(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】行政管理システム、行政管理方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20241226BHJP
【FI】
G06Q50/26
(21)【出願番号】P 2024099079
(22)【出願日】2024-06-19
【審査請求日】2024-08-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (学会、セミナー、投資家や顧客向けの説明会、展示会、見本市、博覧会等による公開(Web開催を含む))2023/06/20 和歌山県庁2023/07/27 藤沢市役所2023/07/31 北九州市職員に対してオンライン2023/08/04 和歌山県庁2023/08/31 北九州市役所2023/09/20 滋賀県庁2023/09/25 大田区役所2023/09/28 福井県庁2023/09/29 富山県庁2023/10/04 和歌山県職員に対してオンライン2023/10/04 三重県庁2023/10/06 株式会社NTTデータ北陸2023/10/06 石川県庁2023/10/10 宮城県仙台市青葉区本町3-8-12023/10/11 目黒区役所2023/10/20 宮崎県庁2023/11/29 マッチングピッチ2023(東京都港区虎ノ門1-17-1およびオンライン)2023/12/07 和歌山県庁2023/01/10 神奈川県庁2024/02/09 世田谷区役所2024/02/14 神奈川県庁2024/03/04 神奈川県庁2024/03/08 市川市役所2024/03/14 神奈川県庁2024/05/15 つくば市役所2024/05/17 大津町職員に対してオンライン2024/05/22 株式会社TSUNAGi社員に対してオンライン2024/05/22 和歌山県庁2024/05/23 衆議院会館2024/05/24 奄美市職員に対してオンライン2024/05/29 徳島県庁2024/05/30 広島県庁2024/06/04 Shimonoseki Add-venture Summit 2024にてオンライン2024/06/07 奈良市役所
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (ウェブサイトを通じた公開)2024/05/16 https://tasteful-rest-e21.notion.site/Build-Scrap-4c33a9c6088948bab5954de467a292e3(メール送信による公開)2023/06/28 長崎県職員に対してメール2023/09/22 さいたま市職員に対してメール2023/10/20 埼玉県職員に対してメール2023/10/30 一般社団法人熱意ある地方創生ベンチャー連合職員に対してメール2023/10/31 株式会社トラストバンク社員に対してメール2023/11/16 株式会社トラストバンク社員に対してメール2024/05/14 イシン株式会社社員に対してメール2024/05/22 広島県職員に対してメール2024/05/23 和歌山県職員に対してメール
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518355630
【氏名又は名称】株式会社WiseVine
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉本 翔生
【審査官】塚田 肇
(56)【参考文献】
【文献】特許第7457421(JP,B1)
【文献】特許第7471032(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行政管理システムであって、
行政オブジェクトは、同じ行政活動に係る対応する他の行政オブジェクトと系列に沿って関連付けて登録され、
行政活動における事業の各々に関して、科目を含む体系項目、及び前記体系項目に係る金額を関連付けて登録し、
当初予算、もしくは当初予算及び補正予算に係る前記科目及び金額が登録された前記事業について新たな補正予算の作成の要求を受け付けると、登録された前記科目に基づいて、同じ年度の登録された科目を前記新たな補正予算の要求を行う科目の候補として表示させ、
前記候補から選択された科目と関連付けて、前記新たな予算要求に係る金額を登録する、
行政管理システム。
【請求項2】
前記新たな
補正予算の生成の要求を受け付けると、登録済みの予算に
関する登録済みのデータ項目に基づいて、一又は複数のデータ項目が入力欄にプリセットされた前記新たな
補正予算のデータ項目の入力画面を表示する、
請求項1に記載の行政管理システム。
【請求項3】
行政オブジェクトは、行政活動を実行する担当に関する情報を含み、
継続する行政活動について、前記新たな
補正予算の生成の要求を受け付けると、
登録済みの行政オブジェクトに基づいて、前記新たな
補正予算の担当を登録する、
請求項1に記載の行政管理システム。
【請求項4】
前記体系項目は、予算科目体系項目、決算科目体系項目及び公会計科目体系項目を含む、
請求項1に記載の行政管理システム。
【請求項5】
登録される科目は、予算科目であって、
科目について登録され
た金額は、要求額、査定額、内示額を含み、
登録された科目及び金額に基づいて、
候補として表示される科目ごとに登録された要求額、査定額、内示額を表示させる、
請求項
1に記載の行政管理システム。
【請求項6】
科目には財源内訳が関連付けて登録され、
科目に関連付けて登録された財源内訳に基づいて、前記
新たな補正予算
の要求に係る財源内訳を新たに生成し、前記新たな補正予算
の要求に係る
科目及び金額に関連付けて登録する、
請求項
1に記載の行政管理システム。
【請求項7】
前記事業に対して、前記体系項目として、予算科目体系項目、決算科目体系項目及び財源のそれぞれが一意に関連付けられた個別出費項目が1又は複数登録され、
前記新たな
補正予算
の要求における候補の表示において、前記個別出費項目単位で前記科目の候補を表示させる、
請求項
1に記載の行政管理システム。
【請求項8】
登録された既決予算に係る前記個別出費項目に基づいて、前記新たな
補正予算
の要求を行う予算の科目の一覧
を表示させる、
請求項
7に記載の行政管理システム。
【請求項9】
前記新たな
補正予算要求に関して、
前記一覧において新規な科目の登録の要求を受け付けると、新規な科目
と前記新規な科目に関する金額
を受け付け、前記一覧に表示された科目と関連付けて登録を行う、
請求項8に記載の行政管理システム。
【請求項10】
行政管理システムであって、
継続する行政活動に係る行政オブジェクトは、同じ行政活動に係る対応する他の行政オブジェクトと系列に沿って関連付けて登録され、
行政活動における事業に対して、予算の出費先を示す1又は複数の個別出費項目が登録されると供に、前記個別出費項目毎に科目及び金額を登録し、
前記個別出費項目は、行政活動における予算の出費先に関する項目であって、
当初予算、もしくは当初予算及び補正予算に係る前記科目及び金額が登録された前記事業について新たな予算要求の作成のため、事業の指定を受け付けると、指定された前記事業の配下の前記個別出費項目に係る登録された科目を参照して、前記新たな予算要求を行う科目の候補を決定して表示させ、
前記候補から選択された科目と関連付けて、前記新たな予算要求に係る金額を登録する、
行政管理システム。
【請求項11】
コンピュータが実行する、行政管理方法であって、
継続する行政活動に係る行政オブジェクトは、同じ行政活動に係る対応する他の行政オブジェクトと系列に沿って関連付けて登録され、
行政活動における事業の各々に関して、科目を含む体系項目、及び前記体系項目に係る金額を関連付けて登録し、
当初予算、もしくは当初予算及び補正予算に係る前記科目及び金額が登録された前記事業について新たな補正予算要求の作成の要求を受け付けると、登録された前記科目に基づいて、同じ年度の登録された科目を前記新たな補正予算要求を行う科目の候補として表示させ、
前記候補から選択された科目と関連付けて、前記新たな補正予算要求に係る金額を登録する、
行政管理方法。
【請求項12】
コンピュータが実行する、行政管理方法であって、
継続する行政活動に係る行政オブジェクトは、同じ行政活動に係る対応する他の行政オブジェクトと系列に沿って関連付けて登録され、
行政活動における事業に対して、予算の出費先を示す1又は複数の個別出費項目が登録されると供に、前記個別出費項目毎に科目及び金額を登録し、
前記個別出費項目は、行政活動における予算の出費先に関する項目であって、
