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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】車両用燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20241226BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20241226BHJP
   B60K 8/00 20060101ALI20241226BHJP
   B60K 11/02 20060101ALI20241226BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20241226BHJP
   H01M 8/0267 20160101ALI20241226BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20241226BHJP
   H01M 8/04701 20160101ALI20241226BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20241226BHJP
   B60L 50/72 20190101ALI20241226BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20241226BHJP
   B60L 58/33 20190101ALI20241226BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20241226BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20241226BHJP
【FI】
B60K11/04 Z
B60K1/04 Z
B60K8/00
B60K11/02
H01M8/00 Z
H01M8/0267
H01M8/04 J
H01M8/00 A
H01M8/04701
B60L50/60
B60L50/72
B60L58/10
B60L58/33
H01M8/10 101
H01M8/12 101
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020165154
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2021195113
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0073074
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(72)【発明者】
【氏名】ウォン ジョン ボ
(72)【発明者】
【氏名】チョイ スン キュン
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-168462(JP,A)
【文献】米国特許第05537956(US,A)
【文献】特開2000-315513(JP,A)
【文献】特開2015-064940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 -13/00
B60L 15/00 -58/40
B60K 1/00 - 6/12
B60K 7/00 - 8/00
B60K 11/02 -11/04
B60K 16/00
H01M 8/00 - 8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の燃料電池スタックを経由し、第1冷却水が循環される第1冷却ライン;
前記第1冷却ラインに設けられ、前記第1冷却水を冷却する第1冷却部
記第1冷却ラインに設けられ、前記第1冷却部と個別的に前記第1冷却水を冷却する第2冷却部;
前記第1冷却ラインに設けられ、前記第1冷却水をポンピングする第1ポンプ;及び
前記第1冷却ラインに設けられ、前記第1ポンプと個別的に前記燃料電池スタックに流入される前記第1冷却水の流量を調節する流量調節部;
を含み、
前記第1冷却部は、
前記第1冷却ラインに設けられ、前記第1冷却水を冷却する第1ラジエータを含み、
前記第2冷却部は、
前記第1冷却ラインから分岐される第1分岐ライン、及び前記第1ラジエータと並列に連結されるように前記第1分岐ラインに設けられ、前記第1冷却水を冷却する第2ラジエータを含み、
前記流量調節部は、
前記第1冷却ラインから分岐される第2分岐ライン;及び
前記第1ポンプと並列に連結されるように前記第2分岐ラインに設けられ、前記第1冷却水をポンピングする第2ポンプ;
を含む、車両用燃料電池システム。
【請求項2】
車両の燃料電池スタックを経由し、第1冷却水が循環される第1冷却ライン;
前記第1冷却ラインに設けられ、前記第1冷却水を冷却する第1冷却部;及び
前記第1冷却ラインに設けられ、前記第1冷却部と個別的に前記第1冷却水を冷却する第2冷却部;
を含み、
前記第1冷却部は、
前記第1冷却ラインに設けられ、前記第1冷却水を冷却する第1ラジエータを含み、
前記第2冷却部は、
前記第1冷却ラインから分岐される第1分岐ライン、及び前記第1ラジエータと並列に連結されるように前記第1分岐ラインに設けられ、前記第1冷却水を冷却する第2ラジエータを含む、車両用燃料電池システムであって、
一端は、前記第1ラジエータの出口と前記燃料電池スタックの入口との間で前記第1冷却ラインに連結され、他の一端は、前記燃料電池スタックの出口と前記第1ラジエータの入口との間で前記第1冷却ラインに連結される第1連結ライン;
前記第1連結ラインに設けられ、前記第1連結ラインに沿って流動する前記第1冷却水を加熱するヒータ;及び
前記車両の空調ユニットを経由し、前記第1ラジエータの出口と前記燃料電池スタックの入口との間で前記第1冷却ラインに連結され、前記第1冷却水が循環する第2連結ライン;
更に含む、車両用燃料電池システム。
