(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 37/04 20060101AFI20241225BHJP
【FI】
D06F37/04
(21)【出願番号】P 2022539020
(86)(22)【出願日】2020-11-24
(86)【国際出願番号】 CN2020131073
(87)【国際公開番号】W WO2021129276
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】201911344825.4
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911345568.6
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514114622
【氏名又は名称】青島海爾滾筒洗衣机有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】520148792
【氏名又は名称】海爾智家股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIER SMART HOME CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】趙志強
(72)【発明者】
【氏名】許升
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0285260(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108796964(CN,A)
【文献】国際公開第2012/124226(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106436136(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 1/00~60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングを含み、制震部材を介して支持されるホルダがハウジング内に装着されている洗濯機であって、
前記ホルダは、収容空間を囲繞するよう、可撓性部材を介して前記ハウジングに接続され、
前記ホルダは、上下に並んで間隔を置いて設置される第1支持アーム及び第2支持アームを含み、前記第1支持アーム及び前記第2支持アームの左右両側には可撓性部材が接続され、
少なくとも前記可撓性部材、前記第1支持アーム及び前記第2支持アームにより槽状構造が囲繞され、前記槽状構造の内部に収容空間が構成され、
前記第1支持アームと前記第2支持アームの左側とは左可撓性部材を介して接続され、前記第1支持アームと前記第2支持アームの右側とは右可撓性部材を介して接続され、
前記第1支持アーム、前記第2支持アーム、前記左可撓性部材、前記右可撓性部材によって槽状構造が囲繞され、
前記左可撓性部材及び前記右可撓性部材の中央部がそれぞれ前記ハウジングの対応する側の内壁に接続され、
槽状構造の両端部はそれぞれ前記ハウジングの内壁に密封状に接続され、前記槽状構造の内部が密封状の収容空間を形成し、
前記収容空間内には回転槽が設けられており、前記回転槽は、軸周りに回転可能に前記ホルダに装着され、
洗濯機には、前記回転槽の槽口を然るべく開閉する蓋が設けられており、前記回転槽は、洗濯機が洗浄プログラムを実行する際に密封状の貯水タンクを形成することを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記ホルダは鉛直に延伸する支持部材を含み、前記支持部材は槽状構造の後端部に位置し、前記支持部材の外周は、直接的に、或いは可撓性部材を介して前記槽状構造の内周壁に密封状に接続されており、前記槽状構造の一端を封止するために用いられ、
前記槽状構造の前端部には、中心方向に向かって屈曲する環状の堰止部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記支持部材は、前記第1支持アーム及び前記第2支持アームにそれぞれ固定的に接続される、又は、一体的に設置され、前記可撓性部材の後側辺は前記支持部材に密封状に接続されることを特徴とする請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記制震部材は、前記ホルダと前記ハウジングとを接続する制震ロッド及び/又は吊りバネを含み、
前記制震ロッドの一端は前記ホルダの支持部材及び/又は第2支持アームに接続され、前記制震ロッドは、他端が前記ハウジングの底壁及び/又は側壁に接続されるまで下方に延伸しており、
前記吊りバネの一端は前記ホルダの支持部材及び/又は第1支持アームに接続され、前記吊りバネは、他端が前記ハウジングの天井壁及び/又は側壁に接続されるまで上方に延伸していることを特徴とする請求項2あるいは3に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記回転槽には開孔が設けられており、前記開孔は、前記回転槽内を前記収容空間と連通させ、前記回転槽の開孔箇所には、前記回転槽の回転速度が所定の回転速度に達した場合に、回転時の遠心力を利用して前記開孔を開放する遠心弁が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記ホルダには回転槽が装着されており、前記ホルダの任意の位置と前記ハウジングの左側壁との距離は、いずれも前記回転槽と前記ハウジングの左側壁との最小距離以上であり、且つ、前記ホルダの任意の位置と前記ハウジングの右側壁との距離は、いずれも前記回転槽と前記ハウジングの右側壁との最小距離以上であることを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記ホルダは鉛直に延伸する支持部材を含み、前記回転槽は回動可能に支持部材に装着され、前記支持部材は回転槽に同軸に設置され、前記支持部材の水平幅は前記回転槽の槽径以下であることを特徴とする請求項6に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記回転槽の槽底には排水口が設けられており、前記排水口は前記槽底の外周に近接して設置され、前記支持部材は、前記回転槽の回動過程における前記排水口の回転経路を少なくとも覆い、
