(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】特に板状の、少なくとも2つの要素を接続するための接続システム、そのような接続システムを備える構成
(51)【国際特許分類】
F16B 5/02 20060101AFI20241226BHJP
F16B 37/04 20060101ALI20241226BHJP
F16B 43/00 20060101ALI20241226BHJP
F16B 41/00 20060101ALI20241226BHJP
F16B 37/00 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
F16B5/02 U
F16B37/04 X
F16B43/00 Z
F16B41/00 A
F16B37/00 D
(21)【出願番号】P 2021153582
(22)【出願日】2021-09-21
【審査請求日】2023-07-19
(31)【優先権主張番号】10 2020 124 448.7
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517273548
【氏名又は名称】イョット.シュマルツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】エルンスト ティーリケ
(72)【発明者】
【氏名】シュテッフェン ベック
(72)【発明者】
【氏名】デニス ケック
(72)【発明者】
【氏名】カイ クンツマン
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03785421(US,A)
【文献】特開平06-221316(JP,A)
【文献】実開平07-041043(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0266476(US,A1)
【文献】国際公開第2018/153927(WO,A1)
【文献】米国特許第02681679(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/02
F16B 37/04
F16B 43/00
F16B 41/00
F16B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの、特に板状の、要素を接続する接続システム(10)であって、ボルト(12)と、
ボルト(12)に対応するナット(14)であって、ねじ込み軸(15)に沿って延びてボルト(12)をねじ込むことができるねじ込み溝(17)を有するナット(14)と、
前記ナット(14)を収容するケージ(16)と、を備え、
前記ナット(14)がフット部(22)及び、前記ねじ込み軸方向に前記フット部(22)に連結するヘッド部(20)を有し、
前記フット部(22)は少なくとも部分的に、前記ねじ込み軸に直交(15)する方向に、前記ヘッド部(20)を超えて延び、
前記フット部(22)が上面(21)を持ち、前記上面(21)が、前記要素を接続するため前記要素の面に対して載置されるように構成されて
おり、
前記ケージ(16)が、ベース部(46)と前記ベース部(46)に隣接する横方向部(30)とを有し、前記ナット(14)用の収容空間(44)を画定しており、前記横方向部(30)は、少なくとも一部が前記収容空間(44)内に前記ナット(14)を押し込むことができる少なくとも1つの開口部(28)を有し、
前記ボルト(12)の通過のためのボルト開口部(48)が前記ベース部(46)に設けられており、
前記ケージ(16)及び前記ナット(14)は、前記ねじ込み溝(17)が前記ベース部(46)のボルト開口部(48)と整列するように、前記ナット(14)が前記横方向部(30)の開口部(28)を通してねじ込み軸(15)に垂直な方向に収容空間(44)内に押し込まれるように設計される、接続システム(10)。
【請求項2】
前記ナット(14)のフット部(22)とヘッド部(20)とが段差状に合流することを特徴とする請求項1に記載の接続システム(10)。
【請求項3】
前記ねじ込み溝(17)は、前記ヘッド部(20)を貫通しかつ前記フット部(22)を貫通し、前記ヘッド部(20)および前記フット部(22)を貫通する貫通開口の形状であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の接続システム(10)。
【請求項4】
前記上面(21)が平坦であり、平滑であることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の接続システム(10)。
