(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】送出システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20241225BHJP
A24F 40/50 20200101ALI20241225BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/50
(21)【出願番号】P 2022572694
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(86)【国際出願番号】 GB2021051316
(87)【国際公開番号】W WO2021240173
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-11-25
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ボーム、スコット ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ピン チョウ
(72)【発明者】
【氏名】ウッドマン、トム
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0154789(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0113242(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0008479(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0286858(US,A1)
【文献】特開2019-083811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面を有しているハウジングと、
ハウジングの開口部と、
ハウジングに設けられた光源であって、開口部から見えるように光を発する光源と、
光源によって発せられる光が見える開口部を横切って延びている膜
であって、ハウジングの前記内面と接触して位置する周辺部を有している膜と、
ハウジングに取り付けられ、膜から間隔が空けられている回路基板であって、該回路基板上に光源が設けられている回路基板と、
膜と回路基板との間に位置する膜支持部材であって、膜に面した上面を有している膜支持部材とを含
み、
膜支持部材は、該膜支持部材が膜に向かって直立しているように回路基板上に位置し、
膜支持部材の上面は、膜の周辺部と接触して位置する、
送出デバイス。
【請求項2】
膜は、光源によって発せられた光を拡散する材料から作製される、または光源によって発せられた光を拡散する材料でコーティングされていることを特徴とする請求項
1記載の送出デバイス。
【請求項3】
膜支持部材は、膜より高い剛性を有する材料から形成され、
膜の周辺部に向かって直立している
領域を有するが、膜支持部材と
膜の周辺部との間に圧力除去のための隙間を形成するために
膜の周辺部から間隔が空けられていることを特徴とする請求項
1または2記載の送出デバイス。
【請求項4】
膜の厚さは、膜支持部材と開口部を囲むハウジングの壁との間の圧力除去のための隙間より厚いことを特徴とする請求項
3記載の送出デバイス。
【請求項5】
膜支持部材は、光伝達膜支持部材であることを特徴とする請求項
1乃至
4いずれか1項記載の送出デバイス。
【請求項6】
ハウジングは、端部キャップで塞がれるスリーブを含むことを特徴とする請求項1乃至
5いずれか1項記載の送出デバイス。
【請求項7】
ハウジングの開口部は、ハウジングからの気体を放出するための通気口であることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の送出デバイス。
【請求項8】
膜は、気体透過性材料から形成されていることを特徴とする請求項7記載の送出デバイス。
【請求項9】
膜は、0.65μmの範囲の細孔径を有することを特徴とする請求項7または8記載の送出デバイス。
【請求項10】
膜は、0.11mm~0.19mmの厚さを有することを特徴とする請求項7乃至9いずれか1項記載の送出デバイス。
【請求項11】
膜は、7kpaの圧力で1900~2400ml/cm
2
/分の通気能を有することを特徴とする請求項7乃至10いずれか1項記載の送出デバイス。
【請求項12】
