、または、例えば、信号増幅および/または信号評価のためにテラヘルツ信号を受け取ったときに生成される電流を導出するために使用され得る。
【0019】
さらに好ましい実施態様において、第1の基板の第1の表面は、電磁場整形要素の第1の表面に面していることが提供される。ここで、特に、第1の基板の第1の表面は、電磁場整形要素の第1の表面に、特に、少なくとも局所的に、面で接触する。
【0020】
さらに好ましい実施形態では、少なくとも1つのテラヘルツ要素および/または第1の基板は、光導電材料を備え、特に、光導電材料は、以下の材料のうちの少なくとも1つを含む。a)リン化インジウム、InP、b)ガリウム砒素、GaAs、c)インジウムガリウム砒素、InGaAs。ここで、特に、光導電材料は、特に、鉄でドープされる。
【0021】
さらに好ましい実施形態では、少なくとも1つのテラヘルツ要素は、1つ以上のさらに基板を含み、第1の基板は、特に少なくとも局所的には、1つのさらに基板上または複数のさらに基板上に配置され、特に、第1の基板は、第1の表面の反対側の第2の表面を備え、特に少なくとも局所的には、少なくとも1つのさらなる基板上に、特に、少なくとも1つのさらなる基板の第1の表面上に配置される。
【0022】
さらに好ましい実施形態では、第1の基板および/または少なくとも1つのさらなる基板は、1450ナノメートル(nm)から1650nmの間の波長範囲、および/または850nmから1650nmの間の波長範囲の光放射に対して少なくとも部分的に透明であることが提供される。
【0023】
さらに好ましい実施形態では、第1の基板および/または少なくとも1つのさらなる基板は、光放射線に対して、特に前述の波長範囲において、比較的高い透過率を有する。さらに好ましくは、比較的高い透過率は、材料(例えば、シリコン、Si、二酸化シリコン、SiO2)の選択および/または(少なくとも1つのさらなる)基板の少なくとも1つの表面、特に、光放射が照射され得る(少なくとも1つのさらなる)基板の表面または側面上の反射低減コーティングによって達成され得る。
【0024】
さらに好ましい実施形態では、a)第1の表面の反対側の第2の表面、または第1の基板の第2の表面、および/または、b)さらに少なくとも1つのさらなる基板の第1の表面の反対側の第2の表面は、第1の光放射、特にレーザ放射、特に1450nm~1650nmの波長範囲のレーザ放射に曝され得ることが提供される。
【0025】
さらに好ましい実施形態では、テラヘルツ要素の少なくとも1つの領域を第1の光放射線または第1の光放射線に少なくとも一時的に露光するための照射装置が設けられ、照射装置は、少なくとも1つの光ファイバを備えるか、または光ファイバとして形成される。
【0026】
さらに好ましい実施形態では、照射装置、特に光ファイバは、第1の光放射をカップリングする出射面が、a)第1の表面の反対側の第2の表面または第1の基板の第2の表面、および/またはb)少なくとも1つのさらなる基板の第1の表面に反対側の第2の表面、特に、aa)第1の基板の第2の表面、および/またはbb)少なくとも1つのさらなる基板の第2の表面が第1の光放射に曝されるように、第1の基板および/または少なくとも1つのさらなる基板に対して配置および/または位置合わせされることが提供される。
【0027】
さらに好ましい実施形態では、光ファイバがモノモードファイバ、特に偏波面保存光ファイバであることが提供される。
【0028】
さらに好ましい実施形態では、装置は、複数のテラヘルツ要素を備えることが提供される。ここで、a)複数のテラヘルツ要素のうちの少なくとも2つ、好ましくはすべてが、電磁場整形要素の第1の表面の領域に配置される、および/またはb)少なくとも1つの電磁場整形要素は、複数のテラヘルツ要素のうちの少なくとも2つに割り当てられる。
【0029】
さらに好ましい実施形態では、複数のテラヘルツ要素のうちの少なくとも2つ、好ましくはすべてが並んで配置されることが提供される。ここで、特に、少なくとも2つのテラヘルツ要素、好ましくはすべてのテラヘルツ要素のそれぞれの電極配置は、同一の第1の仮想平面内に存在し、特に、第1の仮想平面は、電磁場整形要素の第1の表面に平行である。
【0030】
さらに好ましい実施形態では、複数のテラヘルツ要素のうちの少なくとも2つ、好ましくはすべてが、互いの背後に1つずつ配置されることが提供される。ここで、特に、少なくとも2つのテラヘルツ要素、好ましくはすべてのテラヘルツ要素のそれぞれの電極配置は、互いに異なるそれぞれの仮想平面内に存在し、特に、仮想平面のうちの少なくとも2つは、電磁場整形要素の第1の表面に平行である。
【0031】
さらに好ましい実施形態では、複数のテラヘルツ要素のうちの少なくとも2つが空間的に少なくとも部分的に重なるように設けられる。
【0032】
さらに好ましい実施形態では、共通電極構造が複数のテラヘルツ要素に割り当てられることが提供される。
【0033】
