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特許7610623コーヒー豆を焙煎するための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】コーヒー豆を焙煎するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A23N 12/08 20060101AFI20241225BHJP
   A23F 5/04 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
A23N12/08 A
A23F5/04
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022573713
(86)(22)【出願日】2021-05-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-12
(86)【国際出願番号】 EP2021062917
(87)【国際公開番号】W WO2021249723
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2024-04-05
(31)【優先権主張番号】20179357.7
(32)【優先日】2020-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】サヴィオズ, グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ルースラン, フランク
(72)【発明者】
【氏名】ジャネット マイトル, ギスラン
(72)【発明者】
【氏名】デル レイ, ジョナサン
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-153041(JP,A)
【文献】特開2000-220849(JP,A)
【文献】特開2014-140328(JP,A)
【文献】特開平01-190319(JP,A)
【文献】米国特許第06260479(US,B1)
【文献】特開昭60-087738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23N 12/08-12/12
A23F 3/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒー豆を焙煎するための装置(1)であって、
焙煎のためにコーヒー豆を受け入れることができるチャンバ(10)であって、開口部(13)を備える、チャンバ(10)と、
前記チャンバ(10)内に受け入れられた前記コーヒー豆を焙煎するためのデバイスと、
を備え、
前記チャンバ(10)は、移動軸線に対して、様々な位置に移動可能であり、これらの位置は、固定された焙煎位置及び豆排出位置を含み、
前記固定された焙煎位置において、前記デバイスは、前記チャンバ(10)内に受け入れられた前記コーヒー豆を焙煎するように構成されており、
前記豆排出位置において、前記チャンバ(10)は、前記チャンバ(10)から前記開口部(13)を通して前記コーヒー豆を排出することができるように構成されている、
装置(1)。
【請求項2】
前記チャンバ(10)は前記様々な位置に回転自在に移動可能である、及び/又は前記移動軸線は水平に延びる、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記チャンバ(10)は、前記様々な位置のそれぞれに手動で及び/若しくは自動的に移動するように構成されている、並びに/又は前記装置(1)は、前記チャンバ(10)を前記様々な位置のそれぞれに手動で移動させるための、ハンドル及び/若しくはつまみのようなユーザインタフェース(30、32)を更に備える、請求項1又は2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記コーヒー豆を焙煎するために前記チャンバ(10)を閉じて密封するために、前記焙煎位置において前記開口部(13)を覆い、前記開口部(13)と係合するための、例えば蓋のような接合部品(70)を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記開口部(13)は、前記チャンバ(10)が前記焙煎位置に移動するときに、前記開口部(13)が前記焙煎位置において前記接合部品(70)と係合するために前記接合部品(70)に向かって移動するように構成されており、前記係合は密封係合である、請求項4に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記チャンバ(10)が前記焙煎位置にあるときに、前記開口部(13)と前記接合部品(70)とが互いに係合することができるように、前記接合部品(70)と前記開口部(13)は互いに相対的に移動可能であり、前記係合は密封係合である、請求項4又は5に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記チャンバ(10)は側壁(12)を備え、前記側壁(12)の遠位端は前記開口部(13)を画定し、前記側壁(12)の前記遠位端は、前記開口部(13)が前記側壁(12)に対して斜めに延びるように傾斜している、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記豆排出位置において、前記チャンバ(10)は、前記チャンバ(10)から前記開口部(13)を通して前記コーヒー豆を重力によって排出するように構成されており、前記豆排出位置において、前記開口部(13)は下方に向けられている、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記様々な位置は豆受入位置を含み、前記豆受入位置において、前記チャンバ(10)は、前記焙煎位置における後の焙煎のために、前記開口部(13)を通してコーヒー豆を受け入れるように構成されており、前記豆受入位置において、前記チャンバ(10)は、前記チャンバ(10)内に前記開口部(13)を通して前記コーヒー豆を重力によって受け入れるように構成されている、及び/又は前記豆受入位置において、前記開口部(13)は上方に向けられている、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記豆排出位置において、前記デバイスは、前記チャンバ(10)から前記開口部(13)を通して前記コーヒー豆を排出するために、空気流を提供するように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項11】
少なくとも前記チャンバ(10)び前記デバイスも収容するためのハウジング(20)を更に備え、前記ハウジング(20)は、豆受入開口部(24)と豆排出開口部(25)とを備え、前記豆受入開口部(24)及び前記豆排出開口部(25)は、前記チャンバ(10)の前記開口部(13)が前記豆受入開口部(24)又は前記豆排出開口部(25)と選択的に位置合わせされ得るように配置されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記デバイスは、前記チャンバ(10)内に受け入れられた前記コーヒー豆をかき混ぜるために、空気流を発生させるように構成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項13】
前記装置(1)が家電装置である、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項14】
焙煎のためにコーヒー豆を受け入れることができるチャンバ(10)内でコーヒー豆を焙煎する方法であって、前記チャンバ(10)は開口部(13)を備え、前記方法は、
前記チャンバ内に前記開口部(13)を通してコーヒー豆を受け入れるステップと、
固定された焙煎位置において、前記チャンバ(10)内に受け入れられた前記コーヒー豆を焙煎するステップと、
