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特許7611173組換えFAP結合タンパク質及びそれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】組換えFAP結合タンパク質及びそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/435 20060101AFI20241226BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20241226BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20241226BHJP
   A61K 49/00 20060101ALI20241226BHJP
   A61K 51/08 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241226BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
C07K14/435 ZNA
A61K47/42
A61K48/00
A61K49/00
A61K51/08 200
A61P35/00
C12N15/12
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021571937
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2020065317
(87)【国際公開番号】W WO2020245173
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】19178277.0
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515146556
【氏名又は名称】モレキュラー パートナーズ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フィードラー, ウルリケ
(72)【発明者】
【氏名】メッツ, クララ
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー, ミーシャ ローラント
(72)【発明者】
【氏名】スネル, ダン
【審査官】團野 克也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0368302(US,A1)
【文献】国際公開第2012/149439(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/083208(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/054971(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/069655(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/069654(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/191574(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0362453(US,A1)
【文献】ULRIKE FIEDLER; ET AL,ABSTRACT 4552: TUMOR-RESTRICTED IMMUNE MODULATION BY MULTISPECIFIC MOLECULES FROM THE DARPIN TOOLBOX,CANCER RESEARCH,2018年07月,VOL:78, NR:13,PAGE(S):1-3,http://dx.doi.org/10.1158/1538-7445.AM2018-4552
【文献】VICTOR LEVITSKY; ET AL,ABSTRACT B026: DEVELOPMENT OF TUMOR-TARGETED AGONISTIC IMMUNOMODULATORS USING THE DARPIN(R) TECHNOLOGY PLATFORM,CANCER IMMUNOLOGY RESEARCH JUL 2014,米国,2019年02月,VOL:7, NR:SUPPL. 2,PAGE(S):B026(1-5),http://dx.doi.org/10.1158/2326-6074.CRICIMTEATIAACR18-B026
【文献】ALEXANDER LINK; ET AL,ABSTRACT 3752: PRECLINICAL PHARMACOLOGY OF MP0310: A 4-1BB/FAP BISPECIFIC DARPIN DRUG CANDIDATE PROMOTING TUMOR-RESTRICTED T-CELL COSTIMULATION,CANCER RESEARCH,米国,AMERICAN ASSOCIATION FOR CANCER RESEARCH (AACR),2018年06月30日,VOL:78, NR:13,SUPPL. S,PAGE(S):3752(1-3),http://dx.doi.org/10.1158/1538-7445.AM2018-3752
【文献】CHRISTIAN REICHEN; ET AL,ABSTRACT 3029: FAP-MEDIATED TUMOR ACCUMULATION OF A T-CELL AGONISTIC FAP/4-1BB DARPIN DRUG CANDIDATE ANALYZED BY SPECT/CT AND QUANTITATIVE BIODISTRIBUTION ,CANCER RESEARCH,米国,AMERICAN ASSOCIATION FOR CANCER RESEARCH (AACR),2018年06月30日,VOL:78, NR:13,SUPPL.S,PAGE(S):3029(1-4),http://dx.doi.org/10.1158/1538-7445.AM2018-3029
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C12N、C07K
DB名 REGISTRY/CAPLUS/MEDLINE/
EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580
(JDreamIII)
GenBank/EMBL/Geneseq
Uniprot/Geneseq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、前記アンキリン反復ドメインが、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)に対する結合特異性を有し、かつ前記アンキリン反復ドメインが、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも95%、98%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、組換え結合タンパク質。
【請求項2】
配列番号1~35及び144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、欠損している、請求項1に記載の結合タンパク質。
【請求項3】
配列番号1~33、144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、Aによって置換されている、請求項1又は2に記載の結合タンパク質。
【請求項4】
前記アンキリン反復ドメインが、配列番号18のアミノ酸配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
【請求項5】
配列番号18の位置1のG及び/又は位置2のSが欠損している、請求項4に記載の結合タンパク質。
【請求項6】
配列番号18の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、Aによって置換されている、請求項4又は5に記載の結合タンパク質。
【請求項7】
前記アンキリン反復ドメインが、配列番号34のアミノ酸配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
【請求項8】
配列番号34の位置1のG及び/又は位置2のSが欠損している、請求項7に記載の結合タンパク質。
【請求項9】
前記アンキリン反復ドメインが、10-7M未満の解離定数(K)で、PBS中でヒトFAPに結合し、かつ/又は前記アンキリン反復ドメインが、10-8M未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、かつ/又は前記アンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を25%を超えて阻害しない、請求項1~のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
【請求項10】
前記結合タンパク質が、生物学的活性分子を更に含み、前記生物学的活性分子が、血清アルブミンに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメイン、治療有効分子、前記結合タンパク質に結合された細胞を撮影するために有効な分子、又は患者のがんを診断するために有効な分子である、請求項1~のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の結合タンパク質をコードする核酸。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載の結合タンパク質又は請求項11に記載の核酸、並びに薬学的に許容される担体及び/若しくは希釈剤を含む、医薬組成物。
【請求項13】
生物学的活性分子を、哺乳動物のFAP発現細胞又は組織に局在化するための剤であって請求項10に記載の結合タンパク質含む、
【請求項14】
治療を必要とする患者の医学的状態を治療するための医薬であって、治療有効量の請求項10に記載の結合タンパク質含み、前記生物学的活性分子が、治療有効分子である、医薬
【請求項15】
前記FAP発現細胞又は組織が、腫瘍内に位置する、請求項13に記載の
【請求項16】
患者の腫瘍を撮像する及び/又はがんを診断するためのキットであって、請求項10に記載の結合タンパク質を患者に投与する手段を含み、前記生物学的活性分子が、前記結合タンパク質によって結合した細胞又は組織を撮像するのに有効な分子である、キット
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、欧州特許庁に2019年6月4日出願の欧州特許出願公開第19178277号の利益及び優先権を主張する。欧州特許出願公開第19178277号の内容は、全ての表、図、及び特許請求の範囲を含む、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示の分野
本発明は、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質に関する。加えて、本発明は、そのような結合タンパク質をコードする核酸、そのような結合タンパク質又は核酸を含む医薬組成物、及びそのような結合タンパク質、核酸又は医薬組成物の、腫瘍組織などのFAP発現組織中の生体分子若しくは生物活性化合物を局在化又は送達するための方法、並びにヒトを含む哺乳動物におけるがんなどの疾患を治療、診断、又は撮像するための方法における使用に関する。
【背景技術】
【0003】
セプラーゼ(Seprase)としても知られる線維芽細胞活性化タンパク質α(FAP)は、II型内在性膜セリンペプチダーゼ(type II integral membrane serine peptidase)である。FAPは、ジペプチジルペプチダーゼIVファミリーに属する(Yu et al.,FEBS J.277,1126-1144(2010))。これは、酵素の触媒ドメインが位置する、大きなC末端細胞外ドメインを有する2つのN-グリコシル化サブユニットを含有する170kDaのホモ二量体である(Scanlan et al.,Proc Natl Acad Sci USA 91:5657-5661(1994);Wonganu et al.,Biochim Biophys Acta 1858(8):1876-82(2016))。FAPは、そのグリコシル化形態では、ポスト-プロリルジペプチジルペプチダーゼ及びゼラチナーゼ活性の両方を有する(Sun et al.,Protein Expr Purif 24,274-281(2002))。ヒトFAPのホモログは、マウス及びカニクイザル(Macaca fascicularis)を含むいくつかの種において見出された。
【0004】
FAPは、肺、結腸直腸、膀胱、卵巣及び乳癌を含む、調べた上皮悪性腫瘍(原発性及び転移性)の90%超の反応性間質線維芽細胞において、並びに骨及び軟組織肉腫の悪性間葉細胞において選択的に発現されるが、通常、正常な成体組織には存在しない(Brennen et al.,Mol.Cancer Ther.11(2):257-266(2012);Garin-Chesa et al.,Proc Natl Acad Sci USA 87,7235-7239(1990);Rettig et al.,Cancer Res.53:3327-3335(1993);Rettig et al.,Proc Natl Acad Sci USA 85,3110-3114(1988))。FAPはまた、特定の悪性腫瘍細胞で発現される。
【0005】
正常組織における多くの一般的ながんにおけるその発現及びその制限された発現により、FAPは、様々ながんの撮像、診断、及び治療のための有望な抗原性標的と考えられている。FAPに対するモノクローナル抗体、FAP酵素活性の小分子阻害剤、細胞傷害性化合物のFAP活性化プロドラッグ、及びFAP特異的CAR T細胞を含む、臨床的利益のための腫瘍間質におけるFAPの選択的発現を利用する様々なアプローチが考案されてきた。
【0006】
FAPに対する複数のモノクローナル抗体、例えば、シブロツズマブ(Sibrotuzumab)、ヒトFAPに特異的に結合するF19抗体のヒト化バージョン(Scott et al.,Clin.Cancer Res.9,1639-1647(2003));F19エピトープ特異性を有するヒトFAPに対する更なるヒト化若しくは完全ヒト抗体(Mersmann et al.,Int J Cancer 92,240-248(2001);Schmidt et al.,Eur J Biochem 268,1730-1738(2001));及びF19によって認識されたエピトープとは異なるエピトープを認識し、ヒト及びマウスFAPタンパク質に対して交差反応性であるscFv MO36(Brocks et al.,Mol Med 7,461-469(2001)が開発されている。FAPに対する抗体のいくつかは、FAPの酵素活性を阻害する。例えば、scFv抗体E3及びその誘導体は、FAP酵素活性及び生物学的機能を有意に阻害した(Zhang et al.,FASEB J.2013 Feb;27(2):581-589)。腫瘍生物学におけるFAPの役割は複雑であり、完全には理解されておらず、したがって、腫瘍生物学におけるFAP阻害の潜在的な効果も完全に理解されていない。
【0007】
特異的抗体融合分子は、更に開発されており、例えば、Bauerら(Journal of Immunology 172:3930-3939(2004))は、IgG1 CH2/CH3 Fcドメインを置換するヒト化抗FAP抗体及びヒト腫瘍壊死因子(TNF)からなる融合タンパク質の生成を報告した。更に、Brunkerら(Mol.Cancer Ther.15(5):946-57(2016))は、腫瘍間質のがん関連線維芽細胞上のFAP及び腫瘍細胞上の死受容体DR5を同時に標的とする二重特異性抗体の操作を報告した。
【0008】
腫瘍撮像及びがん診断アプローチも記載されており、例えば、Rugerら(J.Control Release 186:1-10(2014))は、FAPに対して特異的な単鎖Fvフラグメントを有する蛍光活性化可能なリポソームの生成を報告し、全身蛍光撮像によるFAP発現腫瘍細胞の蛍光診断撮像で使用するためのその可能性を評価した。更に、Huaら(Diagnostic Pathology 6:111(2011))は、抗FAP抗体によるFAPに対する染色が、非浸潤性乳管癌(ductal carcinoma in situ(DCIS))の乳がんが微小浸潤をもたらしたかどうかを判定する際に有用であり得るかどうかを調べた。
【0009】
腫瘍間質におけるFAP発現はまた、局所活性化プロドラッグを開発しようと試みている。Brennenら(Mol.Cancer Ther.11(2):257-266(2012))は、FAPの制限された発現及び独自の基質選択性を活用して、FAP活性化プロドラッグを開発し、腫瘍間質内での細胞傷害性化合物の活性化を標的とするアプローチを議論した。
【0010】
まとめると、FAPに対する抗体は、がん治療、撮像、及び診断に有用であり得ることが示唆されている。最初の有望な結果にもかかわらず、FAP特異的結合から恩恵を受けるがんの治療及び特性評価のための治療的、診断的、及び撮像的アプローチに対する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質を提供する。加えて、本発明は、そのような結合タンパク質をコードする核酸、そのような結合タンパク質又は核酸を含む医薬組成物、及びそのような結合タンパク質、核酸又は医薬組成物の、腫瘍組織などのFAP発現細胞若しくは組織に生物学的活性分子を局在化又は送達するための方法、並びにヒトを含む哺乳動物におけるがんなどの疾患を治療、診断、又は撮像するための方法における使用を提供する。
【0012】
一態様では、本発明は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含むそのような組換え結合タンパク質であって、このアンキリン反復ドメインが、配列番号1~35及び144~153のアンキリン反復ドメインのうちのいずれか1つと少なくとも75%から最大100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、このアンキリン反復ドメインの位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号1~33、144、145及び148~150のこのアンキリン反復ドメインの最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている、組換え結合タンパク質を提供する。一例として、特定の一実施形態では、本発明のFAP特異的組換え結合タンパク質は、配列番号34のアミノ酸配列を含む。
【0013】
一態様では、本発明は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含むそのような組換え結合タンパク質であって、このアンキリン反復ドメインが、配列番号48~134のアンキリン反復モジュールのいずれか1つと少なくとも80%及び最大100%のアミノ酸配列同一性を有するアンキリン反復モジュールを含む、組換え結合タンパク質を提供する。一例として、特定の一実施形態では、本発明のFAP特異的組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、配列番号94~96から選択されるアミノ酸配列を有するアンキリン反復モジュールを含む。特定の一実施形態では、本発明のFAP特異的組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、配列番号94のアミノ酸配列を有するアンキリン反復モジュール、配列番号95のアミノ酸配列を有するアンキリン反復モジュール、及び配列番号96のアミノ酸配列を有するアンキリン反復モジュールを含む。
【0014】
別の態様では、本発明は、そのようなFAP特異的組換え結合タンパク質を提供し、結合タンパク質は、生物学的活性分子を更に含む。生物学的活性分子は、例えば、ペプチド、ポリペプチド、毒素、ポリマー、及び核酸を含む、異なる構造及び機能的クラスの分子から選択され得る。本発明の一態様では、生物学的活性分子は、FAP特異的組換え結合タンパク質に共有結合している。共有結合は、融合タンパク質をもたらす、FAP特異的結合タンパク質と生物学的活性ペプチド又はポリペプチドとの間のペプチド結合であってもよい。あるいは、生物学的活性分子は、FAP特異的結合タンパク質と共有結合的にコンジュゲートしてもよい。一例として、特定の一実施形態では、本発明のFAP特異的組換え結合タンパク質は、血清アルブミンに対する結合特異性を有する別のアンキリン反復ドメインに融合した、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含む。特定の実施形態では、そのような融合タンパク質は、配列番号40~42によって提供される。特定の一実施形態では、本発明のFAP特異的組換え結合タンパク質は、例えば、腫瘍関連抗原、免疫阻害性分子、又は免疫刺激性分子などのがん生物学に関連する標的に対する結合特異性を有する別のポリペプチドに融合した、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含む。別の実施形態では、本発明のFAP特異的組換え結合タンパク質は、血清アルブミンに対する結合特異性を有する別のアンキリン反復ドメインに融合し、例えば、腫瘍関連抗原、免疫阻害性分子、又は免疫刺激性分子などのがん生物学に関連する標的に対する結合特異性を有する別のポリペプチドにも融合した、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含む。
【0015】
別の態様では、本発明は、本発明のFAP特異的結合タンパク質をコードする核酸、並びに本発明のFAP特異的結合タンパク質又は核酸と、薬学的に許容される担体及び/又は希釈剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0016】
別の態様では、本発明は、ヒトを含む哺乳動物のFAP発現組織内の生物学的活性分子を局在化、蓄積及び/又は活性化する方法であって、生物学的活性分子を含む本発明のFAP特異的結合タンパク質を、この哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。特定の一実施形態では、そのような方法は、生物学的活性分子を含むFAP特異的結合タンパク質を含み、加えて、結合タンパク質の血清半減期を延長する分子に共有結合されるか、又はそれを含む、FAP特異的結合タンパク質をこの哺乳動物に投与することを含む。そのような半減期延長分子は、当技術分野において周知であり、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、抗体のFc部分、及びその他が挙げられる。本発明の特定の一実施形態では、結合タンパク質の血清半減期を延長するそのような分子は、血清アルブミンに対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメインである。特定の一実施形態では、そのような方法は、FAP特異的結合タンパク質を、FAP発現腫瘍を有するヒト患者を含む哺乳動物に投与し、その結果、FAP発現腫瘍組織内の生物学的活性分子の局在化、蓄積及び/又は活性化をもたらすことを含む。特定の一実施形態では、そのようなFAP特異的結合タンパク質は、配列番号34のアミノ酸配列及び配列番号38のアミノ酸配列、若しくは同等の標的特異性を有する配列番号34及び/又は配列番号38の配列変異体のアミノ酸配列を含む。
【0017】
別の態様では、本発明は、ヒト患者を含む哺乳動物における医学的状態を治療するための方法であって、生物学的活性分子に共有結合した又は生物学的活性分子を含む本発明のFAP特異的結合タンパク質をこの哺乳動物に投与することを含み、生物学的活性分子が治療有効分子である、方法を提供する。特定の一実施形態では、医学的状態はがんであり、がん又は腫瘍組織はFAPを発現し、治療有効分子は抗がん剤である。特定の一実施形態では、治療有効分子は、FAP特異的結合タンパク質が、腫瘍間質のFAP発現線維芽細胞などの細胞表面上で発現されるFAPに結合するときにのみ活性化される。一実施形態では、このがんは、大腸直腸がん、非小細胞肺がん、乳がん、頭頸部がん、卵巣がん、胃がん、肺がん、侵襲性膀胱がん、膵臓がん、転移性脳腫瘍、頭頸部扁平上皮癌、食道扁平上皮癌、肺扁平上皮癌、皮膚扁平上皮癌、黒色腫、乳腺癌、肺腺癌、子宮頸部扁平上皮癌、膵臓扁平上皮癌、結腸扁平上皮癌、又は胃扁平上皮癌、前立腺がん、骨肉腫、又は軟組織肉腫、及びFAPを発現している良性腫瘍から選択される。一実施形態では、そのようながんは、肺癌、結腸直腸癌、膀胱癌、胃癌、前立腺癌、卵巣癌及び乳癌、並びに骨及び軟組織肉腫を含む上皮悪性腫瘍(原発性及び転移生)から選択される。
【0018】
本発明は、本発明の組換え結合タンパク質、本発明の核酸、又は本発明の医薬組成物を含むキットを更に提供する。本発明は、本発明の組換え結合タンパク質を産生するための方法であって、(i)この組換え結合タンパク質を細菌中で発現させる工程と、(ii)クロマトグラフィーを使用してこの組換え結合タンパク質を精製する工程と、を含む、方法を更に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】ヒトFAPに対する結合特異性を有する選択されたアンキリン反復タンパク質、DARPin(登録商標)タンパク質#18の精製のSDS-PAGEゲル分析。Mは、タンパク質サイズマーカーに相当する。
図1B】ヒトFAPに対する結合特異性を有する別の選択されたアンキリン反復タンパク質、DARPin(登録商標)タンパク質#34の精製のSDS-PAGEゲル分析。Mは、タンパク質サイズマーカーに相当する。
図2】DARPin(登録商標)タンパク質#34によって例示される、ヒトFAPに対するアンキリン反復タンパク質結合の表面プラズモン共鳴(SPR)分析。様々な濃度(0.4、1.1、3.3、及び10nM)の精製アンキリン反復タンパク質を、固定化ヒトFAPを有するGLCチップにオンレート及びオフレート測定にて適用した。得られたSPRトレース分析を使用して、アンキリン反復タンパク質-FAP相互作用を決定した。RU、共鳴単位;s、時間(秒)。
図3】DARPin(登録商標)タンパク質#18、DARPin(登録商標)タンパク質#19、DARPin(登録商標)タンパク質#26及びDARPin(登録商標)タンパク質#33により例示されるようなFAP+細胞(WI38細胞)へのFAP特異的アンキリン反復タンパク質の結合。濃度依存性結合曲線は、決定された蛍光強度の中央値(MFI)に関して示されている。
図4A】FAP特異的DARPin(登録商標)タンパク質#34及びDARPin(登録商標)タンパク質#35のFAP+細胞(WI38細胞)への結合。DARPin(登録商標)タンパク質#34及びDARPin(登録商標)タンパク質#35の濃度依存性結合曲線は、MFIの計算された倍率増加に関して示される。
図4B】FAP特異的DARPin(登録商標)タンパク質#34及びDARPin(登録商標)タンパク質#35のCHO-wt細胞及びCHO-FAP1.9細胞への結合。DARPin(登録商標)タンパク質#34及びDARPin(登録商標)タンパク質#35の濃度依存性結合曲線は、MFIの計算された倍率増加に関して示される。DARPin(登録商標)タンパク質#34及びDARPin(登録商標)タンパク質#35は、細胞表面上でFAPを発現するCHO-FAP1.9細胞にのみに結合する。
図5A】DARPin(登録商標)タンパク質#36によって例示される、ヒトFAPに対するアンキリン反復タンパク質結合の表面プラズモン共鳴(SPR)分析。様々な濃度(3.13、6.25、12.5、及び25nM)のアンキリン反復タンパク質を、固定化ヒトFAPを有するGLCチップにオンレート及びオフレート測定にて適用した。得られたSPRトレース分析を使用して、アンキリン反復タンパク質-FAP相互作用を決定した。RU、共鳴単位;s、時間(秒)。
図5B】DARPin(登録商標)タンパク質#36によって例示されるカニクイザルFAP(cFAP)へのアンキリン反復タンパク質結合の表面プラズモン共鳴(SPR)分析。様々な濃度(3.13、6.25、12.5、及び25nM)のアンキリン反復タンパク質を、固定化カニクイザルFAPを有するGLCチップにオンレート及びオフレート測定にて適用した。得られたSPRトレース分析を使用して、アンキリン反復タンパク質-FAP相互作用を決定した。RU、共鳴単位;s、時間(秒)。
図6】DARPin(登録商標)タンパク質#18、DARPin(登録商標)タンパク質#19、DARPin(登録商標)タンパク質#26及びDARPin(登録商標)タンパク質#33により例示されるようなカニクイザルFAPCHO細胞へのFAP特異的アンキリン反復タンパク質の結合。濃度依存性結合曲線は、決定された蛍光強度の中央値(MFI)に関して示されている。
図7A】FAP特異的DARPin(登録商標)タンパク質#40及びDARPin(登録商標)タンパク質#41のU87MG細胞への結合。DARPin(登録商標)タンパク質#40及びDARPin(登録商標)タンパク質#41の濃度依存性結合曲線は、決定された蛍光強度の中央値(MFI)に関して示されている。
図7B】FAP特異的DARPin(登録商標)タンパク質#40及びDARPin(登録商標)タンパク質#41のWI38細胞への結合。DARPin(登録商標)タンパク質#40及びDARPin(登録商標)タンパク質#41の濃度依存性結合曲線は、決定された蛍光強度の中央値(MFI)に関して示されている。
図8】マウスの尾静脈への単回静脈内ボーラス注射後の、マウスの生物学的活性分子に融合されたFAP特異的アンキリン反復ドメインを含む結合タンパク質(DARPin(登録商標)タンパク質#40、DARPin(登録商標)タンパク質#41、及びDARPin(登録商標)タンパク質#42)の時間の関数としての血清濃度。
図9】注射から48時間後にFAP陽性マウス腫瘍モデルで評価し、測定された放射能の器官/血液比として決定される、両方ともTc99で標識されたDARPin(登録商標)タンパク質#41及び対照化合物DARPin(登録商標)タンパク質#43の生体分布。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書に開示及び例示されるように、本開示は、FAPを特異的に標的とするアンキリン反復タンパク質を提供する。設計されたアンキリン反復タンパク質ライブラリ(国際公開第2002/020565号、Binz et al.,Nat.Biotechnol.22,575-582,2004;Stumpp et al.,Drug Discov.Today 13,695-701,2008)は、高い親和性でそれらの標的に結合する標的特異的に設計されたアンキリン反復ドメインの選択に使用することができる。そのような標的特異的に設計されたアンキリン反復ドメインは、ひいては疾患の治療のための組換え結合タンパク質の有益な成分として使用することができる。設計されたアンキリン反復タンパク質は、モノクローナル抗体の限界を克服する可能性を有する結合分子のクラスであり、したがって新規な治療的アプローチを可能にする。そのようなアンキリン反復タンパク質は、単一の設計されたアンキリン反復ドメインを含んでもよく、又は2つ以上の設計された、同一又は異なる標的特異性を有するアンキリン反復ドメインの組み合わせを含んでもよい(Stumpp et al.,Drug Discov.Today 13,695-701,2008;米国特許第9,458,211号)。単一の設計されたアンキリン反復ドメインのみを含むアンキリン反復タンパク質は、高い親和性及び特異性で所与の標的タンパク質に結合するように選択され得る小タンパク質(14kDa)である。これらの特性、及び1つのタンパク質中で2つ以上の設計されたアンキリン反復ドメインを組み合わせる可能性は、設計されたアンキリン反復タンパク質を理想的なアゴニスト、アンタゴニスト及び/又は阻害薬候補とする。更に、そのようなアンキリン反復タンパク質は、様々なエフェクター機能、例えば細胞傷害性剤又は半減期延長剤を担持し、完全に新しい薬物フォーマットを可能にするように操作することができる。まとめると、設計されたアンキリン反復タンパク質は、既存の抗体薬物を超える可能性を有するタンパク質治療薬の次世代の例である。
【0021】
DARPin(登録商標)は、Molecular Partners AG,Switzerlandによって所有される商標である。
【0022】
