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特許7611260システム、コンタクトデバイス、およびコンタクトデバイスを製造するための方法
<図1>
  • 特許-システム、コンタクトデバイス、およびコンタクトデバイスを製造するための方法 図1
  • 特許-システム、コンタクトデバイス、およびコンタクトデバイスを製造するための方法 図2
  • 特許-システム、コンタクトデバイス、およびコンタクトデバイスを製造するための方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】システム、コンタクトデバイス、およびコンタクトデバイスを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/009 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
A61F9/009
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022550945
(86)(22)【出願日】2021-02-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 EP2021054575
(87)【国際公開番号】W WO2021170664
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2024-02-26
(31)【優先権主張番号】102020105335.5
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502303382
【氏名又は名称】カール ツアイス メディテック アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】プロイス、ディルク
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルト、アンドレアス
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-538537(JP,A)
【文献】特開2019-041999(JP,A)
【文献】米国特許第7244026(US,B1)
【文献】特開平3-289956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/009
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
眼科レーザー治療システムのレーザーアプリケータに対する患者の眼の相対的な幾何学的位置および向きを固定するためのコンタクト要素(40)と、
前記コンタクト要素(40)に挿入するためのレンズ要素(10)と、を備え、
前記コンタクト要素(40)は、所定の位置において前記レンズ要素(10)を受容するように構成され、
前記レンズ要素(10)は、患者の眼に接触するため、または前記レンズ要素(10)と患者の眼との間の空洞の気密境界を形成するための眼用表面(30)を含み、
前記レンズ要素(10)は、接着剤を使用することなく、スナップ動作連結によって前記レンズ要素(10)を前記コンタクト要素(40)内に固定するために、前記コンタクト要素(40)の1つまたは複数の保持要素(42-47)と下から係合するための少なくとも1つの突起要素(25)を含み、
前記レンズ要素(10)は、前記眼用表面(30)に面する前記突起要素(25)の下側に形成されたレンズ接触面(15)を含み、
前記レンズ要素(10)および前記コンタクト要素(40)は、前記少なくとも1つの突起要素(25)および前記1つまたは複数の保持要素(42-47)によって、前記レンズ接触面(15)が、前記コンタクト要素(40)の固定面(49)上に配置された弾性補償要素(50)であって、前記1つまたは複数の保持要素(42-47)によって前記レンズ要素(10)に作用する力を低減させるように機能する前記弾性補償要素(50)に抗して押圧されるように、前記レンズ要素(10)が前記スナップ動作連結によって前記コンタクト要素(40)内に固定可能であるように構成される、システム。
【請求項2】
前記レンズ要素(10)および前記コンタクト要素(40)は、補償要素(50)が前記レンズ要素(10)の光軸(20)の周りの全てに配置されるように、前記レンズ要素(10)が前記コンタクト要素(40)内に固定可能であるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
補償要素(50)は、前記レンズ接触面(15)と前記固定面(49)との間の領域を気密に封止するように構成される、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
眼科レーザー治療システムのレーザーアプリケータに対する患者の眼の相対的な幾何学的位置および向きを固定するためのコンタクトデバイス(5)であって、
前記コンタクトデバイス(5)は、コンタクト要素(40)およびレンズ要素(10)を含み、
前記レンズ要素(10)は、接着剤を使用することなく、スナップ動作連結によって前記コンタクト要素(40)に確実に連結され、
前記レンズ要素(10)は、患者の眼に接触するため、または前記レンズ要素(10)と患者の眼との間の空洞の気密境界を形成するための眼用表面(30)を含み、