移動軸線に対して、前記チャンバ(10)を豆排出位置に移動させるステップと、
前記豆排出位置において、前記チャンバ(10)から前記開口部(13)を通して前記コーヒー豆を排出するステップと、
前記移動軸線に対して、前記チャンバ(10)を前記固定された焙煎位置に移動させるステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記移動軸線に対して、前記チャンバを豆受入位置に移動させるステップを更に含み、前記チャンバ(10)の前記豆受入位置において、前記開口部(13)を通して前記チャンバ内にコーヒー豆を受け入れるステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー豆を焙煎するための装置、及びコーヒー豆を焙煎する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒー豆を焙煎することで、コーヒー生豆は焙煎コーヒー豆に変化する。コーヒー生豆は、典型的には、生及び/又は乾燥したコーヒー豆であり、焙煎コーヒー豆は、特に、(挽かれた)焙煎コーヒー豆から調製されるコーヒー飲料の風味に寄与する。コーヒー豆の焙煎は、大規模であり得るが、小規模でもあり得る。コーヒー豆の小規模焙煎では、顧客向け事業者(店、コーヒーショップなど)、又は顧客、例えばコーヒー飲料の消費者が、コーヒー豆を焙煎する。消費者によるコーヒー豆の焙煎は、非常に興味深い。なぜなら、消費者は、家庭でコーヒー豆を焙煎して、例えば趣味として、様々な風味プロファイルを実験する、かつコーヒー豆の焙煎が特に新鮮であることを確実にすることができるからである。
【0003】
コーヒー豆を焙煎するために、いくつかの処理工程を実施する必要がある。例えば、後にコーヒー豆を焙煎するために、コーヒー豆の充填を行う必要があり、コーヒー豆の焙煎が完了すると、コーヒー豆を処理する必要がある。これには、装置のいくつかの部分の操作が必要な場合があり、ユーザにとってあまり便利の良いものではない。これらの部分は高温の部分である可能性もあり、操作中に装置のユーザが怪我をするリスクもある。更に、コーヒー豆の焙煎では、コーヒー豆の焙煎が開始され得る前に特定の対策をとることが必要な場合がある。これには、装置のいくつかの部分の操作を伴う場合もあり、コーヒー豆の焙煎をあまり簡便でないものにするとともに、場合によっては高温の部分を操作することで、比較的安全でないものにする。
【0004】
したがって、本発明の目的は、上述した欠点を克服する装置及び方法を提供することである。すなわち、本発明の目的は、特に、コーヒー豆の焙煎のプロセスをより簡便かつより安全にする装置を提供することである。
【0005】
これらの目的、及び以下の説明を読むことで明らかとなる他の目的は、独立請求項の主題によって解決される。従属請求項は、本発明の好ましい実施形態に言及する。
【発明の概要】
【0006】
本発明によれば、コーヒー豆を焙煎するための装置が提供される。装置は、焙煎のためにコーヒー豆を受け入れることができるチャンバであって、開口部を備える、チャンバと、チャンバ内に受け入れられたコーヒー豆を焙煎するためのデバイスとを備える。チャンバは、移動軸線に対して、(少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つの)様々な位置に移動可能であり、これらの位置は、焙煎位置と、好ましくは豆受入位置と、豆排出位置とを含む(又は焙煎位置、好ましくは豆受入位置、豆排出位置である、すなわち、焙煎位置と、好ましくは豆受入位置と、豆排出位置とからなる)。焙煎位置において、デバイスは、チャンバ内に受け入れられたコーヒー豆を焙煎するように構成されており、任意の豆受入位置において、チャンバは、焙煎位置における後の焙煎のために、開口部を通してコーヒー豆を受け入れるように構成されており、豆排出位置において、チャンバは、チャンバから開口部を通してコーヒー豆を排出することができるように構成されている。
【0007】
したがって、本装置により、チャンバを、焙煎位置、任意の豆受入位置、及び豆排出(すなわち放出)位置のそれぞれに移動させるために、移動軸線に対して移動させることだけを必要とすることが容易になる。すなわち、移動軸線に対するチャンバの1つの特定の手法又はタイプの移動(直線又は回転、すなわち傾斜など)のみによって、チャンバを所望の位置に移動させることができる。したがって、チャンバの移動中、チャンバは、例えば、装置の底部などの、装置を位置決めする及び/又は取り付けるために設けられた装置の一部分に対して移動する。
【0008】
したがって、本装置により、特に、利便性((焙煎)コーヒー豆へのより迅速かつより直接的なアクセスなど)及び安全性(装置の場合によっては高温の部分に触れることによる怪我の減少など)に関して、少なくともコーヒー豆の受け入れ(すなわち充填)、コーヒー豆の焙煎、及びコーヒー豆の排出をこの順序で含むコーヒー焙煎の全体的なプロセスが改善される。これは特に、装置のユーザが、各位置の機能を実行するためにチャンバを各位置に移動させるために、複数の操作を行う必要がないからである。また、固定された移動軸線に対して移動可能なチャンバにより、コーヒー豆又は装置の部品の望ましくない喪失の可能性が低下する。
【0009】
様々な位置は、専用の位置、すなわち、装置によって画定される位置である。チャンバが様々な位置のそれぞれにあるとき、装置は、チャンバを停止する又は止めるように構成され得る。例えば、装置は、チャンバを様々な位置の1つ以上に停止させるために1つ以上の停止要素を備え得る。1つ以上の停止要素のそれぞれは、移動軸線に対するチャンバの第1の方向における移動は可能にし、移動軸線に対するチャンバの、第1の方向と反対の第2の方向における移動は可能にしないように構成され得る。チャンバが焙煎位置及び/又は豆排出位置のそれぞれにあるとき、装置は、チャンバを停止するように構成され得る。したがって、装置は、焙煎位置及び/又は豆排出位置のそれぞれに対して、各々の停止要素を備え得る。
【0010】
装置は、チャンバを様々な位置の1つ以上において止めるために1つ以上の制動要素を備え得る。1つ以上の制動要素のそれぞれは、チャンバを適宜移動させるための力(例えば、操作力)が既定の閾値を下回ると、移動軸線に対する特定の方向のチャンバの移動を停止するように構成され得る。チャンバを適宜移動させるためのこの力が既定の閾値になると又は既定の閾値を上回ると、1つ以上の制動要素は、上記特定の方向におけるチャンバの移動を可能にするように構成され得る。装置は、チャンバが豆受入位置にあるときにチャンバを止めるように構成され得る。したがって、装置は、豆受入位置に対して制動要素を備え得る。
【0011】
チャンバは、様々な位置に回転自在に移動可能であり得る。したがって、チャンバは、様々な位置のそれぞれに非常に容易に、すなわち回転移動軸線である移動軸線の周りの回転移動のみによって、すなわちチャンバを傾けることによって移動させることができる。移動軸線は水平に延び得る。したがって、水平に延びる移動軸線により、特に、開口部をそれぞれ上向き及び下向きに傾けることができる。したがって、コーヒー豆をチャンバに対して移動させるために、重力を効果的に使用することができる。
【0012】
チャンバは、様々な位置のそれぞれに手動で移動するように構成され得る。例えば、装置は、チャンバを様々な位置のそれぞれに手動で移動させるための、ハンドル及び/又はつまみなどのユーザインタフェースを備える。したがって、装置のユーザは、チャンバを様々な位置のそれぞれに、例えばユーザインタフェースの時計回り及び反時計回りの動きのみによって、容易にかつ直観的に移動させることができる。追加的に又は代替的に、チャンバは、様々な位置のそれぞれに自動的に移動するように構成されている。例えば、装置は、チャンバを様々な位置に自動的に移動させるための制御ユニット及び駆動ユニットを備え、駆動ユニットは、制御ユニットに機能的に接続されている。したがって、制御ユニットは、チャンバを様々な位置のそれぞれに自動的に移動させるために、駆動ユニットを、例えば、焙煎プロセスに基づいて制御することができる。したがって、チャンバを移動させるために必要なユーザの操作が減少する、又は更にはなくなるため、装置を操作する利便性が向上する。
