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<図1>
  • -建具枠 図1
  • -建具枠 図2
  • -建具枠 図3
  • -建具枠 図4
  • -建具枠 図5
  • -建具枠 図6
  • -建具枠 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】建具枠
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/988 20060101AFI20241226BHJP
   E06B 1/52 20060101ALN20241226BHJP
【FI】
E06B3/988 B
E06B1/52
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021562721
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 JP2020045069
(87)【国際公開番号】W WO2021112186
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-10-24
(31)【優先権主張番号】P 2019221044
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519436323
【氏名又は名称】BX文化パネル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮前 孝司
(72)【発明者】
【氏名】清瀬 亮二
(72)【発明者】
【氏名】山本 高志
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-255589(JP,A)
【文献】実公昭60-35752(JP,Y2)
【文献】仏国特許発明第1411743(FR,A)
【文献】仏国特許発明第1155085(FR,A)
【文献】特開平8-114063(JP,A)
【文献】実開昭56-75283(JP,U)
【文献】実開昭54-170630(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/52
E06B 3/988
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向へ延設される縦枠部材と、前記縦枠部材の上端側に接続されて見付け方向へ延設される上枠部材とを備え、
前記縦枠部材は、その上端に、当該縦枠部材内の空間に連通する開口部を有し、
前記上枠部材は、前記縦枠部材に設けられる嵌合部に対し見付け方向及び見込み方向へ移動不能に嵌り合う被嵌合部と、前記開口部を塞ぐ塞部とを一体に有し、
前記縦枠部材と前記上枠部材は、これらの間の内隅状部分に設けられる接続具を介して、一体的に接続されることを特徴とする建具枠。
【請求項2】
前記塞部は、見付け方向に沿う平板状に形成され、前記縦枠部材の上端縁に近接又は接触していることを特徴とする請求項1記載の建具枠。
【請求項3】
前記嵌合部と前記被嵌合部のうち、その一方は、他方を有する前記部材に対し交差する突片状に形成され、その他方は、前記一方に対し嵌り合うスリット状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の建具枠。
【請求項4】
前記縦枠部材は、上下方向にわたって枠内側の面を形成する枠内側板部と、この枠内側板部における見込み方向の一端側と他端側からそれぞれ見付け方向に沿って枠外側へ向かう見付け板部とを有し、
前記上枠部材は、見付け方向にわたって枠内側の面を形成する枠内側板部と、この枠内側板部における見込み方向の一端側と他端側からそれぞれ上方へ向かう上向き板部と、一端側の前記上向き板部の上端側と他端側の前記上向き板部の上端側とから互いに対向し合うように内向きに突出する内向き板部とを有し、
前記嵌合部は、前記縦枠部材における前記枠内側板部の上端側に、上方を開口した凹状の切欠部を設けることで、この切欠部の両側にそれぞれ突片状に形成され、
