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特許7610990シートを供給するユニットまたは装置、シート入れ替え方法、並びにシート供給ユニットの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】シートを供給するユニットまたは装置、シート入れ替え方法、並びにシート供給ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/14 20060101AFI20241226BHJP
   B65H 1/06 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
B65H1/14 322B
B65H1/06 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021009973
(22)【出願日】2021-01-26
(65)【公開番号】P2022113941
(43)【公開日】2022-08-05
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004347
【氏名又は名称】弁理士法人大場国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】山内 純也
(72)【発明者】
【氏名】長松 純一
(72)【発明者】
【氏名】土居川 範幸
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-081831(JP,A)
【文献】特開2019-189415(JP,A)
【文献】特開平11-278439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/14
B65H 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを積み重ねた状態に蓄積して所定の取り出し位置に供給するシート供給ユニットと、前記取り出し位置から前記シートを取り出し、前記シートを成形に供する取り出しユニットと、前記シート供給ユニットの内側領域に上方から前記シートの積層体を搬入するシート搬入ユニットと、を備えるシート供給装置であって、
前記シート供給ユニットは、
上方から搬入される前記シートを下方から支持して前記取り出し位置に位置決め可能であり、前記シートを下方から支持した状態で上昇および下降のいずれも可能に構成される支持部と、
前記取り出し位置よりも上方まで延在し、前記シートを前記内側領域に収容して積み重ねた状態に維持するガイドと、を備え
前記シート搬入ユニットは、
基準の位置に対して所定の離脱位置へ回動可能に、かつ、前記離脱位置まで回動されると前記シートを離脱可能に構成されている、シート供給装置。
【請求項2】
前記シート供給ユニットは、
前記支持部とは別に、前記シートを下方から支持して前記取り出し位置に位置決め可能なシート受けを備える、
請求項1に記載のシート供給装置
【請求項3】
前記シート供給ユニットは、
前記支持部を駆動する駆動部を備え、
前記駆動部は、前記取り出し位置の前記シートおよび前記取り出し位置から取り出される前記シートに対して、前記支持部を退避可能に構成されている、
請求項2に記載のシート供給装置
【請求項4】
前記シート供給ユニットは、
前記支持部を駆動する駆動部を備え、
前記駆動部は、前記支持部を昇降可能に、かつ、前記シートに対して進退可能に構成されている、
請求項2に記載のシート供給装置
【請求項5】
前記支持部は、前記シートの下側の面において離間した2以上の箇所を支持する、
請求項1から4のいずれか一項に記載のシート供給装置
【請求項6】
前記支持部は、前記離脱位置まで上昇可能に構成されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載のシート供給装置。
【請求項7】
箱詰めに供されるシートを積み重ねた状態に蓄積して所定の取り出し位置に供給する供給ユニットにおける前記シートの入れ替えを行う方法であって、
前記供給ユニットは、上昇および下降のいずれも可能に構成されている支持部および前記支持部を駆動する駆動部を備え、
前記供給ユニットには、搬入ユニットが所定の離脱位置まで回動移動してから前記シートを離脱させて、前記供給ユニットの上方から搬入ユニットにより前記シートの積層体が搬入され、
前記駆動部により、
前記取り出し位置よりも下方から前記支持部が前記シートを支持しつつ上昇する上昇ステップと、
前記取り出し位置を基準として所定の高さから搬入される前記シートを前記支持部が支持しつつ少なくとも前記取り出し位置まで下降する下降ステップと、を行う、シート入れ替え方法。
【請求項8】
記上昇ステップにより前記支持部が上昇した後、前記支持部から前記シートが回収された後の前記下降ステップにおいて、前記搬入ユニットから離脱した前記シートを前記支持部が支持しつつ下降する、
請求項に記載のシート入れ替え方法。
【請求項9】
前記上昇ステップにおいて、前記搬入ユニットが前記シートを離脱する位置まで前記支持部が上昇すると、前記供給ユニットから前記搬入ユニットへと前記シートが戻される、請求項に記載のシート入れ替え方法。
【請求項10】
シートを積み重ねた状態に蓄積して所定の取り出し位置に供給するユニットを製造する方法であって、
上方から搬入される前記シートを下方から支持し、前記取り出し位置に位置決め可能なシート受けと、前記取り出し位置よりも上方まで延在し、前記シートを内側領域に収容して積み重ねた状態に維持するガイドと、を備えた既存のシート供給ユニットに対して、前記シート受けとは別に、前記シートを支持可能な支持部、および前記支持部を駆動する駆動部を付加するのであって、
前記駆動部は、前記支持部が前記シートを下方から支持した状態で上昇したり下降したりするように構成されている、シート供給ユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シート状の物品を供給対象に供給するユニットまたは装置、シート入れ替え方法、並びにシート供給ユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