【請求項3】
前記第2分岐ラインの一端は、前記第1ラジエータの出口と前記第1ポンプとの間で前記第1冷却ラインに連結され、
前記第2分岐ラインの他の一端は、前記第1ポンプと前記燃料電池スタックの入口との間で前記第1冷却ラインに連結される、請求項に記載の車両用燃料電池システム。
【請求項4】
前記第2分岐ラインの前記他の一端と前記第2ポンプとの間で前記第2分岐ラインに設けられる第2開閉バルブを含む、請求項に記載の車両用燃料電池システム。
【請求項5】
前記第1分岐ラインの一端は、前記燃料電池スタックの出口と前記第1ラジエータの入口との間で前記第1冷却ラインに連結され、
前記第1分岐ラインの他の一端は、前記第1ラジエータの出口と前記燃料電池スタックの入口との間で前記第1冷却ラインに連結される、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両用燃料電池システム。
【請求項6】
前記第1分岐ラインの前記他の一端と前記第2ラジエータの出口との間で前記第1分岐ラインに設けられる第1開閉バルブを含む、請求項に記載の車両用燃料電池システム。
【請求項7】
前記車両の電装部品(power electronic parts)を経由し、第2冷却水が循環される第2冷却ライン;及び
前記第2冷却ラインに設けられ、前記第2冷却水を冷却する第3ラジエータ;
を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両用燃料電池システム。
【請求項8】
前記電装部品は、前記燃料電池スタックと前記車両の高電圧バッテリーとの間に備えられるBHDC(Bi-directional High voltage DC-DC Converter)、前記燃料電池スタックの駆動のための外気を供給するブロワを制御するBPCU(Blower Pump Control Unit)、前記高電圧バッテリーから供給を受けた直流高電圧を直流低電圧に変換するLDC(Low-Voltage DC-DC Converter)、前記燃料電池スタックに供給される空気を圧縮する空気圧縮機(ACP:Air Compressor)、及びエアクーラー(air cooler)のうち少なくともいずれか一つを含む、請求項に記載の車両用燃料電池システム。
【請求項9】
前記第1ラジエータ及び前記第3ラジエータは並んで配置され、
前記第1ラジエータ及び前記第3ラジエータに外気を送風する第1冷却ファンを含む、請求項に記載の車両用燃料電池システム。
【請求項10】
前記第2ラジエータに外気を送風する第2冷却ファンを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両用燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用燃料電池システムに関し、より具体的には、燃料電池スタックの高出力を保障し、安全性及び信頼性を向上させることができる車両用燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムは、燃料の化学的な反応により電気エネルギーを生産するシステムであって、地球環境問題を解決できる代案として持続的な研究開発が行われている。
【0003】
燃料電池システムは、用いられる電解質の種類によってリン酸型燃料電池(PAFC;phosphoric acid fuel cell)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC;molten carbonate fuel cell)、固体酸化物型燃料電池(SOFC;solid oxide fuel cell)、高分子電解質型燃料電池(PEMFC;polymer electrolyte membrane fuel cell)、アルカリ型燃料電池(AFC;alkaline fuel cell)及び直接メタノール燃料電池(DMFC)等で分類され得、用いられる燃料の種類とともに作動温度、出力範囲等によって移動電源用、輸送用、分散発電用等の多様な応用分野に適用され得る。
【0004】
燃料電池システムは、電気エネルギーを発生させる燃料電池スタック、燃料電池スタックに燃料(水素)を供給する燃料供給装置、燃料電池スタックに電気化学反応に必要な酸化剤である空気中の酸素を供給する空気供給装置、燃料電池スタックの反応熱をシステム外部に除去し、燃料電池スタックの運転温度を制御し、水管理機能を行う熱管理システム(TMS:Thermal Management System)を含む。
【0005】
熱管理システム(TMS)は、冷却水の役割を担う不凍液を燃料電池スタックに循環させて適正温度(例えば、60~70℃)を維持させる一種の冷却装置であって、燃料電池スタックを冷却する冷却水が循環するTMSライン、冷却水が貯蔵されたリザーバ、冷却水を循環させるポンプ、冷却水に含まれたイオンを除去するイオンフィルタ、及び冷却水の熱を外部に放出するラジエータを含むことができる。また、熱管理システムは、冷却水を加熱するヒータ、及び冷却水を用いて車両の室内を冷暖房する空調ユニット(例えば、暖房用ヒータ)などを含むことができる。
【0006】
一方、最近、乗用車(または商用車)だけでなく、建設機械にも燃料電池システムを適用するための多様な試みがなされている。
【0007】
乗用車の場合は、走行中に燃料電池スタックの高出力が要求され、車速により発生する走行風を用いてラジエータを介し燃料電池スタックを冷却させることができる。
【0008】
その反面、建設機械は、停止状態で作業(例えば、レベリング作業、ローディング作業)が行われるので、停車中に燃料電池スタックの高出力が要求されるが、冷却ファンにより発生する風量では燃料電池スタックを十分に冷却させ難いという問題点があり、燃料電池スタックの安全性及び耐久性が低下するという問題点がある。
【0009】
