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特許7610991製織方法、そのような方法を実施するよこ糸選択装置、及びそのようなよこ糸選択装置を組み込んだ織機
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  • 特許-製織方法、そのような方法を実施するよこ糸選択装置、及びそのようなよこ糸選択装置を組み込んだ織機 図1
  • 特許-製織方法、そのような方法を実施するよこ糸選択装置、及びそのようなよこ糸選択装置を組み込んだ織機 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】製織方法、そのような方法を実施するよこ糸選択装置、及びそのようなよこ糸選択装置を組み込んだ織機
(51)【国際特許分類】
   D03D 47/14 20060101AFI20241226BHJP
   D03D 47/24 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
D03D47/14
D03D47/24
【請求項の数】 21
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021011743
(22)【出願日】2021-01-28
(65)【公開番号】P2021123841
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-12-28
(31)【優先権主張番号】20155203
(32)【優先日】2020-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516221270
【氏名又は名称】ストーブリ・バイロイト・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ディーター・ピーツォンカ
(72)【発明者】
【氏名】エーリク・ラーデ
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】西独国特許出願公開第02531954(DE,A1)
【文献】特表2013-501159(JP,A)
【文献】独国実用新案第202019101093(DE,U1)
【文献】登録実用新案第3221882(JP,U)
【文献】仏国特許出願公開第02520011(FR,A1)
【文献】特表2018-530681(JP,A)
【文献】特開2017-025467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D 47/14
D03D 47/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ひ口を作るためにたて糸を動かすへドル(17)と、
前記へドルを動かすひ口形成機構(6)と、
よこ糸を織機(2)に提供するよこ糸ボビン(26)と、
よこ糸を、ピックアップ位置からよこ糸挿入軸線(Y20)に沿って、かつ前方の方向(A10)に、前記ひ口に引き込むよこ糸挿入機構(200)であって、前記ピックアップ位置にて開放可能な把持部(40)を備える、よこ糸挿入機構(200)と、
複数の選択可能な分配路(130)を前記よこ糸挿入軸線(Y20)に平行に画定するよこ糸選択装置(28)であって、各選択可能な分配路が、よこ糸を前記把持部に向かって案内する前方案内部材(126)と、締め部(164)とを備える、よこ糸選択装置(28)と、
を備える織機(2)において、たて糸(18)と、織り込みのよこ糸(34)とで生地(22)を織る方法であって、この方法が、少なくとも
a)前記把持部を開くステップと、
b)選択された分配路(130)を前記よこ糸挿入軸線(Y20)上に整列することで、前記把持部(40)が選択されたよこ糸(34)に対して整列されるように、前記よこ糸選択装置の可動なキャリッジ(102)を位置決めするステップと、
c)前記選択された分配路(130)の前記締め部(164)で、前記選択された分配路(130)にある前記よこ糸を締める(A11)ステップと、
d)前記把持部が開いている間に、前記締め部を前記選択された分配路に沿って動かすことで、前記よこ糸(34)を前記選択された分配路(130)に沿って前記把持部(40)に向かって動かす(A6)ステップと、
e)前記把持部で、前記選択されたよこ糸を前記ピックアップ位置にて捕えるステップと、
f)前記よこ糸挿入機構で、前記よこ糸挿入軸線に沿ってかつ前記前方の方向に、前記よこ糸を前記ピックアップ位置から前記ひ口内に引き入れる(A10)ステップと、
g)前記よこ糸を切断するステップと
を備える、たて糸(18)と、織り込みのよこ糸(23)とで生地(22)を織る方法。
【請求項2】
ステップf)の中で、前記よこ糸(34)の締めが解放される(A9)、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップg)の後に、
)前記選択された分配路(130)にある前記よこ糸(34)を、前記よこ糸挿入軸線に沿って、前記把持部(40)から離れる方向に、後方に動かす(A6′)ステップを備える、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップh)の中で、前記後方への動きの開始前に、前記よこ糸が前記前方案内部材(126)から前記把持部(40)に向かって前記よこ糸挿入軸線(Y20)に沿って突出している距離(d)より短いストローク(S)で、前記よこ糸(34)が前記後方に動かされる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステップh)の中で、前記前方案内部(126)によって前記よこ糸(34)が案内される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
ステップh)の中で、前記選択された分配路(130)の前記締め部(164)によって、前記よこ糸(34)が締め付けられる、請求項3から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップf)の中で、前記選択された分配路(130)の前記よこ糸(34)が制動される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップg)の中で、前記選択された分配路(130)の前記よこ糸(34)が、予め設定された長さで切断され、そして前記方法が、
ステップg)の後に
i)前記前方の方向において、予め設定された位置にある前記切断されたよこ糸を前記ひ口に引くステップを備える、
請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップb)の前に、
j)前記よこ糸挿入軸線(Y20)の垂直位置及び前記選択された分配路(130)の垂直位置を調節するために、前記よこ糸挿入機構(200)及び前記よこ糸選択装置(28)を、垂直に持ち上げる(A200、A28)か、あるいは前記よこ糸挿入機構(200)及び前記よこ糸選択装置(28)をある垂直位置に保持するステップを備える、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップe)の後かつステップg)の前に、
j)前記選択された分配路(130)にある前記締め部(164)を、前記よこ糸挿入軸線(Y20)に沿って、前記把持部(40)から離れる方向において、後方に動かす(A6′)ステップを備える、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップd)の後かつステップe)の前に、
d1)前記締め部(164)を開くステップと、
d2)前記締め部(164)を前記選択された分配路(130)に沿って後方に動かすステップと、
d3)前記よこ糸(34)を前記締め部(164)で締めるステップと、
d4)前記把持部が前記ピックアップ位置で開かれている間に、前記選択された分配路に沿って前記締め部(164)を動かすことによって、ステップd)よりも深く前記よこ糸(34)を前記選択された分配路(130)に沿って前記把持部(40)内に動かすステップと
を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
よこ糸(34)をピックアップ位置から織機(2)のひ口に引き入れるために、よこ糸挿入軸線(Y20)に沿って前方の方向(A10)に、よこ糸(34)をよこ糸挿入機構(200)に運ぶ、よこ糸選択装置(28)であって、前記よこ糸挿入機構は、前記ピックアップ位置にて開放可能でありかつ前記よこ糸挿入軸線に沿って可動な把持部(40)を備える、前記よこ糸選択装置(28)において、
前記よこ糸選択装置は可動なキャリッジ(102)を備え、
前記可動なキャリッジは、前記よこ糸挿入軸線(Y20)に沿って離されている2つの平面であって、前記2つの平面を前方平面(P116)と後方平面(P118)とする、前記2つの平面(P116、P118)を画定し、
前方案内部材(126)は前記前方平面に配置されていて、
後方案内部材(128)は前記後方平面に配置されていて、
前記可動なキャリッジ(102)は、前記よこ糸挿入軸線に平行な複数の分配路(130)を画定し、各分配路は前記前方案内部材と前記後方案内部材との間に延在していて、
前記キャリッジは選択された分配路(130)を前記よこ糸挿入軸線(Y20)上に整列させるものであり、
各分配路は、よこ糸(34)を前記分配路内に保持する締め部(164)であって、前記分配路に沿って前方の方向(A6)及び後方の方向(A6’)に、前記よこ糸が延在してピックアップ位置に入る供給位置と前記よこ糸が前記ピックアップ位置から前記よこ糸挿入軸線に沿って離れている後退位置との間で可動な前記締め部(164)を備え、
駆動組立体(173)は、前記選択された分配路(130)の前記締め部(164)を前記よこ糸挿入軸線(Y20)に沿って動かす、よこ糸選択装置(28)。
【請求項13】
前記可動なキャリッジ(102)は、前記よこ糸挿入軸線(Y20)に垂直な軸線(Z28)に沿って可動である、請求項12に記載のよこ糸選択装置。
【請求項14】
前記締め部(164)は、前記供給位置と前記後退位置との間で、12mm以下のストローク(S)を持つ、請求項12又は13に記載のよこ糸選択装置。
