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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】膣錠剤製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/366 20060101AFI20241226BHJP
   A61P 15/02 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20241226BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20241226BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20241226BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20241226BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20241226BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
A61K31/366
A61P15/02
A61P31/00
A61K47/38
A61K47/12
A61K47/36
A61K47/02
A61K9/20
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021560220
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-26
(86)【国際出願番号】 EP2020059582
(87)【国際公開番号】W WO2020201515
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】19167495.1
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518324821
【氏名又は名称】ジェディア バイオテック エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】エラーヴィク,ウルフ
(72)【発明者】
【氏名】マンナー,ソフィー
(72)【発明者】
【氏名】スターナー,オーロヴ
(72)【発明者】
【氏名】ストレヴェンズ,ヘレナ
(72)【発明者】
【氏名】リンドバーグ,ニルス‐オーロフ
(72)【発明者】
【氏名】セフォーム,アネット
【審査官】榎本 佳予子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/174731(WO,A1)
【文献】特表2009-541419(JP,A)
【文献】特表2004-500317(JP,A)
【文献】特開平07-173077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61P 1/00-43/00
A61K 47/00-47/69
A61K 9/00- 9/72
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膣投与に適する固体医薬組成物であって、
a.5~30wt%のグルコノ-δ-ラクトン(GDL)
.10~40wt%のヒプロメロース(HPMC);及び
c.10~30wt%のグルコン酸塩
を含む、固体医薬組成物。
【請求項2】
前記医薬組成物が、錠剤である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記医薬組成物の60%以下が、37℃にて500mLの50mM酢酸緩衝液(pH4.0)中50rpmで、米国薬局方(USP)溶解装置2-パドル法を用いて2時間以内に溶解する、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
GDLが、少なくとも12時間など、少なくとも18時間など、少なくとも24時間など、少なくとも36時間など、少なくとも42時間などの、少なくとも6時間生体内で放出される、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
GDLの量が、100~400mgなど、約150mg又は約300mgなどの、50~500mgである、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記組成物が、約20wt%など又は約15wt%などの、10~25wt%のGDLを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記グルコン酸塩が、グルコン酸ナトリウム(NaG)である、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記組成物が、15~25wt%、18~19wt%、又は24~25wt%の範囲のNaGを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
GDL及びグルコン酸塩のモル比が、3:2~2:3など、約1:1などの、2:1~1:2である、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記組成物が、20~35wt%などの、10~20wt%の範囲のHPMC又は15~40wt%の範囲のHPMCを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記HPMCの粘度が、100mPasなどの、50~200mPasの範囲にあるか、又は前記HPMCの粘度が、100,000mPasなどの、50,000~200,000mPasの範囲にある、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記組成物が、デンプン、シリカ、滑剤、及び/又は微結晶セルロース(MCC)をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記組成物が、成分の合計が100wt%を超えないという条件で、
a.10~25wt%のGDL;15~30wt%のNaG;10~40wt%のHPMC;10~25wt%のデンプン;0.25~1.25wt%のシリカ;及び0.5~1.5wt%のステアリン酸マグネシウム、
b.10~25wt%のGDL;10~30wt%のNaG;5~40wt%のHPMC;10~45wt%のMCC;10~20wt%のデンプン;0.25~1.25wt%のシリカ;及び0.5~1.5wt%のステアリン酸マグネシウム、又は
c.10~25wt%のGDL;15~30wt%のNaG;30~40wt%のHPMC;15~45wt%のデンプン;0.25~1.25wt%のシリカ;及び0.5~1.5wt%のステアリン酸マグネシウム
を含むか又はそれらからなる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記組成物が、成分の合計が100wt%を超えないという条件で、
a.15wt%のGDL;18.4wt%のNaG;15wt%のHPMC;36wt%のMCC;14.25wt%のデンプン;0.38wt%のシリカ;及び1.0wt%のステアリン酸マグネシウム、又は
b.20wt%のGDL;24.5wt%のNaG;35wt%のHPMC;19wt%のデンプン;0.5wt%のシリカ;及び1wt%のステアリン酸マグネシウム
を含むか又はそれらからなる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項15】
医薬としての使用のための請求項1~14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
膣微生物感染症などの、微生物感染症の治療での使用のための、請求項1~15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
膣微生物感染症などの微生物感染症の治療のための医薬の製造における、請求項1~16のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、膣微生物感染症の治療に使用するのに適する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
膣マイクロバイオームは、異なる比率及び量で様々な微生物の複合混合物を有する動的システムであり、それは弱酸性環境(典型的にはpH3.5~4.5)を維持するために乳酸産生細菌に依存する。膣の微生物叢の突然の変化は、膣pHを上昇させ、その結果、5超のpHで最適に成長する膣病原体の確立のためのより有利な環境を作り出す。そのため、膣内の微生物叢の不均衡は、毎年、生殖年齢の女性の大部分に影響を与える病態である膣感染症をもたらし得る。
【0003】
膣感染症の治療は、エコナゾール、クロミトラゾール、ミコナゾール、チオコナゾール、ブトコナゾール及びフルコナゾールなどの膣用カプセル、錠剤及びクリームを含む。しかし、現在市場にある治療薬の多くは、感染の高い再発を伴い、加えて、胃の不調、頭痛及び発疹を含む様々な副作用を有する。いくつかの治療薬は、胎児に害を及ぼす可能性があるため、妊娠中に使用できない。さらに、抗菌剤が死滅させるように設計される感染性生物が薬物に適合するにつれて、薬物に対する耐性が発達する可能性がある。加えて、治療薬の多くは、高温で安定でない脂肪ベースの医薬品ペッサリーである。
【0004】
抗菌剤の1つの標的はバイオフィルムであり、それは、互いにくっつく微生物細胞によって形成され、自己産生する細胞外ポリマーマトリックスで囲まれる。グルコン酸(CAS 526-95-4)は、異なるカンジダ種及びいくつかの菌株のバイオフィルムの存在を低下させることが示されている[WO2017/174731、WO2019/068862]。グルコン酸は、固体結晶性製品として生成することが困難であり、通常50%水溶液として供給される。このような水溶液は、膣クリーム、膣ゲルなどの膣投与用の液体医薬製剤を提供するために使用され得る一方で、水溶液は、膣錠剤、膣坐剤、又は膣リングなどの膣投与のための固体医薬製剤を提供する際に使用するのにそれほど適していない。
【0005】
膣感染症の治療の必要性は、自宅、仕事中、又は旅行中に生じる可能性があり、したがって、製品は、振盪、クランプ、中程度の隆起を受けることができ、かつ温度の変化に鈍感である必要である。好ましくは、製品は、少なくとも6ヶ月、又はより好ましくは少なくとも1年の貯蔵寿命を有する。製品は、アプリケーターの有無にかかわらず、簡単に適用できる必要がある。製品がアプリケーターなしで適用される場合は、それは保持するために安定である必要があり、滑りやすいか又は光沢があってはならない。指での接触が、製品の特性を変えてはいけない。さらに、製品は、適切にフィットするまで膨張し、その位置にとどまるが、傷をつけない必要がある。製品は、ずり落ちるべきではない。さらに、製品は、感染症の治療に最適な放出時間を有する必要がある。治療中、製品は、粘着性であると認識されるべきではなく、又は製品の残りの部分が滑り落ちると認識されるべきでない。製品は、繊維を変色させたり、又は脂肪汚れを引き起こすべきではない。治療薬は、好ましくは無臭であるべきであり、ユーザーの仕事、スポーツなどの日常活動を妨げてはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
要約すると、生殖器領域の感染症の現在の治療レジメン及び予防計画には多くの制限があり、妊娠中に安全であり、かつ耐性発達のリスクが低い新規の治療及び予防の代替物が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
グルコン酸は、バイオフィルムの存在を低下させることが知られている。しかし、グルコン酸は、固体結晶性製品として生成することは困難であり、そのため、膣錠剤、膣坐剤、又は膣リングなどの膣投与のための固体医薬製剤を提供する際に使用するのにはあまり適していない。水溶液中で、グルコン酸は、グルコノ-γ-ラクトン及びグルコノ-δ-ラクトン(GDL;CAS 90-8-2)で平衡状態にある。本発明者らは、そのようなGDLが異なるカンジダ種及び細菌のバイオフィルム形成に影響を及ぼすことを見出し、これはGDL自体が活性化合物として作用することを示唆する。GDLは、室温と体温で固体であり、したがって、例えば、膣錠剤、ペッサリー、膣ディスク又は坐剤又はバジトリー(vagitory)中の有効成分として使用するのに適している。本発明者らは、膣微生物感染症の治療に使用するのに適する、GDLを含む固体医薬製剤を開発した。
【発明の効果】
【0008】
一態様では、本発明は、グルコノ-δ-ラクトン(GDL)及びヒプロメロース(HPMC)を含む医薬組成物に関する。さらなる態様では、本発明は、膣投与に適する固体医薬組成物に関し、上記医薬組成物は5~30wt%のグルコノ-δ-ラクトン(GDL)と、10~40wt%のヒプロメロース(HPMC)を含む。
【0009】
別の態様では、本発明は、微生物感染症の治療においてなどの、医薬として本明細書で定義される医薬組成物の使用に関する。一実施形態では、上記微生物感染症は、膣微生物感染症である。
【0010】
