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特許7611110情報処理装置、交差点特定方法、交差点特定プログラム及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】情報処理装置、交差点特定方法、交差点特定プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241226BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20241226BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G01C21/26 C
G08G1/09 R
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021162242
(22)【出願日】2021-09-30
(65)【公開番号】P2023051505
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2024-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】清水 裕也
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-301406(JP,A)
【文献】特開2020-013247(JP,A)
【文献】特開2016-122308(JP,A)
【文献】特開2016-115087(JP,A)
【文献】特開2018-206154(JP,A)
【文献】特開2017-146934(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0061269(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108538084(CN,A)
【文献】独国特許出願公開第102008017972(DE,A1)
【文献】特開2009-085738(JP,A)
【文献】特開2006-133967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に対して規定されている規制情報を含む地図情報を記憶する記憶部と、
前記地図情報から、一部の車両区分が適用されない一方通行規制が規定されている第1の道路と、一時停止規制が規定されていない第2の道路とが交差する交差点を抽出する抽出部と、
前記交差点において前記第2の道路を走行して前記交差点に進入する車両に対して注意喚起を行う場所として特定する特定部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記地図情報は、信号機の設置箇所を示す情報を含み、
前記抽出部は、前記交差点のうち、さらに、信号機が設置されていない交差点を抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記抽出部は、前記一部の車両区分として、自転車が対象となっている交差点を抽出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記抽出部は、前記第1の道路において前記一方通行規制に違反する方向から前記交差点に進入する前に、一時停止線又は一時停止の標識が設けられていない交差点を抽出する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記交差点を車両が走行した車両情報を取得する取得部を備え、
前記特定部は、前記車両情報に基づいて、前記第2の道路を走行する車両が前記交差点において急減速し、かつ、前記交差点を直進した場所を前記注意喚起を行う場所として特定する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記特定部は、前記車両情報に基づいて、前記第2の道路を走行して前記交差点において急減速し、かつ、前記交差点を直進した車両が所定数以上ある場合に、前記注意喚起を行う場所として特定する
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記特定部は、前記車両情報に基づいて、前記第2の道路を走行して前記交差点において急減速し、かつ、前記交差点を直進した車両の割合が一定以上ある場合に、前記注意喚起を行う場所として特定する
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記特定部は、第2の道路を走行する車両が前記交差点において急減速し、かつ、前記交差点を直進した場所を走行した時間帯を併せて特定する
ことを特徴とする請求項5~7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記車両情報は、前記交差点を走行した車両の位置情報と時刻情報とを含むプローブ情報と、当該車両の状態を特定可能なCAN情報とを含む