【請求項15】
前記締め部(164)は、前記供給位置と前記後退位置との間で、10mm以下のストローク(S)を持つ、請求項14に記載のよこ糸選択装置。
【請求項16】
前記締め部(164)は、前記供給位置と前記後退位置との間で、5mm以下のストローク(S)を持つ、請求項15に記載のよこ糸選択装置。
【請求項17】
前記よこ糸挿入軸線(Y20)に整列されている、前記分配路(130)の前記締め部(164)に、前記締め部(164)を開く力を選択的に加える、単一の締め部の駆動部(183)を備える、請求項12から16のいずれか一項に記載のよこ糸選択装置。
【請求項18】
各分配路(130)が、
前記締め部(164)を支持するよこ糸差出部(160)と、
前記よこ糸差出部を前記締め部の前記後退位置に押し戻す(F6′)弾性的復帰手段(176)と、を備え、
前記よこ糸選択装置(28)は、前記よこ糸挿入軸線に整列されている任意の分配路(130)の前記よこ糸差出部(160)を前記よこ糸挿入軸線(Y20)に沿って動かす、単一の駆動組立体(173)を備える、
請求項12から17のいずれか一項に記載のよこ糸選択装置。
【請求項19】
前記把持部(40)を案内するバスケット(150)を前記ピックアップ位置に備える、請求項12から18のいずれか一項に記載のよこ糸選択装置。
【請求項20】
前記可動なキャリッジ(102)を位置決めする第1駆動組立体(103)と、
前記締め部(164)が前記供給位置にあるときに、前記よこ糸挿入軸線に整列されている分配路(130)の前記締め部(164)を開く第2駆動組立体(183)と、
前記よこ糸挿入軸線(Y20)に沿って、前記よこ糸挿入軸線(Y20)に整列されている前記分配路(130)の前記締め部(164)を前記供給位置に向かって動かす第3駆動組立体(173)と
の3つの駆動組立体を備える、請求項12から19のいずれか一項に記載のよこ糸選択装置。
【請求項21】
ひ口を作るためにたて糸(18)を動かすへドル(17)と、
前記へドルを動かすひ口形成機構(6)と、
よこ糸(34)を織機(2)に提供するよこ糸ボビン(26)と、
よこ糸を、ピックアップ位置からよこ糸挿入方向(A10)に沿って、前記ひ口に引き込むよこ糸挿入機構(200)であって、前記ピックアップ位置にて開放可能な把持部(40)を備える、前記よこ糸挿入機構(200)と、
よこ糸選択装置(28)と
を備える織機(2)において、
前記よこ糸選択装置(28)が、請求項12から20のいずれか一項に記載のよこ糸選択装置であることを特徴とする、
織機(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たて糸と、織り込みのよこ糸とを持つ織物を織機で織る方法に関する。本発明はまた、このような方法を実施可能にするよこ糸選択装置、及び、特に、このようなよこ糸選択装置を組み込んだ織機に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の技術分野は、二次元又は三次元織物の織布の分野であり、ここでは、異なるよこ糸、例えば異なる炭素繊維が、マルチよこ糸選択装置により織られる。
【0003】
よこ糸の長さを調整可能なプロセスを備えて、異なるサイズの炭素繊維のよこ糸を織ることは、特許文献1(EP-A-3121317)から知られている。この技術では、よこ糸材料の過剰消費を防止可能である。よこ糸受け渡しユニットが設けられている。その構造上、次のピックに使用するよこ糸が、容易には選択できない。
【0004】
一方、特許文献2(US-A-2012/0125476)は、2つの異なるよこ糸材料のうちの1つをひ口に挿入するために、2つの旋回アームの回転運動の使用を開示している。この回転運動は比較的不正確である。この回転運動は、2つの異なるよこ糸のみに限定される。よこ糸材料の端部は、切断後に緩くなり、短い長さで旋回ユニットから突出し、挿入レピアの把持部がつかみ損なうおそれがある。さらに、この装置では、旋回ユニットごとにモータが必要であり、高価でかさばる。またさらに、テープは通常、多かれ少なかれへこんでいてもよい特定の締め形状のため、それらの先端部に剛性をもたらすために、それらの主軸の周りに曲げられているが、このことは精度が高くなく汎用的ではない。
【0005】
また、いくつかのよこ糸を織機のひ口に引き込むために、複数の選択装置を備えたよこ糸選択装置を使用することも、特許文献3(DE-A-2531954)から知られている。このよこ糸選択装置の問題点は、送り装置が前進してよこ糸をよこ糸方向に取るように適応されていないことである。さらに、この公知の選択装置では、よこ糸はよこ糸挿入方向に対して垂直に提示されるが、これは強度の低い糸では不可能である。
【0006】
伝統的な織物に適したマルチよこ糸選択装置は、特許文献4(FR-A-2520011)から知られている。垂直フォークは、異なるよこ糸がよこ糸挿入部材の移動方向に対して垂直に延びる平坦な空間を定義する2つの枝を備えている。このフォークは、よこ糸のうちの1つをたて糸挿入部材の前に位置させるために、垂直方向に移動可能である。このよこ糸選択装置は、炭素繊維のよこ糸のような比較的剛性の高いよこ糸では使用できない。実際、よこ糸挿入部材の経路とフォークの分岐部の間に位置するよこ糸との間には直交性があるため、よこ糸挿入部材には比較的強い剪断力が作用する。この装置は、よこ糸をひ口を通ってよこ糸を引き裂くが、これは、よこ糸材料の破損を生じさせないために、きれいに切断されなければならなく、その自由端で拾い上げられなければならない炭素繊維や他のよこ糸では不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】欧州特許出願公開第3121317号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012/0125476号明細書
【文献】西独国特許出願公開第2531954号明細書
【文献】仏国追加特許公開第2520011号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するために、汎用性が高く、多くのよこ糸素材、特に複数の炭素繊維系のよこ糸との相性が良い、新規な織布方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため、本発明は、たて糸によこ糸を織り込む生地を織機上で織る方法に関し、織機は、
ひ口を作るためにたて糸を動かすへドルと、
へドルを動かすひ口形成機構と、
よこ糸を織機に提供するよこ糸ボビンと、
よこ糸を、ピックアップ位置からよこ糸挿入軸線に沿って、かつ前方の方向に、ひ口に引き込むよこ糸挿入機構であって、ピックアップ位置にて開放可能な把持部を備える、よこ糸挿入機構と、
複数の選択可能な分配路をよこ糸挿入軸線に平行に画定するよこ糸選択装置であって、各選択可能な分配路が、よこ糸を把持部に向かって案内する前方案内部材と、締め部とを備える、よこ糸選択装置と、
を備える。この方法は少なくとも、次のステップを備える。
a)把持部を開くステップ。
b)選択された分配路をよこ糸挿入軸線)上に整列することで、把持部が選択されたよこ糸に対して整列される、よこ糸選択装置の可動なキャリッジを位置決めするステップ。
c)選択された分配路の持つ把持部で、選択された分配路にあるよこ糸を締めるステップ。
d)把持部が開いている間に、締め部を選択された分配路に沿って動かすことで、よこ糸を選択された分配路に沿って把持部に向かって動かすステップ。
e)把持部で、選択されたよこ糸をピックアップ位置にて捕えるステップ。
f)よこ糸挿入機構で、前記よこ糸挿入軸線に沿ってかつ前記前方の方向に、よこ糸をピックアップ位置からひ口内に引き入れるステップ。
g)よこ糸を切断するステップ。
【0010】
本発明の意味において、たて糸は、円形、楕円形又は長方形の断面を有し、又は丸みを帯びた縁を有する長方形の断面を有し、任意の材料、特に炭素、ガラス、セラミック、アラミド又はケブラー(登録商標)のような比較的剛性の高い材料で作られた、任意の既知のタイプのものでもよい。たて糸が長方形又は楕円形の断面を有する場合には、リボン、テープ又はバンドとしてもよい。
【0011】
本発明により、これらのよこ糸を曲げる必要なく、よこ糸挿入軸線に整列された異なるよこ糸をよこ糸挿入機構に供給するために、よこ糸選択装置の選択可能な分配路を使用できる。実際には、選択された分配路がよこ糸挿入軸に整列されているので、よこ糸は分配路から直進してひ口内に入れられる。また、よこ糸を締め、選択された分配路に沿って移動させることにより、よこ糸挿入機構の把持部による自由遠端部の捕捉が容易になる。
【0012】
本発明の有利な任意の側面によれば、そのような方法は、任意の技術的に許容される構成で考慮される以下の特徴の1つ又はいくつかを組み込んでもよい。
・ステップf)の中で、よこ糸の締めが解放されること。
・ステップe)の後に、方法が、
h)後方への動きの開始前に、選択された分配路にあるよこ糸をよこ糸挿入軸線に沿って、把持部から離れる方向に、好ましくは、よこ糸が前方案内部材から把持部に向かってよこ糸挿入軸線に沿って突出している距離より短いストロークで動かすステップを備える。
・ステップh)の中で、前方案内部によって、よこ糸が案内されること。
・ステップh)の中で、選択された分配路の締め部によって、よこ糸が締め付けられること。
・ステップf)の中で、選択された分配路のよこ糸が制動されること。
・ステップg)の中で、選択された分配路にあるよこ糸が、予め設定した長さで切断され、そしてステップg)の後に、方法が、
i)前方の方向において予め設定した位置にて、切断されたよこ糸をひ口にくステップを備える。
・ステップb)の前に、方法が、
j)よこ糸挿入軸線の垂直位置及び選択された分配路の垂直位置を調節するために、よこ糸挿入機構及びよこ糸選択装置を、垂直に持ち上げるか、あるいはよこ糸挿入機構及びよこ糸選択装置をある垂直位置に保持するステップを備える。
・ステップe)の後かつステップg)の前に、方法が、
j)選択された分配路にある締め部を、よこ糸挿入軸線に沿って、把持部から離れる方向において、後方に動かすステップを備える
・ステップd)の後かつステップe)の前に、方法が、
d1)締め部を開くステップと、
d2)締め部を選択された分配路に沿って後方に動かすステップと、
d3)よこ糸を締め部で締めるステップと、
