(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】樹脂ペレット組成物及びその製造方法、並びに微多孔膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 9/40 20060101AFI20241226BHJP
C08J 9/26 20060101ALI20241226BHJP
C08J 3/12 20060101ALI20241226BHJP
B29B 7/00 20060101ALI20241226BHJP
B29B 9/02 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
C08J9/40 CES
C08J9/26 102
C08J3/12 Z
B29B7/00
B29B9/02
(21)【出願番号】P 2023511520
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2022016263
(87)【国際公開番号】W WO2022210961
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2021058079
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】524415939
【氏名又は名称】旭化成バッテリーセパレータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【氏名又は名称】三間 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】榊原 譲
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 優花
(72)【発明者】
【氏名】岩田 幸士
(72)【発明者】
【氏名】溝渕 亘祐
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-142002(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第100999597(CN,A)
【文献】特開2020-092068(JP,A)
【文献】特開2021-014643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00- 9/42
C08J 3/00- 3/28
99/00
B29B 7/00-11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィンを含む第一のペレットと、ポリオレフィンを含む第二のペレット
とを含む樹脂ペレット組成物であり、
前記第一のペレットは多孔質体であり、前記多孔質体の一部に可塑剤が含浸されており、
前記第二のペレットは、前記ポリオレフィンを含む樹脂からなる部分と、前記
可塑剤からなる部分とを有する、非多孔質体であり、
前記第一のペレットは、前記第一のペレットから前記可塑剤を抽出した後の気孔率が20%以上60%以下であり、
前記第一のペレットの外表面に存在する前記可塑剤の質量が、前記第一のペレット全体の質量に対して10質量%以下であり、
前記第一のペレットの内部に存在する前記可塑剤の質量が、前記第一のペレット全体の質量に対して0.5質量%以上30質量%以下であり、
前記第二のペレットの外表面に存在する
前記可塑剤の質量が、前記第二のペレット全体の質量に対して10質量%以下であり、
前記第二のペレットの内部に存在する前記可塑剤の質量が、前記第二のペレット全体の質量に対して30質量%以上70質量%以下であり、
前記樹脂ペレット組成物に含まれる前記可塑剤の量は、前記樹脂ペレット組成物の全質量を基準として、5質量%以上60質量%以下であり、
前記外表面に存在する
前記可塑剤の質量は以下
(1)の方法で測定され
、前記内部に存在する前記可塑剤の質量は以下(2)の方法で測定される、樹脂ペレット組成物。
(1)前記第一のペレット又は前記第二のペレットを20g採取する。気孔率38%、突刺強度280gf、孔径0.06μm、厚さ6μmのポリエチレン微多孔膜を複数枚重ねた、1辺が1m四方、厚さ0.6mmの正方形状のシートで、前記
ペレット20gを包み込み、
前記ペレットの外表面に存在する
前記可塑剤を拭き取る。
前記可塑剤が前記シートに移行すると、その部分の色が半透明に変化する。前記シートを取り換えて、前記シートの色の変化が確認できなくなるまで、拭き取り作業を複数回繰り返す。その後、
前記ペレットの質量を測定し、拭き取り作業の前後の質量差を
前記第一のペレット又は前記第二のペレットの外表面に存在する
前記可塑剤の量とする。
(2)前記第一のペレット又は前記第二のペレットを20g採取する。気孔率38%、突刺強度280gf、孔径0.06μm、厚さ6μmのポリエチレン微多孔膜を複数枚重ねた、1辺が1m四方、厚さ0.6mmの正方形状のシートで、前記ペレット20gを包み込み、前記ペレットの外表面に存在する前記可塑剤を拭き取る。前記可塑剤が前記シートに移行すると、その部分の色が半透明に変化する。前記シートを取り換えて、前記シートの色の変化が確認できなくなるまで、拭き取り作業を複数回繰り返す。その後、前記ペレットから前記可塑剤を溶剤で抽出除去したときの、抽出前後の質量差を前記第一のペレット又は前記第二のペレットの内部に存在する前記可塑剤の質量とする。
【請求項2】
前記第一のペレットの多孔質体が、微多孔膜状の構成部分、及び/又は、繊維若しくは中空糸からなる束、編物、織布若しくは不織布状の構成部分を有する、請求項1に記載の樹脂ペレット組成物。
【請求項3】
前記第一のペレットの多孔質体が、微多孔膜状の構成部分であって、厚みが50μm以下であり、直径が1μm以下のフィブリルを有する構成部分を含むか、及び/又は
前記第一のペレットの多孔質体が、繊維若しくは中空糸からなる束、編物、織布若しくは不織布状の構成部分であって、繊維径が500μm以下である構成部分を含む、請求項2に記載の樹脂ペレット組成物。
【請求項4】
前記第一のペレットに含まれる前記可塑剤の量は、前記樹脂ペレット組成物の全質量を基準として、0.1質量%以上30質量%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂ペレット組成物。
【請求項5】
前記第一のペレットに含まれる前記ポリオレフィンの粘度平均分子量、又は前記第一のペレットを構成する樹脂全体の粘度平均分子量が200,000以上であり、
前記第一のペレットは、折り畳まれているか、分離可能であるか、又は積層されている形態である、請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂ペレット組成物。
【請求項6】
前記第一のペレットは、前記可塑剤に加え、さらに可塑剤を5質量%以上含有することができる、請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂ペレット組成物。
【請求項7】
前記第一のペレット及び前記第二のペレットの質量比(第一のペレット/第二のペレット)が10/90~90/10である、請求項
1~6のいずれか一項に記載の樹脂ペレット組成物。
【請求項8】
前記第一のペレット及び/又は前記第二のペレットが、粘度平均分子量が200,000以上であるポリエチレンを含む、請求項
1~7のいずれか一項に記載の樹脂ペレット組成物。
【請求項9】
前記第一のペレット及び/又は前記第二のペレットが再生樹脂からなる、請求項
1~8のいずれか一項に記載の樹脂ペレット組成物。
【請求項10】
前記第二のペレットに含まれる前記
可塑剤の量は、前記樹脂ペレット組成物の全質量を基準として、20質量%以
上である、請求項
1~9のいずれか一項に記載の樹脂ペレット組成物。
【請求項11】
前記第一のペレット及び/又は前記第二のペレットの安息角が60度未満である、請求項
1~10のいずれか一項に記載の樹脂ペレット組成物。
【請求項12】
請求項1~
11のいずれか一項に記載の樹脂ペレット組成物を押出し、延伸し、前記
可塑剤を溶媒により抽出して開孔させることを含む、ポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
【請求項13】
請求項
1~11のいずれか一項に記載の樹脂ペレット組成物の製造方法であって、前記方法は、
ポリオレフィンを含む樹脂及び
可塑剤を含む組成物を押出機で押し出し、微多孔膜原反を形成する、押出工程と、
抽出溶媒の存在下、前記微多孔膜原反から前記
可塑剤を抽出する、抽出工程と
を含み、
前記押出工程後、前記抽出工程前の前記微多孔膜原反から、第二のペレット原料を得て、前記抽出工程後の前記微多孔膜原反から、第一のペレット原料を得て、前記第一のペレット原料と前記第二のペレット原料とを混合することを更に含む、樹脂ペレット組成物の製造方法。
【請求項14】
請求項
1~11のいずれか一項に記載の樹脂ペレット組成物の製造方法であって、前記方法は、
ポリオレフィンを含む樹脂及び
可塑剤を含む組成物を押出機で押し出して微多孔膜原反を形成する、第一の押出工程と、抽出溶媒の存在下、前記第一の押出工程で得られた前記微多孔膜原反から前記
可塑剤を抽出する抽出工程と、前記抽出工程後の前記微多孔膜原反から、第一のペレット原料を得ることを含む、第一のペレット原料製造工程;
ポリオレフィンを含む樹脂及び
可塑剤を含む組成物を押出機で押し出して微多孔膜原反を形成する、第二の押出工程と、前記第二の押出工程で得られた前記微多孔膜原反から、第二のペレット原料を得ることを含む、第二のペレット原料製造工程;並びに
前記第一のペレット原料と前記第二のペレット原料とを混合する工程
を更む、樹脂ペレット組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、樹脂ペレット組成物及びその製造方法、並びに微多孔膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂は、成型品物性、成型加工性、耐候性等のバランスが良く、包装フィルム、農業フィルム等の産業用フィルムの製造、ボトル容器等のブロー成形用途、構造材料、大型コンテナー等の射出成型用途、モノフィラメント等の繊維用途に広く用いられている。また、最近ではリチウムイオン電池のセパレータとしての微多孔膜の製造に用いられている。
【0003】
ポリオレフィン樹脂組成物のペレットを得る一般的な方法としては、特許文献1に記載されている方法、すなわち、重合されたポリエチレンパウダーを押出機で加熱混練してペレット化する方法が一般的である。例えば、ポリオレフィン樹脂を直径10mm以下の、一般には、約1~5mmのストランド状に押出成形し、押出成形品を長手方向に約2~5mmに切断してペレットを得ることができる。
【0004】
一方、樹脂組成物を、一旦フィルム状等に成形し、これを再ペレット化する方法も知られている。例えば、特許文献2は、得られた樹脂フィルムの一部を、非加熱のまま圧縮し、その後、所望の長さに裁断することにより樹脂ペレットを得る方法が記載されている。
【0005】
特許文献3もまた、樹脂フィルムから得ることができる、ポリエチレンを主成分として含む樹脂ペレットを記載している。この樹脂ペレットは、第一の実施形態として、折り畳まれているか、分離可能であるか、又は積層されている形態であり、第二の実施形態として、平面状、繊維状、中空糸状、又は不織布状のペレットであることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平10-101854号公報
【文献】特開2006-21519号公報
【文献】特開2019-142002号公報
【文献】特開2007-23171号公報
【文献】国際公開第2005/103127号
【文献】国際公開第2006/38532号
【文献】特公平6-15721号公報
【文献】特許第4623780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
樹脂ペレットは、成形品に所望の性質を付与するために、他の樹脂ペレットやパウダー等の粒径の異なる材料(被混合物)と混合して用いることがある。したがって、樹脂ペレットは、被混合物と混合しても分級しにくいこと(低分級性)が求められる。また、例えば湿式法による微多孔膜の製造では、樹脂ペレットは液状成分と共に混練されることがある。したがって、樹脂ペレットは、押出機内で液状成分と共に混練した際に液状成分がより均一に分散されること(混練性)が求められる。さらに、成型品の製造過程で、樹脂ペレットは空走ライン等の空気輸送を介して搬送されることが多い。したがって、空気輸送の際、配管の詰まりを起こさず搬送し易いこと(搬送性)が求められる。
【0008】
しかしながら、特許文献1~3に記載されるような従来のペレットは、粒径が異なる他の材料、特に樹脂パウダーと混合すると分級を起こしやすかった。また、特許文献1に記載される一般的な形状を有するペレットは、押出機内で液状成分と共に混練すると、液状成分が均一に分散しにくいことがあり、得られる微多孔膜等のフィルムの品位を損なうことがあった。また、特許文献2及び3に記載されるような、フィルム状の構造を有するペレットは、ペレットの嵩密度が低いため、空気輸送でうまく搬送されないか、又は配管の詰まりを起こす懸念があった。したがって、特許文献1~3に記載されるような従来のペレットは、ペレットの低分級性、液状成分との混練性、及び搬送性に改善の余地があった。
【0009】
本開示は、搬送性、及び液状成分との混練性に優れる樹脂ペレット組成物、その製造方法、並びに当該樹脂ペレット組成物を用いたポリオレフィン微多孔膜の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、本開示の実施形態の例を列記する。
[1]
ポリオレフィンを含む第一のペレットと、
0.1質量%以上99.0質量%以下の液状成分を含む、樹脂ペレット組成物であり、
上記第一のペレットは多孔質体であり、上記多孔質体の一部に上記液状成分の一部が含浸されている、樹脂ペレット組成物。
[2]
