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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】吸引ユニット及び吸引装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/91 20060101AFI20241226BHJP
   B26D 7/18 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
B65G47/91 A
B26D7/18 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022515048
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-07
(86)【国際出願番号】 EP2020074977
(87)【国際公開番号】W WO2021048069
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-07-12
(31)【優先権主張番号】19196589.6
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19208051.3
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20152029.3
(32)【優先日】2020-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522086342
【氏名又は名称】アー オー フォルマフロン スイス アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カラスコ、セザール
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-055439(JP,A)
【文献】特開2005-219922(JP,A)
【文献】特開昭50-118147(JP,A)
【文献】特開昭51-135065(JP,A)
【文献】国際公開第2019/049890(WO,A1)
【文献】特開2006-341346(JP,A)
【文献】特開2013-230537(JP,A)
【文献】特開昭58-141536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/91
B26D 7/18
B25J 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルヌーイの原理によって対象物(P)を吸引するのに適した吸引ユニット(10)であって、前記吸引ユニット(10)は、隣接する吸引プレート(11)を備えた吸引本体(16)を有し、前記隣接する吸引プレート(11)は、前記吸引本体(16)の反対側を向いた前面を有し、また前記吸引ユニット(10)は、複数のエントリ・チャネル(13)を有し、前記複数のエントリ・チャネル(13)を通して、気体媒体が前記吸引本体(16)を通って前記吸引プレート(11)の前記前面へ、偏向チャネル(110)内に導入可能であり、前記偏向チャネル(110)は、一方の側で前記吸引プレート(11)の前記前面によって境界を定められ、他方の側で偏向ユニット(12)の偏向ヘッド(121)によって境界を定められ、又は前記偏向チャネル(110)は、一方の側で前記吸引プレート(11)の前記前面によって境界を定められ、他方の側では、前記対象物(P)が吸引されているとき前記対象物(P)によって境界を定められ、また前記偏向チャネル(110)を通して前記気体媒体は外部に案内可能である、吸引ユニット(10)において、
前記吸引プレート(11)は中央に偏向チャンバ(115)を有し、前記偏向チャンバ(115)は、一方の側で前記複数のエントリ・チャネル(13)に隣接し、他方の側で複数の吸引チャネル(111)に隣接し、前記複数の吸引チャネル(111)は、前記吸引プレート(11)内に陥没し、且つ前記吸引プレート(11)の縁部に向かって延び
前記偏向ユニット(12)が、ピン状の取付け要素(122)を有し、前記ピン状の取付け要素(122)は前記偏向ヘッド(121)に隣接し、且つ取付けチャネル(130B)内に、又は入口チャネル(130)内に保持され、
前記複数のエントリ・チャネル(13)が、前記入口チャネル(130)から分岐し、
前記吸引本体(16)は、一体に構築され、
前記複数のエントリ・チャネル(13)は、前記吸引本体(16)の内部で、前記吸引プレート(11)に向かって外側に傾斜して延び、
前記ピン状の取付け要素(122)は前記取付けチャネル(130B)内に、又は前記入口チャネル(130)内に、ねじなしで、保持されていることを特徴とする、吸引ユニット(10)。
【請求項2】
前記吸引チャネル(111)のうちの少なくとも1つのチャネル断面が、好ましくは前記吸引チャネル(111)の幅は一定で、内側から外側に向かって、好ましくは1.5~10の範囲の倍率で増加すること、又は前記吸引チャネル(111)のうちの少なくとも1つのチャネル断面が、少なくとも前記吸引チャネル(111)のチャネル端部間で、少なくともほぼ一定であること、及び前記吸引チャネル(111)が、対象物ユニット(P)の結合後に、周辺で開かれ又は閉じられていることを特徴とする、請求項1に記載の吸引ユニット(10)。
【請求項3】
前記偏向ヘッド(121)を備えたただ1つの偏向チャンバ(115)、又は少なくとも1つが前記偏向ヘッド(121)を備えた複数の偏向チャンバ(115)、及び複数の吸引チャネル(111)が設けられ、
前記吸引チャネル(111)は、前記偏向チャンバ(115)のうちの1つに、又は前記複数の偏向チャンバ(115)に個々に割り当てられ、且つ前記吸引プレート(11)に直線で陥没し、又は曲線に沿って延びていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の吸引ユニット(10)。
【請求項4】
前記複数のエントリ・チャネル(13)が、互いに規則的な又は不規則な距離で配置されていることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の吸引ユニット(10)。
【請求項5】
1つ又は複数の出口チャネル(14)が、前記吸引本体(16)を通って出口開口部(140)まで延び、前記出口開口部(140)は、前記吸引チャネル(111)の内側、前記吸引チャネル(111)の外側、又は前記吸引チャネル(111)の内側及び外側に分散して、好ましくは規則的に分散して配置され、前記出口開口部(140)を通して、気体媒体が前記吸引プレート(11)の方向に案内可能であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の吸引ユニット(10)。
【請求項6】
弾性材料で作られた前記吸引プレート(11)の少なくとも境界領域が薄板状で柔軟であること、及び/又は
前記吸引本体(16)、前記吸引プレート(11)、吸引バスケット(161)、吸引ベル(6)、前記偏向ユニット(12)及び取付けプレート(168)などの、前記吸引ユニット(10)の部品のうちの少なくとも1つが、アクリルなどの透明な材料で作られていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の吸引ユニット(10)。
【請求項7】
前記吸引本体(16)は前記吸引バスケット(161)に連結され、前記吸引バスケット(161)の内側が、前記吸引プレート(111)に隣接し、又は前記吸引プレート(111)から離間されており、前記吸引バスケット(161)は、チャネル開口部(1610)を有する受容チャネル(1600)を取り囲み、前記チャネル開口部(1610)は、個々の対象物(P)が前記受容チャネル(1600)内に、又は前記吸引バスケット(161)の下側の窪み(1611、1612)内に導入され得るように寸法決めされていることを特徴とする、請求項に記載の吸引ユニット(10)。
【請求項8】
前記吸引本体(16)は前記吸引ベル(6)に連結され、前記吸引ベル(6)は、戻りチャネル(60)によって分離された前記吸引本体(16)を取り囲み、また前記戻りチャネル(60)は、一方の側で、前記吸引ベル(6)を備えた前記吸引バスケット(161)内に通じ、また他方の側で、前記吸引ベル(6)の壁に設けられた、又は前記吸引ベル(6)及び前記吸引本体(16)に連結された前記取付けプレート(168)に設けられた少なくとも1つの出口開口部(1680)内に通じていることを特徴とする、請求項7に記載の吸引ユニット(10)。
【請求項9】
前記吸引バスケット(161)は少なくとも1つの壁開口部(160)を備え、前記壁開口部(160)は、常に開いており、或いはねじ付きスリーブなどの閉鎖要素(3)によって完全に又は部分的に閉鎖され得ることを特徴とする、請求項7又は8に記載の吸引ユニット(10)。
【請求項10】
前記吸引バスケット(161)の前記チャネル開口部(1610)は環状プレート(15)によって取り囲まれており、前記環状プレート(15)は、前記吸引バスケット(161)に対して垂直に又は傾斜して整列され、且つ前記吸引バスケット(161)の反対側を向いた下側に吸引チャネル(115)を有し、前記吸引チャネル(115)は、前記環状プレート(15)内に凹み、且つ一定の又は変化する断面輪郭を有していることを特徴とする、請求項から9までのいずれか一項に記載の吸引ユニット(10)。
【請求項11】
好ましくは円錐状に整列されたセンタリング要素(41、410、42)を有するセンタリング装置(4)が前記吸引バスケット(161)内に設けられ、且つ前記偏向ユニット(12)、前記吸引本体(16)、又は前記吸引バスケット(161)に連結されていることを特徴とする、請求項から10までのいずれか一項に記載の吸引ユニット(10)。
【請求項12】
好ましくは軸対称である前記偏向ヘッド(121)が、前記吸引プレート(11)に面する側に、周方向溝状凹部(120)を有し、前記周方向溝状凹部(120)は、好ましくは、前記偏向ヘッド(121)の縁部に反して丸みを帯びて延びることを特徴とする、請求項から11までのいずれか一項に記載の吸引ユニット(10)。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか一項に記載の少なくとも1つの吸引ユニット(10)を備える吸引装置(1)であって、前記吸引装置(1)は、圧力ポンプ、又はプロペラを備えた送風機などの、気体媒体の流れを生成するための媒体圧力装置(95)を有し、前記気体媒体は、前記吸引ユニット(10)を通して案内可能であり、又は前記吸引ユニット(10)を通して案内可能であり、且つ戻りチャネルを通して前記媒体圧力装置(95)に戻すことが可能である、吸引装置(1)。
【請求項14】
ブロック、円筒、又は円筒セグメントの態様で設計された分配装置(2)であって、複数の、好ましくは均一に分配された吸引ユニット(10)を保持する分配装置(2)が設けられ、前記吸引ユニット(10)には圧縮空気が、少なくとも1つの分配ダクト(20)を通して共同で、又は少なくとも1つ圧力ライン(70A、70B)を通して個別に、供給され得ることを特徴とする、請求項13に記載の吸引装置(1)。
【請求項15】