さらに好ましい実施形態では、装置は、発散ビームの形態でテラヘルツ放射線を出力するように構成されることが提供される。発散ビームは、特に、1つまたは複数のミラー、特に、放物面ミラー、特に、軸外放物面ミラーで実現され得る。さらに好ましい実施形態では、装置は、平行ビームの形態でテラヘルツ放射線を出力するように構成されることが提供される。
【0034】
さらに好ましい実施形態では、装置は、テラヘルツ放射線のビーム経路を操作するための少なくとも1つの操作デバイスを備えるものとし、特に、少なくとも1つの操作デバイスは、テラヘルツ放射線のための反射デバイス、特に少なくとも1つのミラーを備える。
【0035】
さらに好ましい実施形態では、反射装置は、少なくとも第1ミラーおよび第2ミラーを備え、装置は、a)第1ミラーまたは第2ミラーをテラヘルツ放射線のビーム経路内に選択的に位置決めする、および/またはb)テラヘルツ放射線のビーム経路内に、少なくとも一時的に第1ミラーを位置決めし、少なくとも一時的に第2ミラーを位置決めするように構成される。
【0036】
さらに好ましい実施形態において、第1ミラーが第1焦点距離を有し、前記第2ミラーが前記第1焦点距離と異なる第2焦点距離を有することを特徴とする。
【0037】
さらに好ましい実施形態では、第2ミラーは、工具なしでおよび/またはモータによって駆動および/または変更および/または交換することができ、ここで、例えばさらに、例えば第3ミラーによって置き換えることができ、第2および第3ミラーの後のテラヘルツ放射のビーム方向は、好ましくは、共線形である。さらに好ましい実施形態では、これは、例えば、複数のストップ、特に、例えば、それぞれのミラーの軸方向および横方向の位置決めのために実現することができる。
【0038】
さらに好ましい実施形態では、装置は、特に少なくとも第1および/または第2のミラーを少なくとも一時的に保持および/または位置決めするための、a)クリックモジュール、b)磁気ホルダー、c)タレット、のうちの少なくとも1つを備えることが提供される。
【0039】
さらに好ましい実施形態では、装置は、少なくとも1つのテラヘルツ要素と、少なくとも一時的に、第1パルス周波数を有する第1パルスレーザ放射と、第2パルス周波数を有する第2パルスレーザ放射とに印加されるように構成され、特に、第2パルス周波数は、第1パルス周波数とは異なる。
【0040】
さらに好ましい実施形態では、装置は、テラヘルツ放射線の、特にテラヘルツ信号の、ビーム経路の少なくとも1つの領域内に保護ガスを含む保護ガス流を提供するように適合され、ここに、特に、保護ガスは、以下の要素のうちの少なくとも1つを含むか、または以下の要素のうちの少なくとも1つから形成される。(a)乾燥空気、(b)乾燥ガス、(c)乾燥ガス混合物、(d)テラヘルツ放射線の周波数範囲内に吸収線を有さない少なくとも1つのガス。特に、保護ガスは、-20℃(摂氏度)以下、好ましくは-30℃以下、さらに好ましくは-40℃以下の露点温度を有し、特に、保護ガスは、好ましくは、テラヘルツ放射線の各周波数に対して、0.1dB以下のビーム経路に沿ったテラヘルツ放射線の減衰を生じさせる。
【0041】
さらに好ましい実施形態では、装置は、a)保護ガス流を少なくとも一時的に提供するための少なくとも1つの供給装置、および/またはb)保護ガスの圧力を操作するための少なくとも1つの圧力操作部材、をさらに含むことが提供される。
【0042】
さらに好ましい実施形態では、装置は、少なくとも1つのノズルをさらに備え、ここに、特に、ノズルは、保護ガス流または保護ガス流の少なくとも一部が、テラヘルツ放射線のビーム経路の少なくとも1つの領域に流入するように適合および/または構成され、特に、少なくとも1つのノズルは、自由噴流ノズルであることが提供される。
【0043】
さらに好ましい実施形態では、装置は、少なくとも1つの光学センサデバイス、例えば、光学距離センサ、例えば、光学三角測量センサ、および/または、例えば、少なくとも1つの三次元撮像デバイス(例えば、レーザスキャナ)を備えることが提供され、以下の要素のうちの少なくとも1つを検出または決定することができる。a)装置に対する測定対象の距離、b)測定対象に対する装置の傾斜、c)測定対象の形状、特に表面形状。
【0044】
さらに好ましい実施形態は、測定装置に関し、特に、実施形態による少なくとも1つの装置を含む、物体の少なくとも1つの物理的パラメータを決定するためのものである。
【0045】
さらに好ましい実施形態では、測定装置は、特に、少なくとも1つの層のモデルが使用されるモデルベースの方法を使用することによって、測定対象の少なくとも1つの層の層厚を決定するように適合されることが提供される。
【0046】