これによって、最近、車両の停車中に燃料電池スタックの高出力が要求される状況で燃料電池スタックを効果的に冷却するための多様な研究が行われているが、未だ十分でないためこれに対する開発が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の実施形態は、燃料電池スタックの高出力を保障し、安全性及び信頼性を向上させることができる車両用燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0011】
特に、本発明の実施形態は、車両の停車中に燃料電池スタックの高出力が要求される状況で燃料電池スタックを効果的に冷却することができ、燃料電池スタックの作動性能及び作動効率を向上させ得るようにすることを目的とする。
【0012】
また、本発明の実施形態は、燃料電池スタックに流入される冷却水の流量低下による冷却性能の低下を最小化できるようにすることを目的とする。
【0013】
実施形態で解決しようとする課題はこれに限定されず、下記で説明する課題の解決手段や実施形態から把握され得る目的や効果も含まれると言える。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述した本発明の目的を達成するための本発明の好ましい実施形態によれば、 車両用燃料電池システムは、車両の燃料電池スタックを経由し、第1冷却水が循環される第1冷却ライン、第1冷却ラインに設けられ、第1冷却水を冷却する第1冷却部、及び第1冷却ラインに設けられ、第1冷却部と個別的に第1冷却水を冷却する第2冷却部を含む。
【0015】
これは、燃料電池スタックの高出力を保障し、安全性及び信頼性を向上させるためである。
【0016】
すなわち、乗用車の場合には、走行中に燃料電池スタックの高出力が要求され、車速により発生する走行風を用いてラジエータを介して燃料電池スタックを冷却させることができる。その反面、建設機械は、停止状態で作業(例えば、レベリング作業、ローディング作業)が行われるので、停車中に燃料電池スタックの高出力が要求されるが、冷却ファンにより発生される風量では燃料電池スタックを十分に冷却させ難いという問題点があり、燃料電池スタックの安全性及び耐久性が低下するという問題点がある。
【0017】
しかし、本発明の実施形態は、燃料電池スタックに流入される第1冷却水が第1冷却部及び第2冷却部によって個別的に冷却されるようにすることにより、 燃料電池スタックの高出力を保障し、安全性及び信頼性を向上させる有利な効果を得ることができる。
【0018】
何よりも、本発明の実施形態は、走行風を用いることができない車両(例えば、建設機械)の停車中に第1冷却水の温度をより下げることができるので、 燃料電池スタックの高出力運転を保障し、安全性及び耐久性を向上させる有利な効果を得ることができる。
【0019】
第1冷却部としては、第1冷却水を冷却させることができる多様な冷却手段が用いられてよい。
【0020】
一例として、第1冷却部は、第1冷却ラインに設けられ、第1冷却水を冷却する第1ラジエータを含んでよい。
【0021】
第2冷却部としては、第1冷却部と個別的に第1冷却水を冷却させることができる多様な冷却手段が用いられてよい。
【0022】
一例として、第2冷却部は、第1冷却ラインから分岐される第1分岐ライン、 及び第1ラジエータと並列に連結されるように第1分岐ラインに設けられ、第1冷却水を冷却する第2ラジエータを含んでよい。
【0023】
好ましくは、第1分岐ラインの一端は、燃料電池スタックの出口と第1ラジエータの入口との間で第1冷却ラインに連結され、第1分岐ラインの他の一端は、第1ラジエータの出口と燃料電池スタックの入口との間で第1冷却ラインに連結される。
【0024】
さらに好ましくは、第1分岐ラインには、第1分岐ラインを選択的に開閉する第1開閉バルブが設けられてよい。
【0025】
第1開閉バルブが第1分岐ラインを開放した状態では、第1冷却水が第1ラジエータを経由して冷却されるとともに、第2ラジエータを経由して冷却され得る。その反面、第1開閉バルブが第1分岐ラインを遮断した状態では、第1冷却水が第2ラジエータを経由せずに第1ラジエータのみを経由することになるので、第1冷却水は第1ラジエータによってのみ冷却され得る。
【0026】
本発明の好ましい実施形態によれば、車両用燃料電池システムは、第1冷却ラインに設けられ、第1冷却水をポンピングする第1ポンプ、及び第1冷却ライン設けられ、第1ポンプと個別的に燃料電池スタックに流入される第1冷却水の流量を調節する流量調節部を含んでよい。
【0027】
これは、第1冷却水の流量不足による、燃料電池スタックの冷却効率の低下を防止するためである。すなわち、燃料電池スタックの高出力運転時には、第1冷却水の温度が適正温度範囲であるにもかかわらず、第1冷却水の流量が目標流量(設定流量)よりも小さい場合には、燃料電池スタックの冷却効率が低下するという問題点がある。
【0028】
しかし、本発明は、第1冷却ライン上に第1冷却水の流量を調節する流量調節部を設けることにより、燃料電池スタックに流入される第1冷却水の流量低下を最小化する有利な効果を得ることができる。
【0029】
流量調節部は、第1冷却水の流量を調節することができる多様な構造で提供されてよい。
【0030】
一例として、流量調節部は、第1冷却ラインから分岐される第2分岐ライン、 及び第1ポンプと並列に連結されるように第2分岐ラインに設けられ、第1冷却水をポンピングする第2ポンプを含んでよい。
【0031】
好ましくは、第2分岐ラインの一端は、第1ラジエータの出口と第1ポンプとの間で第1冷却ラインに連結され、第2分岐ラインの他の一端は、第1ポンプと燃料電池スタックの入口との間で第1冷却ラインに連結される。
【0032】
さらに好ましくは、第2分岐ラインには、第2分岐ラインを選択的に開閉する第2開閉バルブが設けられてよい。
【0033】
第2開閉バルブが第2分岐ラインを開放した状態では、第1冷却水が第1ポンプによりポンピングされるとともに、第2ポンプによりポンピングされ得る。その反面、第2開閉バルブが第2分岐ラインを遮断すると、第1冷却水は第1ポンプによってのみポンピングされ、第1ポンプによりポンピングされた第1冷却水が第2ポンプに流入されることを遮断することができる。
