IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日産自動車株式会社の特許一覧 ▶ ルノー エス.ア.エス.の特許一覧

<>
  • 特許-太陽電池制御方法及び太陽電池制御装置 図1
  • 特許-太陽電池制御方法及び太陽電池制御装置 図2
  • 特許-太陽電池制御方法及び太陽電池制御装置 図3
  • 特許-太陽電池制御方法及び太陽電池制御装置 図4
  • 特許-太陽電池制御方法及び太陽電池制御装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】太陽電池制御方法及び太陽電池制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/35 20060101AFI20241226BHJP
   H02S 50/00 20140101ALI20241226BHJP
【FI】
H02J7/35 B
H02S50/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021018868
(22)【出願日】2021-02-09
(65)【公開番号】P2022121893
(43)【公開日】2022-08-22
【審査請求日】2023-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】冨田 要介
(72)【発明者】
【氏名】図子 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】谷本 勉
(72)【発明者】
【氏名】竹本 圭佑
【審査官】新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-095849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/35
H02S 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池の出力電力を検出し、
検出した前記出力電力の減少率を算出し、
検出した前記出力電力が第1所定値より小さくなったか否かの判断と、算出した前記出力電力の減少率とに基づいて太陽電池システムの動作を停止させるか否かを判断し、
前記出力電力が前記第1所定値より小さくなったと判断した後、前記太陽電池システムの動作を停止させるまでの時間を前記減少率が大きいほど長くする
ことを特徴とする太陽電池制御方法。
【請求項2】
太陽電池の出力電力を検出し、
検出した前記出力電力の減少率を算出し、
検出した前記出力電力が第1所定値より小さくなったか否かの判断と、算出した前記出力電力の減少率とに基づいて太陽電池システムの動作を停止させるか否かを判断し、
前記減少率は、前記出力電力が低下し始めてから前記出力電力が前記第1所定値より小さくなったと判断するまでに算出された複数の減少率のうち、最も大きい値である
ことを特徴とする太陽電池制御方法。
【請求項3】
太陽電池の出力電力を検出し、
検出した前記出力電力の減少率を算出し、
検出した前記出力電力が第1所定値より小さくなったか否かの判断と、算出した前記出力電力の減少率とに基づいて太陽電池システムの動作を停止させるか否かを判断し、
前記出力電力が前記第1所定値より小さくなったと判断してから実際に前記太陽電池システムの動作を停止させるまでの時間を、前記太陽電池システムが停止した後再度起動可能になるまでの時間に前記減少率を乗算して算出する
ことを特徴とする太陽電池制御方法。
【請求項4】
太陽電池の出力電力を検出し、
検出した前記出力電力の減少率を算出し、
検出した前記出力電力が第1所定値より小さくなったか否かの判断と、算出した前記出力電力の減少率とに基づいて太陽電池システムの動作を停止させるか否かを判断し、
前記減少率が第2所定値より小さい、かつ、前記太陽電池システムが停止した後再度起動可能になるまでの時間に前記減少率を乗算した値が第3所定値以下である場合は、前記太陽電池システムが停止するまでの時間を0に設定する
ことを特徴とする太陽電池制御方法。
【請求項5】
前記太陽電池システムの動作を停止させるまでの時間のカウントが開始した後、前記太陽電池システムの動作を停止させるまでの時間が経過する前に前記出力電力が前記第1所定値以上になった場合、前記太陽電池システムの停止を禁止する
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の太陽電池制御方法。
【請求項6】
太陽電池の出力電力を検出するセンサと、
前記センサによって検出された前記出力電力の減少率を算出するコントローラとを備え、
前記コントローラは、
検出した前記出力電力が第1所定値より小さくなったか否かの判断と、算出した前記出力電力の減少率とに基づいて太陽電池システムの動作を停止させるか否かを判断し、
前記出力電力が前記第1所定値より小さくなったと判断した後、前記太陽電池システムの動作を停止させるまでの時間を前記減少率が大きいほど長くする