バッテリーは、キャリアーに収容され、このキャリアーは、バッテリーによって発せられる気体をキャリアーの周囲でハウジング内で循環させることができる開口領域を有することを特徴とする請求項7乃至11いずれか1項記載の送出デバイス。
【請求項13】
膜支持部材は、ハウジング内に配置された際に、回路基板と膜の間で変形した体勢をとり、膜支持部材が膜をハウジングに対して押すように膜に対して付勢力を加えるように構成されていることを特徴とする、請求項1または2に従属した場合の請求項7乃至12いずれか1項記載の送出デバイス。
【請求項14】
光伝達膜支持部材は、開口部を有し、追加で光源からの光を光伝達膜支持部材のこの開口部を通過させることを特徴とする請求項5記載の送出デバイス。
【請求項15】
制御モジュールと、ヒーターおよびエアロゾル化可能な基材を含む基材エアロゾル化モジュールとを含み、基材エアロゾル化モジュールは、制御モジュールからの制御信号に応答して基材をエアロゾル化するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至14いずれか1項記載の送出デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、非燃焼系エアロゾル供給システムまたはエアロゾルを含まない送出システムなどの送出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコ、シガーなどの喫煙品は使用時にタバコを燃やして煙を発生させる。燃焼させずに化合物を放出する製品を創り出すことによってこれらの物品に変わる送出システムを提供する試みがなされている。このような送出システムの例としては、所謂、基材を熱するが燃やさずに化合物を放出する「非燃焼加熱」製品またはタバコ加熱装置または製品が挙げられる。例えば、タバコ加熱装置は、エアロゾル発生基材を加熱し、この基材は、タバコまたはニコチンを含んでもよいまたは含まなくてもよい非タバコ製品であり、基材を燃やさずに熱することによってエアロゾルを形成するためのものである。
【発明の概要】
【0003】
本発明の態様ではハウジングと、ハウジングの壁を通る開口部と、ハウジングに設けられた光源であって、開口部から見えるように光を発する光源と、ハウジングに収容されたバッテリーとを含む送出デバイスが提供され、送出デバイスは、光源からの光が見えるハウジングの開口部がハウジングからの気体を放出するための通気口になるように構成されている。
【0004】
送出デバイスは、気体透過性材料から形成された膜を有してもよく、これは開口部を横切って延び、この開口部を通して光源によって発せられる光が見えるようになっている。
【0005】
膜は、光源によって発せられた光を拡散する材料から作製できる、または光源によって発せられた光を拡散する材料でコーティングすることができる。膜は実質的に液体不透過性である材料から形成されてもよい。膜は、0.65μmの範囲の細孔径を有してもよい。膜は、0.11mm~0.19mmの厚さを有してもよい。膜は、7kpaの圧力で1900~2400ml/cm2/分の通気能を有することができる。
【0006】
膜は、ハウジングの内面に貼り付けてもよい。
【0007】
バッテリーは、キャリアーに収容されてもよく、このキャリアーは、バッテリーによって発せられる気体をキャリアーの周囲でハウジング内で循環させることができる開口領域を有する。
【0008】
送出デバイスは、ハウジング内でバッテリーに取り付けられた回路基板を含んでもよい。この場合光源は、回路基板に取り付けられ、開口部から間隔が空けられてもよい。
【0009】
送出デバイスは、回路基板上に光伝達部材を含んでもよい。光伝達部材は、回路基板とハウジングの壁の開口部の間に配置してもよい。
【0010】
光伝達部材は、開口部に向かって直立してもよいが、光伝達部材と開口部の周囲のハウジングの壁との間に圧力除去のための隙間を形成するために開口部から離れている。
【0011】
ハウジングの内側に貼り付けられて、開口部を横切って膜が延びている場合、光伝達部材は、この膜に向かって直立してもよい。
【0012】
光伝達部材は、膜に面した上面を有する。
【0013】
光伝達部材の上面は、光伝達部材の上面と膜の間に圧力除去のための隙間を形成するために膜に接近しているが、膜から間隔が空けられてもよい。
【0014】
一部の実施態様では光伝達部材の上面は、膜と接触して位置する領域を含んでもよい。
【0015】
膜と接触している上面の領域は、ハウジングと接触して位置する膜の外縁の少なくとも一部と接触して位置する。
【0016】
光伝達部材は弾性変形可能な材料から作製されてもよい。
【0017】
