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7610611光ファイバを処理するシステムおよびその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】光ファイバを処理するシステムおよびその方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 37/027 20060101AFI20241225BHJP
【FI】
C03B37/027 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022548974
(86)(22)【出願日】2021-02-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-03
(86)【国際出願番号】 US2021017377
(87)【国際公開番号】W WO2021163130
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2023-09-01
(31)【優先権主張番号】62/976,545
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】レディング,ブルース ウォーレン
(72)【発明者】
【氏名】タンドン,プシュカル
【審査官】若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-532674(JP,A)
【文献】特開2014-062021(JP,A)
【文献】特開2017-031023(JP,A)
【文献】特開昭60-186430(JP,A)
【文献】特開2017-165614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 37/00-37/16
G02B 6/02-6/10
6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバを処理するためのシステム(400)は、
光ファイバプリフォーム(404)を中に保有している延伸炉(402)と、
前記光ファイバプリフォームから延伸されて、前記延伸炉から処理経路(408)に沿って伸展している未被覆の光ファイバ(406)と、
前記延伸炉に動作可能にその処理フロー下流側で接続され、約1000℃ないし約1400℃の範囲の徐冷装置処理温度に前記未被覆の光ファイバを晒す徐冷装置(410)と
前記延伸炉に動作可能にその処理フロー下流側に接続されている少なくとも1つの流体軸受装置と、
を備えており、
前記少なくとも1つの流体軸受装置は、前記徐冷装置から出る前記未被覆の光ファイバを方向転換させて前記徐冷装置に再度入れ直しするよう構成されている、
システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの流体軸受装置は、多数の支持チャネルが設けられて前記未被覆の光ファイバに方向転換させて前記徐冷装置に再度入れ直しする構成の本体部を更に備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
少なくとも1つの流体軸受装置を更に備え、該少なくともつの流体軸受装置は、前記未被覆の光ファイバに方向転換させて前記徐冷装置を通り抜けさせることで少なくとも0.4秒間の滞留時間に亘り徐冷装置処理温度に前記未被覆の光ファイバを晒すよう構成されている、請求項に記載のシステム。
【請求項4】
前記未被覆の光ファイバは少なくとも0.2秒間に亘り前記徐冷装置の内部の約1000℃ないし約1700℃の温度である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムは、前記未被覆の光ファイバが前記流体軸受装置により方向転換された後で前記徐冷装置に再度入れ直しされる前に前記未被覆の光ファイバの温度を少なくとも約500℃だけ上昇させるよう構成されている、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの流体軸受装置の温度は約5℃から約450℃の間である、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの流体軸受装置を出ていく前記光ファイバの温度は約300℃から約800℃の間である、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記光ファイバは1550nmで減衰量が0.18dB/km未満である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの流体軸受装置は加熱された筐体の内部にある、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
未被覆の光ファイバを処理するための方法において、
延伸炉の内部にある光ファイバプリフォームから未被覆の光ファイバ延伸し、光ファイバが延伸炉から処理経路に沿って伸展するようにする工程と、
前記未被覆の光ファイバを延伸して前記延伸炉に動作可能にその処理フロー下流側で接続されている徐冷装置を通り抜けさせて、徐冷装置が約1000℃ないし約1400℃の範囲の徐冷装置処理温度に前記未被覆の光ファイバを晒すようにする工程と、
前記未被覆の光ファイバに方向転換させて前記徐冷装置から出る該未被覆の光ファイバを前記徐冷装置に再度入れ直しさせる工程と
を含んでいる、方法。
【請求項11】
前記未被覆の光ファイバは、前記延伸炉に動作可能にその処理フロー下流側に接続されている少なくともつの流体軸受装置により方向転換されて前記徐冷装置に再度入れ直しされ、前記少なくとも1つの流体軸受装置は多数の支持チャネルが設けられた本体部を備えている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記未被覆の光ファイバに方向転換させて前記徐冷装置を通り抜けさせることで、少なくとも0.5秒間の滞留時間に亘り徐冷装置処理温度に前記未被覆の光ファイバを晒すよう構成されている、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願との相互参照】
【0001】
本願は合衆国法典第35編第119条(米国特許法)に基づき、2020年2月14日出願の米国特許仮出願第62/976,545号の優先権の利益を主張するものであり、同出願明細書の内容は参照することでその全体に依存するとともに本願明細書の一部を成すものとする。
【技術分野】
【0002】
本発明は光ファイバを製造するためのシステムおよび方法に関するものであり、より具体的には、本発明は徐冷装置を通り抜ける多数の経路が設けられた光ファイバ製造システムおよびその方法に関連している。
【背景技術】
【0003】
光ファイバ製造に際して、光学プリフォームはガラス軟化点より高い温度に加熱され、次いで、大きなドローダウン率で延伸されることで、直径が125μmの光ファイバを形成する。高い延伸温度、大きなドローダウン率、そして、速い延伸速度が原因でガラスが平衡状態から大きくかけ離れてしまい、その結果として仮想温度が高くなり、よって、減衰量が増えてしまう。光ファイバの仮想温度と減衰量を低減する目的で、ガラス転移領域とガラス転移温度未満の温度(sub-T)領域 でのファイバの徐冷を採用することでこれらファイバの減衰率を低下させてきた。しかし、ガラスの緩和増大を誘発することのできる滞留時間はやや短く(<0.2秒)、若干の仮想温度の低下が達成されるにすぎない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本願発明者らは光ファイバを製造するための改良型のシステムおよび方法を開発してきた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、光ファイバを製造するためのシステムおよび方法の各種実施形態を説明する。実施形態によっては、未被覆の光ファイバを処理するためのシステム(100)は以下のもの含んでいるものがあり、すなわち、光ファイバプリフォーム(404)を内部に保有している延伸炉(402)と、光ファイバプリフォームから延伸され、延伸炉から処理経路(408)に沿って伸展している未被覆の光ファイバ(406)と、延伸炉に動作可能にその処理フロー下流側で接続されて、約1000℃ないし約1400℃の範囲の徐冷装置処理温度に未被覆の光ファイバを晒す徐冷装置(410)とを含んでおり、未被覆の光ファイバは徐冷装置を少なくとも2回は通り抜けることを特徴としている。
【0006】
実施形態によっては、未被覆の光ファイバを処理する方法は以下の工程を含んでいるものがあり、すなわち、延伸炉の内部にある光ファイバプリフォームから未被覆の光ファイバを延伸するにあたり、未被覆の光ファイバは延伸炉から処理経路に沿って伸展している工程と、延伸炉に動作可能にその処理フロー下流側で接続されている徐冷装置の中を通して未被覆の光ファイバを延伸するにあたり、徐冷装置が約1000℃から約1400℃の範囲の徐冷処理温度に未被覆の光ファイバを晒す工程と、未被覆の光ファイバの向きを制御して徐冷装置を少なくとも2回は通り抜けさせる工程とを含んでいる。
【0007】
本件開示の上記以外の更なる実施形態を後段以降で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
前段までで簡単に要約し後段以降でより詳細に説明する本件開示の各種実施形態は、添付の図面に描かれている本件開示の事例的な実施形態を参照することによって理解することができる。ただし、添付の図面は本件開示の典型的な実施形態のみを図説しているにすぎず、したがって、その範囲を限定していると見なす
べきではない点に留意するべきである。
図1】本件開示の幾つかの実施形態による光ファイバを製造するためのシステムを描いた図。
図2】本件開示の幾つかの実施形態による光ファイバ製造システムで使用する流体軸受装置を描いた図。