当初予算、もしくは当初予算及び補正予算に係る前記科目及び金額が登録された前記事業について新たな予算要求の作成のため、事業の指定を受け付けると、指定された前記事業の配下の前記個別出費項目に係る登録された科目を参照して、前記新たな予算要求を行う科目の候補を決定して表示させ、
前記候補から選択された科目と関連付けて、前記新たな予算要求に係る金額を登録する、
行政管理方法。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の行政管理方法を前記コンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、行政事業を支援する行政管理システム、行政管理方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自治体を含む行政組織では、政策、施策、事務事業などの政策体系を設定し、それらに確保された予算の範囲内で事務事業等を執行している。施策や事業に関して毎年項目ごとに評価を行い、来年度の予算や来年度も継続して行うかなどの検討会議を行う。このように、行政活動における意思決定を行うために、政策、施策、事業に関する情報を利用していた。
【0003】
特許文献1では、地方自治体の財政計画はマクロ的視点から、個別事務事業の予算査定はミクロ的視点から行われており、両者は連動していない問題の解決に向けて、個別事務事業における、歳入・歳出計画作成をルール化、綿密化、IT化して、地方自治体全体の財政計画と事務事業の管理・評価を関連付けることにより、個別計画と全体戦略の整合性を保持し、事業積上型の長期的な財政推計を可能にする技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
行政活動における予算の執行において、突発的な自然災害の発生等の予期せぬ事態によって予算が必要となった場合など、補正予算などの新たな行政オブジェクトを登録することが必要となる。このような場合において、行政オブジェクトを容易に登録できるような支援を提供することができなかった。
【0006】
本発明は、上述した課題に鑑みて、行政活動を支援する新規な技術を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]行政管理システムであって、
継続する行政活動に係る行政オブジェクトは、同じ行政活動に係る対応する他の行政オブジェクトと系列に沿って関連付けて登録され、
継続する行政活動について、既に登録済みの行政オブジェクトと対応し、かつ前記系列における位置が異なる新たな行政オブジェクトの生成の要求を受け付けると、
前記登録済みの行政オブジェクトに基づいて、前記新たな行政オブジェクトを前記登録済みの行政オブジェクトと前記系列に沿って関連付けて登録する、
行政管理システム。
[2]前記系列は、予算種別及び/又は執行年度に関する、
[1]に記載の行政管理システム。
[3]前記新たな行政オブジェクトの生成の要求を受け付けると、前記登録済みの行政オブジェクトに含まれる登録済みのデータ項目に基づいて、一又は複数のデータ項目が入力欄にプリセットされた前記新たな行政オブジェクトのデータ項目の入力画面を表示する、
[1]に記載の行政管理システム。
[4]行政オブジェクトは、行政活動を実行する担当に関する情報を含み、
継続する行政活動について、前記新たな行政オブジェクトの生成の要求を受け付けると、前記登録済みの行政オブジェクトに基づいて、前記新たな行政オブジェクトの担当を登録する、
[1]に記載の行政管理システム。
[5]前記行政オブジェクトは、前記系列に沿って一直線になるように関連付けて登録され、
前記新たな行政オブジェクトは、前記系列における一つ前の位置の登録済みの行政オブジェクトと直接関連付けて登録される、
[1]に記載の行政管理システム。
[6]行政活動に係る予算情報を管理するための行政管理システムであって、
行政活動における事業の各々に関して、科目を含む体系項目、及び前記体系項目に係る金額を関連付けて登録し、
当初予算、もしくは当初予算及び補正予算に係る前記科目及び金額が登録された前記事業について新たな補正予算要求を行う際に、登録された前記科目に基づいて、前記補正予算要求を行う科目の候補を表示させ、
前記候補から選択された科目と関連付けて、前記補正予算要求に係る金額を登録する、
行政管理システム。
[7]前記体系項目は、予算科目体系項目、決算科目体系項目及び公会計科目体系項目を含む、
[6]に記載の行政管理システム
[8]前記事業に対して、前記体系項目として、予算科目体系項目、決算科目体系項目及び財源のそれぞれが一意に関連付けられた個別出費項目が1又は複数登録され、
前記補正予算要求における候補の表示において、前記個別出費項目単位で前記科目の候補を表示させる、
[6]又は[7]に記載の行政管理システム。
[9]登録された既決予算に係る前記個別出費項目に基づいて、前記補正予算要求を行う予算の科目の候補として前記個別出費項目を一覧で表示させる、
[8]に記載の行政管理システム。
[10]前記補正予算要求に関して、新規な科目の登録を受け付け、前記新規な科目に関する金額と関連付けて登録を行う、
[8]に記載の行政管理システム。
[11]登録される科目は、予算科目であって、
登録される金額は、要求額、査定額、内示額を含み、
登録された科目及び金額に基づいて、科目ごとに特定の科目について、要求額、査定額、内示額を表示させる、
[8]に記載の行政管理システム。
[12]当初予算及び補正予算に係る予算情報が登録された事業について前記補正予算要求を行う際に、登録された同じ年度の科目に基づいて、同じ年度の登録された科目を前記補正予算要求を行う予算の科目の候補として表示させる、
[6]~[11]の何れかに記載の行政管理システム。
[13]前記事業に対して、予算の出費先を示す1又は複数の個別出費項目が登録されると供に、前記個別出費項目毎に科目及び金額を登録し、
前記個別出費項目は、行政活動における予算の出費先に関する項目であって、
前記補正予算要求を行う際に、事業の指定を受け付けると、指定された前記事業配下の前記個別出費項目に係る登録された科目を参照して、前記候補となる科目を決定する、
[6]~[12]の何れかに記載の行政管理システム。
[14]前記個別出費項目には財源内訳が関連付けて登録され、
前記個別出費項目に関連付けて登録された財源内訳に基づいて、前記補正予算要求に係る財源内訳を新たに生成し、前記補正予算要求に係る前記個別出費項目に関する科目及び金額に関連付けて登録する、
[13]に記載の行政管理システム。
[10]コンピュータが実行する、行政管理方法であって、
継続する行政活動に係る行政オブジェクトは、同じ行政活動に係る対応する他の行政オブジェクトと系列に沿って関連付けて登録され、
継続する行政活動について、既に登録済みの行政オブジェクトと対応し、かつ前記系列における位置が異なる新たな行政オブジェクトの生成の要求を受け付けると、
前記登録済みの行政オブジェクトに基づいて、前記新たな行政オブジェクトを前記登録済みの行政オブジェクトと前記系列に沿って関連付けて登録する、
行政管理方法。
[11][15]に記載の行政管理方法を前記コンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【0008】
[1]に係る発明により、行政活動において登録される行政オブジェクトについて、系列に沿って管理を行い、更に、新たな行政オブジェクトの登録の際に系列に沿った登録済みのデータを利用して登録ができる。
【0009】
[2]に係る発明により、行政活動における執行年度及び/又は予算種別ごとに登録されたデータを利用してデータの管理及び系列に沿って登録済みのデータを利用した新規な行政オブジェクトの登録を行うことができる。
【0010】
[3]に係る発明により、データ項目がプリセットされたデータ入力画面を利用して手間の少ない行政オブジェクトの登録を行うことができる。
【0011】
[4]に係る発明により、継続する行政活動に関する行政オブジェクトについて行政活動のフローに対応した担当者を新規登録の際に容易に登録することができる。
【0012】
[5]に係る発明により、系列に沿って直列に行政データを登録することができる。
【0013】
[6]に係る発明により、補正予算の登録において、当初予算又は補正予算に関する登録された科目を利用して新たな科目及び金額の登録を容易に行うことができる。
【0014】
[7]に係る発明により、予算科目体系項目、決算科目体系項目、公会計科目体系項目について科目及び金額の登録を行うことができる。
【0015】
[8]に係る発明により、補正予算の登録において、個別出費項目単位で予算科目体系項目もしくは決算科目体系項目に係る科目の候補等の表示および登録を行うことができる。
【0016】
[9]に係る発明により、補正予算の科目の候補を一覧で表示させ、一覧から選択した科目等に基づいて容易に補正予算の登録を行うことができる。
【0017】
