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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】運動システム
(51)【国際特許分類】
   G09B 9/04 20060101AFI20241225BHJP
   G09B 9/12 20060101ALI20241225BHJP
   A63F 13/803 20140101ALI20241225BHJP
【FI】
G09B9/04 A
G09B9/12
A63F13/803
【請求項の数】 43
(21)【出願番号】P 2021563691
(86)(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-07
(86)【国際出願番号】 EP2020025194
(87)【国際公開番号】W WO2020216476
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2023-03-29
(31)【優先権主張番号】19020316.6
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521467456
【氏名又は名称】ディニズマ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DYNISMA LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】アシュリー ウィリアム ホーカー ウォーン
【審査官】鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0024842(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0140862(US,A1)
【文献】特開平06-348197(JP,A)
【文献】特開2001-027579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00-9/56
G09B 17/00-19/26
A63F 13/00-98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動シミュレーターで利用される表面上で250kg以上の1次ペイロードを移動させる機能を有する並列マニピュレータである1次運動発生装置であって、
a)250kg以上の前記1次ペイロードを支持する1次フレーム又はプラットフォームと、
b)前記フレームの下方にて平面アレイ内で互いに角度をなすように配置される3つの細長線形案内部と、
c)前記表面上で1つの線形案内部あたりに少なくとも1つ配置されて、前記線形案内部を動かすことで250kg以上の前記1次ペイロードを少なくとも3自由度で移動可能にするように制御可能なアクチュエータ、
を備える1次運動発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の1次運動発生装置であって、前記細長線形案内部が突出して一点に集まる、1次運動発生装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の1次運動発生装置であって、前記細長線形案内部は、星形状のアレイを構成し、共通の中心点から外側へ延びる、1次運動発生装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の1次運動発生装置であって、前記線形案内部の少なくとも2つは互いに隣接する、1次運動発生装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の1次運動発生装置であって、6つのアクチュエーターが存在する、1次運動発生装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の1次運動発生装置であって、前記アクチュエータは、リニアモーター、ラック・アンド・ピニオン系アクチュエータ―、ベルト駆動アクチュエーター、又はケーブル駆動アクチュエーターから選ばれる線形アクチュエータ―である、1次運動発生装置。
【請求項7】
請求項に記載の1次運動発生装置であって、前記線形アクチュエータは略三角形アレイに配置される、1次運動発生装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の1次運動発生装置であって、前記線形アクチュエータは平面アレイに配置される、1次運動発生装置。
【請求項9】
請求項~8のいずれか一項に記載の1次運動発生装置であって、
前記線形アクチュエータは、該線形アクチュエータと前記線形案内部へ接続して前記線形案内部に沿って移動可能なキャリッジへ推進力を印加することによって前記1次フレームを動かし、
前記推進力は、法線/垂直成分を含む力を印加することによって前記アクチュエータから前記キャリッジ及び線形案内部を介して前記1次フレームへ伝えられ、その結果一の線形案内部で印加される力は前記1次フレームを介して伝えられ、他の線形案内部を該他の線形案内部の運動軸に沿って進行させる、
1次運動発生装置。
【請求項10】
請求項~9のいずれか一項に記載の1次運動発生装置であって、前記線形アクチュエータは、ジョイント、軸受、回転ジョイント、球状ジョイント、又はスラスト軸受によって対応線形案内部のキャリッジへ接続される、1次運動発生装置。
【請求項11】
請求項~10のいずれか一項に記載の1次運動発生装置であって、前記線形アクチュエータは、球状ジョイントによって線形案内部と関連付けられる対応キャリッジに接続される、1次運動発生装置。
【請求項12】
請求項~11のいずれか一項に記載の1次運動発生装置であって、前記線形アクチュエータは前記表面上に取り付けられる、1次運動発生装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の1次運動発生装置であって、前記1次ペイロードは、約500kg超である、1次運動発生装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の1次運動発生装置であって、前記1次ペイロードは車両又は車両の一部若しくは全部のモデルを含む、1次運動発生装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の1次運動発生装置であって、前記フレーム又はプラットフォームの進行を制限する少なくとも1つの安全端部停止部を有し、
前記少なくとも1つの安全端部停止部は、前記プラットフォーム又はフレームと前記表面との間で前記プラットフォーム又はフレームの運動を制限する1つ以上の細長ストラップを含む、
1次運動発生装置。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の1次運動発生装置であって、前記フレームの運動を制限する3つ以上のストラップを備える、1次運動発生装置。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の1次運動発生装置であって、少なくとも1つのストラップは、一端で堅く固定され、他端ではショックアブソーバー、ばね、又はダンパーと直接接続される、1次運動発生装置。
【請求項18】
内部の1次運動発生装置としての請求項1~17のいずれか一項に記載の1次運動発生装置と、当該1次運動発生装置のペイロードとして当該1次運動発生装置に接続される2次運動発生装置を含む組み合わせ運動発生装置であって、
使用時、前記2次運動発生装置は、当該1次運動発生装置又はプラットフォームに対して、つまり前記表面に対して1つ以上の自由度で少なくとも250kgの2次ペイロードを動かすように制御可能である、
