(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】アフィニティークロマトグラフィーにおける宿主細胞タンパク質の低減方法
(51)【国際特許分類】
C07K 1/22 20060101AFI20241225BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20241225BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20241225BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
C07K1/22
C07K16/00 ZNA
C12P21/08
C12N15/13
(21)【出願番号】P 2023061111
(22)【出願日】2023-04-05
(62)【分割の表示】P 2021124951の分割
【原出願日】2016-08-18
【審査請求日】2023-05-02
(32)【優先日】2015-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド ポール
(72)【発明者】
【氏名】セント ジョン リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ウォン マーク
(72)【発明者】
【氏名】ファルケンシュタイン ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】コーンライン ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】シュヴェンドナー クラウス
(72)【発明者】
【氏名】シュペンスベルガー ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴィートマン ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ツェトゥル フランク
(72)【発明者】
【氏名】クラインヤンス アニカ
(72)【発明者】
【氏名】コップ カリーナ
(72)【発明者】
【氏名】トラン ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン ライアン
【審査官】西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特許第6968055(JP,B2)
【文献】特許第7258964(JP,B2)
【文献】国際公開第2014/207763(WO,A1)
【文献】Ishihara, T. et al.,"Improving impurities clearance by amino acids addition to buffer solutions for chromatographic purifications of monoclonal antibodies",J. Chromatogr. B,2015年05月18日,Vol. 995-996,pp. 107-114
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00-19/00
C12P 21/08
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトIgG1アイソタイプ抗体を精製するために使用されるプロテインAクロマトグラフィーの洗浄段階における、宿主細胞タンパク質の含有量を低減するための、0.5mS/cm以下の伝導率値を有する低伝導率水溶液の使用
であって、該宿主細胞タンパク質がホスホリパーゼB様2(PLBL2)であり、該低伝導率水溶液が脱イオン水である、該使用。
【請求項2】
低伝導率水溶液洗浄段階が高伝導率水溶液洗浄段階の後または前に行われ
、該高伝導率水溶液が20mS/cm以上の伝導率値を有する、請求項
1記載の使用。
【請求項3】
高伝導率水溶液がヒスチジンを含む、請求項
2記載の使用。
【請求項4】
ヒトIgG1アイソタイプ抗体が、B型インフルエンザに対する抗体、またはVEGF-Aに対する抗体、またはCD22に対する抗体、またはHER3およびEGFRに対する二重特異性抗体、またはアミロイドベータに対する抗体、またはHer2に対する抗体、またはAng2およびVEGF-Aに対する二重特異性抗体、またはがん胎児性抗原(CEA)およびCD3に対する二重特異性抗体である、請求項1~
3のいずれか一項記載の使用。
【請求項5】
(a)
ヒトIgG1アイソタイプ抗体をコードする核酸を含む細胞を培養する段階、
(b)該細胞または培養培地から
ヒトIgG1アイソタイプ抗体を回収する段階、
(c)
ヒトIgG1アイソタイプ抗体をプロテインAクロマトグラフィー材料と接触させる段階、
(d)0.5mS/cm以下の伝導率値を有する低伝導率水溶液でプロテインAクロマトグラフィー材料を洗浄する段階
であって、宿主細胞タンパク質の量が低減され、該宿主細胞タンパク質がホスホリパーゼB様2(PLBL2)である、段階、
(e)
ヒトIgG1アイソタイプ抗体をプロテインAクロマトグラフィー材料から回収する段階
を含み、
それによって
ヒトIgG1アイソタイプ抗体を生産する、
ヒトIgG1アイソタイプ抗体を生産するための方法
であって、
該低伝導率水溶液が脱イオン水である、該方法。
【請求項6】
(a)
ヒトIgG1アイソタイプ抗体を含む試料を用意する段階
であって、該試料が宿主細胞タンパク質を含む段階、
(b)0.5mS/cm以下の伝導率値を有する低伝導率水溶液でプロテインAクロマトグラフィー材料を洗浄する段階を含むプロテインAクロマトグラフィー法/段階によって、
ヒトIgG1アイソタイプ抗体を精製する段階
であって、宿主細胞タンパク質の量が低減され、該宿主細胞タンパク質がホスホリパーゼB様2(PLBL2)である、段階
を含む、
ヒトIgG1アイソタイプ抗体を試料から精製するための方法
であって、
該低伝導率水溶液が脱イオン水である、該方法。
【請求項7】
プロテインAクロマトグラフィー材料を低伝導率水溶液で洗浄する前または後に高伝導率水溶液および/または中伝導率水溶液でアフィニティークロマトグラフィー材料を洗浄する段階をさらに含
み、
該高伝導率水溶液が20mS/cm以上の伝導率値を有し、
該中伝導率水溶液が0.5mS/cm超から20mS/cm未満までの伝導率値を有する、
請求項
5または6記載の方法。
【請求項8】
高伝導率水溶液または中伝導率水溶液がヒスチジンを含む、請求項
7記載の方法。
【請求項9】
ヒトIgG1アイソタイプ抗体が、B型インフルエンザに対する抗体、またはVEGF-Aに対する抗体、またはCD22に対する抗体、またはHER3およびEGFRに対する二重特異性抗体、またはアミロイドベータに対する抗体、またはHer2に対する抗体、またはAng2およびVEGF-Aに対する二重特異性抗体、またはがん胎児性抗原(CEA)およびCD3に対する二重特異性抗体である、請求項
5~
8のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリペプチド精製の分野に関する。本発明は、特に、抗体を含有する溶液におけるホスホリパーゼB様2(PLBL2)またはクラスタリンのような宿主細胞タンパク質の低減に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
タンパク質、とりわけ免疫グロブリンは、現代の医学的ポートフォリオ(medical portfolio)において重要な役割を果たしている。ヒトに適用するには、治療用タンパク質がいずれも明確な基準を満たす必要がある。ヒトにとっての生物製剤の安全性を保証するには、とりわけ、生産プロセス中に蓄積する副産物を除去する必要がある。規制上の仕様を満たすには、製造プロセス後に、1つまたは複数の精製段階を行う必要がある。なかんずく、純度、スループット、および収率は、適当な精製プロセスを決定する際に重要な役割を果たす。
【0003】
タンパク質の精製には、例えばアフィニティークロマトグラフィー(例えばプロテインAまたはプロテインGアフィニティークロマトグラフィー、単鎖Fvリガンドアフィニティークロマトグラフィー)、イオン交換クロマトグラフィー(例えばカチオン交換(スルホプロピル樹脂またはカルボキシメチル樹脂)、アニオン交換(アミノエチル樹脂)およびミックスモードイオン交換)、チオフィリック吸着(例えばベータ-メルカプトエタノールリガンドおよび他のSHリガンドによるもの)、疎水性相互作用または芳香族吸着クロマトグラフィー(例えばフェニル-セファロース、アザ-アレノフィリック樹脂、またはm-アミノフェニルボロン酸によるもの)、金属キレートアフィニティークロマトグラフィー(例えばNi(II)-アフィニティー材料およびCu(II)-アフィニティー材料によるもの)、サイズ排除クロマトグラフィー、ならびに電気泳動法(ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動など)など、さまざまな方法が確立され、広範に使用されている。
【0004】
組換え生産された免疫グロブリンの精製には、多くの場合、異なるカラムクロマトグラフィー段階の組合せが使用される。精製中に、宿主細胞タンパク質および宿主細胞DNAならびにエンドトキシンおよびウイルスなどの非免疫グロブリン夾雑物を枯渇させる。それゆえに、一般的には、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーのようなアフィニティークロマトグラフィー段階の後に、1つまたは複数の追加の分離段階が行われる。一般に、アフィニティークロマトグラフィー法の洗浄段階では、高伝導率緩衝液が使用されると記載されている。
【0005】
US 6,127,526(特許文献1)には、プロテインAクロマトグラフィーによってタンパク質を精製するための方法であって、(a)シリカまたはガラスを含む固相上に固定されたプロテインAにタンパク質を吸着させる段階、(b)固相を疎水性電解質溶媒で洗浄することによって、固相に結合した夾雑物を除去する段階、および(c)固相からタンパク質を回収する段階を含む方法が記載されている。
【0006】
WO2011/038894(特許文献2)では、プロテインAクロマトグラフィー材料からの免疫グロブリンの回収に先立つ特別な洗浄段階によって宿主細胞タンパク質およびDNAを顕著に枯渇させるプロテインAクロマトグラフィー法が報告されている。
【0007】
WO2013/177118(特許文献3)では、試料マトリックスから抗体を単離および精製するための組成物および方法が報告されている。
【0008】
WO2013/033517(特許文献4)では、関心対象のポリペプチド(抗体など)をウイルスから分離するための方法が報告されている。
【0009】
EP2583973(特許文献5)には、少なくとも1つのクロマトグラフィープロセスにおいて使用される緩衝溶液(平衡化緩衝液、洗浄緩衝液、および溶出緩衝液)中に、アミノ酸、またはそのジペプチド、オリゴペプチド、もしくはポリアミノ酸が含まれる、1つまたは複数のクロマトグラフィープロセスを含み、それによって、不純物(例えばポリマーまたは宿主細胞タンパク質)が極めて微量な高純度タンパク質を精製する、タンパク質の精製方法が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】US 6,127,526
【文献】WO2011/038894
【文献】WO2013/177118
【文献】WO2013/033517
【文献】EP2583973
【発明の概要】
【0011】
本明細書では、アフィニティークロマトグラフィー段階によって抗体を精製することによる、宿主細胞タンパク質の含有量が低減している抗体の生産方法を報告する。
【0012】
より具体的に述べると、クロマトグラフィー材料からの抗体の回収に先立つアフィニティークロマトグラフィーの洗浄段階において低伝導率水溶液を使用する本発明の方法によって、抗体を含む溶液中のある特定の宿主細胞タンパク質の含有量を低減できることがわかった。結果的に、ホスホリパーゼ類(特にホスホリパーゼB様2(PLBL2))の含有量を低減可能であることが見出された。PLBL2含有量は、抗体がIgG4アイソタイプのものである場合に100分の1またはそれ以上低減可能であることがわかった。
【0013】
本明細書において報告する一局面は、ヒトIgG1またはヒトIgG4アイソタイプ抗体を精製するために使用されるプロテインAクロマトグラフィーの洗浄段階における、宿主細胞タンパク質の含有量を低減するための、低伝導率水溶液の使用である。
【0014】
この局面の一態様において、ヒトIgG4アイソタイプ抗体は、P-セレクチンに対する抗体、または第IXa因子および第X因子に対する二重特異性抗体、またはIL-13に対する抗体、またはアミロイドベータに対する抗体である。この局面の一態様において、ヒトIgG1アイソタイプ抗体は、B型インフルエンザに対する抗体、またはVEGF-Aに対する抗体、またはCD22に対する抗体、またはHER3およびEGFRに対する二重特異性抗体、またはアミロイドベータに対する抗体、またはHer2に対する抗体、またはAng2およびVEGF-Aに対する二重特異性抗体、またはがん胎児性抗原(CEA)およびCD3に対する二重特異性抗体である。
【0015】
この局面の一態様において、低伝導率水溶液は約0.5mS/cm以下の伝導率値を有する。
【0016】
この局面の一態様において、宿主細胞タンパク質はホスホリパーゼB様2(PLBL2)またはクラスタリンである。
【0017】
この局面の一態様において、低伝導率水溶液は約0.1mM~約8mMのトリスを含む。
【0018】
この局面の一態様において、低伝導率水溶液は約0.05mM~約2mMのリン酸カルシウムを含む。
【0019】
この局面の一態様において、低伝導率水溶液は約7以上のpHを有する。
【0020】
この局面の一態様において、低伝導率水溶液洗浄段階は高伝導率水溶液洗浄段階の後または前に行われる。
【0021】
この局面の一態様において、高伝導率水溶液は約20mS/cm以上の伝導率値を有する。
【0022】
この局面の一態様では、低伝導率水溶液洗浄段階と高伝導率水溶液洗浄段階との間に、中伝導率水溶液による中間洗浄段階が行われる。
【0023】
この局面の一態様において、中伝導率水溶液は0.5mS/cm超から20mS/cm未満までの伝導率値を有する。
【0024】
この局面の一態様において、高(または中)伝導率水溶液はヒスチジンを含む。
【0025】
本明細書において報告する一局面は、
(a)ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体をコードする核酸を含む細胞を培養する段階、
(b)該細胞または培養培地からヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を回収する段階、
(c)ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体をプロテインAクロマトグラフィー材料と接触させる段階、
(d)プロテインAクロマトグラフィー材料を低伝導率水溶液で洗浄する段階、
(e)ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体をプロテインAクロマトグラフィー材料から回収する段階
を含み、
それによってヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を生産する、
ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を生産するための方法である。
【0026】
本明細書において報告する一局面は、
(a)ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を含む試料を用意する段階、
(b)低伝導率水溶液でプロテインAクロマトグラフィー材料を洗浄する段階を含むプロテインAクロマトグラフィー法/段階によって、ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を精製する段階
を含む、ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を試料から精製するための方法である。
【0027】
すべての局面の一態様において、ヒトIgG4アイソタイプ抗体は、P-セレクチンに対する抗体、または第IXa因子および第X因子に対する二重特異性抗体、またはIL-13に対する抗体、またはアミロイドベータに対する抗体である。すべての局面の一態様において、ヒトIgG1アイソタイプ抗体は、B型インフルエンザに対する抗体、またはVEGF-Aに対する抗体、またはCD22に対する抗体、またはHER3およびEGFRに対する二重特異性抗体、またはアミロイドベータに対する抗体、またはHer2に対する抗体、またはAng2およびVEGF-Aに対する二重特異性抗体、またはがん胎児性抗原(CEA)およびCD3に対する二重特異性抗体である。
【0028】
すべての局面の一態様において、低伝導率水溶液は約0.5mS/cm以下の伝導率値を有する。
【0029】
すべての局面の一態様において、宿主細胞タンパク質の含有量は低減され、(特定の)宿主細胞タンパク質はホスホリパーゼB様2(PLBL2)またはクラスタリンである。
【0030】
すべての局面の一態様において、低伝導率水溶液は約0.1mM~約8mMのトリスを含む。
【0031】
すべての局面の一態様において、低伝導率水溶液は約0.05mM~約2mMのリン酸カリウムを含む。
【0032】
すべての局面の一態様において、低伝導率水溶液は約7以上のpHを有する。
【0033】
