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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】付着物除去装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/52 20060101AFI20241226BHJP
   B60S 1/62 20060101ALI20241226BHJP
   B05B 1/10 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
B60S1/52
B60S1/62 120B
B60S1/62 120C
B60S1/62 110A
B05B1/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020208536
(22)【出願日】2020-12-16
(65)【公開番号】P2022095298
(43)【公開日】2022-06-28
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古石 朋久
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-190264(JP,A)
【文献】特開昭59-163157(JP,A)
【文献】実公平03-050573(JP,Y2)
【文献】実公平03-017959(JP,Y2)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0017215(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0016188(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00-1/68
B05B 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体をセンサの検知面に向けて噴射する噴射口とは反対側の端部に第1嵌合部を有するノズルと、
回転軸方向に沿って貫通した貫通孔を有し、一端に前記第1嵌合部に嵌合する第2嵌合部が形成され、他端に流体供給装置が接続されることで、前記貫通孔が前記ノズルおよび前記流体供給装置と連通するリードスクリューと、
前記リードスクリューを回転させることで、前記第1嵌合部および前記第2嵌合部の嵌合状態を変化させて前記ノズルを前記回転軸方向に移動させる回転機構と、
前記ノズル、前記リードスクリューおよび前記回転機構を収容するとともに、前記ノズルの前記噴射口側の一部が突出する貫通孔を有する筐体と、
を備え、
前記筐体の前記貫通孔の形状、および、前記ノズルにおける前記一部の外周形状は、
同じ形状であり、かつ、非円形の形状であること
を特徴とする付着物除去装置。
【請求項2】
前記第1嵌合部は、
前記ノズルの内径側に設けられるメネジ形状であり、
前記第2嵌合部は、
前記リードスクリューの外径側に設けられるオネジ形状であること
を特徴とする請求項1に記載の付着物除去装置。
【請求項3】
前記筐体および前記ノズルの間に設けられる第1摺動部材と、
前記第1嵌合部および前記第2嵌合部の間に設けられる第2摺動部材と、
前記流体供給装置および前記リードスクリューが接続される接続部に設けられる第3摺動部材とをさらに備えること
を特徴とする請求項1に記載の付着物除去装置。
【請求項4】
前記筐体は、
前記リードスクリューの前記貫通孔および前記流体供給装置の流路が接続される貫通孔を有する接続部を備え、
前記ノズルの流路と、前記リードスクリューの前記貫通孔と、前記接続部の前記貫通孔とが同軸に配置されること
を特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の付着物除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付着物除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載カメラのレンズへ向けて噴射口を配置したノズルから洗浄液や圧縮空気といった流体を噴射することで、レンズへ付着した付着物を除去する付着物除去装置が知られている。