前記排水口には、これを開閉する弁体が設けられることを特徴とする請求項7に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記支持部材の外周は、前記回転槽に近接する方向に傾斜するテーパー状の折り返しとなっており、前記テーパー状の折り返しの径方向の最大幅は前記回転槽の槽径以下であることを特徴とする請求項8に記載の洗濯機。
【請求項10】
前記ホルダは、前記回転槽の下方に設けられて水平方向に延伸する底部支持部材を含み、前記底部支持部材には集水槽が備わっており、前記集水槽の底部が洗濯機の排水管と連通しており、前記底部支持部材は前記回転槽の左右の端部の間に位置することを特徴とする請求項
9に記載の洗濯機。
【請求項11】
前記支持部材の外周におけるテーパー状の折り返しには切欠きが設けられており、前記切欠きは、前記テーパー状の折り返しの最底部に位置するとともに、前記集水槽に対向して開設されることを特徴とする請求項10に記載の洗濯機。
【請求項12】
前記底部支持部材は
前記支持部材の下部に接続されており、前記底部支持部材と前記回転槽は隙間を隔てており、前記底部支持部材の他端は、前記回転槽の槽口側方向へ延伸しており、前記底部支持部材の前記集水槽の最低位置には洗濯機の排水管が接続されていることを特徴とする請求項10に記載の洗濯機。
【請求項13】
前記回転槽の槽壁には排水口が設けられており、前記排水口には制御弁が設けられており、前記ホルダには、前記回転槽の回転を固定位置で停止させるための位置決め装置が設けられており、
前記回転槽が固定位置にある場合、前記排水口は最低位置に配置されるとともに、前記ホルダに設けられる集水槽に面して設置されることを特徴とする請求項6~12のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項14】
洗濯機が洗浄状態の場合に前記回転槽が貯水タンクを形成するよう、前記回転槽には槽口を開閉する内槽蓋が設けられていることを特徴とする請求項6~13のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項15】
前記制震部材は、前記ホルダと前記ハウジングとを接続する制震ロッド及び/又は吊りバネを含み、
前記制震ロッドの一端は前記ホルダに接続され、前記制震ロッドは、他端が前記ハウジングに接続されるまで下方に延伸しており、前記吊りバネの一端は前記ホルダに接続され、前記吊りバネは、他端が前記ハウジングに接続されるまで上方に延伸していることを特徴とする請求項6~14のいずれか1項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類乾燥機の分野に属し、具体的には洗濯機に関し、特に、洗浄時にドラムが密封容器を形成する洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、一般的に、ドラム洗濯機は互いに嵌装される内槽と外槽を含む。外槽は密封されて水を蓄えるために用いられる。また、内槽には衣類が投入され、内槽を回転させて衣類を打ち付けることで洗浄が実施される。且つ、内槽には脱水孔が設けられ、外槽内の水が脱水孔から内槽に流入して内槽内の衣類を浸漬する。また、内槽内の水は脱水孔から外槽に流出する。且つ、内槽内の衣類の水分は内槽の高速回転時に脱水孔から外槽に排出される。こうして、衣類を洗浄するとの目的が実現される。
【0003】
洗濯機の使用過程では、内槽と外槽の間に垢が貯まりやすい。しかし、内槽と外槽は互いに嵌装されているため、ユーザは内槽の外壁と外槽の内壁をクリーニングする術がない。よって、洗濯機内部の細菌が増殖し、洗濯機の洗濯効率や衣類洗浄後の清潔度が低下する。
【0004】
また、上述した従来の洗濯機の場合、内槽の外部に外槽が覆設されており、洗濯機の洗浄過程では内槽が回転することで衣類を打ち付けて洗浄する。よって、洗濯機の洗浄容量は内槽が基準となる。一方で、内槽と外槽は互いに嵌装されているため、洗濯機の運転過程で、内槽と外槽の間、外槽とハウジングの間に衝突等の問題が発生しないよう、洗濯機の設計時には、外槽と内槽の間に隙間を残す必要があるほか、外槽とハウジングの間にも設計隙間を残す必要がある。その結果として、洗濯機の筐体サイズを変えなければ、洗濯機のドラムサイズを拡大することができない。つまり、従来をベースとして洗濯機の洗浄容量を増大することができない。
【0005】
上記に鑑みて、本発明を提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術の瑕疵を解消するために、洗濯機の洗浄容量を増大させるとの目的を実現する洗濯機を提供することである。また、もう一つの目的は、内槽と外槽の間のクリーニングが不要な洗濯機について、洗浄容積を増大させるとの目的を実現する洗濯機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的課題を解決するために、本発明で採用する技術方案の基本思想は以下の通りである。
【0008】
洗濯機はハウジングを含む。ハウジング内には、制震部材を介して支持されるホルダが装着されている。ホルダは、収容空間を囲繞するよう、可撓性部材を介してハウジングに接続される。
【0009】
更に、ホルダは、上下に並んで間隔を置いて設置される第1支持アーム及び第2支持アームを含む。第1支持アーム及び第2支持アームの左右両側には可撓性部材が接続され、少なくとも可撓性部材、第1支持アーム及び第2支持アームにより槽状構造が囲繞される。槽状構造の内部には収容空間が構成される。槽状構造の内部には収容空間が構成される。
【0010】
更に、第1支持アーム及び第2支持アームの左右両側は、それぞれ異なる可撓性部材を介してハウジングの内壁に接続され、第1支持アーム、第2支持アーム、可撓性部材及びハウジングの内壁によって槽状構造が囲繞される。槽状構造の内部には収容空間が構成される。
【0011】
更に、第1支持アームと第2支持アームの左側は左可撓性部材を介して接続され、第1支持アームと第2支持アームの右側は右可撓性部材を介して接続され、第1支持アーム、第2支持アーム、左可撓性部材、右可撓性部材によって槽状構造が囲繞され、左可撓性部材及び右可撓性部材の中央部がそれぞれハウジングの対応する側の内壁に接続される。
【0012】
更に、ホルダは鉛直に延伸する支持部材を含む。支持部材は槽状構造の後端部に位置する。支持部材の外周は、直接的に、或いは可撓性部材を介して槽状構造の内周壁に密封状に接続されており、槽状構造の一端を封止するために用いられる。槽状構造の前端部には、中心方向に向かって屈曲する環状の堰止部が設けられている。