【0013】
装置は、コーヒー豆を焙煎するためにチャンバを閉じて、好ましくは密封するために、焙煎位置において開口部を覆い、開口部と好ましくは係合するための蓋及び/又はコーヒーチャフコレクタなどの接合部品(mating part)を備え得る。したがって、接合部品により、特に、焙煎位置における焙煎プロセス中に、空気(熱い空気など)及び/又はコーヒー焙煎の副生成物(例えば、煙、汚れ、コーヒーチャフなど)がチャンバから開口部を通って、特に装置の外に逃げることができないようにする。接合部品は、上記空気及び/又は副生成物がチャンバから接合部品のみを通って逃げることができるように設計され得る。したがって、接合部品により、特に、より安全な装置がもたらされる。接合部品は、開口部又は開口部を画定するチャンバの側壁に対応的に又は相補的に設計され得る。
【0014】
開口部は、チャンバが焙煎位置に移動すると、焙煎位置において、接合部品と係合する、好ましくは密封係合するために開口部が接合部品に向けて移動するように構成され得る。したがって、移動軸線に対するチャンバの移動のみにより、開口部と接合部品との係合、特に、密封係合に必要な力がもたらされる。換言すると、開口部を(密封)係合させるために、移動可能なチャンバ以外の可動部品は必要ない場合がある。
【0015】
チャンバが焙煎位置にあるときに、開口部と接合部品とが互いに係合する、好ましくは密封係合することができるように、接合部品と開口部は、互いに相対的に移動可能であり得る。したがって、装置は、チャンバの移動軸線以外に、接合部品と開口部との間の相対移動のための1つ以上の更なる移動軸線、好ましくは1つの更なる移動軸線のみを備え得る。例えば、焙煎位置(したがって、チャンバは(第1の)移動軸線に対して移動しない)において、接合部品は静止したままであり得る一方で、開口部は、(密封)係合するために、接合部品に対して移動する。別の例では、焙煎位置において、開口部は静止したままであり得る一方で、接合部品は、(密封)係合するために、開口部に対して移動する。したがって、開口部は、焙煎位置において非常にしっかりと閉じられ得るため、特に、(熱い)空気及び/又はコーヒー焙煎の他の副生成物(煙、コーヒーチャフ、汚れなど)が開口部を通ってチャンバから出ることは事実上阻止される。
【0016】
チャンバは、側壁を備えることができ、側壁の遠位端は開口部を画定する。したがって、開口部を通してチャンバにアクセスするための容易にアクセス可能な開口部が設けられる。側壁の遠位端は、開口部が側壁に対して斜めに延びるように傾斜し得る。したがって、側壁の傾斜した遠位端により、側壁の上部部分が延長され、例えば、傾斜面が形成される。斜めに延びる開口部は、接合部品と非常に容易に(密封)係合させることができ、焙煎位置における開口部と接合部品との間の相対移動は特に必要ない。
【0017】
豆排出位置において、チャンバは、チャンバから開口部を通して、コーヒー豆を重力により排出するように構成され得る。したがって、チャンバからコーヒー豆を排出するために、追加の手段は必要ない、又は少なくとも追加の手段のより少ないエネルギーを必要とする。したがって、豆排出位置において、開口部は、好ましくは下方に向けられる(すなわち、傾けられる、特に、豆受入位置よりも更に傾けられる)。
【0018】
豆受入位置において、チャンバは、重力により開口部を通してチャンバ内にコーヒー豆を受け入れるように構成され得る。したがって、装置のユーザは、開口部の上方からチャンバにコーヒー豆を容易に充填することができる。したがって、チャンバへのコーヒー豆の非常に簡便な充填がもたらされる。したがって、豆受入位置において、開口部は、好ましくは上方に向けられる(すなわち傾けられる)。
【0019】
豆排出位置において、デバイスは、チャンバから開口部を通してコーヒー豆を排出するために、空気流を提供するように構成され得る。したがって、空気流は、特に、重力によるコーヒー豆の排出を支援する。デバイスにより発生する空気流は、焙煎位置においてコーヒー豆を焙煎するための空気流と同じであり得る。しかしながら、空気流はまた、コーヒー豆を排出するための専用の空気流などの、異なる空気流であってもよい。したがって、コーヒー豆を排出するための専用の空気流は、コーヒー豆を焙煎する/かき混ぜるための空気流よりも弱くて(すなわち、少ないエネルギーを有して)もよい。
【0020】
装置は、少なくともチャンバ及び好ましくはデバイスも収容するためのハウジング(すなわち外側ケーシング)を更に備え得る。ハウジングは特に、チャンバの場合によっては高温の部分にユーザが触れることを阻止するための保護を提供する。更に、ハウジングにより、可動チャンバが装置のユーザに見えないようにすることができ、それにより、装置の向上した設計が提供される。
【0021】
ハウジングは、豆受入開口部及び豆排出開口部を備えることができ、豆受入開口部及び豆排出開口部は、チャンバの開口部が豆受入開口部又は豆排出開口部と選択的に位置合わせされ得るように配置されている。したがって、ハウジングは、ハウジングを介した、すなわち、豆受入開口部及び排出開口部を介したチャンバへのコーヒー豆の充填及びチャンバからのコーヒー豆の排出を容易にする。したがって、ハウジングにより、装置のユーザが、豆受入開口部及び豆排出開口部のみを介してチャンバにアクセス可能になり得る。したがって、装置の設計の向上及び安全性の向上が実現される。
【0022】
デバイスは、チャンバ内に受け入れられたコーヒー豆をかき混ぜるために空気流を発生させるように構成され得る。換言すると、デバイスは、チャンバ内に流動床を発生させるように構成され得、この流動床は、かき混ぜられているコーヒー豆を含む。特に、チャンバの焙煎位置においてコーヒー豆をかき混ぜることは、コーヒー豆を焙煎するのに有利である。
【0023】
装置は、家電機器装置(すなわち家電機器デバイス)であり得る。したがって、装置は、家庭の台所で使用されるような設計を有してもよく、例えば、コーヒー粉砕機及び/又は飲料調製マシンの隣に構成されてもよい及び/又はそれらに一体化されてもよい。例えば、装置は、家庭内での解決策であり、特に、コーヒー豆の新鮮な及び/又は個別化された焙煎を可能にする。よって、この装置を用いて、家庭での(コーヒー)焙煎の解決策が提供され得る。
【0024】
本発明の更なる態様によれば、チャンバ内でコーヒー豆を焙煎する方法が提供される。チャンバは、焙煎のためにコーヒー豆を受け入れるために提供され、チャンバは開口部を備える。本方法は、移動軸線に対して、チャンバを豆受入位置に配置するステップと、チャンバの豆受入位置において、開口部を通してチャンバ内にコーヒー豆を受け入れるステップと、移動軸線に対して、チャンバを焙煎位置に移動させるステップと、焙煎位置において、チャンバ内に受け入れられたコーヒー豆を焙煎するステップと、移動軸線に対して、チャンバを豆排出位置に移動させるステップと、豆排出位置において、チャンバから開口部を通してコーヒー豆を排出するステップとを含む。
【0025】
装置に関する利点及び説明は、方法にも同様に適用される。
【0026】
本方法は、チャンバを豆受入位置に配置するために、チャンバを、移動軸線に対して、豆受入位置に移動させるステップを更に含み得る。
【0027】
以下では、本発明が、以下の付属の図を参照して例示的に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】装置のチャンバが焙煎位置にある、本発明の第1の好ましい実施形態による装置の概略斜視図を示す。
図2】チャンバが豆受入位置にある、第1の好ましい実施形態による装置の概略斜視図を示す。
図3】チャンバが豆排出位置にある、第1の好ましい実施形態による装置の概略斜視図を示す。
図4】装置のチャンバが焙煎位置にある、本発明の第2の好ましい実施形態による装置の概略斜視図を示す。
