(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】歯科修復物のカスタマイズされた着色
(51)【国際特許分類】
A61C 13/08 20060101AFI20241226BHJP
A61C 5/77 20170101ALI20241226BHJP
A61C 19/04 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
A61C13/08 Z
A61C5/77
A61C19/04 J
(21)【出願番号】P 2021542504
(86)(22)【出願日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 US2020014690
(87)【国際公開番号】W WO2020154450
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-12-27
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517264281
【氏名又は名称】デンツプライ シロナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】フランケ,フレドリケ
(72)【発明者】
【氏名】ブランデス,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ボーラー,ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】ヴォス,ビョルン
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-220882(JP,A)
【文献】特開2010-194049(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0067465(US,A1)
【文献】国際公開第2017/178479(WO,A1)
【文献】特表2010-502300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 13/00 ー 13/38
A61C 5/77
A61C 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科修復物の色カスタマイズのための方法であって、
歯測定データを
取得するステップ(120)であって、前記歯測定データは、前記歯科修復物が挿入される少なくとも1つの挿入領域を含む、ステップと、
修復物データを提供するステップ(130)と、
染色またはグレーズ顔料に関する情報を提供するステップ(140)と、
前記修復物データを考慮して、前記歯測定データまたは他の情報から色特性を生成するステップ(150)と、
染色またはグレーズ顔料に関する情報を考慮して、前記色特性から多色目標着色を計算するステップ(160)と、
前記歯科修復物の色カスタマイズのために、前記多色目標着色を出力するステップ(170)と
を含み、
前記目標着色を計算するステップは、前記歯科修復物の目標色特性を決定するためにアルゴリズムを適用することと、使用される色の前
記色特性を使用して、色勾配および/もしくは色の線幅を作成することと、を含み、
前記アルゴリズムは、前記歯測定データの色の状態を評価し、そこから前記色特性(150)を計算するために、試験データセットに基づい
て学習して色分布を復元物に適合させるように設計された人工知能を含む、方法。
【請求項2】
前記歯測定データ(110)は、カラー画像の形態で用意される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記歯測定データは、比較領域をさらに含み、前記比較領域は、前記挿入領域に隣接および/もしくは対向して配置され、前記目標着色は、前記挿入領域および前記比較領域から決定される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記歯測定データを
取得するステップ(120)は、未形成の歯の第1の歯測定データを提供すること(122)、および形成済み歯の第2の歯測定データを提供すること(124)を含み、前記形成済み歯は、その後の処置のために形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記歯測定データを
取得するステップ(120、122、124)の前に、口腔内歯科状態のカラー3D画像として、歯測定を作成するステップ(110、112、114)が含まれる、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記歯測定データの領域は、前記挿入領域などの歯測定から特定され、歯構造の領域の細分化などの、前記領域の細分化が実行される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記歯測定データは、ピクセルまたは格子点を含み、各ピクセルまたは格子点は、画像明度を含み、前記画像明度は、前記歯測定データのそれぞれの領域と関連する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記アルゴリズムは、前記修復物データ、および染色もしくはグレーズ顔料に関する前記情報を考慮する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記目標着色を計算する前記ステップ(160)は、比較データを提供することを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記目標着色を計算する前記ステップ(160)は、前記比較データと前記色特性との比較を実行するアルゴリズムを適用することを含み、