【0034】
本発明の好ましい実施形態によれば、燃料電池システムは、車両の電装部品(power electronic parts)を経由して第2冷却水が循環される第2冷却ライン、及び第2冷却ラインに設けられ、第2冷却水を冷却する第3ラジエータを含んでよい。
【0035】
一例として、電装部品は、燃料電池スタックと前記車両の高電圧バッテリーとの間に備えられるBHDC(Bi-directional High voltage DC-DC Converter)、燃料電池スタックの駆動のための外気を供給するブロワを制御するBPCU(Blower Pump Control Unit)、高電圧バッテリーから供給を受けた直流高電圧を直流低電圧に変換するLDC(Low-Voltage DC-DC Converter)、燃料電池スタックに供給される空気を圧縮する空気圧縮機(ACP:Air Compressor)、及びエアクーラー(air cooler)のうち少なくともいずれか一つを含んでよい。
【0036】
好ましくは、第1ラジエータ及び第3ラジエータは並んで配置され、第1ラジエータ及び第3ラジエータに外気を送風する第1冷却ファンを含む。
【0037】
このように、ただ一つの第1冷却ファンにより第1ラジエータ及び第3ラジエータが同時に冷却されるようにすることにより、構造を簡素化し、設計自由度及び空間活用性を向上させることができ、第1ラジエータ及び第3ラジエータを冷却させるための電力消耗を最小化する有利な効果を得ることができる。
【0038】
本発明の好ましい実施形態によれば、第2ラジエータに外気を送風する第2冷却ファンを含んでよい。
【0039】
本発明の好ましい実施形態によれば、車両用燃料電池システムは、一端は、第1ラジエータの出口と燃料電池スタックの入口との間で第1冷却ラインに連結され、他の一端は、燃料電池スタックの出口と第1ラジエータの入口との間で第1冷却ラインに連結される第1連結ライン;第1連結ラインに設けられ、 第1連結ラインに沿って流動する第1冷却水を加熱するヒータ;車両の空調ユニットを経由し、第1ラジエータの出口と燃料電池スタックの入口との間で第1冷却ラインに連結され、第1冷却水が循環する第2連結ライン;を含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明に係る車両用燃料電池システムを説明するための図である。
図2】本発明に係る車両用燃料電池システムであって、第2冷却部及び流量調節部を説明するための図である。
図3】本発明に係る車両用燃料電池システムであって、第1連結ライン及び第2連結ラインを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図を参照して本発明の好ましい実施形態を詳しく説明する。
【0042】
但し、本発明の技術思想は、説明される一部の実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に具現されてよく、本発明の技術思想の範囲内のものとして、実施形態の間のその構成要素のいずれか一つ以上を選択的に結合、置換して用いることができる。
【0043】
また、本発明の実施形態で使用される用語(技術及び科学的用語を含む)は、明らかに特別に定義されて記述されない限り、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般に理解され得る意味と解釈され得、事前に定義された用語のように一般に使用される用語は、関連技術の文脈上の意味を考慮し、その意味を解釈することができる。
【0044】
また、本発明の実施形態で使用される用語は、実施形態を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。
【0045】
本明細書において、単数形は、文言で特別に言及しない限り、複数形も含むことができ、「A及び(と)B、Cのうち少なくとも一つ(または一つ以上)」に記載される場合、A、B、Cで組み合わせることができる全ての組み合わせのうち一つ以上を含むことができる。
【0046】
また、本発明の実施形態の構成要素を説明することにおいて、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を用いることができる。
【0047】
このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであるだけで、その用語によって当該構成要素の本質や順序または手順などが限定されない。
【0048】
そして、ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素はその他の構成要素に直接的に連結、結合または接続される場合だけでなく、その構成要素とその他の構成要素の間にあるまた他の構成要素によって「連結」、「結合」または「接続」される場合も含むことができる。
【0049】
また、各構成要素の「上(うえ)または下(した)」に形成または配置されるものと記載される場合、上(うえ)または下(した)は、二つの構成要素が互いに直接接触される場合だけでなく、一つ以上のまた他の構成要素が二つの構成要素の間に形成または配置される場合も含む。また、「上(うえ)または下(した)」と表現される場合、一つの構成要素を基準に上側方向だけでなく、下側方向の意味も含むことができる。
【0050】
図1から図3を参照すれば、本発明の実施形態による車両用燃料電池システムは、車両の燃料電池スタック10を経由して第1冷却水が循環される第1冷却ライン110、第1冷却ライン110に設けられ、第1冷却水を冷却する第1冷却部60、及び第1冷却ライン110に設けられ、第1冷却部60と個別的に第1冷却水を冷却する第2冷却部80を含む。
【0051】
参考までに、本発明の実施形態で第1冷却ライン110及び第2冷却ライン120は、冷却水(第1冷却水及び第2冷却水)が熱交換を行いながら流動することができるTMSラインを構成することができ、冷却水は、TMSライン上で冷媒(cooling medium)または熱媒(heat medium)として用いられ得る。
