(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】レンズユニット及び車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 41/29 20180101AFI20241226BHJP
F21S 41/153 20180101ALI20241226BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20241226BHJP
F21S 41/63 20180101ALI20241226BHJP
F21V 14/06 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
F21S41/29
F21S41/153
F21S41/143
F21S41/63
F21V14/06
(21)【出願番号】P 2022569936
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 JP2021045421
(87)【国際公開番号】W WO2022131140
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2024-10-01
(31)【優先権主張番号】P 2020207829
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】望月 一磨
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-107493(JP,A)
【文献】特開2019-21602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/29
F21S 41/153
F21S 41/143
F21S 41/63
F21V 14/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過する光の発散角を変化させるレンズ部を有する複数のレンズ部材と、
一端の開口が前記複数のレンズ部材のそれぞれを挿通可能な筒状の支持部を有するレンズホルダと、
を備え、
前記支持部は、前記複数のレンズ部材を前記支持部の中心軸に沿って並ぶように支持し、
前記支持部の側壁には、当該支持部の内側と外側とを連通し、前記複数のレンズ部材の少なくとも一つの外周部を前記支持部から露出させる連通部が形成されている
ことを特徴とするレンズユニット。
【請求項2】
少なくとも二つの前記レンズ部材の外周部が前記連通部から露出する
ことを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項3】
前記少なくとも二つの前記レンズ部材における互いに隣接する前記レンズ部材の組には、互いに嵌合し合う嵌合部が設けられ、
前記嵌合部は、前記中心軸と垂直に交わり前記連通部の中心を通る直線に沿って見る場合に、前記連通部と重なるとともに、前記中心軸より前記連通部側に位置する
ことを特徴とする請求項2に記載のレンズユニット。
【請求項4】
前記連通部は、前記支持部の前記一端から他端に向かって延びるスリットである
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項5】
前記レンズホルダは、前記支持部から前記中心軸側と反対側に延在し他の部材に固定される固定部と、前記固定部から前記中心軸と非垂直な方向に延在し前記支持部の外周面に接続する補強板と、を更に有し、
前記補強板は、前記支持部の周方向において前記連通部と重なる
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項6】
前記複数のレンズ部材の少なくとも一つにおける外周面は、所定の凹凸パターンが形成されている領域を有し、
前記領域が前記連通部から露出する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項7】
前記連通部は、前記中心軸を挟む所定方向の両側にそれぞれ形成されている
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項8】
前記複数のレンズ部材のうち特定のレンズ部材の前記中心軸に沿って見る場合の形状は、前記所定方向に長尺であり、
それぞれの前記連通部は前記支持部から前記特定のレンズ部材を露出させる
ことを特徴とする請求項7に記載のレンズユニット。
【請求項9】
前記支持部に取り付けられた状態で前記支持部の外方から前記連通部を覆う遮蔽部を更に備える