図5】開口部を接合部品から係合解除するためにチャンバの開口部が静止した接合部品に対して移動した、焙煎位置にある第2の好ましい実施形態による装置の概略斜視図を示す。
図6】チャンバが豆受入位置にある、第2の好ましい実施形態による装置の概略斜視図を示す。
図7】チャンバが豆排出位置にある、第2の好ましい実施形態による装置の概略斜視図を示す。
図8】装置のチャンバが焙煎位置にある、本発明の第3の好ましい実施形態による装置の概略斜視図を示す。
図9】開口部を接合部品から係合解除するために接合部品がチャンバの静止した開口部に対して移動した、焙煎位置にある第3の好ましい実施形態による装置の概略斜視図を示す。
図10】チャンバが豆受入位置にある、第3の好ましい実施形態による装置の概略斜視図を示す。
図11】チャンバが豆排出位置にある、第3の好ましい実施形態による装置の概略斜視図を示す。
図12】装置が任意のハウジングを備える、本発明の第4の好ましい実施形態による装置の概略斜視図を示す。
図13】チャンバが豆受入位置にある、第4の実施形態による装置の概略斜視図を示す。
図14】任意選択的につまみとして設けられたユーザインタフェースが操作されている、第4の実施形態による装置の概略斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1図3では、装置1の第1の好ましい実施形態が例示的に示されている。装置1は、コーヒー豆を焙煎するように構成されている。より具体的には、装置1は、例えば、生コーヒー豆及び/又は乾燥コーヒー豆の形態のコーヒー生豆を焙煎コーヒー豆に変化させるように構成されている。より具体的には、コーヒー豆の焙煎は、コーヒー生豆の化学的及び物理的特性を変化させ、焙煎コーヒー豆の特徴的な風味、ひいては、その焙煎されたコーヒー豆から調製されたコーヒー飲料の特徴的な風味を生成する。すなわち、コーヒー豆の焙煎により、例えばメイラード反応及び他の化学反応による、焙煎コーヒー豆の特定の味がもたらされる。したがって、コーヒー豆を焙煎するプロセスは、コーヒーの粉砕及び/又はコーヒーの淹出、例えばコーヒー抽出などの、コーヒー飲料を調製するために必要な他のプロセスに先行する。
【0030】
装置1は、このような焙煎コーヒー豆のチャフを収集するように構成され得る。すなわち、コーヒー生豆は、典型的には、特に最初にコーヒーの木から収穫されたときに、(緑色の及び/又は乾燥した)皮を有する。チャフはまた、コーヒー豆の殻とも称され得る。コーヒー豆の焙煎中、この皮はコーヒー豆から剥がれ落ち、したがってチャフとして残る。すなわち、具体的には焙煎時の高温により、追加の作業を必要とせずに、チャフがコーヒー豆から容易に除去されることが可能になる。例えば、消費者は粉砕機及び/又は飲料調製マシンの内部、ひいてはコーヒー飲料の内部にチャフがあることを望まないため、このような焙煎コーヒー豆のこのチャフが焙煎コーヒー豆とともに残らないことが望ましく、それにより、チャフが焙煎コーヒー豆である最終製品とともに残ることがないように、チャフは装置1によって収集され得る。
【0031】
装置1は、小規模コーヒー焙煎(すなわち、現場でのコーヒー焙煎)に構成され得、したがって、具体的には大規模(工業用)焙煎装置又は機械ではない。したがって、装置1は、企業・企業間(例えば、コーヒーショップ)、又は企業・顧客間、及び/又は典型的にはコーヒー飲料の消費者である顧客の側での使用に特に好適である。したがって、装置1は、好ましくは家電装置である。このように、装置1は、家庭又はキッチンにおいて、特に卓上で、例えば、コーヒーグラインダ及び/若しくは飲料調製マシンの隣で、又はそれらに(機能的に)一体化されて使用され得る。したがって、装置1は、1人で、具体的には専用の輸送機構を必要とせずに運ぶことができるサイズ及び重量を有することが好ましい。
【0032】
装置1は、コーヒー豆を焙煎のために受け入れられるチャンバ10を備える。チャンバ10は、任意選択的に、着脱自在に構成されている。チャンバ10は、タンク又は容器として設計されてもよい。チャンバ10は、側壁12によって画定され得、側壁12は、チャンバ10を同じく画定する底部11から延び得る。したがって、コーヒー豆がチャンバ10内に受け入れられているとき、コーヒー豆は、底部11上で好ましくは支持され、少なくとも部分的に側壁12と接触している。チャンバ10は、コーヒー豆を焙煎するために、特に熱及び/又は加熱空気がコーヒー(生)豆と接触することができる設計を有する。例えば、底部11及び/又は側壁12は、比較的高い熱伝導率を有する材料、例えば金属を含む材料又は金属からなる材料で作製されている。底部11及び/又は側壁12は、1つ以上の穴(すなわち通気口)を備えてもよく、これは、(加熱及び/又は冷却のための)熱及び/又は空気流がチャンバ10内へと流入し、適宜、コーヒー豆を処理することを容易にする。側壁12は、チャンバ10の内部を換気するための通気口を備えてもよい。通気口は、側壁12に沿って均一に分布してもよい。
【0033】
チャンバ10は、チャンバ10にアクセスするための開口部13を備える。このようにして、開口部13を介して、コーヒー豆を、少なくともチャンバ10から取り出すことができる。開口部13はまた、コーヒー豆をチャンバ10内へと挿入できることを容易にする。すなわち、チャンバ10に、開口部13を通してコーヒー豆を充填することができる。開口部13は、チャンバ10からコーヒー豆を取り出すための、及び更に、コーヒー豆をチャンバ10内へと挿入するためのアクセス方向を画定することが好ましい。開口部13は、特定の形態に限定されない。開口部13は、好ましくは、側壁12により、例えば側壁12の遠位端により画定される。したがって、開口部13は、底部11の反対側に構成され得る。例えば、開口部13は、平面内に延びていてもよい。開口部13は、底部11に対応する形態を有してもよく、及び/又は丸い(円形、楕円形など)形態を有してもよいが、異なる形態、例えば多角形、長方形、又は正方形の形態も有し得る。チャンバ10は、特定の形態に限定されない。例えば、チャンバ10は、対称な形態又は非対称な形態を有する。図に示されるように、チャンバ10は、少なくとも部分的にシリンダの形態を有してもよい。
【0034】
装置1は、少なくともチャンバ10を収容するためのハウジング20を更に備え得る。ハウジング20は、チャンバ10を少なくとも部分的に覆っていてもよい。ハウジング20は、装置1の頂面図及び/又は装置1の1つ以上の側面図で見たときに、チャンバ10を覆い得る。ハウジング20は、特に、チャンバ10へのアクセスが提供されるように、前面及び/又は1つ以上の側面などのハウジング20の特定の部分においてチャンバ10を覆っていなくてもよい。例えば、ハウジング20は、基部(底部)21及び頂部22を有し、チャンバ10は、開口部13がハウジング20の頂部22に配置されるように構成され得る。基部21は、装置1が(動作位置において)適切に動作することができるように、装置1を位置決めする及び/又は取り付けるように構成され得る。したがって、基部21は、例えば、卓上又は同様の場所に配置されるように構成され得る。ハウジング20は、側壁23を備え得る。側壁23は、底部21から頂部22まで延び、チャンバ10を好ましくは部分的に取り囲む。ハウジング20は、特定の形状に限定されない。ハウジング20は、非対称形状又は対称形状を有し得る。例えば、ハウジング20は、実質的に箱、直方体、円筒、又は(切頭)円錐の形状を有する。
【0035】
装置1は、チャンバ10の内部で空気流を発生させるためのデバイスを更に備える(図示せず、例えば、ファンを備える)。この空気流は、チャンバ10内に受け入れられたコーヒー豆を焙煎するために使用され得る。例えば、装置1又はデバイスは、(新鮮な)空気を加熱するヒータ(加熱ユニット)を更に備えてもよく、デバイスは、この加熱された空気をチャンバ10内に移送する。したがって、(熱い)空気流がコーヒー豆と接触して、コーヒー豆を焙煎する。空気流はまた、特にコーヒー豆の焙煎を改善するために、チャンバ10内部のコーヒー豆が撹拌される又は移動されるようなものであり得る。追加的に又は代替的に、デバイスにより発生する空気流は、チャンバ10内に受け入れられた(既に焙煎された)コーヒー豆を冷却するために使用されてもよい。例えば、コーヒー豆を冷却するために、空気流は(ヒータにより)加熱されずに、周囲空気などの(新鮮な)空気を移送するだけであってもよい。したがって、冷却のための空気流を供給するためには、デバイスは単に起動状態のままであってもよいが、ヒータは単に非起動状態に置かれる、すなわちオフにされる。