【0013】
更に、支持部材は、第1支持アーム及び第2支持アームにそれぞれ固定的に接続されるか、一体的に設置され、可撓性部材の後側辺は支持部材に密封状に接続される。
【0014】
更に、槽状構造の両端部はそれぞれハウジングの内壁に密封状に接続され、槽状構造の内部が密封状の収容空間を形成する。
【0015】
更に、制震部材は、ホルダとハウジングを接続する制震ロッド及び/又は吊りバネを含む。制震ロッドの一端はホルダの支持部材及び/又は第2支持アームに接続される。また、制震ロッドは、他端がハウジングの底壁及び/又は側壁に接続されるまで下方に延伸している。吊りバネの一端はホルダの支持部材及び/又は第1支持アームに接続される。また、吊りバネは、他端がハウジングの天井壁及び/又は側壁に接続されるまで上方に延伸している。
【0016】
更に、収容空間内には回転槽が設けられている。回転槽は、軸周りに回転可能にホルダに装着される。好ましくは、洗濯機には、回転槽の槽口を然るべく開閉する蓋が設けられており、回転槽は、洗濯機が洗浄プログラムを実行する際に密封状の貯水タンクを形成する。
【0017】
更に、回転槽には開孔が設けられている。開孔は、回転槽内を収容空間と連通させる。回転槽の開孔箇所には、回転槽の回転速度が所定の回転速度に達した場合に、回転時の遠心力を利用して開孔を開放する遠心弁が設けられている。
【0018】
更に、回転槽及び駆動モータは支持部材の両側にそれぞれ設けられる。また、回転槽は槽状構造内に位置する。駆動モータのモータ軸は、支持部材に挿通されて回転槽の槽底の中心に同軸に接続される。好ましくは、モータ軸が挿通される回転槽の槽底箇所には水封構造が設けられている。
【0019】
上記の技術方案を用いることで、本発明は従来技術と比較して以下の有益な効果を有する。
【0020】
可撓性部材を介してホルダをハウジングに接続することで、洗浄水を通過させる収容空間を洗濯機のハウジング内に設置するとの目的が実現される。且つ、収容空間をハウジングに直接集積及び設置することで、収容空間の幅が洗濯機のハウジングのサイズと同等に設置される。これにより、ハウジングのサイズを最大限利用して、洗濯機の洗浄容量を増大させるとの著しい技術的進歩が達成される。このほか、収容空間の少なくとも一部を可撓性部材で構成することで、ホルダに発生する振動及び変位を可撓性部材自体の弾性でフィルタリングする。これにより、ハウジングに集積される収容空間が制震部材の作用を受けるとの事態が回避され、収容空間が部分的に破損するとの問題が防止される。
【0021】
上記の発明の目的を実現するために、更に、以下の技術方案を提供する。
【0022】
洗濯機はハウジングを含む。ハウジング内には、制震部材を介して支持されるホルダが装着されている。ホルダには回転槽が装着されている。ホルダの任意の位置とハウジングの左側壁との距離は、いずれも回転槽とハウジングの左側壁との最小距離以上である。且つ、ホルダの任意の位置とハウジングの右側壁との距離は、いずれも回転槽とハウジングの右側壁との最小距離以上である。
【0023】
更に、ホルダは鉛直に延伸する支持部材を含む。回転槽は回動可能に支持部材に装着される。支持部材は回転槽に同軸に設置される。支持部材の水平幅は回転槽の槽径以下である。好ましくは、回転槽の槽底にはモータ軸が接続されている。モータ軸は支持部材に挿通される。モータ軸の両端は駆動モータ及び回転槽にそれぞれ接続される。
【0024】
更に、回転槽の槽底には排水口が設けられている。排水口は槽底の外周に近接して設置される。支持部材は、回転槽の回動過程における排水口の回転経路を少なくとも覆う。排水口には、これを開閉する弁体が設けられている。好ましくは、前記弁体は、回転槽の回転速度が所定の値に達すると自動的に開放される遠心弁であるか、電磁制御される制御弁である。更に好ましくは、回転槽の内壁には、内部が中空のリフティングリブが装着されている。リフティングリブには、内部の中空部と連通する通水孔が設けられている。排水口は、リフティングリブの内部の中空と連通するために用いられる。排水口に設置される弁体は、リフティングリブの内部の中空部に位置する。
【0025】
更に、支持部材の外周は、回転槽に近接する方向に傾斜するテーパー状の折り返しとなっている。テーパー状の折り返しの径方向の最大幅は回転槽の槽径以下である。好ましくは、回転槽は、槽底側から槽口側に向かって槽径が徐々に収縮するテーパー状の槽となっている。テーパー状の折り返しの径方向の最大幅は、テーパー状の回転槽の最大槽径以下である。更に好ましくは、回転槽のテーパー状の槽壁には、槽底に近接し且つ槽径が収縮した収縮部が設けられている。支持部材の外周におけるテーパー状の折り返しは収縮部の少なくとも一部を覆う。
【0026】
更に、ホルダは、回転槽の下方に設けられて水平方向に延伸する底部支持部材を含む。前記底部支持部材には集水槽が備わっており、集水槽の底部が洗濯機の排水管と連通している。底部支持部材は、回転槽の左右の端部の間に位置する。好ましくは、底部支持部材の幅は回転槽の槽径よりも小さい。また、底部支持部材の軸線は回転槽の軸線と同一の鉛直面内に位置する。
【0027】
更に、支持部材の外周におけるテーパー状の折り返しには切欠きが設けられている。切欠きは、テーパー状の折り返しの最底部に位置するとともに、集水槽に対向して開設される。好ましくは、ホルダには、切欠きから集水槽まで延伸する構造であって、回転槽の排水口から流出した水流を集水槽に流動させるよう案内する導水構造が設けられている。
【0028】
更に、底部支持部材は支持部材の下部に接続されている。また、底部支持部材と回転槽は隙間を隔てている。底部支持部材の他端は、回転槽の槽口側方向へ延伸している。底部支持部材の集水槽の最低位置には洗濯機の排水管が接続されている。
【0029】
更に、回転槽の槽壁には排水口が設けられており、排水口には制御弁が設けられている。ホルダには、回転槽の回転を固定位置で停止させるための位置決め装置が設けられている。回転槽が固定位置にある場合、排水口は、最低位置に配置されるとともに、ホルダに設けられる集水槽に面して設置される。
【0030】
更に、洗濯機が洗浄状態の場合に回転槽が貯水タンクを形成するよう、回転槽には槽口を開閉する内槽蓋が設けられている。
【0031】
