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  • 特許-ホットメルト組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】ホットメルト組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 53/02 20060101AFI20241226BHJP
   C08L 71/12 20060101ALI20241226BHJP
   C08K 5/01 20060101ALI20241226BHJP
   A61L 15/16 20060101ALI20241226BHJP
   C09J 153/02 20060101ALN20241226BHJP
   C09J 171/12 20060101ALN20241226BHJP
   B32B 27/22 20060101ALN20241226BHJP
   B32B 27/30 20060101ALN20241226BHJP
   B32B 7/027 20190101ALN20241226BHJP
   B32B 27/00 20060101ALN20241226BHJP
【FI】
C08L53/02
C08L71/12
C08K5/01
A61L15/16 200
C09J153/02
C09J171/12
B32B27/22
B32B27/30 B
B32B7/027
B32B27/00 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020151891
(22)【出願日】2020-09-10
(65)【公開番号】P2022046049
(43)【公開日】2022-03-23
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】305044143
【氏名又は名称】積水フーラー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】染谷 悠
(72)【発明者】
【氏名】加藤 侑美
【審査官】内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-266387(JP,A)
【文献】特表2014-514404(JP,A)
【文献】特開平06-313159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
B32B
C09J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン系ブロック共重合体(A)、ポリエーテル系樹脂(B)、及び、可塑剤(C)を含有し、
前記ポリエーテル系樹脂(B)は、ポリフェニレンエーテル樹脂を含み、
環球式軟化点温度が100~150℃であり、
周波数1Hz、昇温速度5℃/minの条件で動的粘弾性測定を行い、測定される貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’とが等しくなる、室温以上の温度領域での温度が90~120℃の範囲内である、
ことを特徴とするホットメルト組成物。
【請求項2】
前記スチレン系ブロック共重合体(A)の含有量は、ホットメルト組成物を100質量%として、40~65質量%である、請求項1に記載のホットメルト組成物。
【請求項3】
前記ポリエーテル系樹脂(B)の含有量は、前記スチレン系ブロック共重合体(A)を100質量部として、1~20質量部である、請求項1又は2に記載のホットメルト組成物。
【請求項4】
前記ポリエーテル系樹脂(B)は、ポリフェニレンエーテル樹脂である、請求項1~3のいずれかに記載のホットメルト組成物。
【請求項5】
吸収性物品用である、請求項1~4のいずれかに記載のホットメルト組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紙おむつや生理用ナプキン等の衛生材料を含む吸収性物品が広く使用されている。これらの吸収性物品には、着用時のずれ落ち防止のために、伸縮性を有する部材で構成された積層体が用いられている。
【0003】
積層体に用いられる伸縮部材に、天然ゴムや合成高分子を糸状にした糸ゴムが知られている。糸ゴムは伸長時に良好な応力を示すため吸収性物品の着用時のずれ落ち防止に効果的である。
【0004】
また、吸収性物品のずれ落ちを防止し、且つ、着用時の圧迫感やかぶれを抑制するために、吸収性物品に用いられる積層体の伸縮部材として、熱可塑性エラストマー組成物を含む伸縮性フィルムが用いられている。当該伸縮性フィルムに用いられる熱可塑性エラストマー組成物として、ホットメルト伸縮性接着剤組成物(特許文献1参照)や、ホットメルト熱可塑性エラストマー組成物(特許文献2参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第2919385号公報
【文献】特表2006-502291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2では、伸張性の向上について十分に検討されておらず、改善の余地がある。紙おむつ等の衛生材料が着用される際は、衛生材料に用いられる伸縮部材には十分な伸張性が要求される。
【0007】
また、特許文献1及び2では、伸縮回復性の低下の抑制についても十分に検討されていない。紙おむつ等の衛生材料が着用される際は、衛生材料に用いられる伸縮部材は延伸されることとなる。そのため、伸縮部材では、伸長された状態で保持されても、伸縮回復性の低下が抑制されていることが要求される。特許文献1及び2では、ホットメルト組成物にタッキファイヤーを相当量配合することが記載されており(特許文献1の[0007]、表2(水素添加石油樹脂)、特許文献2の請求項1(粘着付与剤))、伸縮部材が硬くなり十分な伸縮回復性を示すことができないという問題がある。
【0008】
