(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】インセル光抽出機能を有する量子ドット有機発光ディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
H10K 50/115 20230101AFI20241226BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20241226BHJP
H10K 50/854 20230101ALI20241226BHJP
H10K 50/858 20230101ALI20241226BHJP
H10K 59/38 20230101ALI20241226BHJP
H10K 71/20 20230101ALI20241226BHJP
【FI】
H10K50/115
H05B33/14 Z
H10K50/854
H10K50/858
H10K59/38
H10K71/20
(21)【出願番号】P 2023518706
(86)(22)【出願日】2021-06-09
(86)【国際出願番号】 KR2021007204
(87)【国際公開番号】W WO2021251748
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】10-2020-0070905
(32)【優先日】2020-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512202392
【氏名又は名称】ヒューネット プラス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HUNET PLUS CO., LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】522475568
【氏名又は名称】ホン、チャンワン
【氏名又は名称原語表記】HONG, Chang Wan
【住所又は居所原語表記】308-ho, 12, Jeongjail-ro 156beon-gil Bundang-gu. Seongnam-si Gyeonggi-do 13558 (KR)
(73)【特許権者】
【識別番号】522475579
【氏名又は名称】クォン、スンボム
【氏名又は名称原語表記】KWON, Soon Bum
【住所又は居所原語表記】1106-301, 27, Jangjae-ro, Baebang-eup Asan-si Chungcheongnam-do 31472 (KR)
(73)【特許権者】
【識別番号】522475580
【氏名又は名称】チャ、ヒョクジン
【氏名又は名称原語表記】CHA, Hyuk Jin
【住所又は居所原語表記】107-203, 5, Samseong-ro 64-gil Gangnam-gu Seoul 06191 (KR)
(73)【特許権者】
【識別番号】522475591
【氏名又は名称】チェ、ボムヨン
【氏名又は名称原語表記】CHOI, Bum Young
【住所又は居所原語表記】109-602,39,Sicheong-ro,Seobuk-gu Cheonan-si Chungcheongnam-do 31164 (KR)
(73)【特許権者】
【識別番号】522475605
【氏名又は名称】チェ、ウンソ
【氏名又は名称原語表記】CHOI, Eun Seo
【住所又は居所原語表記】106-2002,123,3gongdan 6-ro,Seobuk-gu,Cheonan-si Chungcheongnam-do 31085 (KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ホン、チャンワン
(72)【発明者】
【氏名】クォン、スンボム
(72)【発明者】
【氏名】チャ、ヒョクジン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ボムヨン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ウンソ
【審査官】藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0003330(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0131350(US,A1)
【文献】特開2015-176735(JP,A)
【文献】特開2019-082685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/115
H05B 33/14
H10K 50/854
H10K 50/858
H10K 59/38
H10K 71/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
TFT層と前記TFT層の上部にアノード層、正孔注入/輸送層、発光層、電子注入/輸送層及びカソード層が順次に積層され、前記カソード層の上部に光拡散粒子が分散形成された量子ドットカラーフィルターを含む量子ドット有機発光ディスプレイ装置において、