【請求項5】
前記接続システム(10)は、前記ケージ(16)がカバー部(50)を有し、前記カバー部(50)は横方向部(30)に隣接し、かつベース部(46)から離間して配置されていることを特徴とする、請求項1から
請求項4のいずれか一項に記載の接続システム(10)。
【請求項6】
前記ボルト(12)の通過のためのボルト開口部(48)が
前記カバー部(50)に設けられていることを特徴とする、
請求項5に記載の接続システム(10)。
【請求項7】
前記ケージ(16)及び前記ナット(14)は、前記ねじ込み溝(17)が前記カバー部(50)のボルト開口部(48)と整列するように、前記ナット(14)が前記横方向部(30)の開口部(28)を通してねじ込み軸(15)に垂直な方向に収容空間(44)内に押し込まれるように設計される、
請求項6に記載の接続システム(10)。
【請求項8】
前記ナット(14)が収容空間(44)内に押し込まれると、前記ヘッド部(20)が前記収容空間(44)内に完全に収容され、前記フット部(22)が少なくとも一部は、前記横方向部(30)の開口部(28)を介して前記収容空間(44)から突出することを特徴とする、請求項1から
請求項7の何れか一項に記載の接続システム(10)。
【請求項9】
前記ケージ(16)の横方向部(30)は、収容空間(44)に対向する少なくとも1つの内面(45)を有し、前記内面(45)は、前記フット部(22)の側面(18)及び/又は前記ヘッド部(20)の側面(19)に対する接触面を設け、前記ナット(14)が前記収容空間(44)内に押し込まれると、前記ナット(14)が前記ねじ込み軸(15)を中心として回転しないように固定されることを特徴とする、請求項1から
請求項8の何れか一項に記載の接続システム(10)。
【請求項10】
前記ケージ(16)が筒状、特に円筒状の外形を有することを特徴とする、請求項1から
請求項8の何れか一項に記載の接続システム(10)。
【請求項11】
前記ベース部(46)及び/又はカバー部(50)は、平坦に延在するとともに、曲がった、特に円形の外周を有することを特徴とする、
請求項1から請求項10の何れか一項に記載の接続システム(10)。
【請求項12】
前記ねじ込み軸(15)の突出方向に沿って見て、前記ベース部(46)がカバー部(50)よりも大きく、前記ベース部(46)が開口部(28)の領域で前記カバー部(50)を超えて突出していることを特徴とする、
請求項1から請求項11の何れか一項に記載の接続システム(10)。
【請求項13】
少なくとも2つの突起(32)が前記ケージ(16)上に設けられ、前記突起(32)は前記ケージ(16)の横方向部(30)および/またはカバー部(50)に隣接し、前記ねじ込み軸(15)から離れて延在し、前記ねじ込み軸(15)に対して互いに回転対称または対向して配置されることを特徴とする、
請求項1から請求項12の何れか一項に記載の接続システム(10)。
【請求項14】
少なくとも1つの弾性要素(47)が前記ベース部(46)上に配置され、接続システム(10)の組み立て状態で、前記少なくとも1つの弾性要素(47)がナット(14)、特にナットのフット部(22)を押して前記ベース部(46)から離れるようにすることを特徴とする、請求項1から
請求項13のいずれか一項に記載の接続システム(10)。
【請求項15】
請求項1から
請求項14のいずれか一項に記載の接続システム(10)と、特には板状の、第1の要素(34)と、特には板状の、第2の要素(36)とを備える構成(11)であって、前記第1の要素(34)および/または前記第2の要素(36)は、少なくとも1つの孔(38)を有し、前記孔(38)は、前記ナット(14)および/または前記ケージ(16)のベース部(46)に対応する形状を有し、前記ケージ(16)は収容された前記ナット(14)とともに、前記孔(38)に導入されることができる、構成(11)。
【請求項16】
前記第1の要素(34)および/または前記第2の要素(36)が、2つの長辺(42)を有する第1の長穴(40)を有し、前記長辺(42)間の距離が前記ケージ(16)のベース部(46)に対応し、前記ケージ(16)が、収容された前記ナット(14)と共に前記第1の長穴(40)内に導入され、前記接続システム(10)が前記第1の長穴(40)に沿って移動することができることを特徴とする、
請求項15に記載の構成(11)。
【請求項17】