更に、紙おむつ等の衛生材料が着用される際は、体温に近い温度で長時間保持されるため、伸縮部材では、加温された状態で伸張されて保持されても、応力の緩和が低減されており、高温での伸張時の応力維持性が優れていることが要求される。特許文献1及び2では、上述のようにホットメルト組成物にタッキファイヤーを相当量配合することが記載されており、高温での伸張時の応力維持性が十分でない。
【0009】
また、伸縮部材が上述の特性を有する場合であっても、伸縮部材を形成するホットメルト組成物は塗工適性に優れることが要求される。当該伸縮部材を形成するホットメルト組成物が高溶融粘度、又は高軟化点であると押出し装置を用いて伸縮性ホットメルト組成物を成形する必要があるため、生産性が低下するという問題がある。そのため、伸縮性ホットメルト組成物には汎用のホットメルト塗布装置で塗工できる塗工性(形状加工性)を有することが求められる。
【0010】
本発明は上記事情に鑑み、伸張性、伸縮回復性、及び高温での伸張時の応力維持性に優れた伸縮部材を形成することができ、且つ、塗工適性に優れたホットメルト組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、スチレン系ブロック共重合体(A)、ポリエーテル系樹脂(B)、及び、可塑剤(C)を含有し、環球式軟化点温度が100~150℃であり、特定の条件で動的粘弾性測定を行い、測定される貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’とが等しくなる、室温以上の温度領域での温度が90~120℃の範囲内であるホットメルト組成物によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、下記のホットメルト組成物に関する。
1.スチレン系ブロック共重合体(A)、ポリエーテル系樹脂(B)、及び、可塑剤(C)を含有し、
環球式軟化点温度が100~150℃であり、
周波数1Hz、昇温速度5℃/minの条件で動的粘弾性測定を行い、測定される貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’とが等しくなる、室温以上の温度領域での温度が90~120℃の範囲内である、
ことを特徴とするホットメルト組成物。
2.前記スチレン系ブロック共重合体(A)の含有量は、ホットメルト組成物を100質量%として、40~65質量%である、項1に記載のホットメルト組成物。
3.前記ポリエーテル系樹脂(B)の含有量は、前記スチレン系ブロック共重合体(A)を100質量部として、1~20質量部である、項1又は2に記載のホットメルト組成物。
4.前記ポリエーテル系樹脂(B)は、ポリフェニレンエーテル樹脂である、項1~3のいずれかに記載のホットメルト組成物。
5.吸収性物品用である、項1~4のいずれかに記載のホットメルト組成物。
【発明の効果】
【0013】
本発明のホットメルト組成物は、伸張性、伸縮回復性、及び高温での伸張時の応力維持性に優れた伸縮部材を形成することができ、且つ、塗工適性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ホットメルト組成物の粘弾性の測定結果の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.ホットメルト組成物
本発明のホットメルト組成物は、スチレン系ブロック共重合体(A)、ポリエーテル系樹脂(B)、及び、可塑剤(C)を含有し、環球式軟化点温度が100~150℃であり、周波数1Hz、昇温速度5℃/minの条件で動的粘弾性測定を行い、測定される貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’とが等しくなる、室温以上の温度領域での温度(以下、「クロスオーバー温度」ともいう。)が90~120℃の範囲内である。本発明のホットメルト組成物は、上記(A)~(C)を含有することにより伸縮部材を形成することができ、特にポリエーテル系樹脂(B)を含有し、且つ、クロスオーバー温度が90~120℃の範囲内であることにより、形成された伸縮部材が高温での伸張時の応力維持性に優れている。また、本発明のホットメルト組成物は、上記(A)~(C)を含有することにより、上述のように伸張性、伸縮回復性、及び高温での伸張時の応力維持性に優れた伸縮部材を形成することができるとともに、環球式軟化点温度を100~150℃とすることができ、当該範囲の環球式軟化点温度を示すことにより、塗工適性に優れている。すなわち、本発明のホットメルト組成物は、上記構成を全て備えることにより、伸張性、伸縮回復性、及び高温での伸張時の応力維持性に優れた伸縮部材を形成することができ、且つ、塗工適性に優れており、これらの特性を全て兼ね備えることが可能となっている。
【0016】
本明細書において「高温」とは、人の体温程度の温度を意味しており、35~42℃程度、好ましくは35.5~41.5℃程度、より好ましくは36~41℃程度、特に好ましくは40℃の温度を意味する。また、「加温」とは、上記範囲の温度とすることを意味する。
【0017】
本明細書において「室温」とは、23℃を意味する。
【0018】
本発明のホットメルト組成物の環球式軟化点温度は、100~150℃である。環球式軟化点温度が100~150℃の範囲外であると、塗工適性が低下する。環球式軟化点温度は、110℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。また、環球式軟化点温度は、145℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましい。なお、本明細書において、環球式軟化点温度は、JIS K6863に準拠した測定方法により測定される値である。
【0019】
