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特許7610952吸引装置の制御ユニット及び吸引装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】吸引装置の制御ユニット及び吸引装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/50 20200101AFI20241226BHJP
【FI】
A24F40/50
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020176511
(22)【出願日】2020-10-21
(65)【公開番号】P2022067745
(43)【公開日】2022-05-09
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】杉田 修平
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-500531(JP,A)
【文献】特表2011-515080(JP,A)
【文献】特表2020-505011(JP,A)
【文献】特表2015-512262(JP,A)
【文献】特表2015-531235(JP,A)
【文献】特表2017-515485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引装置の制御ユニットであって、前記吸引装置は、第1電源と、前記第1電源の出力密度より低い出力密度を有する第2電源とを備え、前記制御ユニットは、
前記第1電源及び前記第2電源のうち前記第1電源のみからエアロゾル源を加熱する加熱部へ電力を供給する、第1放電制御を行い、
その後、前記第1電源及び前記第2電源のうち少なくとも前記第2電源から前記加熱部へ電力を供給する、第2放電制御を行う
ように構成された制御部と、
前記第1電源と前記第2電源との間の充電を可能にする第1回路
を備える制御ユニット。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2放電制御において、前記第1電源及び前記第2電源のうち前記第2電源のみから前記加熱部へ電力を供給するように構成される、請求項1に記載の制御ユニット。
【請求項3】
前記制御部は、加熱開始の指示を受けた場合、前記第1放電制御及び前記第2放電制御のうち前記第1放電制御を先に行い、該第1放電制御の終了後、次の加熱指示を受ける前に、前記第2放電制御を行うように構成される、請求項1又は2に記載の制御ユニット。
【請求項4】
前記制御部は、測定又は推定される所定の値が所定の上限値又は所定の下限値に到達した場合に、前記第1放電制御から前記第2放電制御に切り替えるように構成される、請求項1から3のいずれかに記載の制御ユニット。
【請求項5】
吸引装置の制御ユニットであって、前記吸引装置は、第1電源と、前記第1電源の出力密度より低い出力密度を有する第2電源とを備え、前記制御ユニットは、
前記第1電源及び前記第2電源のうち前記第1電源のみからエアロゾル源を加熱する加熱部へ電力を供給する、第1放電制御を行い、
その後、前記第1電源及び前記第2電源のうち少なくとも前記第2電源から前記加熱部へ電力を供給する、第2放電制御を行う
ように構成された制御部と、
外部電源による前記第1電源及び前記第2電源のうち少なくとも前記第2電源の充電を可能にするように構成された第2回路と
を備え、
前記第2回路は、前記外部電源により前記第1電源が充電されないように制御される
制御ユニット。
【請求項6】
前記第1放電制御が行われておらず、且つ、前記第2電源の充電量が前記第1電源の充電量より大きい場合、前記第1電源が前記第2電源により充電される、請求項1からのいずれかに記載の制御ユニット。
【請求項7】
前記第2電源は前記第1電源より高い容量を有する、請求項1からのいずれかに記載の制御ユニット。
【請求項8】
吸引装置の制御ユニットであって、前記吸引装置は、第1電源と、前記第1電源の出力密度より低い出力密度を有する第2電源とを備え、前記制御ユニットは、
前記第1電源及び前記第2電源のうち前記第1電源のみからエアロゾル源を加熱する加熱部へ電力を供給する、第1放電制御を行い、
その後、前記第1電源及び前記第2電源のうち少なくとも前記第2電源から前記加熱部へ電力を供給する、第2放電制御を行う
ように構成された制御部
を備え、
前記第2電源の作動電圧は前記第1電源の作動電圧より高い
制御ユニット。
【請求項9】
吸引装置の制御ユニットであって、前記吸引装置は、第1電源と、前記第1電源の出力密度より低い出力密度を有する第2電源とを備え、前記制御ユニットは、
前記第1電源及び前記第2電源のうち前記第1電源のみからエアロゾル源を加熱する加熱部へ電力を供給する、第1放電制御を行い、
その後、前記第1電源及び前記第2電源のうち少なくとも前記第2電源から前記加熱部へ電力を供給する、第2放電制御を行う
ように構成された制御部
を備え、
前記制御部は、
前記第1電源の充電量に関連する値が第1所定値以上である場合、前記第1放電制御を行い、
前記第1電源の充電量に関連する値が第2所定値未満である場合、前記第1放電制御を行うことなく、前記第2放電制御を行う
ように構成される
制御ユニット。
【請求項10】
吸引装置の制御ユニットであって、前記吸引装置は、第1電源と、前記第1電源の出力密度より低い出力密度を有する第2電源とを備え、前記制御ユニットは、
前記第1電源及び前記第2電源のうち前記第1電源のみからエアロゾル源を加熱する加熱部へ電力を供給する、第1放電制御を行い、
その後、前記第1電源及び前記第2電源のうち少なくとも前記第2電源から前記加熱部へ電力を供給する、第2放電制御を行う
ように構成された制御部
を備え、
前記制御部は、前記第2電源の充電量に関連する値が第3所定値未満である場合、前記第2放電制御を停止するように構成される
制御ユニット。
【請求項11】
前記制御部は、前記第1電源の充電量に関連する値が第2所定値未満である場合、前記第1放電制御を行うことなく、前記第2放電制御を行うように構成される、請求項10に記載の制御ユニット。
【請求項12】
吸引装置の制御ユニットであって、前記吸引装置は、第1電源と、前記第1電源の出力密度より低い出力密度を有する第2電源とを備え、前記制御ユニットは、
前記第1電源及び前記第2電源のうち前記第1電源のみからエアロゾル源を加熱する加熱部へ電力を供給する、第1放電制御を行い、
その後、前記第1電源及び前記第2電源のうち少なくとも前記第2電源から前記加熱部へ電力を供給する、第2放電制御を行う