組み合わせ運動発生装置。
【請求項19】
請求項18に記載の組み合わせ運動発生装置であって、使用時、前記2次運動発生装置は、前記1次フレームに対して前記2次ペイロードを少なくとも3自由度移動させるように制御可能である、組み合わせ運動発生装置。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の組み合わせ運動発生装置であって、使用時、前記2次運動発生装置は、前記1次フレームに対して前記2次ペイロードを6自由度移動させるように制御可能である、組み合わせ運動発生装置。
【請求項21】
請求項18~20のいずれか一項に記載の組み合わせ運動発生装置であって、使用時、前記1次運動発生装置は、前記2次運動発生装置よりも低い帯域で動作する、組み合わせ運動発生装置。
【請求項22】
請求項18~21のいずれか一項に記載の組み合わせ運動発生装置であって、
前記1次運動発生装置の少なくとも1つのアクチュエータは約5Hz~約20Hzの周波数で動作し、
前記2次運動発生装置の少なくとも1つのアクチュエータは少なくとも約30Hzの周波数で動作する、
組み合わせ運動発生装置。
【請求項23】
請求項18~22のいずれか一項に記載の組み合わせ運動発生装置であって、前記2次運動発生装置の線形アクチュエーター及び/又は線形案内部は、当該1次運動発生装置の前記1次フレーム上に取り付けられる、組み合わせ運動発生装置。
【請求項24】
請求項18~23のいずれか一項に記載の組み合わせ運動発生装置であって、前記2次ペイロードは人間のユーザーを含む、組み合わせ運動発生装置。
【請求項25】
請求項18~24のいずれか一項に記載の組み合わせ運動発生装置であって、前記2次運動発生装置は、ヘキサポッド系運動発生装置、リニアモーター系運動発生装置、ボールスクリュー系運動発生装置、線形アクチュエーター系運動発生装置、ケーブル動作運動発生装置、若しくはレバー動作運動発生装置、又はこれらを組み合わせた運動発生装置を含む、組み合わせ運動発生装置。
【請求項26】
請求項1~17のいずれか一項に記載の運動発生装置と、該運動発生装置の動作を制御する制御手段を備える運動システム。
【請求項27】
請求項26に記載の運動システムであって、前記制御手段は、前記表面に対して固定される原点に対する前記フレームの要求される位置、速度、及び/又は加速度を表す入力を受け取る、運動システム。
【請求項28】
請求項26又は27に記載の運動システムであって、前記制御手段は、前記2次運動発生装置のペイロードに対して固定される原点に対する前記フレームの要求される位置、速度、及び/又は加速度を表す入力を受け取る、運動システム。
【請求項29】
請求項26~28のいずれか一項に記載の運動システムであって、前記制御手段は、少なくとも1つのアクチュエーター-の動作を制御する、運動システム。
【請求項30】
請求項26~29のいずれか一項に記載の運動システムであって、前記制御手段は、少なくとも1つのキャリッジの位置、速度、及び/又は加速度を制御する、運動システム。
【請求項31】
請求項26~30のいずれか一項に記載の運動システムであって、前記制御手段は、測定装置からのフィードバックを利用して前記フレーム又はキャリッジの位置、速度、及び/又は加速度を制御する、運動システム。
【請求項32】
請求項1~17のいずれか一項に記載の運動発生装置と、請求項26~31のいずれか一項に記載の運動システムと、コックピット若しくはシャーシ及び/又は他の車両シミュレーション部を備える車両シミュレーター。
【請求項33】
請求項32に記載の車両シミュレーターであって、表示装置、仮想現実装置、投影装置のうちの少なくとも1つを含む環境を模擬する手段と、仮想環境と車両モデルをモデル化するソフトウエア手段を有する、車両シミュレーター。
【請求項34】
請求項32又は33に記載の車両シミュレーターであって、前記運動発生装置又は各運動発生装置の運動は、仮想環境又はコンピューターシミュレーション内で模擬される車両の運動を模擬又は再現するように制御される、車両シミュレーター。
【請求項35】
請求項1~17のいずれか一項に記載の運動発生装置と、請求項26~31のいずれか一項に記載の運動システムを備える国内用又は商用ゲーム装置。
【請求項36】
請求項35に記載のゲーム装置であって、制御システムを有する、ゲーム装置
【請求項37】
請求項36に記載のゲーム装置であって、表示装置、仮想現実装置、投影装置のうちの少なくとも1つを含む環境を模擬する手段と、仮想環境をモデル化するソフトウエア手段を有する、ゲーム装置。
【請求項38】
請求項37に記載のゲーム装置であって、前記フレーム上にプラットフォームを有し、
使用時、前記プラットフォーム上でのユーザーの運動は、前記プラットフォームの位置、速度、及び/又は加速度の測定可能な変化を引き起こす当該1次運動発生装置に力を印加し、
前記測定可能な変化は、前記制御システムによって検出可能で、かつ、前記プラットフォームの状態に関する入力として用いられ、
前記入力は、前記仮想環境におけるシミュレーションに影響を及ぼす、
ゲーム装置。
【請求項39】
請求項38に記載のゲーム装置であって、前記プラットフォームはスキー、サーフボード、又はスケートボードの組を表す、ゲーム装置。
【請求項40】
車両又は車両部品の設計方法であって、請求項1~17のいずれか一項に記載の運動発生装置、請求項26~31のいずれか一項に記載の運動システム、又は、請求項32~34のいずれか一項に車両シミュレーターの使用を含む、方法。
【請求項41】
請求項1~25のいずれか一項に記載の運動発生装置を製造する方法であって、
前記フレームの下方にて互いに角度をなすように3つの細長線形案内部を配置する段階と、
少なくとも1つの線形アクチュエーターを供する段階と、
前記表面の上方で前記線形アクチュエーターを線形案内部に対して角度をなすように配置する段階、
を有することで、前記運動発生装置を製造する方法。
【請求項42】
請求項18~25のいずれか一項に記載の1次運動発生装置を製造する方法であって、
請求項40又は41に記載の方法によって運動発生装置を製造する段階と、
当該1次運動発生装置に2次運動発生装置を取り付ける段階、
を有する方法。
【請求項43】
請求項38又は39に記載のゲーム装置を製造する方法であって、
請求項40に記載の方法によって1次運動発生装置を製造する段階、又は、請求項1~17のいずれか一項に記載の運動発生装置を供する段階と、
当該1次運動発生装置を制御システムに接続する段階、
を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にシミュレーション運動-たとえば運転又は飛行-用運動システムの分野に関する。特に本発明は、運動発生装置、該運動発生装置を含む運動システム、及び、運動発生装置又は運動システムをたとえば車両シミュレーターとして利用する方法に関するが、それらに限定されない。
【背景技術】
【0002】
運動発生装置は、自由度(すなわち“DOF”)のうちの1つ以上の方向において運動、力、及び加速をペイロードへ印加する機能を有する。ペイロードはたとえば、運動シミュレーター内での模擬経験をする人であってよい。あるいはその代わりペイロードは、第1運動発生装置と直列と考えられている他の運動発生装置であってもよい。運動発生装置は、制御システムで制御された状態にて運動システムによって用いられている。
【0003】
