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特許7610856ドローンのバッテリー監視システムおよびモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】ドローンのバッテリー監視システムおよびモジュール
(51)【国際特許分類】
   B64U 50/30 20230101AFI20241226BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20241226BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20241226BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20241226BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20241226BHJP
   H01M 50/202 20210101ALI20241226BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20241226BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20241226BHJP
【FI】
B64U50/30
B64C27/08
B64C39/02
B64D47/08
H01M10/48 301
H01M50/202 401D
H01M50/249
H01M50/284
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022170719
(22)【出願日】2022-10-25
(65)【公開番号】P2024062697
(43)【公開日】2024-05-10
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】518160274
【氏名又は名称】株式会社eロボティクス
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】板羽 昌之
(72)【発明者】
【氏名】郡 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】皆川 好則
(72)【発明者】
【氏名】高橋 澄雄
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-516020(JP,A)
【文献】特開2008-045888(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第114042272(CN,A)
【文献】特開2017-184045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 27/08
B64C 39/02
B64D 27/30
B64D 47/08
B64U 50/30
H01M 10/48
H01M 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドローンのバッテリー監視システムであって、
ドローンに搭載された撮像手段と、
ドローンに搭載されたバッテリーと、
前記バッテリーの温度を検出する温度センサと、
第1の入力端子から前記撮像手段により撮像された画像信号を受け取り、第2の入力端子から前記温度センサにより検出された検出信号を受け取り、前記第2の入力端子で受け取った検出信号に基づきバッテリーの温度を表す文字情報を生成し、生成した文字情報を前記第1の入力端子で受け取った画像信号に合成し、合成した画像信号を出力端子から出力するコントローラと、
前記出力端子から出力された画像信号をアンテナを介してドローンの外部の通信機能を備えた端末に無線で送信する送信手段と、
を有するバッテリー監視システム。
【請求項2】
前記コントローラは、温度センサにより検出されたバッテリーの温度が閾値以上であるとき、バッテリー異常を表すバッテリー情報を生成し、生成したバッテリー異常を表すバッテリー情報を第1の入力端子で受け取った画像信号に合成する、請求項1に記載のバッテリー監視システム。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記検出信号をディジタル信号に変換するA/Dコンバータと、
前記文字情報を格納するメモリとを含み、
前記コントローラは、前記検出信号に基づき前記メモリから文字情報を読出し、読み出した文字情報を前記画像信号に合成する、請求項1に記載のバッテリー監視システム。
【請求項4】
前記画像信号は、1秒間に複数フレームから構成される動画像であり、前記コントローラは、各フレームにリアルタイムで前記文字情報を合成する、請求項1に記載のバッテリー監視システム。
【請求項5】
前記コントローラはさらに、前記文字情報の合成の有無を指示するための合成指示信号を受け取る第3の入力端子を含み、前記コントローラは、前記合成指示信号が合成を指示するとき、前記文字情報を前記画像信号に合成し、前記合成指示信号が合成を指示しないとき、前記文字情報を前記画像信号に合成しない、請求項1に記載のバッテリー監視システム。
【請求項6】
前記バッテリーは、積層された薄板状の複数のセルおよび温度センサを封止する可撓性のフィルムを有する、請求項1に記載のバッテリー監視システム。
【請求項7】
前記バッテリーは、積層された薄板状の複数のセルを含み、