前記分配装置(2)は複数の受容チャンバ(21)を有し、前記受容チャンバ(21)のそれぞれが、少なくとも1つのチャンバ開口部(210)を通して前記分配ダクト(20)に向かって開いており、また前記受容チャンバ(21)のそれぞれの中に吸引ユニット(10)が配置され、前記吸引ユニット(10)は、前記チャンバ開口部(210)の境界に対して、封止リング(24)によりしっかり封止するように置かれ、且つ係止要素(25)により前記封止リング(24)に解放可能に当接して保持されることを特徴とする、請求項14に記載の吸引装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルヌーイの原理に従って動作する吸引ユニット、及び少なくとも1つのかかる吸引ユニットを備え、これにより対象物、具体的には単独の対象物を作業プロセスからピックアップし、再び解放することができる、吸引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの産業用途、特に食品産業では、所定の寸法の製品又は対象物を、包装するために提供する必要がある。パン、ソーセージ、又はチーズなどの食品は、薄いスライスに分割され、包装されることが多い。他の技術分野では、例えば、ウェーハ、基板、箔、紙、木製ベニヤなど、プレート状の被加工材が生産され、さらなる処理のために供給される。
【0003】
円盤状の対象物は、ピックアップ箇所で丁寧にピックアップされ、そのまま、すなわち変形、損傷、又は汚染なしに、送達箇所に戻されるべきである。したがって、機械式の把持ツールの代わりに、好ましくはベルヌーイの原理に従って機能する吸引装置が使用されることが多い。一方、機械式の把持ツールは、平面を持たない対象物を扱うために使用されている。
【0004】
独国実用新案第202006016833U1号によれば、ベルヌーイ吸引ユニットは通常、軸対称の基部本体で構成されており、基部本体を通って、気体媒体(圧縮空気、不活性ガスなど)が、少なくとも1つのノズルから、持ち上げられるべき対象物の方向に流れる。対象物ユニットと吸引ユニットの基部本体との間の気体媒体は、対象物に当たると、大きい流速で径方向に偏向される。ベルヌーイの式によれば、運動エネルギー及び比圧力エネルギー(specific pressure energy)は常に一定である。したがって、流速の大きいエリアで、これに対応して圧力の低下が生じ、これにより対象物が吸引される。
【0005】
媒体の流れが対象物に当たったときに生じる、吸引力に対抗する圧力を低減するために、既知の吸引ユニットでは、媒体の流れが、対象物に当たる前に径方向に偏向される。プレート状の偏向ユニットは、気体が、環状の間隙を通って径方向に偏向され、横に離れる方向へ誘導されるように、流入する気体の前で保持されている。独国実用新案第202006016833U1号は、プレート状の偏向ユニットが基部本体に一体的に連結された、吸引ユニットを示している。したがって、一体に統合された偏向ユニットを備える吸引ユニット又は基部本体の生産には、非常に費用がかかる。
【0006】
対象物ユニットの外形及び表面の質によっては、空気の流れに乱れ又は乱流が生じることがあり、特定の箇所で吸込ユニットと対象物ユニットとの間の圧力が上昇する可能性があることにも留意されたい。対象物がしっかりと保持されていない場合があり、吸引ユニットから部分的に外れる可能性がある。これは、特に対象物が、大きいサイクル速度で1つずつ搬送され、配置されるべき場合に問題を引き起こし、不適切に配置された対象物を、介入して補正することは不可能である。
【0007】
また、市販のベルヌーイ吸引ユニットの使用は、比較的硬質で軽いパネル状の対象物については、ほとんど問題を引き起こさないことも判明した。一方、不安定な対象物は、損傷するか、又はプロセスが安定したやり方で処理されない危険に曝されている。対象物に力が作用する結果、対象物の寸法が安定せず、また振動して作製される可能性がある場合、例えば、対象物の外形が連続的に変化し、このため、流れ及び対象物に作用する力が変化する。システム全体の制動特性に応じて、具体的には薄くて柔軟な対象物は、安定した処理プロセスを妨げる動的な挙動を示すことになる。独国実用新案第202006016833U1号によれば、従来のベルヌーイ吸引ユニットを使って、機能的に高い信頼性で、薄くて柔軟な対象物を分離することは事実上不可能である。この問題を解決するために、独国実用新案第202006016833U1号には、媒体の流れを対象物ユニットから分離し、開口プレートと吸引ユニットの本体との間に媒体の流れを向ける、開口プレートが装備されている。かかる開口の使用にも欠点がある。開口プレートが装備された吸引ユニットは、一方では、吸引パワーを低下させることができるが、他方では、適切な手間により再び取り除かれ得るものの、汚れ粒子を蓄積しがちである。
【0008】
独国実用新案第202006016833U1号によれば、平らな対象物の取扱いでさえ問題を引き起こす可能性があり、これが、これまで平らでない対象物の取扱いに、他の把持又は保持装置が使用されてきた理由である。
【0009】
既知の吸引ユニットが、保持された対象物を正確に解放しないことにも留意されたい。対象物ユニットを配給するために、媒体の流れが中断され、これにより吸引力が比較的ゆっくりと減少し、対象物が多少迅速に解放される。加えて、対象物は重力によって送達箇所に配置される。これは、送達が、時間、及び必要に応じて場所の点で、正確ではないことを意味している。搬送される対象物の送達が遅れるせいで、これに応じて対象物が搬送されるサイクル頻度も制限される。
【0010】
吸引力を取り除くことで対象物を排出する場合、通常、重力によって、保持された対象物ユニットの周縁が最初に解放され、吸引ユニットから外れることにも留意されたい。柔軟な対象物では、これにより、対象物ユニットが曲がるか、又は転がりさえする可能性がある。制御された送達を可能にするには、吸引ユニットが、吸引が解除される前に、これに応じて送達箇所で位置合わせされなければならない。この問題を回避するために、吸引ユニットは水平に位置合わせされ、送達箇所に近づけられるが、これにより、対象物の取扱いが大幅に制限される。したがって、対象物の整然とした送達を実現させるためには、複雑な動きを実行することができる機械及びロボットが必要となる。対象物を取り扱うプロセスを、これに応じて適合するか、又はこうした種類の取扱いに制限する必要がある。
【0011】
前述のように、従来のベルヌーイ吸引ユニットは、平らな接触が可能なプレート状の対象物だけに使用される。他の対象物については、通常、機械式の把持ツールが使用されるが、把持ツールは度々対象物に損傷を与える。
【0012】
具体的には、非常に精密で、場合によっては細長く薄い対象物をピックアップすることは、ほぼ不可能である。したがって、外科の分野では、処理される組織への衝撃を回避しなければならないが、従来の吸引ユニットは、対象物を操作するのにほとんど適していない。
【0013】
吸引ユニットから放出される気体媒体は、周囲のエリアに乱流を引き起こす可能性があり、貴重な又は敏感な材料に悪影響を与える場合があることにも留意されたい。具体的には、粉末状の材料を、渦巻き状に弾く可能性がある。
【0014】
加えて、ほこりの粒子が吸い込まれる可能性があり、これは、吸引ユニットを汚染し、保守作業を必要とする。
【0015】
既知の吸引ユニットの別の欠点は、動作するために高い空気圧を必要とすることであり、これは、強力なポンプを設ける必要があることを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】独国実用新案第202006016833U1号
【発明の概要】
【0017】
したがって、本発明は、ベルヌーイの原理に従って機能する、改良された吸引ユニットを作製するという目的に基づいている。さらに、少なくとも1つのかかる吸引ユニットを備える、改良された吸引装置が作製され得る。
【0018】
より簡単な基礎本体を備える吸引ユニットを実現することは、可能なはずである。例えば、プレート状の偏向ユニットを不要にすることは、可能なはずである。
【0019】
本発明の吸引ユニットは、任意の寸法及び任意の組成の対象物、具体的には個々の製品ユニットをピックアップし、任意の制御されたやり方で排出することを可能にしなければならない。操作される対象物の損傷又は妨げとなる変形は、回避しなければならない。
【0020】
具体的には、柔軟で柔らかい対象物をピックアップし、制御されたやり方で対象物を送達することが可能でなければならない。さらに、平らでない又は円盤状の対象物を、信頼性高くピックアップし、送達する必要がある。
【0021】
吸引ユニットから対象物を、時間に正確に引き離すことに伴う問題が、回避されなければならない。吸引された対象物が、毎回同じ位置で搬送及び排出され得るように、吸引された対象物の横方向の変位を回避することも好ましい。
【0022】
分離された対象物をピックアップ箇所で適切にピックアップし、大きいサイクル速度で、送達箇所に対象物を送達することが可能でなければならない。
【0023】
使用される気体媒体によって引き起こされる、操作される対象物及び対象物の周囲への悪影響を、回避しなければならない。吸引ユニットの汚染も、回避しなければならない。したがって、吸引ユニットは、困難な環境、特に、器具に高い要求が課せられる手術においても、有利に適用可能でなければならない。
【0024】
吸引ユニットの清掃及び保守を簡単且つ徹底的に行うことが、可能でなければならない。
【0025】
吸引ユニットは高効率で動作できなければならず、したがって、吸引ユニットの動作に必要な空気圧は最小限であり、単純に設計された圧縮空気装置が使用され得る。
【0026】
この課題は、請求項1又は13で言及される特徴を持つ、吸引ユニット及び吸引装置によって解決される。本発明の有利な設計は、別の請求項で定義されている。
【0027】
ベルヌーイの原理に従って、対象物を吸引するよう働く吸引ユニットは、隣接する吸引プレートを備えた吸引本体を有し、隣接する吸引プレートが、吸引本体とは反対側に向く前面(front side)を持ち、且つ吸引ユニットが、少なくとも1本のエントリ・チャネルを有し、気体媒体が、エントリ・チャネルを通り、吸引本体を貫いて、吸引プレートの前面の方へ、偏向チャネル内に導入可能であり、偏向チャネルは、一方の側で吸引プレートの前面によって、もう一方の側で偏向ユニットの偏向ヘッドによって区切られ、又は偏向チャネルは、一方の側で吸引プレートの前面によって、もう一方の側では、対象物が吸引されているときに対象物によって区切られ、偏向チャネルを通って気体媒体が外部に誘導可能である。
【0028】
本発明によれば、吸引プレートが中央に偏向チャンバを持ち、偏向チャンバは、一方の側で少なくとも1本のエントリ・チャネルに隣接し、もう一方の側で複数の吸引チャネルに隣接し、複数の吸引チャネルは、吸引プレート内に陥没し(又は刻み込まれ)、且つ吸引プレートの縁部に向かって延びている。
【0029】
気体媒体は、吸引された対象物によって一方の側面が閉鎖されている吸引チャネルによって、偏向チャンバから外部へほぼ層状に流れることができ、この結果、吸引チャネル内での信頼性が高く乱れのない流れ、及びこれに対応した減圧がもたらされる。吸引チャネルを配置する、すなわち吸引チャネル内での媒体の流れを確実に、ほとんど乱れがないようにすることにより、様々な利点が得られる。
【0030】
吸引チャネルは常に開放状態で維持されているので、比較的低い圧力での大きい媒体の流れが、既に確保されている。したがって、吸引効果を実現させるために、高い空気圧は必要なく、これが、気体媒体の搬送手段として、圧縮空気ユニットの代わりに従来のファンを使用することもできる理由である。
【0031】
吸引チャネルにより、ピックアップされるべき対象物に接近するときに、常に横方向の媒体の流れが確保されている。したがって、偏向チャンバ内、例えば環状の間隙内に製品があるかどうかにかかわらず、大きい媒体の流れ及び対応する圧力低下を確実にする、偏向ユニットの配置は不要である。
【0032】