運動発生装置は、運動シミュレーション(たとえば飛行シミュレータ、運転シミュレータ、車両シミュレータなど)、ロボット工学、3Dプリント、振動・地震シミュレーションを含むさまざまな用途で使用されている。現在、運動シミュレーションに使用されている最も一般的な型の運動システムは、スチュワートプラットフォーム(または「ヘキサポッド」)である。これは、6つのアクチュエーターを有するパラレルマニピュレーターの一種である。6つのアクチュエーターは通常、プラットフォームの底板上の3つの位置に対で取り付けられ、プラットフォームの上板(またはエンドエフェクター)上の3つの取り付け位置で交差する。装置又はペイロード-通常はコックピット、運転者領域、またはモデル車両の形態であるプラットフォーム上に置かれた人間のユーザー-は、自由懸架体が運動可能な6つの自由度-すなわち3つの直線運動x、y、z(横、縦、および垂直)と3つの回転(ピッチ、ロール、およびヨー)-で動かすことができる。一般的に、パラレルマニピュレーターでは、コンピュータ制御された複数のアクチュエータが並列に動作するように配置され、ペイロードを支える。この文脈では、「並列」は、ペイロードと底板の間に存在する各独立した荷重経路には1つしかアクチュエータが存在しないことを意味する。他方、直列型のマニピュレーターでは、ペイロードと底板の間に存在する荷重経路のうちのとり得る1つ以上の経路は少なくとも2つのアクチュエータを含む。
【0004】
運動シミュレーターとは、乗員に対して動いている乗り物に乗っているような効果や感覚を与えることができる少なくとも1つの運動発生装置を内蔵した機構である。運動シミュレータは、運転シミュレーターや飛行シミュレーターとしてそれぞれ運転者やパイロットを専門家として訓練するために使用されている。運動シミュレーターはまた、工業的には、車両の作成、設計、テストを行うための車両シミュレーターとして使用されている。運転シミュレーターや飛行シミュレーターに使用される専門家向けの運動シミュレーターは通常、投影システムや関連するスクリーンなどによる視覚的な表示及び音声信号を、ドライバーやパイロットが乗るキャリッジ(またはシャーシ)の動きと同期させることで、動きの効果をよりよく感じられるようにしている。バーチャルリアリティ(VR)ヘッドマウントディスプレイ(HMD)の登場により、現在の運動システムでは没入型シミュレーションの態様がより安価になり、バーチャルリアリティアプリケーションを、遊園地やアーケードでの受動的な運転、一人称視点での搭乗、飛行物体への搭乗などのレジャー用途や、1人以上のプレイヤーが運転、乗馬、空飛ぶ、一人称視点でのゲーム体験をある程度制御できる能動的なゲームに提供できるようになってきた。
【0005】
従って運動シミュレーションに使用される運動発生装置のペイロード-例えばシャーシやコックピット-は、比較的重く、数100kgのオーダーになることが多い。運動シミュレーションに使用される運動発生装置では、このような相対的に重いペイロードを大きな動き-1メートル以上-にわたって正確に制御する必要がある。
【0006】
人間の運動シミュレーションに使用されるヘキサポッドは、一般的に20Hz程度までの相対的に低い帯域幅を有する。つまりそのようなヘキサポッドは、毎秒20回までの周波数で、一定の振幅の振動運動や振動を作り出すことができるが、それを超える周波数になると、運動の振幅が減少する。これは、ほとんどの自動車のサスペンションの動きを再現するには十分だが、自動車のエンジンの振動、タイヤの振動、道路のノイズ、レース場の鋭角な縁石などに関連する周波数内容を伝送することはできない。また帯域が低いということは信号が遅れるということであり、運転者が迅速に反応できないことを意味する。
【0007】
現在の運動システムは、特に軍用や商業用の飛行指導や訓練用などのハイエンドな用途を想定したものは、一般的に非常に大きく、重く、複雑で、非常に高価である。また、その複雑さゆえに、大掛かりなプログラミングや保守が必要となり、ユーザーの負担はさらに広がる。
【0008】
運転シミュレーター専用の運動システムは、McLaren/MTS Williams/ABDやAnsibleなどで開発されているが、精密に加工された特注部品や高価なリニアモーターを使用するため、機械的に非常に複雑でそれ故に高価なものになりがちである。このシミュレーターュレーター専用の運動システムは、ある方向に動くときにはヘキサポッドよりも反応が良いものの、他の方向にはまだ限界がある。このようなシステムにボールネジを使用すると、位置の確定には優れているものの、力の伝達が阻害され、低い帯域幅しか得られないという欠点がある。この結果、人間のユーザーにとっては、より自然な体験ができなくなる。
【0009】
特許文献1には、相互作用的なレーシングカーシミュレータが開示されている。このシミュレーターは、空気圧制御のもと、線形案内部上でX方向とY方向にそれぞれ移動するように配置された長方形のフレーム-「Xフレーム及びYフレーム」と呼ばれる-を重ね合わせた単純な装置を有する1次運動発生装置を含む。XとYのフレームを単純に配置しただけなので、X方向とY方向への動きは良好だが、XとYのフレームが互いに積層されているため、運動発生装置の縦方向のサイズが小さくならない。さらにX方向とY方向の動きは特に精密ではなく、また、帯域も相対的に狭い。このシミュレーターはパラレルマニピュレーター型の装置ではない。特許文献2には、別のXYフレーム装置が開示されている。さらなるXY装置は特許文献3に開示されている。
【0010】
上記の先行技術の運動発生装置では、X軸とY軸が互いに直列に配置されている。X軸が地面に取り付けられているとすると、Y軸の動きに係る力は、X軸を経由して地面に伝達される必要があることになる。このような間接的な負荷経路は、必然的にコンプライアンスを導入するため、既知の運動発生装置の応答性と帯域幅を低下させる。
【0011】
特許文献4では、他の運動発生装置を含むペイロードを有する1次運動発生装置の一例が与えられている。特許文献4は3自由度の運動発生装置と6自由度の運動発生装置を開示している。3自由度の運動発生装置と6自由度の運動発生装置は、1次運動発生装置を利用して水平面内で大きな運動を持続可能であると同時に、2次運動発生装置による最大の垂直方向の動きを実現することができる。従って2つの運動発生装置を直列に配置することで、同サイズのヘキサポッドでは不可能な異なる自由度の動きの組み合わせを実現することができる。しかしこれを実現するため、上述の1次運動発生装置は、精密に加工された金属製の底板と、磁気的にプリロードされた空気軸受けに依拠した、非常に大きく、重く、複雑な平面ベアリングシステムを使用する。これは、運転シミュレーターをどんな建物にも組み込むための大規模な建築工事を必要とし、平面性を確保するための設定が難しくて時間を要する。金属製の底板は表面積が大きく、平面度を確保するために精密に機械加工されなければならないため、コストがかかる。空気軸受ユニットは空気の供給が必要な複雑な構造をしており、永久磁石が金属底板に永久に結合しないようなフェイルセーフ機構を必要とする。
【0012】
特許文献5は、低摩擦の大きな固定底部上で滑動可能なケーブル/アクチュエータ制御のプラットフォームを含み、そのプラットフォームの大幅な水平移動を可能にする運動システムを開示している。ケーブルとアクチュエータは、大きな底部の周辺に配置されており、プラットフォームの大きな水平方向の動きを可能にしている。さらに、ヘキサポッド系の2次運動発生装置がプラットフォームに搭載され、模型のコックピットを支えることで、コックピットのさらなる動きを実現する。このシステムはコンパクトではなく、帯域も狭い。
【0013】
特許文献4と同じ出願人による特許文献6は、さらなるケーブル制御の運動発生装置を開示している。この運動発生装置のケーブルは、中央のエフェクタを動かすために、大きな滑車の装置によって動かされる。滑車の慣性が高いため、高帯域幅の動作が阻害される。このシステムは、大きくて高価で複雑な平面軸受面を必要とするのに対し、本発明の運動発生装置は、それ自体の機構に耐荷重機能が組み込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】米国特許第5919045号公報