ことを特徴とする太陽電池制御装置。
【請求項7】
太陽電池の出力電力を検出するセンサと、
前記センサによって検出された前記出力電力の減少率を算出するコントローラとを備え、
前記コントローラは、
検出した前記出力電力が第1所定値より小さくなったか否かの判断と、算出した前記出力電力の減少率とに基づいて太陽電池システムの動作を停止させるか否かを判断し、
前記減少率は、前記出力電力が低下し始めてから前記出力電力が前記第1所定値より小さくなったと判断するまでに算出された複数の減少率のうち、最も大きい値である
ことを特徴とする太陽電池制御装置。
【請求項8】
太陽電池の出力電力を検出するセンサと、
前記センサによって検出された前記出力電力の減少率を算出するコントローラとを備え、
前記コントローラは、
検出した前記出力電力が第1所定値より小さくなったか否かの判断と、算出した前記出力電力の減少率とに基づいて太陽電池システムの動作を停止させるか否かを判断し、
前記出力電力が前記第1所定値より小さくなったと判断してから実際に前記太陽電池システムの動作を停止させるまでの時間を、前記太陽電池システムが停止した後再度起動可能になるまでの時間に前記減少率を乗算して算出する
ことを特徴とする太陽電池制御装置。
【請求項9】
太陽電池の出力電力を検出するセンサと、
前記センサによって検出された前記出力電力の減少率を算出するコントローラとを備え、
前記コントローラは、
検出した前記出力電力が第1所定値より小さくなったか否かの判断と、算出した前記出力電力の減少率とに基づいて太陽電池システムの動作を停止させるか否かを判断し、
前記減少率が第2所定値より小さい、かつ、前記太陽電池システムが停止した後再度起動可能になるまでの時間に前記減少率を乗算した値が第3所定値以下である場合は、前記太陽電池システムが停止するまでの時間を0に設定する
ことを特徴とする太陽電池制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池制御方法及び太陽電池制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、太陽電池システムの出力電力を制御する発明が知られている(特許文献1)。特許文献1に記載された発明は、太陽電池システムの出力電力が基準電力以下になった場合に時刻、天気などに基づいてバッテリの充電を停止せずに継続するか否かを判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5879226号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1に記載された発明では、太陽電池システムの動作を停止させるための条件として時刻、天候を考慮しているため、雲の流れがある場合など比較的短時間に日射量が変化する場合には太陽電池システムの動作を停止するのか否かを適切に判断することが困難になる。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、その目的は、太陽電池システムの起動と停止が繰り返されることを防止しつつ、太陽電池システムを適切に停止させることが可能な太陽電池制御方法及び太陽電池制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る太陽電池制御方法は、太陽電池の出力電力を検出し、検出した出力電力の減少率を算出し、検出した出力電力が第1所定値より小さくなったか否かの判断と、算出した出力電力の減少率とに基づいて太陽電池システムの動作を停止させるか否かを判断する。
本発明の一態様に係る太陽電池制御方法において、出力電力が第1所定値より小さくなったと判断した後、太陽電池システムの動作を停止させるまでの時間を前記減少率が大きいほど長くしてもよい。
或いは、減少率は、出力電力が低下し始めてから出力電力が第1所定値より小さくなったと判断するまでに算出された複数の減少率のうち、最も大きい値であってもよい。
或いは、出力電力が第1所定値より小さくなったと判断してから実際に太陽電池システムの動作を停止させるまでの時間を、太陽電池システムが停止した後再度起動可能になるまでの時間に減少率を乗算して算出してもよい。
或いは、減少率が第2所定値より小さい、かつ、太陽電池システムが停止した後再度起動可能になるまでの時間に減少率を乗算した値が第3所定値以下である場合は、太陽電池システムが停止するまでの時間を0に設定してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、太陽電池システムの起動と停止が繰り返されることを防止しつつ、太陽電池システムを適切に停止させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態に係る太陽電池制御装置1の概略構成図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る太陽電池制御装置1の動作例を説明するフローチャートである。
図3図3は、本発明の実施形態に係る太陽電池制御装置1の動作例を説明するフローチャートである。