前記第1の要素(34)および/または前記第2の要素(36)が、2つの長辺(54)を有する第2の長穴(52)を有し、前記第2の長穴(52)が、少なくとも1つの位置(56)において、前記ケージ(16)のベース部(46)に対応する形状を有し、前記少なくとも1つの位置(56)における2つの長辺(54)間の距離が、第2の長穴(52)の別の位置における2つの長辺(54)間の距離よりも大きく、前記ケージ(16)を前記ねじ込み軸(15)の周りに90°回転させることによって、前記第2の長穴(52)に沿った前記接続システム(10)の移動を阻止することができることを特徴とする、
請求項15または請求項16に記載の構成(11)。
【請求項18】
前記接続システム(10)、前記第1の要素(34)及び前記第2の要素(36)は、前記第1及び第2の要素(34、36)が前記ケージ(16)と前記ナット(14)との間にクランプできるように位置決めできることを特徴とする、
請求項15から請求項17のいずれか一項に記載の構成(11)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の特徴を有する、少なくとも2つの、特に板状の構成要素を接続するための接続システム、および請求項15の前提部に記載の特徴を有する構成に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の接続および締結システムが知られている。ボルトと関連するナットとを備えるねじ式接続部を、該接続部が2つの要素を相互接続し、この目的のために片側からのみアクセスしなければならないように設計することが望ましい場合がある。これは、利用可能な十分なスペースがないので、ナットに工具を適用することが困難な場合に、特に望ましい。このような接続システムは、例えば、金属プロファイルを組み立てる場合やガントリーをセットアップする場合に使用される。
【0003】
DE 10 2017 116 858 A1は、例えば、取り付けレールに締結するための締結要素を記載しており、この締結要素は、ハンマーヘッドボルトが軸の周りで枢動できるようにU字型クリップに収容されるハンマーヘッドボルトを有する。
【0004】
DE 10 2017 116 856 A1は、締結要素としてハンマーヘッドボルトを有する長方形の管状取り付けレールを提案している。取り付けレールは、長手方向に延びる窪みを有し、締結要素のディスク形状の突き当て部が嵌るように設計されており、この突き当て部は締結要素のボルトのシャンク上に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】DE 10 2017 116 858 A1
【文献】DE 10 2017 116 856 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、2つの、特に板状の要素または部品を接続するためのものであり、一方の側面から締結することができる接続システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する接続システムによって達成される。接続システムは、ボルトと、ボルトに対応するナットとを備えている。ナットは、ねじ込み軸に沿って延在するねじ込み溝を有する。このねじ込み溝にボルトをねじ込むことができる。ねじ込み溝は、少なくとも一部に雌ねじを有することが好ましい。このようにして、例えば、普通のボルトをねじ込むことができる。
【0008】
接続システムは、ナットを受け入れるケージをさらに備える。このケージは、ボルトをねじ込むときにナットを保持するために使用される。特に、レンチを使用してナットをカウンターホールドする必要はない。
【0009】
ナットは、特定の形状を有し、フット部と、ねじ込み軸に沿って前記フット部に隣接するヘッド部とを有する。フット部は、少なくとも部分的に、ねじ込み軸に垂直な方向にヘッド部を超えて突出する。言い換えれば、フット部は、ねじ込み軸線に沿って見て、ヘッド部よりも大きな断面積を有する。この点において、ナットはハンマーヘッドナットとして設計することができ、フット部はハンマーの様式でヘッド部を超えて突出する。
【0010】
上述した設計により、ナットのヘッド部が、互いに締結される要素又は構成要素を貫通して延びるように、また、フット部が要素又は構成要素の一つに接することが可能となる。ボルトをねじ込むことにより、次いで、締結される要素/構成要素が互いに押し付けられ、横方向に作用する力がナットのヘッド部によって吸収される。ボルトをねじ込むとナットがケージ内に収まるため、特にレンチを使用してナットをカウンタホールドすることなく、片側からの容易な操作が可能である。