前記アルゴリズムは、前記目標着色が、歯構造を考慮して、前記色特性のデータから生成される変換ステップを実行する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記目標着色を計算する前記ステップ(160)は、前記色特性から生成され得る色勾配を決定し、前記色勾配を使用して前記目標色特性を生成することを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記比較データは、前記歯測定データ、および以前の歯科修復物の目標着色から得られ、かつ/または前記比較データは、ラボ実験で得られたデータから得られる、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記アルゴリズムは、前記色特性(150)から色勾配を計算するように適合され、補間手段が、前記色勾配を計算するために使用される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記目標着色を出力する前記ステップ(170)は、以下:
表示装置上に前記目標着色を表示するステップ(172)、
前記表示装置上に、使用される前記色、色勾配、および/もしくは色の線幅を表示するステップ(173)、
プリンタで前記目標着色を出力するステップ(176)、または
データキャリアに前記目標着色を出力するステップ(174)
の少なくとも1つを含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記修復物データは、ブランク材料、ブランクベース色、着色液であり得るがこれに限定されない、染色もしくはグレーズ顔料を含む特定の着色手段が適用される場合の前記色の色応答に関する情報の少なくとも1つ含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記修復物データを提供するステップ(130)は、予備焼結ステップの後に、修復物材料を走査することを含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記歯科修復物(405)は、歯のギャップを塞ぐように適合されるか、または複数の歯のギャップを塞ぐように形成される、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記目標着色を出力する前記ステップ(170)は、前記歯科修復物が前記目標着色を受けるような方法での、異なる染色またはグレーズ顔料を用いた、前記歯科修復物の色カスタマイズを含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記目標着色を出力する前記ステップ(170)の後に、前記歯科修復物を仕上げるステップが行われる、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
色カスタマイズされた歯科修復物を作製するための方法であって、
口腔内歯科状態のカラー3D測定として、歯測定データを作成するステップ(110)であって、前記歯測定データは、前記歯科修復物が挿入される少なくとも1つの挿入領域を含む、ステップと、
少なくともブランク材料およびブランクベース色を決定するために、修復物データを提供するステップ(130)と、
染色またはグレーズ顔料に関する情報を提供するステップ(140)と、
前記修復物データを考慮して、前記歯測定データから色特性を生成するステップ(150)と、
染色またはグレーズ顔料に関する前記情報を考慮して、前記色特性から多色目標着色を計算するステップ(160)と、前記目標着色を前記歯科修復物に適用するために、前記目標着色を出力するステップ(170)と、
ブランク材料から前記歯科修復物を作製するステップと、
前記目標着色を前記歯科修復物に適用し、前記歯科修復物を焼結または結晶化するステップと
を含み、
前記目標着色を計算するステップは、前記歯科修復物の目標色特性を決定するためにアルゴリズムを適用することと、使用される色の前
記色特性を使用して、色勾配および/もしくは色の線幅を作成することを含み、
前記アルゴリズムは、前記歯測定データの色の状態を評価し、そこから前記色特性(150)を計算するために、試験データセットに基づい
て学習して色分布を復元物に適合させるように設計された人工知能を含む、
方法。
【請求項21】
歯科修復物の色カスタマイズのための装置(300、400)であって、歯測定データを蓄積するためのメモリ(312、412)であって、前記歯測定データは、前記歯科修復物が挿入される少なくとも1つの挿入領域を含み、さらには修復物データおよび染色またはグレーズ顔料に関する情報を記憶するためのメモリ(312、412)を備え、前記修復物データを考慮して、前記歯測定データから色特性を生成し、染色またはグレーズ顔料に関する前記情報を考慮して、前記色特性から多色目標着色を計算するためのプロセッサ(314、414)を備える、演算ユニット(310、410)、前記歯科修復物の色カスタマイズのために、前記多色目標着色を出力するための出力装置(320、322、324、424、430)を含み、
前記プロセッサは、前記歯科修復物の目標色特性を決定するためにアルゴリズムを適用し、使用される色の前
記色特性を使用することで、色勾配および/もしくは色の線幅を作成し、
前記アルゴリズムは、前記歯測定データの色の状態を評価し、そこから前記色特性(150)を計算するために、試験データセットに基づい
て学習して色分布を復元物に適合させるように設計された人工知能を含む、
装置(300、400)。
【請求項22】
前記装置は、前記目標着色を表示するための表示装置(322)、および/または前記目標着色を出力するためのプリンタ(320)、および/または前記目標着色をデータキャリアに出力するための書き込み装置(324)をさらに含む、請求項21に記載の歯科修復物の色カスタマイズのための装置(300、400)。
【請求項23】