この種の付着物除去装置には、ノズルが延在方向に沿って移動可能に設けられる技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-152326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、省スペース化の点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、省スペース化を実現できる付着物除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る付着物除去装置は、ノズルと、リードスクリューと、回転機構とを備える。前記ノズルは、流体をセンサの検知面に向けて噴射する噴射口とは反対側の端部に第1嵌合部を有する。前記リードスクリューは、回転軸方向に沿って貫通した貫通孔を有し、一端に前記第1嵌合部に嵌合する第2嵌合部が形成され、他端に流体供給装置が接続されることで、前記貫通孔が前記ノズルおよび前記流体供給装置と連通する。前記回転機構は、前記リードスクリューを回転させることで、前記第1嵌合部および前記第2嵌合部の嵌合状態を変化させて前記ノズルを前記回転軸方向に移動させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、省スペース化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、車載カメラが設けられる車両を示す図である。
図2図2は、図1に示すA-A’線略断面図である。
図3図3は、実施形態に係る付着物除去装置の説明図である。
図4図4は、実施形態に係る付着物除去装置の構成を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る付着物除去装置の構成を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る付着物除去装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する付着物除去装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
また、以下では、付着物除去装置が取り付けられるセンサが、車両Vに搭載される車載カメラ5である場合を例に挙げて説明を行う。車載カメラ5は、車両Vの後部に配置され、車両Vの後方を撮影するリアカメラであるものとする。
【0011】
まず、図1は、車載カメラ5が設けられる車両Vを示す図である。図1に示すように、車載カメラ5はたとえば、車両V後部のライセンスプレート93の上部であり、かつ、車両Vの車幅方向の略中央である位置に設置される。車載カメラ5は、かかる位置から、たとえば車両V後方のバックビュー用画像を撮像する。
【0012】
つづいて、図2は、図1に示すA-A’線略断面図である。なお、図2には、説明の便宜上、流体を噴出するノズルを有していない車載カメラ5を図示している。
【0013】
図2に示すように、車両Vの後部においては、金属製の車体パネル91へライセンスプレート93が取り付けられている。また、ライセンスプレート93の上部においては、車体パネル91へ、たとえば樹脂等で形成されたガーニッシュ92が取り付けられている。
【0014】
車体パネル91とガーニッシュ92との間には、部品等を配置可能な空間94が形成されている。ガーニッシュ92の底面92aは、その平面方向が、たとえば水平方向と略平行となるように設けられている。なお、底面92aには、ガーニッシュ穴92bが開口されている。
【0015】
車載カメラ5は、たとえばブラケット7を介して車体パネル91に対し支持される。ブラケット7は、車体パネル91に開口されたボディ穴91aに被せるように固定されている。車載カメラ5は、かかるブラケット7へ取り付けられ、車両Vの後方が撮像可能となるように光軸方向を鉛直方向に対し傾けた状態でブラケット7により支持される。
【0016】
車載カメラ5の基端側は車内側へ配置され、配線が接続される。先端側は空間94側へ配置され、レンズ5a(検知面の一例)がガーニッシュ穴92bから露出される。なお、車載カメラ5とガーニッシュ92とのクリアランスは車両Vの種類によっては数ミリ程度である場合もあり、ほとんど詰められている。
【0017】
ここで、実施形態に係る付着物除去装置10について説明する。図3は、実施形態に係る付着物除去装置10の説明図である。図3に示すように、付着物除去装置10は、ノズル11を備える。ノズル11は、流体供給装置100に接続され、流体供給装置100から供給される流体(例えば、圧縮空気や、洗浄液等)を車載カメラ5のレンズ5aへ向けて噴射する。
【0018】
ここで、従来、ノズルの延在方向にノズルを移動可能とする技術があった。従来技術では、ノズルを移動させる場合、ノズルの流路に対してリードスクリューを並行に配置し、ノズルから突出したメネジ部とリードスクリューのオネジ部とを噛み合わせていた。