すべての方法局面の一態様において、本方法は、プロテインAクロマトグラフィー材料を低伝導率水溶液で洗浄する前または後に高伝導率水溶液および/または中伝導率水溶液でアフィニティークロマトグラフィー材料を洗浄する段階をさらに含む。
【0034】
すべての局面の一態様において、高伝導率水溶液は約20mS/cm以上の伝導率値を有する。
【0035】
すべての局面の一態様において、中伝導率水溶液は0.5mS/cm超から20mS/cm未満までの伝導率値を有する。
【0036】
すべての局面の一態様において、高伝導率水溶液または中伝導率水溶液はヒスチジンを含む。
[本発明1001]
ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を精製するために使用されるプロテインAクロマトグラフィーの洗浄段階における、宿主細胞タンパク質の含有量を低減するための、約0.5mS/cm以下の伝導率値を有する低伝導率水溶液の使用。
[本発明1002]
宿主細胞タンパク質がホスホリパーゼB様2(PLBL2)またはクラスタリンである、本発明1001の使用。
[本発明1003]
低伝導率水溶液が約0.1mM~約8mMのトリスを含む、本発明1001~1002のいずれかの使用。
[本発明1004]
低伝導率水溶液が約0.05mM~約2mMのリン酸カリウムを含む、本発明1001~1002のいずれかの使用。
[本発明1005]
低伝導率水溶液が約7以上のpHを有する、本発明1001~1004のいずれかの使用。
[本発明1006]
低伝導率水溶液洗浄段階が高伝導率水溶液洗浄段階の後または前に行われる、本発明1001~1005のいずれかの使用。
[本発明1007]
高伝導率水溶液が約20mS/cm以上の伝導率値を有する、本発明1006の使用。
[本発明1008]
高伝導率水溶液がヒスチジンを含む、本発明1006~1007のいずれかの使用。
[本発明1009]
ヒトIgG4アイソタイプ抗体が、P-セレクチンに対する抗体、または第IXa因子および第X因子に対する抗体、またはIL-13に対する抗体、またはアミロイドベータに対する抗体である、本発明1001~1008のいずれかの使用。
[本発明1010]
ヒトIgG1アイソタイプ抗体が、B型インフルエンザに対する抗体、またはVEGF-Aに対する抗体、またはCD22に対する抗体、またはHER3およびEGFRに対する二重特異性抗体、またはアミロイドベータに対する抗体、またはHer2に対する抗体、またはAng2およびVEGF-Aに対する二重特異性抗体、またはがん胎児性抗原(CEA)およびCD3に対する二重特異性抗体である、本発明1001~1008のいずれかの使用。
[本発明1011]
(a)ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体をコードする核酸を含む細胞を培養する段階、
(b)該細胞または培養培地からヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を回収する段階、
(c)ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体をプロテインAクロマトグラフィー材料と接触させる段階、
(d)約0.5mS/cm以下の伝導率値を有する低伝導率水溶液でプロテインAクロマトグラフィー材料を洗浄する段階、
(e)ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体をプロテインAクロマトグラフィー材料から回収する段階
を含み、
それによってヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を生産する、
ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を生産するための方法。
[本発明1012]
(a)ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を含む試料を用意する段階、
(b)約0.5mS/cm以下の伝導率値を有する低伝導率水溶液でプロテインAクロマトグラフィー材料を洗浄する段階を含むプロテインAクロマトグラフィー法/段階によって、ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を精製する段階
を含む、ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を試料から精製するための方法。
[本発明1013]
宿主細胞タンパク質の量が低減され、該宿主細胞タンパク質がホスホリパーゼB様2(PLBL2)またはクラスタリンである、本発明1011~1012のいずれかの方法。
[本発明1014]
低伝導率水溶液が約0.1mM~約8mMのトリスを含む、本発明1011~1013のいずれかの方法。
[本発明1015]
低伝導率水溶液が約0.05mM~約2mMのリン酸カリウムを含む、本発明1011~1014のいずれかの方法。
[本発明1016]
低伝導率水溶液が約7以上のpHを有する、本発明1011~1015のいずれかの方法。
[本発明1017]
プロテインAクロマトグラフィー材料を低伝導率水溶液で洗浄する前または後に高伝導率水溶液および/または中伝導率水溶液でアフィニティークロマトグラフィー材料を洗浄する段階をさらに含む、本発明1011~1016のいずれかの方法。
[本発明1018]
高伝導率水溶液が約20mS/cm以上の伝導率値を有する、本発明1017の方法。
[本発明1019]
中伝導率水溶液が0.5mS/cm超から20mS/cm未満までの伝導率値を有する、本発明1017の方法。
[本発明1020]
高伝導率水溶液または中伝導率水溶液がヒスチジンを含む、本発明1017~1019のいずれかの方法。
[本発明1021]
ヒトIgG4アイソタイプ抗体が、P-セレクチンに対する抗体、または第IXa因子および第X因子に対する抗体、またはIL-13に対する抗体、またはアミロイドベータに対する抗体である、本発明1011~1020のいずれかの方法。
[本発明1022]
ヒトIgG1アイソタイプ抗体が、B型インフルエンザに対する抗体、またはVEGF-Aに対する抗体、またはCD22に対する抗体、またはHER3およびEGFRに対する二重特異性抗体、またはアミロイドベータに対する抗体、またはHer2に対する抗体、またはAng2およびVEGF-Aに対する二重特異性抗体、またはがん胎児性抗原(CEA)およびCD3に対する二重特異性抗体である、本発明1011~1020のいずれかの方法。
【発明を実施するための形態】
【0037】
発明の詳細な説明
本明細書では、低伝導率水溶液によるアフィニティークロマトグラフィー材料の洗浄を含む、改良されたアフィニティークロマトグラフィー法および使用を報告する。
【0038】
アフィニティークロマトグラフィー段階、例えばプロテインAクロマトグラフィー段階において低伝導率水溶液による洗浄段階を使用すれば、この洗浄段階によって特定宿主細胞タンパク質を低減できることがわかった。アフィニティークロマトグラフィー段階は抗体の精製方法または抗体の生産方法において使用される。低伝導率水溶液洗浄段階はホスホリパーゼB様2(PLBL2)の含有量を低減するのに特に有効である。
【0039】
本明細書において報告する一局面は、アフィニティークロマトグラフィーの洗浄段階における、(特定の)宿主細胞タンパク質の含有量を低減するための、低伝導率水溶液の使用である。
【0040】
本明細書において報告する一局面は、
(a)ヒトIgGアイソタイプ抗体をコードする核酸を含む細胞を培養する段階、
(b)該細胞または培養培地からヒトIgGアイソタイプ抗体を回収する段階、
(c)ヒトIgGアイソタイプ抗体(を含む溶液)をアフィニティークロマトグラフィー材料と接触させる段階、
(d)二重特異性抗体のうちの少なくとも90%がアフィニティークロマトグラフィー材料に結合している状態を保ちつつ、低伝導率水溶液でアフィニティークロマトグラフィー材料を洗浄する段階、
(e)ヒトIgGアイソタイプ抗体をアフィニティークロマトグラフィー材料から回収する段階
を含み、
それによってヒトIgGアイソタイプ抗体を生産する、
ヒトIgGアイソタイプ抗体を生産するための方法である。
【0041】
本明細書において報告する一局面は、
(a)ヒトIgGアイソタイプ抗体を含む(緩衝水性)試料を用意する段階、
(b)アフィニティークロマトグラフィー材料を低伝導率水溶液で洗浄する段階を含むアフィニティークロマトグラフィー法/段階によってヒトIgGアイソタイプ抗体を精製する段階
を含む、ヒトIgGアイソタイプ抗体を試料から精製するための方法である。
【0042】
CHO細胞中で生産された組換えポリペプチドは、宿主細胞タンパク質を除去しまたは宿主細胞タンパク質のレベルを低減するために、本明細書に記載する方法に従って精製することができる。
【0043】
例示的な組換えポリペプチドとして、治療用の抗体およびイムノアドヘシン、例えば限定するわけではないが、以下の抗原の1つまたは複数に対する抗体(抗体フラグメントを含む)が挙げられる:HER1(EGFR)、HER2(例えばトラスツズマブ、ペルツズマブ)、HER3、HER4、VEGF(例えばベバシズマブ、ラニビズマブ)、MET(例えばオナルツズマブ)、CD20(例えばリツキシマブ、オビヌツズマブ、オクレリズマブ)、CD22、CD11a、CD11b、CD11c、CD18、ICAM、VLA-4、VCAM、IL-17Aおよび/またはF、IgE(例えばオマリズマブ)、DRS、CD40、Apo2L/TRAIL、EGFL7(例えばパルサツズマブ(parsatuzumab))、NRP1、インテグリンベータ7(例えばエトロリズマブ)、IL-13(例えばレブリキズマブ)、Aベータ(例えばクレネズマブ、ガンテネルマブ)、P-セレクチン(例えばインクラクマブ)、IL-6R(例えばトシルズマブ)、IFNa(例えばロンタリズマブ(rontalizumab))、M1prime(例えばクイリズマブ(quilizumab))、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)、OX40L、TSLP、ファクターD(例えばランパリズマブ)、ならびに受容体、例えばIL-9受容体、IL-5受容体、IL-4受容体アルファ、IL-13受容体アルファ1およびIL-13受容体アルファ2、OX40、TSLP-R、IL-7Rアルファ(TSLPの補助受容体)、IL17RB(IL-25の受容体)、ST2(IL-33の受容体)、CCR3、CCR4、CRTH2、FcイプシロンRIおよびFcイプシロンRII/CD23(IgEの受容体)。他の例示的抗体として、限定するわけではないが、抗エストロゲン受容体抗体、抗プロゲステロン受容体抗体、抗p53抗体、抗カテプシンD抗体、抗Bcl-2抗体、抗E-カドヘリン抗体、抗CA125抗体、抗CA15-3抗体、抗CA19-9抗体、抗c-erbB-2抗体、抗P糖タンパク質抗体、抗CEA抗体、Ki-67抗体、抗PCNA抗体、抗CD3抗体、抗CD4抗体、抗CD5抗体、抗CD7抗体、抗CD8抗体、抗CD9/p24抗体、抗CD10抗体、抗CD11c抗体、抗CD13抗体、抗CD14抗体、抗CD15抗体、抗CD19抗体、抗CD23抗体、抗CD30抗体、抗CD31抗体、抗CD33抗体、抗CD34抗体、抗CD35抗体、抗CD38抗体、抗CD41抗体、抗LCA/CD45抗体、抗CD45RO抗体、抗CD45RA抗体、抗CD39抗体、抗CD100抗体、抗CD95/Fas抗体、抗CD99抗体、抗CD106抗体、抗ユビキチン抗体、抗CD71抗体、抗c-myc抗体、抗サイトケラチン抗体、抗ビメンチン抗体、抗HPVタンパク質抗体、抗カッパ軽鎖抗体、抗ラムダ軽鎖抗体、抗メラノソーム抗体、抗前立腺特異抗原抗体、抗S-100抗体、抗タウ抗原抗体、抗フィブリン抗体、抗ケラチン抗体および抗Tn抗原抗体から選択されるものが挙げられる。
【0044】
いくつかの態様では、例示的抗体として、Aベータに対する抗体、IL17 A/Fに対する抗体、およびCMVに対する抗体が挙げられる。例示的抗Aベータ抗体およびそのような抗体の生産方法は、以前に、例えばWO2008011348、WO2007068429、WO2001062801、およびWO2004071408に記載されている。例示的抗IL17 A/F抗体およびそのような抗体の生産方法は、以前に、例えばWO2009136286および米国特許第8,715,669号に記載されている。抗CMV-MSLを含む例示的抗CMV抗体およびそのような抗体の生産方法は、以前に、例えばWO2012047732に記載されている。
【0045】
いくつかの態様において、アフィニティークロマトグラフィーは、ヒトIgGアイソタイプ抗体を精製するために使用される。いくつかの態様において、アフィニティークロマトグラフィーはIgG4抗体を精製するために使用される。一態様において、IgG4アイソタイプ抗体は、P-セレクチンに対する抗体、または第IXa因子および第X因子に対する(二重特異性)抗体、またはIL-13に対する抗体、またはアミロイドベータに対する抗体である。いくつかの態様において、アフィニティークロマトグラフィーはIgG1アイソタイプ抗体を精製するために使用される。一態様において、IgG1アイソタイプ抗体は、B型インフルエンザに対する抗体、またはVEGF-Aに対する抗体、またはCD22に対する抗体、またはHER3およびEGFRに対する(二重特異性)抗体、またはアミロイドベータに対する抗体、またはHer2に対する抗体、またはAng2およびVEGF-Aに対する二重特異性抗体、またはがん胎児性抗原(CEA)およびCD3に対する二重特異性抗体である。
【0046】
本明細書において報告する一局面は、
(a)ヒトIgG4アイソタイプ抗体をコードする核酸を含む細胞を培養する段階、
(b)該細胞または培養培地からヒトIgG4アイソタイプ抗体を回収する段階、
(c)ヒトIgG4アイソタイプ抗体をアフィニティークロマトグラフィー材料と接触させる段階、
(d)アフィニティークロマトグラフィー材料を低伝導率水溶液で洗浄する段階、
(e)ヒトIgG4アイソタイプ抗体をアフィニティークロマトグラフィー材料から回収する段階
を含み、
それによってヒトIgG4アイソタイプ抗体を生産する、
ヒトIgG4アイソタイプ抗体(含有溶液)を生産するための方法である。
【0047】
本明細書において報告する一局面は、
(a)IgG4アイソタイプ抗体をコードする核酸を含む細胞を培養する段階、
(b)該細胞または培養培地からIgG4アイソタイプ抗体を回収する段階、
(c)IgG4アイソタイプ抗体をアフィニティークロマトグラフィー材料と接触させる段階、
(d)アフィニティークロマトグラフィー材料を低伝導率水溶液で洗浄する段階、
(e)アフィニティークロマトグラフィー材料からIgG4アイソタイプ抗体を回収する段階
を含み、
それによってIgG4アイソタイプ抗体を生産する、
IgG4アイソタイプ抗体(含有溶液)を生産するための方法である。
【0048】
本明細書において報告する一局面は、
(a)ヒトIgG4アイソタイプ抗体を含む試料を用意する段階、
(b)アフィニティークロマトグラフィー材料を低伝導率水溶液で洗浄する段階を含むアフィニティークロマトグラフィー法/段階によって、ヒトIgG4アイソタイプ抗体を精製する段階
を含む、ヒトIgG4アイソタイプ抗体を試料から精製するための方法である。
【0049】
本明細書において報告する一局面は、
(a)IgG4アイソタイプ抗体を含む試料を用意する段階、
(b)アフィニティークロマトグラフィー材料を低伝導率水溶液で洗浄する段階を含むアフィニティークロマトグラフィー法/段階によってIgG4アイソタイプ抗体を精製する段階
を含む、IgG4アイソタイプ抗体を試料から精製するための方法である。
【0050】
洗浄段階に使用される水溶液の伝導率が低ければ、すなわち低伝導率水溶液を洗浄に使用すれば、宿主細胞タンパク質の含有量を低減できることがわかった。すべての局面の一態様において、低伝導率水溶液は約1mS/cm以下の伝導率値を有する。すべての局面の好ましい一態様において、低伝導率水溶液は約0.5mS/cm以下の伝導率値を有する。一態様において、低伝導率水溶液は約0.03μS/cm~約0.5mS/cmの伝導率値を有する。一態様において、低伝導率水溶液は約0.05μS/cm~約0.35mS/cmの伝導率値を有する。すべての局面の一態様において、低伝導率水溶液は脱イオン水である。脱イオン水は、いくつかの応用については、洗浄段階において使用するのに適さない。いくつかの態様において、低伝導率水溶液は脱イオン水ではない。
【0051】
プロテインAアフィニティークロマトグラフィーは本明細書において報告する目的に使用できることがわかった。すべての局面の好ましい一態様において、アフィニティークロマトグラフィーはプロテインAアフィニティークロマトグラフィーである。一態様において、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーは、MabSelectSureアフィニティークロマトグラフィー、ProSep vAアフィニティークロマトグラフィー、Poros Mab Capture Aアフィニティークロマトグラフィー、ProSep Ultra Plusアフィニティークロマトグラフィー、MabSelect SuRe LX、MabSelect、Eshmuno A、Toyopearl AF-rProtein A-650F; Toyopearl AF-rProtein A HC-650HF)を含む群から選択される。一態様において、アフィニティークロマトグラフィーはプロテインGアフィニティークロマトグラフィーである。一態様において、アフィニティークロマトグラフィーは、組換えタンパク質をリガンドとして使用するアフィニティークロマトグラフィー、つまり組換えタンパク質リガンドアフィニティークロマトグラフィーである。一態様において、アフィニティークロマトグラフィーは、単鎖Fvをリガンドとして使用するアフィニティークロマトグラフィー、つまり単鎖Fvリガンドアフィニティークロマトグラフィーである。一態様において、アフィニティークロマトグラフィーは、クロマトグラフィーマトリックスにカップリングされた変異型プロテインA、またはクロマトグラフィーマトリックスにカップリングされたプロテインAのフラグメントを含む。