前記装置は、前記多色目標着色を前記歯科修復物に適用するように適合される着色装置(430)をさらに含む、請求項21または請求項22に記載の歯科修復物の色カスタマイズのための装置(300、400)。
【請求項24】
前記着色装置(430)は、複数の異なる着色溶液(432)を提供し、スプレーヘッド(434)で、前記色を前記歯科修復物に自動的に適用する、請求項23に記載の歯科修復物の色カスタマイズのための装置(300、400)。
【請求項25】
前記着色装置(430)は、4~30色、7~30色、または7~20色の複数の着色溶液、もしくは、7色以上の異なる着色溶液(432)を提供し、かつ/または前記着色装置は、前記着色溶液を異なる線幅で提供するように適合され、かつ/または前記着色装置は、色キャリア(436)を有する、請求項23または24に記載の歯科修復物の色カスタマイズのための装置(300、400)。
【請求項26】
前記歯科修復物(405)へのステインの適用を確認するための、光学記録装置(440)をさらに含む、請求項21~25のいずれか1項に記載の歯科修復物の色カスタマイズのための装置(300、400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本国際出願は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる、2019年1月23日に出願された欧州特許出願第19153325.6号の利益およびそれに基づく優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、歯科修復物のカスタマイズされた着色のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
歯科修復物は、歯牙の損傷または歯牙の喪失の場合に、口腔の自然な外観を修復するために適用される。加えて、歯科修復物は、咀嚼装置の一部となり、したがって、咀嚼および臼磨プロセスによる摩耗に曝される。歯科修復物を抵抗性にし、充填されるギャップに形状を適合させる方法が知られている。
【0004】
対応する歯科補綴物が使用される患者の個々の口腔内状態への、歯科補綴物の色の適合も、歯学において知られている。典型的には、標準化された歯の色合いのキー(例えば、VITA classical A1-D4(登録商標)シェードガイド)が、修復物の色合いを決定するのに使用される。歯科修復物の作製のための材料は、通常、異なる基本色(歯色)で提供される。現実により近い口腔内の色勾配を表現するために、材料において色勾配がすでに実現されている、歯科修復物の作製のための材料も存在する。しかし、この色の適合でさえ、口腔状態の個々の審美性に合い、使用するべきであった色に、常に対応するとは限らない。典型的には手動で、歯の色合いのキーに応じた色で補綴物を染色し、それにより結果を改善する方法が知られている。歯および歯科補綴物の分野では特に、審美性は極めて大きな役割を果たす。患者はしばしば、それと認識するのが困難または不可能な歯科補綴物しか受け入れない場合さえある。
【0005】
患者の口腔内状態に色を合わせた、天然歯の最も本物に忠実な複製またはコピーを得るための、歯科補綴物のカスタマイズされた染色は、必要に応じて、典型的には歯科技工室で長年の経験を有する専門家によって手作りで行われる、困難な課題である。これは、対応する専門家に対する高い需要、それに応じて、そのようなカスタマイズにかかる高い費用をもたらす。
【0006】
発明者らは、費用効果が高いままでありながら個々の状態に高度にカスタマイズされ得る歯科修復物が、著しい販売上の利点を有することを認識している。本発明の目的は、実行しやすく、これによりすでに大幅に費用を削減する、歯科修復物の色カスタマイズの方法を提供することであり、その結果、前述の方法を多くの人が実行することができ、実装は数少ない専門家に限定されない。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明は、デジタル印象によって修復物を作製する歯科医が、修復物を色カスタマイズできるようにする。例えば、色の複雑さのため以前は歯科技工室に送られていた修復物は、今では現場で作製され得、したがって、適用可能な場合は、患者がさらなる立会い時間をもつ必要がないようにもする。本発明のさらなる態様は、特に費用効果が高いが、それにもかかわらず高品質な、歯科修復物の色カスタマイズのための方法を提供することである。
【0008】
本発明はまた、それにより歯科修復物を染色することができる、色カスタマイズのための装置に関する。
【0009】
本発明によって、既知のシステムに関する記載で言及される欠点は克服され得る。
【0010】
本発明は、歯科修復物の色カスタマイズの方法を提供する。歯科修復物の着色のための本発明による方法は、歯測定データからの情報が提供される、「歯測定データを提供する」ステップを含む。この情報は、典型的には、少なくとも歯科修復物が挿入される適用領域をカバーする、3Dデータに色情報を加えたものである。言い換えれば、例えば、コンピュータなどの演算ユニットで、歯測定データの以前に作成された記録がインポートされる。歯測定のデータセットは、演算ユニットにすでに記憶済みであり得る。しかしながら、歯測定データが、最初にこれまたは関連演算ユニットで作成され、色カスタマイズのための方法に直接利用可能とされることも、本発明の範囲内である。この場合、「提供すること」は、歯科修復物の色カスタマイズのための方法に関連して最初に実行されるべき計算を実行するプログラム構造によって、歯測定のデータを引き継ぐことを意味する。
【0011】
方法は、「修復物データを提供する」ステップをさらに含む。言い換えれば、前述のプログラム構造は、例えば材料の構造または材料のベース色に関して歯科修復物を記述するデータを取得する。例えば、データは、テーブルに記憶され得、方法の一部としてプログラム構造から取り出され得る。修復物データはまた、手順の過程でユーザによって手動入力として入力され得る。この変形形態では、修復物データの手動入力のプログラム構造による取得が、プログラム構造によって「修復物データを提供する」ステップを表す。