さらに好ましい実施形態は、以下の要素のうちの少なくとも1つに対する、実施形態による装置および/または実施形態による測定装置の使用に関する。a)テラヘルツ放射線、特にテラヘルツパルスの送信および/または受信、b)特に、部品上の1つ以上の層の層厚の決定、特にモデルに基づく決定、c)少なくとも一時的に第1のミラーをテラヘルツ放射線のビーム経路内に位置決めすること、d)少なくとも一時的に、および/または少なくとも局所的に、少なくとも1つのテラヘルツ要素と少なくとも1つの電磁場整形要素との間のエバネッセント結合を提供すること、e)少なくとも1つの空間領域に保護ガス、特に、保護ガスの流れを少なくとも一時的に適用することであって、少なくとも一時的に、少なくとも1つの空間領域に、テラヘルツ放射線の送信および/または受信に同期する保護ガス、特に、保護ガスの流れを適用すること、f)放射線、テラヘルツ放射線、特にテラヘルツパルスを、保護ガスまたは保護ガスが印加される空間領域内または空間領域内に印加させる。
【0047】
本発明のさらに特性、可能な用途および利点は、図面図に示されている本発明の実施形態の以下の説明から導くことができる。この文脈において、説明または図示された全ての特徴は、クレームまたはクレーム間の引用文献にかかわらず、また、明細書または図面におけるそれらの定式化または表現とは無関係に、個々にまたは任意の組合せで、発明の主題を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】好ましい実施形態による装置の側面図を概略的に示す。
【
図2】さらに好ましい実施形態による装置の側面図を概略的に示す。
【
図3】さらに好ましい実施形態による装置の側面図を概略的に示す。
【
図4】さらに好ましい実施形態による装置の側面図を概略的に示す。
【
図5】さらに好ましい実施形態によるテラヘルツ要素の側面図を概略的に示す。
【
図6】さらに好ましい実施形態によるテラヘルツ要素の側面図を概略的に示す。
【
図7】さらに好ましい実施形態による装置の側面図を概略的に示す。
【
図8】さらに好ましい実施形態による装置の側面図を概略的に示す。
【
図9】さらに好ましい実施形態による装置の側面図を概略的に示す。
【
図10】さらに好ましい実施形態によるテラヘルツ要素の上面図を概略的に示す。
【
図11】さらに好ましい実施形態によるテラヘルツ要素の側面図を概略的に示す。
【
図12A】さらに好ましい実施形態による装置の側面図を部分断面で概略的に示す。
【
図12B】さらに好ましい実施形態による装置の側面図を部分断面で概略的に示す。
【
図13】さらに好ましい実施形態による装置の側面図を概略的に示す。
【
図14】さらに好ましい実施形態による装置の側面図を概略的に示す。
【
図15】さらに好ましい実施形態による装置の例示的な使用を概略的に示す。
【
図16】さらに好ましい実施形態による測定対象の側面図を概略的に示す。
【
図17】さらに好ましい実施形態による測定装置を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
好ましい実施形態は、テラヘルツ放射線TS1、TS2を送受信する装置100に関する。
図1は、好ましい実施形態による、そのような装置100の例示的な側面図を概略的に示す。装置100は、少なくとも1つのテラヘルツ要素110を備え、このテラヘルツ要素は、特に、伝送されるテラヘルツ信号TS1を生成するように、および/または受信されるテラヘルツ信号TS2を特に検出するように構成される。少なくとも1つの電磁場整形要素120は、特に、少なくとも1つのテラヘルツ要素110に割り当てられ、少なくとも1つのテラヘルツ要素110は、電磁場整形要素120の第1の表面121の領域に配置される。
【0050】
さらに好ましい実施形態では、少なくとも1つのテラヘルツ要素110が、電磁場整形要素120の第1の表面121に対して、特に少なくとも局所的には、少なくとも1つのテラヘルツ要素110と電磁場整形要素120との間にエバネッセント結合が存在するように配置されることが提供される。このようにして、例えば、少なくとも1つのテラヘルツ要素110によって生成されるテラヘルツ放射線TS1を、受け取るべき電磁場整形要素120内に効率的に結合することができ、および/または電磁場整形要素120からテラヘルツ要素110内にテラヘルツ放射線TS2を効率的に結合することができる。これは、構成要素110、120間のテラヘルツ放射線TS1、TS2の結合の効率を高める。特に、好ましい実施形態によれば、テラヘルツ放射線の望ましくない減衰および/またはパルス広がりも、従って有利に減少させることができる。
【0051】
さらに好ましい実施形態では、少なくとも1つのテラヘルツ要素110が、特に少なくとも局所的には、少なくとも1つのテラヘルツ要素110と電磁場整形要素120との間でフラストレート全反射が発生し得るおよび/または発生するように、電磁場整形要素120の第1の表面121に対して配置されることが提供される。
【0052】
さらに好ましい実施態様において、電磁場整形要素120は、少なくとも1つのレンズ120を含み、および/またはレンズ120として形成されることが提供される。
【0053】
さらに好ましい実施形態では、少なくとも1つのレンズ120は、半球状レンズまたは超半球状レンズ120a(
図2の装置100a参照)として、または非球面レンズとして提供される。