図3】本件開示の幾つかの実施形態による流体軸受装置を描いた側面図。
図4】本件開示の幾つかの実施形態による具体的な光ファイバ製造システムを例示した図。
図5】本件開示の幾つかの実施形態による具体的な光ファイバ製造システムを例示した図。
図6】本件開示の幾つかの実施形態による具体的な光ファイバ製造システムを例示した図。
図7A】本件開示の幾つかの実施形態による、図4ないし図6に描かれている具体的な光ファイバ製造システムで使用する流体軸受装置を描いた図。
図7B】本件開示の幾つかの実施形態による、図4ないし図6に描かれている具体的な光ファイバ製造システムで使用する流体軸受装置を描いた図。
図8】シリカファイバの温度に徐冷が及ぼす影響を例示した図。
図9】2種類の延伸速度について、シリカファイバの仮想温度に徐冷が及ぼす影響を例示した図。
図10】一連のシリカファイバで互いに仮想温度が異なっているものについて、レイリー散乱損失の波長依存度を例示した図。
図11】処理システムにおいて炉が約900℃から約1300℃の範囲の定温で作動状態にある場合の、シリカファイバの滞留時間(2秒まで)に亘るファイバの仮想温度の変動を例示した図。
図12】処理システムにおいて炉が約900℃から約1300℃の範囲の定温で作動状態にある場合の、シリカファイバの滞留時間(10秒まで)に亘るファイバの仮想温度の変動を例示した図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面に明示された各実施形態は、本質的に図説のためのものであり、特許請求の範囲の各請求項によって定義される本発明を限定する意図はない。さらに、図面および本発明の個々の特徴は、詳細な説明に鑑みてより十分に明らかになり、理解される。
【0010】
理解を容易にするために、各図に共通する同一要素を示すために、可能な場合には同一の参照番号が使用されている。図は等尺になるようには描かれておらず、分かり易くするために簡略化されている場合がある。一実施形態の各種の要素および特徴は、さらに説明することなく、それ以外の各実施形態の一部をうまく構成していることもあると考えられる。
【0011】
本項説明の便宜上、具体例の実施形態はシリカベースの各種の光ファイバに関するものとする。シリカベースの光ファイバには、純粋なシリカから作られたファイバ、ドーピング処理されたシリカから作られたファイバ、または、純粋なシリカとドーピング処理されたシリカの組み合わせから作られたファイバが含まれる。各種処理条件 (例えば、温度、冷却範囲、冷却速度、延伸速度など) および各種特性 (例えば、仮想温度、粘度、減衰量、屈折率など) は、シリカベースの光ファイバに関して説明される。しかしながら、当業者が認識するように、本件開示の原理は上記以外の材料系ベースの光ファイバにも及ぶが、上記以外の材料系の成分の特性(例えば、溶融温度、粘度、仮想温度、構造緩和についての時間スケール)に当然払うべき考慮を払ったうえでのことである。
【0012】
本項説明は、減衰量が低い光ファイバを提示している。光ファイバはガラス線条であり、ガラスの構造緩和をより完全に促進する条件下で処理される。構造緩和がより完全に近づくほどファイバの仮想温度は低くなり、ファイバの減衰量を低減する。
【0013】
従来のファイバ処理では、ファイバの形成は、ガラスプリフォームを軟化点より高い温度に加熱してからより大きなドローダウン率でファイバを延伸して、所望の直径を有する光ファイバを形成することによって実施される。シリカガラスファイバについては、プリフォームの直径は約100mmないし約120mmかそれ以上であり、プリフォームから延伸されたガラスファイバは、典型的には、125μmの直径を有する。シリカガラスファイバを製造するには、シリカガラスプリフォームを約2000℃より高い温度に加熱し、ファイバを10メートル毎秒(m/s)以上の速度で延伸する。高い延伸温度、大きなドローダウン率、および、速い延伸速度が原因で、シリカガラスファイバのガラス構造は平衡状態から大きくかけ離れている。理論に束縛されることを望まずとも、シリカガラスファイバの非平衡構造はシリカガラスファイバにおける信号減衰の重大な根本原因であると考えられている。したがって、各処理条件を修正してガラス構造を安定化させ、平衡構造により近づけることにより、光ファイバの減衰量をより低減することができると考えられている。
【0014】
本項説明の便宜上、仮想温度がガラス構造の指標として使用されることになる。仮想温度が高いガラスは、仮想温度が低いガラスよりも平衡から更にかけ離れた構造を持っている。ガラスの仮想温度をより下げる処理条件ほど、より平衡に近い構造の光ファイバを産する。仮想温度が低い光ファイバは、減衰量が少なくなる予想されている。
【0015】
仮想温度は、ガラス構造が平衡状態にあるときの温度である。赤外線(IR)ビーム測定法により測定することができ、例えば、ディー・エル・キム(D.L.Kim)およびエム・トモザワ(M.Tomozawa)共著の「シリカガラスファイバの仮想温度 - 再検証(Fictive Temperature of Silica Glass Fiber - Reexamination)」、ジャーナル・オヴ・ノン・クリスタライン・ソリッズ(Journal of Non-Crystalline Solids)の第286巻(2001年刊)の132頁から138頁に掲載の方法を使用することができる。本明細書で説明しているように、仮想温度とは光ファイバの半径方向の平均仮想温度のことである。
【0016】
本項説明によると、冷却中にファイバがガラス転移領域の温度に晒される期間を引き延ばす各種処理条件が例示されているが、引き延ばしの目的は、ファイバの構造緩和を容易にするとともにファイバの仮想温度を低下させることである。ガラス転移領域は、一般に、シリカガラス光ファイバについては約1200℃から約1700℃の範囲である。ガラス転移領域よりも低い温度領域(sub-T領域)でガラスの更にもう1回の緩和が起こることがあり、これは約1000℃ないし約1200℃の間の温度に対応している。一実施形態では、冷却によりガラス構造緩和を容易にすることで光ファイバに低い仮想温度領域を与えることになる温度幅は約1000℃から約1700℃の範囲である。もう1つ別な実施形態では、この温度幅は約1050℃から約1600℃の範囲である。更にまた別な実施形態では、この温度幅は約1100℃から約1500℃の範囲である。
【0017】
光ファイバは一般に空気中で延伸される。空気中での冷却速度は一般に毎秒約12000℃を超えるが、これは、ファイバが約1000℃より高い温度にあるときの延伸プロセス期間中のことであり、その結果として、ガラス仮想温度が約1550℃より高くなるうえに光ファイバの減衰量も大きくなる。光ファイバの延伸処理を開示している或る先行技術の報告では、光ファイバが延伸時に熱した炉に晒され、光ファイバが約1200℃から約1700℃の間の温度を0.1秒未満受けるようにしたり、事例によっては0.2秒未満受けるようにした。本項説明は光ファイバを延伸する方法を開示しており、光ファイバは約1000℃から約1700℃の温度に、或る実施形態では0.5秒より長い期間に亘って維持され、また或る別な実施形態では1秒より長い期間に亘って維持され、更に別な実施形態では2秒よりも長い期間に亘って維持される。本件の方法により、毎秒10メートル(10m/s)より速い延伸速度、20m/sより速い延伸速度、30m/sより速い延伸速度、40m/sより速い延伸速度、50m/sより速い延伸速度、または、60m/sより速い延伸速度に対して、光ファイバを約1000℃から約1700℃の間の温度で0.5秒より長い期間、1秒より長い期間、または、2秒より長い期間に亘って維持することができる。
【0018】
図1は従来技術に基づいて光ファイバを製造するための典型的なシステムを描いている。システム108は、炉112の中にファイバプリフォーム110が配置されている。ファイバプリフォーム110はシリカガラスなどのガラスで構成されており、組成の異なる複数の領域を含んでいることもある。例えば、プリフォーム110はそこから延伸されるファイバについて望ましいコア組成とクラッド組成に対応する組成を有している改質シリカガラス領域と未改質シリカガラス領域を含んでいることもある。ファイバプリフォーム110は炉112の内部で加熱され、そこからファイバ114が延伸される。ファイバ114は処理ゾーン130に入り、冷え始める。ファイバ114は処理ゾーン130を出て、一連の流体軸受装置116を備えている冷却領域118を通るように案内される。流体軸受装置116は更にファイバを冷却し、ファイバを被覆装置120に向かうよう案内するが、ここで被覆材が塗布されて被覆処理済みファイバ121を供与する。被覆装置120を出た後、被覆光ファイバ121は、当技術分野で周知のシステム内にある多様な上記以外の各種処理工程段(図示せず)を通過することがある。延伸機構128は、光ファイバがシステム108により延伸される際に、光ファイバに張力を与えるために使用される。
【0019】
流体軸受装置は米国特許第7,937,971号明細書に記載されているが、この特許明細書の開示は、参照により本明細書の一部を成しているものとする。具体例の流体軸受装置の構造および動作の一般的な説明はこの後でする。しかし、流体軸受装置にはそれら以外の設計が可能であり、本明細書で開示されている方法および装置によって達成可能な利点は流体軸受装置の特定の設計によって限定されないものと理解するべきである。
【0020】