上記第一のペレットの多孔質体が、微多孔膜状の構成部分、及び/又は、繊維若しくは中空糸からなる束、編物、織布若しくは不織布状の構成部分を有する、項目1に記載の樹脂ペレット組成物。
[3]
上記第一のペレットの多孔質体が、微多孔膜状の構成部分であって、厚みが50μm以下であり、直径が1μm以下のフィブリルを有する構成部分を含むか、及び/又は
上記第一のペレットの多孔質体が、繊維若しくは中空糸からなる束、編物、織布若しくは不織布状の構成部分であって、繊維径が500μm以下である構成部分を含む、項目2に記載の樹脂ペレット組成物。
[4]
上記第一のペレットに含まれる上記液状成分の量は、上記樹脂ペレット組成物の全質量を基準として、0.1質量%以上50.0質量%以下である、項目1~3のいずれか一項に記載の樹脂ペレット組成物。
[5]
上記液状成分が可塑剤であり、
上記第一のペレットに含まれる上記ポリオレフィンの粘度平均分子量、又は上記第一のペレットを構成する樹脂全体の粘度平均分子量が200,000以上であり、
上記第一のペレットは、折り畳まれているか、分離可能であるか、又は積層されている形態である、項目1~4のいずれか一項に記載の樹脂ペレット組成物。
[6]
上記第一のペレットは、上記液状成分に加え、さらに液状成分を5質量%以上含有することができる、項目1~5のいずれか一項に記載の樹脂ペレット組成物。
[7]
上記第一のペレットの外表面に存在する液状成分の質量が、上記第一のペレット全体の質量に対して20質量%以下であり、上記外表面に存在する液状成分の質量は以下の方法で測定される、項目1~6のいずれか一項に記載の樹脂ペレット組成物。
上記第一のペレットを20g採取する。気孔率38%、突刺強度280gf、孔径0.06μm、厚さ6μmのポリエチレン微多孔膜を複数枚重ねた、1辺が1m四方、厚さ0.6mmの正方形状のシートで、上記第一のペレット20gを包み込み、ペレットの外表面に存在する液状成分を拭き取る。液状成分が上記シートに移行すると、その部分の色が半透明に変化する。上記シートを取り換えて、上記シートの色の変化が確認できなくなるまで、拭き取り作業を複数回繰り返す。その後、第一のペレットの質量を測定し、拭き取り作業の前後の質量差を第一のペレットの外表面に存在する液状成分の量とする。
[8]
上記第一のペレットの内部に存在する液状成分の質量が、上記第一のペレット全体の質量に対して0質量%以上70質量%以下であり、上記内部に存在する液状成分の質量は以下の方法で測定される、項目1~7のいずれか一項に記載の樹脂ペレット組成物。
上記第一のペレットを20g採取する。気孔率38%、突刺強度280gf、孔径0.06μm、厚さ6μmのポリエチレン微多孔膜を複数枚重ねた、1辺が1m四方、厚さ0.6mmの正方形状のシートで、上記第一のペレット20gを包み込み、ペレットの外表面に存在する液状成分を拭き取る。液状成分が上記シートに移行すると、その部分の色が半透明に変化する。上記シートを取り換えて、上記シートの色の変化が確認できなくなるまで、拭き取り作業を複数回繰り返す。その後、第一ペレットから液状成分を溶剤で抽出除去したときの、抽出前後の質量差を第一のペレットの内部に存在する液状成分の質量とする。
[9]
ポリオレフィンを含む第二のペレットを含む樹脂ペレット組成物であり、
上記第二のペレットは、上記ポリオレフィンを含む樹脂からなる部分と、上記液状成分からなる部分とを有する、非多孔質体であり、
上記第二のペレットの外表面に存在する液状成分の質量が、上記第二のペレット全体の質量に対して10質量%以下であり、上記外表面に存在する液状成分の質量は以下の方法で測定される、樹脂ペレット組成物。
上記第二のペレットを20g採取する。気孔率38%、突刺強度280gf、孔径0.06μm、厚さ6μmのポリエチレン微多孔膜を複数枚重ねた、1辺が1m四方、厚さ0.6mmの正方形状のシートで、上記第二のペレット20gを包み込み、ペレットの外表面に存在する液状成分を拭き取る。液状成分が上記シートに移行すると、その部分の色が半透明に変化する。上記シートを取り換えて、上記シートの色の変化が確認できなくなるまで、拭き取り作業を複数回繰り返す。その後、第二のペレットの質量を測定し、拭き取り作業の前後の質量差を第二のペレットの外表面に存在する液状成分の量とする。
[10]
上記第二のペレットの安息角が60度未満である、項目9に記載の樹脂ペレット組成物。
[11]
上記第二のペレットの内部に存在する液状成分の質量が、上記第二のペレット全体の質量に対して30質量%以上であり、上記内部に存在する液状成分の質量は以下の方法で測定される、項目9又は10に記載の樹脂ペレット組成物。
上記第二のペレットを20g採取する。気孔率38%、突刺強度280gf、孔径0.06μm、厚さ6μmのポリエチレン微多孔膜を複数枚重ねた、1辺が1m四方、厚さ0.6mmの正方形状のシートで、上記第二のペレット20gを包み込み、ペレットの外表面に存在する液状成分を拭き取る。液状成分が上記シートに移行すると、その部分の色が半透明に変化する。上記シートを取り換えて、上記シートの色の変化が確認できなくなるまで、拭き取り作業を複数回繰り返す。その後、第一ペレットから液状成分を溶剤で抽出除去したときの、抽出前後の質量差を第一のペレットの内部に存在する液状成分の質量とする。
[12]
ポリオレフィンを含む第二のペレットを更に含み、
上記第二のペレットは、上記ポリオレフィンを含む樹脂からなる部分と、上記液状成分からなる部分とを有する、非多孔質体である、項目1~8のいずれか一項に記載の樹脂ペレット組成物。
[13]
上記第一のペレット及び上記第二のペレットの質量比(第一のペレット/第二のペレット)が10/90~90/10である、項目12に記載の樹脂ペレット組成物。
[14]
上記第一のペレットから上記液状成分を抽出した後の気孔率が10%超90%以下である、項目12又は13に記載の樹脂ペレット組成物。
[15]
上記第一のペレット及び/又は上記第二のペレットが、粘度平均分子量が200,000以上であるポリエチレンを含む、項目12~14のいずれか一項に記載の樹脂ペレット組成物。
[16]
上記第一のペレット及び/又は上記第二のペレットが再生樹脂からなる、項目12~15のいずれか一項に記載の樹脂ペレット組成物。
[17]
上記第二のペレットに含まれる上記液状成分の量は、上記樹脂ペレット組成物の全質量を基準として、20質量%以上90質量%以下である、項目12~16のいずれか一項に記載の樹脂ペレット組成物。
[18]
上記第一のペレット及び/又は上記第二のペレットの安息角が60度未満である、項目12~17のいずれか一項に記載の樹脂ペレット組成物。
[19]
項目1~18のいずれか一項に記載の樹脂ペレット組成物を押出し、延伸し、上記液状成分を溶媒により抽出して開孔させることを含む、ポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
[20]
項目12~18のいずれか一項に記載の樹脂ペレット組成物の製造方法であって、上記方法は、
ポリオレフィンを含む樹脂及び液状成分を含む組成物を押出機で押し出し、微多孔膜原反を形成する、押出工程と、
抽出溶媒の存在下、上記微多孔膜原反から上記液状成分を抽出する、抽出工程と
を含み、
上記押出工程後、上記抽出工程前の上記微多孔膜原反から、第二のペレット原料を得て、上記抽出工程後の上記微多孔膜原反から、第一のペレット原料を得て、上記第一のペレット原料と上記第二のペレット原料とを混合することを更に含む、樹脂ペレット組成物の製造方法。
[21]
項目12~18のいずれか一項に記載の樹脂ペレット組成物の製造方法であって、上記方法は、
ポリオレフィンを含む樹脂及び液状成分を含む組成物を押出機で押し出して微多孔膜原反を形成する、第一の押出工程と、抽出溶媒の存在下、上記第一の押出工程で得られた上記微多孔膜原反から上記液状成分を抽出する抽出工程と、上記抽出工程後の上記微多孔膜原反から、第一のペレット原料を得ることを含む、第一のペレット原料製造工程;
ポリオレフィンを含む樹脂及び液状成分を含む組成物を押出機で押し出して微多孔膜原反を形成する、第二の押出工程と、上記第二の押出工程で得られた上記微多孔膜原反から、第二のペレット原料を得ることを含む、第二のペレット原料製造工程;並びに
上記第一のペレット原料と上記第二のペレット原料とを混合する工程
を更む、樹脂ペレット組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、低分級性、液状成分との混練性、及び搬送性に優れる樹脂ペレット組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1(a)は、平面状の膜が積層された樹脂ペレットの模式的な斜視図であり、
図1(b)は、
図1(a)の模式的な断面図であり、
図1(c)は、平面状の膜が折り畳まれた樹脂ペレットの模式的な断面図であり、
図1(d)は、平面状の膜が丸められた又は折り畳まれた樹脂ペレットの模式的な断面図である。
【
図2】
図2(a)は、平面状の膜が積層され、かつエンボス加工された樹脂ペレットの模式的な斜視図であり、かつ
図2(b)は、
図2(a)の模式的な断面図である。
【
図3】
図3(a)及び(b)は、樹脂ペレットの製造ラインの一例を示す概略図である。
【
図4】
図4は、第二のペレット及びその原料の形状の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
《樹脂ペレット組成物》
〈第一のペレット〉
本開示の樹脂ペレット組成物は、ポリオレフィンを含む第一のペレット(「多孔質ペレット」ともいう。)と、0.1質量%以上99.0質量%以下の液状成分とを含む。第一のペレットは、多孔質体であり、一部に液状成分の一部が含浸されている。樹脂ペレット組成物が予め液状成分を含有していることによって、液状成分が樹脂ペレット組成物の材料同士をつなぎ止め、分級を起こすことが少ない。また、必要に応じて粒径の異なる他の材料、例えば樹脂パウダーと混合した際にも、液状成分の存在によって分級を低減しつつ、樹脂パウダーによる粉塵の発生も抑えることができる。また、第一のペレットの多孔質体の一部に液状成分の一部が含浸されていることによって、予め液状成分が樹脂を膨潤しており、これを混練した際に樹脂ペレットと液状成分をより均一に混練することができる。また、樹脂ペレット組成物が予め液状成分を含んでも、多孔質体である第一のペレットが液状成分の一部を吸収するため、樹脂ペレット組成物のべたつきを抑えることができる。さらに、第一のペレットが多孔質体であるため、非多孔質体に比べて嵩密度が低いところ、多孔質体の一部に液状成分の一部を吸収していることによって適度に重くなり、搬送性に優れる。多孔質体とは、多数の空孔を有している材料をいう。多孔質体は、孔径が10nm~100nmの多数の空孔を有し、その気孔率は20%~70%程度、突刺強度は100gf~1000gf程度であってもよい。多孔質体は、例えば特許文献5、特許文献6に記載の方法で得られる微多孔膜であってもよく、例えばリチウムイオン2次電池用のセパレータに使用される微多孔膜であってもよい。多孔質体は、この微多孔膜を複数重ねたものであってもよい。非多孔質体とは、多孔質体ではない材料である。非多孔質体は、例えば、実質的に空孔を有していない材料であってよく、あるいは、空孔に他の材料が含浸され、例えば液状成分が含浸されて、全体として非多孔質となっている材料であってもよい。非多孔質体は、全体として非多孔質の材料である限り、その一部、例えばその表面に、多孔質の部分を有してもよい。多孔質体、非多孔質体の区別は、SEMを用いた観察等で判断することができる。
【0014】
第一のペレットは、ポリオレフィンを含むペレットであって、多孔質体である。第一のペレットは、その多孔質体の一部に、樹脂ペレット組成物に含まれる液状成分の一部が含浸されている。
【0015】
液状成分は、第一のペレットの多孔質体の全部を含浸することなく、第一のペレットは、その多孔性の少なくとも一部を維持している。第一のペレットは、その多孔性の少なくとも一部を維持している限り、後述するように、多孔質体の一部が圧接、接着又は融着して、非多孔質部分を形成していてもよい。
【0016】
本明細書では、樹脂ペレットとは、樹脂の粒子状の塊であって、従来の押出成形加工の原料として供するのに適切な寸法を有するものをいう。押出成形加工は、例えば、インフレーション成形等のフィルム成形、微多孔膜成形、中空糸成形、ブロー成形、射出成型、パイプ成形、モノフィラメント成形等である。
【0017】
樹脂ペレット組成物中の第一のペレットの量は、樹脂ペレット組成物の低分級性、液状成分との混練性、及び搬送性の観点から、樹脂ペレット組成物の全質量を基準として、好ましくは10質量%以上95質量%以下、より好ましくは15質量%以上80質量%以下、更に好ましくは30質量%以上70質量%以下である。
【0018】
第一のペレットに含まれる液状成分の量は、樹脂ペレット組成物の全質量を基準として、好ましくは0.1質量%超50.0質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上30質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以上10質量%以下、より更に好ましくは0.5質量%以上10質量%以下、より更に好ましくは0.5質量%以上5質量%以下、特に好ましくは1.0質量%以上5質量%以下である。第一のペレットに含まれる液状成分の量がこれらの範囲内であると、樹脂ペレット組成物の低分級性、液状成分との混練性、及び搬送性がより向上する傾向にある。
【0019】
第一のペレットに含まれる液状成分の一部は、第一のペレットの外表面に存在してもよい。樹脂ペレット組成物が第二のペレットを更に含む場合において、第一のペレットに含まれる液状成分の一部又は全部は、第一のペレットの外表面に存在してもよい。第一のペレットの外表面に存在する液状成分の質量の上限は、第一のペレット全体の質量に対して、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である。これらの上限と組み合わせることのできる下限は、特に限定されないが、好ましくは0質量%以上、0質量%超、0.1質量%以上、0.2質量%以上、又は1質量%以上とすることができる。第一のペレットの外表面に存在する液状成分の量がこれらの範囲内であると、樹脂ペレット組成物の液状成分との混練性、及び搬送性がより向上し、また押出機のホッパー内でのブリッジも改善し、押出変動をより抑えることができる。