【0012】
さらに、方法は、「染色またはグレーズ顔料データを提供する」ステップを含む。例えば、ステインは、修復物が染色後に焼結される場合に使用され、その結果、色が焼き付く。グレーズ顔料は、修復物が染色後に艶出しのみを施される場合に使用される。
【0013】
例えば、染色またはグレーズ顔料の読み込み時、プログラム構造は、色を指定する特性が記載されたカラーテーブルからデータを取得し、その色は、修復物を色カスタマイズするのに使用され得る。そのような特性データは、例えば、対応する色が、使用される修復物の材料とどのように相互作用するか、それぞれの色の構成、またはそれぞれの色がどの色合いを有するかを含み得る。強度または色は、使用される修復物の材料で変わり得る。例えば、歯科用セラミックが、修復物の材料として使用され得る。
【0014】
本発明によれば、色特性が、修復物データを考慮して、歯測定データまたは他の情報から生成される。一例では、色特性は、決定された歯の表面、または場合によっては修復物の表面のグリッド、特に3dグリッドを含み、色情報が、グリッドの各グリッド点に割り当てられる。色特性のグリッド点は、割り当てられた明度に関して分析され得る。言い換えれば、グリッドのグリッド値は、歯測定データのデータに基づいて明度を割り当てられる。グリッドはまた、三角形メッシュの形態であり得る。歯科測定データが、機能的または審美的理由で色特性の生成に適さない場合、他の情報が使用されてよい。
【0015】
別の例では、色特性は、明度画像のピクセルを含む。前述のピクセルは、好ましくは、挿入領域または比較領域などの異なる所定の領域に割り当てられる。
【0016】
続いて、例えばパーソナルコンピュータなどの演算ユニットによって、多色目標着色が、色データを考慮して色特性から計算される。目標着色は、例えば、色特性のグリッド点が特定の色に割り当てられるべきか、または未処理のままにするべきかに関する情報を含む。例えば、修復物の基本色と同一または類似の明度が着色されない閾値を設定することが可能である。類似の方法で、明度の閾値が、個々の色に割り当てられ得、その結果、1つの色は、色調の範囲内で均一に使用される。アルゴリズムは、適切な色マッピングを計算し得る。一例では、アルゴリズムは、色点またはグリッド点間の色の補間を実行し得、したがって、色勾配を滑らかにし得る。所望または目標着色は、3次元格子のどの色点またはグリッド点が明度の変更、すなわち色カスタマイズを受けるかを示す。この目的で、例えば使用される色、それらの適用幅、および修復物がそれから作製されることになる材料を意味する修復物のブランク材料との、それらの相互作用を考慮した、目標着色の計算のために、情報が取得および処理され得る。したがって、目標着色は、色が使用される修復物のどの点もしくはグリッド点または領域で、例えば、どのストローク幅、色強度、または色相が各々有益であるかのガイドとして使用され得る。例えば、色強度および色合いは、適用される量に基づいて調節され得る。異なる色種が、異なる歯の種類のために提供され得る。例えば、色種は、切端領域のカスタマイズ用、または大臼歯の裂溝のカスタマイズ用に提供され得る。さらに、修復物の基本色を特定の色の方向に変更することができる色種が提供され得る。
【0017】
歯科修復物の色カスタマイズのための多色目標着色が出力される。多色目標着色の出力の例は、色使い、ストローク幅、色強度、インク塗布密度の前述のデータの、コンピュータの画面などの表示装置上への出力である。前述のデータは、修復物の画像と重なって示されてよく、その結果、色使いの表現がはっきりと見える。色テンプレートは表示装置上に視覚化され、ユーザはそれを使用して修復物を着色すると言える。しかしながら、これは、計算された目標色をさらなる使用のために出力することができるいくつかの方法のほんの一例に過ぎない。
【0018】
歯測定データは、好ましくはグラフィックカラー画像の形態で利用可能である。例えば、それは3Dカメラで記録される。カメラ画像から、歯の状態の表面グリッドが生成され得る。表面グリッドは、例えば挿入領域などの領域に分割され得、その結果、グリッド点はそれらの明度とともに、挿入領域に割り当てられ得る。
【0019】
歯測定データは、比較領域をさらに含み得、前述の比較領域は、例えば、挿入領域に隣接および/もしくは対向して配置される。比較領域はまた、後で除去される歯質の色情報を記録するために、処置される歯(単数または複数)の形成の前に記録され得る。言い換えれば、充填される領域に隣接する歯、すなわち、例えば歯のギャップに隣接する歯が決定され、歯のギャップは挿入領域を表し、これらの歯は前述の比較領域と関連する。したがって、隣接する歯と関連するグリッド点の明度は、比較領域に割り当てられる。
【0020】
目標着色は、挿入領域および比較領域から決定され得る。例えば、色特性の明度の多次元線形補間が使用されて、比較領域または範囲と挿入領域または範囲との間の一様な色移行を生成する。
【0021】
好ましい実施形態では、「歯測定データを提供する」ステップは、未形成の歯の歯測定データをインポートすること、および形成済み歯の第2の歯測定データをインポートすることも含み得、形成済み歯は、その後の処置のために形成されている。言い換えれば、挿入領域が未形成である、口腔内状態の第1の3D画像が作成され得、挿入領域が歯科修復物の受け入れのためにすでに形成されている、口腔状態の第2の3D画像が作成される。
【0022】
「歯測定データを提供する」ステップの前に、特に、個々の口腔内歯科状態のカラー3D画像として、「歯測定データを作成する」ステップが含まれ得る。言い換えれば、最初に、口腔内の歯の状態の歯測定データが、好適な記録装置で生成され、次いで、色特性を生成するためのさらなる処理のために、プログラム構造によってインポートされる。