さらに別の態様では、本発明は、本明細書で定義される医薬組成物を製造するための方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】生理的条件下でペッサリーを溶解するための流体モデル。膣流体モデルは、蒸留水を有する貯留槽、ペリスタポンプ、ガラスカラム、及び画分コレクターからなる。水は、毎分0.1mLの速度でガラスカラムにポンプで送られる。ペッサリーは、膣粘膜をシミュレートするために人工スポンジに包まれている。ガラスカラムを加熱して、35℃のコア温度にする。流体は、画分あたり60分に設定された画分コレクターを用いて収集される。各画分のpHを、pH電極で測定した。
図2】実施例10に記載されているように、膣液モデル(図1に示す)を用いた測定の結果。白丸:製剤A;白四角:製剤U;白のひし形:製剤X;黒丸:製剤V;黒四角:製剤Z1;黒のひし形:製剤Z5。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本発明は、有効な医薬成分としてグルコノ-δ-ラクトン(GDL)及び賦形剤を含む医薬組成物に関する。一実施形態では、医薬組成物は、グルコン酸塩をさらに含む。一実施形態では、医薬組成物は、HPMCなどの結合剤/変更された放出剤;セルロース及び/又はデンプンなどの充填剤;シリカなどの流動化剤;及びステアリン酸マグネシウムなどの滑剤をさらに含む。
【0013】
一態様では、本発明は、グルコノ-δ-ラクトン(GDL);及びヒプロメロース(HPMC)を含む医薬組成物に関する。
【0014】
一態様では、本発明は、グルコノ-δ-ラクトン(GDL);グルコン酸塩;及びヒプロメロース(HPMC)を含む医薬組成物に関する。
【0015】
一実施形態では、本発明は、グルコノ-δ-ラクトン(GDL);グルコン酸ナトリウム(NaG);及びヒプロメロース(HPMC)を含む医薬組成物に関する。
【0016】
一実施形態では、上記医薬組成物は、固体組成物である。
【0017】
用語「医薬組成物」は、本明細書において用語「医薬製剤」と同義に用いられる。一実施形態では、医薬組成物は、医薬剤形の形態にある。一実施形態では、本発明の医薬組成物は、錠剤である。一実施形態では、医薬組成物は、膣内投与に適している、すなわち、医薬組成物は、膣用錠剤又は医薬ペッサリーの形態などで膣内に適用される。
【0018】
放出速度
本発明の医薬組成物は、徐放性製剤であり、医薬組成物は、長期間にわたってGDLを放出すべきである。医薬組成物は、GDLが24時間又は48時間などの長期間、生体内で放出されるように、特定の放出プロファイルを有することが不可欠である。一実施形態では、医薬組成物は、繰り返し投与されるべきである。その場合、有効医薬成分は、次の投与量が投与される前に完全に放出されることが好ましい。例えば、1日1回の投与については、有効医薬成分は、投与後24時間以内に生体内で完全に放出される。2日おきに投与する場合には、有効医薬成分は、投与後48時間以内に生体内で完全に放出される。したがって、本発明の医薬製剤は、感染症の治療に最適な放出時間を有するように設計される。
【0019】
GDLに適する放出プロファイルを得るために、結合剤などの賦形剤、変更された放出剤、充填剤、流動化剤及び滑剤は、慎重に選択される。この点に関して、医薬組成物はHPMCを含むことが不可欠である。
【0020】
一実施形態では、GDLは、生体内で少なくとも6時間、少なくとも12時間など、少なくとも18時間など、少なくとも24時間など、少なくとも36時間など、少なくとも42時間などの間放出される。一実施形態では、GDLは、少なくとも24時間、少なくとも36時間などの間放出される。一実施形態では、GDLは、72時間以下、48時間以下など、36時間以下など、24時間以下などの間放出される。一実施形態では、GDLは、生体内で約18~27時間放出される。一実施形態では、GDLは、生体内で約48時間放出される。一実施形態では、放出されたGDLの量は、本明細書中の実施例10に記載の流体モデルを用いて測定される。
【0021】
本医薬組成物の開発中に、生体内薬物放出プロファイルを予測するために、米国薬局方(USP)溶解装置2-パドル法(37℃±0.5℃)を用いて溶解速度を測定した。さらなる詳細については実施例1を参照されたい。
【0022】
例えば、生体内でのGDLに適する放出プロファイルを得るために、次いで医薬組成物の60%以下が、米国薬局方(USP)溶解装置2-パドル法を用いて、2時間以内に溶解することが判明した。
【0023】
一態様では、本発明は、5~30wt%のグルコノ-δ-ラクトン(GDL);及び10~40wt%のヒプロメロース(HPMC)を含む固体医薬組成物に関し、医薬組成物の60%以下が、米国薬局方(USP)溶解装置2-パドル法を用いて2時間以内に溶解される。
【0024】
一実施形態では、医薬組成物の40%以下が、上記のUSPパドル法を用いて最初の1時間以内に溶解される。一実施形態では、医薬組成物の60%以下、50%以下など、40%以下などが、USPパドル法を用いて最初の2時間以内に溶解される。一実施形態では、医薬組成物の80%以下、75%以下など、50%以下などが、USPパドル法を用いて最初の4時間以内に溶解される。一実施形態では、医薬組成物の90%以下、85%以下など、65%以下などが、USPパドル法を用いて最初の6時間以内に溶解される。
【0025】
一実施形態では、医薬組成物の少なくとも40%、少なくとも50%など、少なくとも60%などが、上記のUSPパドル法を用いて最初の4時間以内に溶解される。一実施形態では、医薬組成物の少なくとも50%、少なくとも70%など、少なくとも75%などが、USPパドル法を用いて最初の6時間以内に溶解される。一実施形態では、医薬組成物の少なくとも60%、少なくとも80%など、少なくとも90%などが、USPパドル法を用いて最初の6時間以内に溶解される。
【0026】
一実施形態では、医薬組成物の30~50%、30~40%などが、USPパドル法を用いて最初の2時間以内に溶解される。一実施形態では、医薬組成物の40~60%、40~50%などが、USPパドル法を用いて最初の4時間以内に溶解される。一実施形態では、医薬組成物の50~70%、55~65%などが、USPパドル法を用いて最初の6時間以内に溶解される。一実施形態では、医薬組成物の60~80%、65~75%などが、USPパドル法を用いて最初の8時間以内に溶解される。一実施形態では、医薬組成物の30~50%が、USPパドル法を用いて最初の2時間以内に溶解され;医薬組成物の40~60%が、最初の4時間以内に溶解され;医薬組成物の50~70%が、最初の6時間以内に溶解され;医薬組成物の60~80%が、最初の8時間以内に溶解される。一実施形態では、このような溶解速度プロファイルを有する医薬組成物は、1日おきの投与に適している。
【0027】
一実施形態では、医薬組成物の30~50%、35~45%などが、USPパドル法を用いて最初の2時間以内に溶解される。一実施形態では、医薬組成物の50~70%、55~65%などが、USPパドル法を用いて最初の4時間以内に溶解される。一実施形態では、医薬組成物の70~90%、75~85%などが、USPパドル法を用いて最初の6時間以内に溶解される。一実施形態では、医薬組成物の80~95%、85~95%などが、USPパドル法を用いて最初の8時間以内に溶解される。一実施形態では、医薬組成物の35~45%が、USPパドル法を用いて最初の2時間以内に溶解され;医薬組成物の50~70%が、最初の4時間以内に溶解され;医薬組成物の70~90%が、最初の6時間以内に溶解され:医薬組成物の80~95%が、最初の8時間以内に溶解される。一実施形態では、このような溶解速度プロファイルを有する医薬組成物は、1日1回の投与に適している。
【0028】
グルコノ-δ-ラクトン(GDL)
本発明の医薬組成物は、グルコノ-δ-ラクトン(GDL)、CAS番号90-8-2を含む。グルコノ-δ-ラクトンは室温と体温で固体であり、したがって、例えば、膣錠剤の有効成分として使用するのに適している。一実施形態では、医薬組成物の唯一の有効医薬成分は、GDLである。
【0029】
一実施形態では、医薬組成物は、少なくとも5wt%のGDL、少なくとも10wt%など、少なくとも15wt%など、少なくとも20wt%などのGDLを含む。一実施形態では、医薬組成物は、50wt%以下のGDL、40wt%以下など、35wt%以下など、30wt%以下など、25wt%以下など、20wt%以下などのGDLを含む。一実施形態では、医薬組成物は、10~30wt%のGDL、10~25wt%など、15~25wt%などのGDL、約20wt%などのGDL、約15wt%などを含む。
【0030】
グルコン酸塩
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、グルコン酸塩を含み、それは、好ましくは約4のpH値、3.6及び4.2の範囲など、より具体的には約3.86にさせる緩衝効果を有する。一実施形態では、pH値は、実施例8に記載の設定で測定される。GDLとグルコン酸塩の比率は、3.5~4.5などの、適切なpHを提供するように選択され得る。一実施形態では、医薬組成物中のGDLとグルコン酸塩のモル比は、2:1~1:2、3:2~2:3など、約1:1などである。
【0031】
一実施形態では、グルコン酸塩は、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸カルシウム、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸鉄(II)、グルコン酸銅(II)、及びグルコン酸亜鉛からなる群から選択される。一実施形態では、グルコン酸塩は、グルコン酸ナトリウム(NaG)である。そのため、一実施形態では、医薬組成物のNaGは、グルコン酸カリウム、グルコン酸カルシウム、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸鉄(II)、グルコン酸銅(II)、及びグルコン酸亜鉛などの等モル量の別のグルコン酸塩により置き換えられる。
【0032】
一実施形態では、医薬組成物は、10wt%のNaG、少なくとも15wt%などのNaG、少なくとも15wt%など、少なくとも20wt%などの、少なくともNaGの等モル濃度に相当する濃度でグルコン酸塩を含む。一実施形態では、医薬組成物は、25wt%以下など、20wt%以下のNaGなどの、30wt%以下のNaGの等モル濃度に相当するグルコン酸塩の濃度を含む。一実施形態では、医薬組成物は、15~25wt%など、20~25wt%など、24~25wt%のNaGなど、18~19wt%などの、10~30wt%のNaGの等モル濃度に相当するグルコン酸塩の濃度を含む。
【0033】
一実施形態では、医薬組成物は、少なくとも10wt%のNaG、少なくとも15wt%などのNaG、少なくとも15wt%など、少なくとも20wt%などのNaGを含む。一実施形態では、医薬組成物は、25wt%以下など、20wt%以下のNaGなどの、30wt%以下のNaGを含む。一実施形態では、医薬組成物は、15~25wt%など、20~25wt%など、24~25wt%のNaGなどの、18~19wt%などの、10~30wt%のNaGを含む。
【0034】
ヒプロメロース(HPMC)
本発明の医薬組成物は、少なくとも1種のヒプロメロース(HPMC)成分を含む。HPMC成分は、医薬組成物中で放出変更剤として作用する。本明細書で使用する用語「ヒプロメロース」は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、CAS番号9004-65-3、E番号E464を指す。HPMCは、部分的にOメチル化され及びO-(2-ヒドロキシプロピル化)セルロースであり、分子量と置換の程度が異なり、したがって粘度も異なるいくつかのグレードで利用可能である。HPMCの種類は、置換の程度に基づいて分類でき、そのため4桁の数字が与えられる。最初の2桁は、メトキシの割合(w/w)を指し、次の2桁は、乾燥物質中のヒドロキシプロポキシ基の割合を指す。一実施形態では、本発明のHPMC成分は、HPMC置換型2208(「K」とも呼ばれる)、2910(「E」とも呼ばれる)、1828及び2906(「F」とも呼ばれる)からなる群から選択される。一実施形態では、HPMC成分は、置換型2208又は2910である。
【0035】
置換の大きさ及び程度を含むHPMCの構造は、粘弾特性を生み出す。置換パターンに加えて、異なるHPMCグレードは、2%(w/w)水溶液の見かけの粘度(mPas)によって区別できる。一実施形態では、HPMC成分は、少なくとも15mPasなど、少なくとも20mPasなど、少なくとも25mPasなど、少なくとも30mPasなど、少なくとも35mPasなど、少なくとも40mPasなど、少なくとも45mPasなど、少なくとも50mPasなど、少なくとも55mPasなど、少なくとも60mPasなど、少なくとも65mPasなど、少なくとも70mPasなど、少なくとも75mPasなどの、少なくとも10mPasの粘度を有する。一実施形態では、HPMC成分は、少なくとも50mPasの粘度を有する。一実施形態では、HPMC成分は、300.000mPas以下など、200.000mPas以下など、150.000mPas以下など、100.000mPas以下など、50.000mPas以下など、10.000mPas以下など、1.000mPas以下など、500mPas以下など、250mPas以下などの、400.000mPas以下の粘度を有する。一実施形態では、HPMC成分は、80~120mPasの範囲など、2.600~5.000mPasの範囲など、又は150.000~280.000mPasの範囲などの、80~280.000mPasの範囲の粘度を有する。一実施形態では、HPMC成分は、約100.000mPasの粘度を有する。一実施形態では、HPMC成分は、約200.000mPasの粘度を有する。一実施形態では、HPMC成分は、約4000mPasの粘度を有する。一実施形態では、HPMC成分は、約100mPasの粘度を有する。一実施形態では、HPMC成分は、約15mPasの粘度を有する。