段ボール等のシートを箱状に成形し、例えば飲料製品のボトル等を箱詰めする装置(ケーサ)は、成形前のシートを積み重ねた状態に蓄積し、取り出し位置に供給するマガジンを備えている(例えば、特許文献1)。マガジンは、積み重ねられたシートがずれないように、シートの積層方向に起立したガイドを備えている。シートは、マガジンの下端の取り出し位置から吸着カップにより1枚ずつ取り出されて箱状に成形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-323714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のマガジンを用いる場合は、箱詰めラインが定常運転されている間に亘り、シートの搬入装置からマガジンへとシートの積層体が繰り返し投入される。例えば、シート搬入装置は、シートの積層体を下方から支持部により支持してマガジンの位置まで移動すると、支持部から積層体の下面を開放して、高さ方向の所定位置から積層体をマガジンへと投入する。箱詰めラインの定常運転は、マガジン内に所定量のシートが蓄えられた状態で行われる。
箱詰めされる製品を切り替える際には、マガジンに残存したシートを人手により回収している。このとき、シートの四方に配置されたガイドが支障となるので、シート回収の作業性に劣る。
【0005】
シートの回収によりマガジンが空になると、定常運転時のシート搬入装置による投入位置からのシートの落下距離、つまり、投入位置から、マガジン下端の取り出し位置にある支持ローラまでの距離が大きい。このとき、シート搬入装置を用いてマガジンにシートの積層体を投入するならば、落下する間に、シートの積層状態が乱れたり、シートが傾き、支持ローラが配置された取り出し位置をシートが通過して落下したりするおそれがある。それを避けるため、人手により所定量のシートを取り出し位置の支持ローラの上に置いている。
【0006】
以上より、本開示は、シートを蓄積可能なマガジン(シート供給ユニット)に関し、型替え時の作業負荷を軽減してシートを安定して供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るシート供給ユニットは、シートを積み重ねた状態に蓄積して所定の取り出し位置に供給するユニットであって、上方から搬入されるシートを下方から支持して取り出し位置に位置決め可能な支持部と、取り出し位置よりも上方まで延在し、シートを内側領域に収容して積み重ねた状態に維持するガイドと、を備える。
支持部は、シートを下方から支持した状態で上昇および下降のいずれも可能に構成されている。
【0008】
本開示に係るシート供給装置は、上述のシート供給ユニットと、取り出し位置からシートを取り出し、シートを成形に供する取り出しユニットと、を備える。
【0009】
本開示に係るシート入れ替え方法は、上昇および下降のいずれも可能に構成されている支持部および支持部を駆動する駆動部を備えた供給ユニットに関する。当該シート入れ替え方法は、駆動部により、取り出し位置よりも下方から支持部がシートを支持しつつ上昇する上昇ステップと、取り出し位置を基準として所定の高さから搬入されるシートを支持部が支持しつつ少なくとも取り出し位置まで下降する下降ステップと、を行う。
【0010】
本開示に係るシート供給ユニットの製造方法は、上方から搬入されるシートを下方から支持し、取り出し位置に位置決め可能なシート受けと、取り出し位置よりも上方まで延在し、シートを内側領域に収容して積み重ねた状態に維持するガイドと、を備えた既存のシート供給ユニットに対して、シート受けとは別に、シートを支持可能な支持部、および支持部を駆動する駆動部を付加するのであって、駆動部は、支持部がシートを下方から支持した状態で上昇したり下降したりするように構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、昇降可能な支持部を備えていることにより、例えば型替え時にシートの入れ替えが必要な場合に、供給ユニットのガイドの内側に残存したシートを支持部により支持しつつ作業し易い位置まで上昇させることができるから、人手によらず、シートの搬入ユニット等を用いてシートを容易に回収することが可能となる。シートが回収され、次に生産する製品に対応するシートが支持部に供給されたならば、当該シートを支持部により支持しながら下降させて供給ユニットのガイドの内側に収容することができ、このときシートは整列した状態に保たれる。本開示によれば、シートの入れ替えの自動化およびシートの安定供給を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係るシート供給装置の定常運転時の状態を模式的に示す側面図である。
図2図1に示すII線断面に対応する模式図である。
図3図1に示すIII線断面に対応する模式図である。
図4図1に示す昇降可能な支持部および駆動部を模式的に示す図である。
図5】型替え時に支持部によりシートを取り出し位置から上昇させるステップを説明するための図である。
図6】型替え時に支持部によりシートを取り出し位置まで下降させるステップを説明するための図である。
図7】第2実施形態に係るシート供給装置の定常運転時の状態を模式的に示す側面図である。
図8図7に示すVIII線断面に対応する模式図である。
図9図7に示す昇降可能な支持部および駆動部を示す図である。
図10】第3実施形態に係るシート供給装置に備わる支持部および駆動部を示す図である。
図11】変形例に係るシート供給装置の定常運転時の状態を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
(全体構成)
図1に示すシート供給装置1は、例えばボトル入りの飲料製品等の製品を箱に詰める工程にシート2を供給する。シート供給装置1から取り出されたシート2は、ベルトコンベヤ等のコンベヤ3上で行われる成形を経て、箱詰めに供される。つまり、シート2から成形された箱の内部に図示しない製品が詰められる。シート供給装置1は、箱詰めラインの一部を構成している。図示しない制御装置による制御下、箱詰めラインの各装置が動作する。
【0014】