前記レンズ要素(10)は、接着剤を使用することなく、前記スナップ動作連結によって前記レンズ要素(10)を前記コンタクト要素(40)内に固定するために、前記コンタクト要素(40)の1つまたは複数の保持要素(42-47)と下から係合するための少なくとも1つの突起要素(25)を含み、
前記レンズ要素(10)は、前記眼用表面(30)に面する前記突起要素(25)の下側に形成されたレンズ接触面(15)を含み、
前記レンズ要素(10)は、前記少なくとも1つの突起要素(25)および前記1つまたは複数の保持要素(42-47)によって、前記レンズ接触面(15)が、前記コンタクト要素(40)の固定面(49)に配置された弾性補償要素(50)であって、前記1つまたは複数の保持要素(42-47)によって前記レンズ要素(10)に作用する力を低減させるように機能する前記弾性補償要素(50)に抗して押圧されるように、前記スナップ動作連結によって前記コンタクト要素(40)内に固定される、コンタクトデバイス(5)。
【請求項5】
前記レンズ要素(10)は、補償要素(50)が前記レンズ要素(10)の光軸(20)の周りの全てに配置されるように、前記コンタクト要素(40)内に固定される、請求項4に記載のコンタクトデバイス(5)。
【請求項6】
前記レンズ接触面(15)は、前記レンズ要素(10)の光軸(20)に対して垂直に延在する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシステム、または請求項4または5に記載のコンタクトデバイス(5)。
【請求項7】
前記コンタクト要素(40)の前記固定面(49)は、前記レンズ要素(10)が前記コンタクト要素(40)内に固定されたときに、前記レンズ要素(10)の光軸(20)に対して垂直に延在する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシステム、または請求項4乃至6のいずれか一項に記載のコンタクトデバイス(5)。
【請求項8】
前記レンズ要素(10)の前記少なくとも1つの突起要素(25)は、前記レンズ要素(10)の光軸(20)の周りを実質的に完全に囲むビードを含むか、または前記少なくとも1つの突起要素(25)は、レンズの光軸(20)の周りに互いに距離を置いて配置された複数の突起要素(25)を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシステム、または請求項4乃至7のいずれか一項に記載のコンタクトデバイス(5)。
【請求項9】
補償要素(50)は、前記レンズ要素(10)が前記コンタクト要素(40)内に固定されたときに、前記レンズ要素(10)の光軸(20)に対して垂直な断面において実質的に環状の形状を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシステム、または請求項4乃至8のいずれか一項に記載のコンタクトデバイス(5)。
【請求項10】
前記コンタクト要素(40)は、前記レンズ要素(10)が前記コンタクト要素(40)内に固定されるときに、レンズの光軸(20)の周りに互いに距離を置いて配置された(特に、互いに等距離で配置された)複数の保持要素(42-47)を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシステム、または請求項4乃至9のいずれか一項に記載のコンタクトデバイス(5)。
【請求項11】
前記コンタクト要素(40)の1つまたは複数の保持要素(42-47)は、前記1つまたは複数の保持要素(42-47)が、前記レンズ要素(10)の少なくとも1つの突起を前記1つまたは複数の保持要素(42-47)の下方でラッチングして、前記スナップ動作連結を形成するために、機械的に可動であるように構成されるように、弾性形態を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシステム、または請求項4乃至10のいずれか一項に記載のコンタクトデバイス(5)。
【請求項12】
補償要素(50)は、コンタクトデバイス(5)の個々の設計に割り当てられたマーキングおよび/または色を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシステム、または請求項4乃至11のいずれか一項に記載のコンタクトデバイス(5)。
【請求項13】
眼科レーザー治療システムのレーザーアプリケータに対する患者の眼の相対的な幾何学的位置および向きを固定するためのコンタクトデバイス(5)を製造する方法であって、前記コンタクトデバイス(5)は、コンタクト要素(40)と、レンズ要素(10)とを備えており、
1つまたは複数の保持要素(42-47)を有するコンタクト要素(40)を準備するステップと、
前記レンズ要素(10)を準備するステップと、
前記レンズ要素(10)は、患者の眼に接触するため、または前記レンズ要素(10)と患者の眼との間の空洞の気密境界を形成するための眼用表面(30)を含んでおり、
前記レンズ要素(10)は、接着剤を使用することなく、スナップ動作連結により、前記レンズ要素(10)を前記コンタクト要素(40)内に固定するために、前記コンタクト要素(40)の1つまたは複数の保持要素(42-47)と下から係合するための少なくとも1つの突起要素(25)を含んでおり、