【0011】
ナットのフット部およびヘッド部は、好ましくは、階段状に互いに合体する。特に、フット部とヘッド部は一緒になって段差を形成する。この点において、内側縁部は、フット部とヘッド部との間に延在することができ、その縁部において、ヘッド部の側方向表面は、実質的に直角でフット部の表面と一致する。
【0012】
ねじ込み溝は、好ましくは、ヘッド部を貫通し、フット部を貫通して延在する。ねじ込み溝は、特に、ヘッド部及びフット部を貫通する貫通開口であり得る。換言すれば、ねじ込み溝は、ボルトをナットに、特にナットのヘッド部にねじ込むことができるように、少なくともナットのヘッド部を通して特に延在する。貫通開口により、異なる長さのボルトを使用することができる。
【0013】
ヘッド部及び/又はフット部が、特にねじ込み軸に対して実質的に垂直に延びる上側を有することが好都合であり、上側は平坦であり、特に平滑である。本出願の意味の範囲内において、平滑とは、特に上側に波形がないことを意味する。ねじ込み軸に横方向に作用する力は、ナット(特にヘッド部)によって大きく吸収されるので、この設計方法は、記載される接続システムに使用することができる。
【0014】
特に、ヘッド部及び/又はフット部の上側は、ねじ込み軸に対して垂直に配置される。特に、フット部の上側は、接続される要素の表面に対して載置され、前記要素を互いに押し付けるように設計される。
【0015】
前記ケージは、ベース部と、前記ベース部に隣接する横方向部とを有することが好ましい。ケージは、ナットの収容スペースを画定すことができる。次いで、横方向部は、ナットを収容空間に少なくとも部分的に押し込むことができる少なくとも1つの開口部を有することができる。ケージのベース部は、ナットが滑り出るのを防止するために、平坦であってもよく、エレベーション及び/又は窪みを有して、及び/又は例えば波形であってもよい。
【0016】
前記ケージがカバー部を有し、前記カバー部が前記横方向部に隣接し、前記ベース部から離れて配置されていることが好都合である。ここで、また、ベース部と同様に、ケージのカバー部が平坦であり、ナットが滑り出るのを防止するために、エレベーション及び/又は窪みを有し、及び/又は例えば波形であることも考えられる。ナットは、カバー部によってケージ内で大きく安定化され、ボルトを簡便な方法でねじ止めできるようになっている。
【0017】
ボルトの通路用のボルト開口が、ベース部及び/又はカバー部に設けられることが好ましい。ベース部におけるボルト開口及びカバー部におけるボルト開口は、同一の形状及び/又はサイズを有することができる。また、ボルト開口が必ずしもボルトの案内機能を提供しなくてもよいので、ベース部におけるボルト開口とカバー部におけるボルト開口とが異なる形状および/またはサイズを有するようにすることも考えられる。
【0018】
ねじ込み軸に垂直な方向に、ナットが横方向部の開口部を通って収容空間に押し込まれ、ねじ込み溝がベース部のボルト開口及び/又はカバー部のボルト開口と位置合わせされるように、ケージ及びナットが設計されることが好都合である。接続のために、次いで、ボルトをカバー部のボルト開口部を通してナットのねじ込み溝にねじ込むことができる。ボルトまたはナットは、意図しないケージからの脱落を防止できるように、大きく固定されている。
【0019】
好ましくは、ナットが収容スペース内に押し込まれると、ヘッド部が収容スペース内に完全に受け入れられる。この場合、フット部は、少なくとも部分的には、横方向部における開口部を通して収容空間を越えて突出することができる。
【0020】
ケージの横方向部が、収容空間に少なくとも1つの内面、特に2つの対向する内面を有することが好都合であり得る。内面は、ナットが収容空間内に押し込まれると、ナットがねじ込み軸を中心として回転しないように固定されるために、フット部の側面および/またはヘッド部の側面に対する接触面を提供することができる。特に、接触面は、ナットが滑り出るのを防止するために、平坦であってもよく、段差及び/又は窪みを有して、及び/又は例えば波形であってもよい。
【0021】
特に、ナットは、2つの対向する平坦な表面を有する。特に、ヘッド部の側面およびフット部の側面は、1つの平面内に存在する。この点において、ナットは、好ましくは、2つの対向する側面上で平坦になるように設計される(平坦面の各々は、次いで、フット部の上記した側面のうちの1つ及びヘッド部の隣接する側面を含む)。
【0022】