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項10】
前記支持部及び前記遮蔽部は、遮光性を有する
ことを特徴とする請求項9に記載のレンズユニット。
【請求項11】
前記遮蔽部は、前記支持部における前記連通部の縁に沿った縁部の少なくとも一部を覆う
ことを特徴とする請求項10に記載のレンズユニット。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載のレンズユニットと、
前記複数のレンズ部材を当該レンズ部材の並び順に透過する光を出射する光源部と、
を備える
ことを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズユニット及び車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のレンズと、複数のレンズを支持するレンズホルダとを備えるレンズユニットが知られており、例えば、下記特許文献1には、このようなレンズユニットを備える車両用灯具が開示されている。
【0003】
下記特許文献1のレンズユニットは、複数のレンズと、筒状の支持部を有するレンズホルダと、を備え、支持部は、複数のレンズを当該支持部の中心軸に沿って並ぶように支持する。
【0004】
【発明の概要】
【0005】
このため、上記特許文献1のレンズユニットの組立では、例えば、支持部の一端の開口から当該支持部内に複数のレンズを順次挿入してこれらレンズを支持部に支持させていると考えられる。複数のレンズが支持部に支持された状態では、複数のレンズの外周部の全体が支持部によって囲われている。このため、例えばレンズの外周部を工具や作業者の指で挟んで把持しながら支持部内にレンズを挿入しようとすると、工具や作業者の指が支持部と接触し易く、支持部内の所定の位置にレンズを支持させにくい。
【0006】
そこで、本発明は、組立を容易にし得るレンズユニット及び車両用灯具を提供することを目的とする。
【0007】
上記目的の達成のため、本発明のレンズユニットは、透過する光の発散角を変化させるレンズ部を有する複数のレンズ部材と、一端の開口が前記複数のレンズ部材のそれぞれを挿通可能な筒状の支持部を有するレンズホルダと、を備え、前記支持部は、前記複数のレンズ部材を前記支持部の中心軸に沿って並ぶように支持し、前記支持部の側壁には、当該支持部の内側と外側とを連通し、前記複数のレンズ部材の少なくとも一つの外周部を前記支持部から露出させる連通部が形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
このレンズユニットでは、連通部を介して支持部から露出するレンズ部材を支持部に支持させる際、例えば連通部を介してこのレンズ部材の外周部を工具や作業者の指で押すなどして移動させ得る。このため、このレンズユニットによれば、上記連通部が非形成の場合と比べて、このレンズ部材を支持部内の所定の位置に支持させやすく、組立が容易になり得る。
【0009】
少なくとも二つの前記レンズ部材が前記連通部から露出することとしてもよい。
【0010】
このような構成にすることで、例えば、露出する少なくとも二つのレンズ部材の相対的な位置を所定の位置にし易く、組立がより容易になり得る。
【0011】
この場合、前記少なくとも二つの前記レンズ部材における互いに隣接する前記レンズ部材の組には、互いに嵌合し合う嵌合部が設けられ、前記嵌合部は、前記中心軸と垂直に交わり前記連通部の中心を通る直線に沿って見る場合に、前記連通部と重なるとともに、前記中心軸より前記連通部側に位置することとしてもよい。
【0012】
このような構成にすることで、互いに隣接するレンズ部材の組に互いに嵌合し合う嵌合部が設けられない場合と比べて、レンズ部材の組における一方のレンズ部材と他方のレンズ部材との相対的な位置がずれることを抑制し得る。また、上記のように、嵌合部は、中心軸と垂直に交わり連通部の中心を通る直線に沿って見る場合に、連通部と重なるとともに、支持部の前記中心軸より連通部側に位置する。このため、このレンズユニットによれば、このように見る場合に嵌合部が連通部と重ならない場合や、嵌合部が中心軸より連通部側と反対側に位置する場合と比べて、連通部を介して嵌合部を視認し易くし得、嵌合部を互いに嵌合させ易くし得る。
【0013】
前記連通部は、前記支持部の前記一端から他端に向かって延びるスリットであることとしてもよい。
【0014】
このような構成にすることで、例えばレンズ部材を把持する工具や作業者の指がスリットを通るようにすることで、レンズ部材を把持した状態で当該レンズ部材を一端の開口から支持部内に挿入して移動させ得る。このため、このレンズユニットによれば、組立がより容易になり得る。