ように構成された制御部
を備え、
前記第1放電制御において、前記加熱部を流れる電流に関連する値が所定値を超える場合、前記第1放電制御が停止される
制御ユニット。
【請求項13】
前記制御部とは別に設けられた第1素子を備え、前記第1素子により前記第1放電制御が停止される、請求項12に記載の制御ユニット。
【請求項14】
吸引装置の制御ユニットであって、前記吸引装置は、第1電源と、前記第1電源の出力密度より低い出力密度を有する第2電源とを備え、前記制御ユニットは、
前記第1電源及び前記第2電源のうち前記第1電源のみからエアロゾル源を加熱する加熱部へ電力を供給する、第1放電制御を行い、
その後、前記第1電源及び前記第2電源のうち少なくとも前記第2電源から前記加熱部へ電力を供給する、第2放電制御を行う
ように構成された制御部
を備える、
前記第2放電制御において、前記加熱部を流れる電流に関連する値が所定値を超える場合、前記第2放電制御が停止される
制御ユニット。
【請求項15】
前記制御部とは別に設けられた第2素子を備え、前記第2素子により前記第2放電制御が停止される、請求項14に記載の制御ユニット。
【請求項16】
吸引装置の制御方法であって、
第1電源と前記第1電源の出力密度よりも低い出力密度を有する第2電源とのうち前記第1電源のみから加熱部へ電力を供給する、第1放電制御を行うステップと、
その後、前記第1電源及び前記第2電源のうち少なくとも前記第2電源から前記加熱部へ電力を供給する、第2放電制御を行うステップと
を含み、
外部電源による前記第2電源の充電をする際、前記外部電源により前記第1電源が充電されないように制御するステップ
をさらに含む方法
【請求項17】
吸引装置の制御方法であって、
第1電源と前記第1電源の出力密度よりも低い出力密度を有する第2電源とのうち前記第1電源のみから加熱部へ電力を供給する、第1放電制御を行うステップと、
その後、前記第1電源及び前記第2電源のうち少なくとも前記第2電源から前記加熱部へ電力を供給する、第2放電制御を行うステップと
を含み、
前記第2電源の作動電圧は前記第1電源の作動電圧より高い、
方法
【請求項18】
吸引装置の制御方法であって、
第1電源と前記第1電源の出力密度よりも低い出力密度を有する第2電源とのうち前記第1電源のみから加熱部へ電力を供給する、第1放電制御を行うステップと、
その後、前記第1電源及び前記第2電源のうち少なくとも前記第2電源から前記加熱部へ電力を供給する、第2放電制御を行うステップと
を含み、
前記第1電源の充電量に関連する値が第1所定値以上である場合、前記第1放電制御を行い、
前記第1電源の充電量に関連する値が第2所定値未満である場合、前記第1放電制御を行うことなく、前記第2放電制御を行う
ステップをさらに含む方法
【請求項19】
吸引装置の制御方法であって、
第1電源と前記第1電源の出力密度よりも低い出力密度を有する第2電源とのうち前記第1電源のみから加熱部へ電力を供給する、第1放電制御を行うステップと、
その後、前記第1電源及び前記第2電源のうち少なくとも前記第2電源から前記加熱部へ電力を供給する、第2放電制御を行うステップと
を含み、
前記第2電源の充電量に関連する値が第3所定値未満である場合、前記第2放電制御を停止するステップ
をさらに含む方法
【請求項20】
吸引装置の制御方法であって、
第1電源と前記第1電源の出力密度よりも低い出力密度を有する第2電源とのうち前記第1電源のみから加熱部へ電力を供給する、第1放電制御を行うステップと、
その後、前記第1電源及び前記第2電源のうち少なくとも前記第2電源から前記加熱部へ電力を供給する、第2放電制御を行うステップと
を含み、
前記第1放電制御において、前記加熱部を流れる電流に関連する値が所定値を超える場合、前記第1放電制御停止するステップ
をさらに含む方法
【請求項21】
吸引装置の制御方法であって、
第1電源と前記第1電源の出力密度よりも低い出力密度を有する第2電源とのうち前記第1電源のみから加熱部へ電力を供給する、第1放電制御を行うステップと、
その後、前記第1電源及び前記第2電源のうち少なくとも前記第2電源から前記加熱部へ電力を供給する、第2放電制御を行うステップと
を含み、
前記第2放電制御において、前記加熱部を流れる電流に関連する値が所定値を超える場合、前記第2放電制御停止するステップ
をさらに含む方法
【請求項22】
前記第2放電制御を行うステップにおいて、前記第1電源及び前記第2電源のうち前記第2電源のみから前記加熱部へ電力が供給される、請求項16から21のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸引装置の制御ユニット及び吸引装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子たばこ、加熱式たばこ、ネブライザーなどの、ユーザが吸引する物質(例えば、エアロゾル)を生成する吸引装置においては、ユーザによる吸引が検知されると、加熱部の温度が当該物質を生成することができる温度に到達するように、加熱部に電力を供給する必要がある。加熱部がそのような温度に到達するのに要する時間が長くなるほど、当該物質の吸引が可能になるまでのユーザの待ち時間が長くなり、ユーザエクスペリエンスが低下する。
【0003】
特許文献1には、通常の電源に加えて補助電源を用いることによって複数のヒータに対して電力を供給する、香味生成装置が開示されている。
【0004】
しかし、エアロゾル等の物質の吸引が可能になるまでのユーザの待ち時間を短縮するためのさらなる改善が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2020/059049号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、上記の点に鑑みてなされたものである。本開示が解決しようとする課題は、エアロゾル等の物質の吸引が可能になるまでのユーザの待ち時間を短縮することができる吸引装置を提供し、ユーザエクスペリエンスを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本開示の実施形態によれば、吸引装置の制御ユニットが提供される。前記吸引装置は、第1電源と、前記第1電源の出力密度より低い出力密度を有する第2電源とを備える。前記制御ユニットは、前記第1電源及び前記第2電源のうち前記第1電源のみからエアロゾル源を加熱する加熱部へ電力を供給する、第1放電制御を行い、その後、前記第1電源及び前記第2電源のうち少なくとも前記第2電源から前記加熱部へ電力を供給する、第2放電制御を行うように構成された制御部を備える。
