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特許7610770高レベルの遊離脂肪酸を含むオキアミ抽出物から濃縮された治療用リン脂質組成物を製造する方法
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  • 特許-高レベルの遊離脂肪酸を含むオキアミ抽出物から濃縮された治療用リン脂質組成物を製造する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】高レベルの遊離脂肪酸を含むオキアミ抽出物から濃縮された治療用リン脂質組成物を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/685 20060101AFI20241226BHJP
   C11B 1/10 20060101ALI20241226BHJP
   C11B 5/00 20060101ALI20241226BHJP
   A61K 35/612 20150101ALI20241226BHJP
   A61K 31/202 20060101ALI20241226BHJP
   A61K 31/20 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20241226BHJP
   B01D 11/00 20060101ALI20241226BHJP
   B01J 3/00 20060101ALI20241226BHJP
   A61K 31/683 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
A61K31/685
C11B1/10
C11B5/00
A61K35/612
A61K31/202
A61K31/20
A61P3/06
A61P9/10 101
A61P9/12
A61P19/02
A61P15/00
A61P3/10
B01D11/00
B01J3/00 A
A61K31/683
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2021547326
(86)(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-06
(86)【国際出願番号】 CA2020050160
(87)【国際公開番号】W WO2020163943
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-12-12
(31)【優先権主張番号】62/804,285
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】524401909
【氏名又は名称】アーケル バイオマリン ヒューマン イングリーディエンツ アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100182730
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 浩明
(72)【発明者】
【氏名】ピエール レミュー
(72)【発明者】
【氏名】サイモン デスピンズ
(72)【発明者】
【氏名】サーヤ アジーズ
(72)【発明者】
【氏名】レミ ラブレック
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-508431(JP,A)
【文献】特開2008-150586(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104531332(CN,A)
【文献】特開平02-215351(JP,A)
【文献】特表2018-500011(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0370115(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0339062(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0043022(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0020928(US,A1)
【文献】柴田宣和,「南極オキアミの脂質含量および脂質成分に及ぼす漁期の影響」,日本水産学会誌,1983年,Vol.49, No.2,pp.259-264
【文献】Nami KUSUMOTO et al.,“Lipid Profile of Krill Euphausia pacifica Collected in the Pacific Ocean near Funka Bay, Hokkaido, Japan”,Journal of Oleo Science,2004年,Vol. 53, No. 1,p.45-51,DOI: 10.5650/jos.53.45