シート供給装置1は、シート2を積み重ねた状態に蓄積して所定の取り出し位置Pに供給する供給ユニット20と、供給ユニット20に上方からシート2の積層体2Sを搬入する搬入ユニット10と、取り出し位置Pからシート2を取り出し、前記シートを成形に供する取り出しユニット30とを備えている。
【0015】
シート2は、例えば、段ボールシート素材からなる。シート2が箱状に成形され、箱に製品が詰められた後、開口部が閉じられる。なお、シート2は、シート素材が折り畳まれたものであってもよい。
図示しないシート供給源から供給される単位数量のシート2が、厚さ方向に積み重ねられて積層体2Sをなす。
【0016】
箱詰めラインの定常運転時は、図示しないコンベヤ等から搬入ユニット10へと、間欠的に積層体2Sが供給される。搬入ユニット10は、供給ユニット20の下端である取り出し位置Pを基準として所定の高さから積層体2Sを離脱させ、供給ユニット20に搬入する。シート2を蓄積する供給ユニット20の取り出し位置Pから、取り出しユニット30により1枚ずつ引き抜かれるシート2は、引き抜かれた直後に図示しない成形機構により折り目2Fに沿って箱状に折り曲げられる。供給ユニット20におけるシート2の蓄積量は、供給ユニット20に蓄積されているシート2のうち最も上のシート2の位置が図示しないセンサにより検知されることで、一定範囲内に保たれる。
【0017】
(搬入ユニット)
搬入ユニット10は、図1、および搬入ユニット10の断面に対応する図2に示すように、積層体2Sを支持しつつ、軸11を中心に回動可能に構成されている。搬入ユニット10は、軸11と、積層体2Sを支持し、離脱位置A2まで回動されると積層体2Sを離脱させるシート受けシャッタ12と、シート2を積み重ねた状態に維持する搬入ガイド13と、シート受けシャッタ12および搬入ガイド13を支持するフレーム14とを備えている。
【0018】
フレーム14は、コンベヤ3の上方に設置される軸11の位置からコンベヤ3の搬送方向Dの後側(上流側)へと延びている。フレーム14が軸11の位置から水平に延びている状態を開始位置A1(基準の位置)として、開始位置A1に引いた線と離脱位置A2に引いた線とは所定の角度(鋭角)をなしている。
軸11は、平面視において、搬入ガイド13の内側に配置されるシート2と重ならない位置に設定されている。本実施形態の軸11は、矩形状または略矩形状のシート2の一辺(ここでは短辺)に対して平行に設定されている。
【0019】
シート受けシャッタ12は、離間した2以上の箇所で積層体2Sを下方から支持する。本実施形態のシート受けシャッタ12は、シート2の対向する2つの辺(ここでは長辺)のそれぞれに対応する位置に設置されている。シート受けシャッタ12は、シート2の下面2Bの端部を支持する受け部121を備えている。受け部121は、シート2の辺の方向において複数の部分121A~121Cに分割されていてもよい。
【0020】
搬入ガイド13は、シート受けシャッタ12に支持されるシート2の四辺のそれぞれの少なくとも一部に積層体2Sの側方から対向する箇所に設置されている。なお、一部の搬入ガイド13の図示を省略する。搬入ガイド13は、シート受けシャッタ12の位置から少なくとも積層体2Sの高さまで延在している。搬入ガイド13により、フレーム14が回動されてもシート2はずれずに、整列した状態を維持する。
【0021】
搬入ユニット10のフレーム14は、軸11を中心に、開始位置A1に対して、離脱位置A2へ回動可能である。例えば、フレーム14が水平な開始位置A1にあるとき、図示しないコンベヤ等から積層体2Sをシート受けシャッタ12に受け取る。その後、図示しない駆動機構により軸11を中心としてフレーム14が離脱位置A2まで回動されると、供給ユニット20のガイド23に対してシート2が位置決めされる。そのとき、図示しない駆動機構、例えばエアシリンダにより、シート2の両側の受け部121が、シート2から、シート2の積層方向に対して直交する方向(図2の白抜き矢印の方向)に退く。すると、積層体2Sがシート受けシャッタ12から離脱し、供給ユニット20に蓄積されているシート2上に落下する。シート受けシャッタ12をシート2の両側に開いてシート2を離脱させた後、フレーム14は逆向きに回動して開始位置A1に復帰し、次の積層体2Sを待機する。
【0022】
(供給ユニット)
供給ユニット20は、図1、および取り出し位置Pにおける供給ユニット20の断面に対応する図3に示すように、シート受け21と、シート2を内側領域22に収容するガイド23と、昇降可能な支持部24と、支持部24を駆動する駆動部25とを備えている。
なお、図3は、取り出し位置Pに支持部24がある時の状態を示している。図3への駆動部25の図示は省略されている。
【0023】
シート2の成形が行われるコンベヤ3上に、コンベヤ3の搬送方向Dの前方(下流側)に向けてシート2を供給するため、シート2は取り出し位置Pから下方かつ前方に向けて取り出しユニット30により取り出される。そのため、供給ユニット20は、水平に設置されているコンベヤ3に対して、コンベヤ3の下流側の端部よりも上流側の端部が近接する向きに全体的に傾斜して設置されている。取り出し位置Pに引いた線は、コンベヤ3に対して所定の角度θをなしている。フレーム14の離脱位置A2に引いた線もほぼ同様である。
【0024】
シート受け21は、搬入ユニット10により上方から搬入されるシート2を下方から支持し、取り出し位置Pに位置決めする。シート受け21は、シート2の下側の面2Bにおいて離間した2以上の箇所を支持する。本実施形態のシート受け21は、シート2の四辺のそれぞれに対応するローラ21Rを含み、シート2の下面2Bに接触する。
4つのローラ21Rは、取り出し位置Pにおけるシート2の積層方向に対して直交する同一平面に配置されている。各ローラ21Rの軸線は、対応する辺に対して平行である。本実施形態のシート受け21は、ローラ21Rにより、シート2の下面2Bの四辺のそれぞれの端縁の少なくとも一部を4箇所で安定して支持する。
【0025】
取り出し位置Pにおけるシート2へのプレッシャを軽減するため、内側領域22に蓄積されるシート2が、取り出し位置Pから上方に積み重ねられているシート2の第1群G1と、第1群G1に対して、軸11に近い一端側が持ち上げられている第2群G2とに分割されることが好ましい。