【0052】
(特定の)宿主細胞タンパク質の含有量を低減できることがわかった。とりわけホスホリパーゼB様2(PLBL2)の含有量を低減できることがわかった。一態様において、(特定の)宿主細胞タンパク質はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)宿主細胞タンパク質である。すべての局面の好ましい一態様において、(特定の)宿主細胞タンパク質はホスホリパーゼB様2(PLBL2)またはクラスタリンである。一態様において、(特定の)宿主細胞タンパク質はホスホリパーゼB様2(PLBL2)である。
【0053】
低伝導率水溶液は、ある特定の緩衝物質、例えば少量のトリスまたはリン酸カリウムを含みうることがわかった。一態様において、低伝導率水溶液はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)を含有する。一態様において、低伝導率水溶液は約0.1mM~約10mMのトリスを含む。一態様において、低伝導率水溶液は約0.5mM~約6.5mMのトリスを含む。一態様において、低伝導率水溶液は約2mMのトリスを含む。一態様において、低伝導率水溶液はリン酸カリウムを含有する。一態様において、低伝導率水溶液は約0.05mM~約5mMのリン酸カリウムを含む。一態様において、低伝導率水溶液は約0.05mM~約2mMのリン酸カリウムを含む。一態様において、低伝導率水溶液は約0.5mMのリン酸カリウムを含む。
【0054】
宿主細胞タンパク質の含有量を低減する効果は、低伝導率水溶液が、ある特定のpHを有する場合に顕著であることがわかった。一態様において、低伝導率水溶液は約7以上のpHを有する。一態様において、低伝導率水溶液は約7.5以上のpHを有する。一態様において、低伝導率水溶液は約7~約9.5のpHを有する。一態様において、低伝導率水溶液は約7.5~約8.5のpHを有する。一態様において、低伝導率水溶液は約8のpHを有する。一態様において、低伝導率水溶液は約9のpHを有する。
【0055】
宿主細胞タンパク質の含有量を低減する効果は、低伝導率水溶液のpHが約8.5以上であり、低伝導率水溶液が約1.2mS/cm以下の伝導率値を有する場合にも、達成されうることがわかった。一態様において、低伝導率水溶液は約8.5以上のpHを有し、低伝導率水溶液は約1.2mS/cm以下の伝導率値を有する。一態様において、低伝導率水溶液は約8.5以上のpHを有し、低伝導率水溶液は約1mS/cm以下の伝導率値を有する。一態様において、低伝導率水溶液は約8.5以上のpHを有し、低伝導率水溶液は約55mM以下のトリスを含む。一態様において、低伝導率水溶液は約8.5以上のpHを有し、低伝導率水溶液は約30mM以下のトリスを含む。
【0056】
一態様において、低伝導率水溶液はpH7からpH8.5未満までのpH範囲にあっては約0.5mS/cm以下の伝導率値を有し、8.5以上のpH値では約1.2mS/cm以下の伝導率値を有する。
【0057】
本明細書において報告する使用および方法により、PLBL2のような宿主細胞タンパク質の含有量を、アフィニティークロマトグラフィー段階のような精製段階前のPLBL2の負荷量と比較して、ある特定のレベルまで低減できることがわかった。一態様において、PLBL2の含有量は少なくとも20分の1に低減される。一態様において、PLBL2の含有量は少なくとも40分の1に低減される。一態様において、PLBL2の含有量は少なくとも50分の1に低減される。一態様において、PLBL2の含有量は少なくとも90分の1に低減される。一態様において、PLBL2の含有量は少なくとも100分の1に低減される。場合によっては、低減のレベルはさらに高い。いくつかの態様において、PLBL2の含有量は少なくとも200分の1に低減される。いくつかの態様において、PLBL2の含有量は少なくとも250分の1に低減される。いくつかの態様において、PLBL2の含有量は少なくとも300分の1に低減される。いくつかの態様において、PLBL2の含有量は少なくとも400分の1に低減される。いくつかの態様において、PLBL2の含有量は少なくとも1000分の1に低減される。一態様において、PLBL2の含有量は少なくとも50%低減される。一態様において、PLBL2の含有量は少なくとも66%低減される。一態様において、PLBL2の含有量は少なくとも80%低減される。一態様において、PLBL2の含有量は少なくとも90%低減される。一態様において、PLBL2の含有量は少なくとも95%低減される。いくつかの態様において、PLBL2の含有量は抗体1mgあたり10ng未満に低減される。いくつかの態様において、PLBL2の含有量は抗体1mgあたり5ng未満に低減される。いくつかの態様において、PLBL2の含有量は抗体1mgあたり2ng未満に低減される。
【0058】
本明細書において報告する方法および使用では、中伝導率水溶液および/または高伝導率水溶液によるさらなる洗浄段階を使用することができる。一態様において、低伝導率水溶液洗浄段階は高伝導率水溶液洗浄段階の後または前に行われる。一態様において、高伝導率水溶液は約20mS/cm以上の伝導率値を有する。一態様において、高伝導率水溶液は約20mS/cm~約100mS/cmの伝導率値を有する。一態様では、低伝導率水溶液洗浄段階と高伝導率水溶液洗浄段階との間に、中伝導率水溶液による中間洗浄段階が行われる。一態様において、中伝導率水溶液は0.5mS/cm超から20mS/cm未満までの伝導率値を有する。
【0059】
高伝導率水溶液または中伝導率水溶液がさらにアミノ酸を含むと、宿主細胞タンパク質低減効果が改良されうることがわかった。一態様において、高伝導率水溶液または中伝導率水溶液はアミノ酸を含む。一態様において、高伝導率水溶液または中伝導率水溶液はヒスチジンまたはアルギニンを含む。一態様において、高伝導率水溶液または中伝導率水溶液はヒスチジンを含む。一態様において、高伝導率水溶液または中伝導率水溶液はヒスチジンおよびトリスを含む。
【0060】
本明細書において報告する方法および使用は、1つまたは複数のさらなるクロマトグラフィー段階を含みうる。一態様では、少なくとも1つの追加のクロマトグラフィー法/段階が行われる。一態様では、追加のイオン交換クロマトグラフィー法/段階が行われる。一態様では、追加のアニオン交換クロマトグラフィー法/段階が行われる。一態様では、追加のアニオン交換クロマトグラフィー法/段階および追加のカチオン交換クロマトグラフィー法/段階が行われる。
【0061】
疎水性相互作用クロマトグラフィー段階の使用は省略されうることがわかった。一態様において、本使用または本方法は疎水性相互作用クロマトグラフィー法/段階を伴わない。
【0062】
本明細書において報告する一局面は、IgG4アイソタイプ抗体またはIgG1アイソタイプ抗体、例えばヒトIgG4抗体またはヒトIgG1抗体を精製するために使用されるプロテインAクロマトグラフィーの洗浄段階における、PLBL2またはクラスタリンの含有量を低減するための、約0.5mS/cm以下の伝導率値および約7以上のpHを有する低伝導率水溶液の使用である。
【0063】
一局面は、ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を精製するために使用されるプロテインAクロマトグラフィーの洗浄段階における、PLBL2またはクラスタリンの含有量を低減するための、約0.5mS/cm以下の伝導率値および約7以上のpHを有する低伝導率水溶液の使用である。いくつかの態様において、抗体は、IgG4アイソタイプ抗体、例えばP-セレクチンに対する抗体、または第IXa因子および第X因子に対する二重特異性抗体、またはIL-13に対する抗体、またはアミロイドベータに対する抗体である。いくつかの態様において、抗体は、IgG1アイソタイプ抗体、例えばB型インフルエンザに対する抗体、またはVEGF-Aに対する抗体、またはCD22に対する抗体、またはHER3およびEGFRに対する二重特異性抗体、またはアミロイドベータに対する抗体、またはHer2に対する抗体、またはAng2およびVEGF-Aに対する二重特異性抗体、またはがん胎児性抗原(CEA)およびCD3に対する二重特異性抗体である。
【0064】
ある局面において、本開示は、
(a)ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体をコードする核酸を含む細胞を培養する段階、
(b)該細胞または培養培地からヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を回収する段階、
(c)ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体をプロテインAアフィニティークロマトグラフィー材料と接触させる段階、
(d)プロテインAアフィニティークロマトグラフィー材料を低伝導率水溶液で洗浄する段階、
(e)アフィニティークロマトグラフィー材料からヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を回収する段階
を含み、
それによってヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を生産する、
ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を生産するための方法であって、
低伝導率水溶液が約0.5mS/cm以下の伝導率値および約7以上のpHを有する、前記方法を提供する。
【0065】
ある局面において、本開示は、
(a)ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体をコードする核酸を含む細胞を培養する段階、
(b)該細胞または培養培地からヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を回収する段階、
(c)ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体をプロテインAアフィニティークロマトグラフィー材料と接触させる段階、
(d)プロテインAアフィニティークロマトグラフィー材料を低伝導率水溶液で洗浄する段階、
(e)アフィニティークロマトグラフィー材料からヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を回収する段階
を含み、
それによってヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を生産する、
ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を生産するための方法であって、
低伝導率水溶液は約0.5mS/cm以下の伝導率値および約7以上のpHを有し、
ヒトIgG4アイソタイプ抗体は、P-セレクチンに対する抗体、または第IXa因子および第X因子に対する二重特異性抗体、またはIL-13に対する抗体、またはアミロイドベータに対する抗体であり、ヒトIgG1アイソタイプ抗体は、B型インフルエンザに対する抗体、またはVEGF-Aに対する抗体、またはCD22に対する抗体、またはHER3およびEGFRに対する二重特異性抗体、またはアミロイドベータに対する抗体、またはHer2に対する抗体、またはAng2およびVEGF-Aに対する二重特異性抗体、またはがん胎児性抗原(CEA)およびCD3に対する二重特異性抗体である、
前記方法を提供する。
【0066】
ある局面において、本開示は、
(a)ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を含む試料を用意する段階、
(b)低伝導率水溶液でプロテインAアフィニティークロマトグラフィー材料を洗浄する段階を含むプロテインAアフィニティークロマトグラフィー法/段階によって、ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を精製する段階
を含む、ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を試料から精製するための方法であって、
低伝導率水溶液は約0.5mS/cm以下の伝導率値および約7以上のpHを有する、前記方法を提供する。
【0067】
ある局面において、本開示は、
(a)ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を含む試料を用意する段階、
(b)低伝導率水溶液でプロテインAアフィニティークロマトグラフィー材料を洗浄する段階を含むプロテインAアフィニティークロマトグラフィー法/段階によって、ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を精製する段階
を含む、ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を試料から精製するための方法であって、
低伝導率水溶液は約0.5mS/cm以下の伝導率値および約7以上のpHを有し、
ヒトIgG4アイソタイプ抗体は、P-セレクチンに対する抗体、または第IXa因子および第X因子に対する抗体、またはIL-13に対する抗体、またはアミロイドベータに対する抗体であり、ヒトIgG1アイソタイプ抗体は、B型インフルエンザに対する抗体、またはVEGF-Aに対する抗体、またはCD22に対する抗体、またはHER3およびEGFRに対する抗体、またはアミロイドベータに対する抗体、またはHer2に対する抗体、またはAng2およびVEGF-Aに対する二重特異性抗体、またはがん胎児性抗原(CEA)およびCD3に対する二重特異性抗体である、
前記方法を提供する。
【0068】
ある局面において、本開示は、
(a)ヒトIgG4アイソタイプ抗体をコードする核酸を含む細胞を培養する段階、
(b)該細胞または培養培地からヒトIgG4アイソタイプ抗体を回収する段階、
(c)ヒトIgG4アイソタイプ抗体をプロテインAアフィニティークロマトグラフィー材料と接触させる段階、
(d)プロテインAアフィニティークロマトグラフィー材料を低伝導率水溶液で洗浄する段階、
(e)ヒトIgG4アイソタイプ抗体をアフィニティークロマトグラフィー材料から回収する段階
を含み、
それによってヒトIgG4アイソタイプ抗体を生産する、
ヒトIgG4アイソタイプ抗体を生産するための方法であって、
低伝導率水溶液は約0.5mS/cm以下の伝導率値および約7以上のpHを有し、
ヒトIgG4アイソタイプ抗体は第IXa因子および第X因子に対する抗体である、
前記方法を提供する。
【0069】
ある局面において、本開示は、
(a)ヒトIgG4アイソタイプ抗体を含む試料を用意する段階、
(b)低伝導率水溶液でプロテインAアフィニティークロマトグラフィー材料を洗浄する段階を含むプロテインAアフィニティークロマトグラフィー法/段階によって、ヒトIgG4アイソタイプ抗体を精製する段階、
を含む、ヒトIgG4アイソタイプ抗体を試料から精製するための方法であって、
低伝導率水溶液は約0.5mS/cm以下の伝導率値および約7以上のpHを有し、
ヒトIgG4アイソタイプ抗体は第IXa因子および第X因子に対する抗体である、
前記方法を提供する。
【0070】
「抗P-セレクチン抗体」および「P-セレクチンに結合する抗体」または「P-セレクチンに対する抗体」という用語は、抗体がP-セレクチンのターゲティングにおいて診断作用物質および/または治療作用物質として役立つように、十分なアフィニティーでP-セレクチンに結合する能力を有する抗体を指す。一態様において、無関係な非P-セレクチンタンパク質に対する抗P-セレクチン抗体の結合の程度は、例えばELISAまたは表面プラズモン共鳴による測定で、P-セレクチンに対するその抗体の結合の約10%未満である。ある特定の態様において、抗P-セレクチン抗体は、異なる種からのP-セレクチン間で保存されているP-セレクチンのエピトープに結合する。上記は「第IXa因子および第X因子に対する抗体」または「IL-13に対する抗体」または「アミロイドベータに対する抗体」などの用語にも当てはまる。
【0071】
いくつかの態様において、P-セレクチンに対する抗体は、WO2005/100402またはSEQ ID NO:07~12に記載のインクラクマブ(IgG4アイソタイプ)である。いくつかの態様において、抗体は第IXa因子および第X因子に対する二重特異性抗体、例えばWO2012/067176に記載の抗FIXa/X抗体(IgG4アイソタイプ)である。いくつかの態様において、抗体はHer2に対する抗体、例えばWO1992/022653に記載のトラスツズマブ(IgG1アイソタイプ)である。いくつかの態様において、抗体はアンジオポエチン2(Ang2)および血管内皮成長因子A(VEGF-A)に対する二重特異性抗体、例えばWO2011/117329またはSEQ ID NO:01~04に記載のバヌシズマブ(IgG1アイソタイプ)である。いくつかの態様において、抗体はアミロイドベータに対する抗体、例えばWO2003/070760またはSEQ ID NO:05~06に記載のガンテネルマブ(IgG1アイソタイプ)、またはクレネズマブ(IgG4アイソタイプ)である。いくつかの態様において、抗体は、CD22に対する抗体、IL13に対する抗体(例えばレブリキズマブ)、Her3およびEGFRに対する二重特異性抗体(例えばデュリゴツズマブ(duligotuzumab))、VEGF-Aに対する抗体(例えばベバシズマブ)、およびB型インフルエンザに対する抗体である。VEGFまたはVEGF-Aという用語は、本明細書では可換的に使用することができる。