ことを特徴とする請求項5~8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第2の道路において、前記交差点に進入する側の前記特定部が特定した場所の所定距離前の位置において注意喚起を行うことを示す情報を、ナビゲーション用の地図情報に登録する登録部を備える
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
注意喚起を行う交差点を特定する交差点特定方法であって、
情報処理装置が、
記憶部に記憶されている道路に対して規定されている規制情報を含む地図情報から、一部の車両区分が適用されない一方通行規制が規定されている第1の道路と、一時停止規制が規定されていない第2の道路とが交差する交差点を抽出する抽出ステップと、
前記交差点において前記第2の道路を走行して前記交差点に進入する車両に対して注意喚起を行う場所として特定する特定ステップと、
を実行する交差点特定方法。
【請求項12】
コンピュータに、
記憶部に記憶されている道路に対して規定されている規制情報を含む地図情報から、一部の車両区分が適用されない一方通行規制が規定されている第1の道路と、一時停止規制が規定されていない第2の道路とが交差する交差点を抽出させる抽出機能と、
前記交差点において前記第2の道路を走行して前記交差点に進入する車両に対して注意喚起を行う場所として特定させる特定機能と、
を実行させる交差点特定プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の交差点特定プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差点における注意喚起の要否を判定する情報処理装置、交差点特定方法、交差点特定プログラム、及び当該交差点特定プログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、経路案内の途上で事故多発地点等における注意喚起を行うナビゲーションシステムがある。特許文献1には、交差点における人の流れを予測し、交差点を走行する際に注意すべき方向を運転者に把握させるナビゲーション装置が開示されている。また、特許文献2には、車両の現在地が属するエリア情報に対応する運転状況別事故統計情報データベースを利用して注意喚起を行う注意喚起情報制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-085738号公報
【文献】特開2006-133967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1や特許文献2から人の流れや事故統計情報から注意喚起を行うことが開示されているが、これらの技術では、一部の車両区分が適用されない車両による事故等を防止するための注意喚起を行うことができないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、特許文献1や特許文献2とは異なる方法で、自転車の飛び出しに対する注意喚起を行う交差点を特定することができる情報処理装置、交差点特定方法、交差点特定プログラムおよび記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理装置は、道路に対して規定されている規制情報を含む地図情報を記憶する記憶部と、地図情報から、一部の車両区分が適用されない一方通行規制が規定されている第1の道路と、一時停止規制が規定されていない第2の道路とが交差する交差点を抽出する抽出部と、交差点において第2の道路を走行して交差点に進入する車両に対して注意喚起を行う場所として特定する特定部と、を備える。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る交差点特定方法は、注意喚起を行う交差点を特定する交差点特定方法であって、情報処理装置が、記憶部に記憶されている道路に対して規定されている規制情報を含む地図情報から、一部の車両区分が適用されない一方通行規制が規定されている第1の道路と、一時停止規制が規定されていない第2の道路とが交差する交差点を抽出する抽出ステップと、交差点において第2の道路を走行して交差点に進入する車両に対して注意喚起を行う場所として特定する特定ステップと、を実行する。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る交差点特定プログラムは、コンピュータに、記憶部に記憶されている道路に対して規定されている規制情報を含む地図情報から、一部の車両区分が適用されない一方通行規制が規定されている第1の道路と、一時停止規制が規定されていない第2の道路とが交差する交差点を抽出させる抽出機能と、交差点において第2の道路を走行して交差点に進入する車両に対して注意喚起を行う場所として特定させる特定機能と、を実行させる。
【0009】
また、上記情報処理装置において、地図情報は、信号機の設置箇所を示す情報を含み、抽出部は、交差点のうち、さらに、信号機が設置されていない交差点を抽出することとしてもよい。
【0010】