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/685
C11B 1/10
C11B 5/00
A61K 35/612
A61K 31/202
A61K 31/20
A61P 3/06
A61P 9/10
A61P 9/12
A61P 19/02
A61P 15/00
A61P 3/10
B01D 11/00
B01J 3/00
A61K 31/683
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程を含む、治療用濃縮リン脂質組成物の製造方法であって、以下の工程:
-遊離脂肪酸(FFA)の含有量が増大するようにオキアミバイオマスを処理する工程
前記処理されたオキアミバイオマスから少なくとも7%の遊離脂肪酸(FFA)を含む原料オキアミ油(RKO)を抽出し、リン脂質が濃縮された画分及び所望しない層を取得する工程;及び
-前記所望しない層から前記リン脂質が濃縮された画分を分離する工程;
を含んで成る方法。
【請求項2】
少なくとも30%の収率で前記治療用濃縮リン脂質組成物が生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
30%~60%の収率で前記治療用濃縮リン脂質組成物が生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
組成物中の総リン脂質は、少なくとも50%(w/w(リン脂質/組成物))の濃度で存在する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物は、遊離及び結合ドコサヘキサエン酸(DHA)及びエイコサペンタエン酸(EPA)を含み、組成物中の総遊離及び結合EPAは15%~25%(w/w)の濃度で存在し、そして組成物中の総遊離及び結合DHAは10%~15%(w/w)の濃度で存在する、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記治療用濃縮リン脂質組成物が、下記式(I):
【化1】
[式中、R及びRはそれぞれ独立して、任意には、ドコサヘキサエン酸(DHA)又はエイコサペンタエン酸(EPA)残基を表し;そして
各Xは独立して、-CHCHNH、-CHCHN(CH、及び下記式:
【化2】
から選択される]で表される化合物を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記RKOが少なくとも15%のFFAを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記RKOが向流超臨界CO抽出によって分別される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記RKOが、第1低密度層及び、リン脂質に富んでいる第1高密度層に分別され;リン脂質に富んでいる第1高密度層を第1低密度層から分離し;リン脂質に富む第1の分離された高密度層を、少なくとも85重量%のC3-C8ケトン溶媒を含む有機溶媒と混合して混合物を形成し;前記混合物を第2低密度層及びリン脂質に富んでいる第2層に分別し;リン脂質に富む第2層を第2低密度層から分離して、濃縮されたリン脂質組成物を得る、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記濃縮されたリン脂質組成物が、1つ又は複数の遊離脂肪酸と混合される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
さらに、リン脂質に富む第2の層を安定剤、粘度低下剤、又はそれらの組合わせと組合わせて、リン脂質に富む画分を生成することを含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも100kgのRKOを分別することを含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項13】
RKO及び有機溶媒を、体積有機溶媒:kgRKOの単位で約5:約15の比率で混合することを含む、請求項9~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
RKO及び有機溶媒を混合する前、RKOを約20℃から約70℃の温度に加熱することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
さらに、RKOと有機溶媒の混合物をフィルターに通すことを含む、請求項9~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記フィルターが0.45μmのフィルターである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