本発明のホットメルト組成物は、周波数1Hz、昇温速度5℃/minの条件で動的粘弾性測定を行い、測定される貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’とが等しくなる、室温以上の温度領域での温度(クロスオーバー温度)が90~120℃の範囲内である。クロスオーバー温度が90℃未満であると、高温での伸張時の応力維持性が低下する。クロスオーバー温度が120℃を超えると、塗工適性が低下する。クロスオーバー温度は、95℃以上が好ましい。また、クロスオーバー温度は、115℃以下が好ましい。
【0020】
上記クロスオーバー温度を図を用いて説明する。図1は、本発明のホットメルト組成物の粘弾性の測定結果の一例を示す模式図である。図1では、室温である23℃以上の温度領域で、100℃付近までG’の値がG’’よりも高く、支配的となっており、約100℃でG’とG’’のグラフが交差しており、貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’とが等しくなっている。このとき、損失正接(tanδ)はtanδ=G’’/G’で算出されるため、tanδ=1となっている。この温度がクロスオーバー温度である。すなわち、図1では、貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’とが等しくなる、室温以上の温度領域での温度が約100℃となっており、90~120℃の範囲内である。図1では、-40~-10℃の温度領域においてもG’とG’’のグラフが交差しているが、当該温度領域での交差は考慮せず、室温である23℃以上の温度領域で交差する最も高い温度をクロスオーバー温度とする。本発明のホットメルト組成物は、クロスオーバー温度が90~120℃の範囲内であることにより、弾性項を表わすG’と、粘性項を表わすG’’とのバランスが良く、弾性及び粘性を兼ね備えることができ、伸張性、伸縮回復性、及び高温での伸張時の応力維持性に優れた伸縮部材を形成することができる。
【0021】
本発明において、ホットメルト組成物のクロスオーバー温度は、下記測定方法により測定することができる。
(クロスオーバー温度(G’=G’’)の測定方法)
ホットメルト組成物を180℃で加熱溶融して、離型処理されたPETフィルム上の離型層側の面に滴下する。次いで、離型処理された別のPETフィルムをホットメルト組成物上に、離型層側の面がホットメルト組成物に接触するようにして積層する。次いで、120℃に加熱した熱プレスで圧縮し、ホットメルト組成物の厚みが約2mmとなるように調整する。ホットメルト組成物をPETフィルム間に挟んだ状態で23℃にて24時間静置した後、離型フィルムを除去して動的粘弾性測定用のサンプルを調製する。
【0022】
当該サンプルを用いて、動的粘弾性測定装置の回転せん断モードで、温度-80℃から140℃、周波数1Hz、昇温速度5℃/minの測定条件で動的粘弾性測定を行い、貯蔵弾性率G’、及び損失弾性率G’’を測定する。得られた貯蔵弾性率G’、及び損失弾性率G’’のカーブにおいて、室温以上で貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’が交差する最も高い温度をクロスオーバー温度とする。
【0023】
なお、上記測定では、動的粘弾性測定装置として、例えば、ティーエーインスツルメント社製ローテェーショナルレオメーター(商品名「AR-G2」)を用いることができる。
【0024】
(スチレン系ブロック共重合体(A))
スチレン系ブロック共重合体(A)としては、ホットメルト組成物が環球式軟化点温度及びクロスオーバー温度の範囲を上記範囲とすることができれば特に限定されず、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SEBS)、スチレン-ブチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBBS)、スチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体(SEB/S-S)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン共重合体(SEPS)、スチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレン共重合体(SEEPS)、スチレン-エチレン-ブチレン-オレフィン結晶共重合体(SEBC)等が挙げられる。これらの中でも、より一層伸張性、伸縮回復性、及び高温での伸張時の応力維持性に優れる点で、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SEBS)、スチレン-ブチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBBS)、スチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体(SEB/S-S)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン共重合体(SEPS)が好ましく、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体(SEB/S-S)がより好ましい。
【0025】
上記スチレン系ブロック共重合体は、一種単独で用いられてもよいし、二種以上が混合されて用いられてもよい。
【0026】
スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体のスチレン含有量は、当該スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体を100質量%として、15~45質量%が好ましく20~40質量%がより好ましい。スチレン含有量の下限が上記範囲であると、ホットメルト組成物により形成された伸縮部材の伸縮回復性がより一層向上する。スチレン含有量の上限が上記範囲であると、ホットメルト組成物がより柔らかくなり、伸縮部材がより一層良好な伸張性を発現することができる。
