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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20241225BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20241225BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
G06F1/16 312F
G06F1/16 312E
H05K5/02 R
G09F9/00 350A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023106784
(22)【出願日】2023-06-29
【審査請求日】2023-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山内 武仁
(72)【発明者】
【氏名】岡本 雅士
(72)【発明者】
【氏名】中西 爽
(72)【発明者】
【氏名】原 慎孝
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-074877(JP,A)
【文献】特開2023-005541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16
H05K 5/02
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
縁部に立壁を有する筐体部材と、
表示面を有し、前記表示面とは反対側の裏面が前記筐体部材の内面で支持され、外周側面が前記立壁と対向して配置されるディスプレイパネルと、
タブを引っ張ることで引張剥離可能な特性を有し、前記ディスプレイパネルの裏面を前記筐体部材の内面に固定する両面粘着テープと、
を備え、
前記立壁は、前記ディスプレイパネルの外周側面と対向する位置に、前記タブが配置される凹状部を有し、
前記凹状部の内壁面には、前記タブの幅よりも幅狭な突出部が設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記凹状部は、前記外周側面の延在方向に沿う前記内壁面の幅方向で両側に位置する一対の側壁面と前記突出部との間の隙間の幅が、いずれも前記タブの幅よりも狭い
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子機器であって、
前記突出部の先端面は、前記筐体部材の内面からの前記立壁の起立方向に向かって次第に前記ディスプレイパネルの外周側面から離間する方向に傾斜しながら延在している
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の電子機器であって、
前記先端面は、前記ディスプレイパネルの外周側面から離間する方向の傾斜角度が変化する傾斜変化部を有し、
前記先端面は、前記傾斜変化部を基準として、前記筐体部材の内面に近い部分よりも該内面から遠い部分での傾斜角度が大きい
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
電子機器であって、
縁部に立壁を有する筐体部材と、
表示面を有し、前記表示面とは反対側の裏面が前記筐体部材の内面で支持され、外周側面が前記立壁と対向して配置されるディスプレイパネルと、
タブを引っ張ることで引張剥離可能な特性を有し、前記ディスプレイパネルの裏面を前記筐体部材の内面に固定する両面粘着テープと、
を備え、
前記立壁の内壁面には、前記タブの幅よりも幅狭に形成され、前記タブが支持される突出部が設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型PCのような電子機器は、液晶ディスプレイ等のディスプレイパネルを備える。ディスプレイパネルは、メンテナンス時に取り外しできることが望ましい。そこで、特許文献1には、引張剥離可能な両面粘着テープを用いてディスプレイパネルを固定した構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-079985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようにディスプレイパネルを両面粘着テープで固定した構成では、引張剥離時に把持するための持ち手(タブ)をディスプレイパネルの側方に張り出させておく必要がある。ところが、上記したノート型PCのような電子機器は、通常、ディスプレイパネル周囲のスペースが狭い狭額縁構造の筐体を採用している。このため、薄く小さなタブは、この狭いスペースで立壁の内壁面等に張り付いてしまうことがある。そうすると、ピンセットのような細い工具を用いてもタブを円滑に掴むことが難しく、両面粘着テープの引張剥離する際の作業性が低下する。