さらに、RKOと有機溶媒との混合物を第1フィルター及び第2フィルターに通すことを含む、請求項9~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記第1フィルターが10pmフィルターであり、そして第2フィルターが0.45pmフィルターである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
さらに、リン脂質に富んでいる第2層を粘度低下剤と組合わせることを含む、請求項9~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記リン脂質に富んでいる第2層が、約0.1:約0.3の比率で粘度低下剤と組合わされる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記安定剤がビタミンEを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
継続的な方法である、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
組成物中の総リン脂質が、55%の濃度(w/w(リン脂質/総組成物))である、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
組成物中の総リン脂質が、60%の濃度(w/w(リン脂質/総組成物))である、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記組成物が、5%(w/w)未満の濃度のトリグリセリドを含む、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記RKOが冷凍オキアミ又はオキアミミールから抽出される、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年2月12日に出願された米国仮出願第62 / 804,285号の利益を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
遊離脂肪酸含有量が7%を超える生オキアミ油を使用して、濃縮された治療用リン脂質組成物を製造する方法が提供される。
【背景技術】
【0003】
オキアミ油組成物は、コレステロールを低下させ、血小板の接着を阻害し、動脈プラーク形成を阻害し、高血圧を予防し、関節炎症状を制御し、経皮輸送を増強し、月経前の症状の症状を軽減し、又は患者における血中グルコースレベルを制御するようにヒトにおける有益な効果を提供するものとして記載されている(国際公開番号第02 / 102394号)。
【0004】
オキアミから抽出される油の成分は、出発物質の性質によって異なることが知られています。オキアミ油の脂質含有量及びプロファイルに影響を与える要因は、季節、種、年齢です。 出発材料の貯蔵及び処理条件も、オイル成分に影響を与える。例えば、オキアミの収穫技術及び貯蔵方法は、処理前に貯蔵され、結果として得られる油の特定の成分の量に影響を与える。加熱、冷却(凍結乾燥を含む)、洗浄などの前処理工程も、抽出されたオイルに含まれる最終成分に影響を与える要因である。
【0005】
オキアミ油の抽出プロトコルが説明されている。 米国特許出願番号 2010/0143571は、新鮮なオキアミから脂質画分を調製する場合、オキアミが死んでオキアミ脂質の一部を加水分解した後も、オキアミリパーゼは活性を維持することを開示している。米国特許出願第2010/0143571号によると、これらのリパーゼによって実行される脂質の加水分解が問題であり且つ、望ましくない。結果として、オキアミ脂質の低度の加水分解を提供し、従がって、 望ましくない量の遊離脂肪酸を含むオキアミ油をもたらすリスクを最小限に抑える方法が記載されている。従がって、脂質の酵素分解を不活性化して低レベルの遊離脂肪酸(FFA)を含む製品を確保するためのオキアミの熱前処理など、原材料を取り扱う際の前処理工程が望まれる。
【0006】
米国特許第9,028,877号は、高レベルのアスタキサンチン、濃縮された量のエーテルリン脂質を含むリン脂質、及びオメガ3脂肪酸を含む南極オキアミからの抽出物について説明している。より具体的には、米国特許第9,028,877号は、輸送が高価であり、オキアミ出発材料の劣化をもたらす可能性がある、捕獲場所から処理場所に輸送される冷凍オキアミの処理を最小限に抑えるために、船上などの捕獲場所で捕獲されたばかりのオキアミを処理する方法を開示している。オキアミは、遊離脂肪酸などの酵素的に分解された油成分の形成を回避するために、最初に加熱工程などのタンパク質変性工程にゆだねられる。
【0007】
国際出願番号 第WO2011 / 050474号は、例えば、約60%w / wのリン脂質を含む、濃縮された治療用リン脂質(PL)組成物を開示している。それらの濃縮された治療用リン脂質組成物は、米国特許出願第07 / 09,096号及び米国特許第 9,028,877号に記載されているように、オキアミ油出発材料を使用して製造される。そのようなオキアミ油出発材料は、製薬産業で一貫した方法で使用するためのこれらの濃縮された治療用PL組成物の経済的に実行可能な商業的量を生み出すことを可能にしない。