また、上記情報処理装置において、抽出部は、一部の車両区分として、自転車が対象となっている交差点を抽出することとしてもよい。
【0011】
また、上記情報処理装置において、抽出部は、第1の道路において一方通行規制に違反する方向から交差点に進入する前に、一時停止線又は一時停止の標識が設けられていない交差点を抽出することとしてもよい。
【0012】
また、上記情報処理装置において、交差点を車両が走行した車両情報を取得する取得部を備え、特定部は、車両情報に基づいて、第2の道路を走行する車両が交差点において急減速し、かつ、交差点を直進した場所を注意喚起を行う場所として特定することとしてもよい。
【0013】
また、上記情報処理装置において、特定部は、車両情報に基づいて、第2の道路を走行して交差点において急減速し、かつ、交差点を直進した車両が所定数以上ある場合に、注意喚起を行う場所として特定することとしてもよい。
【0014】
また、上記情報処理装置において、特定部は、車両情報に基づいて、第2の道路を走行して交差点において急減速し、かつ、交差点を直進した車両の割合が一定以上ある場合に、注意喚起を行う場所として特定することとしてもよい。
【0015】
また、上記情報処理装置において、特定部は、第2の道路を走行する車両が交差点において急減速し、かつ、交差点を直進した場所を走行した時間帯を併せて特定することとしてもよい。
【0016】
また、上記情報処理装置において、車両情報は、交差点を走行した車両の位置情報と時刻情報とを含むプローブ情報と、当該車両の状態を特定可能なCAN情報とを含むこととしてもよい。
【0017】
また、上記情報処理装置において、第2の道路において、交差点に進入する側の特定部が特定した場所の所定距離前の位置において注意喚起を行うことを示す情報を、ナビゲーション用の地図情報に登録する登録部を備えることとしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、地図情報から、一部の車両区分が適用されない一方通行規制が規定されている第1の道路と、一時停止規制が規定されていない第2の道路とが交差する交差点を抽出する抽出部と、交差点において第2の道路を走行して交差点に進入する車両に対して注意喚起を行う場所として特定する特定部と、を備えることで、交差点に進入しようとしている車両に対して、交差点に接続する他の道路からの特定の車両が進入してくる可能性がある交差点を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図2】交差点の一具体例を示す図である。
図3】情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
図4】情報処理装置の他の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施態様に係る情報処理装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
<実施の形態>
<情報処理装置の構成>
本発明の一態様に係る情報処理装置(図1の100参照)は、道路に対して規定されている規制情報を含む地図情報を記憶する記憶部(図1の104参照)と、地図情報から、一部の車両区分が適用されない一方通行規制が規定されている第1の道路と、一時停止規制が規定されていない第2の道路とが交差する交差点を抽出する抽出部(図1の105参照)と、交差点において第2の道路を走行して交差点に進入する車両に対して注意喚起を行う場所として特定する特定部(図1の105参照)と、を備える。以下、詳細に説明する。
【0022】
図1は、情報処理装置100の機能構成例を示すブロック図である。図1に示すように、情報処理装置100は、通信部101と、受付部102と、出力部103と、記憶部104と、CPU105とを備える。
【0023】
情報処理装置100は、サーバ装置、PCなどにより実現されるコンピュータシステムであるが、これらに限定するものではなく、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末などにより実現されるものであってもよい。また、情報処理装置100は、経路案内を行うナビゲーション装置であってもよいし、ナビゲーション用の地図情報に交差点において注意喚起を行うかどうかのフラグを登録する地図情報作成装置であってもよい。以下、各機能部について詳細に説明する。
【0024】
通信部101は、他の装置から通信により情報を受信する機能を有する。通信部101は、外部の装置、例えば、車両の走行情報を蓄積したサーバから車両走行情報を取得し、CPU105に伝達することとしてよい。車両走行情報は、少なくとも、位置情報と当該位置情報が取得された時間を示す時間情報とを含む。車両走行情報は、例えば、プローブ情報であってもよく、プローブ情報を蓄積したサーバは、例えば、道路交通情報通信システムセンターであってもよい。また、車両走行情報は、車両の各種の状態の情報を含むCAN(Controller Area Network)情報であってもよく、車両の速度情報やブレーキ操作情報、ハンドル操作情報等が含まれてよい。通信部101は、車両走行情報を、車両から直接取得することとしてもよいし、CAN情報を含む車両走行情報を、当該情報を蓄積した外部のサーバから取得することとしてもよい。通信部101は、受信した各種の情報をCPU105に伝達する。また、通信部101は、CPU105の指示のもと、指定された外部の装置に、指定された情報を送信する。通信部101は、例えば、注意喚起の要否の情報が登録された地図情報を、外部のナビゲーション装置等に送信することとしてよい。