【0072】
本明細書において使用する場合、「結合する」または「特異的に結合する」という用語は、インビトロアッセイにおける、好ましくは表面プラズモン共鳴アッセイ(SPR、BIAcore、GE-Healthcare、スウェーデン・ウプサラ)における、抗原のエピトープへの抗体の結合を指す。結合のアフィニティーは、用語ka(抗体/抗原複合体の抗体の会合に関する速度定数)、kd(解離定数)、およびKD(kd/ka)によって定義される。結合するまたは特異的に結合するとは、10-7mol/L以下の結合アフィニティー(KD)を意味する。
【0073】
「抗体」という用語は、本明細書では、最も広い意味で使用され、さまざまな抗体構造、例えば限定するわけではないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、および抗体フラグメントを、それらが所望の抗原結合活性を呈する限り、包含する。
【0074】
「抗体フラグメント」とは、インタクト抗体のうち、インタクト抗体が結合する抗原に結合する部分を含む、インタクト抗体以外の分子を指す。抗体フラグメントの例には、Fv、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2;ダイアボディ;線状抗体(linear antibody);単鎖抗体分子(例えばscFv);および抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体などがあるが、それらに限定されるわけではない。Fabフラグメントは(完全長/完全)抗体のパパイン消化によって得られる抗体フラグメントである。
【0075】
「二重特異性抗体」は、2つの異なる抗原結合特異性を有する抗体である。本明細書において使用する「二重特異性」抗体という用語は、少なくとも2つの結合部位を有し、そのそれぞれが異なるエピトープに結合する抗体を表す。
【0076】
「キメラ」抗体という用語は、重鎖および/または軽鎖の一部分が特定の供給源または種に由来すると共に、重鎖および/または軽鎖の残りの部分が異なる供給源または種に由来する抗体を指す。
【0077】
抗体の「クラス」は、その重鎖が保持する定常ドメインまたは定常領域のタイプを指す。抗体には5つの主要クラス、すなわちIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMがあり、それらのうちのいくつかは、さらにサブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2に分割されうる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、およびμと呼ばれる。
【0078】
「ヒトIgGアイソタイプ抗体」という用語は、ヒト野生型IgGアイソタイプに由来する定常領域を含む抗体を表す。すなわちこれは、例えば突然変異、例えばP329G突然変異(ナンバリングはKabatに従う)を持つ、ヒトIgGアイソタイプ由来の定常領域を含みうる。
【0079】
「ヒトIgG4アイソタイプ抗体」という用語は、ヒト野生型IgG4アイソタイプに由来する定常領域を含む抗体を表す。すなわちこれは、例えば突然変異、例えばP329G突然変異および/またはS228P、L235E突然変異(ナンバリングはKabatに従う)を持つ、ヒトIgG4アイソタイプ由来の定常領域を含みうる。
【0080】
「Fc領域」という用語は、本明細書では、定常領域の少なくとも一部分を含有する免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。この用語はネイティブ配列Fc領域および変異体Fc領域を包含する。一態様において、ヒトIgG重鎖Fc領域は、重鎖のCys226またはPro230から、カルボキシル末端までに及ぶ。ただし、Fc領域のC末端リジン(Lys447)またはC末端グリシル-リジンジペプチド(Gly446Lys447)は、存在しても存在しなくてもよい。別段の指定がある場合を除き、Fc領域または定常領域中のアミノ酸残基のナンバリングは、Kabat, E.A. et al, Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版,米国国立衛生研究所公衆衛生局,メリーランド州ベセスダ(1991)、NIH Publication 91-3242に記載の、EUインデックスとも呼ばれるEUナンバリングシステムに従う。
【0081】
「フレームワーク」または「FR」は、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般に、4つのFRドメイン、すなわちFR1、FR2、FR3、およびFR4からなる。したがって、HVR配列とFR配列は一般にVH(またはVL)中に次の順序で現れる: FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4。
【0082】
「宿主細胞」、「宿主細胞株」、および「宿主細胞培養」という用語は、相互可換的に使用され、外因性核酸が導入された細胞を指し、そのような細胞の子孫もこの用語には含まれる。宿主細胞には「形質転換体」および「形質転換細胞」が含まれ、これには、初代形質転換細胞と、継代数を問わずそこから派生した子孫とが包含される。子孫は、核酸の内容が親細胞と完全には同一でなく、突然変異を含有してもよい。元の形質転換細胞においてスクリーニングまたは選択されたものと同じ機能または生物学的活性を有する突然変異型子孫は、ここに包含される。「細胞」という用語は核酸の発現に使用される細胞を包含する。一態様において、宿主細胞はCHO細胞(例えばCHO K1、CHO DG44)、またはBHK細胞、またはNS0細胞、またはSP2/0細胞、またはHEK293細胞、またはHEK293EBNA細胞、またはPER.C6(登録商標)細胞、またはCOS細胞である。別の一態様において、細胞はCHO細胞、またはBHK細胞、またはPER.C6(登録商標)細胞である。本明細書において使用する場合、「細胞」という表現は、対象細胞およびその子孫を包含する。
【0083】
「洗浄する」という用語は、非特異的結合ポリペプチドおよび非ポリペプチド化合物をクロマトグラフィー材料から除去するために、とりわけ宿主細胞タンパク質および宿主細胞DNAを除去するために、アフィニティークロマトグラフィー材料に溶液を適用することを表す。「洗浄する」という用語は、結合している材料のアフィニティークロマトグラフィー材料からの溶出を包含しない。
【0084】
タンパク質の回収および精製には、例えば微生物タンパク質によるアフィニティークロマトグラフィー(例えばプロテインAまたはプロテインGアフィニティークロマトグラフィー)、組換えタンパク質をリガンドとする(例えば単鎖Fvをリガンドとする、例えばKappa select)アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー(例えばカチオン交換(カルボキシメチル樹脂)、アニオン交換(アミノエチル樹脂)およびミックスモード交換)、チオフィリック吸着(例えばベータ-メルカプトエタノールリガンドおよび他のSHリガンドによるもの)、疎水性相互作用または芳香族吸着クロマトグラフィー(例えばフェニル-セファロース、アザ-アレノフィリック樹脂、またはm-アミノフェニルボロン酸によるもの)、金属キレートアフィニティークロマトグラフィー(例えばNi(II)-アフィニティー材料およびCu(II)-アフィニティー材料によるもの)、サイズ排除クロマトグラフィー、ならびに電気泳動法(ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動など)など、さまざまな方法が確立されており、広範に使用されている。これらの方法は、本明細書において報告するように、さまざまな態様において、独立して組み合わせることができる。
【0085】
「プロテインA」という用語は、自然源から得られる、または合成的に生産される、プロテインAポリペプチドを表す。
【0086】
「プロテインAクロマトグラフィー材料」という用語は、プロテインAが共有結合されている不活性な固相を表す。
【0087】
一態様において、プロテインAクロマトグラフィー材料は、MabSelectSure、ProSep vA、Mab Capture A、ProSep Ultra Plus、Mab Select、Mab Select Xtra、Poros A、またはProSep Aから選択される。
【0088】
「高伝導率水溶液」という用語は、高い伝導率値を持つ水溶液を表す。伝導率値は約20mS/cm以上でありうる。
【0089】
「中伝導率水溶液」という用語は、中間の伝導率値を持つ水溶液を表す。伝導率値は0.5mS/cm超から20mS/cm未満でありうる。
【0090】
「低伝導率水溶液」という用語は、低い伝導率値を持つ水溶液を表す。伝導率値は約0.5mS/cm以下でありうる。pHが約8.5以上である場合、伝導率値は約1.2mS/cm以下でありうる。伝導率値は、当業者に公知の標準的な方法で測定することができる。
【0091】
本発明の理解を助けるために以下の実施例および配列を掲載するが、本発明の真の範囲は本願特許請求の範囲に記載される。記載の手順には本発明の要旨から逸脱することなく変更を加えることができると理解される。
【0092】
本発明の具体的態様
1.アフィニティークロマトグラフィーの洗浄段階における、宿主細胞タンパク質の含有量を低減するための、低伝導率水溶液の使用。
2.アフィニティークロマトグラフィーがヒトIgGアイソタイプ抗体を精製するために使用される、態様1の使用。
3.アフィニティークロマトグラフィーがヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を精製するために使用される、態様2の使用。
4.アフィニティークロマトグラフィーが、グリコシル化されたグリコシル化部位をそのFabフラグメントに持たない/ちょうど1つのグリコシル化部位を(Kabatによるナンバリングで位置Asn297に)持つヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を精製するために使用される、態様3の使用。
5.低伝導率水溶液が約0.5mS/cm以下の伝導率値を有する、態様4の使用。
6.低伝導率水溶液が約0.03μS/cm~約0.5mS/cmの伝導率値を有する、態様5の使用。
7.低伝導率水溶液が約0.05μS/cm~約0.35mS/cmの伝導率値を有する、態様5の使用。
8.低伝導率水溶液が脱イオン水ではない、態様5~7のいずれか一態様の使用。
9.アフィニティークロマトグラフィーが、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーまたはプロテインGアフィニティークロマトグラフィーまたは単鎖Fvリガンド(KappaSelect)アフィニティークロマトグラフィーである、前記態様のいずれか一態様の使用。
10.アフィニティークロマトグラフィーがプロテインAアフィニティークロマトグラフィーである、態様9の使用。
11.プロテインAアフィニティークロマトグラフィーが、MabSelectSureアフィニティークロマトグラフィー、ProSep vAアフィニティークロマトグラフィー、Poros Mab Capture Aアフィニティークロマトグラフィー、ProSep Ultra Plusアフィニティークロマトグラフィー、MabSelect SuRe LX、MabSelect、Eshmuno A、Toyopearl AF-rProtein A-650F; Toyopearl AF-rProtein A HC-650HF)を含む群から選択される、態様10の使用。
12.宿主細胞タンパク質がチャイニーズハムスター卵巣(CHO)宿主細胞タンパク質である、前記態様のいずれか一態様の使用。
13.宿主細胞タンパク質がホスホリパーゼである、態様12の使用。
14.宿主細胞タンパク質が、ホスホリパーゼA、ホスホリパーゼB、ホスホリパーゼCまたはホスホリパーゼDである、態様13の使用。
15.宿主細胞タンパク質がホスホリパーゼB様2(PLBL2)である、態様12、13または14記載の使用。
16.宿主細胞タンパク質がホスホリパーゼB様2(PLBL2)またはクラスタリンである、態様12の使用。
17.低伝導率水溶液がトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)を含有する、前記態様のいずれか一態様の使用。
18.低伝導率水溶液が約0.1mM~約10mMのトリスを含む、態様17の使用。
19.低伝導率水溶液が約0.1mM~約8mMのトリスを含む、態様18の使用。
20.低伝導率水溶液が約0.5mM~約6.5mMのトリスを含む、態様19の使用。
21.低伝導率水溶液が約2mMのトリスを含む、態様20の使用。
22.低伝導率水溶液がリン酸カリウムを含有する、態様17~21のいずれか一態様の使用。
23.低伝導率水溶液が約0.05mM~約5mMのリン酸カリウムを含む、態様22の使用。
24.低伝導率水溶液が約0.05mM~約2mMのリン酸カリウムを含む、態様23の使用。
25.低伝導率水溶液が約0.5mMのリン酸カリウムを含む、態様24の使用。
26.低伝導率水溶液が約7以上のpHを有する、前記態様のいずれか一態様の使用。
27.低伝導率水溶液が約7.5以上のpHを有する、態様26の使用。
28.低伝導率水溶液が約7~約9.5のpHを有する、態様27の使用。
29.低伝導率水溶液が約7.5~約8.5のpHを有する、態様28の使用。
30.低伝導率水溶液が約8のpHを有する、態様29の使用。
31.低伝導率水溶液洗浄段階が高伝導率水溶液洗浄段階の後または前に行われる、前記態様のいずれか一態様の使用。
32.低伝導率水溶液洗浄段階が高伝導率水溶液洗浄段階の後に行われる、態様31の使用。
33.高伝導率水溶液が約20mS/cm以上の伝導率値を有する、態様31の使用。
34.高伝導率水溶液が約20mS/cm~約100mS/cmの伝導率値を有する、態様33の使用。
35.低伝導率水溶液洗浄段階と高伝導率水溶液洗浄段階との間に、中伝導率水溶液による中間洗浄段階が行われる、態様31の使用。
36.中伝導率水溶液が0.5mS/cm超から20mS/cm未満までの伝導率値を有する、態様35の使用。
37.高伝導率水溶液または中伝導率水溶液がアミノ酸を含む、態様33~36のいずれか一態様の使用。
38.高伝導率水溶液または中伝導率水溶液がヒスチジンを含む、態様37の使用。
39.高伝導率水溶液または中伝導率水溶液がヒスチジンおよびトリスを含む、態様37の使用。
40.少なくとも1つの追加のクロマトグラフィー法/段階が行われる、前記態様のいずれか一態様の使用。
41.追加のイオン交換クロマトグラフィー法/段階が行われる、態様40の使用。
42.追加のアニオン交換クロマトグラフィー法/段階が行われる、態様41の使用。
43.追加のカチオン交換クロマトグラフィー法/段階が行われる、態様40の使用。
44.追加のアニオン交換クロマトグラフィー法/段階および追加のカチオン交換クロマトグラフィー法/段階が行われる、態様40の使用。
45.疎水性相互作用クロマトグラフィー法/段階を伴わない、態様40の使用。
46.ヒトIgG4アイソタイプ抗体が、P-セレクチンに対する抗体、または第IXa因子および第X因子に対する抗体、またはIL-13に対する抗体、またはアミロイドベータに対する抗体である、前記態様のいずれか一態様の使用。
47.ヒトIgG1アイソタイプ抗体が、B型インフルエンザに対する抗体、またはVEGF-Aに対する抗体、またはCD22に対する抗体、またはHER3およびEGFRに対する抗体、またはアミロイドベータに対する抗体、またはHer2に対する抗体、またはAng2およびVEGF-Aに対する抗体、またはがん胎児性抗原(CEA)およびCD3に対する抗体である、態様1~45のいずれか一態様の使用。
48.(a)ヒトIgGアイソタイプ抗体をコードする核酸を含む細胞を培養する段階、
(b)該細胞または培養培地からヒトIgGアイソタイプ抗体を回収する段階、
(c)ヒトIgGアイソタイプ抗体をアフィニティークロマトグラフィー材料と接触させる段階、
(d)アフィニティークロマトグラフィー材料を低伝導率水溶液で洗浄する段階、
(e)ヒトIgGアイソタイプ抗体をアフィニティークロマトグラフィー材料から回収する段階
を含み、
それによってヒトIgGアイソタイプ抗体を生産する、
ヒトIgGアイソタイプ抗体を生産するための方法。
49.(a)ヒトIgG4アイソタイプ抗体をコードする核酸を含む細胞を培養する段階、
(b)該細胞または培養培地からヒトIgG4アイソタイプ抗体を回収する段階、
(c)ヒトIgG4アイソタイプ抗体をアフィニティークロマトグラフィー材料と接触させる段階、
(d)アフィニティークロマトグラフィー材料を低伝導率水溶液で洗浄する段階、
(e)ヒトIgG4アイソタイプ抗体をアフィニティークロマトグラフィー材料から回収する段階
を含み、
それによってヒトIgG4アイソタイプ抗体を生産する、
ヒトIgG4アイソタイプ抗体を生産するための方法。
50.ヒトIgGアイソタイプ抗体がヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体である、態様48の方法。
51.ヒトIgGアイソタイプ抗体が、グリコシル化されたグリコシル化部位をそのFabフラグメントに持たない/ちょうど1つのグリコシル化部位を(Kabatによるナンバリングで位置Asn297に)持つヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体である、態様48の方法。
52.低伝導率水溶液が約0.5mS/cm以下の伝導率値を有する、態様48の方法。
53.低伝導率水溶液が約0.03μS/cm~約0.5mS/cmの伝導率値を有する、態様52の方法。