【0036】
装置1はまた、制御ユニットを備え得る。制御ユニットは、例えば既定の焙煎及び/又は温度プロフィルを含む、例えば事前にプログラムされたプログラムに従って、コーヒー豆の焙煎を、適宜、制御するように構成されてもよい。制御ユニットは、デバイス及び/又はヒータが、チャンバ10により受け入れられたコーヒー豆を、適宜、焙煎及び/又は冷却するように、デバイス及び/又はヒータに機能的に接続され得る。
【0037】
装置1は、制御ユニットに好ましくは機能的に接続されたユーザインタフェース30を備えてもよい。ユーザインタフェース30は、装置1のユーザが、特にコーヒー豆を焙煎するため、及び/又はコーヒー豆の焙煎を終了させるために、装置1を適宜制御することができることを容易にする。ユーザインタフェース30は、装置1を制御するための1つ以上の(例えば、4つだけの)制御要素31を、例えば、1つ以上のボタン又は他のタッチ感知要素(タッチスクリーンなど)の形態で備え得る。例えば、1つ以上の制御要素31は、焙煎プロセスを開始するための要素、及び焙煎プロセスを停止又は終了させるための要素を備える。制御要素31はまた、装置1の電源をオンにする(及びオフにする)ための制御要素(例えば、オン/オフ制御要素)をも備え得る。焙煎プロセスの停止はまた、制御ユニットによって、例えば所定の(焙煎)時間が経過した後に、自動的に実行され得る。ユーザインタフェース30は、好ましくは、装置1の前面、すなわち装置1のユーザ側に構成されている。デバイス、制御ユニット、及び/又はユーザインタフェース30は、ハウジング20内又はハウジング20上に設けられ得る。図1図3に示されるように、ユーザインタフェース30は、ハウジング20に、特に、ハウジング20の前面に配置され得る。ユーザインタフェース30は、チャンバ10に対して側方に配置され得る。
【0038】
装置1は、例えば、電源プラグの形態の電源インレットを更に備え得る。電源インレットを介して、電気エネルギー(電圧及び/又は電流)などのエネルギーを必要とする装置1の部品、具体的には、デバイス、制御ユニット、及び/又はユーザインタフェース30に、エネルギーを供給することができる。電源プラグは、装置1の後面、及び/又はハウジング20に設けられ得る。
【0039】
装置1は、チャンバ10により焙煎されたコーヒー豆のチャフを収集するためのチャフコレクタ50を更に備え得る。チャフコレクタ50は、チャフを収集し、チャンバ10に戻ることを防止する区画を備え得る。例えば、チャフコレクタ50は、チャフがチャフコレクタ50によって収集されるように、チャフの一方向の流れのみを可能にする入口を備え得る。これにより、入口は、区画内へのチャフ50の流れを可能にする一方で、区画51から出る、具体的にはチャンバ10に向かうチャフの流れを防止する。チャフコレクタ50によりチャフを特に良好に収集するために、チャフコレクタ50及び(空気流生成)デバイスは、適宜、互いに配置され得る。例えば、デバイスは、(以下に示す、焙煎位置において)チャフがチャフコレクタ50により収集されるように、デバイスにより発生する空気流がコーヒー豆のチャフをチャフコレクタ50に向けて押し出すように構成され得る。チャフコレクタ50は、収集されたチャフを捨てるため、又は別の手法で使用するために、チャフコレクタ50を、又は存在する場合は区画を、選択的に開けるように設計され得る。チャフコレクタ50は、取り外し可能に構成され得て、例えばチャフを容易に捨てるためにチャフコレクタ50を装置1から取り外すことができる。例えば、チャフコレクタ50は、例えば、適宜設計されたジョイントにより、ハウジング20(例えば、ハウジング20の頂面又は後面)に着脱自在に取り付けられている。チャフコレクタ50は、装置1の頂部を形成してもよい、及び/又はハウジング20の頂部22に配置されている。
【0040】
図1図3に示されるように、チャンバ10、したがって開口部13、及び好ましくはまた側壁12は、(特定の)移動軸線に対して移動可能である。したがって、チャンバ10を移動軸線に対して移動させることにより、チャンバは、図1図3にそれぞれに示される少なくとも3つの様々な位置に移動させることができる。より具体的には、これらの様々な位置は、この好ましい実施形態においては、焙煎位置(図1)、豆受入位置(図2)、及び豆排出位置(図3)を含む、又は焙煎位置(図1)、豆受入位置(図2)、及び豆排出位置(図3)からなる。他の実施形態では、チャンバ10はまた、焙煎位置及び豆排出位置である2つの様々な位置のみに移動可能であってもよい。このような別の実施形態においては、コーヒー豆の受け入れは焙煎位置で行われてもよい。例えば、装置1は、蓋又はカバーを備え得る。蓋又はカバーは、装置1が焙煎位置にあるときに、開口部13を選択的に覆う(閉じる)又は露出させる(開く)ことができ、開口部13の露出した状態において、開口部13を通してチャンバ10内に豆を受け入れることができる。その後、開口部13が蓋により覆われると、焙煎が行われる。特に明記されない限り、この実施形態によれば少なくとも3つの様々な位置に移動可能なチャンバ10を備える好ましい実施形態に関する以下の説明は、2つの様々な位置のみを含む実施形態にも同様に適用される。
【0041】
移動軸線は、好ましくは、装置1に対して固定された移動軸線である。すなわち、移動軸線は、移動軸線がハウジング20及び/又は基部(すなわち底部)21などの装置1の特定の部分に対して移動することができないように設けられることが好ましい。図1図3に示されるように、移動軸線は水平に延び得る。移動軸線は、ハウジング20の少なくとも一部に対して垂直に、例えば、ハウジング20の側方部分、例えばハウジング20の側壁23に対して垂直に延び得る。ハウジング20の側方部分は、垂直面内、例えば、垂直平面内に延び得る。他の実施形態では、移動軸線もまた垂直に延び得る。
【0042】
移動可能に構成されたチャンバ10により、移動軸線に対する1つのタイプの移動(例えば、回転又は直線)のみによって、チャンバ10が少なくとも3つの様々な位置に移動することができることを容易にする。図1図3に示されるように、このタイプの移動は回転移動であり得る。したがって、移動軸線は、回転移動軸線であり得る。したがって、チャンバ10は、少なくとも3つの様々な位置に回転自在に移動可能であることが好ましい。したがって、装置1のユーザは、チャンバ10を(回転)移動軸線の周りで回転可能に移動させることにより、チャンバ10を少なくとも3つの様々な位置のそれぞれに移動させることができる。他の実施形態では、チャンバ10はまた、少なくとも3つの様々な位置に直線的に移動可能であってもよい。
【0043】
移動軸線を提供するために、装置1は、1つ以上のリンク(ジョイント)要素60を備え得る。したがって、1つ以上のリンク要素60は、移動軸線により提供される自由度、すなわち移動のタイプを提供する。したがって、1つ以上のリンク要素60は、回転タイプの移動(のみ)を生じさせることができる。1つ以上のリンク要素60は、チャンバ10の側壁12(の外側)などのチャンバ10とハウジング20などの装置1の固定部分とを接続することができ、そのため、チャンバ10は、少なくとも3つの様々な位置に移動するために、1つ以上のリンク要素60を介して、特に装置1の上記固定部分に対して移動可能に配置される。1つ以上のリンク要素60は、チャンバ10の1つのセクション、例えば、側壁12及び/又は底部11にのみ接続され得る。1つ以上のリンク要素60はまた、チャンバ10の2つの直径方向に対向するセクション、例えば側壁12などの、チャンバ10の1つより多いセクションに接続され得る。