【0020】
上記第一のペレットの外表面に存在する液状成分の質量は、以下の方法で測定される。まず、第一のペレットを20g採取する。気孔率38%、突刺強度280gf、孔径0.06μm、厚さ6μmのポリエチレン微多孔膜を複数枚重ねた、縦横1m四方、厚さ0.6mmのシートで、第一のペレットの外表面に存在する液状成分を拭き取る。液状成分が上記シートに移行すると、その部分の色が半透明に変化する。この拭き取り作業を、シートを取り換えて、液状成分がシートに染み込まなくなるまで、すなわち、上記シートの色の変化が確認できなくなるまで、複数回繰り返す。その後、第一のペレットの質量を測定し、拭き取り作業の前後の質量差を第一のペレットの外表面に存在する液状成分の量とする。より詳細な測定方法は、実施例に記載する。
【0021】
第一のペレットに含まれる液状成分の一部は、第一のペレットの内部に存在してもよい。第一のペレットの内部に存在する液状成分の質量の下限は、第一のペレット全体の質量に対して、好ましくは0質量%以上、0質量%超、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、2質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、又は50質量%以上とすることができる。これらの下限と組み合わせることのできる上限は、特に限定されないが、好ましくは70質量%以下、65質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、又は5質量%以下とすることができる。第一のペレットの内部に存在する液状成分の量がこれらの範囲内であると、樹脂ペレット組成物の液状成分との混練性、及び搬送性がより向上し、押出変動をより抑えることができる。例えば、リチウムイオン2次電池用のセパレータに使用される微多孔膜の製造には、第一のペレットの内部に存在する液状成分の質量は、好ましくは0質量%以上5質量%以下である。
【0022】
上記第一のペレットの内部に存在する液状成分の質量は、以下の方法で測定される。まず、第一のペレットを20g採取する。気孔率38%、突刺強度280gf、孔径0.06μm、厚さ6μmのポリエチレン微多孔膜を複数枚重ねた、縦横1m四方、厚さ0.6mmのシートで、第一のペレットの外表面に存在する液状成分を拭き取る。液状成分が上記シートに移行すると、その部分の色が半透明に変化する。この拭き取り作業を、シートを取り換えて、液状成分がシートに染み込まなくなるまで、すなわち、上記シートの色の変化が確認できなくなるまで、複数回繰り返す。その後、第一ペレットから液状成分を溶剤で抽出除去したときの、抽出前後の質量差を第一のペレットの内部に存在する液状成分の質量とする。より詳細な測定方法は、実施例に記載する。
【0023】
第一のペレットの安息角の上限値は、好ましくは60度未満、より好ましくは50度未満、更に好ましくは45度未満である。これらの上限と組み合わせることのできる下限は、特に限定されないが、好ましくは20度以上、15度以上、又は10度以上とすることができる。第一のペレットの安息角が上記範囲内であることにより、樹脂ペレット組成物の液状成分との混練性、及び搬送性がより向上し、さらに本発明のペレット組成物と、一般のその他のペレット、例えばポリプロピレンペレット等とドライブレンドする際の分級が抑えられ、押出変動をより抑えることができる。
【0024】
第一のペレットは、液状成分を抽出した後の気孔率が、好ましくは5%以上95%以下、より好ましくは10%以上80%以下、更に好ましくは20%以上60%以下、より更に好ましくは30%以上50%以下である。第一のペレットの液状成分を抽出した後の気孔率がこれらの範囲内であると、樹脂ペレット組成物の低分級性、液状成分との混練性、及び搬送性がより向上する傾向にある。
【0025】
第一のペレットの寸法について、第一のペレットの最大長さは、空走ライン等での空気輸送時に詰まりにくく搬送し易いという観点から、10mm以下であることが好ましく、押出機内での輸送性をさらに向上させるという観点から、6mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることが更に好ましい。最大長さの下限は、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上である。第一のペレットの最大長さは、特にスクリューとシリンダーの間のクリアランスの大きい大型押出機において、樹脂ペレット組成物が良好に搬送されるために、1mm以上であることが好ましい。なお、ペレットの「最大長さ」とは、例えば、楕円球の場合は最長径、直方体の場合は最大対角長さ、繊維の場合は長さであり、その他の形状の場合もこれに準じ、最大投影長さを用いる。
【0026】
第一のペレットは、ポリオレフィンを主成分として含む樹脂ペレットであることが好ましい。本願明細書において、「主成分」とは、第一のペレットの全樹脂成分の合計質量を基準として、50質量%を超える割合で含むことをいう。ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられ、好ましくはポリエチレンである。
【0027】
第一のペレットの主成分は、溶融混錬されたポリエチレンであることが好ましい。本技術分野では、ポリマー成形品の強度は、タイ分子間の絡み合い点の数に応じて変わることが知られている。理論に拘束されることを望まないが、溶融混錬によって、ポリマーの結晶子サイズが減少し、かつタイ分子同士の絡み合い点が増加するため、樹脂ペレット及びそれを用いる成形品の強度が向上することが考えられる。ポリエチレンの溶融混錬は溶融装置(melter)及び/又は混錬機(kneader)や一般の2軸押出機、単軸押出機により行われることができる。
【0028】
第一のペレットは、ポリエチレン以外に、耐熱性の向上の為に、ポリプロピレン、その他のポリオレフィン樹脂を含んでもよい。また、第一のペレットは、ポリオレフィン以外に、本開示の樹脂ペレット組成物の性能を損なわない範囲内で、他の樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びナイロン等の非ポリオレフィン樹脂を含んでいてもよい。第一のペレットが、ポリエチレンとポリエチレン以外の樹脂との混合物である場合、ポリエチレン以外の樹脂のペレット中の割合は、分散性及び/又は強度保持の観点から、好ましくは30質量%未満、分散性の観点から、より好ましくは20質量%未満、さらに好ましくは10質量%未満である。下限は、特に限定されないが、例えば0質量%以上、又は0質量%超とすることができる。
【0029】
第一のペレット(多孔質ペレット)中に含まれるポリオレフィン、又は第一のペレットを構成する樹脂全体の粘度平均分子量(Mv)は、好ましくは200,000以上、より好ましくは300,000以上、更に好ましくは500,000以上である。第一のペレット中に含まれるポリエチレン又は第一のペレットを構成する樹脂全体のMvが200,000以上であると、樹脂ペレットを、Mv200,000未満の低分子量成分を主成分として含む樹脂に混合した際に、混合物の成形品又はフィルムの機械的強度、例えば、引き裂き強度、及び引張強度等が顕著に向上するため、特に微多孔膜等の機械的強度が求められる用途に有利である。当該Mvの上限は、特に限定されないが、例えば5,000,000以下、好ましくは3,000,000以下、更に好ましくは2,000,000以下とすることができる。
【0030】
第一のペレット中に含まれるポリエチレンのMvは、成形品の引張強度の観点から、好ましくは200,000超、より好ましくは300,000以上(又は超)、さらに好ましくは500,000以上(又は超)である。同様の観点から、第一のペレットのMvは、好ましくは300,000以上、より好ましくは500,000以上である。当該Mvの上限は、特に限定されないが、例えば5,000,000以下、好ましくは3,000,000以下、更に好ましくは2,000,000以下とすることができる。
【0031】
第一のペレット中のポリエチレンは、互いに異なる分子量を有する複数の成分を含むもの、例えば混合物でもよい。例えば、Mv100,000のポリエチレンとMv700,000のポリエチレンの混合物が、全体として200,000以上のMvを有すればよい。
【0032】
第一のペレットは、生産性、環境への配慮等の観点から、再生樹脂からなることが好ましい。本願明細書において、「再生樹脂」とは、フィルムやブロー容器、射出成型品などの製品または製品になるまでの中間体、規格不適合品等からなり、少なくとも一回の溶融、混練及び押出工程を経た樹脂成型物からペレット化されることを意味する。例えば、後述するように第一のペレットの原料として、抽出工程後のポリオレフィン微多孔膜原反から形成されることがより好ましい。第一のペレットが再生樹脂からなる場合にも、そのポリエチレンの粘度平均分子量(Mv)は、樹脂ペレットを用いる成形品の強度の観点から、好ましくは200,000以上(又は超)、より好ましくは300,000以上(又は超)、さらに好ましくは500,000以上(又は超)である。当該Mvの上限は、特に限定されないが、例えば1,000,000以下とすることができる。
【0033】
ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高圧法低密度ポリエチレン、又はこれらの混合物等が挙げられる。また、メタロセン触媒を利用して得られた分子量分布の狭いポリエチレン、多段重合により得られたHDPEを使用してよい。本願明細書において、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)とは、粘度平均分子量(Mv)が350,000以上のポリエチレンをいう。
【0034】
第一のペレットにポリエチレンが含まれる場合、ポリエチレンの割合は、第一のペレットの樹脂成分の全質量を基準として、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは70質量%以上100質量%以下、更に好ましくは80質量%以上100質量%以下である。第一のペレットにUHMWPEが含まれる場合、UHMWPEの割合は、成形品の光学性、強度及び異物除去性の観点から、好ましくは5質量%以上50質量%以下であり、分散性の観点から、第一のペレットの樹脂成分の全質量を基準として、好ましくは9質量%以上40質量%以下である。
【0035】
第一のペレットは、平面状であるか、折り畳まれている(折り畳み形態)か、分離可能である(分離可能形態)か、又は積層されている(積層形態)ことが好ましい。これらの形態のいずれか一つ以上を有することにより、フィルムの形成時に強度及び光学性に優れ、かつフィッシュアイ、未溶融ゲル等の異物の除去性に優れた樹脂ペレットが得られる。その理由は、ペレットが押出機内で効率良くせん断力を伝え、ペレット中に含まれるポリエチレンの分子鎖を均一に引き延ばすように混練できるため、フィッシュアイ及び未溶融ゲル等の異物を低減できるからである。第一のペレットは、折り畳み形態、分離可能形態、又は積層形態であることがより好ましい。その理由は、上記異物の低減に加えて、第一のペレットが液状成分を保持しやすくなるため、搬送性、低分級性、液状成分との混練性により優れた樹脂ペレット組成物が得られるからである。
【0036】
図1(a)に、平面状の膜の積層形態を有する樹脂ペレットの模式的な斜視図を示す。積層形態の樹脂ペレットの断面は、例えば、個別の平面を有することができる(
図1(b))。折り畳み形態の樹脂ペレットの断面は、例えば、複数の平面状の構成部分の片端同士が結着することができる(
図1(c))。また、
図1(d)に示すように、樹脂ペレットは、平面状の微多孔膜が丸められた、又は折りたたまれたような断面形状を有してもよい。
図1(a)~(d)は模式的なものであるため、本開示の樹脂ペレットは、
図1(a)~(d)に示す規則的な積層形態を有するものに限られない。
【0037】
分離可能形態の樹脂ペレットは、ペレットの少なくとも一部が、空気輸送で搬送時にペレットの形状を維持し(搬送性を損なわず)、手で力を加えると分離可能である程度に連結していればよい。分離可能形態の樹脂ペレットは、具体的には非結着部分を有してよく、より詳細には非圧着部分、非接着部分、又は非融着部分を有してよい。例えば、
図2(a)に示されるように、折り畳み形態又は積層形態を有するペレットにエンボス加工を行うことによって、結着部分と非結着部分の両方を備える樹脂ペレット(
図2(b))が得られる。
図2(a)及び(b)は模式的なものであるため、本開示の樹脂ペレットは、
図2(a)及び(b)に示す規則的な積層形態及びエンボス加工部を有するものに限られない。
【0038】
第一のペレットの多孔質体は、微多孔膜状の構成部分、繊維若しくは中空糸からなる束、編物、織布若しくは不織布状の構成部分、又はこれらの組み合わせを含むことが好ましい。多孔質体がこれらの少なくとも一つの構成部分を含むことにより、多孔質体がその一部に液状成分を吸収し易く、したがって、より搬送性、低分級性、及び液状成分との混練性に優れた樹脂ペレット組成物を得ることができる。
【0039】