d4)把持部がピックアップ位置で開かれている間に、選択された分配路に沿って締め部を動かすことによって、ステップd)よりも深くよこ糸を選択された分配路に沿って把持部内に動かすステップを備える。
【0013】
別の側面によれば、本発明はまた、よこ糸をックアップ位置から織機のひ口に引き込むよこ糸挿入機構に向かって、よこ糸挿入軸に沿って前方の方向において、よこ糸を運ぶこ糸選択装置に関するものである。よこ糸挿入機構は、ピックアップ位置にて操作可能でありかつよこ糸挿入軸線に沿って可動な把持部を備えている。よこ糸選択部は可動なキャリッジを備える。可動なキャリッジは、よこ糸挿入軸線に沿って離されている2つの平面であって、前記2つの平面を前方平面と後方平面とする、前記2つの平面を画定する。前方案内部材前方平面に配置されている。後方案内部材後方平面に配置されている。
さらに、可動なキャリッジは、よこ糸挿入軸線に平行な複数の分配路を画定し、各分配路は前方案内部材と後方案内部材との間に延在している。
前記キャリッジは選択された分配路をよこ糸挿入軸線上に整列するよう構成されていて、各分配路は、よこ糸を分配路内に保持する締め部であって、かつ分配路に沿って前方の方向及び後方の方向に、供給位置と後退位置との間で可動な締め部を備える。ここで、供給位置は、よこ糸が延在してピックアップ位置に入るところで、後退位置は、よこ糸がよこ糸挿入軸線に沿ってピックアップ位置から離れているところである
【0014】
このよこ糸選択装置は、上述の方法と実質的に同じ利点を提供する。特に、異なるよこ糸材料は、よこ糸選択装置とよこ糸挿入機構との間の移動の間に、よこ糸が破損したり、ねじれたりするのではなく、固定されるように、レピア又は別のタイプのよこ糸挿入手段と整列している間に、よこ糸挿入機構に提供可能である。
【0015】
本発明のいくつかの他の有利であるが任意の側面によれば、そのようなよこ糸選択装置は、技術的に許容される任意の組み合わせで考慮される以下の特徴のうちの1つ又はいくつかを組み込んでもよい。
・可動キャリッジは、よこ糸挿入軸線に垂直な軸線に沿って可動である。
・よこ糸選択装置の供給位置と後退位置との間で、締め部は、12mm以下、好ましくは10mm以下、さらに好ましくは5mm以下のストロークを持つ。
・よこ糸選択装置が、よこ糸挿入軸線に位置決めされている、分配路の締め部に、締め部を開く力を選択的に加える、単一の締め部の駆動部を備える。
・各分配路が、
締め部を支持するよこ糸差出部と、
よこ糸差出部を締め部の後退位置に押し戻す弾性的復帰手段と、を備える。
そして、よこ糸挿入軸線に整列されている任意の分配路のよこ糸差出部をよこ糸挿入軸線に沿って動かす、単一の駆動組立体を、よこ糸選択装置が備える。
・よこ糸選択装置が、把持部を案内するバスケットをピックアップ位置に備える。
・よこ糸選択装置が、
可動なキャリッジを位置決めする第1駆動組立体と、
締め部が供給位置にあるときに、よこ糸挿入軸線に整列されている分配路の締め部を開く第2駆動組立体と、
よこ糸挿入軸線に沿って、よこ糸挿入軸線に整列されている分配路の締め部を供給位置に向かって動かす第3駆動組立体と
の3つの駆動組立体を備える。
【0016】
第3の側面によると、本発明は、
ひ口を作るためにたて糸を動かすへドルと、
へドルを動かすひ口形成機構と、
よこ糸を織機に提供するよこ糸ボビンと、
よこ糸を、ピックアップ位置からよこ糸挿入方向に沿って、ひ口に引き込むよこ糸挿入機構であって、前記ピックアップ位置にて開放可能な把持部を備える、よこ糸挿入機構と、
上記のよこ糸選択装置と
を備える織機に関す
【0017】
この織機は、本発明の方法及びよこ糸選択装置と同様の利点を提供する。
【0018】
本発明による製織方法、よこ糸選択装置及び織機の一実施形態の以下の説明を読むと、本発明がよりよく理解され、他の利点がより明確となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明による織機の概略斜視図である。
図2図2は、図1の詳細「II」の拡大図であり、簡単のためにハーネスが省略されている。
図3図3は、図1及び図2の織機に属する本発明によるよこ糸選択装置の一部の2つの異なる構成の、拡大斜視図である。
図4図4は、図3で表される部分の一部と織機のレピアの一部を示す上面斜視図であり、よこ糸選択装置と織機が第1の実施形態にあるときの図である。
図5図5は、図4の平面P5に沿った部分切断面図である。
図6図6は、よこ糸選択装置と織機が第2の実施形態にあるときの図4と同様の斜視上面図である。
図7図7は、図6の平面P7に沿った部分切断図である。
図8図8は、よこ糸選択装置と織機が第3の実施形態にあるときの図7と同様の切断面図である。
図9図9は、よこ糸選択装置と織機が第4の実施形態にあるときの図7と同様の切断面図である。
図10図10は、よこ糸選択装置と織機が第5の実施形態にあるときの図7と同様の切断面図である。
図11図11は、本発明のよこ糸選択装置の一部を別の角度に沿って示す斜視図である。
図12図12は、本発明のよこ糸選択装置に属する切削工具とよこ糸差出部の斜視図である。
図13図13は、図1の織機の一部の部分の高さを調整するための駆動組立体の斜視図である。
図14図14は、図1の織機に属するリードとそれに付随する駆動部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示された織機2は、地面Gに固定された製織機10の上にジャカード機6といくつかの制御キャビネット8を支持するガントリー4を備える。ガントリー4は、ガントリー4と同様に地面Gに固定されている複数の支柱12を有する。複数の支柱12がいっしょに、ジャカード織機6及び制御キャビネット8が配置されているプラットフォーム14を支持している。
【0021】
ヘドル17と不図示のコードで作られているハーネス16は、製織機10の高さで、不図示のひ口を形成するために垂直方向に移動可能であり、たて糸18は不図示のクリールから出ている。
【0022】
ハーネスコード及びヘドル17の代替的な上下動は、図1の両矢印(二重矢印)A1で表される。
【0023】
レピア20は、織物22を織るためによこ糸34をひ口に挿入するために使用される。図1及び図2において、両矢印A2は、よこ糸挿入機構を形成するレピアユニット200のレール201に案内されたときの、よこ糸挿入軸線Y20に沿ったレピア20の代替的な水平移動を示す。レピアユニット200はまた、よこ糸挿入軸線Y20に沿ってレピア20を往復移動させる不図示の駆動部を備える。
【0024】
矢印A3は、織布22が巻取台車24に向かって一方向に変位する様子を表している。
【0025】
リード23は、各ピックの後によこ糸34を生地22に打ち込むためのものである。両矢印A23は、図2及び図14におけるリードの打ち込み動作を表している。
【0026】
それ(補償器30)自体公知の、よこ糸の供給における揺れを回避するように設計されている補償器30を介してボビン26から供給されるよこ糸34が、よこ糸選択装置28によって、織機10の隣に配置されたボビン26から解かれて、レピア20のところに供給される。補償器30は、この補償器から出るよこ糸34の実質的に一定の張力を保証する。
【0027】
図示の例では、よこ糸選択装置28の隣に、6本のボビン26が、地面Gに固定された支持ブラケット32に取り付けられていると共に、補償器30に取り付けられている。よこ糸選択装置28には、最大12本のボビン26から来るよこ糸を供給可能である。ボビン26の数は、織機2で使用する異なるよこ糸の数に合わせて増加可能である。
【0028】
この例では、たて糸18は、ポリエステル、ポリアミド、又は他の比較的安価な熱可塑性材料から作られている。代替的には、これらのたて糸は、例えばプロペラの刃といった3次元の技術複層織物を生成するためのガラス、カーボン、又は別のより精巧な材料から、あるいは例えば自動車の技術的な部分といった2次元の複層織物を生成するための材料から作られてもよい。
【0029】
よこ糸34aは、強化プラスチックから、又はカーボン、ケブラー(登録商標)、セラミック、アラミド、ガラスなどの繊維から作られている。これまで上述したように、これらの糸は、円形、楕円形、長方形の断面、又は丸みを帯びた縁を有する近似的に長方形の断面を有するものとしてもよい。これらの糸は、0.014mmから5mmの間の幅を有する円形の糸、テープ、バンド又はリボンを形成していてもよい。
【0030】
よこ糸選択装置28は、地面Gに対して垂直軸線Z28に沿って変位可能な垂直移動可能なキャリッジ102を備える。よこ糸選択装置28は、電動モータ104、ベルト106、及び上下方向変更ボックス108に組み込まれた不図示のプーリからなる電動駆動組立体103によって変位可能である。2本のガイドレール110は、2つのボックス108の間に垂直に延在し、また、駆動組立体103に属している。駆動組立体103は、キャビネット8の1つに組み込まれた電子制御ユニット、すなわちECU82によって操縦される。このECUは、少なくとも1つのマイクロプロセッサとメモリとを備え、よこ糸選択装置28を操縦するためのプログラムが記憶されている。
【0031】
垂直方向に移動可能なキャリッジ102は、ベルト106によって上方又は下方に引っ張られたときにガイドレール110に沿って摺動するように適合されている上部横梁112及び下部横梁114を備える。キャリッジ102はまた、前方ブラケット116及び後方ブラケット118を備える。「前方」及び/又は「後方」という概念は、よこ糸ピックアップ位置から、よこ糸挿入軸線Y20に沿ってたて糸18によって形成されるひ口内に移動するときの、レピア20の移動方向に関連する。レピア20の前方への移動は、図1から図10において、軸線Y20に沿って右から左へ移動する。このため、ブラケット116は、軸線Y20に沿ってブラケット118よりも前方に位置している。
【0032】
前方ブラケット116は、軸線Z28に平行な軸線Z116に沿って整列した前方アイレット126を備えている。同様に、後方ブラケット118は、軸線Z28に平行な軸線Z118に沿って整列した後方アイレット128を備えている。
【0033】