少なくとも1つの温度センサが隣接するセルの境界に配置される、請求項1に記載のバッテリー監視システム。
【請求項8】
前記通信機能を備えた端末は、前記送信手段から送信された画像信号を受信する受信手段と、当該受信手段で受信した前記文字情報が合成された画像信号を表示する表示手段とを含む、請求項1に記載のバッテリー監視システム。
【請求項9】
ドローンのバッテリー監視システムであって、
ドローンに搭載された撮像手段と、
ドローンに搭載されたバッテリーと、
前記バッテリーの圧力を検出する圧力センサと、
第1の入力端子から前記撮像手段により撮像された画像信号を受け取り、第2の入力端子から前記圧力センサにより検出された検出信号を受け取り、前記第2の入力端子で受け取った検出信号に基づきバッテリーの圧力を表す文字情報を生成し、生成した文字情報を前記第1の入力端子で受け取った画像信号に合成し、合成した画像信号を出力端子から出力するコントローラと、
前記出力端子から出力された画像信号をアンテナを介してドローンの外部の通信機能を備えた端末に無線で送信する送信手段と、
を有するバッテリー監視システム。
【請求項10】
前記画像信号は、1秒間に複数フレームから構成される動画像であり、前記コントローラは、各フレームにリアルタイムで前記文字情報を合成する、請求項9に記載のバッテリー監視システム。
【請求項11】
前記バッテリーは、積層された薄板状の複数のセルを含み、
少なくとも1つの圧力センサが隣接するセルの境界に配置される、請求項9に記載のバッテリー監視システム。
【請求項12】
ドローンのバッテリー監視システムであって、
ドローンに搭載された撮像手段と、
ドローンに搭載されたバッテリーと、
前記バッテリーの温度を検出する温度センサと、
前記バッテリーの圧力を検出する圧力センサと、
第1の入力端子から前記撮像手段により撮像された画像信号を受け取り、第2の入力端子から前記温度センサにより検出された第1の検出信号を受け取り、第3の入力端子から前記圧力センサにより検出された第2の検出信号を受け取り、前記第2の入力端子で受け取った第1の検出信号に基づきバッテリーの温度を表す第1の文字情報を生成し、前記第3の入力端子で受け取った第2の検出信号に基づきバッテリーの圧力を表す第2の文字情報を生成し、生成した第1および第2の文字情報を前記第1の入力端子で受け取った画像信号に合成し、合成した画像信号を出力端子から出力するコントローラと、
前記出力端子から出力された画像信号をアンテナを介してドローンの外部の通信機能を備えた端末に送信する送信手段と、
を有するバッテリー監視システム。
【請求項13】
前記コントローラはさらに、前記第1および第2の文字情報の合成の有無を指示するための合成指示信号を受け取る第4の入力端子を含み、前記コントローラは、前記合成指示信号に基づき、前記第1の文字情報を合成するか、前記第2の文字情報を合成するか、前記第1および第2の文字情報を合成するか、あるいは前記第1および第2の文字情報を合成しないかのいずれかを実行する、請求項12に記載のバッテリー監視システム。
【請求項14】
前記バッテリーは、積層された薄板状の複数のセルを含み、
少なくとも1つの温度センサが隣接するセルの一方の側に配置され、少なくとも1つの圧力センサが他方の側に配置される、請求項12に記載のバッテリー監視システム。
【請求項15】
前記通信機能を備えた端末は、前記送信手段から送信された画像信号を受信する受信手段と、当該受信手段で受信した前記第1および第2の文字情報が合成された画像信号を表示する表示手段とを含む、請求項12に記載のバッテリー監視システム。
【請求項16】
撮像手段、バッテリーおよびアンテナを介して外部の通信機能を備えた端末に画像信号を無線で送信する送信手段を備えたドローンに搭載可能なモジュールであって、
前記撮像手段からの画像信号を受け取る第1の入力端子と、
前記バッテリーの温度を検出する温度センサまたは前記バッテリーの圧力を検出するための圧力センサからの検出信号を受け取る第2の入力端子と、
前記第2の入力端子で受け取った検出信号に基づきバッテリーの温度またはバッテリーの圧力を表す文字情報を生成し、生成した文字情報を前記第1の入力端子で受け取った画像信号に合成し、合成した画像信号を出力端子から出力するコントローラと、
前記文字情報が合成された画像信号を前記送信手段に出力する出力部と、
を含むモジュール。
【請求項17】
前記モジュールはさらに、前記バッテリーの圧力を検出する圧力センサまたは前記バッテリーの温度を検出する温度センサからの検出信号を受け取る第3の入力端子を含み、
前記コントローラは、前記第3の入力端子で受け取った検出信号に基づきバッテリーの圧力またはバッテリーの温度を表す文字情報を生成し、生成した文字情報を前記第1の入力端子で受け取った画像信号に合成する、請求項16に記載のモジュール。
【請求項18】
前記モジュールは、回路基板であり、当該回路基板の出力端子は、フライトコントローラ用基板の入力端子に接続される、請求項16に記載のモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作または自動操縦が可能な無人航空機または無人飛行機(以下、ドローンという)に関し、特に、ドローンに搭載されるバッテリーの監視に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローンは、構造物(例えば、鉄塔や電線など)の点検、商品の配達、農薬や肥料の散布、偵察などに利用されている。ドローンは、一般に、バッテリー、モータ、プロペラ、受信機、フライトコントローラなどの構成部品を含む。バッテリーは、ドローンの動力源として各部に電力を供給し、フライトコントローラは、受信機で受信された送信機からの指示(電波)に基づきモータを介してプロペラを駆動し、機体の姿勢や速度を制御する。ドローンに搭載されるバッテリーは、重量が増加するとドローンの航続力が低下するため、小型、軽量であることが望まれる。
