(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】風力タービン用のロータブレード及び風力タービン
(51)【国際特許分類】
F03D 1/06 20060101AFI20241225BHJP
【FI】
F03D1/06 A
(21)【出願番号】P 2022500878
(86)(22)【出願日】2020-07-01
(86)【国際出願番号】 EP2020068506
(87)【国際公開番号】W WO2021004853
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-06-06
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520134278
【氏名又は名称】フローゲン ディベロップメント アンド マネジメント アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ディルク クスター
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107366605(CN,A)
【文献】国際公開第92/001156(WO,A1)
【文献】特表2015-513039(JP,A)
【文献】米国特許第7832985(US,B2)
【文献】AKOUR, Salih N. et al.,Experimental and theoretical investigation of micro wind turbine for low wind speed regions,RENEWABLE ENERGY,英国,2017年09月26日,pp.215-223
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/04
F03D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービンのロータブレードであって、ロータブレード(10)をハブに固定するための、参照平面(BE)
であって回転軸線(20)に対して径方向に延びる、ロータブレード(10)の長手方向Lに延びている参照平面(BE)を定めるロータブレードルート(12)、ロータブレードルート(12)に連続して、ロータブレードルート(12)とは逆のロータブレード尖端領域(14)内まで延びるプロフィール領域(16)、プロフィール領域(16)全体にわたって延びる、ロータブレードノーズ(22)とロータブレードリアエッジ(24)、プロフィール領域(16)全体にわたってロータブレードノーズ(22)からロータブレードリアエッジ(24)まで延びるウィングプロフィール(28)の、吸い込み側を形成する上側(30)と圧力側を形成する下側(32)及び、ロータブレードノーズ(22)とロータブレードリアエッジ(24)を通って延びる、ウィングプロフィール(28)の弦(34)を有する、ものにおいて、
参照平面(BE)と弦(34)の間の弦角度(α)が、プロフィール領域(16)にわたってロータブレードルート(12)からロータブレード尖端領域(14)の方向に増大する、ことを特徴とするロータブレード。
【請求項2】
弦角度(α)が、連続的に増大する、ことを特徴とする請求項1に記載のロータブレード。
【請求項3】
弦角度(α)が、ロータブレードルート(12)に連続する始端セクション内で0°と4°の間、そしてロータブレード尖端領域(14)内では20°と28°の間である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のロータブレード。
【請求項4】
ロータブレードリアエッジ(24)が、少なくともほぼ直線的に延びている、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のロータブレード。
【請求項5】
プロフィール奥行き(38)が、プロフィール領域(16)全体にわたって、ロータブレードルート(12)からロータ尖端領域(14)の方向に減少している、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のロータブレード。
【請求項6】
プロフィール奥行き(38)が、連続的に減少している、ことを特徴とする請求項5に記載のロータブレード。
【請求項7】
プロフィール奥行き(38)が、半分から4分の1まで、好ましくは少なくともほぼ3分の1に減少する、ことを特徴とする請求項5又は6に記載のロータブレード。
【請求項8】
プロフィール厚み(40)が、プロフィール領域(16)全体にわたって、ロータブレードルート(12)からロータブレード尖端領域(14)の方向に、減少する、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のロータブレード。