【0008】
一実施形態において、前記制御部は、前記第2放電制御において、前記第1電源及び前記第2電源のうち前記第2電源のみから前記加熱部へ電力を供給するように構成される。
【0009】
一実施形態において、前記制御部は、加熱開始の指示を受けた場合、前記第1放電制御及び前記第2放電制御のうち前記第1放電制御を先に行い、該第1放電制御の終了後、次の加熱指示を受ける前に、前記第2放電制御を行うように構成される。
【0010】
一実施形態において、前記制御部は、測定又は推定される所定の値が所定の上限値又は所定の下限値に到達した場合に、前記第1放電制御から前記第2放電制御に切り替えるように構成される。
【0011】
一実施形態において、前記制御ユニットは、前記第1電源と前記第2電源との間の充電を可能にする第1回路を備える。
【0012】
一実施形態において、前記制御ユニットは、外部電源による前記第1電源及び前記第2電源のうち少なくとも前記第2電源の充電を可能にするように構成された第2回路を備える。
【0013】
一実施形態において、前記第2回路は、前記外部電源による前記第1電源の充電も可能にするように構成される。
【0014】
一実施形態において、前記第2回路は、前記外部電源により前記第2電源を前記第1電源より先に充電するように制御される。
【0015】
一実施形態において、前記第1放電制御が行われておらず、且つ、前記第2電源の充電量が前記第1電源の充電量より大きい場合、前記第1電源が前記第2電源により充電される。
【0016】
一実施形態において、前記第2回路は、前記外部電源により前記第1電源が充電されないように制御される。
【0017】
一実施形態において、前記第2電源は前記第1電源より高い容量を有する。
【0018】
一実施形態において、前記第2電源の作動電圧は前記第1電源の作動電圧より高い。
【0019】
一実施形態において、前記制御部は、前記第1電源の充電量に関連する値が第1所定値以上である場合、前記第1放電制御を行い、前記第1電源の充電量に関連する値が第2所定値未満である場合、前記第1放電制御を行うことなく、前記第2放電制御を行うように構成される。
【0020】
一実施形態において、前記制御部は、前記第2電源の充電量に関連する値が第3所定値未満である場合、前記第2放電制御を停止するように構成される。
【0021】
一実施形態において、前記制御部は、前記第1電源の充電量に関連する値が第2所定値未満である場合、前記第1放電制御を行うことなく、前記第2放電制御を行うように構成される。
【0022】
一実施形態において、前記第1放電制御において、前記加熱部を流れる電流に関連する値が所定値を超える場合、前記第1放電制御が停止される。
【0023】
一実施形態において、前記制御ユニットは、前記制御部とは別に設けられた第1素子を備え、前記第1素子により前記第1放電制御が停止される。
【0024】
一実施形態において、前記第2放電制御において、前記加熱部を流れる電流に関連する値が所定値を超える場合、前記第2放電制御が停止される。
【0025】
一実施形態において、前記制御ユニットは、前記制御部とは別に設けられた第2素子を備え、前記第2素子により前記第2放電制御が停止される。
【0026】
また、本開示の実施形態によれば、吸引装置の制御方法であって、第1電源と前記第1電源の出力密度よりも低い出力密度を有する第2電源とのうち前記第1電源のみから加熱部へ電力を供給する、第1放電制御を行うステップと、その後、前記第1電源及び前記第2電源のうち少なくとも前記第2電源から前記加熱部へ電力を供給する、第2放電制御を行うステップとを含む、方法が提供される。
【0027】
一実施形態において、前記第2放電制御を行うステップにおいて、前記第1電源及び前記第2電源のうち前記第2電源のみから前記加熱部へ電力が供給される。
【発明の効果】
【0028】
本開示の実施形態によれば、エアロゾル等の物質の吸引が可能になるまでのユーザの待ち時間を短縮することができる吸引装置を提供することができ、ユーザエクスペリエンスを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本開示の一実施形態による吸引装置の構成の概略的なブロック図である。
図2】本開示の一実施形態による吸引装置の一部の構成要素の接続関係を示す図である。
図3】本開示の一実施形態による例示的な処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態について詳しく説明する。本開示において、吸引装置は、ユーザにより吸引される物質を生成する装置である。以下では、吸引装置により生成される物質がエアロゾルであるものとして説明する。他に、吸引装置により生成される物質は、気体であってもよい。本開示における吸引装置の実施形態は、電子たばこ,加熱式たばこ及びネブライザーを含むが、これらに限定されない。
【0031】
図1は、本開示の一実施形態による吸引装置の構成の概略的なブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る吸引装置100は、制御ユニット102を含む。制御ユニット102は、制御部104を含む。吸引装置100はまた、第1電源106及び第2電源108を含む。一例において、制御ユニット102は、制御部104に加えて、第1電源106及び第2電源108をも含むように構成されてもよい。制御ユニット102は、さらに、制御部104とは別に設けられた素子を含んでもよい。そのような素子の例は、例えば、保護集積回路(IC)及びヒューズを含む。吸引装置100はまた、加熱部110、エアロゾル基材挿入部112及び充電端子114を含む。図示しないが、吸引装置100は、さらに、センサ部、通知部、記憶部、通信部、保持部等を含んでもよい。
【0032】
図1において、上述の構成要素は、1つの筐体116内に配置されている。しかし、吸引装置100の構成はこのような態様に限定されない。例えば、第1電源106及び第2電源108は、制御ユニット102とは別のユニットに配置されてもよい。あるいは、制御ユニット102と、第1電源106及び第2電源108と、加熱部110とが、それぞれ別個のユニットに配置されてもよい。それらのユニットは互いに着脱可能であるように構成されてもよい。
【0033】