一態様では、本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、このアンキリン反復ドメインが、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)に対する結合特異性を有し、このアンキリン反復ドメインが、(1)配列番号48~134、及び(2)配列番号48~134のいずれかにおいて、最大9個、又は最大8個、又は最大7個、又は最大6個、又は最大5個、又は最大4個、又は最大3個、又は最大2個、又は最大1個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むアンキリン反復モジュールを含む、組換え結合タンパク質に関する。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号48~134、及び(2)配列番号48~134のいずれかにおいて最大3個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号48~134、及び(2)配列番号48~134のいずれかにおいて最大2個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号48~134、及び(2)配列番号48~134のいずれかにおいて最大1個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、この9、8、7、6、5、4、3、2個、又は1個のアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのフレームワーク位置(framework positions)で起こり、典型的には、モジュールの全体構造は、置換によって影響を受けない。一実施形態では、この9、8、7、6、5、4、3、2個、又は1個のアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのランダム化位置3、4、6、14、及び15以外の位置で起こる。一実施形態では、このアンキリン反復モジュールは、配列番号48~134からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0023】
一実施形態では、このアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号94~98、111~113及び132~134、並びに(2)配列番号94~98、111~113及び132~134のいずれかにおいて、最大9個、又は最大8個、又は最大7個、又は最大6個、又は最大5個、又は最大4個、又は最大3個、又は最大2個、又は最大1個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号94~98、111~113及び132~134、並びに(2)配列番号94~98、111~113及び132~134のいずれかにおいて、最大3個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号94~98、111~113及び132~134、並びに(2)配列番号94~98、111~113及び132~134のいずれかにおいて、最大2個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号94~98、111~113及び132~134、並びに(2)配列番号94~98、111~113及び132~134のいずれかにおいて、最大1個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、この9、8、7、6、5、4、3、2個、又は1個のアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのフレームワーク位置で起こり、典型的には、モジュールの全体構造は、置換によって影響を受けない。一実施形態では、この9、8、7、6、5、4、3、2個、又は1個のアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのランダム化位置3、4、6、14、及び15以外の位置で起こる。一実施形態では、このアンキリン反復モジュールは、配列番号94~98、111~113及び132~134からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0024】
一実施形態では、このアンキリン反復モジュールは、配列番号94のアミノ酸配列、又は配列番号94において1つ又は2つのアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復モジュールは、配列番号95のアミノ酸配列、又は配列番号95において1つ又は2つのアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復モジュールは、配列番号96のアミノ酸配列、又は配列番号96において1つ又は2つのアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復モジュールは、配列番号97のアミノ酸配列、又は配列番号97において1つ又は2つのアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復モジュールは、配列番号98のアミノ酸配列、又は配列番号98において1つ又は2つのアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復モジュールは、配列番号94のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復モジュールは、配列番号95のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復モジュールは、配列番号96のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復モジュールは、配列番号97のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復モジュールは、配列番号98のアミノ酸配列を含む。
【0025】
一実施形態では、本明細書に記載され言及されるようなこのアンキリン反復モジュールのこのアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのフレームワーク位置で起こり、典型的には、モジュールの全体構造は、置換によって影響を受けない。フレームワーク位置での置換のそのような実施形態は、そのような置換が明示的に記載されているかどうかにかかわらず、全ての実施形態に適用されるものとする。一実施形態では、本明細書に記載され言及されるようなこのアンキリン反復モジュールのこのアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのランダム化位置3、4、6、14、及び15以外の位置で起こる。ランダム化位置3、4、6、14、及び15以外の位置で起こる置換のそのような実施形態は、そのような置換が明示的に記載されているかどうかにかかわらず、全ての実施形態に適用されるものとする。
【0026】
一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、第1のアンキリン反復モジュール及び第2のアンキリン反復モジュールを含む。一実施形態では、この第1のアンキリン反復モジュールは、このアンキリン反復ドメイン内のこの第2のアンキリン反復モジュールのN末端に位置する。
【0027】
一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、第1のアンキリン反復モジュール及び第2のアンキリン反復モジュール及び第3のアンキリン反復モジュールを含む。一実施形態では、この第1のアンキリン反復モジュールは、このアンキリン反復ドメイン内のこの第2のアンキリン反復モジュールのN末端に位置し、この第2のアンキリン反復モジュールは、このアンキリン反復ドメイン内のこの第3のアンキリン反復モジュールのN末端に位置する。
【0028】
一実施形態では、この第1、この第2及び、存在する場合、この第3のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号48~134、及び(2)配列番号48~134のいずれかにおいて、最大9個、又は最大8個、又は最大7個、又は最大6個、又は最大5個、又は最大4個、又は最大3個、又は最大2個、又は最大1個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、この第1、この第2及び、存在する場合、この第3のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号94~98、111~113及び132~134、並びに(2)配列番号94~98、111~113及び132~134のいずれかにおいて、最大9個、又は最大8個、又は最大7個、又は最大6個、又は最大5個、又は最大4個、又は最大3個、又は最大2個、又は最大1個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0029】
一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、第1のアンキリン反復モジュール及び第2のアンキリン反復モジュール及び第3のアンキリン反復モジュールを含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、この第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号94、及び(2)配列番号94において、最大9個、又は最大8個、又は最大7個、又は最大6個、又は最大5個、又は最大4個、又は最大3個、又は最大2個、又は最大1個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、この第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号95、及び(2)配列番号95の最大9個、又は最大8個、又は最大7個、又は最大6個、又は最大5個、又は最大4個、又は最大3個、又は最大2個、又は最大1個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、この第3のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号96、及び(2)配列番号96の最大9個、又は最大8個、又は最大7個、又は最大6個、又は最大5個、又は最大4個、又は最大3個、又は最大2個、又は最大1個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、この9、8、7、6、5、4、3、2個、又は1個のアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのフレームワーク位置で起こり、典型的には、モジュールの全体構造は、置換によって影響を受けない。一実施形態では、この9、8、7、6、5、4、3、2個、又は1個のアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのランダム化位置3、4、6、14、及び15以外の位置で起こる。
【0030】
一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、この第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号94、及び(2)配列番号94において、最大6個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、この第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号95、及び(2)配列番号95の最大6個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、この第3のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号96、及び(2)配列番号96の最大6個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、この6個のアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのフレームワーク位置で起こり、典型的には、モジュールの全体構造は、置換によって影響を受けない。一実施形態では、この6個のアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのランダム化位置3、4、6、14、及び15以外の位置で起こる。
【0031】
一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、この第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号94、及び(2)配列番号94において、最大5個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、この第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号95、及び(2)配列番号95の最大5個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、この第3のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号96、及び(2)配列番号96の最大5個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、この5個のアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのフレームワーク位置で起こり、典型的には、モジュールの全体構造は、置換によって影響を受けない。一実施形態では、この5個のアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのランダム化位置3、4、6、14、及び15以外の位置で起こる。
【0032】
一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、この第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号94、及び(2)配列番号94において、最大4個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、この第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号95、及び(2)配列番号95の最大4個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、この第3のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号96、及び(2)配列番号96の最大4個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、この4個のアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのフレームワーク位置で起こり、典型的には、モジュールの全体構造は、置換によって影響を受けない。一実施形態では、この4個のアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのランダム化位置3、4、6、14、及び15以外の位置で起こる。
【0033】
一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、この第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号94、及び(2)配列番号94において、最大3個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、この第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号95、及び(2)配列番号95の最大3個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、この第3のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号96、及び(2)配列番号96の最大3個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、この3個のアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのフレームワーク位置で起こり、典型的には、モジュールの全体構造は、置換によって影響を受けない。一実施形態では、この3個のアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのランダム化位置3、4、6、14、及び15以外の位置で起こる。
【0034】
一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、この第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号94、及び(2)配列番号94において、最大2個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、この第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号95、及び(2)配列番号95の最大2個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、この第3のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号96、及び(2)配列番号96の最大2個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、この2個のアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのフレームワーク位置で起こり、典型的には、モジュールの全体構造は、置換によって影響を受けない。一実施形態では、この2個のアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのランダム化位置3、4、6、14、及び15以外の位置で起こる。
【0035】
一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、この第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号94、及び(2)配列番号94において1個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、この第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号95、及び(2)配列番号95の1個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、この第3のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号96、及び(2)配列番号96の1個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのフレームワーク位置で起こり、典型的には、モジュールの全体構造は、置換によって影響を受けない。一実施形態では、このアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのランダム化位置3、4、6、14、及び15以外の位置で起こる。
【0036】
一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、この第1のアンキリン反復モジュールは、配列番号94のアミノ酸配列を含み、この第2のアンキリン反復モジュールは、配列番号95のアミノ酸配列を含み、この第3のアンキリン反復モジュールは、配列番号96のアミノ酸配列を含む。
【0037】
一実施形態では、この第1のアンキリン反復モジュールは、このアンキリン反復ドメイン内のこの第2のアンキリン反復モジュールのN末端に位置し、この第2のアンキリン反復モジュールは、このアンキリン反復ドメイン内のこの第3のアンキリン反復モジュールのN末端に位置する。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復モジュールは、第1のアンキリン反復モジュールであり、(1)配列番号94、及び(2)配列番号94において最大3個、又は最大2個、又は最大1個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、このアンキリン反復ドメインは、(1)配列番号95、及び(2)配列番号95の最大3個、又は最大2個、又は最大1個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む第2のアンキリン反復モジュールを更に含み、このアンキリン反復ドメインは、(1)配列番号96、及び(2)配列番号96の最大3個、又は最大2個、又は最大1個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む第3のアンキリン反復モジュールを更に含み、この第1のアンキリン反復モジュールが、このアンキリン反復ドメイン内のこの第2のアンキリン反復モジュールのN末端に位置し、この第2のアンキリン反復モジュールが、このアンキリン反復ドメイン内のこの第3のアンキリン反復モジュールのN末端に位置する。一実施形態では、この最大3個、又は最大2個、又は最大1個のアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのフレームワーク位置で起こり、典型的には、モジュールの全体構造は、置換によって影響を受けない。一実施形態では、この最大3個、又は最大2個、又は最大1個のアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのランダム化位置3、4、6、14、及び15以外の位置で起こる。更に、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、第1、第2、及び第3のアンキリン反復モジュールを含み、この第1のアンキリン反復モジュールは、配列番号94のアミノ酸配列を含み、この第2のアンキリン反復モジュールは、配列番号95のアミノ酸配列を含み、この第3のアンキリン反復モジュールは、配列番号96のアミノ酸配列を含み、この第1のアンキリン反復モジュールが、このアンキリン反復ドメイン内のこの第2のアンキリン反復モジュールのN末端に位置し、この第2のアンキリン反復モジュールが、このアンキリン反復ドメイン内のこの第3のアンキリン反復モジュールのN末端に位置する。
【0038】
一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、第1のアンキリン反復モジュール及び第2のアンキリン反復モジュールを含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、この第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号97、及び(2)配列番号97において、最大9個、又は最大8個、又は最大7個、又は最大6個、又は最大5個、又は最大4個、又は最大3個、又は最大2個、又は最大1個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、この第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号98、及び(2)配列番号98の最大9個、又は最大8個、又は最大7個、又は最大6個、又は最大5個、又は最大4個、又は最大3個、又は最大2個、又は最大1個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、この第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号97、及び(2)配列番号97において、最大6個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、この第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号98、及び(2)配列番号98の最大6個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、この第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号97、及び(2)配列番号97において、最大5個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、この第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号98、及び(2)配列番号98の最大5個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、この第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号97、及び(2)配列番号97において、最大4個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、この第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号98、及び(2)配列番号98の最大4個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、この第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号97、及び(2)配列番号97において、最大3個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、この第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号98、及び(2)配列番号98の最大3個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、この第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号97、及び(2)配列番号97において、最大2個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、この第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号98、及び(2)配列番号98の最大2個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、この第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号97、及び(2)配列番号97において、1個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、この第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号98、及び(2)配列番号98の1個のアミノ酸が、別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのフレームワーク位置で起こり、典型的には、モジュールの全体構造は、置換によって影響を受けない。一実施形態では、このアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのランダム化位置3、4、6、14、及び15以外の位置で起こる。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、この第1のアンキリン反復モジュールは、配列番号97のアミノ酸配列を含み、この第2のアンキリン反復モジュールは、配列番号98のアミノ酸配列を含む。
【0039】
一実施形態では、この第1のアンキリン反復モジュールは、このアンキリン反復ドメイン内のこの第2のアンキリン反復モジュールのN末端に位置する。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、第1及び第2のアンキリン反復モジュールを含み、この第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号97、及び(2)配列番号97において、最大3個、又は最大2個、又は最大1個のアミノ酸が、別のアミノ酸と置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、この第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号98、及び(2)配列番号98の最大3個、又は最大2個、又は最大1個のアミノ酸が、別のアミノ酸と置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、この第1のアンキリン反復モジュールが、このアンキリン反復ドメイン内のこの第2のアンキリン反復モジュールのN末端に位置する。一実施形態では、この最大3個、又は最大2個、又は最大1個のアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのフレームワーク位置で起こり、典型的には、モジュールの全体構造は、置換によって影響を受けない。一実施形態では、この最大3個、又は最大2個、又は最大1個のアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのランダム化位置3、4、6、14、及び15以外の位置で起こる。更に、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、第1及び第2のアンキリン反復モジュールを含み、この第1のアンキリン反復モジュールは、配列番号97のアミノ酸配列を含み、この第2のアンキリン反復モジュールは、配列番号98のアミノ酸配列を含み、この第1のアンキリン反復モジュールが、このアンキリン反復ドメイン内のこの第2のアンキリン反復モジュールのN末端に位置する。
【0040】
一実施形態では、上記のこのアンキリン反復モジュールにおけるこのアミノ酸置換の全ては、このアンキリン反復モジュールのフレームワーク位置で、かつ位置3、4、6、14及び15以外のランダム化位置で起こり、典型的には、モジュールの全体構造は、置換によって影響を受けない。
【0041】
別の態様では、本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、このアンキリン反復ドメインが、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)に対する結合特異性を有し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号1~35及び144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号1~33、144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている、組換え結合タンパク質に関する。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0042】