54.低伝導率水溶液が約0.05μS/cm~約0.35mS/cmの伝導率値を有する、態様53の方法。
55.低伝導率水溶液が脱イオン水ではない、態様54の方法。
56.アフィニティークロマトグラフィーが、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーまたはプロテインGアフィニティークロマトグラフィーまたは単鎖Fvリガンド(KappaSelect)アフィニティークロマトグラフィーである、態様48~55のいずれか一態様の方法。
57.アフィニティークロマトグラフィーがプロテインAアフィニティークロマトグラフィーである、態様56の方法。
58.プロテインAアフィニティークロマトグラフィーが、MabSelectSureアフィニティークロマトグラフィー、ProSep vAアフィニティークロマトグラフィー、Poros Mab Capture Aアフィニティークロマトグラフィー、ProSep Ultra Plusアフィニティークロマトグラフィー、MabSelect SuRe LX、MabSelect、Eshmuno A、Toyopearl AF-rProtein A-650F; Toyopearl AF-rProtein A HC-650HF)を含む群から選択される、態様56の方法。
59.宿主細胞タンパク質の含有量が低減される、態様48または49の方法。
60.宿主細胞タンパク質がチャイニーズハムスター卵巣(CHO)宿主細胞タンパク質である、態様59のいずれか一態様の方法。
61.宿主細胞タンパク質がホスホリパーゼである、態様60の方法。
62.宿主細胞タンパク質がホスホリパーゼA、ホスホリパーゼB、ホスホリパーゼCまたはホスホリパーゼDである、態様61の方法。
63.宿主細胞タンパク質がホスホリパーゼB様2(PLBL2)である、態様62のいずれか一態様の方法。
64.宿主細胞タンパク質がホスホリパーゼB様2(PLBL2)またはクラスタリンである、態様60の方法。
65.低伝導率水溶液がトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)を含有する、態様48~64のいずれか一態様の方法。
66.低伝導率水溶液が約0.1mM~約10mMのトリスを含む、態様65の方法。
67.低伝導率水溶液が約0.1mM~約8mMのトリスを含む、態様66の方法。
68.低伝導率水溶液が約0.5mM~約6.5mMのトリスを含む、態様67の方法。
69.低伝導率水溶液が約2mMのトリスを含む、態様68の方法。
70.低伝導率水溶液がリン酸カリウムを含有する、態様65~69のいずれか一態様の方法。
71.低伝導率水溶液が約0.2mM~約5mMのリン酸カリウムを含む、態様70の方法。
72.低伝導率水溶液が約0.05mM~約2mMのリン酸カリウムを含む、態様71の方法。
73.低伝導率水溶液が約0.5mMのリン酸カリウムを含む、態様72の方法。
74.低伝導率水溶液が約7以上のpHを有する、態様48~73のいずれか一態様の方法。
75.低伝導率水溶液が約7.5以上のpHを有する、態様74の方法。
76.低伝導率水溶液が約7~約9.5のpHを有する、態様75の方法。
77.低伝導率水溶液が約7.5~約8.5のpHを有する、態様76の方法。
78.低伝導率水溶液が約8のpHを有する、態様77の方法。
79.アフィニティークロマトグラフィー材料を低伝導率水溶液で洗浄する前または後に高伝導率水溶液でアフィニティークロマトグラフィー材料を洗浄する段階をさらに含む、態様48または49の方法。
80.アフィニティークロマトグラフィー材料を低伝導率水溶液で洗浄する前に高伝導率水溶液でアフィニティークロマトグラフィー材料を洗浄する段階をさらに含む、態様79の方法。
81.アフィニティークロマトグラフィー材料を低伝導率水溶液で洗浄する前または後に高伝導率水溶液および/または中伝導率水溶液でアフィニティークロマトグラフィー材料を洗浄する段階をさらに含む、態様79の方法。
82.アフィニティークロマトグラフィー材料を低伝導率水溶液で洗浄する前に高伝導率水溶液および/または中伝導率水溶液でアフィニティークロマトグラフィー材料を洗浄する段階をさらに含む、態様79の方法。
83.高伝導率水溶液が約20mS/cm以上の伝導率値を有する、態様79~82のいずれか一態様の方法。
84.高伝導率水溶液が約20mS/cm~約100mS/cmの伝導率値を有する、態様83の方法。
85.中伝導率水溶液が0.5mS/cm超から20mS/cm未満までの伝導率値を有する、態様81~82のいずれか一態様の方法。
86.高伝導率水溶液または中伝導率水溶液がアミノ酸を含む、態様79~85のいずれか一態様の方法。
87.高伝導率水溶液または中伝導率水溶液がヒスチジンを含む、態様86の方法。
88.高伝導率水溶液または中伝導率水溶液がヒスチジンおよびトリスを含む、態様86または87の方法。
89.少なくとも1つの追加のクロマトグラフィー法/段階が段階(e)の後に行われる、態様48または49の方法。
90.追加のイオン交換クロマトグラフィー法/段階が段階(e)の後に行われる、態様89の方法。
91.追加のアニオン交換クロマトグラフィー法/段階が段階(e)の後に行われる、態様90の方法。
92.追加のカチオン交換クロマトグラフィー法/段階が段階(e)の後に行われる、態様90の方法。
93.追加のアニオン交換クロマトグラフィー法/段階および追加のカチオン交換クロマトグラフィー法/段階が段階(e)の後に行われる、態様90の方法。
94.疎水性相互作用クロマトグラフィー法/段階を伴わない、態様48または49の方法。
95.ヒトIgG4アイソタイプ抗体が、P-セレクチンに対する抗体、または第IXa因子および第X因子に対する抗体、またはIL-13に対する抗体、またはアミロイドベータに対する抗体である、態様49~94のいずれか一態様の方法。
96.ヒトIgG1アイソタイプ抗体が、B型インフルエンザに対する抗体、またはVEGF-Aに対する抗体、またはCD22に対する抗体、またはHER3およびEGFRに対する二重特異性抗体、またはアミロイドベータに対する抗体、またはHer2に対する抗体、またはAng2およびVEGF-Aに対する二重特異性抗体、またはがん胎児性抗原(CEA)およびCD3に対する抗体である、態様48または50~94のいずれか一態様の方法。
97.(a)ヒトIgGアイソタイプ抗体を含む試料を用意する段階、
(b)アフィニティークロマトグラフィー材料を低伝導率水溶液で洗浄する段階を含むアフィニティークロマトグラフィー法/段階によってヒトIgGアイソタイプ抗体を精製する段階
を含む、ヒトIgGアイソタイプ抗体を試料から精製するための方法。
98.ヒトIgGアイソタイプ抗体がヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体である、態様97の方法。
99.ヒトIgGアイソタイプ抗体が、グリコシル化されたグリコシル化部位をそのFabフラグメントに持たない/ちょうど1つのグリコシル化部位を(Kabatによるナンバリングで位置Asn297に)持つヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体である、態様98の方法。
100.低伝導率水溶液が約0.5mS/cm以下の伝導率値を有する、態様97~99のいずれか一態様の方法。
101.低伝導率水溶液が約0.03μS/cm~約0.5mS/cmの伝導率値を有する、態様100の方法。
102.低伝導率水溶液が約0.05μS/cm~約0.35mS/cmの伝導率値を有する、態様101の方法。
103.低伝導率水溶液が脱イオン水ではない、態様102の方法。
104.アフィニティークロマトグラフィーが、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーまたはプロテインGアフィニティークロマトグラフィーまたは単鎖Fvリガンド(KappaSelect)アフィニティークロマトグラフィーである、態様97~104のいずれか一態様の方法。
105.アフィニティークロマトグラフィーがプロテインAアフィニティークロマトグラフィーである、態様104の方法。
106.プロテインAアフィニティークロマトグラフィーが、MabSelectSureアフィニティークロマトグラフィー、ProSep vAアフィニティークロマトグラフィー、Poros Mab Capture Aアフィニティークロマトグラフィー、ProSep Ultra Plusアフィニティークロマトグラフィー、MabSelect SuRe LX、MabSelect、Eshmuno A、Toyopearl AF-rProtein A-650F; Toyopearl AF-rProtein A HC-650HF)を含む群から選択される、態様105の方法。
107.宿主細胞タンパク質の含有量が低減される、態様97~106のいずれか一態様の方法。
108.宿主細胞タンパク質がチャイニーズハムスター卵巣(CHO)宿主細胞タンパク質である、態様107の方法。
109.宿主細胞タンパク質がホスホリパーゼである、態様108の方法。
110.宿主細胞タンパク質がホスホリパーゼA、ホスホリパーゼB、ホスホリパーゼCまたはホスホリパーゼDである、態様109の方法。
111.宿主細胞タンパク質がホスホリパーゼB様2(PLBL2)である、態様110のいずれか一態様の方法。
112.宿主細胞タンパク質がホスホリパーゼB様2(PLBL2)またはクラスタリンである、態様107の方法。
113.低伝導率水溶液がトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)を含有する、態様97~112のいずれか一態様の方法。
114.低伝導率水溶液が約0.1mM~約10mMのトリスを含む、態様113の方法。
115.低伝導率水溶液が約0.1mM~約8mMのトリスを含む、態様114の方法。
116.低伝導率水溶液が約0.5mM~約6.5mMのトリスを含む、態様115の方法。
117.低伝導率水溶液が約2mMのトリスを含む、態様116の方法。
118.低伝導率水溶液がリン酸カリウムを含有する、態様113~117のいずれか一態様の方法。
119.低伝導率水溶液が約0.2mM~約5mMのリン酸カリウムを含む、態様118の方法。
120.低伝導率水溶液が約0.2mM~約2mMのリン酸カリウムを含む、態様119の方法。
121.低伝導率水溶液が約0.5mMのリン酸カリウムを含む、態様120の方法。
122.低伝導率水溶液が約7以上のpHを有する、態様97~121のいずれか一態様の方法。
123.低伝導率水溶液が約7.5以上のpHを有する、態様122の方法。
124.低伝導率水溶液が約7~約9.5のpHを有する、態様123の方法。
125.低伝導率水溶液が約7.5~約8.5のpHを有する、態様124の方法。
126.低伝導率水溶液が約8のpHを有する、態様125の方法。
127.アフィニティークロマトグラフィー材料を低伝導率水溶液で洗浄する前または後に高伝導率水溶液でアフィニティークロマトグラフィー材料を洗浄する段階をさらに含む、態様97~126のいずれか一態様の方法。
128.アフィニティークロマトグラフィー材料を低伝導率水溶液で洗浄する前に高伝導率水溶液でアフィニティークロマトグラフィー材料を洗浄する段階をさらに含む、態様127の方法。
129.アフィニティークロマトグラフィー材料を低伝導率水溶液で洗浄する前または後に高伝導率水溶液および/または中伝導率水溶液でアフィニティークロマトグラフィー材料を洗浄する段階をさらに含む、態様127の方法。
130.アフィニティークロマトグラフィー材料を低伝導率水溶液で洗浄する前に高伝導率水溶液および/または中伝導率水溶液でアフィニティークロマトグラフィー材料を洗浄する段階をさらに含む、態様127の方法。
131.高伝導率水溶液が約20mS/cm以上の伝導率値を有する、態様127~130のいずれか一態様の方法。
132.高伝導率水溶液が約20mS/cm~約100mS/cmの伝導率値を有する、態様131の方法。
133.中伝導率水溶液が0.5mS/cm超から20mS/cm未満までの伝導率値を有する、態様129または130の方法。
134.高伝導率水溶液または中伝導率水溶液がアミノ酸を含む、態様127~133のいずれか一態様の方法。
135.高伝導率水溶液または中伝導率水溶液がヒスチジンを含む、態様134の方法。
136.高伝導率水溶液または中伝導率水溶液がヒスチジンおよびトリスを含む、態様134の方法。
137.少なくとも1つの追加のクロマトグラフィー法/段階が段階(b)後に行われる、態様97または98の方法。
138.追加のイオン交換クロマトグラフィー法/段階が段階(b)後に行われる、態様137の方法。
139.追加のアニオン交換クロマトグラフィー法/段階が段階(b)後に行われる、態様138の方法。
140.追加のカチオン交換クロマトグラフィー法/段階が段階(b)後に行われる、態様138の方法。
141.追加のアニオン交換クロマトグラフィー法/段階および追加のカチオン交換クロマトグラフィー法/段階が段階(b)後に行われる、態様138の方法。
142.疎水性相互作用クロマトグラフィー法/段階を伴わない、態様97~141のいずれか一態様の方法。
143.ヒトIgG4アイソタイプ抗体が、P-セレクチンに対する抗体、または第IXa因子および第X因子に対する抗体、またはIL-13に対する抗体、またはアミロイドベータに対する抗体である、態様97または98の方法。
144.ヒトIgG1アイソタイプ抗体が、B型インフルエンザに対する抗体、またはVEGF-Aに対する抗体、またはCD22に対する抗体、またはHER3およびEGFRに対する(二重特異性)抗体、またはアミロイドベータに対する抗体、またはHer2に対する抗体、またはAng2およびVEGF-Aに対する二重特異性抗体、またはがん胎児性抗原(CEA)およびCD3に対する二重特異性抗体である、態様97または98の方法。
145.ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を精製するために使用されるプロテインAクロマトグラフィーの洗浄段階における、宿主細胞タンパク質の含有量を低減するための、約0.5mS/cm以下の伝導率値を有する低伝導率水溶液の使用。
146.(a)ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体をコードする核酸を含む細胞を培養する段階、
(b)該細胞または培養培地からヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を回収する段階、
(c)ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体をプロテインAクロマトグラフィー材料と接触させる段階、
(d)約0.5mS/cm以下の伝導率値を有する低伝導率水溶液でプロテインAクロマトグラフィー材料を洗浄する段階、
(e)ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体をプロテインAクロマトグラフィー材料から回収する段階
を含み、
それによってヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を生産する、
ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を生産するための方法。
147.(a)ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を含む試料を用意する段階、
(b)約0.5mS/cm以下の伝導率値を有する低伝導率水溶液でプロテインAクロマトグラフィー材料を洗浄する段階を含むプロテインAクロマトグラフィー法/段階によって、ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を精製する段階
を含む、ヒトIgG4アイソタイプ抗体またはヒトIgG1アイソタイプ抗体を試料から精製するための方法。
148.低伝導率水溶液が脱イオン水である、態様5~7のいずれか一態様の使用。
149.低伝導率水溶液が脱イオン水である、態様54の方法。
【0093】
配列表の説明
SEQ ID NO:01 <VEGF>の可変重鎖ドメインVH
SEQ ID NO:02 <VEGF>の可変軽鎖ドメインVL
SEQ ID NO:03 <ANG-2>の可変重鎖ドメインVH
SEQ ID NO:04 <ANG-2>の可変軽鎖ドメインVL
SEQ ID NO:05 抗アミロイドベータ抗体(IgG1アイソタイプ)の可変重鎖ドメインVH
SEQ ID NO:06 抗アミロイドベータ抗体(IgG1アイソタイプ)の可変軽鎖ドメインVL
SEQ ID NO:07 抗P-セレクチン抗体の可変重鎖ドメインVH1
SEQ ID NO:08 抗P-セレクチン抗体の可変重鎖ドメインVH2
SEQ ID NO:09 抗P-セレクチン抗体の可変重鎖ドメインVH3
SEQ ID NO:10 抗P-セレクチン抗体の可変軽鎖ドメインVL1
SEQ ID NO:11 抗P-セレクチン抗体の可変軽鎖ドメインVL2
SEQ ID NO:12 抗P-セレクチン抗体の可変軽鎖ドメインVL3
【実施例】
【0094】
実施例1
材料および方法
抗体
以下を含む複数の例示的な抗体を使って、本発明を例示する:WO 2005/100402またはSEQ ID NO:07~SEQ ID NO:12に記載のP-セレクチンに対する抗体(抗P-セレクチン抗体;インクラクマブ; IgG4アイソタイプ)、WO 2012/067176に記載の第IXa因子および第X因子に対する二重特異性抗体(抗FIXa/X抗体; IgG4アイソタイプ)、Her2に対する抗体、WO 2011/117329またはSEQ ID NO:01~SEQ ID NO:04に記載のAng2およびVEGF-Aに対する二重特異性抗体(抗Ang2/VEGF-A抗体;バヌシズマブ; IgG1アイソタイプ)、WO 2003/070760またはSEQ ID NO:05~SEQ ID NO:06に記載のアミロイドベータに対する抗体(抗アミロイドベータ抗体;ガンテネルマブ; IgG1アイソタイプ)。以下の例に記載されるように、複数のIgG1抗体およびIgG4抗体もまた、本明細書に含まれる。