そのため、供給ユニット20は、第2群G2の上端部を支持する中間受け26を備えている。搬入ユニット10により第2群G2にシート2が補充されると、第2群G2の一部のシート2が中間受け26を乗り越えて落下し、第1群G1と一体となる。残りのシート2は第2群G2として中間受け26よりも上方に留まる。
搬入ユニット10によりシート受けシャッタ12から離脱したシート2が落下する距離は、離脱位置A2から第2群G2までの距離ΔF1に相当する。
【0026】
ガイド23は、搬入ユニット10により搬入されるシート2を積み重ねた状態に維持する。ガイド23は、シート2の対向する辺(例えば長辺)にそれぞれ対応する第1ガイド部231と、シート2の残りの辺(例えば短辺)にそれぞれ対応する第2ガイド部232とからなる。第1ガイド部231および第2ガイド部232はそれぞれ、対応する辺の少なくとも一部において、取り出し位置Pから上方に延在している。これらのガイド部231,232は、離脱位置A2の近傍まで延在していることが好ましい。
【0027】
内側領域22は、第1ガイド部231および第2ガイド部232部の内側の空間である。搬入ユニット10により離脱位置A2から内側領域22に投入された積層体2Sは、軸11から遠い一方の第2ガイド部232(232A)により案内されつつ、内側領域22に既に蓄積されているシート2上に配置される。第1ガイド部231および第2ガイド部232は、内側領域22に蓄積されるシート2の第1群G1および第2群G2を囲み、整然と積み重ねた状態に維持する。
なお、軸11から遠い第2ガイド部232Aと、軸11に近い遠い第2ガイド部232Bとが必ずしも平行に配置されている必要はない。
【0028】
軸11から遠い第2ガイド部232Aによりシート2を下方へ案内しつつシート2の位置ずれをより十分に規制するため、シート2の長辺に対応する一対の第1ガイド部231は、長辺の中央に対して軸11から離れる側にシフトして配置されることが好ましい。シート2の長辺に対応するシート受け21も同様に配置されている。
【0029】
第1ガイド部231および第2ガイド部232は、供給ユニット20の図示しないフレームに取り付けられていてもよいし、これらガイド部231,232が一体化されてフレームを兼ねており、シート受け21、支持部24、駆動部25等を支持していてもよい。中間受け26は第2ガイド部232Bに支持されている。
【0030】
支持部24は、シート2を下方から支持した状態で上昇および下降のいずれも可能に構成されている。支持部24は、図3に示すように、平面視のシート2において離間した2以上の箇所を下方から支持することが好ましい。
本実施形態の支持部24は、取り出し位置Pに配置されるシート受け21と同様に取り出し位置Pでシート2の下面2Bの端部を支持するため、シート受け21やガイド23と干渉しないように、取り出し位置Pの平面視においてシート受け21とガイド23との間に配置されている。本実施形態では、シート2の長手方向d1の両側に、短手方向d2に離間して2つずつ配置された支持部24により、シート2の長手方向d1の両側が支持される。短手方向d2に並ぶ一対の支持部24の間に、第2ガイド部232およびその近傍のシート受け21が配置されている。
各支持部24の先端には、シート2との摩擦を減らし、シート2の傷付きを避けるため、シート2と接触する図示しないローラが設けられていることが好ましい。
【0031】
駆動部25は、図4に示すように、支持部24を一方向に駆動して昇降させる直動機構251と、支持部24の姿勢を決めるカムレール252とを備えている。駆動部25は、複数の支持部24のそれぞれの近傍に設置されている。
直動機構251は、雄ねじ251Aと、雄ねじ251Aに係合するナット251Bと、雄ねじ251Aを軸回りに回転駆動するモータ251Cとを備えている。雄ねじ251Aは、近傍の第2ガイド部232の起立する方向に対して平行に配置することができる。
【0032】
各支持部24は、シート2の下面2Bの端部を支持する支持部本体241と、ナット251Bに対して軸24Aを中心に回転可能に結合する結合部242と、カムレール252に係合する係合部243とを備えている。支持部24は、側面視においてL字状に形成されている。
カムレール252には、雄ねじ251Aに対して平行な直線区間252Aと、湾曲したカム区間252Bとが設定されている。
【0033】
雄ねじ251Aおよび直線区間252Aのいずれも、取り出し位置Pから離脱位置A2に向けて上方に延びており、好ましくは離脱位置A2まで延びていることが好ましい。
カムレール252は、直線区間252Aにおいて支持部本体241を雄ねじ251Aに対して直交する姿勢に保つ。直線区間252Aが延びている取り出し位置Pから離脱位置A2までの間に亘り、支持部本体241によりシート2を支持しつつ、モータ251Cが雄ねじ251Aを回転させる向きに応じて、ナット251Bに結合した支持部24を上昇させたり下降させたりすることができる。
複数の支持部24はそれぞれ、取り出し位置Pと離脱位置A2との間を移動する間に亘り、対応する駆動部25により同一速度で駆動されるので、シート2における複数箇所で支持部24によりシート2を安定して支持しつつ昇降させることができる。
なお、移動中のシート2の姿勢をより安定させるため、複数の支持部24のそれぞれの移動速度を個別に可変に制御してもよい。
【0034】
カム区間252Bは、取り出し位置Pからカムレール252の下端に向かうにつれて、取り出し位置Pのシート2に対してシート2の長手方向d1の外側に離れる向きに湾曲している。したがって、直動機構251により支持部24を取り出し位置Pよりも下方に移動させると、取り出し位置Pのシート2および取り出し位置Pから取り出されるシート2(図1に二点鎖線で示す)に対して、支持部24が退避する。
カム区間252Bおよび支持部24のそれぞれの形状は、取り出されるシート2の軌跡の外側に支持部24を退避させることができるように、適宜な形状に定めることができる。
【0035】