【0027】
なお、本明細書において、スチレン系ブロック共重合体の「スチレン含有量」とは、スチレン系ブロック共重合体中のスチレンブロックの含有割合(質量%)をいう。
【0028】
また、本明細書における、スチレン系ブロック共重合体中のスチレン含有量の算出方法は特に限定されず、例えば、JIS K6239に準じたプロトン核磁気共鳴法や赤外分光法を用いる方法が挙げられる。
【0029】
スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体としては市販されている製品を用いることができる。市販品としては、クレイトンポリマー社製G1650、クレイトンポリマー社製MD1648、旭化成社製タフテックH1041等が挙げられる。
【0030】
スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。例えば、スチレン含有量が高いスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体と、スチレン含有量が低いスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体とを、混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いた場合のスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体全体のスチレン含有量は、重量に基づく平均値により算出すればよい。
【0031】
上記スチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体(SEB/S-S)は、末端のスチレン単位がエンドブロック相となり、エチレン-ブチレン単位がミッドブロック相となるスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体において、ミッドブロック相にもスチレンが分散されている共重合体である。ミッドブロック相にスチレンが分散されている共重合体を用いることで、スチレンブ系ブロック共重合体の全体のスチレン含有量が多くなっても、スチレン系ブロック共重合体が硬くなりすぎず、良好な伸張性を示すため、スチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体を含むホットメルト組成物では、良好な伸張性と、良好な伸縮回復性とを両立することができる。さらに、ミッドブロック相にスチレンが分散されているスチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体をホットメルト組成物に用いることで、低温における溶融粘度の増加が抑制されるため、ホットメルト組成物の塗工適性をより向上させることができる。
【0032】
スチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体を調製する方法としては特に限定されず、例えば、米国特許第7,169,848号に記載の方法が挙げられる。
【0033】
スチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体のスチレン含有量は、当該スチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体を100質量%として20~60質量%が好ましく、25~55質量%がより好ましい。スチレン含有量の下限が上記範囲であると、ホットメルト組成物を用いて形成した伸縮部材の伸張後の伸縮回復性がより一層向上する。スチレン含有量の上限が上記範囲であると、ホットメルト組成物がより柔らかくなり、伸縮部材がより一層良好な伸張性を発現することができる。
【0034】
スチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体としては、市販されている製品を用いることができる。市販品としては、クレイトンポリマー社製MD6951、クレイトンポリマー社製A1536等が挙げられる。
【0035】
スチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。例えば、スチレン含有量が高いスチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体と、スチレン含有量が低いスチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体とを、混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いた場合のスチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体全体のスチレン含有量は、重量に基づく平均値により算出すればよい。
【0036】
本発明のホットメルト組成物中のスチレン系ブロック共重合体(A)の含有量は、ホットメルト組成物を100質量%として、40~65質量%が好ましく、45~65質量%が好ましく、45~60質量%がより好ましい。スチレン系ブロック共重合体(A)の含有量が上記範囲であることにより、本発明のホットメルト組成物を用いて形成した伸縮部材がより一層高温での伸張時の応力維持性に優れ、且つ、ホットメルト組成物の塗工適性がより一層向上する。
【0037】
本発明のホットメルト組成物中のスチレン系ブロック共重合体(A)のスチレン含有量は、スチレン系ブロック共重合体(A)を100質量%として10~35質量%が好ましく、12~25質量%がより好ましい。スチレン含有量の下限が上記範囲であると、ホットメルト組成物を用いて形成した伸縮部材の高温での伸張時の応力維持性がより一層向上する。スチレン含有量の上限が上記範囲であると、ホットメルト組成物がより一層柔らかくなり、伸縮部材がより一層良好な伸張性を発現することができる。