【0015】
前記レンズホルダは、前記支持部から前記中心軸側と反対側に延在し他の部材に固定される固定部と、前記固定部から前記中心軸と非垂直な方向に延在し前記支持部の外周面に接続する補強板と、を更に有し、前記補強板は、前記支持部の周方向において前記連通部と重なることとしてもよい。
【0016】
連通部が形成されることで、連通部が非形成の場合と比べて、支持部の強度は低下する傾向にある。しかし、このような構成にすることで、補強板が支持部の周方向において連通部を重ならない場合と比べて、支持部の強度が低下することを抑制し得る。
【0017】
前記複数のレンズ部材の少なくとも一つにおける外周面は、所定の凹凸パターンが形成されている領域を有し、前記領域が前記連通部から露出することとしてもよい。
【0018】
このような構成にすることで、上記の領域を有するレンズ部材のレンズ部に入射する光の一部を当該領域から出射し連通部を介して支持部の外方へ出射し得る。上記のように、所定領域には所定の凹凸パターンが形成されているため、当該凹凸パターンを調節することで、連通部を介して出射する光の出射方向や拡散状態を調節し得、例えば意匠性を向上し得る。
【0019】
前記連通部は、前記中心軸を挟む所定方向の両側にそれぞれ形成されていることとしてもよい。
【0020】
このような構成にすることで、連通部から露出するレンズ部材を支持部に支持させる際、例えばそれぞれの連通部に工具や作業者の指を挿入することで、レンズ部材を幅方向に挟んで把持して移動させ得る。このため、このレンズユニットによれば、組立がより容易になり得る。なお、レンズ部材を把持し易くする観点では、連通部から上記の領域が露出することが好ましい。この領域には所定の凹凸パターンが形成されているため、この領域を有さない場合と比べて、レンズ部材を把持し易くし得る。
【0021】
この場合、前記複数のレンズ部材のうち特定のレンズ部材の前記中心軸に沿って見る場合の形状は、前記所定方向に長尺であり、それぞれの前記連通部は前記支持部から前記特定のレンズ部材を露出させることとしてもよい。
【0022】
このような構成にすることで、例えば工具や作業者の指で特定のレンズ部材を長尺な方向に挟んで把持し得る。レンズ部材を長尺な方向に挟む場合、短尺な方向に挟む場合と比べて、レンズ部材が厚さ方向に傾きにくくし得る。このため、このレンズユニットによれば、特定のレンズ部材の形状が上記の所定方向に短尺である場合と比べて、特定のレンズ部材を支持部内で移動させ易くし得る。
【0023】
上記のレンズユニットは、前記支持部に取り付けられた状態で前記支持部の外方から前記連通部を覆う遮蔽部を更に備えることとしてもよい。
【0024】
このような構成にすることで、上記遮蔽部を有さない場合と比べて、連通部を介して支持部内に埃や塵等が入ることを抑制し得る。
【0025】
この場合、前記支持部及び前記遮蔽部は、遮光性を有することとしてもよい。
【0026】
このような構成にすることで、レンズ部材のレンズ部に入射する光の一部が連通部を介して支持部の外方に漏洩することを抑制し得る。
【0027】
この場合、前記遮蔽部は、前記支持部における前記連通部の縁に沿った縁部の少なくとも一部を覆うこととしてもよい。
【0028】
このような構成にすることで、遮蔽部が上記縁部を覆わない場合と比べて、レンズ部材のレンズ部に入射する光の一部が支持部の外方に漏洩することをより抑制し得る。
【0029】
また、本発明の車両用灯具は、上記のレンズユニットと、前記複数のレンズ部材を当該レンズ部材の並び順に透過する光を出射する光源部と、を備えることを特徴とするものである。
【0030】
以上のように本発明によれば、組立を容易にし得るレンズユニット及び車両用灯具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の実施形態におけるレンズユニットを備える車両用灯具を概略的に示す側面図である。
【
図2】
図1に示す灯具ユニットを概略的に示す斜視図である。
【
図3】灯具ユニットを概略的に示す分解斜視図である。
【
図4】灯具ユニットを概略的に示す水平断面図である。
【
図6】第1レンズ部材を概略的に示す背面図である。
【
図7】第2レンズ部材を概略的に示す背面図である。
【
図8】レンズ部材が支持部に支持された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係るレンズユニット及び車両用灯具の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができる。なお、以下で参照する図面では、理解を容易にするために、各部材の寸法を変えて示す場合がある。