一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33、34、35及び144~153のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18、19、26、33、34、35及び144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18、19、26、33、144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33、34、35及び144~153のいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33、34、35及び144~153のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33、34、35及び144~153のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33、34、35及び144~153のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33、34、35及び144~153のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。したがって、一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18、19、26、33、34、35及び144~153から選択されるアミノ酸配列を含み、配列番号18、19、26、33、34、35及び144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18、19、26、33、144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0043】
一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33、34、及び35のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18、19、26、33、34、及び35の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18、19、26、及び33の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33、34、及び35のいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33、34、及び35のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33、34、及び35のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33、34、及び35のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33、34、及び35のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。したがって、一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18、19、26、33、34、及び35から選択されるアミノ酸配列を含み、配列番号18、19、26、33、34、及び35の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18、19、26、及び33の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0044】
一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18と少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18のアミノ酸配列を含む。したがって、一実施形態ではこの組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18のアミノ酸配列を含み、配列番号18の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0045】
一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号19と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号19の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号19の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号19と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号19と少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号19と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号19と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号19のアミノ酸配列を含む。したがって、一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、配列番号19のアミノ酸配列を含み、配列番号19の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号19の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0046】
一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号26と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号26の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号26の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号26と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号26と少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号26と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号26と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号26のアミノ酸配列を含む。
【0047】
一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号33と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号33の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号33の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号33と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号33と少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号33と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号33と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号33のアミノ酸配列を含む。
【0048】
一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号34と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号34の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損している。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号34と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号34と少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号34と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号34と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号34のアミノ酸配列を含む。
【0049】
一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号35と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号35の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損している。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号35と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号35と少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号35と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号35と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号35のアミノ酸配列を含む。
【0050】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメイン中の潜在的な相互作用残基が、配列番号1~35のアンキリン反復ドメインのいずれか1つにおける対応する位置と同一である。
【0051】
一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号144~153のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意にAによって置換されている。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号144~153のいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意にAによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号144~153のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号144~153のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号144~153のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号144~153のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。したがって、一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、配列番号144~153から選択されるアミノ酸配列を含み、配列番号144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0052】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインは、10-7M未満、又は10-8M未満、又は10-9M未満、又は5×10-10M未満、又は3×10-10M未満、又は2×10-10M未満の解離定数(K)で、PBS中でヒトFAPに結合する。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、10-7M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合する。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、10-8M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、10-9M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合する。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、5×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合する。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、2×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合する。
【0053】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、10-7M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号1~35及び144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号1~33、144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0054】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、10-8M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号1~9、11~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号1~9、11~35、及び144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号1~9、11~33、144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号1~9、11~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号1~9、11~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号1~9、11~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号1~9、11~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号1~9、11~35、及び144~153のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0055】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、10-9M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号5~9、11~21、25~29、31~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号5~9、11~21、25~29、31~35、及び144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号5~9、11~21、25~29、31~33、及び144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号5~9、11~21、25~29、31~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号5~9、11~21、25~29、31~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号5~9、11~21、25~29、31~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号5~9、11~21、25~29、31~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号5~9、11~21、25~29、31~35、及び144~153のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0056】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、5×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号6、8、9、11~20、25~29、31、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号6、8、9、11~20、25~29、31、33~35、及び144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号6、8、9、11~20、25~29、31、33、144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号6、8、9、11~20、25~29、31、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号6、8、9、11~20、25~29、31、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号6、8、9、11~20、25~29、31、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号6、8、9、11~20、25~29、31、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号6、8、9、11~20、25~29、31、33~35、及び144~153のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0057】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号8、9、11~20、26、28、29、31、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号8、9、11~20、26、28、29、31、33~35、及び144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号8、9、11~20、26、28、29、31、33、144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号8、9、11~20、26、28、29、31、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号8、9、11~20、26、28、29、31、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号8、9、11~20、26、28、29、31、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号8、9、11~20、26、28、29、31、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号8、9、11~20、26、28、29、31、33~35、及び144~153のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0058】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号8、9、11~20、26、28、29、31及び33~35のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号8、9、11~20、26、28、29、31及び33~35の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号8、9、11~20、26、28、29、31及び33の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号8、9、11~20、26、28、29、31及び33~35のいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号8、9、11~20、26、28、29、31及び33~35のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号8、9、11~20、26、28、29、31及び33~35のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号8、9、11~20、26、28、29、31及び33~35のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号8、9、11~20、26、28、29、31及び33~35のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0059】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18、19、26、33、144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0060】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18、19、26及び33~35のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18、19、26及び33~35の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18、19、26及び33の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26及び33~35のいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26及び33~35のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26及び33~35のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26及び33~35のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26及び33~35のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0061】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18と少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18のアミノ酸配列を含む。
【0062】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号19と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号19の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号19の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号19と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号19と少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号19と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号19と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号19のアミノ酸配列を含む。
【0063】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号34と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号34の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損している。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号34と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号34と少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号34と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号34と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号34のアミノ酸配列を含む。
【0064】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインは、配列番号144~153のいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意にAによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号144~153のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号144~153のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号144~153のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号144~153のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインは、配列番号144~153から選択されるアミノ酸配列を含み、配列番号144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意にAによって置換されている。
【0065】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、2×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号8、9、11~20、26、28、31及び34と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号8、9、11~20、26、28、31及び34の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号8、9、11~20、26、28、及び31の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号8、9、11~20、26、28、31及び34と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号8、9、11~20、26、28、31及び34のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号8、9、11~20、26、28、31及び34のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号8、9、11~20、26、28、31及び34のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号8、9、11~20、26、28、31及び34のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0066】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、2×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18、19、26及び33~35のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18、19、26及び33~35の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18、19、26及び33の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26及び33~35のいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26及び33~35のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26及び33~35のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26及び33~35のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26及び33~35のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0067】
表面プラズモン共鳴(SPR)分析によるFAPに対する結合特異性を有する本発明の組換え結合タンパク質の解離定数(K)の典型的かつ好ましい決定は、実施例2に記載されている。したがって、一実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質のFAPに対するこの結合特異性は、表面プラズモン共鳴(SPR)によってPBS中で決定される。一実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質のFAPに対するこの結合特異性は、実施例2に記載されるように、表面プラズモン共鳴(SPR)によってPBS中で決定される。
【0068】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインは、10-7M未満、又は10-8M未満、又は約10-9M若しくはそれ未満、又は約5×10-10M若しくはそれ未満、又は約3×10-10M若しくはそれ未満、又は約2×10-10M若しくはそれ未満のEC50で、ヒトFAP発現WI38細胞に結合する。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、10-7M未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合する。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、10-8M未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合する。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、約5×10-10M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合する。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、約3×10-10M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、約2×10-10M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合する。