ナットのフット部は、特に、2つの対向する端部において、ヘッド部を越えて突出するが、2つの突出する領域の間のヘッド部と面一に延びる(平坦な表面がナットの側面に形成されるように)。一般的に言えば、ねじ込み軸の突出方向に見たヘッド部とフット部は、同じ幅であることが好ましいが、フット部はヘッド部よりも長く、したがってヘッド部よりも突出する。
【0023】
ケージは、筒形、特に円筒形の外形を有することが好ましい。その結果、ケージは、接続される要素の開口部に押し込まれるか、または、開口部を通して挿入され得る。
【0024】
ベース部及び/又はカバー部は、例えば、平坦に延び、さらに曲がり、特に円形の外周を有することができる。
【0025】
別の設計では、ベース部を、ねじ込み軸の突出方向に沿って見て、カバー部よりも大きくすることが考えられる。特に、ねじ込み軸の突出方向に沿って見ると、ベース部は、開口の領域でカバー部を越えて突出することができる。つまり、接続システムの平面図では、カバー部と接続システムのベース部が部分的には見える。接続システムの下方から見た図では、ベース部のみが見える。これにより、ケージは、そのベース部によって、接続される要素の対応する穴または長穴を通して挿入することが可能になり、それにもかかわらず、ケージは、カバー部のより小さな直径のために、長穴内で回転および/またはスライドすることが可能になる。
【0026】
少なくとも2つの突起が、例えば、突出翼又はタブの方法でケージ上に設けられることが好ましい。突起は、特にケージの横方向部上及び/又はケージのカバー部上に配置され、一緒にねじ止めされた状態で、特にねじ込み軸から離れて延び、特にねじ込み軸に関して回転対称及び/又は互いに反対に配置される。好ましくは、2つの突起が設けられ、これらの突起は、ケージにおいて対向位置に配置される。これにより、突起、したがって、ケージは、2本の指を使用して片手で操作することができる。より好ましくは、3つの突起をケージ上に配置して、3本の指を用いてケージを片手で操作できるようにすることができる。3 本指グリップは特に安定しており、快適に操作できる。特に、突起間の距離は同じにすることができる。
【0027】
少なくとも1つの弾性要素が、好ましくは、ベース部に設けられる。弾性要素は、接続システムが組み立てられた状態でベース部からナット、特にフット部を押して離すことができる。言い換えれば、弾性要素は、ナットをベース部から離れてボルトに向かって、又は任意に存在するカバー部に向かって押圧する。このようにして、組み立てられた状態では、ナットは、特にねじ込み軸に沿って、ボルトヘッド部に対して予圧される。弾性要素は、ケージの収容スペース内に突出するか、または収容スペースまたは横方向部から離れて突出するように設計することができる。
【0028】
弾性要素は、ベース部及び/又は横方向部から、すなわちねじ込み軸から半径方向に離れるように、翼状の態様で半径方向外方に延びることができる。しかし、弾性要素が半径方向内側に延びる、すなわちねじ込み軸に向かって半径方向に延びることも考えられる。
【0029】
2つの弾性要素が特に有利に設けられ、これらの要素は、特にベース部における対向側に配置される。
【0030】
達成されるべき目的は、更なる独立クレームの特徴を有する本発明による構成によって達成される。この点において、構成はキットを表し、上述した特徴を有する接続システム、第1の、特に板状の、要素または構成要素、および第2の、特に板状の、要素または構成要素を備え、第1の要素および/または第2の要素の各々が少なくとも1つの孔を有する。孔は、ナット及び/又はケージのベース部に対応する形状を有し、収容したナットと共にケージを孔に導入することができるようになっている。
【0031】
別の設計では、第1の要素及び/又は第2の要素は、2つの長辺を有する第1の長穴を有する。長辺間の距離は、ケージが、収容したナットと共に、長穴に導入され、接続システムが長穴に沿って移動できるように、ケージのベース部に対応させることができる。接続システムを、ねじ込み軸を中心とする接続システムの回転とは無関係に、第1の長穴に沿って移動させることができる。
【0032】
第1の要素及び/又は第2の要素は、有利には、2つの長辺を有する第2の長穴を有し、第2の長穴は、少なくとも1つの位置でケージのベース部に対応する形状を有する。この位置で、2つの長辺の間の距離は、第2の長穴の別の位置での距離よりも大きくすることができ、その結果、特に、ねじ込み軸を中心にしてケージを90°回転させることによって、長穴に沿った接続システムの動きを阻止することができる。接続システムは、第2の長穴に導入し、これらの位置でのみ再度引き出すことができる。
【0033】