【0052】
第1冷却ライン110は、燃料電池スタック10を経由するように構成され、第1冷却水は第1冷却ライン110に沿って循環する。
【0053】
第1冷却ライン110は、車両の状態によって第1冷却水を冷却する冷却ループまたは加熱(昇温)する昇温ループを形成するように構成される。一例として、第1冷却ライン110は、初期始動状態では冷間始動能力を確保するための加熱ループを形成し、走行中には燃料電池スタック10で発生する熱を外部に放出できるように冷却ループを形成するように構成されてよい。
【0054】
参考までに、燃料電池スタック10は、燃料(例えば、水素)と酸化剤(例えば、空気)の酸化還元反応を介して電気を生産することができる多様な構造で形成されてよい。
【0055】
一例として、燃料電池スタック10は、水素イオンが移動する電解質膜を中心に膜の両側に電気化学反応が起こる触媒電極層が付着された膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)(図示せず)、反応気体を均一に分布させ、発生された電気エネルギーを伝達する役割を行う気体拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer)(図示せず)、反応気体及び第1冷却水の気密性と適正締結圧を維持するためのガスケット及び締結機構(図示せず)、そして反応気体及び第1冷却水を移動させる分離板(bipolar plate)(図示せず)を含む。
【0056】
より具体的には、燃料電池スタック10で燃料である水素と酸化剤である空気(酸素)が分離板の流路を介して膜電極接合体のアノード(anode)とカソード(cathode)にそれぞれ供給されるが、水素はアノードに供給され、空気はカソードに供給される。
【0057】
アノードに供給された水素は、電解質膜の両側に構成された電極層の触媒によって水素イオン(proton)と電子(electron)に分解され、このうち水素イオンのみが選択的に陽イオン交換膜である電解質膜を通過してカソードに伝達され、同時に電子は導体である気体拡散層と分離板を通してカソードに伝達される。
【0058】
カソードでは、電解質膜を通して供給された水素イオンと分離板を通して伝達された電子が空気供給装置によりカソードに供給された空気中の酸素と出会い、水を生成する反応を起こす。このとき起こる水素イオンの移動に起因して外部導線を通した電子の流れが発生し、このような電子の流れにより電流が生成される。
【0059】
第1冷却ライン110には、第1冷却水を冷却させるための第1冷却部60が設けられる。
【0060】
第1冷却部60としては、第1冷却水を冷却させることができる多様な冷却手段が用いられてよく、第1冷却部60の種類及び構造によって本発明が制限されたり限定されたりするものではない。
【0061】
一例として、第1冷却部60は、第1冷却ライン110に設けられ、第1冷却水を冷却する第1ラジエータ61を含んでよい。
【0062】
第1ラジエータ61は、第1冷却水を冷却させ得るように第1冷却ライン110に設けられ、第1ラジエータ61の構造及び形態は要求される条件及び設計仕様によって多様に変更されてよい。
【0063】
さらに、第1ラジエータ61には、第1冷却水が貯蔵される第1リザーバ64が連結されてよい。
【0064】
また、第1冷却ライン110には、第1冷却水を強制的に流動させるための第1ポンプ30が設けられる。
【0065】
第1ポンプ30としては、第1冷却水をポンピングすることができる通常のポンピング手段が用いられてよく、第1ポンプ30の種類及び特性によって本発明が制限されたり限定されたりするものではない。
【0066】
図1及び図2を参照すれば、第2冷却部80は、第1冷却部60と個別的に(独立的に)第1冷却水を冷却するように第1冷却ライン110に設けられる。
【0067】
第2冷却部80としては、第1冷却水を冷却させることができる多様な冷却手段が用いられてよく、第2冷却部80の種類及び構造によって本発明が制限されたり限定されたりするものではない。
【0068】
一例として、第2冷却部80は、第1冷却ライン110から分岐される第1分岐ライン160、及び第1ラジエータ61と並列に連結されるように第1分岐ライン160に設けられ、第1冷却水を冷却する第2ラジエータ81を含む。
【0069】
より具体的に、第1分岐ライン160の一端は、燃料電池スタック10の出口と第1ラジエータ61の入口との間で第1冷却ライン110に連結され、第1分岐ライン160の他の一端は、第1ラジエータ61の出口と燃料電池スタック10の入口との間で第1冷却ライン110に連結される。
【0070】
好ましくは、第2ラジエータ81は、外気を送風する第2冷却ファン82によって冷却されるように構成される。
【0071】
このように、本発明の実施形態は、燃料電池スタック10に流入される第1冷却水が、第1冷却部60及び第2冷却部80によって個別的に冷却されるようにすることにより、燃料電池スタック10の高出力を保障し、安全性及び信頼性を向上させる有利な効果を得ることができる。
【0072】
特に、本発明の実施形態によれば、走行風を用いることができない車両(例えば、建設機械)の停車中に、第1冷却部60及び第2冷却部80を用いて第1冷却水の温度を下げることができるので、燃料電池スタック10の高出力運転を保障し、安全性及び耐久性を向上させる有利な効果を得ることができる。
【0073】
好ましくは、第1分岐ライン160には、第1分岐ライン160を選択的に開閉する第1開閉バルブ162が設けられてよい。
【0074】
すなわち、第1開閉バルブ162は、第1分岐ライン160の他の一端と第2ラジエータ81の出口との間で第1分岐ライン160を選択的に開閉するように設けられる。
【0075】
第1開閉バルブ162としては、第1分岐ライン160を選択的に開閉可能な多様なバルブ手段が用いられてよく、第1開閉バルブ162の種類及び構造によって本発明が制限されたり限定されたりするものではない。