【0025】
受付部102は、情報処理装置100のユーザからの入力を受け付けて、CPU105に伝達する機能を有する。受付部102は、例えば、情報処理装置100に備えられたハードウェアキーや、タッチキーなどのソフトキーなどにより実現することができる。なお、受付部102に対する入力は音声による入力であってもよい。受付部102は、例えば、地図情報141に含まれる交差点のうち、進入時に他車両に注意すべき注意喚起を行う交差点の特定処理の実行指示を受け付けてCPU105に伝達してもよい。
【0026】
出力部103は、CPU105からの指示に従って、指示されたデータを出力する機能を有する。出力部103は、例えば、情報処理装置100がナビゲーションシステムである場合に、経路案内において、交差点を通る前に、その交差点における退出路に対して、注意喚起の要否を特定して、必要に応じて他車両の他の道路からの進入の注意喚起の案内を出力することとしてもよい。出力部103は、注意喚起に関する情報を、情報処理装置100に接続されたモニタに画像情報(テキストデータでもよい)として出力することとしてもよいし、音声データとして情報処理装置100に接続されたスピーカに出力することとしてもよいし、通信部101を介して外部の装置に送信することとしてもよい。即ち、出力部103は、CPU105から指定された情報を、指定された宛先に出力する通信インターフェースとして機能する。また、出力部103は、CPU105が注意喚起を行う交差点を特定した場合に、その交差点に関する情報を出力することとしてもよい。
【0027】
記憶部104は、情報処理装置100が動作するうえで必要とする各種のプログラム及び各種のデータを記憶する記録媒体である。記憶部104は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等により実現される。
【0028】
記憶部104は、地図情報141を記憶していてもよい。
【0029】
地図情報141は、ナビゲーション用の地図情報であり、道路をリンクとノードとの接続で表現した情報であり、交差点の位置を特定可能な情報である。また、地図情報141には、交差点における、道路等に設けた規制情報等の情報が含まれてよく、例えば、交差点に接続している道路に対して一部の車両区分を除く車両に対して一方通行規制や、一時停止規制等が含まれてよい。また、地図情報141には、その規制情報を示す道路標識等の配置位置や、信号機の設置の有無、を記憶されていてもよい。
【0030】
CPU105は、記憶部104に記憶されている各種のプログラム及び各種のデータを利用して、情報処理装置100が実行すべき処理を実行するプロセッサである。
【0031】
CPU105は、情報処理装置100の各部を制御し、地図情報141に基づいて、少なくとも2以上の道路が交差する交差点を抽出し、その交差点に対して進入する車両に対して、他の道路から進入する可能性がある車両に対する注意喚起を行う交差点を特定する。
【0032】
CPU105は、抽出部、特定部、および登録部として機能する。
【0033】
抽出部は、記憶部140の地図情報141から、一部の車両区分が適用されない一方通行規制が規定されている第1の道路と、第1の道路とは異なる一時停止規制が規定されていない第2の道路とが交差する交差点を抽出する。車両区分とは、道路運送車両法や道路交通法において定められる道路上を走行可能な車両の分類のことであり、普通自動車、小型自動車、軽自動車、原動機付自転車、軽車両などが含まれる。軽車両とは、原則として原動機を持たない車両のことを意味し、自転車やリヤカーなどが含まれる。ここでいう一部の車両区分とは、通常の自動車に対して適用される道路交通法上の一部の法規が適用されない車両のことであり、自転車等の軽車両のことであってよい。また、一部の法規とは、例えば、一方通行規制のことであってよい。
【0034】
特定部は、抽出部が抽出した交差点から、交差点に進入する車両に対して、車両が進入している道路とは異なる道路から特定の車両が進入してくる可能性がある交差点、即ち、車両の乗員に対して他の車両の飛び出し等がある可能性があることを注意喚起すべき交差点を特定する。
【0035】
ここで、そのような交差点について具体例を用いて、図2を参照しながら説明する。図2は、天面方向から見た交差点の一例を示す図である。
【0036】