図4図4は、減少率を説明するグラフである。
図5図5は、太陽電池システム10の出力電力を正規化した実験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
図1を参照して本実施形態に係る太陽電池制御装置1の構成例について説明する。太陽電池制御装置1は車両に搭載される。太陽電池制御装置1は太陽電池システム10と車両システム20から構成される。
【0011】
太陽電池システム10は、太陽電池モジュール11と、コンバータ12と、太陽電池コントローラ13とを含む。太陽電池モジュール11は一例として複数の太陽電池から構成される。コンバータ12は太陽電池モジュール11が発電した電力を昇圧し、バッテリ24、モータ23(インバータ)に電力を供給する。電圧センサ14は太陽電池モジュール11の出力電圧を測定する。電流センサ15及び電圧センサ16はコンバータ12の出力電流及び出力電圧を測定する。太陽電池コントローラ13は電圧センサ14、電流センサ15、及び電圧センサ16から取得した情報を用いてコンバータ12を制御する。また太陽電池コントローラ13は、コンバータ12の出力電流と出力電圧を乗算することにより、コンバータ12の出力電力を算出する。
【0012】
車両システム20は、車両コントローラ21と、12Vバッテリ22と、モータ23と、バッテリ24とを含む。車両コントローラ21及び太陽電池コントローラ13はCPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータである。なお車両コントローラ21はECU(Electronic Control Unit)と呼ばれる場合もある。車両コントローラ21はバッテリ24の監視、モータ23の制御などを行う。太陽電池コントローラ13、車両コントローラ21、及びコンバータ12には12Vバッテリ22から電力が供給される。
【0013】
次に図2~5を参照して太陽電池制御方法の一例を説明する。
【0014】
図2~3に示すフローチャートは太陽電池システム10が起動した後の処理を示し、より詳しくは太陽電池システム10の停止動作を説明するものである。ここで本実施形態における太陽電池システム10の起動方法について説明する。太陽電池システム10は電圧センサ14により測定される太陽電池モジュール11の電圧が基準値より大きくなった場合、太陽電池システム10は起動する。起動は自動的に行われてもよく、太陽電池コントローラ13が起動を行ってもよい。なお基準値とは種々の太陽電池システムごとに予め定められている固定値である。
【0015】
ステップS101において、太陽電池コントローラ13は太陽電池システム10の出力電力計測値を取得する。太陽電池システム10の出力電力計測値とは上述したコンバータ12の出力電力を計測した値である。出力電力計測値は所定のサイクルで取得される。最新の出力電力計測値を以下では「今回の出力電力計測値」と呼ぶ。最新の出力電力計測値に対して1サイクル前の取得された出力電力計測値を以下では「前回の出力電力計測値」と呼ぶ。なお取得された出力電力計測値は取得された日時と紐付けられて記憶装置(不図示)に格納される。
【0016】
処理はステップS103に進み、太陽電池コントローラ13は出力電力の減少率を算出する。減少率は式1で表される。
【0017】
[数1]
(前回の出力電力計測値-今回の出力電力計測値)×100/前回の出力計測値・・・(1)
【0018】
処理はステップS105に進み、太陽電池コントローラ13は停止時間がカウントされているか否かを判断する。停止時間とは太陽電池システム10を停止させるための時間であり、停止時間のカウントが開始された後所定時間経過すれば太陽電池システム10は停止する。停止時間がカウントされていない場合(ステップS105でYES)、処理はステップS107に進む。一方で停止時間がカウントされている場合(ステップS105でNO)、処理はステップS109に進む。つまり本実施形態において停止時間がカウントされている場合、減少率最大値を更新しない。
【0019】
ステップS107において、太陽電池コントローラ13は減少率の最大値を決定する。上述の式1で示される減少率は「今回の減少率」を意味する。減少率は出力電力計測値が取得されるたびに算出されるものであり、過去の減少率は記憶装置に格納される。ステップS107の処理を詳しく述べると、太陽電池コントローラ13は「今回の減少率」と「過去の減少率のうち最大のもの」とを比較し、より値の大きい方を減少率最大値とする。
日射量、雲の動き、ビル影の移動などに応じて減少率の大きさは変化しうる。適切に太陽電池システム10を停止させるためには太陽電池システム10の出力電力が太陽電池システム10の消費電力より小さくなったと判断するまでに算出された複数の減少率のうち、最も大きい値を用いることが好ましい。なお後述するステップS115の処理により減少率最大値はリセットされる場合がある。
【0020】
