(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】フォークリフト用のモジュール式リチウムイオン電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 50/249 20210101AFI20241226BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20241226BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20241226BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20241226BHJP
H01M 10/655 20140101ALI20241226BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20241226BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20241226BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20241226BHJP
H01M 50/298 20210101ALI20241226BHJP
H01M 50/519 20210101ALI20241226BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20241226BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20241226BHJP
H01M 50/583 20210101ALI20241226BHJP
【FI】
H01M50/249
H01M10/052
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/655
H01M50/204 401D
H01M50/204 401H
H01M50/284
H01M50/296
H01M50/298
H01M50/519
H01M50/55 201
H01M50/569
H01M50/583
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022209089
(22)【出願日】2022-12-26
(62)【分割の表示】P 2020500699の分割
【原出願日】2018-07-13
【審査請求日】2023-01-17
(32)【優先日】2018-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523295419
【氏名又は名称】エチウム,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】グリエルモ,ケノン
(72)【発明者】
【氏名】シューマン,アダム
(72)【発明者】
【氏名】ラドヴィグ,ブレント
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,マシュー
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0001584(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2700611(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に電力を供給するように構成された再充電可能電池アセンブリであって、
前記車両の電池アセンブリ区画内に動作可能に適合するようにサイズが調整されたアセンブリ筐体と、
前記アセンブリ筐体の内部に配置された複数の電池モジュールであって、各電池モジュールは、
モジュールケーシングと、
正極電池端子及び負極電池端子と、
前記モジュールケーシング内に配置され、かつ前記正極電池端子及び前記負極電池端子に電気的に結合されたプリント基板(PCB)と、
前記正極電池端子と前記負極電池端子との間の結合電位を提供するために、前記PCBの第1の側の隣で前記モジュールケーシング内に配置され、且つ前記PCBに電気的に結合された複数の電池セルであって、
前記複数の電池セルのそれぞれは、
前記PCBの第1の側の反対側の前記PCBの第2の側と前記電池セルの正極端子とに接合された第1のワイヤであって、前記第1のワイヤは、前記PCBの第2の側から前記PCBの第1の側へのアクセスを可能にする前記PCBの開口を通過する、第1のワイヤと、
前記PCBの前記第2の側と前記電池セルの負極端子とに接合された第2のワイヤであって、前記第2のワイヤは、
前記第1のワイヤと前記PCBの
同一の開口を通過する、第2のワイヤと、
によって、前記PCBに電気的に結合され、
前記複数の電池セルのそれぞれは、複数の電池セルバンクを形成するために前記PCBに結合され、前記複数の電池セルバンクのそれぞれは、前記PCBへのワイヤ接合を介して互いに結合された前記複数の電池セルのグループを含む、複数の電池セルと、
電池監視システム(BSS)であって、前記複数の電池セルバンクのそれぞれは、前記BSSで終端し、前記BSSは、前記複数の電池セルバンクのそれぞれの特性を監視するように構成されている、電池監視システム(BSS)と、
を備える、再充電可能電池アセンブリ。
【請求項2】
前記複数の電池モジュールのそれぞれについて、
前記BSSは、
前記複数の電池セルバンクのそれぞれの充電の深度を監視し、
前記複数の電池セルバンクのそれぞれの充電の深度に基づいて、前記複数の電池セルバンクのそれぞれの充電及び放電を管理するように構成されている、請求項1に記載の再充電可能電池アセンブリ。
【請求項3】
前記複数の電池モジュールのそれぞれについて、
前記複数の電池セルバンクのそれぞれの充電及び放電の管理において、
前記BSSは、
前記複数の電池セルバンクの一つの充電の深度が前記複数の電池セルバンクの残りよりも少ないと決定し、
前記複数の電池セルバンクの一つが前記複数の電池セルバンクの残りと適切に釣り合うことを保証するために、前記複数の電池セルバンクからの放電を調節する、
ように構成されている、請求項2に記載の再充電可能電池アセンブリ。
【請求項4】
前記複数の電池モジュールのそれぞれの前記複数の電池セルのそれぞれについて、
前記第1のワイヤ及び前記第2のワイヤのそれぞれは、
前記電池セルと前記PCBとの間に所望の電流を通電し、
電流が、前記電池セルと前記PCBとの間に通電されている前記所望の電流より大きいことに応答して、切れることにより、ヒューズとして機能する、
ように構成されている、請求項1に記載の再充電可能電池アセンブリ。
【請求項5】
前記複数の電池モジュールのそれぞれについて、
前記複数の電池セルのそれぞれは、前記PCBの前記第2の側と前記電池セルの負極端子とに接合された第3のワイヤによって、前記PCBに電気的に更に結合されており、前記第3のワイヤは、前記PCBの開口を通過する、請求項1に記載の再充電可能電池アセンブリ。
【請求項6】
前記複数の電池モジュールのそれぞれについて、
前記PCBは、複数の開口を備え、前記複数の開口のそれぞれは、前記複数の電池セルの少なくとも一つに関連付けられている、請求項1に記載の再充電可能電池アセンブリ。
【請求項7】
前記複数の電池モジュールのそれぞれの前記複数の電池セルのそれぞれについて、
前記電池セルの正極端子は、前記PCBの前記第1の側の隣の前記電池セルの第1の端に配置され、
前記電池セルの負極端子は、前記電池セルの第1の側の外縁に沿って配置されている、請求項1に記載の再充電可能電池アセンブリ。
【請求項8】
前記複数の電池モジュールのそれぞれの前記複数の電池セルのそれぞれについて、
前記電池セルの第2の端は、前記モジュールケーシングに接続している熱伝導性材料に接続して配置されている、請求項7に記載の再充電可能電池アセンブリ。
【請求項9】
前記複数の電池モジュールのそれぞれの前記複数の電池セルのそれぞれは、リチウムイオン電池セルである、請求項1に記載の再充電可能電池アセンブリ。
【請求項10】
前記複数の電池モジュールのそれぞれの前記複数の電池セルのそれぞれは、リン酸鉄リチウム電池セルである、請求項9に記載の再充電可能電池アセンブリ。
【請求項11】
前記車両は、フォークリフトトラックである、請求項1に記載の再充電可能電池アセンブリ。
【請求項12】
車両に電力を供給するように構成された再充電可能電池アセンブリであって、
前記車両の電池アセンブリ区画内に動作可能に適合するようにサイズが調整されたアセンブリ筐体と、
前記アセンブリ筐体の内部に配置された複数の電池モジュールであって、各電池モジュールは、
モジュールケーシングと、
正極電池端子及び負極電池端子と、
前記モジュールケーシング内に配置され、かつ前記正極電池端子及び前記負極電池端子に電気的に結合されたプリント基板(PCB)と、
前記正極電池端子と前記負極電池端子との間の結合電位を提供するために、前記PCBに電気的に結合された複数の電池セルであって、
前記複数の電池セルのそれぞれは、
前記PCBと前記電池セルの正極端子とに接合された第1のワイヤと、
前記PCBと前記電池セルの負極端子とに接合された第2のワイヤと、
によって、前記PCBに電気的に結合され、
前記第1のワイヤと前記第2のワイヤとは、前記PCBの同一の開口を通過し、
前記複数の電池セルのそれぞれは、複数の電池セルバンクを形成するために前記PCBに結合され、前記複数の電池セルバンクのそれぞれは、前記PCBへのワイヤ接合を介して互いに結合された前記複数の電池セルのグループを含む、複数の電池セルと、
を含む、複数の電池モジュールと、
を備える、再充電可能電池アセンブリ。
【請求項13】
前記複数の電池モジュールのそれぞれは、電池監視システム(BSS)を備え、前記複数の電池セルバンクのそれぞれは、前記BSSで終端し、
前記BSSは、
前記複数の電池セルバンクのそれぞれの充電の深度を監視し、
前記複数の電池セルバンクのそれぞれの充電の深度に基づいて、前記複数の電池セルバンクのそれぞれの充電及び放電を管理するように構成されている、請求項12に記載の再充電可能電池アセンブリ。
【請求項14】
前記複数の電池モジュールのそれぞれについて、
前記複数の電池セルバンクのそれぞれの充電及び放電の管理において、
前記BSSは、
前記複数の電池セルバンクの一つの充電の深度が前記複数の電池セルバンクの残りよりも少ないと決定し、
前記複数の電池セルバンクの一つが前記複数の電池セルバンクの残りと適切に釣り合うことを保証するために、前記複数の電池セルバンクからの放電を調節する、
ように構成されている、請求項13に記載の再充電可能電池アセンブリ。
【請求項15】
前記複数の電池モジュールのそれぞれについて、
前記複数の電池セルは、前記PCBの第1の側の隣で前記モジュールケーシング内に配置され、
前記複数の電池セルのそれぞれについて、
前記第1のワイヤは、前記PCBの第1の側の反対側の前記PCBの第2の側と前記電池セルの正極端子とに接合され、
前記PCBの開口は、前記PCBの第2の側から前記PCBの第1の側へのアクセスを可能にし、
前記第2のワイヤは、前記PCBの前記第2の側と前記電池セルの負極端子とに
接合される、請求項12に記載の再充電可能電池アセンブリ。
【請求項16】
前記複数の電池モジュールのそれぞれについて、
前記PCBは、複数の開口を備え、前記複数の開口のそれぞれは、前記複数の電池セルの少なくとも一つに関連付けられている、請求項15に記載の再充電可能電池アセンブリ。
【請求項17】
前記複数の電池モジュールのそれぞれの前記複数の電池セルのそれぞれについて、
前記第1のワイヤ及び前記第2のワイヤのそれぞれは、
前記電池セルと前記PCBとの間に所望の電流を通電し、
電流が、前記電池セルと前記PCBとの間に通電されている前記所望の電流より大きいことに応答して、切れることにより、ヒューズとして機能する、
ように構成されている、請求項12に記載の再充電可能電池アセンブリ。
【請求項18】
前記複数の電池モジュールのそれぞれについて、
前記複数の電池セルのそれぞれは、前記PCBの前記第2の側と前記電池セルの負極端子とに接合された第3のワイヤによって、前記PCBに電気的に更に結合されており、前記第3のワイヤは、前記PCBの開口を通過する、請求項15に記載の再充電可能電池アセンブリ。
【請求項19】
前記複数の電池モジュールのそれぞれの前記複数の電池セルのそれぞれについて、
前記電池セルの正極端子は、
前記PCBの隣の前記電池セルの第1の端に配置され、
前記電池セルの負極端子は、前記電池セルの第1の側の外縁に沿って配置されている、請求項12に記載の再充電可能電池アセンブリ。
【請求項20】
前記複数の電池モジュールのそれぞれの前記複数の電池セルのそれぞれについて、
前記電池セルの第2の端は、前記モジュールケーシングに接続している熱伝導性材料に接続して配置されている、請求項19に記載の再充電可能電池アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
先行出願への優先権の主張
[0001] 本出願は、以前に出願された同時係属の米国仮特許出願第62/532,199号(2017年7月13日に出願)及び以前に出願された同時係属の米国仮特許出願第62/692,702号(2018年6月30日に出願)の利益を主張する。この参照により、米国仮特許出願第62/532,199号及び米国仮特許出願第62/692,702号の全開示(特許請求の範囲及び図面を含む)は、それらの全体がここで記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