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、両面粘着テープを引張剥離する際の作業性を向上することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る電子機器は、縁部に立壁を有する筐体部材と、表示面を有し、前記表示面とは反対側の裏面が前記筐体部材の内面で支持され、外周側面が前記立壁と対向して配置されるディスプレイパネルと、タブを引っ張ることで引張剥離可能な特性を有し、前記ディスプレイパネルの裏面を前記筐体部材の内面に固定する両面粘着テープと、を備え、前記立壁は、前記ディスプレイパネルの外周側面と対向する位置に、前記タブが配置される凹状部を有し、前記凹状部の内壁面には、前記タブの幅よりも幅狭な突出部が設けられている。
【0007】
本発明の第2態様に係る電子機器は、縁部に立壁を有する筐体部材と、表示面を有し、前記表示面とは反対側の裏面が前記筐体部材の内面で支持され、外周側面が前記立壁と対向して配置されるディスプレイパネルと、タブを引っ張ることで引張剥離可能な特性を有し、前記ディスプレイパネルの裏面を前記筐体部材の内面に固定する両面粘着テープと、を備え、前記立壁の内壁面には、前記タブの幅よりも幅狭な突出部が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記態様によれば、両面粘着テープを引張剥離する際の作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る電子機器を上から見下ろした模式的な平面図である。
図2図2は、第1筐体の模式的な正面図である。
図3図3は、凹状部及びその周辺部を拡大した斜視図である。
図4A図4Aは、凹状部及びその周辺部を拡大した平面図である。
図4B図4Bは、図4Aに示す筐体部材に両面粘着テープを用いてディスプレイパネルを取り付けた状態を示す平面図である。
図5A図5Aは、図4B中のVA-VA線に沿う模式的な断面図である。
図5B図5Bは、図4B中のVB-VB線に沿う模式的な断面図である。
図6図6は、突出部を設けていない凹状部にタブを配置した比較例に係る構成での側面断面図を示している。
図7図7は、変形例に係る突出部の設置構造を示す要部拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を上から見下ろした模式的な平面図である。図1に示すように、本実施形態の電子機器10は、クラムシェル型のノート型PCであり、第1筐体11と第2筐体12とをヒンジ14によって相対的に回動可能に連結した構成である。本実施形態では、ノート型PCの電子機器10を例示しているが、電子機器はノート型PC以外、例えば単体のディスプレイ装置、タブレット型PC、スマートフォン、又は携帯用ゲーム機等でもよい。
【0012】
第2筐体12は、扁平な箱体であり、第1筐体11と隣接している。第2筐体12の内部には、CPU等を搭載したマザーボード、バッテリ装置、メモリ、アンテナ装置等の各種電子部品が収容されている。第2筐体12の上面には、キーボード16及びタッチパッド17が臨んでいる。
【0013】
第1筐体11は、第2筐体12よりも薄い扁平な箱体である。第1筐体11は、ディスプレイパネル18を搭載している。以下、第1筐体11及びこれに搭載された各構成要素について、ディスプレイパネル18の表示面18aを視認するユーザから見た方向を基準とし、左右方向をそれぞれX1,X2方向、上下方向をそれぞれY1,Y2方向、奥行方向をそれぞれZ1,Z2方向と呼んで説明する。X1,X2方向をまとめてX方向と呼ぶこともあり、Y1,Y2方向及びZ1,Z2方向についても同様にY方向、Z方向と呼ぶことがある。
【0014】
ディスプレイパネル18の表示面18aは、第1筐体11のZ1側表面(正面11a)を臨んでいる。第1筐体11は、Z2側表面(背面11b)を形成する筐体部材20と、正面11aの周縁部を形成するベゼル部材22とを有する。第1筐体11の上下左右の側面は、筐体部材20の四周縁部から起立した立壁23によって形成されている。ベゼル部材22は、ディスプレイパネル18の外周縁部を囲む枠状の薄いプレートである。第1筐体11の正面11aは、ベゼル部材22も含めた略全面がタッチガラス24で覆われている。ヒンジ14は、第1筐体11のY2側縁部(下縁部11c)に連結されている。
【0015】
ディスプレイパネル18は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイで構成される。ディスプレイパネル18は、例えばガラス、液晶層、及び導光板等を積層してそれぞれの層の外周縁部同士を両面テープや接着剤等で固定した構造である。タッチガラス24は、表示面18aを覆うことで、ディスプレイパネル18に対するタッチ操作を受け付けるタッチパネルを構成する。
【0016】
図2は、第1筐体11の模式的な正面図である。図2は、タッチガラス24及びベゼル部材22の図示を省略し、ディスプレイパネル18の外形を2点鎖線で図示している。つまり図2は、主として筐体部材20の内面20a(背面11bの裏面)と、内面20aに粘着された両面粘着テープ26とを示している。