【0069】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、10-7M未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号1~35及び144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号1~33、144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0070】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、10-8M未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号1~35及び144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号1~33、144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0071】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号4、5、9~15、18、19、26~30、32~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号4、5、9~15、18、19、26~30、32~35及び144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号4、5、9~15、18、19、26~30、32~33、144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号4、5、9~15、18、19、26~30、32~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号4、5、9~15、18、19、26~30、32~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号4、5、9~15、18、19、26~30、32~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号4、5、9~15、18、19、26~30、32~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号4、5、9~15、18、19、26~30、32~35及び144~153のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0072】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号4、5、9~15、18、19、26~30、及び32~35のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号4、5、9~15、18、19、26~30、及び32~35の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号4、5、9~15、18、19、26~30、及び32~33の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号4、5、9~15、18、19、26~30、及び32~35のいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号4、5、9~15、18、19、26~30、及び32~35のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号4、5、9~15、18、19、26~30、及び32~35のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号4、5、9~15、18、19、26~30、及び32~35のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号4、5、9~15、18、19、26~30、及び32~35のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0073】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18、19、26、33、144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0074】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18、19、26及び33~35のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18、19、26及び33~35の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18、19、26及び33の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26及び33~35のいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26及び33~35のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26及び33~35のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26及び33~35のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26及び33~35のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0075】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号34と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号34の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損している。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号34と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号34と少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号34と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号34と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号34のアミノ酸配列を含む。
【0076】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号144~153のいずれか1つと少なくとも90%を有するアミノ酸配列を含み、配列番号144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号144~153のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号144~153のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号144~153のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号144~153のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。したがって、一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号144~153のアミノ酸配列を含み、配列番号144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0077】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、約5×10-10M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号9~11、13~15、18、19、26及び33のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号9~11、13~15、18、19、26及び33の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号9~11、13~15、18、19、26及び33の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号9~11、13~15、18、19、26及び33のいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号9~11、13~15、18、19、26及び33のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号9~11、13~15、18、19、26及び33のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号9~11、13~15、18、19、26及び33のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号9~11、13~15、18、19、26及び33のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0078】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、約5×10-10M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18と少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18のアミノ酸配列を含む。
【0079】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、約5×10-10M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号19と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号19の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号19の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号19と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号19と少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号19と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号19と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号19のアミノ酸配列を含む。
【0080】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、約5×10-10M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号144~153のいずれか1つと少なくとも90%を有するアミノ酸配列を含み、配列番号144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号144~153のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号144~153のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号144~153のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号144~153のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。したがって、一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、約5×10-10M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号144~153から選択されるアミノ酸配列を含み、配列番号144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0081】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、約3×10-10M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号9、13~15、18、19、26及び33のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号9、13~15、18、19、26及び33の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号9、13~15、18、19、26及び33の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号9、13~15、18、19、26及び33のいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号9、13~15、18、19、26及び33のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号9、13~15、18、19、26及び33のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号9、13~15、18、19、26及び33のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号9、13~15、18、19、26及び33のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0082】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、約3×10-10M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18と少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18のアミノ酸配列を含む。
【0083】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、約2×10-10M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18、26及び33のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18、26及び33の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18、26及び33の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、26及び33のいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、26及び33のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、26及び33のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、26及び33のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、26及び33のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0084】
本発明のアンキリン反復ドメイン及び組換え結合タンパク質の、それぞれ、ヒトFAP発現WI38細胞への典型的かつ好ましい決定並びにEC50の決定は、実施例3に記載されている。したがって、一実施形態では、本発明のアンキリン反復ドメイン及び組換え結合タンパク質のヒトFAP発現WI38細胞へのこの結合は、実施例3に記載されるように決定される。一実施形態では、本発明のアンキリン反復ドメイン及び組換え結合タンパク質のヒトFAP発現WI38細胞へのこの結合は、実施例3に記載されるようにFACS分析によって決定される。
【0085】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインは、10-7M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインは、10-7M未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合する。
【0086】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、10-7M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、10-7M未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号1~35及び144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号1~33、144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0087】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、10-7M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、10-8M未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合する。
【0088】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、10-7M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、10-8M未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号1~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号1~35及び144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号1~33、144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0089】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインは、10-8M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインは、10-8M未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合する。
【0090】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、10-8M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、10-8M未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号1~9、11~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号1~9、11~35及び144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号1~9、11~33、144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0091】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、10-9M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、10-8M未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合する。
【0092】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、10-9M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、10-8M未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号5~9、11~21、25~29、31~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号5~9、11~21、25~29、31~35、及び144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号5~9、11~21、25~29、31~33、144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0093】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、10-9M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合する。
【0094】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、10-9M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号5、9、11~15、18、19、26~29、32~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号5、9、11~15、18、19、26~29、32~35、及び144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号5、9、11~15、18、19、26~29、32~33、144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0095】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、5×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合する。
【0096】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、5×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号5、9、11~15、18、19、26~29、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号5、9、11~15、18、19、26~29、33~35、及び144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号5、9、11~15、18、19、26~29、33、144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0097】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合する。
【0098】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号9、11~15、18、19、26、28、29、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号9、11~15、18、19、26、28、29、33~35、及び144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号9、11~15、18、19、26、28、29、33、144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0099】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号9、11~15、18、19、26、28、29、及び33~35のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号9、11~15、18、19、26、28、29、及び33~35の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号9、11~15、18、19、26、28、29、及び33の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0100】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18、19、26、33、144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0101】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18、19、26、及び33~35のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18、19、26、及び33~35の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18、19、26、及び33の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26、及び33~35のいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26及び33~35のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26及び33~35のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26及び33~35のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18、19、26及び33~35のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0102】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18と少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号18のアミノ酸配列を含む。
【0103】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号19と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号19の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号19の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号19と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号19と少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号19と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号19と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号19のアミノ酸配列を含む。
【0104】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号34と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号34の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損している。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号34と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号34と少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号34と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号34と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号34のアミノ酸配列を含む。
【0105】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号144~153のいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号144~153のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号144~153のいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号144~153のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインは、配列番号144~153のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。したがって、一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号144~153から選択されるアミノ酸配列を含み、配列番号144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0106】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、約3×10-10M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合する。
【0107】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、約3×10-10M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号9、13~15、18、19、26及び33のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号9、13~15、18、19、26及び33の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号9、13~15、18、19、26及び33の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0108】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、2×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、約3×10-10M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合する。
【0109】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、2×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、約3×10-10M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号9、14、18及び26のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号9、14、18及び26の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号9、14、18及び26の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0110】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を、25%を超えて、又は20%を超えて、又は15%を超えて、又は10%を超えて、又は9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%又は0%を超えて阻害しない。したがって、一実施形態では、このアンキリン反復ドメインのFAPへのこの結合は、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を25%を超えて阻害しない。別の実施形態では、このアンキリン反復ドメインのFAPへのこの結合は、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を20%を超えて阻害せず、更なる実施形態では、FAPに対するこのアンキリン反復ドメインのこの結合は、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を15%を超えて阻害しない。一実施形態では、このアンキリン反復ドメインのFAPへのこの結合は、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を10%を超えて阻害しない。