【請求項9】
プロフィール厚み(40)が、連続的に減少する、ことを特徴とする請求項8に記載のロータブレード。
【請求項10】
プロフィール奥行き(38)に対するプロフィール厚み(40)の比率が、プロフィール領域(16)全体内で、少なくともほぼ一定であり、好ましくは少なくともほぼ0.07である、ことを特徴とする請求項8又は9に記載のロータブレード。
【請求項11】
ロータブレード(10)が、風力タービンの回転軸線(20)を中心に回転するように、定められており、その場合に回転軸線(20)が少なくともほぼ流着する風(36)の方向に延びており、かつ参照平面(BE)が回転軸線(20)と少なくとも50°の迎角(β)を形成する、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のロータブレード。
【請求項12】
ウィングプロフィール(28)が、凸状に湾曲された上側(30)とS字形状に湾曲された下側(32)とを有するノーマルプロフィールである、ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のロータブレード。
【請求項13】
ハブ(42)を備えた、回転軸線(20)を定めるロータ軸(18)を有する風力タービンであって、前記ハブに請求項1から12のいずれかに記載のロータブレード(10)がそのロータブレードルート(12)によって固定されており、その場合に回転軸線(20)が駆動中に少なくともほぼ流着する風(36)の方向に方向づけされている、風力タービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の風力タービンのロータブレード及び請求項13に記載の風力タービンに関する。
【背景技術】
【0002】
風力タービンのロータブレードとロータブレードを有する風力タービンは、一般的に知られており、たとえば欧州特許出願公開第3330530(A1)号明細書、欧州特許出願公開第3147499(A1)号明細書、欧州特許出願公開第2840255(A2)号明細書、欧州特許第1019631(B1)号明細書、国際公開第2019/030205(A1)号、国際公開第2018/046067(A1)号、国際公開第2010/046000(A2)号及びオランダ国特許第1030111号明細書に開示されている。
【0003】
本発明は、特に風力タービンのロータブレードとこの種のロータブレードを有する風力タービンに関するものであって、そのロータブレードは1.5mから8mのロータ直径もしくは約0.75mから約4mのロータブレードの長さを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】欧州特許出願公開第3330530(A1)号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3147499(A1)号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2840255(A2)号明細書
【文献】欧州特許第1019631(B1)号明細書
【文献】国際公開第2019/030205(A1)号
【文献】国際公開第2018/046067(A1)号
【文献】国際公開第2010/046000(A2)号
【文献】オランダ国特許第1030111号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、騒音放出が少なくて、良好な始動挙動を有する、風力タービンのロータブレード及びこの種のロータブレードを有する風力タービンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に記載のロータブレード及び請求項13に記載の風力タービンによって解決される。
【0007】
風力タービンのロータブレードは、既知のやり方で、ロータブレードをロータ軸もしくはハブに固定するためのロータブレードルートを有している。ロータブレードルートが、参照平面を定める。ハブは、通常のように、ロータ軸に固定されている。駆動中に、ロータ軸もしくはその回転軸線は、少なくともほぼ流着する風の方向に方向づけされている。
【0008】
ロータブレードのプロフィール領域が、ロータブレードルートに連続しており、かつロータブレードルートとは逆のロータブレード尖端領域まで延びている。好ましくはプロフィール領域は、ロータブレード尖端まで、すなわちロータブレードの自由端部まで延びている;しかし、プロフィール領域がロータブレード尖端領域内で、ロータブレード尖端から距離をおいて、終了し、かつロータブレードがプロフィール領域に連続して、ロータブレード尖端まで、異なる形状のロータブレード部材を有することも、考えられる。