第一のペレットの多孔質体が微多孔膜状の部分を有する場合、1枚の微多孔膜状の部分の厚みは、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下、より更に好ましくは30μm以下、特に好ましくは20μm以下である。微多孔膜状の部分は、直径が10μm以下のフィブリルを有すること好ましく、より好ましくは5μm以下、更に好ましくは1μm以下のフィブリルを有する。第一のペレットの多孔質体が、繊維若しくは中空糸からなる束、編物、織布若しくは不織布状の部分を有する場合、繊維径は、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下、より更に好ましくは30μm以下、特に好ましくは20μm以下である。第一のペレットがこのような部分を有することにより、ペレット中に含まれるポリオレフィンの分子鎖を均一に引き延ばして、ペレットと他の材料から微多孔膜を形成するときに強度及び異物除去性を確保することができる。膜厚又は繊維径が100μm以下であることにより、未溶融ゲルを低減するために押出量を低下させなくてもよい。膜厚又は繊維径が50μm以下であると、樹脂が既に50μm以下まで分散されているので、高分子量成分を含む場合であっても、未溶融ゲルは目視ではほとんど又は全く観察されない。これは、一般的なポリエチレンパウダーよりも寸法が小さく、ポリエチレンの結晶性領域も50μmの水準まで引き延ばされているため、LLDPEと溶融混練されても良好な分散が得られるからであると考えられる。分散は、膜厚又は繊維径が小さいほど良好となる。膜厚又は繊維径の下限は、限定されないが、ハンドリング性の観点から1μm以上、3μm以上、又は4μm以上であることが好ましい。
【0040】
第一のペレットは、それに含まれるポリエチレン又は第一のペレットを構成する樹脂全体の粘度平均分子量(Mv)が200,000以上であり、かつ、上記のような膜厚の薄いフィルムの構造を有することが特に好ましい。以下、その技術的背景と意義を説明する。近年、微多孔膜及びフィルム等の成型加工製品は、使用原料の節約等の観点から、薄膜化が進んでいるが、薄膜化に伴い機械的強度の低下を防ぐ必要があった。膜強度を向上させるためには、従来、樹脂原料として高分子量成分を用いる技術が提案されてきた。例えば、特許文献4には、分子量の非常に高いポリエチレン樹脂組成物が記載されている。し
かしながら、これは単独では粘度が高すぎるため、一般のインフレーション法等の押出成形では、成形機の樹脂圧又は負荷電流が高くなりすぎてフィルムに製膜できないものであった。そこで、このような分子量の非常に高いポリエチレン樹脂組成物を、樹脂パウダーの形態で、従来の線状低密度ポリエチレン(LLDPE)又は低密度ポリエチレン(LDPE)の樹脂ペレットに混合して、押出機内で混練する方法がある。しかしながら、混練が不十分で強度が上がらず、高分子量成分がいわゆるフィッシュアイ又は未溶融ゲルとしてフィルムに残存するといった、高分子量成分の分散不良に起因すると推定される現象が起こり易かった。これらの現象は、分子量の高いポリオレフィン組成物、一般に粘度平均分子量が約200,000よりも高いポリオレフィン組成物を使用すると顕著に起こりやすい。その原因は、押出機内で低分子量成分が先に軟化するが、軟化の遅い高分子量成分に対して分散に必要な十分なせん断応力が伝わらないためであると推定される。すなわち、このような高分子量成分の分子鎖は非常に長いため、結晶を一般の押出機の内部で解きほぐすのに授与できるエネルギーが不足し、分子鎖が解き解されない状態で残存するためと推定される。また、高分子量成分のパウダーは、一般に粘度が高く混練に時間が掛かることも、押出機内での分散不良の要因と考えられる。これに対して、本開示の好ましい実施形態において、膜厚の薄いフィルム等の形状を有する第一のペレットを用いることで、押出機内で樹脂成分を効率的に溶融させ、せん断力をかけて分子鎖を十分に解きほぐすことができる。粘度平均分子量(Mv)を200,000以上にしても、分散不良を起こすことが少ない。したがって、従来の高分子量の樹脂パウダーを混合する量を低減し、又は混合することなく、成形加工品の機械的強度を高めることができる。したがって、従来の高分子量樹脂パウダーによる材料の分散不良及び分級を、低減又は回避することができる。
【0041】
第一のペレットは、既に含有している液状成分に加え、さらに液状成分を5質量%以上含有することができることが好ましく、さらに液状成分を10質量%以上含有することができることがより好ましく、さらに20質量%以上含有することができることが特に好ましい。上記は第一のペレットが、既に含有している液状成分に加え、さらに液状成分を吸収できる性質を備えていることを意味し、例えば、ペレットを過剰量の液状成分に晒す前後の質量変化からその性質を評価することができる。測定方法は実施例に記載する。さらに含有することができる液状成分の量の上限は、特に限定されないが、例えば65質量%以下であって好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下でもよい。液状成分を上記の範囲で更に含有できる状態であると、ペレットのベトツキが更に抑えられ、搬送性や押出性がより向上する。
【0042】
第一のペレットは、液状成分を抽出した後の、日本粉体工業技術協会規格SAP01-79に従って測定された嵩密度が0.1g/cm3~0.4g/cm3であることが好ましい。嵩密度が当該範囲であることにより、フィルムの形成時に強度及び光学性に優れ、かつフィッシュアイ、未溶融ゲル等の異物の除去性に優れた樹脂ペレット組成物が得られる。第一のペレットの嵩密度は、第一のペレットを使用して得られるフィルムの強度、光学性又は異物除去性をさらに向上させるという観点から、好ましくは0.35g/cm3未満、より好ましくは0.30g/cm3以下、更に好ましくは0.28g/cm3未満である。
【0043】
〈第二のペレット〉
樹脂ペレット組成物は、ポリオレフィンを含む第二のペレット(「非多孔質ペレット」ともいう。)を更に含み、第二のペレットは、ポリオレフィンを含む樹脂からなる部分と、液状成分からなる部分とを有する、非多孔質体であることが好ましい。非多孔質体は、全体として非多孔質の材料である限り、その一部、例えばその表面に、多孔質の部分を有してもよい。非多孔質体は、例えば、樹脂と液状成分を一般に溶融混錬した、液状成分を抽出除去していない混合物であってよい。樹脂ペレット組成物が、第一のペレットに加えて、液状成分からなる部分を有する第二のペレットを含むことで、樹脂ペレット組成物全体に含まれる液状成分の量をより多くすることができる。したがって、押出時に樹脂ペレット組成物を液状成分で膨潤させる時間を大きく短縮することができ、液状成分との混練性が更に改善される。その結果、フィッシュアイ、未溶融ゲル等の除去性に優れる。また、樹脂ペレット組成物全体に含まれる液状成分の量が多くなっても、多孔質体である第一のペレットが液状成分の一部を吸収するため、樹脂ペレット組成物のべたつきを抑えることができる。さらに、第二のペレットが非多孔質体であることで、樹脂ペレット組成物全体の嵩密度をより高めることができ、搬送性が更に改善される。第二のペレットは、ポリオレフィンを含む樹脂と液状成分との溶融混練物であることが好ましく、第二のペレットから液状成分を抽出すると、多孔質体であってもよい。
【0044】
樹脂ペレット組成物中の第二のペレットの量は、樹脂ペレット組成物の低分級性、液状成分との混練性、及び搬送性の観点から、樹脂ペレット組成物の全質量を基準として、好ましくは10質量%以上90質量%以下である。第一のペレットと第二のペレットの質量比(第一のペレット/第二のペレット)は、樹脂ペレット組成物の低分級性、液状成分との混練性、及び搬送性の観点から、好ましくは10/90~90/10であり、より好ましくは20~80であり、更に好ましくは30~60である。
【0045】
第二のペレットに含まれる液状成分の量は、樹脂ペレット組成物の全質量を基準として、好ましくは10質量%以上90質量%以下、より好ましくは20質量%以上90質量%以下、更に好ましくは30質量%以上80質量%以下、より更に好ましくは40質量%以上70質量%以下である。第二のペレットに含まれる液状成分の量がこれらの範囲内であると、樹脂ペレット組成物の低分級性、液状成分との混練性、及び搬送性がより向上する傾向にある。
【0046】
第二のペレットに含まれる液状成分の一部は、第二のペレットの外表面に存在してもよい。第二のペレットの外表面に存在する液状成分の質量の上限は、第二のペレット全体の質量に対して、好ましくは10質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、又は1質量%以下である。これらの上限と組み合わせることのできる下限は、特に限定されないが、好ましくは0質量%以上、0質量%超、0.1質量%以上、0.3質量%以上、又は0.5質量%以上とすることができる。第二のペレットの外表面に存在する液状成分の量がこれらの範囲内であると、樹脂ペレット組成物の液状成分との混練性、及び搬送性がより向上し、またペレット同士の粘着もなく、押出変動をより抑えることができる。
【0047】
上記第二のペレットの外表面に存在する液状成分の質量は、前述した第一のペレットの外表面に存在する液状成分の質量の測定方法に準じて測定される。より詳細な測定方法は、実施例に記載する。
【0048】
第二のペレットに含まれる液状成分の一部又は全部は、第二のペレットの内部に存在してもよい。第二のペレットの内部に存在する液状成分の質量の下限は、第二のペレット全体の質量に対して、好ましくは10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、又は50質量%以上である。これらの下限と組み合わせることのできる上限は、特に限定されないが、好ましくは70質量%以下、65質量%以下、又は60質量%以下とすることができる。第二のペレットの内部に存在する液状成分の量がこれらの範囲内であると、樹脂ペレット組成物の液状成分との混練性、及び搬送性がより向上し、押出変動をより抑えることができる。また経時保管後のブリードアウトもない。
【0049】
上記第二のペレットの内部に存在する液状成分の質量は、前述した第一のペレットの内部に存在する液状成分の質量の測定方法に準じて測定される。より詳細な測定方法は、実施例に記載する。
【0050】
第二のペレットの安息角の上限値は、好ましくは60度未満、より好ましくは50度未満、更に好ましくは45度未満である。これらの上限と組み合わせることのできる下限は、特に限定されないが、好ましくは10度以上、15度以上、又は20度以上とすることができる。第二のペレットの安息角が上記範囲内であることにより、樹脂ペレット組成物の液状成分との混練性、及び搬送性がより向上し、押出変動をより抑えることができる。
【0051】
第二のペレットから液状成分を抽出したとき、第二のペレットが多孔質体である場合において、液状成分を抽出した後の気孔率は、好ましくは10%超90%以下、より好ましくは20%以上80%以下、更に好ましくは30%以上70%以下、より更に好ましくは40%以上60%以下である。第二のペレットの液状成分を抽出した後の気孔率がこれらの範囲内であると、樹脂ペレット組成物の低分級性、液状成分との混練性、及び搬送性がより向上する傾向にある。
【0052】
第二のペレットの寸法について、第二のペレットの最大長さは、空走ライン等での空気輸送時に詰まりにくく搬送し易いという観点から、10mm以下であることが好ましく、押出機内での輸送性をさらに向上させるという観点から、6mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることが更に好ましい。最大長さの下限は、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上である。第二のペレットの最大長さは、特にスクリューとシリンダーの間のクリアランスの大きい大型押出機において、樹脂ペレット組成物が良好に搬送されるために、1mm以上であることが好ましい。
【0053】
第二のペレットは、ポリオレフィンを主成分として含む樹脂ペレットであることが好ましい。本願明細書において、「主成分」とは、第二のペレットの全樹脂成分の合計質量を基準として、50質量%を超える割合で含むことをいう。ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられ、好ましくはポリエチレンである。
【0054】
第二のペレットの主成分は、溶融混錬されたポリエチレンであることが好ましい。本技術分野では、ポリマー成形品の強度は、タイ分子間の絡み合い点の数に応じて変わることが知られている。理論に拘束されることを望まないが、溶融混錬によって、ポリマーの結晶子サイズが減少し、かつタイ分子同士の絡み合い点が増加するため、樹脂ペレット及びそれを用いる成形品の強度が向上することが考えられる。ポリエチレンの溶融混錬は溶融装置(melter)及び/又は混錬機(kneader)により行われることができる。
【0055】
第二のペレットは、ポリエチレン以外に、耐熱性の向上の為に、ポリプロピレン、その他のポリオレフィン樹脂を含んでもよい。また、第二のペレットは、ポリオレフィン以外に、本開示の樹脂ペレット組成物の性能を損なわない範囲内で、他の樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びナイロン等の非ポリオレフィン樹脂を含んでいてもよい。第二のペレットが、ポリエチレンとポリエチレン以外の樹脂との混合物である場合、ポリエチレン以外の樹脂のペレット中の割合は、分散性及び/又は強度保持の観点から、好ましくは30質量%未満、分散性の観点から、より好ましくは20質量%未満、さらに好ましくは10質量%未満である。下限は、特に限定されないが、例えば0質量%以上、又は1質量%超とすることができる。
【0056】
第二のペレット中に含まれるポリエチレン、又は第二のペレットを構成する樹脂全体の粘度平均分子量(Mv)は、200,000以上であることが好ましい。第二のペレット中に含まれるポリエチレン又は第二のペレットを構成する樹脂全体のMvが200,000以上であると、樹脂ペレットを、Mv200,000未満の低分子量成分を主成分として含む樹脂に混合した際に、混合物の成形品又はフィルムの機械的強度、例えば、引き裂き強度、及び引張強度等が顕著に向上する。当該Mvの上限は、特に限定されないが、例えば、例えば5,000,000以下、好ましくは3,000,000以下、更に好ましくは2,000,000以下とすることができる。
【0057】
第二のペレット中に含まれるポリエチレンのMvは、成形品の引張強度の観点から、好ましくは200,000超、より好ましくは300,000以上(又は超)、さらに好ましくは500,000以上(又は超)である。同様の観点から、第二のペレットのMvは、好ましくは300,000以上、より好ましくは500,000以上である。当該Mvの上限は、特に限定されないが、例えば5,000,000以下、好ましくは3,000,000以下、更に好ましくは2,000,000以下とすることができる。