[10]に係る発明により、予算の編成において、個別出費項目等歳出に関する項目を登録し関連付けて科目及び金額を登録することができる。
【0018】
[11]に係る発明により、予算科目について、要求額、査定額、内示額の登録を行い、科目ごとに関連付けられた複数の金額を表示することができる。
【0019】
[12]に係る発明により、年度内で同じ経費が継続している場合などにおいて、登録済みの科目を補正予算の科目の候補として表示させ、容易に補正予算の登録を行うことができる。
【0020】
[13]に係る発明により、事業ごとの関連する科目と金額を容易に確認することができる。
【0021】
[14]に係る発明により、予算に関する出費項目について、科目だけではなく、財源についても登録済みの予算に関する情報を利用して容易に登録を行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、行政活動を支援する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図3】本実施形態の政策体系のツリー構造及びデータ構造のイメージ図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に関する行政管理システム、行政管理方法及び、行政管理プログラムについて説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではなく、様々な構成を採用することもできる。
【0025】
本実施形態では、行政管理システムが行政管理システムとして当初予算、もしくは当初予算及び補正予算にかかる科目及びその科目に関する金額が登録された事業(事務事業、細事業)について新たな補正予算の登録を行う場合の例について説明を行う。
【0026】
本実施形態では、行政管理システム、行政管理装置の構成、動作等について説明を行うが、同様の構成の行政管理方法、コンピュータのプログラム及び当該プログラムを記録したプログラム記録媒体等も、同様の作用効果を奏する。プログラム記録媒体を用いれば、例えば、コンピュータに当該プログラムをインストールすることができる。以下で説明する本実施形態に係る一連の処理は、コンピュータで実行可能なプログラムとして提供され、CD-ROMやフレキシブルディスクなどの非一過性コンピュータ可読記録媒体、更には通信回線を経て提供可能である。
【0027】
<用語について>
行政組織とは、国や地方自治体などの官公庁、省庁、公共団体を含む行政を運営する組織であり、本実施形態では、地方自治体を例とする。本発明に係る行政管理システムは、行政組織で利用され、行政活動における意思決定を支援する。
【0028】
政策体系とは、政策-施策-事務事業の3階層で区分された課題体系である。本実施形態では、施策は、施策とその配下の施策(細施策と呼称する)を含む複数階層(2階層)の区分を含むものとし、
図3(a)に示すような政策-施策-細施策-事務事業の4階層で区分された課題体系を用いて事務事業の管理を行う場合について例示する。例えば、課題体系が3階層や5階層以上で区分がされ、事務事業の管理が行われてもよい。また、政策及び/又は事務事業が、2階層以上の区分を含むものであってもよい。
政策とは、特定の行政課題に対応するための基本的な方針実現を目的とする行政活動の大きなまとまりであり、制定された行政区分(市区町村等)におけるまちづくりの方向性や目的を示すものである。
施策とは、政策における基本的な方針に基づく、具体的な方針の実現を目的とした行政活動のまとまりであり、政策を実現するための方策や対策を示す。また、細施策は施策毎に方策や対策を更に細分化したものである。
事務事業とは、施策(細施策)における具体的な方針を具体化する為の個々の行政手段としての事務及び事業である。事務事業は、行政区分に所属する各局における予算を元に、各局により実施される。
【0029】
行政オブジェクトとは、行政活動の中で扱う目的物を指す。本実施形態では、行政オブジェクトとして、個別の政策体系項目(政策、施策、細施策、事務事業)、内訳項目(個別出費項目、積算項目)等の体系項目を管理することとするが、例えば、議員の質問に対して行政機関等の執行機関が作成を行う本会議答弁や委員会答弁、事務事業の計画・執行・評価段階や、議会・委員会等で収集され、次期以降の行政課題立案の元となる課題等についても行政オブジェクトとして扱ってもよい。行政オブジェクトは、データベースDBにおいて行政データとして管理される。本実施形態において、階層で区分されたデータ項目である行政オブジェクトは、例えば、事務事業の中に個別出費項目が含まれるなど、上位の階層の行政オブジェクトに下位の階層の行政オブジェクトが含まれるように構成される。また、行政オブジェクトに下位の階層の行政オブジェクトが複数含まれていてもよい。
【0030】
また、行政オブジェクトは、
図3(b)に示すように系列(例えば、時系列や行政活動における段階に関する系列)に沿って系列における位置(時点/段階)ごとに登録される。本実施形態では、行政オブジェクトは、事務事業の階層では執行年度ごと、個別出費項目の階層では執行年度及び予算種別ごとなど、執行年度及び/又は予算種別ごとに登録されるデータであるが、系列における複数の位置のデータを含む総括的なデータ(例えば、2023年度事務事業Aと2024年度事務事業Aを含む事務事業Aというデータ等)として登録されるデータであってもよい。行政オブジェクトは、本実施形態では、
図3に示すように、政策体系等の体系に基づく関連付け及び継続する事務事業に関する系列に基づく関連付けによって紐づけて登録されることで、行政活動の課題体系及び継続する行政活動における時系列的な位置づけ又は予算種別に基づいて、行政活動に係るデータの管理を行うことができる。また、本実施形態では、行政オブジェクトは、執行年度IDや予算種別ID等の識別情報によって関連付けて登録される。また、行政オブジェクトとして登録される事務事業等の政策体系項目は、新規登録の際に、例えば、2024年度事務事業Aのデータが2023年度事務事業Aのデータに紐づけて登録されるなど、前年度(又は時系列的に一つ前の)の対応する事務事業と紐づけて登録される。本実施形態では、政策体系項目に係る行政オブジェクトは、時系列に沿って一直線になるように他の行政オブジェクトと紐づけて登録されることで、例えば、2023年度と2024年度の事務事業のデータを比較するような時系列に沿った差分表示など、時系列に沿ったデータの管理及び表示を容易に行うことができる。本実施形態では、例えば、最初の時点では廃止が決まっていないため、2021年度事務事業Aのデータと紐づけて登録されたが中身のデータ項目が登録されていない2022年度事務事業Aのデータが存在している場合に、2024年度に事務事業Aの復活が決まったとき、新たに登録される2024年度事務事業Aのデータは、2021年度事務事業Aのデータではなく、2022年度事務事業Aのデータと紐づけて登録される。このように、一時的に休止又は廃止され、前年度行われなかった事務事業に関して、事業が復活され、新たに事務事業情報が登録されるなど、時間があいて継続する事業について新たに行政オブジェクトが登録される場合には、休止又は廃止する時点で最後に登録された行政オブジェクトに対して新たな行政オブジェクトを紐づけて登録する。
【0031】
図3(b)に示す、事務事業Aに関して継続している費用に関する個別出費項目A1を例として説明する。個別出費項目A1は、2023年度及び2024年度に継続している予算に関する。本実施形態において、2023年度の個別出費項目A1(当初)、2023年度の個別出費項目A1(6月補正)、2023年度の個別出費項目A1(9月補正)を含む2023年度の個別出費項目A1は、本実施形態では上位の階層の事務事業Aを介して関連付けられているが、直接関連付けられて登録されていてもよい。系列とは、継続する行政活動における時系列又は行政活動に係るワークフローに関する系列であって、本実施形態では、時系列に関する系列として執行年度に関する系列、行政活動に係るワークフローに関する系列として予算種別に関する系列を含む。本発明では、このような系列に関する関連付けを用いて継続する行政活動について対応する行政オブジェクトに関するデータを取得し、後述する処理に利用する。
【0032】
トピックとは、行政オブジェクトを目的物として実行される行政活動の段階的な区分を示す。トピックは行政オブジェクトの種類毎に1又は複数定義され得る。本実施形態では、例えば、事務事業を目的物とする場合は「予算編成>要求」、「予算編成>査定」、「予算編成>内示」、「予算編成>議決」、「予算執行」、「決算」、「行政評価」等の経時的に並んだ複数の区分をトピックと定義する。上記は一例であり、これらとは異なる区分、抽象化された区分、細分化された区分等が定義されてもよい。