【0023】
歯測定データから色特性を生成するために、歯測定、特に挿入領域において、範囲が有利に特定され、歯構造の範囲などの範囲の細分化が実行され得る。歯構造の範囲は、歯面または裂溝などの特定の歯の範囲に割り当てられ得る。歯測定がピクセルを有しかつ各ピクセルが画像明度を有する場合、またはグリッド点が計算される場合、画像明度またはグリッド点明度は、歯測定のそれぞれの範囲に割り当てられ得る。
【0024】
色分布図の形態のモデル配色は、プログラム構造に記憶され得、これは、各歯の種類の基準案を含み、次いで、挿入領域および比較領域からの色情報に基づいて、個々の状態に適合される。これは、すでに有用な結果を提供し得るか、またはさらなる計算の基礎となり得る。
【0025】
あるいは、色特性を、他の情報を得ることによって(例えば、「スマイルデザイン」によって)、歯測定データを参照せずに、ユーザが自由に設計することもできる。比較データまたは既存の残った歯質が、機能的および/または審美的理由で適さない場合、これは特に重要であり得る。
【0026】
目標着色を計算することは、修復物の所望または目標色特性を決定するためにアルゴリズムを適用することをさらに含み得る。例えば、アルゴリズムは、修復物データ、記録された測色データ、3D表面データ、および染色またはグレーズ顔料に関する情報を考慮し得る。
【0027】
目標着色の演算は、使用される色、色勾配、および/または色の線幅の生成も含み得る。
【0028】
「目標着色を計算する」ステップは、好ましくは、比較データを読み込むこと、比較データと色特性との比較を実行するアルゴリズムを適用することを含み、アルゴリズムは、目標着色が、例えば歯構造を考慮して、色特性のデータから生成される変換ステップを実行する。言い換えれば、色特性の構造データおよび比較データは予め決定され、色特性がどの程度比較データと一致するか、またはそこからずれるかが決定される。比較データが含まれている例は、以前のカラー写真またはラボ実験からの明度であるが、比較データを比較領域から決定することもできる。
【0029】
「目標着色を計算する」ステップは、色特性から生成または導出可能な色勾配を決定すること、および色勾配を使用して目標色特性を生成することを含み得る。
【0030】
比較データは、好ましくは、歯科測定データ、および以前の歯科修復物の目標着色から得られてよい。代替として、または追加として、比較データを、ラボ実験で得られたデータから受け取ることができる。
【0031】
アルゴリズムは、色特性から色勾配を計算するように用意され得、例えば、数学的補間手段が、色勾配を計算するために使用されている。アルゴリズムは、歯測定データの色の状態を評価し、そこから色特性を計算するための人工知能も含み得る。
【0032】
「目標着色を出力する」ステップは、表示装置上に目標着色を表示することをさらに含み得る。代替として、または追加として、使用される色、色勾配、および/または色の線幅が、表示装置上に表示され得る。さらに、出力ステップは、プリンタで目標着色を出力すること、および/またはデータキャリアに目標着色を出力することを含み得る。
【0033】
修復物データは、好ましくは、以下の情報:ブランク材料またはブランクベース色の少なくとも1つ含む。
【0034】
さらに、「修復物データを提供する」ステップは、特に予備焼結ステップの後に、修復物材料を走査することを含み得る。
【0035】
歯科修復物は、単一の歯のギャップを塞ぐか、または複数のギャップを塞ぐように形成され得る。
【0036】
「目標着色を出力する」ステップは、歯科修復物が目標着色を受けるような方法での、「着色液」(焼結セラミック用の金属イオンの水溶液)などの異なる染色またはグレーズ顔料を用いた、歯科修復物の色カスタマイズをさらに含み得る。
【0037】
「目標着色を出力する」ステップの後に、「歯科修復物を仕上げる」ステップが行われ得る。仕上げは、例えば、再焼結、結晶化、または艶出しであり得る。
【0038】
さらに、着色された歯科修復物を作製するための方法が、本発明の対象であり、例えば口腔内歯科状態のカラー3D画像として「歯測定データを作成する」ステップであって、歯測定データは、歯科修復物が挿入される少なくとも1つの挿入領域を含む、ステップと、少なくともブランク材料およびブランクベース色を決定するために、「修復物データを提供する」ステップと、「染色またはグレーズ顔料に関する情報を提供する」ステップと、修復物データを考慮して、歯測定データから「色特性を生成する」ステップと、染色またはグレーズ顔料に関する情報を考慮して、色特性から「多色目標着色を計算する」ステップと、ブランク材料から「歯科修復物を製造する」ステップと、目標着色を修復物に適用するために、「目標着色を出力する」ステップと、任意選択で修復物を焼結または結晶化するステップとを含む。
【0039】
本発明は、上記のような方法によって作製される歯科修復物も含む。
【0040】
さらに、歯科修復物の色カスタマイズのための装置が本発明に従い、装置は、歯測定データを蓄積するためのメモリであって、歯測定データは、歯科修復物が挿入される少なくとも1つの挿入領域を含み、さらには修復物データおよび染色またはグレーズ顔料に関する情報を記憶するためのメモリを備える、演算ユニットを含む。装置は、修復物データを考慮して、歯測定データから色特性を生成し、染色またはグレーズ顔料に関する情報を考慮して、色特性から目標着色を計算するためのプロセッサをさらに含む。装置は、歯科修復物の色カスタマイズのために、多色目標着色を視覚化するための出力装置をさらに含む。
【0041】
好ましい実施形態では、歯科修復物の色カスタマイズのための装置は、目標着色を表示するための表示装置、および/または目標着色を出力するためのプリンタ、および/または目標着色をデータキャリアに出力するための書き込み装置を含み得る。
【0042】