流体軸受装置の典型的な設計を図1および図2に示す。図2の流体軸受装置216は、第1平板230は、第2平板232、内側部材236、および、第1平板と第2平板のうち少なくとも一方に設けられた少なくとも1つの開口部234を備えている。第1平板230および第2平板232は金属製で、それぞれに弓形の外周面238、239を備えている。第1平板230および第2平板232は、締結具(例えば、ボルト240)によって接続されて平板230、232を一緒に連結し、流体が軸受装置集成体216を通り抜けることができるようになっている。平板230の弓形外周面238と平板232の弓形外周面239は、概ね、平板230、232それぞれの円周面に沿って在る。第1平板230は内面242と外面243を、第2平板232は内面244と外面245をそれぞれ有し、平板230の内面242と平板232の内面244とは互いに整列している。第1平板230または第2平板232のいずれか一方の内面242または内面244の内周を少なくとも部分的に巡って凹部247が延びて、流体の流れにプレナムを与えている。また別の一実施形態では、該凹部は多様な形状を備えていることで、本明細書で後述するように、ファイバ支持チャネル250に流入する均一な流れをもたらすようにしている。
【0021】
図2に例示された実施形態では、第1平板230の弓形外周面238と第2平板232の弓形外周面239は概ね整列状態にあって第1平板230と第2平板232の双方の外周面238と外周面239の間に或る領域を形成しているのが好ましい。この領域は、光ファイバを受容するにあたり、軸受集成体を回転させずともこの領域に沿って光ファイバが移動できるよう構成されている。このファイバ支持チャネル250は、図3に例示されている実施形態(本項で後述する)においてより明確に図示されている。す少なくとも1つの開口部234が、第1平板230および第2平板232のうちの少なくとも一方を貫通している。図2に示すように、第1平板230の開口部234と第2平板232とにより、流体(例えば、空気、ヘリウム、もしくは、これら以外の所望の気体または液体)を、流体軸受装置216を通して給送し、開口部234から第1平板230と第2平板232との間に形成されたファイバ支持チャネル250に至るようにすることができる。以下でより十分に説明するが、チャネル250に供給される流体はファイバとチャネル250の表面との間に高圧領域を生じる。流体は、延伸を推進する張力と相まって、チャネル250においてファイバを安定させるとともにチャネル250の表面より上にファイバを位置決めするように作用して、ファイバが流体軸受装置と機械的接触するのを防止する。流体軸受装置を通される流体は、ここでは浮揚流体と呼んでもよい。浮揚流体は気体でも液体でもよい。代表的な浮揚流体としては、空気、窒素ガス(N)、各種の不活性ガスなどが挙げられる。
【0022】
加えて、流体軸受装置216は、第1平板230と第2平板232との間に中心側部材236が配置されていてもよい。中心側部材236(例えば、シム237)は、第1平板230の外周面238と第2平板232の外周面239の間の領域に浮揚流体を案内する支援をするよう構成されており、所定の流れ方向のあるファイバ支持チャネル250から浮揚流体が出ていくようになっている。中心側部材236は、第1平板230と第2平板232の間に置かれて、両部材の間に間隙を設けている。必要ならば、中心側部材236には複数のフィンガ部材(図示せず)を設けて、半径方向以外の流れを抑制することによって流体の流れをさらに制御するようにしてもかまわない。加えて、中心側部材236は、第1平板230と第2平板232の間に十分な接触をもたらすための封止部として機能する。中心側部材はまた、光ファイバの出入りを容易にする切欠きを備えていてもよい。
【0023】
図3に示すように、第1平板230の外周面238と第2平板232の外周面239の間に形成されたファイバ支持チャネル250はテーパ状になっているが、その部位は第1平板230と第2平板232との間から浮揚流体が出るところである。しかし、もう1つ別の実施形態では、ファイバ支持チャネル250は形状が、例えば、平行または逆テーパ状などでもよい。加えて、テーパ状のファイバ支持チャネル250の開口260は、光ファイバ214がおかれる位置に応じて変えることができる。開口260およびファイバ支持チャネル250の構成は、採用される特定の延伸張力および延伸速度、ならびに、開口260を通る浮揚流体の流速に対して、光ファイバがファイバ支持チャネル250の一区分に維持されるようになっており、典型的な外径が125μmのファイバについては、該区分は幅が500μmより短いのが望ましく、400μm未満であるのがより望ましく、300μmがもっと望ましくが、最も望ましいのは200μm幅である。したがって、ファイバはその直径の1倍から2倍の間のチャネル250の領域内に保持されるのが望ましいが、該領域はファイバの直径の1倍から1.75倍の間がより望ましく、最も望ましいのはファイバの直径の1倍から1.5倍の間である。ファイバをチャネルの領域内に置くにあたり、外側ファイバと各壁との間の距離がファイバ直径の0.05倍から0.5倍の間となるのが望ましい。
【0024】
図3に例示されている実施形態では、見え易くするために、テーパ角は図中では誇張されており、ファイバ支持チャネル250へのテーパ状開口の望ましい角度の実体とは異なっている。実際には、支持チャネル250の対向し合う各面は、両面とも傾斜しているのが望ましいが、少なくともその一方面が傾斜しており、その角度は0度より大きく10度より小さいのが望ましく、0.3度から7度の間であるのがより望ましく、0.4度から3度の間であるのが最も望ましいが、そのため、ファイバ支持チャネル250の最上部または外側部分の幅260はファイバ支持チャネル250の最下部または内側部分237の幅260よりも広くなっている。例えば、上記のような実施形態では、該領域を形成している各平板はそれぞれ、第1平板230が-0.6度の角度で、第2平板232が+0.6度の角度で傾斜しているとよい。代替例として、ファイバ支持チャネル250はどのような深さ、幅、または、テーパ角度であってもよい。テーパ状のファイバ支持チャネル250を利用して該チャネル250によって形成されたスロットに流体を注入し、流体がファイバ支持チャネル250の狭いほうの内側部分に入ってからファイバ支持チャネル250の広いほうの外側領域から出るようにすることによって、チャネル250を通って放出される浮揚流体が緩衝物となることで、ファイバは自らチャネル250の深度内に落ち着く。例えば、浮揚流体の所与の流速に対して、ファイバ延伸張力が増大すると、ファイバ214と各チャネル壁との間の空隙が十分に狭くなったせいで領域237の圧力が新たな強まった張力に正確に反作用するのに十分なだけ高くなるまで、ファイバは該チャネル250内を下方に移動する。ファイバ延伸張力が減少すると、ファイバ214はそれと各チャネル壁との間の空隙が十分に広くなったせいで領域237の圧力が新たな弱まった張力に反作用するのに十分な低さとなるまで、チャネル250内を上方に移動することになる。したがって、チャネル250はテーパ状にすることでより広い範囲の延伸張力に作用することができるようになる。そうではなく、図示したようなチャネル250がテーパ状ではないのに延伸張力が減少すると、ファイバは上方に移動し、ファイバ支持チャネル250から出てしまう恐れがある。
【0025】
ファイバはその直径の約1倍から約2倍のチャネル250のエリア内に置かれるのが望ましいが、該エリアはファイバ直径の約1倍から約1.75倍の間がより望ましく、ファイバ直径の約1倍から約1.5倍の間であるのが最も望ましい。チャネル250のそのような比較的狭いエリア内の位置にファイバを付けることにより、ファイバは、ベルヌーイ効果により作業中に自ずから中心位置にくる。例えば、ファイバがチャネル250の互いに対向し合う各面のいずれか一方により近くなったときには、最寄りの一方面で浮揚流体の速度は増加し、最寄りの他方面では減少する。ベルヌーイ効果によると、浮揚流体の加速は減圧と同時に発生する。その結果、一方面付近の浮揚流体の流れが減少することによって生じる増圧により、ファイバは強制的にチャネル250の中心に押し戻される。したがって、好ましい実施形態では、ファイバを延伸している最中は、ファイバの周囲を通過してファイバ支持チャネル250から出てゆく浮揚流体の流れによるベルヌーイ効果を少なくともかなり利用して、ファイバ支持チャネル250の内部でファイバが中心にくる。特に、そのような中心への移動は、ファイバにその側面から衝突する浮揚流体の流れを全く利用する必要なしに起こり、例えば、チャネル250の各側壁から発する浮揚流体の噴流がなくても起こる。スロットを通って移動する浮揚流体の流れの速度は調整により、ファイバが完全にチャネル250のテーパ状領域内の位置に付いた状態にファイバを維持するのが望ましい。図3の実施形態では、ファイバはその直径の約1倍から約2倍の間のチャネル250のエリア内の位置に付かされているので、ファイバは、ファイバ214より下に存在する圧力差によって支持されている(どちらかと言えば、そう選択したさえ、ファイバを支持するために利用もできる空気力学的抗力とは正反対である)。流体圧力差によりチャネル250内でファイバを支持する、すなわち、浮揚させることにより、ファイバを浮揚させるのに空気力学的抗力を利用した場合よりもはるかに少ない流体の流れで済ませることができる。
【0026】
図3に例示される実施形態では、ファイバ支持チャネル250の内側の狭いほうの部分を通ってチャネル250に入り、ファイバ支持チャネル250の外側の広いほうの領域260を通ってチャネル250を出る浮揚流体の単一の流れによって、流体の流れがもたらされるのが望ましい。このようにして、ファイバ支持チャネル250によって形成されているスロット内側の位置に完全にファイバを付けて、該スロットの最狭部と最大幅部との間でファイバが浮遊することができるようにしている。
【0027】
テーパ状のファイバ支持チャネル250を採用して上記の態様で領域250を通る浮揚流体を注入することによって、ファイバ支持チャネル250によって形成された該スロットの領域にファイバを保持することができるようになるが、その場合、該スロットは幅がファイバ支持チャネル250の中を案内されているファイバの直径よりも大きい10μmから150μmの間であるが、15μmから100μmの間であるのがより望ましく、約24μmから約70μmの間のであるのが最も望ましい。また、ファイバ延伸プロセスの持続期間中は、外側ファイバと各壁との間の距離がファイバ直径の約0.05倍から約0.5倍になるようにチャネルの領域内にファイバが保持されるのも望ましい。