【0058】
第二のペレット中のポリエチレンは、互いに異なる分子量を有する複数の成分を含むもの、例えば混合物でもよい。例えば、Mv100,000のポリエチレンとMv700,000のポリエチレンの混合物が、全体として200,000以上のMvを有すればよい。
【0059】
第二のペレットは、液状成分に加え、さらに含有することができる液状成分が5質量%未満であることが好ましく、さらに含有することができる液状成分が2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。上記は第二のペレットが、既に含有している液状成分以外に、さらなる液状成分を吸収しにくいことを意味し、例えば、ペレットを過剰量の液状成分に晒す前後の質量変化が少ないことからその性質を評価することができる。測定方法は実施例に記載する。
【0060】
第二のペレットは、生産性、環境への配慮等の観点から、再生樹脂からなることが好ましく、例えば、後述するように第二のペレットの原料として抽出工程前の微多孔膜原反から形成されることがより好ましい。第二のペレットが再生樹脂からなる場合にも、そのポリエチレンの粘度平均分子量(Mv)は、樹脂ペレットを用いる成形品の強度の観点から、好ましくは200,000以上(又は超)、より好ましくは300,000以上(又は超)、さらに好ましくは500,000以上(又は超)である。当該Mvの上限は、特に限定されないが、例えば5,000,000以下、好ましくは3,000,000以下、更に好ましくは2,000,000以下とすることができる。
【0061】
ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高圧法低密度ポリエチレン、又はこれらの混合物等が挙げられる。また、メタロセン触媒を利用して得られた分子量分布の狭いポリエチレン、多段重合により得られたHDPEを使用してよい。本願明細書において、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)とは、粘度平均分子量(Mv)が350,000以上のポリエチレンをいう。
【0062】
第二のペレットにポリエチレンが含まれる場合、ポリエチレンの割合は、第二のペレットの樹脂成分の全質量を基準として、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは70質量%以上100質量%以下、更に好ましくは80質量%以上100質量%以下である。第二のペレットにUHMWPEが含まれる場合、UHMWPEの割合は、成形品の光学性、強度及び異物除去性の観点から、好ましくは5質量%以上50質量%以下であり、分散性の観点から、第二のペレットの樹脂成分の全質量を基準として、好ましくは9質量%以上40質量%以下である。
【0063】
第二のペレットの形状は、例えば、楕円球、ボタン型、多角形状(
図4(a)(b))、扁平球状(
図4(c))などであってよい。第二のペレットは、平面状であるか、折り畳まれている(折り畳み形態)か、分離可能である(分離可能形態)か、又は積層(積層形態)されていてもよい。第二のペレットは、好ましくは、液状成分を含むシートを最大長さが5mm程度の多角形状に切断した小片でもよい。液状成分を含むシートは、ポリオレフィンを含む樹脂と液状成分との溶融混練物であることができる。多角形状としては、例えば、
図4(a)に模式的に記載する矩形、及び
図4(b)に模式的に記載する三角形等が挙げられる。小片の厚みは、好ましくは、0.5mm~3mm程度である。これらの形態のいずれか一つを有することにより、フィルムの形成時に強度及び光学性に優れ、かつフィッシュアイ、未溶融ゲル等の異物の除去性に優れた樹脂ペレットが得られる。その理由は、ペレットが押出機内で効率良くせん断力を伝え、ペレット中に含まれるポリエチレンの分子鎖を均一に引き延ばすように混練できるため、フィッシュアイ及び未溶融ゲル等の異物を低減できるからである。第二のペレットは、折り畳み形態、分離可能形態又は積層形態であることがより好ましい。その理由は、上記異物の低減に加えて、第二のペレットが液状成分を保持しやすくなるため、搬送性、低分級性、液状成分との混練性により優れた樹脂ペレット組成物が得られるからである。
【0064】
「第一のペレット」の欄に記載した
図1(a)~(d)に関する説明は、第二のペレットにも当てはまる。また、「第一のペレット」の欄に記載した
図2(a)及び(b)に関する説明は、第二のペレットにも当てはまる。
【0065】
第二のペレットは、液状成分を抽出した後の、日本粉体工業技術協会規格SAP01-79に従って測定された嵩密度が0.1~0.9g/cm3であることが好ましい。嵩密度が当該範囲であることにより、フィルムの形成時に強度及び光学性に優れ、かつフィッシュアイ、未溶融ゲル等の異物の除去性に優れた樹脂ペレット組成物が得られる。第二のペレットの嵩密度は、第二のペレットを使用して得られるフィルムの強度、光学性又は異物除去性をさらに向上させるという観点から、好ましくは0.2~0.8g/cm3、より好ましくは0.30~0.6g/cm3、更に好ましくは0.4~0.55g/cm3である。
【0066】
〈液状成分〉
本開示の樹脂ペレット組成物は、樹脂ペレット組成物の全質量を基準として、0.1質量%以上99.0質量%以下の液状成分を含む。液状成分の量は、分級性、液状成分との混練性、及び搬送性の観点から、好ましくは5質量%以上80質量%以下、10質量%以上60質量%以下、20質量%以上50質量%以下である。ここで、液状成分の量は、第一のペレット及び第二のペレットに含まれる液状成分を含む、樹脂ペレット組成物全体に含まれる液状成分の質量を意味する。
【0067】
本願明細書において、「液状成分」とは、10℃~100℃のいずれかの温度において、好ましくは25℃程度の常温において流動性を有する材料を意味する。液状成分としては、例えば潤滑油、可塑剤、防曇剤及び帯電防止剤が挙げられ、低分級性、混練性及び搬送性の観点から、潤滑油又は可塑剤が好ましい。可塑剤としては、例えばパラフィン系炭化水素、及びナフテン系炭化水素が挙げられ、押出成形により微多孔膜を製造する場合、好ましくはパラフィン系炭化水素、より好ましくは流動パラフィンである。
【0068】
〈異物除去性〉
樹脂ペレット組成物が未溶融ゲルなどの異物を除去する指標(異物除去性)として、以下の基準を用いる。まず、樹脂ペレット組成物5質量%以上~60質量%と、メルトインデックス(MI)が2であり、かつ密度が0.940g/cm3の線状低密度ポリエチレン(LLDPE)とをドライブレンドし、ポリオレフィン系ペレットを調製する。東洋精機社製ラボプラストミルを用いて、得られたポリオレフィン系ペレットを、200℃及び50rpmで10分間に亘って混練することにより溶融樹脂を得る。得られた溶融樹脂をプレス板上で10MPaで厚み500μmのシートを成型した後に、2軸延伸機で縦5倍×横5倍に延伸することにより、厚み20μmのフィルムを製膜する。このとき、製膜されたフィルムの100cm2当たり、10個以下の未溶融ゲルが存在することが好ましく、より好ましくは5個以下の未溶融ゲルが存在し、さらに好ましくは1個以下の未溶融ゲルが存在し、よりさらに好ましくは未溶融ゲルが0個である。この場合、未溶融ゲルとは、高分子量成分の分散不良に起因するものであり、ルーペ等で観察したときに直径が0.3mmを超えるものをいう。直径が0.3mmより小さいもの、又はそれ以外のコンタミ若しくは異物は、未溶融ゲルとしてはカウントしない。
【0069】
《樹脂ペレット組成物の製造方法》
本開示の樹脂ペレット組成物の製造方法は、例えば、多孔質体である第一のペレットの原料となるペレット(以下、単に「第一のペレット原料」という。)及び液状成分を提供する工程と、これらの材料を混合して、第一のペレット原料の多孔質体の一部に液状成分の一部を含浸させることを含む。
【0070】
方法は、製造効率の観点から、再生樹脂を用いることが更に好ましい。例えば、ポリオレフィン微多孔膜を製造する工程で得られる抽出工程後の微多孔膜原反から、第一のペレット原料を得ることができる。抽出工程後の微多孔膜原反から得られる第一のペレット原料は、液状成分を実質的に含有しない。したがって、これを液状成分と混合することにより、液状成分の一部を第一のペレット原料の多孔質体の一部に含浸させて、結果として第一のペレットを含む本開示の樹脂ペレット組成物を得ることができる。
【0071】
本開示の樹脂ペレット組成物が第二のペレットを更に含む場合、その製造方法は、例えば、多孔質体である第一のペレット原料、ポリオレフィンを含む樹脂部分と液状成分部分とを有する非多孔質体である第二のペレットの原料となるペレット(以下、単に「第二のペレット原料」という。)、及び液状成分を提供する工程と、これらの材料を混合することを含み、第一のペレット原料の多孔質体の一部に液状成分の一部を含浸させる方法が挙げられる。
【0072】
混合する順番は特に限定されず、例えば、(1)第一のペレット原料と液状成分を先に混合して多孔質体の一部に液状成分の一部を含浸させてから、第二のペレット原料を混合してもよく;(2)第二のペレット原料に(又は、第二のペレット原料に所望の量の液状成分を予め混合しておいたものに)液状成分を含まない第一のペレット原料を混合して、第二のペレット原料中に含まれる又は第二のペレット原料の表面に付着している液状成分の一部を、第一のペレット原料の多孔質体の一部に含浸させてもよい。製造効率の観点から、上記(2)の方法が好ましい。
【0073】
上記(2)の方法は、製造効率の観点から、再生樹脂を用いることが更に好ましい。例えば、ポリオレフィン微多孔膜を製造する工程で得られる微多孔膜原反の一部を、第一のペレット原料及び第二のペレット原料の製造に利用することができる。より具体的に、ポリオレフィン微多孔膜を製造する方法は、一般に、ポリオレフィンを含む樹脂及び液状成分を含む組成物を押出機で押し出し、微多孔膜原反を形成する、押出工程と;抽出溶媒の存在下、微多孔膜原反から液状成分を抽出する、抽出工程とを含む。ここで、上記押出工程後、上記抽出工程前の微多孔膜原反から、第二のペレット原料を得て、上記抽出工程後の微多孔膜原反から、第一のペレット原料を得ることができる。このように、一連のポリオレフィン微多孔膜を製造する工程から、第一のペレット原料及び第二のペレット原料を得てもよいが、別々のポリオレフィン微多孔膜を製造する工程の一方から第一のペレット原料を得て、他方から第二のペレット原料を得てもよい。すなわち、ポリオレフィンを含む樹脂及び液状成分を含む組成物を押出機で押し出して微多孔膜原反を形成する、第一の押出工程及び抽出工程を経て得られる微多孔膜原反から第一のペレット原料を得て、第一の押出工程とは別の、第二の押出工程から得られる微多孔膜原反から、第二のペレット原料を得てもよい。抽出工程後の微多孔膜原反から得られる第一のペレット原料は液状成分を実質的に含有しない。したがって、これを上記第二のペレット原料と混合することにより、第二のペレット原料中に含まれる又は第二のペレット原料の表面に付着する液状成分の一部を、第一のペレット原料の多孔質体の一部に含浸させて、結果として本開示の樹脂ペレット組成物を得ることができる。
【0074】
〈微多孔膜の製造方法〉
微多孔膜の製造方法として、より具体的には、限定されないが、例えば、国際公開第2005/103127号(特許文献5)又は国際公開第2006/38532号(特許文献6)に記載の方法により製造される膜を使用してよい。例えば、この方法では、液状成分として可塑剤を用いる。そして、Mv200,000以上のポリエチレンを用いる場合、これを分散させるという観点から、原料のポリエチレンに可塑剤を混合して溶融押出し、キャスト装置等で冷却する際に両者を相分離させた後、延伸し、さらに溶剤を用いて可塑剤を抽出除去して開孔させる方法、いわゆる湿式法により微多孔膜を製造することができる。湿式法によれば、その可塑剤によりMv200,000以上のポリエチレンの結晶が膨潤するため、高分子量成分が分散し易くなり、樹脂ペレットを従来のLLDPEと混合する際に膜品位の良いフィルムが得られる。
【0075】
得られる微多孔膜の気孔率は、好ましくは10%以上80%以下、より好ましくは20%以上65%以下、透気度は、好ましくは10sec/100cc以上5000sec/100cc以下、さらに好ましくは50sec/100cc以上1000sec/100cc以下である。
【0076】
湿式法については、例えば、国際公開第2006/38532号(特許文献6)に記載の方法が挙げられる。製造された微多孔膜は、孔径が0.05μm程度、その孔の周りの樹脂の幹も0.1μm程度の太さであってよい。その場合、幹を構成するポリエチレンの高分子量成分も既に0.1μmまで分散されており、この微多孔膜を用いてポリオレフィン系樹脂ペレットを製造し、製造された樹脂ペレットを一般のLLDPEと溶融混練すると、極めて高分子量成分の分散が良く、強度も膜品位も優れたフィルムが得られる。なお、この幹の太さは、走査型電子顕微鏡等で観察することで確認できる。ここでいう強度としては、フィルムについては引張強度、引裂強度等が挙げられ、本明細書では評価基準としてフィルムの突刺強度を使用してよい。また、膜品位とは、フィルム表面に発生するフィッシュアイ又は未溶融ゲルが無いことをいう。膜品位は、100mm四方に切り出したフィルム中のフィッシュアイ又は未溶融ゲルの個数をルーペ又は目視で観察し判断してよい。
【0077】
微多孔膜から樹脂ペレットを製造する方法としては、例えば、特開2006-21519号公報(特許文献2)に記載の方法を使用することができる。具体的には、抽出工程後の微多孔膜原反を、単独で集束するか、複数重ね合せるか、折り畳むか、切り分けるか、又は別の樹脂原料と混ぜて、その後任意に圧接、接着又は融着等で結着させてから、所望の寸法に裁断することによって、第一のペレット原料を製造することができる。圧接、接着又は融着によって、多孔質体の一部が非多孔質部分を形成してもよい。
【0078】
〈第二のペレット原料の製造〉