【0008】
国際出願番号 第WO 2019/111055号は、タンパク質を変性させることなく加水分解が起こる甲殻類からタンパク質リン脂質複合体を生成する方法を開示している。
【0009】
従って、製薬業界で使用するための一貫した効率的な方法で経済的に実行可能な商業量の濃縮治療用PL組成物を製造するために、オキアミを処理するための方法を提供する必要が依然としてある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
少なくとも7%の遊離脂肪酸(FFA)を含む生のオキアミ油(RKO)を抽出して、リン脂質に富んでいる画分及び望ましくない層を得、そしてリン脂質に富む画分を望ましくない層から分離する工程を含む、濃縮された治療用リン脂質組成物を製造するための方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1つの実施形態によれば、本明細書に記載の方法は、少なくとも30%の収率で治療用濃縮リン脂質組成物を生成する。
【0012】
別の実施形態によれば、本明細書に記載の方法は、30%~60%の間の収率で治療用濃縮リン脂質組成物を生成する。
【0013】
さらなる実施形態によれば、治療用濃縮リン脂質組成物中の総リン脂質は、少なくとも50%(w / w(リン脂質/組成物))の濃度である。
【0014】
1つの実施形態によれば、治療用濃縮リン脂質組成物は、遊離及び結合ドコサヘキサエン酸(DHA)及びエイコサペンタエン酸(EPA)を含み、組成物中の総遊離及び結合EPAは15%~25%(w/w)の濃度で存在し、そして組成物中の総遊離及び結合DHAは10%~15%(w/w)の濃度で存在する。
【0015】
さらなる実施形態によれば、濃縮された治療用リン脂質組成物は、下記式(I):
【化1】
[式中、R及びRはそれぞれ独立して、任意には、ドコサヘキサエン酸(DHA)又はエイコサペンタエン酸(EPA)残基を表し;そして
各Xは独立して、-CHCHNH、-CHCHN(CH°、及び下記式:
【化2】
から選択される]で表される化合物を含む。
【0016】
別の実施形態によれば、前記RKOは少なくとも7%のFFAを含む。
【0017】
1つの実施形態によれば、前記RKOは少なくとも15%のFFAを含む。
【0018】
さらなる実施形態によれば、前記RKOは向流超臨界CO抽出によって分別される。
【0019】
追加の実施形態によれば、前記RKOが、第1低密度層及び、リン脂質に富んでいる第1高密度層に分別されるべき溶媒と友野混合され;リン脂質に富んでいる第1高密度層を第1低密度層から分離し;リン脂質に富む第1の分離された高密度層を、少なくとも約85重量%のC3-C8ケトン溶媒を含む有機溶媒と混合し、混合物を得;前記混合物を第2低密度層及びリン脂質に富んでいる第2層に分別し;リン脂質に富む第2層を第2低密度層から分離して、濃縮されたリン脂質組成物を得る。
【0020】
1つの実施形態によれば、前記方法は、RKO及び第1の有機溶媒を、体積有機溶媒:kg RKOの単位で約5:約15の比率で混合することを含む。
【0021】
1つの実施形態によれば、前記濃縮されたリン脂質組成物は、1つ又は複数の遊離脂肪酸と混合される。
【0022】
別の実施形態によれば、前記有機溶媒は、少なくとも約85重量%のC3-C8ケトン溶媒を含む。
【0023】
追加の実施形態によれば、本明細書に記載される方法は、リン脂質に富む第2の層を安定剤、粘度低下剤、又はそれらの組合わせと組合わせて、リン脂質に富む画分を生成することを含む。
【0024】
1つの実施形態によれば、前記方法は、少なくとも100kgのRKOを分別することを含む。
【0025】
1つの実施形態によれば、RKO及び第1有機溶媒を混合する前、RKOを約20℃から約70℃の温度に加熱することを含む。
【0026】
さらなる実施形態によれば、本明細書に記載される方法は、さらに、RKOと有機溶媒の混合物をフィルターに通すことを含む。
【0027】
1つの実施形態によれば、前記フィルターは0.45μmのフィルターである。
【0028】
1つの実施形態によれば、本明細書に記載される方法は、さらに、RKOと有機溶媒との混合物を第1フィルター及び第2フィルターに通すことを含む。
【0029】
1つの実施形態によれば、前記第1フィルターは10pmフィルターであり、そして第2フィルターは0.45pmフィルターである。
【0030】
別の実施形態によれば、本明細書に記載される方法は、さらに、リン脂質に富んでいる第2層を粘度低下剤と組合わせることを含む。
【0031】
1つの実施形態によれば、前記リン脂質に富んでいる第2層は、約0.1:約0.3の比率で粘度低下剤と組合わされる。
【0032】