【0111】
本発明の組換え結合タンパク質のFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を阻害するかどうかを判定する典型的かつ好ましい方法が、実施例6に記載されている。したがって、一実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質によるFAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性の阻害は、実施例6に記載されるように決定される。
【0112】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を25%を超えて阻害せず、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18、19、26、33、144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0113】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を25%を超えて阻害せず、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18、19、26、及び33~35のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18、19、26、及び33~35の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18、19、26及び33の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0114】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を20%を超えて阻害せず、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18、19、26、及び33~35のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18、19、26、及び33~35の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18、19、26及び33の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0115】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を15%を超えて阻害せず、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18、19、26、及び33~35のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18、19、26、及び33~35の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18、19、26及び33の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0116】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を25%を超えて阻害せず、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0117】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を20%を超えて阻害せず、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0118】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を25%を超えて阻害せず、このアンキリン反復ドメインが、配列番号34と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号34の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損している。
【0119】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を20%を超えて阻害せず、このアンキリン反復ドメインが、配列番号34と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号34の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損している。
【0120】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を25%を超えて阻害せず、このアンキリン反復ドメインが、配列番号144~153のいずれか1つと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0121】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を20%を超えて阻害せず、このアンキリン反復ドメインが、配列番号144~153のいずれか1つと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0122】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を25%を超えて阻害せず、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18、19、26、33、144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0123】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を25%を超えて阻害せず、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18、19、26、及び33~35のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18、19、26、及び33~35の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18、19、26、及び33の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0124】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を25%を超えて阻害せず、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0125】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を25%を超えて阻害せず、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号34と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号34の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損している。
【0126】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を25%を超えて阻害せず、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18、19、26、33~35、及び144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18、19、26、33、144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0127】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を25%を超えて阻害せず、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18、19、26、及び33~35のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18、19、26、及び33~35の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18、19、26、及び33の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0128】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を25%を超えて阻害せず、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0129】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を25%を超えて阻害せず、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインが、配列番号34と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号34の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損している。
【0130】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を25%を超えて阻害せず、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18、19、26、33~35及び144~153のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18、19、26、33~35及び144~153の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18、19、26、33、144、145及び148~150の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0131】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を25%を超えて阻害せず、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18、19、26、及び33~35のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18、19、26、及び33~35の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18、19、26、及び33の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0132】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を25%を超えて阻害せず、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0133】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を20%を超えて阻害せず、このアンキリン反復ドメインが、配列番号18と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号18の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号18の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0134】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を25%を超えて阻害せず、このアンキリン反復ドメインが、配列番号19と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号19の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損しており、配列番号19の最後から2番目の位置のL及び/又は最後の位置のNが、任意に、Aによって置換されている。
【0135】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を25%を超えて阻害せず、このアンキリン反復ドメインが、配列番号34と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号34の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損している。
【0136】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、このアンキリン反復ドメインが、3×10-10M未満の解離定数(K)でPBS中でヒトFAPに結合し、このアンキリン反復ドメインが、約10-9M若しくはそれ未満のEC50でヒトFAP発現WI38細胞に結合し、このアンキリン反復ドメインのFAPへの結合が、FAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を20%を超えて阻害せず、このアンキリン反復ドメインが、配列番号34と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号34の位置1のG及び/又は位置2のSが、任意に欠損している。
【0137】
一実施形態では、上記のアンキリン反復ドメインにおける配列変動性のいずれかは、N末端キャッピングモジュール、C末端キャッピングモジュール、及び/又はアンキリン反復モジュールにおいて起こり、アンキリン反復モジュールにおける任意の配列変動性が、フレームワーク位置、及びアンキリン反復モジュールのランダム化位置3、4、6、14及び15以外の位置でのみ起こり、典型的には、アンキリン反復モジュール及びアンキリン反復ドメインの全体構造は、配列変動性によって影響を受けない。
【0138】
一実施形態では、この組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、この結合タンパク質は、生物学的活性分子を更に含む。
【0139】
一実施形態では、また一例として、この生物学的活性分子は、本発明の組換えタンパク質のin vivo半減期を増加させることができる。一実施形態では、この生物学的活性分子は、血清アルブミンに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインである。一実施形態では、この生物学的活性分子は、血清アルブミンに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインであり、血清アルブミンに対する結合特異性を有するこのアンキリン反復ドメインは、配列番号38、若しくは配列番号38と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有する配列からなる。一実施形態では、この生物学的活性分子は、血清アルブミンに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインであり、血清アルブミンに対する結合特異性を有するこのアンキリン反復ドメインは、配列番号38からなる。一実施形態では、配列番号38からなる血清アルブミンに対する結合特異性を有するこのアンキリン反復ドメインは、ペプチドリンカーでFAPに対する結合特異性を有するこのアンキリン反復ドメインに連結され、このペプチドリンカーが、好ましくはプロリン-スレオニンに富むペプチドリンカーであり、更に好ましくは配列番号39のペプチドリンカーである。
【0140】
一実施形態では、この組換えタンパク質は、(1)配列番号40~42及び(2)配列番号40~42のいずれかで最大9個のアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、この組換えタンパク質は、(1)配列番号40及び(2)配列番号40で最大9、8、7、6、5、4、3、2、1、又は0個のアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、この組換えタンパク質は、(1)配列番号41及び(2)配列番号41で最大9、8、7、6、5、4、3、2、1、又は0個のアミノ酸が別のアミノ酸と置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、この組換えタンパク質は、(1)配列番号42及び(2)配列番号42で最大9、8、7、6、5、4、3、2、1、又は0個のアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0141】
一実施形態では、この生物学的活性分子は、血清アルブミンに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインであり、血清アルブミンに対する結合特異性を有するこのアンキリン反復ドメインは、(1)配列番号159及び(2)配列番号159の最大9、8、7、6、5、4、3、2、1又は0個のアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、この生物学的活性分子は、血清アルブミンに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインであり、血清アルブミンに対する結合特異性を有するこのアンキリン反復ドメインは、(1)配列番号160及び(2)配列番号160の最大9、8、7、6、5、4、3、2、1又は0個のアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0142】
一実施形態では、この組換えタンパク質は、(1)配列番号34及び(2)配列番号34の最大9、8、7、6、5、4、3、2、1又は0個のアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択される第1のアミノ酸配列を含み、更に(1)配列番号159及び(2)配列番号159の最大9、8、7、6、5、4、3、2、1又は0個のアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択される第2のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、この第1のアミノ酸配列は配列番号34であり、この第2のアミノ酸配列は配列番号159である。一実施形態では、この第1のアミノ酸配列とこの第2のアミノ酸配列とは、ペプチドリンカーを用いて連結されている。一実施形態では、このペプチドリンカーは、プロリン-スレオニンに富むペプチドリンカー、好ましくは配列番号39のペプチドリンカーである。
【0143】
重要なことに、生物学的活性分子のFAP特異的アンキリン反復ドメインへの融合は、細胞表面上で発現されたFAPを特異的に認識し、かつFAPに結合する能力に影響を与えないことが、更に示されている(実施例5)。実施例5に示されるように、FAP特異的アンキリン反復ドメインを含む融合タンパク質は、本発明の組換えタンパク質に存在する更なる生物学的活性分子に関係なく、細胞の表面に発現されるFAPに効率的に結合するそれらの能力を保持する。
【0144】
更に、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含む本発明の組換えタンパク質は、生物学的活性分子を、FAPを発現する腫瘍組織に優先的にin vivo局在化又は送達又は標的化することができることが示されている(実施例5)。これは、本発明の放射性標識組換えタンパク質を使用する生体内分布分析によって、FAP陽性マウス腫瘍モデルにおいて評価されている。注射後48時間の生体内分布分析は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、血清アルブミンに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインなどの生物学的活性分子を更に含む本発明の組換えタンパク質が、この生物学的活性分子及び組換えタンパク質をFAP発現腫瘍組織に局在化又は送達又は標的化することができるのみならず、更にFAP発現腫瘍組織におけるこの生物学的活性分子を蓄積し、その保持を延長することができることを更に示している。したがって、生物学的活性分子若しくは治療的活性分子を含む本発明の組換えタンパク質は、この本発明の組換えタンパク質を、FAP発現腫瘍において局在化、送達、標的化、蓄積、活性化及び/又は保持しながら、他の器官及び生物における生物学的活性分子若しくは治療的活性分子の潜在的な副作用を低減することができる。本発明の組換えタンパク質は、FAP特異的治療薬、イメージング剤及び/又は診断剤の構成成分として機能し得る。
【0145】
更に、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含む本発明の組換えタンパク質は、FAP酵素活性を有意に阻害しないことが示されている(実施例6)。これは、本発明の組換えタンパク質の存在下及び非存在下での蛍光発生基質上のFAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を測定することによって評価されている。
【0146】
本発明のFAP特異的アンキリン反復ドメインは、1つ以上の追加のアンキリン反復ドメインを含む結合タンパク質の構築ブロックとして機能することができる。複数の特徴は、配列番号40~42によってコードされるタンパク質を本発明の好ましい組換え結合タンパク質として特徴付ける。これらは、FAPに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインと、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインと、を含む。これらは、血清アルブミン結合とFAP結合とを組み合わせる第1の組換え結合タンパク質である。血清アルブミンに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメイン、特に配列番号38、配列番号159又は配列番号160のアンキリン反復ドメイン、若しくはそれらの変異体は、改善されたin vivo半減期をもたらす。結果として、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、かつ血清アルブミンに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含む組換えタンパク質は、治療用途に特に有用な実施形態である。
【0147】
一実施形態では、血清アルブミンに対する結合特異性を有するこのアンキリン反復ドメインは、マウス、ラット、イヌ、カニクイザル、又はヒト由来の血清アルブミン、より好ましくはマウス、カニクイザル又はヒト由来の血清アルブミン、より好ましくはカニクイザル又はヒト由来の血清アルブミン、より好ましくはヒト由来の血清アルブミンに、PBS中で、10-5未満、好ましくは10-6M未満、又はより好ましくは10-7M未満の解離定数(K)で結合する。一実施形態では、血清アルブミンに対する結合特異性を有するこの設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号38、配列番号159又は配列番号160からなり、ヒト血清アルブミンに、PBS中で、10-5未満、好ましくは10-6M未満、又はより好ましくは10-7M未満の解離定数(K)で結合する。表面プラズモン共鳴を用いた解離定数決定の例は、実施例、例えば、実施例2、及び国際公開第2014/083208号に記載されている。
【0148】
一実施形態では、本発明のこのFAP特異的組換え結合タンパク質は、ポリペプチドタグを更に含む。ポリペプチドタグは、ポリペプチド/タンパク質に結合されたアミノ酸配列であり、ここで、このアミノ酸配列は、このポリペプチド/タンパク質の精製、検出、若しくは標的化に有用であり、又は、このアミノ酸配列は、ポリペプチド/タンパク質の物理化学的挙動を改善し、又は、このアミノ酸配列はエフェクター機能を有する。結合タンパク質の個々のポリペプチドタグは、結合タンパク質の他の部分に、直接又はペプチドリンカーを介して結合することができる。ポリペプチドタグは当技術分野で周知であり、当業者には十分に利用可能である。ポリペプチドタグの例は、小ポリペプチド配列、例えば、Hisタグ、HAタグ、mycタグ、FLAGタグ、若しくはStrepタグ、又は酵素(例えばアルカリホスファターゼ)等のポリペプチドであり、これらにより、このポリペプチド/タンパク質、又は標的化に使用できるポリペプチド(免疫グロブリン又はそれらのフラグメント等)及び/若しくはエフェクター分子として使用できるポリペプチドの検出が可能となる。
【0149】
一実施形態では、本発明のこのFAP特異的組換え結合タンパク質は、ペプチドリンカーを更に含む。ペプチドリンカーは、例えば、2つのタンパク質ドメイン、ポリペプチドタグとタンパク質ドメイン、タンパク質ドメインと非タンパク質化合物若しくはポリエチレングリコールなどのポリマー、又はタンパク質ドメインと生物学的活性分子、タンパク質ドメインとローカライザー、又は2つの配列タグを、結合させることができるアミノ酸配列である。ペプチドリンカーは、当業者に既知である。例の一覧は、特許出願、国際公開第2002/020565号の記載に提供されている。そのようなリンカーの具体例は、グリシン-セリン-リンカー及び可変長のプロリン-スレオニン-リンカーである。グリシン-セリン-リンカーの例は、アミノ酸配列GS及び配列番号155のアミノ酸配列であり、プロリン-スレオニン-リンカーの例は、配列番号39のアミノ酸配列である。
【0150】
別の態様では、本発明は、本発明のアンキリン反復ドメイン又は組換え結合タンパク質のアミノ酸配列をコードする、核酸に関する。一実施形態では、本発明は、本発明の組換え結合タンパク質のアミノ酸配列をコードする、核酸に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号18、配列番号19、配列番号26、配列番号33、配列番号34及び配列番号35からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする核酸に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号18のアミノ酸配列をコードする核酸に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号19のアミノ酸配列をコードする核酸に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号34のアミノ酸配列をコードする核酸に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号35のアミノ酸配列をコードする核酸に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号18からなる組換え結合タンパク質をコードする核酸に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号34からなる組換え結合タンパク質をコードする核酸に関する。更に、本発明は、本発明のいずれかの核酸を含むベクターに関する。核酸は、当業者に周知である。実施例において、核酸は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメイン又は組換え結合タンパク質を、大腸菌で産生するために使用した。本発明の核酸の例は、配列番号34のアミノ酸配列をコードする配列番号156によって提供される。
【0151】
一態様では、本発明は、本発明の組換え結合タンパク質及び/若しくは設計されたアンキリン反復ドメイン、及び/又は本発明の組換え結合タンパク質及び/若しくは設計されたアンキリン反復ドメインをコードする核酸、並びに任意に、薬学的に許容される担体及び/若しくは希釈剤を含む、医薬組成物に関する。
【0152】
一実施形態では、本発明は、組換え結合タンパク質、又は本発明の組換え結合タンパク質をコードする核酸、並びに任意に、薬学的に許容される担体及び/若しくは希釈剤を含む、医薬組成物に関する。
【0153】
薬学的に許容される担体及び/又は希釈剤は当業者に既知であり、下記でより詳細に説明する。更にまた、上述の、組換え結合タンパク質及び/又は設計されたアンキリン反復ドメイン、及び/又は核酸のうちの1つ以上、特に本発明の組換え結合タンパク質及び/又は核酸を含む、診断用組成物若しくは腫瘍撮像用組成物が提供される。
【0154】
医薬組成物は、本明細書に記載のような組換え結合タンパク質、及び/又は設計されたアンキリン反復ドメイン、及び/又は核酸、好ましくは、組換え結合タンパク質及び/又は核酸、及び例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.,1980に記載のような、薬学的に許容される担体、賦形剤若しくは安定剤を含む。
【0155】
当業者に既知の、好適な担体、賦形剤又は安定剤としては、例えば、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、ハンクス液、固定油、オレイン酸エチル、5%デキストロース生理食塩水、等張性及び化学的安定性を高める物質、緩衝液並びに保存剤が挙げられる。他の好適な担体としては、それ自体が、組成物を投与される個体にとって有害な抗体の産生を誘発しない任意の担体、例えば、タンパク質、ポリサッカライド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸及びアミノ酸コポリマーが挙げられる。医薬組成物はまた、抗がん剤若しくは抗血管新生剤、又は更なる生物活性化合物等の、追加の有効成分を含む、合剤であってもよい。
【0156】
in vivo投与に使用される製剤は、無菌でなくてはならない、又は、滅菌されていなくてはならない。これは、滅菌濾過膜で濾過することにより、容易に実施される。
【0157】
本発明の一実施形態は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、血清アルブミンに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインなどの生物学的活性分子を更に含む本発明の組換え結合タンパク質の、医薬組成物の製造のための使用であって、この組換え結合タンパク質が、FAPに対する結合特異性を有するこのアンキリン反復ドメインを含むが、血清アルブミンに対する結合特異性を有するこのアンキリン反復ドメインを含まない対応する組換え結合タンパク質と比べて、終末相半減期の延長、好ましくは少なくとも5%、好ましくは、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、又は250%の終末相半減期の延長を呈する、使用に関する。本発明の一実施形態では、組換え結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含み、血清アルブミンに対する結合特異性を有する2つのアンキリン反復ドメインを更に含む。
【0158】
一実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載のような少なくとも1つの組換え結合タンパク質、並びに非イオン性洗剤などの洗剤、リン酸塩緩衝液などの緩衝液、及びスクロースなどの糖を含む。一実施形態では、そのような組成物は、上記のような組換え結合タンパク質及びPBSを含む。
【0159】