第1電源106及び第2電源108は、電力を蓄積する。第1電源106及び第2電源108は、制御部104による制御に応じて、吸引装置100の各構成要素に電力を供給する。第2電源108は、第1電源106の出力密度より低い出力密度を有するように構成される。出力密度は、W/cmの単位で表される単位体積当たりの出力、W/kgの単位で表される単位重量当たりの出力等であってもよい。第2電源108は、第1電源106の容量より高い容量を有するように構成されてもよい。なお、本明細書において、容量の高低は、満充電容量、又は、満充電容量から放電終止時における残容量を減じた容量(いわゆる放電容量)によって評価されるものとする。第2電源108は、第1電源106の作動電圧より高い作動電圧を有するように構成されてもよい。
【0034】
一般的な電源においては、出力密度と容量は相反する傾向が知られている。この傾向は、ラゴーン・プロットとも呼ばれる。詳述すれば、出力密度を高めると容量密度は低下し、容量密度を高めると出力密度は低下してしまう。つまり、高い出力密度と高い容量密度を兼ね備えた電源を用いることは困難である。しかし、上述した通り、高い出力密度を備えた第1電源106と高い容量を持つ第2電源108を併用すれば、高い出力密度と高い容量密度を兼ね備えた電源を疑似的に用いることができる。
【0035】
第1電源106及び第2電源108は充電可能に構成される。一例として、第1電源106はキャパシタ(特に、電気二重層キャパシタ)を含み、第2電源108はリチウムイオン二次電池を含む。しかし、第1電源106及び第2電源108の構成はこれらに限定されず、他の様々な態様を有してもよい。吸引装置100は、充電端子114を介して外部電源によって第1電源106及び第2電源108を充電することができるように構成される。
【0036】
センサ部は、吸引装置100に関する各種情報を取得する。一例として、センサ部は、マイクロホンコンデンサ等の圧力センサ、流量センサ又は温度センサ等により構成され、ユーザによる吸引に伴う値を取得する。他の一例として、センサ部は、ボタン又はスイッチ等の、ユーザからの情報の入力を受け付ける入力装置により構成される。
【0037】
通知部は、情報をユーザに通知する。通知部は、例えば、発光する発光装置、画像を表示する表示装置、音を出力する音出力装置、又は振動する振動装置等により構成される。
【0038】
記憶部は、吸引装置100の動作のための各種情報を記憶する。記憶部は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体により構成される。
【0039】
通信部は、有線又は無線の任意の通信規格に準拠した通信を行うことが可能な通信インタフェースである。かかる通信規格としては、例えば、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等が採用され得る。
【0040】
制御部104は、演算処理装置及び制御装置として機能し、各種プログラムに従って吸引装置100内の動作全般を制御する。制御部104は、例えばCPU(Central Processing Unit)及びマイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。
【0041】
保持部は、内部空間を有し、内部空間にエアロゾル基材の一部を収容しながらエアロゾル基材を保持する。保持部は、エアロゾル基材挿入部112から内部空間に挿入されたエアロゾル基材を保持する。例えば、保持部は、開口及び底部を底面とする筒状体であり、柱状の内部空間を画定する。保持部は、エアロゾル基材へ供給される空気の流路を画定する機能も有する。かかる流路への空気の入り口である空気流入孔は、例えば底部に配置される。空気流入孔は、保持部とエアロゾル基材の間に形成される隙間であってもよい。他方、かかる流路からの空気の出口である空気流出孔は、開口である。
【0042】
エアロゾル基材は、基材部及び吸口部を含む。基材部は、エアロゾル源を含む。エアロゾル源は、固体であってもよいし、液体であってもよい。エアロゾル基材が保持部に保持された状態において、基材部の少なくとも一部は内部空間に収容され、吸口部の少なくとも一部は開口から突出する。そして、開口から突出した吸口部をユーザが咥えて吸引すると、空気流入孔から内部空間に空気が流入し、基材部から発生するエアロゾルと共にユーザの口内に到達する。
【0043】
加熱部110は、エアロゾル源を加熱することで、エアロゾル源を霧化してエアロゾルを生成する。加熱部110は、フィルム状に構成され、保持部の外周を覆うように配置されてもよい。加熱部110が発熱すると、エアロゾル基材の基材部が外周から加熱され、エアロゾルが生成される。加熱部110は、第1電源106及び/又は第2電源108から給電されると発熱する。一例として、ユーザが吸引を開始したこと及び/又は所定の情報が入力されたことが、センサ部により検出された場合に、加熱部110は給電されてもよい。そして、ユーザが吸引を終了したこと及び/又は所定の情報が入力されたことが、センサ部により検出された場合に、加熱部110への給電が停止されてもよい。
【0044】
吸引装置100の構成は上記の構成に限定されず、多様な構成をとり得る。
【0045】
一例として、加熱部110は、ブレード状又はピン状に構成され、保持部の底部から内部空間に突出するように配置されてもよい。その場合、ブレード状又はピン状の加熱部110は、エアロゾル基材の基材部に挿入され、エアロゾル基材の基材部を内部から加熱する。他の例として、加熱部110は、保持部の底部を覆うように配置されてもよい。また、加熱部110は、保持部の外周を覆う第1の加熱部、ブレード状又はピン状の第2の加熱部及び保持部の底部を覆う第3の加熱部のうち、2以上の組み合わせとして構成されてもよい。
【0046】
他の一例として、保持部は、内部空間を形成する外殻の一部を開閉する、ヒンジ等の開閉機構を含んでいてもよい。そして、保持部は、外殻を開閉することで、内部空間に挿入されたエアロゾル基材を挟持してもよい。その場合、加熱部110は、保持部における当該挟持箇所に設けられ、エアロゾル基材を押圧しながら加熱してもよい。
【0047】
また、エアロゾル源を霧化する手段は、加熱部110による加熱に限定されない。例えば、エアロゾル源を霧化する手段は、誘導加熱であってもよい。
【0048】
図1とは別の構成として、吸引装置100は、制御ユニット、カートリッジ及び香味付与カートリッジを含むように構成されてもよい。制御ユニットは、制御部104、第1電源106及び第2電源108、センサ部、通知部、記憶部並びに通信部を含み得る。カートリッジは、加熱部110、液誘導部及び液貯蔵部を含み得る。香味付与カートリッジは、香味源及びマウスピースを含み得る。カートリッジ及び香味付与カートリッジには、空気流路が形成される。
【0049】
制御部104、第1電源106及び第2電源108、センサ部、通知部、記憶部並びに通信部の各々は、図1の吸引装置100に含まれる対応する構成要素と実質的に同一である。