[0002] 本発明は、バッテリ式産業用トラック及びそれらの再充電可能電池に関し、また、それらの使用の関連態様にも関する。より具体的には、本発明は、最も直接的には、クラスIフォークリフトに関するが、他のクラスのバッテリ式産業用トラックに関連する応用も見出すことができる。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の説明
[0003] 本発明の特定の分野を再考察する前に、一般的な再充電可能リチウムイオン電池についての背景情報を考慮することが役に立ち得る。再充電可能リチウムイオン電池は、1970年代に開発され、その当時でさえ、多くのそれらの利益や潜在的な産業利用は良く理解されていた。最初は、それらの商業利用に至るまでに時間を要したが、1990年代までには、はるかに幅広い人気を得るようになった。再充電可能リチウムイオン電池は、それらの電池セルの正極として使用されるリチウム層間化合物タイプを参照することによって主に特徴付けられる。産業界での使用では、リチウム金属酸化物が最も成功を収めており、その中でも、コバルト酸リチウム(LCO又はLiCoO2)が最も人気が高いが、特に熱暴走や関連する安全性への懸念に関して、その使用には欠点がつきものであった。開発が進むにつれて、リチウム正極形成材料に追加の金属(ニッケル、マンガン、アルミニウムなど)をドープすることによって、実質的な改善が実現された。また、様々な革新には、コアシェル粒子正極、負極の改善及び固体リチウム高分子電解質の使用も関与しており、さらなる他の改革は、正極粒子サイズの小型化、電極表面積の増大及び全電池容量における他の改善をもたらした。
【0004】
[0004] 今日では、最も人気の高いリチウムイオン電池はLCOタイプのものであるが、その中でも特に、リチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム酸化物(NCA又はLiNiCoAlO2)及びリチウム・ニッケル・マンガン・コバルト酸化物(NMC又はLiNiMnCoO2)は人気がある。他の代替の正極組成物は、マンガン酸リチウム(LMO)及びリチウム・マンガン・ニッケル酸化物(LMNO)などの他のリチウム金属酸化物を含み、他のリチウムイオン化学組成物も、特定のニーズに対して考慮することができる。例えば、リチウム金属リン酸塩もまた、理論上、サイクル回数、保存寿命及び安全性の改善に対して長い間利用可能であったが、他の性能トレードオフにより、製造業者の間では、LCOタイプよりも人気がなくなった。特定のタイプのリチウム金属リン酸塩の1つとしては、リン酸鉄リチウム(LFP又はLiFePO4)電池が、再充電可能リチウムイオン電池の利用可能なタイプとして長い間知られているが、NCA、NMC及び他のLCO電池と比べて様々なメリットとデメリットがあり、NCA、NMC及び他のLCO電池は、一般に、LFPの使用と比較検討されてきた。
【0005】
[0005] 他の分野におけるリチウムイオン電池の実装形態の特定の成功例として、Tesla, Inc.は、そのモデルS電気自動車に対するNCA電池の使用を世に広めた。そのNCA電池は、その高いエネルギー密度により、大いにうまく機能するが、比較的低い熱安定性を有し、約150℃の熱暴走温度を有する傾向がある。Teslaの電池製造方法は、アーク放電及び過熱のリスクを最小限に抑えながら必要なエネルギー密度が得られるように、はるかに大きなアセンブリにおいて数百のより小さな電池セルを安全に相互接続することによって、利益とリスクのバランスを取る上で役立つ。より大きなアセンブリ内では、数百のより小さな電池セルは、グループを形成して接続され、各グループは、隣接するバスバーにワイヤ接合部によって接続された多くのセルの並列配置を含む。次いで、それらのグループのバスバーは、電気自動車に対する電力需要を満たすはるかに大きなアセンブリを生成するために、直列に結合される。この方法は、各セルの各端子をアセンブリ全体に永久的に接続するものである。しかし、はんだ付け、抵抗スポット溶接又はレーザ溶接の伝統的な方法を使用するというよりむしろ、Teslaは、超音波振動溶接を使用し、ワイヤ接合部は、著しい過熱なしで予期電流の通過を可能にする低抵抗ワイヤが素材である。各ワイヤ接合部は、約1センチメートルの長さしかなく、一方の端部は、電池端子に接合され、他方の端部は、アルミニウムバスバー導体部に接合され、次に、アルミニウムバスバー導体部は、回路内で他のバスバーと電気的に結合される。短絡又は同様のものによる過電流の事象では、各ワイヤ接合部は、過度の過熱を防ぐために切れるヒューズとして機能し得る。
【0006】
[0006] LFP電池は、NCA及びNMC電池より低いエネルギー密度を有する傾向があるが、より優れた熱安定性を有することでも長い間知られている。LFP電池の熱暴走は、典型的には、約270℃に至るまで起こらず、それにより、安全性が改善され、突発的な完全故障の可能性が減少する。また、LFP電池は、短絡又は過充電状態下において、より安定しており、高温で容易に分解することはない。他の論証可能な利点として、LFP電池は、鉛酸電池と比べて、より大きな電力密度を有し(すなわち、単位体積あたりより高い電力レベルを調達することができる)、大幅に増加したサイクル寿命を有する傾向もある。一般的な鉛酸電池は、20%の蓄積電荷の劣化で、300サイクルの平均寿命を有するが、LFP電池は、同じ20%の蓄積電荷の劣化で、2000サイクルを超えて持続することができる。
【0007】
[0007] その一方で、本発明の分野では、一般的なリチウムイオン電池の長期利用可能性にもかかわらず、クラスIフォークリフトは、依然として典型的に、鉛酸電池で作動している。その理由の1つは、多くのフォークリフト(特に、クラスIフォークリフト)には、安全な使用のための実質的なカウンターバランスが必要とされるためである。フォークリフト鉛酸電池は、一般に、1000ポンドを上回る重量であり、従って、多くのフォークリフトは、安定性を維持するために鉛酸電池の重量を使用するように設計されてきた。しかし、それらの大重量は、特に、鉛酸電池の取り外し、交換及び別の方法での取り扱いの文脈において、多くの課題も提示する。その重さほどのものを作業員が安全に持ち上げることはできないため、特別なホイストや電池交換機器が必要となり、それを受けて、さらなる費用及び床面積が必要となる。当然ながら、腰部損傷及び同様のもののリスクも生じる。
【0008】
[0008] 重量関連のリスク以外にも、硫酸の腐食性が原因で、鉛酸電池は、それらを取り扱う作業員の目、肺、皮膚及び衣服への損傷のリスクも提示する。それに加えて、一般に、電池の再充電の間は水素ガスが放出されるが、水素ガスは、酸素と爆発的に結合する恐れや、周辺のコンポーネントの腐食を促進する恐れがある。結果的に、鉛酸電池には、特別な安全プロトコルが必要であり、フォークリフト及びその再充電ステーションの周りの水素及び硫黄臭に対する適切な換気を保証するための特別な注意が必要である。
【0009】
[0009] その上、フォークリフト鉛酸電池は、時間、スペース及び在庫の観点から高価なものでもある。フォークリフト鉛酸電池は、一般に、連続で6時間ほどしか使用することができず、その後、8~9時間の再充電が必要とされる。また、フォークリフト鉛酸電池は、長いメンテナンス時間も必要とし、リチウムイオン技術と比べると、はるかに短いライフサイクルを有する。また、フォークリフト鉛酸電池は、充電及びメンテナンス専用の広いエリアを倉庫に設ける必要がある傾向もあり、各フォークリフトは、一般に、24時間業務を行う施設に対して2つの予備の電池を必要とする。
【0010】
[0010] 多くの上記で言及した及び他の理由の結果として、人々は、代替の形態としてフォークリフトリチウムイオン電池の使用を長い間考慮してきたが、結果としての試みは、好意的に解釈しても無力でしかなく、特徴的に大重量のフォークリフト鉛酸電池の課題の多くは、依然として、フォークリフト関連産業界を悩ませている。
【0011】
[0011] 従って、再充電可能LFP及び他のリチウムイオン電池技術の周知の特性及び長期利用可能性にもかかわらず、依然として、フォークリフト産業界における電池技術改善に対する実質的な及び長年にわたる切実な未解決のニーズが存在する。共同所有の米国仮特許出願第62/532,199号は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0012】
発明の概要
[0012] 本発明の革新により、そのようなフォークリフトが従来の方式での使用の適応対象とするフォークリフト鉛酸電池と交換可能なフォークリフト再充電可能リチウムイオン電池を可能にすることによって部分的に、従来の電気フォークリフトの安全で信頼できる動作が様々な方法で改善される。本発明の多くの実施形態は、再充電可能電池アセンブリに関与し、再充電可能電池アセンブリは、フォークリフト電池サイズであるが、複数の取り外し可能な電池モジュールを含む。取り外し可能な電池モジュールは、個別に再充電することができ、互いに交換することができる。そのような電池モジュールの各々は、自己完結型であり、外部アセンブリから容易に取り外せるようにするための統合ハンドルが装備されており、フォークリフト運転者及びメンテナンス作業員が手で取り外しできるように、好ましくサイズ指定を行ったり、別の方法で適応させたりするようになっている。従って、個々の電池モジュールの各々は、再充電の目的又はフル充電された交換用モジュールとの交換の目的のために選択的に取り外すことができる。
【0013】
[0013] 好ましい適応法は、運転者又はメンテナンス作業員がアセンブリ全体の再充電を望む場合に、従来のフォークリフト鉛酸電池と同じ方法でそのアセンブリ全体を取り外して再充電できるか、又は、アセンブリ全体を充電するための好ましい方法でフォークリフト内に残したまま充電することができるようなものである一方で、その代替として、再充電又は交換のために、個別に取り外し可能なモジュールのうちの1つ又は複数を手で取り外すことができるようなものである。本発明の態様は、フォークリフトの動作の続行を依然として可能にしながら、その再充電又は交換を可能にするために、より大きな電池アセンブリからの複数のモジュールの取り外しをさらに可能にする。その上、出願人の手法の他の革新的な態様により、個々の電池モジュール及び/又はより大きなアセンブリは、リチウムイオン充電器で再充電することができるのみならず、従来の鉛酸電池充電器での再充電と容易に両立することもできる。
【0014】
[0014] より大きな電池アセンブリの好ましい実施形態は、フォークリフト電池サイズの筐体を含み、それと共に、個別に取り外し可能及び交換可能なモジュールの対称配置を有する。好ましくは、筐体は、アセンブリの前側に垂直に設置された6つの電池モジュールを内包し、それらの電気及びデータ接続は、筐体内においてその後側で起こる。好ましい実施形態は、両面性のものであり、その結果、システムは、2つのラックを有し、1つのラックあたり6つのモジュールを有し、合計で12個のモジュールを有する。各モジュールのハンドルは、折り畳み式のものであり、全アセンブリにおいて上端に配向され、従って、対応するモジュールを手で取り外す間に容易にアクセスすることができる。
【0015】
[0015] 好ましい実施形態は、ラッチ付きのドアを使用して適所に固定された電池モジュールを有する。各電池モジュールは、電池モジュールの解放の間のスムーズ且つ制御された動きを保証するために、低い摩擦面を有する。低電圧コネクタのピンには、連結機能が組み込まれている。この連結機能は、電池モジュールを通信バスと係合する前に3つの条件を満たさなければならないようにワイヤ接続されている。これらの条件は、低電流コネクタの嵌合、筐体ラックの物理的なロックシステムの係合及び通信バスとのリンクの成功を含む。連結ピンは、モジュールが接続されるスロットの物理的なラッチを通じてループし、その結果、BOSSモジュールは、モジュールが接続されていることが分かる。モジュールを挿入し、ラッチを閉じると、連結ピンは、モジュール接地ピンによって短絡する。この機構は、本発明の多くの実施形態においてアーク放電を防ぐ上で役立つ。これらの関連利益なしでは、アーク放電が過電流シナリオをもたらす恐れがあり、これを受けて、適切な予防対策がない場合に電気コネクタの破壊を招くというリスクを負うことになる。
【0016】
[0016] 各電池モジュールは、統合電池監視システム(BSS)を有する。システムは、セル電圧、電流及び温度を含む健全性をモニタする。充電の間、システムは、充電状態をモニタし、電圧差を補償し、電池セルが適正な均衡を保ち且つ動作温度限度内である場合及びその場合に限り、パックが動作可能な状態を維持することを保証する。それに加えて、システムは、履歴及び情報を保持し、物理的なCANバスを通じてリフトトラック及び充電器に伝達することができる。
【0017】
[0017] 好ましい実施形態の電池モジュールは、より高い電圧、より高い容量及びより高い電流容量を達成するために、直列と並列の組合せで接続される。各電池モジュールは、自立型のものであり、それ自体の内部コントローラを内包する。しかし、二次コントローラ(例えば、モータコントローラ及び/又は充電器)によって実施される何らかの冗長モニタリング及び制御が存在する。
【0018】