【0038】
本発明のホットメルト組成物中のスチレン系ブロック共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、30,000~200,000が好ましく、40,000~150,000がより好ましく、45,000~125,000が更に好ましい。重量平均分子量の下限が上記範囲であると、ホットメルト組成物を用いて形成した伸縮部材の高温での伸張時の応力維持性がより一層向上する。重量平均分子量の上限が上記範囲であると、ホットメルト組成物がより一層柔らかくなり、伸縮部材がより一層良好な伸張性を発現することができる。
【0039】
なお、スチレン系ブロック共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置を用いて、標準ポリスチレンで換算することにより得られる測定値である。
【0040】
本明細書における重量平均分子量(Mw)は、例えば、下記測定装置及び測定条件にて測定することができる。
測定装置:Waters社製 商品名「ACQUITY APC」
測定条件:カラム
・ACQUITY APCXT45 1.7μm×1本
・ACQUITY APCXT125 2.5μm×1本
・ACQUITY APCXT450 2.5μm×1本
移動相:テトラヒドロフラン 0.8mL/分
サンプル濃度:0.2質量%
検出器:示差屈折率(RI)検出器
標準物質:ポリスチレン(Waters社製 分子量:266~1,800,000) カラム温度:40℃
RI検出器温度:40℃
【0041】
(ポリエーテル系樹脂(B))
本発明のホットメルト組成物は、ポリエーテル系樹脂(B)を含有する。ポリエーテル系樹脂(B)を含有することにより、本発明のホットメルト組成物により形成された伸縮部材が高温での伸張時の応力維持性に優れる。
【0042】
ポリエーテル系樹脂(B)としては、ポリエーテル系樹脂であれば特に限定されず、例えば、ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられる。ポリエーテル系樹脂(B)としてポリフェニレンエーテル樹脂を用いることにより、伸縮部材の高温での伸張時の応力維持性がより一層向上する。
【0043】
ポリフェニレンエーテル樹脂としては市販されている製品を用いることができる。市販品としては、サビック社製ノリルSA90、ノリルSA120、ノリルSA9000等が挙げられる。これらの中でも、伸縮部材の高温での伸張時の応力維持性がより一層向上する点で、ノリルSA90が好ましい。
【0044】
上記ポリエーテル系樹脂(B)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0045】
本発明のホットメルト組成物中のポリエーテル系樹脂(B)の含有量は、スチレン系ブロック共重合体(A)を100質量部として、1~20質量部が好ましく、2~15質量部がより好ましく、3~13質量部が更に好ましい。ポリエーテル系樹脂(B)の含有量の上限が上記範囲であることにより、ホットメルト組成物を用いて形成した伸縮部材の伸張性、伸縮回復性がより一層向上する。ポリエーテル系樹脂(B)の含有量の下限が上記範囲であることにより、ホットメルト組成物を用いて形成した伸縮部材の高温での伸張時の応力維持性がより一層向上する。
【0046】
(可塑剤(C))
本発明のホットメルト組成物は、可塑剤(C)を含有する。可塑剤(C)は、23℃で液状であることが好ましい。なお、本明細書において「液状」とは、流動性を示す状態のことをいう。このような可塑剤(C)の流動点は、23℃以下が好ましく、10℃以下がより好ましい。
【0047】
本明細書において、流動点は、JIS K2269に準拠した測定方法により測定される値である。
【0048】
可塑剤(C)としては特に限定されず、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、流動パラフィンオイル、炭化水素系合成オイル等が挙げられる。なかでも、加熱安定性が優れる観点から、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、流動パラフィンオイル、及び炭化水素系合成オイルが好ましく、ホットメルト組成物を用いて形成した伸縮部材の高温での伸張時の応力維持性がより一層向上する観点から、ナフテン系プロセスオイルがより好ましい。
【0049】
パラフィン系プロセスオイルとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、出光興産社製PW-32、出光興産社製PS-32等が挙げられる。
【0050】
ナフテン系プロセスオイルとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、ペトロチャイナ社製KN4010、出光興産社製ダイアナフレシアN28、出光興産社製ダイアナフレシアU46、Nynas社製Nyflex222B等が挙げられる。
【0051】
流動パラフィンオイルとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、MORESCO社製P-100、Sonneborn社製Kaydol等が挙げられる。
【0052】
炭化水素系合成オイルとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、三井化学社製ルーカントHC-10、三井化学社製ルーカントHC-20等が挙げられる。
【0053】
上記可塑剤(C)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0054】