【0036】
上記HPMC成分は、メトセルK100、メトセルK4M及びメトセルK200Mからなる群から選択され得る。
【0037】
一実施形態では、医薬組成物は、少なくとも5wt%のHPMC、少なくとも10wt%など、少なくとも10wt%など、少なくとも15wt%など、少なくとも20wt%、少なくとも25wt%、少なくとも30wt%、少なくとも35wt%など、少なくとも40wt%など、少なくとも45wt%など、少なくとも50wt%などのHPMCを含む。一実施形態では、医薬品は、60wt%以下のHPMC、55wt%以下など、50wt%以下など、45wt%以下など、45wt%以下など、40wt%以下など、35wt%以下など、30wt%以下など、25wt%以下など、20wt%以下など、15wt%以下など、10wt%以下などのHPMCを含む。一実施形態では、医薬組成物は、5~60wt%の範囲のHPMC、15~40wt%など、5~25wt%など、10~20wt%など、10~40wt%など、20~35%wt%など、30~40wt%などの範囲のHPMC含む。一実施形態では、医薬組成物は、5~30wt%の範囲のHPMC、10~20wt%など、約15wt%などのHPMCを含む。一実施形態では、医薬組成物は、25~45wt%の範囲のHPMC、30~30wt%など、約35.5wt%などを含む。
【0038】
シリカ
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、シリカをさらに含む。上記シリカは、コロイド無水シリカ、コロイド二酸化シリコーン、コロイド水和シリカ及び疎水性コロイドシリカからなる群から選択され得る。一実施形態では、上記シリカは、コロイドシリカである。一実施形態では、上記シリカは、175~225m/g、約200m/gなどの比表面積、及び/又は12nmの平均主要粒径を有する。一実施形態では、シリカは、4%分散液中3.7~4.5のpH値を有する。一実施形態では、上記シリカは、アエロジル200である。
【0039】
一実施形態では、医薬組成物は、0.1~2wt%など、0.3~0.6wt%など、約0.5wt%など、約0.38wt%のシリカなどの、0.1~5wt%のシリカを含む。
【0040】
滑剤
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、滑剤をさらに含む。上記滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、パルミチン酸スクロース及びステアリン酸スクロースからなる群から選択できる。一実施形態では、上記滑剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0041】
一実施形態では、医薬組成物は、0.1~2wt%など、0.70~1.3wt%など、約1wt%など、約0.75wt%など、約0.38wt%の滑剤などの、0.1~5wt%の滑剤を含む。
【0042】
デンプン
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、デンプンをさらに含む。一実施形態では、上記デンプンは、アルファ化デンプンである。一実施形態では、上記デンプンは、部分的にアルファ化されたトウモロコシデンプンである。一実施形態では、上記デンプンは、3:1の比などでアミロペクチンとアミロースを含む。上記デンプンのゼラチン化レベルは、約20%であり得る。上記デンプンの粒径は、約65ミクロンであり得る。一実施形態では、上記デンプンは、デンプン1500(登録商標)である。
【0043】
一実施形態では、医薬組成物は、少なくとも10wt%のデンプン、少なくとも15wt%など、少なくとも20wt%など、少なくとも30wt%など、少なくとも40wt%などを含む。一実施形態では、医薬組成物は、45wt%以下のデンプン、40wt%以下など、35wt%以下など、30wt%以下など、25wt%以下など、20wt%以下などを含む。一実施形態では、医薬組成物は、10~30wt%など、10~25wt%、10~20wt%など、約19wt%など、約14.25wt%のデンプンなどの、10~50wt%のデンプンを含む。
【0044】
セルロース
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、セルロースをさらに含む。上記セルロースは、微結晶セルロース(MCC)、シリコン化微結晶セルロース及び粉末セルロースからなる群から選択できる。一実施形態では、上記セルロースは、MCCである。一実施形態では、上記MCCは、少なくとも20μm、少なくとも50μmなど、少なくとも75μmなど、少なくとも100μmなど、少なくとも125μmなど、少なくとも140μmなど、少なくとも150μmなど、少なくとも160μmなどの公称粒径を有する。一実施形態では、上記MCCは、200μm以下、190μm以下など、180μm以下など、170μm以下など、160μm以下などの公称粒径を有する。一実施形態では、上記MCCは、140~200μm、約150~約180μmなどの範囲の公称粒径を有する。
【0045】
一実施形態では、医薬組成物は、少なくとも20wt%のセルロース、少なくとも30wt%など、少なくとも40wt%など、少なくとも50wt%などのセルロースを含む。一実施形態では、医薬組成物は、60wt%以下のセルロース、50wt%以下など、40wt%以下など、30wt%以下などのセルロースを含む。一実施形態では、医薬品は、20~30wt%など、40~60wt%など、50~60wt%など、30~40wt%など、35~40wt%など、約36wt%のセルロースなどの、20~60wt%のセルロースを含む。
【0046】
ラクトースと糖アルコール
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ラクトース又は糖アルコールをさらに含む。一実施形態では、上記ラクトース又は糖アルコールは、一水和物の形態である。一実施形態では、上記糖アルコールは、マンニトールである。一実施形態では、上記ラクトースは、α-ラクトースである。
【0047】
一実施形態では、医薬組成物は、50~60wt%のラクトース又は糖アルコールなどの、40~70wt%のラクトース又は糖アルコールを含む。
【0048】
医薬組成物
医薬組成物の種々の成分の量は、本開示中ではwt%で与えられる場合がある。このような場合、成分のwt%の合計は、100wt%を超えない。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、GDL、グルコン酸塩、HPMC、デンプン、シリカ及びステアリン酸マグネシウムを含むか、又はそれらからなる。一実施形態では、医薬組成物は、10~25wt%のGDL;15~30wt%のNaG;10~40wt%のHPMC;10~25wt%のデンプン;0.25~1.25wt%のシリカ;及び0.5~1.5wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又はそれらからなる。
【0049】
一実施形態では、医薬組成物は、10~25wt%のGDL;15~30wt%のNaG;30~40wt%のHPMC;15~45wt%のデンプン;0.25~1.25wt%のシリカ;及び0.5~1.5wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又はそれらからなる。一実施形態では、医薬組成物は、15~25wt%のGDL;20~30wt%のNaG;30~40wt%のHPMC;15~25wt%のデンプン;0.25~1.25wt%のシリカ;及び0.5~1.5wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又はそれらからなる。
【0050】
一実施形態では、医薬組成物は、約20wt%のGDL;24.5wt%のNaG;35.5wt%のHPMC;19wt%のデンプン;0.5wt%のシリカ;及び1wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる。一実施形態では、上記HPMCは、100.000mPasの粘度型であり、かつ/又は2208の置換度を有する。
【0051】
一実施形態では、医薬組成物は、約20wt%のGDL;24.1wt%のNaG;30wt%のHPMC;24.4wt%のデンプン;0.5wt%のシリカ;及び1wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる。別の実施形態では、医薬組成物は、約20wt%のGDL;24.1wt%のNaG;35wt%のHPMC;19.4wt%のデンプン;0.5wt%のシリカ;及び1wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる。別の実施形態では、医薬組成物は、約20wt%のGDL;24.5wt%のNaG;35wt%のHPMC;19wt%のデンプン;0.5wt%のシリカ;及び1wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる。別の実施形態では、医薬組成物は、約20wt%のGDL;24.5wt%のNaG;35wt%のHPMC;19.25wt%のデンプン;0.5wt%のシリカ;及び0.75wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる。別の実施形態では、医薬組成物は、約20wt%のGDL;24.5wt%のNaG;35wt%のHPMC;18.75wt%のデンプン;0.5wt%のシリカ;及び1.25wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる。別の実施形態では、医薬組成物は、約20wt%のGDL;24.5wt%のNaG;35wt%のHPMC;19wt%のデンプン;0.5wt%のシリカ;及び1wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる。別の実施形態では、医薬組成物は、約10wt%のGDL;12.25wt%のNaG;35wt%のHPMC;41.5wt%のデンプン;0.5wt%のシリカ;及び1.25wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる。別の実施形態では、医薬組成物は、約10wt%のGDL;12.25wt%のNaG;35wt%のHPMC;41.5wt%のデンプン;0.5wt%のシリカ;及び0.75wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる。別の実施形態では、医薬組成物は、約15wt%のGDL;18.375wt%のNaG;35wt%のHPMC;30.125wt%のデンプン;0.5wt%のシリカ;及び1wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる。
【0052】
さらに別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、GDL、グルコン酸塩、HPMC、シリカ及びステアリン酸マグネシウムを含むか、又はそれらからなる。一実施形態では、医薬組成物は、15~25wt%のGDL;20~30wt%のNaG;45~65wt%のHPMC;0.25~1.25wt%のシリカ;及び0.5~1.5wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又はそれらからなる。一実施形態では、上記医薬組成物は、約20wt%のGDL;24.1wt%のNaG;54.4wt%のHPMC;0.5wt%のシリカ;及び1wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる。
【0053】
さらに別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、GDL、グルコン酸塩、HPMC、MCC、シリカ及びステアリン酸マグネシウムを含むか、又はそれらからなる。一実施形態では、医薬組成物は、15~25wt%のGDL;20~30wt%のNaG;25~40wt%のHPMC;10~30wt%のMCC;0.25~1.25wt%のシリカ;及び0.5~1.5wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又はそれらからなる。一実施形態では、上記医薬組成物は、約20wt%のGDL;24.1wt%のNaG;30wt%のHPMC;24.4wt%のMCC;0.5wt%のシリカ;及び1wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる。
【0054】