【0044】
少なくとも3つの様々な位置、すなわち、焙煎位置、豆受入位置、及び豆排出位置は、3つの専用位置、すなわち、装置1により画定される位置である。チャンバが少なくとも3つの様々な位置のそれぞれにあるとき、装置1は、チャンバを停止する又は止めるように構成され得る。例えば、装置1は、チャンバ10を少なくとも3つの様々な位置の1つ以上に停止させるために、好ましくはハウジング20に配置された又はハウジング20と一体形成された1つ以上の停止要素を備え得る。例えば、停止要素の1つは、チャンバ10が焙煎位置(図1を参照)にあるときに、チャンバ10が停止し、移動軸線に対して1つの方向にのみ、例えば、豆受入位置及び豆排出位置に向けて移動することができるように構成され得る。焙煎位置を画定するこの停止要素は、ハウジング20の頂部22に配置され得、例えば、頂部22と一体形成され得る。追加的に又は代替的に、停止要素の(更なる)1つは、チャンバ10が豆排出位置(図3を参照)にあるときに、チャンバ10が停止し、移動軸線に対して1つの方向にのみ、例えば、豆受入位置及び焙煎位置に向けて移動することができるように構成され得る。豆排出位置を画定するこの停止要素は、ハウジング20の底部21に配置され得、例えば、底部21と一体形成され得る。
【0045】
装置1は、チャンバ10を少なくとも3つの様々な位置の1つ以上において止めるために1つ以上の制動要素を備え得る。1つ以上の制動要素のそれぞれは、チャンバ10を適宜移動させるための力(例えば、操作力)が既定の閾値を下回ると、移動軸線に対する特定の方向のチャンバ10の移動を停止するように構成され得る。チャンバ10を適宜移動させるためのこの力が既定の閾値になると又は既定の閾値を上回ると、1つ以上の制動要素は、上記特定の方向におけるチャンバの移動を可能にするように構成され得る。装置1は、チャンバ10が豆受入位置にあるときにチャンバ10を止めるように構成され得る。したがって、装置1は、豆受入位置に対して1つ以上の制動要素を備え得る。より具体的には、チャンバ10が、上記閾値を下回る特定の力により、焙煎位置又は豆排出位置を出て豆受入位置に向けて移動するとき、1つ以上の制動要素は、チャンバ10が豆受入位置で停止するように、チャンバ10を止めることができる。したがって、チャンバ10を適宜移動させるためのこの力が既定の閾値になると又は既定の閾値を上回ると、1つ以上の制動要素は、豆受入位置から出て、例えば、焙煎位置又は豆排出位置に向かうチャンバ10の移動を可能にする。1つ以上の制動要素は、ハウジング20に配置され得る、及び/又は1つ以上のリンク要素60を備え得る。
【0046】
図1は、チャンバ10の焙煎位置を例示的に示す。焙煎位置において、(コーヒー豆を焙煎するための)デバイスは、チャンバ10内に受け入れられたコーヒー豆を焙煎するように構成されている。したがって、デバイスは、焙煎位置において、チャンバ10内に受け入れられたコーヒー豆を焙煎し、好ましくはかき混ぜるために、(加熱された)空気流を提供する。したがって、焙煎位置において、チャンバ10の開口部13は、好ましくは閉じており、それにより、特に、接合部品70及び/若しくはチャフコレクタ50などの装置1の頂部部分に向かって流れを向け直す、並びに/又は(熱い)空気及び/若しくはコーヒー焙煎の他の副生成物(煙、汚れ、コーヒーチャフなど)がチャンバ10から装置1の外に逃げ得ることを回避する。存在する場合、チャフコレクタ50は、焙煎位置において、コーヒーチャフ、及び好ましくはコーヒー豆の焙煎から生じた他の副生成物も収集し得る。焙煎位置において、チャンバ10、例えば、チャンバ10の(対称)軸線は、垂直方向に延び得る、及び/又は開口部13のアクセス方向は垂直方向に延び得る。
【0047】
装置1は、焙煎位置において、開口部13を覆い、開口部13と好ましくは係合するための接合部品70を備え得る。したがって、焙煎位置において、接合部品70は、コーヒー豆を焙煎するために、チャンバ10を閉じて、好ましくは密封する。接合部品70は、ハウジング20の頂部22に好ましくは配置されている。図1図3に示されるように、接合部品70は、ハウジング20と一体形成され得る。チャンバ10を密封するために、接合部品70は密封要素を備え得る。焙煎位置において、開口部13を画定する側壁12の遠位端は、密封要素などの接合部品70と係合し得る及び/又は密封要素などの接合部品70に押圧され得る。接合部品70は、チャフコレクタ50を備え得る、及び/又は頂部22は、例えば互いに一体形成されたチャフコレクタ50及び接合部品70の両方を備え得る。接合部品70は、同時に、焙煎位置を画定する停止要素でもあり得る。
【0048】
図2は、豆受入位置にあるチャンバ10を例示的に示す。この位置において、チャンバ10は、焙煎位置(図1を参照)における後の焙煎のために、開口部13を通してコーヒー豆を受け入れるように構成されている。したがって、図2に例示的に示される豆受入位置は、好ましくは、コーヒー焙煎プロセスの開始位置である。したがって、豆受入位置において、コーヒー豆を焙煎するためのデバイスは、好ましくは作動停止される。豆受入位置において、チャンバ10は、開口部13を通してチャンバ10内にコーヒー豆を重力により受け入れるように構成されていることが好ましい。したがって、コーヒー豆は、重力を使用することにより、開口部13を通してチャンバ10に簡便に充填することができる。したがって、装置1のユーザは、開口部13の上方からチャンバ10にコーヒー豆を充填することができる。図2に示されるように、豆受入位置において、開口部13は、好ましくは上方に向けられている。したがって、豆受入位置において、開口部13は、装置のユーザが容易にアクセス可能である。豆受入位置において、チャンバ10、例えばチャンバ10の(対称)軸線は、好ましくは垂直方向に対して斜めである。換言すると、開口部13により画定されるアクセス方向は、好ましくは垂直に対して斜めである。この軸線(又はアクセス方向)と垂直方向との間の角度は、好ましくは、90°未満、例えば、約45°である。豆受入位置において、開口部13は、部分的に覆われ得る、すなわち半開放であり得る。例えば、豆受入位置において、ハウジング20(例えば、頂部22)などの装置1の部分は、開口部13を部分的に覆っている。装置1の頂面図などの特定の方向に沿って、すなわち垂直方向に沿って見た場合、開口部13は、例えば、ハウジング20、好ましくは頂部22によって部分的に覆われ得る。
【0049】
概して、開口部13は、チャンバ10が(例えば、図2に示される豆受入位置から)焙煎位置(図1に示される)に移動すると、焙煎位置において、開口部13が接合部品70に向かって移動し、接合部品70と係合する(これは好ましくは密封係合である)ように構成され得る。開口部13のこのような配置は、図2及び図3に見ることができる。図2に示されるように、開口部13のこのような配置は、側壁12の遠位端を傾斜させることによって提供され得る。したがって、側壁12の傾斜した遠位端により、開口部13は、側壁12に対して斜めに延びる。すなわち、側壁12の傾斜は、側壁12に対して垂直ではなく斜めであり開口部13を備える平面を画定する。したがって、チャンバ10を(例えば、豆受入位置から)焙煎位置に移動させることにより、開口部13は接合部品70に向かって移動し、その後、焙煎位置において、斜めに延びる開口部13により接合部品70と(密封)係合する。その後、開口部13、すなわち側壁12の傾斜した遠位端は、接合部品70に好ましくは係合及び/又は押圧され、接合部品70との(密封)係合がもたらされる。接合部品70は、少なくとも部分的に、それぞれ開口部13及び側壁12の遠位端に対応的に又は相補的に延び得る。したがって、図2及び図3に示されるように、接合部品70は、少なくとも部分的に斜めに延び得る。
【0050】