1つの実施形態によれば、前記安定剤はビタミンEを含む。
【0033】
1つの実施形態によれば、前記方法は、継続的な方法である。
【0034】
さらなる実施形態によれば、組成物中の総リン脂質は、55%の濃度(w / w(リン脂質/総組成物))である。
【0035】
1つの実施形態によれば、組成物中の総リン脂質は、60%の濃度(w / w(リン脂質/総組成物))である。
【0036】
別の実施形態によれば、組成物中の総リン脂質は、90%の濃度(w / w(リン脂質/総組成物))である。
【0037】
追加の実施形態によれば、前記治療用リン脂質組成物は、約5%(w / w)未満の濃度のトリグリセリドを含む。
【0038】
1つの実施形態によれば、前記RKOは冷凍オキアミ又はオキアミミールから抽出される。
【0039】
ここで、添付の図面を参照するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、リン脂質含有画分のPL含有量とオキアミ油出発材料のPL含有量との相関関係を示す。
【0041】
図2図2は、最終濃縮された治療用リン脂質組成物の収率とオキアミ油出発物質抽出物のPL含有量との相関関係を示す。
【0042】
図3図3は、オキアミ油出発材料中の遊離脂肪酸含有画分収率と遊離脂肪酸レベル(パーセント(FFA%))との相関関係を示す。
【0043】
図4図4は、最終的な濃縮された治療用リン脂質組成物の収率と、オキアミ油の出発材料中の遊離脂肪酸の割合(FFA%)のレベルとの相関関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本明細書によれば、オキアミから油を抽出する方法が提供され、ここで、得られる油は、高含有量の遊離脂肪酸(FFA)を含む。
【0045】
国際公開番号第 WO2011 / 050474号は、例えば、約60%w / wのリン脂質を含む濃縮治療用リン脂質(PL)組成物を開示し、これは、特にトリグリセリド(TG)レベルを低下させることにより、心血管疾患の治療において驚くべき効果を有する。 これらの濃縮された治療用リン脂質組成物は、本明細書に記載のオキアミ油出発材料から製造される。
【0046】
濃縮された治療用リン脂質組成物は、当技術分野で知られている任意の方法によって製造又は生成することができる。 しかしながら、得られる治療用濃縮リン脂質組成物の収率は低く、経済的に実行可能ではない。 また、この組成物は、オキアミの変動性を制御し、治療製品の目標仕様に一貫して到達することを可能にする独自の方法を使用して製造される。 従がって、そのような組成物は規制当局の承認の対象となるため、製造方法は一貫性があり効率的である必要がある。
【0047】
最初に、リン脂質を含む油を天然源から分離することができ、それをさらに処理することができる。
【0048】
従がって、1つの実施形態によれば、少なくとも7%の遊離脂肪酸(FFA)を含む生のオキアミ油(RKO)を抽出し、リン脂質に富んだ画分及び所望しない層を取得する工程、及び所望しない層からリン脂質に富んだ前記画分を分離し、濃縮されたリン脂質組成物を生成する工程を含む治療用濃縮リン脂質組成物の製造方法が提供される。
【0049】
1つの実施形態によれば、前記濃縮されたリン脂質組成物は、
-下記式(I):
【化3】
[式中、R及びRはそれぞれ独立して、任意には、ドコサヘキサエン酸(DHA)又はエイコサペンタエン酸(EPA)残基を表し;そして
各Xは独立して、-CHCHNH、-CHCHN(CH°、及び下記式:
【化4】
から選択される]で表される化合物;及び
‐遊離EPA及び遊離DHA(ここで、組成物中の総遊離及び結合EPAは15%~25%(w / w)の濃度であり、そして組成物中の総遊離及び結合DHAは10%~15%(w / w)の濃度である)を含み、組成物中の総リン脂質は少なくとも50%の濃度である(w / w(リン脂質/組成物))。
【0050】
得られた生オキアミ油(RKO)のFFAを増加させるために使用できる収穫/貯蔵技術は、処理の前一定の期間、オキアミを貯蔵し、オキアミに天然に含まれるリパーゼによる脂質レベルの加水分解を可能にする、新たに捕獲されたオキアミへの酵素の使用を含むが、これに限定されない。
【0051】
オキアミの凍結及び酵素の添加中の時間及び温度は、凍結オキアミ中のFFAの濃度を高めるために使用され得る技術の一部である。
【0052】
別の実施形態によれば、本明細書に記載及び包含される凍結オキアミは、FFAのレベルを増加させるなどのオキアミミールを生成するために、乾燥及び/又は調理され得る。
【0053】