【0028】
望ましい実施形態によっては、ファイバが浮揚流体の流れの源から離れて外側方向に移動すると、ファイバの下側で減圧させる手段がファイバ支持チャネル250に設けられているものがある。圧力を解放するためのそのような手段は、上述のように、テーパ状のチャネル設計の形態で達成することができる。
【0029】
流体軸受装置により浮揚流体緩衝物の領域に沿って光ファイバを移動させることができるようにするにあたり、光ファイバと軸受集成体との間の実際の機械的接触を防止する、または、大幅に防止するよう図っているが、具体的には、ファイバは平板230と平板232のいずれとも接触せずにファイバ支持チャネル250の内部を移動する。加えて、該領域の寸法および形状が原因で、流体軸受装置は、浮揚流体の流れを積極的に制御せずとも、或る範囲の延伸張力によって機械的接触なしにファイバを該領域の内部に維持することができる。
【0030】
浮揚流体の流れが重要になるのは、光ファイバ214がファイバ支持チャネル250の底に向かって移動するのを防止するとともに、シム237またはファイバ支持チャネル250の各側面と接触するのを防止するからである。これが特に重要となるのは光ファイバがまだ被覆処理されていない場合であるが、ゆえに、流体軸受装置またはチャネル250との機械的接触によってファイバの品質が低下しないように図っている。さらに、光ファイバ214がファイバ支持チャネル250の底部に相対してより近い位置にくるほど、ファイバ支持チャネル250内を増圧して光ファイバ214を所望の位置に維持する必要がある。明白ではあるが、チャネル各側面がテーパ状であることにより、チャネル各側面とファイバとの間の空隙を狭めることで、この必要な増圧を起こしている。
【0031】
ファイバ支持チャネル250内でファイバ位置に影響を与える他の要因には、延伸張力などがある。例えば、200gの張力で引っ張られたファイバは、流体の流れが同じである場合に100gの張力で引っ張られたファイバよりもファイバ支持チャネル250内で浮遊する位置がより低くなる。したがって、重要なのは、流体軸受の該領域を出ていく浮揚流体の流れが、採用された特定のファイバ延伸速度および延伸張力に対して光ファイバを所望の位置に維持するには十分であることである。
【0032】
例えば、平板230と平板232の間の最も内側の区分で幅が約127μmで最も外側の区分で幅が約380μmであるファイバ支持チャネル250を利用している実施形態では、浮揚流体の流速は毎秒約0.5リットルから毎秒約5リットル(約0.5L/sから5L/s)にするとよい。そのような形状と浮揚流体の流れは、結果として光ファイバの周囲の局所的流速を毎時800キロメートル(800,000m/h)かそれより高速にすることもある。従って、実施形態によっては、ファイバ支持チャネル250で採用されたファイバの周囲の最大浮揚流体速度は毎時100キロメートル(100,000m/h)より速く、毎時200キロメートル(200,000m/h)より速く、毎時400キロメートル(400,000m/h)より速く、場合によっては毎時600キロメートル(600,000m/h)よりも高速であることもある。実施形態によっては、ファイバ支持チャネル250内で採用されたファイバの周囲の最大浮揚流体速度は毎時900キロメートル(900,000m/h)より高速であってもよい。しかしながら、本明細書に開示されている各種の方法が上記の各速度に限定されないのは確かであり、実際に、各種延伸条件(例えば、延伸速度や延伸張力など)や流体軸受設計に応じて速度を選択できるようにすることで、結果としてファイバ支持チャネル250内の所望の位置にファイバを付けるようになるのが望ましい。また別な各実施形態では、浮揚流体の流速は毎秒約3リットルから毎秒約4リットルにしてもよい。もちろん、所与の延伸張力で光ファイバを所望の位置に維持するのに十分であるならば、浮揚流体のどのような流速を利用しても構わない。
【0033】
図1に示されているシステム108の欠点の1つは、製造に望ましい速い延伸速度を採用した場合にファイバの冷却速度が速くなることである。光ファイバの製造に通常採用される諸条件下では、すなわち、ファイバが1000℃を超える温度にある場合の延伸プロセスの持続期間中は、毎秒12,000℃より速い冷却速度に遭遇する。冷却速度が速いことにより、ファイバの仮想温度が高くなる(約1500℃)とともに減衰量が増大する。
【0034】
冷却速度を減じるために採り得る方策に、ファイバが処理ゾーン130に入る際に処理ゾーン130の温度を上昇させてファイバの温度により近密に一致させることが挙げられる。処理ゾーン130と炉112の温度差がより小さいほど、ファイバの冷却速度が遅くなる。原則として、処理ゾーン130には温度勾配が生じることがあり、この温度勾配により、約1000℃ないし約1700℃の範囲におけるファイバの滞留時間を本項記載のように仮想温度を下げるのに必要な構造緩和を達成するのに十分なだけ長引かせる態様で、ファイバの入来時温度(約1500℃以上)からそれより低い各温度へと徐冷することができる。代替例として、望ましい約1000℃ないし約1700℃の温度幅でファイバの滞留時間を引き延ばしながらファイバを冷却するために徐々に温度を下げるように操作される、複数の処理ゾーンをファイバ処理システムに設けるようにしてもよい。
0045 概念的には実行可能であるものの、処理ゾーン130の諸条件を調節することに関与する、ファイバの制御冷却のための戦略は実際に実現するのは困難である。ファイバの冷却を制御することで低い仮想温度を達成するのに必要な構造緩和を最善に促進する目的で、本項で同定されている約1000℃ないし約1700℃の所望温度にファイバの温度がある期間を最大限にすることが必要となる。図1に示されている従来技術のファイバ処理システムを量産向け延伸速度で作動させる場合、ファイバ温度が約1200℃ないし約1700℃の温度幅にある期間は約0.2秒に制限される。この期間は短すぎてガラスに有意な構造緩和をさせることはできず、それに応じて該システムで生成されるファイバの仮想温度は高くなる(約1500℃)。約1000℃から約1700℃の間にある滞留時間を増加させるためには、処理ゾーン130の温度を制御して冷却速度を遅くすることが必要となる。前述のように、温度を適切に制御するには、ファイバ温度をより緩慢に低下させてファイバが約1000℃ないし約1700℃の温度幅にある適切な滞留時間を確保することが要件となる。しかしながら、温度低下がより緩慢になるにつれて、処理ゾーン130の長さも増大する。量産向け延伸速度でファイバの仮想温度を有意に約1500℃未満に下げるのに必要な緩慢な制御徐冷を確立するためには、処理ゾーン130の所要の長さは大半の製造施設で利用可能な高さ方向のヘッドスペース(床から天井まで)を超過している。より高さのあるヘッドスペースを融通するために既存の施設を改修すると、製造経費が法外なまでに増大する。高さ方向のヘッドスペースを既存の制約内に収めて延伸速度を低下させる代替の取組み策も、製造スループットが低下することによりコスト高を招くため、望ましくない。
【0035】
複数の流体軸受装置をファイバ処理システムに組入れることが有利な理由は、該複数の軸受装置により処理持続期間中に水平方向またはそれ以外の高さ方向とは別な方向にファイバに方向転換させることができるようになるからである。流体軸受装置をシステムに組入れることにより、施設内の高さ方向のスペースを増やす必要なく、ファイバ処理に使用できる経路長を増やすことができる。図1に示されているシステム108においては、未被覆のファイバ114が処理ゾーン130を出ると、流体軸受装置116は未被覆のファイバ114を高さ方向からより水平に近い方向に転換し直す。図1に示されている構成においては、各流体軸受装置116は、未被覆のファイバ114を被覆装置120に送達する。代替例の配置では、ファイバ処理システムは、処理ゾーン130に平行な第2処理ゾーンを備えているように修正することができ、各ファイバ軸受装置は高さ方向上向きにファイバを方向転換することでファイバを第2処理ゾーンに送達し、より低い仮想温度のファイバを製造するのに十分な程度まで冷却速度を遅くするために冷却経路を更に拡張することができる。
【0036】
しかし、図1のシステム構成においては、仮想温度の低いファイバを達成するという目的に対して、各流体軸受装置116は逆効果である。低速での制御冷却を行えるようにする代わりに、図1に展開されている各流体軸受装置116はファイバの急冷を促進する。光ファイバ114が各流体軸受装置116に亘って移送されると、流体軸受装置116の各々の浮揚流体緩衝物の領域が光ファイバ114を冷却するように作用する。流体軸受装置によって利用されてファイバを支持して位置定めをする浮揚流体の流れが動いているため、室温の静止空気中でファイバが冷えるのよりも速い速度で光ファイアが冷却される。光ファイバと流体軸受内の浮揚流体との間の温度差が大きいほど、浮揚流体軸受が光ファイバ114を冷却する能力が高まる。図1の配置では、各流体軸受装置116に供給される浮揚流体は室温の空気または不活性ガスである。上述のように、ファイバを支持するとともに浮揚させることでファイバの流体軸受装置との機械的接触を防止する目的で、チャネル250に供給される浮揚流体の速度は高速である。そのような高速の浮揚流体の流れを利用することで、対流プロセスによるファイバの冷却速度を大幅に速める。ファイバの温度と流体軸受装置によって供給されている最中の浮揚流体の温度との差が大きいほど、また、浮揚流体の流速が速いほど、ファイバの冷却速度は速くなる。
【0037】