本発明のホットメルト組成物中の可塑剤(C)の含有量は、スチレン系ブロック共重合体(A)を100質量部として、70~150質量部が好ましく、80~140質量部がより好ましく、85~100質量部が更に好ましい。可塑剤(C)の含有量の上限が上記範囲であることにより、ホットメルト組成物を用いて形成した伸縮部材の高温での伸張時の応力維持性がより一層向上する。可塑剤(C)の含有量の下限が上記範囲であることにより、ホットメルト組成物の溶融粘度がより一層低くなり、ホットメルト組成物の塗工適性がより一層向上する。
【0055】
(他の添加剤)
本発明のホットメルト組成物は、本発明の目的を本質的に妨げない範囲で、他の添加剤を含有していてもよい。上記他の添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、粘着付与樹脂、光重合開始剤、液状ゴム、微粒子充填剤等が挙げられる。
【0056】
酸化防止剤としては、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、n-オクタデシル-3-(4'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、2,4-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルべンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2,4-ジ-t-アミル-6-〔1-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレート、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ぺンチルフェニル)]アクリレート、テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)等のイオウ系酸化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0057】
本発明のホットメルト組成物中の酸化防止剤の含有量としては、ホットメルト組成物を100質量%として、0.01~2質量%が好ましく、0.05~1.5質量%がより好ましく、0.1~1質量%が更に好ましい。酸化防止剤の含有量が0.01質量%以上であると、ホットメルト組成物の熱安定がより一層向上する。酸化防止剤の含有量が2質量%以下であると、ホットメルト組成物の臭気が低減する。
【0058】
紫外線吸収剤としては、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;サリチル酸エステル系紫外線吸収剤;シアノアクリレート系紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。紫外線吸収剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0059】
本発明のホットメルト組成物中の紫外線吸収剤の含有量としては、ホットメルト組成物を100質量%として、0.01~2質量%が好ましく、0.05~1.5質量%がより好ましく、0.1~1質量%が更に好ましい。紫外線吸収剤の含有量が0.01質量%以上であると、ホットメルト組成物の耐候性が向上する。紫外線吸収剤の含有量が2質量%以下であると、ホットメルト組成物の臭気が低減する。
【0060】
粘着付与樹脂としては、天然ロジン、変性ロジン、天然ロジンのグリセロールエステル、変性ロジンのグリセロールエステル、天然ロジンのペンタエリスリトールエステル、変性ロジンのペンタエリスリトールエステル、天然テルペンのコポリマー、天然テルペンの三次元ポリマー、天然テルペンのコポリマーの水素化誘導体、テルペン樹脂、フェノール系変性テルペン樹脂の水素化誘導体;C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂等の石油樹脂、また、それら石油樹脂に水素を添加した部分水添石油樹脂、完全水添石油樹脂等が挙げられる。粘着付与樹脂としては、ホットメルト組成物の臭気、熱安定性に優れている点で、石油樹脂、部分水添石油樹脂、及び完全水添石油樹脂が好ましく、部分水添石油樹脂、及び完全水添石油樹脂がより好ましい。これら粘着付与樹脂は1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0061】
本発明のホットメルト組成物中の粘着付与樹脂の含有量は、ホットメルト組成物を100質量%として30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。粘着付与樹脂の含有量が30質量%以下であると、ホットメルト組成物が硬くなりすぎず、伸縮部材の伸縮回復性がより一層向上する。
【0062】
光重合開始剤としては、紫外線重合開始剤等が挙げられる。本発明のホットメルト組成物がスチレン系ブロック共重合体(A)として、分子内に反応性ポリスチレン系ハードブロックを有するスチレン系ブロック共重合体を含有する場合、更に、光重合開始剤を含有することで、ホットメルト組成物に紫外線等の光を照射して反応性ポリスチレン系ハードブロックを反応させ、分子を架橋させて、ホットメルト組成物の動的粘弾性等の性状を調整することができる。ホットメルト組成物に紫外線を照射する場合、紫外線の照射強度は50~1,000mW/cm程度が好ましく、また、積算光量は1,000~15,000mJ/cm程度が好ましく、所望の性状にするために適宜調整すればよい。光重合開始剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0063】
液状ゴムとしては、液状ポリブテン、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン及びこれらの水添樹脂が挙げられる。液状ゴムは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0064】