前方ブラケット116の正中面P116は、その前方面と後方面との間に、これら2つの面から等しい距離で画定される。後方ブラケット118の正中面P118は、その前方面と後方面との間に、これら2つの面の等しい距離で画定される。これら2つの正中面P116、P118は平行であり、それぞれ可動キャリッジ102の前方面及び後方面を形成している。それら(正中面P116、P118)は、軸線Y20に対して垂直であり、この軸線に沿って離されている。前方アイレット126及び後方アイレット128は、それぞれ前方平面P116及び後方平面P118に配置されている。換言すると、前方アイレット126及び後方アイレット128は、それぞれ中央平面P116及びP118を横切っている。
【0034】
各前方アイレット126は、軸線Y20に平行な長手方向軸線Y130の方向に、後方アイレット128と整列されている。軸線Y130に沿ってこの前方アイレット126と整列されている後方アイレット128は、共に、この長手方向軸線Y130に沿って前方ブラケット116と後方ブラケット118との間に延在する、「分配路」と呼ぶ円筒状の大きさの部分130を画定する。各分配路は、軸線Y20に平行である。代替的には、各分配路は、軸線Y20に概ね平行にする。各分配路130の長手方向軸線Y130は、この分配路を画定する2つのアイレット126、128の下部に接している。このようにして、分配路130の2つのアイレット126、128の下側部分に載っているよこ糸34は、その長手方向軸線Y130に沿って延在する。
【0035】
分配路130は、一例として、図4上の灰色領域によって識別されるところである。
【0036】
よこ糸34は、この分配路130の外側で、この分配路130の長手方向Y130に沿って摺動可能である。これは、これ以降に説明されるように、ピックアップ位置にてレピア20の把持部40に捉えられるためである。
【0037】
前方及び後方のアイレット126、128は、前方及び後方のブラケット116、118に作られた穴に取り付けられた環部によって作られている。これらのブラケットは、軸線Y20に平行に測定されたときに約5mmの厚さであるのに対し、アイレットは、約3mmの直径と丸みを帯びた縁を持つ。このようにして、アイレットは、2つの整列したアイレット126、128の間に定義された分配路130に沿って摺動するよこ糸34に滑らかな案内面を提供する。
【0038】
代替的に、アイレット126、128は、ブラケット116、118を介して直接穿孔された穴によって作られる。これらの穴は、よこ糸34に滑らかな案内面を提供するために、丸みを帯びた縁をも有するものである。
【0039】
図示の例では、全てのアイレット126、128は同一である。これは必須ではなく、アイレットのサイズ及び形状は、分配路130を走行するよこ糸34のサイズ及び断面に適合させるために、ブラケット116又は118の高さに沿って適合可能である。
【0040】
この例では、各前方又は後方ブラケット116又は118は、12個の前方又は後方アイレット126又は128を備えていて、これにより、12個の分配路130がこれらのブラケットの間に画定されている。この例では、軸線Z28の方向に、他のブラケットの上に1個ずつである。このようにして、12個の異なるボビン26から来る12個の異なるよこ糸34を、よこ糸選択装置28で取り扱える。
【0041】
ブラケット当たりのアイレットの数、よって分配路130の数は、この数が少なくとも2であるという前提で、限定的ではない。好ましくは、分配路130の数は、少なくとも3であり、より好ましくは少なくとも5であり、さらに好ましくは少なくとも12である。
【0042】
参照符号140はよこ糸選択装置28の枠部を示し、この枠部は、簡略化と明確化のために、図3の左側に部分的に、そして図4にのみ示されている。ボックス108及びガイドレール110は、枠部140に対して静止している。
【0043】
駆動組立体103により、図3の両矢印A4によって示されるように、キャリッジ102を、枠部140及び地面Gに対して、軸線Z28に沿って、上向き又は下向きに移動可能である。
【0044】
これにより、次のピック時に製織に使用される次のよこ糸に対応する選択分配路130をよこ糸挿入軸線Y20に整列可能である。より詳細には、キャリッジ102の上下動により、選択された分配路130の長手方向の軸線Y130を軸線Y20に整列可能である。キャリッジ102のこの垂直上向き又は下向きの移動は、枠部140に対して行われる。これは、図3に表されているよこ糸選択装置28の2つの構成の比較によりわかる。この説明では、分配路130は、その長手方向軸線Y130がこの軸線Y20に整列している場合に、よこ糸挿入軸線Y20に整列しているとする。図3の左の構成では、キャリッジ102の上部の分配路130が軸線Y20に整列しているのに対し、右の構成では、キャリッジ102の上部から起算して5番目の分配路130が軸線Y20に整列している。
【0045】
キャリッジ102の移動のストロークは、駆動組立体103によって画定される。このストロークは、図3の左側に表される位置と、最も低い分配路130がよこ糸挿入軸線Y20に整列する位置との間のキャリッジ102の移動に対応する。このストロークは、12個の分配路130を備える図示の例のキャリッジ102に対して約140mmである。
【0046】
バスケット150は、マルチよこ糸選択装置28の枠部140によって支持されていて、把持部40を運ぶレピア20のヘッド202を受けるように適合されている。把持部40には、2つのジョー42を持つ。バスケット150は、よこ糸選択装置28に対してたて糸方向及び垂直方向にレピアヘッド202を位置決めするための2つの案内面を有する。より詳細には、バスケットは、軸線Y20に平行な水平な下面152と、よこ糸選択装置28の方向に軸線Y20に向かって傾斜している上面取り面154とを備える。バスケット150は、軸線Y20に沿って、図5の矢印A5の方向、すなわち前方ブラケット116に近いよこ糸をピックアップするためのピックアップ位置に向かって、レピアヘッド202を案内するのに適している。これにより、図5に示すように、軸線Y20に整列した分配路の前方アイレット126について把持部20を正しく位置決めできる。
【0047】
本発明の非図示の代替実施形態によると、そしてレピア20が図4及び図5に表されるピックアップ位置に到達するのに十分な剛性を有する場合には、バスケット150を省略してもよい。代替的に、バスケットは、任意の他の代替的な解決策、レピアを位置決めするための、例えば、スロット、ランプ、モーションリンク、又はクランクを備えたガイド手段によって置換可能である。各分配路130は、軸線Y130に沿って摺動可能に移動可能であり、この軸に平行な2本のレール132、134によって案内されるよこ糸差出部160を備える。よこ糸差出部160は、対応する分配路130の容器のような部分内に完全に封入されないが、ブラケット116と118の間に、このチャンネル内に部分的に配置され、このチャンネル外に部分的に配置されている。明快さのために、2つのレールは、図5及び図7から図10にのみ示されている。それらは、それぞれの軸線Y132及びY134によって、図11に示されている。本体162が2つのレール132、134に沿って摺動できるようにするために、2つの収容部1626、1628がレール132、134の一部を小さな半径方向の遊びで収容するため、2つの収容部1626、1628は、各よこ糸差出部160の本体162内に設けられている。
【0048】
単純化のために、図4及び図6では、1つのよこ糸差出部160のみが表されている。しかしながら、図3に見えるように、12個のよこ糸差出部160をキャリッジ102に取り付けてもよい。
【0049】
各よこ糸差出部160は、前方ブラケット116と後方ブラケット118との間の分配路130に沿って移動可能である。より正確には、各よこ糸差出部160は、よこ糸差出部160が後方ブラケット118に近接している図4及び図5で表される後方又は後退位置と、よこ糸差出部160が前方ブラケット116に近い図6から図10で表される前方位置との間で、レール132及び134に沿って摺動できる。よこ糸差出部160の前方位置は、この位置では、よこ糸34を把持部40に送り込めるので、よこ糸差出部160の送り込み位置でもある。
【0050】
前方ブラケット116と後方ブラケット118との間で、よこ糸差出部160が係合している分配路130に沿って、各よこ糸差出部160の変位が、この分配路130の長手方向軸線Y130に沿って、よこ糸挿入軸線Y20に沿って発生する。この変位は、クランク機構174を介して、ロッド172を軸線Y20、Y130、Y132、Y134に平行な軸線Y172に沿って並進駆動する電動モータ170によって得られる。電動モータ170は、枠部140に固定的に取り付けられ、ECU82によって操縦される。電動モータ170、ロッド172及びクランク機構174は共に、選択されたよこ糸差出部160をフォント(前方)ブラケット116に向かって移動させるための電動駆動組立体173を形成している。
【0051】
よこ糸差出部160と前方ブラケット116との間には、ばね176が介装されている。
【0052】
図5の位置から図7の位置へのよこ糸差出部160の前方移動は、クランク機構174によって作動されるロッド172によって及ぼされる力F6の作用下で、図5の矢印A6方向に行われ、この力は軸線Y172に沿って整列される。この力F6は、よこ糸差出部160の本体162の裏面1622に及ぼされる押圧力である。よこ糸差出部160を矢印A6の方向に移動させるために、電気モータ172、クランク機構174、及び本体162に対して載っているロッド172を備える電気駆動組立体173を使用することは、空気圧駆動で得られ得るものよりも、よこ糸差出部160のより滑らかな前方運動を提供する。よって、関連するよこ糸差出部160によってよこ糸34をそのボビン26からほどくためによこ糸34に及ぼされる引張力は、より滑らかである。
【0053】
図7の位置から図5の位置へのよこ糸差出部160の後退運動は、後退ブラケット118に向けられ、本体162の前側1624にばね176によって及ぼされる弾性力F6’の作用下で、図5の矢印A6’の方向に発生する。このようにして、ばね176は、図4及び図5に表される格納位置に向かってよこ糸差出部160を押し戻すように作られている弾性復帰手段をなしている。
【0054】
よこ糸差出部160はまた、固定されている締めジョー1642と可動の締めジョー1644とからなる締め部164を備える。固定されている締めジョー1642は、本体162に対して静止している。可動のジョー1644は、軸線Y132及びY134に垂直な不図示の軸線の周りに、本体162上で関節運動する。