接続システム及び2つの要素は、第1及び第2の要素をナットとケージの間に配置することができ、ケージがナットと一緒になって2つの要素を取り囲むように、有利に設計される。2つの要素は、例えば、組み立て補助具として、ケージとナットによって一緒に保持されるか、または一緒に押圧されることができる。
【0034】
本発明の更なる特徴、詳細及び利点は、図面を参照しながら、請求項の用語及び以下の実施例の説明に見出すことができる:
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図2】
図1に係る接続システムの組立状態の斜視図である。
【
図3】
図1に係る接続システムを介した、2つの要素が接続された状態の断面図である。
【
図4】
図1による接続システムを介して、2つの要素が接続された状態で、
図3に対して直交する方向の断面図である。
【
図6】接続システムの別の実施形態を示す図である。
【
図8】接続システムのさらなる実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の説明及び図において、対応する構成要素及び要素は、同一の参照符号を有する。分かりやすくするために、すべての図にはすべての参照符号が示されているわけではない。
【0037】
図1は、本発明の接続システム10を分解した状態の斜視図である。接続システム10は、ボルト12及びナット14を備える。ボルト12は、概略的にのみ示され、雄ねじは示されていない。ナット14は、ねじ込み溝17を有し、このねじ込み溝は、本例では貫通開口の形状であり、ねじ込み軸15に沿って延在する。ねじ込み軸15は、
図1に破線で示されている。ねじ込み溝17は、ボルト12をナット14のねじ込み溝17にねじ込むことができるように、ボルト12の雄ねじ(同様に図示せず)に対応する雌ねじ(図示せず)を有する。
【0038】
ナット14は、ねじ込み軸15に沿ってフット部22とフット部22に隣接するヘッド部20とを有する。ナット14は、本事例では一体に形成されている。しかし、複数の要素からなるようにナット14を設計することも考えられる。例えば、ナット14のヘッド部20を一体に形成することができ、ナット14のフット部22を一体に形成することができる。
【0039】
本事例では、フット部22は、階段状にヘッド部20に合流する。フット部22は、ヘッド部20またはフット部22の2つの対向する側でヘッド部を越えて突出しており、これにより、これらの対向する側のそれぞれに段差形状が形成される。
【0040】
ヘッド部20は側面19を有し、フット部22は側面18を有する。本事例では、これらの2つの表面は、共通の平坦な側面の形状である。
【0041】
ヘッド部20は、ねじ込み軸15に直交して配置され本事例では平坦とされた上側面21を有する。また、フット部22は、ねじ込み軸15に対して垂直に、すなわちヘッド部20の上側面21に対して平行に配置された上面21を有する。フット部の上面21も平坦である。特に、上面21は、横方向の力(締結される要素の表面に沿って作用する)がヘッド部20によって吸収されるので、波形を有さない。
【0042】
ヘッド部20は、2つの対向する側面に略丸い外形を有し、その側面にはフット部22とヘッド部20とが段差形状を形成している。
【0043】
フット部22およびヘッド部20は、ねじ込み軸15の突出方向に沿って見て、各々が幅および長さを有している。フット部22の幅は、ナット14が全体的にほぼ平坦な側面を有するように、ヘッド部の幅とほぼ同じであることが好ましい。しかしながら、フット部22は、好ましくは、ヘッド部20よりも長く、このため、フット部22は、少なくとも部分において、ねじ込み軸15に垂直な方向にヘッド部20を超えて突出する。別の設計では、ヘッド部20の長さ及び幅は、実質的に同じサイズとすることができる。しかしながら、フット部22の場合、長さは幅よりも大きいことが好ましい。特に、フット部22は、ねじ込み軸15の突出方向に沿って見て、略矩形である。
【0044】
接続システム10はまた、ケージ16を有する。本事例では、ケージ16は、ベース部46と、前記ベース部に隣接する横方向部30と、前記横方向部30に隣接するカバー部50とを有している。ベース部46は、平坦又は平面であり、ボルト開口部48及び円形の外形を有する。カバー部50も平坦または平面であり、ボルト開口部48を有しており、この開口部は、本ケースでは、ベース部46内のボルト開口部48と同じ大きさおよび形状を有している。このカバー部50は、略円形状の外形を有する。
【0045】
突起32は、カバー部50上の2つの対向位置に配置されている。本事例では、突起32はカラー状または翼状であり、カバー部50から半径方向外側に延びている。