【0017】
図2に示すように、筐体部材20は、例えばプレート部20Aの外周縁部にフレーム部20Bを接合した構成である(図4A図5Bも参照)。立壁23はフレーム部20Bに形成されている。プレート部20Aは、例えば炭素繊維強化樹脂の積層プレートである。フレーム部20Bは、プレート部20Aの縁部に射出成形によって接合された樹脂フレームである。筐体部材20は、プレート部20A及びフレーム部20Bを同一の樹脂材料等で一体に形成した構成等でもよい。
【0018】
立壁23は、第1筐体11の外周側面を形成すると共に、そのZ1側表面がベゼル部材22の貼着面となる。筐体部材20は、下縁部11c側の立壁23の一部が切欠きされ、その内面20aに左右一対のブラケット28が接着固定されている。ブラケット28は、ヒンジ14をねじ止めするための金属部品である。
【0019】
筐体部材20の内面20aには、例えばY方向に延在する両面粘着テープ26が左右一対設けられている。両面粘着テープ26は、筐体部材20に対してディスプレイパネル18を固定するための粘着テープである。両面粘着テープ26は、ディスプレイパネル18の表示面18aとは反対側の裏面18bと、筐体部材20の内面20aとを粘着固定する(図4A図5B参照)。本実施形態の場合、左右の両面粘着テープ26,26は互いに形状や配置が異なるが、それぞれの果たす機能と効果は同一又は同様である。両面粘着テープの設置枚数は1枚又は3枚以上でもよい。
【0020】
なお、図5A及び図5Bに示すように、筐体部材20の内面20aには段差や曲面が形成されている。段差は、例えばプレート部20Aとフレーム部20Bとの間に形成される。曲面は、ドーム状に湾曲したプレート部20Aの内面に形成される。そこで、両面粘着テープ26は、これら段差や曲面を平面状に補正するブラケット等を介して間接的に内面20aに固定されてもよい。
【0021】
両面粘着テープ26は、例えばストレッチリリーステープ、ストレッチ両面テープ、或いはララテープ等と呼ばれるものである。両面粘着テープ26は、一端部にあるタブ26aを引っ張ることで引張剥離可能な特性を有する。両面粘着テープ26は、タブ26a以外の部分の両面に粘着層26bを有する。タブ26aは、粘着層26bを設けていないか、又は粘着層26bをフィルム等で覆うことで、他の部品に粘着されることを防止している。これによりユーザはタブ26aを円滑に掴んで引っ張ることができる。タブ26aは、両面粘着テープ26とは別のシート部材で構成し、このシート部材を両面粘着テープ26の端部に接続したものでもよい。
【0022】
図2に示すように、各両面粘着テープ26のタブ26aは、ディスプレイパネル18の外周側面18cの側部に配置され、立壁23に形成された凹状部30に配置される。本実施形態の凹状部30は、第1筐体11のY1側縁部(上縁部11d)を構成する立壁23に形成されている。凹状部30は、第1筐体11の下縁部11c又はY方向に沿って延在する左右の縁部の立壁23に設けてもよい。
【0023】
次に、凹状部30及びその周辺部の構成と、凹状部30でのタブ26aaの設置態様とを説明する。
【0024】
図3は、凹状部30及びその周辺部を拡大した斜視図である。図3は、タッチガラス24及びベゼル部材22の図示を省略し、両面粘着テープ26の外形を2点鎖線で図示している。図4Aは、凹状部30及びその周辺部を拡大した平面図である。図4Bは、図4Aに示す筐体部材20に両面粘着テープ26を用いてディスプレイパネル18を取り付けた状態を示す平面図である。図5Aは、図4B中のVA-VA線に沿う模式的な断面図である。図5Bは、図4B中のVB-VB線に沿う模式的な断面図である。図3図5Bは、図2中で左側の両面粘着テープ26と、そのタブ26aが配置される左側の凹状部30及びその周辺部とを代表的に示しているが、右側のものは左側のものと左右対称構造又は同一若しくは同様な構造とすることができる。
【0025】
図3図5Bに示すように、立壁23は、ディスプレイパネル18の外周側面18cと対向する位置に凹状部30を有する。本実施形態の凹状部30は、上縁部11dを形成する立壁23に設けられるため、上縁部11dに沿ってX方向に延在するY1側の外周側面18cと対向する。
【0026】
凹状部30は、外周側面18cに対向する立壁23の内壁面23aをY1方向へと凹状に切り欠いた形状を有する。立壁23の長手方向(X方向)に沿う凹状部30の幅は、タブ26aの幅よりも大きい。つまり図3中の幅W2~W4の合計値である凹状部30の幅は、タブ26aの幅W1よりも大きい。これによりタブ26aは凹状部30に円滑に収容することができる。
【0027】
凹状部30は、外周側面18cに対向する内壁面30aに突出部32を有する。突出部32は、凹状部30の幅よりも小さい幅W2を有し、内壁面30aに沿って略Z方向に延在したリブである。タブ26aの幅W1は、例えば6mmである。突出部32の幅W2は、例えば0.5mmであり、タブ26aよりも幅狭である。また、凹状部30のX方向で両側にある一対の側壁面30b,30cと突出部32との間の隙間の幅W2,W3は、いずれもタブ26aの幅W1よりも狭い。幅W2,W3は、例えば5mmである。このためタブ26aは凹状部30内で幅W2,W3の各隙間に嵌まることなく、常に突出部32の先端面32aに当接した設置態様となる。