前記レンズ要素(10)は、前記眼用表面(30)に面する前記少なくとも1つの突起要素(25)の下側に形成されたレンズ接触面(15)を含んでおり、
前記少なくとも1つの突起要素(25)および1つまたは複数の保持要素(42-47)によって、前記レンズ接触面(15)が、前記コンタクト要素(40)の固定面(49)上に配置された弾性補償要素(50)であって、1つまたは複数の保持要素(42-47)によって前記レンズ要素(10)に作用する力を低減させるように機能する前記弾性補償要素(50)に抗して押圧されるように、前記少なくとも1つの突起要素(25)が前記1つまたは複数の保持要素(42-47)の下方でラッチされることによって、接着剤を使用することなく、前記スナップ動作連結によって前記レンズ要素(10)を前記コンタクト要素(40)内に固定するステップと、を含む方法。
【請求項14】
可撓性補償要素(50)を有する前記コンタクト要素(40)が、多成分射出成形法(特に、2成分射出成形法)によって製造される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記コンタクト要素(40)の1つまたは複数の保持要素(42-47)は、前記レンズ要素(10)の少なくとも1つの突起の一部を前記コンタクト要素(40)の前記1つまたは複数の保持要素(42-47)と前記コンタクト要素(40)の前記固定面(49)との間に挿入して、前記スナップ動作連結を形成するために、機械的に復元可能に(特に、前記レンズ要素(10)の光軸(20)から離れるように)移動される、請求項13または14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム、コンタクトデバイス、およびコンタクトデバイスを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
眼科レーザー治療システムでは、レーザーアプリケータに対する患者の眼の相対的な幾何学的位置および向きを固定するために、コンタクトガラスまたは液体患者インタフェースの形態のコンタクトデバイスが使用される。コンタクトガラスまたは液体患者インタフェースの場合、光学的に活性なレンズ要素がコンタクトデバイス内の固定位置または特定位置に保持される。このため、従来技術では、レンズ要素は、接着剤によってコンタクトデバイスに固定されることが多い。
【0003】
この点での欠点は、コンタクトデバイスを製造するためにレンズ要素をコンタクト要素内に固定する製造プロセスが多くの時間を要し、多大な人員を必要とするか、または技術的な観点から複雑であることである。さらに、そのためには、特別な工具および特別に訓練されたスタッフが必要である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、いずれの場合も技術的観点から、製造が簡単なシステムおよびコンタクトデバイス、ならびに実施が簡単なコンタクトデバイスの製造方法を提供することである。
【0005】
この目的は、請求項1に記載のシステム、請求項4に記載のコンタクトデバイス、および請求項13に記載の方法によって達成される。
特に、目的は、眼科レーザー治療システムのレーザーアプリケータに対する患者の眼の相対的な幾何学的位置および向きを固定するためのコンタクト要素と、コンタクト要素に挿入するためのレンズ要素とを備えるシステムによって達成され、コンタクト要素は、所定の位置においてレンズ要素を受容するように構成され、レンズ要素は、患者の眼に接触するため、またはレンズ要素と患者の眼との間の空洞の気密境界を形成するための眼用表面を含み、レンズ要素は、接着剤を使用することなく、スナップ動作連結によってレンズ要素をコンタクト要素内に固定するために、コンタクト要素の1つまたは複数の保持要素と下から係合するための少なくとも1つの突起要素を含み、レンズ要素は、眼用表面に面する突起要素の下側に形成されたレンズ接触面を含み、レンズ要素およびコンタクト要素は、少なくとも1つの突起要素および1つまたは複数の保持要素によって、レンズ接触面が、コンタクト要素の固定面上に配置された弾性補償要素であって、1つまたは複数の保持要素によってレンズ要素に作用する力を低減させるように機能する弾性補償要素に抗して押圧されるように、レンズ要素がスナップ動作連結によってコンタクト要素内に固定可能であるように構成される。
【0006】
この利点は、システムが技術的観点から特に容易に製造可能であり、技術的に簡単な方法でコンタクトデバイスを形成するためにレンズ要素をコンタクト要素に挿入または固定することができることである。特に、レンズ要素は、コンタクトデバイスを製造するために、広く入手可能な簡単な工具を使用して、手動でコンタクト要素内に挿入し、固定することができる。自動挿入または自動固定も可能である。特に、コンタクトデバイスを製造するために、レンズ要素をコンタクト要素に固定するための特別な工具は必要とされない。さらに、レンズ要素をコンタクト要素に固定する人員は、技術的な観点から特別な教育または訓練を受ける必要はない。従って、コンタクト要素と、コンタクト要素に挿入されるか、またはコンタクト要素に固定されたレンズ要素とを備えるコンタクトデバイスを、非常に短時間で大量に製造することができる。さらに、コンタクト要素と、コンタクト要素に挿入されるか、またはコンタクト要素に固定されるレンズ要素とを備えるコンタクトデバイスを製造するために必要な空間は、特に小さい。さらに、製造コストも低い。また、レンズ要素をコンタクト要素内に固定するのに接着剤を必要としないため、他の要素同士の不注意な接着または不所望の位置での接着剤の付着が確実に防止される。レンズ要素の光学特性の変化は、補償要素によって確実に防止される。