第二のペレット原料は、例えば2軸押出機においてポリエチレンなどの樹脂原料と、潤滑油などの可塑剤を混錬し、Tダイスから押し出した原反をキャスト装置で冷却固化させ、そのキャスト原反を粉砕機等で粉砕したり、切断して製造される。また上記の押出機に通常のストランドダイスを接続して、製造されるストランドを市販のストランドカッターで切断することによって製造される。樹脂原料と潤滑油等の液状成分の重量比は本開示の第二のペレットが得られる範囲であるのが好ましいが、第二のペレット原料から液状成分はブリードして一部喪失するので、所望量より5%程度多めでもよい。第二のペレット原料は第一のペレット原料と同様に、押出工程後、抽出工程前の微多孔膜原反を、単独で集束するか、複数重ね合せるか、折り畳むか、切り分けるか、又は別の樹脂原料と混ぜて、その後任意に圧接、接着又は融着等で結着させてから、所望の寸法に裁断することによって、第二のペレット原料を製造することもできる。
【0079】
(混錬/押出)
例えば、1台の押出機にて樹脂原料(ポリエチレン)と液状成分(流動パラフィン)を所定量配合した原料組成物を押出し、キャスト成形により微多孔膜原反を作成し、この原反を所望の大きさに粉砕、切断して第二のペレット原料を得ることができる。
【0080】
原料である樹脂組成物を混練する方法としては、あらかじめ原料樹脂と、場合により可塑剤をヘンシェルミキサー又はタンブラーミキサーで事前混練する工程と、得られた混練物を押出機に投入し、押出機中で加熱溶融させながら、必要に応じて任意の比率で所定量になるまで可塑剤を導入し、さらに混練する工程とを含む方法が挙げられる。この方法は、樹脂組成の分散性が良好なシートを得ることができる。
【0081】
溶融押出機としては、例えば二軸押出機を用いることができる。これにより強いせん断力を樹脂組成物に掛けられるため、原料が重合パウダーである場合は分散性が一層向上する。二軸押出機のスクリューのL/Dは、好ましくは20~70程度であり、より好ましくは30~60である。なお、Lはスクリュー長を、Dはスクリュー径をそれぞれ表す。そのスクリューには、フルフライトの部分と、一般にニーディングディスク又はローター等の混練部分とを配しているものが利用できる。一方、樹脂原料として、既に重合パウダーをペレットに加工してある場合には、単軸の押出機も用いることができる。
【0082】
押出工程において、微多孔膜層中の可塑剤の含有量は、任意に選ばれるが、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。但し、可塑剤が過剰に多すぎると、キャスト工程でのブリード量が大きくなり、ロール間でスリップ等が発生する。可塑剤の含有量は、好ましくは90質量%以下である。
【0083】
押出機の先端に装着されるダイスとしては、特に限定されないが、Tダイス等が用いられる。無機粒子又は無機フィラーを用いる場合、又は劣化し易い樹脂組成物を用いる場合には、それらによる摩耗又は付着を抑制する対策を講じたもの、例えば、流路又はリップに、テフロン(登録商標)加工、セラミック加工、ニッケル加工、モリブデン加工、ハードクロムコートしたものが好適に用いられる。共押出ダイスを用いて、複合原反を作成してもよい。
【0084】
(キャスト工程)
ダイスより押し出された溶融樹脂は、例えばキャスト装置に導入され、微多孔膜原反(微多孔膜積合体の前駆体)とすることができる。原反の厚さは第二のペレット原料として取り扱いしやすい寸法であり、好ましくは最大長さが1mm以上10mm以下、更に好ましくは2mm以上6mm以下である。得られたシート状の微多孔膜原反を切断することで、第二のペレット原料を得ることができる。
【0085】
〈第一のペレット原料の製造〉
第一のペレット原料を得るため以下の工程は、第二のペレット原料を製造するための上記混錬/押出工程、キャスト工程で得られた微多孔膜原反に対して続けて行ってもよく、又は第二のペレット原料の製造とは別の、異なる混錬/押出工程、及びキャスト工程を経て得られた微多孔膜原反に対して行ってもよい。
【0086】
(延伸工程)
キャスト工程で得られた微多孔膜原反を延伸する(延伸工程)。このときの延伸は二軸延伸であることが好ましく、より好ましくは同時二軸延伸、又は逐次二軸延伸である。延伸温度は、好ましくは100℃~155℃以下、より好ましくは110℃~140℃の範囲内である。延伸倍率は、膜強度の観点から、好ましくは面積倍率で3倍以上~200倍以下である。延伸工程は2軸延伸でも1軸延伸でもよく、必要が無ければ省いてもよい。
【0087】
(抽出/多孔化工程)
共延伸前の微多孔膜原反を抽出溶媒に浸漬して、可塑剤(液状成分)を抽出することにより多孔化し(抽出/多孔化工程)、その後、膜を十分乾燥させる。可塑剤のみを抽出する場合の抽出溶媒は、ポリオレフィン等に対して貧溶媒であり、かつ可塑剤に対しては良溶媒であり、沸点が原料樹脂の融点よりも低いことが好ましい。このような抽出溶媒としては、例えば、塩化メチレン、1,1,1-トリクロロエタン等の塩素系溶剤;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類;ヒドロフルオロカーボン、ヒドロフルオロエーテル、環状ヒドロフルオロカーボン、ペルオロカーボン、ペルフルオロエーテル等のハロゲン系有機溶剤;ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン等のエーテル類;n-ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類;メタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類が挙げられる。また、これらの抽出溶媒を2種類以上使用してもよい。上記の中では、特に塩化メチレンが好ましい。多孔化工程は、共延伸工程の前でもよいし、後でもよい。多孔化工程は、複数の抽出槽による多段抽出で行われてもよい。無機フィラーの抽出溶媒としては、例えば、アルカリ水等が挙げられる。ただし、無機フィラーは、強度向上などの目的で微多孔膜又は補助層の中に残してもよいが、抽出槽にて除去しても良い。
【0088】
(熱固定工程)
可塑剤の抽出後には、膜厚、透気度等の膜物性の調整、又はフィルムの熱収縮防止のために、必要に応じて加熱延伸による熱固定を行なってもよい。抽出後の延伸としては、例えば、一軸延伸、同時二軸延伸、逐次二軸延伸、横1軸延伸等が挙げられる。延伸温度は、好ましくは100℃以上155℃以下である。延伸倍率は、好ましくは面積倍率で1倍を超えて10倍以下である。微多孔膜の寸法安定化のための熱処理を実施する場合は、高温雰囲気下での膜収縮を低減するために、例えば、二軸延伸機、一軸延伸機、又はそれらの両方を用いて、100℃以上150℃以下の温度で熱処理を行うことができる。好ましくは、原反、目的層又は補助層を構成する樹脂の融点以下の温度範囲で、幅方向、長さ方向、又はそれらの両方向に、その倍率及び/又は応力を緩和することにより熱処理を行う。熱固定の温度は、さらに好ましくは110℃以上140℃以下、最も好ましくは120℃以上140℃以下である。以上の工程により、微多孔膜が製造される。
【0089】
(ペレタイジング)
上記の様に製造された微多孔膜などをペレタイズして、第一のペレット原料を製造する。製造方法としては、例えば、特開2006-21519号公報(特許文献2)に記載の方法を使用することができる。具体的には、予め作製しておいたポリエチレン原料、例えばポリエチレンフィルムや上記微多孔膜を、単独で集束するか、複数重ね合せるか、切り分けるか、又は別の樹脂原料(フィルムなど)と編み込むなどして、混合して、その後にピンチロール、エンボスピンチロール等の圧力等で結着させてから、所望の寸法に裁断することによって第一のペレット原料を製造することができる。第一のペレット原料を構成する単独の微多孔膜等の各層は、膜厚500μm以下でよい。第一のペレット原料は生産性、ハンドリング性、汎用性などの観点から、互いに樹脂組成が異なる2種類以上の樹脂フィルムを含むことが好ましい。
【0090】
予め紙管等に巻き取ったフィルムを数層重ねたまま、ロール等で厚み方向に圧縮し縦横6mm程度の大きさに切り出す方法、特開2006-21519号公報(特許文献2)に記載された方法により製膜されたフィルムを幅方向に集束しながらロールで圧縮し、その後、長さ方向に切り出す方法などの公知の方法を用いてよい。
【0091】
第一のペレット原料が繊維状の構成部分を有する場合には、特公平6-15721号公報(特許文献7)に記載の超高分子量ポリエチレン繊維又は特許4623780号公報(特許文献8)に記載の方法で作製された繊維を用いることができる。繊維状の構成部分を形成するために使用される繊維についても、フィルムの膜厚と同様に、繊維径が好ましくは500μm以下、より好ましくは50μm以下である。
【0092】
上記で説明されたフィルム、微多孔膜、繊維等は、第一のペレット原料の構成部分を形成するために、単独で、又は併用して、使用されることができる。例えば、ポリエチレンを主成分として含む微多孔膜と、ポリプロピレンを主成分として含む無孔フィルムとを組み合わせてよい。
【0093】
第一のペレット原料は、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等の公知の酸化防止剤を含んでよい。第一のペレット原料における酸化防止剤の含有量は、樹脂ペレット組成物の用途に応じて調整されることができ、一般に100PPM~1質量%の範囲内である。
【0094】
第一のペレット原料(及び第一のペレット)は、第一のペレットを改質するための添加剤を含んでよい。添加剤は、例えば、グリセリンエステル等の防曇材;エルカ酸、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸アミドに代表されるスリップ材;帯電防止剤;シリカ、アルミナ等の無機フィラー;流動パラフィン;及び潤滑油、また内部潤滑剤としてステアリン酸カルシウム等である。
【0095】
ペレット原料(及び第一のペレット)は、生産性、環境への配慮、ハンドリング性などの観点から、再生樹脂ペレットであってもよい。
【0096】
図3は、第一及び第二のペレット原料の製造ラインの一例を示す概略図である。
図3(a)では、2つのロール(1、2)から巻き出した2枚の微多孔膜を集束し、エンボスローラー又は圧縮ローラー(3)により圧接した後、装置内部に含まれるカッター(4)でMD方向に切断してペレット状とし、ペレットの容器(5)に回収することができる。この工程では、ヒーター等の外部熱源による加熱を行わないことが好ましい。ローラー(3)は、エンボスローラーにより点圧接することが好ましい。
図3(a)では、2つのロール(1、2)から巻き出した2枚の微多孔膜が記載されているが、1つのロール(1)のみから構成部分を巻き出して、折り畳むか、圧縮する等によって、1つの微多孔膜中の複数の領域を接合してもよい(図示せず)。これらの集束、重ね合せ、切り分け、別の樹脂原料との混合、及び圧着等の条件を調整することによって、折り畳まれているか、分離可能であるか、又は積層されている形態の、様々な構造を有する第一及び第二のペレット原料を得ることができる。
図3(b)は、樹脂ペレット(d)のような断面形状を有する第一及び第二のペレット原料の製造ラインの一例を示す概略図である。ロール(1)から巻き出した微多孔膜を丸める、または折りたたむように集束し、カッター(4)でMD方向に切断してペレット状にすることで、平面状の膜が丸められた又は折り畳まれた樹脂ペレット(d)を得ることができる。
【0097】
樹脂ペレットの従来の製造方法では、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)の場合、ポリエチレン製造プラントで重合された樹脂パウダーを押出機で溶融混練し、紐状に押出した溶融樹脂を切断して、最大長さ2mm~5mm程度のペレットを得るのに対して、上記微多孔膜原反(フィルム)を用いる方法では、好ましくは複数のフィルムを、より好ましくは数百層のフィルムを積層した積層体を得ることができる。
【0098】
〈第一のペレット原料と第二ペレット原料の混合〉
第一のペレット原料と第二ペレット原料の混合は、公知のブレンド法、例えばヘンシェルミキサー、タンブラーミキサーやフラッシュ混合機(アコー株式会社)等が用いられる。混合比は任意でよい。混合後、第二のペレット原料の液状成分が過剰で、べとつく場合には、混合終了後に1分~60分程度の時間静置すると、過剰な液状成分を第一のペレット原料が吸収し、ベトツキがなくなり、より好ましい。この混合により、第二のペレット原料に含まれる液状成分の一部が第一のペレット原料に移行し、第一のペレット原料の多孔質体の一部に液状成分の一部が含浸され、本開示の樹脂ペレット組成物が得られる。
【0099】
本開示において好ましい「外表面に存在する液状成分の質量」、「内部に存在する液状成分の質量」、「安息角」、又はこれらの組み合わせを有する第二ペレットを得る方法としては、上記の「第二のペレット原料の製造」で得た第二のペレット原料に含まれる液状成分の一部を除去することが挙げられる。除去方法は特に限定されないが、例えば、第二のペレット原料を、液状成分を吸収することができる多孔質材料等に接触させ、液状成分の一部を多孔質材料に移行させる方法が挙げられる。より好ましくは、上記のように第一のペレット原料と第二ペレット原料の混合とを混合して、第二のペレット原料に含まれる液状成分の一部を第一のペレット原料に移行させる方法が挙げられる。これにより、本開示において好ましい「外表面に存在する液状成分の質量」、「内部に存在する液状成分の質量」、「安息角」、又はこれらの組み合わせを有する第一ペレットを同時に得ることもできる。得られた第一ペレット及び第二ペレットの混合物は、混合したまま本開示の樹脂ペレット組成物として使用してもよく、第一ペレットと第二ペレットとに分離して、それぞれ、本開示の樹脂ペレット組成物として使用してもよい。
【0100】
《樹脂ペレット組成物の使用態様》