[0018] 各モジュール内では、個々の電池セルは、Teslaのワイヤ接合電池製造方法に匹敵する手法を使用して接続される。しかし、Teslaとの重要な違いは、以前に論じられたように、NCA又は他のLCO電池技術というよりむしろ、LFP電池技術の使用に関与する。結果として生じる多くの性能の違いの中で、好ましい実施形態では、充電のために1つの筐体ラックあたり最大で4つのモジュールを取り外しても依然としてフォークリフトの動作の続行が可能である(その理由は、そのような取り外しを行っても、電圧は、要件全体を下回って減少しないためである)ことは注目に値する。動作続行のため、アセンブリは、最低でも2つの24ボルト電池モジュールを必要とする。電池セルとプリント基板(PCB)との間には、プラスチック製電池トレイ及び熱伝導性接着剤が位置する。上部プラスチック製電池トレイとPCBとの間では、熱伝導性及び電気絶縁性の接着剤が使用される。それに加えて、電池セルと上部及び下部プラスチック製電池トレイとの間でも、同じ接着剤が使用される。熱管理の目的で、熱ギャップフィラーは、電池セルの下部とモジュールエンクロージャとの間で適用される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図面の簡単な説明
【
図1】[0019]ドアが閉まった状態の開示されるアセンブリの好ましい実施形態の斜視図を示す。アセンブリは、6つの分離可能な電池モジュールを内包する筐体ラックを含む。
【
図2】[0020]先行技術を表す構成におけるクラスIフォークリフトの側面図を示し、そのフォークリフトが開閉可能な電池収納部に従来のフォークリフト鉛酸電池を含むことを示し、矢印は、フォークリフトの前輪で生み出される支点反力と比較した、そのカウンターウェイトと、その積載物の重量と、結果として得られる質量中心との関係を概念的に示す。
【
図3】[0021]
図1の従来のフォークリフト鉛酸電池を有さないクラスIフォークリフトの側面図であり、代わりに、本発明の教示による再充電可能電池アセンブリが組み込まれている。
【
図4A】[0022]筐体からのスラムラッチの係脱を示す。
【
図4B】[0023]電池モジュールを適所に保持するドアのピンロック特徴を示す。
【
図5A】[0024]半開き位置にある筐体のドア及びドアピンの場所を示す。
【
図5B】[0024]半開き位置にある筐体のドア及びドアピンの場所を示す。
【
図6A】[0025]全開位置にある筐体のドア及びドアピンの場所を示す。
【
図6B】[0025]全開位置にある筐体のドア及びドアピンの場所を示す。
【
図7A】[0026]ドアが完全に開いた時点で筐体からモジュールを取り外すプロセスを示す。
【
図7B】[0026]ドアが完全に開いた時点で筐体からモジュールを取り外すプロセスを示す。
【
図8A】[0027]代替の実施形態における筐体からのスラムラッチの係脱を示す。
【
図8B】[0027]代替の実施形態における筐体からのスラムラッチの係脱を示す。
【
図9A】[0028]半開き位置にある筐体のドア及びモジュールピンの場所を示す。
【
図9B】[0028]半開き位置にある筐体のドア及びモジュールピンの場所を示す。
【
図10A】[0029]全開位置にある筐体のドア及びモジュールピンの場所を示す。
【
図10B】[0029]全開位置にある筐体のドア及びモジュールピンの場所を示す。
【
図11A】[0030]ドアが完全に開いた時点で筐体からモジュールを取り外すプロセスを示す。
【
図11B】[0030]ドアが完全に開いた時点で筐体からモジュールを取り外すプロセスを示す。
【
図12】[0031]モジュールが挿入された筐体の背面図を示す。
【
図13】[0032]モジュールが挿入された筐体の背面及び側面の斜視図を示す。
【
図14】[0033]電池モジュールの背面図を示す。
【
図15】[0034]電池モジュールの部分正面図を示す。
【
図16】[0035]電池モジュールの内部の斜視図を示す。
【
図17】[0036]電池モジュールの内部上面図を示す。
【
図18】[0037]モジュール内の個々の電池セルの断面図を示す。
【
図19】[0038]6つの電池モジュールが筐体ラックに並列接続される概略図を示す。
【
図20】[0039]代替の実施形態の再充電可能電池アセンブリ220の立面図である。アセンブリ220は、8つの分離可能な電池モジュール330を組み込む変形形態であり、
図15は、外部筐体ラック300及びその中に動作可能に配置されたそれらの8つの電池モジュール330の半分(すなわち、モジュール330a~330d)を示す。
【
図21】[0040]代替の実施形態の再充電可能電池アセンブリ220の中間断面図であり、外部筐体ラック300及びその中に動作可能に配置された電池モジュール330の残りの半分(すなわち、
図21に示されていない方の半分、すなわち、モジュール330e~330h)を示し、
図22の表示面は、
図23の断面4-4のような番号が付けられている。
【
図22】[0041]代替の実施形態の再充電可能電池アセンブリ220の部分切除された等角斜視図であり、再充電可能電池アセンブリ220は、その中に動作可能に配置されたその電池モジュール330を有し、その詳細の一部を明らかにするために、上壁303の大部分及び中央壁350の一部が部分切除されている。
【
図23A】[0042]代替の実施形態の個々の電池モジュール330のうちの1つ(すなわち、モジュール330a)に焦点を置いた部分等角斜視図であり、モジュール330aは、筐体ラック300のベイ307a内のその動作可能に係合された位置にあり、モジュール330a及び矢印608、609の方向におけるその取り外し性を示すために、筐体の大部分が切除されている。
【
図23B】[0043]代替の実施形態の個々の電池モジュール330aの背面を示すより簡単な等角図であり、電池モジュール330aは、筐体ラックアセンブリ300のスライド610、611の要素表現上に置かれている。
【
図24A】[0044]代替の実施形態の電池モジュール330の内部の上面及びその背面接続部400、401、402の等角図である。
【
図24B】[0045]
図24Aの代替の実施形態の電池モジュール330の内部の下面及びその背面接続部400、401、402の等角図である。
【
図25】[0046]代替の実施形態の電池モジュール330の要素の上面図であり、
図23の筐体ラック300内外への動作可能な設置及び取り外しのためのその接続部及び機構のシンボル表現を示す。
【
図26】[0047]代替の実施形態の例示的な概略図であり、筐体ラック内の電池モジュールは、並列接続され、筐体ラック制御システム901に接続される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
好ましい実施形態の詳細な説明
[0048] 以下の説明は、現在好ましい実施形態に関連するものであり、本発明の制限を説明するものと解釈すべきではなく、代わりに、特許請求の範囲を参照して、本発明のより広い範囲を考慮すべきであり、特許請求の範囲は、ここで添付しても、後にこの出願又は関連出願において追加又は補正してもよい。別段の指示がない限り、これらの説明で使用される用語は、一般に、当業者によって理解されるであろうものと同じ意味合いを有することを理解されたい。また、使用される用語は、一般に、関連技術分野の文脈内で理解されるであろう通常的な意味合いを有することが意図され、それらの用語は、一般に、特定の文脈が明確に必要としない限り及びその範囲内でしか、正式な又は理想的な定義や、概念的に包含する均等物に限定されるべきではないことも理解すべきである。
【0021】
[0049] これらの説明の目的のため、本明細書又は特定の請求項の特定の文脈において明らかにされている場合を除き、いくつかの表現簡略化も普遍的に理解すべきである。「又は(or)」という用語の使用は、代替の形態について言及するものとして理解すべきであるが、一般に、代替の形態のみを言及するという明示的な指示がない限り、又は、代替の形態が本質的に相互排他的なものでない限り、「及び/又は」を意味するように使用される。値について言及する場合、「約(about)」という用語は、おおよその値(一般に、その値±その値の半分であるものとして読み取れる値)を示すために使用することができる。「a」又は「an」及び同様のものは、別段の明確な指示がない限り、「1つ又は複数」を意味し得る。そのような「1つ又は複数」という意味は、「有する(having)」又は「含む(comprising、including)」などの開放用語と併せて言及する場合にとりわけ意図される。同様に、「別の(another)」対象は、少なくとも第2の又はそれ以上の対象を意味し得る。
【0022】
好ましい実施形態
[0050] 以下の説明は、主に、好ましい実施形態に関連し、場合により、いくつかの代替の実施形態を参照することもできるが、他の多くの代替の実施形態も本発明の範囲内に収まることを理解すべきである。当業者であれば、これらの例で開示される技法は、様々な実施形態の実践においてうまく機能する技法を表すと考えられ、従って、それらの実践に対する好ましい様式を構成すると考慮できることを理解すべきである。しかし、本開示を踏まえると、当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、開示される実施形態に対して多くの変更を行える一方で、依然として、同等の機能又は結果が得られることも理解すべきである。
【0023】
筐体ラック及び電池モジュールのインタフェース設計
[0051]
図1では、好ましい実施形態10の斜視図が示されており、筐体ラック(「筐体」)100の正面が示されている。筐体100は、好ましくは、鋼、又は、強度及び安定性を提供するのに適した別の材料で構築される。好ましい実施形態10は、垂直に配置された6つの電池モジュール(「モジュール」)200を有する。筐体100内に設置する際、各モジュール200は、スラムラッチ115付きのドア110によって適所に固定される。スラムラッチ115は、各ドア110の正面に取り付けられる。ドア110は、モジュール200が前後に滑動するのを防ぎ、それにより、接触が緩くなるのを防ぐ。各ドア110は、筐体100の上部からモジュール200の露出下部シース202まで延在する。それに加えて、仕切り101は、左右の動きを止めるために、筐体100に固定され、各モジュール200間に位置する。合計で5つの仕切り101が筐体100に固定される。ドア110の各々は、各モジュール200上のディスプレイパネル225が見えるようにくり抜かれている。ディスプレイパネル225は、LEDを使用して照らされ、各モジュール200のステータスを示す。ディスプレイパネル225に関するさらなる詳細は、
図15に示され、本明細書で後に説明される。
【0024】
代表的なリフトトラック
[0052]
図2は、従来のクラスI電気フォークリフト130の側面図を示し、本発明を組み込むか、具体化するか又は使用することができる先行技術のリフトトラック設計を表す。示されるフォークリフト130の特定のモデルは、CaterpillarモデルE6000フォークリフトに似ており、長さ34.4インチ(すなわち、正面から背面までの奥行き)×幅39.5インチ(すなわち、フォークリフトに設置した際の横寸法)×高さ23.3インチの48Vの電池(最小重量要件を満たすもの)が指定される。クラスIフォークリフトとして、フォークリフト130は、積載物150を持ち上げる、運ぶ又は移動させる目的で、その上の積載物150を支持するように適応させたフォーク又は他の積載物支持部材132を昇降させるための昇降アセンブリ131を備えた機動性トラックである。
【0025】
[0053] 積載物支持部材132は、積載物150を支持するように従来の方式で片持ち式で設計され、一般に、フォークリフト130の前輪142によって生み出される支点の前方に延在するが、重い積載物ほど、フォークリフト130が転倒するリスクを提示する可能性が高い。従って、荷重下でその転倒リスクを最小限に抑えることは、そのようなフォークリフト130の安全な動作の基本であり、クラスIリフトトラックとしてのその分類に沿って、フォークリフト130が運ぶ予定の積載物150の重量(FL、矢印151によって示される)の全範囲は、カウンターウェイト荷重(FC、矢印121によって示される)によって正しく釣り合うようにしなければならない。言い換えれば、転倒することなく、積載物150を安全に持ち上げたり、操作したりするため、その積載物150の重量(FL、矢印151によって示される)によって主に生み出される前方転倒トルクは、特に、フォークリフト130に対して製造業者が指定する積載量範囲の上限に近い積載物の場合、フォークリフト130のカウンターウェイト荷重(FC)によって主に生み出される反対のトルクを下回るものでなければならない。
【0026】
[0054] 先行技術では、そのようなフォークリフト130は、一般に、カウンターウェイト荷重(FC)の主要部分として大きな鉛酸電池160を含み、それに従って、一般に、クラスIフォークリフトが設計される。そのようなフォークリフトの設計は、一般に、特定の長さ(すなわち、奥行き)、幅及び高さの電池収納部122内に、フォークリフト電池160の重量を安全に支持するための構造を組み込む。電池収納部122は、一般に、その中にフォークリフト電池160のためのスペースを部分的に又は完全に含む及び定義する取り外し可能な又は開閉可能なパネル又は同様のものによって部分的に定義される。示されるフォークリフト130の事例では、例えば、電池収納部122は、座席アセンブリ135及び部分サイドパネル136によって部分的に定義される。座席アセンブリ135は、通常、フォークリフト電池160の上に位置するが、運転者がフォークリフト電池160又はその収納部122にアクセスできるように、フォークリフト電池160から上方に離れるように手動で枢動できるようにする解放可能なラッチを有する。類似的に、パネル136又は他の構造は、電池収納部122の取り囲み及び定義に役立つように提供され、また、パネル136は、その中のフォークリフト電池160のチェック又は交換を行う目的でなど、その電池収納部122へのより完全なアクセスを可能にするために、取り外し可能な又は開閉可能なものでもあり得る。また、フォークリフト130は、フォークリフトの電気回路を従来のフォークリフト電池160の対応する端子に取り外し可能に接続するための正極及び負極導体も有する。