【文献】英国特許第2474279A公報
【文献】仏国特許第2677155A公報
【文献】欧州特許第2810268A公報
【文献】米国特許出願公開第2017/0053548A公報
【文献】国際公開第2017/021323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、運動発生装置及び運動システムを改善させること、並びに、そのような運動発生装置を組み込む運動シミュレーターのような他の実装形態を供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一の態様によると、運動シミュレーターでの利用に適し、又は運動シミュレーター内に設けられて、表面上で80kg以上の1次ペイロードを移動させる機能を有する1次運動発生装置が供される。当該1次運動発生装置は、a)80kg以上の前記1次ペイロードを支持する1次フレーム又はプラットフォーム(14)と、b)前記フレームの下方にて平面アレイ内で互いに角度をなすように配置される3つの細長線形案内部と、c)前記表面上で1つの線形案内部あたりに少なくとも1つ配置されて、前記線形案内部を動かすことで80kg以上の前記1次ペイロードを少なくとも3自由度で移動可能にするように制御可能なアクチュエータを備える並列マニピュレータである。
【0017】
本発明による1次運動発生装置は3自由度の運動を供する。本発明による1次運動発生装置は、既知の運動発生装置-具体的には上述のXフレーム及びYフレームの装置に基づくもの-よりも剛性が強い、すなわち弾性が弱くてよい。本発明による1次運動発生装置は、長手方向/前後方向、横方向/左右方向、及び上下方向に相対的に大きな運動を供し得る。たとえば本発明による1次運動発生装置は、約0.5mの最小運動半径を有し得る。つまり当該1次運動発生装置のプラットフォームは、X方向とY方向に同時に約0.5m移動可能であり得る。たとえば本発明による1次運動発生装置は、約0.49~0.6mの最小運動半径を有し得る。本発明による好適1次運動発生装置は、約0.5~1m以上でより好適には1.5m以上の最小運動半径を有し得る。従って本発明による1次運動発生装置は、前後運動、左右運動、及び上下運動において十分大きな進行距離を有するので陸上車両/運転シミュレーションに非常に適する上に、ヒーブ、ピッチ、及びロールの自由度が、運動システム内において当該1次運動発生装置と直列接続するより穏やかな2次運動発生装置によって供され得る。これにより、本発明の運動システムは、ヘキサポッド系運動発生システムよりも垂直方向においてはるかに小型になり得る。その結果設置、収容、及び利用がより容易になる。運転シミュレーター用の典型的なヘキサポッド系運動発生装置上での運転者又はパイロットの位置は地面から1m超である一方、本発明による運動システムでは、0.5m未満である。6自由度の並列マニピュレータであるため、ヘキサポッドの運動機能は各自由度において強く結びついている。たとえばヘキサポッド系運動発生装置が完全に前方長手方向へ進む場合、他の意図しない運動を導入することなくヒーブ運動を発生させることはできない。そのような意図しない運動は、後述する1次運動発生装置又は本発明による組み合わせでは回避され得る。
【0018】
「1次」運動発生装置と記載されているが、本発明の1次運動発生装置は、ある用途では、他の運動発生装置と直列接続された状態で用いられ得る。そのような他の運動発生装置は場合によっては1次運動発生装置と同じ設計であることも考えられるので、2次運動発生装置となる。
【0019】
本発明においては、前記1次運動発生装置の前記ペイロードは典型的には80kgを超える。前記1次ペイロードは人間のユーザー若しくは車両又は車両の一部若しくは全部のモデルを含み得る。よって前記ペイロードは典型的には、約80kg超、又は約250kg超、又は約500kg超、又は約2トン超であってよい(たとえば全車両シャーシ)。
【0020】
前記細長線形案内部は、星形状のアレイ-たとえば3点星アレイ-を構成するか、あるいは半径方向に延びるか、かつ/あるいは共通の中心点から外側へ延びてよい。通常各案内部は他の案内部と120°の角をなす。これは大抵の場合において最適であるからである。しかしこのことは必須ではない。
【0021】
任意の請求項による運動発生装置では、前記線形案内部は共通の底板と平行である。前記線形案内部の少なくとも2つ-好適には3つ-は互いに隣接又は結合し得る。前記線形アクチュエータはリニアモーター、ラック・アンド・ピニオン、ベルト駆動ベルト、ケーブルドライブ、又はボールスクリュー系であってよい。4つ以上の線形アクチュエータが存在し得る。たとえば6つの線形アクチュエータが存在し得る。前記線形アクチュエータは略三角形アレイに配置されてよい。好適には前記線形アクチュエータは平面アレイに配置されてよい。前記線形アクチュエータは、前記線形アクチュエータと前記線形案内部へ接続して前記線形案内部に沿って移動可能なキャリッジへ推進力を印加することによって前記1次フレームを動かし得る。前記推進力は、法線成分―すなわち前記線形案内部の運動軸に対して垂直な成分―を含む力を印加することによって前記アクチュエータから前記キャリッジ及び線形案内部を介して前記1次フレームへ伝えられる。その結果一の線形案内部で印加される力は前記1次フレームを介して伝えられ、他の線形案内部を該他の線形案内部の運動軸に沿って進行させる。線形アクチュエータは、ジョイント、軸受、回転ジョイント、球状ジョイント、又はスラスト軸受によって対応線形案内部のキャリッジへ接続され得る。好適には前記線形アクチュエータ又は各アクチュエータは、球状ジョイントによって線形案内部と関連付けられる対応キャリッジに接続される。ヘキサポッド及び他の運動発生装置は典型的には、固有に内部に大きな摩擦を有するボールスクリューアクチュエータを利用することによって運動を発生させる。この摩擦は、前記システムが速さ0で通過するときに前記システムへ入力されるステップ力として現れる。そのような妨害は、前記システムが制御可能な前記帯域を制限する。従って本発明の1次運動発生装置は、そのようなボールスクリュー系運動発生装置よりも有利である。前記線形アクチュエータの全部又は一部は表面上に取り付けられ得る。
【0022】
本発明の運動発生装置は、運動部分-特に線形案内部、アクチュエータ(ボールスクリュー型ではないないとしても)、及びジョイント-での摩擦が小さいので有利である。
【0023】
たとえば特許文献4のシステムとは対照的に、本発明の1次運動発生装置は、複雑な平面空気軸受装置を不要にして、その代わりに容易に市場から入手できる安価な部品である複数の線形軸受の組を利用する。
【0024】
さらに上述の特許文献4のシステムはまた別個の軸受と駆動機構を有する。他方本発明の1次運動発生装置では、軸受と駆動機構が結合しているので、前記システムは単純化され、さらにコストが削減される。
【0025】
本発明の1次運動発生装置は、ボールスクリューアクチュエータに加えて広範囲なアクチュエータ技術に適している。そのため、前記運動システムは、より高帯域及びより低レイテンシーで制御することが可能となる。そのようなアクチュエータ技術にはリニアモーター及びベルト駆動装置が含まれる。
【0026】