更に、制震部材は、ホルダとハウジングを接続する制震ロッド及び/又は吊りバネを含む。制震ロッドの一端はホルダに接続される。また、制震ロッドは、他端がハウジングに接続されるまで下方に延伸している。吊りバネの一端はホルダに接続される。また、吊りバネは、他端がハウジングに接続されるまで上方に延伸している。
【発明の効果】
【0032】
上記の技術方案を用いることで、本発明は従来技術と比較して以下の有益な効果を有する。
【0033】
上記のように設置することで、ホルダには水平方向に回転槽から突出する部分が存在しなくなる。よって、ハウジング内に回転槽との間の隙間を保持するだけで、洗濯機の円滑な運転を実現可能となる。
【0034】
ホルダ全てを回転槽の最左端と最右端の間に設置することで、水平方向においてホルダが回転槽の径方向サイズを超えないように設置する。一定の占有空間を必要とする外槽が存在する一般的なドラム洗濯機と比較して、本発明の実施例では、同一体積のハウジングを有する場合に、ホルダの占有空間が、外槽が存在する場合に必要とされる空間よりも小さくなる。これにより、回転槽の径方向サイズが増加し、洗濯機の洗浄容量が拡充される。
【0035】
且つ、本発明は構造がシンプルであり、効果が著しく、利用普及に適している。
【0036】
以下に、図面を組み合わせて、本発明の具体的実施形態につき更に詳細に述べる。
【0037】
図面は、本発明の一部として本発明の更なる理解のために用いられる。また、本発明の概略的実施例及びその説明は本発明の解釈のために用いられるが、本発明を不当に限定するものではない。なお、言うまでもなく、以下で記載する図面は実施例の一部にすぎず、当業者であれば、創造的労働を要さないことを前提に、これらの図面から更にその他の図面を得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例における洗濯機の概略構造図である。
【
図2】
図2は、本発明の別の実施例における洗濯機の概略構造図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例における
図1のA-A断面の概略構造図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例における
図1のB-B断面の概略構造図である。
【
図5】
図5は、本発明の別の実施例における
図1のB-B断面の概略構造図である。
【
図6】
図6は、本発明のもう一つの実施例における洗濯機の概略構造図である。
【
図7】
図7は、本発明のもう一つの実施例における
図6のD-D断面の概略構造図である。
【
図8】
図8は、本発明の更なる実施例における
図6のD-D断面の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
説明すべき点として、これらの図面及び文字記載は何らかの方式で本発明の構想の範囲を制限するとの意図ではなく、特定の実施例を参照して当業者に本発明の概念を説明するためのものである。
【0040】
本発明における実施例の目的、技術方案及び利点をより明瞭とすべく、以下では、本発明の実施例にかかる図面を組み合わせて、実施例の技術方案につき明瞭簡潔に述べる。なお、以下の実施例は本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を制限するものではない。
【0041】
本発明の記載において、説明すべき点として、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「内」、「外」等の用語で示される方向又は位置関係は、図示に基づく方向又は位置関係であって、本発明の記載の便宜上及び記載の簡略化のためのものにすぎず、対象となる装置又は部材が特定の方向を有し、且つ特定の方向で構成及び操作されねばならないことを明示又は暗示するものではない。よって、本発明を制限するものと理解すべきではない。
【0042】
本発明の記載において、説明すべき点として、別途明確に規定及び限定しない限り、「装着する」、「連なる」、「接続する」との用語は広義に解釈すべきである。例えば、固定的な接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、一体的な接続であってもよい。また、機械的な接続であってもよいし、電気的な接続であってもよい。更には、直接的な連なりであってもよいし、中間媒体を介した間接的な連なりであってもよい。当業者であれば、具体的状況に応じて本発明における上記用語の具体的意味を解釈可能である。
【0043】
図1~
図5に示すように、本発明の実施例では、洗濯機について説明する。当該洗濯機はハウジング1を含む。ハウジング1内には回転槽3が設けられている。回転槽3の軸線は、水平であるか、槽口側が上方に傾斜して設置される。回転槽3は、ユーザが洗濯負荷を投入するために用いられる。回転槽3は、駆動モータ7に接続されており、駆動モータ7に伴われて軸周りに回転する。これにより、槽内に投入された負荷を上昇させて打ち付け、打ち付け時の作用力を利用して負荷を洗浄する。また、回転槽3内には洗浄水が供給される。洗浄水は、負荷を浸漬して、供給水中に含まれる洗剤、柔軟剤、消毒剤等の添加剤を負荷と接触させることで負荷の洗浄効果を向上させる。
【0044】
本発明の実施例において、回転槽3は、ホルダ4を介してハウジング1内に装着される。また、ホルダ4は、制震部材9を介してハウジング1内に支持及び装着される。前記制震部材9は、制震ロッド91、バネ92等とすることができる。また、前記制震ロッド91及びバネ92は、油圧ロッド、空気圧ロッド、制震バネ、制震吊りバネ等のいずれか1つ、又はそれらを組み合わせて軸方向の制震支持力を提供可能な従来の構造とすることができる。好ましくは、ホルダ4の上部は吊りバネ92を介してハウジング1に接続され、ホルダ4の底部は制震ロッド91を介してハウジング1に接続される。更に好ましくは、ホルダ4の上部の左右両側が少なくとも1つの吊りバネ92にそれぞれ接続され、ホルダ4の底部の左右両側が少なくとも1つの制震ロッド91にそれぞれ接続される。また、吊りバネ92及び制震ロッド91は、いずれも回転槽の径方向か、径方向に対し傾斜する方向に延伸している。これにより、制震力を両側から中央部に向かう方向とすることができ、更には、左右両側の制震部材を組み合わせることで鉛直方向の制震支持力が形成される。
【0045】