【0009】
ロータブレードノーズとロータブレードリアエッジは、プロフィール領域の全長にわたって延びている。プロフィール領域の全長にわたってロータブレードノーズからロータブレードリアエッジまで延びる、ロータブレードのウィングプロフィールは、吸い込み側を形成する上側と、圧力側を形成する下側とを有している。
【0010】
上側が風下側にあって、下側が風上側にある。
【0011】
ウィングプロフィールの弦(翼弦)が、ロータブレードノーズとロータブレードリアエッジを通って延びている。弦と参照平面が弦角度を形成し、その場合にウィングプロフィールの下側は参照平面を向いており、ウィングプロフィールの上側は参照平面とは逆向きである。
【0012】
参照平面と弦との間の間隔は、ロータブレードノーズの方向に増大している。
【0013】
参照平面BEは、ロータブレード10が取りつけられた状態において、ロータ軸18及びその回転軸線20と、好ましくは最大70°かつ最小50°の迎角βを形成する。この迎角βは、回転軸線20と参照平面BEの間の測定可能な最小角度である。
【0014】
ウィングプロフィールの下側は、風が流着するように定められている。
【0015】
本発明によれば、弦角度はプロフィール領域にわたってロータブレードルートからロータブレード尖端領域の方向に増大する。
【0016】
実験とコンピュータシミュレーションは、この種のロータブレード及びこの種のロータブレードを有する風力タービンは、たとえば秒あたり4.5mから5mの低い風速においてすでに、わずかな騒音放出において良好なcp値を示し、したがって良好な始動特性を有していることを、示している。
【0017】
好ましいやり方で、弦角度は連続的に、好ましくは少なくともほぼ線形に、増大し、それが高い効率と簡単な構造を有するロータブレードをもたらす。
【0018】
弦角度のこの増大は、好ましくはロータブレード尖端まで行われる。しかし、弦角度は、ロータブレードルートからロータブレード尖端領域まで線形に、そしてロータブレード尖端領域内ではより強く増大することもでき、それは、風速が低い場合に良好な応答挙動を支援する。
【0019】
好ましくは弦角度は、ロータブレードルートに直接連続する始端セクション内では0°と4°の間、そしてロータブレード尖端領域内では20°と26°の間となる。これは、ロータブレード長さが約0.75mから約4mである場合に、したがってロータ直径が約1.5mから約8mである場合に、良好な結果をもたらす。
【0020】
好ましくは弦角度は、プロフィール領域のロータブレードルート側の端部において0°である。
【0021】
好ましくは、ロータブレードリアエッジは、少なくともほぼ直線的に延びている。これが、ロータブレードの特に簡単な構造をもたらす。
【0022】
特に簡単な構造と良好な効率は、ロータブレードリアエッジが、優先されるように、少なくともほぼ参照平面内に延びている場合に、支援される。
【0023】
好ましくは、プロフィール奥行きは、プロフィール領域全体にわたってロータルートからロータブレード尖端領域の方向に減少する。それによってロータブレードの機械的応力を低く抑えることができる。
【0024】
好ましくは、プロフィール奥行きは、連続的に、好ましくは線形に、減少する。これも、特に簡単かつ効率的なロータブレードをもたらす。
【0025】
好ましくはプロフィール奥行きは、ロータブレードルートに続いてロータブレード尖端領域内で、半分から4分の1に、好ましくは少なくともほぼ3分の1に減少する。これが、構造において簡単かつ安定した効率的なロータブレードをもたらす。
【0026】
好ましいやり方で、プロフィール厚みもプロフィール領域全体にわたって、ロータブレードルートからロータブレード尖端領域の方向に、減少する。これは、好ましくは連続的に、特に少なくともほぼ線形に行われる。それによってウィングプロフィールは、プロフィール領域全体において少なくともほぼ等しい(似ている)形状を有することができ、それが特に簡単な構造をもたらす。
【0027】
好ましいやり方で、プロフィール領域全体におけるプロフィール奥行きに対するプロフィール厚みの比率が、少なくともほぼ一定であることが、効率的かつ簡単な構造のロータブレードをもたらすことが、明らかにされている。好ましくはこの比率は、少なくともほぼ0.07である。
【0028】
好ましくは、プロフィール領域のロータブレードルート側の端部において測定した、プロフィール奥行きの、プロフィール領域の長さ(ロータブレードの長手方向に測定)に対する比率は、少なくともほぼ0.2である。
【0029】