前記被嵌合部は、前記上枠部材における見込み方向の両側で、前記枠内側板部と前記上向き板部と前記内向き板部にわたるスリット状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の建具枠。
【請求項5】
前記塞部は、前記上枠部材の前記内向き板部を枠外側へ延設することで形成されることを特徴とする請求項4記載の建具枠。
【請求項6】
前記切欠部における下側の縁には、該縁を部分的に切欠してなる小切欠部が設けられ、前記上枠部材の前記枠内側板部には、前記小切欠部に嵌り合う凸部が設けられていることを特徴とする請求項4又は5記載の建具枠。
【請求項7】
前記縦枠部材の前記枠内側板部には、上下方向へわたって枠内側へ突出する凸部が設けられ、
前記上部材の前記枠内側板部には、前記縦枠部材の前記凸部に嵌り合う切欠部が設けられていることを特徴とする請求項4又は5記載の建具枠。
【請求項8】
前記凸部の上端部は、前記縦枠部材における前記枠内側板部の上端側に設けられた前記切欠部の下側の内縁と面一であることを特徴とする請求項7記載の建具枠。
【請求項9】
前記接続具は、断面略L字のアングル状部材であり、その一片部分が前記縦枠部材に対し固定されるとともに、他片部分が、前記上枠部材に対し接続されることを特徴とする請求項1~8何れか1項記載の建具枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉(ドア)等の建具本体の周囲に設けられる建具枠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に記載されるように、内部空間に連通する開口部を上端に有する縦枠本体と、この縦枠本体の上端側に接続されて横方向へ延設される横枠と、前記縦枠本体の端部側に溶接された連結具と、前記横枠を前記縦枠本体及び前記連結具に止着するねじとを備えた建具枠がある。
このような建具枠を、建物等の躯体の開口部内縁に装着する場合、縦枠本体及び横枠には、躯体壁面から手前側へ若干突出する部分が確保される。この部分の突出寸法は、チリあるいはチリ寸法と呼称される場合がある。
したがって、建具枠を躯体壁面の開口部内縁に装着した状態では、前記チリ寸法を確保するために、縦枠本体上端の開口部の一部が躯体壁面の外側に露出する場合がある。そして、このような場合には、露出した開口部に異物や害虫等が侵入したり、この開口部に作業者等が触れてしまったりするおそれがある。
そこで、特許文献1の建具枠では、縦枠本体上端の開口部に、別体の矩形枠状の蓋部材を嵌め合わせ、溶接等により固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-004232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構造では、別体の蓋部材を製造する作業や、この蓋部材を縦枠本体の上端側に位置決めして溶接する作業等が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するために、以下の構成を具備するものである。
上下方向へ延設される縦枠部材と、前記縦枠部材の上端側に接続されて見付け方向へ延設される上枠部材とを備え、前記縦枠部材は、その上端に、当該縦枠部材内の空間に連通する開口部を有し、前記上枠部材は、前記縦枠部材に設けられる嵌合部に対し見付け方向及び見込み方向へ移動不能に嵌り合う被嵌合部と、前記開口部を塞ぐ塞部とを一体に有し、 前記縦枠部材と前記上枠部材は、これらの間の内隅状部分に設けられる接続具を介して、一体的に接続されることを特徴とする建具枠。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、縦枠部材上端の開口部を簡素な構造により塞ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る建具枠を用いた建具の一例を示す正面図である。
図2】同建具枠の要部斜視図である。
図3】同建具枠の要部分解斜視図である。
図4】縦枠部材の一例を示す三面図であり、(a)は建具枠の正面側から視た図、(b)は(a)に対する右側面図、(c)は(a)におけるc-c線に沿う断面図である。