前記カソード層と前記量子ドットカラーフィルターとの間に光抽出パターンが形成されたインセル光抽出層(In-Cell Light Extraction Layer)と、そして、前記インセル光抽出層と前記カソード層との間にインデックスマッチング層(index matching layer)を含み、
前記光抽出パターンは、前記量子ドットカラーフィルターに向けるように形成され、
前記量子ドットカラーフィルターと前記光抽出パターンとの間には、前記光抽出パターンよりも屈折率が大きい平坦化層をさらに含むインセル光抽出機能を有する量子ドット有機発光ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記光拡散粒子は、有機ナノ粒子、無機ナノ粒子及び量子ドットナノ粒子のうちで少なくとも一つを含むものである請求項1に記載のインセル光抽出機能を有する量子ドット有機発光ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光抽出効率を高めることができる量子ドット有機発光ディスプレイ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クォンタムドット、すなわち、量子ドット(quantum dot)は、数ナノ大きさの結晶構造を有した半導体物質として、光波長のエネルギーを特定の他の光波長エネルギーに変換する特定分子らの集合体を示す。すなわち、短波長の光が量子ドットに入射時、その内部には青色、赤色、緑色の波長の光で変換させることができる分子が配列されていて青色光、赤色光、緑色光がそれぞれ変換されて行くことができるものである。これによって量子ドットはその大きさによって放出する波長が他の特性を有して、このような量子ドットを蛍光物質または発光物質で使用する場合、ディスプレイ特性を向上させることができるようになる。
【0003】
OLEDパッケージと量子ドットによる光のパターンが相異であるので、フィルムマトリックスに散乱粒子を注入して光源の方向性を変化させ、量子ドットによる光放出及び効率を増加させてディスプレイのカラー及び輝度が均一になるように調節する。
【0004】
一般に、QD Color Filter(QDフィルム)では高屈折率の特性を有するTiO2ナノ粒子を利用して高分子マトリックスとの大きい屈折率差を発生させることがあるし、これによって高い光効率増加幅を示すことができる長所を有していて、光拡散粒子で広く使用されている。
【0005】
しかし、TiO
2ナノ粒子によって散乱された光中には量子ドットによって吸収されることができずに損失される光が発生する。一方、量子ドットで再放出された光のうちで後方散乱された光は前面に出ることができずにマトリックス内部で熱に転換されて損失される。そのような状況は
図1に示されたようである。このように熱に転換される場合、光源であるOLEDの最大可能内部効率を100%で見た時、OLED内部の損失を含めば、約75~80%に達する。併せて、外部に放出されることができなかった光が熱に変わりながら硝子基板の表面温度を上昇するようにしてOLED素子の寿命を縮める問題が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記のような問題を解決するために導出されたものであり、本発明の目的は、光抽出層をディスプレイ装置と付け加える方式ではないインセル光抽出層(In-cell Light Extraction Layer)をディスプレイに内在して薄いながらも光抽出効率が高いインセル光抽出機能を有する量子ドット有機発光ディスプレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記のような本発明の目的は、TFT層とTFT層の上部にアノード層、正孔注入/輸送層、発光層、電子注入/輸送層及びカソード層が順次に積層され、カソード層上部に光拡散粒子が分散形成された量子ドットカラーフィルターを含む量子ドット有機発光ディスプレイ装置において、カソード層と量子ドットカラーフィルターとの間に光抽出パターンが形成されたインセル光抽出層(In-Cell Light Extraction Layer)と、そして、インセル光抽出層とカソード層との間にインデックスマッチング層(index matching layer)を含むインセル光抽出機能を有する量子ドット有機発光ディスプレイ装置を提供することで達成されることができる。
【0008】
本願発明の一実施例による光効率向上原理は、量子ドットを含む散乱粒子で後方散乱された光を全反射を利用して再び前方に行かせる方法にある。
図3に示されたところのように、プリズム形状と平坦化面(planation surface)を有している屈折率n
1である光抽出パターン層の上に屈折率がn
1より大きいn
2の値を有する平坦化層(planarization layer)を形成して散乱粒子によって後方散乱された光をリサイクルすることができる。ここで、入射光は集光性が良い光を使用することが光効率向上効果がさらに大きい。原理説明の便宜上ここでは垂直入射光を考慮する。入射光が光抽出パターン層と平坦化層を経って散乱粒子に会えば後方散乱が起きる。後方散乱形態は散乱粒子の特性によって異なることがあるが、ここでは通常的なランバーシアン形態の後方散乱を考慮する。散乱粒子で後方散乱された光は平坦化層と光抽出パターン層の境界面で屈折(透過)されるか、または反射される。反射された光をリサイクルすることであるために反射率が最大の全反射条件がなされるように光抽出パターン層の形状を設計することが重要である。