【0050】
この例において、エアロゾル源は液体である。液貯蔵部は、エアロゾル源を貯蔵する。エアロゾル源が霧化されることで、エアロゾルが生成される。エアロゾル源は、例えば、グリセリン及びプロピレングリコール等の多価アルコール、並びに水等の液体である。エアロゾル源は、たばこ由来又は非たばこ由来の香味成分を含んでいてもよい。吸引装置100がネブライザ等の医療用吸入器である場合、エアロゾル源は、薬剤を含んでもよい。
【0051】
液誘導部は、液貯蔵部に貯蔵された液体であるエアロゾル源を、液貯蔵部から誘導し、保持する。液誘導部は、例えば、ガラス繊維等の繊維素材又は多孔質状のセラミック等の多孔質状素材を撚って形成されるウィックである。その場合、液貯蔵部に貯蔵されたエアロゾル源は、ウィックの毛細管効果により誘導される。本実施形態に代えて、液貯蔵部に貯蔵されたエアロゾル源を加熱部110に吹き掛けるスプレーを液誘導部に用いてもよい。
【0052】
加熱部110は、エアロゾル源を加熱することで、エアロゾル源を霧化してエアロゾルを生成する。この例では、加熱部110は、コイルとして構成され、液誘導部に巻き付けられる。加熱部110が発熱すると、液誘導部に保持されたエアロゾル源が加熱されて霧化され、エアロゾルが生成される。加熱部110は、第1電源106及び/又は第2電源108から給電されると発熱する。一例として、ユーザが吸引を開始したこと及び/又は所定の情報が入力されたことが、センサ部により検出された場合に、加熱部110は給電されてもよい。そして、ユーザが吸引を終了したこと及び/又は所定の情報が入力されたことが、センサ部により検出された場合に、加熱部110への給電が停止されてもよい。
【0053】
香味源は、エアロゾルに香味成分を付与するための構成要素である。香味源は、たばこ由来又は非たばこ由来の香味成分を含んでいてもよい。
【0054】
空気流路は、ユーザに吸引される空気の流路である。空気流路は、空気流路内への空気の入り口である空気流入孔と、空気流路からの空気の出口である空気流出孔と、を両端とする管状構造を有する。空気流路の途中には、上流側(空気流入孔に近い側)に液誘導部が配置され、下流側(空気流出孔に近い側)に香味源が配置される。ユーザによる吸引に伴い空気流入孔から流入した空気は、加熱部110により生成されたエアロゾルと混合され、香味源を通過して空気流出孔へ輸送される。エアロゾルと空気との混合流体が香味源を通過する際には、香味源に含まれる香味成分がエアロゾルに付与される。
【0055】
マウスピースは、吸引の際にユーザに咥えられる部材である。マウスピースには、空気流出孔が配置される。ユーザは、マウスピースを咥えて吸引することで、エアロゾルと空気との混合流体を口腔内へ取り込むことができる。
【0056】
一例として、吸引装置100は、香味付与カートリッジを含んでいなくてもよい。その場合、カートリッジにマウスピースが設けられる。この場合において、エアロゾル源に香味源が添加されてもよい。
【0057】
他の一例として、吸引装置100は、複数種類のエアロゾル源を含んでいてもよい。複数種類のエアロゾル源から生成された複数種類のエアロゾルが空気流路内で混合され化学反応を起こすことで、さらに他の種類のエアロゾルが生成されてもよい。
【0058】
また、エアロゾル源を霧化する手段は、加熱部110による加熱に限定されない。例えば、エアロゾル源を霧化する手段は、振動霧化、又は誘導加熱であってもよい。
【0059】
図2は、本開示の一実施形態による、吸引装置100の一部の構成要素の接続関係を示す図である。
【0060】
図2において、構成要素の接続関係を示す回路200は、制御部104、第1電源106、第2電源108、加熱部110、スイッチ202A、スイッチ202B、スイッチ202C、スイッチ202D、スイッチ202E、DC-DCコンバータ204A及びDC-DCコンバータ204Bを含む。図1に示される充電端子114を介して、外部電源206が回路200に接続され得る。なお、回路200の一部は、又は、外部電源206と加熱部110を除く全ては、制御ユニット102に設けられていてもよい。スイッチ202A、スイッチ202B、スイッチ202C、スイッチ202D、スイッチ202Eは、電界効果トランジスタやバイポーラトランジスタによって構成されていてもよい。スイッチ202A、スイッチ202B、スイッチ202C、スイッチ202D、スイッチ202Eは、同じ素子で構成されていてもよいし、異なる素子で構成されていてもよい。
【0061】
図2に示すように、加熱部110と、第1電源106、スイッチ202B及びDC-DCコンバータ204Aと、第2電源108、スイッチ202D及びDC-DCコンバータ204Bとは、並列に接続されてもよい。スイッチ202Aは、加熱部110とDC-DCコンバータ204Aとの間に接続されてもよい。スイッチ202Cは、DC-DCコンバータ204AとDC-DCコンバータ204Bとの間に接続されてもよい。スイッチ202Eは、DC-DCコンバータ204Bと外部電源206(又は、充電端子114)との間に接続されてもよい。
【0062】
制御部104は、スイッチ202A乃至202E並びにDC-DCコンバータ204A及び204Bを制御することができるように構成される。
【0063】
制御ユニット102は、第1電源106と第2電源108との間の充電を可能にする第1回路を含んでもよい。図2の例において、第1回路は、スイッチ202B、スイッチ202C、スイッチ202D、DC-DCコンバータ204A及びDC-DCコンバータ204Bを含む。
【0064】
制御ユニット102は、外部電源206による第1電源106及び第2電源108のうち少なくとも第2電源108の充電を可能にするように構成された、第2回路を含んでもよい。この場合、第2回路は、少なくとも、スイッチ202D、スイッチ202E及びDC-DCコンバータ204Bを含む。第2回路は、さらに、外部電源206による第1電源106の充電をも可能にするように構成されてもよい。この場合、第2回路は、上記の構成要素に加えて、スイッチ202B、スイッチ202C及びDC-DCコンバータ204Aを含む。なお、制御ユニット102は、スイッチ202BとDC-DCコンバータ204Aのうち一方のみを含んでいてもよい。また、制御ユニット102は、スイッチ202DとDC-DCコンバータ204Bのうち一方のみを含んでいてもよい。
【0065】
図3は、本開示の一実施形態による例示的な処理のフローチャートである。以下、制御ユニット102に含まれる制御部104が図3のステップを実行するものとして説明を行う。しかし、全部又は一部のステップが吸引装置100の別の構成要素によって実行されてもよいことに留意されたい。