【0007】
特に、目的は、眼科レーザー治療システムのレーザーアプリケータに対する患者の眼の相対的な幾何学的位置および向きを固定するためのコンタクトデバイスによっても達成され、コンタクトデバイスは、コンタクト要素およびレンズ要素を含み、レンズ要素は、接着剤を使用することなく、スナップ動作連結によってコンタクト要素に確実に連結され、レンズ要素は、患者の眼に接触するため、またはレンズ要素と患者の眼との間の空洞の気密境界を形成するための眼用表面を含み、レンズ要素は、接着剤を使用することなく、スナップ動作連結によってレンズ要素をコンタクト要素内に固定するために、コンタクト要素の1つまたは複数の保持要素と下から係合するための少なくとも1つの突起要素を含み、レンズ要素は、眼用表面に面する突起要素の下側に形成されたレンズ接触面を含み、レンズ要素は、少なくとも1つの突起要素および1つまたは複数の保持要素によって、レンズ接触面が、コンタクト要素の固定面に配置された弾性補償要素であって、1つまたは複数の保持要素によってレンズ要素に作用する力を低減させるように機能する弾性補償要素に抗して押圧されるように、スナップ動作連結によってコンタクト要素内に固定される。
【0008】
これについての利点は、コンタクトデバイスが技術的観点から特に容易に製造可能であることである。特に、レンズ要素は、技術的に特に簡単な方法でコンタクト要素内に固定することができる。コンタクトデバイスの製造に、特別な工具または適合工具は必要ない。コンタクトデバイスは、自動化または機械化ベースの方法で製造することができる。コンタクトデバイスを製造するために、レンズ要素をコンタクト要素に固定する人員は、技術的な観点から特別な教育または訓練を受ける必要はない。従って、コンタクト要素と、コンタクト要素に挿入されるか、またはコンタクト要素に固定されたレンズ要素とを備えるコンタクトデバイスを、非常に短時間で大量に製造することができる。さらに、コンタクト要素と、コンタクト要素に挿入されるか、またはコンタクト要素に固定されるレンズ要素とを備えるコンタクトデバイスを製造するために必要な空間は、特に小さい。さらに、製造コストも低い。さらに、レンズ要素をコンタクト要素内に固定するのに接着剤を必要としないか、または使用しないため、他の要素同士の不注意な接着結合または不所望の位置での接着剤の付着が確実に防止される。レンズ要素の光学特性の変化は、補償要素によって確実に防止される。
【0009】
特に、目的は、眼科レーザー治療システムのレーザーアプリケータに対する患者の眼の相対的な幾何学的位置および向きを固定するためのコンタクトデバイスを製造する方法によって達成され、コンタクトデバイスは、コンタクト要素と、レンズ要素とを備えており、方法は、
1つまたは複数の保持要素を有するコンタクト要素を準備するステップと、
レンズ要素を準備するステップと、レンズ要素は、患者の眼に接触するため、またはレンズ要素と患者の眼との間の空洞の気密境界を形成するための眼用表面を含んでおり、レンズ要素は、接着剤を使用することなく、スナップ動作連結により、レンズ要素をコンタクト要素内に固定するために、コンタクト要素の1つまたは複数の保持要素と下から係合するための少なくとも1つの突起要素を含んでおり、レンズ要素は、眼用表面に面する少なくとも1つの突起要素の下側に形成されたレンズ接触面を含んでおり、
少なくとも1つの突起要素および1つまたは複数の保持要素によって、レンズ接触面が、コンタクト要素の固定面上に配置された弾性補償要素であって、1つまたは複数の保持要素によってレンズ要素に作用する力を低減させるように機能する弾性補償要素に抗して押圧されるように、少なくとも1つの突起要素が1つまたは複数の保持要素の下方でラッチされることによって、接着剤を使用することなく、スナップ動作連結によってレンズ要素をコンタクト要素内に固定するステップと、を含む。
【0010】
この方法の利点は、この方法を技術的に簡単かつ迅速に実行することができることである。さらに、この方法はスペースをほとんど必要としない。さらに、特別に適合された工具は必要とされない。この方法を実行するスタッフは、特別な訓練を受ける必要はない。その結果、この方法は高い費用対効果で実施することができる。レンズ要素の光学特性の変化は、補償要素によって確実に防止される。さらに、レンズ要素をコンタクト要素に確実に固定するために接着剤を使用しないため、他の要素同士の不注意な接着または不所望の位置での接着剤の付着が確実に防止される。
【0011】
システムの一実施形態によれば、レンズ要素およびコンタクト要素は、補償要素がレンズ要素の光軸の周りの全てに配置されるように、レンズ要素がコンタクト要素内に固定可能であるように構成される。この利点は、発生する力がレンズ要素および固定面全体に特に均等に分散されることである。これにより、レンズ要素の光学特性に悪影響を与えることをより確実に防止することができる。
【0012】