【0054】
さらに好ましい実施態様において、電磁場整形要素120(
図1)は、反射器またはミラーのような少なくとも1つのテラヘルツ放射線反射装置(図示せず)を含むこともできる。さらに好ましい実施態様において、電磁場整形要素120は、メタ材料ベースの要素、および/または勾配屈折率レンズとして形成することもできる。
【0055】
さらに好ましい実施態様において、電磁場整形要素120、120aは、以下の材料のうちの少なくとも部分的に少なくとも1つを含むか、または以下の材料のうちの少なくとも1つから形成されることが提供される。a)シリコン、b)ポリマー材料、特に、PEおよび/またはHDPEおよび/またはPPおよび/またはPTFE、c)少なくとも1つの添加材料、特に、屈折率増加添加材料、例えば、二酸化チタン、TiO2および/または二酸化アルミニウム、Al2O3。を含むポリマー材料、特に、PEおよび/またはHDPEおよび/またはPPおよび/またはPTFEおよび/またはPMPおよび/またはPMP。
【0056】
さらに好ましい実施態様において、電磁場整形要素120、120aは、少なくとも1つの表面121、122の領域内、特に、第1の表面121と反対側の第2の表面122の領域内、および/または第1の表面121と反対側の第2の表面122上に、反射低減効果(テラヘルツ放射線TS1、TS2の少なくとも1つの波長に関して)を有する表面改質124、好ましくは、反射低減効果、特に反射防止コーティング124が、特に、3THzから10THzの間の周波数範囲、特に4.5THzから6.5THzの間に最適化される、反射防止コーティング124を有することが提供される。
【0057】
さらに好ましい実施形態(
図1)では、少なくとも局所的に、接合層130、特に接着層130が、少なくとも1つのテラヘルツ要素110と電磁場整形要素20の第1の表面121との間に配置されることが提供される。
【0058】
さらに好ましい実施形態において、接合層130の層厚d1(
図1)は、50マイクロメートル(μm)未満、特に10μm以下、特に7μm以下、特に4.0μm以下、特に1.0μm以下であることが提供される。
【0059】
さらに好ましい実施形態において、接合層130の層厚d1は、接合層130内のテラヘルツ信号TS1、TS2の波長の4分の1よりも小さく、特に、接合層130内のテラヘルツ信号TS1、TS2の最大周波数の波長の4分の1よりも小さいことが提供される。
【0060】
さらに好ましい実施態様において、接合層130は、少なくとも次の材料のうちの少なくとも1つから部分的に形成されることが提供される。a)ポリマー材料、特にPEおよび/またはHDPEおよび/またはPPおよび/またはPTFEおよび/またはPMP、b)ポリマー材料、特にPEおよび/またはHDPEおよび/またはPPおよび/またはPTFE、およびまたはおよび/またはPMP、であり、少なくとも1つの添加材料、特に屈折率増加添加材料、例えば二酸化チタン、TiO2、および/または二酸化アルミニウム、Al2O3、c)接着材料、特に少なくとも1つの添加材料、特に屈折率増加添加材料、例えば二酸化チタン、TiO2、および/または二酸化アルミニウム、Al2O3、を含む接着材料。
【0061】
さらに好ましい実施態様において、接合層130は、1.6以上、特に2.0より大きい、特に3.0より大きい屈折率nを有することが提供される。
【0062】
さらに好ましい実施形態では、
図3に従い装置100bを参照すると、少なくとも1つのテラヘルツ要素110が、少なくとも局所的に、電磁場整形要素120、120aに、力適合および/または形状適合および/または材料適合の方法で接続され、この場合、特定のクランプ接続および/またはハンダ接続136、例えばガラスソルダーが提供されることが提供される。
【0063】
さらに好ましい実施態様では、
図3を参照すると、特に、少なくとも局所的に、電磁場整形要素121の少なくとも1つのテラヘルツ要素110と第1の表面121との間に、間隙135、特に空隙、さらには技術的ゼロギャップが設けられていることが提供される。
【0064】
さらに好ましい実施形態において、
図4の装置100cを参照すると、少なくとも1つのテラヘルツ要素110は、第1の表面111を有する電磁場整形要素120の第1の表面121上に、特に、少なくとも局所的に、好ましくは全領域にわたって載置されることが提供される。
【0065】
さらに好ましい実施態様では、
図5を参照すると、少なくとも1つのテラヘルツ要素110aは、第1の基板114および電極配置115を備え、特に、電極配置115は、第1の基板114の第1の表面114a上に配置されることが提供される。
【0066】
さらに好ましい実施形態では、第1の基板114の第1の表面114aは、電磁場整形要素120の第1の表面121に対向することが提供される。ここで、特に、第1の基板114の第1の表面114aは、電磁場整形素子120の第1の表面121に、特に、少なくとも局所的に、好ましくは、全領域にわたって接する。さらに好ましくは、電極配置115は、特に、電極配置115の表面115aが電磁場整形要素120、120aの第1の表面121に少なくとも局所的に接触するように、第1の基板114と電磁場整形要素120、120aの第1の表面121との間に位置する。