ステップS109において、太陽電池コントローラ13は今回の出力電力計測値が太陽電池システム10の消費電力以上か否かを判断する。今回の出力電力計測値が太陽電池システム10の消費電力以上である場合(ステップS109でYES)、処理はステップS111に進む。一方で今回の出力電力計測値が太陽電池システム10の消費電力より小さい場合(ステップS109でNO)、処理はステップS117に進む。
【0021】
ステップS111において、太陽電池コントローラ13は停止時間のカウントを停止する。また、太陽電池コントローラ13は停止時間カウンタをリセットする。ステップS109及びステップS111の処理は、出力電力が消費電力以上まで回復した場合停止時間のカウントを停止することを目的としている。
【0022】
処理はステップS113に進み、太陽電池コントローラ13は今回の減少率が1より小さいか判断する。今回の減少率が1より小さい場合、処理はステップS115に進む。一方で今回の減少率が1以上である場合、処理はステップS101に戻る。
【0023】
ステップS115において、太陽電池コントローラ13は減少率最大値をリセットする。
【0024】
ステップS117において、太陽電池コントローラ13は減少率最大値が1より小さい、かつ、減少率最大値×起動可能時間が200以下かを判断する。起動可能時間とは太陽電池システム10が停止後再度起動可能になるまでの時間をいう。起動可能時間とは種々の太陽電池システムごとに予め定められている固定値である。
【0025】
減少率最大値が1より小さい、における「1」とは影の種類が太陽起因(日照時間)か否かを判断するために用いる指標値である。出力電力は日射量に左右されるところ、この日射量は日照時間、雲、ビル影などによって低下する。減少率最大値が1より小さいとは日照時間の影響でゆっくり出力電力が低下することを意味する。減少率最大値×起動可能時間が200以下、における「200」とは出力電力の変化速度に対して太陽電池システム10の起動可能時間が十分に短いか否かを判断するために用いる指標値である。具体的に図4を参照して説明する。図4に示すグラフの縦軸は出力電力を示し、横軸は時間を示す。時刻T1から時刻T2に向かって出力電力が低下している。出力電力が低下する傾きは減少率に依存する。減少率が大きいほど低下速度は大きくなる。反対に減少率が小さいほど低下速度は小さくなる。時刻T1から時刻T2までの時間は、1/減少率で求まる。時刻T2から時刻T3に向かって出力電力が増加(回復)している。時刻T1から時刻T3までの時間は、1/減少率×2で求まる。本実施形態において時刻T1から時刻T3までの時間(1/減少率×2)は出力推定回復時間を示す。減少率最大値×起動可能時間が200以下とは、出力推定回復時間が起動可能時間より長いことを示す。すなわち、ステップS117でYESとは、今回の出力電力計測値が太陽電池システム10の消費電力より小さくなり、さらに出力回復の見込みも小さいことを示す。ステップS117の処理がYESの場合、処理はステップS129に進み太陽電池コントローラ13は太陽電池システム10を停止させる。ただし停止方法はこれに限定されず、太陽電池システム10は自動的に停止してもよい。ステップS117の処理がNOの場合、処理はステップS119に進む。
【0026】
ステップS119において、太陽電池コントローラ13は停止時間がカウントされているか否かを判断する。停止時間がカウントされていない場合(ステップS119でYES)、処理はステップS121に進む。一方で停止時間がカウントされている場合(ステップS119でNO)、処理はステップS125に進む。ステップS119の処理の目的は、停止時間をカウントし始めたらシステム停止時間を更新しないためである。
【0027】
ステップS121において、太陽電池コントローラ13は停止時間のカウントを開始する。
【0028】
処理はステップS123に進み、太陽電池コントローラ13は減少率最大値×起動可能時間が大きいほど、システム停止時間を長くする。つまりシステム停止時間は、減少率最大値が大きいほど長くなるように設定される。
【0029】
処理はステップS125において、太陽電池コントローラ13は停止時間のカウンタを増やす。
【0030】
ステップS127において、太陽電池コントローラ13は停止時間のカウンタ値がシステム停止時間より小さいか否かを判断する。停止時間のカウンタ値がシステム停止時間より小さい場合(ステップS127でYES)、処理はステップS101に戻る。停止時間のカウンタ値がシステム停止時間以上である場合(ステップS127でNO)、処理はステップS129に進み太陽電池コントローラ13は太陽電池システム10を停止させる。
【0031】
なおステップS117において説明した数値「1」について実験、シミュレーションを通じて求めることができる。発明者らは図5に示す実験結果に基づいて「1」という数値を導き出した。図5のグラフAは太陽起因(日照時間)による出力変化の一例を示す。グラフBは雲の移動による出力変化の一例を示す。グラフCは車両の走行に起因する出力変化の一例を示す。各グラフにおいて縦軸は正規化出力変化を示し、横軸は正規化時間を示す。
【0032】
(作用効果)