さらに別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、GDL、グルコン酸塩、HPMC、MCC、デンプン、シリカ及びステアリン酸マグネシウムを含むか、又はそれらからなる。一実施形態では、医薬組成物は、10~25wt%のGDL;10~30wt%のNaG;5~40wt%のHPMC;10~45wt%のMCC;10~20wt%のデンプン;0.25~1.25wt%のシリカ;及び0.5~1.5wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又はそれらからなる。一実施形態では、医薬組成物は、10~20wt%のGDL;10~25wt%のNaG;5~25wt%のHPMC;15~45wt%のMCC;10~20wt%のデンプン;0.25~1.25wt%のシリカ;及び0.5~1.5wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又はそれらからなる。一実施形態では、上記医薬組成物は、約15wt%のGDL;18.4wt%のNaG;15wt%のHPMC;36wt%のMCC;14.25wt%のデンプン;0.38wt%のシリカ;及び1.0wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる。一実施形態では、上記医薬組成物は、約15wt%のGDL;18.4wt%のNaG;20wt%のHPMC;31.25wt%のMCC;14.25wt%のデンプン;0.38wt%のシリカ;及び0.75wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる。一実施形態では、上記医薬組成物は、約15wt%のGDL;18.4wt%のNaG;10wt%のHPMC;41.25wt%のMCC;14.25wt%のデンプン;0.38wt%のシリカ;及び0.75wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる。一実施形態では、上記HPMCは、100mPasの粘度型である。
【0055】
一実施形態では、医薬組成物は、ミコナゾール、テルコナゾール、イソコナゾール、フェンチコナゾール、フルコナゾール、ナイスタチン、ケトコナゾール、クロトリマゾール、ブトコナゾール、エコナゾール、チオコナゾール、イトラコナゾール、5-フルオロウラシル(5-fluoracil)、及びメトロニダゾールからなる群から選択される抗真菌剤などの、さらなる抗真菌剤を含まない。
【0056】
剤形の物理的性質
一実施形態では、医薬組成物は、固体剤形、例えば、錠剤などの剤形の形態である。一実施形態では、剤形の質量は、少なくとも0.5g、少なくとも0.7gなど、少なくとも0.85gなど、少なくとも1.0gなど、少なくとも1.25gなど、少なくとも1.4gなどである。一実施形態では、剤形の質量は、2.0g以下、1.75g以下など、1.5g以下など、1.0g以下など、0.9g以下などである。一実施形態では、剤形の質量は、0.7~1.75gの範囲など、1.4~1.6gの範囲などの、0.5~2.0gの範囲にある。一実施形態では、剤形の質量は、約1.5gである。一実施形態では、剤形の質量は、0.5~1.25gの範囲など、0.7~1.0gの範囲などの、0.5~2.0gの範囲にある。一実施形態では、剤形の質量は、約0.85gである。一実施形態では、剤形の質量は、約1.0gである。
【0057】
一実施形態では、剤形は、弾丸状である。
【0058】
一実施形態では、剤形は、少なくとも5mm、少なくとも7mmなど、少なくとも9mmなど、少なくとも10mmなどの幅を有する。一実施形態では、剤形は、15mm以下、12mm以下など、11mm以下など、10mm以下などの幅を有する。一実施形態では、剤形は、8.5~11mmの範囲など、10~10.5mmなどの、8~12mmの範囲の幅を有する。一実施形態では、剤形は、8.0~10mmの範囲など、8.5~9.5mmなどの、7.0~12mmの範囲の幅を有する。一実施形態では、剤形は、10~10.5mm又は8.5~9.5mmの範囲の幅を有する。
【0059】
一実施形態では、剤形は、少なくとも10mm、少なくとも15mmなど、少なくとも20mmなどの長さを有する。一実施形態では、剤形は、30mm以下、25mm以下など、20mm以下などの長さを有する。一実施形態は、剤形は、15~20mmの範囲など、16~18mmの範囲などの、10~30mmの範囲の長さを有する。一実施形態では、剤形は、22~27mmの範囲、24~25mmの範囲などの、10~30mmの範囲の長さを有する。一実施形態では、剤形は、16~18mm又は24~25mmの範囲の長さを有する。
【0060】
一実施形態では、剤形は、10~10.5mmの範囲の幅及び24~25mmの長さを有する。別の実施形態では、剤形は、8.5~9.5mmの範囲の幅及び16~18mmの長さを有する。別の実施形態では、剤形は、10.0~10.5mmの範囲の幅及び16~18mmの長さを有する。
【0061】
一実施形態では、剤形中のGDLの量は、100~400mgなど、250~350mgなど、約300mg又は約150mgなどの、50~500mgである。
【0062】
一実施形態では、医薬組成物の破断力は、5~15kp又は15~25kpなどの、5~25kpの範囲にある。
【0063】
一実施形態では、医薬組成物の不安定さは、0.01~0.5%など、0.2~0.5%などの、0.01~1%の範囲にある。
【0064】
本明細書の実施例11で実証されるように、本明細書に開示される医薬組成物は、25℃及び40℃で少なくとも6ヶ月間安定である。一実施形態では、医薬組成物は、25℃で少なくとも6ヶ月間、40℃で少なくとも6ヶ月などの間安定である。
【0065】
キットオブパーツ
一態様では、本発明は、本明細書に開示される医薬組成物及びアプリケーターを含むキットオブパーツに関する。一実施形態では、キットオブパーツは、指示書をさらに含む。
【0066】
医療用途
一態様では、本発明の医薬組成物は、医薬として用いるためのものである。さらなる態様では、医薬組成物は、微生物感染症の治療において使用するためのものである。本明細書で使用する用語「治療」は、1以上の徴候の治療、予防及び/又は緩和を指す。
【0067】
実施例13及び14で実証されるように、本明細書に開示される医薬組成物は、膣粘膜に刺激作用を起こさず、感作として特定される応答を起こさない。本明細書に開示される医薬組成物は、医療用途に適している。
【0068】
いくつかの実施形態では、微生物感染は、膣泌尿生殖器感染症である。好ましい実施形態では、上記微生物感染は、膣感染である。一実施形態では、上記微生物感染は、真菌感染症、細菌感染症並びに真菌と細菌の混合感染からなる群から選択される。一実施形態では、上記微生物感染は、世界保健機関による疾患及び関連保健問題の国際統計分類の第10改訂版(ICD-10)のB37.3に分類されるような膣カンジダ症である。膣カンジダ症は、カンジダ種の存在によって特徴付けられ、カンジダ・アルビカンスが最も頻度が高い。GDLは、前臨床試験において、菌糸に存在するカンジダ・アルビカンス、すなわち、病原性形態の有意な減少を生じさせることが示されている[WO2017/174731]。この菌糸形態は、組織に侵入し、膣の上皮細胞を破壊する細胞傷害性ペプチド毒素であるカンジダリシンによって媒介される炎症を誘導し、バイオフィルム、すなわち、細胞壁に結合する病原体及び他の病原体細胞の複雑な三次元構造を形成する能力を有する。バイオフィルム形成は外陰部膣カンジダ症に必要であること、およびカンジダ・アルビカンス及び他のカンジダ種におけるバイオフィルム形成はGDLによって有意に低下され得ることが示されている。
【0069】
いくつかの実施形態では、上記微生物感染症は、真菌感染症である。一実施形態では、上記真菌感染症は、真菌症であり、そのような真菌症はカンジダ症である。一実施形態では、上記カンジダ症は、外陰部及び膣のカンジダ症又は泌尿生殖器部位のカンジダ症である。一実施形態では、上記真菌感染症は、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・クルセイ、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・トロピカリス、トリコフィトン・ベルコーサム、トリコフィトン・ルブルム、トリコフィトン・ビオラセウム、トリコフィトン・トンズランス、ミクロスポルム・カニス、マラセチア及び/又はアスペルギルスによって引き起こされる。
【0070】
いくつかの実施形態では、上記微生物感染症は、細菌感染症である。前臨床試験において、GDLは、細菌感染症の治療に有用であることが実証された[WO2019/068862]。一実施形態では、細菌感染症は、細菌性膣炎である。一実施形態では、上記細菌感染症は、ガードネレラ・バギナリス、クラミジア・トラコマティス、淋菌、トレポネーマ・パリダム(梅毒)、アトポビウム・バジナ(Atopobium vaginae)、プレボテラ種、モビルンカス種、ペプトストレプトコッカス種、ポルフィロモンス属、マイコプラズマ・ホミニス、バクテロイデス種、ウレアプラズマ・ウレアリチカム、連鎖球菌、腸内細菌科、腸球菌、ブドウ球菌、プロピオニバクテリウム、大腸菌、クレブシエラ、表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、アシネトバクター・バウマンニ(Acetinobacter baumanii)、化膿性連鎖球菌、ストレプトコッカス・アガラクチア、β溶血連鎖球菌群C及びG並びに/又はポルフィロモナス・ジンジバリスによって引き起こされる。
【0071】
一実施形態では、上記感染症は、哺乳動物における感染症である。一実施形態では、上記哺乳動物は、ヒトである。好ましくは、上記哺乳動物は、女性である。一実施形態では、上記女性は、妊娠している。いくつかの実施形態では、上記妊娠は、低リスクである。いくつかの実施形態では、上記妊娠は、高リスクである。一実施形態では、上記高リスク妊娠は、前の早産、短い子宮頸長、バイオマーカーの存在又はその他の徴候によって定義される、早産のリスクの対象である。
【0072】
膣微生物感染症の治療での使用時に、医薬組成物は、pH低下及びバイオフィルム阻害作用を有する。
【0073】
製造方法
一態様では、本発明は、本明細書で定義される医薬組成物を製造する方法に関し、方法は、
a.GDL、グルコン酸塩(NaGなど)、HPMCをふるいにかける工程;
b.aのふるった成分を混合する工程;及び
c.bの粉末混合物を錠剤に圧縮する工程
を含む。
【0074】
一実施形態では、上記方法は、工程aのふるった成分とふるったシリカを混合する工程、及び工程bで生成された混合物の一部と事前に混合される滑剤を添加する工程をさらに含み、すなわち方法は、
a.GDL、グルコン酸塩(NaGなど)、HPMCをふるいにかける工程;
b.aのふるった成分とふるったシリカを混合する工程;
c.bの混合物の一部と滑剤を混合する工程;
d.cの混合物をbの残りの混合物に添加し、混合する工程;及び
e.形成されたdの粉末混合物を錠剤に圧縮する工程
を含む。
【0075】
重要なことに、滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムは、長い混合時間が錠剤の特性に悪影響を及ぼしたので、他の成分よりも後の段階で添加される。
【0076】
一実施形態では、形成された錠剤に対する破断力は、少なくとも10kpである。
【0077】
一実施形態では、錠剤は、10.3×24.45mmパンチ/ダイセットで直接圧縮することによって生成される。
【0078】
一実施形態では、形成された錠剤は、9~11mmの範囲など、10~10.5mmなどの、8~12mmの範囲の幅、及び20~30mmの範囲など、22~27mmの範囲など、24~25mmの範囲などの、15~30mmの範囲の長さを有する弾丸状である。一実施形態では、形成された錠剤は、約1.5gの質量を有する。一実施形態では、形成された錠剤は、9~13mmの範囲の幅、17~19mmの範囲の長さ、及び約1.0gの質量を有する弾丸状である。
【0079】
条項
1.a.グルコノ-δ-ラクトン(GDL);及び
b.ヒプロメロース(HPMC)
を含む医薬組成物。
2.医薬組成物が、
a.グルコノ-δ-ラクトン(GDL);
b.グルコン酸塩;及び
c.ヒプロメロース(HPMC)
を含む、条項1に記載の医薬組成物。
3.グルコン酸塩が、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸カルシウム、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸鉄(II)、グルコン酸銅(II)、及びグルコン酸亜鉛からなる群から選択される、条項2に記載の医薬組成物。
4.グルコン酸塩が、グルコン酸ナトリウム(NaG)である、条項2に記載の医薬組成物。
5.医薬組成物が、
a.グルコノ-δ-ラクトン(GDL);
b.グルコン酸ナトリウム(NaG);及び
c.ヒプロメロース(HPMC)
を含む、条項2及び4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
6.医薬組成物が、固体組成物である、条項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
7.医薬組成物が、膣投与用である、条項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