図3で見られるように後方散乱された光の一定部分はプリズム形状の境界面で全反射がなされて、この光は光抽出パターン層の平坦化層で再び全反射され、全反射されたこの光は再びプリズム形状の光抽出パターン層で全反射がなされて上側に進行する。
【0009】
後方散乱された光のうちで全反射になる部分を極大化するためには二つの層の屈折率差(n2-n1)が大きいほど良くて光抽出パターン層の形状を最適の模様で設計する必要がある。光抽出パターン層のパターン周期をp、平坦化層の平坦面長さをw、プリズムの頂角をαと言えば、平坦化層の厚さをdと言った時、光効率を極大化するための条件(α、p/d、w/d)をシミュレーションを通じて得ることができる。例えば、n1=1.5、n2=1.7である場合に直進入射光の近似条件で光効率極大化の最適条件は、シミュレーションを通じて次のように得られる。
【0010】
α=106゜、p/d=4.6、w/d=2.0
【0011】
ここで、光拡散粒子は、有機ナノ粒子、無機ナノ粒子及び量子ドットナノ粒子のうちで少なくとも一つを含むことであることがある。
【0012】
そして、光抽出パターンは、ナノインプリント、エンボシング及びフォトリソグラフィのうちで何れか一つの方式で形成されたものであるが、全反射効果を出すことに好適な構造を有するように平坦化層と特定形状でなされた周期的な模様であることがある。ここで特定形状は、1次元方向に形成周期を有するプリズム、四角縦断面のストライプ、台形縦断面のストライプ、半球または上部が切られた半球縦断面のストライプのうちで少なくとも何れか一つに形成されたものであるか、または2次元方向で形成周期を有するピラミッド、台形、円形または正方形柱、曲面円錐体、上部が切られた円錐体、半球及び上部が切られた半球のうちで少なくとも何れか一つで形成されたものであることがある。
【0013】
併せて、光抽出パターンは、カソード層に向けるように形成され、インデックスマッチング層は、一面に光抽出パターンを埋め立てて他の面にカソード上面を覆うように形成されたものであることがある。
【0014】
そして、インセル光抽出機能を有する量子ドット有機発光ディスプレイ装置は、インセル光抽出層とインデックスマッチング層との間に、一面に光抽出パターンを埋め立てて他の面にインデックスマッチング層を覆うように形成されたバッファー層(Buffer layer)をさらに含むことができるし、ここで、光抽出パターンは、カソード層に向けるように形成される。
【0015】
一方、光抽出パターンは、量子ドットカラーフィルターに向けるように形成され、量子ドットカラーフィルターと光抽出パターンとの間には平坦化層をさらに含むことができる。
【0016】
光抽出パターンは、最大直径が数ナノから数百マイクロメーターサイズを有するものであることがある。
【発明の効果】
【0017】
前記のような本発明の一実施例によれば、量子ドットを含んだ散乱層で後方散乱された光を全反射を効果的に起こすパターン形状を通じて上側または前方に光を再伝播するようにすることで光効率を向上させることができる。
【0018】
また、光抽出層をディスプレイ装置と付け加える方式ではないインセル光抽出層(In-cell Light Extraction Layer)をディスプレイに内在して薄いながらも光抽出効率が高い効果がある。
【0019】
そして、光放出及び抽出効率を向上させることで、光源素子の寿命を延ばすことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】従来量子ドット有機発光ディスプレイ装置の断面を示した断面図である。
【
図2】本発明であるインセル光抽出機能を有する量子ドット有機発光ディスプレイ装置の一実施例断面を示した図面である。
【
図3】全反射効果を利用して光効率を向上させる本発明の原理を幾何光学の光線追跡法を利用して示して光効率と関連されるパラメーターを表示した図面であり、光抽出パターン層が量子ドットフィルターに向けるように形成されて平坦化層が間に形成された構造で本発明の光効率向上原理を説明した図面である。
【
図4】本発明であるインセル光抽出機能を有する量子ドット有機発光ディスプレイ装置の他の実施例断面を示した図面である。
【
図5】本発明であるインセル光抽出機能を有する量子ドット有機発光ディスプレイ装置のまた他の実施例断面を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面ら及び添付図面らに記載された内容らを参照して本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明が実施例によって制限されるか、または限定されるものではない。
【0022】
以下で説明する実施例らには多様な変更が加えられることができる。以下で説明する実施例らは実施形態に対して限定しようとするものではなくて、これらに対するすべての変更、均等物乃至代替物を含むことで理解されなければならない。
【0023】