【0003】
例えば、特許文献1は、バッテリーの自動交換が可能なドローンを開示する。また、特許文献2は、衝撃が加わってもバッテリーからの電源供給を継続することが可能なドローンを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2022-97373公報
【文献】特許7109837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1に、一般的なドローンシステムを示す。ドローンシステム10は、電動型のドローン20と、ドローン20を遠隔操作可能なユーザー端末30とを含む。ユーザーは、ユーザー端末30を介してドローン20に無線信号で指示を与え、例えばドローン20を目的地まで飛行させる。
【0006】
図2は、ドローン20に搭載された撮像機能に関する構成を示すブロック図である。ドローン20には、カメラ40、フライトコントローラ50、画像送信機(VTX)60、アンテナ70、バッテリー80が搭載される。カメラ40は、ドローン20の飛行中に撮像した目標物を撮像し、撮像した画像信号を、フライトコントローラ50の入力端子CAMに出力する。フライトコントローラ50は、内部にOSD機能52を含み、OSD機能52は、ドローン20のフライト情報(例えば、高度、緯度、経度、飛行時間、バッテリー残量)を画像信号に合成し、合成した画像信号をVTX端子から送信機60に出力する。送信機60は、受け取った画像信号をアンテナ70からユーザー端末30へ送信する。
【0007】
ユーザー端末30は、図3(A)に示すように、ディスプレイ32に、カメラ40で撮像されたリアルタイムの画像34と合成されたフライト情報36とを表示する。
【0008】
ドローン20に搭載されるバッテリー80は、小型、軽量である反面、短時間で高い電力PWRを出力することが要求されることから、一般に、リチウム系バッテリー(例えば、リチウムポリマーやリチウムイオンなど)を使用している。
【0009】
このような特性を備えたバッテリー80は、動作環境(例えば、急に大きな電量を出力するときなど)や経年劣化等が原因で発火、破裂、爆発などの異常を生じることがある。このため、図3(B)に示すように、バッテリー80を不燃性または難燃性の材料から構成されたケース82内に収容させ、バッテリーの発火等を防止することが検討されている。同図は、ケース82内に、シート状の3つのバッテリーセルを積層して配置させた断面構造を示している。
【0010】
しかしながら、ケース82には一定の発火抑制の効果をあるものの、バッテリーの発火を完全に抑制することは難しく、また、ケース82を用いることでバッテリー全体の重量が大きくなると、ドローンの航続力が低下してしまう。それ故、ケース82に代わる別な方法で、バッテリー80の発火や爆発を抑制することが望まれる。
【0011】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、ドローンに搭載されたバッテリーを監視するバッテリー監視システムおよびモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るドローンのバッテリー監視システムは、ドローンに搭載された撮像手段と、ドローンに搭載されたバッテリーと、前記バッテリーの温度を検出する温度センサと、前記撮像手段により撮像された画像信号に、前記温度センサにより検出されたバッテリーの温度に応じたバッテリー情報を合成する合成手段と、前記合成手段によって合成された画像信号を外部に無線で送信する送信手段とを有する。
【0013】
ある態様では、前記バッテリー情報は、バッテリーの温度である。ある態様では、前記合成手段は、温度センサにより検出されたバッテリーの温度が閾値以上であるとき、バッテリー異常を表すバッテリー情報を生成する。ある態様では、前記合成手段は、前記撮像手段からの画像信号を入力する第1の入力端子と、前記温度センサからの検出信号を入力する第2の入力端子と、前記第2の入力端子から入力された検出信号に基づきバッテリー情報を生成する電子デバイスと、前記第1の入力端子から入力された画像信号に前記電子デバイスで生成されたバッテリー情報を合成するOSDと、前記OSDで合成された画像信号を前記送信手段に出力する出力端子とを含む。ある態様では、前記合成手段は、前記第1および第2の入力端子、前記出力端子、前記電子デバイス、前記OSDを搭載する回路基板を含む。ある態様では、前記電子デバイスは、前記検出信号に基づきバッテリー情報を生成するためのテキスト情報またはグラフィック情報を格納するメモリを含む。ある態様では、前記合成手段はさらに、前記バッテリー情報の合成の有無を指示するための信号を入力する第3の入力端子を含む。ある態様では、前記温度センサは、前記バッテリーに内蔵される。ある態様では、前記バッテリーは、積層された薄板状の複数のセルを含み、少なくとも1つの温度センサが隣接するセル間に配置される。ある態様では、バッテリー監視システムはさらに、前記送信手段から送信された画像信号を受信する受信手段と、当該受信手段で受信した画像信号を表示する表示手段とを含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ドローンに搭載されたバッテリーの温度を検出し、検出されたバッテリーの温度に応じたバッテリー情報を画像信号に合成し、合成した画像信号を無線で送信するようにしたので、撮像された画像に表されたバッテリー情報をリアルタイムで監視することができ、バッテリーの発火や爆発等の異常を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一般的なドローンシステムの概略構成を示す図である。