8.GDLが、生体内で少なくとも6時間、生体内で少なくとも12時間など、少なくとも18時間など、少なくとも24時間など、少なくとも36時間など、少なくとも42時間などの間放出される、条項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
9.GDLが、生体内で少なくとも24時間、少なくとも36時間などの間放出される、条項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
10.GDLが、生体内で72時間以下、48時間以下などの間放出される、条項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
11.医薬組成物が、医薬剤形の形態である、条項1~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
12.医薬組成物が、錠剤である、条項1~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
13.錠剤の質量が、少なくとも0.5g、少なくとも0.7gなど、少なくとも0.85g、少なくとも1.0gなど、少なくとも1.25gなど、少なくとも1.4gなどである、条項12に記載の医薬組成物。
14.錠剤の質量が、2.0g以下、1.75g以下など、1.5g以下など、1.0g以下など、0.9g以下などである、条項12~13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
15.錠剤の質量が、0.7~1.75gの範囲など、1.4~1.6gの範囲など、約1.5gなどの、0.5~2.0gの範囲である、条項12に記載の医薬組成物。
16.錠剤の質量が、0.5~1.25gの範囲など、0.7~1.0gの範囲など、約0.85gなどの、0.5~2.0gの範囲である、条項12に記載の医薬組成物。
17.錠剤が、弾丸状である、条項12~16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
18.錠剤が、少なくとも5mm、少なくとも7mmなど、少なくとも9mmなど、少なくとも10mmなどの幅を有する、条項12~17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
19.錠剤が、15mm以下、12mm以下など、11mm以下など、10mm以下などの幅を有する、条項12~18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
20.錠剤が、8.5~11mmの範囲など、10~10.5mmなどの、8~12mmの範囲の幅を有する、条項12~17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
21.錠剤が、8.0~10mmの範囲、8.5~9.5mmなどの、7.0~12mmの範囲の幅を有する、条項12~17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
22.錠剤が、少なくとも10mm、少なくとも15mmなど、少なくとも20mmなどの長さを有する、条項12~21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
23.錠剤が、30mm以下、25mm以下など、20mm以下などの長さを有する、条項12~22のいずれか一項に記載の医薬組成物。
24.錠剤が、15~20mmの範囲など、16~18mmの範囲などの、10~30mmの範囲の長さを有する、条項12~21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
25.錠剤が、22~27mmの範囲など、24~25mmの範囲などの、10~30mmの範囲の長さを有する、条項12~21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
26.GDLの量が、100~400mgなど、250~350mgなど、約300mgなどの、50~500mgである、条項1~25のいずれか一項に記載の医薬組成物。
27.組成物が、少なくとも5wt%のGDL、少なくとも10wt%など、少なくとも15wt%など、少なくとも20wt%などのGDLを含む、条項1~26のいずれか一項に記載の医薬組成物。
28.組成物が、50wt%以下のGDL、40wt%以下など、35wt%以下など、30wt%以下など、25wt%以下など、20%wt%以下などのGDLを含む、条項1~27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
29.組成物が、15~25wt%のGDLなど、約20wt%のGDLなどの、10~30wt%の範囲のGDLを含む、条項1~28のいずれか一項に記載の医薬組成物。
30.組成物が、10wt%のNaG、少なくとも15wt%のNaGのなど、少なくとも20wt%などのNaGの等モル濃度に相当する少なくとも濃度でグルコン酸塩を含む、条項1~29のいずれか一項に記載の医薬組成物。
31.組成物が、少なくとも10wt%のNaG、少なくとも15wt%などのNaG、少なくとも20wt%などのNaGを含む、条項1~30のいずれか一項に記載の医薬組成物。
32.組成物が、30wt%以下のNaG、25wt%以下など、20wt%以下などのNaGを含む、条項1~31のいずれか一項に記載の医薬組成物。
33.組成物が、15~25wt%など、20~25wt%など、24~25wt%のNaGなどの、10~30wt%の範囲のNaGを含む、条項1~32のいずれか一項に記載の医薬組成物。
34.GDLとグルコン酸塩のモル比が、2:1~1:2、3:2~2:3など、約1:1などである、条項1~33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
35.GDLとNaGのモル比が、2:1~1:2、3:2~2:3など、約1:1などである、条項1~34のいずれか一項に記載の医薬組成物。
36.HPMCが、HPMC置換タイプ2208、2910、1828及び2906からなる群から選択される、条項1~35のいずれか一項に記載の医薬組成物。
37.HPMCが、置換型2208又は2910である、条項1~36のいずれか一項に記載の医薬組成物。
38.HPMCが、少なくとも10mPas、少なくとも15mPasなど、少なくとも20mPasなど、少なくとも25mPasなど、少なくとも30mPasなど、少なくとも35mPasなど、少なくとも40mPasなど、少なくとも45mPasなど、少なくとも50mPasなど、少なくとも55mPasなど、少なくとも60mPasなど、少なくとも65mPasなど、少なくとも70mPasなど、少なくとも75mPasなどの粘度を有する、条項1~37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
39.HPMCが、400.000mPas以下、300.000mPas以下など、200.000mPas以下など、150.000mPas以下など、100.000mPas以下など、50.000mPas以下など、10.000mPas以下など、1.000mPas以下など、500mPas以下など、250mPas以下などの粘度を有する、条項1~38のいずれか一項に記載の医薬組成物。
40.HPMCが、約100mPasなどの、50~200mPasの範囲の粘度を有する、条項1~39のいずれか一項に記載の医薬組成物。
41.HPMCが、約100.000mPasなどの、50.000mPas~200.000mPasの範囲の粘度を有する、条項1~40のいずれか一項に記載の医薬組成物。
42.組成物が、少なくとも5wt%のHPMC、少なくとも10wt%など、少なくとも10wt%など、少なくとも15wt%など、少なくとも20wt%など、少なくとも25wt%など、少なくとも30wt%など、少なくとも35wt%など、少なくとも40wt%など、少なくとも45wt%など、少なくとも50wt%などのHPMCを含む、条項1~41のいずれか一項に記載の医薬組成物。
43.組成物が、60wt%以下のHPMC、55wt%以下など、50wt%以下など、45wt%以下など、45wt%以下など、40wt%以下など、35wt%以下など、30wt%以下など、25wt%以下など、20wt%以下など、15wt%以下など、10wt%以下などのHPMCを含む、条項1~42のいずれか一項に記載の医薬組成物。
44.組成物が、15~40wt%など、20~35wt%のHPMCなどの、5~60wt%の範囲のHPMCを含む、条項1~43のいずれか一項に記載の医薬組成物。
45.組成物が、シリカをさらに含む、条項1~44のいずれか一項に記載の医薬組成物。
46.シリカが、コロイド無水シリカ、コロイド二酸化シリコーン、コロイド水和シリカ及び疎水性コロイドシリカからなる群から選択される、条項45に記載の医薬組成物。
47.組成物が、0.1~5wt%のシリカ、0.1~2wt%などの範囲、約0.5wt%などのシリカを含む、条項45~46のいずれか一項に記載の医薬組成物。
48.組成物が、滑剤をさらに含む、条項1~47のいずれか一項に記載の医薬組成物。
49.滑剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、パルミチン酸スクロース及びステアリン酸スクロースからなる群から選択される、条項48に記載の医薬組成物。
50.滑剤が、ステアリン酸マグネシウムである、条項48~49のいずれか一項に記載の医薬組成物。
51.組成物が、0.1~2wt%など、0.70~1.3wt%など、約1wt%の滑剤などの、0.1~5wt%の滑剤を含む、条項48~50のいずれか一項に記載の医薬組成物。
52.組成物が、デンプンをさらに含む、条項1~51のいずれか一項に記載の医薬組成物。
53.デンプンが、アルファ化デンプンである、条項52に記載の医薬組成物。
54.組成物が、少なくとも10wt%のデンプン、少なくとも15wt%など、少なくとも20wt%など、少なくとも30wt%など、少なくとも40wt%などを含む、条項1~53のいずれか一項に記載の医薬組成物。
55.組成物が、45wt%以下のデンプン、40wt%以下など、35wt%以下など、30wt%以下など、25wt%以下など、20wt%以下などを含む、条項1~54のいずれか一項に記載の医薬組成物。
56.組成物が、10~30wt%など、15~25wt%など、10~20wt%のデンプンなどの、10~50wt%のデンプンを含む、条項1~55のいずれか一項に記載の医薬組成物。
57.組成物が、セルロースをさらに含む、条項1~56のいずれか一項に記載の医薬組成物。
58.セルロースが、微結晶セルロース(MCC)、シリコン化微結晶セルロース及び粉末セルロースからなる群から選択される、条項57に記載の医薬組成物。
59.セルロースが、MCCである、条項57~58のいずれか一項に記載の医薬組成物。
60.MCCが、少なくとも20μm、少なくとも50μmなど、少なくとも75μmなど、少なくとも100μmなど、少なくとも125μmなど、少なくとも140μmなど、少なくとも150μmなど、少なくとも160μmなどの公称粒径を有する、条項59に記載の医薬組成物。
61.MCCが、200μm以下、190μm以下など、180μm以下など、170μm以下など、160μm以下などの公称粒径を有する、条項59~60のいずれか一項に記載の医薬組成物。
62.MCCが、約150~約180μmなどの、140~200μmの範囲の公称粒径を有する、条項59~61のいずれか一項に記載の医薬組成物。
63.組成物が、少なくとも20wt%のセルロース、少なくとも30wt%mなど、少なくとも40wt%など、少なくとも50wt%などのセルロースを含む、条項57~62のいずれか一項に記載の医薬組成物。
64.組成物が、60wt%以下のセルロース、50wt%以下など、40wt%以下など、30wt%以下などのセルロースを含む、条項57~63のいずれか一項に記載の医薬組成物。
65.組成物が、20~30wt%など、30~40wt%など又は50~60wt%のセルロースなどの、20~60wt%のセルロースを含む、条項57~62のいずれか一項に記載の医薬組成物。
66.組成物が、ラクトース又は糖アルコールをさらに含む、条項1~65のいずれか一項に記載の医薬組成物。
67.ラクトースが、α-ラクトースである、条項66に記載の医薬組成物。
68.ラクトースが、一水和物の形態である、条項66~67のいずれか一項に記載の医薬組成物。
69.糖アルコールが、マンニトールである、条項66に記載の医薬組成物。
70.組成物が、50~60wt%のラクトース又は糖アルコールなどの、40~70wt%の範囲のラクトース又は糖アルコールを含む、条項66~69のいずれか一項に記載の医薬組成物。
71.組成物が、GDL、グルコン酸塩、HPMC、デンプン、シリカ及びステアリン酸マグネシウムを含むか、又はそれらからなる、条項1~70のいずれか一項に記載の医薬組成物。
72.組成物が、10~25wt%のGDL;15~30wt%のNaG;30~40wt%のHPMC;15~45wt%のデンプン;0.25~1.25wt%のシリカ;及び0.5~1.5wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又はそれらからなる、条項1~71のいずれか一項に記載の医薬組成物。