偏向ヘッドを備えた偏向ユニットは、吸い込まれるべき対象物への接近にかかわらず、偏向チャンバ内で真空が望まれる場合だけに任意選択で使用される。偏向ユニットは、吸引本体に一体的に連結され得るか、又は吸引本体内に挿入され得る。例えば、偏向ユニットの取付け要素が、係留され得る、例えば、押し込まれるか又はねじ込まれ得る、取付けチャネルが設けられている。この場合ユーザは、任意選択で、偏向ユニットを備えた吸引ユニットを後付けすることができる。好ましくは、気体媒体の入口チャネルに連結する取付けチャネルが設けられ、入口チャネルは、偏向ユニットの取付け要素によって閉鎖される。エントリ・チャネルは、取付け要素より上で、入口チャネル内で分岐し、好ましくは、6本のエントリ・チャネルが設けられる。入口チャネルはまた、吸引本体の一部によって互いに分離された、2つの部分に分割され得る。
【0033】
好ましくは軸対称である偏向ヘッドは、吸引プレートに面する側に、好ましくは偏向ヘッドの縁部に向かって丸みを帯びて延びる、周方向の溝状の凹部を持つ。この実施例では、軸対称の偏向ユニットは、回転軸を通る長手方向の断面において、少なくともほぼ錨状の断面を持つ。したがって、媒体の流れは、制御されたやり方で、偏向ヘッドを通って偏向チャネル内に導入される。
【0034】
吸い込まれた対象物は、対象物の表面特性にかかわらず、吸引チャネルに沿って吸引プレートに信頼性高く引っ張られ、所定の場所に固定される。対象物が真空によって吸引チャネル内に保持された後、吸引チャネルの外側を、吸引プレートと吸引された対象物との間を延びるさらなる媒体の流れは、吸引の効果を乱れなく広げることができ、これにより対象物が、表面全体にわたって信頼性高く吸引される。これにより、柔軟で平らな対象物が部分的にしか把持されず、再び外れるのを防止する。
【0035】
好ましくは互いに等間隔に配置され、径方向に、同じ傾斜で又は曲線に沿って延びるよう、吸引プレートの外側に刻み込まれる、複数の吸引チャネルが設けられることが好ましい。最適な結果は通常、3つの吸引チャネルによって実現する。対象物は、3つの吸引チャネルによって信頼性高く固定され、固定された後、吸引チャネルの外側へ延びる媒体の流れが、吸引の効果を発揮することができる。対象物は、吸引チャネルの外側では、移動する媒体の薄い膜によってのみ吸引プレートから分離されており、これが、吸引チャネルの外側で高い吸引力が生じている理由である。
【0036】
吸引チャネルの断面は、吸引チャネルの全長にわたって一定であってもよい。吸引チャネルの断面はまた、例えば、好ましくは2~10の範囲の倍率で、内側から外側に向かって増加又は減少してもよい。チャネルの高さ又はチャネルの深さは、変化してもよく、一定であってもよい。偏向チャンバと隣り合うチャネルの高さは、偏向チャンバの高さに対応することもできるので、偏向チャンバから吸引チャネルへの遷移には段がない。好ましくは、吸引チャネルの幅は一定である。吸引チャネルは、チャネル断面を変化させることにより、偏向チャンバに面する側に小さなチャネル断面しか持たず、これにより、媒体の流れが主に吸引チャネルを通って迂回されるのを防止する。この結果、チャネルの断面が増加し、媒体が、妨げられることなく流れて、吸引の効果を発揮できる。チャネルの断面、吸引チャネルの進路及び設計を変化させることにより、媒体の流れ及び吸引圧力が、操作される対象物に適合され得る。
【0037】
さらに好ましい実施例では、好ましくは互いに等距離に配置され、好ましくは偏向チャンバに入る、複数の、好ましくは6本のエントリ・チャネルが設けられる。好ましくは、エントリ・チャネルのうちの1本は、それぞれ、吸引チャネルを通る流れがより容易に確立され得るように、吸引チャネルに向かっている。
【0038】
エントリ・チャネルは、好ましくは、例えばピラミッドの縁部のように、吸引プレートに向かって外方へ傾斜し、エントリ・チャネルが吸引プレートの前部に達するまで、徐々に中心軸とは反対側へ移る。このようにして、媒体の流れは既に偏向されている。加えて、エントリ・チャネルは、汚染が生じた場合に、清掃が比較的簡単である。エントリ・チャネルは、原則として、曲線に沿って外側に延びてもよい。例えば、任意の形状のエントリ・チャネルを作製するために、直線のチューブ又は曲線に沿って延びるチューブが吸引本体に埋め込まれ得る。
【0039】
エントリ・チャネルの傾斜された配置、又は既に吸引本体内での気体媒体の部分的な偏向は、吸引ユニットが、減圧状態で動作することを可能にし、これが、従来のファンが、圧縮空気ユニットの代わりに気体媒体を運搬する手段としても使用され得る理由である。圧力要件は、より多くの好ましくは均等に分散されたエントリ・チャネルによって、さらに低くすることができる。
【0040】
別の好ましい実施例では、複数の出口チャネルが、吸引本体を貫いて出口開口部まで延在する。出口開口部は、吸引チャネルの内側、吸引チャネルの外側、又は吸引チャネルの内側及び外側に位置する。対象物が排出されるとき、エントリ・チャネルを通る媒体の流れが中断され、これにより吸引効果が低下し、対象物は吸引ユニットから解放される。このプロセスを加速するために、媒体の流れが出口チャネルを通って送出され、対象物を吸引プレートから離れる方向に押す。したがって、配給プロセスは、ミリ秒の範囲の極めて短い時間まで短縮され得る。このようにして、送達は、制御されたやり方で、対象物の任意の位置で、対象物を変形させること、例えば対象物を折ること又はねじ曲げることなく、行うことができる。出口開口部が均一に分配されている場合、これによって、非常に柔軟な対象物でも、1つの平面に整列されて取り出され得ることが、実現し得る。制御ユニットを使って弁を作動させることで、媒体の流れをオン又はオフに切り替えることにより制御され得る、対象物の制御された迅速な排出もまた、対象物がピックアップ場所でピックアップされ、排出場所で再び排出される、サイクル速度を大幅に増加させることを可能にする。
【0041】
さらに好ましい実施例では、吸引プレートは、薄板状で柔軟であるため、吸引された対象物と吸引プレートとの間で生じる負圧の下で変形し、平らで、場合によっては柔軟な対象物に適応することができる。したがって、対象物の不均一性は、これに応じて変形する弾性吸引プレートによって補償され得る。
【0042】
吸引プレートは、吸引本体に一体に連結され得るか、又は吸引本体に連結可能であり、場合によっては、ねじ留め可能である。好ましくは、吸引プレートは、吸引本体に一体的に連結され、周方向の溝によって吸引本体から分離される。周方向の溝(図4参照)は、係止部品(図2eを参照)によって受容チャンバ内に吸引ユニットを保持するのにも役立つことができる。
【0043】
好ましい実施例では、偏向ヘッドの有無にかかわらず、複数の偏向チャンバも設けることができ、複数の偏向チャンバのうちの少なくとも1つは、偏向チャンバと連係する、直線に又は曲線に沿って吸引プレートに凹入された3つ以上の吸引チャネルを持つ。
【0044】
好ましくは、複数の偏向チャンバ、複数の偏向チャンバのうちの少なくとも1つが割り当てられた偏向ヘッド、及び複数の吸引チャネルが設けられる。吸引チャネルは、少なくとも1つの偏向チャンバ又は複数の偏向チャンバに割り当てられ、真っ直ぐに又は曲線に沿って、吸引プレートに凹入される。吸引チャネルは、例えば、1つの偏向チャンバだけに連結され得る。
【0045】
複数のエントリ・チャネルが、好ましくは、各偏向チャンバに割り当てられ、エントリ・チャネルは互いに規則的又は不規則な距離に配置され、吸引本体の内部を延び、吸引プレートに向かって外方へ傾斜している。
【0046】
吸引本体は、単一部品として、又は複数の吸引本体モジュールを有するモジュール式システムとして設計されている。
【0047】
好ましい実施例では、少なくとも吸引プレートの境界は弾性材料でできており、薄板状で柔軟である。
【0048】
上記のように、ベルヌーイの原理に従って動作する従来技術の吸引ユニットは、平らな対象物を保持するためだけに使用されている。食品産業では、具体的には、表面が平坦でない対象物、例えば菓子、果物、及びナッツ、又はこれらの部分品の操作及び穏やかな保持が特に重要である。かかる対象物は、以前は、機械式把持器を使って、把持及び操作されていた。例えば、手術では、周囲の組織との干渉なしに、針及び破片などの小さな対象物を掴む必要がある場合が多い。組織は、具体的には、汚染されてはいけない。さらに、組織の残留物、塵などの不純物の吸引ユニット内への侵入は、回避する必要がある。
【0049】
これらの問題を解決するために、吸引プレートの下流に、必要に応じて、吸引プレートから離れて又は個々の開口部によって吸引プレートから分離されて、吸引バスケットが設けられ、吸引バスケットは、対象物が中に吸引され得る受容チャネルを取り囲む。必要に応じて、吸引バスケットには、チャネル開口部が閉じているときでも媒体の流れを確保する、壁の開口部が設けられる。
【0050】
吸引バスケットにより、気体媒体が、吸い込まれた対象物の周囲を流れる。ヘーゼルナッツなどの不規則な形の対象物が吸い込まれたとしても、気体媒体が大きい流量で吸引バスケットを通って流れ、さらに、対象物をしっかりと保持するために使用され得る真空を作り出す。
【0051】
吸引バスケットが、場合によっては、下記で説明される吸引ベルと組み合わせて使用されると、気体媒体が高速で流れる距離が非常に長くなり、これが、真空が広いエリアにわたって高い効果で実現する理由である。場合によっては吸引ベルと組み合わせて吸引バスケットを使用する場合でも、従来のファンが、圧縮空気ユニットの代わりに、気体媒体を運搬する手段として使用され得る。
【0052】
媒体を、確実に吸引チャネルを通して流し、吸引本体内でエントリ・チャネルを通る媒体の流れの向きを部分的に変えること、及び可能であれば、場合によっては吸引ベルと組み合わせた吸引バスケットを実現することにより、例えば送風機又はファンによって生成される低圧で動作できる吸引ユニットが、確実に実現する。
【0053】
受容チャネルは、個々の対象物を、チャネル開口部を通して受容チャネル内に挿入できるか、又はチャネル開口部の縁部に固定できるように設計された、チャネル開口部を持つ。
【0054】
好ましくは透明な吸引バスケットの寸法、具体的には長さ及び直径、又はチャネル開口部若しくは吸引チャネルのチャネル・エントランスの寸法は、好ましくは、搬送されるべき対象物に適合される。したがって、吸引バスケットは、例えば、円筒形、円錐形、長方形又は多角形の断面の形状を持つことができる。吸引バスケットはまた、該形状の組合せを持ち、例えば、出口側だけが円錐の形状であり得る。吸引チャネルは、形状が規則的、不規則、対称、又は非対称であり得るので、対象物は、任意の位置で、又は特定の位置だけで掴まれ得る。食品業界では、対象物がどの方向に向きを合わせられるかは、問題ではない場合がある。一方、手術又は半導体技術でさえも、対象物の向きが必須になる場合がある。吸引バスケットの長さ及び幅は、対象物が少なくとも部分的に、チャネル開口部又はチャネル・エントランスに入ることができるように選択される。したがって、吸引バスケットの長さは、わずか数ミリメートル又は数センチメートルの場合がある。例えば、吸引バスケットの寸法は、ナッツ、果物、又はこれらの部分品などの食品の対象物に適合される。吸引バスケットが着脱可能に取り付けられている場合、その都度好適な吸引バスケットが取り付けられ得る。外科医は、対応する作業プロセス、ピックアップされるべき組織又はツールに適合された吸引バスケットを選択するであろう。チャネル開口部又はチャネル・エントランスは、好ましくは、ピックアップされるべき対象物の寸法に適合され、例えば、階段状であってもよい。
【0055】
この好ましい設計の吸引ユニットを使って、どんな形状の対象物も穏やかに掴まれ、搬送され得る。
【0056】
吸引バスケットを使用することで、吸引ユニットの効率も向上し、吸引ユニットは、より低い圧力で動作することができる。
【0057】
吸引ユニットの効率は、一方の側が、吸引ベルに設けられた吸引バスケット内に、もう一方の側が、吸引ベルの壁に設けられ得る少なくとも1つの出口開口部に開かれた、戻りダクトによって分離された吸引本体を取り囲む吸引ベルに、吸引本体が連結されているか又は連結可能であることによって、さらに高まり得る。
【0058】