【0066】
ステップ302において、制御部104は、加熱指示を受け取る。例として、制御部104は、圧力センサ、流量センサ等から得られた情報に基づいて、ユーザによる吸引が開始されたことを検知する。例えば、制御部104は、これらのセンサの出力値が所定の閾値に達した場合や、これらのセンサの出力値が連続的に変化する場合に、ユーザによる吸引が開始されたと判断してもよい。あるいは、制御部104は、エアロゾルの生成を開始するためのボタンが押されたことなどに基づいて、ユーザによる吸引が開始されたと判断してもよい。なお、当該ボタンは、吸引装置100とは別体の端末に設けられていてもよい。当該別体の端末に設けられる場合には、当該ボタンは物理的なボタンではなく、画面上に表示される仮想的なボタンであってもよい。
【0067】
制御部104は、加熱指示を受け取ると、ステップ304において、第1放電制御を行う。この場合、制御部104は、スイッチ202A及び202BをONにし、その他のスイッチをOFFにする。第1放電制御において、制御部104は、第1電源106及び第2電源108のうち第1電源106のみから、エアロゾル源を加熱する加熱部110へ、電力を供給する。既に述べたように、第1電源106の出力密度は第2電源108の出力密度よりも高い。本実施形態によれば、多くの電力を加熱部110に給電できるため、このような第1電源106を用いて加熱部110を速やかに加熱することができる。したがって、従来の吸引装置と比較して、加熱のための待ち時間を短縮することができる。
【0068】
ステップ306において、制御部104は、測定又は推定される所定の値が所定の上限値又は所定の下限値に到達したかどうかを判定する。所定の値は、加熱部110の温度に関する値であってもよい。一例として、所定の値は、加熱部110の温度であってもよく、当該温度は温度センサによって測定されてもよい。この場合、制御部104は、測定された温度が所定の上限値に到達したかどうかを判定する。当該所定の上限値は、エアロゾルを生成することができる加熱部110の温度であってもよく、例えば200℃であってもよい。なお、所定の上限値に代えて、所定の下限値をエアロゾルを生成することができる加熱部110の温度としてもよい。別の例として、所定の値は、加熱部110の抵抗値であってもよく、当該抵抗値は、電圧計、電流計、オペアンプ等を用いて測定されてもよい。この場合、制御部104は、測定された抵抗値が所定の上限値に到達したかどうかを判定する。当該所定の上限値は、加熱部110の温度がエアロゾルを生成することができる温度に到達するときの加熱部110の抵抗値であってもよい。なお、所定の上限値に代えて、所定の下限値を加熱部110の温度がエアロゾルを生成することができる温度に到達するときの加熱部110の抵抗値としてもよい。
【0069】
また、所定の値は、第1電源106の充電量に関する値であってもよい。この場合、制御部104は、測定又は推定された充電量に関する値が所定の下限値に到達したかどうかを判定する。充電量に関する値は、電圧、電流積算法(クーロン・カウンティング法)により算出される残容量、SOC(State Of Charge,充電状態)、DOD(Depth Of Discharge,放電深度)等であってもよい。
【0070】
また、所定の値は、第1放電制御が開始されてからの経過時間であってもよい。この場合、制御部104は、測定又は推定された経過時間が所定の上限値に到達したかどうかを判定する。
【0071】
上述の所定の上限値又は下限値に関する情報は記憶部に格納されていてもよい。
【0072】
所定の値が所定の上限値又は所定の下限値に到達していない場合(ステップ306の「N」)、処理はステップ304の前に戻り、ステップ304を再び実行する。所定の値が所定の上限値又は所定の下限値に到達した場合(ステップ306の「Y」)、処理はステップ308に進む。
【0073】
ステップ308において、制御部104は、第1電源106を用いた給電から第2電源108を用いた給電への切り替えを行う。例えば、制御部104は、スイッチ202A、スイッチ202C及び202DをONにし、その他のスイッチをOFFにする。
【0074】
処理はステップ310に進み、制御部104は、第2放電制御を行う。第2放電制御において、制御部104は、第1電源106及び第2電源108のうち少なくとも第2電源108から加熱部110へ電力を供給する。一例として、制御部104は、第2放電制御において、第1電源106及び第2電源108のうち第2電源108のみから加熱部110へ電力を供給する。第1電源106から第2電源108に切り替えられ、第2電源108のみを用いて第2放電制御が行われるので、第1電源106は加熱部110の温度を維持するためのエネルギーを蓄えておく必要がない。したがって、小さな容量の電源を第1電源106として用いることができる。
【0075】
別の例として、制御部104は、第2放電制御において、第1電源106及び第2電源108の両方から加熱部110へ電力を供給してもよい。この場合には、ステップ308の処理に代えて、スイッチ202A乃至202DのすべてがONにされる。
【0076】
第2放電制御において、制御部104は、加熱部110の温度を目標温度に維持するように制御を行う。当該目標温度は、加熱部110がエアロゾルを生成することができる温度(例えば、200℃)であってもよい。制御部104は、PID制御等のフィードバック制御を用いてこのような処理を行ってもよい。
【0077】
上述のように、制御部104は、加熱開始の指示を受けた場合、第1放電制御及び第2放電制御のうち第1放電制御を先に行ってもよく、当該第1放電制御の終了後、次の加熱指示を受ける前に、第2放電制御を行ってもよい。換言すれば、制御部104は、加熱指示を受け取ってから第1放電制御を行い、その後に後述するステップ312において終了条件が満たされるまで、第1放電制御に代えて第2放電制御を行ってもよい。
【0078】
制御部104は、必ずしも第1放電制御及び第2放電制御の両方を行わなくてもよい。例えば、ステップ302において加熱指示を受けたとき、第1電源106の充電量に関連する値が第1所定値以上である場合、制御部104は、第1放電制御を行ってもよい。しかし、加熱指示を受けたとき、第1電源106の充電量に関連する値が第2所定値未満である場合、制御部104は、第1放電制御を行うことなく、第2放電制御を行ってもよい。これにより、第1電源106の充電量が十分でないとき、第1電源106による加熱部110への給電は行われない。したがって、第1電源106による加熱部110の加熱不足を防止することができる。また、第1電源106がいかなる充電状態にあっても、吸引装置100を使用することが可能になる。換言すれば、第2電源104は、加熱指示を受けて加熱部110に給電する必要のある電力量以上の容量を少なくても有していることが好ましい。