さらに、装置は、多色目標着色を歯科修復物に適用するように適合される着色装置を含み得る。
【0043】
着色装置は、複数の異なる着色溶液を提供し得る。着色装置は、好ましくは、色を歯科修復物に自動的に適用するように適合される。
【0044】
着色装置は、好ましくは、複数(例えば9色以上)の異なる着色溶液を提供し得る。より好ましくは、着色装置は、着色溶液を異なる線幅で提供するように設計される。
【0045】
装置は、歯科修復物への色の適用を確認するための光学記録装置を含み得る。これは、例えば、歯測定データが以前に実行された記録システムで実行され得る。
【0046】
したがって、色の適用は、フィードバックシステムの方法で連続的に監視され得、目標着色からのずれがある場合、例えば音響的もしくは光学的に信号が発せられ得るか、または着色が自動的に修正され得る。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】色カスタマイズ手順のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1を参照すると、好ましい中間ステップを含む、本発明による色カスタマイズ方法のフローチャートが示されている。歯測定ステップ110では、歯測定データが作成される。例えば、歯測定の基礎は、例えばOmnicam(登録商標)カメラで作成された、患者の口腔状態の3D画像であり得る。
【0049】
任意選択で、第1の歯科測定112および第2の歯科測定114が行われ得る。これは、まず、欠損した歯を有する元の口腔状態の初期挿入領域が、第1の歯測定112として記録され、次いで、例えば第2の歯測定114として、歯科復元物の受け入れのための形成が完了した、すでに形成済みの挿入領域が記録される場合であり得る。
【0050】
歯測定データ提供ステップ120では、作成された歯測定データがインポートされる。インポートは、プログラム構造100によって実行され得る。プログラム構造100は、例えば、目標着色を出力するまでの、コンピュータベースのデータの演算と関連する全てのステップ120、130、140、150、160を実行してよい。歯測定データ作成ステップ110が、同じプログラム構造100によって実行されることも提供されてよい。次いで、必要に応じて、歯測定データ提供ステップ120は、省かれ得るか、または場合によっては、プログラム構造100内での歯測定データの受け渡しであり得る。2つの歯測定データ112、114が作成された場合、歯測定データのインポートも、ステップ122、124で行われ得る。
【0051】
修復物データ提供ステップ130では、修復物に関するデータ、例えば、修復物材料および修復物のベース色が、プログラム構造100にロードされる。修復物データのインポート130は、任意選択で、ユーザによって手動で実行されてよいか、または歯測定110の前の時間に実行されてよい。いずれの場合も、修復物データ提供ステップ130によって、プログラム構造100は修復物データにアクセスでき、データはさらなる計算のために考慮され得る。
【0052】
染色またはグレーズ顔料に関する情報のインポートステップ140では、染色またはグレーズ顔料、色合い、明度および/または色強度、異なる材料への色の効果のような色種に関するデータがインポートされるが、色の利用可能性、製造者コード等も記憶され得る。
【0053】
色特性生成ステップ150では、インポートされたデータ120、130、140が統合され、修復物のための色特性が生成される。例えば、歯測定データ120の表面構造が認識され、領域または範囲に割り当てられる。例として、そのような範囲は、挿入領域または比較領域であり得る。
【0054】
表面構造は、グリッド、メッシュ、3dグリッド等として提示されてよい。測定された表面はまた、三角形メッシュとして表現され得る。各三角形またはネットワーク中の各ノードに、歯の表面または復元物の表面の、関連する表面部分の色情報が割り当てられ得る。グリッド点の明度が抽出され得、領域または範囲に割り当てられ得る。次いで、修復物のベース色などの修復物データが、個々の領域に割り当てられ得る。
【0055】
統合された情報から、目標着色計算ステップ160で、最終的に多色目標着色が計算される。色の好みは、範囲または構造情報によってすでに割り当て済みであり得る。例えば、どちらかと言えば、歯の頬側面または側面では、面でのカスタマイズが好まれ、切歯の切縁などの裂溝または縁部の付近では、微細な構造が好まれる。例えば、遠位ディンプルまたは大臼歯の咬頭などの中程度のサイズの構造では、今度は、平均的なカスタマイズが好まれる。これは、例えば使用されるストローク幅に関する着色の提案の選択に影響を及ぼす。この場合、提案色分布図は、異なる種類の歯についてプログラム構造100に記憶され得、続いて、挿入領域の色情報、および有利には隣接する歯または他の歯などの比較領域の色情報にも基づいて、挿入領域の個々の口腔状態に近似される。
【0056】
色の異なる効果をもたらす、色と材料との相互作用が存在し得るため、選択された修復物材料は、使用される色に影響を及ぼす。目標着色計算ステップ160では、色特性150のデータから色勾配が得られてよく、色相などの色むらまたは局所的な色ずれが検出されてよい。
【0057】
修復物のための目標色勾配は、ここで、数理モデルによってこれから決定され得る。例として、これは、修復物の決定された各範囲に対して別々に行われ得、範囲を分ける線は、裂溝などの既知の構造分離線に割り当てられる。数理モデルの例は、範囲に割り当てられた明度に対する多次元線形回帰である。
【0058】
目標色勾配を計算するための別の例は、この目的のためにプログラムされ、設定された人工知能の使用であり、人工知能は、例えば、試験データセットに基づいて独立して学習して色分布を復元物に適合させるように設計される。他の歯からの、例えば、隣接する歯および/または対向する四分円中の歯を含む比較領域からの色勾配データを使用してよい。人工知能は、技工室で作られた復元物の例示的色勾配で訓練され得、この情報は、製造される復元物の新しい色勾配の作成に使用され得る。