【0046】
このケージ16は、本事例ではナット14用の収容空間44を形成している。この収容空間44は、ベース部46、横方向部30及びカバー部50を区画している。
【0047】
横方向部30は、横方向部30における対向位置に配置された2つの開口部28を有する。これらの開口部28を通して、ナット14をケージ16内に押し込み、したがってナット14を収容空間44内に押し込むことができる。
【0048】
本事例では、横方向部30の2つの対向する側面は、それらの内面45、すなわち収容空間44に対向する面上で平坦である。これらの内面45は、ナット14がケージ16内に押し込まれると、側面18及び19が内面45上にあって静止するように設計されている。このように、ナット14は、ねじ込み軸15を中心とした回転に対してケージ16に対抗して固定される。これにより、ケージ16は、収容されたナット14とともに、2つの突起32を介して確実に回転操作できる。
【0049】
図示の例では、ワッシャ13が示されている。接続システム10を組み立てるために、ナット14は、ベース部46内およびカバー部50内のボルト開口部48がねじ込み溝17と整列するように、2つの開口部28のうちの1つを通して収容空間44内に押し込まれる。ナット14がケージ16又はその収容空間44に受け入れられると、接続システムは突起32によって作動することができる。その後、ボルト12は、まずワッシャ13を通して挿入またはねじこまれ、次いで、カバー部50のボルト開口部48を通り、ナット14のねじ込み溝17を通り、次いで、ベース部46のボルト開口部48を通る。
【0050】
図2は、
図1に係る接続システム10を組み立てた状態の斜視図である。この状態で、ナット14はケージ16内又は収容空間44内に受け入れられる。フット部22は、2つの反対方向に、収容空間44から、またはケージ16から、開口部28を通って突出する。ナット14のヘッド部20は、ほぼ収容空間44内に配置されている。図示の例では、ねじ込み軸15に沿って見た2つの突起32は、開口部28を通過する方向に対して垂直に配置されている。
【0051】
図3は、
図1に係る接続システム10を介して2つの要素34,36が接続された状態における断面図である。2つの要素34、36を接続するために、ナット14は、まず、ケージ16の収容空間44内に押し込まれる。ケージ16は、ナット14が内部に受け入れられた状態で、接続される要素34、36の片側からの2つの突起32によって操作されることができる。言い換えれば、ケージ16は、ナット14が内部に受け入れられた状態で、接続される要素34、36の同じ側から保持することができ、ボルト12をナット14にねじ込むことができる。
【0052】
プレートの形態の要素34、36は、接続システム10によって相互接続される。ボルト12を回すことによって、前記ボルトは、ナット14に設けられたねじ込み溝17の雌ねじにねじ込まれる。その結果、ナット14はボルトヘッド部に向かって(すなわち、
図3では上方に)移動する。収容空間44から突出したフット部22の面21は、第2要素36を押圧し、第2要素を第1要素34に押圧する。第1要素34は、ワッシャ13によって逆方向(すなわち、
図3では下向きと言う)に押圧される。したがって、2つの要素34、36は、ナット14のフット部22とワッシャ13との間にクランプされる。もちろん、ここでいうのは相対的な動きである。
【0053】
2つの要素34及び36の間に生じうる剪断力は、ナット14のヘッド部20によって吸収される。これにより、ねじ式接続部の最弱点となり得る2つの要素34および36の間の剪断力からボルトが解放されるか、または該剪断力がボルト12に伝達されることが防止される。
【0054】
図4は、
図1に係る接続システム10を介して2つの素子34,36が接続された状態で、
図3の部分に対して直交する方向の断面図である。図示の向きでは、剪断力はまた、ヘッド部20に加えて、横方向部30によって少なくとも部分的に吸収される。これは、ボルト12のさらなる解放につながる。
【0055】
図5は、本発明に係る構造11の斜視図である。第1の要素34は、実質的に三角形のコーナー要素であり、第2の要素36は角度を備える輪郭形状であることが示されている。
【0056】