【0067】
さらに好ましい実施形態では、少なくとも1つのテラヘルツ要素110、110aおよび/または第1の基板114(
図5)は、光導電材料を備え、特に、光導電材料は、以下の材料のうちの少なくとも1つを含む。a)リン化インジウム、InP、b)ガリウム砒素、GaAs、c)インジウムガリウム砒素、InGaAs。ここで、特に、光導電材料は、特に鉄でドープされる。
【0068】
さらに好ましい実施態様では、
図6を参照すると、少なくとも1つのテラヘルツ要素110bは、少なくとも1つのさらに基板116を備え、ここで、第1の基板114は、特に少なくとも局所的には、少なくとも1つのさらなる基板116上に配置され、ここで、特に、第1の基板114は、その第1の表面114aに対向する第2の表面114bを有し、特に、少なくとも局所的には、少なくとも1つのさらなる基板116上に、特に、少なくとも1つのさらなる基板116の第1の表面116a上に配置される。
【0069】
さらに好ましい実施形態では、第1の基板114および/または少なくとも1つのさらに基板116は、1450nm~1650nmの間の波長範囲、および/または850nm~1650nmの間の波長範囲の光放射に対して、少なくとも部分的に透明(特に、約95パーセントより大きい透過)であることが提供される。これにより、光放射S1を、第1および/または少なくとも1つのさらに基板114、116を通して、例えば、さらに好ましい実施形態に従って、テラヘルツ放射の生成および/または検出が行われ得る、電極配列115の領域に効率的に導入することが可能になる。
【0070】
さらに好ましい実施形態では、a)第1の表面114aの反対側の第2の表面114bまたは第1の基板114第2の表面114b、および/またはb)少なくとも1つのさらなる基板116の第1の表面116aの反対側の第2の表面116b、は、第1の光放射S1、特にレーザ放射S1、特に好ましくはパルスレーザ放射S1に、1450nm~1650nmの波長範囲のレーザ放射S1に曝され得ることが提供される。
【0071】
さらに好ましい実施形態では、照射装置140は、テラヘルツ要素110、110a、110bの少なくとも1つの領域を第1の光放射線S1または第1の光放射線S1に少なくとも一時的に露光するために設けられ、照射装置140は、少なくとも1つの光ファイバ140を備えるか、または光ファイバ140として形成される。
【0072】
さらに好ましい実施形態では、照射装置140は、第1の光放射S1を生成するためのレーザ源(図示せず)を含むこともでき、さらに好ましい実施形態に従って、レーザ源は、テラヘルツ要素110bの領域、例えば、
図6のテラヘルツ要素110bの左側に配置されてもよい。この点に関し、さらに好ましい実施形態によれば、ある場合には、例えば、光ファイバ140を設けることを省略することもできる。すなわち、第1の光放射S1をレーザ源からテラヘルツ要素110bに直接照射することができる。さらに好ましい実施形態では、レーザ源はまた、テラヘルツ要素110bから遠隔に設けられおよび/または配置されてもよく、第1の光放射S1は、例えば光ファイバ140によってレーザ源からテラヘルツ要素110bに導かれ、出口開口141を介してテラヘルツ要素110bに照射されてもよい。
【0073】
さらに好ましい実施形態では、照射装置140、特に光ファイバ140は、第1の光放射S1をカップリングするための出射面141が、a)第1の基板114の第1の表面114aまたは第2の表面114bに対向する第2の表面114b、および/またはb)少なくとも1つのさらに基板116の第1の表面116aに対向する第2の表面116b、特に、aa)第1の基板114の第2の表面114bおよび/またはbb)少なくとも1つのさらに基板116の第2の表面116bが、第1の光放射S1に露出され得るように、第1の基板114および/または少なくとも1つのさらに基板116に対して配置および/または整列されることが提供される。
【0074】
さらに好ましい実施形態では、光ファイバ140がモノモードファイバ、特に偏波面保存光ファイバ140であることが提供される。
【0075】
さらに好ましい実施態様では、
図7を参照すると、装置100dが複数のテラヘルツ要素110_1、110_2を備えることが提供される。ここで、a)複数のテラヘルツ要素110_1、110_2のうちの少なくとも2つ、好ましくはすべてが、電磁場整形要素120の第1の表面121の領域に配置される、および/またはb)少なくとも1つの電磁場整形要素120は、複数のテラヘルツ要素110_1、110_2のうちの少なくとも2つに割り当てられる。したがって、さらに好ましい実施形態では、複数のテラヘルツ要素110_1、110_2に対して「共通」である電磁場整形要素120を使用して、それぞれのテラヘルツ要素110_1、110_2に関連するテラヘルツ放射線TS1_1、TS1_2を整形してもよい。