73.組成物が、15~25wt%のGDL;20~30wt%のNaG;30~40wt%のHPMC;15~25wt%のデンプン;0.25~1.25wt%のシリカ;及び0.5~1.5wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又はそれらからなる、条項1~72のいずれか一項に記載の医薬組成物。
74.組成物が、約20wt%のGDL;24.5wt%のNaG;35wt%のHPMC;19wt%のデンプン;0.5wt%のシリカ;及び1wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる、条項1~73のいずれか一項に記載の医薬組成物。
75.HPMCが、粘度型100.000mPasである、条項74に記載の医薬組成物。
76.HPMCが、2208の置換の程度を有する、条項74~75のいずれか一項に記載の医薬組成物。
77.組成物が、約20wt%のGDL;24.1wt%のNaG;30wt%のHPMC;24.4wt%のデンプン;0.5wt%のシリカ;及び1wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる、条項1~76のいずれか一項に記載の医薬組成物。
78.組成物が、約20wt%のGDL;24.1wt%のNaG;35wt%のHPMC;19.4wt%のデンプン;0.5wt%のシリカ;及び1wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる、条項1~77のいずれか一項に記載の医薬組成物。
79.組成物が、約20wt%のGDL;24.5wt%のNaG;35wt%のHPMC;19wt%のデンプン;0.5wt%のシリカ;及び1wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる、条項1~78のいずれか一項に記載の医薬組成物。
80.組成物が、約20wt%のGDL;24.5wt%のNaG;35wt%のHPMC;19.25wt%のデンプン;0.5wt%のシリカ;及び0.75wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる、条項1~79のいずれか一項に記載の医薬組成物。
81.組成物が、約20wt%のGDL;24.5wt%のNaG;35wt%のHPMC;18.75wt%のデンプン;0.5wt%のシリカ;及び1.25wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる、条項1~80のいずれか一項に記載の医薬組成物。
82.組成物が、約20wt%のGDL;24.5wt%のNaG;35wt%のHPMC;19wt%のデンプン;0.5wt%のシリカ;及び1wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる、条項1のいずれか一項に記載の医薬組成物。
83.組成物が、約10wt%のGDL;12.25wt%のNaG;35wt%のHPMC;41.5wt%のデンプン;0.5wt%のシリカ;及び1.25wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる、条項1~82のいずれか一項に記載の医薬組成物。
84.組成物が、約10wt%のGDL;12.25wt%のNaG;35wt%のHPMC;41.5wt%のデンプン;0.5wt%のシリカ;及び0.75wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる、条項1~83のいずれか一項に記載の医薬組成物。
85.組成物が、約15wt%のGDL;18.375wt%のNaG;35wt%のHPMC;30.125wt%のデンプン;0.5wt%のシリカ;及び1wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる、条項1~84のいずれか一項に記載の医薬組成物。
86.組成物が、15~25wt%のGDL;20~30wt%のNaG;45~65wt%のHPMC;0.25~1.25wt%のシリカ;及び0.5~1.5wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる、条項1~85のいずれか一項に記載の医薬組成物。
87.組成物が、約20wt%のGDL;24.1wt%のNaG;54.4wt%のHPMC;0.5wt%のシリカ;及び1wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる、条項1~86のいずれか一項に記載の医薬組成物。
88.組成物が、15~25wt%のGDL;20~30wt%のNaG;25~40wt%のHPMC;10~30wt%のMCC;0.25~1.25wt%のシリカ;及び0.5~1.5wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又はそれらからなる、条項1~87のいずれか一項に記載の医薬組成物。
89.組成物が、約20wt%のGDL;24.1wt%のNaG;30wt%のHPMC;24.4wt%のMCC;0.5wt%のシリカ;及び1wt%のステアリン酸マグネシウムを含むか、又は基本的にそれらからなる、条項1~88のいずれか一項に記載の医薬組成物。
90.成分の合計が100wt%を超えないという条件である、条項1~89のいずれか一項に記載の医薬組成物。
91.医薬組成物が、25℃で少なくとも6ヶ月間、又は40℃で少なくとも6ヶ月間安定である、条項1~90のいずれか一項に記載の医薬組成物。
92.組成物が、さらなる抗真菌剤を含まない、条項1~91のいずれか一項に記載の医薬組成物。
93.抗真菌剤が、ミコナゾール、テルコナゾール、イソコナゾール、フェンチコナゾール、フルコナゾール、ナイスタチン、ケトコナゾール、クロトリマゾール、ブトコナゾール、エコナゾール、チオコナゾール、イトラコナゾール、5-フルオロウラシル(5-fluoracil)、及びメトロニダゾールからなる群から選択される、条項92に記載の医薬組成物。
94.医薬品としての使用のための条項1~93のいずれか一項に記載の医薬組成物。
95.微生物感染症の治療での使用のための、条項1~94のいずれか一項に記載の医薬組成物。
96.微生物感染症が、泌尿生殖器感染症である、条項95に記載の使用のための医薬組成物。
97.微生物感染症が、膣感染症である、条項95~96のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
98.微生物感染症が、真菌感染症、細菌感染症並びに真菌と細菌の混合感染からなる群から選択される、条項95~97のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
99.真菌感染症が、真菌症である、条項95~98のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
100.真菌症が、カンジダ症である、条項99に記載の使用のための医薬組成物。
101.カンジダ症が、外陰部及び膣のカンジダ症又は泌尿生殖器部位のカンジダ症である、条項100に記載の使用のための医薬組成物。
102.細菌感染症が、細菌性膣炎である、条項98に記載の使用のための医薬組成物。
103.真菌感染症が、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・クルセイ、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・トロピカリス、トリコフィトン・ベルコーサム、トリコフィトン・ルブルム、トリコフィトン・ビオラセウム、トリコフィトン・トンズランス、ミクロスポルム・カニス、マラセチア及び/又はアスペルギルスからなる群から選択される病原体によって引き起こされる、条項98に記載の使用のための医薬組成物。
104.細菌感染症が、ガードネレラ・バギナリス、クラミジア・トラコマティス、淋菌、トレポネーマ・パリダム(梅毒)、アトポビウム・バジナ(Atopobium vaginae)、プレボテラ種、モビルンカス種、ペプトストレプトコッカス種、ポルフィロモンス属、マイコプラズマ・ホミニス、バクテロイデス種、ウレアプラズマ・ウレアリチカム、連鎖球菌、腸内細菌科、腸球菌、ブドウ球菌、プロピオニバクテリウム、大腸菌、クレブシエラ、表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、アシネトバクター・バウマンニ(Acetinobacter baumanii)、化膿性連鎖球菌、ストレプトコッカス・アガラクチア、β溶血連鎖球菌群C及びG並びに/又はポルフィロモナス・ジンジバリスからなる群から選択される病原体によって引き起こされる、条項98に記載の使用のための医薬組成物。
105.感染症が、哺乳動物における感染症である、条項95~103のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
106.哺乳動物が、ヒトである、条項95~104のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
107.哺乳動物が、女性である、条項95~106のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
108.女性が、妊娠している、条項95~107のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
109.a.GDL、グルコン酸塩、HPMCをふるいにかける工程;
b.aのふるった成分を混合する工程;及び
c.bの粉末混合物を錠剤に圧縮する工程
を含む、条項1~88のいずれか一項に記載の医薬組成物を製造するための方法。
110.
a.GDL、グルコン酸塩、HPMCをふるいにかける工程;
b.aのふるった成分とふるったシリカを混合する工程;
c.bの混合物の一部と滑剤を混合する工程;
d.cの混合物をbの残りの混合物に添加し、混合する工程;及び
e.形成された109.b.の粉末混合物を錠剤に圧縮する工程
を含む、請求項109に記載の方法。
111.形成された錠剤に対する破断力が、少なくとも10kpである、条項109~110のいずれか一項に記載の方法。
112.錠剤が、8~12mmの範囲、9~11mmの範囲など、10~10.5mmなどの幅、及び15~30mmの範囲、17~19mmなど又は20~30mmなどの範囲、22~27mmの範囲など、24~25mmの範囲などの長さの弾丸状である、条項109~111のいずれか一項に記載の方法。
113.錠剤形成工程が、10.3×24.45mmパンチ/ダイセットで圧縮することによって行われる、条項109~112のいずれか一項に記載の方法。
114.微生物感染症の治療のための方法であって、それを必要とする対象に、条項1~88のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
115.微生物感染症の治療のための医薬の製造における、条項1~88のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【0080】
実施例
実施例1:設計の極限点に基づく製剤
製剤の組成を表1に提供する。得られた錠剤重量が不明であったので、組成物を単にパーセンテージとして与える。目標の錠剤重量は約0.85gであり、錠剤重量が全てのバッチについて類似であるようにした。
【0081】
表1.設計の極限点に基づく製剤。バッチサイズは20~100gであった。
【表1】
【0082】
混合を、適切な容積のガラス容器のTurbula T2F(タンブリングミキサー)中で行った。まず、GDL、NaG、HPMC、ラクト及びMCCを、混合する前に1.00mmのスクリーンを通してふるいにかけた。その後、シリカを、ビニール袋内で振盪し1.00mmのスクリーンを通してふるいにかけることにより、同様の量のHPMCと事前に混合し、ミキサー容器中でMgStを除く他の粉末に添加した。混合を、32rpmで8分間行った。滑剤(MgSt)を、同様の量の8分粉末混合物と事前に混合し、1.00mmを通してふるいにかけ、8分粉末混合物の残りに加え、22rpmで2分間混合した。製剤Dは例外であり、乳棒を用いて乳鉢内で混合した。
【0083】
粉末混合物を、同じ充填量で回転錠剤プレス(Fette 52i)9×17mmパンチ/ダイ中で、錠剤に圧縮した。製剤の密度が異なったので、0.75~0.97gの重量を、2~13kNの圧縮力(約100~110MPaに相当する)で得た。
【0084】
この溶解データを、表2にまとめた。溶解試験を、パドル装置(装置2、Ph.Eur.)を用いて、37℃で、50mMの酢酸緩衝液(pH4.0)500mL中、50rpmで行った。GDL及びNaGの含量を、HPLCによって決定し、GDLとして表した。正規化を行った。すなわち、24又は48時間後(レベルに達したとき)に100%溶解したと想定し、実際の24時間又は48時間の値に基づいて前の時点で溶解した割合の計算を行った。
【0085】
表2.正規化した溶解データ、48時間
【表2】
【0086】
溶解試験は、20%のGDL及び低粘度の20%のHPMCを用いた製剤D及び製剤Fからの溶解が、製剤G及びH(20%のGDL及び24.1%のNaG、30%のHPMC K4M又はK200M、及び充填剤としてMCCを用いた)と比較して急速であったことを示した。製剤Dが水溶性充填剤(Lact)を含み、製剤Fが水不溶性充填剤に含んでいたことが観察される。HPMCの粘度が大きく異なる製剤G及びHは、同様の溶解プロファイルをもたらした。