媒体は戻りチャネルを通って戻され、必要に応じて、圧縮空気装置にフィードバックされ、結果として、少なくとも部分的に閉回路になる。回路内の気体媒体は常に移動しているので、気体媒体を運搬するのに必要なエネルギー量はわずかであり、気体媒体は、循環される媒体を運搬する単純な送風機から供給され、媒体の流れを一定に維持することができる。
【0059】
気体媒体の循環も、気体媒体の流動挙動を改善する。乱流及び失速が低減又は回避されるため、流速及び圧力が上昇する可能性がある。
【0060】
吸引ベルを使用すると、吸引ユニットの効率がさらに向上するばかりでなく、さらなる利点も得られる。媒体の制御された再循環は、外科的処置中の対象物の粒子若しくは組織粒子の乱流、又は処理された組織を連れた望ましからざる流れなど、環境への破壊的な影響を防止する。さらに、生産プロセスからの粒子又は不純物が吸引ユニットに入る可能性を、大幅に抑制する。
【0061】
好ましくは、不純物が媒体の流れと共に循環するのを防止するフィルタが、吸引ユニット内に設けられる。
【0062】
吸引バスケットは、好ましくは、吸引プレート若しくは吸引本体及び/又は吸引ベルと一体的に連結されるか、又は任意選択で連結可能である。吸引バスケットは、吸引本体にねじ留めされるか、締まり嵌め又はその他の方法で連結され得る。吸引バスケットは、例えば、吸引本体の雄ねじ上に配置され得る雌ねじを備えた、環状フランジを有する。
【0063】
吸引ベルは、吸引本体又は取付けプレートに連結することができ、一体に若しくはねじで、又はねじ山が付いた要素若しくは差込み式係止要素などの、一体的に形成された連結要素によって、吸引本体又は取付けプレートに連結され得る。このようにして、迅速脱着式留め具が実現され、留め具は、吸引ユニットを清掃するために、或いは操作される対象物に適合された、又は空気ダクトの寸法若しくは循環される空気の流れが適合された、別の吸引ベルを装着するために、吸引ベルの取外しを可能にする。
【0064】
対象物が中央に保持され、吸引ユニットの中心軸に沿って吸い込まれる場合、対象物の吸引が容易である。したがって、吸引ユニットには、好ましくは、吸引される対象物を吸引ユニットの中心軸に対して誘導して、中心に置くように保持することを可能にする、センタリング装置が設けられる。センタリングユニットは、吸引本体、設けられている場合は偏向ユニット、設けられている場合は吸引バスケット、及び/又は予想される場合は吸引ベルに連結され得る。センタリング装置は、吸引本体、吸引バスケット、偏向ユニット、又は吸引ベルと同じ材料でできていてもよい。さらに、センタリング装置は、金属及びプラスチックなどの任意の材料で作られ得る。
【0065】
本発明の吸引装置は、吸引バスケットを備えた、且つ/又は吸引バスケットを備えていない、1つ又は複数の本発明の吸引ユニットを有し、また好ましくは、これにより吸引ユニットが、少なくとも1つのピックアップ場所と少なくとも1つの送達場所との間で移動され得る駆動装置、任意選択でロボットを有する。電気的、油圧的、又は空気圧的に駆動される駆動装置は、好ましくは、吸引ユニットが関与する作業プロセスを自動的に実行できるように、制御ユニットによって制御可能である。制御ユニットをセンサに連結することができ、これにより作業プロセスを監視することができ、プロセスの工程のタイミングを適切に合わせることができる。好ましくは、プロセス又は対象物は、好ましくは完全に又は部分的に透明な吸引ユニットによって保持され、カメラによって監視される。
【0066】
好ましい実施例では、吸引装置は、好ましくは直方体、円筒、又は円筒のセグメントの形態で設計され、好ましくは均一に分配されて配置され、圧縮空気が、少なくとも1つの分配ダクトを通して共同で、又は少なくとも1本の圧力ラインを通して個別に供給され得る、複数の吸引ユニットを保持する、少なくとも1つの分配装置を有する。
【0067】
分配装置は、好ましくは、複数の受容チャンバを有し、受容チャンバのそれぞれが、少なくとも1つのチャンバ開口部を介して、分配チャネルに向かって開いてており、受容チャンバのそれぞれの中に、吸引ユニットが配置され、吸引ユニットは、チャンバ開口部の境界に対して、封止要素、例えば封止リングによって固く封止されている。吸引ユニットは、したがって、要望に応じて、受容チャンバ内に取り付けられ、分配チャネルに連結され得る。好ましくは、受容チャンバに挿入され、吸引ユニットが封止要素に対して押し付けられるように、吸引ユニットの吸引本体に確実に連結され得る、例えばクランプの形態の係止要素が設けられる。係止要素を取り外すか又は引き出すことにより、吸引ユニットのそれぞれが簡単に、取り外し、清掃、再挿入され得る。
【0068】
好ましい実施例では、任意選択で、吸引ユニットのエントリ・チャネル内に、それぞれ第1の分配チャネル又は第1の圧力ラインを通して導入され得る、気体媒体が供給される。
【0069】
さらに好ましい実施例では、気体媒体はさらに、任意選択で、吸引ユニットの出口チャネル内に、それぞれ第2の分配チャネル又は第2の圧力ラインを通して導入され得る。
【0070】
弁は、制御ユニットによって、気体媒体が所望の時間間隔でエントリ・チャネル及び/又は出口チャネル内に選択的に導入されるように制御され得る。好ましくは、制御プログラムは、制御ユニット内に配置され、制御ユニットは、吸引ユニットを移動させる駆動装置、及び対象物を吸引ユニットに結合するか又は吸引ユニットから分離することによる、媒体の流れを制御することができる。
【0071】
吸引本体、吸引プレート、存在する場合、互いに一体に連結されることが好ましい吸引バスケット、及び/又は偏向ユニットは、好ましくは、弾性若しくは透明な材料、又はアクリルなどの弾性且つ透明な材料で作られる。透明な材料を使用することで、吸引ユニットによって吸い込まれた対象物が、目に見える状態で維持され、対象物の状態、対象物の寸法、及び対象物の向きに関して、カメラで監視され得る。カメラからの画像データは、例えば制御ユニットで評価され、必要に応じて、パターンと比較され、これにより欠陥のある対象物が選り分けられ得る。欠陥のある対象物は、例えば、さらに搬送され、吸引圧力を取り除くことによって収集箇所に落下し、且つ/又は圧縮空気を用いて取り出される。
【0072】
吸引本体、設けられている場合偏向ユニット、設けられている場合吸引バスケット、及び/又は設けられている場合吸引ベルは、金属又はプラスチックなどの同じ又は相異なる材料で作られ得る。吸引本体は、例えば、プラスチックで作られてもよく、プラスチック又は金属で作られた吸引バスケット又は吸引ベルに、連結されても又は連結可能であってもよい。
【0073】
本発明は、下記で、図面を参照しながら詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1】切断装置9、及び本発明の吸引ユニット10を備え、駆動装置5によって、切断装置9から供給される対象物を受容するために移動可能である、本発明の吸引装置1を記号的に示す図である。
図2a】切断装置9の一部、並びに吸引ユニット10を備え、これによって分離された円盤状の対象物Pを掴み、送達場所へ搬送することができる、図1の吸引装置1の図である。
図2b】分配装置2内に配置され、制御ユニット8によって、記号的に図示されている制御ライン87を介して制御され得る、少なくとも1つの弁72を介して、圧縮空気が供給され得る、複数の吸引ユニット10を備えた本発明の吸引装置1の図である。
図2c】吸引プレート11及び偏向ユニット12が中に配置され、偏向ユニット12により、供給された気体媒体が吸引プレート11の上で横方向又は径方向に偏向される、吸引ユニット10のうちの1つの拡大図である。
図2d】回転体として設計され、この目的のために、取付け要素122が連結された偏向ヘッド121を持つ、図2cの偏向ユニット12の図である。
図2e】吸引ユニット10のうちの1つを、チャンバ開口部210を介して分配チャネル20に接合されている、分配装置2の受容チャンバ21から取り外した後の、図2aの分配装置2を貫く断面の図である。
図2f】吸い込まれた対象物を部分的に受容できるようにするために、下側が凹状になっている、偏向ヘッド121を備えた偏向ユニット12の図である。
図2g】上面が真っ直ぐであり、径方向に延在する窪み120が設けられている、偏向ヘッド121を備えた偏向ユニット12の図である。
図2h】上面が真っ直ぐな偏向ヘッド121を備えた、偏向ユニット12の図である。
図3a】吸引プレート11を保持するか、又は吸引プレート11に一体的に連結された吸引本体16を持ち、吸引プレート11に、互いに120°だけ変位した、3つの径方向に整列された吸引チャネル111が設けられ、吸引チャネル111内に、出口チャネル14の出口開口部140が配置されている、好ましい実施例における本発明の吸引ユニット10の図である。
図3b図3aの吸引ユニット10の断面図である。
図3c】3つの追加の偏向ユニット12A、12B、及び12Cを備えた、図3aの吸引ユニット10の断面図である。
図3d図3cの吸引ユニット10の断面図である。
図4】エントリ・チャネル13、出口チャネル14、及び出口開口部140が、吸引チャネル111間に位置し、中央穴が仕切り130Cによって、入口チャネル130Aと、図示されている偏向ユニット12の任意選択での取付け用に役立つ、取付けチャネル130Bとに分割されている、吸引本体16を持つ吸引ユニット10の図である。
図5a】薄板状の弾性吸引プレート11を備えた、図3aの吸引ユニット10の図である。
図5b図5aの吸引ユニット10の断面図である。
図5c】好ましくは、断面が全長にわたって少なくともほぼ一定である吸引チャネル111を備えるよう設計された、吸引ユニット10の一部の図である。
図6a】下方に開いた受容チャネル1600を取り囲む、吸引バスケット161が連結された吸引プレート11を備え、入口チャネル130に連結され、受容チャネル1600の縁部領域に直接向けられた、12本のエントリ・チャネル13を備え、偏向ユニットは設けられていない、吸引ユニット10の断面図である。
図6b】偏向ユニット12を設けられ、且つ任意選択で1つ又は複数の壁の開口部160を持ち、下方に開いた受容チャネル1600を取り囲む、吸引バスケット161が連結された、吸引プレート11を備えた、図6aによる吸引ユニット10の断面図である。
図6c】偏向ユニット12に連結され、且つ吸い込まれた対象物Pを、吸引ユニット10又は偏向ユニット12の中心軸xに対して誘導して、中心に置くように保持することを可能にする、センタリング装置4を設けられた、例えば図3aによる吸引ユニット10の図である。
図6d】受容チャネル1600を取り囲む、壁の開口部がない吸引バスケット161を備え、且つ任意選択で図6cに従って設けられる、センタリング装置4が設けられた、吸引ユニット11の図である。
図6e】円錐面に沿って整列され、偏向器要素12によって保持される、3本の等間隔に配置された棒状のセンタリング要素41を持つ、より単純なセンタリング装置4を備えた、図6dの吸引ユニット10の図である。
図6f】円錐面に沿って整列され、一方が偏向要素12によって、他方が吸引バスケット161の出口側の縁部によって保持される、3本の等間隔に配置されたワイヤ状又はロープ状のセンタリング要素41を持つセンタリング装置4を備えた、図6dの吸引ユニット10の図である。
図6g】偏向ユニット12の偏向ヘッド121に、センタリング要素41が装着される取付け要素1211を備えた、図6fの吸引ユニットの図である。
図6h】格子状のセンタリング装置4を備えた、図6dの吸引ユニット10の図である。
図6i】等間隔に配置され、円錐面に沿って整列され、吸引バスケット161の出口側の縁部によって保持された、3本のセンタリング要素41を持つセンタリング装置4を備えた、図6dの吸引ユニット10の図である。
図6j】ブレード状の保持要素4100を有するセンタリング装置4を備えた、フランジ・リング44を保持する保持フランジ1615が装備された、図6dの吸引ユニット10の図である。