【0033】
図1は、本発明の実施形態におけるレンズユニットを備える車両用灯具を概略的に示す側面図である。本実施形態の車両用灯具1は自動車用の前照灯とされる。自動車用の前照灯は、一般的に車両の前方の左右方向のそれぞれに備えられるものであり、左右の前照灯は左右方向に概ね対称の構成とされる。このため、本実施形態では、一方の前照灯について説明する。
図1に示すように、本実施形態の車両用灯具1は、筐体10と、灯具ユニットLUとを主な構成として備える。なお、
図1では、筐体10が鉛直断面で示されている。
【0034】
本実施形態の筐体10は、ランプハウジング11、フロントカバー12及びバックカバー13を主な構成として備える。ランプハウジング11の前方は開口しており、当該開口を塞ぐようにフロントカバー12がランプハウジング11に固定されている。また、ランプハウジング11の後方には前方よりも小さな開口が形成されており、当該開口を塞ぐようにバックカバー13がランプハウジング11に固定されている。筐体10には、ランプハウジング11とフロントカバー12とバックカバー13とによって囲われる収容空間14が形成されており、当該収容空間14に灯具ユニットLUが配置されている。
【0035】
図2は、灯具ユニットLUを概略的に示す斜視図であり、灯具ユニットLUを前方斜め上方から見る斜視図である。
図3は、灯具ユニットLUを概略的に示す分解斜視図であり、灯具ユニットLUを前方斜め上方から見る分解斜視図である。
図4は、
図1に示す灯具ユニットLUを概略的に示す水平断面図である。
図1から
図4に示すように、本実施形態の灯具ユニットLUは、ヒートシンク20と冷却ファン29と、光源部30と、レンズユニット40と、を主な構成として備える。なお、
図3では、冷却ファン29の記載が省略されおり、
図4では、ヒートシンク20の一部の記載が省略されている。
【0036】
本実施形態のヒートシンク20は、概ね鉛直及び左右方向に延在する金属製のベース板21を有し、当該ベース板21の後面側には複数の放熱フィン22がベース板21と一体に設けられている。ベース板21の左右の両端部のそれぞれには、前方に向かって突出する二つのボス23と、ねじ孔24とが設けられている。二つのボス23及びねじ孔24は、ねじ孔24が二つのボス23に挟まれるように上下方向に並んでいる。冷却ファン29は放熱フィン22と隙間を隔てて配置され、ヒートシンクに固定されている。この冷却ファン29の回転による気流によりヒートシンク20冷却される。
【0037】
本実施形態の光源部30は、回路基板31と、発光部32とを有する。回路基板31は、ヒートシンク20におけるベース板21の前面に載置される。発光部32は、回路基板31に実装され、回路基板31から電力が供給されることで前方に向かって光を出射する。本実施形態では、発光部32は、複数のLED(Light Emitting Diode)がマトリックス状に配置される所謂LEDアレイである。このため、光源部30は、光を出射させるLEDを選択することで所定の配光パターンの光を出射し得る。また、光源部30は、それぞれのLEDから出射する光の強度を調節することで所定の配光パターンにおける光の強度分布を調節することができる。なお、光源部30は、光を出射することができればよく、特に制限されるものではない。
【0038】
レンズユニット40は、複数のレンズ部材を有し、当該複数のレンズ部材によって入射する光の発散角を調節するように構成される。本実施形態では、レンズユニット40は、レンズホルダ50と、第1レンズ部材60と、第2レンズ部材70と、第3レンズ部材80と、カバー90と、を備え、三つのレンズ部材60,70,80がレンズホルダ50によって支持される。
【0039】
図5は、レンズホルダ50を概略的に示す正面図であり、レンズホルダ50を前方側から見る図である。
図3から
図5に示すように、本実施形態のレンズホルダ50は、前後方向に延在する筒状の支持部51と、左右一対の板状の固定部52と、四つの補強板53とを有する。レンズホルダ50は、遮光性を有し、例えば樹脂から形成され、支持部51、固定部52、及び補強板53が一体に形成されている。
【0040】
本実施形態では、支持部51の中心軸51aに沿って見る場合の支持部51の外形は、中心軸51aと垂直な所定方向である左右方向に長尺な長方形における一対の短辺が外側へ湾曲する円弧状とされた概ねオーバルトラック形状である。支持部51を構成する側壁のうち上側と下側は概ね水平方向に延在し、右側と左側は概ね円弧状に湾曲する。支持部51の前端の開口51h1は、支持部51の外形と概ね相似形状である左右方向に長尺な概ねオーバルトラック形状である。なお、支持部51の形状は特に制限されるものでなく、例えば、支持部51は円筒形状であってもよい。