【0059】
歯科修復物で達成される色勾配について決定された色情報に加えて、目標着色160を計算するために、どの範囲または領域が、特定の色種および特定の色強度で着色されるかが決定される。言い換えれば、利用可能な色のどれが、どの利用可能な線幅および可能な強度で、修復物のどの領域に適用されるかが決定され、
図2も参照されたい。
【0060】
達成される目標着色160を決定するために、修復物材料のベース色と目標色との間の色差が、まず、各グリッド点または三角形点で決定され得る。その後、目標着色160の計算では、利用可能な色種および/またはペン種のどれが、この色差を最適に低減するかが特定され得る。可能な出力170は、修復物のどの範囲に特定の色種および/またはペン種が適用されるかである。有利には、色差の閾値も提供され得、その結果、ベース色、または使用される色種もしくはペン種からのずれがほとんどないので、色種またはペン種の変更は実行されないが、例えば、表面は均一に染色される。
【0061】
最終的に、出力ステップ170では、計算された目標着色160が出力される。例えば、出力170は、コンピュータの画面などの表示装置172上に出力される。この場合、例えば、色、ペン、およびストローク幅をディスプレイ172上に表示することによって、修復物に適用される色についての指示をユーザに提供することが可能である。別の例では、出力は、例えば、歯科技工室に渡すために、計算された目標着色160を記憶するためのデータキャリア174上にあってよい。さらに別の例では、出力は、例えば箔プリンタなどの、プリンタ176で実行されてよい。そのような箔プリンタは、歯箔に印刷することができ、これは、後続の焼結ステップまたはグレーズ焼成のために修復物の表面に有利に適用され、その結果、修復物の着色が再焼結またはグレーズ焼成中に行われる。前述の箔は、好ましくは、焼結プロセス中に残渣なしで燃焼する有機材料製である。
【0062】
図2は、歯科修復物210への目標着色160の可能な出力の略図を示す。この例では、説明を簡単にするために、構造範囲として1つの頬側面のみを有する、切歯の修復物の例を示す。第1の色種「A」は、第1の密度で、構造領域の上部220に適用される。色の適用密度は、線220の間隔によって説明される。同じ色種「A」は、構造領域の中心に向かってより低い適用密度222で続く。ここに示す
図2の例における構造の中心部の範囲では、修復物材料の基本色が、目標歯色にすでに十分によく合っているため、カスタマイズされた色の適用は必要とされない。
【0063】
多色目標着色160を示す、
図2の歯科修復物210の右側部分では、第2の色種「B」が適用される。色種「B」の色適用の方向および密度224、226は、目標着色160の出力に含まれる。したがって、最初に、水平に近い第1の線引き224が、第1の線密度で適用され、続いて、第2の線引き226が、第2の線密度で、表示された角度で適用される。
【0064】
図2の歯科修復物210の左側部分では、色種「B」の別の色適用228が適用される。目標着色160は、出力170に、予め計算された線密度での色適用228を示す。例えば、歯のカスタマイズ色は、ユーザによって修復物210に直接適用され得る。その際、出力170は、修復物にどの色および線幅を適用するかをユーザに指示するため、ユーザは、目標着色160の演算を使用することができる。歯科修復物210の同じ左側部分では、色種「C」での染色ジョブ230が、前の染色ジョブ228の上に適用される。これは、混色をもたらし得る。色種「C」での染色ジョブ230は、線密度に関しても指定される。さらに、ジョブ230のストローク幅は、例えば、染色ジョブ220のストローク幅より広い。これは、より幅広いペン、より幅広いブラシ、もしくはスプレーヘッドを用いたステインのより広範囲のスプレーの適用、または類似のステインの適用を示し得る。
【0065】
図3を参照すると、歯科修復物の色カスタマイズのための装置300の実施形態が示されている。演算ユニット310は、プログラム構造100が記憶されているメモリ312、およびプログラム構造100の処理ステップを処理するためのプロセッサ314を収容する。歯測定データ110、112、114は、メモリ312に記憶され得、歯測定データは、歯科修復物が挿入される少なくとも1つの挿入領域を含む。さらに、修復物データ130、および対応する染色またはグレーズ顔料に関する情報140が、メモリ312に記憶されてよい。プロセッサ314を用い、前述のデータを考慮することによって、色特性150およびそれから多色目標着色160が計算され得、これは、例えば、目標テンプレート表示305または色適用箔307として、出力され得る。
【0066】
図3に示す装置300は、その実施形態中に3つの出力装置320、322、324を有する。まず、それによりフィルムまたは箔307を分配することができるプリンタ320が示される。適用される色にプリンタ320で印刷される、色適用箔307は、歯科修復物に適用され得、歯科修復物とともに再び焼結され得る。箔は、着色要素が焼結プロセス中に修復物に移り、着色要素を担持する輸送箔が残渣なしで燃焼するように設計される。
【0067】
表示装置322は、演算ユニット310に接続される。表示装置322は、それによりユーザが特定の簡単かつ直感的な方法で歯科修復物を染色することができる、着色テンプレート305を示す。
【0068】
書き込みユニット324は、演算ユニット310によって計算された目標着色160をデータキャリアに書き込むように設定される。
【0069】
出力装置320、322、324は独立して操作され得る。したがって、類似の例では、演算ユニット310はまた、単に表示装置322に接続されてもよいか、またはプリンタ320等のみを含んでもよい。
【0070】