図2】従来のドローンの撮像機能に関する構成を示すブロック図である。
図3】従来のドローンに搭載されるバッテリーの構成を示す概略断面図である。
図4】本発明の実施例に係るドローンシステムの概略構成を示す図である。
図5】本発明の第1の実施例に係るドローンのバッテリー監視システムの構成を示すブロック図である。
図6】本発明の第1の実施例によるバッテリー監視システムの動作フローである。
図7】本発明の第1の実施例によるバッテリー温度の表示例である。
図8】本発明の第1の実施例による別のバッテリー情報の生成例とその表示例である。
図9】本発明の第1の実施例に係るバッテリー監視システムの具体的な構成例を示す図である。
図10】本発明の第1の実施例に係る温度センサを内蔵するバッテリーの構成例を示す図である。
図11】本発明の第2の実施例に係るバッテリー監視システムの構成を示すブロック図である。
図12】本発明の第2の実施例に係る温度センサおよび圧力センサを内蔵するバッテリーの構成例を示す図である。
図13】本発明の第2の実施例に係るバッテリー温度と圧力を含むバッテリー情報の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のバッテリー監視システムは、電動型のドローンに搭載される。ドローンの形態(プロペラの数、形状、大きさ、重量など)は特に限定されず、大型のドローンまたは小型のマイクロドローンのいずれであってもよい。本発明のドローンは、動力源としてバッテリーを搭載し、かつカメラで撮像された画像をリアルタイムで無線送信する機能を備えている。撮像画像は、カラー映像または白黒映像のいずれであってもよく、カメラの解像度やサイズ等も特に限定されない。本発明のドローンは、カメラで撮像された画像信号に、バッテリーの温度などを表すバッテリー情報を合成する機能を備えている。
【0017】
以下の説明で参照される図面は、発明の理解を容易にするために誇張して記載されており、実際の製品や部品等のサイズや形状をそのまま表したものではないことに留意すべきである。
【実施例
【0018】
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図4は、本発明の実施例に係るドローンシステムの概略構成を示す図である。本実施例のドローンシステム100は、電動型のドローン200と、ドローン200を遠隔操作可能なユーザー端末300とを含んで構成される。ユーザー端末300は、ドローン200と無線信号の送受を直接行うものであってもよいし、ネットワークNWを介して無線信号の送受を行うものであってもよい。
【0019】
ドローン200は、本体部202と、本端部202に接続された複数の支持部材204と、支持部材204の端部に接続された複数のプロペラ206とを含む。プロペラ206は、図示しないモータによって駆動され、モータは、バッテリーからの電力によって駆動される。本体部202の内部には、カメラ、電子部品等を実装する回路基板、バッテリー等が収容される。
【0020】
図5は、本発明の第1の実施例に係るバッテリー監視システムの概略構成を示すブロック図である。本実施例のバッテリー監視システム100Aは、ドローンシステム100に含まれる機能の1つであり、ドローン200とユーザー端末300とを含む。ドローン200は、撮像カメラ210、バッテリー230の温度を検出する温度センサ220、コントローラ240および通信部250を含んで構成される。
【0021】
撮像カメラ210は、ドローン200の飛行中に周囲の目標物の撮像が可能であり、撮像した画像信号をコントローラ240に提供する。画像信号は、例えば、30フレーム/秒または60フレーム/秒から構成される動画像であり、カラー映像または白黒映像のいずれであってもよい。撮像カメラ210から出力される画像信号は、アナログ画像信号またはデジタル画像信号のいずれであってもよい。アナログ画像信号の場合、コントローラ240は、アナログ画像信号をデジタル画像信号に変換し、デジタル画像信号についてバッテリー情報の合成等の処理を行う。
【0022】
バッテリー230は、ドローン200の動力源であり、本体部202内に収容される。バッテリー230は、特に限定されないが、例えば、リチウム系二次電池(リチウムポリマーやリチウムイオン)から構成される。また、バッテリー230のサイズ、形状、数などは任意である。例えば、ある態様では、バッテリー230は、薄板状またはシート状のセルを複数積層して構成され、複数のセルを電気的に直列に接続することで所望の出力電圧を得る。
【0023】
温度センサ220は、バッテリー230の温度を検出できるものであればその構成は特に限定されないが、例えば、熱電対によって構成される。ある態様では、例えば、温度センサ220は、バッテリー230に一体に取り付けられ、あるいはバッテリー230に内蔵される。バッテリー230が複数のセルを積層して構成されるとき、温度センサ220は、複数のセルの少なくとも1つの境界に配置されそこで温度を検出する。温度センサ220の検出信号は、コントローラ240に提供される。コントローラ240は、検出信号をデジタル信号に変換し、バッテリー情報の生成等の必要な処理を行う。
【0024】