システムの一実施形態によれば、補償要素は、レンズ接触面と固定面との間の領域を気密に封止するように構成される。この利点は、接触面全体にわたって吸着される液体患者インタフェースまたはコンタクトガラスとしてこの点で密閉するコンタクトデバイスが、技術的に簡単な方法で形成または製造可能であることである。その結果、補償要素は、封止要素の機能を同時に採用することができる。レンズ要素は、補償要素がレンズ要素の光軸の周り全体に完全に配置されていないが、それにもかかわらず、患者の眼の上に置かれたとき、または患者の眼に吸着されたときに、レンズ接触面と固定面との間の領域を実質的に密封するか、または気密な態様で実質的に密封するように、コンタクト要素内に固定可能となるようにすることが可能である。一例として、実質的に封止または気密封止が存在するように、患者の眼に吸着された結果、レンズ接触面の一部が、補償要素が存在しない固定面の一部に連結される。吸着システムは、離間して配置された補償要素間の切り欠きを補償することができる。
【0013】
コンタクトデバイスの一実施形態によれば、レンズ要素は、補償要素がレンズ要素の光軸の周りの全てに配置されるように、コンタクト要素内に固定される。この利点は、コンタクトデバイスで発生する力が、レンズ要素および固定面全体に特に均等に分散されて、応力が回避されることである。これにより、レンズ要素の光学特性に悪影響を与えることをより確実に防止することができる。
【0014】
システムまたはコンタクトデバイスの一実施形態によれば、レンズ接触面は、レンズ要素の光軸に対して垂直に延在する。この利点は、レンズ要素に作用する力を特に効率的に、広い領域にわたって分散させることができることである。
【0015】
システムまたはコンタクトデバイスの一実施形態によれば、コンタクト要素の固定面は、レンズ要素がコンタクト要素内に固定されたときに、レンズ要素の光軸に対して垂直に延在する。その結果、発生する力は、スナップ動作連結を介して、コンタクト要素に広い領域にわたって効率的に伝達される。これにより、レンズ要素の光学特性が変化することが確実に防止される。さらに、レンズ接触面が固定面と平行に配置されたときに、補償要素は、レンズ接触面および固定面と広い面積にわたって接触することができる。
【0016】
システムまたはコンタクトデバイスの一実施形態によれば、レンズ要素の少なくとも1つの突起要素は、レンズ要素の光軸の周りを実質的に完全に囲むビードを含むか、または少なくとも1つの突起要素は、レンズの光軸の周りに互いに距離を置いて配置された複数の突起要素を含む。円周ビードの利点は、レンズ要素またはシステムまたはコンタクトデバイスを技術的な観点からさらに容易に製造することができることである。さらに、1つまたは複数の保持要素は、特に広い領域にわたってレンズ要素を固定することができ、円周ビードの場合には、レンズ要素を所与の位置に固定することができる。さらに、円周ビードの場合、レンズ要素は、レンズ要素の光軸を中心として、コンタクト要素に対して回転することができる。複数の離間した突起要素の利点は、レンズ要素を技術的な観点からコンタクト要素に特に容易に固定または挿入することができることである。
【0017】
システムまたはコンタクトデバイスの一実施形態によれば、補償要素は、レンズ要素がコンタクト要素内に固定されたときに、レンズ要素の光軸に対して垂直な断面において実質的に環状の形状を有する。この利点は、補償要素が技術的観点から特に容易に配置可能であることである。これにより、製造コストが削減され、製造に必要な時間が短縮される。さらに、レンズ要素から補償要素に力を特に均一に伝達することができる。これにより、レンズ要素の光学特性に可能性のある悪影響を与えることをより確実に防止することができる。
【0018】
システムまたはコンタクトデバイスの一実施形態によれば、コンタクト要素は、レンズ要素がコンタクト要素内に固定されるときに、レンズの光軸の周りに互いに距離を置いて配置された(特に、互いに等距離で配置された)複数の保持要素を備える。この利点は、レンズ要素を技術的に簡単な方法でコンタクト要素に挿入することができることである。さらに、レンズ要素がコンタクト要素に挿入されるとき、またはスナップ動作連結が形成されるときに、レンズ要素に大きな力が加えられないため、コンタクト要素への挿入時におけるレンズ要素の光学特性の変化も確実に防止される。
【0019】
システムまたはコンタクトデバイスの一実施形態によれば、コンタクト要素の1つまたは複数の保持要素は、1つまたは複数の保持要素が、レンズ要素の少なくとも1つの突起を1つまたは複数の保持要素の下方でラッチングして、スナップ動作連結を形成するために、機械的に可動であるように構成されるように、弾性形態を有する。その結果、レンズ要素は、技術的な観点から、特に手動でコンタクト要素に容易に挿入することができる。さらに、レンズ要素をコンタクト要素に挿入する際に、レンズ要素には小さな力のみが作用する。これにより、レンズ要素の光学特性の(永久的な)変化が確実に防止される。
【0020】
システムまたはコンタクトデバイスの一実施形態によれば、補償要素は、コンタクトデバイスの個々の設計に割り当てられたマーキングおよび/または色を有する。この利点は、人員がコンタクトデバイスの異なる設計を光学的に迅速かつ確実に区別することができることである。これにより、コンタクトデバイスの誤使用または誤選択を確実に回避することができる。コンタクトデバイスの異なる設計は、例えば、異なるレンズ要素を含み得るが、いずれの場合も、コンタクト要素の設計は同じである。
【0021】