【0095】
総宿主細胞タンパク質(HCP)、ホスホリパーゼB様2タンパク質(PLBL2)およびクラスタリンの検出方法
(a)CHO HCPアッセイ
プロセス試料中の残存CHO HCP含有量は、cobas e 411イムノアッセイアナライザー(Roche Diagnostics)で、電気化学発光イムノアッセイ(ECLIA)によって測定される。
【0096】
このアッセイは、ヒツジからのポリクローナル抗CHO HCP抗体を使ったサンドイッチ原理に基づく。
【0097】
第1インキュベーション:15μLの試料(ニートおよび/または希釈物)からのチャイニーズハムスター卵巣宿主細胞タンパク質(CHO HCP)とビオチンコンジュゲートポリクローナルCHO HCP特異的抗体とがサンドイッチ複合体を形成し、これが、ビオチンとストレプトアビジンとの相互作用によってストレプトアビジン被覆微粒子に結合した状態になる。
【0098】
第2インキュベーション:ルテニウム錯体(トリス(2,2'-ビピリジル)ルテニウム(II)錯体)で標識されたポリクローナルCHO HCP特異的抗体の添加後に、微粒子上に三元複合体が形成される。
【0099】
反応混合物を測定セル中に吸引する。このセルでは、微粒子が電極の表面に磁気的に捕捉される。次に、結合していない物質が洗浄段階において除去される。次に、電極への電圧の適用により化学発光の放射が誘発され、それを光電子倍増管によって測定する。
【0100】
最後に、試験試料中のCHO HCPの濃度が、濃度公知のCHO HCP標準曲線から算出される。
【0101】
(b)CHO PLBL2アッセイ
プロセス試料中の残存チャイニーズハムスター卵巣(CHO)ホスホリパーゼB様2タンパク質(PLBL2)含有量は、cobas e 411 イムノアッセイアナライザー(Roche Diagnostics)で、電気化学発光イムノアッセイ(ECLIA)によって測定される。
【0102】
このアッセイは、マウスからのモノクローナル抗CHO PLBL2抗体を使ったサンドイッチ原理に基づく。
【0103】
第1インキュベーション段階では、30μLの試料(ニートおよび/または希釈物)からのCHO PLBL2、ビオチン標識モノクローナルCHO PLBL2特異的抗体、およびルテニウム錯体(トリス(2,2'-ビピリジル)ルテニウム(II)錯体)で標識されたモノクローナルCHO PLBL2特異的抗体が、サンドイッチ複合体を形成する。
【0104】
第2段階では、ストレプトアビジン被覆微粒子の添加後に、ビオチンとストレプトアビジンの相互作用により、三元複合体が固相に結合した状態になる。
【0105】
反応混合物を測定セル中に吸引する。このセルでは、微粒子が電極の表面に磁気的に捕捉される。次に、結合していない物質が洗浄段階において除去される。次に、電極への電圧の適用により化学発光が誘発され、それを光電子倍増管によって測定する。
【0106】
最後に、試験試料中のCHO PLBL2が濃度公知のCHO PLBL2標準曲線から算出される。
【0107】
(c)クラスタリンアッセイ
プロセス試料中の残存クラスタリン含有量は、Merck Milliporeから市販されるアッセイ(GyroMark HT Kit GYRCLU-37K)によって測定される。この市販のアッセイは製造者の説明に従って使用した。
【0108】
簡単に述べると、このアッセイは、逐次、
(1)Bioaffy 1000nL CDのストレプトアビジン被覆アフィニティーカラムへのラットクラスタリンビオチン化捕捉抗体の結合、
(2)抗クラスタリン抗体への、試料からのラットクラスタリン分子の捕捉、
(3)捕捉された分子への第2の色素標識抗クラスタリン検出抗体の結合、
(4)Gyrolab Evaluatorを使ったラットクラスタリンの定量
に基づく、サンドイッチELISAである。
【0109】
実施例2
プロテインAクロマトグラフィーにおける抗P-セレクチン抗体(IgG4アイソタイプ)の精製
抗体:抗P-セレクチン
一般クロマトグラフィー条件
カラム樹脂:プロテインA材料「Mab Select SuRe」(GE-Healthcare)直径1cm、高さ: 20.1cm、CV: 15.79ml
装置: Akta Avant 150
流速:すべての段階において300cm/時
【0110】
プロテインAアフィニティーカラムの平衡化(段階1)後、そのカラムに、抗P-セレクチン抗体を含有する溶液を適用した。抗P-セレクチン抗体を含有する溶液中で測定されたPLBL2の初期負荷量: 335ng PLBL2/mg抗体。抗P-セレクチン抗体を含有する溶液中で測定されたクラスタリンの初期負荷量: 2874.8ngクラスタリン/mg抗体。抗P-セレクチン抗体を含有する溶液中で測定されたCHOPの初期負荷量: 100971ng CHOP/mg抗体。
【0111】
クロマトグラフィー段階は、以下の一般スキームに従って行った。
段階1: 平衡化:
段階2: 抗体含有溶液のローディング
段階3: 洗浄I
段階4: 洗浄II
段階5: 洗浄III
段階6: 洗浄IV(追加の洗浄)
段階7: 溶出
【0112】
プロテインAアフィニティーカラムからの溶出後に、タンパク質をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)および分光光度(OD)分析によって測定した。
【0113】
SEC:
樹脂: TSK 3000(Tosoh)
カラム: 300×7.8mm
流速: 0.5ml/分
緩衝液: 250mMの塩化カリウムを含有する200mMのリン酸カリウム、pH7.0に調節
波長: 280nm
OD:
比係数: 1.54
波長: 280nm マイナス 320nm
【0114】
プロテインAクロマトグラフィー(抗P-セレクチン抗体)用の具体的緩衝液条件
(a)対照(平衡化緩衝液のみによる洗浄)
段階1: 平衡化: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階4: 洗浄II: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階5: 洗浄III: ---
段階6: 洗浄IV: ---
段階7: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0115】
(b)低伝導率洗浄(トリス緩衝液によるもののみ)
段階1: 平衡化: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階4: 洗浄II: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階5: 洗浄III: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階6: 洗浄IV: 2mMトリス、pH8.0
段階7: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0116】
(c)低伝導率洗浄(リン酸カリウム(KP)によるもののみ)
段階1: 平衡化: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階4: 洗浄II: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階5: 洗浄III: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階6: 洗浄IV: 0.5mMリン酸カリウム、pH8.0
段階7: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0117】
(d)高伝導率洗浄(トリス緩衝液によるもののみ)
段階1: 平衡化: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階4: 洗浄II: 700mMトリス、pH7.2
段階5: 洗浄III: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階6: 洗浄IV: ---
段階7: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0118】
(e)低伝導率洗浄(トリス緩衝液によるもののみ; pH6.0)
段階1: 平衡化: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階4: 洗浄II: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階5: 洗浄III: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階6: 洗浄IV: 2mMトリス、pH6.0
段階7: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0119】
(f)高伝導率洗浄(ヒスチジン(His)/トリス緩衝液によるもののみ)
段階1: 平衡化: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階4: 洗浄II: 200mM His/1000mMトリス、pH7.0
段階5: 洗浄III: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階6: 洗浄IV: ---
段階7: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0120】
(g)低伝導率トリス+高伝導率ヒスチジン(His)/トリス
段階1: 平衡化: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階4: 洗浄II: 200mM His/1000mMトリス、pH7.0
段階5: 洗浄III: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階6: 洗浄IV: 2mMトリス、pH8.0
段階7: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0121】
(h)低伝導率リン酸カリウム(KP)+高伝導率ヒスチジン(His)/トリス
段階1: 平衡化: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階4: 洗浄II: 200mM His/1000mMトリス、pH7.0
段階5: 洗浄III: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階6: 洗浄IV: 0.5mMリン酸カリウム、pH8.0
段階7: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0122】
(i)低伝導率トリス+高伝導率トリス
段階1: 平衡化: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階4: 洗浄II: 700mMトリス、pH7.2
段階5: 洗浄III: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階6: 洗浄IV: 2mMトリス、pH8.0
段階7: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0123】
(j)低伝導率トリス; pH6.0+高伝導率トリス
段階1: 平衡化: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階4: 洗浄II: 700mMトリス、pH7.2
段階5: 洗浄III: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階6: 洗浄IV: 2mMトリス、pH6.0
段階7: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0124】
【0125】
実施例3
プロテインAクロマトグラフィーにおける抗アミロイドベータ抗体(IgG1アイソタイプ)の精製
一般条件は実施例2に記載した条件に従った。
抗体:抗アミロイドベータ。
抗アミロイドベータ抗体を含有する溶液中で測定されたPLBL2の初期負荷量: 2019.7ng PLBL2/mg抗体。抗アミロイドベータ抗体を含有する溶液中で測定されたCHOPの初期負荷量: 578908ng CHOP/mg抗体。
【0126】
プロテインAクロマトグラフィー用の具体的緩衝液条件
(a)対照(平衡化緩衝液のみによる洗浄)
段階1: 平衡化: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階4: 洗浄II: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階5: 洗浄III: ---
段階6: 洗浄IV: ---
段階7: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0127】
(b)低伝導率洗浄(トリス緩衝液によるもののみ)
段階1: 平衡化: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階4: 洗浄II: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階5: 洗浄III: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階6: 洗浄IV: 2mMトリス、pH8.0
段階7: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0128】
(c)高伝導率洗浄(トリス緩衝液によるもののみ)
段階1: 平衡化: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階4: 洗浄II: 700mMトリス、pH7.2
段階5: 洗浄III: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階6: 洗浄IV: ---
段階7: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0129】
(d)低伝導率トリス+高伝導率ヒスチジン(His)/トリス
段階1: 平衡化: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階4: 洗浄II: 200mM His/1000mMトリス、pH7.0
段階5: 洗浄III: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階6: 洗浄IV: 2mMトリス、pH8.0
段階7: 溶出 50mM酢酸、pH4.0
【0130】
【0131】
実施例4
プロテインAクロマトグラフィーにおける抗Her2抗体(IgG1アイソタイプ)の精製
一般条件は実施例2に記載した条件に従った。
抗体:抗Her2
抗Her2抗体を含有する溶液中で測定されたPLBL2の初期負荷量: 1662.5ng PLBL2/mg抗体。抗Her2抗体を含有する溶液中で測定されたCHOPの初期負荷量: 727070ng CHOP/mg抗体。
【0132】
プロテインAクロマトグラフィー用の具体的緩衝液条件
(a)対照(平衡化緩衝液のみによる洗浄)
段階1: 平衡化: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階4: 洗浄II: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階5: 洗浄III: ---
段階6: 洗浄IV: ---
段階7: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0133】
(b)低伝導率洗浄(トリス緩衝液によるもののみ)
段階1: 平衡化: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階4: 洗浄II: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階5: 洗浄III: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階6: 洗浄IV: 2mMトリス、pH8.0
段階7: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0134】
(c)高伝導率洗浄(トリス緩衝液によるもののみ)
段階1: 平衡化: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階4: 洗浄II: 700mMトリス、pH7.2
段階5: 洗浄III: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階6: 洗浄IV: ---
段階7: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0135】
(d)低伝導率トリス+高伝導率ヒスチジン(His)/トリス
段階1: 平衡化: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階4: 洗浄II: 200mM His/1000mMトリス、pH7.0