本発明のホットメルト組成物中の液状ゴムの含有量は、ホットメルト組成物を100質量%として、1~20質量%が好ましく2~15質量%がより好ましく3~10質量%が更に好ましい。液状ゴムの含有量が1質量%以上であると、ホットメルト組成物の溶融粘度が低下し、塗工適性がより一層向上する。液状ゴムの含有量が20質量%以下であると、ホットメルト組成物が柔らかくなりすぎず、伸縮部材の伸縮回復性がより一層向上する。
【0065】
微粒子充填剤としては、特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン、雲母、スチレンビーズ等が挙げられる。微粒子充填剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0066】
本発明のホットメルト組成物は、180℃における溶融粘度が45,000mPa・s以下が好ましく、28,000mPa・s以下がより好ましく、22,000mPa・s以下が更に好ましい。溶融粘度の上限が上記範囲であると、ホットメルト組成物の塗工性がより一層向上する。また、ホットメルト組成物の180℃における溶融粘度の下限は特に限定されず、5,000mPa・s程度であってもよい。
【0067】
本明細書において、「溶融粘度」は、一定の温度で加熱溶融状態となったホットメルト組成物の粘度である。180℃における溶融粘度の測定方法としては、例えば、ホットメルト組成物を加熱溶融し、180℃における溶融状態の粘度を、ブルックフィールドRVT型粘度計(スピンドルNo.29)を用いて測定する測定方法が挙げられる。
【0068】
本発明のホットメルト組成物は公知の方法で製造される。例えば、熱可塑性樹脂(A)、ポリエーテル系樹脂(B)、可塑剤(C)、必要に応じて各種添加剤等を150℃に加熱した双腕型混練機へ投入し、加熱しながら溶融混練することによって製造される。
【0069】
本発明のホットメルト組成物は、通常0~60℃の温度範囲、特に23℃の常温で固体であり、伸縮性を示すため、本発明のホットメルト組成物を用いて形成された伸縮部材は、様々な用途に用いることができる。
【0070】
本発明のホットメルト組成物の用途としては特に限定されず、例えば、衛生材料を含む吸収性物品、病院用ガウン、マスク等が挙げられる。上記衛生材料としては、具体的には、紙おむつ、生理用ナプキン等が挙げられる。
【0071】
本発明のホットメルト組成物により多孔質基材を接合することにより、積層体を製造することができる。このような積層体も、本発明の一つである。
【0072】
上記多孔質基材としては、不織布、紙等が挙げられる。不織布としては特に限定されず、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布等が挙げられる。例えば、本発明のホットメルト組成物を用いて、ホットメルト組成物を延伸させた状態で貼り合わせることで、風合いの良い伸縮性積層体を作成することができる。不織布としては伸張性不織布を用いることもできる。例えば、本発明のホットメルト組成物を、伸張性不織布を延伸させずに本発明のホットメルト組成物を塗布し、伸張性不織布同士で貼り合わせることで伸縮性積層体を作成することができる。
【0073】
上記伸張性不織布は一定の方向に引張ることで一定量伸張するが、引張る力を除いた際に元の長さまで戻り難い。本発明のホットメルト組成物を伸張性不織布等の多孔質性基材に塗布して積層体を形成することで、伸縮性補強材として機能し、積層体に元の長さまで戻る機能を付与することができる。
【0074】
伸張性不織布としては特に限定されず、例えば、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布等が挙げられる。多孔質性基材にホットメルト組成物を塗布する塗布方法としては特に限定されず、スロット塗布、カーテンスプレー塗布、スパイラルスプレー塗布、膜状塗布等が挙げられる。スロット塗布によりホットメルト組成物を塗布した場合、ホットメルト組成物が多孔質性基材に浸み込み易いため、積層体の応力がより一層向上する。また、スプレー塗布によりホットメルト組成物を塗布した場合、多孔質性基材へのホットメルト組成物の浸み込みが抑制されるため、風合いと通気性がより一層向上する。
【0075】
多孔質性基材へのホットメルト組成物の塗布量としては特に限定されず、1~200g/mが好ましく、5~150g/mがより好ましく、10~100g/mが更に好ましい。塗布量の下限が上記範囲であると、積層体の応力、伸縮回復率がより一層向上する。塗布量の上限が上記範囲であると、積層体の風合いがより一層向上する。
【実施例
【0076】
以下、本発明の実施例について説明する。本発明は、下記の実施例に限定されない。
【0077】
なお、実施例及び比較例で用いた原料は以下のとおりである。
【0078】
スチレン系ブロック共重合体(A):
・スチレン系ブロック共重合体(A1)
スチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体(SEB/S-S) クレイトンポリマー社製 MD6951(スチレン含有量34質量%、Mw=100,000)
・スチレン系ブロック共重合体(A2)
スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)共重合体 クレイトンポリマー社製 MD1648(スチレン含有量20質量%、Mw=54,000)
・スチレン系ブロック共重合体(A3)
スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)共重合体 旭化成社製 タフテックH1041(スチレン含有量30質量%、Mw=61,000)
・スチレン系ブロック共重合体(A4)
スチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレン共重合体(SEEPS) クラレ社製 セプトン4033(スチレン含有量30質量%)
【0079】
ポリエーテル系樹脂(B):
・ポリフェニレンエーテル樹脂(B1)
ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE) サビック社製 ノリルSA90(Mn=1,700)