コントローラ240は、バッテリー監視システム100Aの全体の動作を制御するものであり、ハードウエアおよび/またはソフトウエアを用いて構成される。コントローラ240は、温度センサ220で検出されたバッテリーの温度に応じたバッテリー情報を生成し、生成したバッテリー情報を撮像カメラ210で撮像された画像信号に合成する機能を備える。
【0025】
コントローラ240は、例えば、マイクロコントローラまたはマイクロプロセッサ、メモリ、A/Dコンバータ、信号処理回路などを用いて構成される。A/Dコンバータは、温度センサ220からの検出信号をデジタル信号に変換し、変換されたデジタル信号をマイクロコントローラに提供する。また、撮像カメラ210からの画像信号がアナログ信号であるとき、これをデジタル信号に変換する。メモリには、バッテリー監視システムに必要なデータやプログラムが格納される。例えば、メモリには、温度センサによって検出されたバッテリー温度を生成するための文字情報やグラフィック情報や、このような情報を画像信号に合成するための位置情報などが格納される。コントローラ240は、温度センサ220から検出信号を受け取ると、検出されたバッテリー温度に対応する文字情報またはグラフィック情報をメモリから読み出し、画像信号に合成すべきバッテリー情報を生成する。さらにコントローラ240は、生成したバッテリー情報を、撮像カメラ210からの画像信号に合成し、合成した画像信号を通信部250に出力する。
【0026】
通信部250は、コントローラ240から出力された画像信号を受け取り、これをユーザー端末300に無線通信により送信する。通信部250は、画像信号を圧縮または変調して送信してもよいし、アナログ信号またはデジタル信号のいずれで送信してもよい。アナログ信号で送信する場合には、バッテリー情報が合成されたデジタル画像信号をアナログ画像信号に変換する。また、通信部250は、ユーザー端末300に画像信号を直接送信してもよいし、中継局またはネットワーク回線網などを介してユーザー端末300に画像信号を送信するようにしてもよい。
【0027】
ユーザー端末300は、特に限定されないが、例えば、スマートフォンのような多機能型通信端末、モバイル用通信端末、ノート型またはラップトップ型の通信機能を備えたコンピュータなどを用いて構成される。
【0028】
ユーザー端末300は、例えば、入力部310、出力部320、通信部330、記憶部340および制御部350を含んで構成される。入力部310は、ユーザーからの指示を受け取り、これを制御部350に提供する。出力部320は、ディスプレイ等の表示部やスピーカ等の音声出力部を含むことができる。通信部330は、ドローン200の通信部250との間で信号の送受信を行う。記憶部340は、ドローン200の制御に必要なプログラムやデータを格納する。制御部350は、入力部310から入力された指示や記憶部340に格納されたプログラム等に基づき通信部330を介してドローン200を遠隔制御したり、通信部330から受信した画像信号を出力部(表示部)320に表示させる。
【0029】
次に、本実施例のバッテリー監視システム100Aの動作について図6のフローを参照して説明する。温度センサ220は、飛行中のドローン200のバッテリー230の温度を検出し(S100)、これをコントローラ240に提供する。コントローラ240は、温度センサ220からの検出信号をA/D変換し(S110)、当該検出信号に基づきバッテリー230の温度を表すバッテリー情報を生成し(S120)、次いで、撮像カメラ210で撮像された画像信号にバッテリー情報を合成し(S130)、合成された画像信号を通信部250に提供する。通信部250は、合成された画像信号をユーザー端末300に無線送信する(S140)。
【0030】
ユーザー端末300は、通信部330を介して合成された画像信号を受信し、受け取った画像信号について必要な処理を施し、ディスプレイ等の表示部にバッテリー情報を含む撮像画像を表示させる(S150)。図7は、ユーザー端末300における撮像画像の表示例である。ディスプレイ320Aには、撮像カメラ210で撮像された画像322がリアルタイムで表示され、そこにはさらにバッテリーの温度を表すバッテリー情報324が表示される。また、画像322には、従来と同様にドローン200のフライト情報326も表示される。
【0031】
ユーザーは、ディスプレイ320Aに表示されたバッテリー情報324をリアルタイムで確認することができ、バッテリー温度に異常があると判断した場合には、入力部310からドローン200の飛行を停止させるための指示を与え、この指示が通信部330を介してドローン200の通信部250に送信され、ドローン200のフライトコントローラは飛行停止のための制御を行う(S160)。
【0032】
リチウム系バッテリーは、短時間に高い電力を出力することができる利点がある反面、動作環境や経年変化等によって発火または爆発などの異常を引き起こすおそれがある。発火または爆発などの異常が発生する前兆として、バッテリーの温度が上昇したり、バッテリーの体積(容積)が膨張することが知られている。本実施例によれば、撮像された画像からバッテリーの温度をリアルタイムで確認し、バッテリー温度が一定温度を超えたとき、バッテリーに異常が発生することを予測し、ドローンの飛行を停止させることでバッテリーの発火または爆発等を事前に回避することができる。
【0033】