【0055】
各締め部164は、よこ糸差出部160に属しているので、図4及び図5で表される後退位置又は後退位置と、図6から図10で表される前方位置又は送り位置との間で、分配路130の長手方向軸線Y130に沿って、このよこ糸差出部の本体162と共に移動可能である。
【0056】
ばね166は、各よこ糸差出部160の本体162に取り付けられていて、締め部164がよこ糸差出部160に対して固定されたよこ糸34の一部を保持する位置で、既定では、可動のジョー1644を固定のジョー1642に向かって押している。すなわち、既定では、よこ糸34は、図11の矢印A11によって示されるように、締め部164によって締められている。
【0057】
固定のジョー1642は、可動のジョー1644のノーズ部分1643を収容するように作られているU字形の溝を有する。2つのジョー1642、1644の形状、特にノーズ部分1643の形状は、締め部164によって締められたよこ糸34を破損するおそれを制限するために選択される。固定のジョー1642のU字形の形状は、異なる種類のよこ糸材料を案内するために、またよこ糸34を本体164に関して固定するために特に適合されていて、これにより、よこ糸が、緩んでいたり、波打っている場合に、締め部164から外れるのを防止できる。
【0058】
図示の例では、全てのよこ糸差出部160の全ての締め部164及び全てのばね166、176は同一である。しかしながら、図示しない代替実施形態では、締め部164及びばね166、176は、対応する分配路130を通るよこ糸34の形状及び材料タイプに完全に適合するために、各よこ糸差出部160に対してカスタマイズしてよい。
【0059】
電動モータ180は、対応するばね166によって及ぼされる弾性力に抗して、各締め部164の開動作を制御するために設けられている。この電動モータ180は、枠部140に剛性的に取り付けられ、ECU82によって操縦される。それは、バスケット150に隣接して配置されていて、このよこ糸差出部がその前方位置に移動されたときに、よこ糸挿入軸線Y120と整列している単一の分配路130のよこ糸差出部160の締め部164と相互に作用するように配置されている。換言すると、ECU82によって好適に操縦される単一の電動モータ180は、そのようなよこ糸差出部160がレピア20、特にその把持部40と整列した単一の分配路130内に位置しているときに、このよこ糸差出部がその送り出し位置にあるときに、任意のよこ糸差出部160の締め部164を選択的に作動させるために使用される。
【0060】
電動モータ180は、偏心部184を介してローラ182を駆動する。部品180、182及び184がいっしょに、よこ糸差出部の締め部164をその前方位置又は送り位置で操縦するための電気駆動装置183をなしている。ローラ182は、可動のジョー1644を固定のジョー1642に対して約3mmの距離で選択的に持ち上げるように設計されている。
【0061】
電気駆動部183が締め部164に作用しないとき、この締め部164は、クランプされたよこ糸34が対応する分配路130内で実質的に真っ直ぐなままであるように、ばね166によって及ぼされる弾性力の下で、水平面に関して閉じられている。換言すると、このよこ糸を締めるために分配路130を通過しているよこ糸34を曲げる必要はない。
【0062】
枠部140に対する電動モータ180の位置のため、ローラ182は、図6から図10に表される前方位置又は送り位置に到達するために、このよこ糸差出部が電動モータ170によって前方に押し出されたときにのみ、よこ糸差出部160の締め部164と相互作用する。換言すると、よこ糸差出部160の締め部164は電動モータ180によって、よこ糸差出部が軸線Y20上に整列した分配路130内に位置している場合にのみ、また、このよこ糸差出部160が電動駆動組立体173によって前に送り位置に前方的に押されている場合にのみ、開けられる。
【0063】
図5のみで視認可能であり、矢印A190で表される観察方向を持つ垂直方向の光学センサ190が、可動キャリア102の下のよこ糸選択装置28の下部に設けられ、枠部140に支持されている。このセンサ190は、少なくとも1つのよこ糸差出部がその前方位置又は送り位置にあるか、又は全てのよこ糸差出部160がその後方位置又は後退位置にあるかを判定可能である。このセンサ190はまた、この締め部164がその前方位置又は送り位置にあるよこ糸差出部に属している場合に、締め部164の開状態をチェック可能である。代替的に、締め部164の状態のチェックは、別の不図示のセンサを用いて行ってもよい。
【0064】
センサ190の出力信号は、電動駆動部103、173、183を作動させるためにECU82によって考慮される。特に、締めの一方がその前方位置にある場合には、電動駆動装置103を作動不能としていて、また、締め部が開放状態にある場合には、電動駆動装置103を作動不能である。
【0065】
切断工具210は、バスケット150に隣接して設置され、上刃212及び下刃214を備える。切断ユニット220の本体222に対して、上刃は静止している。切断ユニット220は、軸線Y20に垂直な水平軸X220に沿って切断ユニット220を移動させるための第1の線形空気圧駆動部224と、よこ糸34を切断する必要がある場合に、上刃212に対して下刃214を移動させるための第2の空気圧駆動部226とを備える。流体接続部2262、2264は、空気圧駆動部226を空気の不図示の管部に接続する。
【0066】
この例では、単一の切断ユニット220、したがって単一の切断工具210が、よこ糸挿入軸線Y20上に位置決めした可動キャリッジの任意の分配路130を通っているよこ糸34を選択的に切断するために使用される。
【0067】
表されていない加圧空気供給源もまた、空気駆動装置224、226に空気を供給するためにECU82によって制御される。
【0068】
図12にのみ示され、その観察方向が矢印A230の方向に延在する光学センサ230は、刃212、214の互いに対する位置を検出可能である。特に刃の交差が発生したとき、すなわちよこ糸34が切断されているときに検出できる。その出力信号はまた、ECU82に供給される。
【0069】
三次元織物の領域では、特にダブルレピアシステムを使用する場合には、重ね合わせたよこ糸を挿入することが問題となる。このような用途では、最終的な生地が比較的厚いので、ジャカードシステムは、織機10の枠部に対して異なる高さ、すなわち地面Gに対して異なる高さで、異なる連続するひ口を開くことになり、一方で、織工程を最適化するためには、ひ口の高さを比較的小さくしておく方がよい。
【0070】
本発明の織機2は、異なる高さに位置する異なるひ口内でのよこ糸挿入を容易にするために、レピアユニット200を垂直に移動させるための第1の昇降装置310と、よこ糸選択装置28を垂直に昇降させるための第2の昇降装置320とを持つ昇降システム300を備える。
【0071】
昇降システ300のみを模式的に示した図13において、ガイドレール201はレピアユニット200を表し、枠部140はよこ糸選択装置28を表している。
【0072】
第1持ち上げユニット310は、地面Gに固定された固定枠部312と、レピアユニットを支持するための可動枠部314とを備える。サーボ駆動部316は、3つのアンギュラーギアボックス318を介して3つのウォームギアを駆動する。これにより、3つのボールネジスピンドル319を垂直方向に同時に移動可能である。このようにして、可動枠部314を地面Gと平行に保ちながら、可動枠部314の垂直方向の仰角を制御可能である。
【0073】
一方、第2の昇降装置320は、地面Gに固定された固定枠部322と、よこ糸選択装置28の枠部140を支持するための可動枠部324とを含む。サーボドライブ326は、可動枠部324を上下方向に移動させるために、ギアボックス328及びボールねじスピンドル329を駆動する。
【0074】
2つの持ち上げ装置310、320、特にそれらのそれぞれのサーボ駆動部316、326は、2つの可動枠部314、324の方向、速度、及び加速度の点で、常に同じ変位を得るために、ECU82によって電子的に制御される。一方のサーボ駆動部を主駆動部として、他方のサーボ駆動部を従駆動部としてもよい。
【0075】
これにより、両矢印A200で示すようによこ糸挿入機構200と、両矢印A28により示されるように、よこ糸選択装置28とを垂直方向に一緒に移動させることにより、よこ糸が連続して重ね合わされたひ口に挿入される場合にも、よこ糸選択装置28を常によこ糸挿入機構200に対して水平方向に整合させた状態に保てるようになる。システム300により、よこ糸挿入機構200及びよこ糸選択装置28の垂直位置、したがって、よこ糸挿入軸線Y20及び選択された分配路130の垂直位置を、地面G及び織機10、特に織布22に対して調整可能である。よこ糸挿入機構200とよこ糸選択装置の持ち上げは、ダウンタイムを減らすために、可動キャリッジ102の位置を調整する時間に重ねてもよい。
【0076】
代替的に、2つの持ち上げ装置を共通のシャフトを介して機械的に結合してもよい。このような場合、単一の駆動装置、例えばサーボ駆動装置316を使用してもよい。共通シャフトは、以下で考えられるリードのサーボ駆動部のシャフトと同軸にしてもよく、これは図14に表されている。
【0077】
機械的なカム接続を介して織機の主シャフトに連結されたリード(スレイとも呼ばれる)を使用することは、先行技術から知られている。リードは、よこ糸の位置を安定させるために、各よこ糸を生地に打ち込む。リードの動きはカムの形状に依存していて、複雑な、機械的なカム接続を変更しない限り適合できない。リードの動きは基本的に円運動であり、よこ糸の素材によっては、特に炭素構造を含むよこ糸の素材には好ましくない。
【0078】
本発明の織機2において、両矢印A23で表されるリード23の代替的な動きは、電動モータ412、一組の連結ロッド414、クランク機構416、及び2つのブラケット422を介して主シャフト420上に多関節化されたサブ枠部418を備える独立した駆動機構400によって得られる。フライホイール444もまた、駆動機構400に属する。
【0079】