図5】上枠部材の一例を示す三面図であり、(a)は建具枠の正面側から視た図、(b)は(a)におけるb-b線に沿う断面図、(c)は(a)に対する下面図である。
図6】本発明に係る建具枠の他例を示す要部斜視図である。
図7】本発明に係る建具枠の他例を示す要部分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第1の特徴は、上下方向へ延設される縦枠部材と、前記縦枠部材の上端側に接続されて見付け方向へ延設される上枠部材とを備え、前記縦枠部材は、その上端に、当該縦枠部材内の空間に連通する開口部を有し、前記上枠部材は、前記縦枠部材に設けられる嵌合部に対し見付け方向及び見込み方向へ移動不能に嵌り合う被嵌合部と、前記開口部を塞ぐ塞部とを一体に有する(図1図5参照)。
ここで、前記「開口部を塞ぐ塞部」には、開口部の略全部を塞ぐ態様と、開口部の一部を塞ぐ態様との双方を含み、開口部の一部を塞ぐ態様とする場合には、チリ寸法部分を含むようにする。
【0009】
第2の特徴として、前記塞部は、見付け方向に沿う平板状に形成され、前記縦枠部材の上端縁に近接又は接触している(図2図5参照)。
【0010】
第3の特徴として、前記嵌合部と前記被嵌合部のうち、その一方は、他方を有する前記部材に対し交差する突片状に形成され、その他方は、前記一方に対し嵌り合うスリット状に形成されている(図3参照)。
ここで、前記「他方を有する前記部材」とは、前記縦枠部材と前記上枠部材のうちの一方の部材であって、前記嵌合部と前記被嵌合部のうちの一方に対する他方の部材を意味する。
すなわち、例えば、「前記嵌合部と前記被嵌合部のうち、その一方」を前記嵌合部とした場合、他方は前記被嵌合部であり、この他方(被嵌合部)を有する前記部材は、前記上枠部材になる。
逆に、例えば、「前記嵌合部と前記被嵌合部のうち、その一方」を前記被嵌合部とした場合、他方は前記嵌合部であり、この他方(嵌合部)を有する前記部材は、前記縦枠部材になる。
【0011】
第4の特徴として、前記縦枠部材は、上下方向にわたって枠内側の面を形成する枠内側板部と、この枠内側板部における見込み方向の一端側と他端側からそれぞれ見付け方向に沿って枠外側へ向かう見付け板部とを有し、前記上枠部材は、見付け方向にわたって枠内側の面を形成する枠内側板部と、この枠内側板部における見込み方向の一端側と他端側からそれぞれ上方へ向かう上向き板部と、一端側の前記上向き板部の上端側と他端側の前記上向き板部の上端側とから互いに対向し合うように内向きに突出する内向き板部とを有し、前記嵌合部は、前記縦枠部材における前記枠内側板部の上端側に、上方を開口した凹状の切欠部を設けることで、この切欠部の両側にそれぞれ突片状に形成され、前記被嵌合部は、前記上枠部材における見込み方向の両側で、前記枠内側板部と前記上向き板部と前記内向き板部にわたるスリット状に形成されている(図3参照)。
【0012】
第5の特徴として、前記塞部は、前記上枠部材の前記内向き板部を枠外側へ延設することで形成される(図3参照)。
【0013】
第6の特徴として、前記切欠部における下側の縁には、該縁を部分的に切欠してなる小切欠部が設けられ、前記上枠部材の前記枠内側板部には、前記小切欠部に嵌り合う凸部が設けられている(図3参照)。
【0014】
第7の特徴は、前記縦枠部材の前記枠内側板部には、上下方向へわたって枠内側へ突出する凸部が設けられ、前記上部材の前記枠内側板部には、前記縦枠部材の前記凸部に嵌り合う切欠部が設けられている(図6及び図7参照)。
【0015】
<具体的実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
以下の説明において、「見付け方向」とは、建具枠の横幅方向(図1によれば左右方向)を意味する。また、「見込み方向」とは、「見付け方向」に略直交する建具枠の厚みの方向を意味する。
また、「枠内側」とは、建具枠の内側を意味し、「枠外側」とは、建具枠の外側を意味する。
【0016】
図1は、本発明に係る建具枠を具備した建具の一例を示す。
この建具1は、開閉動作可能な建具本体Aと、この建具本体Aの周囲を矩形枠状に囲む建具枠Bとを備え、建具枠Bが建物等の躯体における壁の開口部内縁に嵌め合わせられる。
【0017】