【0041】
支持部51の後端部には、内周面から概ね垂直に突出する支持壁54が設けられている。支持壁54は内周面の全周に亘って延在しており、支持部51の後端の開口51h2は、支持壁54の先端によって規定されている。本実施形態では、開口51h2の形状は概ね円形状であるが、開口51h2の形状は特に制限されない。支持壁54には、前面から前方側に突出する複数の当接部55が開口51h2を囲うように設けられており、それぞれの当接部55の端面は、中心軸51aに垂直な所定の平面と概ね一致している。また、支持壁54の左右の両側には、貫通孔54hが形成されている。このような支持部51は、三つのレンズ部材60,70,80を中心軸51aに沿って並ぶように支持する。
【0042】
支持部51の側壁における中心軸51aを挟む所定方向の両側には、内周面から外周面に貫通して支持部51の内側と外側を連通する連通部56が形成されている。本実施形態では、所定方向は中心軸51aと垂直な方向である左右方向であり、連通部56は、この所定方向である左右方向における支持部51の側壁の両側である円弧状に湾曲する部位に形成されている。本実施形態では、連通部56は、支持部51の前端から後端に向かって延びるスリットであり、連通部56の後端は支持壁54の前面と一致している。また、この二つの連通部56は支持部51の径方向に互いに重なっている。支持部51の外周面には、この連通部56の縁に沿って延びる溝57が形成されており、この溝57は連通部56の縁の全体を囲っている。なお、連通部56は、内周面から外周面に貫通して支持部51の内側と外側を連通すればよく、例えば、内周面から外周面に貫通する貫通孔であってもよい。
【0043】
支持部51の側壁における概ね平板状である上下の両側には、外周面から突出する突起58が形成されている。また、支持部51の後端における左右の両側には、後方に向かって延在する接続部59が形成されており、接続部59の外方側の面は、支持部51の外周面に接続した円弧状の面とされている。
【0044】
左右一対の固定部52は、ヒートシンク20に固定される部材である。本実施形態では、右側の固定部52は右側の接続部59の後端部から中心軸51a側と反対側である右方向に延在する板状部材であり、左側の固定部52は左側の接続部59の後端部から中心軸51a側と反対側である左方向に延在する板状部材である。それぞれの固定部52は、中心軸51aと概ね垂直である。それぞれの固定部52には、上下方向に並ぶ三つの貫通孔52h1,52h2,52h3が形成されている。右側の固定部52における上下の貫通孔52h1,52h2は、ヒートシンク20におけるベース板21の右側端部に形成されるボス23に対応する位置に形成されている。右側の固定部52における中央の貫通孔52h3は、ベース板21の右側端部に形成されるねじ孔24に対応する位置に形成されている。左側の固定部52における上下の貫通孔52h1,52h2は、ベース板21の左側端部に形成されるボス23に対応する位置に形成されている。右側の固定部52における中央の貫通孔52h3は、ベース板21の左側端部に形成されるねじ孔24に対応する位置に形成されている。
【0045】
補強板53は、固定部52から中心軸51aと非垂直な方向に延在し支持部51の外周面に接続する板状部材である。本実施形態では、右側の固定部52から二つの補強板53が延在し、左側の固定部52から二つの補強板53が延在する。これら補強板53は、中心軸51aと概ね平行な方向である左右方向に延在し、概ね略三角形である。補強板53の一辺が固定部52の前面に接続し、他の一辺が支持部51の外周面に接続する。右側の固定部52から延在する二つの補強板53は、支持部51の周方向において右側の連通部56と重なる。支持部51が連通部56を有することで、支持部51が連通部56を有さない場合と比べて、支持部51の強度は低下する傾向にある。しかし、本実施形態では、連通部56を有する支持部51の強度が低下することを補強板53によって抑制し得る。また、補強板53が支持部51の周方向において右側の連通部56と重ならない場合と比べて、支持部51の強度が低下することを抑制し得る。本実施形態では、二つの補強板53の間に右側の連通部56の一部が位置しており、この二つの補強板53は連通部56の一部を挟んでいる。このため、二つの補強板53が連通部56を挟まない場合と比べて、支持部51の強度が低下することを抑制し得る。なお、支持部51の強度が低下することを抑制する観点では、固定部52及び支持部51に接続する補強板53が支持部51の周方向において連通部56と重なっていればよい。例えば、二つの補強板53のうち一方が省略されてもよい。また、二つの補強板53は中心軸51aと非垂直な方向に延在していればよく、中心軸51aに対して傾いていてもよい。また、左側の固定部52から延在する二つの補強板53は、支持部51の周方向において左側の連通部56と重なる。このため、右側の補強板53と同様にして、支持部51の強度が低下することを抑制し得る。