次に、本実施例のバッテリー監視システムの別の動作例について図8のフローを参照して説明する。図6および図7に示す例では、画像信号に合成されるバッテリー情報は、バッテリーの温度を表したが、本例では、図8に示すように、コントローラ240は、温度センサ220によるバッテリーの検出温度が閾値以上か否かを判定し(S200)、閾値以上の場合には、バッテリー情報としてバッテリーの異常または警告を生成する(S210)。バッテリーの異常または警告とは、例えば、注意を喚起するようにバッテリー温度を通常の色と異なる色で表示にしたり(例えば、通常の温度が緑色であるのを赤色で表示する)、バッテリーの異常を示す警告のような文字やグラフィックを生成したり、あるいはバッテリー温度の表示を点滅させたりする。図8(B)に、バッテリーの異常を表すバッテリー情報324Aの表示例を示す。このような警告等を表示することで、ユーザーは、バッテリーの異常に容易に気が付くことができる。他方、検出温度が閾値未満であれば(S200)、図6図7のときと同様に、バッテリー温度を表すバッテリー情報を生成する(S220)。
【0034】
次に、本実施例のバッテリー監視システムのより好ましい構成例を図9に示す。バッテリー監視システム400に関し、ドローン200は、撮像カメラ410、温度センサ420、温度計測用モジュール(基板)430、フライトコントローラ440、送信機450、アンテナ460を含んで構成される。言い換えると、本実施例のドローン400は、図2に示す従来のドローン20において、撮像カメラ40とフライトコントローラ50との間に温度計測用モジュール430を設けている。
【0035】
温度計測用モジュール430は、例えば、複数の電子デバイスを実装した回路基板であり、撮像カメラ410からの画像信号を受け取るための入力端子IN1、温度センサ420からの検出信号を受け取るための入力端子IN2、フライトコントローラ440へ画像信号を出力するための出力端子OUTを含む。さらに回路基板上には、OSD(On Screen Display)432、センサI/F434、ROM/RAM436、CPU438などが実装される。
【0036】
OSD432は、入力端子IN1から入力された撮像カメラ410の画像信号を受け取り、当該画像信号に、CPU438によって生成されたバッテリー情報BTを合成し、合成した画像信号を出力端子OUTに提供する。OSD432は、特に限定されないが、例えば、画像信号を構成するフレームを格納するフレームメモリと、CPU438によって生成されたバッテリー情報BTおよびアドレス情報を受け取る書込み回路とを含み、書込み回路は、アドレス情報に従い各フレームにバッテリー情報BTを順次書き込む。こうして、OSD432は、バッテリー情報が書き込まれたフレームを順次、出力端子OUTに供給する。センサI/F434は、入力端子IN2から入力された温度センサ420の検出信号を受け取り、当該検出信号をA/D変換し、デジタル変換された検出信号をCPU438に提供する。ROM/RAMは、バッテリー監視に関するプログラムやバッテリー情報BTを生成するためのテキストやグラフィックデータ、温度センサの検出信号を校正するキャリブレーションデータ、バッテリー情報BTを画像信号に合成するための合成位置情報(OSD432へのアドレス情報)などを格納する。
【0037】
CPU438は、ROM/RAM436に格納されたプログラムを実行することでバッテリー監視の動作を制御する。CPU438は、センサI/F434からの検出信号を受け取ると、キャリブレーションデータに基づき当該検出信号を校正してバッテリー温度を算出し、バッテリー温度を表すバッテリー情報BTを生成する。さらにCPU438は、生成したバッテリー情報BTと合成位置情報をOSD432に提供する。合成位置情報は、例えば、バッテリー情報をBTを合成するためのフレーム内の水平位置および垂直位置を指定する。合成位置情報は、バッテリー情報を表示したときに撮像された画像の邪魔にならないような位置に予め設定される。OSD432は、CPU438からの合成位置情報(アドレス情報)に従い、画像信号にバッテリー情報BTを合成し、合成した画像信号を出力端子OUTに出力する。
【0038】
温度計測用モジュール430の出力端子OUTから出力された画像信号は、フライトコントローラ440の入力端子CAMに提供され、画像信号はさらに、内蔵OSD432によってフライト情報が合成され、合成された画像信号が出力端子VTXから送信機450へ提供され、アンテナ460を介してユーザー端末へ送信される。
【0039】
温度計測用モジュール430はさらに、オプションとして、デジタル入力1を受け取る入力端子IN3、デジタル入力2を受け取る入力端子IN4、電源470からの電源電圧を受け取る入力端子IN5、電圧変換モジュール480を含むことができる。
【0040】
入力端子IN3、IN4から受け取られたデジタル入力1、デジタル入力2は、CPU438に提供される。デジタル入力1、デジタル入力2から入力される信号は任意であるが、例えば、デジタル入力1は、後述する第2の実施例の圧力センサの検出信号であることができる。この場合、CPU438は、圧力センサの検出信号に応じたバッテリー情報BTを生成し、生成したバッテリー情報BTをOSD432に提供する。これにより、画像信号に、バッテリーの圧力に関するバッテリー情報BTが合成される。また、デジタル入力2は、画像信号へのバッテリー情報BTの合成のオン/オフの指示であってもよい。例えば、デジタル入力2からの2ビットの合成指示信号が入力され、合成指示信号が「11」であれば、温度センサの検出温度と圧力センサの検出圧力の双方を含むバッテリー情報BTを画像信号に合成させ、「10」であれば、温度センサの検出温度のみを含むバッテリー情報BTを画像信号に合成させ、「01」であれば、圧力センサの検出圧力のみを含むバッテリー情報BTを画像信号に合成させ、「00」であれば、画像信号へのバッテリー情報BTの合成を停止させる。