図2における交差点203は、一点鎖線枠で示す第1の道路201と、点線枠で示す第2の道路202と、が交差する交差点である。図2の例では、交差点203に、第1の道路201を走行する自転車21と、第2の道路202を走行する自動車20と、が進入しようしている例を示している。図2の交差点203には、信号機が設置されておらず、自動車20のドライバは、自身の判断により交差点203に進入することができる。また、第2の道路202には、図2の例では、第2の道路202に対しては一時停止規制等の道路標示もないため、自動車20は交差点203に進入する前に一時停止することなく第2の道路202を走行することができる。
【0037】
一方、第1の道路201については、道路標識206から、一部の車両区分としての自転車を除く車両に対しては一方通行の規制がされていることが理解される。また、道路標示204から、第1の道路201の図面右側から交差点203に対して進入する車両に対しては一時停止義務が発生することが理解される。ここで、道路標識205から、第1の道路201を走行する車両のうち、一部の車両区分としての自転車を除く車両に対しては、一時停止義務が発生するが、自転車に対しては、その義務が発生しないことになる。このような第1の道路201においては、自転車21は、交差点203に対して一時停止することなく、図面左から右方向に走り抜ける可能性がある。第1の道路201には一部の車両区分を除く車両に対しては一方通行規制が課されることから、第2の道路202を走行する自動車20からすると、図面下側から交差点203に進入する場合には、自動車20から見て右側からの進入に注意を傾けがちであり、また、第2の道路202の図面上側から交差点に進入する車両からすると、ドライバは左側からの進入に注意を傾けがちである。
【0038】
つまり、このような第1の道路201に対しては、自動車20のドライバは通常、一方通行規制の方向に応じた方向からの他車両の進入に対する注意に重きを置きがちである。即ち、図2の例では、自動車20のドライバは、第1の道路201の右側から交差点203に対して進入して来る車両に対してはよく注意する一方で、左側からの進入に対しては注意が低下する可能性がある。
【0039】
そうすると、自動車20のドライバは、左側から交差点203に対して進入してくる自転車21に対する注意力が低下し、その結果、自動車20と自転車21との接触事故に発展する可能性がでてくる。情報処理装置100は、このような道路標識等の規定により自動車20のドライバの他車両に対する意識の低下が見込まれる可能性のある交差点を特定し、図示の例で言えば、第2の道路202を走行する車両に対しては、交差点203に進入する前に、第1の道路201からの他車両の進入の可能性があることを示す注意喚起が必要な交差点として注意喚起を行ったり、注意喚起を行う交差点として地図情報141に登録したりする。
【0040】
図1に戻って、特定部は、抽出部が抽出した交差点をそのまま、交差点に進入する車両に対して、一部の車両区分の車両に対する注意喚起が必要な交差点として特定してもよい。
【0041】
また、特定部は、抽出部が抽出した交差点の中から、更に、種々の条件によって、注意喚起を行う交差点を絞り込んで、注意喚起を行う交差点の特定精度を向上させることとしてもよい。種々の条件は、交差点203において事故等が発生する可能性を予見できる条件のことであり、下記に示す何れか、あるいは、複数を満たす交差点のことであってよい。これらの種々の条件を適用するか否かは任意としてよく、情報処理装置100の受付部102からオペレータ等の指示に基づいて適用するか否かを設定することとしてもよい。
【0042】
特定部は、交差点の絞り込みを行う条件として、交差点に対して信号機の設置の有無を条件に、絞り込みを行うこととしてよい。図2のように、信号機が設置されていない交差点では、交差点への進入は、個々人の判断にゆだねられることから、人によっては交差点前で停止せずに進入しようとする可能性がある。また、自動車のドライバとしても、交差点に進入しようとする自転車があって、車両側が優先される場合などは、信号機が設置されていないときには、ドライバは停止することなく交差点に進入する可能性がある。そのような状況下にあっては、自動車20のドライバ、自転車21の運転手双方の油断や不注意から接触事故に発展する可能性がある。そのため、特定部は、抽出部が抽出した交差点のうち、第1の道路、あるいは、第2の道路に信号機が設置されていない交差点を特定するようにしてもよい。
【0043】
特定部は、交差点の絞り込みを行う条件として、一部の車両区分が自転車であることを条件としてもよい。自転車は、道路法規を守るべき車両であるという現実がある一方で、人によって車両であるという認識が低く道路法規を守るべきという意識が低い可能性があり、交差点への飛び出しが発生しやすい。そのため、地図情報141において、一方通行規制の対象外となっている車両が自転車であることを条件として絞り込みを行ってもよい。
【0044】
特定部は、交差点の絞り込みを行う条件として、抽出部が抽出した交差点において、過去に車両が急減速したり、急ハンドルを切ったりしたことがある交差点を特定することとしてもよい。急ハンドルを切るとは、急激なハンドル操作で進行方向の変更を行うことである。車両が急減速したり、急ハンドルが切られていた場合には、車両が何らかの対象への衝突を回避しようとしてブレーキングしたり、方向転換をしようとした可能性がある。
【0045】