本発明で利用可能なアクチュエータ技術はまた、前記運動システムを逆方向に駆動することをも可能にする。このことは、娯楽及び訓練のシナリオにおいて有用な用途を有する。前記シナリオでは、前記シミュレーション経験へ入力を供する目的の場合に、前記ユーザーは、自身の身体を動かし、又は、前記1次発生装置及び/又は運動発生装置へ力を印加することができる。たとえば運動システムに本発明の1次運動発生装置を用いるスキーシミュレーションでは、前記ユーザーの身体の運動は、運動発生装置プラットフォームに力を印加することで、前記運動発生装置プラットフォームは、前記制御システムによって測定可能で、かつ、前記スキーの位置に関する入力として用いられる位置、速度、及び/又は加速度を変化させ、前記入力は仮想環境中のスキーシミュレーションに影響を及ぼす。よって前記プラットフォームはたとえば、スキー、サーフボード、又はスケートボードを表し得る。当該1次運動発生装置は、前記フレーム又はプラットフォームの進行を制限する少なくとも1つの安全端部停止部を有してよい。前記少なくとも1つの安全端部停止部は、前記プラットフォーム又はフレームと前記表面との間で前記プラットフォーム又はフレームの運動を制限する1つ以上の細長ストラップを含む。好適には前記フレームの運動を制限する3つ以上のストラップが存在する。少なくとも1つ-好適にはすべて-のストラップは、一端で堅く固定され、他端ではショックアブソーバー、ばね、又はダンパーと直接接続される。
【0027】
本発明の他の態様によると、1次運動発生装置としての本発明の第1態様の運動発生装置、及び、当該1次運動発生装置のペイロードとして当該1次運動発生装置上に取り付けられる2次運動発生装置を含む組み合わせが供される。好適には当該組み合わせは運動システムの基台として用いられる。
【0028】
当該1次運動発生装置は、垂直/ヒーブ、ロール、及びピッチ方向でのさらなる自由度を供する2次運動発生装置と直列で用いられ得る。
【0029】
本発明の1次運動発生装置は一般的に、従来の1次運動発生装置-たとえば特許文献1と特許文献5で記載されているようなもの-よりも高い帯域を有する一方、2次運動発生装置と直列で用いられるときには、一般的には前記2次運動発生装置よりも低い帯域を有する。その理由は本発明の1次運動発生装置は相対的に重い1次フレームを動かさなければならないからである。従って6自由度の2次運動発生装置を有することは有利である。その理由は前記6自由度の2次運動発生装置は、水平方向における自由度での運動を可能にし、さらなる自由度を介した垂直運動機能を供するからである。本発明による組み合わせの使用中、当該1次運動発生装置は、前記2次運動発生装置よりも低い帯域で動作し得る。たとえば当該1次運動発生装置は、約5Hz~約20Hzで動作可能で、前記2次運動発生装置は、約30Hz~約100Hz以上で動作可能である。
【0030】
従ってたとえば高性能運転シミュレーターとして用いられる運動システムは6自由度の2次運動発生装置を有する一方で、より余裕のある娯楽に焦点が置かれた運動に基づくシステムは6自由度の2次運動発生装置を有し得る。
【0031】
本発明による運動システムは、本発明による1次運動発生装置、及び、制御手段-つまり制御システム-の制御下にある組み合わせを直列で構成する2次運動発生装置を備え得る。従って前記運動システムは、水平方位にかかわらず全範囲の垂直運動を生成し得る。さらに当該1次運動発生装置は、ヘキサポッドプラットフォームが可能なものよりも様々なヨー角度ではるかに大きな半径方向の動作範囲を利用可能にし得る。これは陸上車両シミュレーションにおいて非常に有用である。その理由は、車両は通常ヨー方向と同程度の横方向又は縦方向の加速度を受けるからである。従って、ヨー方向の運動を必要とするヨー方向の加速度と同程度の当該1次運動発生装置の横方向又は縦方向の運動を必要とする横方向又は縦方向の加速度を生成し得ることは有利である。
【0032】
好適には本発明による組み合わせにおいて1次運動発生装置と併用される前記2次運動発生装置は、3つ以上-つまり3,4,5,6-の自由度を有する。一の実施形態では、前記2次運動発生装置は6の自由度を有することで要求されるさらに3つの自由度(ヒーブ、ピッチ、及びロール)を与えるとの同時に、3つの冗長な自由度(既に当該1次運動発生装置によって供されるサージ、スウェイ、及びヨー)をも供する。一部の状況では、この冗長性は有用となり得る。たとえば当該組み合わせは、当該1次運動発生装置によって生成される運動の範囲を増大させることを可能にし得る。また当該組み合わせは、冗長自由度において当該1次運動発生装置が可能なよりも広い帯域を供することをも可能にする。
【0033】
2次運動発生装置と直列で用いられる本発明の1次運動発生装置は、陸上車両のシミュレーションに非常に適し、かつ、以下の理由の一部又は全部によりこれらの用途においてボールスクリューヘキサポッドよりも優れている。第1に、前記の2次運動発生装置と直列で用いられる本発明の1次運動発生装置は、陸上車両シミュレーション用に最適化された作業空間内で動作するようによりコンパクトになり得る。第2に、動作中、前記の2次運動発生装置と直列で用いられる本発明の1次運動発生装置には、自由度間での意図しない相互結合が少ない。つまり前記の2次運動発生装置と直列で用いられる本発明の1次運動発生装置は、前記システムが上述したようにヘキサポッド系運動発生装置に関連付けられ得るある方向(たとえばヨー)に既に延びているときの一の方向(たとえばスウェイ)における意図しない運動の制限を緩和させる。第3に、前記の2次運動発生装置と直列で用いられる本発明の1次運動発生装置は、従来の同様の運動発生装置よりも高い帯域と低いレイテンシーを有し、逆方向に駆動可能である。
【0034】
本発明の他の態様によると、本発明による1次運動発生装置若しくは当該1次運動発生装置を含む組み合わせ、本発明による運動システム、又は、本発明による運動システム並びにコックピット若しくはシャーシ及び/又は他の車両シミュレーター部を備える車両シミュレーターが供される。前記車両シミュレーターは、表示装置、仮想現実装置、投影装置のうちの少なくとも1つを含む環境を模擬する手段と、仮想環境と車両モデルをモデル化するソフトウエア手段を有し得る。
【0035】
本発明の他の態様では、本発明による運動発生装置若しくは組み合わせを製造する方法、又は、車両若しくは車両の部品の設計方法が供される。いずれの方法も、本発明による運動発生装置、本発明による組み合わせ、若しくは本発明による車両シミュレーターの使用を含む。本発明のさらなる態様は請求項及び以降の発明を実施するための形態に記載されており、かつ、ゲーム装置を含む。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明による運動発生装置、運動システム、及び運転シミュレーター、並びにそれらの動作及び製造についてここで、添付の図1図37を参照しながら単なる例示によって説明する。
図1】底部を備える本発明による1次運動発生装置を含む運動システムの斜視図である。
図2】ニュートラル状態である底部のない図1の運動システムの底面図である。
図3】1次運動発生装置を示す底部のない図1の運動システムの詳細概略図である。
図3A】底部のない図1の運動システムの1次運動発生装置のさらなる詳細図である。
図4】は、サージ前進状態である底部のない1次運動発生装置を示す図1の運動システムの斜視図である。
図5】底部のない図4に示された運動システムの底面図である。
図6】サージ状態である底部のない1次運動発生装置を示す図1の運動システムの斜視図である。
図7】底部のない図6に示された運動システムの底面図である。
図8】スウェイ右方向状態である1次運動発生装置を示す底部のない図1の運動システムの斜視図である。
図9】底部のない図8に示されている運動システムの底面図である。
図10】スウェイ左方向状態である1次運動発生装置を示す底部のない図1の運動システムの斜視図である。
図11】底部のない図10に示された運動システムの底面図である。
図12】反時計回りヨー方向である底部のない1次運動発生装置を示す図1の運動システムの斜視図である。