本開示の樹脂ペレット組成物は、それ自体を所望の成型品の製造に用いることができる。好ましくは、本開示の樹脂ペレット組成物と、他の樹脂ペレット及び添加物等の他の材料(以下、「被混合物」ともいう。)とを混合して混合樹脂組成物を得て、これを所望の成型品の製造に用いてもよい。例えば、本開示の樹脂ペレット組成物は、HDPE、LDPE、LLDPE等を主成分として含むペレット、パウダー(粉体)、粒子、スラリー、塗料等の被混合物に、乾式混合法又は湿式混合法等により混合及び/又は添加して、混合樹脂組成物を得て、これを成型品の製造に用いることができる。乾式混合法としては、通常の1軸又は2軸押出機で溶融混合する方法、又は特開2006-21519号公報(特許文献2)に記載の方法を用いることができる。得られた混合樹脂組成物は搬送性に優れ、分級しにくく、液状成分との混練性に優れるため、これを例えばフィルムの製造に用いると、光学性を阻害する未溶融ゲルが低減された、品位に優れるフィルムを得ることができる。また、高分子量成分を含有する場合、高分子量成分を含有するにも関わらず、押出し時の未溶融ゲルの発生を抑制するか、又は無くすことができ、得られたフィルムの強度を大幅に改善させることができる。フィルムとしては、例えば、インフレーション成形等の押出成形により作製されるフィルム、及び湿式法で製造される微多孔膜等が挙げられ、好ましくは微多孔膜である。
【0101】
フィルムを製造する場合、被混合物としては、フィルムの強度、光学性又は異物除去性の観点から、LDPE又はLLDPE、特にメタロセン触媒を原料とするLLDPEが好ましい。一例としては、本開示の樹脂ペレット組成物を、従来のLDPE、LLDPE等の比較的低分子量のポリエチレンにドライブレンドして得られる混合樹脂組成物は、搬送性、低分級性、及び液状成分との混練性に優れる。したがって、これを用いてフィルムを製膜すると、光学性を阻害する未溶融ゲルが低減された、品位に優れるフィルムが得られる。高分子量成分を含有する場合、未溶融ゲルの発生を抑制しつつ、強度が大きく向上する。
【0102】
被混合物がLLDPEを含む場合には、LLDPEの密度は、好ましくは900~945kg/m3、より好ましくは910~940kg/m3、さらに好ましくは915~940kg/m3の範囲内にある。また、LLDPEのメルトフローレイト(MFR)は、好ましくは0.1~50、より好ましくは0.1~10の範囲内、さらに好ましくは0.3~4.0の範囲内にある。
【0103】
混合樹脂組成物をフィルムの製造に使用してフィルム強度を向上させるためには、被混合物としては、メタロセン触媒を用い、かつコモノマー成分としてヘキセン又はオクテンを用いることにより重合されたLLDPEが好ましく、その分子量分布が、好ましくは3以上15未満、より好ましくは5以上10未満である。
【0104】
本開示の樹脂ペレット組成物の、LLDPE又はLDPE等の比較的低分子量のポリエチレンへの添加量は、成形品の強度及び未溶融ゲル除去性の観点から、5質量%以上60%質量以下であることが好ましく、成形品の光学性も考慮すると、10質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。混合樹脂組成物の押出し性も考慮すると、10質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましい。
【0105】
得られるフィルムの耐熱性を向上させるために、混合樹脂組成物にポリプロピレンを混合することができる。その場合、フィッシュアイを除去するという観点から、ポリプロピレンの粘度平均分子量(Mv)は、好ましくは1,3000,000以下、より好ましくは700,000以下、さらに好ましくは600,000以下である。ポリエチレンとポリプロピレンを含む成形品の強度の観点から、ポリプロピレンのMvは、好ましくは100,000以上、より好ましくは200,000以上である。同様の観点から、メタロセン触媒等を利用して立体規則性を低下させたポリプロピレンを被混合物として使用すること、又はアイソタクチックポリプロピレン(IPP)に対してブロックポリプロピレン(BPP)若しくはランダムポリプロピレン(RPP)を0.5~30質量%ブレンドした樹脂組成物を被混合物として使用することが好ましい。
【0106】
混合樹脂組成物は、本開示の樹脂ペレット組成物に加えて、他の樹脂成分、無機フィラー、有機フィラー、酸化防止剤、分散助剤、帯電防止剤、加工安定剤、結晶核剤、及び内部潤滑剤等からなる群から選択される少なくとも一つの添加剤を含んでもよい。これらの添加剤が混合樹脂組成物中に占める割合としては、それぞれ、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下であり、実質的に0質量%でもよい。
【0107】
樹脂成分は、例えば、ポリフェニレンエーテル等のエンプラ樹脂;ナイロン6、ナイロン6-12、アラミド樹脂等のポリアミド樹脂;ポリイミド系樹脂;PET、PBT等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素系樹脂;エチレンとビニルアルコールの共重合体、C2~C12のα-オレフィンと一酸化炭素の共重合体及びその水添物;スチレン系重合体の水添物;スチレンとα-オレフィンとの共重合体及びその水添物;スチレンと脂肪族モノ不飽和脂肪酸との共重合体;アクリル酸及び/又はその誘導体の重合体;スチレンと共役ジエン系不飽和単量体との共重合体及びこれらの水添物から選択される熱可塑性樹脂、ポリケトン等、更にポリブテン-1、ポリメチルペンテン-1等でもよい。
【0108】
無機フィラーとしては、例えば、アルミナ(例えば、α-アルミナ等)、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄等の酸化物系セラミックス;窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス;シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリンクレー、カオリナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂等のセラミックス;ガラス繊維等が挙げられ、これらを単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
【0109】
酸化防止剤としては、例えば、「イルガノックス1010」、「イルガノックス1076」、「BHT」(いずれも商標、チバスペシャリティーケミカルズ社製)等のフェノール系酸化防止剤、リン系若しくはイオウ系の二次酸化防止剤、又はヒンダードアミン系の耐候剤等が挙げられ、これらを単独で用いるか、又は複数を混合することができる。
【0110】
混合樹脂組成物から得られる成形品の強度、光学性及び異物除去性の観点からは、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤の組合せが好ましい。具体的には、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチルヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチルヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンホスファイト、6-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキシホスフェピン等である。
【0111】
酸化防止剤の配合量は、混合樹脂組成物を使用して形成する微多孔膜の全樹脂固形分に対して、好ましくは100ppm~10,000ppmである。フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤を併用する場合には、フェノール系/リン系の比は、好ましくは1/3~3/1である。
【0112】
ポリプロピレンとポリエチレンの分散助剤としては、例えば、水添したスチレン-ブタジエン系エラストマー、エチレンとプロピレンを共重合したエラストマー等を用いることができる。分散助剤の配合量は、ポリプロピレンとポリエチレンの合計量100質量部に対して、好ましくは1~10質量部である。
【0113】
帯電防止剤としては、アルキルジエタノールアミン、ヒドロキシアルキルエタノールアミン等のアミン類;ステアリルジエタノールアミンモノ脂肪酸エステル等のアミンエステル類;ラウリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド等のアルキローアミド類;グリセリン、ジグリセリン等のモノ脂肪酸エステル類;アルキルベンゼンスルホン酸等のアニオン系帯電防止剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類等が挙げられ、これらは単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。帯電防止剤の配合量は、混合樹脂組成物を使用して形成する微多孔膜の全樹脂固形分に対して、好ましくは500ppm~10,000ppmである。
【0114】
また、混合樹脂組成物は、内部潤滑剤として、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム又はそれらの水和物、例えば、12-ヒドロキシステアリン酸ナトリウム等を含んでよく、その場合、内部潤滑剤の好ましい含有量は、50ppm以上5000ppmの範囲内である。
【0115】
本開示の樹脂ペレット組成物は、成形品の製造に使用されることができる。例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、モールド成形等の各種の成形を行うことができる。製造された成形品は、光学性、強度及び異物除去性に優れるため、包装用フィルム又は農業用フィルムであることが好ましい。
【実施例】
【0116】
《物性値の測定方法》
〈各層の厚み、及び合計厚み(μm)〉
一般の走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製 S4100)による断面観察により、層の厚みを測定した。
【0117】
〈粘度平均分子量(Mv)〉
ASTM-D4020に基づき、デカリン溶媒における135℃での極限粘度[η]を求めた。ポリエチレン及びポリプロピレンのMvは、次式により算出した。
ポリエチレン:[η]=6.77×10-4Mv0.67
ポリプロピレン:[η]=1.10×10-4Mv0.80
【0118】
〈微多孔膜の気孔率(%)〉
100mm四方の微多孔膜のサンプルの質量から目付けW(g/cm2)及び微多孔膜を構成する成分(樹脂及び添加剤)の平均密度ρ(g/cm3)を算出した。微多孔膜の気孔率は、微多孔膜の厚みd(cm)から下記式にて計算した。
全層気孔率(%)=(100-W/(d×ρ))×100
【0119】
〈微多孔膜の透気度(秒/100cc)〉
微多孔膜の透気度は、JIS P-8117に準拠し、ガーレー式透気度計「G-B2」(東洋精機製作所(株)製、商標)で測定した。なお、表1中の値は、合計厚みを基準とした比例計算により算出した20μm換算の透気度である。
【0120】
〈突刺強度(gf)〉
ハンディー圧縮試験器「KES-G5」(カトーテック製、商標)を用いて、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/secの条件で突刺試験を行うことにより、突刺強度(gf)を求めた。なお、表3中の値は、合計厚みを基準とした比例計算により算出した20μm換算の突刺し強度である。
【0121】
〈微多孔膜の孔径(μm)〉
一般の走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製 S4100)による表面観察により撮影した、表面写真より判定した。
【0122】
〈(さらなる)液状成分の追加含有可能量(質量%)〉
第一及び/又は第二のペレットの質量を測定後、ペレットを過剰量の液状成分に浸漬し(過剰量に晒し)、常温で12時間放置する。その後、ペレットを10粒取り出して上下からティッシュペーパーで挟み、表面の液状成分を簡単にふき取る(1分程度)。表面の液状成分が取り除かれていることを確認して質量を測定する。液状成分に浸漬する前後のペレットの質量変化により、液状成分の含有可能量を算出した。
【0123】
〈液状成分抽出後の第二のペレットの気孔率(%)〉
液状成分抽出後の第二のペレットの気孔率(%)は、第二のペレットの液状成分抽出除去前後の重量から算出する。まず、第二のペレットを10g計量する。次にこれを液状成分の抽出溶剤を過剰量(1000g程度)に浸漬し、必要時間抽出除去する。例えば、液状成分が流動パラフィンの場合は、抽出溶剤として塩化メチレンを用いることができ、24時間程度抽出すればよい。その後のペレットの重量W1を測定する。抽出された液状成分の量をW2とすると、W1+W2=10gである。第二のペレットの液状成分の密度をPLとし、樹脂成分の密度をPRとすれば、気孔率は下記から計算される。
気孔率(%)=100*(W2/PL)/(W1/PR+W2/PL)
【0124】
〈液状成分抽出後の第一のペレットの気孔率(%)〉
第一のペレットを大過剰量の液状成分に含侵し、常温で12時間以上静置する。ペレットが浮いてしまう場合は、蓋などで押さえて沈ませる等して、第一のペレットの微多孔に液状成分を含侵させ、完全に空気と置換する。静置後第一のペレットを取り出し、表面の液状成分を別の清浄な微多孔膜やティッュペーパー等で拭取る。このように、内部に液状成分が含侵した第一のペレットを作成し、上記の第二のペレットの気孔率と同様の方法で気孔率を算出する。例えば第一のペレットが、その構成成分として微多孔膜からなる場合は、第一のペレットの気孔率は、微多孔膜の気孔率に原則として近くなるが、微多孔膜が部分的に圧着されている場合は、圧着部分の孔が閉塞される場合があり、微多孔膜の気孔率よりも低くなる傾向にある。
【0125】
〈液状成分抽出後のペレットの嵩密度(g/cm3)〉
上述の方法でペレットから液状成分を抽出した後、日本粉体工業技術協会規格SAP01-79に従ってペレットの嵩密度を測定した。
【0126】
〈ペレットの外表面に存在する液状成分の質量〉