【0076】
一例として、第1開閉バルブ162としては、通常の二方バルブ(two way valve)が用いられてよい。
【0077】
第1開閉バルブ162が第1分岐ライン160を開放した状態では、第1冷却水が第1ラジエータ61を経由して冷却されるとともに、第2ラジエータ81を経由して冷却され得る。その反面、第1開閉バルブ162が第1分岐ライン160を遮断した状態では、第1冷却水が第2ラジエータ81を経由せずに第1ラジエータ61のみを経由することになるので、第1冷却水は第1ラジエータ61によってのみ冷却され得る。
【0078】
例えば、燃料電池スタック10の高放熱量が必要な状況(例えば、車両の停車中の燃料電池スタック10の高出力運転時)では、第1開閉バルブ162を開放することにより、第1ラジエータ61及び第2ラジエータ81を共に用いて第1冷却水を冷却することができるので、第1冷却水をより速やか且つ効果的に冷却することができる。その反面、燃料電池スタック10の低出力運転時には、第1開閉バルブ162を遮断し、第1ラジエータ61だけで第1冷却水を冷却することができる。
【0079】
本発明の好ましい実施形態によれば、車両用燃料電池システムは、第1冷却ライン110に設けられ、第1冷却水をポンピングする第1ポンプ30、及び第1冷却ライン110に設けられ、第1ポンプ30と個別的に燃料電池スタック10に流入される第1冷却水の流量を調節する流量調節部170を含んでよい。
【0080】
これは、第1冷却水の流量不足による、燃料電池スタック10の冷却効率の低下を防止するためである。
【0081】
すなわち、燃料電池スタック10の高出力運転時には、第1冷却水の温度が適正温度範囲であるにもかかわらず、第1冷却水の流量が目標流量(設定流量)よりも小さい場合には、燃料電池スタック10の冷却効率が低下するという問題点がある。
【0082】
しかし、本発明は、第1冷却ライン110上に第1冷却水の流量を調節する流量調節部170を設けることにより、燃料電池スタック10に流入される第1冷却水の流量低下を最小化する有利な効果を得ることができる。
【0083】
流量調節部170は、第1冷却水の流量を調節することができる多様な構造で提供されてよく、流量調節部170の構造により本発明が制限されるか限定されるものではない。
【0084】
一例として、流量調節部170は、第1冷却ライン110から分岐される第2分岐ライン172、及び第1ポンプ30と並列に連結されるように第2分岐ライン172に設けられ、第1冷却水をポンピングする第2ポンプ174を含んでよい。
【0085】
好ましくは、第2分岐ライン172の一端は、第1ラジエータ61の出口と第1ポンプ30との間で第1冷却ライン110に連結され、第2分岐ライン172の他の一端は、第1ポンプ30と燃料電池スタック10の入口との間で第1冷却ライン110に連結される。
【0086】
第2ポンプ174は、第2分岐ライン172を通過する第1冷却水を強制的に流動させるために設けられる。
【0087】
第2ポンプ174としては、第1冷却水をポンピングすることができる通常のポンピング手段が用いられてよく、第2ポンプ174の種類及び特性によって本発明が制限されたり限定されたりするものではない。
【0088】
好ましくは、第2分岐ライン172には、第2分岐ライン172を選択的に開閉する第2開閉バルブ176が設けられてよい。
【0089】
すなわち、第2開閉バルブ176は、第2分岐ライン172の他の一端と第2ポンプ174との間で第2分岐ライン172を選択的に開閉するように設けられる。
【0090】
第2開閉バルブ176としては、第2分岐ライン172を選択的に開閉可能な多様なバルブ手段が用いられてよく、第2開閉バルブ176の種類及び構造により本発明が制限されたり限定されたりするものではない。
【0091】
一例として、第2開閉バルブ176としては、通常の二方バルブ(two way valve)が用いられてよい。
【0092】
第2開閉バルブ176が第2分岐ライン172を開放した状態では、第1冷却水が第1ポンプ30によりポンピングされるとともに、第2ポンプ174によりポンピングされ得る。その反面、第2開閉バルブ176が第2分岐ライン172を遮断すると、第1冷却水は第1ポンプ30によってのみポンピングされ、第1ポンプ30によりポンピングされた第1冷却水が第2ポンプ174に流入されることを遮断することができる。
【0093】
例えば、燃料電池スタック10の高放熱量が必要な状況(例えば、車両の停車中の燃料電池スタック10の高出力運転時)では、第2開閉バルブ176を開放することにより、第1ポンプ30及び第2ポンプ174を共に用いて第1冷却水をポンピングすることができるので、第1冷却水の流量を十分に保障することができる。その反面、燃料電池スタック10の低出力運転時には、第2開閉バルブ176を遮断し、第1ポンプ30だけで第1冷却水をポンピングすることができる。
【0094】
図1及び図3を参照すれば、本発明の好ましい実施形態によれば、燃料電池システムは第1連結ライン130を含んでよく、第1連結ライン130は第1冷却ライン110と相互協調的に第1冷却水を加熱するための加熱ループ(加熱循環経路)を形成することができる。
【0095】
より具体的に、第1連結ライン130の一端は、第1ポンプ30の出口と燃料電池スタック10との間に位置する第1地点で第1冷却ライン110に連結され、第1連結ライン130の他の一端は、第1ポンプ30の入口と燃料電池スタック10との間に位置する第2地点で第1冷却ライン110に連結される。
【0096】
ここで、第1ポンプ30の入口とは、第1冷却水が第1ポンプ30に流入される入口と定義される。また、第1ポンプ30の出口とは、第1ポンプ30を通過した第1冷却水が排出される出口と定義される。
【0097】
そして、第1ポンプ30の出口と燃料電池スタック10との間とは、第1ポンプ30から排出された第1冷却水が、燃料電池スタック10の第1冷却水流入口(図示せず)まで流動する区間と定義される。また、第1ポンプ30の入口と燃料電池スタック10のとの間とは、燃料電池スタック10の冷却水排出口(図示せず)から排出された第1冷却水が第1ポンプ30の入口まで流動する区間と定義される。