一方、本発明を説明するにおいて、関連される公知機能または構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不必要に曇ることがあると判断される場合には、その詳細な説明を略するであろう。そして、本明細書で使用される用語(terminology)らは本発明の実施例を適切に表現するために使用された用語として、これは使用者、運用者の意図または本発明が属する分野の慣例などによって変わることがある。よって、本用語に対する定義は本明細書全般にわたった内容を土台で下ろされなければならないであろう。
【0024】
また、添付図面を参照して説明するにおいて、図面符号にかかわらず同一な構成要素は同一な参照符号を付与し、これに対する重複される説明は略することにする。実施例を説明するにおいて関連される公知技術に対する具体的な説明が実施例の要旨を不必要に曇ることがあると判断される場合、その詳細な説明を略する。
【0025】
インセル光抽出機能を有する量子ドット有機発光ディスプレイ装置
本発明であるインセル光抽出機能を有する量子ドット有機発光ディスプレイ装置は、量子ドットを含む散乱粒子で後方散乱された光を全反射を利用して再び前方に行かせる方法によって熱エネルギーに転換された光を外部に抽出されることができるように作用することで、光抽出効率を向上させて光源素子の寿命を伸ばすように作用する。
【0026】
本発明の一実施例は
図2に示されたように、インセル光抽出層(In-Cell Light Extraction Layer)をセル内に形成することで、量子ドットカラーフィルター(Quantum Dot Color Filter)で再反射させることができるし、これを通じて該当フィルターに対応するカラー光に転換された光を外部に抽出するように作用する。
【0027】
本実施例は、
図2に示されたところのように、TFT層(TFT Array)上部にアノード層(Anode)、正孔注入/輸送層(HIL/HTL)、発光層(EML)、電子注入/輸送層(EIL/ETL)及びカソード層(Cathode)が順次に積層され、カソード層(Cathode)上部に光拡散粒子が分散形成された量子ドットカラーフィルター(Quantum Dot Color Filter)を含む量子ドット有機発光ディスプレイ装置を基本構成とする。ここに、電子注入/輸送層上部のカソード層(Cathode)と量子ドットカラーフィルター(Quantum Dot Color Filter)の間にインセル光抽出層(In-cell Light Extraction Layer)を含むが、インセル光抽出層(In-cell Light Extraction Layer)とカソード層(Cathode)との間にインデックスマッチング層(Index matching layer)をさらに含むように形成することで、インセル光抽出機能を有する量子ドット有機発光ディスプレイ装置を構成した。
【0028】
本発明の光効率向上の原理を以下に詳細に説明する。
【0029】
図3に示されたところのように、プリズム形状と平坦化面(Planation surface)を有している屈折率n
1である光抽出パターン層上に屈折率がn
1より大きいn
2の値を有する平坦化層(planarization layer)を形成して散乱粒子によって後方散乱された光をリサイクルすることができる。ここで、入射光は集光性が良い光を使用することが光効率向上効果がさらに大きい。原理説明の便宜上ここでは垂直入射光を考慮する。入射光抽出パターン層と平坦化層を経って散乱粒子に会えば後方散乱が起きる。後方散乱形態は散乱粒子の特性によって異なることがあるが、ここでは通常的なランバーシアン形態の後方散乱を考慮する。散乱粒子で後方散乱された光は平坦化層と光抽出パターン層の境界面で屈折(透過)になるか、または反射する。反射された光をリサイクルすることであるため、反射率が最大の全反射条件がなされるように光抽出パターン層の形状を設計することが重要である。
図3で見られるように後方散乱された光の一定部分はプリズム形状の境界面で全反射がなされて、この光は光抽出パターン層の平坦化層で再び全反射されて全反射されたこの光は、再びプリズム形状の光抽出パターン層で全反射がなされて上側に進行する。
【0030】
後方散乱された光のうちで全反射になる部分を極大化するためには二つの層の屈折率差(n2-n1)が大きいほど良くて、光抽出パターン層の形状を最適の模様で設計する必要がある。光抽出パターン層のパターン周期をp、平坦化層の平坦面長さをw、プリズムの頂角をαとすれば、平坦化層の厚さをdとした時、光効率を極大化するための条件(α、p/d、w/d)をシミュレーションを通じて得ることができる。例えば、n1=1.5、n2=1.7である場合に直進入射光の近似条件で光効率極大化の最適条件はシミュレーションを通じて次のように得られる。
【0031】
α=106゜、p/d=4.6、w/d=2.0
【0032】
ここで、量子ドットカラーフィルター(Quantum Dot Color Filter)に収容される光拡散粒子は、無機ナノ粒子または有機ナノ粒子であることがあって、無機ナノ粒子の場合二酸化酸チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、硫酸バリウムでなされた群から選択された1種以上の無機ナノ粒子であることができるし、有機ナノ粒子の場合分散安定度が高い高分子化合物で形成された有機ナノ粒子であることがある。一方、光拡散粒子は光拡散という機能を遂行する以上、量子ドットナノ粒子を含むこともできる。
【0033】