この駆動機構400は、電動モータ412の連続回転運動を、図2及び図14の矢印A23で表される代替的な水平運動に変換できる。この駆動機構400の構造では、リード23の片側のみが駆動機構400に接続されているため、リード23の一部の張り出しが可能である。
【0080】
駆動機構400を介して得られる運動の変形により、リード23の運動は、主に水平方向であり、これは、かなりの厚さの複層織物22を織っておさ打ちするのに有利である。得られる結果は、最もおさ打ちされた部分が生地の最上層である回転リードを用いた場合よりも良好である。
【0081】
この電動モータ412は電動モータであるため、その作動条件はECU82によって操縦可能であり、容易にカスタマイズできる。この電動モータ412の回転方向を迅速に反転可能である。また、リードのストローク、速度、加速度を調整可能なので、リードの移動の継続時間や加速度を容易に変更できる。リード23はサーボ駆動であるため、その運動はジャカード機6の運動法則から独立していて、また、裁断・よこ糸挿入工程からも独立している。リード23の動きの加速度、速度、位置及び振幅は、織布工程、糸の材質、及び織布22の実際の構造に容易に適合できる。
【0082】
リード23が織物に及ぼす力はまた、測定されるか、又は計算によって決定され、特にモータ412によって生成されたトルクに基づいて決定可能である。これにより、織られる生地、糸の材質、織工程の速度などにリードのストロークを適合させられる。特に、織機2のECU82がトルクを測定し、それを解釈することで、糸の張力について何らかの情報が得られる。糸の張力は、非表示の手段で監視可能及び調整可能である。
【0083】
以下、図1から図14で表されている製織を実施される製織方法について説明する。
【0084】
必要に応じて、システム300は、実際のひ口の高さ及び地面Gに対するよこ糸の位置に適応するために、よこ糸挿入機構200及びよこ糸選択装置28の上昇に使用可能である。これは、新しい布地の製織の開始時又は製織中、特に2つのよこ糸挿入サイクルの間に行える。
【0085】
レピアヘッド202がピックアップ位置に戻るたびに、その把持部は、それ自体公知の不図示の機構によって開放され、それによって、よこ糸の先端部の受容の部分が形成される。この受容の部分は閉じられるようになっている。代替的に、レピアヘッド202は、よこ糸軸に沿ってピックアップ位置に到達する前に開放可能である。
【0086】
センサ190は、いずれのよこ糸差出部160も締め部164もその前方位置又は送り位置にないことを確認するために、それぞれの分配路130内の全てのよこ糸差出部160の位置の監視に使用される。これにより、よこ糸34と可動キャリッジ102との垂直方向の変位中の衝突を回避できる。
【0087】
「選択された糸」と呼ぶ次のピックでよこ糸挿入に使用されるよこ糸に応じて、ECU82は、分配路130のうちの1つを選択する。選択された分配路は、選択されたよこ糸が位置している分配路である。
【0088】
そして、駆動組立体103は、選択された分配路103をよこ糸挿入軸線Y20上に整列させるために、ECU82によって操縦されて、可動キャリッジ102を垂直方向に移動又は保持する。換言すれば、選択されたよこ糸34が把持部に整列される。これは、ひ口の開口時に発生することがある。選択されたよこ糸が前回のピック時に使用されたものと異なる場合、これは可動キャリッジ102の上下動を意味する。選択されたよこ糸が前回のピックで使用されたものと同じであれば、可動キャリッジ102は移動されず、以前に選択された分配路130は、よこ糸挿入軸に整列したままである。よこ糸選択装置28の可動キャリッジ102を位置決めする前にレピアヘッドを開く。代替的には、把持部40が選択されたよこ糸34と整列するように、レピアヘッドの開度は、可動キャリッジ102の位置決めと時間的に重なってもよい。
【0089】
そして、電動モータ170は、押圧力F6を発揮するロッド172を介して、選択された分配路130内に配置されたよこ糸差出部160を前方、すなわち前方ブラケット116に向かって押すように作動する。締め部164は、図11の矢印A111によって示されるように、既定ではばね166によって閉じられているので、矢印A6によって表されるよこ糸差出部160のこの前方運動は、締め部164によってクランプされ、対応するボビン26から引き出されるよこ糸34の同様の前方運動を引き起こす。ここで、選択された分配路130内のよこ糸差出部160の締め部164は、ECU82によって操縦される電気駆動組立体173によって、その格納位置からその前方位置に移動される。締め部164及び締め部164内のクランプされたよこ糸34のこの前方移動の間、図7に示すように、把持部40は開いたままである。
【0090】
これにより、ばね176によって及ぼされる弾性力F6’に抗して、よこ糸差出部160及び締め部164の図6及び図7の前方位置に到達できるようになる。この位置では、図7に示すように、よこ糸34は締め部164によって締められ、その自由遠端部342は、軸線Y20に平行に測定された場合の距離dでキャリッジ102から突出している。この距離dは、自由遠端部342が把持部40のジョー42の間に延在するのに十分な大きさである。
【0091】
それゆえに、図6及び図7の前方位置では、締め部164は、把持部40の送り出しを可能にする位置で、よこ糸34を保持する。
【0092】
そして、図8の矢印A8に示すように、不図示の作動手段により、その爪42を互いに向かって移動させることにより、把持部40を閉じられる。
【0093】
次に、図9の矢印A9によって示されるように、これまで説明したように、電気駆動組立体183の作用によって、締め部164が開かれる。これにより、選択されたよこ糸34の締めが解除され、よこ糸がよこ糸差出部160から切り離される。
【0094】
そして、図10に示すように、レピア20は、バスケット150から出て、よこ糸34を矢印A10で表される前方に引っ張ってひ口内に入れる。ひ口内を通るレピアのこの動きの間に、よこ糸34は、そのボビンから巻き戻される。必要に応じて、よこ糸を張力下に維持するために、締め部164によって制動力を発揮してもよい。このために、電気駆動組立体183は、制御された制動力を発揮するために、ばね166によって発揮される弾性力の下で、可動ジョー1644を固定ジョー1642に向かって移動させるように、ECU82によって作動させてもよい。
【0095】
よこ糸が切断される位置は、よこ糸挿入軸線Y20に沿った切断工具210の位置によって設定される。ここで、人は、異なる長さのよこ糸を織物22に織り込むために、特許文献1(EP-A-3121317)の教示を利用してもよい。しかし、これは必須ではない。この場合、よこ糸34は、予め設定された長さで切断され、その後、切断されたよこ糸34は、前方方向A10において、予め設定された位置でひ口内に引き込まれる。
【0096】
レピアヘッド202がひ口内への設定位置に到達すると、ばね166の作用により締め部164を閉じさせるために、電動モータ180が再びECU82により作動される。そして、よこ糸は、切断された後に失われないように、切断されるために再び締められる。
【0097】
図10に表されるステップの後、よこ糸を締めた後、第1の空気圧駆動部224は、バスケット150を通って延在する糸34に向かって軸X220に沿って切断ユニット220を移動させるために作動される。
【0098】
それから、第2の空気圧駆動部226は、よこ糸34を切断するために下刃214を移動させるために作動される。センサ230を、次のステップに移動する前によこ糸の切断の完了を制御するために使用してもよい。その後、切断工具は、駆動部226によって再び開かれ、駆動部224によって元の位置に戻される。
【0099】
それから、電気駆動組立体173は、ばね176が弾性力F6’を介して、よこ糸差出部160を矢印A6’の方向に、後退ブラケット118に向かって、その後退した位置に押し込むことを可能にするロッド172を後方に移動させるために作動する。この後方への移動の間、締め部164は、よこ糸34がモータ180の前の動作によって閉じられているので、よこ糸34をクランプし、前方のアイレット126はよこ糸34を案内する。
【0100】
代替的に、締め部164は、その前方位置とローラ182との接触位置とを残して閉じることができる。あるいは、クランプは、効率的な切断操作に従うように、把持部とクランプとの間によこ糸保持部の必要な張力を作り出すために、よこ糸を切断する直前に後方への移動を開始することができる。切断後、クランプはその後退位置に向かう後方への運動を終了する。
【0101】
これにより、よこ糸差出部160、締め部164、及びよこ糸34が、図4及び図5の位置に戻される。ここでは、よこ糸の遠端部342は、前部アイレット126を介して、距離dよりも短い距離d’で可動キャリッジ102からまだ突出していて、締め部164は、まだよこ糸34を締めている。
【0102】
実際には、図6から図10の位置と図4及び図5の位置との間のよこ糸差出部160の後方のストロークSは、距離dと距離d’との差に等しい。以下の式が適用される。
S=d-d’ (式1)
【0103】
ストロークSは、距離d’が厳密にゼロよりも大きくなるように選択される。次の式が適用される。
S<d (式2)
d’>0 (式3)
【0104】
換言すると、選択された分配路130におけるよこ糸差出部160及び締め部164の後方移動の終了時に、よこ糸の遠端部342は、よこ糸挿入機構200の方向に、「ヌル」ではない距離d’にわたって、前方アイレット126から突出している。このようにして、よこ糸34は、対応する分配路130の前方アイレット126によって案内され、締め部164の後方移動中に締め部164によって締められる。この後方運動の終了時には、よこ糸は前方アイレット126から外れることはない。したがって、この分配路のよこ糸34が次にピックに使用されるときには、締め部164がその供給位置に向けてその動きを開始するときに、把持部が閉じるときに確実によこ糸を把持するような方法で、自由遠端部342はすでに可動キャリッジ102から突出していることになる。
【0105】
ストロークSの値は、12mm以下、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下、さらに好ましくは5mm以下の値が選択される。
【0106】