光伝達部材は、ハウジング内に配置された際に回路基板と膜の間で変形した体勢をとり、光伝達部材が膜をハウジングに対して押すように膜に対して付勢力を加えるように構成してもよい。
【0018】
光伝達部材は、それが光源を横切って延びるように配置されてもよく、回路基板上の光源が収容される凹部を有してもよい。
【0019】
光伝達部材は、開口部を有してもよく、追加で光源からの光を光伝達部材のこの開口部を通過させてもよい。
【0020】
送出デバイスは、ヒーターとエアロゾル化可能な基材を含む基材エアロゾル化モジュールを含んでもよく、基材エアロゾル化モジュールは、制御モジュールからの制御信号に応答して基材をエアロゾル化するように構成されている。
【0021】
本発明の別の態様ではハウジングと、ハウジングの開口部と、ハウジングに設けられた光源であって、開口部から見えるように光を発する光源と、光源によって発せられる光が見える開口部を横切って延びている膜とを含む送出デバイスが提供される。
【0022】
膜は、光源によって発せられた光を拡散する材料から作製してもよい、または光源によって発せられた光を拡散する材料でコーティングしてもよい。
【0023】
いずれの実施態様において、ハウジングは、端部キャップによって塞がれるスリーブを含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
例示的実施態様を以下の略図を参照して例示のみの目的として説明する。
【
図1】例示的実施態様によるデバイスの略図である。
【
図2】
図1に示したデバイスの制御モジュールの分解図である。
【
図3】
図1および2の組み立てられた制御モジュールの断面図である。
【
図4】
図3の組み立てられた制御モジュールの一部(図でXとして丸で囲まれた)の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書中では「送出システム」なる用語は、ユーザーに少なくとも1つの物質を送出するシステムを包含することを意図し、次のものを含む、電子タバコ、タバコ加熱製品、エアロゾル発生材の組み合わせを使用してエアロゾルを発生させるハイブリッドシステムなどのエアロゾル発生材を燃焼させずにエアロゾル発生材から化合物を放出する非燃焼系エアロゾル供給システム。
【0026】
本発明により実施態様は、ハウジングを含み、このハウジングは、ハウジングの壁に形成された開口部を有し、その開口部を介してハウジング内の発光ダイオード(LED)などの光源からの光が見える送出デバイスを提供する。バッテリーは、ハウジング内に含まれ、開口部は開口部を介してハウジングから気体を逃がす通気口としても機能し、これによりバッテリーが損傷した場合にハウジング内で圧力が増加するのを防ぐ。したがって、開口部は、LEDまたは光源を見える窓だけでなく通気開口部を供する二重機能を提供する。本発明のあらゆる実施態様において開口部を横断して延びている膜があってもよい。膜の下に位置するLEDまたは光源によって発せられる光は伝達され、よって膜を通して見える。
【0027】
本発明の別の実施態様ではハウジングは、ハウジングの壁に開口部を有し、これを通して光源からの光が見え、開口部は、膜によって覆われる。膜は光がこの膜を通して見えるようなものである。例えば、膜は光伝達材料および/または光源からの光を拡散する材料で作製されてもよい。
【0028】
図1は非燃焼系エアロゾル供給または送出デバイス1の形体の送出システム1の略図である。デバイス1は2つの主要部品2、8を含む。
【0029】
デバイス1の第1の部品2は、バッテリー4および回路基板5を含む制御モジュール3を含む。制御モジュール3は、制御モジュール3を囲み、送出デバイス1の外観を形成するハウジング6に収容される。ハウジング6は、管状のスリーブであってもよく、その場合、制御モジュール3は、デバイスの組み立ての際、一開口端部からハウジング6内に挿入され、その後、ハウジング6のその開口端部は、端部キャップ7によって塞がれる。しかしながら、これとは別にハウジング6は、制御モジュール3の周囲で囲いを形成するために互いに取り付けられる複数の部分またはシェルから形成されてもよい。ハウジング6が2つの半部シェルから形成される場合、例えば、制御モジュール3が1つの半部シェル部内に入れられ、その後、もう一方の半部シェル部がその上に置かれ、一方の半部シェル部に取り付けられることにより、ハウジング内に制御モジュール3をカプセル化する。ハウジング6は、好ましくはアルミニウムなどの金属から形成されるが、ハウジング6用に他の材料も利用可能である。
【0030】