【0080】
可塑剤(C)
・ナフテン系プロセスオイル(C1) Nynas社製 Nyflex222B
【0081】
酸化防止剤
・フェノール系酸化防止剤 日本スペシャリティケミカルズ社製 Evernox10
【0082】
(実施例及び比較例)
上述した原料を、それぞれ表1に示した配合量で、加熱装置を備えた撹拌混練機中に投入した。170℃で90分間加熱しながら混練して、ホットメルト組成物を製造した。
【0083】
得られたホットメルト組成物、及び、当該ホットメルト組成物を用いて製造した伸縮部材について、以下の測定条件により性状を測定し、特性を評価した。
【0084】
性状の測定
(環球式軟化点温度)
JIS K6863に準拠した測定方法により、ホットメルト組成物の環球式軟化点温度を測定した。
【0085】
(クロスオーバー温度(G’=G’’))
ホットメルト組成物を180℃で加熱溶融して、離型処理されたPETフィルム上の離型層側の面に滴下した。次いで、離型処理された別のPETフィルムをホットメルト組成物上に、離型層側の面がホットメルト組成物に接触するようにして積層した。次いで、120℃に加熱した熱プレスで圧縮し、ホットメルト組成物の厚みが約2mmとなるように調整した。ホットメルト組成物をPETフィルム間に挟んだ状態で23℃にて24時間静置した後、離型フィルムを除去して動的粘弾性測定用のサンプルを調製した。
【0086】
当該サンプルを用いて、動的粘弾性測定装置の回転せん断モードで、温度-80℃から140℃、周波数1Hz、昇温速度5℃/minの測定条件で動的粘弾性測定を行い、貯蔵弾性率G’、及び損失弾性率G’’を測定した。得られた貯蔵弾性率G’、及び損失弾性率G’’のカーブにおいて、室温以上で貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’が交差する最も高い温度をクロスオーバー温度とした。
【0087】
なお、上記測定では、動的粘弾性測定装置としてティーエーインスツルメント社製ローテェーショナルレオメーター(商品名「AR-G2」)を用いた。
【0088】
(180℃溶融粘度)
ホットメルト組成物を加熱溶融し、180℃における溶融状態の粘度を、ブルックフィールドRVT型粘度計(スピンドルNo.29)を用いて測定した。
【0089】
評価
(試験片(伸縮部材)の調製)
ホットメルト組成物を160~180℃の塗工温度で、離型処理されたPETフィルムの離型層側に50g/mの塗布量で塗布した。塗布幅100mmであった。次いで、片面に離型処理を施した離型紙でラミネートして、積層体を作製した。得られた積層体を、幅方向に25mm及び塗布方向に50mmの大きさ、又は、幅方向に50mm及び塗布方向に100mmの大きさでカットした。積層体のPETフィルム及び離型紙を剥離して、ホットメルト組成物からなる幅25mm、長さ50mmの試験片、及び、幅50mm、長さ100mmの試験片(伸縮部材)を調製した。
【0090】
(破断伸び(伸張性))
治具間を50mmに設定した引張り試験機へ、長手方向(ホットメルト組成物の塗布方向(MD方向))と垂直な方向(CD方向)が上下に位置するよう試験片(幅(MD方向)50mm、長さ(CD方向)100mm)の塗布方向の両端を治具で固定し、引張速度500mm/分で上下方向に、試験片が破断するまで引張った。試験片が破断するまでの治具の移動距離を測定し、下記式に基づいて破断伸びの値を算出して、伸張性を評価した。
[破断伸び(%)]=(試験片が破断するまでの治具の移動距離(mm)/初期治具間距離(mm))×100
【0091】
(永久歪み(伸縮回復性))
治具間を50mmに設定した引張り試験機へ、長手方向(ホットメルト組成物の塗布方向(MD方向))と垂直な方向(CD方向)が上下に位置するよう試験片(幅(MD方向)50mm、長さ(CD方向)100mm)を治具で固定し、引張速度500mm/分で試験片の歪み変位が300%となる点まで上下方向に引張った。次いで、速度500mm/分で初期の位置に戻した。歪み変位300%まで引張り、その後初期の位置に戻す工程を1サイクルとし、同一試験片について2サイクル繰り返した。1サイクル目の引張り時の積分値と2サイクル目の引張り時の積分値から、下記式に基づいて永久歪みの値を算出して、伸縮回復性を評価した。
[永久歪み(%)]=
[(2サイクル目の積分値(J))-(1サイクル目の積分値(J))]×100
【0092】
(応力維持率(高温での伸張時の応力維持性))
40℃の環境下で、治具間を25mmに設定した引張り試験機へ、長手方向(ホットメルト組成物の塗布方向(MD方向))と垂直な方向(CD方向)が上下に位置するよう試験片(幅(MD方向)25mm、長さ(CD方向)50mm)を治具で固定し、引張速度100mm/分で試験片の変位が100%となる点まで上下方向に引張った。この状態で1時間維持し、試験力の変化を測定した。試験力の最大値を初期試験力とし、1時間後の試験力の測定値から、下記式に基づいて応力維持率を算出して、高温での伸張時の応力維持性を評価した。
[応力維持率(%)]=(1時間後の試験力(N)/初期試験力(N))×100
【0093】
(塗工適性)
ホットメルト組成物を、180℃に加熱した溶融タンクに投入し、180℃に加熱したスロットノズルから吐出させて、離型処理されたPETフィルムへ塗布量50g/m、塗布幅100mmの条件で接触塗工した。塗工の状況を目視により観察し、以下の評価基準に従って評価した。
A:塗布ムラなく塗工できる。
B:やや塗布ムラが見られるが、実使用上問題ない程度である。
C:塗布ムラが顕著に見られる、又は、所定量のホットメルト組成物が吐出されない。
【0094】
結果を表1に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
なお、比較例2のホットメルト組成物は、環球式軟化点温度が高すぎて塗布できなかったため評価ができなかった。
図1