また、距離d’は、レピアヘッド202がバスケット150内にあるときに、把持部40と前方ブラケット116との間の軸線Y20に沿って測定される距離d40よりも小さく選択される。このように、キャリッジ102が軸線Z28に沿って移動する際に、レピアヘッド202が既にそのピックアップ位置にある場合であっても、それぞれのよこ糸の遠端部342がアーミングされる(伸縮される)おそれはない。
【0107】
有利には、距離dは、1cmよりも大きく、好ましくは1.2cmに等しいものが選択され、一方、距離d’は、1mmよりも大きくて5mmよりも小さく、好ましくは2mmに等しいものが選択される。
【0108】
代替的に、本発明の方法の第1の非図示の実施形態によれば、電気駆動組立体183の作用によって締め部164が開放された後、よこ糸34がひ口に引き込まれている間、電気駆動組立体173は、締め部164が、よこ糸挿入軸線Y20に沿って、例えば10mmに等しい距離、例えば2mmに等しいストロークSよりも小さいストロークS1で、選択された分配路130内で後方に移動するように作動させてもよい。締め部164は停止され、よこ糸34が予め設定された長さで切断される前に締められる。それから、よこ糸差出部160が、ストロークSとストロークS1との間の差に等しいストロークS2、すなわち、S2=S-S1、この例では10mm-2mm=8mmで、ばね176によって矢印A6’の方向に付勢された弾性力F6’を介して格納位置まで押されるように、電気駆動組立体173が作動される。前部アイレット126と可動キャリッジ102から突出しているよこ糸の遠端部342との間で測定された距離d’は、上記で特定された距離d’よりも大きく、次の式d’=d’+2mm=d’+S1が適用される。よこ糸差出部160の予備的な後退ストロークとみなしてもよいストロークS1は、距離d’が図に表された実施形態の距離d’よりも大きくなるように、よこ糸の遠端部342をよこ糸差出部160からさらに外に出て把持部40の爪42の中に移動させることを可能にしている。換言すると、よこ糸の遠端部342は、図に表される実施形態のものよりも突出している。ストロークS1は、把持部をより深く送り、特に、よこ糸の遠端部342を拾い上げ、ジョー42内の保持を容易にするのに有利である。この第1の代替実施形態は、より長いよこ糸の遠端部342を把持部40に提供するために、切断ユニット220とよこ糸差出部160との間の形状又は距離の不可避な変更を回避する。
【0109】
本発明の方法の第2の非図示の代替実施形態では、電気駆動組立体173が、締め部164がよこ糸34を保持している状態でよこ糸差出部160をその前方位置に移動させた後、把持部がピックアップ位置で開かれている間に、よこ糸挿入軸線Y20に沿ったよこ糸34の第2の前方移動が、よこ糸選択装置28によって操作されてもよい。
【0110】
このよこ糸34のよこ糸挿入軸線Y20に沿った第2の前方移動は、締め部164をその前方位置で開いた後、選択された分配路130内で締め部164を後方に移動させた後に実施される。それから、よこ糸34は、締め部164が引っ込んだ位置で締められ、把持部がピックアップ位置で開かれている間に、ばね176によって発揮される弾性力F6’に抗して電気駆動組立体173を作動させることによって、選択された分配路130内のよこ糸挿入軸線Y20に沿って、把持部40内にその前方位置に移動される。
【0111】
締め部164がよこ糸34を締めている間の締め部164の第2の前方運動は、よこ糸差出部160の前方位置への第1の運動と比較して、距離d’が増加するように、よこ糸の遠端部342を把持部40のジョー42内に、よこ糸差出部160からさらに外に移動させることを可能にしている。次いで、把持部40を閉じて、ジョー42内でより多くのよこ糸34の捕獲が可能である。この動作は、よこ糸34を把持部40内に移動させる2段階モードに対応する。
【0112】
本発明の方法の第3の非図示の代替実施形態では、選択された分配路130のよこ糸差出部160及び締め部164によって、よこ糸34をジョー42内にさらに移動させるために、3つのステップ又はそれ以上のステップを連続的に操作してもよい。
【0113】
各前方運動のストローク、よこ糸差出部160の前方位置、及び軸線Y20に沿った後退位置は、電気駆動組立体173の適切な駆動を介してECU82によって適合できる。
【0114】
代替的に、把持部40のジョー42は、よこ糸34が後方に移動したり失われたりしないように、よこ糸差出部160が締め部164の後方移動を操作している間に、互いに向かって移動してよこ糸34を捕えてもよい。
【0115】
本発明のよこ糸差出部28の構造のため、よこ糸挿入軸線Y20と平行なよこ糸分配路130を有し、精密に制御された並進運動を有する締め部164を備えているので、このようなよこ糸分配路130の前アイレット126から常に突出している、ひ口に導入されるよこ糸の自由遠端部342を、レピア20のピックアップ位置にある把持部40による効率的なピックアップが保証できる。
【0116】
よこ糸が切断され、対応するよこ糸差出部160がその後退位置に戻されると、レピア20がひ口から引き出され、リード23が織布22をおさ打ちして、新たなよこ糸挿入サイクルが始まる前に、よこ糸が切断される。
【0117】
本発明は、以下を含む多くの利点を有する。
・技術的な織機2に異なった種類のよこ糸材料の提供を可能にする。
・よこ糸選択装置28やよこ糸挿入機構200によってよこ糸材がねじれないことを保証する。
・よこ糸選択装置28の構造により、よこ糸材料がレピアジョー42に直接送られることが保証され、糸材を曲げる必要がない。
・本発明は、よこ糸34を把持するためのよこ糸の相当長さを、剛性の材料の滑らかさに関係なく、レピアヘッド202に提供可能である。
・よこ糸材がテープのような長方形の断面を有する場合には、実質的に平坦な平面に沿って締められてひ口に挿入される。
・本発明は、また、いかなる種類のよこ糸材であっても、その剛性がどのようなものであっても、レピアヘッド202内での正しい位置を保証する。
・よこ糸選択装置28の構造のため、各締め部164は、選択された分配路内にない限り、かつ、その前方位置に押し込まれていない限り、閉じたままであるため、よこ糸が長期間使用されていなくても、よこ糸の送り出しが保証される。
・本発明はまた、バスケット150の使用により、前方アイレット126によって形成された前方案内手段に関して把持部ヘッド202の正しい位置決めを保証する。
・本発明は、自由遠端部342のジョー42を閉じることによって材料が失われないので、最適な量のよこ糸材料の使用を可能にする。これは、既存の解決策と比較して、いくつかの糸材料を節約可能である。
・本発明はまた、把持部40がバスケット150内にあり、可動キャリッジ102が移動する場合、この構成では、各よこ糸34の自由遠端部342がキャリッジ102から比較的小さな距離d’で突出する限り、よこ糸の遠端部342の伸縮を避けられる。
・本発明はまた、必要に応じて、締め部164によって制動できることと、クランプでよこ糸を保持できることで、挿入中のよこ糸の送り出しの最適化を可能にする。
・また、本発明によれば、ピック時のよこ糸の切断管理も可能となる。
・さらに、本発明のよこ糸選択装置28は、迅速に動作し、主に織機2の隠し時間に作業してもよい。
・本発明のよこ糸選択装置は、他の公知のシステムに比べてコンパクトである。
【0118】
本発明の非図示の代替実施形態では、よこ糸挿入機構200は、レピアとは異なるよこ糸差出部を使用してもよい。
【0119】
本発明の代替的な実施形態によれば、ジャカード機の代わりに、ドビー、カム機、又はたて糸の垂直位置を制御するヘドルを移動させるための電気アクチュエータのような別のタイプのシェディング機を使用してもよい。
【0120】
本発明の別の代替実施形態によれば、よこ糸分配路130の幾何学的配置は、図示されたものとは異なってもよい。軸線Z28は、斜め又は水平であってもよい。
【0121】
よこ糸選択装置28は、図示のように織機10の右側に設けられていてもよいし、反対側に設けられていてもよい。
【0122】
本発明の別の非図示の実施形態によれば、2つのよこ糸差出部160は、2つのよこ糸の遠端部342が平行に重なった2つのレピアの把持部40によって引っ掛かれるように、それぞれの締め部164をそれぞれの送り出し位置に持ってくるために平行に移動するようにしてもよい。2つのレピアが並走して移動する解決手段もまた、本発明に適合する。
【0123】
駆動の解決手段を変更してもよい。モータは、電気式、空気圧式、又は油圧式のいずれであってもよい。特に、切断工具210は、クランク機構を有する電動モータによって駆動できるので、可動の刃の軌道を変更してもよく、切断ユニットの刃は、刃に沿って異なる場所でよこ糸を切断可能なので、刃が正確な場所で摩耗しない。これにより、切断具210の寿命が延びる。1つの(分配)路130に1つの締め部の駆動部183を当てる解決手段は、本発明に適合するが、全ての分配路に1つの駆動部とする解決手段よりも経済的ではない。
【0124】
特に、第1のリニア空気圧駆動装置224は、切断ユニット220を水平軸X220に沿って移動させるためのサーボ駆動装置に置換可能である。この場合、よこ糸34及び軸線Y20に対する下刃214及び上刃212の位置は正確に制御され、それによって、ECU82によって、よこ糸34の切断点の位置を、よこ糸の特性、糸数などの関数として調整可能である。有利には、サーボ駆動による切断ユニット220の位置調整において、よこ糸に対する確率的な微小変動を利用してもよい。これにより、連続した切断操作に使用される下刃214及び上刃212の接触面を変化させてもよい。したがって、下刃214及び上刃212の寿命を向上可能である。
【0125】
データ交換は、ECU82又は織機2の別の制御装置を介して操作してもよく、独立した制御部を介してよこ糸選択装置28を制御してもよい。ECUは、制御キャビネット8の外側に配置してもよいし、異なるキャビネットに配置された複数のECUに分割して配置してもよい。
【0126】
本発明のプロセスの各ステップは、プロセスの全体的な速度を向上させるために、重ね合わせ可能である。
【0127】
この工程は、特許文献1(EP-A-3121317)で考慮されるように、織布22の全幅よりも小さい所定の長さのよこ糸を挿入するように特に適合される。しかしながら、全幅のよこ糸は本発明に適合する。
【0128】