【0098】
本発明の好ましい実施形態によれば、第1連結ライン130にはヒータ50が設けられてよく、第1連結ライン130に沿って流動する第1冷却水はヒータ50を通過する中に加熱されてよい。
【0099】
また、第1冷却ライン110には、第1冷却水の流動経路をヒータ50または燃料電池スタック10に切り替える第1バルブ20が設けられる。
【0100】
一例として、第1バルブ20は、第1地点に位置するように第1冷却ライン110に提供され、第1連結ライン130の一端が連結される。
【0101】
第1バルブ20としては、第1冷却水の流動経路を選択的にヒータ50または燃料電池スタック10に切り替えることができる多様なバルブ手段が用いられてよい。
【0102】
一例として、第1バルブ20としては、通常の三方バルブ(three way valve)が用いられてよい。より具体的に、第1バルブ20は、第1ポンプ30によりポンピングされた第1冷却水が流入されるように第1冷却ライン110と連結される第1ポート21、第1バルブ20を通過する第1冷却水が燃料電池スタック10に流入されるように第1冷却ライン110と連結される第2ポート22、及び第1連結ライン130の一端が連結される第3ポート23を含む。
【0103】
第1バルブ20の第2ポート22及び第3ポート23を開閉することにより、第1冷却水の流動経路を選択的にヒータ50または燃料電池スタック10に切り替えることができる。すなわち、第2ポート22が開放され、第3ポート23が遮断されると、第1バルブ20を通過する第1冷却水は燃料電池スタック10に流入される。これとは逆に、第3ポート23が開放され、第2ポート22が遮断されると、第1バルブ20を通過する第1冷却水は第1連結ライン130を介してヒータ50に流入される。
【0104】
本発明の好ましい実施形態によれば、燃料電池システムは、第1冷却ライン110に連結され、第1冷却ライン110と相互協調的に空調ユニット(HAVC UNIT)90を冷暖房するための冷暖房ループを形成する第2連結ライン150を含んでよい。
【0105】
一例として、第2連結ライン150は、空調ユニット90の暖房用ヒータ(図示せず)を加熱するループを形成してよい。
【0106】
より具体的に、第2連結ライン150は、第1地点(第1連結ライン130の一端が第1冷却ライン110に連結される地点)と燃料電池スタック10の出口との間で第1冷却ライン110に連結され、第1冷却水のうち一部が循環するように構成される。
【0107】
ここで、第1地点と燃料電池スタック10の出口との間とは、燃料電池スタック10の冷却水排出口(図示せず)から排出された第1冷却水が第1地点を通過する前まで流動する区間と定義される。
【0108】
一例として、第2連結ライン150の一端は、第1地点と燃料電池スタック10の入口との間で第1冷却ライン110に連結され、第2連結ライン150の他の一端は、第1ポンプ30と第2地点との間で第1冷却ライン110に連結される。
【0109】
また、第2連結ライン150には、空調ユニット90を通過した第1冷却水に含まれたイオンをフィルタリングするイオンフィルタ95が備えられてよい。
【0110】
参考までに、システムの腐食や溶出(exudation)などによって第1冷却水の電気伝導度が増加すると、第1冷却水に電気が流れることになって燃料電池スタック10が短絡されるか、第1冷却水側へ電流が流れることになる問題点が発生するので、第1冷却水は低い電気伝導度を維持しなければならない。
【0111】
イオンフィルタ95は、第1冷却水の電気伝導度を一定程度水準以下に維持できるように、第1冷却水に含まれたイオンを除去するように設けられる。
【0112】
このように、本発明は、第1冷却水が第2連結ライン150に沿っても循環するようにすることにより、第2連結ライン150に備えられたイオンフィルタ95によるフィルタリング(第1冷却水に含まれたイオンの除去)が可能である。よって、燃料電池スタック10に流入される第1冷却水の電気伝導度を一定水準以下に維持させる有利な効果を得ることができる。
【0113】
また、本発明の実施形態は、第1ポンプ30と燃料電池スタック10の出口との間で第1冷却ライン110が第1ラジエータ61を経由するように構成されるが、一端は、第1ラジエータ61の前方で第1冷却ライン110に連結され、他の一端は、第1ラジエータ61の後方で第1冷却ライン110に連結される第3連結ライン140を含んでよい。
【0114】
図1及び図3を参照すれば、第3連結ライン140は、第1冷却ライン110に連結され、第1冷却ライン110と相互協調的に第1冷却水を冷却するための冷却ループを形成するように設けられる。一例として、第3連結ライン140の一端は、第1ポンプ30と第1ラジエータ61との間で第1冷却ライン110に連結され、第3連結ライン140の他の一端は、燃料電池スタック10の冷却水排出口と第1ラジエータ61との間で第1冷却ライン110に連結され得る。
【0115】
また、第1冷却ライン110には、第1冷却水の流動経路を第1ラジエータ61または燃料電池スタック10に切り替える第2バルブ40が設けられる。
【0116】
一例として、第2バルブ40は、第1ポンプ30と第1ラジエータ61との間に位置するように第1冷却ライン110に提供され、第3連結ライン140の一端及び第2連結ライン150の出口端(他の一端)が連結される。
【0117】
第2バルブ40としては、第1冷却水の流動経路を選択的に第1ラジエータ61または燃料電池スタック10に切り替えることができる多様なバルブ手段が用いられてよい。
【0118】
一例として、第2バルブ40としては、通常の四方バルブ(four way valve)が用いられてよい。より具体的に、第2バルブ40は、第3連結ライン140と連結される第1ポート41、第1ラジエータ61を通過する第1冷却水が流入されるように第1冷却ライン110と連結される第2ポート42、第2連結ライン150の他の一端が連結される第3ポート43、及び第2バルブ40を通過する第1冷却水が第1ポンプ30に流入されるように第1冷却ライン110と連結される第4ポート44を含む。