ロータブレードは、風力タービンの回転軸線を中心に回転するように、定められており、その場合に回転軸線は、駆動中に、少なくともほぼ流着する風の方向に方向づけされており、かつロータブレードは、優先されるように、風上側にある。その場合にはロータブレードに風が妨げられずに流着することができる。
【0030】
ウィングプロフィールは、好ましくは凸状に湾曲された上側とS字状に湾曲された下側とを有するノーマルプロフィールであって、その場合に下側において、凸から凹の形状への移行部は、プロフィールノーズの近傍に、好ましくはプロフィール奥行きの最初の15%内に位置する。それによって細長いウィングプロフィールが得られる。
【0031】
この種のロータブレードを搭載したエネルギユニットは、回転軸線を定めるロータ軸とその上に固定的に取りつけられたハブを有し、そのハブにロータブレードが固定されている。風力タービンの駆動中に、回転軸線は少なくともほぼ流着する風の方向に方向づけされており、かつ、ロータブレードは、風が妨げられずに流れ着くように、風上側に位置している。
【0032】
風力タービンは、好ましくは2つから5つ、特に好ましくは3つのロータブレードを有している。それによって一方で、対称な構造が、他方ではそれに伴って静かな運転が保証されている。
【0033】
好ましくは、風力タービンは、特に良好な効率を得るために、ダクテッド風力タービンの形状で形成されている。
【0034】
好ましくはロータブレードは、その長手方向が回転軸線に対して少なくともほぼ径方向に延びるように、定められている。同じことは、2つ又はそれより多いロータブレードを有する風力タービンにも当てはまり、その場合にこれらは周方向に均一に分配して配置されている。
【0035】
ロータブレードノーズは、少なくともほぼ、参照平面に対して直角に延びる平面内に延びている。
【0036】
また、ロータブレードルートを、ハブもしくはロータ軸に、ロータブレードの長手方向に延びる揺動軸線を中心に揺動可能に配置することも、可能であって、これは特に、駆動力を発生させないようにする場合に、ロータブレードをニュートラル位置へ揺動させるため、あるいは流着を最適化するためである。
【0037】
念のために述べておくが、駆動中にロータブレードノーズは、ロータブレードの回転方向において先を行くように、そしてロータブレードリアエッジが後を追うように回転する。
【0038】
好ましくはロータブレードルートは、ハブもしくはロータ軸に固定するために2つの固定穴を有しており、その透孔は参照平面に対して少なくともほぼ直角に延びている。
【0039】
図を用いて本発明を詳細に説明する。図は、純粋に図式的なものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図2】
図1のロータブレードを、切断ラインB-Bに沿って示す断面図である。
【
図3】
図1のロータブレードを、切断ラインC-Cに沿って示す断面図である。
【
図4】
図1のロータブレードを、切断ラインD-Dに沿って示す断面図である。
【
図5】
図1のロータブレードを、切断ラインE-Eに沿って示す断面図である。
【
図6】
図1のロータブレードを、切断ラインF-Fに沿って示す断面図である。
【
図7】
図1から6に示すロータブレードを、
図1の矢印VIIの方向に示す側面図である。
【
図8】
図1から7に示すロータブレードを、
図1の矢印VIIIの方向に示す側面図である。
【
図9】
図1の切断ラインA-Aに沿ってロータブレードを示す断面図である。
【
図10】
図1から9に示すロータブレードを、下から示している。
【
図11】
図1から10に示すロータブレードを、上から示している。
【
図12】回転軸線に対して直角に延びる、
図1の切断ラインG-Gに沿ってロータブレードを示す縦断面図である。
【
図13】
図1から12に示す3つのロータブレードを有する風力タービンを示す斜視図である。
【
図14】
図1から12に示す3つのロータブレードを有する、ダクテッド風力タービンの形式で形成された、風力タービンを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1から12に示すロータブレード10は、ロータブレードルート12と、ロータブレードルート12に直接連続し、かつロータブレードルート12とは逆のロータブレード尖端領域13まで延びるプロフィール領域16を有している。ロータブレード10は、ロータブレードルート12によってハブに固定され、もしくはハブに固定することができるように、定められている。このハブは、知られたやり方で、ロータ軸18上に相対回動不能に取りつけられており、そのロータ軸がロータブレード10のための回転軸線20を定める。以下、これに関連して