【0027】
[0055] フォークリフトは、フォークリフトの前輪とその下の床面90との間で生み出される支点(矢印91によって示される)を使用する。その支点91の前方の積載物150の積載荷重(FL)によって生み出されるモーメントが、反対側のフォークリフトカウンターウェイト(FC)のモーメントを超える場合は、フォークリフト130は、積載物150の方に向けて前方に転倒し、危険な状況をもたらす。重心161の場所は、フォークリフトの積載物の有無に部分的に依存する。積載物150を運んでいる間にフォーク171を上昇させると、重心161は、自然に、フォークリフトの前方及び上方に向かってシフトする。
【0028】
再充電可能リチウムイオン電池アセンブリ
[0056]
図3は、
図2に示されるものと同じ代表的なクラスI電気フォークリフト130を示すが、
図1の従来のフォークリフト鉛酸電池160の代わりに、電池収納部122に動作可能に設置された本発明の教示による好ましい再充電可能電池アセンブリ230を有する。従来の鉛酸電池160とは対照的に、再充電可能アセンブリ230は、複数の分離可能な電池モジュール200、好ましくは、偶数(示される実施形態では、6つ)のそのようなモジュール200を含み、その各々は、多くの軽量リチウムイオン電池セルをその中に含む。最も好ましくは、それらの多くの電池セルは、LFPタイプのものである。従来の鉛酸電池160の特徴である、より短い使用時間及びはるかに長い充電時間とは対照的に、個々のモジュール200の再充電又は交換を行わなくとも、アセンブリ230全体は、約10時間は操作可能な充電を保持することができ、その後、約60分間の再充電が必要とされる。また、それらのリチウムイオン化学組成物により、各モジュール200は、従来の鉛酸電池160の約6倍の充電サイクルを繰り返すことができる。
【0029】
[0057] 特にLFP化学組成物の場合、1時間以下の充電時間に相当する充電速度は、セルの推奨される動作限度内である場合が多い。それに加えて、モジュール200の取り外しが容易であることにより、休憩時間の間に充電する機会を得ることができる。例えば、運転者は、15分の休憩時間の間にモジュール200を取り外し、この短い間隔の間に実質的な再充電を行うことができる。また、従来の鉛酸電池160より長い再充電可能アセンブリ230の稼働時間により、職場の効率も改善される。鉛酸電池160の場合、再充電のために大きなエリアが割り当てられる。8時間のシフト勤務が終了した後、再充電のために鉛酸電池160が取り外され、別の充電済みの鉛酸電池160が挿入される。このシステムを再充電可能アセンブリ230と交換することにより、仕事環境において時間及び貴重なスペースを節約することができる。
【0030】
[0058] 再充電可能アセンブリ230の別の重要な利点は、鉛酸電池160より低いLFP電池の等価直列抵抗(ESR)である。鉛酸電池160は、より高いESRを有する結果、性能の低下を経験する。これらの電池160が放電すると、「電圧ドループ」が起こり、負荷又は加速の下でフォークリフトトラックの緩慢な動作が生じる場合が多い。ほとんどの場合は、これは、シフトが始まって約6時間で起こり、1回のシフトあたり追加の再充電が必要とされ、それにより、電池の寿命が低減する。LFP電池は、電圧ドループのリスクを著しく低減しながら、シフトの間の性能持続の改善を提供する。
【0031】
[0059] 再充電可能アセンブリ230の好ましい実施形態は、より大きな筐体ラック100に設置された6つの電池モジュール200を有する。それらのモジュール200は、好ましくは、2つの対称グループに配置され、半分は、筐体ラック100の一方の横方向側面から取り外し可能であり、残りの半分は、筐体ラック100の他方の横方向側面から取り外し可能である。完全なアセンブリ230は、好ましくは、背中合わせに配置され且つ垂直に配向された6つのモジュール200を2セット内包し、その正面は、着脱可能なパネル136を取り外すか又は開けると、フォークリフトのどちらか一方の側面に露出する。代替の実施形態は、筐体ラック100を構成する電池モジュールの異なる場所又は異なる数量を有し得る。
【0032】
[0060] 従来の電池160にほぼ匹敵するようにサイズ指定、重量調整及び別の方法での適応が行われると、アセンブリ230の高さ「H」、奥行き「D」及び幅(
図2に垂直な寸法)は、フォークリフト130での使用が意図される従来のフォークリフト電池160のものと実質的に同じである。従って、アセンブリ230は、「フォークリフト電池サイズの」ものと説明することができる。そのフォークリフト電池サイズの特性により、示されるようなフォークリフト130の場合、アセンブリ230は、従来の電池160と同じ電池収納部122に安全に嵌入することができる。また、再充電可能電池アセンブリ230の好ましい実施形態は、フォークリフト130の製造業者が指定するようなフォークリフト130で使用される電池の最小(及び最大)重量要件を満たすために、その下面304に一体的に固定された、その基盤の中央に配向された鋼板で重量調整される。
【0033】
[0061] 従って、
図3に示されるクラスI電気フォークリフト130での使用の場合、リチウムイオン電池アセンブリ230は、従来の鉛酸電池160の代わりとして使用するために、Caterpillar E6000フォークリフト電池収納部122に嵌入するように適応させる。より明確には、E6000の場合、リチウムイオン電池アセンブリ230は、長さ34.4インチ(すなわち、正面から背面までの奥行き)×幅39.5インチ(すなわち、フォークリフト130に設置した際の横寸法)×高さ23.3インチの寸法にほぼ適合し、アセンブリ230は、3100ポンドの最小重量を有し、好ましくは、製造業者が指定する最小電池重量要件に対し50ポンドの余裕がある。
【0034】
[0062] 当業者であれば、フォークリフトの異なるメーカー及びモデルの寸法、適合性、形状及び重量は、フォークリフトの特定のメーカー及びモデルでの使用が意図される代替の実施形態に対する寸法の範囲を決定することが理解されよう。クラスIフォークリフト電池に対するサイズの全範囲は、代替の実施形態向けである。クラスI電気フォークリフトに対する最小電池重量要件の範囲は、約1,500~4,000lbsであり、これもまた、代替の実施形態向けである。
【0035】
[0063] 好ましい実施形態は、1つのラック100あたり2つのモジュールを有するフォークリフトの動作を依然として維持することができる一方で、交換又は再充電のための各筐体ラック100の4つのモジュール200の取り外しを可能にすることが企図される。1つのモジュール200の取り外しにもかかわらず動作の続行に対応するため、そのような取り外しにより、電圧は、フォークリフト130に対する要件を下回って減少しない。
【0036】
[0064] 他のタイプの再充電可能電池によって本発明の多くの態様を理解することはできるが、好ましい実施形態は、リチウムイオンタイプのうちの1つの電池セルを使用する。最も好ましくは、電池アセンブリ230の各モジュール200は、LFP(リン酸鉄リチウム)タイプの数百の自己完結型の電池セルを組み込む。すべてのリチウムイオン電池タイプは熱暴走を経験し得るが、好ましい実施形態のLFP電池セルは、270Cのかなり高い熱暴走温度を有し、それは、より従来型のリチウムイオン電池セルであるNCA又は他のLCOセルの暴走温度(典型的には、約150℃の熱暴走温度を有する)より実質的に高い。好ましい実施形態はLFP電池を使用するが、本発明のいくつかの態様は、他のタイプの再充電可能リチウムイオン電池セルの使用を通じて把握できることを理解すべきである。例えば、本発明のいくつかの態様に対して、代替の化合物は、制限なく、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4、Li2MnO3)、リチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム酸化物(LiNiCoAlO2)、リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト酸化物(LiNiMnCoO2)を含むことが企図される。
【0037】
[0065] 好ましい実施形態の電池モジュール200の各々の中では、複数の自己完結型の電池セル(好ましくは、1つのモジュール200あたり160~200セルの範囲にある)は、ワイヤ接合方法を使用して直列と並列の組合せで接続される。ワイヤ接合方法は、バスバーの代わりにワイヤ接合部を使用して電池を接続する。ワイヤ接合は、超音波摩擦溶接を通じて達成される。ワイヤ接合によって電池を相互接続することにより、ワイヤ接合部は、ヒューズとして機能しながら、短絡を防ぐことができる。ワイヤ接合部は、著しい過熱なしで予期電流の通過を可能にするワイヤが素材であり、個々のセルの過電流を防ぐためにワイヤ接合部が切れるようにすることができる。それに加えて、FET又は他の形態の従来のヒューズは、電池モジュールの内側に配置される。通電容量を超えた場合は、ヒューズは開放され、過電流によりワイヤ接合部が吹き飛ぶのを防ぐ。この設計の代替の実施形態は、電池セルを並列接続することができる。それに加えて、代替の電池接続方法は、伝統的なはんだ付け及びスポット溶接を含み得る。
【0038】
電池モジュールの取り外し及び挿入
[0066]
図4Aに移ると、筐体100からのスラムラッチ115の係脱が示されている。ラッチ115の下端部116は、筐体100との係合から上端部117を解放するために押し下げられる。ピン201は、ドア110に永久的に取り付けられており、溝112に嵌入する。
図4Bでは、モジュール200と係合するドア110のヒンジ111が示されている。
図4Bでは見えないが、ドア110は、その反対側に同一のピン201を有する。同様に、モジュール200は、その反対側に同一の溝112を有する。ピン201は、ドア110が開くまで、溝112の最上部にとどまっている。
【0039】
[0067]
図5Aに移ると、半開き位置にある筐体100のドア110が示されている。
図5Aでは、モジュール200が筐体100の前端102から突出していることが示されている。
図5Bでは、ピン113は、溝112の半ばまで上った状態で示されている。ドア110が開くと、ドア110は、ヒンジ111を中心に反時計まわりに回転する。同時に、ピン113は、溝112を下ってモジュール200の下部に向かって移動する。モジュール200の反対側において、同じ機構が同時に存在することを理解すべきである。ドア110が開くと、モジュール200は、筐体100から滑り出る。
【0040】
[0068]
図6Aに移ると、閉位置から90度回転した全開位置にある筐体100のドア110が示されている。ドア110が開いた結果、モジュール200は、筐体100から引き出され、端102から突出する。
図6Aでは、モジュール200の持ち運び用ハンドル205がはっきりと見える。持ち運び用ハンドル205は、好ましくは、モジュール200にボルト締めされるが、切り離すことができる。
図6Bでは、ピン113は、溝112の最下部に示されており、モジュール200を筐体100から取り外すことができる。
【0041】
[0069]
図7Aに移ると、筐体100から取り外され、ドア110上に置かれているモジュール200が示されている。モジュール200の上部には、ディスプレイパネル225を見るためのエリアがくり抜かれた上部保護シース203がある。ドア110が全開位置になった時点で、ユーザは、筐体100から外へドア110上をトラック(図示せず)に沿ってモジュール200を手で摺動することができる。好ましい実施形態10は、各モジュール200の下方に位置する低摩擦スライドを有する。
図7Bに移ると、ユーザは、持ち運び用ハンドル205を手で上方に折り立て、モジュール200をドア110から離して持ち上げることができる。ユーザは、持ち運び用ハンドル205を使用してモジュール200を電池充電ステーションまで持ち運び、別の充電済みのモジュール200と交換することができる。好ましくは、電池モジュール200は、OSHA及び他の職場規格に従って、51ポンド以下の重量を有する。モジュール200の交換には、前述の取り外し手順とは反対の動作の実行が必要とされる。
【0042】
[0070]
図8A~11Bは、代替の実施形態におけるモジュール200を取り外すための手順を示す。
図8Aに移ると、筐体100からのスラムラッチ115の係脱が示されている。ラッチ115の下端部116は、筐体100との係合から上端部117を解放するために押し下げられる。
図8Bでは、モジュール200と係合するドア110’のヒンジ111’が示されている。モジュール200に永久的に取り付けられたピン201’は、ヒンジ111’の溝112’に嵌入する。ピン201’は、ドア110’が開くまで、ヒンジ111’の最下部にとどまっている。
【0043】
[0071]
図9Aに移ると、半開き位置にある筐体100のドア110’が示されている。