【0119】
第2バルブ40の第1ポート41及び第2ポート42を開閉することにより、第1冷却水の流動経路を選択的に第1ラジエータ61または燃料電池スタック10に切り替えることができる。すなわち、第1ポート41が開放され、第2ポート42が遮断されると、第1冷却水は、第1ラジエータ61を経ずに燃料電池スタック10に流入される。これとは逆に、第2ポート42が開放され、第1ポート41が遮断されると、第1冷却水は第1ラジエータ61を経た後、燃料電池スタック10に流入される。
【0120】
一方、本発明の好ましい実施形態によれば、燃料電池システムは、燃料電池スタック10と第1地点(第1バルブ)との間で第1冷却水の温度を測定する第1温度センサ112、第1連結ライン130の他の一端と第1ポンプ30のとの間で第1冷却水の温度を測定する第2温度センサ114、及びヒータ50で第1冷却水の温度を測定する第3温度センサ116を含んでよく、第1温度センサ112、第2温度センサ114、及び第3温度センサ116で測定された温度に基づいて燃料電池スタック10に流入される第1冷却水の流入流量を制御することができる。
【0121】
一例として、第1冷却ライン110に沿って循環する第1冷却水の測定温度が、予め設定された目標温度よりも低いと、第1冷却水の流入流量を予め設定された設定流量よりも低く制御することができる。このように、第1冷却水の測定温度が低いと、燃料電池スタック10に流入される第1冷却水の流入流量を低く制御することにより、第1冷却水の温度偏差(燃料電池スタック10の内部に停滞された第1冷却水の温度vs燃料電池スタック10に流入される第1冷却水の温度)による熱衝撃及び性能低下を最小化する有利な効果を得ることができる。
【0122】
本発明の好ましい実施形態によれば、燃料電池システムは、車両の電装部品(power electronic parts)200を経由するように設けられる第2冷却ライン120を含んでよく、第2冷却ライン120に沿って第2冷却水が循環することができる。
【0123】
ここで、車両の電装部品200とは、車両の電源をエネルギー源として用いる部品と理解されてよく、車両の電装部品200の種類及び個数によって本発明が制限されたり限定されたりするものではない。
【0124】
一例として、電装部品200は、燃料電池スタック10と前記車両の高電圧バッテリー(図示せず)との間に備えられるBHDC(Bi-directional High voltage DC-DC Converter)210、燃料電池スタック10の駆動のための外気を供給するブロワ(図示せず)を制御するBPCU(Blower Pump Control Unit)220、高電圧バッテリーから供給を受けた直流高電圧を直流低電圧に変換するLDC(Low-Voltage DC-DC Converter)230、燃料電池スタック10に供給される空気を圧縮する空気圧縮機(ACP:Air Compressor)240、及びエアクーラー(air cooler)250のうち少なくともいずれか一つを含んでよい。
【0125】
第2冷却ライン120には、第2冷却水を強制的に流動させるための第3ポンプ(図示せず)が設けられる。
【0126】
第3ポンプとしては、第2冷却水をポンピングすることができる通常のポンピング手段が用いられてよく、第3ポンプの種類及び特性によって本発明が制限されたり限定されたりするものではない。
【0127】
また、第2冷却ライン120には、第2冷却水を冷却させるための第3ラジエータ71が設けられてよい。
【0128】
第3ラジエータ71は、第2冷却水を冷却させることができる多様な構造で形成されてよく、第3ラジエータ71の種類及び構造によって本発明が制限されたり限定されたりするものではない。
【0129】
さらに、第3ラジエータ71には、第2冷却水が貯蔵される第2リザーバ74が連結されてよい。
【0130】
好ましくは、第1ラジエータ61及び第3ラジエータ71は、一つの第1冷却ファン62によって同時に冷却されるように構成される。一例として、第1ラジエータ61及び第3ラジエータ71は並んで配置され、第1冷却ファン62は、第1ラジエータ61及び第3ラジエータ71に外気を送風するように設けられる。
【0131】
このように、ただ一つの第1冷却ファン62によって第1ラジエータ61及び第3ラジエータ71が同時に冷却されるようにすることにより、構造を簡素化し、設計自由度及び空間活用性を向上させることができ、第1ラジエータ61及び第3ラジエータ71を冷却させるための電力消耗を最小化する有利な効果を得ることができる。
【0132】
以上で実施形態を中心に説明したが、これは単なる例示であるだけで、本発明を限定するものではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、本実施形態の本質的な特性から逸脱しない範囲で、以上に例示されていない様々な変形及び応用が可能であることが分かるだろう。例えば、実施形態に具体的に表された各構成要素は、変形して実施できるものである。そして、このような変形及び応用に関係する相違点は、特許請求の範囲で規定する本発明の範囲に含まれるものと解釈すべきであろう。
【0133】
前述したように本発明の実施形態によれば、燃料電池スタックの高出力を保障し、安全性及び信頼性を向上させる有利な効果を得ることができる。
【0134】
特に、本発明の実施形態によれば、車両の停車中に燃料電池スタックの高出力が要求される状況で燃料電池スタックを効果的に冷却することができ、燃料電池スタックの作動性能及び作動効率を向上させる有利な効果を得ることができる。
【0135】
また、本発明の実施形態によれば、燃料電池スタックに流入される冷却水の流量低下を最小化し、燃料電池スタックの冷却性能の低下を抑制する有利な効果を得ることができる。
図1
図2
図3