【0076】
図7は、二つのテラヘルツ要素110_1、110_2を例に示したが、さらに好ましい実施形態によれば、3つ以上のテラヘルツ要素を提供することも可能であり、特に、電磁場整形要素120にそれらを割り当てることも可能である。
図7から導き得るように、本ケースでは、両方のテラヘルツ要素110_1、110_2は、接着層130によって、電磁場整形要素120の第1の表面121上に配置される。さらに好ましい実施形態では、複数のテラヘルツ要素110_1、110_2の少なくとも一部または全部が、電磁場整形要素120の第1の表面121の領域におけるはんだジョイント136(
図3)および/またはクランプジョイントによって、接着層130に配置されることができる。接着層130および/またははんだ接続部136(
図3)および/またはクランプ接続部の組み合わせも、さらに好ましい実施形態に従って考えられる。
【0077】
さらに好ましい実施形態では、
図8の装置100eを参照すると、複数のテラヘルツ要素110_1、110_2のうちの少なくとも2つ、好ましくはすべてが並んで配置されることが提供される。ここで、特に少なくとも2つ、好ましくはすべてのテラヘルツ要素110_1、110_2のそれぞれの電極配置115_1、115_2は、同じ第1の仮想平面E1内に存在し、特に、第1の仮想平面E1は、電磁場整形要素120の第1の表面121に平行である。さらに好ましい実施形態では、第1の仮想平面E1は、例えば、電磁場整形要素120の第1の表面121に一致してもよい。
【0078】
さらに好ましい実施形態では、両方のテラヘルツ要素110_1、110_2が、それぞれの第1の表面111_1、111_2とともに、特に少なくとも局所的に、電磁場整形要素120の第1の表面121上に静止することが提供される。
【0079】
さらに好ましい実施形態では、
図9の装置100fを参照すると、複数のテラヘルツ要素110_1、110_2のうちの少なくとも2つ、好ましくはすべてが、他方の後方に(特に、テラヘルツ放射線の(主)伝搬方向に関して、すなわち、例えば、
図9に示される、仮想水平線に沿って)配置されることが提供され、ここで、特に、少なくとも2つのそれぞれの電極配置115_1、115_2、好ましくは、すべてのテラヘルツ要素110_1、110_2は、互いに異なるそれぞれの仮想平面E1、E2内に存在し、特に、仮想平面E1、E2のうちの少なくとも2つは、電磁場整形要素120aの第1の表面121に平行である。本例では、第2テラヘルツ要素110_2は、第1テラヘルツ要素110_1の表面110_1a上に配置される。
【0080】
さらに好ましい実施形態では、複数のテラヘルツ要素のうちの少なくとも2つが空間的に少なくとも部分的に重なるように設けられる(図示せず)。
【0081】
さらに好ましい実施態様では、
図10を参照すると、共通電極構造体115_12が複数のテラヘルツ要素110_1、110_2に割り当てられている。さらに好ましい実施態様によれば、電磁場整形要素120、120a上の
図10に示される構成110_1、110_2、115_12の配置は、例えば、
図1または3または7または8に係る構成に類似していてもよい。
【0082】
さらに好ましい実施形態では、装置100(
図1)は、コリメートビーム(すなわち、平行ビーム)の形態でテラヘルツ放射線TS1を出力するように構成されることが提供される。これにより、テラヘルツ放射線TS1に基づく測定の測定対象物に対する距離依存性が低減または排除される。
【0083】
さらに好ましい実施形態では、装置100(
図1)は、発散ビームの形態でテラヘルツ放射線TS1を出力するように構成されることが提供され、ここで、さらに好ましい実施形態によれば、(さらに)ビーム整形は、例えば、コリメートビームを得るために、1つまたは複数のさらなる光学素子で行われる。これにより、テラヘルツ放射線TS1に基づく測定の測定対象物に対する距離依存性が低減または排除される。
【0084】
さらに好ましい実施形態では、
図11の装置100gを参照すると、装置100gが、少なくとも1つの光学センサ装置170、例えば、光学距離センサ、特に三角測量センサおよび/または例えば少なくとも1つの三次元撮像装置(レーザスキャナなど)を含み、これらの装置は、以下の要素のうちの少なくとも1つを検出または決定することができる。a)装置100gに対する測定対象物の距離、b)測定対象物に対する装置100gの傾斜、c)測定対象物の形状、特に表面形状。
【0085】
光学距離センサ、特に三角測量センサを使用すると、例えば、装置100gの距離、または、特にテラヘルツ信号TS1(
図1)が適用される測定対象物からの構成要素110のうちの1つの距離を、光学測定原理に基づいて有利に決定することができる。従って、装置100gによるテラヘルツ放射線ベースの測定の精度をさらに高めることができる。