【0041】
また、温度計測用基板430は、必要に応じて入力端子IN3に接続された入力インターフェース(I/F)482、入力端子IN4に接続された入力インターフェース(I/F)484を備えるようにしてもよい。入力I/F482、484は、例えば、入力されたデジタル信号からパルス波形を生成したり、デジタル信号の電圧変換などを行い、CPU438にとって適切な信号を提供する。
【0042】
なお、デジタル入力1、デジタル入力2をアナログ入力1、アナログ入力2に代えてもよい。この場合、回路基板上には、アナログ入力1、アナログ入力2から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するためのA/Dコンバータを実装するようにしてもよい。このA/Dコンバータは、センサI/F434のA/Dコンバータによって共有されるものであってもよい。
【0043】
入力端子IN5から受け取られた電源電圧は、電圧変換モジュール480によって温度計測用モジュール430の動作電圧に変換される。例えば、温度計測用モジュール430の動作電圧(供給電圧)がフライトコントローラ440の動作電圧とが同じであれば、電圧変換モジュール480は必ずしも必要ではないが、温度計測用モジュール430の動作電圧がフライトコントローラ440の動作電圧と異なる場合には、電圧変換モジュール480によって温度計測用おジュール430の動作電圧が生成される。電圧変換モジュール480を設けることで、フライトコントローラ440の動作電圧を考慮することなく、ドローン400に温度計測用モジュール430を搭載することができ、温度計測用モジュール430に汎用性を持たせることができる。
【0044】
次に、本実施例の温度センサ内蔵のバッテリーについて説明する。図10(A)は、1つのバッテリーに1つの温度センサが取り付けられた状態を正面側から見た斜視図、図10(B)は、積層された3つのセルと温度センサとの関係を示す側面図である。
【0045】
1つのバッテリーセル500の形状や大きさは任意であるが、例えば、1つのバッテリーセル500は、数センチ角の矩形状の外観を有し、その厚さは約6~7mmである。1つのバッテリーセル500の側面には、一対の正側端子510と負側端子520が設けられる。1つのバッテリーセル500の出力電圧は、例えば、約3.7Vである。3つのバッテリーセル500を積層する場合、3つのバッテリーセルの電圧端子が直列に接続され、出力電圧は、約11.1Vとなる。勿論、バッテリーセルの数は3つに限らず、4つ以上であってもよいし、2つ以下であってもよい。積層されたバッテリーセルは、例えば、絶縁フィルムや耐熱フィルムなどの極軽量フィルムによって内部が真空状態になるように包囲されるようにしてもよいし、あるいは、接着剤や両面テープなどを用いてバッテリーセルが固定されるようにしてもよい。
【0046】
図10(A)に示すように、バッテリーセル500の平坦な主面530には、薄いシート状の温度センサ540が貼り付けられる。温度センサ540の大きさは、主面530よりも小さく、その厚さは、約0.5mm程度である。温度センサ540は、例えば、熱電対から構成され、その端部には、検出した温度を出力する出力線550が設けられる。温度センサ540は、例えば、両面テープや接着剤などを用いて主面530に貼り付けるようにしてもよいし、隣接するバッテリーセル間の主面530の間に一定の圧力で挟持されるようにしてもよい。
【0047】
図10(B)に示すように、3つのバッテリーセル500が積層されたとき、隣接するバッテリーセル間の少なくとも1つの境界に少なくとも1つの温度センサ540が取り付けられる。図に示す例では、隣接するバッテリーセル間のそれぞれの2か所の境界に2つの温度センサ540が取り付けられる。複数の温度センサ540を取り付けた場合、CPU438は、複数の温度センサ540で検出された温度の中から最も高い温度をバッテリー全体の温度と判定し、判定したバッテリーの温度を表すバッテリー情報BTを生成する。
【0048】
バッテリー500は、必ずしも複数のセルから構成されることに限定されず、例えば、図10(C)に示すように、バッテリー500は、1つのセルから構成され、そのセルの表面に1つの温度センサ540を貼り付けたものであってもよい。また、1つのセルまたは複数のセルを含むバッテリー500は、例えば、図10(D)に示すように、可撓性のフィルム550によって全体が封止されるようにしてもよい。可撓性のフィルム550の材料は特に限定されないが、例えば、絶縁性、耐熱性のある材料から構成される。但し、本実施例の温度センサを内蔵するバッテリー500は、バッテリーの発火抑制のための不燃性または難燃性のケースを必要としないため、従来の図3(B)に示すようなバッテリーと比べて、軽量化、小型化を図ることが可能である。さらに、バッテリー500の形状は、必ずしも薄板状に限らず、他の形状(例えば、円筒状や角錐状など)であってもよい。さらにバッテリーの表面は、必ずしも平坦でなくてもよく、例えば、温度センサ540を取り付けるための凹部が形成されるようにしてもよい。
【0049】
次に、本発明の第2の実施例ついて説明する。図11は、第2の実施例に係るバッテリー監視システム100Bのドローン側の構成を示す図である。第2の実施例では、ドローン200Aは、第1の実施例に係る図5のドローン200の構成に加えて圧力センサ260をさらに含んでいる。圧力センサ260以外の構成は、第1の実施例と同様である。
【0050】