建具本体Aは、図示例によれば、略矩形板状の扉(ドア)である。この建具本体Aは、その戸幅方向の一端側が、ヒンジa1を介して、建具枠Bの一方の縦枠部材10に回転自在に支持される。図中、符号a2は、開閉操作等のためのノブである。
【0018】
建具枠Bは、上下方向へ延設される縦枠部材10と、縦枠部材10の上端側に略直角に接続されて見付け方向へ延設される上枠部材20と、縦枠部材10の下端側に略直角に接続されて見付け方向へ延設される下枠部材30とを備える。
【0019】
縦枠部材10は、横幅方向に間隔を置いて二つ設けられる。
各縦枠部材10は、略C字状の断面形状を上下方向へ延設しており、その上端に、当該縦枠部材10内の空間に連通する上方向きの開口部10aを有する。この開口部10aは、後述する上枠部材20の塞部23aによって閉鎖される。
【0020】
詳細に説明すれば、各縦枠部材10は、枠内側の面を形成するように上下方向へ連続する枠内側板部11と、この枠内側板部11における見込み方向の一端側と他端側からそれぞれ見付け方向に沿って枠外側へ向かう見付け板部12,12と、一端側の見付け板部12の枠外側の端部と他端側の見付け板部12の枠外側の端部とから互いに対向し合うように内側へ突出する内向き板部13,13とを有する(図3及び図4参照)。
【0021】
枠内側板部11は、見込み方向の中央寄りに枠内側へ突出する凸部11aを有する。この凸部11aは、凸状の横断面形状を上下方向にわたって連続させている。
この凸部11aは、開放状態の建具本体Aが全閉する際に、建具本体Aにおける閉鎖方向側の面を受ける戸当り部として機能する。
【0022】
また、枠内側板部11の上端側には、上枠部材20の被嵌合部20aに対し見付け方向及び見込み方向へ移動しないように嵌り合う嵌合部14aが設けられる。
【0023】
嵌合部14aは、縦枠部材10における枠内側板部11の上端側における見込み方向中央側に、上方を開口し下方へ凹んだ切欠部14を設けることで形成される。すなわち、この切欠部14の両側の縁部分が、嵌合部14aとして機能する。各嵌合部14aは、上枠部材20に対し略直角に交差する平板突片状に形成されている。
【0024】
また、切欠部14における下側の縁には、該縁を、見込み方向の中央側で切欠した小切欠部14bが設けられる。
詳細に説明すれば、この小切欠部14bは、凸部11aに対応する位置で、切欠部14の下側の縁部分を凹状に切欠するとともに、凸部11aの上端側も切欠している。
【0025】
そして、枠内側板部11の下端側にも、上下対称になるように、上記構成の切欠部14、嵌合部14a及び小切欠部14b等が設けられる。
【0026】
両側の見付け板部12,12は、それぞれ枠内側板部11に略直交する平板状に形成され、縦枠部材10の全長にわたって連続している。
【0027】
また、両側の内向き板部13,13は、見込み方向に間隔を置いて対向する平板突片状に形成される。これら内向き板部13,13の間には、上下方向に適宜間隔を置いて複数の止着片部15が固定される(図3参照)。これら止着片部15は、躯体開口部側の図示しない固定部材(アンカー等)に止着される。
【0028】
上記構成の縦枠部材10は、平板状の金属製板材を曲げ加工することで形成され、その曲げ加工の前に、切欠部14がプレス加工等により形成される。
【0029】
また、上枠部材20は、枠内側の下向きの面を形成するように見付け方向へわたって連続する枠内側板部21と、この枠内側板部21における見込み方向の一端側と他端側からそれぞれ上方へ向かう上向き板部22,22と、一端側の上向き板部22の上端側と他端側の上向き板部22の上端側とから互いに対向し合うように内向きに突出する内向き板部23,23とを一体に有する(図2図3及び図5参照)。
【0030】
枠内側板部21は、見込み方向の中央寄りに枠内側である下方へ突出する凸部21aを有する。この凸部21aは、凸状の縦断面形状を、上枠部材20の全長にわたり見付け方向へ連続させている。
この凸部21aは、見付け方向の端部側において、縦枠部材10の小切欠部14bに嵌り合う(図3参照)。すなわち、横方向へわたる凸部21aは、上下方向へわたる凸部11aの上端部11a1に接触又は近接して、横通し状に構成される。