図13】底部のない図12に示された運動システムの底面図である。
図14】ニュートラル状態で底部のない本発明による運動システムで用いられる2次運動発生装置の斜視図である。
図15】底部のない図14に示された2次運動発生装置の底面図である。
図16】底部のない図14に示された2次運動発生装置の正面図である。
図17図14に示されている2次運動発生装置の一部のより詳細な左側面図である。
図18】底部のない図14に示されている2次運動発生装置の底面斜視図である。
図19】ニュートラル状態にある底部のない図14に示された2次運動発生装置の別な斜視図である。
図20】底部のないサージ前進構成をとる図14に示された2次運動発生装置の底面図である。
図21】底部のないサージ後退状態である図14に示された2次運動発生装置の底面図である。
図22】底部のないスウェイ左構成をとる図14に示された2次運動発生装置の底面図である。
図23】底部のないスウェイ右構成をとる図14に示された2次運動発生装置の底面図である。
図24】底部のないヒーブ上向き構成をとる図14に示された2次運動発生装置の底面図である。
図25】底部のないヒーブ下向き構成をとる図14に示された2次運動発生装置の底面図である。
図26】底部のないロール右下向き構成をとる図14に示された2次運動発生装置の底面図である。
図27】底部のないロール右上向き構成をとる図14に示された2次運動発生装置の底面図である。
図28】底部のないピッチノーズ下向き構成をとる図14に示された2次運動発生装置の底面図である。
図29】底部のないピッチノーズ上向き構成をとる図14に示された2次運動発生装置の底面図である。
図30】底部のないヨーノーズ左向き構成をとる図14に示された2次運動発生装置の底面図である。
図31】底部のないヨーノーズ右向き構成をとる図14に示された2次運動発生装置の底面図である。
図32】1次運動発生装置と2次運動発生装置を備える本発明による他の運動システムの上方から見た斜視図である。
図33図32の運動システムの平面図を示している。
図34図32の運動システム内での2次運動発生装置の一部の詳細な概略図である。
図35】1次運動発生装置と該1次運動発生装置とは異なる2次運動発生装置を備える本発明による他の運動システムの上から見た斜視図を示している。
図36】本発明による運動システムを内蔵する運転シミュレーターの斜視図である。
図37】本発明による運動発生装置、運動システム、又は運動シミュレーターと併用される制御システムを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明による運動発生装置、運動システム、および車両/運転シミュレーターからなる、またはそれらを含む実施形態、ならびにそれらの使用および製造のための方法について、例示のみを目的として説明する。当業者は、本発明の範囲内で多くのさらなる実施形態が実現され得ることを理解するであろう。
【0038】
[1次運動発生装置]
図1に示す運動システム1は、本発明の第1の態様による1次運動発生装置10を含む。運動発生装置10は、表面12の上を移動するように配置された支持フレーム11を含む。表面12は概して平坦である。
【0039】
フレーム11は、アルミニウムまたは炭素繊維などの軽量材料から構成され、図示の実施形態では三角形の外周を表している。他のフレーム形状-例えば、長方形、または円形-も可能である。フレーム11は、ここでは乗用車の一部を再現したシャーシ14を支持する。シャーシ14は、運動発生装置のペイロードを構成し、約1000kgの重量に任意のユーザが加わる。当業者に知られている他の型のシャーシが使用されてもよい。例えば、シミュレーター用に最適化されたサルーンボディのシャーシは約500kgであユーザー型車であれば約2トンの重さになる。レーシングカーのシャーシは、一般的にカーボンファイバー製で、ドライバーを含めても250kg程度の重さである。フレーム11の動きは、(特に図2に示されているように)フレーム11の下方に三ツ星状に配置された細長線形案内部21、22、23と、表面12に取り付けられた線形アクチュエータ31、32、33と、フレーム11が取り付けられたそれぞれの線形アクチュエータキャリッジ41、42、43との相互作用によってもたらされる。線形アクチュエータキャリッジ41,42,43は、それぞれ線形アクチュエータ31,32,33によって駆動される。共通の底面に取り付けられている線形案内部21、22、23は、アルミニウム、鋼などの金属で正確に形成されている。本実施形シミュレーターアクチュエータ31,32,33は、ベルト駆動部ユニットであユーザー代わりに、例えば、リニアモーターやボールネジ駆動のアクチュエータであってもよい。
【0040】
キャリッジ41、42、43は、1次運動発生装置の制御システム(図37に示され、以下でより詳細に説明される)からの指示の下、それぞれの線形アクチュエータ31、32、33によって駆動されるいずれかの直線方向に移動するように配置される。各キャリッジ41、42、43は、関連する線形案内部21、22、23と係合する上部キャリッジ部または軸受レース(それぞれ41U、42U、43U)を含む。前記軸受レースは、接続された線形アクチュエータ31、32、33にそれぞれ固定された下部キャリッジ部または軸受レース(それぞれ41L、42L、43L)と回転ジョイントによって接続されている。例えば図3Aに示すように、キャリッジ41は、共通の底部平面に垂直な軸を有する回転ジョイント41RJによって相互接続された上部キャリッジ部41Uおよび下部キャリッジ部41Lを含む。回転ジョイントは、3つの線形案内部または3つのアクチュエータにおける平面性のわずかな欠如に対応するために、自動位置合わせまたは球面軸受に置き換えられ得る。
【0041】
表面12は、運動発生装置10が配置されている建物の床であってもよいし、そのような床に取り付けられた、特定の支持表面部材であってもよい。上述したように、本発明の1次運動発生装置は、いくつかの先行技術の運動発生装置に必要とされる精密加工された金属製の床面を必要としないという点で有利である。
【0042】
1次運動発生装置10は、図1~3では、ニュートラル状態で示されている。 この状態では、キャリッジ41、42、43の上側および下側のキャリッジ部の位置は以下の通りである。
【表1】
【0043】
[1次運動発生装置の動作]
1次運動発生装置10は、制御システム(図4図13には示されていないが、例えば図37に示されている)の制御の下で、図4図13に関連して説明したように動作する。
【0044】
図4および図5は、サージ前進状態の図1の運動発生装置を示している。この状態では、キャリッジ41、42、43の上側および下側のキャリッジ部の位置は以下の通りである。
【表2】
【0045】
図6および図7は、図1の運動発生装置10がサージ後退状態であることを示している。この状態では、キャリッジ41、42、43の上側および下側のキャリッジ部の位置は以下の通りである。
【表3】
【0046】
図8および図9は、図1の運動発生装置がスウェイ右方向状態であることを示している。この状態では、キャリッジ41、42、43の上側および下側のキャリッジ部の位置は以下の通りである。
【表4】
【0047】
図10および図11は、図1の運動発生装置がスウェイ左方向状態であることを示している。この状態では、キャリッジ41、42、43の上側および下側のキャリッジ構成要素の位置は以下の通りである。
【表5】
【0048】
図12および図13は、図1の運動発生装置が反時計回りにヨーイングしている状態を示している。 この状態では、キャリッジ41、42、43の上側および下側のキャリッジ構成要素の位置は以下の通りである。
【表6】
【0049】