第一及び第二のペレットの外表面に存在する液状成分の質量は、以下の方法で測定した。まず、測定対象のペレットを20g採取した。気孔率38%、突刺強度280gf、孔径0.06μm、厚さ6μmのポリエチレン微多孔膜を複数枚重ねた、縦横1m四方の正方形、厚さ0.6mmのシートで、上記の測定対象のペレット20gを包んだ。シートの外側から手で揉むようにして、ペレットの外表面に存在する液状成分を拭き取った。この拭き取り作業により、液状成分がポリエチレン微多孔膜の一部に浸みこみ移行し、微多孔膜の孔内を満たすことで、その部分の色が白色から半透明に変化した。この拭き取り作業を、シートを取り換えて、液状成分がシートに浸み込まなくなるまで、すなわち、ポリエチレン微多孔膜の色の変化を目視で確認することができなくなるまで、複数回繰り返した。拭き取り作業完了後のペレットの質量を測定した。拭き取り作業前後のペレットの質量差を、ペレットの外表面に存在する液状成分の量として算出した。なお拭取リ前後で質量差を測定するので測定中にペレットをこぼさないように十分注意し、ペレットの非常に小さい粒子まで、定量的に回収する。
【0127】
〈ペレットの内部に存在する液状成分の質量〉
上記ペレットの外表面に存在する液状成分の質量の測定と同様の操作で、外表面の液状成分を除去後のペレットの質量を測定した。続いて、ペレットから液状成分を溶剤で抽出除去し、液状成分抽出後のペレットの質量を測定した。溶剤は、ペレットから液状成分を抽出除去できれば限定されないが、例えば、液状成分が流動パラフィンの場合は、抽出溶剤として塩化メチレンを用いることができる。抽出除去前後のペレットの質量差を、ペレットの内部に存在する液状成分の質量として算出した。
【0128】
〈安息角〉
第一及び第二のペレットの安息角は、JIS R9301-2-2:1999に準じた以下の方法で測定した。即ちペレット試料を、一定の高さの漏斗から水平な基板の上に落下させ、生成した円錐状堆積物の直径及び高さから底角を算出し、この底角を安息角とする方法である。漏斗のノズル内径は20mmとし、ノズルの先端を基板面より200mmの高さに調整、固定する。200gの試料をガラスビーカーに採取し、漏斗が振動しないように注意しながらビーカーを傾け、漏斗の上縁約100mmの高さからペレット200gを60秒程度で供給する。このとき、落下速度を一定に保つ。この際漏斗の中心に落下させるのではなく,漏斗器壁円周に沿わせて円を描くように供給する。このようにして基板の上に円錐状のペレットの山(円錐状堆積物)を形成する。この円錐を側面から観察し、円錐の斜面の水平面に対する傾斜角度をもって安息角とした。
【0129】
〈低分級性(嵩密度のばらつき)〉
JIS-Z2504に準ずる以下の方法にて測定した。高さ600mm、上部の直径が400mm、下部の直径が250mmの円錐台状で、下部には半球状のドームになっており、そのドームの最下端より原料を抜き出すための開口を持つ原料ホッパーに、樹脂ペレット組成物を20kg投入した。投入直後にその原料の上面より200ccのカップにて5回樹脂を抜き出し、その平均重量から第1の嵩密度を求めた。続いて、ホッパーの下部の開孔より原料を15kg抜き出し、その後同様の方法で第2の嵩密度を求めた。この際、嵩密度の比(第1の嵩密度/第2の嵩密度)をもって嵩密度のばらつきとした。下記の様に評価し、Aを合格とした。
A 嵩密度の比が0.95以上、1.05以下の範囲内である。
B 嵩密度の比が0.95未満、または1.05を超える。
D 製膜できない。
【0130】
〈配管輸送性〉
測定対象の微多孔膜用樹脂原料組成物を5kg準備し、長さ5mのポリ塩化ビニル製のホースをつないだ空気輸送オートローダーにて高さ2mまで輸送した。前述の低分級性の測定方法と同様に、輸送前後の嵩密度の比(輸送前/輸送後)を測定した。Aを合格とした。
A 嵩密度の比が0.95以上、1.05以下の範囲内である。
B 嵩密度の比が0.95未満、または1.05を超える。
D 製膜できない。
【0131】
〈押出変動〉
押出工程にて押出機出口の樹脂圧変動を1分間測定し、その最大と最小の差圧(△P)を測定し、A、Bを合格とした。
A △Pが0.5MPA未満である。
B △Pが0.5MPA以上1MPA未満である。
D △Pが1MPA以上である、又は製膜できない。
【0132】
〈未溶融ゲル〉
樹脂ペレット組成物が未溶融ゲルなどの異物を除去する指標(未溶融ゲルまたは未分散ゲル)として、以下の基準を用いる。まず、樹脂ペレット組成物に流動パラフィンを加える。加えた後の流動パラフィンの量は樹脂ペレット組成物に予め含まれていた量と合計して、65質量%とした。これを160℃及び50rpmで2分間に亘って混練することにより溶融樹脂を得た。得られた溶融樹脂をプレス板上で10MPaで厚み500μmのシートを成型した後に、2軸延伸機で縦5倍×横5倍に延伸することにより、厚み20μmのフィルムを製膜した。このとき、製膜されたフィルムの100cm2当たりに存在する未溶融ゲルの個数に基づいて、以下の基準で評価した。
A 未溶融ゲルが0個である。
B 1個~5個の未溶融ゲルが存在する。
D 6個以上の未溶融ゲルが存在する、又は製膜できない。
この場合、未溶融ゲルとは、高分子量成分の分散不良に起因するものであり、ルーペ等で観察したときに直径が0.3mmを超えるものをいう。直径が0.3mmより小さいもの、又はそれ以外のコンタミ若しくは異物は、未溶融ゲルとしてはカウントしない。
【0133】
《樹脂ペレット組成物の製造例》
〈実施例1〉
(1)第二のペレット原料の製造
第二のペレット原料の製法は、以下のとおり、構成部分として高分子量のポリエチレンを主体として含む微多孔膜を用いた。まず、パウダー状の粘度平均分子量400,000のポリエチレン(HDPE1)90質量%と粘度平均分子量700,000のポリプロピレン(PP1)10質量%を原料樹脂とし、当該原料樹脂100質量部に対し、酸化防止剤としてテトラキス-[メチレン-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.3質量部を混合した。これらの原料をヘンシェルミキサーで攪拌し、原料を調製した。
【0134】
次に、この原料を二軸押出機(口径41mm、L/D=49)に投入した。押出機のシリンダーの途中では、200質量部の流動パラフィン(LQ1、38℃における動粘度:75.9cSt、密度:868kg/m3)を注入した。なお、押出機とダイスの間には、150メッシュのスクリーンおよび定量用ギヤポンプを配した。ダイスと押出機を200℃に設定した。ダイスとしてはTダイを用いた。ダイスから出た溶融フィルム原反を、キャストロールで冷却固化させ、厚さ0.8mmのキャスト原反シートを成形した。このキャスト原反シートをシート粉砕機にて常温で粉砕し、最大長さ5mmのペレット原料を得た。これを第二のペレット原料とした。
【0135】
このようにして得られた第二のペレット原料の表面はブリードアウトした過剰の液状成分でべとついており、互いにくっつきあい、空気等での配管輸送は出来ないものであった。
【0136】
(2)第一のペレット原料の製造
上記のキャスト原反シートを、二軸延伸機で120℃の条件下で面積倍率100に延伸し、塩化メチレンに浸漬して、流動パラフィンを抽出除去した後に乾燥した。さらに、加熱炉にて130℃の条件下で熱処理を行い、これにより、厚さおよそ6μmの微多孔膜を得た。この微多孔膜製造の際には押出変動が発生し、さらに未分散ゲルが多く残った。これは原料中のパウダー部分とペレット部分が分級しているためと推定される。
【0137】
この微多孔膜を350mm幅にスリットし、紙管に巻き取った。微多孔膜の長さは、300mであった。この微多孔膜には若干の未溶融ゲル等が見られた。この微多孔膜の平均孔径は、0.05μmであり、全面に一様に開孔していた。
【0138】
この微多孔膜をMDに長い紐状に丸めたヒモを、エンボス状のピンチロールにて圧着したあと、市販のストランドカッターにて切断し、最大長さ6mmの微小シート状で白色の第一のペレット原料を得た。
【0139】
第一のペレット原料はその一粒を手に取り、手でもみほぐすと、その一部が分離して元の微多孔膜を取り出せたが、結着している部分も多かった。複数の部分に分解される粒子状の構成部分も存在したが、複数部分に分解しない粒も多かった。第一のペレット原料に流動パラフィンを滴下すると、第一のペレット原料の大部分が白色から半透明に変化した。流動パラフィンの一部が第一のペレット原料に吸収されることが示唆された。
【0140】
(3)第一のペレット原料と第二のペレット原料の混合
上記第一のペレット原料を50質量%と、流動パラフィンを含む第二のペレット原料を全体として50質量%(そのうち、第二のペレット原料の樹脂成分35質量%、流動パラフィン65質量%を含む。)とを、合計量10kg秤量し、80リットルのタンブラーミキサーに投入した。30rpmで5分間撹拌し、そのまま30分静置した。このようにして本開示の樹脂ペレット組成物を得た。即ちこの混合物は全体として流動パラフィンを32.5質量%含む。表2及び3に、30分静置後に得られる樹脂ペレット組成物(R)における、第一のペレットと第二のペレットの含有量、及びそれぞれに含有される流動パラフィンの量を示す。第一のペレットは、第二のペレットに含まれる流動パラフィンの一部を含浸している。
【0141】
(4)評価用微多孔膜の製造
上記(1)~(3)の方法で得られた樹脂ペレット組成物を原料樹脂として用い、押出機中に流動パラフィンを全体の70質量%になるように追添し、上記(1)と同様の方法で、キャスト原反シートを得た。得られたキャスト原反シートを、二軸延伸機で120℃の条件下で面積倍率45倍に延伸し、塩化メチレンに浸漬して、流動パラフィンを抽出除去した後に乾燥した。さらに、加熱炉にて130℃の条件下で熱処理を行い、これにより、厚さ6μmの微多孔膜を得た。この微多孔膜を30cm幅にスリットし、紙管に巻き取った。微多孔膜の長さは、300mであった。
【0142】
実施例1における樹脂ペレット組成物から製造された微多孔膜の性能は、低分級性、未溶融ゲル、押出変動及び配管輸送性とも良好であった。この微多孔膜の物性は、表面状態は極めて良好であり、高分子量成分の未溶融ゲル等が全く見られなかった。そのため強度も高かった。この微多孔膜の平均孔径は、0.05μmであり、全面に一様に開孔していた。また、樹脂ペレット組成物から取り出した第一のペレットは、その質量を基準として、さらに液状成分を1質量%以上含有することができた。
【0143】
〈実施例2~7、9及び10〉
製造条件、組成を表2の様に変え、実施例1の(1)~(3)と同様の方法で樹脂ペレット組成物を製造し、(4)と同様の方法で微多孔膜を製膜した。評価結果は、いずれも良好であった。また、樹脂ペレット組成物から取り出した第一のペレットは、その質量を基準として、さらに液状成分を1質量%以上含有することができた。
【0144】
〈実施例8〉
実施例1の(1)及び(2)と同様の方法で第一のペレット原料及び第二のペレット原料を製造した。次に実施例1の(3)において、第一のペレット原料及び第二のペレット原料に加えて、その他の樹脂原料(C)を混合し、樹脂ペレット組成物を製造した。そして、(4)と同様の方法で微多孔膜を製膜した。評価結果は、いずれも良好であった。また、樹脂ペレット組成物から取り出した第一のペレットは、その質量を基準として、さらに液状成分を1質量%以上含有することができた。
【0145】
〈比較例11〉
実施例1の、第一のペレット原料と第二のペレット原料の混合後30分以上経過後の樹脂ペレット組成物から第二のペレットを取り出した。当該第二のペレットのみを、比較例11の樹脂ペレット組成物とした。評価結果は、いずれも良好であった。
【0146】
〈比較例12〉
実施例1の、第一のペレット原料と第二のペレット原料の混合後30分以上経過後の樹脂ペレット組成物から第一のペレットを取り出した。当該第一のペレットのみを、比較例12の樹脂ペレット組成物とした。評価結果は、いずれも良好であった。
【0147】
〈比較例1〉
実施例1の第二のペレット原料のみを、第一のペレット原料と混合せずに用い、上記(1)~(4)の方法にて微多孔膜の製膜を試みた。第二のペレット原料は、表面が液状成分でべとついており配管輸送ができず、また押出機のホッパー内部等に付着し、押出機に定量供給ができず、メルトフラクチャーや未溶融ゲルが発生し、製膜できなかった。
【0148】
〈比較例2〉
実施例1の第一のペレット原料のみを、第二のペレット原料と混合せずに用い、上記(1)~(4)の方法にて微多孔膜を製膜した。押出変動が不合格で、未溶融ゲルも不合格であった。いずれも押出機での分散があまりよくないことが示唆される。第一のペレット原料にふくむ気孔部分の影響の為と推測される。
【0149】
〈比較例3〉
表3に記載の組成で、上記(1)~(4)の方法にて微多孔膜の製膜を試みた。第二のペレット原料は、表面が液状成分でべとついており配管輸送ができず、また押出機のホッパー内部等に付着し、押出機に定量供給ができず、メルトフラクチャーや未溶融ゲルが発生し、製膜できなかった。
【0150】
〈比較例4〉
表3に記載の組成で、上記(1)~(4)の方法にて微多孔膜を製膜した。未溶融ゲルが多く、不合格であった。
【0151】
〈比較例5〉
ペレット状の高密度ポリエチレン(HDPE3)と、ポリプロピレンペレット(PP1)を用いて、上記(1)~(4)と同様の方法で微多孔膜を製膜した。未溶融ゲルが多く、不合格であった。
【0152】
〈参考例〉
パウダー状の高密度ポリエチレン(HDPE1)と、ポリプロピレンペレット(PP1)を用いて、上記(1)~(4)と同様の方法で微多孔膜を製膜した。これは実施例1の第一のペレット原料の製造方法で示した微多孔膜と同じものである。ペレットとパウダーの分級の為、本実施例で用いた押出機の構成では、未溶融ゲルが非常に多く、製品としては不合格であった。
【0153】
【0154】
【0155】
【0156】
【0157】
【産業上の利用可能性】
【0158】
本開示の樹脂ペレット組成物は、微多孔膜等の成型加工に用いることができる。また、本開示の樹脂ペレット組成物を、他の樹脂ペレット等の被混合材料と混合して混合樹脂組成物を得て、これを微多孔膜等の成型加工に用いることができる。
【符号の説明】
【0159】
1 構成部分1
2 構成部分2
3 エンボスローラー又は圧縮ローラー
4 カッター(内部に含む)
5 ペレットの容器