段階5: 洗浄III: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階6: 洗浄IV: 2mMトリス、pH8.0
段階7: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0136】
【0137】
実施例5
プロテインAクロマトグラフィーにおける二重特異性抗Ang2/VEGF-A抗体(IgG1アイソタイプ)の精製
一般条件は実施例2に記載した条件に従った。
抗体:抗Ang2/VEGF-A
二重特異性抗Ang2/VEGF-A抗体を含有する溶液中で測定されたPLBL2の初期負荷量: 919.7ng PLBL2/mg抗体。抗Ang2/VEGF-Aを含有する溶液中で測定されたCHOPの初期負荷量: 682304ng CHOP/mg抗体。
【0138】
プロテインAクロマトグラフィー用の具体的緩衝液条件
(a)対照(平衡化緩衝液のみによる洗浄)
段階1: 平衡化: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階4: 洗浄II: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階5: 洗浄III: ---
段階6: 洗浄IV: ---
段階7: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0139】
(b)低伝導率洗浄(トリス緩衝液によるもののみ)
段階1: 平衡化: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階4: 洗浄II: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階5: 洗浄III: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階6: 洗浄IV: 2mMトリス、pH8.0
段階7: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0140】
(c)高伝導率洗浄(トリス緩衝液によるもののみ)
段階1: 平衡化: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階4: 洗浄II: 700mMトリス、pH7.2
段階5: 洗浄III: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階6: 洗浄IV: ---
段階7: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0141】
(d)低伝導率トリス+高伝導率ヒスチジン(His)/トリス
段階1: 平衡化: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階4: 洗浄II: 200mM His/1000mMトリス、pH7.0
段階5: 洗浄III: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階6: 洗浄IV: 2mMトリス、pH8.0
段階7: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0142】
【0143】
実施例6
プロテインAクロマトグラフィーにおける二重特異性抗FIXa/X抗体(IgG4アイソタイプ)の精製
抗FIXa/X抗体の精製を2つの異なるクロマトグラフィー設定で試験した。
【0144】
設定1
一般条件は実施例2に記載した条件に従った。
抗体:抗FIXa/X
抗FIXa/X抗体を含有する溶液中で測定されたPLBL2の初期負荷量: 557ng PLBL2/mg抗体。抗FIXa/Xを含有する溶液中で測定されたCHOPの初期負荷量: 387377ng CHOP/mg抗体。
【0145】
プロテインAクロマトグラフィー用の具体的緩衝液条件
(a)高伝導率洗浄(トリス緩衝液によるもののみ)
段階1: 平衡化: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階4: 洗浄II: 700mMトリス、pH7.2
段階5: 洗浄III: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階6: 洗浄IV: ---
段階7: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0146】
(b)低伝導率トリス+高伝導率ヒスチジン(His)/トリス
段階1: 平衡化: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階4: 洗浄II: 200mM His/1000mMトリス、pH7.0
段階5: 洗浄III: 25mMトリス、25mM NaCl、pH7.0
段階6: 洗浄IV: 2mMトリス、pH8.0
段階7: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0147】
【0148】
設定2
一般クロマトグラフィー条件
カラム樹脂: プロテインA材料「Mab Select SuRe」(GE-Healthcare)直径1cm、高さ: 20.1cm、CV: 15.79ml
装置: Akta Avant 150
流速:すべての段階において300cm/時
【0149】
プロテインAアフィニティーカラムの平衡化(段階1)後、そのカラムに、抗FIXa/X抗体を含有する溶液を適用した。
【0150】
抗FIXa/X抗体を含有する溶液中で測定されたPLBL2の初期負荷量: 557ng PLBL2/mg抗体。
【0151】
クロマトグラフィー段階は、以下の一般スキームに従って行った。
段階1: 平衡化:
段階2: 抗体含有溶液のローディング
段階3: 洗浄I
段階4: 洗浄II
段階5: 洗浄III(追加の洗浄)
段階6: 溶出
【0152】
プロテインAクロマトグラフィー用の具体的緩衝液条件
(a)高伝導率洗浄(NaSO4緩衝液によるもののみ)
段階1: 平衡化: 20mM NaPO4、pH7.5
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 450mM NaSO4、20mM NaAc、pH4.8
段階4: 洗浄II: 20mM NaPO4、pH7.5
段階5: 洗浄III: ---
段階6: 溶出: 35mM酢酸、pH4.0
【0153】
(b)低伝導率洗浄(トリス1mM)+高伝導率洗浄(NaSO4によるもの)
段階1: 平衡化: 20mM NaPO4、pH7.5
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 450mM NaSO4、20mM NaAc、pH4.8
段階4: 洗浄II: 20mM NaPO4、pH7.5
段階5: 洗浄III: 1mMトリス、pH8.0
段階6: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0154】
(c)低伝導率洗浄(トリス2mM)+高伝導率洗浄(NaSO4によるもの)
段階1: 平衡化: 20mM NaPO4、pH7.5
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 450mM NaSO4、20mM NaAc、pH4.8
段階4: 洗浄II: 20mM NaPO4、pH7.5
段階5: 洗浄III: 2mMトリス、pH8.0
段階6: 溶出: 35mM酢酸、pH4.0
【0155】
(d)低伝導率洗浄(トリス4mM)+高伝導率洗浄(NaSO4によるもの)
段階1: 平衡化: 20mM NaPO4、pH7.5
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 450mM NaSO4、20mM NaAc、pH4.8
段階4: 洗浄II: 20mM NaPO4、pH7.5
段階5: 洗浄III: 4mMトリス、pH8.0
段階6: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0156】
(e)低伝導率洗浄(トリス6mM)+高伝導率洗浄(NaSO4によるもの)
段階1: 平衡化: 20mM NaPO4、pH7.5
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 450mM NaSO4、20mM NaAc、pH4.8
段階4: 洗浄II: 20mM NaPO4、pH7.5
段階5: 洗浄III: 6mMトリス、pH8.0
段階6: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0157】
(f)低伝導率洗浄(トリス4mM、pH7.8)+高伝導率洗浄(NaSO4によるもの)
段階1: 平衡化: 20mM NaPO4、pH7.5
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 450mM NaSO4、20mM NaAc、pH4.8
段階4: 洗浄II: 20mM NaPO4、pH7.5
段階5: 洗浄III: 4mMトリス、pH7.8
段階6: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0158】
(g)低伝導率洗浄(トリス4mM、pH8.2)+高伝導率洗浄(NaSO4によるもの)
段階1: 平衡化: 20mM NaPO4、pH7.5
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 450mM NaSO4、20mM NaAc、pH4.8
段階4: 洗浄II: 20mM NaPO4、pH7.5
段階5: 洗浄III: 4mMトリス、pH8.2
段階6: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0159】
(h)低伝導率洗浄(トリス2mM)+高伝導率洗浄(ヒスチジン(His)/トリス1Mによるもの)
段階1: 平衡化: 20mM NaPO4、pH7.5
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 200mM His/1000mMトリス、pH7.0
段階4: 洗浄II: 20mM NaPO4、pH7.5
段階5: 洗浄III: 2mMトリス、pH8.0
段階6: 溶出: 35mM酢酸、pH4.0
【0160】
(i)低伝導率洗浄(トリス2mM)+高伝導率洗浄(ヒスチジン(His)/トリス0.85M)
段階1: 平衡化: 20mM NaPO4、pH7.5
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 200mM His/850mMトリス、pH7.0
段階4: 洗浄II: 20mM NaPO4、pH7.5
段階5: 洗浄III: 2mMトリス、pH8.0
段階6: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0161】
(j)低伝導率洗浄(トリス2mM)+高伝導率洗浄(ヒスチジン(His)/トリス0.7M)
段階1: 平衡化: 20mM NaPO4、pH7.5
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 200mM His/700mMトリス、pH7.0
段階4: 洗浄II: 20mM NaPO4、pH7.5
段階5: 洗浄III: 2mMトリス、pH8.0
段階6: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0162】
(k)低伝導率洗浄(トリス2mM)+高伝導率洗浄(ヒスチジン(His)/トリス0.55M)
段階1: 平衡化: 20mM NaPO4、pH7.5
段階2: ローディング
段階3: 洗浄I: 200mM His/550mMトリス、pH7.0
段階4: 洗浄II: 20mM NaPO4、pH7.5
段階5: 洗浄III: 2mMトリス、pH8.0
段階6: 溶出: 50mM酢酸、pH4.0
【0163】
【0164】
実施例7
一般手順/条件:
モック細胞培養液
無血清培地中で培養した非トランスフェクトCHO-DP12細胞を使って、ヌル収穫細胞培養液(null harvested cell culture fluid)を生産した。発酵は代表的な細胞培養プロセスを使って2Lスケールで行った。14日間の発酵の最後に、遠心分離および滅菌濾過によって細胞培養液を収穫した。次に、この収穫細胞培養液(HCCF)を実験まで-70℃で保存した。
【0165】
精製PLBL2
C末端ヘキサヒスチジンタグを持つ組換えCHO PLBL2を35Lスケールの一過性トランスフェクションで発現させ、収穫細胞培養液から既述のとおり精製した(Vanderlaan et al, 2015)。次に、精製PLBL2をPBS溶液中に製剤化し、実験まで-70℃で保存した。
【0166】
精製抗体
組換えヒト化抗体をCHO細胞中で発現させ、PLBL2濃度が20ng/mg未満であることを保証するために、カラムクロマトグラフィーを使って精製した。各研究の開始に先立ち、PD-10脱塩カラム(GE Healthcare)を使って各抗体をPBSに緩衝液交換した。
【0167】
プロテインAクロマトグラフィーのための負荷材料の調製
抗体間でプロテインA負荷物中の宿主細胞タンパク質の集団および存在量を標準化するために、精製抗体をPBSで同じ濃度に希釈し、非生産細胞株からのHCCFにスパイクすることで、5g/Lの最終抗体価を得た。抗体の非存在下でのプロテインA樹脂への非特異的宿主細胞タンパク質結合を評価するために、精製抗体の代わりにPBSを加えた対照も調製した。
【0168】
充填床カラムクロマトグラフィー
充填床カラムクロマトグラフィー実験はすべて、内径0.66cm×床高20cmのMabSelect SuRe(GE Healthcare)プロテインA樹脂カラムを使って行った。精製ごとに、カラムをまず、25mMトリス、25mM NaCl、pH7.7(平衡化緩衝液)で3カラム体積(CV)にわたって平衡化した。次に、プロテインA負荷物を、30g抗体/L樹脂の目標負荷密度まで適用した後、カラムを、3CVの平衡化緩衝液、3CVの異なるタイプの洗浄緩衝液、そして再び3CVの平衡化緩衝液で洗浄した。次に、0.1~0.15M酢酸を使って、低いpHで抗体を溶出させ、溶出液プールの収集を、溶出ピークの開始時に0.5ODから開始し、2.8CV後にプーリングを終了した。PBSスパイクヌルHCCFを使った対照実験の場合は、溶出相の開始後1CVから開始して3.8CVまで、2.8CVのモック溶出液プールを得た。次に、各実験の最後に、それぞれのプロテインA溶出液を、1.5Mトリス塩基を使ってpH5.0までタイトレートした。次に、カラムを0.1M水酸化ナトリウム溶液で浄化した。流量が15CV/時であった負荷相、第1平衡化洗浄相、および溶出相を除くすべての相において、体積流量は20CV/時であった。
【0169】
(A)プロテインAクロマトグラフィーにおける、例示的抗体(IgG4アイソタイプ)、抗体Aの精製
実施例7の一般手順(上に概説したもの)を使って抗体A(IgG4アイソタイプ)を精製するための具体的洗浄緩衝液条件:
(a)0.4Mリン酸カリウム、pH7.0
(b)25mMトリス、25mM NaCl、pH7.7
(c)0.75M Arg-HCl、pH7.0
(d)0.6M NaCl、pH7.0
(e)脱イオン水
【0170】
【0171】
(B)プロテインAクロマトグラフィーにおける例示的抗体(IgG1アイソタイプ)、抗体Bの精製
実施例7の一般手順を使って抗体B(IgG1アイソタイプ)を精製するための具体的洗浄緩衝液条件:
(a)脱イオン水
【0172】
【0173】
(C)プロテインAクロマトグラフィーにおける例示的抗体(IgG4アイソタイプ)、抗体Cの精製
実施例7の一般手順を使って抗体C(IgG4アイソタイプ)を精製するための具体的洗浄緩衝液条件:
(a)0.4Mリン酸カリウム、pH7.0
(b)25mMトリス、25mM NaCl、pH7.7
(c)0.75M Arg-HCl、pH7.0
(d)0.6M NaCl、pH7.0
(e)脱イオン水
【0174】
【0175】
(D)プロテインAクロマトグラフィーにおける例示的抗体(IgG1アイソタイプ)、抗体Dの精製
実施例7の一般手順を使って抗体D(IgG1アイソタイプ)を精製するための具体的洗浄緩衝液条件:
(a)脱イオン水
【0176】
【0177】
(E)プロテインAクロマトグラフィーにおける例示的抗体(IgG1アイソタイプ)、抗体Eの精製
実施例7の一般手順を使って抗体E(IgG1アイソタイプ)を精製するための具体的洗浄緩衝液条件:
(a)0.4Mリン酸カリウム、pH7.0
(b)31mMトリス、pH8.5
(c)55mMトリス、pH9.0
(d)脱イオン水
【0178】
【0179】
(F)プロテインAクロマトグラフィーにおける例示的抗体(IgG1アイソタイプ)、抗体Fの精製
実施例7の一般手順を使って抗体Fを精製するための具体的洗浄緩衝液条件:
(a)25mMトリス、pH9.0
【0180】
【0181】
配列情報
SEQUENCE LISTING
<110> F. Hoffmann-La Roche AG
Genentech, Inc.
<120> Method for the reduction of host cell proteins in affinity
chromatography
<150> US 62/208,523
<151> 2015-08-21
<160> 12
<170> PatentIn version 3.5
<210> 1
<211> 123
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> variable heavy chain domain VH of <VEGF> bevacizumab