また、トピックの細分化は、トピックを複数のレイヤーで階層化することで行われてもよい。例えば、「予算編成>○○」トピックに代えて「当初予算編成(以降“当初”と呼称する)>○○」及び「補正予算編成(以降“補正”と呼称する)>○○」等の区分が定義されてもよい。本実施形態では、後述する事務事業情報が予算種別(例えば、当初予算、補正予算号数、繰越、現計)及び予算編成ステータス(例えば、「要求」、「調整中」、「査定」、「内示・議決」)設定され、予算編成に係るトピックを区別可能に構成される。
【0033】
<行政活動の概略>
地方自治体における行政活動の流れについて、一例を説明する。行政活動は、予算編成段階、予算執行段階、行政評価段階などの各段階(トピック)を1年度単位で順次実施していく。予算編成段階では、次期執行年度に実施する事務事業を決定する等、政策体系の実施内容を計画し、計画された政策体系に対して予算要求、査定、内示、議決などを経て予算編成を行う。予算執行段階では、予算編成された予算を用いて、事務事業などの政策体系を執行する。行政評価段階では、執行された政策体系についてその実績などを評価する。
【0034】
<システム構成>
図1は、行政管理システム1のシステム構成図を示す。行政管理システム1は、行政管理装置2と、利用者端末3と、データベースDBと、を備え、各構成部はそれぞれ通信ネットワークNWに接続される。例えば、通信ネットワークNWは、総合行政ネットワーク(LGWAN:Local Government Wide Area Network)を含み、総合行政ネットワークを経由して、行政管理装置2とデータベースDB、行政管理装置2と利用者端末3が接続される。
【0035】
行政管理システム1(行政管理装置2)は、事務事業に係る行政活動を運用・管理する為のプラットフォームを提供する。行政管理装置2は、機能構成要素として、登録部21と、表示処理部22と、を備える。
【0036】
利用者端末3は、行政組織に属する利用者等が利用する端末装置である。利用者端末3は、少なくとも行政組織内に複数設置される。
【0037】
本実施形態において、利用者は、行政組織内の特別職(首長等)や、財政課等、官房部門の利用者、課長、部長、土木部(局・課)や農林水産部(局・課)等、原局・原課の利用者・統括(課長、部長等)などを含む。例えば、原課利用者は、事務事業の計画書等の事業帳票の作成や、予算要求書作成、予算執行、行政評価書作成などの業務を実施する。官房利用者は、原課利用者への予算要求書作成依頼、予算要求書の評価などの業務を実施する。課長・部長、特別職は、利用者による成果物の確認、計画書に基づく重点事業選定、優先順位付け、財政課利用者により承認された予算要求書の査定などの業務を実施する。本実施形態では、各利用者に対して所定の操作権限を設けており、操作権限に応じた所定の機能の許可や制限を制御している。
【0038】
<ハードウェア構成>
図2(a)は、行政管理装置2のハードウェア構成図を示す。行政管理装置2は、ハードウェア構成として、制御部201と、記憶部202と、通信部203と、を備える。本実施形態において、行政管理装置2は、サーバ装置、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置を用いることができる。なお、行政管理装置2は、複数のコンピュータ装置により構成され、全体として上述の機能構成要素(21-22)を実現できればよく、
図2(a)に示す構成に限定されるものではない。
【0039】
制御部201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などの1つ以上のプロセッサにより構成され、行政管理プログラムやOS(Operating System)、その他のアプリケーションを実行することで、行政管理装置2における全体処理を制御する。記憶部202は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などであって、行政管理プログラムおよび各種データを記憶する。通信部203は、通信ネットワークNWとの通信制御を行い、利用者端末3、及びデータベースDBとのデータ通信を実現する。制御部201は、行政管理プログラムを実行することで、コンピュータを行政管理装置2として機能させ、行政管理方法を実行させる。
【0040】
データベースDBは、図示例ではLGWAN等を含む通信ネットワークNW経由でアクセス可能なデータベースサーバであるが、例えば、行政管理装置2を構成する制御部201及び記憶部202を用いて実現されてもよいし、行政管理装置2とLAN等を介して接続されてもよい。
【0041】
図2(b)は、利用者端末3のハードウェア構成図を示す。利用者端末3は、ハードウェア構成として、制御部301と、記憶部302と、通信部303と、入力部304と、出力部305と、を備える。本実施形態において、利用者端末3は、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット端末などを用いることができる。
【0042】
制御部301は、CPUなどの1つ以上のプロセッサにより構成され、OS、その他のアプリケーションなどを実行することで、利用者端末3における全体処理を制御する。記憶部302は、HDD、SSD、フラッシュメモリ、RAMなどであって、ブラウザアプリケーション、および各種データを記憶する。通信部303は、通信ネットワークとの通信制御を行い、少なくとも行政管理システム1とのデータ通信を実現する。入力部304は、利用者による入力操作を受け付ける入力インターフェイスであって、マイク、タッチパネル、マウス、キーボードなどにより構成される。出力部305は、表示出力するディスプレイなどにより構成される。
【0043】
<データ構成>
まず、本実施形態に係る行政管理システム1におけるデータ構成について説明する。データベースDBには、組織マスタと、利用者マスタと、政策・施策マスタと、予算科目マスタと、行政指標マスタと、執行年度毎の事務事業情報(行政データ)が格納される。
【0044】
組織マスタには、行政組織内又は行政組織内外の組織に関するデータ項目のマスタデータとして、データ項目間の紐付けによってツリー構造の組織体系を表す組織体系項目が格納される。本実施形態では、組織マスタには、組織体系項目として、組織情報、及び部門情報が格納される。組織情報は、組織の識別情報(組織ID)、及び組織名が格納される。部門情報は、組織における部門(部局課室等)の識別情報(部門ID)、部門が属する組織の識別情報(組織ID)、部門が属する上位部門の識別情報(部門ID)、及び部門名が格納される。後述する利用者の所属部門や、政策・施策・事務事業の担当部門等は、組織体系項目に基づいて、各種情報に識別可能に登録される。
【0045】
利用者マスタには、組織内の利用者情報が格納される。利用者情報は、利用者の識別情報(利用者ID)、氏名、所属部門(組織体系項目)、等を有する。なお、1又は複数の利用者の集合である利用者グループが定義可能であってもよい。例えば、利用者グループの識別情報(利用者グループID)と、利用者グループに属する利用者の識別情報、グループ名等を有する利用者グループ情報によって利用者グループが定義されてもよいし、組織体系項目等の共通の属性を有した利用者を利用者グループとして扱ってもよい。事前に定義される利用者グループに含める利用者は任意に選択可能であってもよいし、共通の属性を有する利用者グループの中から選択可能であってもよい。利用者グループは、任意に設定されたグループ名やグループの特徴を表す属性名によって指定される。
【0046】
政策・施策マスタには、政策・施策に関するデータ項目のマスタデータとして、データ項目間の紐付けによってツリー構造の政策・施策体系を表す政策・施策体系項目が格納される。本実施形態では、政策・施策マスタには、政策・施策体系項目として、政策情報及び施策情報が格納される。政策情報/施策情報は、政策/施策の識別情報(政策ID/施策ID)、政策番号/施策番号、政策名/施策名、担当部門(部局課室等)、政策の目的/施策の目的、政策概要/施策概要、を含む。また更に、施策情報は、対応する主要政策の識別情報(政策ID)を含む。
【0047】
科目マスタには、予算科目体系・決算科目体系・公会計科目体系を示すデータ項目のマスタデータとして、データ項目間の紐付けによってツリー構造の予算科目体系を表す予算科目体系項目、及び決算科目体系を表す決算科目体系項目、公会計科目体系を示す公会計科目体系項目が格納される。
本実施形態では、予算科目マスタには、予算科目体系項目として、予算科目情報が格納される。予算科目情報は、予算科目の識別情報(予算科目ID)、予算科目が属する上位予算科目の識別情報(予算科目ID)、予算科目種別(款項目節細節の何れか)、及び予算科目名を含む。