本発明の実施例において、ホルダ4は洗濯機のハウジング1内に設けられる。また、ホルダは、収容空間2を囲繞するよう、可撓性部材6を介してハウジング1の内壁に接続される。これにより、回転槽3を収容空間2内に設けることで、回転槽3から流出した洗浄水が収容空間2に流れ込む。収容空間2の空間の底部は洗濯機の排水管5と連通しているため、回転槽3から排出された洗浄水を収集して外部に排出するとの効果が実現される。
【0046】
また、上記の洗濯機の動作と連携するために、回転槽3は、洗濯機の通常洗浄時に密封状の貯水タンクを形成するよう設置すればよい。これにより、回転槽3に外槽と内槽の機能を同時に集積し、内部に収容された洗浄水を利用して、投入された負荷を洗浄する。
【0047】
或いは、洗濯機の回転槽3を通常の内槽とし、回転槽3に内外を連通させる脱水孔を設置してもよい。この場合、洗浄水を収容するために、ホルダ4、可撓性部材6、ハウジング1で囲繞される収容空間2を密封状に設置することで、洗浄水を収容するための外槽機能を上記収容空間2で直接構成する。
【0048】
本発明の実施例では、可撓性部材6自体に部分的な折り畳み、移動等を発生させ得るよう、可撓性部材6が弾性展延度を有する材質で構成される。例えば、可撓性部材6は弾性のゴム材質で構成される。且つ、可撓性部材6は、波状に延伸するシート状構造をなす。これにより、可撓性部材6は、自身の波型の襞を利用して部分的な変形を生じ、制震部材9が発生させる制震変位をフィルタリングすることで、可撓性部材6が破損しないよう保証する。
【0049】
可撓性部材6を介してホルダ4をハウジング1に接続することで、洗浄水を通過させる収容空間2を洗濯機のハウジング1内に設置するとの目的が実現される。且つ、収容空間2をハウジング1に直接集積及び設置することで、収容空間2の幅が洗濯機のハウジング1のサイズと同等に設置される。これにより、ハウジング1のサイズを最大限利用して、洗濯機の洗浄容量を増大させるとの著しい技術的進歩が達成される。このほか、収容空間2の少なくとも一部を可撓性部材6で構成することで、ホルダ4に発生する振動及び変位を可撓性部材6自体の弾性でフィルタリングする。これにより、ハウジング1に集積される収容空間2が制震部材9の作用を受けるとの事態が回避され、収容空間2が部分的に破損するとの問題が防止される。
【実施例1】
【0050】
図1に示すように、本実施例では、洗濯機について説明する。当該洗濯機はハウジング1を含む。ハウジング1内には回転槽3が設けられている。回転槽3は、回動可能にホルダ4に設置される。ホルダ4と可撓性部材6、ハウジング1により収容空間2が囲繞され、収容空間2内に回転槽3が設置される。
【0051】
本実施例において、ホルダ4は、上下に並んで間隔を置いて設置される第1支持アーム41及び第2支持アーム42を含む。第1支持アーム41及び第2支持アーム42の左右両側には可撓性部材6が接続され、少なくとも可撓性部材6、第1支持アーム41及び第2支持アーム42により槽状構造が囲繞される。
【0052】
本実施例において、第1支持アーム41及び第2支持アーム42の左右両側は、それぞれ異なる可撓性部材6を介してハウジング1の内壁に接続され、第1支持アーム41、第2支持アーム42、可撓性部材6及びハウジング1の内壁によって槽状構造が囲繞される。本実施例において、第1支持アーム41の左右両側は、左上可撓性部材63の右側及び右上可撓性部材64の左側にそれぞれ接続される。左上可撓性部材63の左側はハウジング1の左側壁11に接続され、右上可撓性部材64の右側はハウジング1の右側壁12にそれぞれ接続される。また、第2支持アーム42の左右両側は、左下可撓性部材65の右側及び右下可撓性部材66の左側にそれぞれ接続される。左下可撓性部材65の左側はハウジング1の左側壁11に接続され、右下可撓性部材66の右側はハウジング1の右側壁12に接続される。且つ、左上可撓性部材63と左側壁11との接続箇所は、左下可撓性部材65と左側壁11との接続箇所の上方に位置し、右上可撓性部材64と右側壁12との接続箇所は、右下可撓性部材66と右側壁12との接続箇所の上方に位置する。これにより、左上可撓性部材63、第1支持アーム41、右上可撓性部材64、右側壁12、右下可撓性部材66、第2支持アーム42、左下可撓性部材65、左側壁11、左上可撓性部材63の先頭と末尾が順次連なって槽状構造が構成され、槽状構造の内部に収容空間2が構成される。
【0053】
本実施例では、収容空間2の密封性を保証するために、可撓性部材6とハウジング1の側壁及びホルダ4の支持アームとの接続箇所はいずれも密封状に接続されている。これにより、収容空間2に流入した水が接続箇所から外部に流出するとの事態が回避される。
【0054】
本実施例では、洗濯機の全体的な運転の安定性を向上させるために、第1支持アーム41と第2支持アーム42の軸線が同一の鉛直面内に位置する。好ましくは、第1支持アーム41と第2支持アーム42の軸線は、いずれも回転槽3の軸線と同一の鉛直面内に位置する。これにより、ホルダ4は回転槽3の軸線に対して対称に配置されるため、洗濯機の運転過程における振動が低下する。
【0055】
本実施例では、洗濯機の運転時の安定性を更に向上させるために、ホルダ4と可撓性部材6及び筐体の側壁で囲繞される槽状構造は、回転槽3の軸線に対して対称に配置される。これにより、槽状構造の中心は、回転槽3の軸線が存在する鉛直面内に位置するため、偏心により槽状構造の振動が過剰に大きくなるとの事態が回避される。
【実施例2】
【0056】
図2に示すように、本実施例は、回転槽3が配置される収容空間2をホルダ4と可撓性部材6で直接囲繞する点で上記実施例1と異なっている。
【0057】
本実施例において、ホルダ4の第1支持アーム41及び第2支持アーム42は、左側に左可撓性部材61が設置され、右側に右可撓性部材62が設置される。左可撓性部材61の対向する両側辺は、それぞれ第1支持アーム41及び第2支持アーム42の左側に接続され、右可撓性部材62の対向する両側辺は、それぞれ第1支持アーム41及び第2支持アーム42の右側に接続される。これにより、順次連なる第1支持アーム41、左可撓性部材61、第2支持アーム42、右可撓性部材62によって槽状構造が囲繞され、槽状構造内に収容空間2が形成される。
【0058】
本実施例では、収容空間2の最大化を実現して洗濯機の洗浄容量を増大させるために、左可撓性部材61を洗濯機のハウジング1の左側壁11に固定的に接続し、右可撓性部材62を洗濯機のハウジング1の右側壁12に固定的に接続する。これにより、可撓性部材6で構成される槽状構造を接続箇所の作用で引き伸ばし、洗濯機の洗浄容量を最大化して設置する。
【0059】