図6k図6aから図6jのうちの1つによる、複数の吸引ユニット10を備えた、好ましくはモジュール式に構築された吸引ユニット10の断面図である。
図6l】吸引プレート11を備え、偏向ユニット12又は単に封止ピン122を挿入することができ、且つ任意選択で1つ又は複数の壁の開口部160を持ち、下方に開いた、受容する物品に対応する窪み1611、1612を持つ受容チャネル1600を取り囲む、吸引バスケット161が連結された、図6bによる吸引ユニット10の断面図である。
図7a図6a~図6kのうちの1つによる吸引ユニット10が周状に装備され、これにより対象物Pがピックアップ場所でピックアップされ、送達場所で運搬装置900に送達される、2つの吸引ホイール1A、1Bを備えた吸引装置1の図である。
図7b】対象物Pがここからコンベヤ装置900の搬送ユニット61に送達される、第2の吸引ホイール1Bを備える、図7aの吸引装置1の一部の図である。
図8a】取付けプレート168、吸引本体16、及び吸引バスケット161が連結されている吸引ベル6を備えた、吸引ユニット10の分解図である。
図8b】取付けプレート168内に挿入された吸引本体16と、戻りチャネル60によって分離された吸引本体16を取り囲み、取付けプレート168に連結された吸引ベル6とを備えた、組み立てられた図8aの吸引ユニット10の図である。
図9a】吸引バスケット161によって吸引ベル6に一体的に連結され、壁の開口部160を設けられた、吸引本体16を備えた、図8aの吸引ユニット10の図である。
図9b】組み立てられた図9aの吸引ユニット10の図である。
図10a】取付けプレート168に一体的に連結された吸引本体16を備えた、図8aの吸引ユニット10の図である。
図10b】組み立てられた図10aの吸引ユニット10の図である。
図11a】小さな対象物を把持するための小さなチャネル開口部1610を備えた、円錐形の吸引バスケット161を持つ吸引ベル6を備えた、図10aの吸引ユニットの図である。
図11b】棒状の対象物又は棒状の対象物Pに適合されたスリット状のチャネル開口部1610を備えた、図11aの吸引ユニットを備えた、吸引装置1の図である。
図11c図10aの吸引ユニット10のチャネル開口部1610の拡大図である。
図12a】吸引ベル6の組み立て後、吸引本体16と連結し、壁の開口部160を区切る、複数の分離要素1601を内部に持つ、吸引ベル6を備えた図11aの吸引ユニットの図である。
図12b】組み立てられた図12aの吸引ユニット10の図である。
図13】係止要素69、169を持つ差込み式係止部によって、取付けプレート168に連結可能である、吸引ベル6を備えた図10aの吸引ユニット10の図である。
図14】閉鎖要素69、169を持つねじ式キャップによって、取付けプレート168に連結可能である、吸引ベル6を備えた図10aの吸引ユニット10の図である。
図15】任意選択で偏向ユニット12を備え、下方に開いた受容チャネル1600を取り囲み、上部で吸引プレート11に、底部で下部吸引チャネル115を有するリング・プレート15に連結する、吸引バスケット161を備えた、図6aによる吸引ユニット10の断面図である。
図16】任意選択で偏向ユニット12を備え、下方に開いた受容チャネル1600を取り囲み、上部で吸引プレート11に、底部で下部吸引チャネル115を有するリング・プレート15に連結される、吸引バスケット161を備え、吸引バスケット161は、調整スリーブ3によって覆われ得る複数の壁の開口部160を有する、図6bによる吸引ユニット10の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1は、本発明の吸引ユニット10を備えた、本発明の吸引装置1を記号的に示しており、吸引ユニット10は、駆動装置5によって、切断装置9から供給される対象物をピックアップするよう移動可能である。吸引ユニット10には、好ましくは、送風機95又はポンプから気体媒体の流れが供給される。切断装置9は、超音波変換器92に連結され、枠組み90にヒンジ式に連結されたアクチュエータ99が結合された、ブレード・ホルダ93によって支持された、複数のブレード91を有し、ブレード91はブレード・ホルダ93によって、作業空間内で移動を行い、吸引ユニット10を用いて再びピックアップ、搬送、及び送達することができる対象物を、プロセス材料から分離することができる。吸引装置1及び切断装置9、又はこれらの装置の作業プロセスは、制御ユニット8によって同期して制御される。好ましくは、送風機95又はポンプ95、例えばピストン・ポンプもまた、制御ユニット8によって制御される。
【0076】
図2aは、図1の切断装置9の一部ばかりでなく、吸引ユニット10を備えた本発明の吸引装置1も示しており、吸引装置1を用いて、分離された円盤状の対象物Pを掴み、送達場所へ搬送することができる。ブレード91は、湾曲した結合要素922によって超音波変換器92に連結され、超音波の範囲の周波数の交流電圧が、接続リード921を介して超音波変換器92に供給され得る。ブレード・ホルダ93は、これによって超音波変換器92がねじで取り付けられ得る、取付け装置931を含む。
【0077】
プロセス材料P0、例えばパンは、コンベヤ・ベルト99上に供給され、断片、製品ユニット、又は対象物Pに切断される。対象物Pは、吸引装置1又は吸引装置1の吸引ユニット10によって把持され、保持されて、ピックアップ場所から送達場所へ運搬又は移動され得る。この目的のために、吸引装置1は、取付けリング51によって回転可能に保持される、管状駆動装置5を有する。したがって、ピックアップされた対象物Pは、図示されているピックアップ位置から、例えば下向きに90°だけ、送達位置まで回転され得る。送達位置では、通常、複数の対象物Pが積み重ねられ、コンベヤ・ベルトによってさらに運搬される。
【0078】
図2bは、分配装置2内に配置された、複数の吸引ユニット10を備えた本発明の吸引装置1を示し、制御ユニット8によって、記号的に図示されている制御ライン87を介して制御され得る、少なくとも1つの弁72を介して、圧縮空気が分配装置2に供給され得る。供給ライン71を介して供給される圧縮空気は、分配チャネルを持つ分配装置2を介して、すべての吸引ユニット10に分配される。駆動装置5は、矢印で表され、制御信号81が、駆動装置5を作動させるか、又は吸引ユニット10を任意の所望の経路に沿って移動させ、必要に応じて回転させるために、制御ユニット8から駆動装置5に供給され得る。
【0079】
制御ユニット8は、作業プロセス全体、コンベヤ99、制御信号89によって切断装置9、制御信号81によって吸引装置1、制御信号87によって弁72、及び制御信号86によって、運搬された又は積み重ねられた対象物Pを運び去る、コンベヤ装置900(図7b参照)を制御することができる。
【0080】
図2cは、分配装置2内に挿入された吸引ユニット10のうちの1つの、拡大図を示している。この好ましい実施例では、複数の成形要素113が、分配装置2の下面に設けられ、対象物Pと係合し、横方向の変位を防止できることが分かる。したがって、受容された対象物Pは、より大きな加速度でもしっかりと保持される。好ましくは回転体として設計されている吸引ユニット10は、吸引プレート11、及びこの好ましい実施例では、偏向ユニット12を持つ。
【0081】
図2dは、図2cの偏向ユニット12を示しており、偏向ユニット12は、きのこ状の回転体として設計され、偏向ヘッド121、及び偏向ヘッド121に隣接するピン状取付け要素122を持つ。偏向ヘッド121は、吸引プレート11に向かう側面に、好ましくは偏向ヘッド121の縁部に向かって丸みを帯びて延在する、周方向の溝状の凹部120を持つ。したがって偏向ユニット12は、回転軸を通る断面において、少なくともほぼ錨状の断面を持つ。
【0082】
図2fは、偏向ヘッド121を備えた偏向ユニット12を示しており、偏向ヘッド121の下側は、吸い込まれた対象物P、例えば図6cに記載のナッツを部分的に受容し、中心に保持できるようにするために、凹状になっている。
【0083】
図2gは、偏向ヘッド121を備えた偏向ユニット12を示しており、偏向ヘッド121の上面は真っ直ぐであり、径方向に延在する窪み120が設けられている。
【0084】
図2hは、上面が真っ直ぐな偏向ヘッド121を備えた偏向ユニット12を示している。円形の外向きに延在する偏向チャネル110は、これに応じて偏向ユニット12及び偏向チャンバ115を設計することにより、それぞれの要件に適合させることができる。
【0085】
図2eは、図2aの少なくともほぼ直方体の分配装置2を貫く断面を示しており、分配装置2は、分配チャネル20及び多数の受容チャンバ21を持つ。分配チャネル20は、分離プレート22によって受容チャンバ21から分離されているが、受容チャンバ21ごとにチャンバ開口部210を持つ。したがって、圧縮空気は、分配チャネル20及びチャンバ開口部210を通って、受容チャンバ21内の吸引ユニット10に供給され得る。吸引ユニット10は、チャンバ開口部210の近傍で隣り合う、受容チャンバ21内に簡単なやり方で挿入され得る。封止リング24は、吸引ユニット10の上部に設けられ、チャンバ開口部210の境界にぴったりと合い、圧縮空気が確実に、吸引ユニット10を介してしか流れ出ることができないようにする。吸引ユニット10は、環状溝166で取り囲まれた吸引本体16を持つ。挿入された吸引ユニット10は、挿入された吸引ユニット10の環状溝166に係合し、これにより吸引ユニットを保持するように、適合された開口部を通して受容チャンバ21に挿入される、フォーク状のクランプ25によって、簡単なやり方で固定され得る。したがって、吸引ユニット10は、ハンドグリップを使って緩めて取り外し、例えば、保守作業の後に、再挿入することができる。ストリップ29は、分配装置2の下側に取り付けられ、吸引ユニット10用の貫通開口部290、及び吸い込まれた対象物Pの表面に係合して、対象物Pを所定の場所に固定することができる成形要素113を持つ。
【0086】
したがって、本発明の吸引装置1は、簡単なやり方で製造、組み立て、そしてまた保守することもできる。
【0087】
図3aは、好ましい実施例における本発明の吸引ユニット10を示しており、吸引ユニット10は、互いに120°だけずれた、3つの径方向に整列した吸引チャネル111が設けられた吸引プレート11を保持する、吸引本体16を備えている。
【0088】
図3bは、回転体として設計された、図3aの吸引ユニット10の断面図を示している。吸引プレート11は、吸引本体16に一体的に連結されており、例えばプラスチックで作られ、周方向の環状溝166によって吸引本体16からわずかにオフセットされている。
【0089】
吸引本体16は、回転軸と同軸の入口チャネル130を持ち、入口チャネル130から、複数のエントリ・チャネル13が分岐している。図2dに示された偏向ユニット12が、入口チャネル130が前部で閉じられ、気体媒体又は圧縮空気が、外方へ延在するエントリ・チャネル13を通ってしか吸引プレート11の前部に到達できないように、下から、取付け要素122を入口チャネル130内に挿入される。
【0090】
図4にも示されるように、吸引プレート11は、偏向チャンバ115として機能する、好ましくは円筒形の窪みを持つ。エントリ・チャネル13の出口開口部は、偏向チャンバ115内の、偏向ユニット12の偏向ヘッド121の後ろに配置され、これにより流入する媒体が、偏向ヘッド121の裏側に導入され、ここから偏向チャネル110内に導入され得る。偏向チャネル110は、偏向ユニット12が挿入されている場合、一方の側面は吸引プレート11の前面によって、他方の側面は偏向ヘッド121の後面によって区切られる。偏向ユニット12が挿入されていない場合、偏向チャネル110は、吸い込まれた対象物によって区切られる。気体媒体は、一方では3本の吸引チャネル111を通って、他方では吸引プレート11と吸い込まれた対象物(図示せず)との間を流れ、これに対応する真空をもたらすことができるように、偏向チャネル110を通って径方向外向きに誘導される。