従来技術のファイバ処理システムでは、流体軸受装置によって供給される浮揚流体は室温であり、処理ゾーンを出て流体軸受装置の集成体に入るファイバは、通常は約500℃以上の温度であるが、約1000℃以上であるのがより一般的である。流体軸受装置を通り抜ける際の典型的なファイバ延伸速度で、尚且つ、典型的な浮揚流体速度では、ファイバの温度はファイバが流体軸受装置を通過する際の1mないし2mの長さに亘って数百℃から約1000℃を超える温度だけ低下させることができる。従来技術で配備されているような複数の流体軸受装置によってもたらされる高速のファイバ冷却が有益だと見なされてきた理由は、ヘリウム冷却装置の必要性をなくすことによってファイバ処理システムを簡素化できるからであった。
【0038】
従来技術は複数の流体軸受装置を用いたファイバの急速冷却が有利であると認識してきたが、本件記載の認識では、ファイバ冷却が起こる時間規模は、ファイバの低い仮想温度を達成するとともに減衰量が少ないファイバを製造するのに必要な構造緩和を促進するのに必要な時間よりも遥かに短い。本件記載は、ファイバの仮想温度が低くなるように設計された新しい処理システムを提示している。このシステムは、処理システムを通るファイバの経路を変えるための複数の流体軸受装置を備えており、また、約1000℃ないし約1700℃の範囲の温度でファイバの滞留時間を引き延ばすように設計されているが、実施形態によっては0.5秒を超過するものもあり、また別な実施形態では1秒を超過するものもあり、更に別な実施形態では2秒を超過するものもあり、もっと別な実施形態では5秒を超過するものもあり、更にもっと別な実施形態では10秒を超過するよう設計されているものもある。より長い滞留時間を達成できるようにするのに、延伸プロセス速度は毎秒10メートル(10m/s)を超過してもよいし、20m/sを超過してもよいし、30m/sを超過してもよいし、40m/sを超過してもよいし、50m/sを超過してもよいし、或いは、60m/sを超過することもある。
【0039】
本件のシステムは、図1に示される従来技術のシステムの、仮想温度が低いファイバを実現するという目的にとっては弊害をもたらす2つの局面を克服している。第1に、従来技術のシステムとは異なり、本件システムは冷却中にファイバがガラス転移領域の温度に晒される期間を引き延ばすことで、ファイバの構造緩和を促進するとともにファイバの仮想温度を下げるよう図っている。第2に、従来技術のシステムとは異なり、本件システムは加熱した筐体内に複数の流体軸受装置を配置している。
【0040】
図4は、本件開示のいくつかの実施形態による未被覆の光ファイバを処理するための具体例のシステム(400)を描いている。本明細書で使用されるような「未被覆の光ファイバ」という語句は、プリフォームから直接延伸された光ファイバであって、その外面に保護被覆層を付与する前(例えば、未被覆の光ファイバが重合体ベースの材料で被覆される前)の光ファイバを意味する。
【0041】
システム400は、延伸炉(402)を備えている。延伸炉は光ファイバプリフォーム(404)を中に保有している。未被覆の光ファイバ(406)は前記光ファイバプリフォーム404から延伸される。ファイバプリフォーム404はシリカガラスなどのガラスで構成されており、異なる組成の領域を含んでいることがある。例えば、光ファイバプリフォーム404は、プリフォームから延伸されたファイバに望ましいコア組成およびクラッド組成に対応する各組成を有する改質シリカガラス領域および未改質シリカガラス領域を含んでいてもよい。ファイバプリフォーム404は炉402内で加熱され、そこから延伸された未被覆の光ファイバ406が延伸炉402から加工経路(408)に沿って伸展する。
【0042】
実施形態によっては、未被覆の光ファイバが光ファイバプリフォームから延伸される速度は10m/sを超過するものもあり、或る各種実施形態では20m/sを超過するものもあり、実施形態によっては30m/sを超過するものもあり、或る各種の実施形態では40m/sを超過するものもあり、実施形態によっては50m/sを超過するものもあり、或いは、実施形態によっては60m/sを超過するものもある。
【0043】
徐冷装置410は、処理経路408の第1区分412に沿って、延伸炉402に動作可能にその処理フロー下流側に接続されている。徐冷装置410は、未被覆の光ファイバを約1000℃ないし約1400℃の範囲の処理温度に晒す。処理温度とは、徐冷装置の処理領域内の温度のことである。本明細書で定義されているように、徐冷装置は、加熱されていない空気中における光ファイバの冷却速度よりも遅い速度で光ファイバに制御冷却を施す。実施形態によっては、徐冷装置は1つ以上のゾーンで温度が制御されている。例えば、徐冷装置は、1つ以上の温度制御ゾーンを有する炉を備えていてもよい。制御温度は、加熱されていない空気中における冷却に比べて光ファイバをより緩慢に冷却することができるようにするうえに、所望の処理温度または所望の処理温度幅でファイバの滞留時間を長引かせるように設計することができ、それによって冷却中のファイバの仮想温度を下げるという目標達成を容易にしている。もう1つ別の実施形態では、徐冷装置は大気圧未満の圧力諸条件下で作動する。大気圧でファイバから気体雰囲気への熱伝達速度を遅くすることにより冷却するのに比べると、ファイバを包囲している気体環境の圧力を下げることでファイバの冷却をより緩慢にすることができ、それによって冷却中のファイバの仮想温度を下げるという目標達成を容易にしている。
【0044】
本発明は、保護被覆が光ファイバに付与される前に、光ファイバに方向転換させて同じ徐冷装置を何度も通過させることによって、ガラス転移領域における滞留時間を長引かせている。実施形態によっては、光ファイバは、少なくとも2回は同じ徐冷装置を通るように案内されるものもある。実施形態によっては、光ファイバは、少なくとも3回は同じ徐冷装置を通るように案内される。実施形態によっては、図4に描かれているように、未被覆の光ファイバは、処理経路408第1区分412に沿って、延伸炉402に動作可能にその処理フロー下流側に接続されている少なくとも2つの流体軸受装置422a、422bを経由して徐冷装置410を通るように方向転換される。流体軸受装置422a、422bが未被覆の光ファイバ406に方向転換させて徐冷装置410を通過させる。徐冷装置410の内部で、未被覆の光ファイバ406は約1000℃ないし約1400℃の範囲の処理温度に晒される。実施形態によっては、未被覆の光ファイバ406は少なくとも0.4秒間の滞留時間に亘り処理温度に晒されるものもあるが、0.5秒間の滞留時間が望ましく、少なくとも1.0秒間の滞留時間がより望ましく、少なくとも2.0秒間の滞留時間が更にもっと望ましいものもある。「滞留時間」とは、未被覆の光ファイバが徐冷装置410の処理領域内にある総時間量を指す。実施形態によっては、光ファイバの温度は徐冷装置内で少なくとも0.2秒間は約1000℃ないし約1700℃になるものもあるが、少なくとも0.5秒間は約1000℃ないし約1700℃になるのが望ましく、少なくとも1秒間は約1000℃ないし約1700℃になるのがより望ましく、少なくとも2秒間は約1000℃ないし約1700℃になるのが更にもっと望ましいものもある。
【0045】
流体軸受装置422a、422bは各々が、複数のファイバ支持チャネル250を備えている。実施形態によっては、流体軸受装置422a、422bは、既に先に論じたうえに図2および図3にも例示されているように、一緒に接続された複数の流体軸受装置であってもよいし、単一格納庫の内部に配置された複数の流体軸受装置であってもよいし、または、その両方の態様の流体軸受装置であってもよい。実施形態によっては、流体軸受装置422a、422bは、一体的に形成された本体部(すなわち、単体または単一部材構造の本体部)に上述のように複数のファイバ支持チャネル250が設けられている。図7は、具体例の流体軸受装置に3つのファイバ支持チャネル250が設けられているのを描いている。図示されたファイバ支持チャネルの数は具体例にすぎない。流体軸受装置422が具体例の各図に描かれているのよりも数が多い、または、数が少ないファイバ支持チャネルを備えていて、未被覆の光ファイバに方向転換させて、例えば少なくとも2回、同じ徐冷装置を通過させるようにしてもかまわない。
【0046】
実施形態によっては、未被覆の光ファイバは、流体軸受装置によって向きを変えられた後で徐冷装置に再び入る前に加熱されるものもある。実施形態によっては、未被覆の光ファイバは、流体軸受装置によって向きを変えられた後で徐冷装置に再び入る前に少なくとも約500℃だけ加熱されるが、約800℃だけ加熱されるのが望ましいものもある。
【0047】
実施形態によっては、流体軸受装置の温度は室温(約25℃)であるものもある。実施形態によっては、流体軸受装置の温度は約5℃ないし約450℃の間であるものもある。実施形態によっては、流体軸受装置内の流体の温度は約5℃ないし約200℃の間であるものもある。実施形態によっては、流体軸受装置内の流体の温度は約400℃ないし約1200℃の間であるものもある。実施形態によっては、流体軸受装置は加熱された筐体の内部に配置されているものもある。実施形態によっては、光ファイバは流体軸受装置内で約400℃より高い処理温度に晒されるものもある。実施形態によっては、光ファイバは流体軸受装置内で約800℃より高い処理温度に晒されるものもある。実施形態によっては、加熱された筐体が炉であるものもある。実施形態によっては、加熱された筐体は徐冷装置であるものもある。
【0048】