別の態様では、本発明は、哺乳動物のFAP発現細胞又は組織に生物学的活性分子を局在化する方法であって、この生物学的活性分子を含む本発明の組換え結合タンパク質をこの哺乳動物に投与する工程を含む、方法を提供する。一実施形態では、この生物学的活性分子は、FAPとは異なる標的に対する結合特異性を有する結合タンパク質である。一実施形態では、この哺乳動物はヒトであり、このFAP発現細胞又は組織は、原発性腫瘍、転移及び/又は腫瘍間質を含む腫瘍内に位置する。腫瘍組織内の生物学的活性分子の選択的局在化、蓄積、保持、及び/又は活性化は、腫瘍組織内の分子の活性を集中させる利点を有し、その一方で、正常及び非腫瘍組織における分子の活性がはるかに少なくなるという利点を有する。そのような効果は、腫瘍微小環境内のFAPの局在化に依存する、FAPの酵素活性又は腫瘍進行における役割とは無関係であり得る。
【0160】
別の態様では、本発明は医学的状態を治療する方法であって、治療を必要とする患者に、治療有効量の生物学的活性分子を含む本発明の組換え結合タンパク質を投与する工程を含み、この生物学的活性分子が、治療有効分子である、方法を提供する。一実施形態では、この生物学的活性分子は、FAP発現細胞又は組織に局在化される場合に治療有効分子である。一実施形態では、この生物学的活性分子は、FAPとは異なる標的に対する結合特異性を有する結合タンパク質である。一実施形態では、このFAP発現細胞又は組織は、原発性腫瘍、転移及び/又は腫瘍間質を含む腫瘍内に位置する。したがって、これらの実施形態は、例えば、免疫チェックポイント阻害剤又は免疫共刺激アゴニストなどの生物学的活性分子の活性を腫瘍微小環境に局在化することによって、腫瘍間質におけるFAPの制限された発現の利用を可能にする。
【0161】
別の態様では、本発明は患者の腫瘍を撮像する方法であって、治療を必要とする患者に、生物学的活性分子を含む本発明の組換え結合タンパク質を投与する工程を含み、この生物学的活性分子が、この結合タンパク質により結合された細胞を撮像するために有効な分子である、方法を提供する。
【0162】
別の態様では、本発明は患者のがんを診断する方法であって、治療を必要とする患者に、生物学的活性分子を含む本発明の組換え結合タンパク質を投与する工程を含み、この生物学的活性分子が、この患者のがんを診断するために有効な分子である、方法を提供する。
【0163】
一実施形態では、本発明は、本発明による医薬組成物又は組換え結合タンパク質の、疾患の治療のための使用に関する。そのため、本発明による医薬組成物又は組換え結合タンパク質は、これらを必要とする患者に、治療有効量で投与される。投与としては、局所投与、経口投与、及び非経口投与を挙げることができる。典型的な投与経路は非経口投与である。非経口投与において、本発明の医薬組成物は、上記で定義したような薬学的に許容される賦形剤と共に、溶液、懸濁液又はエマルション等の単位用量の注射剤形で製剤化されている。用量及び投与方法は、治療される個体及び特定の疾患によって異なる。
【0164】
更に、上述の医薬組成物又は組換え結合タンパク質のいずれかは、障害の治療について考慮される。
【0165】
一実施形態では、上記の組換え結合タンパク質又は本明細書に記載のそのような他の医薬組成物は、静脈内投与される。非経口用途のため、組換え結合タンパク質又は上記の医薬組成物は、ボーラス注入として又は緩徐な点滴注入により、治療有効量で注入することができる。
【0166】
一実施形態では、本発明は、医学的状態の治療方法であって、そのような治療を必要とする患者に、本発明の組換え結合タンパク質の治療有効量を投与する工程を含む、治療方法に関する。一実施形態では、本発明は、医学的状態の治療方法であって、そのような治療を必要とする患者に、本発明の医薬組成物の治療有効量を投与する工程を含む、治療方法に関する。一実施形態では、本発明は、本発明による医薬組成物の、疾患の治療のための使用に関する。一実施形態では、本発明は、疾患の治療において使用するための医薬組成物に関する。一実施形態では、本発明は、医学的状態の治療において使用するための医薬組成物に関する。一実施形態では、本発明は、疾患の治療において使用するための核酸に関する。一実施形態では、本発明は、この医薬組成物、組換え結合タンパク質、又核酸分子の、疾患の治療のための医薬としての使用に関する。一実施形態では、本発明は、この医薬組成物、組換え結合タンパク質、又核酸分子の、医薬の製造のための使用に関する。一実施形態では、本発明は、この医薬組成物、組換え結合タンパク質、又核酸分子の、疾患の治療のための医薬の製造のための使用に関する。一実施形態では、本発明は、疾患の治療のための医薬の製造プロセスであって、この医薬組成物、組換え結合タンパク質、又は核酸分子が、医薬の活性成分である、製造プロセスに関する。一実施形態では、本発明は、この医薬組成物、組換え結合タンパク質、又は核酸分子を使用して疾患を治療するプロセスに関する。
【0167】
特に、本発明は、本発明の医薬組成物を使用した医学的状態の治療であって、上記の医学的状態が、がんである、治療に関する。
【0168】
本発明の組換え結合タンパク質又はこの医薬組成物のがん疾患の治療のための使用はまた、当技術分野において既知の1つ以上の他の療法との併用とすることができる。用語「~との併用」は、本明細書で使用する場合、所与の投与計画の下で実施される共投与を指すものとする。これには、異なる化合物の同時投与及び異なる化合物の時間を変えた投与が含まれる(例えば、化合物Aを1回投与し、かつ化合物Bをその後に数回投与する、若しくは逆もまた同様、又は、両化合物を同時に投与し、かつ2つのうちの1つを後の段階でまた投与する)。
【0169】
更なる一実施形態では、本発明は、本発明の組換え結合タンパク質の、医学的状態、好ましくは腫瘍性疾患、より好ましくはがんの治療に使用される医薬の製造のための使用に関する。
【0170】
一実施形態では、本発明は、本発明の医薬組成物の、腫瘍性疾患、特にがんであり得る、医学的状態の治療に使用される医薬の製造のための使用に関する。
【0171】
一実施形態では、本発明は、上述のアンキリン反復ドメインのいずれかを含む組換え結合タンパク質に関する。
【0172】
一実施形態では、本発明は、この組換え結合タンパク質を含むキットに関する。一実施形態では、本発明は、この組換え結合タンパク質をコードする核酸を含むキットに関する。一実施形態では、本発明は、この医薬組成物を含むキットに関する。一実施形態では、本発明は、この組換え結合タンパク質、及び/又はこの組換え結合タンパク質をコードする核酸、及び/又はこの医薬組成物を含むキットに関する。一実施形態では、本発明は、FAP特異的アンキリン反復ドメイン、例えば、配列番号18又は配列番号34を含む組換え結合タンパク質、及び/又はFAP特異的アンキリン反復ドメイン、例えば、配列番号18又は配列番号34を含む組換え結合タンパク質をコードする核酸、及び/又はFAP特異的アンキリン反復ドメイン、例えば、配列番号18又は配列番号34を含む組換え結合タンパク質、並びに/若しくはFAP特異的アンキリン反復ドメイン、例えば、配列番号18又は配列番号34を含む組換え結合タンパク質をコードする核酸を含む医薬組成物を含むキットに関する。
【0173】
一実施形態では、本発明は、本発明の組換え結合タンパク質を産生するための方法に関する。一実施形態では、本発明は、組換え結合タンパク質、例えば、配列番号18又は配列番号34のアミノ酸配列を含む組換え結合タンパク質を産生するための方法であって、(i)この組換え結合タンパク質を細菌中で発現させる工程と、(ii)クロマトグラフィーを使用してこの組換え結合タンパク質を精製する工程と、を含む、方法に関する。この方法は、追加の工程を含んでもよい。本発明の組換え結合タンパク質のこのような産生方法は、実施例1に記載される。
【0174】
本発明は、実施例に記載の特定の実施形態に制限されない。
【0175】
本明細書は、「P5618_Sequence_Listing.txt」という名前の、本明細書のアミノ酸配列一覧の多数のアミノ酸配列を参照しており、配列表のアミノ酸配列は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0176】
定義
本明細書において別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。
【0177】
本発明の文脈において、用語「タンパク質」はポリペプチドを含む分子を指し、ここで、ポリペプチドの少なくとも一部は、単一のポリペプチド鎖内及び/又は複数のポリペプチド鎖間で二次、三次、及び/又は四次構造を形成することにより、明確な三次元配置を有する、又は、とることができる。タンパク質が2つ以上のポリペプチド鎖を含む場合、個々のポリペプチド鎖は、非共有結合又は共有結合により、例えば、2つのポリペプチド間のジスルフィド結合により、結合され得る。個々に二次及び/又は三次構造を形成することにより、明確な三次元配置を有する、又は、とることができるタンパク質の一部は、「タンパク質ドメイン」と呼ばれる。そのようなタンパク質ドメインは、当業者に周知である。
【0178】
用語「組換え」は、組換えタンパク質、組換えポリペプチドなどで使用する場合、このタンパク質又はポリペプチドが、当業者に周知の組換えDNA技術の使用によって作製されることを意味する。例えば、ポリペプチドをコードする組換えDNA分子(例えば遺伝子合成によって作製される)を細菌発現プラスミド(例えばpQE30、QIAgen)、酵母発現プラスミド、哺乳動物発現プラスミド、若しくは植物発現プラスミド、又はin vitro発現を可能にするDNAにクローニングすることができる。例えば、そのような組換え細菌発現プラスミドを適切な細菌(例えば、大腸菌)に挿入すると、これらの細菌は、この組換えDNAによってコードされたポリペプチドを産生することができる。それに応じて産生されたポリペプチド又はタンパク質は、組換えポリペプチド又は組換えタンパク質と呼ばれる。
【0179】
本発明の文脈において、用語「結合タンパク質」は、結合ドメインを含むタンパク質を指す。結合タンパク質はまた、2つ、3つ、4つ、5つ又はそれ以上の結合ドメインを含んでもよい。好ましくは、この結合タンパク質は、組換え結合タンパク質である。本発明の結合タンパク質は、FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含む。
【0180】
更に、任意のそのような結合タンパク質は、当業者に周知の追加のポリペプチド(例えば、ポリペプチドタグ、ペプチドリンカー、結合特異性を有する他のタンパク質性ドメインへの融合、サイトカイン、ホルモン、又はアンタゴニストなど)、又は化学修飾(ポリエチレングリコール、毒素(例えば、免疫原からのDM1)、小分子、抗生物質などへのカップリングなど)を含み得る。本発明の結合タンパク質は、ローカライザー分子を含み得る。
【0181】
用語「結合ドメイン」は、標的に対する結合特異性を呈するタンパク質ドメインを意味する。好ましくは、この結合ドメインは、組換え結合ドメインである。
【0182】
用語「標的」は、核酸分子、ポリペプチド若しくはタンパク質、炭水化物、又は任意の他の天然に存在する分子などの個々の分子を指し、そのような個々の分子の任意の一部を含むか、又はそのような分子の2つ以上の複合体、又は細胞全体若しくは組織試料、又は任意の非天然化合物を指す。好ましくは、標的は天然に存在する、若しくは、非天然のポリペプチド若しくはタンパク質、又は、例えば、天然に存在する若しくは非天然のリン酸化、アセチル化、若しくはメチル化によって修飾された、化学修飾を含むポリペプチド若しくはタンパク質である。本発明の文脈において、FAP及びFAP発現細胞並びに組織は、FAP特異的結合タンパク質の標的である。
【0183】
本発明の文脈において、用語「ポリペプチド」は、ペプチド結合によって結合された、複数、すなわち2つ以上のアミノ酸の鎖からなる分子に関する。好ましくは、ポリペプチドは、ペプチド結合によって結合された8個超のアミノ酸からなる。用語「ポリペプチド」はまた、システインのS-S架橋によって結合されたアミノ酸の複数の鎖も含む。ポリペプチドは、当業者に周知である。
【0184】
特許出願第2002/020565号及びForrerら、2003(Forrer,P.,Stumpp,M.T.,Binz,H.K.,Pluckthun,A.,2003.FEBS Letters 539,2-6)は、反復タンパク質の特徴と反復ドメインの特徴、技術、及び用途の一般的な説明を含む。用語「反復タンパク質」は、1つ以上の反復ドメインを含むタンパク質を指す。好ましくは、反復タンパク質は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つの反復ドメインを含む。更に、この反復タンパク質は、更なる非反復タンパク質ドメイン、ポリペプチドタグ及び/又はペプチドリンカーを含む場合がある。反復ドメインは、結合ドメインである場合がある。
【0185】
用語「反復ドメイン」は、構造単位として2つ以上の連続する反復モジュールを含むタンパク質ドメインを指し、この反復モジュールは、構造相同性及び配列相同性を有する。好ましくは、反復ドメインは、N末端及び/又はC末端キャッピングモジュールを更に含む。明確にするために、キャッピングモジュールは、反復モジュールであり得る。そのような反復ドメイン、反復モジュール、及びキャッピングモジュール、配列モチーフ、並びに構造的相同性及び配列相同性は、アンキリン反復ドメイン(国際公開第2002/020565号)、ロイシンリッチ反復ドメイン(国際公開第2002/020565号)、テトラトリコペプチド反復ドメイン(Main,E.R.,Xiong,Y.,Cocco,M.J.,D’Andrea,L.,Regan,L.,Structure 11(5),497~508,2003)、及びアルマジロ反復ドメイン(国際公開第2009/040338号)の例から、当業者に周知である。そのような反復ドメインが反復されるアミノ酸配列を含むタンパク質とは異なることは、当業者には更に周知であり、反復されるアミノ酸配列は全て、個々のドメイン(例えば、フィブロネクチンのFN3ドメイン)を形成することができる。
【0186】
設計された反復タンパク質、設計された反復ドメインなどにおいて使用される用語「設計された」は、そのような反復タンパク質及び反復ドメインがそれぞれ人工的であり、自然界では生じないという特性を指す。本発明の結合タンパク質は、反復タンパク質を設計し、これらは少なくとも1つの設計されたアンキリン反復ドメインを含む。
【0187】
用語「標的相互作用残基」は、標的との直接的な相互作用に寄与する反復モジュールのアミノ酸残基を指す。
【0188】
用語「フレームワーク残基」は、反復モジュールのアミノ酸残基を指し、これは、折り畳みトポロジーに寄与する、すなわち、反復モジュールの折り畳みに寄与するか、又は隣接モジュールとの相互作用に寄与する。そのような寄与は、反復モジュール内の他の残基との相互作用、又はα-ヘリックス若しくはβ-シートに見られるポリペプチド骨格構造への影響、又は直鎖ポリペプチド若しくはループを形成するアミノ酸ストレッチへの関与であってもよい。
【0189】
そのようなフレームワーク及び標的相互作用残基は、X線結晶解析、NMR及び/若しくはCD分光法などの物理化学法によって得られる構造データの分析によって、又は構造生物学及び/若しくはバイオインフォマティクスにおいて当業者に周知の既知の関連する構造情報と比較することによって同定され得る。
【0190】
用語「反復モジュール」は、元々は天然に生じる反復タンパク質の反復単位から誘導される、設計された反復ドメインの反復されたアミノ酸配列及び構造単位を指す。反復ドメインに含まれる各反復モジュールは、天然に存在する反復タンパク質のファミリー又はサブファミリー、例えば、アンキリン反復タンパク質ファミリーの1つ以上の反復単位に由来する。更に、反復ドメインに含まれる各反復モジュールは、例えば、実施例1に記載されるように、標的上で選択された反復ドメインから得られ、同じ標的特異性を有する相同反復モジュールから推定される「反復配列モチーフ」を含み得る。
【0191】
したがって、用語「アンキリン反復モジュール」は、元々天然に存在するアンキリン反復タンパク質の反復単位に由来する反復モジュールを指す。アンキリン反復タンパク質は、当業者に周知である。
【0192】
反復モジュールは、標的特異的反復ドメインを選択する目的で、ライブラリ内でランダム化されていないアミノ酸残基を有する位置(「非ランダム化位置」)及び標的特異的反復ドメインを選択する目的で、ライブラリ内でランダム化されたアミノ酸残基を有する位置(「ランダム化位置」)を含み得る。非ランダム化位置は、フレームワーク残基を含む。ランダム化位置は、標的相互作用残基を含む。「ランダム化された」とは、例えば、反復モジュールのアミノ酸位置で2つ以上のアミノ酸が許可され、通常の20個の天然に存在するアミノ酸のいずれかが許可された、若しくはシステイン以外のアミノ酸、又はグリシン、システイン、及びプロリン以外のアミノ酸などの、20個の天然に存在するアミノ酸のほとんどが許可されたことを意味する。本特許出願の目的のために、配列番号48~134のアミノ酸残基3、4、6、14及び15は、本発明のアンキリン反復モジュールのランダム化位置である。
【0193】
用語「反復配列モチーフ」は、1つ以上の反復モジュールから推定されるアミノ酸配列を指す。好ましくは、この反復モジュールは、同じ標的に対する結合特異性を有する反復ドメインに由来する。そのような反復配列モチーフは、フレームワーク残基位置及び標的相互作用残基位置を含む。このフレームワーク残基の位置は、反復モジュールのフレームワーク残基の位置に対応する。同様に、この標的相互作用残基の位置は、反復モジュールの標的相互作用残基の位置に対応する。反復配列モチーフは、非ランダム化位置及びランダム化位置を含む。
【0194】
用語「反復単位」は、1つ以上の天然に存在するタンパク質の配列モチーフを含むアミノ酸配列を指し、この「反復単位」は複数のコピーに見出され、タンパク質のフォールディングを決定する全てのこのモチーフに共通の定義されたフォールディングトポロジーを示す。そのような反復単位の例としては、ロイシンに富む反復単位、アンキリン反復単位、アルマジロ反復単位、テトラトリコペプチド反復単位、HEAT反復単位、及びロイシンに富む変異体反復単位が挙げられる。
【0195】
用語「標的に対する結合特異性を有する」、「標的に特異的に結合する」、「標的に高い特異性で結合する」、「標的に対して特異的」又は「標的特異性」等は、結合タンパク質又は結合ドメインが、大腸菌マルトース結合タンパク質(MBP)等の非関連タンパク質に結合するよりも、PBS中で、標的に、より低い解離定数で結合する(すなわち、より高い親和性で結合する)ことを意味する。好ましくは、標的に対するPBS中での解離定数(「K」)は、MBPに対する対応する解離定数よりも、少なくとも10倍、より好ましくは少なくとも10倍、より好ましくは少なくとも10倍、又はより好ましくは少なくとも10倍低い。タンパク質-タンパク質間の相互作用の解離定数を測定するための方法、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)に基づく技術(例えば、SPR平衡解析)又は等温滴定熱量測定(ITC)は、当業者に周知である。特定のタンパク質-タンパク質相互作用のKの測定値は、異なる条件下(例えば、塩濃度、pH)で測定された場合、変動し得る。したがって、K値の測定は、好ましくは、タンパク質の標準化溶液及びPBS等の標準化緩衝液を使用して実施される。表面プラズモン共鳴(SPR)分析によるFAPに対する結合特異性を有する本発明のアンキリン反復ドメイン及び組換え結合タンパク質の解離定数(K)の典型的かつ好ましい決定は、実施例2に記載されている。
【0196】
用語「約」は、言及した値の+/-20%を意味し、例えば、「約50」は、40~60を意味するものとする。
【0197】
用語「PBS」は、137mM NaCl、10mMリン酸塩及び2.7mM KClを含み、pHが7.4であるリン酸緩衝水溶液を意味する。
【0198】
用語「マウス血清アルブミン」は、UniProt受託番号P07724を指し、用語「カニクイザル血清アルブミン」(すなわちmacaca fascicularis)は、UniProt受託番号A2V9Z4を指し、用語「ヒト血清アルブミン」はUniProt受託番号P02768を指す。ヒト血清アルブミンのアミノ酸配列は、配列番号154に提供されている。
【0199】
好ましくは、クリアランス、及び/又は曝露、及び/又は終末相半減期は、哺乳動物、より好ましくはマウス及び/又はカニクイザル、より好ましくはカニクイザルで評価する。好ましくは、クリアランス、及び/又は曝露、及び/又は終末相半減期をマウスで測定する場合、評価は、注入後48時間までのデータを考慮して実施する。より好ましくは、マウスにおける終末相の評価は、24時間~48時間で算出する。好ましくは、クリアランス、及び/又は曝露、及び/又は終末相半減期をカニクイザルで測定する場合、評価は、注入後7日目までのデータを考慮して実施する。より好ましくは、カニクイザルにおける終末相半減期の評価は、1日目~5日目で算出する。当業者は更に、標的媒介クリアランスなどの効果を特定し、終末相半減期を計算する際にそれらを考慮することができる。本発明の組換え結合タンパク質等の薬物の用語「終末相半減期」は、偽平衡に達した後、哺乳動物に投与した薬物の血漿中濃度の半分に達するのに必要な時間を指す(例えば、マウスでは24時間~48時間で算出する、又は、カニクイザルでは1日目~5日目で算出する)。終末相半減期は、哺乳動物に投与された薬物の用量の半分を排泄するのに必要な時間とは定義されない。終末相半減期という用語は、当業者に周知である。好ましくは、薬物動態の比較は、任意の投与量、より好ましくは同等の投与量(すなわち、同一のmg/kg投与量)又は等モル投与量(すなわち、同一のmol/kg投与量)、より好ましくは等モル投与量(すなわち、同一のmol/kg投与量)、で行う。動物での同等及び/又は等モルの投与は、少なくとも20%、より好ましくは30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%の実験的な投与量のばらつきを伴うことが、当業者には理解される。好ましくは、薬物動態の測定に用いられる投与量は、0.001mg/kg~1000mg/kg、より好ましくは0.01mg/kg~100mg/kg、より好ましくは0.1mg/kg~50mg/kg、より好ましくは0.5mg/kg~10mg/kgから選択される。
【0200】
プロリルエンドペプチダーゼFAP又はセプラーゼ(EC3.4.21)としても知られている、用語「線維芽細胞活性化タンパク質」又は「FAP」は、特に明記されない限り、霊長類(例えば、ヒト及び非ヒト霊長類(例えば、カニクイザル)並びにげっ歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源からの任意の天然FAPを指す。この用語は、「完全長」、「未処理FAP」、並びに細胞における処理から生じる任意の形態のFAPを包含する。この用語はまた、FAPの天然に存在する変異体、例えば、スプライス変異体又は対立遺伝子変異体も包含する。一実施形態では、本発明の抗原結合分子は、ヒト、マウス、及び/又はカニクイザルFAPに特異的に結合することができる。ヒトFAPのアミノ酸配列は、UniProt(www.uniprot.org)受託番号Q12884、又はNCBI(www.ncbi.nlm.nih.gov/)参照配列NP_004451.2に示されている。ヒトFAPの細胞外ドメイン(ECD)は、アミノ酸位置26から760まで延びる。Hisタグ付きヒトFAP ECDのアミノ酸配列は、配列番号45に提供されている。マウスFAPのアミノ酸配列はUniProt受託番号P97321、又はNCBI参照配列NP_032012.1に示されている。マウスFAPの細胞外ドメイン(ECD)は、アミノ酸位置26から761まで延びる。配列番号47は、マウスFAP ECDのアミノ酸配列を示す。カニクイザルFAPのアミノ酸配列は、NCBI参照配列XP_005573377.1に示されている。配列番号46は、Hisタグ付きカニクイザルFAP ECDのアミノ酸配列を示す。好ましくは、本発明の抗FAP結合分子は、FAPの細胞外ドメインに結合する。
【0201】
用語「生物活性分子」及び「生物学的活性分子」は、例えば、ヒトを含む哺乳動物における生物学的効果又は活性を有し、本発明の結合タンパク質と共有結合又は非共有結合、コンジュゲート、融合、ないしは別の方法で物理的に関連し得る任意の分子を包含することを意図する。この用語は、例えば、クラスター化、タンパク質分解切断、アロステリックな変化、又は二量体化などの活性化事象のみに応じて、生物学的効果又は活性を示す、任意のそのような分子も包含する。この用語は、ポリヌクレオチド、ペプチド/ポリペプチド、及び/又は医薬品を包含する。用語「ポリヌクレオチド」は、特に明記されない限り、一般にDNAを指すが、RNA及びDNA若しくはRNAの修飾又は人工的形態を含んでもよい。この用語は、遺伝子、cDNA、オリゴヌクレオチド、RNAiプラスミドなどを含む。この用語は、標的器官で産物を発現するためのセンスDNA又はRNA、及び標的器官での天然又は導入された遺伝子の発現を低減又は排除するためのアンチセンスDNA又はRNAを更に含む。用語「ペプチド」は、4個~200個のアミノ酸長などの4個~600個のアミノ酸長のペプチド鎖を指し、したがって、ポリペプチド及びタンパク質を包含する。この用語は、任意の天然に存在する又は人工的な結合タンパク質、結合ドメイン、増殖因子受容体、又はそれらのフラグメント若しくはリガンド、サイトカイン、酵素、ポリペプチドホルモン、抗体、スキャフォールドに基づく抗体様タンパク質、免疫調節タンパク質などを包含する。更に、用語「ペプチド」はまた、例えば、グリコシル化によって修飾されたペプチド、及び、例えば、インスリン及び免疫グロブリンなどのジスルフィド結合によって架橋された、それぞれが4個~600個のアミノ酸長の長さの2つ以上のポリペプチド鎖を含むタンパク質も包含する。用語「医薬品」は、生理学的、薬理学的又は治療的効果を誘導するためにレシピエントに投与され得る任意の天然又は合成化合物を含むことを意図する。そのような薬剤の例は、抗腫瘍薬、毒素、抗生物質、ホルモン、抗炎症剤、抗寄生虫剤、DNAワクチンなどである。
【0202】
用語「抗体」は、インタクトな抗体分子だけでなく、免疫原結合能力を保持する抗体分子の任意のフラグメント及び変異体も意味する。そのようなフラグメント及び変異体もまた、当技術分野において周知であり、in vitro及びin vivoの両方で常時使用されている。したがって、用語「抗体」は、インタクトな免疫グロブリン分子、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、及び単鎖V領域フラグメント(scFv)、二重特異性抗体、キメラ抗体、抗体融合ポリペプチド、及び非従来型抗体を包含する。
【0203】
「生物学的活性分子をFAP発現細胞又は組織に局在化する」という文脈において、本明細書で互換的に使用される用語「局在化」又は「送達」は、生物学的に活性な分子がFAP特異的結合タンパク質に連結されていない場合と比較して、生物学的に活性な分子がFAP特異的結合タンパク質に連結されている場合の哺乳動物におけるFAP発現細胞又は組織への生物学的活性分子の増加された局在化を指す。この用語はまた、分子を哺乳動物の標的の部位に標的化することを指し、分子は本発明のFAP特異的アンキリン反復ドメインに連結された生物学的に活性な分子であり、標的はFAPであり、標的はFAP発現細胞又は組織である。この用語は、好ましくは、哺乳動物のFAP発現細胞又は組織の部位での本発明のFAP特異的アンキリン反復ドメインに連結された生物学的に活性な分子の蓄積及び/又は保持を更に包含する。本用語はまた、好ましくは、本発明のFAP特異的アンキリン反復ドメインに連結された生物学的に活性な分子の、又は哺乳動物のFAP発現細胞又は組織の部位で生物学的に活性な分子によって誘導される生物学的応答の局所的活性化を包含する。そのような局所的活性化は、例えば、本発明の連結されたアンキリン反復ドメインがFAP発現細胞又は組織に結合する際に生物学的に活性な分子によって結合される生物学的に活性な分子又はタンパク質(例えば、細胞表面受容体など)のクラスター化を通して生じ得る。そのような局所的活性化はまた、他の機構、例えば、タンパク質分解切断、アロステリック変化、又は生物学的に活性な分子の二量体化(例えば、プロドラッグの活性化におけるように)を通して生じ得る。この段落で使用するとき、「哺乳動物」はヒトを包含する。「局在化」の結果は、当業者に周知の様々な手段によって測定され得る。一例として、「局在化」は、実施例5に記載されるように、本発明のアンキリン反復ドメインに連結された生物学的に活性な分子の器官対血液比を決定することによって測定することができる。本発明の一実施形態では、連結された生物学的に活性な分子の「局在化」に対するFAP特異的アンキリン反復ドメインの効果は、FAP特異的アンキリン反復ドメインにリンクされていない対応する生物学的に活性な分子と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、250%、又は300%の器官対血液比の増加によって示される。
【0204】
本明細書で使用する場合、用語「FAP発現細胞」又は「FAP発現組織」は、FAPを発現する細胞若しくは細胞を含む組織を指す。そのようなFAP発現細胞としては、線維芽細胞、特に腫瘍間質線維芽細胞が挙げられる。FAPは、肺、結腸直腸、膀胱、卵巣及び乳癌を含む、上皮悪性腫瘍(原発性及び転移性)の90%超の間質線維芽細胞において、並びに骨及び軟組織肉腫の悪性間葉細胞において選択的に発現されるが、通常、正常な成体組織には存在しない。FAPは、皮膚、前立腺、膵臓の腫瘍細胞などの特定の悪性腫瘍細胞にも発現する(Rettig et al.,Proc Natl Acad Sci USA 85,3110-3114(1988);Garin-Chesa et al.,Proc Natl Acad Sci USA 87,7235-7239(1990);Rettig et al.,Cancer Res.53:3327-3335(1993);Jin et al.,Anticancer Res 23,3195-3198(2003);Brennen et al.,Mol Cancer Ther.11:257-266(2012);Hamson et al.,Proteomics Clin Appl.8:454-63(2014))。
【0205】
「医学的状態」(又は障害又は疾患)という用語には、自己免疫障害、炎症性障害、網膜症(特に増殖性網膜症)、神経変性障害、感染症、代謝性疾患、及び腫瘍性疾患が含まれる。本明細書に記載の組換え結合タンパク質のいずれかを、そのような障害、特に、自己免疫障害、炎症性障害、網膜症、及び腫瘍性疾患を含む群から選択される障害の治療のための医薬の調製に使用することができる。「医学的状態」は、不適切な細胞増殖を特徴とするものである場合がある。医学的状態は、過剰増殖状態である場合がある。本発明は、特に、医学的状態の治療方法であって、そのような治療を必要とする患者に、本発明の組換え結合タンパク質又は上記の医薬組成物の治療有効量を投与する工程を含む、治療方法に関する。好ましい実施形態では、この医学的状態は腫瘍性疾患である。用語「腫瘍性疾患」は、本明細書で使用する場合、急速に増殖する細胞増殖又は腫瘍を特徴とする、細胞又は組織の異常な状態(state or condition)を指す。一実施形態では、この医学的状態は悪性腫瘍性疾患である。一実施形態では、この医学的状態はがんである。用語「治療有効量」は、患者において所望の効果をもたらすのに十分な量を意味する。
【0206】
用語「がん」及び「がん性」は、本明細書では、典型的には、調節されていない細胞増殖によって特徴付けられる哺乳動物における生理学的状態を指すか、又は記載するために使用される。がんは、固形腫瘍及び液性腫瘍、並びに原発性腫瘍及び転移性を包含する。「腫瘍」は、1つ以上のがん性細胞を含む。固形腫瘍は、典型的には、腫瘍間質も含む。がんの例としては、原発性及び転移性癌、リンパ腫、芽腫、肉腫、及び白血病、並びに任意の他の上皮及びリンパ系悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。脳がん、膀胱がん、乳がん、卵巣がん、明細胞腎臓がん、頭頸部扁平上皮癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、悪性黒色腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、腎細胞癌、小細胞肺がん(SCLC)、三重陰性乳がん、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫(HL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、多発性骨髄腫(MM)、骨髄異形成症候群(MDS)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)、慢性骨髄性白血病(CML)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、悪性中皮腫、結腸直腸がん、又は胃がんが挙げられる。