そこで、特定部は、通信部101を介して取得した車両走行情報(例えば、プローブ情報やCAN情報)に基づいて、対象の交差点において、そのような操作がされた形跡があるか否かを特定して、あった場合には、注意喚起の対象となる交差点として特定することとしてよい。具体的には、特定部は、地図情報141から交差点の位置を特定し、特定した位置を走行した形跡がある車両を車両の位置情報を含むプローブ情報から特定する。そして、交差点を走行した車両のCAN情報に基づいて、交差点走行時の運転状況を特定する。特定部は、例えば、交差点に進入時に、(i)急減速した、(ii)ブレーキング操作がされた、(iii)ハンドルの操舵角が所定角度以上変更された、(iv)クラクションが鳴らされた、等の状況が発生したか否かを特定する。そして、これらの状況のいずれかまたは複数が発生した形跡があった場合には、特定部は、その交差点を、車両のドライバに対して進入時に注意喚起を行う交差点として特定する。
【0046】
登録部は、特定部が特定した交差点を、この交差点に進入しようとする車両のドライバに対して注意喚起が必要な交差点として、地図情報141に登録する。このとき、登録部は、交差点ではなく、交差点で交差する特定の道路に対してのみ注意喚起が必要であることを登録してもよい。例えば、図2の例で言えば、登録部は、第2の道路202を走行する車両等に対してのみ注意喚起が必要であると登録するようにしてもよい。この地図情報141が、車両の案内をするナビゲーションシステムに記憶されることで、ナビゲーションシステムに入力された目的地に至る経路上の交差点に進入する前に、自転車等の飛び出し等に対する注意喚起をすることができる。
【0047】
また、情報処理装置100がナビゲーションシステムである場合に、CPU105は、特定部が特定した交差点に対して、情報処理装置100を搭載する車両が進入しようとする前に、交差点に接続する他の道路からの自転車等の飛び出しに対する注意喚起を行うこととしてもよい。注意喚起は、出力部103からの出力によって行われ、情報処理装置100に備えられているモニタに対する画像や文字による出力であってもよいし、情報処理装置100の備えられているスピーカからの音声による出力であってもよい。
【0048】
以上が情報処理装置100の構成例である。
【0049】
<情報処理装置の動作>
次に、情報処理装置100の動作について説明する。
【0050】
図3は、情報処理装置100の動作例を示すフローチャートである。
【0051】
図3に示すように、情報処理装置100のCPU105は、記憶部104から地図情報141を取得する(ステップS301)。
【0052】
CPU105(抽出部)は、取得した地図情報141から、一部の車両区分が適用されない一方通行規制が規定されている第1の道路と、一時停止規制が規定されていない第2の道路とが交差する交差点を抽出する(ステップS302)。
【0053】
CPU105(特定部)は、必要に応じて追加条件を満たすか否かを判定し(ステップS303)、追加条件を満たすと判定した交差点を特定する。即ち、CPU105は、上述の種々の条件としての、抽出した交差点に対する信号機が設置されていないこと、一部の車両区分が自転車であること、過去に抽出した交差点を走行した車両が急減速や急ハンドル等の操作を行った形跡があること、などの条件のいずれか又は複数を満たすか否かを判定し、抽出した交差点の絞り込みを行ってもよい。
【0054】
CPU105(特定部)は、特定した交差点、あるいは、当該交差点に進入可能な第2の道路を、第2の道路を走行して交差点に進入する車両に対して注意喚起を行う場所として特定する(ステップS304)。交差点を注意喚起を行う場所として特定した場合には、第1の道路、第2の道路、双方の車両に対する注意喚起を行うものとしてよく、交差点に接続する道路を注意喚起を行う場所として特定した場合には、特定した道路を走行する車両のみに対して注意喚起を行うものとしてよい。
【0055】
そして、CPU105は、特定した交差点に基づいて所定の処理を実行し(ステップS305)、処理を終了する。ここで、所定の処理は、情報処理装置100が、地図情報141を編集・作成する地図情報作成装置であれば、地図情報141に対して特定した交差点に対して注意喚起を行うことを示すフラグを登録することとしてよい。また、所定の処理は、情報処理装置100がナビゲーションシステムであれば、車両が特定した交差点に進入する前に、ドライバに注意喚起を行うことであってよい。また、所定の処理は、特定した交差点の情報を出力することであってもよい。
【0056】
<実施の形態まとめ>
本実施の形態1に係る情報処理装置100は、ある交差点において、一部の車両区分を除く車両に対して一方通行規制が課される第1の道路と、第1の道路とは異なる一時停止規制が規定されていない第2の道路と、が交差する交差点を、車両に対する注意喚起が必要な交差点として特定する。一部の車両区分に含まれる車両からすると一方通行規制が規制されている方向とは逆方向への走行は違反にはならず、また、一時停止規制が規定されていない第2の道路を走行する車両にとっては交差点進入時に一時停止しないことも違反にはならないという状況下にあっては、双方のドライバの油断や注意不足により接触事故に発展する可能性がある。そのような交差点を注意喚起が必要な交差点として特定し、地図情報141に登録したり、交差点進入前に注意喚起を行ったりすることで、そのような接触事故を防止することができる。