【0086】
さらに好ましい実施態様では、
図12Aの装置100hを参照すると、装置100hは、テラヘルツ放射線TS1、TS2のビーム経路BPの少なくとも1つの領域に保護ガスSGを含む保護ガス流SGSを提供するようになっており、特に、保護ガスSGは、以下の要素のうちの少なくとも1つを含んでいるか、または、以下の要素のうちの少なくとも1つから形成されている。(a)乾燥空気、(B)乾燥ガス、(c)乾燥ガス混合物、(d)テラヘルツ放射線TS1、TS2の周波数範囲に吸収線を有さない少なくとも1つのガス。特に、保護ガスSGは、-20℃以下、好ましくは-30℃以下であり、さらに好ましくは-40℃以下であり、特に、保護ガスSGは、0.1dB以下のビーム経路BPに沿って、好ましくは、テラヘルツ放射線TS1、TS2の各周波数に対してテラヘルツ放射線TS1、TS2の減衰を生じさせる。
【0087】
さらに好ましい実施形態において、装置100hは、a)保護ガス流SGSを少なくとも一時的に提供するための少なくとも1つの供給装置150、および/またはb)保護ガスSGの圧力を操作するための少なくとも1つの圧力操作部材(図示せず)をさらに備えることが提供される。
【0088】
さらに好ましい実施形態では、装置100hは、少なくとも1つのノズル152をさらに含み、ここに、特に、ノズル152は、保護ガス流SGSまたは保護ガス流SGSの少なくとも一部を、テラヘルツ放射線TS1、TS2のビーム経路BPの少なくとも1つの領域に導くように適合および/または調整され、特に、少なくとも1つのノズル152は、自由噴流ノズルである。その結果、テラヘルツ放射線TS1、TS2のビーム経路BP、特に好ましくはテラヘルツ放射線TS1、TS2のほぼ全ビーム経路BPをテラヘルツ要素110と測定対象物OBJとの間に、規定された方法で保護ガスSGを露出させることができ、テラヘルツ放射線TS1、TS2によって特に精密な測定が可能となる。例えば、さらに好ましい実施形態によれば、これはまた、ビーム経路BPに沿った実質的に層流の保護ガス流SGSの生成を可能にする。特に、さらに好ましい実施形態によれば、保護ガス流SGSの方向も、例えば、テラヘルツ放射線TS1、TS2の伝搬方向に対して少なくともほぼ平行であり得る。
【0089】
図12Bは、ハウジング154が設けられている、さらに好ましい実施形態による装置100iの一例を示している。特に、少なくとも1つのテラヘルツ要素110は、供給装置150の少なくとも部品と同様に、ハウジング154の内側に配置されてもよい。保護ガスSGは、テラヘルツ放射線TS1、TS2によって特に精密な測定を可能にする。というのは、これによってビーム経路BPの領域内の媒体SGは、規定された、特に、規則的な周囲空気と比較して特に低い、テラヘルツ放射線TS1、TS2の吸収を有しているからである。さらに好ましくは、装置100iは、ビーム経路BPの領域に層流保護ガス流SGSを生成するように構成することができ、これによって、テラヘルツ放射線TS1、TS2に基づく測定の精度をさらに高めることができる。
【0090】
さらに好ましい実施形態において、装置100jを参照すると、装置100jが、テラヘルツ放射線TS1、TS2のビーム経路BPを操作するための少なくとも1つの操作装置160を備えることが提供される。特に、少なくとも1つの操作装置160は、テラヘルツ放射線TS1、TS2、特に少なくとも1つのミラー162a1、162a2のための反射装置162を備える。その結果、テラヘルツ放射線TS1、TS2は、テラヘルツ要素110a’(例えば、
図5に係る構成110aを有してもよい)から、被検および/またはその逆の測定対象OBJ’に効率的に導波され得る。
【0091】
さらに好ましい実施形態では、反射デバイス160は、少なくとも第1ミラー162a1と、第2ミラー162a2(および本実施形態では任意選択の第3ミラー162cも含む)と、を備え、装置100jは、a)テラヘルツ放射線TS1、TS2のビーム経路BP内で第1ミラー162a1または第2ミラー162a2を選択的に位置決めする、および/またはb)少なくとも一時的に第1ミラー162a1を位置決めし、テラヘルツ放射線TS1、TS2のビーム経路BP内で第2ミラー162a2を少なくとも一時的に位置決めするように構成される。これをブロック矢印A1で模式的に示す。
【0092】
さらに好ましい実施形態では、第1ミラー162a1は、第1焦点距離を有し、第2ミラー162a2は、第1焦点距離とは異なる第2焦点距離を有することが提供される。その結果、テラヘルツ放射線TS1、TS2に対するビーム経路BPの撮像特性は、効率的に変化させることができ、好ましくは、動的に(装置100jの動作中に)、ミラー162a1、162a2間でA1をいわば「切り換え」ることによって、変化させる。
【0093】