前述したように、インセル光抽出層(In-cell Light Extraction Layer)を通じて特定方向に拡散された光を再び量子ドットカラーフィルター(Quantum Dot Color Filter)に向けるように光抽出パターン(Pattern layer)が形成されることができる。光抽出パターンは全反射効果を出すことに好適な構造を有するように、例えば平坦化層と同じ平坦化面と特定形状でなされた周期的な模様であることがある。ここで、特定形状は、
図2に示されたように断面が鋸歯形状であるストライプ形態の1次元的に形成周期を有する複数のプリズム(Prism)、四角縦断面のストライプ、台形縦断面のストライプ、半球または上部が切られた半球縦断面のストライプのうちで少なくとも何れか一つで形成されたものであることができるし、以外に2次元的に形成周期を有する複数のピラミッド、台形、円形または正方形柱、曲面円錐体、上部が切られた円錐体、半球及び上部が切られた半球のうちで少なくとも何れか一つの凹凸で形成されたパターンであることがある。このような1次元的または2次元的形状は、その形成周期が領域別に一定でないこともあって、例示された形状以外にも多様な凹凸らを利用してパターンを形成することもある。ここで、半球及び上部が切られた半球は完全な半球以外にも球体の一部分を含む概念で定義されることができる。
【0034】
光抽出パターン(Pattern layer)は、最大直径が数ナノメートルから数百マイクロメーターの大きさを有するものであることができる。これは1次元的に形成周期を有するパターンの場合、長さではなく1次元方向の底面を成す単位形状の幅を意味し、2次元的に形成周期を有するパターンである場合2次元方向それぞれの底面を成す単位形状の幅を意味する。また、最大直径は高さを含む意味としても解釈されることができる。
【0035】
光抽出パターンはナノインプリント(nano imprinting)、エンボシング(embossing)及びフォトリソグラフィ(photolithography)のうちで何れか一つの方式で形成されたものであることができるし、
図2に示されたところのように、インデックスマッチング層(Index matching layer)は一面でカソード層に向けている光抽出パターンを埋め立てて、他の面でカソード層を覆うように形成されたものであることができる。このようなインデックスマッチング層はカソード層(Cathode)とインセル光抽出層(In-cell Light Extraction Layer)の間にさらに形成されて隣接する屈折率差を償う役割をする。
【0036】
図4は、本発明であるインセル光抽出機能を有する量子ドット有機発光ディスプレイ装置の他の実施例を示したものであり、本発明の他の実施例は
図2に示されたものと異なり、カソード層と接するインデックスマッチング層を別に形成し、一面にカソード層に向けるインセル光抽出層の光抽出パターンを埋め立てながら他の面でインデックスマッチング層を覆うように蒸着で形成されたバッファー層をさらに含むように構成されることができる。このようなバッファー層は全実施例で説明したインデックスマッチング層のソフトな材質的特性に起因してカソード層に向ける光抽出パターンがカソード層に影響を及ぼすことができるが、このような影響を最小化するように作用する。
【0037】
図5は、本発明であるインセル光抽出機能を有する量子ドット有機発光ディスプレイ装置のまた他の実施例を示したものであり、本発明のまた他の実施例は
図2及び3に示されたものと異なり、光抽出パターンは、量子ドットカラーフィルターに向けるように形成されることができる。この場合、量子ドットカラーフィルターと光抽出パターンとの間には平坦化層(Planarization layer)をさらに含むように構成し、量子ドットカラーフィルターとの結合特性を高めることができる。
【0038】
前述した本発明の光効率向上原理説明のための
図3の構造は、
図5によるまた他の実施例の一部構成らを示して説明したが、
図2による一実施例に適用すれば、下方を向ける光抽出パターン層とインデックスマッチング層の間で量子ドットフィルターに向ける光の全反射原理に切り替えて説明可能であり、
図4による他の実施例に適用して説明すれば、下方を向ける光抽出パターン層とバッファー層との間で量子ドットフィルターに向ける光の全反射原理に切り替えて説明可能である。
【0039】
図2乃至
図5を通じて説明した量子ドット有機発光装置は、青色光を放出する光源を例で説明したが、発光源(Light Source)は、これに限定するものではなくてWOLED、Micro LED、LED、QDなど以外光源にも等しく適用されることができることは自明であろう。
【0040】
以上添付された図面を参照して本発明の実施例を説明したが、前述した本発明の技術的構成は本発明が属する技術分野の当業者が本発明のその技術的思想や必須特徴を変更しなくても他の具体的な形態で実施されることができるということを理解することができるであろう。それで、以上で記述した実施例らはすべての面で例示的なもので限定的なものではないものとして理解されなければならない。同時に、本発明の範囲は前記の詳細な説明よりは後述する請求範囲によって示される。また、請求範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれることで解釈されなければならない。