【0028】
なお、突出部32の幅W2は、上記した0.5mm又はこれと近似した大きさであることが好ましい。そうすると凹状部30の内壁面30aのうち、突出部32がある部分とない部分での立壁23の肉厚の差に起因して、フレーム部20Bの射出成形時に立壁23の外面にひけ(Sink Mark)が出ることを防止できる。
【0029】
図4Aに示すように、本実施形態の突出部32は、内壁面30aの長手方向(X方向)の中央に配置されている。但し、上記した幅W1~W4の大小関係が担保されていれば、突出部32は必ずしも内壁面30aの中央に配置されている必要はない。
【0030】
図5Aに示すように、突出部32の先端面32aは、筐体部材20の内面20aからの立壁23の起立方向(Z1方向)に向かって次第にディスプレイパネル18の外周側面18cから離間するY1方向に傾斜しながら尾根状に延びている。先端面32aはその延在方向の途中に、Y1方向への傾斜角度が変化する傾斜変化部32bを有することが好ましい。傾斜変化部32bを基準として、先端面32aは、筐体部材20の内面20aに近い部分(傾斜変化部32bよりもZ2側の部分32c)よりも、内面20aから遠い部分(傾斜変化部32bよりもZ1側の部分32d)での傾斜角度が大きい。このため先端面32aは、部分32cは内面20aに対して略直角に近い急な角度で起立し、部分32dは部分32cよりも緩やかな角度で横臥するように延びている。
【0031】
次に、タブ26aを介して両面粘着テープ26を引張剥離する動作及びその作用効果を説明する。
【0032】
図3図5Bに示すように、筐体部材20に対してディスプレイパネル18を両面粘着テープ26で固定した状態では、タブ26aは外周側面18cと内壁面30aとの間で凹状部30に配置される。この際、タブ26aは裏面の一部が突出部32の先端面32aに当接し、略Z1側に向かって起立した姿勢となる。
【0033】
この状態では、タブ26aは、その裏面の大部分が突出部32の側方に張り出し、内壁面30aに全く当接していないか(図5B参照)、又は多少傾いて幅方向で一方の側縁部のみが僅かに内壁面30aに当接した状態となる。このためタブ26aは、内壁面30aとの間に比較的大きなY方向の隙間G1を形成している。さらにこの状態では、タブ26aは、その表面もディスプレイパネル18の外周側面18cに全く当接していないか(図5B参照)、又は多少傾いて幅方向で一方の側縁部のみが僅かに外周側面18cに当接した状態となる。このためタブ26aは、外周側面18cとの間にも比較的大きなY方向の隙間G2を形成している。
【0034】
この状態から、両面粘着テープ26を引張剥離する際は、図5A及び図5Bに示すように、タッチガラス24及びベゼル部材22を剥離してタブ26aを露出させる。そうすると隙間G1,G2のZ1側開口が露出する。そこで、隙間G1,G2に対して上からピンセット等の工具34を挿入してタブ26aを把持する。そして、タブ26aをZ1,Y1方向に引っ張る。そうすると、両面粘着テープ26は次第に薄肉化しながら粘着層26bがディスプレイパネル18の裏面18b及び筐体部材20の内面20aから剥離され、ディスプレイパネル18の側方へと円滑に引き抜くことができる。
【0035】
この場合、本実施形態の電子機器10では、タブ26aを引っ張ることで引張剥離可能な特性を有する両面粘着テープ26でディスプレイパネル18の裏面18bを筐体部材20の内面20aに固定している。立壁23はディスプレイパネル18の外周側面18cと対向する位置に両面粘着テープ26のタブ26aが配置される凹状部30を有する。凹状部30の内壁面30aには、タブ26aの幅W1よりも幅狭な幅W2を有する突出部32が設けられている。
【0036】
従って、タブ26aは凹状部30に配置された際、その幅W1の一部が幅狭な突出部32で支持され、残りは突出部32から側方に張り出して凹状部30の内壁面30aとの間に隙間G1を形成する。このため電子機器10は、両面粘着テープ26を引張剥離する際、この隙間G1にピンセット等の工具34を挿入してタブ26aを円滑に掴むことができ、両面粘着テープ26を引張剥離する際の作業性が向上する。その結果、電子機器10は、工場やメンテナンスサービス等でのリワーク性を向上させ、生産効率も向上する。
【0037】
電子機器10は、立壁23に凹状部30を設け、凹状部30に突出部32を設けている。このため、電子機器10は、ディスプレイパネル18の外周側面18cと立壁23の内壁面23aとの間のスペースが極めて狭い狭額縁構造でありながらも、工具34の挿入スペースである隙間G1をより確実に確保できる。
【0038】