【0091】
吸引チャネル111は、吸引プレート11内で径方向に延在する窪みであり、偏向チャンバ115から好ましくは吸引プレート11の外縁まで延在する。したがって媒体は、対象物Pの吸引後、好ましくは出口側で開いている吸引チャネル111を通って常に確実に流れ出ることができ、また吸い込まれる対象物Pの性質にかかわらず、所望の吸引効果が常に、吸引チャネル111に沿って確保される。
【0092】
好ましくは、複数の均一に分散された吸引チャネル111が設けられる。例えば、径方向外側に延び、互いに120°だけオフセットされた、3つの均等に分散された吸引チャネル111の配置が、とりわけ有利である。
【0093】
好ましくは、複数の均等に分散されたエントリ・チャネル13が設けられる。外方へ傾斜し、互いに60°だけオフセットされた、6本の均等に分散されたエントリ・チャネル13が、とりわけ有利である。この実施例では、エントリ・チャネル13は、対応する数の縁部を備えたピラミッドを画定する。
【0094】
図3bはさらに、出口チャネル14が吸引本体16を貫いて通り、出口チャネル14の出口開口部140が、吸引チャネル111内に配置されていることを示している。
【0095】
圧縮空気は、例示的に、第1の弁72Aを通って入口チャネル130内へ、さらにエントリ・チャネル13内へ、また第2の弁72Bを通って出口チャネル14内へ導入され得ることが示されている。分散配置された弁72A、72Bは、制御ユニット8(図2b参照)によって、制御信号87A、87Bを用いて制御され得ることが、記号的に示されている。したがって任意選択で、圧縮空気を、エントリ・チャネル13を通過させて対象物Pを引き込むか、又は出口チャネル14内に通して、保持された対象物Pを所望の時間間隔で排出することができる。図示されている要素72A、72Bはまた、圧縮空気がこれを通って吸引ユニット10に供給される、単純な連結要素であってもよい。この場合、制御ライン87A、87Bのより簡単な電気配線を可能にする、弁が中央に設けられている。
【0096】
圧縮空気を、出口チャネル14を通して吸引チャネル111内に直接導入することにより、吸引チャネル111で、比較的広いエリアにわたって迅速に圧力を高めることができ、これにより、保持された対象物Pが弾かれる。
【0097】
図3cは、図3aによる中央の偏向ユニット12と同心円状に配置された、3つの追加の偏向ユニット12A、12B、及び12Cを備えた、図3aの吸引ユニット10を断面図で示している。追加の偏向ユニット12A、12B、12Cのそれぞれはまた、入口チャネル130、エントリ・チャネル13、及び偏向チャンバ115と連係する。さらに、吸引チャネル11は、偏向チャンバ115に隣接することができる。しかし、示されている実施例では、吸引チャネル111は、偏向ユニット12A、12B、12Cには直接割り当てられていない。したがって、気体媒体は、偏向ユニット12A、12B、12Cによって吸引プレート11の表面上に向けられ、したがって、吸い込まれた対象物との直接接触を回避する。したがって、中央の偏向ユニット12及び偏向ユニット12の吸引チャネル111は、対象物が高い信頼性で吸い込まれることを保証し、一方、他の偏向ユニット12A、12B、12Cもまた吸引効果を生じさせ、さらに、吸引プレート11との接触を防止する。このようにして、良好な吸引効果を伴いながら、媒体の膜による対象物からの分離が実現され得る。
【0098】
図3dは、図3cの吸引ユニット10の一部の断面図を示している。媒体の流れは、入口チャネル130及びエントリ・チャネル13を通って偏向チャンバ115に入ることができ、環状の偏向チャネル110で径方向外向きに誘導されることが、図示されている。媒体の流れは、偏向チャンバ115から、好ましくは丸みを帯びた表面を通って、層状に、吸引チャネル111に入ることができる。
【0099】
図4は、好適に設計された吸引ユニット10を示しており、吸引ユニット10は、任意選択で、偏向ユニット12を装備することができる。
【0100】
図3bの吸引ユニット10の吸引本体16は、吸引チャネル111間に位置する、出口チャネル14及び出口開口部140が設けられている。出口開口部140を、吸引チャネル111の内側及び外側に配置することも可能である。弁72A、72Bによって制御される、媒体の流れる進路が、記号的に示されている。
【0101】
この図では、吸引チャネル111の断面をはっきりと見ることができる。偏向チャンバ115と隣り合うチャネル入口におけるチャネルの断面は、最小サイズであり、チャネル出口までで5から10倍増加する。かかる進路により、吸引プレート11の直径を増加させ、より大きい、また場合によってはより重い対象物Pを、それでもなおしっかりと保持することが可能である。進路と共に、吸引チャネル111の深さ及び幅の寸法決めは、要求に応じて、対象物Pの特質に適合され得る。断面形状は一定であっても、又は径方向外向きに増加又は減少してもよい。点線は、吸引チャネル111の底部1110、1110*が、偏向チャンバ115の高さが吸引チャネル111の深さにほぼ一致するように、偏向チャンバ115の底部の高さまで下げられ得ることを示している。この場合、偏向チャンバ115から吸引チャネル111への遷移は滑らかであり、気体媒体は、妨げられることなく流れ去ることができる。
【0102】
この好ましい実施例では、吸引本体16は、中間壁130Cによって、互いに完全に分離された2つの部分130A、130Bに分割された、中央穴を持つ。圧縮空気は、概略的に図示されている弁72Aを通って、好ましくは6本のエントリ・チャネル13に分岐される中央穴の上部130A内に導入され得る。中央穴の下部130Bは、偏向ユニット12の取付け要素122が挿入され得る取付け開口部130Bを形成する。
【0103】
下部130Bはまた、偏向ユニット12を使用できないように、完全に塞がれてもよい。別法として、ピンが、取付け開口部130B内に着脱可能に挿入されてもよい。偏向ユニット12が使用されない場合、吸引チャネル111の深さが増加されることが好ましい。
【0104】
任意選択でのみ設けられる出口チャネル14の機能は、図3bを参照して説明されている。
【0105】
図5aは、薄板状の弾性吸引プレート11を備えた、図3aの吸引ユニット10を示している。吸引本体16の直径は縮小されており、受容チャンバ115の直径よりわずかに大きいにすぎない。このため、吸引プレート11は、周状に、吸引力の作用の下で変形し、保持される対象物Pに適合することができる、薄い環状の板で構成される。この目的のために、好ましくは吸引本体16に一体的に連結されている吸引プレート11は、弾性材料で作られている。吸引プレート11はまた、吸引チャネル111が形成又は型押しされた、薄い金属プレートであってもよい。この種類の吸引プレートは、吸引本体16に連結された、中央に配置されたスリーブに連結、例えば接着されるか、ねじ留めされるか、又は押し付けられ得る。
【0106】
図5bは、図5aの吸引ユニット10を断面図で示している。
【0107】
図5cは、薄板状の吸引プレート11を備える、好適に設計された吸引ユニット10の断面図を示しており、吸引ユニット10は、一定のチャネル断面の吸引チャネル111を持つ。
【0108】
したがって、本発明による吸引ユニット10の吸引チャネル111のチャネル断面は、一定であってもよく、又は上記のように変化してもよい。一定又は変化するチャネル断面を持つ吸引チャネル111の、出口及び入口での断面は、特別に選択され得る。偏向チャンバ115に面するチャネル断面は、非常に小さくてもよい。吸引チャネル111の外側端部でのチャネル断面は、変わらなくてもよく、又は減少してもよい。この場合、気体媒体は、吸引チャネルの、吸引プレートの縁部の近くから変位し、吸引プレートと保持された対象物との間を、媒体の薄い膜の形で、流れ出なければならない可能性がある。このようにして、吸引プレートからの対象物の周縁のばたつき又は外れが回避され得る。吸引チャネル111が周方向に閉じた、かかる実施例は、好ましくは、本来備わった安定性が非常に低く、周状に固着されるべき対象物用に提供される。
【0109】
図5cはさらに、偏向ユニット12の偏向ヘッド121の底面と吸引プレート11の前面とが、少なくともほぼ1つの平面に整列していることを示している。このようにして、吸い込まれた対象物Pは、変形できないように平面で支持される。偏向ユニット12はまた、必要に応じて、偏向ユニット12が、例えば、吸引プレート11の前面によって画定される平面から、1ミリメートルの何分の1かずれるように、内側にシフトされ得る。
【0110】
概略的に、偏向ユニット12の取付け要素122は、中央穴130内に取付け要素122を係止するよう働く構成物を持っていることが、さらに示されている。好ましくは、構成物は環状であり、例えば1/10mm~1/100mmの範囲の厚さで取付け要素122を取り囲む。取付け要素122が入口チャネル130内に係止されるように、複数のかかる封止リングが設けられてもよい。
【0111】
図6aは、下向きに開いた受容チャネル1600を取り囲む吸引バスケット161が連結されている、吸引プレート11を備えた吸引ユニット10を、断面図で示している。吸引ユニット10は、図2eによる装置に取り付けられ得る吸引本体16と、入口チャネル130に連結され、吸引バスケット161の内側に対して、外方へ、受容チャネル1600の縁部領域へ向けられる、12本のエントリ・チャネル13とを有する。したがって、好ましくは等しい角度間隔をなして互いに隣り合う、エントリ・チャネル13を通って流入する気体媒体は、吸引バスケット161の内壁に吹き付けられ、大きい流速で下向きに流れる、薄い中空の円筒形の膜を形成する。したがって、これを通って対象物が吸い込まれ得る流れゾーンに、圧力低下が生じる。対象物自体がさらにストリームの流れを外方へシフトし、流れの断面をさらに減少させることが、吸引バスケット161内の流速及び負圧がさらに増加する理由であることに留意されたい。この好ましい実施例では、センタリング装置4も設けられ、これにより、吸い込まれた対象物が中心で維持される。
【0112】
吸引バスケット161の内側には必然的に、薄い流れの速い媒体の膜が形成されるので、偏向ユニット12は、図6aの実施例では任意選択で省かれる。したがって、吸引プレート11は、中央で固く封止され、エントリ・チャネル13用の開口部しかない。
【0113】
図6bは、好ましくは、吸引プレート11を備え、外向きに開いた受容チャネル1600を取り囲む吸引バスケット161が連結された、図3aによる吸引ユニット10を示しており、吸引バスケット161は、この実施例では、壁の開口部160が横方向に設けられている。吸引バスケット161は、吸引本体16に一体的に連結されており、吸引本体16はさらに、前面に吸引プレート11及び偏向ユニット12を持つ。吸引バスケット161の寸法は、好ましくは、対象物Pに適合されている。吸引バスケット161は、例えば、中空円筒形であり、必要に応じて、周状に円錐形であるため、対象物Pをより容易に掴むことができる。他方では、吸引バスケット161はまた、楕円形、長方形、又は多角形の断面を持ってもよい。
【0114】
バスケット開口部160は、好ましくは、図16による吸引ユニット10で例示的に示されているように、閉鎖要素3によって閉鎖可能である。
【0115】
図6a及び図6bの吸引ユニット10は、吸引バスケット161が設けられ、平面を持たない対象物Pを掴んでしっかりと保持するために使用され得る。例えば、ナッツ、例えばヘーゼルナッツが掴まれ、保持され得る。吸引バスケット161の高さは、対象物P又は対象物Pの一部分のサイズに応じて寸法決めされる。好ましくは、媒体の流れが、横方向に流れ出ることができる、重ねられた壁の開口部160の複数の列が設けられている。
【0116】