【0087】
HPMCの高粘性は一般に固形経口剤形の溶解速度を低下させるので、高粘性のHPMCの種類を、約48時間の生体内放出時間を目的とするさらなる製剤研究のために選択した。製剤Hは、実施例2の原型であった。
【0088】
実施例2:異なる割合のHPMCとデンプンに基づく製剤
表3の製剤のバッチサイズは、製剤Hに基づき500gであった。
【0089】
表3.g又は%(括弧内)での、異なる割合のヒプロメロースとデンプンに基づく3つの製剤の完全な組成
【表3】
【0090】
混合を、Turbula T2F2Lのガラス容器中で行った。まず、GDL、NaG、HPMC及びデンプンを、混合する前に1.00mmのスクリーンを通してふるいにかけた。その後、シリカを、ビニール袋内で振盪し1.00mmスクリーンを通してふるいにかけることにより、同様の量のHPMCと事前に混合し、ミキサー容器中で他の4種類の粉末に添加した。混合を、32rpmで8分間行った。滑剤(MgSt)を、同様の量の8分粉末混合物と事前に混合し、1.00mmを通してふるいにかけ、8分粉末混合物の残りに加え、22rpmで2分間混合した。粉末混合物を、パンチ/ダイ9×17mmの2セットで、Fette 52iで錠剤に圧縮した。バッチの錠剤重量は、約0.85gと類似するものであった。
【0091】
錠剤の技術特性を、表4に表示する。粉砕性を、欧州薬局方2.9.7.コートされていない錠剤の粉砕性に従って試験した。平均重量は、製剤の嵩密度の影響を受けたが、実際の圧縮力で圧縮された錠剤に関する技術的特性は、許容可能であった。
【0092】
表4.実際の圧縮力での錠剤の技術的特性
【表4】
【0093】
溶解データを、表5にまとめる。溶解試験を、実施例1と同様に行った。
【0094】
表5.正規化した溶解データ、24時間
【表5】
【0095】
製剤H(表3)に基づく製剤Iは、MCCをデンプンに置き換えたが、製剤K(デンプンを含まない)と比較して溶解速度のわずかな低下を示した(表5)。製剤Kは、他の2つの製剤よりも劣る流れを示した。
【0096】
実施例3:低粘度HPMCの影響に基づく製剤
製剤における低粘度HPMCの影響を、2つの製剤で研究した。バッチサイズは、600gの粉末混合物であった。
【0097】
表6.g及び割合(括弧内)での製剤
【表6】
【0098】
混合を、Turbula T2F2Lのガラス容器中で行った。まず、GDL、NaG、HPMC及びデンプンを、混合する前に1.00mmのスクリーンを通してふるいにかけた。その後、シリカを、ビニール袋内で振盪し1.00mmのスクリーンを通してふるいにかけることにより、同様の量のHPMCと事前に混合し、ミキサー容器中で他の4種類の粉末に添加した。混合を、32rpmで8分間行った。
【0099】
滑剤(MgSt)を、同様の量の8分粉末混合物と事前に混合し、1.00mmを通してふるいにかけ、8分粉末混合物の残りに加え、22rpmで2分間混合した。
【0100】
粉末混合物を、パンチ/ダイ9×17mmの2セットで、Fette 52iで錠剤に圧縮した。錠剤重量は、両方のバッチについて約0.85gで類似であるようにした。主な圧縮力の設定値は、18kNであった。
【0101】
溶解試験を、実施例1と同様に行った。技術特性を、実施例2に記載したとおりに決定した。
【0102】
表7.正規化した溶解データ
【表7】
表8.技術特性
【表8】
【0103】
製剤L(15mPas粘度の種類のHPMC)は、許容可能な技術的特性(破断力及び粉砕性)の錠剤を得るために非常に高圧(32kN)で圧縮する必要があったが、溶解は急速であった(表7)。製剤M(100mPasの種類のHPMC)の溶解は、製剤Lよりも遅かったが、200 000mPasの種類のHPMCの製剤Jよりも速かった。製剤Mの技術的特性(破断力及び粉砕性)は、許容可能であった(表8)。そこで、低粘度の種類のHPMCを製剤に含める場合には、種類K100が選択される。
【0104】
実施例4:薬物物質の濃度の影響に基づく製剤
膣錠剤に対する薬物物質濃度(すなわち、GDL及びNaGの合計)、低粘度から高粘度のHPMCの割合、アルファ化デンプンの濃度、及び滑剤濃度の影響を、一部実施要因計画で検討した。使用した製剤を、表9に表示する。種類K100(100mPas)及びK100M(100000mPas)のヒプロメロースを、採用した。高粘度HPMC K200M(200 000mPas)を、K100Mに変えた。バッチサイズは、500gであった。
【0105】
表9.製剤N~Tの組成(%)
【表9】
【0106】
混合を、実施例3と同様の方法で行った。錠剤を、約0.8gの意図した重量で、18kN(約150MPaに相当する)の圧力で9×17mmの楕円形のパンチによる回転プレスで圧縮した。
【0107】
許容可能な技術的特性-破断力8.2~12.2kp、粉砕性0.28~0.44%、RSD 0.8~1.8%として表される投与単位の均一性、を有する錠剤が、全ての製剤について得られた。
【0108】
実施例1と同じ溶解試験の手順を用いたが、GDL及びNaGの含量を、UPLCによって決定し、GDLとして表した。
【0109】
溶解結果は類似していたが、低レベルの薬物物質、高レベルの高粘度HPMC、高レベルのデンプン及び高レベルの滑剤を有する製剤Nは、予想通りやや遅かった(表10)。
【0110】
表10.正規化した溶解結果、2~24時間
【表10】
【0111】
溶解プロファイル及び技術的特性を考慮して、製剤Pを、精製のために選択した。製剤Pの、わずかなものである滑剤及びデンプン濃度の変更を、製剤Cとして選択した(表11)。
【0112】
実施例5:溶解速度に対する圧縮力からの影響
製剤Cを、700gのバッチサイズで生成した。それ以外混合は、計画のバッチと同様であった。錠剤圧縮を、18~24kNで行った。
【0113】
表11.組成、%
【表11】
【0114】
錠剤の技術的特性は主に、一部実施要因計画において18kNに固定された圧縮力の影響を受ける。圧縮力の影響を、製剤P及びCについて別々に試験した。
【0115】
溶解速度に対する圧縮力からの影響を、製剤C及びPについて試験した。溶解試験を、実施例1に記載される同じ方法で実施した。
【0116】
表12.正規化した溶解データ、2~24時間
【表12】
【0117】
表12からのデータは、溶解が18~19kNで圧縮した製剤C及びPの錠剤について、並びに24kNで圧縮した製剤Cの錠剤について類似していたことを示す。錠剤の技術的特性は、許容可能であった。そのため、溶解は、許容可能な技術的な錠剤特性を与える通常の圧縮力により影響されなかった。
【0118】
実施例6:シングルパンチの錠剤機の10.3×24.5mmパンチ
約1.5gの重量を有する錠剤が望まれ、それは、利用可能な回転錠剤プレスで使用できなかった寸法でダイ/パンチセットを必要とした。10.3×24.5mmのパンチ/ダイセットを、シングルパンチ錠剤機用に調達した。この装置を、臨床試験及び安定性研究のための錠剤の生成に用いた。同時に、バッチサイズを1.8kgに増加させた(製剤A)。製剤Aのサイズ700gの粉末混合物のバッチを、製剤Aの前に10.3×24.5mmのツールで製造した。表13の溶解データは、10.3×24.5mmの弾丸形の錠剤の溶解プロファイルが9×17mmの楕円形錠剤と類似していたことを示す。
【0119】
表13.正規化した溶解データ
【表13】
【0120】
実施例7:生体適合性と安定性研究のための組成
製剤Aのバッチサイズは、1800gの粉末混合物であった。バッチの調合及び組成を、表14にまとめる。
【0121】
表14.製剤Aのバッチの調合及び組成(生体適合性と安定性研究)
【表14】
【0122】
混合を、Turbula T10B(タンブリングミキサー)、ステンレス鋼の6Lの容器で行った。GDL、NaG、HPMC及びデンプンを、1.00mmのスクリーンを通してふるいにかけた。シリカを、ビニール袋内で振盪し1.00mmスクリーンを通してふるいにかけることにより、同様の量のHPMCと事前に混合し、ミキサー容器中で他の4種類の粉末に添加した。混合を、32rpmで8分間行った。MgStを、同様の量の8分粉末混合物と事前に混合し、1.00mmを通してふるいにかけ、8分粉末混合物の残りに加え、23rpmで2分間混合した。
【0123】
粉末混合物を、Korsch EK-0(シングルパンチ錠剤プレス)で、弾丸状の10.3×24.5mmの錠剤に圧縮した。許容可能な粉砕性(0.3%)及び破断力(17~18kp)の1.5gの重量の錠剤が、得られた。
【0124】
溶解試験を、実施例2と同様に行った。溶解結果を、表15に提示する。
【0125】
表15.正規化した溶解データ、溶解した割合(%)
【表15】
【0126】
この実施例は、安定でかつ生体適合性であるGDL、NaG及びHPMCを含む錠剤の調製を実証する。
【0127】
実施例8:異なる充填剤に基づく製剤
HPMC粘度の影響、及び充填剤の種類を、一部実施要因計画で検討した。使用した製剤を、表16に表示する。
【0128】
表16.割合(%)での組成
【表16】
【0129】
錠剤の技術特性を、表17に表示する。粉砕性を、欧州薬局方2.9.7.コートされていない錠剤の粉砕性に従って試験した。
【0130】
表17.技術特性
【表17】
【0131】
製剤U~Yは、適切な技術的特性を有する錠剤をもたらした。
【0132】
溶解データを、表18にまとめる。溶解試験を、実施例1と同じ方法で行った。
【0133】
表18.正規化した溶解データ、24時間
【表18】
【0134】
マンニトールを含む製剤は、MCCを含む対応する組成物よりも接着性が低かった。さらに、MCCは、マンニトールよりも優れた結合特性を有することが分かった。
【0135】
HPMC 100mPasを含む組成物は、HPMC 4000mPasを含む対応する組成物よりもより迅速に溶解された。
【0136】
実施例8における試験製剤のうち、製剤U及びVは、1日1回の投与に最も適している。
【0137】
実施例9:製剤U及びVに基づく製剤
HMPC、MCC及び滑剤の濃度の影響を、調べた。使用した製剤を、表19に表示する。
【0138】
表19.割合(%)での組成
【表19】
【0139】
錠剤の技術特性を、表20に表示する。粉砕性を、欧州薬局方2.9.7.コートされていない錠剤の粉砕性に従って試験した。
【0140】
表20.技術特性
【表20】
【0141】
製剤U~Yは、適切な技術的特性を有する錠剤をもたらした。
【0142】
溶解データを、表21にまとめる。溶解試験を、実施例1と同じ方法で行った。
【0143】
表21.正規化した溶解データ、24時間
【表21】
【0144】
実施例10:製剤Aの膣錠剤の溶解のための流体モデル
膣流体モデル(図1)は、蒸留水(約1L)を有する貯留槽、ペリスタポンプ、ガラスカラム(内径30mm、高さ130mm)及び画分コレクターからなる。水は、通常の圧力下で毎分0.1mLの速度でガラスカラムにポンプで送られる。子宮頸部分泌物の推定量は、0.51mLである[Mitchell,C.;Paul,K.;Agnew,K.;Gaussman,R.;Coombs,R.W.;Hitti,J.Journal of clinical microbiology 2011,49,735]。膣粘膜をシミュレートするために、膣錠剤を、人工スポンジ(再生セルロースから作られたWettex(登録商標)、高さ50mm)で包む。ガラスカラムを、60mmの距離で赤外線ヒーター(220V、60W)で加熱して、35℃のコア温度を得る。流体を、画分あたり60分に設定した画分コレクターを用いて収集する。製剤A、U、X、V、Z1及びZ5の膣錠剤を、独立実験で試験した(図2)。各画分のpHを、pH電極によって測定した。結果は、pHの低下によって示されるように、活性物質が、効率的な用量を与えるように放出されることを示す。
【0145】
実施例11:安定性試験
製剤Aの錠剤を、蓋つき箔(アルミニウム)としてTeknilid(登録商標)1250及びTekniflex(登録商標)VPOA 10300(PVC/EVOH/ACLAR)からなるブリスター材料にパッケージ化した。ブリスター中の製剤Aの安定性を、25℃/60%RH及び40℃/75%RHの条件での技術的安定性試験で評価した。製剤の安定性を1、3、6及び12ヶ月観察した。表22及び23を参照されたい。製剤A錠剤の3つのバッチも、GMP条件下で生成し、安定性が、少なくとも12ヶ月間、全3つのバッチについて確認された(データ示さず)。
【0146】
表22.アッセイ(予想含量の割合(%))
【表22】
【0147】
表23.重量増加(最初に対する割合(%))
【表23】
【0148】
全ての分析について、製剤Aは許容範囲内、すなわち90~110%であることが判明した。
【0149】
実施例12:製剤Aの細胞傷害性試験
グルコノ-デルタ-ラクトンは、哺乳動物においてペントースリン酸サイクルを介するグルコース代謝の通常の中間体である。人間に対するいくつかの研究が、毒性の徴候のないGDLの3g~50gの経口用量を用いて行われた。調査された研究は、GDL、又はDグルコン酸又はそのマグネシウム、カリウム、カルシウム、若しくはナトリウム塩の発がん性、催奇性、又は遺伝毒性に関する証拠を示さなかった。加えて、米国食品医薬品局(FDA)と世界保健機関(WHO)の両方の国際化学物質安全性計画(ICPS)が、安全な食品添加物としてGDLを承認している。[国際化学物質安全性計画(ICPS)。グルコノ-デルタ-ラクトンとグルコン酸のカルシウム、マグネシウム、カリウム、及びナトリウム塩(Glucono-Delta-Lactone and the Calcium,Magnesium,Potassium,and Sodium Salts of Gluconic Acid) 1999;http://www.inchem.org/documents/jecfa/jecmono/v042je12.htmから利用可能である;米国食品医薬品局、21CFR184.1318]。