特に、凹状部30の内壁面30aは、電子機器10の落下時の衝撃等による応力集中を避けるために滑らかな曲面とされている。このため、突出部32がないと、図6に示す比較例のようにディスプレイパネル18で押されたタブ26aが内壁面30aに沿うようにぴったりとくっついてしまう懸念が大きい。そこで、当該電子機器10は突出部32を設けたことで、薄く小さなタブ26aが図6に示す比較例のように凹状部30の内壁面30aにくっついてしまうことを抑制し、上記したように隙間G1を確保することを可能としている。なお、図6は、突出部32を設けていない凹状部30にタブ26aを配置した比較例に係る構成での側面断面図を示している。
【0039】
ところで、ディスプレイパネル18を設置する際、タブ26aは内壁面30a側に押される。この際、仮に突出部32の幅W2がタブ26aの幅W1と同一以上であると、タブ26aが突出部32にくっついたり、逆に突出部32から外周側面18c側に押し返されて外周側面18cにくっついたりする懸念がある。この点、当該電子機器10は、突出部32の幅W2がタブ26aの幅W1よりも幅狭であり、例えば幅W2は幅W1の10%以下としている。このため、ディスプレイパネル18の設置時、タブ26aは突出部32に当接しつつ、突出部32の左右一方に適度に傾いた姿勢となる。その結果、タブ26aの全面が先端面32aや外周側面18cにくっつくことがなく、隙間G2も確保でき、工具34の挿入スペースを一層確実に確保できるという利点がある。
【0040】
凹状部30は、左右の側壁面30b,30cと突出部32との間の隙間の幅W2,W3が、いずれもタブ26aの幅W1よりも狭いことが好ましい。そうすると、タブ26aは凹状部30内で突出部32の側方の隙間に嵌まってしまうことが抑えられ、隙間G1を一層確実に確保しておくことができる。
【0041】
突出部32の先端面32aは、筐体部材20の内面20aからの立壁23の起立方向に向かって次第にディスプレイパネル18の外周側面18cから離間する方向に傾斜しながら尾根状に延在する構成とすることもできる。そうすると、薄く小さなタブ26aを突出部32で安定して受け止めることができ、上記した隙間G1,G2の確保が安定する。
【0042】
特に、突出部32の先端面32aは、傾斜角度が変化する傾斜変化部32bを有し、この傾斜変化部32bを基準として内面20aに近い部分32cよりも内面20aから遠い部分32dでの傾斜角度が大きい構成とすることもできる。そうすると、図5及び図5Bに示すように、タブ26aが部分32cに当接して起立した姿勢となるため、上記した隙間G1,G2の確保が一層安定する。
【0043】
突出部32は、図5Aに示すように尾根状に略Z方向に延びた構成以外であってもよい。例えば突出部32に代えて、図5B中に2点鎖線で示す突起状或いはピン状の突出部32Aを用いることもできる。このような突出部32Aであっても、上記した突出部32と略同様に隙間G1,G2の確保は可能である。但し、上記したように、尾根状に延びる突出部32の方が突起状の突出部32Aよりも隙間G1,G2を一層安定して形成することができるという利点がある。また、突出部32の幅W2は、例えば0.5mmと極めて小さいため、突起状或いはピン状の突出部32Aの場合は、フレーム部20Bの射出成形時に突出部32Aが金型に取られたり、或いは折れ易くなったりする等の問題がある。この点、尾根状に延びる突出部32は、十分な強度を担保できるため、このような問題を生じ難いという利点もある。
【0044】
図7は、変形例に係る突出部32の設置構造を示す要部拡大平面図である。図7に示すように、当該電子機器10は、凹状部30を設けず、立壁23の内壁面23aに直接的に突出部32(32A)を設けた構成としてもよい。但し、立壁23と外周側面18cとの間のスペースが極めて狭い構成の場合や、ベゼル部材22の一層の幅狭化を達成するためには、当該スペースを最小限に抑えつつ、工具34の挿入スペースを確保し易い、凹状部30を設けた構成がより好ましい。
【0045】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
10 電子機器
11 第1筐体
18 ディスプレイパネル
20 筐体部材
23 立壁
26 両面粘着テープ
26a タブ
30 凹状部
32,32A 突出部
【要約】
【課題】両面粘着テープを引張剥離する際の作業性を向上することができる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、縁部に立壁を有する筐体部材と、表示面を有し、前記表示面とは反対側の裏面が前記筐体部材の内面で支持され、外周側面が前記立壁と対向して配置されるディスプレイパネルと、タブを引っ張ることで引張剥離可能な特性を有し、前記ディスプレイパネルの裏面を前記筐体部材の内面に固定する両面粘着テープと、を備える。立壁は、前記ディスプレイパネルの外周側面と対向する位置に、前記タブが配置される凹状部を有する。凹状部の内壁面には、前記タブの幅よりも幅狭な突出部が設けられている。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7