本方法の一実施形態によれば、レンズ接触面は、レンズ要素の光軸に対して垂直に延在する。これは、レンズ要素に作用する力を特に効率的に、広い領域にわたって分散させることができるという点で有利である。
【0022】
本方法の一実施形態によれば、可撓性補償要素を有するコンタクト要素は、多成分射出成形法(特に、2成分射出成形法)によって製造される。このことについての利点は、コンタクトデバイスを、技術的な観点から、容易に、迅速に、かつ高い費用対効果で製造することができることである。さらに、これは、補償要素を配置するための追加の作業ステップを必要としない。
【0023】
本方法の一実施形態によれば、コンタクト要素の1つまたは複数の保持要素は、レンズ要素の少なくとも1つの突起の一部をコンタクト要素の1つまたは複数の保持要素とコンタクト要素の固定面との間に挿入して、スナップ動作連結を形成するために、機械的に復元可能に(特に、レンズ要素の光軸から離れるように)移動される。この利点は、レンズ要素を技術的に簡単な方法で、特に手動でコンタクト要素に挿入することができることである。さらに、挿入時にレンズ要素に作用する力は小さい。これにより、レンズ要素の光学特性の(永久的な)変化が確実に防止される。
【0024】
本方法の一実施形態によれば、レンズ要素の少なくとも1つの突起要素は、レンズ要素の光軸の周りを実質的に完全に囲むビードを含む。この利点は、コンタクトデバイスが技術的な観点からさらに容易に製造することができることである。さらに、レンズ要素は、1つまたは複数の保持要素によって特に広い領域にわたって固定され、かつ特定の位置に保持される。さらに、レンズ要素の光軸を中心としたコンタクト要素に対するレンズ要素の回転によって、コンタクト要素内でのレンズ要素の固定は変化しない。
【0025】
コンタクト要素が、レンズ要素がコンタクト要素に挿入されるときに、補償要素が少なくとも部分的に押圧される、いわば補償要素が部分的に退避することができる1つ以上の切り欠きを有することも企図される。これにより、レンズ要素に作用する力がさらに低減する。
【0026】
好ましい実施形態は、従属請求項から明らかである。本発明は、例示的な実施形態の図面を参照して、以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明による一実施形態のコンタクトデバイスの概略側面図である。
図2図1における領域IIの詳細図である。
図3図1および図2のコンタクトデバイスのコンタクト要素の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の説明では、同一の部品および同一の効果を有する部品に対して、同一の参照符号が使用される。
図1は、本発明による一実施形態のコンタクトデバイス5の概略側面図を示す。図2は、図1における領域IIの詳細図を示す。図3は、図1および図2のコンタクトデバイス5のコンタクト要素40を上から、即ち、患者の眼の治療中の光ビームの方向から見た平面図を示す。
【0029】
コンタクトデバイス5は、眼科レーザー治療システムのレーザーアプリケータに対する患者の眼の相対的な幾何学的位置および向きを固定するように構成される。その結果、コンタクトデバイス5は、レーザー放射による治療中に、レーザー放射に対する眼の位置を固定する。コンタクトデバイス5は、レーザー治療システムに堅固に/確実に固定される。
【0030】
コンタクトデバイス5は、スナップ動作連結によって、かつ接着剤なしで、コンタクトデバイス5のコンタクト要素40内の特定の位置に固定されるレンズ要素10を含む。
コンタクトデバイス5は、レンズ要素10が眼または角膜に接触する場合、コンタクトガラス保持デバイス(口語表現で単に「コンタクトガラス(Kontaktglas)」とも呼ばれる)とすることができる。レンズ要素10と患者の眼との間の空洞が緩衝塩類溶液(BSS:buffered salt solution)で満たされる場合、コンタクトデバイス5が、液体患者インタフェースとなるようにすることが可能である。塩類溶液は、レンズ要素10と患者の眼との間の屈折率の調節を可能にする。液体患者インタフェースは、特に、患者の眼内の低い位置にある構造にレーザー放射を合焦させる場合に使用することができる。
【0031】
レンズ要素10は、コンタクトデバイス5のコンタクト要素40内に確実にまたは所与の位置に固定または配置される。これは、レンズ要素10とコンタクト要素40との間の相対位置が実質的に変更不能であることを意味する。
【0032】
レンズ要素10は、スナップ動作連結またはクリックイン連結によってコンタクト要素40に確実に挿入され、即ち、コンタクト要素40に確実に連結されるか、またはコンタクト要素40内に固定される。スナップ動作連結は、形状嵌合を形成する。
【0033】
レンズ要素10の光軸20は、レンズ要素10の中心を通って、即ち、図1および図2において上から下に向かって延びる。図3において、レンズ要素10がコンタクト要素40の特定の位置に固定されている場合、レンズ要素10の光軸20は、図面の平面に対して垂直に延びる。
【0034】
レンズ要素10とコンタクト要素40との間のスナップ動作連結を確立するために、レンズ要素10は、例えば、全周ビードの形態の突起要素25、または複数の突起要素25を備える。複数の突起要素25は、光軸20を中心として円周方向に互いに離間して形成することができる。例として、複数の突起要素25は、光軸20を中心として円周方向に互いに等距離に離間させることができる。従って、例えば、全円または円周の30°にわたってそれぞれが延在する6個の突起要素25は、それぞれ、円周方向において互いに30°の間隔を有していてもよい。突起要素25の他の実施形態も企図される。