決算科目マスタには、決算科目体系項目として、歳出内訳目的情報、及び、予算性質情報が格納される。歳出内訳目的は、事務事業に紐付けされる歳出の目的を示し、決算トピックにおける決算統計等に利用される。歳出内訳目的情報は、歳出内訳目的の識別情報(歳出内訳目的ID)、歳出内訳目的が属する上位歳出内訳目的の識別情報(歳出内訳目的ID)対応する予算科目(款、項、又は目)の識別情報(予算科目ID)、歳出内訳目的の種別(本実施形態では、大分類・中分類・小分類の三種類)、及び歳出内訳目的名を含む。予算性質は、節細節配下に設定される予算の性質を示し、予算性質情報は、予算性質の識別情報(予算性質ID)、予算性質が属する(対応する)予算科目(節又は細節)の識別情報(予算科目ID)、又は上位予算性質の識別情報(予算性質ID)、予算性質の種別(本実施形態では、大分類・中分類・小分類・細分類の四種類)、及び予算性質名を含む。
公会計科目マスタには、公会計科目体系項目として、公会計科目情報が格納される。公会計科目情報は、公会計科目の識別情報と公会計科目が属する上位の公会計科目の識別情報(公会計科目ID)、公会計科目名を含む。
【0048】
本実施形態において、
図3に示す政策体系ツリー構造と行政指標ツリー構造は、対応関係にある。政策体系ツリー構造は、政策階層T11、施策階層T12、細施策階層T13及び、事務事業階層T14を有する。行政指標ツリー構造は、長期指標階層T21、長期指標階層T22、長期指標階層T23及び、中期指標/経過指標階層T24を有する。政策階層T11と長期指標階層T21、施策階層T12と長期指標階層T22、細施策階層T13と長期指標階層T23、事務事業階層T14と中期指標/経過指標階層T24がそれぞれ対応付けられている。政策・施策・細施策・事務事業に関して、対応関係にある行政指標情報を参照することができる。政策体系に関する情報及び行政指標情報は、対応関係にある相手の識別情報(政策体系に関する政策IDや施策ID等のID又は行政指標ID)を持つことで、双方に参照可能である。行政管理装置2は、対応付けする政策情報、施策情報又は事務事業情報、並びに、行政指標情報(行政指標体系項目)のそれぞれの指定を受け付け、指定された政策・施策・事務事業に行政指標を対応付けて記憶部202に記憶する。
【0049】
事務事業には、各事務事業に内包された分解可能性を有する要素である内訳項目が設定される。本実施形態では、内訳項目として、事務事業毎に、1又は複数の細事業が紐付けられ、細事業には、予算の出費目的や出費先を示す個別出費項目が紐づけられる。個別出費項目は、予算額等を示す積算項目、並びに、その財源を示す財源内訳を含む。
【0050】
また、個別の事務事業又は細事業には、組織体系項目、政策・施策体系項目、予算科目体系項目、行政指標体系項目が紐づけられる。本実施形態では、事務事業に対して1又は複数の組織体系項目、1又は複数の政策・施策体系項目、1又は複数の行政指標体系項目、並びに、款項目に係る予算科目体系項目が紐付けられると共に、細事業に対して、節細節に係る予算科目体系項目が紐付けられるデータ構造を採る。また、任意のトピックにおいて、個別の事務事業、細事業又は個別出費項目に、その内容を表すラベルが設定されてもよい。本実施形態では、事務事業に対して、重点事業であることを示すラベルが、個別出費項目には義務的経費であることを示すラベルや、継続事業等の予算額の増減を示すラベル等が設定される。
【0051】
事務事業情報は、個々の事務事業に関する行政データであり、執行年度毎に登録される。本実施形態では、事務事業情報は、事務事業に係る基本情報(事務事業基本情報)と、当該事務事業に関する行政指標情報、予算情報、財源情報、及び支出・収入情報を含む。
事務事業情報の基本情報(事務事業基本情報)は、事務事業の内容に関する情報であり、基本情報の(即ち事務事業情報の)識別情報(事務事業ID)、関連行政データ、事務事業名、当該事務事業が属する主要政策・施策(政策・施策体系項目)、事業開始年度、執行(予定)年度、予算種別(例えば、当初予算、補正予算号数、繰越、現計)、トピック、事務事業の予算額、事務事業の歳入額、予算名、所属部局庁(組織体系項目)、担当部門(組織体系項目)、会計区分、事務事業ステータス(例えば、「新規」、「拡充」、「縮小」、「休止」、「廃止」)、予算編成ステータス(例えば、「要求」、「調整中」、「査定」、「内示・議決」)、款項目(予算科目体系項目)、歳出内訳目的の大分類・中分類・小分類(決算科目体系項目)、経費分類、事務事業の予算額等を含むと共に、任意項目として、事務事業目的、事務事業概要、 根拠法令、関連する計画・通知等、現状・課題、事業終了(予定)年度、備考欄、重点課題(行政指標体系項目)等、事業に係る種々の情報を含む。また、事務事業情報には、PR資料等の添付資料、帳票が紐づけられてもよい。また、年度の途中で補正予算が編成される場合など、年度内に複数回予算編成が行われる場合、同様の事務事業に関して予算種別ごとに複数の事務事業情報が関連づけて登録されてもよい。
【0052】
予算情報は、例えば、トピック毎(例えば、「予算編成>要求」、「予算編成>査定」、「予算編成>内示・議決」)の予算額(歳出額)、個別の出費項目名、及び科目を含む体系項目を含む。本実施形態では、予算情報は、体系項目として、出費項目の節細節(予算科目体系項目)、予算性質の大分類・中分類・小分類・細分類(決算科目体系項目)、及び公会計科目体系項目を含む。予算額は、予算編成の「要求」段階において見積もられた予算額である要求額、「査定」段階において要求額から必要に応じて調整された予算額である査定額、「内示」された予算額である内示額等であり、本実施形態では、各事務事業情報は、有する個別出費項目毎に、各段階の予算額のそれぞれを保持可能に構成される。
【0053】
財源情報は、個々の予算額に対する1又は複数の財源を示し、例えば、財源名、予算情報に対して充当される歳入額、及び節細節(予算科目体系項目)を含む。例えば、歳入額も予算額と同様に各トピックと紐づき、例えば、予算編成の「要求」段階において見積もられた歳入額である歳入要求額、「査定」段階において歳入要求額から必要に応じて調整された歳入額である歳入査定額、「内示」された歳入額である歳入内示額をそれぞれ保持可能に構成される。
【0054】
本実施形態では、政策情報、施策情報、事務事業情報は、執行年度毎に登録され、数カ年実施される政策同士・施策同士、継続や統合等された異なる執行年度の関連する事務事業同士が対応付られる。また、事務事業は、内訳項目によって4階層のツリー構造に細分化(事務事業>細事業>個別出費項目>積算項目)され、これら内訳項目も執行年度毎に登録される。事務事業は1又は複数の細事業を、細事業は1又は複数の個別出費項目を含む構造を採り、事務事業情報は、事務事業の内容を表す事務事業レイヤーのデータ項目である事務事業基本情報、細事業の内容を表す細事業レイヤーのデータ項目である細事業情報、及び個別出費項目の内容を表す個別出費項目レイヤーのデータ項目を含む。個別出費項目は、予算の出費目的や出費先を示す事務事業(本実施形態では細事業)の内訳項目であり、節細節(予算科目体系項目)及び予算性質別の予算額(積算項目)が対応付けられる。また、好ましくは、その予算額に対応する歳入額(財源内訳)が対応付けられる。本実施形態では、個別出費項目に対して予算科目体系項目、予算性質(決算科目体系項目)、財源内訳の3つが関連付けて登録される。積算項目は、個別出費項目に1又は複数含まれ、積算されることで事務事業又は上位の内訳項目の予算額を示す積算項目情報により登録される。財源内訳は、個別出費項目毎に0又は1含まれ、事務事業又は上位の内訳項目の歳入額を示す財源内訳情報によって登録される。
【0055】
細事業情報は、細事業の識別情報(細事業ID)、関連する事務情報の識別情報(事務事業ID)、細事業名、細事業概要、細事業ステータス(例えば、「新規」、「拡充」、「縮小」、「休止」、「廃止」)、細事業の予算額等、細事業に係る種々の情報を含む。
【0056】
個別出費項目は、対応する細事業に係る行政活動に必要となる出費項目を示し、予算情報のうち、特に予算科目体系項目、決算科目体系項目及び公会計科目体系項目のそれぞれが一意に登録された出費項目を指す。個別出費項目情報は、個別出費項目の識別情報(個別出費項目ID)、関連する細事業の識別情報(細事業ID)、個別出費項目名、個別出費項目の予算額、個別出費項目グループラベル、個別出費項目概要、節細節(予算科目体系項目)、性質(予算性質:予算科目体系項目)を含む。
積算項目は、個別出費項目に含まれた個別具体的な出費項目であり、積算項目情報は、積算項目の識別情報(積算項目ID)、関連する個別出費項目の識別情報(個別出費項目ID)、積算項目名称、各トピックにおける予算額、執行予定四半期、積算項目概要、積算根拠(数式等)を含む。