好ましくは、上記の吸引ユニット10には、吸引バスケット161が設けられている。しかし、少なくとも1本のエントリ・チャネル13を備えた吸引本体16、吸引本体16に強固に又は着脱可能に連結された吸引プレート11、及び偏向ユニット12を持つ従来の吸引ユニットを、吸引バスケット161を備えて提供することも可能である。
【0117】
図6aの吸引ユニット10の吸引バスケット161には壁の開口部がないことにも留意されたい。したがって、この実施例では、対象物がピックアップされるときに、確実に、吸引効果を打ち消すことになる失速が生じない状態で保持されなければならない。これは、具体的には、吸い込まれる対象物の種類によって、並びにセンタリング装置4によって確実になる。
【0118】
しかし、図6bの吸引ユニット10の吸引バスケット161は、様々な高さに、壁の開口部160を持つ。壁の開口部160により、対象物が吸引バスケット161に吸い込まれるときに、確実に失速が生じないようになる。様々な高さの壁の開口部160は、対象物Pが入ると、最上部の壁の開口部160だけが露出されるまで、順次閉じられる。これにより確実に、媒体の膜が可能な限り下へ延び、最適な吸引効果が、やはり可能な限り下へ達する。最上部の3つの壁の開口部160又は壁スロット160だけを開いたままにすることも可能であるが、これは媒体の膜の進路を変える。
【0119】
図6cは、例えば図3aによる吸引ユニット10を示し、吸引ユニット10は、偏向ユニット12に連結され、偏向ユニット12のそれぞれに、吸い込まれた不規則な、例えば丸みを帯びた対象物Pを、吸引ユニット10の中心軸xに対して誘導し、対象物Pを中心で維持することを可能にする、センタリング装置4が設けられている。
【0120】
吸引ユニット10は、さらに、偏向ユニット12を有し、偏向ユニット12によって、センタリング装置4が保持される。センタリング装置4は、好ましくは漏斗状であり、これにより、ピックアップされる対象物が自動的に、漏斗の軸xに向かって上方へ誘導される。空気循環が確実に、中断されないようにするために、開放型又は通気性のセンタリング装置4が使用される。
【0121】
図示されているセンタリング装置4は、円錐に沿って整列された3本のセンタリング要素41を有し、センタリング要素41は、一方の端部で偏向ユニット12によって保持される円錐の先端を形成し、他方の端部で受容リング42によって互いに連結されている。対象物P、例えばナッツは、受容リング42によって、事前にセンタリングすることができ、これにより対象物Pは、この後、偏向ユニット12に対して、センタリング要素41に沿ってより容易に吸引されて、センタリングされ得る。センタリング装置4の効果は、対象物Pが中央に保持され、気体媒体が、傘のように対象物Pの上を流れることができることである。したがって、吸引力を均一に発生させることができ、これにより対象物がしっかりと保持され得る。
【0122】
図6dは、側壁の開口部がなく、受容チャネル1600を取り囲む吸引バスケット161を備え、図6cによるセンタリング装置4が任意選択で設けられた、吸引ユニット11を示している。吸引バスケット161は、気体媒体が確実に、吸引バスケット161の円筒形の内壁に沿って層状に下方へ又は外方へ流れることができるようにし、これにより、均一な円筒形の媒体の流れが強制的に作り出され、この結果負圧が受容チャネル1600の中心に生じ、不都合な形状である対象物Pでさえ確実に、堅実に吸引する。
【0123】
この場合も、センタリング装置4によって、対象物Pが確実に中心に位置し、媒体の膜と接触しないようになる。対象物Pの吸引は、有利なことに、センタリング装置4なしでもやはり成功するが、これにより、対象物Pの信頼性の高い検出には、幾分より長くかかる可能性がある。
【0124】
図6eは、円錐面に沿って整列され、偏向器要素12によって保持される、3本の等間隔に配置された棒状のセンタリング要素41を持つ、より単純なセンタリング装置4を備えた、図6dの吸引ユニット10を示している。保持リング42は不要である。センタリング要素41は、一直線で、整列されている。しかし、好ましい実施例では、センタリング要素は、より広い状況において対象物Pをしっかりと把持できるように、わずかに外方へ曲げられている。
【0125】
図6fは、円錐面に沿って整列され、片側が偏向要素12によって、反対側が吸引バスケット161の出口側の縁部によって保持される、3本の等間隔に配置されたワイヤ状又はロープ状のセンタリング要素41を持つセンタリング装置4を備えた、図6dの吸引ユニット10を示している。センタリング要素41は、一方の端部で偏向要素12又は偏向ヘッド121に係留され、反対側には取付けボール46が設けられており、取付けボール46は、出口側の、吸引バスケット161の縁部の取付け開口部1680に係留されている。
【0126】
図6gは、偏向ユニット12の偏向ヘッド121に、センタリング要素41が装着される取付け要素1211を備えた、図6fの吸引ユニットを示している。
【0127】
図6hは、センタリング要素41として格子棒又は格子ケーブルを持ち、取付けボール46によって吸引バスケット161に係留された、格子状のセンタリング装置4を備えた、図6dの吸引ユニット10を示している。この実施例では、中空円筒形の媒体の流れは、円筒形のバスケットの壁に沿って受容チャネル1600内を下方へ延び、バスケットの中心軸の領域に真空を生成し、センタリング装置4に対して、中心軸に沿って対象物P、例えばナッツが誘導されることが図示されている。
【0128】
図6iは、円錐面に沿って整列され、吸引バスケット161の出口側の縁部によって保持され、中心軸xに向かって端部が傾斜している、3本の等間隔に配置されたセンタリング要素41を持つセンタリング装置4を備えた、図6dの吸引ユニット10を示している。センタリング要素41は、対象物Pが、吸引バスケット161の内壁に対して誘導されて再び排出されることがないのを確実にする、開放型の漏斗を形成している。
【0129】
図6jは、ブレード状の保持要素4100を有するセンタリング装置4を備えた、フランジ・リング44を保持する保持フランジ1615が装備された、図6dの吸引ユニット10を示している。このセンタリング装置4は、有利なことには、より軽く、寸法的にあまり安定していない対象物を保持するのに使用され得る。より短い吸引バスケット161を使用することも可能である。フランジの連結は、図6iの実施例でも使用され得る。
【0130】
図6kは、図6aから図6jのうちの1つによる、偏向ユニット12、12A、12B、12C及び吸引バスケット161、161A、161B、161Cがそれぞれ設けられた複数の吸引ユニット10を備えた、好ましくはモジュール式の吸引ユニット10を断面図で示している。各吸引バスケット161、161A、161B、161Cでは、好ましくは、対象物Pを最適に把持し、中心に置くために、要望に応じて構成され得る、センタリング要素41、42を備えたセンタリング装置4が設けられる。
【0131】
この吸引ユニット10は、複数の対象物Pを、同時にピックアップして配給することを可能にする。対象物Pは、多くの場合、特定のグリッドでピックアップし、且つ/又は必要に応じて中間製品又は包装の方へ、再度送達する必要がある。中間製品及び包装は変わることが多いので、モジュール式であり、要望に応じて組み立てられ得る本発明の吸引ユニット10が、本発明に従って実現されることが好ましい。例えば、きつく、緩く、さもなければ任意選択で互いにねじ留めされて、互いに連結される、吸引本体モジュール100が実現される。吸引本体モジュール100は、該当する場合、LEGO(登録商標)モジュールのやり方で組み立てられ得る、1つ又は複数の偏向ユニット12及び吸引プレート11が設けられる。このようにして、ロボットの吸引ヘッドは、例えば、中間製品及び包装に任意に適合され得る。吸引ヘッドが、例えば、格子内で掴み、準備されたチョコレートの中に挿入することを可能にする、吸引ユニットに組み付けられる。吸引ユニット10は、例えば、製造プロセス中に、単一の動作でチョコレートに複数のナッツを装填できるように設計されている。
【0132】
図6lは、偏向ユニット12又は単に封止ピン122が挿入されるべき、且つ吸引バスケット161が連結される、吸引プレート11を備えた、図6bによる吸引ユニット10の断面図を示す。吸引バスケット161は、任意選択で、1つ又は複数の壁の開口部160を持ち、対象物を受容するための対応する窪み1611、1612を持つ、下方に開いた受容チャネル1600を取り囲む。例示的に、長方形の対象物が、凹み1611、1612内に受容され得ることが示されている。例えば、最初に対象物が上側の凹み1612内に受容され、続いて対象物が下側の凹み1611内に受容される。受容チャネル1600が対象物のうちの1つによって閉じられている限り、媒体の流れは、壁の開口部160を通って流出することができ、これにより、吸引圧力を維持する。窪み1611、1612の数及び設計は、要望に応じて選択され得る。
【0133】
上記の吸引ユニット10又は吸引ユニット10の集合体には、好ましくは、吸引チャネル111が設けられている。具体的には、吸引バスケット161が設けられた吸引ユニット10又は吸引ユニット10の集合体の場合には、該吸引チャネル111も不要となり得る。
【0134】
したがって、吸引ユニット10の様々な実施例の特徴は、要望に応じて組み合わせることができる。したがって、図6a~図6lによる吸引ユニット10は、吸引チャネル111の有無にかかわらず、有利に実現され得る。これらの設計では、吸引プレート11は、通常、それぞれ使用されるセンタリング装置4によって対象物Pから分離されていることに留意されたい。
【0135】
任意選択で設けられるセンタリング装置4は、全体的に又は部分的に、金属又はプラスチックで作ることができる。部品は、堅固な又は弾性の設計にすることができるが、例えば成形によって、対象物Pがセンタリング装置4内で詰まらず、問題なしに再び解放できるように、配慮する必要がある。
【0136】
図7aは、図6aから図6kのうちの1つによる吸引ユニット10が周状に装備され、これにより対象物Pがピックアップ場所でピックアップされ、送達場所で運搬装置900に送達される、2つの吸引ホイール1A、1Bを備えた吸引装置1を示している。第1の吸引ホイール1Aは、容器Bから対象物P、例えばナッツをピックアップし、対象物Pを転送場所に運搬し、転送場所で第2の吸引ホイール1Bへの転送が行われ、吸引ホイール1Bは、ピックアップされた対象物Pを送達場所に搬送し、送達場所で対象物を運搬装置900に送達する。各吸引ユニット10への圧縮空気の供給は、好ましくは、複数の吸引チャネル200A、200Bによって個別に制御可能であり、したがって対象物Pは、1つの吸引ユニット10によってピックアップすることができ、同時に対象物Pは、また別の吸引ユニット10によって送達することができる。各吸引ユニットには2本の圧力ラインを供給することもでき、第1の圧力ラインはエントリ・チャネル13に、第2の圧力ラインは出口チャネル14に連結される。転送箇所HOでは、対象物Pが排出される第1の吸引ホイール1Aの吸引ユニット10と、対象物Pを吸い込む第2の吸引ホイール1Bの吸引ユニット10とが、互いに向かい合って位置している。
【0137】
吸引ホイール1A、1Bの駆動装置5A、5B及び吸引チャネル200A、200Bの弁72の制御は、制御ユニット8によって、制御信号81A、81B、87A、87Bを用いて実行される。搬送装置900は、制御信号86によって、吸引ホイール1A、1Bと同期して制御される。
【0138】
制御ユニット8は、装置ユニット1A、1Bを同期制御するために、又は透明な吸引ユニット10によって保持される対象物Pの位置及び品質をチェックするために、好ましくは、センサSM、典型的には光学センサ又はカメラから放射されるセンサ信号Sを処理する。
【0139】