各支持部24は、後述するように、型替え時に、内側領域22に蓄積されたシート2を支持した状態で取り出し位置Pよりも上方へ上昇する。支持部24の上昇に伴い持ち上げられたシート2が支持部24から回収されることで、内側領域22が空の状態となれば、支持部24は、搬入ユニット10により搬入される別のシート2の積層体2Sを支持して下降する。支持部24が取り出し位置Pに到達すると、シート2がシート受け21により支持されるので、取り出し位置Pよりも下方へ支持部24を下降させ、カム区間252Bの形状に従って支持部24を取り出し位置Pのシート2から退避させることができる。支持部24は、シート供給装置1が定常運転される間に亘り、カムレール252の下端部の近傍に退避される。
【0036】
支持部24には、型替え時にシート2を離脱させることなく支持するために必要な剛性およびシート2との接触面積が与えられている。本実施形態の支持部本体241がシート2の端縁2A(図3)に対してシート2の面内方向に突出している長さは、シート2の端縁2Aに対してシート受け21が突出している長さと同等に設定されているが、この限りではない。支持部本体241が、シート受け21のローラ21Rを超える位置まで突出していてもよい。
【0037】
支持部24が取り出し位置Pのシート2および取り出されるシート2から退避していると、支持部24がシート2に干渉することなくシート2をスムーズに取り出すことができる。
但し、支持部24がシート2を支持する範囲の大きさや、支持部24の形状等によっては、支持部24が取り出し位置Pに留まるとしても、シート受け21および支持部24からシート2を引き抜くことができる。そのため、支持部24をシート2から必ずしも退避させなくともよい。なお、取り出し時におけるシート2と支持部24との干渉を避けるために、定常運転の間は、支持部24がナット251Bおよびカムレール252から取り外されてもよい。
【0038】
(取り出しユニット)
取り出しユニット30(図1)は、供給ユニット20の取り出し位置Pから下方へシート2を取り出す。このとき、取り出されるシート2に対して支持部24が退避しているため、シート2が支持部24に干渉することなく、シート受け21に支持されているシート2をスムーズに取り出すことができる。このとき、支持部24は、取り出しユニット30のアーム31に干渉しない位置に退避している。
【0039】
取り出しユニット30は、図示しない軸を中心に揺動可能なアーム31と、アーム31に設けられた1以上の吸着部32とを備えている。吸着部32は、図示しないホースを通じた吸引排気によりカップ32Aの内側が減圧することでシート2の下面2Bに吸着する。その状態でアーム31を揺動させると、アーム31に追従してシート2が面外方向に変形しつつ、シート2の端縁がシート受け21のローラ21Rを下方へ乗り越えるので、シート2がシート受け21から離脱する。こうして取り出し位置Pから取り出されたシート2が図示しないシート成形機構のアーム等により支持されたならば、カップ32Aの内側への給気によりシート2の吸着を解除するとよい。成形機構によりシート2は箱状に成形され、箱詰めが行われる領域までコンベヤ等により送られる。
【0040】
取り出しユニット30は、吸着によりシート2を引き抜くものに限らず、例えば、取り出し位置Pのシート2を隣接するシート2に対してスライドさせて取り出すものであってもよい。
【0041】
〔供給ユニットの製造〕
本実施形態の供給ユニット20は、シート受け21、ガイド23、支持部24、および駆動部25を組み立てて新規に製造することができる他、支持部24を備えていない既存の供給ユニットに対して支持部24および駆動部25を付加することによって製造することも可能である。こうした後付けによって供給ユニット20を製造する場合、既存のシート受け21やガイド23の位置や形状等に基づいて、シート受け21やガイド23等と干渉しない適宜な位置を選定して支持部24および駆動部25を配置するとよい。支持部24および駆動部25のいずれも、シート2の平面視におけるシート2の周りに、ガイド23の起立する方向にほぼ沿って延びているので、シート受け21およびガイド23の間の平面的には狭いスペースにも支持部24および駆動部25を収まりよく配置することができる。既存のガイド23やフレーム等の加工や部品交換を前提としないで、支持部24および駆動部25を容易に組み付けることが可能である。
したがって、既存の供給ユニットを利用して、支持部24および駆動部25を備えた供給ユニット20を安価に製造することができるから、型替え時における支持部24の動作により、シート2の入れ替えに要する作業負荷を大幅に軽減し、シート2の安定供給にも寄与することができる。
【0042】
ところで、新規に供給ユニット20を製造する場合は、シート受け21は必ずしも必要ない。つまり、図11に示す供給ユニット20Xの如く、シート2を支持し、取り出し位置Pに位置決め可能な部材として、支持部24のみを備えることができる。この場合、支持部24はシート受け21を兼ねており、定常運転時には取り出し位置Pに位置している。そのため、駆動部25は、支持部24をシート2から退避させるための機構を備えている必要がない。
【0043】
(型替え)
箱詰めラインをはじめとする製造ラインにより製造する製品が切り替えられると、製品の寸法や使用される包装等が変わる。次に製造する製品に合わせて、例えば、コンベヤ等のガイドの幅を変更したり、使用する包装を入れ替えたりといった、製品の切り替えに付随する作業のことを「型替え」と称する。
本実施形態の供給ユニット20を備えるシート供給装置1によれば、型替え時には定常運転モードから型替えモードに切り替え、駆動部25により支持部24を上昇させた後、下降させることにより、供給ユニット20に蓄積するシート2を製品の切り替えに伴い容易に入れ替えることができる。
【0044】
図5および図6を参照し、供給ユニット20におけるシートの入れ替えの手順の一例を説明する。
図5に示す状態で定常運転が終了し、シート供給装置1が定常運転モードから型替えモードに移行するとする。このとき、図示しない制御装置により発せられた制御指令に基づいてモータ251Cが雄ねじ251Aを回転させることで、雄ねじ251Aに対してナット251Bおよび支持部24がカムレール252の下端の退避位置から上昇する(ステップS01)。支持部本体241が取り出し位置Pを超えると、シート2はシート受け21から離れて支持部24により支持される。支持部24は下方からシート2を支持したまま離脱位置A2まで上昇する(ステップS02)。