財源内訳は、個別出費項目の財源を示し、財源情報は、財源の識別情報(財源ID)、関連する個別出費項目の識別情報(個別出費項目ID)、財源名称、各トピックにおける歳入額、財源充当率、財源区分(一般財源、特定財源)、款項目節細節(予算科目体系項目)、担当組織/担当部門(組織体系項目)、充当根拠、充当理由を含む。
【0057】
本実施形態では、事務事業は4階層のツリー構造に細分化されており、事務事業の予算額は事務事業配下の細事業の予算額の総額、細事業の予算額は細事業配下の個別出費項目の予算額の総額、個別出費項目の予算額は個別出費項目配下の積算項目の予算額の総額によって与えられる。即ち、事務事業情報の登録に際して、登録部21は、積算項目の予算額について登録することで、個別出費項目、細事業、及び事務事業の予算額についても登録がされる。歳入額についても同様である。
【0058】
支出・収入情報は、執行期間中に、予算執行の為に随時登録される支出及び/又は収入に係る情報である。支出・収入情報は、支出・収入の識別情報(支出・収入ID)、執行対象予算の内訳項目の識別番号、支出・収入項目名、支出・収入額、及び節細節(予算科目体系項目)等を含む。執行対象予算として、本実施形態では、支出・収入情報に個別出費項目が紐付けられるものとするが、積算項目を紐づけるようにしてもよい。
【0059】
本実施形態では、個別出費項目に対して予算科目体系・決算科目体系(節細節)が紐づいている例について説明を行っているが、更に、科目体系として個別出費項目の節細節に対して公会計における科目である公会計科目が1対1で紐づいていてもよい。公会計科目は、財務書類である一般会計等貸借対照表、一般会計等行政コスト計算書及び純資産変動計画書、一般会計等資金収支計算書等の国や地方自治体等の公共サービスを提供する組織における会計についての複式の科目であり、1又は複数の階層により体系立ててデータベースに格納される科目である。地方公会計とは、地方公共団体において統一的な基準として設定され、行政の財政の透明性を高め、住民への説明責任を果たすとともに、財政の効率化・適正化を図るため、現在の地方公共団体が運用している現金主義・単式簿記による予算・決算制度を補完する目的で運用される官庁会計制度を指す。後述する集計に関する処理では、集計部23は、この会計科目を軸として検索条件に該当する歳入及び/又は歳出の検索を行い、歳入額及び/又は歳出額の集計を行ってもよい。公会計科目が紐づけられた個別出費項目は、貸借対照表等の財務書類の作成に利用される。
【0060】
<機能構成>
以下、行政管理システム1における機能構成の説明を行う。本実施形態では、当初予算、もしくは当初予算及び補正予算について、科目及びその科目に係る金額が登録された事業(事務事業、細事業)について新たな補正予算要求を行う際の説明を行う。以下に示す例では、行政オブジェクトとして個別出費項目が複製され、更に、複製された個別出費項目に含まれる科目や金額等のデータ項目の複製が行われる際の例について説明を行うが、その他の階層の行政オブジェクトに関して後述する処理と同様の処理が行われてもよい。また、ここで言う、当初予算、もしくは当初予算及び補正予算について、科目及びその科目に係る金額が登録された事業(事務事業、細事業)について新たな補正予算要求を行う際とは、当初予算、もしくは当初予算及び補正予算に関する科目及び金額が登録済みの事業(事務事業、細事業)について、補正予算の登録のため、表示処理部22が利用者端末3より予算の登録画面(本実施形態では、事業詳細画面)の表示要求を受け付けたときである。本実施形態では、既に議決された予算(予算編成ステータスが議決である予算)等、既に決定された既決予算に関する情報を参照して新たな補正予算の登録に関する処理を行うが、その他のステータスの予算に関する情報を参照して登録が行われてもよい。また、対応する予算とは、執行年度、予算種別、予算編成ステータスの何れか又は複数が異なるが、同様の事務事業配下の個別出費項目に係る予算(例えば、「次期給与システム開発事業費」という事務事業配下の2024年度当初予算の「旅費」と2024年度9月補正予算の「旅費」)等の、系列に沿って関連付けられた対応する行政オブジェクト(事務事業、細事業、個別出費項目、積算項目等)に係る予算である。
【0061】
一般的な行政活動における行政管理を行うためのシステムでは、予算種別(当初、補正等)ごとに事務事業にかかる費用などの事務事業に関する情報を含む予算に関する情報が登録されているが、本実施形態における行政管理システム1では、事務事業ごとに予算種別が異なる積算項目や財源内訳等の個別出費項目に係るデータの登録を行うことで、行政活動における事業単位で予算種別に応じた情報の登録及び表示を行うことができる。
【0062】
また、本実施形態では、個別出費項目が複製され、その配下の積算項目が複製又は新たに登録されることで、補正予算の科目及び金額(予算額)の登録が行われる場合の例について説明を行うが、例えば、細事業や、積算項目等、他の階層のデータ項目に関してデータ項目の複製が行われ、補正予算に関する科目及び金額の登録等の予算の登録に係る処理が行われてもよい。また、本実施形態では、個別出費項目に対して予算科目体系項目、決算科目体系項目、財源内訳が関連付けて登録されることで情報の粒度が揃えられ、個別出費項目は、予算編成及び決算統計等に利用される。
【0063】
<登録部21>
登録部21は、利用者端末3を介して、組織情報、部門情報、利用者情報、政策情報、施策情報、事務事業情報、予算科目情報、成果指標情報、経過指標情報等の行政に係るデータの入力を受け付け、データベースDBに格納する処理を行う。例えば、登録部21は、事前に、組織情報、部門情報、利用者情報、政策情報、施策情報、予算科目情報を受け付けてデータベースDBに格納しておき、予算編成の段階では、事務事業情報を受け付け、データベースDBに格納する。また、執行の段階では、登録部21は、経過実績情報及び支出・収入情報の登録を受け付け、行政評価又は決算の段階では、成果実績情報等の登録を受け付ける。
【0064】
また、登録部21は、予算の編成の段階において、科目を含む体系項目及び金額を受け付け、データベースDBに格納することで予算の登録を行う。体系項目とは、ツリー構造等によって体系づけられた行政オブジェクトであって、本実施形態では、予算科目等の科目を含む。本実施形態では、登録部21は、予算の登録において、事業の各々に関して体系項目として内訳項目(個別出費項目、積算項目等)の登録を行うが、体系項目として財源内訳を登録してもよい。本実施形態において、登録される科目は、予算科目体系項目に係る科目(予算科目)であるが、決算科目体系項目に係る科目(決算科目)、公会計科目体系項目に係る科目(公会計科目)であってもよい。登録部21は、利用者により指定された事業(事務事業、細事業)の配下の個別出費項目に関して、予算科目等の科目と共に予算額等の金額を受け付け、関連付けてデータベースDBに登録する。また、本実施形態では、登録部21は、個別出費項目に対応する科目(予算科目)及び個別出費項目配下の積算項目について金額(予算額)の登録を受け付けることで予算の登録を行うが、事務事業について何れの階層の項目(事務事業、細事業、個別出費項目、積算項目)について科目及び金額の登録を受け付けることで予算の登録を行ってもよい。
【0065】
登録部21は、登録済みの個別出費項目又は個別出費項目と紐づいた項目(積算項目等)についての当初予算又は補正予算に関する情報(個別出費項目情報等)に基づいて、金額以外のデータ項目(個別出費項目名、歳出科目(節細節:予算科目体系項目)、性質(予算性質:決算科目体系項目)、繰出先会計名称(会計区分:一般会計/特別会計)等)を複製し、利用者から受け付けた金額(予算額等)と併せてデータベースDBに格納することで、新たな補正予算に係る体系項目(本実施形態では個別出費項目)の登録を行う。また、登録部21は、補正予算に係る個別出費項目の登録において、個別出費項目と関連付けて登録された積算項目に関する情報(予算種別、予算金額)及び財源内訳に関する情報(財源区分、歳入額)を複製し、補正予算に係る新たな積算項目/財源内訳として複製により新たに生成された補正予算に係る個別出費項目と関連付けて登録してもよい。本実施形態では、補正予算に関する新たな個別出費項目は、複製元の個別出費項目と同じ、又は対応する上位の項目(事務事業、細事業)と関連付けてデータベースDBに格納されるが、複製元の個別出費項目と関連付けて登録されてもよい。ここで言う対応する項目とは、同じ事務事業における同様の費用に関する項目(例えば、個別出費項目名が同じ)であるが執行年度や予算種別(当初予算、補正予算号数等)が異なる個別出費項目など、執行年度及び/又は予算種別が異なる関連付けて格納されるツリー構造の同じ階層に係る項目(本実施形態では個別出費項目)である。また、複製した科目を利用した補正予算の個別出費項目の登録において、複製元の個別出費項目の配下の積算項目等についても金額以外のデータが複製された新たな積算項目が生成され、補正予算に関する新たな個別出費項目と関連付けて登録されてもよい。また、予算額等の金額も複製されてもよく、科目又は項目に係る金額が予め登録されてもよい。このとき、複製され、登録される金額は内示額であるが、その他の予算編成ステータスにおける金額(例えば、要求額、査定額等)であってもよい。また、本実施形態では、予算要求の際の要求額の欄に内示額から複製した金額が登録されるなど、登録される欄とは予算編成ステータスが異なる金額が複製され、登録される。