ファイバがガラス転移温度未満の温度(near-T)領域より低い処理温度で(例えば、約1000℃より低い温度で)冷却される場合、ガラスの構造、ファイバの状態、または、その両方が速度論的に急冷され、本質的に不変となる(実際の時間規模に基づいて)が、それは、利用可能な熱エネルギーが、ガラスを緩和すなわち改質して構造緩和をもたらすのに必要なエネルギー、または、平衡状態により一層近寄せるのに必要なエネルギーよりも小さいせいである。しかしながら、図4の具体例のシステム構成では、各流体軸受装置は、仮想温度が低いファイバを達成するという目的に対して逆効果である。低速で制御された冷却を行えるようにする代わりに、各流体軸受装置は、各々の内部の流体が光ファイバに接触するせいでファイバの急速冷却を促進する。光ファイバが複数の流体軸受装置に亘って移送される際に、個々の流体軸上装置で浮揚流体が緩衝材となる領域が光ファイバを急速冷却するように作用する。ファイバを支持して位置定めをする流体軸受装置によって採用されている浮揚流体の流れが動いているので、光ファイバは室温の静止空気中で冷えるのよりもかなり速い速度で冷却される。光ファイバと流体軸受内の浮揚流体との間の温度差が大きいほど、浮揚流体軸受が光ファイバを冷却する能力が高くなる。流体軸受に供給される浮揚流体は、室温の空気または不活性ガスである。ファイバを支持して浮揚させることでファイバが流体軸受装置と機械的接触するのを防ぐ目的で、チャネルに供給される浮揚流体の速度は速い。そのような浮揚流体の高速の流れを利用すると、対流プロセスによりファイバの冷却速度が大幅に速くなる。ファイバの温度と流体軸受装置によって供給される浮揚流体の温度との差が大きいほど、また、浮揚流体の流速が速いほど、ファイバの冷却速度は速くなる。従来技術のファイバ処理システムでは、流体軸受装置によって供給される浮揚流体は室温であり、徐冷装置を出て各流体軸受装置の集成体に入るファイバは、通常は約800℃以上の温度であり、約1000℃以上の温度のほうがより一般的である。典型的なファイバ延伸速度で、尚且つ、流体軸受装置を通る浮揚流体の典型的速度では、ファイバが流体軸受装置を通過する際の長さ1mないし2mに亘ってファイバの温度は数百℃から約1000℃を超える温度だけ低下することがある。流体軸受装置を出ている最中のファイバの典型的な温度は、約23℃ないし約600℃の範囲であるか、または、約50℃ないし約800℃の範囲である。流体軸受装置を出たファイバは方向転換させられて、流体軸受装置から出た時の温度よりも高い温度まで加熱するための再加熱工程段に案内される。再加熱工程段に入っていく最中のファイバの温度は、約23℃ないし約600℃の範囲であるか、または、約50℃ないし約800℃の範囲であると思われる。本件システムは、ファイバが流体軸受装置を出た後で徐冷装置に2度目に入り直す前(または、その後のいつ何度目でもよいが徐冷装置に入り直す前に)に、処理の持続中に冷却済みのファイバを約1000℃またはそれより高い温度に戻すための再加熱工程段を含んでいる。一実施形態では、ファイバはプリフォームから延伸されたシリカファイバまたはドーピング処理済みのシリカファイバであり、これは約1000℃ないし約1400℃の温度で動作する徐冷装置を通過し、約600℃より低い温度まで冷えてから、更に、前記徐冷装置に戻されて入り直す前の或る段階で再加熱されて約1000℃より高いファイバ温度になる。ファイバを再加熱することにより、ファイバ温度が約1000℃ないし約1700℃の温度幅に留まる時間が引き延ばされ、その後の冷却処理により、ファイバの仮想温度を更に低下させることができるようにしている。本件のシステムおよび本件の方法は、個々に多数のチャネルが設けられた少なくとも2つの流体軸受装置を使用して、同じ徐冷装置の中を何度も(例えば、回数>2、>3、>5...)光ファイバに縦断させる工程を含んでいてもよい。この方法は、流体軸受装置のチャネル内側でファイバを約600℃よりも低いファイバ温度まで冷却してから或る段階でファイバを再加熱してファイバ温度を約1000℃より高温に上昇させる工程のサイクルを多数回含んでおり、ファイバが徐冷装置内で約1000℃ないし約1700℃の間のファイバ温度にある時間を更に引き延ばすことで、仮想温度をさらに下げることができるように図っている。本件システムはまた、複数のチャネルが設けられて処理システムを通り抜けるファイバの経路に方向転換させることで1つの徐冷装置の中をファイバが何度も通過することができるようにした流体軸受装置またはそれ以外のファイバ転向装置を備えており、これにより、ファイバが徐冷装置内で約1000℃ないし約1700℃の間のファイバ温度にある時間を引き延ばすことで、役立たない高さ方向の処理ヘッドスペースの必要や処理経路に沿って追加の徐冷装置を使用する必要を最小限に抑えながらも仮想温度を更に下げることができる。再加熱工程段は対流メカニズム、放射メカニズム、または、電磁メカニズムによって光ファイバに熱を供与する。再加熱工程段は炉であってもよいし、或いは、各種の加熱要素により作用したり、ファイバ全体に高温ガスまたは炎を流したりすることによって作用するようにしてもよい。これらに代わる例として、再加熱工程段には、ファイバを加熱するためのレーザ、プラズマ源、または、これら以外の光源が設けられていてもよい。レーザまたはそれ以外の光源は、ファイバによって吸収される波長で作用し、吸収によってエネルギーをファイバに伝達することができる。プラズマ源は、プラズマガスを加熱するとともに伝導によってファイバを加熱することができる。つづら折れ処理経路に再加熱工程段を設けることが有利な理由は、ファイバはファイバ転向装置によって方向転換されると急速に冷えるからである。ファイバ転向装置から出てくるときのシリカファイバの温度は、通常は約50℃ないし約600℃の範囲である。再加熱は冷却を逆転させ、本項に記載されているような仮想温度を制御するのに十分な程度までファイバの温度を上昇させる。もう1つ別の実施形態では、再加熱工程段のチャンバはある温度まで加熱され、多数のチャネルが設けられた1つ以上のファイバ転向装置が該チャンバの内部に、再加熱工程段により処理経路を拡張する構成で配置されている。この実施形態では、再加熱工程段のチャンバは、ファイバの温度よりも高い温度まで加熱され、ファイバはチャンバを通過する際に加熱される。再加熱工程段の内部の温度は空間的に均一であってもよいし、或いは、空間的にむらがあってもよい。一実施形態では、再加熱工程段の内部の温度はファイバが搬送される方向に沿って単調に増加し、その場合、内部のピーク温度は、再加熱工程段に入る際のファイバの温度よりも高い。もう1つ別の実施形態では、再加熱工程段の内部の温度は、ファイバが搬送される方向に沿って単調に減少し、内部のピーク温度は、再加熱工程段に入る際のファイバの温度よりも高い。
【0049】
流体軸受装置422は未被覆の光ファイバに徐冷装置を何度も通過させるように案内することができ、それにより、ファイバ延伸システムの後続移送区間に追加の冷却装置を必要とせずに、ガラス転移領域にある滞留時間を長引かせることができる点で有利である。ガラス転移領域にある滞留時間が増えると、ガラスの緩和が進み、光ファイバのレイリー散乱と減衰量が大幅に低下する結果となる。
【0050】
実施形態によっては、流体軸受装置を出ていく光ファイバの温度は、約300℃ないし約800℃の間であるが、約500℃ないし約800℃の間であるのが望ましく、約700℃ないし約800℃の間であるのがより望ましい。少なくとも0.4秒間の滞留時間に亘って処理温度に晒された後、未被覆の光ファイバは被覆装置128に案内され、そこで被覆が施されることで、被覆ファイバ130がもたらされる。被覆装置128を出た後、被覆光ファイバ130は、当技術分野で周知のシステム内の多様な上記以外の各種処理工程段(図示せず)を通過するようにしてもよい。システム100により延伸される際に光ファイバに張力を与えるように、当技術分野で周知の延伸機構132が使用される。
【0051】
図5は、本件開示のいくつかの実施形態に従って未被覆の光ファイバを処理するためのまた別な具体例のシステム(500)を描いている。システム500は、光ファイバプリフォーム(504)を中に保有した延伸炉(502)を備えている。未被覆の光ファイバ(506)は光ファイバプリフォーム504から延伸される。ファイバプリフォーム504は炉502において加熱され、そこから延伸された未被覆の光ファイバ506は延伸炉502から処理経路(508)に沿って伸展する。
【0052】
第1の徐冷装置(510)は、処理経路508の第1区分(512)に沿って延伸炉502に動作可能にその処理フロー下流側に接続されている。第1の徐冷装置510は、少なくとも0.1秒間の滞留時間に亘って約1000℃ないし約1400℃の範囲の処理温度に未被覆の光ファイバを晒す。図4に描かれた具体例のシステム400とは異なり、具体例のシステム500が未被覆の光ファイバを案内して第1の徐冷装置を通過させることはない。
【0053】
第1の流体軸受装置514は、処理経路508の第1区分512に沿って第1の徐冷装置510に動作可能にその処理フロー下流側に接続されている。第1の流体軸受装置514は未被覆の光ファイバ504に方向転換させて、処理経路508の第1区分512から該処理経路の第2区分516に差し向ける。
【0054】
第2の流体軸受装置518は、処理経路508の第2区分516に沿って、第1の流体軸受装置514に動作可能にその処理フロー下流側に接続されている。第2の流体軸受装置518は未被覆の光ファイバ504に方向転換させて、処理経路508の第2区分516から該処理経路の第3区分に差し向ける。未被覆の光ファイバ504は、第3区分の初期には約400℃ないし約500℃の範囲の温度に冷却される。
【0055】
第2の徐冷装置526は、処理経路508の第3区分520に沿って第2の流体軸受装置518に動作可能にその処理フロー下流側に接続されている。第2の徐冷装置526は、約1000℃ないし約1400℃の範囲の処理温度に光ファイバを晒す。
【0056】
多数の支持チャネルが設けられた2つの流体軸受装置522a、522bは、処理経路508の第3区分520に沿って第2の徐冷装置526に動作可能に接続されている。これら2つの流体軸受装置522a、522bは未被覆の光ファイバに方向転換させて第2の徐冷装置526を光ファイバに少なくとも2度通過させる。
【0057】
第2の徐冷装置に続いて、未被覆の光ファイバは処理経路の第4区分524に沿って被覆装置528に案内され、ここでファイバに被覆が付与される。被覆装置528を出た後、被覆光ファイバ530は、当技術分野で周知のシステム内の多様な上記以外の処理工程段(図示せず)を通過するようにしてもよい。システム500により延伸される際に光ファイバに張力を与えるように、当技術分野で周知の延伸機構532が使用される。