以上説明したように、本実施形態に係る太陽電池制御装置1によれば、以下の作用効果が得られる。
【0033】
太陽電池制御装置1は太陽電池の出力電力(コンバータ12の出力電力)を検出するセンサ(電流センサ15及び電圧センサ16)と、センサによって検出された出力電力の減少率を算出する太陽電池コントローラ13とを備える。太陽電池コントローラ13は、検出した出力電力が第1所定値より小さくなったか否かの判断(ステップS109の判断)と、算出した出力電力の減少率とに基づいて太陽電池システム10の動作を停止させるか否かを判断する(ステップS117の判断)。第1所定値とは太陽電池システム10の消費電力である。これにより太陽電池システム10の出力電力が太陽電池システム10の消費電力より小さくなったか否か、出力回復の見込みが小さいか否かを判断することが可能となる。これにより太陽電池システム10の起動と停止が頻繁に繰り返されることを防止しつつ、太陽電池システム10の出力電力の低下が継続する場合には適切に太陽電池システム10を停止させることができる。
【0034】
太陽電池コントローラ13は出力電力が第1所定値より小さくなったと判断した後、太陽電池システム10の動作を停止させるまでの時間(システム停止時間)を減少率が大きいほど長くする。減少率が大きいほど、つまり太陽電池システム10の出力電力の低下速度が速いほど、出力電力が頻繁に変動する。このため減少率が大きいほど太陽電池システム10の停止時間を長くすることにより、太陽電池システム10の起動と停止が頻繁に繰り返されることを防止しつつ、太陽電池システム10の出力電力の低下が継続する場合には適切に太陽電池システム10を停止させることができる。
【0035】
太陽電池コントローラ13は太陽電池システム10の動作を停止させるまでの時間を減少率に応じて段階的に切り替えてもよい。このように太陽電池システム10を停止させるまでの時間を段階的に切り替えることにより、簡易的な制御により太陽電池システム10の起動と停止が頻繁に繰り返されることを防止しつつ、太陽電池システム10の出力電力の低下が継続する場合には適切に太陽電池システム10を停止させることができる。
【0036】
本実施形態では太陽電池システム10の出力電力が太陽電池システム10の消費電力より小さくなった時に、太陽電池システム10の出力電力が低下したと判断する。これにより出力電力が消費電力以上である場合には太陽電池システム10の停止が防止され、発電機会を失うことを防止できる。
【0037】
減少率は、出力電力が低下し始めてから出力電力が第1所定値より小さくなったと判断するまでに算出された複数の減少率のうち、最も大きい値である。複数の減少率のうち、最大値を用いることにより太陽電池システム10の出力電力が低下中に減少率が変化した場合であっても太陽電池システム10の起動と停止が頻繁に繰り返されることを防止しつつ、太陽電池システム10の出力電力の低下が継続する場合には適切に太陽電池システム10を停止させることができる。
【0038】
太陽電池コントローラ13は太陽電池システム10の出力電力が第1所定値より小さくなったと判断してから実際に太陽電池システム10の動作を停止させるまでの時間を、太陽電池システム10が停止した後再度起動可能になるまでの時間に減少率を乗算して算出する。これにより簡易的な制御により太陽電池システム10の起動と停止が頻繁に繰り返されることを防止しつつ、太陽電池システム10の出力電力の低下が継続する場合には適切に太陽電池システム10を停止させることができる。
【0039】
太陽電池コントローラ13は減少率が第2所定値より小さい、かつ、太陽電池システム10が停止した後再度起動可能になるまでの時間に減少率を乗算した値が第3所定値以下である場合は、太陽電池システム10が停止するまでの時間を0に設定する。第2所定値とはステップS117で説明した「1」である。第3所定値とはステップS117で説明した「200」である。これにより簡易的な制御により太陽電池システム10の起動と停止が頻繁に繰り返されることを防止しつつ、太陽電池システム10の出力電力の低下が継続する場合には適切に太陽電池システム10を停止させることができる。
【0040】
太陽電池コントローラ13は太陽電池システム10の動作を停止させるまでの時間のカウントが開始した後、太陽電池システム10の動作を停止させるまでの時間が経過する前に出力電力が第1所定値以上になった場合、太陽電池システム10の停止を禁止する。これにより不要な停止が防止される。なお停止の禁止には、ステップS111で説明したように停止時間のカウントを停止すること、及び停止時間カウンタをリセットすることが含まれる。
【0041】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0042】
1 太陽電池制御装置
10 太陽電池システム
11 太陽電池モジュール
12 コンバータ
13 太陽電池コントローラ
14、16 電圧センサ
15 電流センサ
20 車両システム
21 車両コントローラ
22 12Vバッテリ
23 モータ
24 バッテリ
図1
図2
図3
図4
図5