好ましくは、洗濯機の容量の最大化を保証するために、次のように設置する。左可撓性部材61の中央部と洗濯機のハウジング1の左側壁11を接続し、接続箇所を洗濯機の回転槽3の軸線と同じ高さに設置する。また、右可撓性部材62の中央部と洗濯機のハウジング1の右側壁12を接続し、接続箇所を洗濯機の回転槽3の軸線と同じ高さに設置する。上記のように設置することで、ハウジング1の幅を完全に利用して収容空間2を設置可能となり、収容空間2の幅が最大化される。これにより、内部に配置される回転槽3を最大化して設置可能となるため、洗濯機の洗浄容量を増大させるとの効果が達せられる。
【実施例3】
【0060】
図3及び
図4に示すように、本実施例は、上記実施例1又は2をベースとして、更に以下の技術的特徴を有する。即ち、少なくとも可撓性部材6、第1支持アーム41及び第2支持アーム42で囲繞される槽状構造は、両端の少なくとも外周部分に止水構造を有する。これにより、回転槽3から流出した洗浄水を止水構造で堰き止めて、槽状構造の内部に形成される収容空間2内に収集してから、槽状構造と連通する洗濯機の排水管5から外部に排出可能とする。
【0061】
本実施例において、ホルダ4は、鉛直に延伸する支持部材40を含む。支持部材40は槽状構造の後端部に位置する。支持部材40の外周は、直接的に、或いは可撓性部材6を介して槽状構造の内周壁に密封状に接続されており、槽状構造の一端を封止するために用いられる。可撓性部材6の後側辺は支持部材40に密封状に接続される。これにより、槽状構造の後端部が支持部材40の作用で密封されるため、回転槽3から流出した洗浄水が槽状構造の後端部から外部に排出されるとの事態が回避され、更には、回転槽3から流出した洗浄水を収容空間2内に収集するとの効果が達成される。
【0062】
本実施例において、槽状構造の前端部には、中心方向に向かって屈曲する環状の堰止部67が設けられている。環状の堰止部67の外周は槽状構造の前端部に密封状に接続されるため、収容空間2内に流入した洗浄水が前端部から流出するとの事態が阻止される。好ましくは、洗濯機の運転の安定性を保証するために、環状の堰止部67の内周を回転槽3の槽口に対向させて同軸に設置してもよい。
【0063】
本実施例において、ホルダ4の支持部材40は、第1支持アーム41及び第2支持アーム42にそれぞれ固定的に接続されるか、一体的に設置されるとともに、一定の剛性を有する金属部材やプラスチック部材等で構成される。好ましくは、第2支持アーム42は槽状構造の最低位置に設けられる。第2支持アーム42には排水口が設置され、排水口が洗濯機の排水管5と連通する。
【0064】
本実施例において、回転槽3及び駆動モータ7は支持部材40の両側にそれぞれ設けられる。また、回転槽3は槽状構造内に位置する。駆動モータ7のモータ軸8は、支持部材40に挿通されて回転槽3の槽底の中心に同軸に接続される。好ましくは、モータ軸8が挿通される回転槽3の槽底箇所には水封構造が設けられている。
【実施例4】
【0065】
図5に示すように、本実施例は、上記実施例1又は2をベースとして、更に以下の技術的特徴を有する。即ち、少なくとも可撓性部材6、第1支持アーム41及び第2支持アーム42で囲繞される槽状構造は、両端部分がそれぞれハウジング1の内壁に密封状に接続される。これにより、槽状構造の前端部と後端部をそれぞれ対応する側のハウジング1の内壁に密封状に接続することで、槽状構造の前端及び後端を然るべく止水して、回転槽3から流出した洗浄水を収集する。
【0066】
本実施例において、槽状構造の前端部は洗濯機のハウジング1の前側壁13に接続され、後端部は洗濯機のハウジング1の後側壁14に接続される。
【0067】
本実施例では、回転槽3の回転過程における振動が、槽状構造に伝達されたあとハウジング1にそのまま伝達されないよう保証するために、以下のように設置すればよい。即ち、ホルダ4はハウジング1に直接接続されず、ホルダ4の外周全てが可撓性部材6を介してハウジング1に接続される。これにより、ホルダ4の振動は、可撓性部材6でフィルタリングされたあとハウジング1に伝達されるため、洗濯機の運転過程における振動が減少する。
【0068】
本実施例では、ホルダ4の前端とハウジング1の前側壁13との間、及びホルダ4の後端とハウジング1の後側壁14との間の部分は、いずれも可撓性部材6により構成されるため、ホルダ4が回転槽3の動作に伴い受けた振動は可撓性部材6を介してハウジング1に伝達される。これにより、ホルダ4とハウジング1との剛性接続が回避され、振動がハウジング1に直接作用するとの事態が防止される。
【実施例5】
【0069】
図1~
図5に示すように、本実施例は、上記実施例1~4のいずれかで述べた洗濯機をベースとして、更に以下の技術的特徴を含む。即ち、ホルダ4とハウジング1は制震部材9を介して接続される。前記制震部材9は、ホルダ4とハウジング1を接続する制震ロッド91及び/又は吊りバネ92を含む。制震ロッド91の一端はホルダ4の支持部材40及び/又は第2支持アーム42に接続される。また、制震ロッド91は、他端がハウジング1の底壁及び/又は側壁に接続されるまで下方に延伸している。吊りバネ92の一端はホルダ40の支持部材40及び/又は第1支持アーム41に接続される。また、吊りバネ92は、他端がハウジング1の天井壁及び/又は側壁に接続されるまで上方に延伸している。これにより、ホルダ40は、制震部材9を介してハウジング1に支持されるとともに、制震部材9自体の弾性伸縮を利用して振動を緩衝し、洗濯機のハウジング1に対する振動及び衝撃を減少可能とする。
【実施例6】
【0070】
図1~
図5に示すように、本実施例は、上記実施例1~5のいずれかで述べた洗濯機をベースとして、更に以下の技術的特徴を含む。即ち、収容空間2内には回転槽3が設けられている。回転槽3は、軸周りに回転可能にホルダ4に装着される。
【0071】
本実施例において、洗濯機には、回転槽3の槽口を然るべく開閉する扉10が設けられている。回転槽3は、洗濯機が洗浄プログラムを実行する際に密封状の貯水タンクを形成する。これにより、回転槽3に内槽と外槽の機能が同時に集積される。
【0072】
本実施例において、回転槽3には開孔が設けられている。開孔は、回転槽3内を収容空間2と連通させる。回転槽3の開孔箇所には、回転槽3の回転速度が所定の回転速度に達した場合に、回転時の遠心力を利用して開孔を開放する遠心弁が設けられている。これにより、回転槽3内に収容された洗浄水の外部への排出を制御可能とし、回転槽3に内槽と外槽の機能を同時に集積している。
【実施例7】
【0073】
図6~