【0035】
コンタクト要素40は、円錐台形形状の外形を有する。コンタクト要素40は、その内側において、1つの保持要素42または複数の保持要素42-47を含む。保持要素42または保持要素42-47は、レンズ要素10の内側または光軸20に向かう突起の形状で構成される。
【0036】
保持要素42-47は、レンズ要素10の光軸20の周りに完全に延在するように、即ち、レンズ要素10の光軸20を中心とした全円にわたって延在するように構成することができる。代替的に、複数の保持要素42-47を互いに離間して配置すること、特に、円周方向に互いに等距離に離間して配置することも可能である。突起要素25と同様に、保持要素42-47は、それぞれ、円弧セグメントにわたって(例えば、円周の35°にわたって)延在することができる。代替的に、3つの保持要素42-47が存在してもよく、これらはそれぞれ円周方向に互いに120°ずれて配置される。
【0037】
コンタクト要素40は、固定面49を有する。レンズ要素10は、眼に面する側においてレンズ接触面15を有する。レンズ接触面15は、レンズ要素10の光軸20に対して垂直に延在することができる。固定面49は、レンズ要素10の光軸20に対して垂直に構成することができる。レンズ要素10がコンタクト要素40内に挿入され、スナップ動作連結によって固定されると、レンズ接触面15および固定面49は互いに平行に延在する。
【0038】
レンズ要素10は、接着剤不要方式で、または接着剤を使用することなく、保持要素42-47に固定される。特に、レンズ接触面15と固定面49との間に接着剤が存在しない。
【0039】
レンズ要素10は、レンズ要素10の突起要素25または複数の突起要素を、コンタクト要素40の1つの保持要素または複数の保持要素42-47の下に挿入して、所定の位置にスナップすることによって、コンタクト要素40内に固定される。このため、突起要素25または保持要素42-47は、復元可能に機械的に可動であり得る。特に、突起要素25および/または保持要素42-47は、レンズ要素10の光軸20から離れる方向または光軸に向かって復元可能に可動であり得る。突起要素25または複数の突起要素25を1つの保持要素または複数の保持要素42-47の下に挿入する結果として、レンズ要素10とコンタクト要素40との間にスナップ動作連結またはクリックイン連結が形成される。その結果、コンタクト要素40に対するレンズ要素10の移動を実質的に防止する形状嵌合が、保持要素42-47と突起要素25との間に形成される。
【0040】
突起要素25は、1つの保持要素または複数の保持要素42-47と固定面49との間に保持される。突起要素25および保持要素42-47は、レンズ接触面15を固定面49の方向に押圧する。
【0041】
弾性補償要素50は、固定面49上に配置される。補償要素50は、弾性的に具体化され、即ち、補償要素50は、後に、その元の形状を再構築しようとする。補償要素50は、プラスチックを含むか、またはプラスチックからなってもよい。一例として、補償要素50は、ゴムプラスチックからなる。
【0042】
固定面49に、補償要素50の一部を受容するための切り欠きまたは凹みが形成されることは可能であるが、必須ではない。このようにして、補償要素50を特に精密に配置することができる。
【0043】
補償要素50は、レンズ要素10の光軸20に対して直角に延在する断面平面において、リング形状の実施形態を有することができる。補償要素50は、Oリングの実施形態と同様のトロイダル形状の実施形態を有することができる。他の形状も可能である。例えば、ドーナツ形状にすることができる。
【0044】
補償要素50は、レンズ要素10の光軸20の周りを完全に周回するように構成することができる。
補償要素50は、気密性の高い形状を有することができる。その結果、レンズ接触面15と固定面49との間の領域を気密に封止することができる。ここで、空洞、即ち、レンズ要素10の眼用表面30によって画定される空洞は、レンズ要素10と患者の眼との間でしっかりと密閉される必要があるため、これは、液体患者インタフェースの場合に特に重要である。これは、コンタクトガラスとして具現化され、かつ眼とともに接触面全体にわたって吸着されるコンタクト要素の場合においても重要である。しかしながら、特に、液体患者インタフェースとしての実施形態の場合、追加の吸着リングが、例えば、コンタクト要素40の外周上または外周近くに存在することも可能であり、吸着リングは、患者の眼に吸着して、結果的に、コンタクト要素40を患者の眼に対して相対的に固定するように構成される。例として、追加の吸着リングの場合には、レンズ要素10と患者の眼との間の空洞の気密封止は必要とされない。
【0045】
また、補償要素50が、固定面49の円周にわたって円周方向に互いに離間した、特に等距離に離間した複数の離間セグメントを有することも企図される。例として、補償要素50のセグメントは、固定面49の6点に位置する。補償要素50の複数のセグメントは、典型的には、同じ弾性を有する。補償要素50の複数の離間したセグメントの場合、または複数の離間した補償要素の場合、固定面49に対するレンズ接触面15の圧力の結果として、レンズ接触面15と固定面49との間に領域の密封閉鎖または気密閉鎖が形成されることが企図される。