そして、凸部21aは、開放状態の建具本体Aが全閉する際に、建具本体Aにおける閉鎖方向側の面(詳細には、該面の上端側部分)を受ける戸当り部として機能する。
【0031】
両側の上向き板部22,22は、それぞれ枠内側板部21に略直交する平板状に形成され、上枠部材20の全長にわたり見付け方向へ連続している。
【0032】
また、両側の内向き板部23,23は、見込み方向に間隔を置いて対向する平板突片状に形成され、上枠部材20の全長にわたり見付け方向へ連続している。
これら内向き板部23,23の間には、見付け方向に適宜間隔を置いて複数の止着片部25が溶接等により固定される。これら止着片部25は、躯体開口部側の図示しない固定部材(アンカー等)に止着される。
【0033】
そして、上記構成の上枠部材20の一端側と他端側には、それぞれ、縦枠部材10の嵌合部14aに対し見付け方向及び見込み方向へ移動しないように嵌り合う被嵌合部20aと、この被嵌合部20aよりも枠外側で縦枠部材10の開口部10aを塞ぐ塞部23aとが設けられる。
【0034】
被嵌合部20aは、上枠部材20における見込み方向の両側で、それぞれ、枠内側板部21と上向き板部22と塞部23aにわたって突片状の嵌合部14aを嵌め合わせるスリット状(あるいはすり割り状)に形成されている。
言い換えれば、この被嵌合部20aは、枠内側板部21、上向き板部22及び内向き板部23にわたる縦断面コ字状の部分において、これらを、見込み方向の端部寄りで上下に貫通している。
【0035】
塞部23aは、各内向き板部23における被嵌合部20a以外の部分を、被嵌合部20aよりも枠外側へ平板状に延設してなる。この塞部23aは、縦枠部材10の上端縁に近接又は接触する。
より詳細に説明すれば、この塞部23aの上面は、縦枠部材10の上端部に対し略面一に位置する。そして、この塞部23aの枠外側の突端部は、縦枠部材10の内向き板部13内面に対し、近接又は接触するように位置する(図2参照)。
【0036】
また、上枠部材20において塞部23aの下側部分は、枠内側板部21及び上向き板部22を枠外側へ延設した部分であり、この部分は、縦枠部材10の開口部10a内に位置する。なお、図示例以外の他例としては、開口部10a内に位置する前記部分について、その一部又は全部を省くことも可能である。
【0037】
上記構成の上枠部材20は、平板状の金属製板材を曲げ加工することで形成され、その曲げ加工の前に、貫通スリット状の被嵌合部20a等がプレス加工等により形成される。
【0038】
そして、上記構成の縦枠部材10と上枠部材20は、これらの間の内隅状部分に設けられる接続具40(図4参照)を介して、一体的に接続される。
接続具40は、断面略L字のアングル状部材であり、その一片部分が縦枠部材10に対し溶接等によって固定されている。
縦枠部材10と上枠部材20を接続する際は、接続具40の他片部分が、上枠部材20に対しネジ等の止着具によって接続固定される。図5中の符号20bは、前記止着具を挿通するための孔である。
【0039】
なお、他例としては、接続具40の前記他片部分を上枠部材20に対し溶接によって接続する態様とすることも可能である。
さらに他例としては、接続具40を省いて、縦枠部材10を上枠部材20に対し止着具により直接接続する態様や、縦枠部材10を上枠部材20に対し直接溶接によって接続する態様とすることも可能である。
【0040】
また、下枠部材30は、上枠部材20と上下対称の部材であり、縦枠部材10に対する接続構造も、上下対称である。
この下枠部材30は、上記構成以外の態様にしたり、省いたりすることも可能である。
【0041】
次に、建具1について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
上記構成によれば、縦枠部材10と上枠部材20の接続部分が、嵌合部14aと被嵌合部20aの嵌り合いによって、高精度に位置決めされる。
このため、これら縦枠部材10と上枠部材20を、溶接やネジ止め等によって接続固定する作業を容易化することができ、ひいては、工場での製造作業性が良好なのは勿論のこと、現場等でのノックダウン方式による組立作業性も良好である。
【0042】