図13と14及びその説明を、ずっと下で参照する。
【0042】
ロータブレード10の回転方向Dにおいて先を行くロータブレードノーズ22と後を追うロータブレードリアエッジ24が、プロフィール領域16全体にわたって延びている。
【0043】
図示される実施例において、プロフィール領域16は、ロータブレード尖端26まで、すなわちロータブレード10の自由端部まで、延びている。しかし、プロフィール領域16が単にロータブレード尖端領域14内へ延びており、その場合にロータブレード10がプロフィール領域16に続いてロータブレード尖端26まで、他の形状のロータブレード終端部材を有することが、考えられる。
【0044】
ロータブレード18は、プロフィール領域16内にウィングプロフィール28を有しており、そのウィングプロフィールは既知のやり方で、その上側30によって吸い込み側を、そしてその下側32によって圧力側を形成する。ウィングプロフィール28は、ロータブレードノーズ22からロータブレードリアエッジ24まで延びている。
【0045】
図2においては、矢印Wによって、ロータブレードの駆動中に流着する風の方向が示されている。したがって下側32は風上側にあり、上側30は風下側にある。
【0046】
ウィングプロフィール28は、弦34を有しており、その弦がロータブレードノーズ22とロータブレードリアエッジ24を通って延びており、かつ弦角度αを定める。この弦角度αは、弦34と参照平面BEの間の(最小の)角度によって定められる。
【0047】
実施例において、参照平面BEは、ロータブレードルート12の平坦な表面によって定められてる。参照平面Eは、さらに、回転軸線20に対して径方向に延びる、ロータブレード10の長手方向Lに延びている。
【0048】
図2から読み取ることができるように、参照平面BEは回転軸線20と最小50°かつ最大70°の迎角βを形成する。
【0049】
さらに、特に
図2から6から明らかなように、弦角度αは、プロフィール領域16全体にわたって、ロータブレードルート20からロータブレード尖端26の方向にこのロータブレード尖端まで連続的に増大している。
【0050】
通常のように、ロータ軸18もしくはそれに取りつけられたハブに固定されたロータブレード10は、プロフィール領域16のロータブレード側の始端まで、すなわちロータブレードルート12まで、軸カバー68によって覆われており、これが
図13及び14との関連において示されている。
【0051】
図示される実施例において、ロータブレードルート12に直接隣接して、弦角度αは、0°である。しかし、この弦角度が、たとえば4°までの、わずかな角度を有することも、可能である。
【0052】
図示される実施例において、ロータブレード尖端における弦角度は、約26°である。しかし、それよりも小さく、あるいは大きく選択することもできる。ロータブレード尖端領域14内では、弦角度αは、好ましくは20°と28°の間にある。
【0053】
特に
図1に関連して
図2から6から明らかなように、弦角度αはロータブレードルート12からロータブレード尖端26の方向に線形に増大する。
【0054】
図1の表示において、ロータブレードノーズ22とロータブレードリアエッジ24は、まっすぐである。弦角度αの変化にしたがって、特に
図7から12から明らかなように、ロータブレードノーズ22はやや湾曲して延びており、ロータブレードリアエッジ24(
図10を参照)は、その全長にわたってほぼ参照平面BE内に位置する。
【0055】
プロフィール奥行き38、すなわちロータブレードノーズ22とロータブレードリアエッジ24の間の間隔は、プロフィール領域16全体にわたって、ロータブレードルート12からロータブレード尖端26の方向に連続的に、図示される実施例においては線形に、減少する。
【0056】
図示される実施例においては、ロータブレード尖端26において、プロフィール奥行き38は、プロフィール領域16のロータブレードルート12側の端部におけるプロフィール奥行き38の3分の1である。
【0057】
プロフィール領域16の、ロータブレードルート側の端部におけるプロフィール奥行き36の、プロフィール領域36の長さ-すなわちロータブレードルート12とロータブレード尖端26の間の間隔-に対する比率は、0.2である。
【0058】
プロフィール厚み40も、プロフィール領域16全体にわたって、ロータブレードルート12からロータブレード尖端26まで連続的に、図示される実施例においては線形に、減少する。
【0059】
プロフィール奥行き38に対するプロフィール厚み40の比率は、プロフィール領域16全体において、ほぼ0.07である。したがってきわめて細長いウィングプロフィール28となる。
【0060】
特に