【0058】
図6は、本件開示のいくつかの実施形態に従って未被覆の光ファイバを処理するための別の具体例のシステム600を描いている。システム600は、光ファイバプリフォーム604を中に保有した延伸炉602を備えている。未被覆の光ファイバ606は光ファイバプリフォーム604から延伸される。ファイバプリフォーム604は炉602において加熱され、そこから延伸された未被覆の光ファイバ606は処理経路608に沿って延伸炉602から伸展する。
【0059】
第1の徐冷装置610は、処理経路608の第1区分612に沿って延伸炉602に動作可能にその処理フロー下流側に接続されている。徐冷装置610は約1000℃ないし約1400℃の範囲の処理温度に未被覆の光ファイバ606を晒す。
【0060】
多数の支持チャネルが設けられている2つの流体軸受装置622a、622bは、処理経路608の第1区分612に沿って動作可能に第1の徐冷装置610に延伸炉602の処理フロー下流側で接続されている。これら2つの流体軸受装置622a、622bは未被覆の光ファイバ606に方向転換させて第1の徐冷装置610を光ファイバに少なくとも2度通過させるようにしているが、ここで未被覆の光ファイバ606は約1000℃から約1400℃の範囲の処理温度に晒される。
【0061】
第1の流体軸受装置614は、処理経路608の第1区分612に沿って第1の徐冷装置610に動作可能にその処理フロー下流側に接続されている。流体軸受装置614は未被覆の光ファイバに方向転換させて、処理経路608の第1区分612から該処理経路の第2区分616に差し向ける。
【0062】
第2の流体軸受装置618は、処理経路608の第2区分616に沿って、第1の流体軸受装置614に動作可能にその処理フロー下流側に接続されている。第2の流体軸受装置618は未被覆の光ファイバ606に方向転換させて、処理経路608の第2区分616から該処理経路の第3区分620に差し向ける。未被覆の光ファイバ606は、第3区分の初期に、約400℃ないし約500℃の範囲の温度まで冷却される。
【0063】
第2の徐冷装置626は、処理経路608の第3区分620に沿って、第2の流体軸受装置618に動作可能にその処理フロー下流側に接続されている。第2の徐冷装置626は、約1000℃ないし約1400℃の範囲の処理温度に光ファイバを晒す。
【0064】
多数の支持チャネルが設けられた2つの流体軸受装置634a、634bは、処理経路608の第3区分620に沿って第2の流体軸受装置618に動作可能にその処理フロー下流側に接続されている。これら2つの流体軸受装置634a、634bは未被覆の光ファイバ606に方向転換させることで第2の徐冷装置626を光ファイバに少なくとも2度通過させるが、ここでは未被覆の光ファイバ606は約1000℃ないし約1400℃の範囲の処理温度に晒される。
【0065】
第2の徐冷装置内にある滞留時間が終了したらそれに続いて、未被覆のファイバは処理経路の第4区分624に沿って被覆装置628に案内されるが、ここにおいて被覆が付与されて被覆ファイバ630をもたらす。被覆装置628を出た後、被覆光ファイバ630は当技術分野で周知のシステム内の多様な上記以外の各種処理工程段(図示せず)を通過するようにしてもよい。光ファイバがシステム600により延伸される際に光ファイバに張力を付与するように、当技術分野で周知の延伸機構632が使用される。
【0066】
本項記載の各種システムおよび各種方法を利用してして準備された光ファイバの減衰量は1550nmの光信号で1キロメートルあたり0.18デシベル(0.18dB/km)未満であるが、1550nmで0.17dB/km未満であるのが望ましく、1550nmで0.16dB/km未満であるのがより望ましい。
【実施例
【0067】
図8は、延伸炉と該延伸炉に動作可能に接続された徐冷装置とを含んでいるが再加熱工程段を介在させていないシステム構成について、徐冷装置がシリカファイバの温度に及ぼす効果を例示している。ファイバは延伸炉内のプリフォームから延伸されてから、徐冷装置に直接送達される。図8はファイバ温度をファイバの線条の軸線方向位置の関数として示しており、この場合、軸線方向位置は、処理経路に沿って延伸炉から離れる方向に大きくなる。曲線803は、徐冷装置を欠いている場合のファイバの温度プロファイルを示している基準トレースである。806として描かれた曲線群は、延伸炉の下流側に配置された徐冷装置によって制御されているときのファイバの温度を例示しているトレースである。徐冷装置は約1200℃の定温に維持される。複数の異なるトレースは、徐冷装置入口と延伸炉との間の複数の異なる距離間隔に対応している。距離間隔は0mmないし1030mmの範囲である。各トレース806は、処理システムに徐冷装置を備えつけたことにより、ファイバの線条がより広範囲に亘って約1000℃より高い処理温度に晒されるようになることを示している。徐冷装置を欠いている場合では、或る短い距離のファイバの線条範囲に亘ってファイバ温度が約1000℃より低い温度に下がることをトレース803が示している。徐冷装置を使用することにより、約1000℃を超える温度を維持しているファイバの線条範囲が大幅に拡大される。ファイバは処理持続中に所定の速度で搬送されるため、ファイバの線条範囲は、ファイバ温度が約1000℃より高い温度を維持している期間を生じさせるのに十分な処理温度にファイバを晒す時間と相関関係を示す。徐冷装置を備え付けることにより、冷却中にファイバ温度が約1000℃より高い温度を維持する期間が大幅に引き延ばされる。
【0068】
図9は、42m/sおよび50m/sの各延伸速度に対するシリカファイバの仮想温度に徐冷が及ぼす効果を示している。図9で使用されているシステム構成は延伸炉に動作可能に接続された徐冷装置を含んでおり、介在する各種装置は皆無である。ファイバは延伸炉内にあるプリフォームから延伸され、42m/sまたは50m/sの延伸速度で徐冷装置に直接搬送されてその中を通り抜ける。徐冷装置は、約1100℃の均一な温度に保たれている。徐冷装置(SCD)の入口は、処理経路121に沿って延伸炉の出口(底板)から処理フロー下流側に位置決めされている。延伸炉の底板に相対する徐冷装置の入口位置および出口位置が図9に例示されている。それぞれトレース912は42m/sの、トレース914は50m/sの延伸速度について延伸炉の底板からの距離に相関的なファイバ温度の変化を示している。徐冷装置を通過するにつれてファイバの温度は低下するが、冷却速度は空気中における冷却速度よりもはるかに遅い。ファイバの冷却速度は、ファイバが徐冷装置から出ると大幅に速まり、これに呼応して短くなった処理経路沿いの距離に亘ってファイバ温度は低下する。それぞれトレース916は42m/sの、トレース918は50m/sの延伸速度について延伸炉の底板からの距離に相関的なファイバ仮想温度の変化を示している。空気中で直接冷却されたシリカファイバの仮想温度は約1550℃である。図9に示された結果は、徐冷装置を通過させてファイバを搬送することでファイバの仮想温度を約1500℃に低下させることを意味している。
【0069】
図10は、シリカファイバのレイリー散乱損失に及ぼす仮想温度(T)のモデル化された効果を例示している。レイリー散乱は、示された波長範囲に亘る減衰の主たる原因である。プロットは、仮想温度が約900℃ないし約1550℃の範囲であるシリカファイバについて、レイリー散乱損失を波長の関数として示している。最上部のトレースは、徐冷装置が備え付けられていない場合の標準的な空冷式延伸処理で作られたファイバのレイリー散乱損失を示している。この標準的な空冷式延伸処理で作られたファイバは仮想温度が約1550℃である。残余の各トレースは仮想温度の降順で並べられており、凡例に示されているように仮想温度が低下している。最下部のトレースは、仮想温度が約900℃であるファイバに対応している。これらトレースは、ファイバの仮想温度が下がるにつれてレイリー散乱損失が減少することを示している。仮想温度が約900℃であるファイバで減衰が最小であることが観測され、また、仮想温度が約1550℃であるファイバで減衰が最大であることが観測された。仮想温度が約900℃ないし約1550℃の間である各ファイバについては、中程度の減衰が観測された。減衰は、ファイバの仮想温度が低下するにつれて、示された波長範囲全体に亘り一貫して低下することが観測された。
【0070】
図11は、本件記載に従ったファイバ延伸システムで処理されたシリカファイバについて、ファイバ仮想温度のモデル化された変動を、多様な温度に設定された炉内における滞留時間の関数として例示している。特定温度または特定温度範囲にある滞留時間は、本項記載のような流体軸受装置の配置、間隔、および、数によって制御することができる。所望の滞留時間を達成するために、多くの利用できそうなシステム構成を採用してもよい。本件モデルでは、ファイバは時間t=0.02秒で延伸炉を出て、時間t=0.03秒(破線10として示されている)で炉に入ったものと理解された。炉に入ったときのファイバの温度は約1650℃であった。このモデルでは、炉の加熱領域は一定温度に維持されていた。各トレース30、40、50、60、および、70が示しているのは、この順でそれぞれに約900℃、約1000℃、約1100℃、約1200℃、および、約1300℃の一定温度で作動された炉について、ファイバ仮想温度の変化は炉内にあった時間の関数として示されている。これらの結果が示しているのは、ファイバは炉内にある時間が長引くにつれてその仮想温度が低下するということである。破線20は、上記一定の動作温度の各々に設定された炉内における約0.2秒の滞留時間を印している。約0.2秒の滞留時間は、従来技術のファイバ処理システムの典型例である。図11に示されたデータは、炉内における滞留時間が 0.2 秒を超えて引き延ばされるのに伴い、ファイバの仮想温度が低下し続けることを示している。2秒という滞留時間では、ファイバの仮想温度は、滞留時間が0.2秒のときに観測されるファイバの仮想温度よりも約100℃だけ低いか、または、もっと低くなる。図12は、図11で提示されていたデータについて、炉の温度ごとに滞留時間を10秒まで延長した例を示している。図12に示されている各種のデータ曲線と標識は、図11に示されていたものに対応している。