図4を参照すると、歯科修復物405の色カスタマイズ中に歯科専門家を支援するためのさらなる装置400が示されている。演算ユニット410は、プログラム構造100を記憶するためのメモリ412、およびさらに、プログラム構造100で演算を実行するためのプロセッサ414を含む。演算ユニット410は、目標着色160をデータキャリアに書き込むための書き込みユニット424をさらに含む。
【0071】
図4の実施形態では、自動染色装置430が提供される。自動染色装置430は、示された実施形態では、目標着色160に従う演算ユニット410の指示に応じて、染色装置430によって個々に設定および使用され得る複数(例えば9色)の異なる色432を含む。適用に応じて、それらは、染色顔料432であってよいか、またはグレーズ顔料432であってよい。
【0072】
様々な実験において、9色の保存により、歯科専門家が要求する歯科修復物のための十分なカスタマイズの種類が可能となることが示されている。しかしながら、歯科修復物の最良の可能なカスタマイズ結果を得るために、染色装置430-またはユーザ-が、9色432より多いかまたは少ない色、例えば、8色、7色もしくは6色、またはさもなければ10色、11色以上を使用することは排除されない。より好ましくは、7色以上の色432が使用され得る。
【0073】
例えば、染色装置430は、4~30色の異なる色種、好ましくは7~30色、特に好ましくは9~30色または9~20色の色種を収容する、色容器436を含んでよい。追加として、または代替として、染色装置430は、より広い領域またはより狭い領域を染色し、必要に応じて、より強い強度またはより弱い強度を適用する、様々なスプレーヘッド434を含んでよい。
【0074】
類似の方法で、表示装置322上への目標着色160の出力は、4~30色の異なる色種の区別を表現し得、かつ/または異なる線幅を出力し得る。好ましくは、これは7~30色、より好ましくは9~30色または9~20色の異なる色種であってよく、ユーザが適切な色種および/または対応するストローク幅を使用するのをガイドするように、表示装置322上に異なって表示される。
【0075】
自動染色装置430は、それにより目標着色160に従って異なる色および場合によっては異なる線密度で歯科修復物405にスプレーすることができる、スプレーユニット434を有する。
【0076】
染色またはグレーズ色素432は、例えば、塩化物に基づく金属塩、例えば、MnCl2、TbCl3、ErCl3、PrCl3、NdCl3、またはCrCl3を含む染色溶液を有する。例えば、酢酸塩に基づく金属塩を含む染色溶液を使用することも可能である。色溶液は、例えば、修復物材料の様々なセラミック材料について試験されて、材料との混合効果および結果として生じる色の変化を決定する。
【0077】
装置400は、歯科修復物405への染色プロセスを記録するための光学記録装置440をさらに含み得る。例えば、スプレーヘッド434のノズルの詰まりまたは他の影響によって引き起こされる、スプレーヘッド434によるステインの適用の目標着色160からのずれがある場合、演算ユニット410は、ずれに応答して、色の適用の変更、インク塗布の取り消し、または染色ジョブのキャンセルのいずれかで対抗し得る。言い換えれば、装置400は、カメラ440が、自動染色装置430によるステインの適用を監視し、演算ユニット410にずれを報告する、フィードバックシステムを含み得る。任意選択で、演算ユニットは、異なる色の適用の検出時に、目標着色160を再計算し、染色装置430の挙動の変化を考慮し得る。記録装置440はまた、例えば、目標着色160の出力170がディスプレイ322上に提供され、ユーザが歯科修復物405に色を手動で適用する場合に使用されてよく、その場合、例えば歯科修復物が記録され、光学的に検出された色が演算ユニット310、410に報告されるという点で、色の適用はユーザによって制御される。
【0078】
上記の実施形態は例として読まれ、発明はそれらに限定されず、特許請求の範囲から逸脱することなく多くの方法で変更され得ることが当業者には明らかであろう。明細書、特許請求の範囲、図面、またはその他に開示されているかに関わらず、特徴は、他の特徴とともに記載されている場合でも、発明の本質的な構成要素を各々個別に定義し得ることも明らかであろう。全ての図面で同じ参照番号は同じ対象を表し、その結果、1つまたは少なくとも全てではない図面でのみ言及され得る対象の説明を、主題が説明に明示的に記載されていないこれらの図面に適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
参照番号の一覧
110 歯測定の作成
112 第1の歯測定の作成
114 第2の歯測定の作成
120 歯測定データを提供する
122 第1の歯測定データを提供する
124 第2の歯測定データを提供する
130 修復物データを提供する
140 染色またはグレーズ顔料に関する情報を提供する
150 色特性を生成する
160 多色目標着色を計算する
170 多色目標着色の発行
172 表示装置上への視覚化
210 歯科修復物
220 色適用プリセット色種「A」
222 適用密度が変化した、色適用指定色種「A」
224 色適用プリセット色種「B」
226 適用密度が変化した、色適用指定色種「B」
228 色適用プリセット色種「B」
230 色適用プリセット色種「C」
300 装置
305 表示された、歯科修復物の目標色適用
307 印刷された、歯科修復物の色適用
310 コンピュータユニット
312 メモリ
314 プロセッサ
320 プリンタ
322 ディスプレイ
324 書き込みユニット
400 装置
405 歯科修復物
410 コンピュータユニット
412 メモリ
414 プロセッサ
424 書き込みユニット
430 自動染色装置
432 色または色種
434 スプレーヘッド
436 カラー画像
440 光学記録装置(フィードバックユニット)