図2から6から読み取ることができるように、図示されるウィングプロフィール28は、凸状の上側30とS字形状の下側32とを有するノーマルプロフィールであって、その場合に下側32においては、凸状の領域から凹状の領域への移行部は、ロータブレードノーズ22の近傍に位置している;ロータブレードノーズ22からの距離は、プロフィール奥行き38の約10%である。
【0061】
特に
図13と14からも明らかなように、ロータブレード10は、風力タービンの回転軸線20を中心に回転するように、定められており、その場合に回転軸線は少なくともほぼ流着する風Wの方向に延びており、かつロータブレード10は風力タービンの風上側にある。
【0062】
図13と14に示す2つの風力タービンは、
図1から12に示し、かつ上で説明したように、それぞれ3つのロータブレード10を搭載している。
【0063】
これらのロータブレード10は、図示されない2つのボルトを用いてハブ42に固定されており、それらのボルトは、特に
図9が示すように、それぞれロータブレードルート12の固定穴44に挿通されている。これらの固定穴44及びそれに伴ってボルトの長手方向は、参照平面BEに対して直角に延びる。
【0064】
図13に示す風力タービンの実施形態において、垂直支持体46上に流線形状のジェネレータハウジング48が取りつけられており、その中に、電気エネルギを発生させるためのジェネレータ50が配置されている。ジェネレータ50を駆動するロータ軸18上に取りつけられたハブ46に、3つのロータブレード10が周方向に均一に分配して固定されている。ジェネレータハウジング48の風下側の端部には、回転軸線20が流着する風36に抗して方向づけされるように、垂直支持体46の垂直軸線を中心にジェネレータハウジング48を方向づけするために、テイルユニット52が設けられている。ロータブレードルート12は、軸カバー68によって覆われている。
【0065】
図14に示す風力タービンの実施形態は、国際公開第2019/076514(A1)号に開示されているように、ダクテッド風力タービンとして形成されているが、その場合に3つのロータブレード10は、
図1から12に示すように形成されている。
【0066】
垂直支持体36上に、垂直軸線を中心に回転可能に、ダクト54が取りつけられており、そのダクトは回転軸線22に対して回転対称に形成されており、かつウィング形状の横断面を有している。内側に位置するダクト上側56が、風のための流れ通路58を画成する。案内部材60は、リング形状であり、かつ回転軸線20に対して回転対称に形成されている。案内部材60の外径は、流れ通路58の最小の内法よりも小さい。
【0067】
案内部材プロフィールノーズ62は、ダクトプロフィールノーズ64に関して上流に、そして案内部材プロフィールリアエッジ66はダクトプロフィールノーズ64に関して下流に、しかし流れ通路58の最小の内法に関しては上流に配置されている。
【0068】
電気的ジェネレータ50を駆動するための3つのロータブレード10を有するプロペラが、案内部材プロフィールリアエッジ66の少なくとも近傍に配置されている。
【0069】
流着する風36に対してダクト54とそれに伴って回転軸線20を方向づけするために、ダクト54は垂直支持体46の軸線を中心に動力で回転可能である。
【0070】
この発明対象は、以下のように定義することもできる:
【0071】
風力タービンのロータブレードであって、ロータブレード10をハブに固定するためのロータブレードルート12、ロータブレードルート12に連続し、かつロータブレードルートとは逆のロータブレード尖端領域14まで延びるプロフィール領域16、プロフィール領域16全体にわたって延びる、ロータブレードノーズ22とロータブレードリアエッジ24、プロフィール領域16全体にわたってロータブレードノーズ22からロータブレードリアエッジ24まで延びるウィングプロフィール28の吸い込み側を形成する上側30と圧力側を形成する下側32及び、ロータブレードノーズ22とロータブレードリアエッジ24を通って延びる、ウィングプロフィール28の弦34を有し、その場合に参照平面BEと弦34の間の弦角度αが、プロフィール領域16にわたってロータブレードルート12からロータブレード尖端領域14の方向に増大する。
【0072】
参照平面BEは、ロータブレード10の長手方向Lに延びており、かつその中で少なくともほぼ弦34が、プロフィール領域16のロータブレードルート側の端部において、延びている。
【0073】
ウィングプロフィール28の上側30は、参照平面BEとは逆向きであって、風下側にある。したがって下側32は風上側にある。
【0074】
参照平面Eは、回転軸線20と、したがってそれに伴って流着する風と、好ましくは50°と70°の間の迎角βを形成する。