【0045】
支持部24の上昇に伴い、積み重ねられたシート2が内側領域22を上方に脱するので、定常運転終了時に内側領域22に残存していたシート2を支持部24上から容易に回収することができる。このとき支持部24を離脱位置A2まで上昇させると、蓄積されたシート2の積層物の全体がガイド23の上方へ露出するので、シート2の回収作業をより容易に行うことができる。
【0046】
ガイド23により囲まれる内側領域22からシート2を回収しようとする場合とは異なり、例えばガイド23とシート受け21との隙間からシート2を引き上げるといった作業は必要ない。搬入ユニット10は部材の干渉によりガイド23の内側には入らないので、搬入ユニット10によりシート2を回収することはできない。内側領域22に手を入れて行うシート2の回収作業は、ガイド23により妨げられるため繁雑である。
【0047】
また、残存したシート2を取り出し位置Pから手作業により下方に引き抜いて回収したり、取り出しユニット30によりシート2を1枚ずつ取り出して回収したりする作業も繁雑である。シート2の回収のため箱詰めラインを稼働させると、取り出しユニット30により供給ユニット20から取り出されたシート2が箱状に成形されてしまうので、未成形のままのシート2を回収することができない。
本実施形態によれば、型替え時に支持部24によりシート2を取り出し位置Pから上方に運搬することができるので、残存したシート2を供給ユニット20から上方へ未成形のまま、容易に回収することができる。
【0048】
支持部24により離脱位置A2まで上昇したシート2の回収は、搬入ユニット10により行うことも可能である。本実施形態の支持部24は、離脱位置A2におけるシート2の平面視において、シート受けシャッタ12と干渉しない位置に配置されている。そのため、離脱位置A2で支持部24からシート受けシャッタ12へとシート2を戻すことができる。シート受けシャッタ12は、支持部24により運ばれるシート2と干渉しないように、離脱位置A2においてシート2の短手方向d2の外側に開いておく。シート受けシャッタ12を短手方向d2の内側に閉じることで、離脱位置A2に到達した支持部24からシート受けシャッタ12へとシート2を移載することができる。その後、開始位置A1までフレーム14を回動させ、さらに、適宜な移載装置を介してコンベヤへと移載し、シート2を回収場所まで搬送することができる。
【0049】
上昇ステップS01,S02を経ることで内側領域22からシート2が取り除かれるので、内側領域22は空の状態となる。型替え後にシート2を成形および箱詰めの工程に安定して供給するため、次に製造する製品に対応する一定数以上のシート2を供給ユニット20に搬入する。搬入前に、必要に応じてガイド23の位置を変更することで、次の製品のシート2に適合する広さを内側領域22に与える。
【0050】
仮に、供給ユニット20が支持部24を備えていないとする。その場合、図6に示すように、内側領域22が空の状態のとき、搬入ユニット10により一定数以上の積み重ねられたシート2を搬入したときにシート2が落下する距離は、定常運転時のΔF1よりも大きいΔF2に拡大する。落下距離ΔF2は、離脱位置A2から取り出し位置Pまでの距離に相当する。落下距離ΔF2の分だけシート2が落下する間に、シート2が分離し、ずれた状態で積み重ねられたり、ローラ21Rへの落下の衝撃によりシート2が傷付いたり、落下中にシート2がガイド23の内側で傾き、4つのローラ21Rの内側を突き抜けて落下したりすることを避けるため、人手により内側領域22の奥にシート2を入れて取り出し位置Pに配置する作業が要求される。
【0051】
供給ユニット20が支持部24を備えていることによれば、支持部24を取り出し位置Pに対して上方に配置することにより、上方から搬入されるシート2の落下距離を抑えることができる。そのため、人手によりシート2を搬入する作業負担を発生させずに、型替え時にも、搬入ユニット10により内側領域22へシート2を搬入することができる。
【0052】
支持部24が離脱位置A2に到達していると、支持部24とシート受けシャッタ12とが離脱位置A2に面一に配置されるので、シート受けシャッタ12が開いてもシート2の積層体が落下しないで支持部24に支持される。支持部24の移動の上限が離脱位置A2よりも下方に留まる場合でも、落下距離はΔF2と比べて短い。そのため、搬入ユニット10の搬入ガイド13の内側にシート2が収容された時の積み重ねられているシート2の姿のまま、支持部24にシート2が配置される。
【0053】
シート2が支持部24により支持されたならば、図示しない制御装置により発せられた制御指令に基づいてモータ251Cが雄ねじ251Aを上昇時とは逆方向に回転させることで、ナット251Bと共に支持部24を下降させる(ステップS03)。支持部24によりシート2が安定して支持されながら取り出し位置Pまで運ばれるので、シート2はシート受け21に整然と積み重ねられた状態で配置される。支持部本体241が取り出し位置Pを下方に超えると、シート2が支持部24から離れてシート受け21により支持されるとともに、支持部本体241がシート2から退避するので(ステップS04)、型替えモードから定常運転モードへと移行すればよい。供給ユニット20に整然と積み重ねられているシート2を取り出しユニット30により取り出し位置Pから1枚ずつ取り出し、成形や箱詰めの工程にシート2を安定して供給することができる。
【0054】
〔第2実施形態〕
次に、図7図9を参照し、第2実施形態に係るシート供給装置1-2を説明する。第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付している。以下、第1実施形態と相違する事項を説明する。
なお、図7には、搬入ユニット10を第1実施形態と比べてより簡素に示している。図7において取り出しユニット30の図示は省略されている。
【0055】
第2実施形態の供給ユニット20-2に備わる支持部44の位置は、第1実施形態における支持部24の位置とは相違している。また、第2実施形態の駆動部45の機構と第1実施形態の駆動部25の機構とは相違している。
【0056】