この段階で、オキアミミール又は冷凍オキアミが貯蔵される。 貯蔵温度及び貯蔵時間の違いは、結果として得られるRKOのFFAのレベルに影響を与える可能性がある。実際の抽出工程は、国際出願第WO 2011/050474号(その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているように実施することができ、ここで、凍結オキアミは機械的に粉砕され、そして9:1のアセトン:水の比率の溶媒とともに8℃で60~90分間インキュベートされ、オキアミバイオマスから異なる比率の脂質(PL、TG、及びFFA)が抽出される。脂質が、圧力(50~60kpa)での濾過により、タンパク質及びオキアミ材料から分離される。固相は廃棄される。 可溶性抽出物を真空下で連続蒸留カラムによって蒸発させ、溶媒(アセトン)を除去する。水性(水)画分の大部分がデカンテーションによって脂質画分から分離され、そして残りの水が真空及び穏やかな加熱下での蒸発によって除去される。これらの画分は、投与され、分析され、ブレンドされ、中間のオキアミ油製品を構成し、これは、所望の仕様を達成するために再分析され、オキアミ油出発物質又はRKOがもたらされる。 酵素を添加し、RKOのFFA濃度のレベルを上げることができる。
【0054】
従がって、1つの実施形態によれば、濃縮リン脂質組成物を生成するために、7%を超える、好ましくは8%、より好ましくは15%のFFA含有量を有するRKOの使用が包含される。
【0055】
続いて、濃縮された治療用リン脂質組成物を生成するために、バルクRKOがさらに処理される。 このオキアミ油出発材料は、向流超臨界CO 抽出を使用してさらに処理し、組成物を濃縮し、濃縮された治療用リン脂質組成物を生成することができる。例えば、70℃及び30MPaでの向流超臨界CO抽出を使用して、オキアミ油の出発材料から全てのトリグリセリドなどの特定の生体分子を除去できる。より多くのTGが多量のオキアミ油出発材料から除去されるにつれて、リン脂質の濃度が増加する。 この方法によってtgが除去されると、リン脂質組成は約60~66%の濃度になる(w / w(リン脂質/組成物))。本明細書に含まれるのは、最大約90%(w / w(リン脂質/組成物))のリン脂質濃度を有する濃縮された治療用リン脂質組成物を製造する方法である。
【0056】
あるいは、その内容が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第WO2019 / 218062号に記載されているように、RKOは、攪拌下でアセトンをすでに含む容器内で分別される。RKO /アセトン混合物は、気孔率10pmのプレフィルター及び気孔率0.45pmの最終フィルターを含む耐溶剤性濾過トレインを介して容器にポンプで送られ、RKO /アセトンの濾過混合物が提供される。 濾過されたRKO /アセトンの混合物に、一定の攪拌下で水が添加される。次に、混合物は、上部の軽相(すなわち、低密度層)及び下部の重相(すなわち、高密度層)が観察されるまで(ここで軽相が透明で、そしてきれいな中間相が 軽相と重相の間で観察される)、処理容器に沈殿させる。この段階に達すると、重相が別の容器に移され、そして体積が計算される。 次に、重相の半分の容量を一定の攪拌下で容器に加え、続いてアセトンを加え、続いて重相の残りの半分を同じ容器に移した。攪拌を続け、得られた混合物を、2つの相(低密度の軽相及び高密度の重相)が存在するまで処理容器内に沈降させます。ここで、軽相は透明で、軽相と重相の間にきれいな中間相が観察される。このような沈降が達成されると、重相(精製されたリン脂質を含む)が容器に移される。 絶えず攪拌しながら、絶対エタノールを粘度低下剤として容器に加える。 ビタミンE製剤(α-トコフェロール)は、抗酸化剤として重相に添加される。次に、混合物を攪拌して、リン脂質に富む画分を提供する。 RKOからリン脂質に富む画分までのバッチプロセスの合計時間は約24時間以下ですが、相分離の時間を長くしたり、より大きなサイズの容器を考慮したりするために、必要に応じて長くすることができる。
【0057】
従がって、1つの実施形態によれば、RKOを、リン脂質に富む第1の低密度層及び第1の高密度層に分別し; リン脂質に富む第1の高密度層を第1の低密度層から分離し;リン脂質に富む第1の分離された高密度を、混合物に対して少なくとも約85重量%のC3-C8ケトン溶媒を含む有機溶媒と混合し; 混合物を第2の低密度層及びリン脂質に富む第2の層に分別し; リン脂質が豊富な第2の層を第2の低密度層から分離して、濃縮されたリン脂質組成物を得ることが包含される。1つの実施形態によれば、有機溶媒は、少なくとも約85重量%のC3~C8ケトン溶媒及び水性部分を含む。 あるいは、リン脂質に富む第2の層を、安定剤、粘度低下剤、又はそれらの組合わせと組み合わせて、リン脂質に富む画分を生成することができる。例えば、この方法は、出発材料として少なくとも100kgのRKOを分別することを含む。 RKOは、体積有機溶媒:kg RKOの単位で約5:約15の比率で第1の有機溶媒と混合され得る。さらに、1つの実施形態によれば、RKOを約20℃~約70℃の温度に加熱することも含まれる。 また、リン脂質が豊富な第2の層と粘度低下剤との組み合わせも含まれる。 1つの実施形態によれば、安定剤はビタミンEを含む。
【0058】