逆に時計回りにヨーイングしている状態では、キャリッジ41、42、43の上側と下側のキャリッジ部の位置関係は以下のようになる。
【表7】
【0050】
[2次運動発生装置]
図14図31は、本発明による1次運動発生装置(図14図31には示されていない)と組み合わせて使用して運動システムを形成することを目的とした2次運動発生装置48を示す。
【0051】
2次運動発生装置48は、上述した1次運動発生装置支持フレーム11と概ね同様の構造を有する三角形のフレーム49を有する。下向きに延びる前方フレーム部50および後方剛性管状又は稠密フレーム部52はそれぞれ、シャーシ114、またはシャーシ114が取り付けられた中間プラットフォームまたはフレームに固定されている。この例では、2次運動発生装置のペイロードを構成するシャーシ114は、レーシングカーを表し、約250kgの重さがあることが分かるだろう。細長懸架部54、55、56は、その一端が前方フレーム部50または剛性後方フレーム部52に取り付けられ、他端がシャーシ114を吊り下げるようにフレーム49から延びる剛性を有する上方に延びる取付部58、59、60に取り付けられている。取付部58、59、60は、フレーム49に固定されていてもよいし、フレーム49と一体になっていてもよい。
【0052】
一連の一対の線形アクチュエータ62、63;64、65;および66、67は、フレーム49の外周内に配置されている。本実施形態では、線形アクチュエータ62~67は、ベルト駆動式である。他の低移動質量アクチュエータは、例えばリニアモーターなどが考えられる。図18に示されているように、対応する一対の細長引張部材72、73;74、75;および76、77は、一端が線形アクチュエータキャリッジ62C、63C、64C、65C、66C、67Cに固定され、他端がシャーシ114または中間プラットフォームもしくはフレームに固定されている。使用時には、線形アクチュエータキャリッジ62C、63C、64C、65C、66C、67Cは、2次運動発生装置の制御システム(例えば、図37に示すような)からの指示に従って、それぞれ線形アクチュエータ62~67によって長手方向のいずれかに直線的に駆動され、吊り下げられたシャーシ114を高帯域の動きで動かす。
【0053】
次に2次運動発生装置48の動作と、制御システムからの指示によるアクチュエータキャリッジの移動により、シャーシ114を6自由度で移動させることについて説明する。図14図20に示すニュートラル状態での動作を示す。
【0054】
図21に示すサージ前進状態では、アクチュエータキャリッジ62C、63C、64C、65C、66C、67Cの位置は以下の通りである。
【表8】
【0055】
図22に示すサージ後退状態では、アクチュエータキャリッジ62C、63C、64C、65C、66C、67Cの位置は以下の通りである。
【表9】
図23に示すスウェイ左状態では、アクチュエータキャリッジ62C、63C、64C、65C、66C、67Cの位置は以下の通りである。
【表10】
【0056】
図24に示すスウェイ右状態では、アクチュエータキャリッジ62C、63C、64C、65C、66C、67Cの位置は以下の通りである。
【表11】
【0057】
図25に示すヒーブダウン状態では、アクチュエータキャリッジ62C、63C、64C、65C、66C、67Cの位置は以下の通りである。
【表12】
【0058】
逆に、ヒーブアップの状態では、アクチュエータキャリッジ62C、63C、64C、65C、66C、67Cの位置は以下のようになる。
【表13】
【0059】
図26に示されているロール、右サイドダウンの構成では、アクチュエータキャリッジ62C、63C、64C、65C、66C、67Cの位置は以下の通りである。
【表14】
【0060】
図27に示すロール、右サイドアップの構成では、アクチュエータキャリッジ62C、63C、64C、65C、66C、67Cの位置は以下の通りである。
【表15】
【0061】
図28に示すピッチノーズダウン構成では、アクチュエータキャリッジ62C、63C、64C、65C、66C、67Cの位置は以下の通りである。
【表16】
【0062】
図29に示すピッチノーズアップの構成では、アクチュエータキャリッジ62C、63C、64C、65C、66C、67Cの位置は以下の通りである。
【表17】
【0063】
図30に示されているヨーノーズ左向き状態では、アクチュエータキャリッジ62C、63C、64C、65C、66C、67Cの位置は以下の通りである。
【表18】
【0064】
図31に示されているヨーノーズ右向き状態では、アクチュエータキャリッジ62C、63C、64C、65C、66C、67Cの位置は以下の通りである。
【表19】
【0065】
実際には、本発明の運動システムにおいて、2次運動発生装置48は、1次運動発生装置(例:100)とシャーシ(例:114)との間に配置され、操作されると、1次運動発生装置100によって生成されてシャーシ114に与えられる運動に対して、追加または代替(すなわち、冗長)の運動を提供する。
【0066】
図32から図35では、本発明による1次運動発生装置と、それは異なる2次運動発生装置の構成を備える運動システムが示されている。
【0067】
[1次運動発生装置および6DOF2次運動発生装置系運動システム]
本発明の第1態様による1次運動発生装置82と、6DOF2次運動発生装置84とを含む、本発明による運動システム80が、図32から34に示されている。運動システム80は、表面86の上に設けられている。
【0068】
1次運動発生装置82は、2次運動発生装置84およびシャーシ88が1次運動発生装置のペイロードとしてのシャーシ14に代わることを除けば、例えば図1で上述した通りである。
【0069】
シャーシ88は、細長弾性部材90、91、92によって、三角形の支持フレーム89から懸架されている。一対の細長い引張部材または支柱96a,96b;97a,97bおよび98a,98bは、それぞれ一端がシャーシ88に接続されており、他端がそれぞれ外向きのロッカー96rf,96rr;97rl,97rr;および98rr,98rfに接続されている。この装置は、図34にさらに詳細に示されている。図34からわかるように、2次運動発生装置の右側のロッカ98rr、98rfは、水平面内で自由に揺動することができ、さらに、フレーム89の内側に沿って配置されたアクチュエータの対応する有歯キャプスタン98cr、98cfに係合する有歯ベルト98br、98bfによって連結されている(簡明を期すために図34からは省略されている)。一端がそれぞれ細長い引張部材98a、98bに接続されている各ベルト98br、98bfは、それぞれキャプスタン98cr、98cfの周りにまで延び、支持フレームに固定されているスプリングやバンジーなどの受動的な張力部材98tmr、98tmfにそれぞれ接続される(簡明を期すために図34では省略されている)。 同様の細長い引張部材、ロッカー、有歯ベルト、有歯キャプスタン、受動的張力部材の対は、三角形のフレーム89の他の側に設けられ、対応する方法で動作する。
【0070】
アクチュエータのキャプスタン(例えば98cr、98cf)の回転位置は、(例えば図37に示すような)制御システムの指令を受けている。したがって、アクチュエータのキャップスタン(例えば98cr、98cf)の動きは、受動的張力部材(例えば98tmr、98tmf)によって印加される張力に抗する又は従うベルト(例えば98br、98bf)の運動を駆動することで、連結されたロッカー(98rr、98rf)の位置を変化させ、ひいてはロッカー(98rr、98rf)に連結された細長い引張部材(98a、98b)の位置を変化させる。このようなロッカーの運動の結果がシャーシ88の6自由度の運動となる。高い帯域幅は、この2次運動発生装置の設計により実現することができる。さらに、先進的な1次運動発生装置と2次運動発生装置の組み合わせにより、先進的な動き/構成を得ることができる。