図9Bでは、ピン201’は、溝112’の半ばまで上った状態で示されている。ドア110’が開くと、ヒンジ111’は、固定ピン201’の周りを反時計まわりに回転する。ドア110’が開くと、モジュール200は、筐体100から滑り出る。この時点で、電気スイッチ(図示せず)が作動する。連結ピン911(
図19に概略的に示される)は、モジュール200cが接続されるスロットの物理的なラッチ(図示せず)を通じてループする。モジュール200cを挿入し、ラッチを閉じると、連結ピン911は、モジュール接地ピン914によって短絡する。
図9Bでは、モジュール200が筐体100の前端102から突出していることが示されている。
図10Aに移ると、全開位置にある筐体100のドア110’が示されている。ドア110’が開いた結果、モジュール200は、筐体100から引き出され、端102から突出する。
図10Aでは、モジュール200の持ち運び用ハンドル205がはっきりと見える。持ち運び用ハンドル205は、好ましくは、モジュール200にボルト締めされ、切り離すことができる。
図10Bでは、閉位置から反時計まわりに90度回転したヒンジ111’が示されている。ピン201’は、溝112’の外側にあり、モジュール200を筐体100から取り外すことができる。
図11Aに移ると、筐体100から取り外され、ドア110’上に置かれているモジュール200が示されている。ドア110’が全開位置になった時点で、ユーザは、筐体100から外へドア110’上をトラック(図示せず)に沿ってモジュール200を手で摺動することができる。実施形態は、各モジュール200の下方に位置する低摩擦スライドを有する。
図11Bに移ると、ユーザは、持ち運び用ハンドル205を手で上方に折り立て、モジュール200をドア110’から離して持ち上げることができる。ユーザは、持ち運び用ハンドル205を使用してモジュール200を充電ステーションまで持ち運び、別の充電済みのモジュール200と交換することができる。モジュール200の交換には、前述の取り外し手順とは反対の動作の実行が必要とされる。
【0044】
[0072]
図12に移ると、筐体100の背面図が示されている。モジュール200を冷却するための6セットのファン120がある。各セットは、3つのファン120を有し、セットは、モジュール200間に位置する。例えば、
図12の左側に示される第1のセットは、第1のモジュール200と第2のモジュール200との間に位置する。第2のセットは、第2のモジュール200と第3のモジュール200との間に位置し、第3のセットは、第3のモジュール200と第4のモジュール200との間に位置し、第4のセットは、第4のモジュール200と第5のモジュール200との間に位置し、第5のセットは、第5のモジュール200と第6のモジュール200との間に位置する。第6のセットのファンは、第6のモジュール200と筐体100壁との間に位置する。モジュール冷却を提供するため、本発明者によって、異なる数のファンも企図される。筐体100の6つのセクションは、モジュール200の背面接続部が露出するようにくり抜かれる。各モジュールの背面には、10ピン信号コネクタ210、正極コネクタ211及び負極コネクタ212が見える。
【0045】
[0073]
図13に移ると、筐体100の後面を示す好ましい実施形態10の斜視図が示されている。この図からは、正極電池端子211及び負極電池端子212が筐体100の後面103から突出していることが明確に示されている。信号コネクタ210を埋め込む一方で、これらの接続部211、212を突出させる目的を理解することが重要である。挿入プロセスの間に電池モジュール200が「使用可能」になる前に、高電流電池端子211、212を嵌合することを確認することが必要である。「使用可能」は、10ピン信号コネクタ210がバス(図示せず)との一連の連結を成立させると発生する。バスに物理的に接続される前にモジュール200が「使用可能」になり、バス電圧と電池電圧が異なる場合は、端子211、212が嵌合した瞬間、電位を均一にするために瞬時高電流が流れることになる。この機構の目的は、安全のために、特に、電気コネクタを損傷し得るアーク放電を防ぐために、電池モジュール200が使用可能になる前に確実に高電流コネクタを嵌合させ、切断する前に電池モジュール200を使用不可能にすることである。
【0046】
[0074] これらの理由で、信号コネクタ210は、モジュール200挿入の間に最後に嵌合するコネクタであり、モジュール200取り外しの間に最初に係脱するコネクタである。この方法は、取り外しプロセスの間、10ピンコネクタは切断されるが、電池端子211、212は依然として接続されたままであるように、10ピンコネクタ210のピンが電池端子211、212より実質的に短いことを必要とする。プロセスにおけるこの時点で、モジュール200は、もはや10ピンコネクタ210を介して筐体100に接続されていないことを検出し、電池端子211、212が切断される前にそれ自体を瞬時に停止する。
【0047】
[0075]
図14に移ると、電池モジュール200の背面図が示されている。電池モジュール200の保護ケース204は、好ましくは、アルミニウム又は同様の特性を有する別の軽量材料で構築される。下部シース202’は、10ピンコネクタ210及び電池端子211、212のためにくり抜かれている。各モジュール200は、マイクロコントローラを有し、その10ピンコネクタ210を使用してCANバスに接続することができる。
【0048】
[0076]
図15に移ると、電池モジュール200の部分正面図が示されている。上部シース203は、ディスプレイパネル225及び持ち運び用ハンドル205のためにくり抜かれている。ディスプレイパネル225は、LEDを使用して照らされ、ステータスバー222及び故障バー223を有するボタン221を有する。ユーザは、ボタン221を押して、ディスプレイをスリープモードから「起こす」ことができる。診断のために、コード化プッシュを使用することができる。ステータスバー222が青色に点灯した場合は、モジュール200は正常に動作している。故障バー223が赤色に点灯した場合は、モジュール200に故障がある。緑色に点灯する5つのバー223があり、5つのバー223は、モジュール200の電池充電レベルを示す。5つのバー223は、照らされるLEDの数に基づいて、0%~100%の充電範囲で20%ずつ充電ステータスを示す。例えば、1つのバーは、充電量が非常に少ない(約20%)ことを示し、5つのバーは、モジュール200がフル充電されている(100%)ことを示す。
【0049】
電池セルネットワーク及び電池モジュールの電気設計
[0077]
図16に移ると、モジュール200の内部の斜視図が示されている。各電池セル1710は、プリント基板(PCB)1722にワイヤ接合される。電池セル1710とPCB 1722との間には、上部プラスチック製電池トレイ1720a及び熱伝導性接着剤1721又は他の接着剤が位置する。プラスチック製電池トレイ1720a、1720bは、電池セル1710の上部及び下部に直接配置される。熱伝導性接着剤1721は、電池トレイ1720a、1720bとPCB 1722との間で使用される。また、熱伝導性接着剤1721は、電気絶縁体でもある。
【0050】
[0078]
図17に移ると、モジュール200の内部上面図が示されている。各電池セル1710は、プリント基板(PCB)1722にワイヤ接合される。各電池セル1710に対し、3つのワイヤ1725a、1725b、1725cがPCB 1722上のパッドに接合される。2つのワイヤ1725a、1725bは負極であり、1つのワイヤ1725cは正極である。2つの負極ワイヤの目的は、冗長性のためである。好ましい実施形態は、184個のLFP電池セルを内包する。電池セル1710は、「バンク」と呼ばれるグループ(23個のセルを有する)に分割することができる。BSSは、バンクに対する電圧、温度及び充電状態をモニタすることができるが、個々の電池セル1710をモニタすることはできない。代わりの実施形態は、電池セル1710の配置又は数の変形形態を内包し得る。
【0051】
[0079]
図18に移ると、単一の電池セル1710の断面図が示されている。以前に言及したように、電池セル1710及び他のコンポーネントは、好ましくは、アルミニウムで構築された保護エンクロージャ204によって取り囲まれる。電池セル1710の真上には、プラスチック製電池トレイ1720aがある。熱伝導性接着剤1721aは、電池セル1710の上部と上部電池トレイ1720aとの間で使用される。同様に、上部電池トレイ1720aとPCB 1722との間にも同じ熱伝導性接着剤1721bが塗布される。正極ワイヤ1725c及び2つの負極ワイヤ1725a、1725bは、PCB 1722の上部にワイヤ接合されることが明確に示されている。
図18の下側に移ると、熱伝導性接着剤1721cは、電池セル1710の下部と下部電池トレイ1720bとの間に塗布される。その上、電池セル1710の下部と保護エンクロージャ204の下部との間には熱ギャップ充填材1726が使用される。ギャップ充填材1726は、モジュール200から熱を放散できるように、電池セルからエンクロージャ204に熱を伝達することができる。
【0052】
[0080]
図17に戻ると、各モジュール200は、統合電池監視システム(BSS)を有する。BSS 1700は、セル電圧、電流及び温度を含む健全性をモニタする。各モジュール200は、複数の電池セル1710から構成され、複数の電池セル1710は、ワイヤ接合を介して直列及び並列に接続され、最終的には、統合BSS 1700に終端する。ワイヤ接合は、Tesla超音波摩擦溶接方法と同様の方法を使用して完成する。示される穴は、電池セル1710をPCB 1722にワイヤ接合するために使用される。各穴では、極めて小さなワイヤ1725a、1725b、1725cは、PCB 1722と電池セル1710の両方に接合される。次いで、PCB 1722は、電池モジュール200の内部を通じて電流を直接伝達するために使用される。PCB 1722の使用は、1つの電池セル1710に機能障害が起こった場合でも、他のセルは依然として極板に接続されているため、電池モジュール200全体が故障するのを防ぐ。
【0053】
[0081] BSS 1700の200200好ましい実施形態は、リアルタイム電池セル情報を使用し、この情報を基準値セットと比較する。BSS 1700は、問題を診断するために、この比較を使用して、個々の電池セル及び複数のセルの異常を決定する。診断情報は、通信ユニットを使用して外部に送信することができる。また、BSS 1700は、このリアルタイムデータを使用して、問題を検知した場合に筐体ラック100から電池を電子的に切断することによって、電池動作の間の問題を防ぐことも行う。
【0054】
[0082] 充電の間、BSS 1700は、23個のセルを有する各バンクに対する放電深度をモニタし、電圧温度差を補償し、電池バンクの均衡が適正に保たれていることを保証する。1つの電池セルが残りの電池よりわずかに多い又はわずかに少ない容量を有する場合は、いくつかの充電及び放電サイクルにわたって、その放電レベルは、他の電池とは異なることになる。BSS 1700は、電池の均衡を保ち、過放電及び過充電を防がなければならない。過放電及び過充電は、電池モジュールの損傷を引き起こし、最終的には、完全な電池モジュールの故障を引き起こし、安全性リスクを提示し得る。
【0055】
充電管理システム統合
[0083]
図19は、6つの電池モジュール200a~200fが筐体ラック100に並列接続される概略図である。特定のいかなる時点においても、特に、フォークリフトへの電力供給における使用を通じてモジュールの充電がなくなるため、各電池モジュール200は、異なる充電状態を有し得る。「充電状態」は、モジュール200が現在有する充電パーセンテージと定義される。各モジュール200は、電池寿命又は初期充電レベルの差により、異なる初期電圧であり得る。また、各モジュール200は、特定のモジュール200の使用年数及び用法の差を考慮すると、「フル充電」時に異なる最大電圧を有することもあり得る。例えば、モジュール200aは、フル充電時に24.0Vの電圧を有し得、モジュール200fは、フル充電時に23.9Vの電圧を有し得る。
【0056】
[0084] 電池オペレーティングシステムスーパーバイザ(BOSS)モジュールプロセッサ(「BOSSモジュール」)901がモジュール200a~200f用の電池管理システムとして機能することが必要である。しかし、BOSSモジュール901の制御の場合、1つのモジュールの電圧が他のモジュールの電圧を超えるようなシナリオでは、低い電圧の電池モジュールは、高い電圧のモジュールから低い電圧のモジュールに電流の流れを引き寄せることになる(コネクタ、セル、バスバー及び接合ワイヤの抵抗によってのみ制限される)。大きな電圧差は、低い電圧を有する電池モジュールへの高電流の流れを引き起こすことになる。これらの状況は、筐体100から外へというより、むしろ電池モジュール間を電流が流れる際、モータへの電流の流れが低減されるため望ましくない。長時間にわたって高電流が維持される場合、又は接合ワイヤの処理能力より高い電流を生み出すほど十分に電圧の相違が大きい場合は、電池を急速に使い果たすか又は接合ワイヤが開放されることにより、電池故障を招く恐れもある。
【0057】
[0085]