【0046】
コンタクト要素40は、レンズ要素10がコンタクト要素40に確実に連結されるか、またはスナップ動作連結によってコンタクト要素40内に固定される場合、特に、横方向の動き、即ちレンズ要素10の光軸20に垂直な動きが実質的に不可能であるように、レンズ要素10に対して少なくとも部分的に相補的な形状を有する。従って、横方向または横向きの方向にぴったりと嵌合する。その結果、レンズ要素10に横方向または横向きの方向の力が継続的に作用することはない。
【0047】
しかしながら、更なる補償要素50が、レンズ要素10とコンタクト要素40との間に横方向に配置されることも企図される。更なる補償要素50は、レンズ要素10の光軸20の周りに全円にわたって延在するか、又は個々の弓形セグメント又は円弧セグメントのみからなることができる。
【0048】
即ち、補償要素50は、レンズ接触面15と固定面49との間にクランプされる。補償要素50が、レンズ接触面15および/または固定面49の大部分、特に90%以上を覆うことが企図される。
【0049】
補償要素50は、レンズ要素10に過大な力が作用するのを防止するか、またはレンズ要素10の光学特性を変化させ得る応力がレンズ要素10に発生するのを防止する。補償要素50は、レンズ接触面15が固定面49に直接押し付けられるのを防止する。
【0050】
補償要素50は、接着剤を含んでおらず、接着機能を発揮しない。
補償要素50は、レンズ要素10またはレンズ接触面15を固定面49の方向に押圧した結果として変形する。補償要素50の弾性により、補償要素50は、レンズ接触面15に対して適宜押圧する。これにより、レンズ要素10が光軸20と平行に移動することが防止される。従って、補償要素50は、レンズ接触面15と固定面49との間の一種の緩衝材を表し、実質的に変形不能なレンズ接触面15と実質的に変形不能な固定面49との間に直接接触または即座の接触が通常確立されないように、変形の結果としての力を吸収することが可能である。
【0051】
補償要素50を有するコンタクト要素40は、射出成形法によって製造することができる。特に、コンタクト要素40は、2成分射出成形法によって製造することができる。補償要素50のないコンタクト要素40は、第1の構成要素からなるか、または第1の構成要素から製造されてもよく、補償要素50は、第2の構成要素からなるか、または第2の構成要素から製造されてもよく、第2の構成要素は、第1の構成要素とは異なる。第2の成分は、弾性プラスチックまたは可撓性プラスチックまたはプラスチック混合物からなるか、またはそれであり得る。
【0052】
眼用表面30と反対側に位置する治療システム表面37は、眼用表面30と平行に形成される。治療システム表面37は、コンタクト要素40の保持要素42-47に接触または密着する。治療システム表面37と保持要素42-47との間に形状嵌合が存在する。図1および図2では、治療システム表面37はコンタクト要素40の保持要素42-47に当接しているため、治療システム表面37は上方に移動することができない。
【0053】
治療システム表面37は、眼用表面30から離れる方向を向いていてもよい。これは、眼用表面30が図1および図2において下方を向いているのに対し、治療システム表面37が上方を向いているか、またはレンズ要素10の突起の上側に形成されていることを意味する。レンズ接触面15は、レンズ要素10の突起の下側に形成される。
【0054】
レンズ要素10は、1つまたは複数の保持要素42-47を復元可能に機械的に移動させることによって、コンタクトデバイス5を形成するために、コンタクト要素40内に挿入される。例として、突起要素25または複数の突起要素を1つまたは複数の保持要素42-47の下に移動させるために、1つまたは複数の保持要素42-47は、横方向または横向きの方向および/またはレンズ要素10の光軸20に対して平行に部分的に曲げられ得る。続いて、1つの保持要素または複数の保持要素42-47は、移動またはスナップして元の位置(複数可)に戻る。ここで、レンズ要素10とコンタクト要素40との間にインターロック付きスナップ動作連結が形成される。レンズ要素10の突起要素25または複数の突起要素は、1つの保持要素または複数の保持要素42-47と固定面49との間に位置する。補償要素50は、突起要素25と固定面49との間に配置される。
【0055】
レンズ要素10をコンタクト要素40に挿入するため、およびスナップ動作連結またはクリックイン連結によってレンズ要素をコンタクト要素40に固定するために、レンズ要素10の突起要素25または複数の突起要素を機械的に復元可能に移動させることも企図される。
【0056】
スナップ動作連結は、通常、コンタクト要素40から非破壊的に解除することはできない。
図3では、レンズ要素10は、まだコンタクト要素40に挿入されていない。
【0057】
コンタクトデバイス5全体が接着剤を有していないか、または接着剤連結を有していないことが可能である。
コンタクトデバイス5は、吸着によって眼を近接させるための吸着チャネル60を備えてもよい。
【符号の説明】
【0058】
5…コンタクトデバイス
10…レンズ要素
15…レンズ接触面
20…レンズの光軸
25…突起要素
30…眼用表面
37…治療システム表面
40…コンタクト要素
42-47…保持要素
49…固定面
50…補償要素
60…吸着チャネル
図1
図2
図3