【実施例
【0207】
以下に開示される出発材料及び試薬は、当業者に既知であり、市販されている、及び/又は周知の技術を使用して調製することができる。
【0208】
材料
化学物質はSigma-Aldrich(USA)より購入した。オリゴヌクレオチドはMicrosynth(Switzerland)より購入した。特に明記しない限り、DNAポリメラーゼ、制限酵素及び緩衝液は、New England Biolabs(USA)又はFermentas/Thermo Fisher Scientific(USA)より購入した。クローニング及びタンパク質産生株は、大腸菌XL1-blue(Stratagene、USA)又はBL21(Novagen、USA)であった。組換えヒトFAPはRnDSystems(USA、製品番号3715-SE)又はProteros(Germany、製品番号PR-0071)のいずれかで購入し、組換えマウスFAPはRnD Systems(USA、製品番号8647-SE)より購入した。ヒスチジンタグ付きカニクイザルFAPは、昆虫細胞においてReliaTech(Germany)で発現させ、Molecular Partnersで標準的な精製方法を使用して精製した。ビオチン化したFAPは、標準的なビオチン化試薬及び方法を使用し、ビオチン部分をタンパク質の第一級アミンにカップリングすることにより、化学的に得た。ヒトFAP活性アッセイのためのZ-Gly-Pro-AMC蛍光発生基質は、Bachem製(製品番号#I-1145.0250)であった。
【0209】
薬物動態研究用の健康な雌のBALB/cマウスは、Janvier、Saint Berthevin Cedex、Franceから供給した。DARPin(登録商標)タンパク質は、PBS溶液中に配合した(Gibco Life Technologies、Grand Island、New York、USA、Ref.:10010-015)。マウス血清試料中のDARPin(登録商標)タンパク質濃度は、ポリクローナルヤギ抗ウサギIgG抗体(Ab18、Thermo Scientific、No.31210)及びNUNC Maxisorb ELISAプレート上の捕捉試薬としてウサギ抗DARPin(登録商標)1-1-1抗体を使用するサンドイッチELISA法により測定した。検出は、マウス抗RGS-His-HRP IgG(Ab06、Qiagen、No.34450)及びTMB基質溶液を用いて行った。
【0210】
分子生物学
特に明記しない限り、方法は既知のプロトコルに従って行う(例えば、Sambrook J.,Fritsch E.F.and Maniatis T.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory 1989,New Yorkを参照されたい)。
【0211】
設計されたアンキリン反復タンパク質ライブラリ
設計されたアンキリン反復タンパク質ライブラリを生成する方法は、例えば、米国特許第7,417,130号;Binz et al.2003,loc.cit.;Binz et al.2004,loc.cit.に記載されている。そのような方法により、ランダム化されたアンキリン反復モジュール及び/又はランダム化されたキャッピングモジュールを有する設計されたアンキリン反復タンパク質ライブラリを構築することができる。例えば、そのようなライブラリは、固定されたN末端キャッピングモジュール(例えば、配列番号135、136又は137のN末端キャッピングモジュール)又は配列番号138によるランダム化されたN末端キャッピングモジュールに;配列番号139、140又は141の配列モチーフによる1つ以上のランダム化された反復モジュール;そして固定されたC末端キャッピングモジュール(例えば、配列番号142、157又は158のC末端キャッピングモジュール)若しくは配列番号143によるランダム化されたC末端キャッピングモジュールに基づいて、適切に組み立てられ得る。好ましくは、そのようなライブラリは、反復又はキャッピングモジュールのランダム化位置にアミノ酸C、G、M、N(G残基の前)及びPのいずれも有さないように組み立てられる。加えて、配列番号139、140又は141の配列モチーフによるランダム化された反復モジュールは、位置10及び/又は位置17で更にランダム化される可能性があり;配列番号138の配列モチーフによるランダム化されたN末端キャッピングモジュールは、位置7及び/又は位置9で更にランダム化される可能性があり、配列番号143の配列モチーフによるランダム化されたC末端キャッピングモジュールは、位置10、11及び/又は17で更にランダム化され得る。
【0212】
そのようなライブラリ内のそのようなランダム化されたモジュールは、ランダム化されたアミノ酸位置を有する追加のポリペプチドループ挿入を含んでもよい。そのようなポリペプチドループ挿入の例は、抗体の補体決定領域(CDR)ループライブラリ又は新規に生成されたペプチドライブラリである。例えば、そのようなループ挿入は、誘導として、ヒトリボヌクレアーゼL(Tanaka,N.,Nakanishi,M,Kusakabe,Y,Goto,Y.,Kitade,Y,Nakamura,K.T.,EMBO J.23(30),3929-3938,2004)のN末端アンキリン反復ドメインの構造を使用して設計することができる。2つのアンキリン反復の境界近くに存在するベータターンに10個のアミノ酸が挿入されているこのアンキリン反復ドメインと同様に、アンキリン反復タンパク質ライブラリは、アンキリン反復ドメインの1つ以上のベータターンに挿入された可変長(例えば、1個~20個のアミノ酸)のランダム化されたループ(固定及びランダム化位置を有する)を含有してもよい。
【0213】
アンキリン反復タンパク質ライブラリの任意のそのようなN末端キャッピングモジュールは、好ましくは、RILLAA、RILLKA、又はRELLKAモチーフ(例えば、配列番号34の位置21~位置26に存在する)を有し、アンキリン反復タンパク質ライブラリの任意のそのようなC末端キャッピングモジュールは、好ましくは、KLN、KLA又はKAAモチーフ(例えば、配列番号34の最後の3つのアミノ酸に存在する)を有する。
【0214】
そのようなアンキリン反復タンパク質ライブラリの設計は、標的と相互作用するアンキリン反復ドメインの既知の構造によって誘導され得る。Protein Data Bank(PDB)の独自の受託コード又は識別コード(PDB-ID)によって識別される、そのような構造の例は、1WDY、3V31、3V30、3V2X、3V2О、3UXG、3TWQ-3TWX、1N11、1S70、及び2ZGDである。
【0215】
N2C及びN3Cで設計されたアンキリン反復タンパク質ライブラリなどの、設計されたアンキリン反復タンパク質ライブラリの例が記載されている(米国特許第7,417,130号;Binz et al.2003,loc.cit.;Binz et al.2004,loc.cit.)。N2C及びN3Cの数字は、N末端とC末端のキャッピングモジュールの間に存在するランダム化された反復モジュールの数を記載している。
【0216】
反復単位及びモジュールの内側の位置を定義するために使用される命名法は、Binz et al.2004,loc.cit.に基づいており、アンキリン反復モジュール及びアンキリン反復単位の境界が1つのアミノ酸位置によってシフトされる変更を有する。例えば、Binz et al.2004(loc.cit.)のアンキリン反復モジュールの位置1は、本開示のアンキリン反復モジュールの位置2に相当し、その結果、Binz et al.2004,loc.cit.のアンキリン反復モジュールの位置33は、本開示の以下のアンキリン反復モジュールの位置1に相当する。
【0217】
全てのDNA配列は配列決定によって確認され、選択されたタンパク質の計算された分子量は質量分析によって確認された。
【0218】
実施例1:FAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含む結合タンパク質の選択
リボソーム表示(Hanes,J.and Pluckthun,A.,PNAS 94,4937-42,1997)を使用して、ヒトFAP(hFAP)に対して結合特異性を有する多くのアンキリン反復タンパク質は、Binz et al.2004(loc.cit.)によって記載されているのと同様のDARPin(登録商標)ライブラリから選択した。選択されたクローンの組換えヒトFAP標的への結合は、粗抽出物のホモジニアス時間分解蛍光測定(HTRF)によって評価され、数百のhFAP特異的結合タンパク質が正常に選択されたことを示した。例えば、配列番号1~33のアンキリン反復ドメインは、hFAPに対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含む選択された結合タンパク質のアミノ酸配列を構成する。hFAPに対して結合特異性を有するそのようなアンキリン反復ドメインからの個々のアンキリン反復モジュールは、配列番号48~134に提供される。
【0219】
リボソームディスプレイによるFAP特異的アンキリン反復タンパク質の選択
hFAP特異的アンキリン反復タンパク質の選択は、ヒトFAPを標的タンパク質として、上記のようなアンキリン反復タンパク質のライブラリ、及び確立されたプロトコル(Zahnd、C.,Amstutz,P.and Pluckthun,A.,Nat.Methods 4,69-79,2007)を使用して、リボソームディスプレイ(Hanes and Pluckthun,loc.cit.)により行った。各選択ラウンド後の逆転写(RT)-PCRサイクルの数は、結合剤の富化のために、収率に合わせて調整する45から28に一定に減少させた。最初の4ラウンドの選択は、標準的なリボソームディスプレイ選択を採用し、標的濃度を減少させ、洗浄ストリンジェンシーを増加させて、ラウンド1からラウンド4への選択圧力を増加させる(Binz et al.2004,loc.cit.)。高親和性FAP特異的アンキリン反復タンパク質を富化するために、標準リボソームディスプレイ選択(上記)の第4ラウンドからの出力は、増加した選択ストリンジェンシーを用いて、1つ又は2つのオフレート選択ラウンドに供した(Zahnd,2007,loc.cit.)。各オフレート選択ラウンドの後に最終標準選択ラウンドを行って、オフレート選択された結合タンパク質を増幅及び回収した。
【0220】
選択されたクローンは、粗抽出物HTRFによって示されるようにFAPに特異的に結合する
溶液中でFAPに特異的に結合する個々の選択されたアンキリン反復タンパク質を、標準的なプロトコルを用いて、アンキリン反復タンパク質発現大腸菌細胞の粗抽出物を使用するホモジニアス時間分解蛍光測定(HTRF)アッセイによって特定した。リボソームディスプレイによって選択されたアンキリン反復タンパク質クローンをpQE30(Qiagen)発現ベクターにクローニングし、大腸菌XL1-Blue(Stratagene)に形質転換し、次いで、150μlの増殖培地(1%のグルコース及び50μg/mlのアンピシリンを含有するTB)を含有する96ウェルプレート(単一ウェル中の各クローン)中で37℃にて一晩増殖させた。50μg/mlのアンピシリンを含有する150μlの新鮮なLB培地に、新鮮な96深型ウェルプレートで10μlの一晩培養物を接種した。37℃、800rpmで120分間インキュベートした後、IPTG(最終濃度0.5mM)で発現を誘導し、4時間継続した。細胞を採取し、8.5μlのB-PERII(Pierce)に再懸濁し、ペレットが完全に再懸濁するまで振盪しながら室温で1時間インキュベートした。次いで、160μlのPBSを添加し、細胞残渣を遠心分離により除去した。
【0221】
各溶解したクローンの抽出物を、2.25nM(最終濃度)のビオチン化ヒトFAP、1:250(最終濃度)の抗HA-D2 HTRF抗体-FRET受容体コンジュゲート(Cisbio)及び1:400(最終濃度)の抗strep-Tb抗体FRETドナーコンジュゲート(Cisbio)と一緒に、PBSTB(0.1%のTween20(登録商標)及び0.2%(w/v)のBSA、pH7.4を補充したPBS)で1:1000希釈(最終濃度)として384ウェルプレートのウェルに加え、室温で60分間インキュベートした。340nmの励起波長及び665±10nmの発光フィルタを使用して、Tecan M1000でHTRFを読み取った。シグナルをバックグラウンド上で正規化した。そのような粗細胞抽出物HTRFによる数百個のクローンのスクリーニングにより、ヒトFAPに対する特異性を有する100個を超える異なるアンキリン反復ドメインが明らかになった。ヒトFAPに特異的に結合する選択されたアンキリン反復ドメインのアミノ酸配列の例は、配列番号1~33に提供されている。
【0222】
ヒトFAPに対する結合特異性を有するこれらのアンキリン反復ドメインと、ヒトFAPに対する結合特異性を有さない陰性対照アンキリン反復ドメイン(配列番号44)とを、N末端Hisタグ(配列番号36)又はN末端His-HAタグ(配列番号37)のいずれかを提供するpQE(QIAgen、Germany)ベースの発現ベクターにクローニングした。N末端His-HAタグは、HisタグとHaタグとを組み合わせる。例えば、以下のアンキリン反復タンパク質をコードする発現ベクターを構築した。
DARPin(登録商標)タンパク質#1(配列番号1、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#2(配列番号2、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#3(配列番号3、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#4(配列番号4、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#5(配列番号5、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#6(配列番号6、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#7(配列番号7、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#8(配列番号8、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#9(配列番号9、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#10(配列番号10、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#11(配列番号11、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#12(配列番号12、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#13(配列番号13、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#14(配列番号14、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#15(配列番号15、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#16(配列番号16、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#17(配列番号17、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#18(配列番号18、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#19(配列番号19、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#20(配列番号20、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#21(配列番号21、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#22(配列番号22、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#23(配列番号23、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#24(配列番号24、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#25(配列番号25、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#26(配列番号26、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#27(配列番号27、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#28(配列番号28、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#29(配列番号29、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#30(配列番号30、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#31(配列番号31、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#32(配列番号32、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#33(配列番号33、そのN末端に融合させたHis-HAタグ(配列番号37)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#36(配列番号18、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号36)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#37(配列番号19、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号36)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#38(配列番号26、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号36)を有する)、
DARPin(登録商標)タンパク質#39(配列番号33、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号36)を有する)、及び
DARPin(登録商標)タンパク質#44(配列番号44、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号36)を有する)。
【0223】
DARPin(登録商標)タンパク質#34及びDARPin(登録商標)タンパク質#35の操作
更に、ヒトFAPに特異的に結合する以下のアンキリン反復タンパク質をコードするpQEベースの発現ベクターを構築した。
DARPin(登録商標)タンパク質#34(配列番号34、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号36)を有する)、及び
DARPin(登録商標)タンパク質#35(配列番号35、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号36)を有する)。
【0224】
配列番号34及び配列番号35を、それぞれ配列番号18及び配列番号19の配列に基づいて遺伝子操作した。配列番号18及び配列番号19のアンキリン反復ドメインにおいて、N末端キャッピングモジュールに存在するRILLAAモチーフ(位置21~26)がRELLKAモチーフに置き換えられ、C末端キャッピングモジュールは、KLNモチーフの代わりにKAAモチーフを含むように改変された(配列番号18の位置157~159及び配列番号19の位置124~126)。
【0225】
DARPin(登録商標)タンパク質#144~#153の操作
更に、ヒトFAPに特異的に結合する以下のアンキリン反復タンパク質をコードするpQEベースの発現ベクターを構築する。
DARPin(登録商標)タンパク質#144(配列番号144、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号36)を有する)、DARPin(登録商標)タンパク質#145(配列番号145、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号36)を有する)、DARPin(登録商標)タンパク質#146(配列番号146、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号36)を有する)、DARPin(登録商標)タンパク質#147(配列番号147、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号36)を有する)、DARPin(登録商標)タンパク質#148(配列番号148、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号36)を有する)、DARPin(登録商標)タンパク質#149(配列番号149、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号36)を有する)、DARPin(登録商標)タンパク質#150(配列番号150、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号36)を有する)、DARPin(登録商標)タンパク質#151(配列番号151、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号36)を有する)、DARPin(登録商標)タンパク質#152(配列番号152、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号36)を有する)、及びDARPin(登録商標)タンパク質#153(配列番号153、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号36)を有する)。
【0226】
配列番号144~配列番号153を、配列番号18の配列に基づいて操作した。配列番号18のアンキリン反復ドメインにおいて、N末端キャッピングモジュールに存在するRILLAAモチーフ(位置21~26)は、RILLKA又はRELLKAモチーフによって置き換えられ、及び/又はC末端キャッピングモジュールは、KLNモチーフ(配列番号18の位置157~159)の代わりにKAAモチーフを含むように改変され、及び/又は第3の反復モジュールは、プロリンをロイシン(配列番号18の位置116)に置き換えるように改変される。これらの改変は、配列番号18と比較して、単独で又は組み合わせて、配列番号144~153の有意に変更された構造又は機能特性をもたらさない。
【0227】
FAP特異的アンキリン反復タンパク質の高レベル及び可溶性発現
更なる分析のために、上記のように粗細胞抽出物HTRFで特異的なFAP結合を示す選択されたクローンを、大腸菌BL21又はXL1-Blue細胞で発現させ、標準的なプロトコルに従ってHisタグを使用して精製した。25mlの静置一晩培養物(TB、1%のグルコース、50mg/lのアンピシリン;37℃)を使用して、500mlの培養物(TB、50mg/lのアンピシリン、37℃)に接種した。600nmで1.0~1.5の吸光度で、培養物を0.5mMのIPTGで誘導し、振盪しながら37℃で4~5時間インキュベートした。培養物を遠心分離し、得られたペレットを25mlのTBS500(50mMのTris-HCl、500mMのNaCl、pH8)に再懸濁し、溶解した(超音波処理又はフレンチプレス)。溶解後、試料を62.5℃で30分間熱処理し、遠心分離し、上清を採取して濾過した。Triton X100(1%(v/v)の最終濃度)及びイミダゾール(20mMの最終濃度)をホモジネートに添加した。タンパク質を、Ni-ニトリロ三酢(Ni-NTA)酸カラム、続いて、AKTAxpress(商標)システム上のサイズ排除クロマトグラフィーで、当業者に既知の標準的なプロトコル及び樹脂に従って精製した。あるいは、Hisタグを欠く選択されたアンキリン反復ドメインを、陰イオン交換クロマトグラフィー、続いて、サイズ排除クロマトグラフィーによって、当業者に既知の標準的な樹脂及びプロトコルに従って精製した。FAPに対する結合特異性を有する高可溶性アンキリン反復タンパク質を、15%のSDS-PAGEから推定される純度>95%で大腸菌培養物から精製した(培養物1リットル当たり最大200mgのアンキリン反復タンパク質)。そのようなSDS-PAGEゲルの代表的な例は図1A及び図1Bに示す。そのような精製アンキリン反復タンパク質を、更なる特性評価のために使用した。
【0228】
実施例2:表面プラズモン共鳴(SPR)分析によるFAPに対する結合特異性を有するアンキリン反復タンパク質の解離定数(K)の決定
ヒトFAP標的における精製アンキリン反復タンパク質の結合親和性を、ProteOn機器(BioRad)を使用して分析し、当業者に既知の標準的な手順に従って測定を行った。
【0229】
ヒトFAPを10mMの酢酸ナトリウムpH5.3緩衝液で希釈し、GLCチップ(BioRad)に共有結合で約2000共鳴単位(RU)のレベルに固定化した。次いで、アンキリン反復タンパク質とhFAPとの相互作用を、30nM~0.5nMの濃度範囲を網羅するアンキリン反復タンパク質の段階希釈物を含有する200μlのランニング緩衝液(PBS、pH7.4、0.005%のTween20(登録商標)を含有する)を注入(オンレート測定)し、続いて、100μl/分の一定流量で少なくとも25分間、ランニング緩衝液流を注入(オフレート測定)することによって測定した。15μlの10mMのグリシンpH2、続いて15μlの124mMのHP0を使用して再生を行った。スポット間のシグナル(すなわち、共鳴単位(RU)値)及び参照注入(すなわち、ランニング緩衝液のみの注入)を、アンキリン反復タンパク質の注入後に得られたRUトレースから減算した(二重参照)。オンレート及びオフレート測定から得られたSPRトレースに基づいて、対応するアンキリン反復タンパク質-FAP相互作用のオンレート及びオフレートを決定した。
【0230】
代表的な例として、図2は、DARPin(登録商標)タンパク質#34の得られたSPRトレースを示す。解離定数(K)を、当業者に既知の標準的な手順を用いて、推定されたオンレート及びオフレートから算出した。選択されたアンキリン反復タンパク質のK値は、5pM~10nMの範囲であると決定された。表1は、いくつかの選択されたアンキリン反復タンパク質のK値を例として提供している。
【0231】
【表1】
【0232】
実施例3:FACSによるFAP+細胞に対するFAP特異的アンキリン反復タンパク質の結合
精製されたFAP特異的アンキリン反復タンパク質のFAP発現細胞への結合をFACSによって分析した。
【0233】
マルチウェルプレートを使用して、ウェル当たり20,000個のWI38細胞を50μlのPBSに添加した。次いで、アンキリン反復タンパク質の適切な希釈液(2×希釈工程)50μlを細胞に添加し、氷上で30分間インキュベートした。アンキリン反復タンパク質結合反応後、細胞をPBSで2回洗浄した。次いで、Penta-His AF647コンジュゲート(QIAgen)を使用してHisタグ付きアンキリン反復タンパク質の直接免疫蛍光検出、及びLIVE/DEAD(商標)Fixable Green Dead Cell Stain Kit(ThermoFisher)を使用して生細胞の測定を一段階で一緒に行った。Penta-His AF647コンジュゲート及びLIVE/DEAD(商標)Fixable Green染料を、1/200(Penta-His)及び1/1000(L/D固定可能)の最終希釈液で一緒に細胞に適用し、氷上で20~30分間インキュベートした。細胞をPBSで洗浄した後、細胞を1×CellFix(商標)緩衝液(BD Biosciences)に再懸濁した(10×ストックを水で1/10に希釈した)。試料をCellFix(商標)緩衝液で、室温で15~20分間インキュベートした後、400gで5分間遠心沈殿させた。細胞を200μlのPBSに再懸濁し、取得及びFACS分析まで4℃で保存した。蛍光強度の中央値(MFI)の測定を含む取得及びFACS分析は、AttuneNxT機器を用いた染色後5日以内に行った。GraphPad Prismソフトウェア(v7.0.4)を使用して、非線形回帰曲線フィッティングによって結合曲線を適合させた。
【0234】
代表的な例として、図3は、DARPin(登録商標)タンパク質#18、DARPin(登録商標)タンパク質#19、DARPin(登録商標)タンパク質#26、及びDARPin(登録商標)タンパク質#33で得られた結合曲線を示している。EC50値を、当業者に既知の標準的手順を使用して測定した。選択されたアンキリン反復タンパク質のEC50値は、100pM~5nMの範囲であると決定され、FAP発現WI38細胞に対する高い親和性結合を実証した。表2は、選択されたアンキリン反復タンパク質のEC50値を例として提供する。
【0235】
【表2】
【0236】
同様に、操作されたアンキリン反復タンパク質、つまり、DARPin(登録商標)タンパク質#34及びDARPin(登録商標)タンパク質#35のFAP発現WI38細胞への結合も、本質的に上記のように試験した。試料のMFIをバックグラウンド対照のMFIで除算することにより、MFIの増加倍率を算出した。バックグラウンド対照では、結合反応緩衝液を、アンキリン反復タンパク質の非存在下で、Penta-His AF647コンジュゲートとのみインキュベートした。
【0237】
図4Aは、WI38細胞上のDARPin(登録商標)タンパク質#34及びDARPin(登録商標)タンパク質#35の結合曲線を示しており、DARPin(登録商標)タンパク質#34とDARPin(登録商標)タンパク質#35との両方が高い親和性を有するWI38細胞発現FAPに結合することを実証している。DARPin(登録商標)タンパク質#34のEC50値は0.736nMであり、DARPin(登録商標)タンパク質#35のEC50値は0.994nMであった(表3を参照されたい)。
【0238】
FAP特異的アンキリン反復タンパク質のFAP発現細胞への結合が、細胞表面上で発現されたFAPへの結合によって実際に媒介されたことを実証するために、FAP発現を有するか又は有さない細胞への選択されたアンキリン反復タンパク質の結合を測定した。この目的のために、細胞表面上でFAPを発現するCHO細胞を生成した。これらのFAP発現CHO細胞は、FAPを発現しない野生型CHO細胞と比較して使用することができる。
【0239】
簡潔に言うと、ヒトFAPをコードするcDNA(OriGene Technologiesから入手)を使用して、標準的な分子生物学技術によって発現ベクターを生成した。リポフェクタミンを使用して、CHO細胞を発現ベクターでトランスフェクトした。異なる濃度のGeneticin G-418(Promega、V8091)を使用して選択圧力を適用した。hFAPの発現を、抗FAP抗体を使用してフローサイトメトリーにより分析した。1.9mg/mLのG-418を使用して得られたCHO-hFAPトランスフェクタントの集団を、これらの細胞(CHO-FAP1.9細胞)におけるFAPの比較的低い発現レベルに基づいて、更なる実験のために選択した。FACS分析は、CHO-FAP1.9細胞が細胞表面でhFAPを発現するが、野生型CHO細胞(CHO-wt)が発現しないことを示した(データは示さず)。
【0240】
DARPin(登録商標)タンパク質#34及びDARPin(登録商標)タンパク質#35の一連の希釈物を、野生型CHO細胞(CHO-wt)及びhFAP発現CHO細胞(CHO-FAP1.9)に添加した。結合反応及びその後の分析並びにMFI測定を、本質的にWI38細胞について上記のように行った。図4Bは、CHO-wt細胞及びCHO-FAP1.9細胞に対するDARPin(登録商標)タンパク質#34及びDARPin(登録商標)タンパク質#35の結合曲線を示しており、DARPin(登録商標)タンパク質#34及びDARPin(登録商標)タンパク質#35は、細胞表面でFAPを発現するCHO細胞(すなわち、CHO-FAP1.9)にのみ結合することを実証している。したがって、細胞へのFAP特異的アンキリン反復タンパク質の結合は、細胞表面上で発現されたFAPへの結合によって媒介される。CHO-FAP1.9細胞への結合のEC50値は、DARPin(登録商標)タンパク質#34では1.186nM、DARPin(登録商標)タンパク質#35では2.016nMであった(表3を参照されたい)。