【0019】
しかしながら、従来の構成の場合、リードスクリューとメネジ部となる突出部とのスペースが必要となるため、製品の小型化が難しくなるおそれがあった。
【0020】
そこで、実施形態に係る付着物除去装置10では、図4図6に示す構成により、省スペース化を実現する。図4図6は、実施形態に係る付着物除去装置10の構成を示す図である。図4図6に示すように、実施形態に係る付着物除去装置10では、リードスクリュー14自体に流体経路となる貫通孔14a(図5参照)を設けることで、流体経路と、リードスクリュー14とを並行して配置する必要がないため、省スペース化が実現できる。以下、図4図6を用いて、実施形態に係る付着物除去装置10の構成について詳細に説明する。
【0021】
図4では、車載カメラ5のレンズ5aに対して正面から見た図を示す。図5では、図4のA-A線で切断した断面を示し、図6では、図4のB-B線で切断した断面を示す。なお、図4では、説明の便宜上、筐体12の内部構造が見えるように図示しているが、実際には、筐体12は、内部構造を覆うようにして設けられる。
【0022】
図4に示すように、実施形態に係る付着物除去装置10は、ノズル11と、筐体12と、回転機構13と、リードスクリュー14とを備える。
【0023】
ノズル11は、流体供給装置100から供給される流体を噴射口11c(図6参照)からレンズ5aへ向けて噴射する。また、図4図6に示すように、ノズル11は、噴射口11cとは反対側の端部に第1嵌合部11bを有する。
【0024】
具体的には、第1嵌合部11bは、ノズル11の内径側に設けられる。より具体的には、第1嵌合部11bは、流体が通過する流路11aの壁部に設けられる。また、第1嵌合部11bは、後述する第2嵌合部14bと噛み合うメネジ形状である。
【0025】
筐体12は、ノズル11、回転機構13およびリードスクリュー14を収容するとともに、ノズル11の噴射口11c側の一部が突出するように設けられる。具体的には、ノズル11は、筐体12に設けられた貫通孔12bから外部へ突出する。
【0026】
また、筐体12に設けられた貫通孔12bは、ノズル11の外周形状と同じ形状であり、ノズル11と嵌合する。なお、ノズル11の外周形状および貫通孔12bは、例えば、楕円形等の非円形であることが好ましい。
【0027】
これにより、後述するリードスクリュー14が回転した場合に、貫通孔12bがストッパとして機能することで、ノズル11がリードスクリュー14と共回りすることを防止できる。
【0028】
なお、非円形である外周形状は、ノズル11の一部のみに形成されればよい。具体的には、ノズル11と貫通孔12bとの嵌合箇所のみが非円形であればよい。
【0029】
また、筐体12は、貫通孔12bとは反対側の面において、接続部12aが設けられる。接続部12aは、貫通孔121aを有し、内部側にリードスクリュー14が接続され、外部側に流体供給装置100が接続される。
【0030】
すなわち、接続部12aの貫通孔121aには、流体供給装置100の流路とリードスクリュー14の貫通孔14aとが接続される。
【0031】
回転機構13は、モータ13aと、第1ギア13bとを備える。第1ギア13bは、リードスクリュー14の第2ギア14cと噛み合っている。回転機構13は、モータ13aの回転により第1ギア13bを回転させる。
【0032】
これにより、第2ギア14cを回転させることで、リードスクリュー14を移動させることができる。
【0033】
リードスクリュー14は、回転軸方向(図5および図6の紙面左右方向)に沿って貫通した貫通孔14aを有する。また、リードスクリュー14は、ノズル11側の一端に第2嵌合部14bが形成される。
【0034】
第2嵌合部14bは、第1嵌合部11bと嵌合する。具体的には、第2嵌合部14bは、リードスクリュー14の外径側に設けられるオネジ形状である。
【0035】
すなわち、第2嵌合部14bは、メネジ形状である第1嵌合部11bと噛み合うことで第1嵌合部11bの内径側に嵌合する。これにより、ノズル11の流路11aと、リードスクリュー14の貫通孔14aと、流体供給装置100とが連通するとともに、メネジ形状およびオネジ形状が噛合うことで、リードスクリュー14の駆動によりノズル11のストロークを細かく制御できる。
【0036】
なお、図5および図6に示すように、ノズル11の流路11aと、リードスクリュー14の貫通孔14aと、流体供給装置100の流路とは同軸に配置される。具体的には、ノズル11の流路11aと、リードスクリュー14の貫通孔14aと、接続部12aの貫通孔121aとが同軸に配置される。