図7および図8に示すように、支持部44は、シート2の対向する長辺のそれぞれに2つずつ配置されており、シート2の短手方向d2の両側からシート2を支持する。
図9に示すように、支持部44は、シート2を支持する支持部本体441と、チェーン451に固定される固定部442とを備えている。
【0057】
駆動部45は、チェーン451と、チェーン451が掛け回される駆動スプロケット452および従動スプロケット453とを備えている。チェーン451は、第2ガイド部232A,232Bが起立する方向に対して概ね平行に配置されている。チェーン451を安定して駆動するため、従動スプロケット453に対して駆動スプロケット452が上方に配置されることが好ましい。
チェーン451の直線区間451Aは、取り出し位置Pから離脱位置A2に向けて上方に延びており、好ましくは離脱位置A2まで延びていることが好ましい。
【0058】
4つの支持部44にそれぞれ対応するチェーン451は、相互に平行に配置されている。短手方向d2の同じ側に配置される2つの駆動スプロケット452は、個別に駆動されていてもよいが、本実施形態では、同一のモータ45Mによるトルクが駆動軸450を介して伝達されることで駆動される。駆動スプロケット452の回転に伴いチェーン451が駆動される。駆動軸450は、図8に示すように、取り出し位置Pの平面視においてシート2の長辺に対して平行に配置されている。モータ45Mが出力するトルクの向きに応じてチェーン451を上昇または下降させると、チェーン451に追従して支持部44が上昇または下降する。
【0059】
第2実施形態の駆動部45によっても、図9に示すように、シート2が支持部44により支持された状態で、支持部44を取り出し位置Pと離脱位置A2との間に亘り昇降させることができる。したがって、第1実施形態と同様、型替え時のシート2の入れ替えに要していた労力を削減しつつ、供給ユニット20-2からシート2を下流に安定して供給することができる。
また、取り出し位置Pよりも下方に位置する従動スプロケット453に支持部44を移動させることで、支持部44をシート2から退避させることができるので、シート2を取り出し位置Pからスムーズに取り出すことができる。
【0060】
〔第3実施形態〕
第3実施形態は、支持部44をシート2に対して進退させる機能を第2実施形態に付加したものである。
図10に示すように、駆動部55は、チェーン451、駆動スプロケット452、および従動スプロケット453に加えて、チェーン451に固定されるシリンダ551を備えている。シリンダ551は、例えばエアシリンダである。
支持部44は、シリンダ551のピストンロッド551Aに固定されている。ピストンロッド551Aは、シート2の積層方向に対して直交する方向に延びている。シリンダ551への圧縮空気の供給およびシリンダ551からの排気の切り替えにより、ピストンロッド551Aを進退させることができる。ピストンロッド551Aが進退する動作に追従して、支持部44が第1位置p1と第2位置p2とに進退する。
【0061】
シリンダ551は、所定のストロークの範囲における任意の位置にピストンロッド551Aが移動可能な電動シリンダであってもよい。その場合は、ピストンロッド551Aに追従する支持部44がシート2の端縁2Aに対してシート2の面内方向に突出する寸法を適宜な長さに調整することができる。
【0062】
支持部44によりシート2を支持するとき、シリンダ551により支持部44を第1位置p1に前進させている。第2位置p2は、取り出し位置Pにシート2が存在しているときに用いられる。支持部24を第2位置p2に後退させていると、シート2に対し、支持部44はシート2の平面視において外側に位置している。そのため、支持部44が内側領域22に存在するシート2と干渉することなく、それらのシート2よりも上方の空間27へ支持部44を移動させることができる。
【0063】
シート2よりも上方の空間27で支持部24を第1位置p1に戻すと、支持部44によりシート2を支持可能となる。そうすると、例えば離脱位置A2まで支持部44をチェーン451の駆動により上昇させてシート2を供給ユニット20から受け取り、当該シート2を落下させることなく支持部44により支持しながら下降させることが可能となる。内側領域22におけるシート2の蓄積量に応じた位置まで支持部24が下降したならば、シリンダ551により支持部24を第2位置p2へと後退させ、重ねられたシート2間から支持部24を離脱させるとよい。
【0064】
第3実施形態によれば、定常運転時において内側領域22にシート2が存在しているとしても、シート2の補充を適時に、内側領域22にシート2が整列した状態を保ちながら行うことができる。内側領域22に積載されたシート2の数量によらず、例えば下記のステップを行うことにより、内側領域22にシート2を補充することができる。
【0065】
ステップs01:
支持部44は取り出し位置Pまたはそれよりも下方に配置されている。このとき、支持部44をシート2に対して第2位置p2に後退させた状態でチェーン451の駆動によりシート2よりも上方へ支持部44を移動させる。離脱位置A2まで支持部を上昇させることが好ましい。
ステップs02:
シリンダ551により支持部44を第1位置p1に前進させ、上方から搬入されるシート2を支持部44上に支持する。
ステップs03:
チェーン451の駆動により、取り出し位置Pから積み重ねられているシート2のうち最も上のシート2の位置まで支持部44を下降させる。
ステップs04:
シリンダ551により支持部44を第2位置p2に後退させると、シート2間から支持部44が抜き取られる。
ステップs05:
支持部44にシート2が干渉するのを避けるため、第2位置p2に後退した状態の支持部44がシート2を下方に超え、従動スプロケット453の下端に移動するまでチェーン451により支持部44を駆動してシート2から退避させる。
【0066】
また、支持部24の前進および後退が可能であることに基づくと、取り出し位置Pから支持部24により持ち上げるシート2の総重量がモータ等の出力に対して過大である場合などに、複数回に分けてシート2の回収を行うことができる。つまり、支持部44を第2位置p2から第1位置p1へ前進させてシート2間に差し込み、支持部24よりも上のシート2のみを持ち上げることを繰り返すことで、内側領域22から全てのシート2を回収することができる。