図19に戻ると、合計で3つのバスバーがあり、バスバーにはモジュール200が接続される。モジュール200の負極端子212は、グループに応じて、0V(接地)バスバー又は24Vバスバーに接続される。モジュール200の負極端子212の半分は0Vバスバーに接続され、残りの半分は24Vバスバーに接続される。モジュール200の正極端子211は、48Vバスバーに接続される。以前に説明されたように、BOSSモジュール901は、モジュール200に信号を送信することによって、どの電池モジュール200がバスバーに接続され、どの電池モジュール200が切断されるかを決定する許可を電池モジュール200に与える。次いで、モジュール200は、MOSFETスイッチを使用して、接続及び切断を行う。
【0058】
[0086] モジュール200cはここでは単なる例として使用され、各モジュール200は同じ方法でワイヤ接続及び採用されることを理解すべきである。BOSSモジュール901とモジュール200との間の通信は、
図19で概略的に描写される低電圧10ピン接続部210(
図14に示される実際のコネクタ210)について説明することで最も良く理解される。4つのピンは「絶縁された」ものであり、5つのピンは「絶縁されていない」ものであり、1つの予備のピンは、現在利用されていないが、後に採用することができる。また、「ピン」という用語は、ここでは、ワイヤハーネス904、909のそれらのそれぞれのピンに対応するワイヤについて説明する際にも使用される。絶縁ピンは、絶縁ワイヤハーネス904の一部としてグループ分けされる。当業者であれば、「絶縁」はガルバニック絶縁を指すことが理解されよう。主電源から絶縁ワイヤハーネス904を分離するため、変圧器が使用される。絶縁ワイヤハーネス904において電気的短絡が起こった場合でも、システムの残りの回路が損傷するリスクはない。絶縁ワイヤハーネス904は、モジュール200cに接続される上方の破線として描写されている。また、絶縁ワイヤハーネス904は、車両バス920にも接続される。車両バス920は、複数の破線によって描写される通信ネットワークである。モジュール200cが筐体100の「スロット」に挿入されると、絶縁5Vピン905は、モジュール200cに接続され、BOSSモジュール901に信号伝達する。モジュール200cとBOSSモジュール901との間の通信用として、2つのピン905、906がある。CAN HIピン906及びCAN LOピン907がある。最後に、絶縁ワイヤハーネス904の接地ピン908がある。
【0059】
[0087] 非絶縁ピンは、非絶縁ワイヤハーネス909の一部としてグループ分けされる。モジュール200cが筐体100に挿入されると、識別(ID)ピン910は、筐体100におけるCANアドレスを割り当てる(筐体100内のモジュール200cのスロット位置を識別する)ために、BOSSモジュール901に接続される。連結ピン911は、モジュール200cが接続されていることがBOSSモジュールに分かるように、モジュール200cが接続されるスロットの物理的なラッチ(図示せず)を通じてループする。また、ファン電力を制御するためのピン912、ファン速度を制御するためのピン913及びモジュール接地ピン914もある。電池モジュール200c(及びすべての電池モジュール)は、それ自体のファン速度及びファン電力を制御する責任を有する。モジュール200cが挿入され、ラッチが閉じると、連結ピン911は、モジュール接地ピン914によって短絡する。これが起こった時点で、BOSSモジュール901は、バスバーに接続する許可を電池モジュール200cに与えることができる。
【0060】
[0088] BOSSモジュール901の重要性の例は、フォークリフトの連続動作の間及びモジュール200の交換の間に理解することができる。フォークリフトが動作している間、フル充電モジュール200を挿入するプロセスは、「ホットスワッピング」として知られている。
図19を見ると、モジュール200cは、フル充電されており、モジュール200a~200fが既に接続されている状態で挿入されたものである。BOSSモジュール901は、直ちにバスバーに接続する許可をモジュール200cに与えない。モジュール200cは、バスバーに接続する前に、他のモジュール200の要求電流が低くなるまで待つことになる。低い要求電流は、フォークリフトが多くの電流を必要としない時点を指す。例えば、積載物を運んでいるフォークリフトや、丘を登っているフォークリフトは、多くの電流を必要とする。フォークリフトがアイドル時には要求電流は低くなり、これが、モジュール200cを接続するのに適した時間である。BOSSモジュール901は、バスバーとのモジュール200の切断及び接続を制御しない。BOSSモジュール901は、モジュール200の接続及び切断が可能な際にその状態に対してモジュール200に許可を与えるだけである。各モジュール200は、内部MOSFETスイッチ903a~903fを使用して、モジュール200からバスバーへの回路接続部の開閉を速やかに行う。フル充電モジュール200cが接続された時点で、より低い充電状態のモジュール200を切断することができる。例えば、モジュール200fが60%であり、他のモジュール200が80%を上回っている場合は、モジュール200fが切断され、他の充電状態が約60%まで減少した時点でのみ再接続される。200。
【0061】
[0089] 少なくともこれらの理由により、筐体100のBOSSモジュール901は、ネットワーク接続されている限り、各モジュール200の充電状態をモニタするように設計されており、何らかの閾値を超えて変化するモジュール200を切断する許可を与える。これにより、フォークリフトは、性能を妨げることなく、動作を続行することができる。特定の24V電池モジュールは、好ましい実施形態で使用されるが、代替の実施形態は、特定のリフトトラックのニーズに応じて、様々な電圧を使用することができる。
【0062】
[0090] システムの200別の重要な特徴は、筐体が空であり、システムが完全に停止している際の事例で説明することができる。筐体ラック100からモジュール200のプラグを引き抜くと、それらは自動的に停止する。空の筐体100では、モジュール200aが挿入されても、BOSSモジュール901の電源が自然に入ることはない。この理由により、好ましい実施形態10は、別個の連続ホット5V制御コネクタ905を有する。モジュール200aが挿入されると、モジュール200aは制御コネクタ905に接続され、それにより、BOSSモジュール901の電源が入る。このプロセスは、車両バス920とは別に、5Vバスで起こる。5Vバスでは電流が非常に低いため、アーク放電のリスクはない。200前述の図は、片側を有する筐体ラック100を描写しているが、好ましい実施形態は、両側に合計で12個のモジュール200を有し、それぞれの側に6つのモジュール200を有する。好ましい実施形態では、定電圧でより高い電流容量を得るために、各筐体100において6つの電池モジュール200が並列接続される。代替の実施形態は、いかなる数の電池モジュールも採用することができる。
【0063】
代替の実施形態
[0091] 以下の項目は、開示されるシステムの代替の実施形態について説明する。
【0064】
リチウムイオン電池モジュールシステム設計
[0092]
図21は、フォークリフト130から分離された、代替の実施形態の再充電可能電池アセンブリ220の立面図を提供する。再充電可能電池アセンブリ220は、8つの取り外し可能及び交換可能な電池モジュール330a~330hを有し、電池モジュール330a~330hは、外部筐体300内に定義される8つの同一モジュールベイ301a~301hのうちの1つに動作可能に挿入される。筐体300は、より大きな電池アセンブリ220の外面を構成し、アセンブリ220の全体的な高さ(
図21でラベル付けされる「H」)、奥行き(これもまた
図3でラベル付けされる「D」)及び幅(すなわち、
図3のシートに垂直な寸法、幅は
図21ではラベル付けされていない)は、フォークリフト130において意図される使用に適したサイズである鉛酸電池160(
図2に示される)の高さ、幅及び奥行きとほぼ同じである。
【0065】
[0093] 代替の実施形態は、8つの取り外し可能な電池モジュール330の受け入れ及び管理を行う容量を有する単一筐体ラック300の形態を有し、電池モジュール330の各々は、互いに交換可能である。
図21は、4つのモジュールのみを示すが、その理由は、代替の実施形態が、背中合わせに位置合わせされた4つのモジュールを含む2つの対称配置を有するためである。その結果、ハンドルは、フォークリフト136の両側の着脱可能なパネルの開口部に露出される。また、これにより、筐体ラックの接続ポイントがたった1つの場所に簡略化される。筐体ラック300は、複数の目的及び利益を提供する。フォークリフト100内の電池モジュール330の収容に加えて、ラックは、取り外すことができ、充電ステーション(典型的には、床置き充電ステーション)として使用することができる。代替の実施形態の筐体ラック300は、金属で構築される。特に好ましい実施形態では、筐体ラック300は、耐久性を提供する鋼で構築される。耐久性の提供に加えて、筐体ラック300を鋼で構築することにより、重量が増し、それにより、1つ又は複数の電池モジュール330を取り外した際の筐体ラック300の転倒を防ぐ上で役立てることができる(特に、筐体ラック300が充電ステーションとして使用される際)。他の材料も企図され、これらに限定されないが、複合体及び重合体を含む。
【0066】
[0094] 以前に説明されたように、フォークリフト電池サイズの寸法を有することに加えて、筐体ラック300の最下面304は、好ましくは、重い重量の材料をそこに取り付けることによって(好ましくは、鋼板をその上に置いた形態で、ただし、筐体300のエンクロージャ内である)、重量調整される。それらの鋼板の追加重量は、アセンブリ220全体の重量を増加し、その結果、フォークリフト130の製造業者が指定する最小電池重量を超える重量を有するようになるが、依然として、取り外し可能なモジュール330の軽量特性(各々は51ポンド未満の重量を有する)が可能である。当業者であれば、このカウンターウェイトが高密度鋼などの重い重量の材料からなり、フォークリフトの安全な持ち上げ能力を最大化するために、ユーザが重心161を操作できるように複数のプレート又はセクションから構成できることが明らかであろう。代わりの実施形態は、これらに限定されないが、調整可能なカウンターウェイトの異なる場所(筐体ラックの上部など)や、筐体ラック及びカウンターウェイトの材料の複数の変形形態を含み得る。筐体ラック300は、カウンターウェイトを調整するために、ラック自体を異なる材料の筐体ラック220と交換できるように設計することができる。
【0067】
[0095] 完全な配置の電池モジュール330より少ない数の電池モジュール330を有する筐体ラック300及びカウンターウェイトによって最小電池重量要件が満たされることが企図される。これは、十分に充電された十分な電池モジュールがない場合に、ユーザが依然としてフォークリフト100を安全に動作できるようにするためである。代替の実施形態は、6~7つのモジュールで重量要件を満たすことができる。他の代替の実施形態は、理想的には、完全な配置に満たないおよそ1~3つの電池330で最小重量要件を満たす。
【0068】
[0096] 筐体ラック300の適度な重量と組み合わせると、代替の実施形態は、従来の鉛酸電池未満の重量を実質的に有する。筐体ラック300が不完全な配置の電池モジュール330を有する状況でさえ、モジュールは、依然として、51ポンド未満の重量を有する。各電池モジュール330又は「パック」には、モジュールの背面にハンドル335が装備される。ハンドル335は、容易につかめること及びモジュールの安全な動きを保証するように設計される。ハンドルの設計並びにモジュール330の取り外し及び設置の機能的な方法については、後続の項目でより詳細に論じる。
【0069】
[0097] 代替の実施形態は、フォークリフト130からの電池モジュールと筐体ラック300の両方の安全な取り外しを可能にしたり保証したりするための他の適応形態を含む。好ましくは、各電池モジュール330の後面にモジュール解放ボタン333があり、モジュール解放ボタン333は、筐体ラック300からモジュール330の安全な係脱を保証し、安全な解放は、機械的な観点から考慮される。電気的係脱は、連結ピン構成で起こる。このボタンについては、以下の項目「筐体ラック及び電池モジュールインタフェース設計」でより詳細に説明する。また、電池モジュールの正面は、電池が能動的に係合されているか又はオフに切り替えられているかを示すインジケータも有する。当業者であれば、このインジケータは、これらに限定されないが、小型のLEDインジケータ、ボタン333の一部として点灯する光、又は、電池の健全性についての他のインジケータも表示する電池パックの正面のLCDディスプレイパネルを含む、様々な代わりの実施形態を取り入れられることが明らかであろう。この代替の実施形態では、LCDディスプレイパネルは、電池の健全性(これらに限定されないが、電圧、温度及び残りの電池使用時間を含む)をモニタするために使用されるインジケータを表示する。
【0070】
[0098]
図21は、別の重要な安全特徴を含む。筐体ラックアセンブリ300の上部のボス225内に位置する、アイフック226がある。筐体ラック300の代替の実施形態は、フォークリフト電池収納部からのラックの容易な取り外し又はフォークリフト電池収納部へのラックの容易な設置のために、筐体ラックの両端部にアイフック226を含む。当業者であれば、このボス225及びアイフック226の構造は、完全な後方互換性を保証するために、従来の鉛酸電池160の設計において現在使用されている既存のアイフック125及び安全な取り外し機構を模倣していることが明らかであろう。この形状は、