【0037】
換言すれば、ノズル11の流路11aと、リードスクリュー14の貫通孔14aと、流体供給装置100の流路とが一直線上に並ぶ。
【0038】
これにより、流体供給装置100から供給される流体が貫通孔14aや流路11aで留まる事が無くなるため、噴射口11cから効率良く流体を噴射することができる。
【0039】
また、図5および図6に示すように、付着物除去装置10は、第1摺動部材15aと、第2摺動部材15bと、第3摺動部材15cとを備える。
【0040】
第1摺動部材15aと、第2摺動部材15bと、第3摺動部材15cとは、例えば、シール部材(あるいはシール剤)である。第1摺動部材15aは、筐体12およびノズル11の間に設けられる。
【0041】
具体的には、第1摺動部材15aは、筐体12の貫通孔12bおよびノズル11の間を塞ぐように設けられるとともに、ノズル11に対して摺動する。これにより、ノズル11が移動可能となるとともに、貫通孔12bから筐体12内への水や塵埃等の侵入を抑制できる。
【0042】
また、第2摺動部材15bは、第1嵌合部11bおよび第2嵌合部14bの間を塞ぐように設けられ、第1嵌合部11bおよび第2嵌合部14bが互いに摺動する。これにより、第1嵌合部11bおよび第2嵌合部14bの間から流路11aや貫通孔14a内に水や塵埃等が侵入することを抑制できる。
【0043】
また、第3摺動部材15cは、流体供給装置100およびリードスクリュー14が接続される接続部12aに設けられる。具体的には、第3摺動部材15cは、リードスクリュー14および接続部12aの間を塞ぐように設けられるとともに、リードスクリュー14に対して摺動する。これにより、リードスクリュー14が回転可能になるとともに、接続部12aから貫通孔14a内に水や塵埃等が侵入することを抑制できる。
【0044】
次に、ノズル11の移動機構について説明する。図6に示すように、まず、回転機構13は、モータ13aを回転させることで、第1ギア13bを回転させる。これにより、第1ギア13bと噛み合う第2ギア14cにモータ13aの動力が伝達され、第2ギア14cが回転する。
【0045】
そして、第2ギア14cの回転に伴って、第1嵌合部11bおよび第2嵌合部14bの嵌合状態が変化する。具体的には、第2ギア14cの回転に伴って第2嵌合部14bが回転することで、第1嵌合部11bのメネジ形状および第2嵌合部14bのオネジ形状の噛合状態が変化することで、レンズを回転軸方向に移動させる。
【0046】
より具体的には、メネジ形状とオネジ形状との噛合量が多くなるほど、ノズル11がリードスクリュー14側に引っ張られるため、ノズル11は、レンズ5aから離れる方向(図6の紙面右方向)に移動する。
【0047】
また、メネジ形状とオネジ形状との噛合量が少なくなるほど、ノズル11がリードスクリュー14から離れる方向に押し出されるため、ノズル11は、レンズ5aに近づく方向(図6の紙面左方向)に移動する。
【0048】
上述してきたように、実施形態に係る付着物除去装置10は、ノズル11と、リードスクリュー14と、回転機構13とを備える。ノズル11は、流体をセンサ(車載カメラ5)の検知面(レンズ5a)に向けて噴射する噴射口11cとは反対側の端部に第1嵌合部11bを有する。リードスクリュー14は、回転軸方向に沿って貫通した貫通孔14aを有し、一端に第1嵌合部11bに嵌合する第2嵌合部14bが形成され、他端に流体供給装置100が接続されることで、貫通孔14aがノズル11および流体供給装置100と連通する。回転機構13は、リードスクリュー14を回転させることで、第1嵌合部11bおよび第2嵌合部14bの嵌合状態を変化させてノズル11を回転軸方向に移動させる。これにより、省スペース化を実現できる。
【0049】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0050】
5 車載カメラ
5a レンズ
7 ブラケット
10 付着物除去装置
11 ノズル
11a 流路
11b 第1嵌合部
11c 噴射口
12 筐体
12a 接続部
12b 貫通孔
13 回転機構
13a モータ
13b 第1ギア
14 リードスクリュー
14a 貫通孔
14b 第2嵌合部
14c 第2ギア
15a 第1摺動部材
15b 第2摺動部材
15c 第3摺動部材
91 車体パネル
91a ボディ穴
92 ガーニッシュ
92a 底面
92b ガーニッシュ穴
93 ライセンスプレート
94 空間
100 流体供給装置
V 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6