【0066】
登録部21は、登録済みの予算に関する情報に基づいて複製された科目及び利用者により入力された金額を関連付けて登録する。本実施形態では、登録部21は、当初予算及び又は補正予算に関する登録済みの予算についての個別出費項目情報と、利用者により入力された金額(予算額等)と、に基づいて、科目等の他のデータ項目が登録済みの予算から複製された、補正予算に関する新たな個別出費項目の登録を行う。また、本実施形態では、登録部21は、登録済みの予算に関する個別出費項目に対して紐づけられた財源内訳に基づいて、補正予算における新たな財源内訳を生成し、補正予算に係る新たな個別出費項目と関連付けて登録する。
【0067】
本実施形態では、登録部21は、利用者端末3において入力された金額及び、登録済みの予算における個別出費項目に関する情報(個別出費項目情報等)に基づいて、新たな個別出費項目情報を生成し、格納することで補正予算の登録に関する処理を行う。また、登録部21は、登録済みの予算に関する情報に基づいて、補正予算における項目の候補の個別出費項目について、事前に金額が空白又は0円である個別出費項目情報を生成し、利用者端末3から個別出費項目の指定及び金額の入力を受け付けると、生成した個別出費項目情報の金額を変更することで、金額及び科目の登録を含む補正予算の登録を行ってもよい。
【0068】
<表示処理部22>
表示処理部22は、データベースDBに格納されたデータに基づいて、事業詳細画面を含む各種ページを表示処理する。事業詳細画面は、指定された事業の詳細な情報を表示するための画面であって、利用者端末3において表示される。利用者端末3において、詳細を確認する事業の指定がされると、表示処理部22は、事業詳細画面を表示処理する。
【0069】
本実施形態において、表示処理部22は、登録を行う事業(事務事業・細事業)について、補正予算の登録が選択されると、登録済みの当初予算又は補正予算に関する科目を参照し、登録される科目の候補が表示された事業詳細画面を表示処理する。このとき、表示処理部22は、同じ事業に関して既に登録された当初予算、もしくは当初予算及び補正予算に関するデータに基づいて、科目の候補が表示された事業詳細画面を表示させる。
【0070】
<画面表示例>
以下、
図4~5を用いて表示処理部22により表示される画面の表示例を示す。また、本実施形態において説明する例は、補正予算の編成の段階で表示される補正予算の入力及び表示を行う場合について説明を行うが、当初予算の入力及び表示についても同様に予算の入力及び表示が行われてもよい。
【0071】
利用者端末3より予算の登録を行う事業の指定を受け付けると、表示処理部22は、指定された事務事業について、
図4、5に示すような指定された事業について詳細を表示する事業詳細画面W1、W2を表示処理する。表示処理部22は、予算種別として当初が選択されると、
図4に示すような事業詳細画面W1を表示させ、予算種別として6月補正が選択された場合では、
図5に示すような事業詳細画面W2を表示させる。
図4及び5に示す画面では、指定された事業(「次期給与システム開発事業費」)と関連付けられた特定の個別出費項目(「委託料」)の表示を行っているが、例えば、節以下や性質等が同じ個別出費項目の情報を集計して表示してもよい。
【0072】
図4は、利用者端末3において指定された事務事業についての当初予算の入力画面及び、表示画面として機能する事業詳細画面W1の画面表示の例である。また、
図5を利用して説明する補正予算の登録の際における処理については、
図4に示す事業詳細画面W1に表示されている事務事業(「次期給与システム開発事業費」)の補正予算が登録及び表示される場合の例について説明を行う。本実施形態では、補正予算の編成において、同じ事業についての同年度の登録された当初予算及び/又は補正予算の科目を利用して補正予算の登録が行われるが、例えば当初予算の編成の際など、同じ事務事業の昨年度における当初予算及び/又は補正予算の科目を利用して予算に関する情報の登録が行われてもよい。
【0073】
図4に示す事業詳細画面W1は、事務事業の歳出や予算に関して指定された事務事業の情報を表示するための画面であって、その事務事業配下の細事業、個別出費項目、積算項目等の内訳項目を1又は複数表示する画面である。表示処理部22は、利用者により選択された事務事業に関する情報(事務事業情報、個別出費項目情報等)に基づいて、
図4に示すような画面を表示処理する。このとき、表示処理部22は、選択した事務事業についてツリー構造等により関連付けられた項目(細事業、個別出費項目、積算項目等)に関するいずれの情報を利用して
図4に示すような画面を表示処理してもよい。
図4に示す例では、「次期給与システム開発事業費」という事務事業配下の「次期給与システム開発事業費」という細事業に関する情報が表示されており、更に、「次期給与システム開発事業費」という細事業配下の「委託料」という個別出費項目に関して表示されている。また、
図4に示す例では更に、「委託料」という個別出費項目の配下の積算項目(「委託費」)がそれぞれ表示される。
図4に示すように、本実施形態では、同じ事務事業配下の積算項目が並んで配置されるように、細事業、個別出費項目、積算項目等の事務事業及び内訳項目に関するツリー構造に基づいて、それぞれの項目が関連する項目と関連付けて表示される。
【0074】
また、項目名の左に配置される「-」マークが押下されることで、その項目の配下の項目(例えば、個別出費項目であれば配下の積算項目)が非表示となる。本実施形態において、事業詳細画面W1では個別出費項目について、予算科目体系項目(節以下の科目)と、予算性質(決算科目体系項目)及び、財源の詳細(財源区分ごとかつ予算編成ステータスごとの歳入額)を表示する。また、事業詳細画面W1において、積算項目について、予算種別、予定執行四半期(執行する予定の時期)、予算編成ステータスごとの予算額(要求額、査定額、内示額)を表示する。また、財源内訳については、事業詳細画面W1では、予算種別、担当組織(又は担当部門)、予算編成ステータスごとの歳入額(歳入要求額、歳入査定額、歳入内示額)が表示される。また、それぞれの項目について、画面の右側に表示された鉛筆マーク(修正ボタン)又は三点リーダを押下することで指定された項目について入力・変更を行うための画面が表示され、表示された画面を介した利用者による入力によって、一度登録済みのデータ項目の修正等が行われてもよい。また、既に査定がされた又は補正予算の登録段階における当初予算など、修正できない方が好ましいデータ項目については、修正ボタンではなく、詳細を確認するための詳細確認ボタンが配置され、修正できないように構成されていてもよい。また、本実施形態では、査定額の上に最終的に査定を行った者(
図4では「知事」又は「副知事」)を示す表示がされる。
【0075】
図5において、予算種別として補正予算(
図5に示す例では6月補正)が選択された場合の入力画面及び表示画面として機能する事業詳細画面W2を示す。
図5に示す事業詳細画面W2は、
図4に示す事務事業と同じ事務事業(「次期給与システム開発事業費」)の同じ年度(2024年度)の6月補正の補正予算に関する情報を表示、登録するための画面であって、
図4に示す当初予算の個別出費項目の科目等のデータに基づいて表示される、補正予算の候補の科目を表示する画面である。
【0076】
図5に示す事業詳細画面W2は、事業詳細画面W1において示す登録済みの予算について予算種別として6月補正が選択された場合に表示される画面である。表示処理部22は、当初予算、もしくは当初予算又は補正予算が登録済みの事務事業について、利用者端末3より補正予算に関する事業詳細画面表示要求を受け付けると、指定された事業の当初予算又は補正予算に関する登録済みの情報(事務事業情報、細事業情報、個別出費項目情報、積算項目情報)に基づいて、
図5に示すような補正予算における科目の候補が表示された事業詳細画面W2を表示させる。また、登録部21が事前に補正予算における候補の内訳項目(個別出費項目等)の登録を行っている場合、表示処理部22は、登録済みの補正予算に関する候補の情報(例えば、予算額が0円である個別出費項目情報等)に基づいて表示処理を行ってもよい。
【0077】
図5に示す例では、表示処理部22は、