図21の表現からの形状とは異なり得る。代わりの実施形態は、フォークリフト130から筐体ラック300を取り外すための異なる方法を利用することができるが、取り外しが安全且つ便利な方法で実施されるように利用される。
【0071】
[0099]
図22は、電池パック接続ポイントが見えるように、筐体ラック300の半分の背面図を示す。この表示面の場所は、
図23のセクション4-4として示されている。筐体ラック300の背面の上部には別のアイフック226がある。電池パック330の背面には、6ピンオスコネクタ400、正極電池端子401及び負極電池端子402が位置し、それらがモジュールの係合及び係脱用の唯一のワイヤ接続ポイントである。各モジュール330内には、複数のリチウムイオン電池セルがある。当業者であれば、様々な数のピンを有する他のコネクタを実装できることが理解されよう。電池モジュール330の外部ケーシングは、硬質の軽量金属から構築される。他の材料も企図され、これらに限定されないが、合金、複合体及び重合体を含む。
【0072】
[00100]
図23は、筐体ラック300の代替の実施形態の等角図である。代替の実施形態は、4つずつの2つのスタック状で背中合わせに配置された8つ(ここでは4つ示されている)の電池モジュール330を有する。筐体300に設置すると、各モジュール330は、低摩擦スライド310の上部に位置し、低摩擦スライド310は、アセンブリ用の筐体300内の対応するベイ307の内外へのモジュール330の滑動を可能にする。また、モジュールに関して以前に説明された特徴は、この図に含まれる。各モジュールの正面はハンドル335を有し、後面は取り外し用のボタン333を有する。ラックのボタンは、ラックから引き出すためにユニットを解放する。パックは、高電流端子への電源の入/切を行うために、ピン連結(最初に接続し、最後に切断するもの)に依存する。ラッチは、接触が緩くならないように電池を適所に保持するためのものである。各モジュールの背面には、6ピンコネクタ400、正極コネクタ401及び負極コネクタ402が見られる。それに加えて、筐体ラック300の正面及び背面には、アイフック226及びボス225が見られる。
【0073】
電池モジュール設計
[00101]
図24A及び
図24Bは、電池モジュール330の等角図であり、個々の電池モジュール及び無摩擦スライド310を示す。
図24Aは、係脱ボタン333とハンドル335の両方とも見えるモジュール330の代替の実施形態の正面を描写する。以前に言及したように、ハンドル335は、モジュール330の持ち運び及び取り外しを安全に行うために使用される。
図24Aから明らかなように、代替の実施形態は、モジュール330の正面の裏側にボルト締めされたハンドルを使用する。当業者であれば、容易に持ち上げられること及び容易につかめることを保証するようにハンドルが配置され、その相対寸法及び場所は、
図24Aに示されるものとは異なり得ることが明らかであろう。ハンドル335は、モジュール全体の重量を運ぶように設計される。
【0074】
[00102] ハンドル335により、ユーザは、引き出しと同様の様式で、筐体ラック300内でモジュール330を動かすことができ、ハンドル335は、硬質の軽量金属から構築される。他の材料も企図され、これらに限定されないが、合金、複合体及び重合体を含む。代わりの実施形態は、個々のモジュール330の背面のハンドル又は側面のハンドルを含み得ることを企図する。これらのハンドルの各々は、電池モジュール330を容易につかめるような方法及びモジュールの安全な動きを可能にする方法で作られる。当業者であれば、代替の実施形態のモジュールに追加されるハンドルは、電池接続ポイント又は電池ラック300の内外への動きを妨げないように表面と平らになるようなヒンジを有し得ることが明らかであろう。
【0075】
[00103]
図24Bは、電池モジュールの背面を描写する。6ピンコネクタ400は、電池の健全性をモニタするために使用されるBSSに直接ワイヤ接続される。最終的に、正極端子401及び負極端子402が同じ複数の電池セルに接続される。正極端子401及び負極端子402は、瞬時解放接続の使用を通じて筐体ラック300に接続される。この瞬時解放接続に対する要件は、高サイクル数を通じて性能を維持できること、電池モジュール330と筐体ラック300をブラインド接続できること、及び、複数の接触ポイントを通じてモジュール330から筐体ラック300に電流を安全に伝達できることである。代替の実施形態は、電池モジュール330が接続されると各電池端子401、402が対応するソケットに摺動されるようにするためのばねバイアス式接続を活用する。他の代替の実施形態は、ブラインド摺動接続及び切断を可能にする同様の瞬時接続を活用することができる。
【0076】
[00104] より大きな筐体ラック300における複数の電池モジュール330の利用の性質により、ラックからのモジュールの取り外し及びラックへのモジュールの設置は、この設計の重要な態様である。代替の実施形態は、各電池パックの下方に位置する低摩擦スライド310を有する。代替の実施形態は、モジュール330を筐体ラック300に配置するために、取り外し及び設置を容易にするためのローラ又はボールベアリングの使用など、この摺動運動を達成するための他の方法を使用することができる。
【0077】
[00105] そのような代替の実施形態では、モジュール330は、ローラベアリングを有する円筒ローラ上を滑動し、無摩擦スライド310と同じ場所にあるモジュールの両側のトラックによって誘導される。この実施形態では、ローラ及びローラベアリングは、軽量金属から構築される。代替の実施形態は、金属以外の異なる材料から構築された様々なタイプのローラベアリング及びローラを採用することができる。設計のあらゆる実施形態が、モジュールがアセンブリの外へ制御不可能に動くことを防ぐための何らかの方法を含むことが企図される。
【0078】
[00106] 電池モジュール取り外しの代替の実施形態は、2つのこと、すなわち、電池が制御不可能に取り外されるのを防ぐための機構を有することと、過剰な数の追加の移動部品を電池モジュール設計に追加しないこととを遂行することが企図される。
図24Aでは、代替の実施形態は、筐体ラック300に接続されたモジュールの両側に位置する2つの止め具603、604を含む。また、モジュール605、606の両側には、2つのタブもある。止め具603、604は、電池が突然滑り出るのを防ぐために、モジュールの後方両側面に沿って電池タブ603、604を捕らえるためのものである。代替の実施形態における取り外しの間の電池モジュール330の動作は、
図24Aにおいて、破線セクション607として示されている。モジュール330は、モジュールの正面のハンドル335をつかみ、矢印608の方向に向けて前方にケースを摺動することによって、筐体ラックアセンブリ300から取り外される。モジュールは、電池タブ605、606が筐体ラックアセンブリ300の止め具603、604と接触するまで、低摩擦スライド310に沿って摺動する。次いで、矢印609の方向に向けて完全に取り外すために、モジュール330を止め具603、604の上に持ち上げなければならない。この代替の実施形態では、設置動作は、取り外しとは正反対の順番のステップを必要とする。
【0079】
[00107] この設計の他の代替の実施形態は、これに限定されないが、モジュールの背面のハンドルによって電池を回転ロッドから離して持ち上げることができるように、電池モジュール330が枢動して下方に90°回転できるようにするための止め具を含み得る。その上、回転ロッドは、好ましくは、筐体ラック300の両側に配置された回転ダンプナに接続される。これらの回転ダンプナは、取り外しの間に電池モジュール330の回転を減速しながらその垂直持ち上げ配向まで到達させ、それにより、電池モジュール330又は筐体ラック300を損傷する可能性を減少させる。企図される代わりの実施形態は、電池の外部の戻り止め又はラッチを含み得るが、それらは、電池の寿命が終わる前に故障しないように実装される。
【0080】
電池セルネットワーク及び電池モジュールの電気設計
[00108]
図25A及び
図25Bは、電池モジュール330の上部及び下部のそれぞれの等角図を示す。各電池パック330は、複数の電池セルから構成され、複数の電池セルは、ワイヤ接合を介して直列及び並列に接続され、最終的には、統合BSS 700に終端する。ワイヤ接合は、Tesla超音波摩擦溶接方法と同様の方法を使用して完成する。集積回路や個別の電子機器などの他の文脈では、ワイヤ接合は広く使用されているが、電池産業界は、今までにないより大きなゲージのワイヤを予示できるようにするワイヤ接合を組み込んだ。両図とも、複数の電池極板701~709を示す。各極板に示される穴は、電池セルを極板にワイヤ接合するために使用される。各穴では、極めて小さなワイヤが極板と電池セルの両方に接合される。次いで、極板は、電池モジュール330の内部を通じて電流を直接伝達するために使用される。極板の使用は、1つの電池セルに機能障害が起こった場合でも、他のセルは依然として極板に接続されているため、電池モジュール330全体が故障するのを防ぐ。
【0081】
[00109] 複数のセルは、
図25A及び
図25Bに示されるような極板701~709の配置によって接続される。電池モジュールの内部の上面には4つの極板(702、704、706、708)が配置され、電池モジュールの内部の下面には、5つの極板(701、703、705、707、709)が配置されている。
【0082】
[00110] 各極板は、正極電池セル配置と負極電池セル配置とを交互に繰り返す。極板702~708の場合、これは、スペースの幾何学的面積のおよそ半分である。代替の実施形態では、これらの内部極板の各々は、50個の電池セルと接触し、その半分は、負極接触子であり、残りの半分は、正極接触子であり、最も負極側の極板及び最も正極側の極板は、その各々が25個のセルと接触する。極板701、709は、電池セルの正極端部(701)又は負極端部(709)のみと接触するため、25個のセルのみと接触する。また、これらの極板は、電池端子又はBSSにも直接接続される。極板701は、BSSに接続され、次いで、BSSは、正極端子401に接続される。極板709は、負極端子402に接続される。代替の実施形態は、200個のLFP電池セルを内包する。代わりの実施形態は、電池セルの配置又は数の変形形態を含み得る。また、これは、代わりの実施形態の極板が代替の実施形態とは異なる数、配置又は幾何学を有し得ることも含意する。
【0083】
[00111] 電池セルを通過する電流の流れは、モジュール330内部を一周進むにつれて、モジュール330の上部と下部とで交互に入れ替わる。電流は、正極端子401から極板701に流れ、極板701は、電池モジュールの下部に位置する(
図25B)。極板701は、正に帯電し、その上方の25個の電池セルの正極端部のみと接触する。これらの電池セルの負極端部は、極板702の負極部分と接触し、極板702の負極部分は、電池モジュールの上部に位置する(
図25A)。極板702の負極部分は、破線セクション702aによって示される。極板702の残りの半分(702b)は、その下方の25個のセルの正極端部と接触する。702aでは、極板は、25個の負極電池セル端部との接点を有し、702bでは、極板は、25個の正極セル端部との接点を有する。その後、極板703の電池セルの負極端部は、極板702の702b部分と正接続を有するものと同じセルである。これらのセルは、極板703と負接続を有する。極板703の残りの半分は、704aの領域に位置する。この領域は、電池セルと正の接点を含む。極板704の領域704bは、そのパターンが続き、極板705との負接続を有する。ここでの極板705の接点は、負である。極板705の残りの半分は正接続され、また、セルは、極板706の領域706aにおいて負接続を有する。領域706bは、上部は正接続され、下部は極板707に負接続される。極板の残りの半分は、正接続され、708aと負接続を有する。電流は、708bの正接続を通過する。電流が負極板709に達する頃には、負電圧が負極端子402から流れる。
【0084】
[00112] 統合BSS 700は、セル電圧、電流及び温度を含むモジュール330の健全性をモニタする。モニタリングに関し、いくつかの実施形態では、電池モジュール330のステータスをモニタする目的で、複数のLED光を有するディスプレイを組み込むことができる。例えば、ディスプレイは、7つのLEDを有し得、そのうちの5つのLEDは、照らされるLEDの数に基づいて、0%~100%の充電範囲で20%ずつ充電ステータスを示す。他の2つのLEDは、照明の色に基づいて及び/又はLEDの点滅の連続若しくはパターンによって、ステータス及びトラブルコードを示し得、異なる点滅の連続又はパターンは、特定のトラブルコードに関連する。その上、各ディスプレイは、押しボタンを組み込むことができ、押しボタンは、特定の電池モジュール330のステータスのクエリを行うために使用することができ、また、ボタンを押す回数によって又はボタンを押し続ける時間によって、電池モジュール330のトラブルシューティングを行うために使用することができる。各図(