図7に示すように、本実施例では、洗濯機について説明する。当該洗濯機は、ハウジング1を含む。ハウジング1内には回転槽3が設けられている。回転槽3の軸線は、水平であるか、槽口側が上方に傾斜して設置される。回転槽3は、ユーザが洗濯負荷を投入するために用いられる。回転槽3は、駆動モータ7に接続されており、駆動モータ7に伴われて軸周りに回転する。これにより、槽内に投入された負荷を上昇させて打ち付け、打ち付け時の作用力を利用して負荷を洗浄する。また、回転槽3内には洗浄水が供給される。洗浄水は、負荷を浸漬して、供給水中に含まれる洗剤、柔軟剤、消毒剤等の添加剤を負荷と接触させることで負荷の洗浄効果を向上させる。
【0074】
本発明の実施例において、回転槽3は、ホルダ4を介してハウジング1内に装着される。また、ホルダ4は、制震部材9を介してハウジング1内に支持及び装着される。前記制震部材9は、制震ロッド、バネ等とすることができる。また、前記制震ロッド及びバネは、油圧ロッド、空気圧ロッド、制震バネ、制震吊りバネ等のいずれか1つ、又はそれらを組み合わせて軸方向の制震支持力を提供可能な従来の構造とすることができる。好ましくは、
図1~
図3に示すように、前記制震部材9はホルダの下方に設置可能であり、ホルダ4をハウジング1の底壁及び/又は側壁に接続する。また、ホルダの左右両側に、回転槽の軸線に対して対称に配置される2組の制震部材9をそれぞれ設置すればよい。各制震部材93は、いずれも回転槽の径方向か、径方向に対し傾斜する方向に延伸する。これにより、制震力を両側から中央部に向かう方向とすることができ、更には、左右両側の制震部材を組み合わせることで鉛直方向の制震支持力が形成される。
【0075】
上記の洗濯機の動作と連携するために、回転槽3は、洗濯機の通常洗浄時に回転槽3に設置されている扉を閉止することで、回転槽3が密封状の貯水タンクを形成するよう設置すればよい。これにより、回転槽3に外槽と内槽の機能を同時に集積し、内部に収容された洗浄水を利用して、投入された負荷を洗浄する。
【0076】
本発明の実施例において、ホルダ4には回転槽3が装着されている。ホルダ4の任意の位置とハウジング1の左側壁11との距離は、いずれも回転槽3とハウジング1の左側壁11との最小距離以上である。且つ、ホルダ4の任意の位置とハウジング1の右側壁12との距離は、いずれも回転槽3とハウジング1の右側壁12との最小距離以上である。
【0077】
ホルダ全てを回転槽の最左端と最右端の間に設置することで、水平方向においてホルダが回転槽の径方向サイズを超えないように設置する。一定の占有空間を必要とする外槽が存在する一般的なドラム洗濯機と比較して、本発明の実施例では、同一体積のハウジングを有する場合に、ホルダの占有空間が、外槽が存在する場合に必要とされる空間よりも小さくなる。これにより、回転槽の径方向サイズが増加し、洗濯機の洗浄容量が拡充される。
【0078】
図6及び
図7に示すように、本実施例では、洗濯機について説明する。当該洗濯機はハウジング1を含む。ハウジング1内には回転槽3が設けられている。回転槽3は、回動可能にホルダ4に設置される。また、回転槽3の回動過程でホルダ4との間に干渉が発生しないよう保証すべく、ホルダ4と回転槽3の間には隙間が備わっている。
【0079】
本実施例において、ホルダ4は、鉛直に延伸する支持部材40を含む。回転槽3は、回動可能に支持部材40に装着される。また、支持部材40は回転槽3に同軸に設置される。支持部材40の水平幅は回転槽3の槽径以下である。好ましくは、本実施例において、回転槽3の槽底にはモータ軸8が接続されている。モータ軸8は支持部材40に挿通される。モータ軸8の両端は、駆動モータ7及び回転槽3にそれぞれ接続される。これにより、駆動モータ7のロータを回転槽3に直接接続して、駆動モータの作用で回転槽3に軸周りの回転を発生させる。
【0080】
上記のように設置することで、ホルダには水平方向に回転槽から突出する部分が存在しなくなる。よって、ハウジング内に回転槽との隙間を保持するだけで、洗濯機の円滑な運転を実現可能となる。
【0081】
本実施例において、回転槽3の槽底には排水口15が設けられている。排水口15は槽底の外周に近接して設置される。支持部材40は、回転槽3の回動過程における排水口15の回転経路を少なくとも覆う。これにより、排水口15から流出した排水水流は、支持部材40に案内されて下方に集束するよう流動可能となる。排水口15には、これを開閉する弁体22が設けられている。本実施例において、前記弁体22は、回転槽3の回転速度が所定の値に達すると自動的に開放される遠心弁であるか、電磁制御される制御弁である。本実施例において、回転槽3の内壁には、内部が中空のリフティングリブ21が装着されている。リフティングリブ21には、内部の中空部と連通する通水孔が設けられている。排水口15は、リフティングリブ21の内部の中空と連通するために用いられる。排水口15に設置される弁体22は、リフティングリブ21の内部の中空部に位置する。
【0082】
本実施例では、排水の円滑性を向上させるために、回転槽3の槽底に複数の排水口15を設置してもよい。また、各排水口15は、回転槽3の軸線に対し対称に配置される。これにより、回転槽3内の洗浄水を遠心力の作用で各排水口15から外部に排出可能となるため、排水の円滑性が向上する。
【0083】
本実施例において、支持部材4の外周は、回転槽3に近接する方向に傾斜するテーパー状の折り返し43となっている。テーパー状の折り返し43の径方向の最大幅は回転槽3の槽径以下である。これにより、ホルダ4には水平方向に回転槽3から突出する部分が存在しなくなるため、ハウジング1内に回転槽3との隙間を保持するだけで、洗濯機の円滑な運転を実現可能となる。且つ、支持部材4の外周に回転槽3の槽底方向に傾斜するテーパー状の折り返し43を設置することで、排水口15から排出された水流が支持部材40に案内されて下方に集束し、流動可能となるよう保証される。
【0084】
本実施例において、回転槽3は、槽底側から槽口側に向かって槽径が徐々に収縮するテーパー状の槽となっている。これにより、遠心力の作用によって槽内の洗浄水を壁伝いに流動するよう案内する際に、洗浄水は回転槽3の槽底方向に集束し、槽底に設けられた排水口15から排出される。回転槽の槽壁が、槽口側から槽底側に向かって槽径が拡大するテーパー状の槽となるよう、回転槽3の槽壁の構成線と水平線との夾角をaとする。本実施例において、テーパー状の折り返し43の径方向の最大幅は、テーパー状の回転槽3の最大槽径以下である。更に好ましくは、回転槽3のテーパー状の槽壁には、槽底に近接し且つ槽径が収縮した収縮部が設けられている。支持部材40の外周におけるテーパー状の折り返し43は収縮部の少なくとも一部を覆う。