図7bは、第2の吸引ホイール1Bを備える、図7aの吸引装置1の一部を示しており、第2の吸引ホイール1Bから対象物Pが、送達位置で、コンベヤ装置900の搬送ユニット961に送達される。搬送ユニット61は、チェーン963によって運搬される取付けプレート962に取り付けられている。前面では、取付けプレートが取り外されている。搬送ユニット961は、2つの部分で形成されており、開閉することができる。図7bの右側には、搬送ユニット961が中に引き込まれて閉じられるチャネルが示されている。搬送された対象物Pが、確実に、時間に正確に配給され、吸引ユニット10又は吸引ユニット10の吸引バスケット161内に一時的に留まらないようするために、好ましくは、記号的に示されている空気パルスが、分配箇所で出口チャネル14内に導入される。
【0140】
図1はさらに、図面を参照して上記で説明されたように、吸引ユニット10が、少なくとも1本のライン950を通して、媒体圧力装置95、送風機、又はポンプから、圧縮空気を供給されることを示している。すべての本発明の吸引装置1及び吸引ユニット10は、プロペラを有する送風機95を用いて、有利に動作することができる。入口チャネル130及び/又は入口チャネル130に連結されたエントリ・チャネル13の直径の減少は、逆説的だが、吸引ユニット10の吸引パワー又は吸引力を増加させ得ることが示されている。ポンプの代わりに送風装置を使用すると、吸引装置1のコストが大幅に削減される。必要に応じて、2つ以上の送風機を直列に連結して、圧力を高めることができる。
【0141】
適合された入口チャネルを備えた本発明の吸引ユニットは、1バールの範囲の中位の圧力で、早くも動作することができる。したがって、高価なピストン・ポンプの使用を回避することができる。
【0142】
連結された送風機95又は送風機ユニットの集合体と併せて上記で説明された、吸引ユニット10のうちの1つの最適な吸引パワーを選択するために、送風機95に連結された入口チャネル130及び/又はエントリ・チャネル13の直径は、最大重量の対象物Pが取り込まれ得るまで変更される。とりわけ有利なことに、送風機95は、図6a~図6jに示された吸引ユニット95と組み合わせて使用され得る。入口チャネル130及び/又は入口チャネル130に隣接するエントリ・チャネル13を最適化することにより、確実に、吸引プレート11及び内壁に沿った空気の流れが層流になり、これに対応して高い負圧が生じ得る。好ましい実施例では、吸引プレートと吸引バスケットの内壁との間に、曲線に沿って、場合によっては円形の線に沿って延びる遷移部が設けられる。
【0143】
図8aは、吸引本体16、取付けプレート168、及び吸引バスケット161が連結された吸引ベル6を備えた、吸引ユニット10の分解図を示している。この実施例では、吸引本体16は、ねじ又はボルト167によって取付けプレート168に連結可能である。取付けプレート168は、転送チャネル1683を持ち、吸引本体16上に形成され、取付けチャネル130に連結するノズル165が、転送チャネル1683内に挿入され得る。さらに、取付けプレート168は、出口開口部1680を持つ。
【0144】
ねじ又はボルト167によって取付けプレート168に連結することもできる吸引ベル6は、吸引本体16が挿入され得るベル・チャンバ600を持つ。吸引チャネル1600を取り囲む吸引バスケット161は、吸引ベル6の下側に隣り合っている。したがって、吸引バスケット161は、吸引本体16又は吸引ベル6に一体的に連結されているか、又は連結可能であり得る。
【0145】
図8bは、取付けプレート168内に挿入された吸引本体16と、戻りチャネル60によって分離された吸引本体16を取り囲み、取付けプレート168に連結された吸引ベル6とを備えた、組み立てられた図8aの吸引ユニット10を備えた、吸引装置1を示している。吸引本体16は、取付けプレート168だけに連結され、吸引プレート11が環状スロット1616だけによって吸引バスケット161から分離され、また要望に応じて寸法決めされ、吸引本体16を環状に取り囲む戻りチャネル60だけが、吸引ベル6の内壁と吸引本体16との間で、空いている状態で維持されるように、ベル・チャンバ600内に広がっている。
【0146】
したがって媒体Lは、空気圧装置又は媒体圧力装置95から、吸引ユニット10を通って循環することができ、これにより、吸引バスケット161内に負圧が生じる。媒体圧力装置95から排出された媒体Lは、吸引本体16の入口チャネル130及びエントリ・チャネル13を通って偏向ヘッド12へ延び、ここで偏向チャネル110(図3d参照)を通り、吸引プレート11を経由して、環状スロット1616、戻りチャネル60、及び少なくとも1つの出口開口部1680を通って、媒体圧力装置95に戻るよう誘導される。汚れ粒子は、循環回路内、好ましくは送風機95内に設けられたフィルタFで、媒体の流れから除去され得る。
【0147】
媒体が循環するおかげで、媒体圧力装置95に、わずかなエネルギーしか供給する必要がなく、どんな外部媒体Lxもほとんど供給する必要がない。吸引装置1及び吸引ユニット10は、最大の効率で作動する。同時に、媒体Lは外部に供給されないため、作業プロセス及びプロセス材料への望ましからざる影響を回避する。吸引ベル6はまた、吸引ユニット10を取り囲んでおり、これが、異物が吸引ユニット10にほとんど侵入できない理由である。これはとりわけ、チャネル開口部1610が、吸い込まれるべき対象物Pに適合されている場合に当てはまる。
【0148】
吸引装置1は概略的に示されており、手動で、ロボットによって、又は別の駆動装置によって動かされる、ツールとして設計され得る。
【0149】
図9aは、吸引本体16を備えた、図8aの吸引ユニット10を示しており、吸引本体16は、この実施例では、吸引バスケット161によって吸引ベル6に一体的に連結されている。吸引バスケット161は、吸引本体16と吸引ベル6の壁との間にスリット状の壁の開口部160が設けられ、気体媒体は、壁の開口部160を通り、戻りチャネル60を通って、出口開口部1680に戻るよう誘導される。
【0150】
図9bは、組み立てられた図9aの吸引ユニット10を示している。吸引本体16及び吸引ベル6の一体での生産により、吸引ユニット10を、より費用対効果が高く且つより正確に、製造することができる。
【0151】
図10aは、取付けプレート168に一体的に連結された吸引本体16を備えた、図8aの吸引ユニット10を示している。図10bは、組み立てられた図10aの吸引ユニット10を示している。吸引本体16及び取付けプレート168の一体での生産により、吸引ユニット10を、費用対効果が高く且つ正確に製造することができる。
【0152】
図11aは、小さな対象物を把持するための小さなチャネル開口部1610を備えた、円錐形の吸引バスケット161を持つ吸引ベル6を備えた、図10aの吸引ユニットを示している。したがって、吸引バスケット161は、どんな形状であってもよく、作業環境に有利に適合され得る。吸引バスケット161はまた、偏って又は凹状に下向きに先細であり得る。吸引バスケット161は、断面が、例えば、回転対称又はほぼ楕円形であり得る。
【0153】
図11bは、棒状の対象物Pに適合されたスリット状のチャネル開口部1610を備えた、図11aの吸引ユニットを備えた吸引装置1を示している。この適合により、対象物Pを、吸引圧力が高い状態で、作業エリアからさらに粒子が吸い込まれることなしに、滞りなく掴むことができる。吸い込まれた対象物が、適合されたチャネル開口部1610を閉じる。吸引ユニットの高い効率により、吸引ユニット10を通して媒体を駆動する、費用対効果が高くエネルギー効率の良い送風機95の使用が可能となる。手持ちツールとして設計される吸引装置1は、例えば、組織又は外科用ツールを操作する、外科的な諸目的に使用され得る。
【0154】
図11cは、チャネル開口部1610を拡大図で示している。
【0155】
図12aは、内部に、吸引ベル6の組み立て後に吸引本体16と連結し、壁の開口部160を区切る複数の分離要素1601を持つ、吸引ベル6を備えた図10aの吸引ユニットを示している。図12bは、組み立てられた図12aの吸引ユニット10を示している。この実施例では、吸引ベル6は、要望に応じてサイズ決めされた壁の開口部160を備え、容易に製作され得る。セパレータ1601は、壁の開口部160を狭く画定するために広く形成されてもよく、又は壁の開口部160を広く画定するために狭く形成されてもよい。
【0156】
図13は、対応する係止要素69、169を備えた差込み式係止部によって、取付けプレート168に連結され得る、吸引ベル6を備えた図10aの吸引ユニット10を示している。図14は、対応する閉鎖要素又はねじ山が付いた要素69、169を備えたねじ閉鎖部によって、取付けプレート168に連結され得る、吸引ベル6を備えた図10aの吸引ユニット10を示している。これらの吸引ユニット10は、保守作業を行うために、容易に組み立てられ、再び開けられ得る。
【0157】
図15は、図6aに従うが、任意選択で偏向ユニット12を備える、吸引ユニット10を断面図で示しており、吸引ユニット10は、下方に開いた受容チャネル1600を取り囲み、上部で吸引プレート11と、底部で下部吸引チャネル151を持つリング・プレート15と連結する、吸引バスケット161を備えている。
【0158】
図16は、図6bに従うが、任意選択で偏向ユニット12を備える、吸引ユニット10を断面図で示しており、吸引ユニット10は、下方に開いた受容チャネル1600を取り囲み、上部で吸引プレート11に、底部で下部吸引チャネル151を持つリング・プレート15に連結される、吸引バスケット161を備えている。吸引バスケット161は、閉鎖要素3、好ましくは調整スリーブ3によって完全に又は部分的に覆われ得る、壁の開口部160を持つ。吸引本体16を取り囲む調整スリーブ3は、好ましくは、吸引本体16の外側の雄ねじに対応する雌ねじを持つ。したがって、ねじ山が付いたスリーブは、壁の開口部160を閉じるために、必要に応じて容易に回転させることができる。したがって、吸引ユニット10は、要求に応じて、収容されるべき対象物に適合され得る。
【0159】
したがって、吸引バスケットを装備したすべての吸引ユニットが、偏向ユニット12を装備していても、装備していなくてもよい。偏向ユニット12が設けられていない場合、気体媒体がこれを通ってエントリ・チャネル13に分配される入口チャネル130は、分配箇所より下で閉じられる。吸引本体16は、入口チャネル130を一体的に閉じてもよい。別法として、偏向ユニットが取り付けられていない場合、入口チャネル又は取付けチャネル130は、任意選択で、ピンによって閉じられてもよい。
【0160】
図15及び図16の吸引ユニット10のリング・プレート15は、吸引バスケット161のチャネル開口部1610と隣接しており、これにより、制御されたやり方で、吸引バスケット161内に、又は吸引バスケット161の縁部若しくはチャネル開口部1610に、対象物をピックアップすることができる。吸引ユニット10が対象物上に下ろされると、対象物は、リング・プレート15、又はリング・プレート15の下面に沿った媒体の径方向の流れによって中心に維持され、制御されたやり方で垂直に持ち上げられ得る。下部吸引チャネル151はやはり、対象物が接触され、吸い込まれているときに、媒体の流れを確実に一定にする。吸引チャネル115はやはり、ピックアップされるべき対象物に適合された断面積又は断面形状を持つ。センタリング装置4は、任意選択で、ピックアップ・チャネル1600内で、例えば、4本の糸又はワイヤを設けられ、これにより、対象物が中心に保持され得る。
図1
図2a
図2b-2c】
図2d
図2e
図2f
図2g
図2h
図3a
図3b
図3c
図3d
図4
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図6g
図6h
図6i
図6j
図6k
図6l
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a
図9b
図10a
図10b
図11a
図11b-11c】
図12a
図12b
図13
図14
図15
図16