図3は、豆排出位置のチャンバ10を例示的に示す。豆排出位置において、チャンバ10は、チャンバ10から開口部13を通してコーヒー豆を排出することができるように配置されている。図3に示されるように、豆排出位置において、チャンバ10は、チャンバ10から開口部13を通してコーヒー豆を重力により排出するように配置され得る。したがって、豆排出位置において、開口部13は、好ましくは、下方に向けられるように配置されている。豆排出位置において、例えば焙煎コーヒー豆を更なる処理のために受け入れるための容器又は任意の他の収容要素が少なくとも部分的に開口部13の下に配置され得る。したがって、(焙煎された)コーヒー豆は、重力を使用することにより、チャンバ10から開口部13を通して容器/収容要素に容易に排出することができる。豆排出位置において、チャンバ10、例えばチャンバ10の(対称)軸線は、垂直方向に対して斜めに延び得る。換言すると、開口部13によって画定されるアクセス方向は、垂直方向に対して斜めに延び得る。チャンバ10(例えばその(対称)軸線)又は開口部13のアクセス方向と垂直方向との間の角度は、90°超、例えば120°~160°の範囲、例えば135°であり得る。したがって、豆排出位置において、開口部13は完全に開放されている。したがって、チャンバ10から排出されるコーヒー豆は、開口部13の全範囲を通して排出され得る。
【0051】
豆排出位置において、チャンバ10からのコーヒー豆の排出は、重力のみを使用することにより行うことができ、そのため、チャンバ10からコーヒー豆を取り出すための任意の追加の手段又はエネルギーは必要ない。しかしながら、豆排出位置においては、空気流を提供して、チャンバ10から開口部13を通してコーヒー豆を排出するために、(コーヒー豆を焙煎するための)デバイスも作動され得る。したがって、デバイスにより発生した空気流は、重力を使用することによるコーヒー豆の排出を支援することができる。デバイスは、コーヒー豆を排出するために空気流を提供することができ、この空気流は、チャンバ内に受け入れられたコーヒー豆を焙煎するための空気流よりも弱い。換言すると、コーヒー豆を排出するためにデバイスにより発生する空気流は、穏やかな空気流であり得る。この空気流はコーヒー豆を排出するためにだけ使用されるため、豆排出位置において、デバイスは、この空気流を加熱しないように構成され得る。
【0052】
図1図3に示される好ましい実施形態では、チャンバ10は、少なくとも3つの様々な位置のそれぞれ、すなわち、焙煎位置、豆受入位置、及び豆排出位置に手動で移動するように構成されている。図1図3に示されるように、装置1は、チャンバ10を少なくとも3つの様々な位置のそれぞれに手動で移動させるための制御要素31の1つ以上などの、ユーザインタフェース32及び/又はユーザインタフェース30を備え得る。ユーザインタフェース32は、ハンドル(レバー)であってもよい。ハンドルは、ユーザの手で把持されるように設計され得る。ハンドルは、長手方向に延び得る。図1に示されるようなチャンバ10の焙煎位置において、好ましくはハンドルとして形成されるユーザインタフェース32は、垂直方向に(長手方向に)延び得る。図2に示されるようなチャンバ10の豆受入位置において、ユーザインタフェース32/ハンドルは、垂直方向に対して斜めに延び得る。図3に示されるようなチャンバ10の豆排出位置において、ユーザインタフェース32/ハンドルは、垂直方向に対して斜めに又は実質的に水平方向に延び得る。したがって、ユーザインタフェース32を(所定の角度に対して)回転させることにより、チャンバ10を少なくとも3つの様々な位置に移動させることができる。ユーザインタフェース32は、ハウジング20の側面、例えば側壁23上など、ハウジング20上に配置され得る。ユーザインタフェース32は、例えば1つ以上のリンク要素60を介したチャンバ10の手動での移動のために、チャンバ10に直接接続され得る。
【0053】
しかしながら、チャンバ10は、少なくとも3つの様々な位置のそれぞれに手動でのみ移動するように構成されることに限定されない。追加的に又は代替的に、チャンバ10はまた、少なくとも3つの様々な位置のそれぞれに自動的に移動するように構成されてもよい。チャンバ10のそのような自動的な移動のために、(電気)駆動ユニット(図示せず)が設けられ得る。駆動ユニットは、制御ユニットと移動可能なチャンバ10とに機能的に接続され得る。したがって、制御ユニットは、駆動ユニットを、例えば、焙煎プロセスに基づいて、例えば、焙煎プロセスの特定のパラメータ(例えば、焙煎プロセスの終了及び/又はチャンバ10内における(乾燥)コーヒー豆の存在)に基づいて制御し、チャンバ10を少なくとも3つの様々な位置のうちの所望の1つに自動的に移動させることができる。
【0054】
チャンバ10が少なくとも3つの様々な位置のそれぞれに移動する間、コーヒー豆を焙煎するためのデバイスは、静止したままであり得る、又はチャンバ10とともに移動し得る。例えば、デバイスは、チャンバ10の移動中に静止したままであるように、ハウジング20内に収容され得る。デバイスがチャンバ10とともに移動するように構成されている場合、デバイスとチャンバ10は、共通の収容部内に一緒に収容され得る。デバイスは、チャンバ10の底部11に又はチャンバ10の底部11の下に配置(又は収容)され得る。コーヒー豆を焙煎するためのデバイスを、デバイスがチャンバ10とともに移動するように設けることにより、デバイスとチャンバ10の共通の重心が移動軸線に対してずれることになり得る。この、共通の重心をずらして設けること、すなわち、このようにしてもたらされるねじれ移動は、チャンバ10を様々な位置の1つ以上に、例えば焙煎位置及び/若しくは豆排出位置により容易に移動させるために、並びに/又はチャンバ10が様々な位置の1つ以上、例えば、焙煎位置及び/若しくは豆排出位置に留まるようにするために使用され得る。
【0055】
図4図7は、装置1の第2の好ましい実施形態を示す。装置1の第2の実施形態は、以下で特に指示のない限り、実質的に第1の好ましい実施形態に対応する。したがって、装置1の第1の実施形態に関する説明は、装置1の第2の好ましい実施形態にも同様に適用される。同じ参照符号は同じ特徴に対応する。装置1の第2の好ましい実施形態は、特に、チャンバ10が焙煎位置にあるときに接合部品70と開口部13とが互いに相対的に移動可能であるという点で、装置1の第1の好ましい実施形態と異なる。これは、図5に例示的に示される。焙煎位置において接合部品70と開口部13とを互いに対して移動させることにより、開口部13と接合部品70は互いに係合することができ、この係合は好ましくは密封係合である。前述のように、チャンバ10の焙煎位置における開口部13と接合部品70とのこの係合は、(熱い)空気及び/又はコーヒー焙煎の他の副生成物(汚れ、煙、コーヒーチャフなど)が開口部13を通してチャンバ10から逃げることを阻止するため、有利である。
【0056】
図5に示されるように、チャンバ10が焙煎位置にあるときに、接合部品70と開口部13との間の相対移動が、静止した接合部品70に対して移動可能な開口部13によって提供され得る。したがって、例えばその遠位端で開口部13を画定する側壁12は、焙煎位置において、接合部品70に対して移動可能な開口部13を提供するために、移動可能であるように設けられ得る。したがって、装置1は、チャンバ10を少なくとも3つの様々な位置に移動させるための(第1の)移動軸線以外に、開口部13又は側壁12を接合部品70に対して移動させるための更なる(第2の)移動軸線を有し得る。開口部13と接合部品70との間の相対移動は直線移動であり得るため、更なる移動軸線は直線移動軸線であり得る。チャンバ10が焙煎位置にあるとき、更なる移動軸線は垂直方向に延び得る。したがって、開口部13、特に側壁12は、チャンバ10の1つ以上の部分に対して、例えばチャンバ10の底部11に対して相対的に移動可能であり得る。
【0057】
したがって、図5に示されるように、開口部13は、接合部品70から離れることにより、接合部品70から分離又は係合解除され得、それにより、(例えば、チャンバ10から空気を逃がすために)開口部13を開放する(すなわち露出させる)。したがって、開口部13のこの移動は、(直線の)下向きの移動であり得る。同様に、開口部13は、接合部品70に向けて移動することによって、接合部品70と接続又は係合し得、それにより、(例えば、少なくとも空気がチャンバ10から逃げることを防止するために)開口部13を接合部品70で閉じる(すなわち覆う)。したがって、開口部13のこの移動は、(直線の)上向きの移動であり得る。