この方法は、次のように継続され得る。 予熱されたRKO(30℃~65℃の間)及びアセトンが、RKO及びアセトンの混合が混合ポンプを使用して実行される校正済みポンプを使用して供給される。 得られたRKO /アセトン混合物を、10pm及び0.45pmの孔サイズフィルターを通してインラインで濾過する。濾過されたRKO /アセトンフィードは、軟水フィードと共に静的ミキサーに送られ、ここで各フィードは、校正済みポンプを使用して、水の流量と濾過されたRKO /アセトンフィードの流量を確保される。静的ミキサーは水平セトラーに入力され、軽相及び重相(リン脂質を含む)がそれぞれセトラーの先端で連続的に収集されます。 水平セトラーは20~25℃の温度に維持される。
【0059】
次に、重相を第2の静的ミキサーに向けることができ、そこにアセトンの同時供給も向けられる。 静的ミキサーから、得られた混合物は、20~25℃の温度に維持された垂直セトラーに流れ、そこで垂直セトラーは、軽相と重リン脂質含有相を提供する。 各相は、垂セトラーから継続的に引き出される。
【0060】
貯蔵のために、リン脂質が豊富な画分を窒素ブランケット下で容器に移し、密閉し、2~8℃で貯蔵する。
【0061】
従がって、RKO材料が7%を超えるFFA含有量を含む場合(表1を参照のこと)、最終的に所望の濃縮された治療用リン脂質組成物を得るためのさらなる処理の収率は、少なくとも30%、好ましくは30~60%である。 6.9%のFFAを含むオキアミ油出発材料を使用した場合(出発物質#6、表1を参照のこと)、最終濃縮治療用リン脂質組成物の収率は、オキアミ油の出発材料が8%又は8.4%のFFAを含む場合の50.8%叉は54.1%と比較して(それぞれ出発材料#5又は6、表1を参照のこと)、48.8%であった。
【表1】
【0062】
図1に見られるように、リン脂質(PL)含有画分収率とオキアミ油出発材料(RKO)のPL含有量との間には強い相関関係がある。 PL含有量の増加と共に収率は増加する。
【0063】
それどころか、評価されたPLの範囲では、濃縮された治療用リン脂質組成物の収率とRKOのPL含有量との間に相関関係は観察されなかった(図2)。
【0064】
一方、FFA含有画分の収率とRKOのFFAレベル(パーセンテージ)(FFA%)の間には強い相関関係がある。 オキアミ油出発材料のFFA%含有量の増加に伴い、全てのパラメーターが上昇する(図3)。
【0065】
FFA%の試験された範囲内では、濃縮された治療用PL組成物の収率とFFA%の間にわずかな相関関係がある(図4)。
【0066】
従がって、濃縮された治療用リン脂質組成物の抽出の効率的な収率を得るために、満足のいく収率で仕様内の遊離脂肪酸含有画分を得始めるための最小閾値は、約7~8%FFA以上である。 理想的には、出発材料中のFFAのレベルは約15%であることが望ましい。
【0067】
従がって、1つの実施形態によれば、濃縮リン脂質組成物を生成するために、7%を超える、好ましくは8%、より好ましくは15%のFFA含有量を有するRKOの使用が包含される。1つの実施形態によれば、濃縮リン脂質組成物中の総リン脂質は、50%(w / w(リン脂質/総組成物))の濃度、好ましくは55%(w / w(リン脂質/総組成物))の濃度、より好ましくは、60%(w / w(リン脂質/総組成物))の濃度である。1つの実施形態によれば、濃縮リン脂質組成物は、約5%(w / w)未満の濃度のトリグリセリドを含む。
【実施例
【0068】
実施例I
冷凍オキアミからの高レベルの遊離脂肪酸を有するRKOの生成
【0069】
新鮮なオキアミを、ポンプ又はトロール網を使用して収穫し、漁船に運び、収集ウェルに貯蔵する。 オキアミをさらに洗浄し、余分な水を排出し、型に入れ、そして船上で凍結し、凍結されたオキアミブロックになる。 冷凍オキアミブロックはパッケージ化され、船上に保管さる。 冷凍オキアミは岸に送られ、抽出プロセスの後半で使用されるまで保管される。
【0070】
ブロック全体を粉砕し、粉砕したオキアミにアセトンを加えて攪拌下でタンクに移すことにより、冷凍オキアミから油を抽出する。 混合物を約60分間一定に攪拌した後、フィルターに通してオキアミの残留物を分離する。
【0071】
抽出された油を含むアセトン溶液からの 濾液を蒸留カラムに送り、溶液からアセトンを除去し、そして精製する。
【0072】
得られた混合物は、水と抽出されたオキアミ油で構成されている。 混合物を、オキアミ油が水相の上に浮かぶセットラーに送る。 オイルをオーバーフローによって収集し、蒸発器に移し、そこで残留アセトンと水を除去する。 乾燥したオキアミ油を貯蔵タンクに送り、さらにドラム缶に詰められて貯蔵する。生成された油は、実施例IIに記載されているように、濃縮リン脂質組成物の調製においてRKOとしてさらに使用される。
実施例II
オキアミミールからの高レベルの遊離脂肪酸を含むRKOの製造、及び濃縮された治療用リン脂質組成物へのさらなる加工
【0073】