図12(A)は、1つのバッテリーセルに1つの圧力センサが取り付けられた状態を正面側から見た斜視図、図12(B)は、積層された3つのセルと圧力センサおよび温度センサとの関係を示す側面図である。なお、図10と同一構成については同一番号を附してある。
【0051】
図12(A)に示すように、バッテリーセル500の平坦な主面530には、薄いシート状の圧力センサ560が貼り付けられる。圧力センサ560の大きさは、主面530よりも小さく、その厚さは、約0.5mm程度である。圧力センサ560は、例えば、ピエゾ素子のような圧電素子を含んで構成され、その端部には、検出した圧力を出力する出力線570が設けられる。圧力センサ560は、例えば、両面テープや接着剤などを用いて貼り付けるようにしてもよいし、隣接するバッテリーセル間の主面530で挟持するようにしてもよい。
【0052】
図12(B)に示すように、3つのバッテリーセル500が積層されたとき、中央のバッテリーセルの一方の側に圧力センサ560が取り付けられ、他方の側に温度センサ540が取り付けられる。また、左側のバッテリーセル500の側面にもう1つの圧力センサ560が取り付けられる。バッテリーセル500は、発火または爆発する前兆として、その主面530が凸状に膨張するとき、この膨張が圧力センサ560を押圧し、これが圧力として検出される。圧力センサ560は、膨張に応じた圧力を検出し、これをコントローラ240に提供する。
【0053】
なお、バッテリー500は、必ずしも複数のセルではなく、1つのセルから構成され、そのセルの表面に1つの圧力センサ560を取り付ける構成であってもよい。また、図10(D)に示した温度センサのときと同様に、圧力センサ560を内蔵したバッテリー500を可撓性のフィルムによって全体が封止されるようにしてもよい。
【0054】
コントローラ240は、圧力センサ230からの検出信号に基づきバッテリー230の圧力に応じたバッテリー情報を生成する。コントローラ240は、例えば、バッテリーの圧力を「低」、「中」、「高」のような複数の圧力レベルを表すテキストやグラフィックに変換したり、あるいは、バッテリーの圧力が閾値未満であれば「正常」、閾値以上であれば「異常」のようなテキストやグラフィックを生成する。そして、コントローラ240は、第1の実施例のときと同様に、生成したバッテリー情報BTを撮像カメラ210からの画像信号に合成する。
【0055】
本実施例では、バッテリー情報BTは、温度センサ220によって検出されたバッテリーの温度と、圧力センサ260によって検出されたバッテリーの圧力の双方を含む。ある態様では、コントローラ240は、バッテリー温度とバッテリー圧力が識別できるように両者の合成する位置を異ならせるようにしてもよい。
【0056】
図13に本実施例のバッテリー情報の表示例を示す。ユーザー端末のディスプレイ320Aには、撮像カメラ210で撮像された画像322が表示され、そこにはさらにバッテリーの温度324Aとバッテリーの圧力324Bとを含むバッテリー情報BTが表示される。また、画像322には、フライト情報326も表示される。
【0057】
上記したようにリチウム系バッテリーは、発火または爆発などの異常を引き起こす前兆として、バッテリーの温度が上昇したり、バッテリーの体積(または容積)が膨張することが知られている。本実施例によれば、撮像された画像からバッテリーの圧力をリアルタイムで確認することができ、バッテリーの圧力が閾値を超えたとき、バッテリーに異常が発生することを予測し、ドローンの飛行を停止させることで、バッテリーの発火または爆発を未然に防止することができる。
【0058】
なお、第2の実施例を図9に示す温度計測用モジュール(回路基板)430に適用する場合、圧力センサ560の検出信号は、例えば、デジタル入力1としてCPU438に入力されるようにしてもよいし(この場合は、圧力センサの検出信号は、A/D変換されたデジタル信号)、あるいは、温度センサ220と同様にアナログ信号として入力し、これをA/D変換した後にCPU438に入力されるようにしてもよい。CPU438は、バッテリーの温度を合成する合成位置情報とバッテリーの圧力を合成する合成位置情報をOSD432に提供し、OSD432は、合成位置情報(アドレス情報)に従いバッテリーの温度とバッテリーの圧力を表すバッテリー情報を画像信号に合成する。
【0059】
また、第2の実施例では、バッテリー監視システムがバッテリーの温度とバッテリーの圧力の双方を監視する例を示したが、これに限らず、バッテリー監視システムは、バッテリーの圧力のみを監視するものであってもよい。この場合、撮像画像には、バッテリーの温度を含まない、バッテリーの圧力に応じたバッテリー情報が合成される。そして、ユーザーは、撮像画像を介してバッテリーの圧力をリアルタイムで確認しながら、バッテリーの圧力上昇による異常を察知したとき、バッテリーの発火または爆発前にドローンの飛行を停止させることができる。
【0060】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
100:ドローンシステム
100A、100B、400:バッテリー監視システム
200、200A:ドローン
300:ユーザー端末
320A:ディスプレイ
322:撮像画像
324、324A、324B:バッテリー情報
326:フライト情報
430:温度計測用基板
432:OSD
434:センサI/F
436:ROM/RAM
438:CPU
IN1、IN2、IN3、IN4、IN5:入力端子
OUT:出力端子
500:バッテリーセル
530:主面
540:温度センサ
560:圧力センサ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13