【0071】
本発明の真髄および範囲から逸脱することなく本発明に対して多様な修正および変更を行うことができることが当業者には自明である。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の各請求項およびそれらの均等物の範囲に入るのであれば、本発明の修正および変更を包含するものと解釈される。
【0072】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0073】
実施形態1
光ファイバを処理するためのシステム(400)は、
光ファイバプリフォーム(404)を中に保有している延伸炉(402)と、
光ファイバプリフォームから延伸されて、延伸炉から処理経路(408)に沿って伸展している未被覆の光ファイバ(406)と、
延伸炉に動作可能にその処理フロー下流側で接続され、約1000℃ないし約1400℃の範囲の徐冷装置処理温度に未被覆の光ファイバを晒す徐冷装置(410)と
を備えており、未被覆の光ファイバは徐冷装置を少なくとも2度通り抜ける、システム。
【0074】
実施形態2
延伸炉に動作可能にその処理フロー下流側に接続されている少なくとも2つの流体軸受装置(422a、422b)を更に備えており、流体軸受装置は各々が、多数の支持チャネルが設けられて未被覆の光ファイバに方向転換させて徐冷装置を少なくとも2度通り抜けさせる構成の本体部を更に備えている、実施形態1のシステム。
【0075】
実施形態3
流体軸受装置は少なくとも3つのファイバ支持チャネルを備えている、実施形態2のシステム。
【0076】
実施形態4
光ファイバは光ファイバプリフォームから30m/sより速い速度で延伸される、実施形態1のシステム。
【0077】
実施形態5
光ファイバは光ファイバプリフォームから40m/sより速い速度で延伸される、実施形態1のシステム。
【0078】
実施形態6
光ファイバは光ファイバプリフォームから50m/sより速い速度で延伸される、実施形態1のシステム。
【0079】
実施形態7
少なくとも2つの流体軸受装置は、未被覆の光ファイバに方向転換させて徐冷装置を通り抜けさせることで少なくとも0.4秒間の滞留時間に亘り徐冷装置処理温度に未被覆の光ファイバを晒すよう構成されている、実施形態2のシステム。
【0080】
実施形態8
徐冷装置内における滞留時間は少なくとも0.5秒である、実施形態5のシステム。
【0081】
実施形態9
徐冷装置内における滞留時間は少なくとも1秒である、実施形態5のシステム。
【0082】
実施形態10
徐冷装置内における滞留時間は少なくとも2秒である、実施形態5のシステム。
【0083】
実施形態11
光ファイバは少なくとも0.2秒間に亘り徐冷装置の内部の約1000℃ないし約1700℃の温度である、実施形態1のシステム。
【0084】
実施形態12
光ファイバは少なくとも0.5秒間に亘り徐冷装置の内部の約1000℃ないし約1700℃の温度である、実施形態1のシステム。
【0085】
実施形態13
光ファイバは少なくとも1秒間に亘り徐冷装置の内部の約1000℃ないし約1700℃の温度である、実施形態1のシステム。
【0086】
実施形態14
光ファイバは少なくとも2秒間に亘り徐冷装置の内部の約1000℃ないし約1700℃の温度である、実施形態1のシステム。
【0087】
実施形態15
システムは、未被覆の光ファイバが流体軸受装置により方向転換された後で徐冷装置に再度入れ直しされる前に未被覆の光ファイバの温度を少なくとも約500℃だけ上昇させるよう構成されている、実施形態2のシステム。
【0088】
実施形態16
システムは、未被覆の光ファイバが流体軸受装置により方向転換された後で徐冷装置に再度入れ直しされる前に未被覆の光ファイバの温度を少なくとも約800℃だけ上昇させるよう構成されている、実施形態2のシステム。
【0089】
実施形態17
流体軸受装置の温度は約5℃から約450℃の間である、実施形態2のシステム。
【0090】
実施形態18
流体軸受装置内の流体の温度は約5℃から約200℃の間である、実施形態2のシステム。
【0091】
実施形態19
流体軸受装置を出ていく光ファイバの温度は約300℃から約800℃の間である、実施形態2のシステム。
【0092】
実施形態20
光ファイバは1550nmで減衰量が0.18dB/km未満である、実施形態1のシステム。
【0093】
実施形態21
光ファイバは1550nmで減衰量が0.17dB/km未満である、実施形態1のシステム。
【0094】
実施形態22
光ファイバは1550nmで減衰量が0.16dB/km未満である、実施形態1のシステム。
【0095】
実施形態23
流体軸受装置は加熱された筐体の内部にある、実施形態2のシステム。
【0096】
実施形態24
流体軸受装置内の流体の温度は約400℃から約1200℃の間である、実施形態2のシステム。
【0097】
実施形態25
光ファイバは流体軸受装置の内部で約400℃よりも高い処理温度に晒される、実施形態24のシステム。
【0098】
実施形態26
光ファイバは流体軸受装置の内部で約800℃よりも高い処理温度に晒される、実施形態24のシステム。
【0099】
実施形態27
未被覆の光ファイバを処理するための方法は、
延伸炉の内部にある光ファイバプリフォームから未被覆の光ファイバ延伸し、光ファイバが延伸炉から処理経路に沿って伸展するようにする工程と、
未被覆の光ファイバを延伸して延伸炉に動作可能にその処理フロー下流側で接続されている徐冷装置を通り抜けさせて、徐冷装置が約1000℃ないし約1400℃の範囲の徐冷装置処理温度に未被覆の光ファイバを晒すようにする工程と、
未被覆の光ファイバに方向転換させて徐冷装置を少なくとも2度通り抜けさせる工程と
を含んでいる、方法。
【0100】
実施形態28
未被覆の光ファイバは、延伸炉に動作可能にその処理フロー下流側に接続されている少なくとも2つの流体軸受装置により方向転換されて徐冷装置を少なくとも2度通り抜け、流体軸受装置は各々が多数の支持チャネルが設けられた本体部を備えている、実施形態25の方法。
【0101】
実施形態29
光ファイバは光ファイバプリフォームから30m/sより速い速度で延伸される、実施形態25の方法。
【0102】
実施形態30
光ファイバは光ファイバプリフォームから40m/sより速い速度で延伸される、実施形態25の方法。
【0103】
実施形態31
光ファイバは光ファイバプリフォームから50m/sより速い速度で延伸される、実施形態25の方法。
【0104】
実施形態32
少なくとも2つの流体軸受装置は、未被覆の光ファイバに方向転換させて徐冷装置を通り抜けさせることで、少なくとも0.5秒間の滞留時間に亘り徐冷装置処理温度に未被覆の光ファイバを晒すよう構成されている、実施形態28の方法。
【0105】
実施形態33
徐冷装置内における滞留時間は少なくとも1秒である、実施形態32の方法。
【0106】
実施形態34
徐冷装置内における滞留時間は少なくとも2秒である、実施形態32の方法。
【0107】
実施形態35
光ファイバは少なくとも0.2秒間に亘り(徐冷装置の内部の)約1000℃ないし約1700℃の温度である、実施形態27の方法。
【0108】
実施形態36
光ファイバは少なくとも0.5秒間に亘り(徐冷装置の内部の)約1000℃ないし約1700℃の温度である、実施形態27の方法。
【0109】
実施形態37
光ファイバは少なくとも1秒間に亘り(徐冷装置の内部の)約1000℃ないし約1700℃の温度である、実施形態27の方法。
【0110】
実施形態38
光ファイバは少なくとも2秒間に亘り(徐冷装置の内部の)約1000℃ないし約1700℃の温度である、実施形態27の方法。
【0111】
実施形態39
未被覆の光ファイバは、流体軸受装置により方向転換された後で徐冷装置に再度入れ直しされる前に、加熱されて少なくとも約500℃だけ温度上昇する、実施形態28の方法。
【0112】
実施形態40
未被覆の光ファイバは、流体軸受装置により方向転換された後で徐冷装置に再度入れ直しされる前に、加熱されて少なくとも約800℃だけ温度上昇する、実施形態28の方法。
【0113】
実施形態41
流体軸受装置の温度は約5℃から約450℃の間である、実施形態28の方法。
【0114】
実施形態42
流体軸受装置内の流体の温度は約5℃から約200℃の間である、実施形態28の方法。
【0115】
実施形態43
流体軸受装置を出ていく光ファイバの温度は約300℃から約800℃の間である、実施形態28の方法。
【0116】
実施形態44
光ファイバは1550nmで減衰量が0.18dB/km未満である、実施形態1のシステム。
【0117】
実施形態45
光ファイバは1550nmで減衰量が0.17dB/km未満である、実施形態27の方法。
【0118】
実施形態46
光ファイバは1550nmで減衰量が0.16dB/km未満である、実施形態27の方法。
【0119】
実施形態47
流体軸受装置は加熱された筐体の内部にある、実施形態28の方法。
【0120】
実施形態48
流体軸受装置内の流体の温度は約400℃から約1200℃の間である、実施形態28の方法。
【0121】
実施形態49
光ファイバは流体軸受装置の内部で約400℃よりも高い処理温度に晒される、実施形態48の方法。
【0122】
実施形態50
光ファイバは流体軸受装置の内部で約800℃よりも高い処理温度に晒される、実施形態48の方法。
【符号の説明】
【0123】
400 光ファイバを処理するためのシステム
402 延伸炉
404 光ファイバプリフォーム
406 未被覆の光ファイバ
408 処理経路
410 徐冷装置
422a 流体軸受装置
422b 流体軸受装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12