新鮮なオキアミを、ポンプ又はトロール網を使用して収穫し、漁船に運び、収集ウェルに保管する。 オキアミをさらに洗浄し、余分な水を排出し、型に入れ、船上で凍結し凍結されたオキアミブロックになる。 冷凍オキアミブロックはパッケージ化され、船上に保管される。 冷凍オキアミは岸に送られ、プロセスの後半で使用されるまで保管される。
【0074】
冷凍オキアミブロックを粉砕し、調理器具にポンプで送り、そこで粉砕されたオキアミを90~95℃で沸騰する。 ゆでたオキアミをデカンター遠心分離機に移し、余分な水分を取り除く。得られた固相を乾燥機に送り、そこで固相の水分が5~15%に減少し、乾燥した固体を35°C未満の温度に冷却し、粉砕し粒子サイズが小さくなり、袋詰めサイロに輸送する。 包装され、袋に密封され、抽出プロセスの後半で使用されるまで-18°C未満の温度で保管される。
【0075】
オキアミミールを95%エタノールを加えて攪拌する抽出槽に移し、油を抽出する。 混合物を約60分間一定に攪拌した後、フィルターに通して、抽出した油を含むエタノール溶液からオキアミ残留物を分離する。
【0076】
得られた溶液を蒸発器に送り、そこでエタノールが除去される。 次に、無水エタノールを油に加えてタンパク質、塩、及び不純物を除去し、0.5pmフィルターで濾過する。 濾液を蒸発器に送り、そこで真空下で蒸発乾燥する。 乾燥された油は滅菌工程を経て、70℃で30分間加熱する。
【0077】
オキアミ油を、オイル1kg当たり3Lの95%エタノールでさらに希釈する。 混合物を-20℃で2時間インキュベートする。 インキュベーションの後、混合物を室温に戻し、2つの層を形成する。上層はリン脂質に濃縮され、下層はトリグリセリドに濃縮される。
【0078】
上層を集めて水平薄膜蒸発器に送る。 混合物を蒸発チャンバーの加熱された壁(105℃)に押し付け、向流窒素流が乾燥効率を高める。 装置の安定した乾燥性能を確保するために、目的の濃縮組成出口の近くで、組成物質の温度(NMT 100°C)が記録される。
【0079】
乾燥した濃縮組成物を型に回収し、冷却し、型を外し、約1Kgの部分に切断する。 ピースをLDPEバッグに包み、マイラーバッグに包んで密封し、ファイバードラムに入れる。 ラベルが貼られたら、ドラムをテスト用のQCとして2~8℃の低温室に保管する。
実施例III
酵素処理による高レベルの遊離脂肪酸によるRKOの製造、及び濃縮された治療用リン脂質組成物へのさらなる処理
【0080】
新鮮なオキアミを、ポンプ又はトロール網を使用して収穫し、漁船に運び、収集ウェルに貯蔵する。 オキアミをさらに洗浄し、そして余分な水を排出し、供給タンクに送る。
【0081】
供給タンクから、オキアミを調理器具にポンプで送り、そこでオキアミは90~95℃で沸騰する。 ゆでたオキアミをデカンター遠心分離機に移し、余分な水分を取り除く。 得られた固相を乾燥機に送り、そこで固相の水分が5~15%に減少する。 乾燥した固形物を35°C未満の温度に冷却し、粉砕し、粒子サイズが小さくなり、袋詰めサイロに輸送し、包装し、袋に密封し、船内で室温で保管する。 オキアミミールの袋を岸に運び、抽出プロセスの後半で使用されるまで-18°C未満の温度で貯蔵する。
【0082】
オキアミミールを95%エタノールを加えて攪拌する抽出槽に移し、油を抽出する。 混合物を約60分間一定に攪拌した後、フィルターに通して、抽出した油を含むエタノール溶液からオキアミ残留物を分離する。
【0083】
得られた溶液を蒸発器に送り、そこでエタノールを除去する。 次に、無水エタノールを油に加え、タンパク質、塩、及び不純物を除去し、0.5pmフィルターで濾過する。 濾液を蒸発器に送り、そこで真空下で蒸発乾燥する。
【0084】
脂肪分解酵素及び水を油に加え、遊離脂肪酸を生成するために油の制御された酵素加水分解を実行する。 反応後、酵素を失活させて酵素反応を停止させるために油を加熱する。 油をさらに蒸発器に送り、そこで真空下で蒸発乾燥する。 その後、オキアミ油を包装し、そして貯蔵する。
【0085】
オキアミ油を超臨界CO抽出システムに投入する。 C0をシステムに導入する。 抽出器の条件が指定された動作温度と圧力に達すると、超臨界COの流れがオイルを通過する。 加熱及び加圧された超臨界COが、トリグリセリド濃縮油を抽出しそして、抽出容器に残っているリン脂質を濃縮する。超臨界CO及び抽出されたトリグリセリド濃縮油は分離器に入り、分離器はCOをフラッシュするのに十分な圧力と温度(900psi及び45°C)で作動し、抽出されたトリグリセリド濃縮油画分をガスから沈殿させる。 分離機の内容物は定期的に排出され、計量されます。 ガスは、プロセスが確立され計算された抽出エンドポイントの範囲に達するまで、抽出容器を通るリサイクルループを継続する。
【0086】
抽出エンドポイントの範囲に達すると、抽出器に残っているリン脂質濃縮物質を、事前に計量されたペール缶に直接排出する。 収集された製品の量を計量し、分析サンプルを採取し、そしてバケツにラベルを付ける。 バケツは、テスト用のQCとして、2~8℃の低温室に貯蔵される。
図1
図2
図3
図4