また、縦枠部材10の嵌合部14aに対し上枠部材20の被嵌合部20aを嵌め合わせれば、縦枠部材10上端の開口部10aを塞部23aによって塞ぐことができる。このため、建具枠Bを躯体開口部に設置した際に、チリ寸法部分に対応して縦枠部材10の上端が開口することなく、ひいては、このような開口に異物や害虫等が侵入したり作業者等が触れてしまったり等するようなこともない。
【0043】
<変形例>
なお、上記実施態様の建具枠Bは、左右の縦枠部材10,10の構造を、上枠部材に適用し、上枠部材20の構造を、左右の縦枠部材に適用することも可能である。換言すれば、上記構成の建具枠Bを横に角度90度回転させて、縦横の寸法を適宜に調整した構成にすることも可能である。この構成では、上記構成の縦枠部材10を上枠部材(あるいは横枠部材)と呼称し、上記構成の上枠部材20を縦枠部材と呼称することになる。
このようにした場合も、縦枠部材10の構造による上枠部材の端部側を上記塞部として機能させることができる。すなわち、上枠部材20の構造による縦枠部材の上端の開口を、縦枠部材10の構造による上枠部材の端部側(塞部)によって塞ぐことができる。
【0044】
また、上記実施態様の建具枠Bによれば、縦枠部材10の凸部11a(戸当り部)と、上枠部材20の凸部21a(戸当り部)とを、上述したように横通し状に構成したが(図3参照)、他例としては、これら二つの凸部(戸当り部)を、図6及び図7に示す建具枠B’ように縦通し状に構成することも可能である。
【0045】
詳細に説明すれば、建具枠B’において、縦枠部材10の枠内側板部11は、上下方向へわたって枠内側へ突出する凸部11a’を有し、この凸部11a’の上端部11a1’は、切欠部14の下側の内縁と面一である(図7参照)。
言い換えれば、建具枠B’の縦枠部材10は、上記建具枠Bの縦枠部材10(図3参照)から小切欠部14bを省いて、凸部11a’の上端部11a1’を、切欠部14の下側の内縁と面一にしたものである。
【0046】
また、建具枠B’において、上枠部材20の枠内側板部21には、縦枠部材10の凸部11a’に嵌り合う切欠部21b’が設けられている。
言い換えれば、建具枠B’の上枠部材20は、上記建具枠Bの上枠部材20(図3参照)に対し、切欠部21b’を設けたものである。
【0047】
そして、縦枠部材10の凸部11a’は、上枠部材20の凸部21aを上方へ貫通するようにして切欠部21b’に嵌り合い、縦通し状に構成される(図6参照)。
【0048】
よって、図6及び図7に示す建具枠B’によれば、上記建具枠Bと略同様に、現場等でのノックダウン方式による組立作業性が良好な上、躯体開口部に設置した際に、チリ寸法部分に対応して縦枠部材10の上端に開口が形成されるのを防ぐことができる。
【0049】
また、上記実施態様の縦枠部材10及び上枠部材20は、それぞれ、略C字状の断面形状を有するものとしたが、他例としては、断面コ字状や、断面ロ字状、断面無端環状、その他の断面形状等を有するものとすることが可能である。
【0050】
また、上記実施態様によれば、上記構成の建具枠Bを扉(ドア)の枠部材に適用したが、他例としては、上記建具枠Bを、戸、折戸、バランスドア、止水扉、窓サッシ、網戸、間仕切りパーテーション、又はシャッター装置の枠部材(あるいは中柱等)に適用することも可能である。
【0051】
また、上記実施態様によれば、建具枠Bを四方枠組み状の構成したが、他例としては、下枠部材30を省いた三方枠組み状に構成することも可能である。
更に他例としては、左右の縦枠部材の間に方立を有する建具枠において、方立の上端の開口部を塞ぐ構造に適用することも可能である。
【0052】
また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0053】
1:建具
10:縦枠部材
10a:開口部
11:枠内側板部
11a,11a’:凸部(戸当り部)
12:見付け板部
13:内向き板部
14:切欠部
14a:嵌合部
14b:小切欠部
20:上枠部材
20a:被嵌合部
21:枠内側板部
21a:凸部(戸当り部)
22:上向き板部
23:内向き板部
23a:塞部
A:建具本体
B,B’:建具枠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7