さらに好ましい実施形態では、第2のミラー162a2は、ツールなしで、および/またはモータによって、駆動および/または変更および/または交換され得ることが提供され、ここで、さらに、例えば、第3のミラーによって置き換えることができ、ここで、好ましくは、第2および第3のミラーの下流のテラヘルツ放射線TS1、TS2のビーム方向は、好ましくは、共線形である。さらに好ましい実施形態では、これは、例えば、いくつかのストップ(図示せず)によって、特に、例えば、それぞれのミラーの軸方向および横方向の位置決めのために実現することができる。
【0094】
さらに好ましい実施形態において、装置100jは、以下の要素のうちの少なくとも1つを備えることが提供される。a)クリックモジュール164a、b)磁気ホルダー164b、c)タレット164c、特に少なくとも第1ミラー162a1および/または第2ミラー162a2を少なくとも一時的に保持および/または位置決めするためのもの。
【0095】
さらに好ましい実施形態では、
図14の装置100kを参照すると、装置100kは、第1パルス周波数を有する第1パルスレーザ放射線S2aと、第2パルス周波数を有する第2パルスレーザ放射線S2bとを少なくとも1つのテラヘルツ要素110に一時的に印加するようになっており、特に、第2パルス周波数は、第1パルス周波数と少なくとも一時的に異なる。好ましくは、パルスレーザ放射線S2a、S2bは、少なくとも1本の光ファイバ(例示として、2本のファイバ140a、140bが本明細書に示されている)によって提供することができ、例えば、テラヘルツ要素110上に放射される。任意に、パルスレーザ放射線S2a、S2bを生成するために、それぞれのレーザ光源(図示せず)を設けることができ、これにより、さらに好ましい実施形態に従って、テラヘルツ要素110に対して局所的に、またはそこから離れたところに配置することができる。この点に関し、さらに好ましい実施形態によれば、
図6に関して上述したことは、
図14に係る構成100kに対応する形でも当てはまる。
【0096】
さらに好ましい実施形態は、
図15を参照すると、以下の要素のうちの少なくとも1つについての、本実施形態の使用200に関する。a)テラヘルツ放射線TS1、TS2、特にテラヘルツパルスの送信202および/または受信204(
図1)、b)特定のモデルに基づく決定、特に、コンポーネント上の1つ以上の層の層厚の決定206、c)テラヘルツ放射線TS1、TS2のビーム経路BP内での、第1ミラー162a1の少なくとも一時的な位置決め207a(
図13)、および/または第2のミラー162a2の少なくとも一時的な位置決め207b、d)少なくとも一時的な、および/または少なくとも局所的な、少なくとも1つのテラヘルツ要素110と電磁場整形要素120との間のエバネッセント結合の提供208、e)少なくとも1つの空間領域への少なくとも一時的な保護ガスSG(
図12A、12B)、特に保護ガス流SGSの適用209a、特に少なくとも1つの空間領域への、テラヘルツ放射線209b(
図15)の送信および/または受信に同期する少なくとも一時的な保護ガスの、特に保護ガス流の適用209a、f)テラヘルツ放射線TS1、特にテラヘルツパルスの、それぞれ保護ガスSGまたは保護ガスSG(
図12A、12B)または保護ガス流SGSが印加される空間領域内または空間領域内への伝送210。
【0097】
図16は、基板10と、基板10の第1の表面10a上に配置され、例えば、3つの層11、12、13とを備える層配列とを備える、測定対象OBJ”の側面図を概略的に示す。3つの層11、12、13は、厚さt1、t2、t3を有し、例えば、本体部10の塗装層を表すことができる。さらに好ましい実施形態では、実施形態に係る少なくとも1つの装置を使用して、
図16に従った測定対象OBJ”にテラヘルツ放射線TS1(
図1)を印加してもよい。テラヘルツ放射線TS1は、特に、素子10、11、12、13間のそれぞれの境界層、または
図16の最上層13の表面で反射され、さらに好ましい実施形態によれば、反射テラヘルツ放射線TS2として、少なくとも1つの装置(および/または同タイプまたは類似タイプの少なくとも1つの装置)によって受け取られ、例えば、時間領域反射率測定に基づくモデルベースの方法によって、それぞれの層厚t1、t2、t3を決定することができる。
【0098】
図17は、さらに好ましい実施形態による測定装置1000を概略的に示す。測定装置1000は、測定対象OBJ”’(例えば、身体部分)上にテラヘルツ放射線TSを印加し、測定対象OBJ”’から、または測定対象OBJ”’において反射されるテラヘルツ放射線TSRを受け取るために、特に、測定対象OBJ”’の層構造、特に塗料層厚に関する情報を含むことができる、実施形態に係る少なくとも1つの装置100iが配置された測定ヘッド1002を有する。任意に、測定装置1000は、位置決めシステム1004を備え、位置決めシステムは、例えば、ロボット、特に産業用ロボットであってもよい。さらに好ましい実施形態によれば、測定装置1000は、正確かつ効率的な方法で寺ハルツ放射線に基づく測定を行うために、製造設備および/または製造ラインで効率的に使用することができる。