【0071】
1次運動発生装置82は、大きな振幅の変位を発生させることができるが、帯域幅が限られている。一方、2次運動発生装置84は、小さな振幅の変位しか発生させることができないが、はるかに高い帯域幅を有している。この直列構成は、以下のように大振幅と高周波の動きの組み合わせを容易にする。高周波数運動の場合、2次運動発生装置84は、必要な加速力をペイロードに適用し、これらを1次運動発生装置の慣性に抗して応答させ、それによってペイロードを所望の方向に推進する一方で、1次運動発生装置82に対して応答させて実際に反対方向に押し出す。したがって、2次運動発生装置84から1次運動発生装置82への応答による力は、実際に1次運動発生装置82を、ペイロード88が移動した方向とは反対の方向に逆に駆動することになる。これは、高周波数の動きに対しては全く問題ない。低周波数運動の場合には、2次運動発生装置84がペイロード88に駆動力を付与する一方で、1次運動発生装置82が同時に2次運動発生装置84に加速力を付与して、応答による力をペイロード88と2次運動発生装置84から地面へ及ぼし続ける。この場合、ペイロード88に対する2次運動発生装置84の相対的な動きは非常に小さく、その代わりに、1次運動発生装置82は、ペイロードに要求される水平方向の動きに非常に似た動きのプロファイル(すなわち、一定期間にわたって運動発生装置によって実行される一連の動き)で駆動することができる。
【0072】
[1次運動発生装置と3DOF2次運動発生装置を用いた運動システム]
本発明に従った別の運動システム101が図35に示されている。この運動システムは、例えば図1に関連して上述したような、本発明の第1態様による1次運動発生装置102と、シャーシ106などのペイロードを支持するための、相対的に単純な3DOF運動発生装置104とを備える。この運動システム中では、運動は垂直アクチュエータ110,112,114(不明瞭)によって供される。例えば、垂直アクチュエータ110,112,114は、Dボックス型のアクチュエータであってもよい。また、油圧ジャッキや線形アクチュエータなどの他のタイプのアクチュエータも考えられる。2次運動発生装置104は、その上に搭載された任意のシャーシ(例えば106)とともに1次運動発生装置のペイロードとなり、3自由度の動きしかできないが、本発明の運動システムでの使用が企図されている他の2次運動発生装置と比較して、(相対的に単純であるため)比較的低コストとなる可能性がある。拘束システム(図示せず)は、3DOFシステムによって制御されない3つの水平自由度において、1次フレームに対するシャーシの位置を維持するために必要である。
【0073】
[制御システム]
図37は、本発明による運動発生装置の動作を制御する際に使用する制御システム501を示す。図37に関連して、運動発生装置は502と指称されるが、制御システム501は、本明細書に記載された他の運動発生装置、運動システム、および運動シミュレーターおよび関連するシミュレーション環境503に適用可能である。
【0074】
制御システム501は、シミュレーション環境503またはセットポイント生成器506などの要求生成器から運動要求入力505を受けるコンピュータープログラムを-好適には決定論的または実時間的に-実行する運動制御装置504を備える。運動制御装置は、要求された運動プロファイル505を生成するために、各アクチュエータ509で生成するのに必要な位置、加速度および/または力507を計算する。また制御システム501は、アクチュエータ509を駆動するために正確に制御された電流510を供給するサーボドライブ508を備える。
【0075】
動作時には、運動制御装置は、各サーボドライブ508に要求された位置または力507を送る。アクチュエータ509は、エンコーダなどの運動測定装置511を有し、任意でサーボドライブを介して運動制御装置に運動フィードバック512を提供する。運動制御装置は、要求された運動プロファイル505を測定された運動プロファイル512と比較し、それに応じてアクチュエータ要求507を更新する。
【0076】
図37はまた、模擬された車両と、レーストラックや市道などの環境の物理が計算される運転シミュレーションなどのシミュレーション環境503を備える制御システムを示している。本実施形態では、制御システム501は、仮想車両の動きを表すシミュレーション環境503から動きの要求を受け取る。コンピュータプログラムは、仮想世界514における車両の動きを決定し、次に、運動キューアルゴリズム513(MCA、ウォッシュアウトフィルタとしても知られている)を適用して、模擬された車両の動きを、運動発生装置によって表現できるものに変換する。続いてこれらの計算された運動は、運動要求505として制御システムに提供される。MCA513は、シミュレーション環境503または制御システム501の一部であるか、または両方に分離され得る。シミュレーション環境503は、ステアリング、スロットルまたはブレーキの入力などの制御装置516からの入力信号515を受信してもよい。コンピュータープログラム運転者、乗客またはパイロットなどの人間のユーザーは入力信号515を用いてシミュレーション環境内の仮想車両を制御する。操作者は、運動発生装置502の乗客であると考えられる。これらの入力515は、制御システムを介して、または直接シミュレーション環境に戻されてもよい。コンピュータープログラム境は、運転者、乗客、または他のユーザーもユーザー操作者のために、視覚的ディスプレイ517上に出力を生成することも有力である。またシミュレーション環境は、制御システムから、運動発生装置の位置に関連するような追加データ518や、制御装置の入力信号を要求してもよい。
【0077】
[運転シミュレーター]
本発明による1次運動発生装置と2次運動発生装置の組み合わせからなる運動システム202を組み込んだ運転シミュレーター200が図36に示されている。運動システム202は、動きを再現するために制御システム205(例えば図37に示すようなもの)の制御下にあり、運転環境が模擬される投影システム204に対向している。追加の音響システム(これも図示せず)は、ユーザー(すなわち「ドライバー」)に没入型の体験を提供する。運転者は、運転者の操縦入力角度を測定し、操縦作動システムまたは操縦モータによってホイールにトルクフィードバックを提供する作動操縦システムによって、模擬された運転環境と相互作用する。さらに運転者は、シミュレーション内で車両を制御するためのペダルや、その他のスイッチ、回転ノブ、タッチスクリーンデバイスによって、模擬された運転環境に入力を提供することができる。また、実車の物理特性を再現した車両モデルを表すコンピュータープログラムも、シミュレーションの一部を構成し、制御システムと連動する。
【0078】
[運動発生装置、運動システム、運転シミュレーターの製造]
本発明による運動発生装置、および運動システムは、特注部品および標準部品の組み合わせから従来の方法で組み立てて、本発明の新規の運動発生装置、および運動システムを製造することができる。本発明による運動発生装置および運動システムの動作を制御するのに適した制御手段も、同様に従来の方法で製造することができる。
図1
図2
図3
図3A
図4
図5
図6
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図8
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図16
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図33
図34
図35
図36
図37