デバイス1の第2の部品8はヒーター9および液体容器10を含み、これらは共にエアロゾル発生モジュールを形成する。第1および第2の部品2、8は、モジュラー式であってもよく、即ち第2の部品8は、独自のハウジング12を有し、修理または交換のために第1の部品から分離されてもよい(
図1のXが付された接合部で)。解除可能な電気接続によって第1および第2の部品2、8を接合して電力と制御信号がそれらの間で送られるようにすることが可能になる。しかしながら、第1および第2の部品2、8は、デバイス1の分解以外では分離可能でなくてもよい。より具体的には第1および第2の部品2、8は、組み立て作業中に互いに連結され、同じ一体型のハウジング6内に収容されて一体型ユニットを形成してもよい。
【0031】
図1のデバイスの使用時、空気が矢印11で示すようにヒーター9の空気入り口内に引き込まれる。ヒーター9は、制御モジュール3によって制御され、入り込む空気を加熱する。熱せられた空気は、液体容器10へと導かれ、そこでエアロゾルを発生させる。エアロゾルは、矢印Aで示すように空気出口でデバイス1から出て、デバイス1のユーザーの口の中に入る。
【0032】
図2は、第2の部品8が省略された
図1に示した制御モジュール3の分解図であり、
図3は、組み立てられて、ハウジング6内に収容された
図2の制御モジュール3の断面図である。
図2の実施態様ではハウジング6は、スリーブの形状であり、制御モジュール3の残りの部品は、ハウジング6内にその一端から挿入される。端部は、ハウジング6を封止するために端部キャップ7によって塞がれる。
【0033】
図2にそして組み立てられたデバイス1の断面を示す
図3にも示すように制御モジュール3は、バッテリー4が収容され、保持されるフレームまたはキャリアー13を含む。回路基板5は、キャリアー13の上面の外側に取り付けられ、キャリアー13およびバッテリー4の1つの主要面4aの外側の両方によって支持されている。絶縁されたスペーサーまたは支持パッド15がバッテリー4の主要面4aと回路基板5の間の互いに重なり合う所に配置されている。支持パッド15は、接着剤であってもよく、回路基板5が接着剤パッド15によってバッテリー4の主要面4aの所定の位置に保持されようにしてもよい。種々の電気回路および制御素子16が回路基板5に装着され、またこれは第2の部品8のエアロゾル発生モジュールへの回路基板5の電気的接続のためのコネクタ17を有する。これらのコネクタ17は、キャリアー13の一端から突出した回路基板5のセクションに位置する。
【0034】
金属または導電プレート18がキャリアー13の下側および回路基板5に対してバッテリー4の反対側のバッテリー4のもう一方の主要面4bに取り付けられる。絶縁パッド19またはスペーサーがバッテリー4のもう一方の主要面4bと金属プレート18の間に位置してもよく、絶縁パッド19またはスペーサーは、金属プレート18がバッテリー4のもう一方の主要面4bの所定の位置に保持されるように接着剤であってもよい。金属プレート18は、バッテリー4と回路基板5上の回路および制御素子16の間の電気的接続を形成している。当然のことながらキャリアー13は、それがバッテリー4を完全に覆わないまたは囲まないという意味で開口している。回路基板5と金属プレート18がキャリアー13に取り付けられ、バッテリー4の主要面4a、4b上を延びていてもバッテリー4は部分的に露出する。これにより通常の使用の結果としてまたは異常によって起こるバッテリー4によって発生する熱または気体をキャリアー13内に捕捉するのではなく、バッテリー4を囲むハウジング6の領域内に逃がすことができる。
【0035】
制御モジュール3は、プレスボタン式オン/オフスイッチ20を含み、これは金属プレート18に取り付けられ、ハウジング6の開口部を介して操作可能である。オン/オフスイッチ20をプレスすることでバッテリー4を回路基板5の回路と接続またはそれから解除し、これによりデバイスのオンまたはオフを切り替える、あるいは必要に応じて他の制御機能を実行する。
【0036】
図3および4に最も明確に示すようにバッテリー4およびそれに取り付けられた回路基板5と共にキャリアー13は、バッテリー4が発する熱または気体が内部的に分散する空間「S」が回路基板5とハウジング6の壁との間に設けられるようにハウジング6内に収容される。回路基板5に取り付けられる電気回路および制御部品16は、この空間を占める。
【0037】