図25A~25B)は、BSS 700及び6ピンコネクタ400から電池セルの各セクションまでワイヤ接続された可撓ケーブル710を示す。可撓ケーブル710は、代替の実施形態において、すべての診断器具をワイヤ接続して、温度、電流及び電圧を測定するために使用される。それに加えて、各モジュール330は、適切な電力処理を保証するために、電池セルと直列に配置された電界効果トランジスタ(FET)711を内包する。これらのスイッチは、筐体ラック300からモジュールを取り外すことができる代替の実施形態の態様、並びに、能動的且つリセット可能なヒューズエレメントとしての機能である。FET 711の数は、複数のセルの電力容量に基づき、筐体ラック300からモジュール330を取り外す際、FET 711は、端子に電力が供給されないようにする。代替の一実施形態は、20個のFET 711を有するが、異なる電力容量を有するこの設計の他の代替の実施形態は、当然ながら、異なる数のFET又はその均等物を有する。
【0085】
[00113] BSS 700の代替の実施形態は、リアルタイム電池セル情報を使用し、この情報を基準値セットと比較する。BSS 700は、問題を診断するために、この比較を使用して、個々の電池セル及び複数のセルの異常を決定する。診断情報は、通信ユニットを使用して外部に送信することができる。また、BSS 700は、このリアルタイムデータを使用して、問題を検知した場合に筐体ラック300から電池を電子的に切断することによって、電池動作の間の問題を防ぐことも行う。
【0086】
[00114] 充電の間、BSS 700は、各セルに対する放電深度をモニタし、電圧温度差を補償し、電池セルの均衡が適正に保たれていることを保証する。1つの電池セルが残りの電池よりわずかに多い又はわずかに少ない容量を有する場合は、いくつかの充電及び放電サイクルにわたって、その放電レベルは、他の電池とは異なることになる。BSS 700は、電池の均衡を保ち、過放電、過充電及び深放電を防がなければならない。過放電、過充電及び深放電は、電池モジュールの損傷を引き起こし、最終的には、完全な電池モジュールの故障を引き起こし、安全性リスクを提示し得る。
【0087】
[00115] 代替の実施形態では、コントローラエリアネットワーク(CAN)通信プロトコルは、主要なBSSとして使用される。CANバスは、エラー検出及び耐故障性を有するが、いくつかの大幅な材料コスト及び通信オーバーヘッドを有する。情報の伝送に対しては、様々な通信システムを実装することができる。他の代替の実施形態は、シリアルペリフェラルインタフェース(SPI)、DC-BUS又はローカル相互接続ネットワーク(LINバス)など、産業用伝送インタフェースを使用することができる。代替の実施形態では、CANは、各BSSとインタフェースを取り、電池筐体ラック全体の性能を効果的にモニタ及び制御することができる。これは、電池間性能問題を防ぎ、各モジュールをできる限り効果的に使用する。このように、CANは、各電池モジュールがVCUと個別に相互作用できるようにするというよりむしろ、筐体ラックが単一のユニットとしてVCUと相互作用できるようにする。その上、分離型のCANスキームを実装することができ、それにより、電池モジュールのスタックの「最上部」の電池モジュールとの通信が可能になり、それらの電池モジュールは、スタックの下方の電池モジュールよりいくらか高い電圧である電位に位置し得る。
【0088】
筐体ラック及び電池モジュールインタフェース設計
[00116]
図26は、電池モジュールの上面概略図であり、ラックにおける取り外し及び設置のための機構を示す。電池モジュール330は、外部ハンドル上のボタン333を押すことによって取り外される。ボタン333は、フォークリフトの動作の間、モジュール330が適所にとどまることを保証するためのものである。ボタン333を押すことにより、ばね式オスコネクタ800からの張力が解放され、メスコネクタ801からオスコネクタ800が押し出され、筐体ラック端子802、803から電池モジュール端子401、402が切断される。オスコネクタ800とメスコネクタ801は、最初に係合し、最後に係脱するものである。
図26では、800~803、401、402は、例示のためのシンボル表現である。システムのこの部分の代替の実施形態は、異なるサイズであり、より複雑なものであるが、同じタスクを遂行する。
【0089】
[00117] ラック300のスロット状のベイ307内に取り外し可能な電池モジュール330を設置するため、ユーザは、最初に、電池モジュール330の後面を対応するベイ307の開口部に手で配置し、次いで、そのベイ内に向けて後方に手で摺動する。モジュール330の後面がばね式オスコネクタ800に接触するほど十分に奥までモジュール330を摺動した時点で、コネクタ800は、圧縮し始める。コネクタ800が完全に圧縮した後、モジュール330は適所にロックされる。コネクタ800は、挿入軸に沿った動きが制約されることが企図される。システムは、筐体ラック端子802、803への電池モジュール端子401、402の圧接を達成するためにばね式となっている。オスコネクタ800は、メスコネクタ801内に位置するシステム用オン/オフ機構として機能する後面スイッチを押す。
【0090】
[00118] それに加えて、アーク放電を防ぐために電池モジュールを完全に取り外す前に、筐体ラックから電池モジュールを安全に係脱するというニーズがある。アーク放電は、過電流を招き、適切な予防対策がない場合に電池の破壊をもたらし得る。特に、電池モジュール330が物理的に接続される前に使用可能になり、特に、電池モジュール330がオスコネクタ800に物理的に接続される前に使用可能になり(すなわち、オスコネクタ800に電気的に接続され)、各々の電圧が異なる場合は、コネクタ800とコネクタ801が物理的に嵌合した瞬間、電位を等しくするために瞬時高電流が流れることになる。目標は、電池モジュール330が使用可能になる前に高電流コネクタを嵌合させること、及び、切断する前に電池モジュール330を使用不可能にすることを保証することである。これは、複数の方法を通じて達成することができる。そのような方法の1つは、ハンドルの隣のボタン333を使用して、端子への電力供給を停止するという信号をプロセッサに送信することである。代替の方法は、電池モジュールの背面の感圧スイッチを使用し、電池がコネクタと完全に係合されている場合にのみ、電池をオンに切り替える。スイッチ及び電力コネクタの相対寸法は、スイッチが、電池モジュールが完全に切断される前に係脱するのに十分なだけ電池の背面から突出するようなものである。
【0091】
[00119] 別の代替の方法は、電子信号によるものである。以前に言及したように、電池モジュールは、ピンコネクタと電池端子の両方によって筐体ラックに接続される。電子信号伝達方法は、取り外しプロセスの間、ピンコネクタは切断されるが、電池端子は依然として接続されたままであるように、ピンコネクタが電池端子より実質的に短いことを必要とする。この時点では、電池モジュールは、もはやピンコネクタを介して筐体ラックには接続されていないことを検出し、電池端子が切断される前にそれ自体を瞬時に停止する。当業者であれば、代替の実施形態では、
図26で採用されているもの又は代替の形態として説明されているもの以外の機構を採用できることが理解されよう。機構の目的は、安全性のためであり、特に、アーク放電を防ぐことである。
【0092】
[00120] 代替の実施形態の追加の特徴は、フォークリフト130で使用するように設計された従来の電池アセンブリ160(
図2に示される)を再充電するために使用される先行技術の充電器と互換性を有する電池モジュール330において反映される。実施形態に従ってモジュールに組み立てる際、従来の充電器によって安全に充電することができるリン酸鉄リチウムセルモジュール330の出願人の設計が部分的に原因で、モジュール330の特徴及び構造は、リチウムイオン電池が、倉庫において現在使用され且つ既に設置されている従来のフォークリフト電池160を再充電する充電器によって再充電できるようなものである。
【0093】
充電管理システム統合
[00121]
図26は、代替の実施形態の概略図であり、8つの電池モジュール330a~330hは、それ自体のBSS 901を有する筐体ラック300に並列接続されている。特定のいかなる時点においても、特に、フォークリフト130への電力供給における使用を通じてモジュールの充電がなくなるため、各電池モジュール330は、
図26に記載される電圧数値によって示唆されるように、異なる電圧を有し得る。各モジュールは、電池寿命又は初期充電レベルの差により、異なる初期電圧であり得る。
図26の例では、記載されるように、2つのモジュールは、36.0Vのフル充電電圧を有し、他のモジュールは、より低い電圧を有する。
【0094】
[00122] しかし、BSS 901の制御の場合、1つのモジュールの電圧が他のモジュールの電圧を超えるようなシナリオでは、低い電圧の電池モジュールは、高い電圧のモジュールから低い電圧のモジュールに電流の流れを引き寄せることになる(コネクタ、セル、バスバー及び接合ワイヤの抵抗によってのみ制限される)。大きな電圧差は、低い電圧を有する方の電池モジュールへの高電流の流れを引き起こすことになる。これらの状況は、筐体ラックから外へというよりむしろ、電池モジュール間を電流が流れる際、モータへの電流の流れが低減されるため望ましくない。長時間にわたって高電流が維持される場合又は接合ワイヤの処理能力より高い電流を生み出すほど十分に電圧の相違が大きい場合は、電池を急速に使い果たすか又は接合ワイヤが開放されることにより、電池故障を招く恐れもある。
【0095】
[00123] これらの理由により、筐体ラック300の主要なBSS 901は、ネットワーク接続されている限り、各モジュールの電圧をモニタするように設計されており、0.10Vの閾値を超えて変化するモジュールを切断する。これにより、フォークリフトは、性能を妨げることなく、動作を続行することができる。代替の実施形態は特定のリフトトラックのニーズに応じて様々な電圧を使用することができるため、特定の36V電池モジュールは、一例として使用される。
【0096】
[00124] 電池モニタリングシステムアーキテクチャの他の代替の実施形態は、本発明の範囲内で企図される。一実施形態では、各電池モジュールは、デジタルアイソレータ及びマルチセルバッテリスタックモニタを有するPCボードを内包する。各モジュールは、マイクロコントローラ、CANインタフェース及びガルバニック絶縁変圧器を有するコントローラボードへの独立したインタフェース接続を有する。マイクロコントローラは、フォークリフトの主要CANバスへのゲートウェイを提供し、モジュールを調整することができる。
【0097】
[00125] 別の代替の実施形態では、各マルチセルバッテリスタックモニタ(MBSM)は、各電池モジュール内のPCボード上にある。また、BSSは、CANトランシーバ及びガルバニック絶縁変圧器を内包する。各モジュールは、MBSM非絶縁SPI対応シリアルインタフェースを通じて通信する。この構造は、電池モジュール間に接続される3又は4導体ケーブルを必要とする。たった1つのマイクロコントローラが下部モニタ集積回路を通じてすべての電池モニタを制御する。また、このマイクロコントローラは、フォークリフトの主要CANバスへのゲートウェイとしても機能する。
【0098】
[00126] 別の企図される実施形態は、いずれの電池モジュール内にもモニタ及び制御回路を有さない。1つのPCボードは、3つのMBSM集積回路(3つのモジュール用)を有し、その各々が電池モジュールに接続される。MBSMデバイスは、非絶縁SPI対応シリアルインタフェースを通じて通信することができる。1つのマイクロコントローラは、SPI対応シリアルインタフェースを通じてすべての電池モニタを制御し、フォークリフトの主要CANバスへのゲートウェイである。開示される先行実施形態と同様に、CANトランシーバ及びガルバニック絶縁変圧器がBSSを完成させる。
【0099】
さらなる他の代替の形態
[00127] 前述の開示される実施形態に関して本発明について説明してきたが、この記述は、単なる説明として提供されており、本発明を制限するものと解釈することを意図しない。例えば、クラスIフォークリフトをそのように言及しているにもかかわらず、本発明のいくつかの態様は、他のタイプのバッテリ式産業用トラックでのより広い応用範囲を有し得ることを理解すべきである。現に、前述の説明は、現在企図されている多くのコンポーネント及び他の実施形態について言及しているが、当業者であれば、本明細書では明示的な言及も推奨さえもされていない多くの可能な代替の形態が理解されよう。前述の記述は、現在本発明の最良の様式と見なされているものを当業者が作成及び使用できるようにすべきであるが、当業者であれば、本明細書で言及される特定の実施形態、方法及び例の様々な態様の多くの変形、組合せ及び均等物の存在も理解及び把握されよう。
【0100】
[00128] 従って、本明細書の図面及び詳細な説明は、網羅的ではなく、例示的なものと見なすべきである。本明細書の図面及び詳細な説明は、本発明を開示される特定の形態及び例に限定するものではない。それとは反対に、本発明は、この発明の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者に明白な多くのさらなる変更、変化、再配列、代用、代替、設計選択及び実施形態を含む。
【0101】
[00129] それに従って、あらゆる点において、本明細書の図面及び詳細な説明は、制限するものと言うよりむしろ、例示と見なすべきであり、本発明を開示される特定の形態及び例に限定することを意図しないことを理解すべきである。いずれの場合も、実質的に均等なシステム、物品及び方法はすべて、本発明の範囲内であると見なすべきであり、別段の明確な表示がない限り、すべての構造又は機能上の均等物は、現在開示されているシステム及び方法の精神及び範囲内にとどまることが予測される。