【0085】
本実施例において、ホルダ4は、回転槽3の下方に設けられて水平方向に延伸する底部支持部材41を含む。前記底部支持部材41には集水槽42が備わっており、集水槽42の底部が洗濯機の排水管5と連通している。底部支持部材41は、回転槽3の左右の端部の間に位置する。好ましくは、底部支持部材41の幅は回転槽3の槽径よりも小さい。また、底部支持部材41の軸線は回転槽3の軸線と同一の鉛直面内に位置する。回転槽の下方に底部ホルダを設置することで、排水口から流出した排水水流は、支持部材に案内されて下方に集束し、底部支持部材に設置される集水槽内へ流動する。これにより、排水を集束して収容し、連通する排水管を通じて外部へ排出するとの効果が実現される。
【0086】
本実施例において、支持部材40の外周におけるテーパー状の折り返し43には切欠きが設けられている。切欠きは、テーパー状の折り返し43の最底部に位置するとともに、集水槽42に対向して開設される。好ましくは、ホルダ40には、切欠きから集水槽42まで延伸する構造であって、回転槽3の排水口15から流出した水流を集水槽42に流動させるよう案内する導水構造が設けられている。前記導水構造は、切欠きを集水槽42に連通させる導水槽としてもよいし、間隔を置いて配置される2本の導水リブで形成される導水流路としてもよい。
【0087】
本実施例において、底部支持部材41は支持部材40の下部に接続されている。また、底部支持部材40と回転槽3は隙間を隔てている。底部支持部材41の他端は、回転槽3の槽口側方向へ延伸している。底部支持部材40の集水槽42の最低位置には洗濯機の排水管5が接続されている。これにより、集水槽42内に収集された排水を排水管5から円滑に外部へ排出可能となる。
【実施例8】
【0088】
図8に示すように、本実施例は、上記実施例7と以下の点において異なっている。即ち、本実施例において、回転槽3の槽壁と水平面には夾角が存在しない。また、回転槽3の槽壁には排水口15が設けられている。洗濯機が洗浄プログラムを実行する際に回転槽3が密封状の貯水タンクを形成するよう、排水口15には、排水口15の開閉を制御するための弁体22が設けられている。前記弁体22は、無線給電及び信号伝送による電気制御弁等の従来の任意の構造とすればよい。
【0089】
本実施例において、ホルダ4及び/又はハウジング1には、回転槽3の回転を固定位置で停止させるための位置決め装置が設けられている。回転槽3が固定位置にある場合、回転槽3における排水口が設置された槽壁は水平となり、且つ最低位置に配置される。また、排水口15が最低位置に配置されるとともに、ホルダに設けられる集水槽42に面して設置される。これにより、排水口15の開放に伴う排水水流が円滑に集水槽42内に流れ込むことで、回転槽3内の洗浄水を円滑に外部へ排出するとの効果が達せられる。
【0090】
好ましくは、回転槽3の槽壁は、両端が中央部に向かって傾斜するよう設置され、槽口と槽底が収縮している。また、中央部が外側に向かって相応の弧度を形成している。これにより、槽壁が突起状をなし、突起部分の最低部位に排水口が設置される。水流は、重力の作用により最低部位へと流れて集束し、円滑に集水槽42内に集中するため、回転槽3内の洗浄水の外部排出を最適化するとの効果が達せられる。
【0091】
本実施例において、前記位置決め装置は、固定位置に対する回転槽3の回転停止を実現する従来の任意の装置(図示しない)とすればよい。例えば、ホルダに設置されて伸縮変位を発生可能なラッチとすればよい。ラッチは駆動モータに接続される。また、回転槽及び/又はモータのロータに挿入口が設置される。ラッチは、モータの駆動作用によって挿入口内に挿入されるまで伸出し、直接的に、或いは、回転槽とともに回動するモータのロータを介して、回転槽のロック及び位置決めを実現する。これにより、回転槽の回転を固定位置で停止させるとの効果が達せられる。
【実施例9】
【0092】
図6~
図8に示すように、本実施例は、上記いずれかの実施例で述べた洗濯機をベースとして、更に以下の技術的特徴を含む。即ち、ホルダ4とハウジング1は制震部材9を介して接続される。前記制震部材9は、ホルダの下方に設置されて、ホルダ4をハウジング1の底壁及び/又は側壁に接続可能である。或いは、前記制震部材9は、ホルダ4の上方に設置されて、ホルダ4をハウジング1の天井壁及び/又は側壁に接続してもよい。これにより、ホルダ40は、制震部材9を介してハウジング1に支持されるとともに、制震部材9自体の弾性伸縮を利用して振動を緩衝し、洗濯機のハウジング1に対する振動及び衝撃を減少可能とする。
【0093】
本実施例において、洗濯機のハウジング1内には回転槽3が設けられている。回転槽3は、軸周りに回転可能にホルダ4に装着される。
【0094】
本実施例において、洗濯機には、回転槽3の槽口を然るべく開閉する扉10が設けられている。回転槽3は、洗濯機が洗浄プログラムを実行する際に密封状の貯水タンクを形成する。これにより、回転槽3に内槽と外槽の機能が同時に集積される。
【0095】
以上は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を何らかの形式に制限するものではない。本発明については好ましい実施例によって上記のように開示したが、本発明を限定するとの主旨ではない。本発明の技術方案を逸脱しない範囲において、当業者が上記で提示した技術内容を用いて実施可能なわずかな変形或いは補足は、同等に変形された等価の実施例とみなされ、いずれも本発明の技術方案の内容を逸脱するものではない。また、本発明の技術的本質に基づいて上記の実施例に加えられる任意の簡単な修正、同等の変形及び補足は、いずれも本発明の請求の範囲に属する。
【符号の説明】
【0096】
1 ハウジング
2 収容空間
3 回転槽
4 ホルダ
5 排水管
6 可撓性部材
7 駆動モータ
8 モータ軸
9 制震部材
10 扉
11 左側壁
12 右側壁
13 前側壁
14 後側壁
15 排水口
21 リフティングリブ
22 弁体
31 モータ軸
40 支持部材
41 第1支持アーム
42 第2支持アーム
43 底部支持部材
44 集水槽
45 テーパー状の折り返し
61 左可撓性部材
62 右可撓性部材
63 左上可撓性部材
64 右上可撓性部材
65 左下可撓性部材
66 右下可撓性部材
67 堰止部