【0241】
【表3】
【0242】
実施例4:SPR及びcFAPトランスフェクトCHO細胞によって決定されるカニクイザルFAPへの結合
選択されたアンキリン反復タンパク質のカニクイザルFAP(cFAP)への結合を、ProteOn機器(BioRad)を使用する可溶性cFAP標的で、トランスフェクトされたCHO細胞及び当業者に既知の標準的手順に従うFACSを使用して細胞cFAP標的で評価した。
【0243】
簡単に言うと、カニクイザル(cyno)FAPを10mMの酢酸ナトリウムpH5.3緩衝液で希釈し、GLCチップ(BioRad)に共有結合で約2000共鳴単位(RU)のレベルに固定化した。次いで、アンキリン反復タンパク質とcFAPとの相互作用を、25nM~0.3nMの濃度範囲を網羅するアンキリン反復タンパク質の段階希釈を含有する200μlのランニング緩衝液(PBS、pH7.4、0.005%のTween20(登録商標)を含有する)を注入(オンレート測定)し、続いて、100μl/分の一定流量で少なくとも25分間、ランニング緩衝液流を注入(オフレート測定)することによって測定した。15μlの10mMのグリシンpH2、続いて15μlの124mMのHP0を使用して再生を行った。スポット間のシグナル(すなわち、共鳴単位(RU)値)及び参照注入(すなわち、ランニング緩衝液のみの注入)を、アンキリン反復タンパク質の注入後に得られたRUトレースから減算した(二重参照)。オンレート及びオフレート測定から得られたSPRトレースに基づいて、対応するアンキリン反復タンパク質-FAP相互作用のオンレート及びオフレートを決定した。
【0244】
代表的な例として、図5はカニクイザル及びヒトFAPの両方に対する、DARPin(登録商標)タンパク質#36の得られたSPRトレースを示す。解離定数(K)を、当業者に既知の標準的な手順を用いて、推定されたオンレート及びオフレートから算出した。cFAPに対するK値は、hFAPに対するK値の2倍の範囲内にあると判断され、選択されたアンキリン反復タンパク質がこれらの異なる種のFAPタンパク質に同等に結合することを実証している。表4は、いくつかの選択されたアンキリン反復タンパク質のcFAP及びhFAPに対するK値を例として提供している。
【0245】
【表4】
【0246】
細胞表面上に発現されたカニクイザルFAP(cFAP)への選択されたアンキリン反復タンパク質の結合を評価するために、cFAPをコードするcDNAを使用したことを除いて、本質的にhFAPについて実施例3に記載されるように、cFAPを発現する安定的にトランスフェクトしたCHO細胞を生成した。
【0247】
アンキリン反復タンパク質の一連の希釈物を、cFAP発現CHO細胞に添加した。結合反応及びその後の分析並びにMFI測定を、本質的にWI38細胞について実施例3に記載したように行った。図6は、cFAP発現CHO細胞に対するDARPin(登録商標)タンパク質#18、DARPin(登録商標)タンパク質#19、DARPin(登録商標)タンパク質#26、及びDARPin(登録商標)タンパク質#33の結合曲線を示しており、FAP特異的アンキリン反復タンパク質が細胞表面で発現されたカニクイザルFAPにも結合することを実証している。cFAP発現CHO細胞への結合についてのEC50値を表5に示す。
【0248】
【表5】
【0249】
実施例5:FAP発現細胞結合、SPR、薬物動態、生体分布、及び生物学的活性分子に融合したFAP特異的アンキリン反復タンパク質の腫瘍局在化データ
生物学的活性分子に融合したFAP特異的アンキリン反復タンパク質の構築
選択されたFAP特異的アンキリン反復ドメインを、当業者に既知の標準的な分子生物学的方法を用いて生物学的活性分子に遺伝子学的に融合させた。血清アルブミンに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメイン(配列番号38)を、例示的な生物学的活性分子として選択した。血清アルブミン特異的アンキリン反復ドメイン及び異なる標的特異性を有する共有結合したアンキリン反復ドメインのin vivo半減期延長のためのそれらの使用は、以前に報告されている(例えば、Steiner et al.,2017,「Half-life extension using serum albumin-binding DARPin(登録商標) domains,」Protein Eng.Des.Sel.30(9):583-591(2017);米国特許第9,284,361号、米国特許第9,458,211号を参照されたい)。配列番号38のアンキリン反復ドメインは、マウス、ヒト、及びカニクイザルを含む様々な種の血清アルブミンに結合する。生物学的活性分子は、ペプチドリンカーを介してFAP特異的アンキリン反復ドメインに連結されていた。プロリン-スレオニンに富むペプチドリンカー(配列番号39)を、この目的のために例示的なペプチドリンカーとして選択した。
【0250】
実施例1に記載されるように、FAP特異的アンキリン反復ドメインを、ペプチドリンカー及び生物学的活性分子と共に、N末端Hisタグ(配列番号36)を提供するpQE(QIAgen,Germany)ベースの発現ベクターにクローニングして、単純なタンパク質精製を促進した。例えば、以下のアンキリン反復融合タンパク質をコードする発現ベクターを構築した。
DARPin(登録商標)タンパク質#40(配列番号40、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号36)を有する)。配列番号40は、ペプチドリンカーによって連結された配列番号38及び配列番号18を含む。
DARPin(登録商標)タンパク質#41(配列番号41、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号36)を有する)。配列番号41は、ペプチドリンカーによって連結された配列番号38及び配列番号19を含む。
DARPin(登録商標)タンパク質#42(配列番号42、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号36)を有する)。配列番号42は、ペプチドリンカーによって連結された配列番号38及び配列番号26を含む。
【0251】
生物学的活性分子に融合したFAP特異的アンキリン反復タンパク質のU87 MG及びWI38細胞への結合
生物学的活性分子のFAP特異的アンキリン反復ドメインへの融合が、細胞の表面上で発現されたFAPを特異的に認識し、かつこれに結合する能力に影響を及ぼすかどうかを決定するために、選択されたアンキリン反復融合タンパク質のFAP発現細胞への結合を試験した。U87 MG細胞及びWI38細胞は、細胞表面上にFAPを発現することが知られており、それらをこれらの実験の代表的な細胞として選択した。U87 MG及びWI38細胞でのFAP発現を、FACS分析によって確認した(データは示さず)。
【0252】
マルチウェルプレートを使用して、ウェル当たり40,000個の細胞(U87MG又はWI38のいずれか)を50μlのPBSに添加した。次いで、アンキリン反復融合タンパク質(DARPin(登録商標)タンパク質#40又はDARPin(登録商標)タンパク質#41)の適切な希釈液(2×希釈工程)50μlを細胞に添加し、氷上で30分間インキュベートした。アンキリン反復融合タンパク質結合反応後、細胞をPBSで2回洗浄した。次いで、Penta-His AF647コンジュゲート(QIAgen)を使用してHisタグ付きアンキリン反復融合タンパク質の直接免疫蛍光検出、及びLIVE/DEAD(商標)Fixable Green Dead Cell Stain Kit(ThermoFisher)を使用して生細胞の測定を一段階で一緒に行った。Penta-His AF647コンジュゲート及びLIVE/DEAD(商標)Fixable Green染料を、1/400(Penta-His)及び1/1000(L/D固定可能)の最終希釈液で一緒に細胞に適用し、氷上で20~30分間インキュベートした。細胞をPBSで洗浄した後、細胞を1×CellFix(商標)緩衝液(BD Biosciences)に再懸濁した(10×ストックを水で1/10に希釈した)。試料をCellFix(商標)緩衝液で、室温で15~20分間インキュベートした後、400gで5分間遠心沈殿させた。細胞を200μlのPBSに再懸濁し、取得及びFACS分析まで4℃で保存した。蛍光強度の中央値(MFI)の測定を含む取得及びFACS分析は、AttuneNxT機器を用いた染色後5日以内に行った。GraphPad Prismソフトウェア(v7.0.4)を使用して、非線形回帰曲線フィッティングによって結合曲線を適合させた。
【0253】
図7は、DARPin(登録商標)タンパク質#40及びDARPin(登録商標)タンパク質#41のU87MG及びWI38細胞のそれぞれに対する結合曲線を示す。両方のアンキリン反復融合タンパク質は、濃度依存的な様式で異なる細胞型に結合し、10~100nMの濃度で結合飽和に達した。したがって、細胞FAPに対するアンキリン反復融合タンパク質の特異的結合は、生物学的活性分子への融合を伴わないFAP特異的アンキリン反復ドメインと比較して同様である。したがって、本発明のFAP特異的アンキリン反復ドメインは、生物学的活性分子に融合することができ、そのようなFAP特異的アンキリン反復融合タンパク質は、細胞表面上で発現されたFAPに効率的に結合する能力を保持する。
【0254】
マウスにおける生物学的活性分子に融合したFAP特異的アンキリン反復タンパク質の薬物動態プロファイル
本発明のFAP特異的アンキリン反復ドメインが、治療薬の開発に有用であるためにin vivoで適切な血清半減期を有するかどうかを決定するために、DARPin(登録商標)タンパク質#40、DARPin(登録商標)タンパク質#41及びDARPin(登録商標)タンパク質#42の薬物動態プロファイルを、マウスで分析した。
【0255】
in vivo投与及び試料採取
DARPin(登録商標)タンパク質#40、DARPin(登録商標)タンパク質#41、及びDARPin(登録商標)タンパク質#42を、各アンキリン反復融合タンパク質に6匹のマウスの尾静脈に1回の静脈内ボーラス注射として投与した。標的投与量レベルは、5mL/kgの適用量で1mg/kgであった。アンキリン反復融合タンパク質を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液中に配合した。
【0256】
マウスを、等しい数の動物を有する2つの群に分割した。4つの血清試料を各マウスから採取した。薬学的動態調査のための血液試料を、化合物投与後5分、4時間、24時間、48時間、76時間、96時間、及び168時間に採取した。血液を室温に維持して凝固させ、続いて遠心分離し、血清を採取した。
【0257】
血清試料中のアンキリン反復タンパク質を測定するためのELISAによる生物分析
PBS中の10nMのポリクローナルヤギ抗ウサギIgG抗体(Ab18)のウェル当たり100μlを、NUNC Maxisorb ELISAプレートに4℃で一晩コーティングした。ウェル当たり300μlのPBST(0.1%のTween20を添加したPBS)で5回洗浄した後、Heidolph Titramax 1000振盪器(450rpm)で、0.25%のカゼイン(PBST-C)を補充した300μlのPBSTで、室温(RT)で1時間ウェルをブロックした。プレートを上記のように洗浄した。PBST-C中の100μlの5nmol/Lのウサギ抗DARPin(登録商標)1-1-1抗体を添加し、プレートを軌道振盪(450rpm)しながら室温(22℃)で1時間インキュベートした。上記のようにプレートを洗浄した。
【0258】
希釈した血清試料(1:5の希釈工程で1:20~1:312500)又はアンキリン反復タンパク質標準曲線試料(1:3の希釈工程で0及び50~0.0008nmol/L)の100μlを、450rpmで振盪しながら、室温で2時間適用した。プレートを上記のように洗浄した。
【0259】
次いで、ウェルを100μlのマウス抗RGS-His-HRP IgG(Ab06、PBST-C中1:2000)と共にインキュベートし、室温、450rpmで1時間インキュベートした。プレートを上記のように洗浄した。100μl/ウェルのTMB基質溶液を5分間使用して、1mol/LのHSOを100μl添加することによって停止させてELISAを展開した。450nmにおける吸光度と620nmにおける吸光度との差を算出した。試料を2つの異なるプレート上で二連で測定した。図8は、DARPin(登録商標)タンパク質#40、DARPin(登録商標)タンパク質#41、及びDARPin(登録商標)タンパク質#42の血清濃度を、マウスへの単回静脈内投与後の時間の関数として示している。トレースは、化合物のおおよその単一指数関数的除去を示す。
【0260】
薬物動態解析
薬物動態データ解析を、Phoenix 64、Pharsight、North Carolinaの一部としてWinNonlinプログラムのバージョン7.0を使用して、Molecular Partnersで行った。静脈内ボーラス注射を介して投与された動物の平均濃度-時間データに基づく薬物動態パラメータの計算を、ノンコンパートメント解析(NCAモデル200-202、IVボーラス、線形台形線形補間)を用いて行った。以下の薬物動態パラメータを計算した。
AUCinf、AUClast、AUC_%extrapol、Cmax、Tmax、Cl_pred、Vss_pred、t1/2
【0261】
最大血清濃度(Cmax)及びそれらの発生時間(Tmax)は、血清濃度-時間プロファイルから直接得られた。血清濃度-時間曲線下の面積(AUCinf)は、最後のサンプリングポイント(Tlast)までの線形台形公式と、終末相の単一指数関数的減少を想定した無限大への外挿によって決定した。無限大への外挿は、Clast/λzを使用して行われ、式中、λzは対数線形回帰によって推定された終末相速度定数を示し、Clastは種末相対数線形回帰によってTlastで推定された濃度を示している。総血清クリアランス(Cl_pred)及び見かけの終末相半減期を、以下のように計算した。Cl_pred=i.v.投与量/AUCinf及びt1/2=ln2/λz。分布の定常状態の体積Vssを、以下によって決定した。Vss=i.v.投与量・AUMCinf/(AUCinf)2。AUMCinfは、AUCinfの計算についての記載と同じ外挿手順を使用して、無限大に外挿された薬物濃度-時間曲線の1次モーメント下総面積を示している。nmol/Lで与えられた濃度に基づいてPKパラメータを計算するために、mg/kgとして与えられた投与量値をアンキリン反復タンパク質の分子量を使用してnmol/kgに変換した。表6は、試験したアンキリン反復融合タンパク質について得られた薬物動態データを示す。
【0262】
【表6】
【0263】
血清半減期は、DARPin(登録商標)タンパク質#40で38.8時間、DARPin(登録商標)タンパク質#41で26.9時間、DARPin(登録商標)タンパク質#42で26.1時間と決定した。これらのデータは、本発明のFAP特異的アンキリン反復ドメインが、血清アルブミン特異的アンキリン反復ドメインに融合された場合、生物学的活性分子に共有結合したFAP特異的アンキリン反復ドメインを含む治療薬の成分としてそれらを有用にするために十分なin vivo半減期を有することを示している。
【0264】
生物学的活性分子に融合したFAP特異的アンキリン反復タンパク質の腫瘍局在化
本発明のFAP特異的アンキリン反復ドメインが、FAPを発現する腫瘍組織に優先的に生物学的活性分子を局在化するかどうかを判定するために、生物学的活性分子に融合されたFAP特異的アンキリン反復タンパク質のin vivo局在化を、マウス腫瘍モデルにおいて分析した。
【0265】
SPRにより測定されたDARPin(登録商標)タンパク質#41のマウス及びヒトFAPへの結合
マウス腫瘍モデルでFAP特異的アンキリン反復融合タンパク質を分析する前に、FAP特異的アンキリン反復融合タンパク質がヒトFAPだけでなくマウスFAP(mFAP)にも結合することを示さなければならない。この目的のために、DARPin(登録商標)タンパク質#41の可溶性マウス及びヒトFAPへの結合を、当業者に既知の標準的な手順に従って、ProteOn機器(BioRad)を用いてSPR測定によって評価した。
【0266】
簡単に言うと、マウスFAPを10mMの酢酸ナトリウムpH5.3緩衝液で希釈し、GLCチップ(BioRad)に共有結合で約2000共鳴単位(RU)のレベルに固定化した。次いで、DARPin(登録商標)タンパク質#41とmFAPとの相互作用を、50nM~3nMの濃度範囲を網羅するDARPin(登録商標)タンパク質#41の段階希釈物を含有する200μlのランニング緩衝液(PBS、pH7.4、0.005%のTween20(登録商標)を含有する)を注入(オンレート測定)し、続いて、100μl/分の一定流量で30分間、ランニング緩衝液流を注入(オフレート測定)することによって測定した。15μlの10mMのグリシンpH2、続いて15μlの124mMのHP0を使用して再生を行った。スポット間のシグナル(すなわち、共鳴単位(RU)値)及び参照注入(すなわち、ランニング緩衝液のみの注入)を、DARPin(登録商標)タンパク質#41の注入後に得られたRUトレースから減算した(二重参照)。DARPin(登録商標)タンパク質#41のhFAPへの結合を、実施例2に記載のとおりに決定した。
【0267】
解離定数(K)を、当業者に既知の標準的な手順を用いて、推定されたオンレート及びオフレートから算出し、表7に報告する。これらの結果は、生物学的活性分子に融合したFAP特異的アンキリン反復ドメイン(DARPin(登録商標)タンパク質#41)が、対応するFAP特異的アンキリン反復ドメインのみと同様のKでヒトFAPに結合すること(表1のDARPinタンパク質#19を参照)及びマウスFAPとよく交差反応することを示している。マウスFAPに結合するためのDARPin(登録商標)タンパク質#41の解離定数は、1.3nMであると判定した。
【0268】
【表7】
【0269】
生体分布分析によってFAP陽性マウス腫瘍モデルで評価されたDARPin(登録商標)タンパク質#41のin vivo局在化
U87MG神経膠芽腫細胞を伴うマウス腫瘍モデルを、DARPin(登録商標)タンパク質#41のin vivo局在化を評価するための代表的なFAP陽性腫瘍モデルとして選択した。U87MG細胞は、それらの細胞表面上にFAPを発現し、それらは、本発明のFAP特異的アンキリン反復ドメインによって結合される(上記参照)。更に、マウスにおけるU87腫瘍も、予想されるようにFAPを発現する(データは示さず)。
【0270】
マウスあたり1000万個のU87MG細胞を、雌CD1(nu/nu)マウスに皮下移植した。細胞を、2つの別個の場所(1つの場所につき500万個の細胞)で移植し、マウス当たり2つの腫瘍を生じさせた。移植された腫瘍細胞を増殖させ、腫瘍体積が500mmに達するまで、及びアンキリン反復融合タンパク質が投与されるまで、腫瘍を3~4週間増殖させた。
【0271】
投与のためのアンキリン反復融合タンパク質を調製するために、DARPin(登録商標)タンパク質#41を、当技術分野において既知の方法に従って、DARPin(登録商標)タンパク質#41のHisタグとの複合体形成によって、99m-Technetiumで放射性標識した(例えば、Waibel et al.,Nature Biotech.17:897-901(1999);Egli et al.,J.Nucl.Med.40:1913-1917(1999)を参照されたい)。対照化合物として、FAP特異的アンキリン反復ドメインが非結合アンキリン反復ドメイン(すなわち、FAPに結合せず、既知の結合特異性を有さないアンキリン反復ドメイン)に置き換えられたことを除いて、DARPin(登録商標)タンパク質#41と同一のタンパク質(DARPin(登録商標)タンパク質#43;配列番号43)を使用した。DARPin(登録商標)タンパク質#43は、DARPin(登録商標)タンパク質#41と同様に、99m-Technetiumで放射性標識した。
【0272】
30匹の雌のU87腫瘍を担持するCD1(nu/nu)マウスを、2つの群に分けた。1つの群は、尾静脈への注射により、約3.6MBq(約1mg/kg)のDARPin(登録商標)タンパク質#41の単回投与量を受容した。他の群は、尾静脈への注射により、約3.6MBq(約1mg/kg)のDARPin(登録商標)タンパク質#43の単回投与量を受容した。放射性標識されたアンキリン反復融合タンパク質の注射後の1時間、24時間及び48時間に生体分布を監視した。マウスを麻酔し、頸椎脱臼により殺傷し(1時点当たり5匹のマウス)、血液のアリコートを採取した。対象となる器官(例えば、腫瘍、脾臓、腎臓、肝臓、筋肉を含む)を抽出し、秤量し、放射能をγ-カウンター(Packard Cobra II Gamma D5010、GMI、USA)で測定した。血液中の測定された放射能に対する異なる器官において測定された放射能の比を計算した。
【0273】
図9は、注射から48時間後のDARPin(登録商標)タンパク質#41及び対照化合物DARPin(登録商標)タンパク質#43の生体分布を示す。腎臓及び2つの腫瘍におけるDARPin(登録商標)タンパク質#41については、高い器官/血液比が観察されたが、他の器官では観察されなかった。対照DARPin(登録商標)タンパク質#43では、腎臓において高い器官/血液比が観察されたが、2つの腫瘍又は他の器官では観察されなかった。腎臓中のDARPin(登録商標)タンパク質#41及びDARPin(登録商標)タンパク質#43について観察された高レベルの放射能は、腎臓がDARPin(登録商標)分子の除去部位である可能性が高いためである。2つの腫瘍におけるDARPin(登録商標)タンパク質#41について観察された高いレベルの放射能は、DARPin(登録商標)タンパク質#41のFAP標的化が、高い腫瘍蓄積及び保持をもたらしたことを示している。DARPin(登録商標)タンパク質#41の血清半減期(上記参照)及びDARPin(登録商標)タンパク質#41の循環からの予想されるクリアランスを考慮すると、注射から48時間後にDARPin(登録商標)タンパク質#41について観察された高腫瘍/血液比もまた、FAP標的化による腫瘍保持の延長を示す。まとめると、生体分布分析の結果は、本発明のFAP特異的アンキリン反復ドメインを、生物学的活性分子(例えば、DARPin(登録商標)タンパク質#41の血清アルブミン結合ドメインなど)に融合させ、FAP発現腫瘍組織に生物学的活性分子を局在化させ、かつそれを保持させることができることを示している。したがって、本発明のFAP特異的アンキリン反復ドメインを使用して、FAP発現腫瘍において治療的に活性な分子(抗腫瘍剤など)を局在化させ、かつそれを保持させて、それにより、他の器官及び生物における治療的活性分子の潜在的な副作用を全体として低減することができる。
【0274】
実施例6:生物学的活性分子に融合したFAP特異的アンキリン反復タンパク質は、腫瘍増殖を阻害し、腫瘍内のヒトCD8 T細胞の密度を選択的に増加させる。
生物学的活性分子(免疫モジュレータ)に結合されたFAP特異的アンキリン反復タンパク質の、T細胞を刺激し、in vivoでの腫瘍増殖を阻害する能力を、ヒト末梢血単核球(PBMC)(MiXeno)で再構成されたHT-29結腸癌異種移植モデルにおいて試験した。このヒト化マウスモデルは、免疫チェックポイント及び共刺激薬の免疫刺激効果を試験するのに好適であることが記載されている。モデルを使用して、FAP特異的アンキリン反復ドメイン及び生物学的活性分子を含む本発明の結合タンパク質が、腫瘍内T細胞浸潤を増加させ、腫瘍増殖を遅らせることができるかどうかを評価した。実験に使用した結合タンパク質(DARPin(登録商標)タンパク質#45)は、ペプチドリンカー(配列番号39)によってそのC末端で生物学的活性分子としてのアゴニストT細胞共刺激受容体(TCCR)特異的アンキリン反復タンパク質に連結された配列番号34を含んでいた。TCCRの分子同一性は、2019年6月4日に米国特許商標庁で出願され、Molecular Partners AGに譲渡された、「Multispecific Proteins」と題する米国仮特許出願第62/857,037号、及びPCT国際特許出願(このPCT出願の出願日に出願された米国仮特許出願第62/857,037号に対する優先権を主張する)に開示されている。TCCR及び他の免疫モジュレータは当技術分野で周知である(例えば、Smith-Garvin et al.,Annu Rev Immunol.27:591-619(2009)を参照されたい)。このモデルにおける標的とされるTCCRに対するモノクローナル抗体による治療は、腫瘍増殖を有意に遅らせるのに十分であったが、それはまた、加速された移植片対宿主病(GVHD)及び肝臓T細胞浸潤などの強力な全身効果を誘発し、未処置マウスと比較して早期死亡をもたらした。
【0275】
材料及び方法:
腫瘍実験:免疫不全NOGマウスの右側腹部にHT-29腫瘍細胞(3.5×10)を皮下接種した。次いで、2人の健常なヒトドナーからの末梢血単核細胞(PBMC)を注射する(3.5×10細胞/マウス)ことにより、マウスをヒト化した。試験物を、表8に示すように、所定のレジメンに従って、腫瘍を有するマウスに投与した。
【0276】
【表8】
【0277】
腫瘍細胞及びPBMCの接種日を0日目とした。腫瘍増殖を3~4日毎に監視した。実験の18日目に、マウスを殺処分し、腫瘍を取り出し、フローサイトメトリー及び定量的免疫蛍光(QIF)により研究した。腫瘍増殖分析は、マウスがそれ以降、移植片対宿主病(GVHD)の徴候を示し始めたため、18日間に限定された。
【0278】
フローサイトメトリー:生FCSファイルからのデータを、FlowJoソフトウェア(TreeStar)で分析した。細胞を、ヒト表面マーカCD45、CD4、及びCD8を発現する生リンパ球上でゲーティングした。死細胞を、生-死細胞ラベリング染料7-AADの組み込みを介して分析から除外した。ヒトCD8 T細胞の割合を、血液中で検出された全ヒトCD45陽性細胞の割合として示す。
【0279】
免疫組織化学:組織を剖検でマウスから回収し、凍結組織切片作製用包埋剤(optimum cutting temperature compound)(Sakura)に包埋し、事前に固定することなく凍結した。OCT包埋凍結保存試料を7μmの切片に切断し、スライドガラス上に取り付けた。スライドを冷アセトンで固定した。複数の免疫蛍光染色を、以下の抗体:抗CD4(ヤギPab,R&D System#AF-379-NA)、抗CD8(ウサギPAb、Abcam#ab40555)及び抗CD45(クローンHI30、Biolegend#304002)を用いて行った。これらの抗体は、それぞれ抗ヒツジ-AlexaFluor(登録商標)647(Thermofisher#A21448)、抗ウサギ-ローダミンRed(商標)X(Jackson ImmunoResearch#711-296-152)、及び抗マウスIgG1-AlexaFluor(登録商標)488(Jackson ImmunoResearch#115-545-205)によって検出した。画像をZeiss Axio Scan.Z1スライドスキャナ上で取得した。画像をZenblueソフトウェアで転送し、ImageJ 1.51nソフトウェアとFIJIパッケージを使用して分析し、ヒトCD45、CD8、及びCD4T細胞の数が定量化した。
【0280】
統計分析:統計分析を、Prism 7.0.2ソフトウェア(GraphPadソフトウェア)を用いて行った。反復測定二元配置分散分析及びテューキーの多重比較検定(GraphPad Prism、Vers.7.02)を使用して、腫瘍増殖及び体重データを、統計的有意差について分析した。生存曲線を、カプラン-マイヤー法によって分析し、ログランク検定によって比較した。試験終了時のフローサイトメトリーデータを、一元配置分散分析(GraphPad Prism、Vers.7.02)を使用して分析した。両側のP<0.05は、統計的に有意であると見なされた。
【0281】
結果
腫瘍増殖:腫瘍増殖を、経時的に個々に追跡した。独立標本T検定を使用して腫瘍接種後18日目に得られたデータについて実施した統計分析に加えて、腫瘍増殖データを、反復測定二元配置分散分析、続いてテューキーの多重比較検定を使用することによって統計的有意差について分析した。腫瘍増殖阻害を表9に要約する。
【0282】
【表9】
【0283】
腫瘍増殖曲線全体の分析は、試験の終了時の最終腫瘍体積のみの分析と比較して、分析に高い力を与える。2つの分析は、良好に相関する。腫瘍増殖は、DARPin(登録商標)タンパク質#45処置群で遅延した(p<0.001)。投与されたビヒクルは、腫瘍増殖に有意な影響を与えなかった。要約すると、試験物質、DARPin(登録商標)タンパク質#45は、皮下HT-29ヒト結腸がんMiXenoモデルにおいて有意な抗腫瘍活性を示した。
【0284】
血液及び腫瘍の免疫表現型検査:フローサイトメトリーによって得られた結果を確認するために、18日目に切除された腫瘍における組織学検査によって、ヒトCD4及びCD8 Tリンパ球密度を分析した。組織学的検査は、1群当たり5匹のマウスからの組織を使用して行った(データは示さず)。DARPin(登録商標)タンパク質#45での処置は、ビヒクル群と比較して、ヒトCD8 Tリンパ球のより深い浸潤をもたらした。この差は有意に達した(P<0.01)。一方、CD4腫瘍浸潤リンパ球の数は、群にわたって有意に異なるものではなかった。
【0285】
肝臓T細胞浸潤の組織学的分析:18日目に切除した肝臓の組織学的検査を、1群当たり5匹のマウスからの組織を使用して行った。小さい、中間、及び大きい表面積として分類された浸潤物の定量は、DARPin(登録商標)タンパク質#45による処置が、肝臓T細胞浸潤の増加を誘発しなかったことを示した。これは、抗TCCRモノクローナル抗体の投与がNOGマウスのヒトPBMCによる肝臓T細胞浸潤の増加を誘導したことを示す公開された結果とは対照的である。DARPin(登録商標)タンパク質#45による処置はまた、未処置のマウスと比較して、移植片対宿主病(GVHD)の加速を誘発したり、早期死亡を引き起こしたりしなかった。
【0286】
結論
DARPin(登録商標)タンパク質#45は、皮下HT-29ヒト結腸がんMiXenoモデルにおいて有意な抗腫瘍活性を示した。DARPin(登録商標)タンパク質#45による処置は、ビヒクル処置マウスと比較して、腫瘍内のヒトCD8 T細胞の密度の増加をもたらした。DARPin(登録商標)タンパク質#45による処置は忍容性が高く、体重減少又は生存率の低下をもたらさず、ビヒクル群と比較して肝臓T細胞浸潤の増加を生じなかった。
【0287】
実施例7:FAP特異的アンキリン反復タンパク質の結合時のFAP機能活性の特性評価
FAPの機能活性に対するアンキリン反復結合の効果を評価するために、FAP酵素活性を阻害する能力について、選択されたFAP特異的アンキリン反復タンパク質を試験した。この目的のため、蛍光発生基質上のFAPのプロリルエンドペプチダーゼ活性を、FAP特異的アンキリン反復タンパク質の存在下及び非存在下で測定した。
【0288】
簡単に言うと、ヒトFAPタンパク質、Z-Gly-Pro-AMC蛍光発生基質(Bachem)及び過剰のFAP特異的アンキリン反復タンパク質を、アッセイ緩衝液(50mMのTris、1MのNaCl、1mg/mLのBSA、pH7.5)中で希釈し、F16 Black Maxisorpプレートに、ウェル当たり100μlの総最終容量について、0.1μl/mlのヒトFAP、50μMの基質、及び112倍モル過剰のアンキリン反復タンパク質(hFAPを超える)の最終濃度で添加した。室温で75分後、それぞれ380nmと460nmの励起波長及び発光波長を使用して、hFAPによる基質の切断を、Tecan 1000リーダーで測定した。50μMの基質100μlを基質ブランク(バックグラウンド対照として)に装填し、アンキリン反復タンパク質を有さない試料(アッセイ緩衝液で置き換えた)を使用して、FAPの最大活性を決定した。バックグラウンドの正規化の後、所定のアンキリン反復タンパク質の存在下で残されたFAP活性の割合を、アンキリン反復の存在下でのFAP活性の最大FAP活性に対する比に基づいて決定した。FAP特異的アンキリン反復タンパク質の選択されたパネルの結果を表10に要約する。選択されたアンキリン反復タンパク質のいずれも、FAP酵素活性を有意に阻害しなかった。
【0289】
【表10】
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9
【配列表】
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