図4に示す登録済みの当初予算に基づいて表示処理を行うため、「委託料」を含む当初予算で登録済みの個別出費項目が補正予算に関する個別出費項目の候補として表示される。このとき、それぞれの個別出費項目に関して、当初予算と同様の科目(節細節)が候補として表示されるが性質(決算科目体系項目)、会計区分等の事務事業情報に含まれる他のデータ項目についても当初予算と同様のもの(性質、会計区分等)が候補として表示されていてもよい。また、補正予算における個別出費項目の候補の配下の積算項目についても当初予算と同様の積算項目(例えば、積算項目としての「委託料」)が補正予算における候補として表示され、この項目について金額の登録を受け付けてもよい。また、表示処理部22は、登録済みの当初予算のデータ項目に基づく補正予算における候補となるデータ項目名(例えば、個別出費項目として委託料等)を表示しているが、更に、登録済みの当初予算のデータ項目に基づいて、データ項目がプリセットされた(例えば、個別出費項目に対応する予算額が入力済みの)入力欄を含む画面(事業詳細画面W2)を表示させてもよい。
【0078】
図5に示す画面において、登録済みの当初予算に関する個別出費項目に基づいて補正予算における候補として表示される個別出費項目の何れかについて、予算の登録を行う個別出費項目として指定され、利用者端末3より金額(予算額)の入力を受け付けると、登録部21は、入力された金額及び指定された個別出費項目に係る科目等を関連付けて登録することで補正予算の登録を行う。例えば、事業詳細画面W2に表示される候補から、利用者によって金額を入力する個別出費項目として「委託料」が選択されると、登録部21は、補正予算における「委託料」という個別出費項目に関して、科目及び金額の登録を行う。本実施形態では、指定された個別出費項目配下の積算項目について予算額等の金額の登録を受けることで項目(又は科目)と金額を関連付けて登録するが個別出費項目の階層に金額と科目が関連付けて登録されてもよい。更に、個別出費項目が登録済みの事務事業に対して予算種別が補正予算である新たな個別出費項目の登録の要求を受け付けると、例えば、当初予算から担当している担当者/担当組織が新たな個別出費項目の担当として登録されるなど、登録済みの個別出費項目の担当に関する情報に基づいて、新たな補正予算における個別出費項目の担当者及び/又は担当組織が登録されてもよい。また、担当に関する情報は、担当者として行政オブジェクトの担当をする利用者に関する利用者情報及び担当組織、担当部門に関する組織体系項目の何れか又は複数を含む。本実施形態では、担当者/担当組織/担当部門とその担当の上位者又は上位組織の者が行政オブジェクトのデータを入力/修正可能に構成される。行政オブジェクトを担当する者又は組織は、行政活動のフローによって変更されてもよい。
【0079】
また、「+個別出費項目」と記載された個別出費項目登録ボタンが押下されると、個別出費項目の新規作成指示が利用者端末3より送信され、新たな個別出費項目に関する情報を入力するための個別出費項目入力画面が事業詳細画面W2の右側に重畳するような形で表示処理部22により表示される。
【0080】
個別出費項目入力画面は、個別出費項目名、歳出科目(節細節)、性質(予算性質:予算科目会計項目)、会計区分を含む個別出費項目に関する各種情報を入力するための画面表示であって、利用者により個別出費項目の新規作成が選択されると表示される。表示処理部22は、利用者端末3より個別出費項目の新規作成指示を受け付けると、個別出費項目入力画面を事業詳細画面W2に重畳するように表示処理する。登録部21は、個別出費項目入力画面を介して利用者端末3より入力された新たな個別出費項目に関する情報(個別出費項目情報)を、上位の事務事業情報及び/又は細事業情報と関連付けて登録する。
【0081】
また、事務事業配下の細事業に関して、利用者により新規な細事業の作成が選択されると、表示処理部22は、細事業に関する情報の入力を受け付けるための画面表示(細事業情報入力画面)の表示を行ってもよい。このとき、表示処理部22は、細事業名、概要、細事業ステータス(「拡充」、「縮小」、「休止」、「廃止」等)等の細事業情報を受け付けるための細事業情報入力画面を表示させる。登録部21は、細事業情報入力部を介して入力された細事業情報を受け付け、上位の事務事業に関する事務事業情報と関連付けてデータベースDBに格納することで登録を行う。また、「+積算項目」と記載された積算項目登録ボタン又は「+財源内訳」と記載された財源内訳登録ボタンが押下されると、積算項目又は財源内訳の登録を行うための積算項目登録画面又は財源内訳登録画面が表示されてもよい。このとき、登録部21は、受け付けた積算項目又は財源内訳に関する情報を、表の同じ欄に表示された個別出費項目(
図5に示す例では「委託料」)と関連付けてデータベースDBに登録する。
【0082】
登録部21は、個別出費項目入力画面を介して受け付けた個別出費項目に関する各種情報の登録を行う。
【0083】
また、本実施形態では、補正予算の編成の段階における実施例について説明を行ったが、当初予算の編成において、前年度の当初予算を参照して本年度における当初予算の科目の候補の表示及登録を行ってもよい。このとき、登録部21及び表示処理部22は、データベースDBに格納された特定の事務事業の前年度のデータ(事務事業情報)を参照して表示及び予算の登録に関する処理を行う。また、毎年行われる事業ではなく、隔年で行われるなど、廃止又は休止期間がある事務事業に関しては、毎年行政オブジェクトが登録されていなくてもよい。一度休止又は廃止から復活した事業に関して新たに登録される行政オブジェクトは、系列に沿って最も近い位置の行政オブジェクト(例えば、廃止前又は廃止後に最後に登録された行政オブジェクト)と紐づけて登録される。
【0084】
また、本実施形態では、個別出費項目が複製され、利用者端末3より受け付けた金額と関連付けて登録を行うことで補正予算の登録を行う例について説明を行っていたが、事務事業や細事業、積算項目等、個別出費項目とは異なる階層の項目(行政オブジェクト)に関して、登録済みの行政オブジェクトに基づく新たな行政オブジェクトの登録と、体系項目(科目等)の複製と、複製した体系項目を利用した科目及び金額の登録と、が行われてもよい。このとき、系列によって関連付けられた行政オブジェクト及び/又は政策体系及び内訳項目に関するツリー構造によって関連付けて登録された異なる階層の項目に関するデータを相互に利用して処理を行ってもよい。
【0085】
上述する例では、個々の行政オブジェクトについてそれぞれ複製して登録する場合の例について説明を行ったが、例えば、前年度の事務事業のデータに基づいて一括で今年度の事務事業のデータの登録を行うなど、登録済みの行政オブジェクトに基づいて指定された範囲の行政オブジェクトを一括で新規に登録してもよい。このとき、ステータスが「廃止」や「休止」の事務事業は新規登録の際に複製しないなど、行政事業に係るステータス(事務事業ステータス、細事業ステータス等)に基づいて複製する行政オブジェクトと複製しない行政オブジェクトを判定し、その他のステータスの行政オブジェクトを複製することで新たな行政オブジェクトの一括での登録を行ってもよい。また、体系(政策体系又は内訳項目に関する体系)に基づいて関連付けられた登録済みの行政オブジェクトの下位の階層の行政オブジェクト(例えば、事務事業の下位の階層の個別出費項目)に基づいて、新たな行政オブジェクトの下位の階層の行政オブジェクトやその他データ項目を複製し、登録を行ってもよい。例えば、2023年度個別出費項目A1及び2023年度個別出費項目A2が下位の階層に登録された2023年度事務事業Aのデータを複製して新たな2024年度事務事業Aのデータを登録するとき、2024年度個別出費項目A1及び2024年度個別出費項目A2が紐づいた2024年度事務事業Aが登録されるなど、複製によって生成され、登録される新たな行政オブジェクトは、登録済みの行政オブジェクトの体系に基づいて、複製元の登録済みの行政オブジェクトと同様の体系によって関連付けて登録される。
【符号の説明】
【0086】
1 行政管理システム
2 行政管理装置
21 登録部
22 表示処理部
3 利用者端末
【要約】
【課題】行政活動を支援する新規な技術を提供することを解決すべき課題とする。
【解決手段】行政管理システムであって、
継続する行政活動に係る行政オブジェクトは、同じ行政活動に係る対応する他の行政オブジェクトと系列に沿って関連付けて登録され、
継続する行政活動について、既に登録済みの行政オブジェクトと対応し、かつ前記系列における位置が異なる新たな行政オブジェクトの生成の要求を受け付けると、
前記登録済みの行政オブジェクトに基づいて、前記新たな行政オブジェクトを前記登録済みの行政オブジェクトと前記系列に沿って関連付けて登録する、
行政管理システム。
【選択図】
図1