本発明のよこ糸選択装置28は、上述したものとは別の種類の糸や他の織技術に使用可能である。例えば、同様のよこ糸選択装置は、カーペット織機のレピアに交互に異なる種類のよこ糸を提示するために使用可能である。
【0129】
よこ糸の遠端部342は、よこ糸選択装置28を通過する際に、よこ糸が硬くなるように、その主軸の周りに曲げてもよい。例えば、締め部160は、丸みを帯びた形状を有してもよい。これは、自重に服従する平坦なよこ糸端部のように下向きに曲がる傾向がない半管状のよこ糸端部を変形させ、これにより、よこ糸の遠端部342は、よこ糸選択装置28を通過する際によこ糸がより硬くなるようにできる。
【0130】
アイレット126及び締め部164によって作られる前方案内手段は、よこ糸の遠端部342が長いカネル(分配路)内で案内される条件では、組立体としてもよいだろう。
【0131】
前方案内手段126は、可動キャリッジ102の前側で、レピア20の軌跡上に、レピア20が前方ブラケット116を小刻みに押せるように、弾性体に取り付けられていてもよい。
【0132】
上述した実施態様及び変形態様は、添付の特許請求の範囲の枠内で、本発明の新規な実
施形態を生み出すために組み合わせが可能である。
本願は例えば次の観点を提供する。

[観点1]
ひ口を作るためにたて糸を動かすへドル(17)と、
前記へドルを動かすひ口形成機構(6)と、
よこ糸を織機(2)に提供するよこ糸ボビン(26)と、
よこ糸を、ピックアップ位置からよこ糸挿入軸線(Y20)に沿って、かつ前方の方向(A10)に、前記ひ口に引き込むよこ糸挿入機構(200)であって、前記ピックアップ位置にて開放可能な把持部(40)を備える、よこ糸挿入機構(200)と、
複数の選択可能な分配路(130)を前記よこ糸挿入軸線(Y20)に平行に画定するよこ糸選択装置(28)であって、各選択可能な分配路が、よこ糸を前記把持部に向かって案内する前方案内部材(126)と、締め部(164)とを備える、よこ糸選択装置(28)と、
を備える織機(2)において、たて糸(18)と、織り込みのよこ糸(34)とで生地(22)を織る方法であって、この方法が、少なくとも
a)前記把持部を開くステップと、
b)選択された分配路(130)を前記よこ糸挿入軸線(Y120)上に整列することで、前記把持部(40)が選択されたよこ糸(34)に対して整列されるように、前記よこ糸選択装置の可動なキャリッジ(102)を位置決めするステップと、
c)前記選択された分配路(130)の前記締め部(164)で、前記選択された分配路(130)にある前記よこ糸を締める(A11)ステップと、
d)前記把持部が開いている間に、前記締め部を前記選択された分配路に沿って動かすことで、前記よこ糸(34)を前記選択された分配路(130)に沿って前記把持部(40)に向かって動かす(A6)ステップと、
e)前記把持部で、前記選択されたよこ糸を前記ピックアップ位置にて捕えるステップと、
f)前記よこ糸挿入機構で、前記よこ糸挿入軸線に沿ってかつ前記前方の方向に、前記よこ糸を前記ピックアップ位置から前記ひ口内に引き入れる(A10)ステップと、
g)前記よこ糸を切断するステップと
を備える、たて糸(18)と、織り込みのよこ糸(23)とで生地(22)を織る方法。
[観点2]
ステップf)の中で、前記よこ糸(34)の締めが解放される(A9)、観点1に記載の方法。
[観点3]
ステップg)の後に、
h)後方への動きの開始前に、前記選択された分配路(130)にある前記よこ糸(34)を、
前記よこ糸挿入軸線に沿って、前記把持部(40)から離れる方向に、
好ましくは、前記よこ糸が前記前方案内部材(126)から前記把持部(40)に向かって前記よこ糸挿入軸線(Y20)に沿って突出している距離(d)より短いストローク(S)で、
後方に動かす(A6′)ステップを備える、観点1又は2に記載の方法。
[観点4]
ステップh)の中で、前記前方案内部(126)によって前記よこ糸(34)が案内される、観点3に記載の方法。
[観点5]
ステップh)の中で、前記選択された分配路(130)の前記締め部(164)によって、前記よこ糸(34)が締め付けられる、観点3又は4のいずれか一つに記載の方法。
[観点6]
ステップf)の中で、前記選択された分配路(130)の前記よこ糸(34)が制動される、観点1から5のいずれか一つに記載の方法。
[観点7]
ステップg)の中で、前記選択された分配路(130)の前記よこ糸(34)が、予め設定された長さで切断され、そして前記方法が、
ステップg)の後に
i)前記前方の方向において、予め設定された位置にある前記切断されたよこ糸を前記ひ口に引くステップを備える、
観点1から6のいずれか一つに記載の方法。
[観点8]
ステップb)の前に、
j)前記よこ糸挿入軸線(Y20)の垂直位置及び前記選択された分配路(130)の垂直位置を調節するために、前記よこ糸挿入機構(200)及び前記よこ糸選択装置(28)を、垂直に持ち上げる(A200、A28)か、あるいは前記よこ糸挿入機構(200)及び前記よこ糸選択装置(28)をある垂直位置に保持するステップを備える、観点1から7のいずれか一つに記載の方法。
[観点9]
ステップe)の後かつステップg)の前に、
j)前記選択された分配路(130)にある前記締め部(164)を、前記よこ糸挿入軸線(Y20)に沿って、前記把持部(40)から離れる方向において、後方に動かす(A6′)ステップを備える、観点1から8のいずれか一つに記載の方法。
[観点10]
ステップd)の後かつステップe)の前に、
d1)前記締め部(164)を開くステップと、
d2)前記締め部(164)を前記選択された分配路(130)に沿って後方に動かすステップと、
d3)前記よこ糸(34)を前記締め部(164)で締めるステップと、
d4)前記把持部が前記ピックアップ位置で開かれている間に、前記選択された分配路に沿って前記締め部(164)を動かすことによって、ステップd)よりも深く前記よこ糸(34)を前記選択された分配路(130)に沿って前記把持部(40)内に動かすステップと
を備える、観点1から9のいずれか一つに記載の方法。
[観点11]
よこ糸(34)をピックアップ位置から織機(2)のひ口に引き入れるために、よこ糸挿入軸線(Y20)に沿って前方の方向(A10)に、よこ糸(34)をよこ糸挿入機構(200)に運ぶ、よこ糸選択装置(28)であって、前記よこ糸挿入機構は、前記ピックアップ位置にて開放可能でありかつ前記よこ糸挿入軸線に沿って可動な把持部(40)を備える、前記よこ糸選択装置(28)において、
前記よこ糸選択装置は可動なキャリッジ(102)を備え、
前記可動なキャリッジは、前記よこ糸挿入軸線(Y20)に沿って離されている2つの平面であって、前記2つの平面を前方平面(P116)と後方平面(P118)とする、前記2つの平面(P116、P118)を画定し、
前方案内部材(126)は前記前方平面に配置されていて、
後方案内部材(128)は前記後方平面に配置されていて、
前記可動なキャリッジ(102)は、前記よこ糸挿入軸線に平行な複数の分配路(130)を画定し、各分配路は前記前方案内部材と前記後方案内部材との間に延在していて、
前記キャリッジは選択された分配路(130)を前記よこ糸挿入軸線(Y20)上に整列させるものであり、
各分配路は、よこ糸(34)を前記分配路内に保持する締め部(164)であって、前記分配路に沿って前方の方向(A6)及び後方の方向(A6’)に、前記よこ糸が延在してピックアップ位置に入る供給位置と前記よこ糸が前記ピックアップ位置から前記よこ糸挿入軸線に沿って離れている後退位置との間で可動な前記締め部(164)を備え、
駆動組立体(173)は、前記選択された分配路(130)の前記締め部(164)を前記よこ糸挿入軸線(Y20)に沿って動かす、よこ糸選択装置(28)。
[観点12]
前記可動なキャリッジ(102)は、前記よこ糸挿入軸線(Y20)に垂直な軸線(Z28)に沿って可動である、観点11に記載のよこ糸選択装置。
[観点13]
前記締め部(164)は、前記供給位置と前記後退位置との間で、12mm以下、好ましくは10mm以下、さらに好ましくは5mm以下のストローク(S)を持つ、観点11又は12に記載のよこ糸選択装置。
[観点14]
前記よこ糸挿入軸線(Y20)に整列されている、前記分配路(130)の前記締め部(164)に、前記締め部(164)を開く力を選択的に加える、単一の締め部の駆動部(183)を備える、観点11から13のいずれか一つに記載のよこ糸選択装置。
[観点15]
各分配路(130)が、
前記締め部(164)を支持するよこ糸差出部(160)と、
前記よこ糸差出部を前記締め部の前記後退位置に押し戻す(F6′)弾性的復帰手段(176)と、を備え、
前記よこ糸選択装置(28)は、前記よこ糸挿入軸線に整列されている任意の分配路(130)の前記よこ糸差出部(160)を前記よこ糸挿入軸線(Y20)に沿って動かす、単一の駆動組立体(173)を備える、
観点11から14のいずれか一つに記載のよこ糸選択装置。
[観点16]
前記把持部(40)を案内するバスケット(150)を前記ピックアップ位置に備える、観点11から15のいずれか一つに記載のよこ糸選択装置。
[観点17]
前記可動なキャリッジ(102)を位置決めする第1駆動組立体(103)と、
前記締め部(164)が前記供給位置にあるときに、前記よこ糸挿入軸線に整列されている分配路(130)の前記締め部(164)を開く第2駆動組立体(183)と、
前記よこ糸挿入軸線(Y20)に沿って、前記よこ糸挿入軸線(Y20)に整列されている前記分配路(130)の前記締め部(164)を前記供給位置に向かって動かす第3駆動組立体(173)と
の3つの駆動組立体を備える、観点11から16のいずれか一つに記載のよこ糸選択装置。
[観点18]
ひ口を作るためにたて糸(18)を動かすへドル(17)と、
前記へドルを動かすひ口形成機構(6)と、
よこ糸(34)を織機(2)に提供するよこ糸ボビン(26)と、
よこ糸を、ピックアップ位置からよこ糸挿入方向(A10)に沿って、前記ひ口に引き込むよこ糸挿入機構(200)であって、前記ピックアップ位置にて開放可能な把持部(40)を備える、前記よこ糸挿入機構(200)と、
よこ糸選択装置(28)と
を備える織機(2)において、
前記よこ糸選択装置(28)が、観点11から17のいずれか一つに記載のよこ糸選択装置であることを特徴とする、
織機(2)。
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