【0150】
細胞傷害性試験
製剤Aの細胞傷害性作用を、アガロースにより重ね合わせたL929細胞と少なくとも24時間、間接的に接触させて試験品をインキュベートしニュートラルレッドで染色して分析した。脱色指数と溶解指数を、それぞれ脱色領域の大きさと試験品の周り及び下の溶解した細胞数に応じて、顕微鏡により決定した。細胞応答を、脱色指数/溶解指数として記録し、0~3のスケールで等級付けした。
【0151】
試験前に、試験品を細かく粉砕した。陰性対照及び陽性対照として、高密度ポリエチレン材料及び0.1%の亜鉛-ジエチルジチオカルバメート(ZDEC)ポリウレタンフィルムを、それぞれ用いた。各組織培養皿を、試験品の2つの試料、1つの陰性対照及び1つの陽性対照で処理した。3つの培養皿を、並行して処理した。インキュベーション期間後に、試料の周り及び下の細胞を、倒立顕微鏡で分析した。
【0152】
結果
細胞傷害性試験の結果を、以下の表に示す。
【0153】
表24.脱色指数
【表24】
【0154】
表25.溶解指数
【表25】
【0155】
表26.細胞傷害性の解釈
【表26】
【0156】
結論
試験品(製剤A)を、軽度~中程度の細胞傷害性として分類した。対照は、研究の妥当性を確認した。
【0157】
実施例13:感作試験
局所リンパ節アッセイ(LLNA)は、皮膚感作試験品の特定方法であり、マウスにおいて曝露部位(耳の背側)を排出するリンパ節(耳介リンパ節)から分離されたリンパ球の増殖を測定する。リンパ球増殖を、Hメチルチミジンの取り込みを決定することによって測定する。製剤Aを、ISO 10993-12に従って、2つの異なる媒体:生理食塩水0.9%のNaCl(極性抽出媒体)及びアセトン/オリーブオイル4:1(v/v)(非極性抽出媒体)を用いて抽出した[ISO 10993-12:2012「医療機器の生物学的評価-第12部:試料調製及び参照物質(Biological evaluation of medical devices-Part 12:Sample preparation and reference materials)」]。
【0158】
抽出物の局所適用を、3日間連続して1日1回行い、試験群あたり5匹のマウスを用いた。最初の局所適用治療の5日後、全てのマウスにH-メチルチミジンを静脈内に投与し、マウスをその5時間後に屠殺した。排出する「耳介リンパ節」からのリンパ節細胞を、各動物からプールした(動物あたり2つのリンパ節)。その後、Hメチルチミジン取り込みを、測定し、対照群動物について記録されたもの(刺激指数)と比較した、試験群動物のリンパ節あたり1分あたりの崩壊数(DPM/節)及びリンパ節細胞へのH-メチルチミジンの取り込み率として表した。背景の値を減算した。試験品の抽出物が、対照群動物のリンパ節について記録されたもの(3.0以上の刺激指数)と比較して試験群動物のリンパ節細胞へのH-メチルチミジン取り込みに3倍以上の増加をもたらした場合に、物質を、LLNAの「感作物質」とみなす。
【0159】
結果
極性試験品抽出物について、対照群動物について記録されたもの(刺激指数)と比較して、試験群動物のリンパ節細胞へのH-メチルチミジン取り込みの比率は、1.2であった。非極性試験品抽出物について、対照群動物について記録されたもの(刺激指数)と比較して、試験群動物のリンパ節細胞へのH-メチルチミジン取り込みの比率は、1.3であった。全ての動物は、研究全体を通して、最大2gの体重減少を含む、予想される体重増加を示した。全ての動物は、臨床徴候を示すことなく、試験期間を通して生存した。極性のならびに非極性の陽性対照物質は、試験システムの信頼性を確認する3の刺激指数を超えた。
【0160】
結論
本研究の条件下で、製剤Aは、極性と非極性の両方の試験品抽出物の刺激指数が3の刺激指数を下回っていたため、感作として特定される応答を引き起さなかった。
【0161】
実施例14:刺激試験
製剤Aが膣組織に刺激を与える可能性を、アルビノウサギで調査した。製剤Aを、ISO 10993-12に従って、生理食塩水0.9%のNaClで抽出した[ISO 10993-12:2012「医療機器の生物学的評価-第12部:試料調製及び参照物質(Biological evaluation of medical devices - Part 12: Sample preparation and reference materials)」]。試験品抽出物の上清を、動物に適用した。抽出媒体を、3匹の動物に対する対照として用いた。試験品抽出物を、膣に直接導入される注射器付きの柔軟なプラスチック製の先端がとがっていないカニューレを用いて、3匹の動物に適用した。手順を、5日間連続して、24±2時間の間隔で繰り返した。
【0162】
臨床観察
最初の適用の24±2時間後及び各治療の直前に、膣の開口部及び会陰の外観を、観察し、分泌(段階0~3)、紅斑(段階0~4)及び浮腫(段階0~4)の徴候について記録した。さらに、動物を、毒性の臨床的徴候について観察した。
【0163】
肉眼での評価
最後の適用の24±2時間後に、膣全体を、解剖し、縦方向に開き、刺激の徴候、組織及び壊死の上皮層への傷害について肉眼で調べた。紅斑及び浮腫を、0~4の段階のスコア化システムに従って記録した。その後、膣の全ての部分と周囲の組織を、さらなる組織病理学的検査のために、4%中性緩衝ホルムアルデヒドで固定した。
【0164】
病理組織学的評価
組織に対する刺激の影響を、上皮、白血球浸潤、血管閉塞及び浮腫について、0~4段階分けシステムに従って段階分けした。
【0165】
試験群中の全ての動物についての顕微鏡評価の段階を追加し、合計を観測数で割って、試験群平均を得た。対照グループに対して同じ手順を行った。対照群平均を試験群平均から差し引いて、刺激指数を得た(表25)。
【0166】
表27.刺激指数
【表27】
【0167】
結果
臨床観察
最初の適用の24時間後及び各治療の前に、膣の開口部及び会陰の外観を、観察し、分泌、紅斑及び浮腫の徴候について記録した。いずれの動物も、過剰な分泌、紅斑、焼痂及び/又は浮腫を示さなかった。刺激の徴候は見つからなかった。毒性の徴候は記録されなかった。
【0168】
肉眼での検査
膣内領域の肉眼での検査では、刺激又は壊死の徴候は見つからなかった。
【0169】
組織病理学的評価
製剤A(試験品)又は抽出媒体(対照品)をニュージーランド白ウサギに5日間連続して毎日膣内に適用した後に、膣又は膣周囲の組織における注目すべき刺激応答の兆候はなかった。この知見は、治療とは無関係であり、生理学的な背景変化を表さなかった。
【0170】
表28.顕微鏡所見の個々のスコアと平均スコア
【表28】
【0171】
結論
この実験の条件下で、刺激指数は、0.33であった。生体内刺激は、刺激又は壊死の徴候が肉眼での評価において観察されなかったことを示した。また、組織病理学的評価では、膣粘膜の刺激の指標はなかった。そのため、試験品の製剤Aは膣粘膜に刺激作用を示さなかったと結論づけることができる。組織病理学的評価では、局所的な試験品関連の知見はなかった。
【0172】
実施例15:細菌性膣炎の治療における臨床性能
ヒト患者における細菌性膣炎の治療における製剤Aの臨床性能、耐容性及び安全性を、非盲検研究で調べた。細菌性膣炎診断が確認された患者を、以下の基準の4つのうちの少なくとも3つを有すると定義した:
1.薄い、白い、黄色い、均質な分泌
2.顕微鏡観察での糸玉状細胞(上皮細胞の20%超)
3.4.5超の膣液のpH
4.アルカリ(10%水酸化カリウム[KOH]溶液)を添加した時の生臭い臭気の放出、「すなわち、陽性ウイッフ試験(positive whiff test)」。
【0173】
0日目に、細菌性膣炎診断が確認された患者を、研究に含めた。患者は、2日間隔(0、2、4及び6日)に製剤Aを自己投与し、7日目の臨床治癒率について検査され、上記の基準1、2及び4の全てが無いとして定義される。患者の数及び性質を、表29に示す。
【0174】
表29.患者の数(計画され及び分析された)
【表29】
【0175】
表30.7日目の臨床治癒率の統計解析。PPAS臨床治癒。
【表30】
【0176】
表31.14日目と35日目の再発率の統計解析。完全な分析セット。
【表31】
【0177】
有効性の結果の概要
臨床性能の主要評価項目(FAS):
・3アムセル基準の全てが無いとして定義される製剤Aの臨床治癒率は、7日目に81.8%(片側95%CI:63.1%~)であった。すなわち、研究の主要性能目標を満たした。表30を参照されたい。
臨床性能の副次評価項目(FAS):
・0日目と比較して7日目に、85.7%の割合はアムセル基準1については陰性で(薄い、白色、黄色、均質な分泌、アムセル基準2については90.0%(顕微鏡観察での糸玉状細胞(上皮細胞の20%超)であり、アムセル基準3については86.4%であった(生臭い臭気の放出、アルカリ[10%KOH溶液]を添加した時の「すなわち、陽性ウイッフ試験」)。
・69.6%の割合は、0日目と比較して、4日目に3BV症状(魚臭、熱傷、及び刺激)の合計が低下した。7日目に割合は、77.3%であった。
・使いやすさの分析は、7日目の患者のアンケートで測定されるように、患者の87.5%が膣錠剤が使いやすいと同意し、75.0%が膣錠剤の使用が穏やかであることに気づき、79.2%が治療の際に臭気がないことに同意し、患者の62.5%が、治療はシミを生じずかつ滴が垂れないと思ったことを示した。さらに、「あなたは一般的にこの治療をどのように思うか?」という質問に対する応答は、スケールの上限(1[「満足しない」]~10[「非常に満足した」]のスケールで、中央値:8.0;平均:7.1)の結果を示した。
・再発率は、14日目に5.6%であった。すなわち、7日目に臨床治癒した18人中1人の患者が、14日目に症状の再発を報告した。35日目までの何らかの再発を報告したさらなる患者はなく、これは35日目の再発率が同じ5.6%であったことを意味する。表31を参照されたい。
【0178】
安全性評価の概要
曝露の程度
合計で、24人の患者(100%)が、この研究で研究治療を受けた。投与について尋ねられた時の患者からの情報に基づいて、患者の95%超が、この研究の全ての計画された時点(0、2、4及び6日)で製品を投与したと述べた。
【0179】
ベースライン(0日)では、平均(SD)のpHは、5.32(0.50)であり、7日目の平均(SD)のpHは、4.84(1.03)であった。フォローアップ評価においてより低い膣pHは、適切な放出の指標である。
【0180】
有害事象の概要
合計で、34のAEが、この研究で18人の患者(75%)によって報告された。この研究には死又はSAEはなかった。
【0181】
最も一般的なAE(好ましい用語)は、頭痛(10人の患者において13の事象、41.7%)と月経困難症(3人の患者において3つの事象、12.5%)であった。
【0182】
この研究で生じた34のAEのうち、6つのAEが、研究手順に関連しているか、又は関連している可能性があると判断され、5つのAEが、治験装置に関連しているか、又は関連している可能性があると判断された。
【0183】
ほとんどのAEは、軽度から中程度のものであった。2人の患者において2つの重症なAE(8.3%):発熱と扁桃周囲膿瘍があった。
【0184】
全体的な結論
・研究の主な目的が達成され、そのため、この研究は、製剤Aの臨床性能と良好な安全性/耐容性のプロファイルの両方の証拠を提供した。
・臨床治療率は高く、安全上の懸念は特定されず、製剤Aは十分に耐容性があり、治験装置/製剤A又は治験手順に関連する可能性があるとして評価されたAEはほとんど報告されなかった。この研究中に、SAE又は装置の欠陥は報告されなかった。
【0185】
実施例16:膣カンジダ症の治療における臨床性能
ヒト患者における膣カンジダ症の治療における製剤Aの臨床性能、耐容性及び安全性を、非盲検治験で調べる。膣カンジダ症の患者は、白又はクリーム色の膣分泌物に加えて、次の所見を有する:
・少なくとも中等度として特徴付けられるVVCの以下の徴候及び症状:かゆみ、熱傷、刺激、浮腫、発赤、又は擦過傷、の少なくとも2つ。
・酵母形態(菌糸又は仮性菌糸)又は出芽酵母を明らかにする炎症を起こした膣粘膜若しくは分泌物からの水酸化カリウム(KOH)又は生理食塩水調製物。
【0186】
0日目には、膣カンジダ症が確認された患者を、この治験に含める。患者は、2日間隔(0、2、4及び6日)で製剤Aを自己投与し、7日目の臨床治癒率について検査され、外陰腟の複合的徴候及び症状(CVVS)スコアが3以下であるという点で、VVCの徴候及び症状がないとして定義される。
【0187】
次の6つの外陰腟の徴候及び症状の各々を、以下のスコア化スケールを用いて個別にスコア化し、次いで、共に加算して、CVVSスコアを決定する。
外陰腟の徴候:紅斑、浮腫、又は擦過傷
外陰腟の症状:かゆみ、熱傷、又は刺激
【0188】
スコア化スケール:各スコアは、客観的に定義される必要がある。
0=なし(存在しない);1=軽度(わずか);2=中程度(明確に存在);3=重度(顕著、激しい)。
図1
図2