【0057】
<補足>
上記実施の形態に係る情報処理装置は、上記実施の形態に限定されるものではなく、他の手法により実現されてもよいことは言うまでもない。以下、各種変形例について説明する。
【0058】
(1)上記実施の形態において、情報処理装置100は、注意喚起を行う交差点を、過去に交差点に進入した形跡のある車両の車両走行情報に基づいて特定の操作を行った形跡のある車両の有無に基づいて特定することとした。このとき、情報処理装置100は、所定数以上の車両から、交差点進入時に急減速や急ハンドル等の操作を行ったと判定することができた場合に、その交差点を、注意喚起を行う交差点として特定するようにしてもよい。また、あるいは、情報処理装置100は、所定期間(例えば、1週間、1ヶ月などであってよいが、これらに限定するものではない)内において、交差点進入時に急減速や急ハンドル等の操作を行った車両の割合(頻度)が所定の閾値以上である場合に、その交差点を、注意喚起を行う交差点として特定するようにしてもよい。情報処理装置100をこのように構成することで、注意喚起を行う交差点を特定する精度を更に向上させることとしてもよい。
【0059】
(2)上記実施の形態において、情報処理装置100は、注意喚起を行う交差点を、過去に交差点に進入した形跡のある車両の車両走行情報に基づいて特定の操作を行った形跡のある車両の有無に基づいて特定することとした。このとき、情報処理装置100は、更に、その特定の操作を行った時間帯を特定するようにしてもよい。交差点の場所や時間帯によって、交通量や環境が変化に伴って、急減速や急ハンドル等の操作が行われやすい時間帯を特定できる可能性がある。そこで、情報処理装置100は、プローブ情報に含まれる時間情報と、対応する車両のCAN情報から、交差点において、急減速や急ハンドル等の操作を行った時間を特定し、集積する。そして、特定した時間が、特定の時間帯に集中していた場合には、その特定の時間帯にのみ注意喚起を行う交差点として特定することとしてもよい。この場合、登録部は、地図情報141に注意喚起を行う交差点のフラグに注意喚起を行う時間帯も併せて登録することとしてよい。また、情報処理装置100がナビゲーションシステムである場合には、その特定の時間帯に搭載されている車両がその交差点に進入しようとする場合に注意喚起を出力することとしてよい。
【0060】
(3)上記実施の形態においては、情報処理装置における注意喚起を行う交差点を特定する手法として、情報処理装置のプロセッサが注意喚起を行う交差点を特定するプログラム等を実行することにより、特定することとしているが、これは装置に集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現してもよい。また、これらの回路は、1または複数の集積回路により実現されてよく、上記実施の形態に示した複数の機能部の機能は1つの集積回路により実現されることとしてもよい。LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどと呼称されることもある。すなわち、図4に示すように、情報処理装置100は、通信回路101a、受付回路102a、出力回路103a、記憶回路104a、制御回路105a、とから構成されてよく、それぞれ、通信部101、受付部102、出力部103、記憶部104、CPU105、に相当する。
【0061】
また、上記プログラムは、プロセッサが読み取り可能な記録媒体に記録されていてよく、記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記プロセッサに供給されてもよい。つまり、例えば、スマートフォン等の情報処理機器を利用して、ネットワーク上からプログラムをダウンロードして実行する構成としてもよい。本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0062】
なお、上記プログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)などのスクリプト言語、Objective-C、Java(登録商標)、C++、Python、Rなどのオブジェクト指向プログラミング言語などを用いて実装できる。
【0063】
(4)上記実施の形態に示した各種の実施例や、<補足>に示した各種の例は適宜組み合わせることとしてもよい。また、各フローチャートに示した各動作は、結果として矛盾がなければその実行順序を入れ替えたり、並列に実行したりすることとしてもよい。例えば、図3に示すステップS302とステップS303の処理は、一つの処理として実行されてよい。
【符号の説明】
【0064】
100 情報処理装置
101 通信部
102 受付部
103 出力部
104 記憶部
105 CPU(抽出部、特定部、登録部)
図1
図2
図3
図4