【0079】
制御部104は、第2電源108の充電量に関連する値が第3所定値未満である場合、第2放電制御を停止してもよい。
【0080】
なお、第1放電制御において、加熱部110を流れる電流に関連する値が所定値を超える場合、第1放電制御が停止されてもよい。これにより、加熱部110の過加熱による信頼性懸念を排除することができる。制御ユニット102は、制御部104とは別に設けられた第1素子(例えば、保護IC及びヒューズ)を備えてもよく、当該第1素子により第1放電制御が停止されてもよい。第1素子は、図2に示された接続関係において、スイッチ202Aとスイッチ202Cの間に設けられないことが好ましい。換言すれば、第1素子は、スイッチ202Aとスイッチ202CとDC-DCコンバータ204Aとを結ぶノードとDC-DCコンバータ204Aの出力の間に設けられることが好ましい。このようにすれば、第1素子による保護が図られている状態においても、第2電源108から加熱部110への給電や、第2電源108の充電を行うことができる。なお、第1素子に代えて又は第1素子と併用されて、制御部104が、加熱部110の過加熱から保護すべく、第1放電制御を停止してもよい。
【0081】
また、第2放電制御において、加熱部110を流れる電流に関連する値が所定値を超える場合、第2放電制御が停止されてもよい。これにより、加熱部110の過加熱による信頼性懸念を排除することができる。制御ユニット102は、制御部104とは別に設けられた第2素子(例えば、保護IC及びヒューズ)を備えてもよく、当該第2素子により第2放電制御が停止されてもよい。第2素子は、図2に示された接続関係において、スイッチ202Cとスイッチ202Eの間に設けられないことが好ましい。換言すれば、第1素子は、スイッチ202Cとスイッチ202EとDC-DCコンバータ204Bとを結ぶノードとDC-DCコンバータ204Bの出力の間に設けられることが好ましい。このようにすれば、第2素子による保護が図られている状態においても、第1電源106から加熱部110への給電や、第1電源106の充電を行うことができる。なお、第2素子に代えて又は第2素子と併用されて、制御部104が、加熱部110の過加熱から保護すべく、第2放電制御を停止してもよい。
【0082】
上述した実施形態に代えて、スイッチ202Aの入力と、スイッチ202Aとスイッチ202CとDC-DCコンバータ204Aとを結ぶノードとの間に保護ICやヒューズを設けてもよい。この箇所に保護ICやヒューズを設ければ、1つの素子だけで第1放電制御と第2放電制御の双方における、加熱部110の過加熱による信頼性懸念を排除できる。なお、制御部104がこの箇所に流れる電流値を測定し、測定された値に基づき加熱部110を過加熱から保護する必要があると判断される場合は、制御部104が第1放電制御や第2放電制御を停止してもよい。
【0083】
処理はステップ312に進む。制御部104は、終了条件が満たされたかどうかを判定する。例えば、第2放電制御が開始されてからの経過時間が所定の値に到達した場合、制御部104は、終了条件が満たされたと判定する。別の例として、加熱指示が検知されなくなった場合、制御部104は、終了条件が満たされたと判定する。終了条件が満たされていない場合(ステップ312の「N」)、処理はステップ310の前に戻る。終了条件が満たされた場合(ステップ312の「Y」)、処理はステップ314に進み、制御部104は、第2放電制御を終了する。例えば、制御部104は、すべてのスイッチをOFFにする。
【0084】
処理はステップ316に進み、制御部104は、第2電源108の充電量が第1電源106の充電量より大きいかどうかを判定する。第2電源108の充電量が第1電源106の充電量より大きい場合(ステップ316の「Y」)、処理はステップ318に進む。ステップ318において、制御部104は、第1電源106が第2電源108によって充電されるように制御を行う。例えば、制御部104は、スイッチ202B、スイッチ202C及びスイッチ202DをONにし、その他のスイッチをOFFにする。なお、スイッチ202Bが寄生ダイオード(ボディダイオード)を有するトランジスタから構成される場合、スイッチ202BはONでもよいし、OFFでもよい点に留意されたい。
【0085】
第2電源108の電圧が第1電源108の電圧より低い場合、制御部104は、第1電源108の電圧以上の電圧が出力されるようにDC-DCコンバータ204Bを制御してもよい。また、制御部104は、第1電源106の充電電流や充電電圧を制御するために、スイッチ202Cにドロッパ制御を適用してもよい。なお、第2電源108から出力される充電電流は、DC-DCコンバータ204Aを逆流することで第1電源106に供給されてもよいが、DC-DCコンバータ204Aへ並列接続されるバイパス回路によって第1電源106に供給されることがより好ましい。当該バイパス回路は、第1電源106の放電を遮断可能であるように構成されていることが好ましい。その後、処理はステップ320に進む。
【0086】
このように、第1放電制御が行われておらず、且つ、第2電源108の充電量が第1電源106の充電量より大きい場合、第1電源106が第2電源108により充電される。このような構成により、外部からの給電に依ることなく、第1電源106を充電することが可能である。
【0087】
ステップ318の処理のほか、ステップ310において第2放電制御を行っている間に、制御部104は、第2電源108によって第1電源106を充電するように制御を行ってもよい。例えば、制御部104は、スイッチ202A、スイッチ202B、スイッチ202C及びスイッチ202DをONにする。第2電源108による第1電源106の充電は、上述したように、DC-DCコンバータ204Aの逆流によって実現されてもよいし、バイパス回路によって実現されてもよい。このような構成によれば、ユーザがチェーンスモークを行う場合であっても、第1電源106が十分な充電量を有することを担保することができる。換言すれば、第2電源104は、加熱指示を受けて加熱部110に給電する必要のある電力量より多い容量を少なくても有していることが好ましい。
【0088】
既に述べたように、第2電源108は、第1電源106より低い出力密度及び高い容量を有する。この構成により、第2電源108から第1電源106へ安全且つ確実に充電をすることができる。
【0089】