【0067】
上記以外にも、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
支持部は、シート2の端縁近傍を支持するものには限られない。支持部とは別に、シート受けを備えている場合は、例えば、シート2の下面2Bにおける中央の領域のみを支持部により支持するようにしてもよい。この場合は、型替え時のシート2の入れ替え終了後に、駆動部により支持部をシート2から退避した位置に移動させるとよい。
【0068】
〔付記〕
以上で説明したシート供給ユニット、シート供給装置、型替え方法、およびシート供給ユニットの製造方法は、以下のように把握される。
〔1〕シート2を積み重ねた状態に蓄積して所定の取り出し位置Pに供給するユニット20,20-2は、上方から搬入されるシート2を下方から支持して取り出し位置Pに位置決め可能な支持部24,44と、取り出し位置Pよりも上方まで延在し、シート2を内側領域22に収容して積み重ねた状態に維持するガイド23と、を備える。支持部24,44は、シート2を下方から支持した状態で上昇および下降のいずれも可能に構成されている。
〔2〕シート供給ユニット20,20-2は、支持部24,44とは別に、シート2を下方から支持して取り出し位置Pに位置決め可能なシート受け21を備える。
〔3〕シート供給ユニット20,20-2は、支持部24,44を駆動する駆動部25,45,55を備える。駆動部25,45,55は、取り出し位置Pのシート2および取り出し位置Pから取り出されるシート2に対して、支持部24,44を退避可能に構成されている。
〔4〕シート供給ユニット20,20-2は、支持部24,44を駆動する駆動部25,45,55を備える。駆動部25,45,55は、支持部24,44を昇降可能に、かつ、シート2に対して進退可能に構成されている。
〔5〕支持部24,44は、シート2の下側の面2Bにおいて離間した2以上の箇所を支持する。
〔6〕シート供給装置1は、シート供給ユニット20,20-2,20Xと、取り出し位置Pからシート2を取り出し、シート2を成形に供する取り出しユニット30と、を備える。
〔7〕供給ユニット20,20-2,20Xの内側領域22に上方からシート2の積層体2Sを搬入するシート搬入ユニット10を備える。シート搬入ユニット10は、基準の位置に対して所定の離脱位置A2へ回動可能に、かつ、離脱位置A2まで回動されるとシート2を離脱可能に構成されている。
〔8〕支持部24,44は、離脱位置A2まで上昇可能に構成されている。
〔9〕箱詰めに供されるシート2を積み重ねた状態に蓄積して所定の取り出し位置Pに供給する供給装置20,20-2,20Xにおけるシートの入れ替えを行う方法は、上昇および下降のいずれも可能に構成されている支持部24,44および支持部24,44を駆動する駆動部25,45,55を含む供給ユニット20,20-2,20Xに関する。当該型替え方法は、駆動部25,45,55により、取り出し位置Pよりも下方から支持部24,44がシート2を支持しつつ上昇する上昇ステップと、取り出し位置Pを基準として所定の高さから搬入されるシート2を支持部24,44が支持しつつ少なくとも取り出し位置Pまで下降する下降ステップと、を行う。
〔10〕供給装置20,20-2,20Xは、供給ユニット20,20-2,20Xに上方からシート2の積層体2Sを搬入する搬入ユニット10を備える。この場合において、上昇ステップS01,S02により支持部24,44が上昇した後、支持部24,44からシート2が回収された後の下降ステップS03,S04において、搬入ユニット10から離脱したシート2を支持部24,44が支持しつつ下降する。
〔11〕上昇ステップS01,S02において、搬入ユニット10がシート2を離脱する位置A2まで支持部24,44が上昇すると、供給ユニット20,20-2,20Xから搬入ユニット10へとシート2が戻される。
〔12〕シート2を積み重ねた状態に蓄積して所定の取り出し位置Pに供給するユニット20,20-2,20Xを製造する方法は、上方から搬入されるシート2を下方から支持し、取り出し位置Pに位置決め可能なシート受け21と、取り出し位置Pよりも上方まで延在し、シート2を内側領域22に収容して積み重ねた状態に維持するガイド23と、を備えた既存の供給ユニットに対して、シート受け21とは別に、シート2を支持可能な支持部24,44、および支持部24,44を駆動する駆動部25,45,55を付加するのであって、駆動部25,45,55は、支持部24,44がシート2を下方から支持した状態で上昇したり下降したりするように構成されている。
【符号の説明】
【0069】
1 シート供給装置
2 シート
2A 端縁
2B 下面
2F 折り目
2S 積層体
3 コンベヤ
10 搬入ユニット
11 軸
12 シート受けシャッタ
13 搬入ガイド
14 フレーム
20,20-2 供給ユニット
21 シート受け
21R ローラ
22 内側領域
23 ガイド
24 支持部
24A 軸
25 駆動部
26 中間受け
27 空間
30 取り出しユニット
31 アーム
32 吸着部
32A カップ
44 支持部
45 駆動部
45M モータ
55 駆動部
121 受け部
231 第1ガイド部
232,232A,232B 第2ガイド部
241 支持部本体
242 結合部
243 係合部
251 直動機構
251A 雄ねじ
251B ナット
251C モータ
252 カムレール
252A 直線区間
252B カム区間
441 支持部本体
442 固定部
450 駆動軸
451 チェーン
451A 直線区間
452 駆動スプロケット
453 従動スプロケット
551 シリンダ
551A ピストンロッド
A1 開始位置
A2 離脱位置
D 搬送方向
d1 長手方向
d2 短手方向
G1 第1群
G2 第2群
P 取り出し位置
p1 第1位置
p2 第2位置
S01,S02 ステップ(上昇ステップ)
S03,S04 ステップ(下降ステップ)
s01~s05 第1~第5ステップ
ΔF1,ΔF2 落下距離
θ 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11