送出デバイス1にとってユーザーがデバイスに電気が入っているかわかるまたはバッテリー4の充電の必要性などの他の機能を伝えるために発光ダイオード(LED)29などの光源を有するのが一般的である。従来のデバイスの大半においてLEDが回路基板上に設けられ、開口部22がハウジング6に設けられ、この開口部を通してLED29を見ることができる、または開口部内にLED29が位置する。このために開口部22と回路基板上のLED29は、デバイス1が組み立てられた際にそれらが位置合わせされる、即ちLED29が開口部22の下に位置するように配置される。開口部22の下で回路基板5に取り付けられたLED29を
図3および4に示す。他の実施態様ではLED29は、開口部22からオフセットし、開口部22の真下にない。
【0038】
本発明の一部の実施態様では、開口部22は、LED29からの光を拡散させる導光部として作用できる特性を有する膜23で覆われる。特定の実施態様では膜23は、光伝達材料から作製されてもよい。これとは別に膜は、導光部として性能を向上させるために拡散フィルターまたは調光フィルムなどの光学フィルムでコーティングしてもよい。
【0039】
膜23は開口部を横切ってハウジング6に貼り付けられる。特に膜23は、ハウジング6の内側の面に貼り付けられ、それがハウジング6の外面からハウジング6の厚さだけ凹んで触れにくく、よって良好に保護されるようになっている。好ましくは膜23は、開口部22より大きく、したがって開口部を越えて延び、ハウジング6の内面に向いた周辺領域24を有する。永久接着剤25が周辺領域24全体に環状のパターンにこの周辺領域24に塗布され、膜23をハウジング6に貼り付け、膜がハウジング6に対して保持され、開口部22を横断して延びるようになっている。
【0040】
ハウジング6は、組み立てられると密閉されたユニットになるので、気体は、ハウジング6内に集まり、結果として圧力が増大することになる。したがって、ハウジング6の開口部は、膜がそれを横切って延びているかいないかに関係無く、全ての気体を逃がし、デバイス1内の呼び圧力または周囲圧力を維持できる通気口としても作用する。開口部22もまたハウジング6内外に空気を循環させ、温度差を最小限にする。
【0041】
開口部22が通気口としても作用するならば、膜23は省略してもよい。膜23が使用される場合、膜は空気および/または気体を殆どまたは全く抵抗なく通過させるために充分な透過性を有さなければならない。しかしながら、膜23は防水処理されてもよく、あるいは少なくともある程度の耐水性を有してもよい。例えば、International Electrotechnical Commission(IEC)によって策定されたIPスタンダードを参照すると、デバイス1は、一般に「IP67等級」なるものを有し、これはデバイス1内に浸透するちりや埃に対する抵抗を意味し、膜からその情報が得られる。またこの等級は、デバイス1がデバイス1に水が浸透せずに30分間、1.5メートルまでの深さの真水に沈めることができることを意味し、したがってハウジング6の通気口22を覆う膜23はそのような浸透を妨げることができる必要がある。
【0042】
気体または空気を通過させるために膜23は、LEDによって発せられる光を拡散するための導光部として作用することに加えて、7kpaの圧力で1900~2400ml/cm2/分の通気能を有して孔径が0.65μm、厚さが0.11mm~0.19mmであることが想定される。これらの要件を満たす1つのそのような材料は、商品番号PUW867でDong Guan PUW EPTFE Material Co., LTD.社製のものがある。
【0043】
隙間またはスペース「S」が回路基板5と膜23の間に存在する。この隙間は比較的小さいので、ハウジング6の通気口22を介して挿入され、膜23に圧力を加えるあらゆる異物または指によって膜23を破裂させるまたは接着剤25を機能させなくし、結果として膜23はハウジング6から外れてしまう。さらにLED29が膜の下に位置するので、LED29も傷つく場合がある。したがって、膜23を含む特定の実施態様は、膜23と回路基板5の間に位置する膜支持体26を含んでもよい。好ましくは膜支持体26は、回路基板5に取り付けられ、膜23に向かって直立している。
【0044】
膜支持体26は、回路基板5上のLED29を横切って延び、膜支持体26が回路基板5に取り付けられる際にLED29が収容される脚部32の間に形成された凹部31を有する。膜支持体26は、光がLED29から膜支持体をそして膜23を通過でき、ハウジング6の外側から見えるように光伝達材料で作製してもよく、光伝達素子であってもよい。加えてまたはこれとは別に膜支持体26は、LED29の近傍に位置する開口部31を有して、LED29からの光がこの開口部31、膜23を通過し、デバイス1の外側からユーザーに見えるようにしてもよい。