本事例では、第2素子36は、複数の孔38を有する。孔38は、ナット14がケージ16内又は収容空間44内に受け入れられたときのベース部46及びナット14の形状に対応する形状を有する。このように接続システム10は、孔38を通して挿入することができる。1つの配向において、接続システムは、このような孔38を通して挿入することができ、挿入は、孔38の形状のために好ましくは90°だけ回転された配向でブロックされる。接続システム10が孔38を通して挿入された後に、例えばねじ込み軸15を中心に90°だけ回転されると、ナット14のフット部22の、ケージ16から突出するか又は収容空間44から突出する部分が、接続システム10が孔38から引き出されるのを防ぐ。この回転状態では、接続システム10は、2つの要素を相互接続することができる(
図4参照)。
【0057】
第1要素34は、第1長穴40を有する。第1長穴40は、2つの長辺42を有する。第1の長穴40の2つの長辺42の間の距離は、直径に対応し、したがってケージ16のベース部46の最も広い位置に対応する。したがって、接続システム10は、第1の長穴40に沿ってスライドさせることができる。接続システム10が第1の長穴40を貫通して挿入されると、接続システム10は、2つの側面42の間の距離が対応して大きいので、ねじ込み軸15を中心として回転した後に長穴40に沿ってスライドさせることもできる。
【0058】
さらに、第1の要素34は、第2の長穴52を有する。第2長穴は、2つの長辺54を有し、第2の長穴52に沿って本ケースでは複数の位置56が配置され、この位置において、長辺54間の距離がケージ16のべース部46の直径ひいては最も広い位置に対応する。長辺54間の距離は、これらの位置で最大である。長辺54の間の距離は、第2長穴52の他の位置において、より小さくなる。接続システム10は、第2の長穴52に挿入され、点56(特に、長い長辺54の間の距離が大きい点)においてのみ、再び引き出すことができる。長い長辺54の間の最小距離は、特にナット14のヘッド部20の幅、及び任意にかかるヘッド部20周囲のケージの幅に対応する。
【0059】
接続システム10は、ケージ16内に受け入れられたナット14とともに、第2の長穴52を通して押し込むことができる。接続システム10が位置56のうちの1つで第2の長穴52に挿入された後、接続システム10は、第2の長穴52に沿って摺動するのを阻止される。横方向部30の外形は、開口部28を除いて、ベース部46に対応した形状であり、円筒状の外形を有する。これは、第2の長穴52に沿った摺動を阻止する効果を有する。
【0060】
ねじ込み軸15を中心として90°回転することによって、接続システム10は第2の長穴52に沿って摺動することが可能になる。このような回転によって、ケージ16の横方向部30は、横方向部30内の開口部28が長い側面54に沿って配置されるように、ねじ込み軸15を中心に回転される。横方向部30の外形の円筒形の輪郭は、開口部28によって中断される。横方向部30内の開口部28により、この配向では、ケージ16は、より小さい範囲を有し、これは、長辺54間の最小距離に対応することができる。
図5に示す例は、接続システム10を長穴52に沿ってスライドさせることができる状態を示す。
【0061】
図6は、接続システム10のさらなる実施形態を示す。本事例では、ベース部46は、細長い、2つの弾性要素47を有する。前記弾性要素は、ベース部46において対向位置(べース部46の長辺の2つの端部)に配置され、ねじ込み軸15に対して、べ-ス部46から離れる方向に半径方向内方及び上方に、すなわち収容空間44内に突出する。弾性要素47は、特に、ベース部46の弾性突起である。特に、弾性要素47は、ばねタブ又は板ばねの方法で設計される。2つの弾性要素47は、接続システム10が組み立てられた状態にあるとき、すなわちナット14がケージ16に受け入れられたときに、それらがナット14をボルト12に向かって予圧するように一般に設計されている。言い換えれば、弾性要素47は、ナット14をボルトヘッド部に向かって上方に押し付ける。
【0062】
図7は、
図6による接続システム10の断面図である。接続システム10の組立状態が、本件において示されている。弾性要素47は、ナット14をボルトヘッド(特にベース部46から離れる方向にも)に押し付ける。図示の例では、ナット14は、ヘッド部20の上側面21によってカバー部50に押し付けられている。2つの弾性要素47は、ベース部46と一体に形成することができる。換言すれば、弾性要素47は、ベース部46の一部であり得る。
【0063】
図8は、別の接続システム10の断面図であり、弾性要素47は、ねじ込み軸に向かって(すなわち、収容空間44内へ、半径方向内向きに)突出せず、むしろ半径方向外向きに(すなわち、ねじ込み軸または収容空間44から離れて、)突出する。