<400> 1
Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15
Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Asn Tyr
20 25 30
Gly Met Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val
35 40 45
Gly Trp Ile Asn Thr Tyr Thr Gly Glu Pro Thr Tyr Ala Ala Asp Phe
50 55 60
Lys Arg Arg Phe Thr Phe Ser Leu Asp Thr Ser Lys Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Lys Tyr Pro His Tyr Tyr Gly Ser Ser His Trp Tyr Phe Asp Val
100 105 110
Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
115 120
<210> 2
<211> 107
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> variable light chain domain VL of <VEGF> bevacizumab
<400> 2
Asp Ile Gln Met Thr Gln Ser Pro Ser Ser Leu Ser Ala Ser Val Gly
1 5 10 15
Asp Arg Val Thr Ile Thr Cys Ser Ala Ser Gln Asp Ile Ser Asn Tyr
20 25 30
Leu Asn Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Lys Ala Pro Lys Val Leu Ile
35 40 45
Tyr Phe Thr Ser Ser Leu His Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
50 55 60
Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Pro
65 70 75 80
Glu Asp Phe Ala Thr Tyr Tyr Cys Gln Gln Tyr Ser Thr Val Pro Trp
85 90 95
Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys
100 105
<210> 3
<211> 128
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> variable heavy chain domain VH of <ANG-2> E6Q
<400> 3
Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ala
1 5 10 15
Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Gly Tyr
20 25 30
Tyr Met His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45
Gly Trp Ile Asn Pro Asn Ser Gly Gly Thr Asn Tyr Ala Gln Lys Phe
50 55 60
Gln Gly Arg Val Thr Met Thr Arg Asp Thr Ser Ile Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Met Glu Leu Ser Arg Leu Arg Ser Asp Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Arg Ser Pro Asn Pro Tyr Tyr Tyr Asp Ser Ser Gly Tyr Tyr Tyr
100 105 110
Pro Gly Ala Phe Asp Ile Trp Gly Gln Gly Thr Met Val Thr Val Ser
115 120 125
<210> 4
<211> 108
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> variable light chain domain VL of < ANG-2> E6Q
<400> 4
Gln Pro Gly Leu Thr Gln Pro Pro Ser Val Ser Val Ala Pro Gly Gln
1 5 10 15
Thr Ala Arg Ile Thr Cys Gly Gly Asn Asn Ile Gly Ser Lys Ser Val
20 25 30
His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ala Pro Val Leu Val Val Tyr
35 40 45
Asp Asp Ser Asp Arg Pro Ser Gly Ile Pro Glu Arg Phe Ser Gly Ser
50 55 60
Asn Ser Gly Asn Thr Ala Thr Leu Thr Ile Ser Arg Val Glu Ala Gly
65 70 75 80
Asp Glu Ala Asp Tyr Tyr Cys Gln Val Trp Asp Ser Ser Ser Asp His
85 90 95
Tyr Val Phe Gly Thr Gly Thr Lys Val Thr Val Leu
100 105
<210> 5
<211> 126
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 5
Gln Val Glu Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15
Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Ser Tyr
20 25 30
Ala Met Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val
35 40 45
Ser Ala Ile Asn Ala Ser Gly Thr Arg Thr Tyr Tyr Ala Asp Ser Val
50 55 60
Lys Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ser Lys Asn Thr Leu Tyr
65 70 75 80
Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Arg Gly Lys Gly Asn Thr His Lys Pro Tyr Gly Tyr Val Arg Tyr
100 105 110
Phe Asp Val Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
115 120 125
<210> 6
<211> 108
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 6
Asp Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Ala Thr Leu Ser Leu Ser Pro Gly
1 5 10 15
Glu Arg Ala Thr Leu Ser Cys Arg Ala Ser Gln Ser Val Ser Ser Ser
20 25 30
Tyr Leu Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ala Pro Arg Leu Leu
35 40 45
Ile Tyr Gly Ala Ser Ser Arg Ala Thr Gly Val Pro Ala Arg Phe Ser
50 55 60
Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Glu
65 70 75 80
Pro Glu Asp Phe Ala Thr Tyr Tyr Cys Leu Gln Ile Tyr Asn Met Pro
85 90 95
Ile Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys
100 105
<210> 7
<211> 124
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 7
Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15
Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Ser Tyr
20 25 30
Asp Met His Trp Val Arg Gln Ala Thr Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val
35 40 45
Ser Gly Ile Thr Thr Ala Gly Asp Thr Tyr Tyr Pro Gly Ser Val Lys
50 55 60
Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Glu Asn Ala Lys Asn Ser Leu Tyr Leu
65 70 75 80
Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Gly Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys Ala
85 90 95
Arg Gly Arg Ile Ser Met Asp Arg Gly Val Lys Asn Asn Trp Phe Asp
100 105 110
Pro Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
115 120
<210> 8
<211> 124
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 8
Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Arg Pro Gly Gly
1 5 10 15
Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Asn Tyr
20 25 30
Asp Met His Trp Val Arg Gln Ala Thr Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val
35 40 45
Ser Ala Ile Thr Ala Ala Gly Asp Ile Tyr Tyr Pro Gly Ser Val Lys
50 55 60
Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Glu Asn Ala Lys Asn Ser Leu Tyr Leu
65 70 75 80
Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Gly Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys Ala
85 90 95
Arg Gly Arg Tyr Ser Gly Ser Gly Ser Tyr Tyr Asn Asp Trp Phe Asp
100 105 110
Pro Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
115 120
<210> 9
<211> 124
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 9
Gln Pro Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ala
1 5 10 15
Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Val Ser Gly Asn Thr Leu Thr Glu Leu
20 25 30
Ser Met His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45
Gly Gly Phe Asp Pro Glu Asn Gly Glu Ala Ile Tyr Ala Gln Lys Phe
50 55 60
Gln Gly Arg Val Thr Met Thr Ala Asp Thr Ser Thr Asp Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Met Asp Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Thr Asp Leu Ala Gly Gly Ser Asp Phe Tyr Tyr Tyr Gly Leu Asp
100 105 110
Val Trp Gly Gln Gly Thr Thr Val Thr Val Ser Ser
115 120
<210> 10
<211> 107
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 10
Glu Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Ala Thr Leu Ser Leu Ser Pro Gly
1 5 10 15
Glu Arg Ala Thr Leu Ser Cys Arg Ala Ser Gln Ser Val Ser Ser Tyr
20 25 30
Leu Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ala Pro Arg Leu Leu Ile
35 40 45
Tyr Asp Ala Ser Asn Arg Ala Thr Gly Ile Pro Ala Arg Phe Ser Gly
50 55 60
Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Glu Pro
65 70 75 80
Glu Asp Phe Ala Val Tyr Tyr Cys Gln Gln Arg Asn Asn Trp Pro Leu
85 90 95
Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys
100 105
<210> 11
<211> 107
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 11
Glu Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Ala Thr Leu Ser Leu Ser Pro Gly
1 5 10 15
Glu Arg Ala Thr Leu Ser Cys Arg Ala Ser Gln Ser Val Ser Ser Tyr
20 25 30
Leu Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ala Pro Arg Leu Leu Ile
35 40 45
Tyr Asp Ala Ser Asn Arg Ala Thr Gly Ile Pro Ala Arg Phe Ser Gly
50 55 60
Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Glu Pro
65 70 75 80
Glu Asp Phe Ala Val Tyr Tyr Cys Gln Gln Arg Ser Asn Trp Pro Leu
85 90 95
Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys
100 105
<210> 12
<211> 107
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 12
Ala Ile Gln Leu Thr Gln Ser Pro Ser Ser Leu Ser Ala Ser Val Gly
1 5 10 15
Asp Arg Val Thr Ile Thr Cys Arg Ala Ser Gln Gly Ile Ser Ser Ala
20 25 30
Leu Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Lys Ala Pro Lys Leu Leu Ile
35 40 45
Tyr Asp Ala Ser Ser Leu Glu Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
50 55 60
Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Pro
65 70 75 80
Glu Asp Phe Ala Thr Tyr Tyr Cys Gln Gln Phe Asn Ser Tyr Pro Tyr
85 90 95
Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys
100 105
【配列表】