【0058】
チャンバ10が焙煎位置(図4及び図5を参照)から豆受入位置(図6を参照)又は豆排出位置(図7を参照)に移動する前に、開口部13と接合部品70は、互いに係合解除するために、互いに対して移動し得る。ユーザインタフェース32は、チャンバ10を移動軸線に対して移動させること、及び開口部13と接合部品70を互いに対して(更なる移動軸線に対して)移動させることの両方のために配置され得る。したがって、ユーザインタフェース32は、(チャンバ10の)回転移動と(互いに対して移動する開口部13と接合部品70の)直線移動の両方を組み合わせるように構成され得る。例えば、ユーザインタフェース32は、チャンバ10を焙煎位置から(例えば、豆排出位置又は豆受入位置に)移動させるためにユーザインタフェース32を操作すると、開口部13と接合部品70が、最初に、互いに対して移動し(それにより、接合部品70から開口部13を係合解除する)、その後、開口部13と接合部品70のこの相対移動に続いて、チャンバ10が焙煎位置から例えば豆受入位置又は豆排出位置に移動するように構成され得る。
【0059】
図8図11は、装置1の第3の好ましい実施形態を示す。装置1の第3の実施形態は、以下で特に指示のない限り、実質的に第1及び第2の好ましい実施形態にそれぞれ対応する。したがって、装置1の第1及び第2の実施形態に関する説明は、装置1の第3の好ましい実施形態にも同様に適用される。同じ参照符号は同じ特徴に対応する。装置1の第3の好ましい実施形態は、特に、チャンバ10が焙煎位置にあるときに、接合部品70と開口部13との間の相対移動が静止した開口部13に対して移動可能な接合部品70によって提供されるという点で、装置1の第2の好ましい実施形態と異なる。したがって、前述の更なる(第2の)移動軸線は、開口部13と接合部品70とを互いに対して移動させるために移動自在に配置された接合部品70によって画定される。したがって、接合部品70は、装置1の1つ以上の部分に対して、例えば、ハウジング20、特に頂部22に対して相対的に移動可能であり得る。
【0060】
したがって、図9に示されるように、チャンバ10の焙煎位置において、接合部品70は、開口部13から離れることにより、開口部13から分離又は係合解除され得、それにより、(例えば、チャンバ10から空気を逃がすために)開口部13を開放する(すなわち露出させる)。したがって、接合部品70のこの移動は、(直線の)上向きの移動であり得る。同様に、焙煎位置において、接合部品70は、開口部13に向けて移動することによって、開口部13と接続又は係合し得、それにより、(例えば、空気がチャンバ10から逃げることを防止するために)開口部13を接合部品70で閉じる(すなわち覆う)。したがって、接合部品70のこの移動は、(直線の)下向きの移動であり得る。
【0061】
装置1の第2の実施形態と第3の実施形態は組み合わせることもできる。したがって、開口部13と接合部品70との間の相対移動は、開口部13及び接合部品70の両方を移動させることにより提供される。換言すると、開口部13と接合部品70との間の相対移動において、開口部13及び接合部品70のいずれも静止したままであることはできない。接合部品70は、概して、蓋として設けられ得る、及び/又はチャフコレクタ50を備えるように設計され得る。接合部品70は、特に、開口部13に対して相対移動を生じさせるために、例えばハウジング20に対して(直線的に)移動可能であるように、ハウジング20内に受け入れられ得る。係合/係合解除のために開口部13と接合部品70との間で相対移動することで、側壁12の遠位端を傾斜させる必要がない。したがって、開口部13、すなわち開口部13が延びる平面は、チャンバ10の側壁12に対して垂直に延び得る。したがって、側壁12を傾斜させる必要がないため、チャンバ10のより簡単な製造が実現される。更に、焙煎位置における、側壁12に対する開口部13の垂直な延び、すなわち水平の延びにより、特に、平らな接続部による密封の向上を可能にする。
【0062】
図12図14に示されるように、装置1は、ハウジング20がチャンバ10を収容又は収納するように、ハウジング20を備え得る。したがって、ハウジング20は、チャンバ10が装置1の外側から見えないように、すなわち装置1のユーザから見えないように設けられ得る。したがって、ハウジング20は、チャンバ10の全ての面を取り囲むことができる。これにより、ユーザが(場合によっては高温の)チャンバ10に触れるリスクが排除される又は少なくとも大幅に低下するため、装置1の安全性が高まる。しかし、ハウジング20は、コーヒー豆をチャンバ10に充填できること、及びコーヒー豆をチャンバ10から排出できることをなおも容易にする。このために、ハウジング20は、豆受入開口部24及び豆排出開口部25を備え得る。したがって、チャンバ10の開口部13は、豆受入開口部24(図13を参照、豆受入位置)又は豆排出開口部25(図14を参照、豆排出位置)と選択的に位置合わせさせることができる。したがって、任意選択的にホッパーなどの充填支持体を備える豆受入開口部24にコーヒー豆を充填することにより、コーヒー豆は、豆受入開口部24と位置合わせされた開口部13を通ってチャンバ10内に移動する。
【0063】
したがって、チャンバ10の豆排出位置(図14を参照)において、開口部13は、豆排出開口部25と位置合わせされる。したがって、コーヒー豆は、チャンバ10から開口部13を通り、その後、豆排出開口部25を通って排出され得る。チャンバ10からの、したがって豆排出開口部25からのコーヒー豆の排出方向に関しては、収容要素26が豆排出開口部25の下流に配置され得る。収容要素26は、少なくとも部分的に豆排出開口部25の下に配置され得る。収容要素26は、豆排出位置においてチャンバ10から排出されるコーヒー豆を収集するように構成されている。収容要素26は、このように収集された(例えば焙煎)コーヒー豆を、例えばコーヒー粉砕機及び/又は飲料調製マシンにおける更なる処理のために送るように構成され得る。収容要素26は、ハウジング20に着脱自在に接続され得る。したがって、収容要素26は、このように収集されたコーヒー豆を取り出すために及び/又は収容要素26を清掃するために操作され得る。収容要素26と豆排出開口部25との間の接続部は、開口部25を通して収容要素26に排出されるコーヒー豆が収容要素26及び装置1の外に飛び出すことを防止するために、例えば専用の密封要素で密封され得る。収容要素26と豆排出開口部25との間の接続部は、角度要素により提供され得る。収容要素26は、(収集)容器であり得る。
【0064】
図12図14に示されるように、ユーザインタフェース30は、ハウジング20の前面に設けられ得る。例えば、ユーザインタフェース30は、特に、装置1の正面図で見たときに、豆受入開口部24と豆排出開口部25との間に配置されている。図12図14に示される実施形態では、ハウジング20は、少なくとも部分的に円筒の形態を有する。開口部24、25及び好ましくはユーザインタフェース30は、例えばハウジング20の円筒表面であるハウジング20のシェル表面上に配置され得る。ユーザインタフェース32は、ハウジング20が任意の円筒状形態を有する場合、少なくとも部分的に円形表面である、ハウジング20の側面に好ましくは配置されている。図12図14に示されるように、ユーザインタフェース32は、つまみの形態及び/又は少なくとも部分的にハウジング20の形態に対応する形態を有し得る。
【0065】
図示する実施形態は、好ましい実施形態に過ぎないこと、しかしながら、装置1の他の設計も使用できることが、当業者には明らかであろう。
図1
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