【0045】
膜支持体26を
図5A~5Cに詳しく示し、これらの図から膜支持体26は、少なくとも開口部を横断して延びた膜23の部分の少なくとも下で膜23の下側に面し、これと接触して位置している上面を有することがわかる。膜支持体26の上面27が膜23と接触して位置している場合、膜支持体26の上面27は、膜23と接触していない領域を有して気体が支持体26の上面27を横切ってそして膜23と開口部を通過できる空間が残るようにしてもよい。特に
図5AおよびBに示すように膜支持体26は、膜23が載る隆起した領域30を有してもよい。隆起した領域30は、膜23と上面27の間に空間を形成する。この隆起した領域30は通気口22の通気口の一部のみの周囲を延び、気体を上面27と膜23の間で逃し、通気口22を通過させる。
【0046】
膜支持体26が設けられ、ユーザーによって圧力が開口部22を介して膜23にかけられる場合、膜23が殆どまたは全く撓まずに膜支持体26の上面27または領域30に対してプレスされ、したがってこれらに支持され、これにより膜23の損傷を防ぐ、または膜23がハウジング6から外れないようにする。LED29の損傷も防ぐことができる。
【0047】
膜支持体26は、ゴムなどの変形可能である、または弾性を有する材料から作製され、ハウジング6内に配置した際に回路基板5と膜23の間で変形または潰される大きさであってもよい。膜支持体26は、変形したら、膜23をハウジング6に対して付勢力を膜23に加える、即ちハウジング6にのり付けされた膜23の周辺領域24が膜支持体26によってハウジング6に対して押されるようにある程度の弾性を有する。したがって、膜支持体26も接着剤25に加えて膜23を所定の位置に保持する。一部の実施態様では膜23は膜支持体26だけで所定の位置に保持できることがわかっており、この場合、膜23はハウジング6にのり付けまたは貼り付けられる必要がない。また膜23を膜支持体26にのり付けまたは貼り付けて、次に膜支持体26の変形または弾性によってハウジング6に対して付勢させることも可能である。当然のことながら膜支持体26は、膜支持体26の変形または実質的に変形する前に力が通気口22を介して膜に加えられると、ある程度の圧力には抗する。
【0048】
特に
図4から当然のことながらハウジング6は、一方から他方へと狭くなってもよい。この例では膜支持体26もまた一端で薄くなり、即ちその上面27は、それが膜23およびハウジング壁と平行になるように角度が付けられてもよい。
【0049】
開口部22は、散光器として作用する膜23と共にLED29がその開口部を通して見える窓として使用され、開口部22は気体透過特性を有する膜23と共に通気口も提供するので、ハウジング6に設ける必要のある開口部の数を減らすことができる。
【0050】
膜支持体26について言及したが、当然のことながら支持体は、膜23が無くても使用してもよい。支持体26は、光伝達材料から作製されてもよい。支持体は、回路基板5から開口部22の方へ直立してもよく、支持体26の上面とハウジング6の壁の間に圧力除去のための隙間を設けてハウジング6から隙間およびハウジング6の開口部22を介して気体を逃がすために開口部22から間隔が空けられてもよい。
【0051】
他の実施態様では膜支持体26は、膜23に配置する際に剛性材料から形成してもよい。膜支持体26は、膜支持体26が膜23より高い剛性を有するあらゆる材料から形成してもよい。好ましくは膜は、シリコーンまたは同様の材料から作製される。
【0052】
膜23の厚さは、膜支持体26の上面27と通気口22を囲むハウジング6の壁との間の圧力除去のための隙間より厚くてもよい。厚い膜23は、弾性変形可能な材料から形成して、厚い膜23がハウジング6の壁に対して膜支持体26によって押しつぶされた際にその厚い膜が圧縮可能で変形するようにしてもよい。膜23をハウジング6に対して押すために膜支持体26によって膜23に対して加えられる付勢力は、膜の厚さが圧力除去の隙間より厚いので大きくなる。この状況において膜23は、膜支持体26の剛性によってハウジング6にさらに押しつけられ、デバイス1は、通気口22の周囲で膜23が密に嵌まっているので通気口22を通る水の起こり得る侵入からの保護を強化することになる。
【0053】
本明細書に記載の種々の実施態様は、特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。これらの実施態様は単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。