また、第2電源108は、第1電源106の作動電圧より高い作動電圧を有するように構成されてもよい。これにより、第1電源106を第2電源108によって容易に充電することが可能であり、DC-DCコンバータ204Aなどの昇圧回路等を設ける必要がない。
【0090】
他方、第2電源108の充電量が第1電源106の充電量以下である場合(ステップ316の「N」)、ステップ318の処理は行われない。
【0091】
ステップ320において、制御部104は、第2電源108の充電量が、1回の吸引に相当する放電量より小さいかどうかを判定する。ここで、1回の吸引に相当する放電量は、予め設定されている値でもよいし、ユーザが吸引装置100を使用した結果から決定される値であってもよい。
【0092】
第2電源108の充電量が、1回の吸引に相当する放電量以上である場合(ステップ320の「N」)、処理は終了する。第2電源108の充電量が、1回の吸引に相当する放電量より小さい場合(ステップ320の「Y」)、処理はステップ332に進む。
【0093】
ステップ322において、制御部104は、通知部等を用いて、吸引装置100を用いた吸引をすることができないこと、充電が必要であること等を、ユーザに対して通知する。制御部104は、スイッチ202A乃至202Eの全部又は一部をOFFにしてもよい。上記通知を受けて、ユーザは、外部電源206を充電端子114に接続する(ステップ324)。
【0094】
処理はステップ326に進み、制御部104は、外部電源206によって第2電源108を充電するように制御を行う。例えば、制御部104は、スイッチ202D及び202EをONにしてもよい。第1電源106の充電電流や充電電圧は、外部電源206又は吸引装置100に備えられた不図示の充電ICによって制御されてもよいし、制御部104がスイッチ202Eにドロッパ制御を適用することで制御されてもよい。なお、外部電源206から出力される充電電流は、DC-DCコンバータ204Bを逆流することで第2電源108に供給されてもよいが、DC-DCコンバータ204Bへ並列接続されるバイパス回路によって第2電源108に供給されることがより好ましい。当該バイパス回路は、第2電源108の放電を遮断可能であるように構成されていることが好ましい。
【0095】
処理はステップ328に進み、制御部104は、第2電源108の充電量が充電終止条件を達成したかどうかを判定する。充電終止条件が達成されていない場合(ステップ328の「N」)、処理はステップ326の前に戻る。充電終止条件が達成された場合(ステップ328の「Y」)、処理はステップ330に進む。
【0096】
制御部104は、外部電源206により第1電源106が充電されないように、上述した第2回路を制御してもよい。第2電源108のみを外部から充電可能とすることにより、第1電源106を外部から遮断することができる。したがって、第1電源106を過充電状態にならないよう保護することが可能になる。また、電圧の異なる第1電源106及び第2電源108の各々を、それぞれに対応する回路によって充電することにより、信頼性向上や第1電源106の保護を可能にする。
【0097】
あるいは、制御部104は、第2電源108だけでなく第1電源106も外部電源206によって充電されるように、制御を行ってもよい。外部電源206による第1電源106の充電は、制御部104が、スイッチ202B、スイッチ202C及びスイッチ202EをONにすることで実行されてもよい。一例において、制御部104は、外部電源206により第2電源108が第1電源106より先に充電されるように、上述した第2回路を制御してもよい。第2電源108の充電電流や充電電圧は、外部電源206又は吸引装置100に備えられた不図示の充電ICによって制御されてもよいし、制御部104がスイッチ202Eにドロッパ制御を適用することで制御されてもよい。なお、外部電源206から出力される充電電流は、DC-DCコンバータ204Aを逆流することで第1電源106に供給されてもよいが、DC-DCコンバータ204Aへ並列接続されるバイパス回路によって第1電源106に供給されることがより好ましい。当該バイパス回路は、第1電源106の放電を遮断可能であるように構成されていることが好ましい。
【0098】
別の例において、制御部104は、外部電源206により第1電源106が第2電源108より先に充電されるように、第2回路を制御してもよい。このような構成により、第1電源106及び第2電源108の各々の電圧の監視が容易になる。また、外部電源206を用いて第1電源106及び第2電源108の両方を満充電状態にすることが可能になる。
【0099】
さらに別の例において、制御部104は、外部電源206により第1電源106及び第2電源108が同時に充電されるように、第2回路を制御してもよい。外部電源206による第1電源106及び第2電源108の同時の充電は、制御部104が、スイッチ202A、スイッチ202B、スイッチ202C及びスイッチ202EをONにすることで実行されてもよい。第1電源106と第2電源108それぞれの充電電流は、前述した通りDC-DCコンバータ204A、204Bの逆流や、DC-DCコンバータ204A、204Bに並列接続されるバイパス回路により供給される。
【0100】
ステップ330において、制御部104は、通知部等を用いて、充電が完了したことをユーザに通知する。当該通知を受けて、ユーザは、外部電源206を充電端子114から取り外す(ステップ332)。
【0101】
本開示の実施形態は、吸引装置の制御ユニット及び吸引装置の制御方法として説明された。しかし、本開示が、プロセッサにより実行されると当該プロセッサに当該制御方法を実行させるプログラム、又は当該プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体として実施され得ることが理解されよう。
【0102】
以上、本開示の実施形態が説明されたが、これらが例示にすぎず、本開示の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、実施形態の変更、追加、改良などを適宜行うことができることが理解されるべきである。本開示の範囲は、上述した実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ規定されるべきである。
【符号の説明】
【0103】
100…吸引装置、102…制御ユニット、104…制御部、106…第1電源、108…第2電源、110…加熱部、112…エアロゾル基材挿入部、114…充電端子、116…筐体、200…回路、202A、202B、202C、202D、202E…スイッチ、204A、204B…DC-DCコンバータ、206…外部電源
図1
図2
図3