【0046】
図3、
図4に示すように、本実施形態の第1レンズ部材60は、透過する光の発散角を変化させるレンズ部61と、レンズ部61の外周の全体に接続する外周部62とからなる。第1レンズ部材60は、例えば樹脂やガラスから形成され、レンズ部61と外周部62とが一体に形成されている。本実施形態では、レンズ部61は、外形が概ね円形状の凸レンズであり、一方の面61a及び他方の面61bが凸状に湾曲している。外周部62は、筒状の筒壁63と接続板64とからなる。筒壁63は、レンズ部61の厚さ方向に延在し、レンズ部61の外周を囲う。接続板64は、レンズ部61の外周面の全周から外方に向かって延在し、レンズ部61の外周面の全周と筒壁63の内周面の全周とを接続している。
【0047】
このような第1レンズ部材60は、支持部51の開口51h2を挿通可能とされる。本実施形態では、第1レンズ部材60の中心軸に沿って見る場合の当該第1レンズ部材60の外形は、支持部51の開口51h1と概ね相似形状であり、開口51h1より僅かに小さい。なお、第1レンズ部材60の外形は特に制限されるものではない。また、筒壁63におけるレンズ部61の他方の面61b側の端面には、嵌合部としての二つの突起65が形成されている。一方の突起65は、第1レンズ部材60の長尺方向における一方側に位置し、他方の突起65は、第1レンズ部材60の長尺方向における他方側に位置する。本実施形態では、二つの突起65は、第1レンズ部材60の中心軸を含み第1レンズ部材60の長尺方向に延在する平面と交わる。
【0048】
図6は、第1レンズ部材60を概略的に示す背面図であり、第1レンズ部材60をレンズ部61の一方の面61a側から見る図であり、
図6には、第1レンズ部材60の中心軸60aが記載されている。
図6に示すように、接続板64におけるレンズ部61の一方の面61a側の面には、二つの突起66が形成されている。一方の突起66は、第1レンズ部材60の長尺方向における一方側に位置し、上述の支持壁54に形成される一方の貫通孔54hに対応している。他方の突起66は、第1レンズ部材60の長尺方向における他方側に位置し、上述の支持壁54に形成される他方の貫通孔54hに対応している。
【0049】
第1レンズ部材60の外周面である筒壁63の外周面の全体には、所定の凹凸パターンが形成されている。所定の凹凸パターンとしては、例えば、縞状の溝、格子状の溝、シボ加工によって形成される凹凸、サンドブラスト加工によって形成される凹凸等が挙げられる。凹凸パターンにおける凹部の深さや凸部の高さは特に制限されるものではなく、例えば、10μmから1mm程度とすることができる。なお、筒壁63の外周面には、所定の凹凸パターンが非形成であってもよい。
【0050】
図3、
図4に示すように、本実施形態の第2レンズ部材70は、透過する光の発散角を変化させるレンズ部71と、レンズ部71の外周の全体に接続する外周部72とからなる。第2レンズ部材70は、例えば樹脂やガラスから形成され、レンズ部71と外周部72とが一体に形成されている。本実施形態では、レンズ部71は、外形が所定の方向に長尺な概ねオーバルトラック形状の凹レンズであり、一方の面71a及び他方の面71bが凹状に湾曲している。外周部72は、内周面の全周がレンズ部71の外周面の全周に接続する筒状部材である。
【0051】
このような第2レンズ部材70は、支持部51の開口51h2を挿通可能とされる。本実施形態では、第2レンズ部材70の中心軸に沿って見る場合の当該第2レンズ部材70の外形は、第1レンズ部材60と同様に、支持部51の開口51h2と概ね相似形状であり、開口51h1より僅かに小さい。なお、第2レンズ部材70の外形は特に制限されるものではない。また、外周部72におけるレンズ部71の他方の面61b側の端面には、嵌合部としての二つの突起75、及び当接部としての四つの突起76が形成されている。一方の突起75は、第2レンズ部材70の長尺方向における一方側に位置し、他方の突起75は、第2レンズ部材70の長尺方向における他方側に位置する。また、二つの突起76は、第2レンズ部材70の短尺方向における一方側に位置し、他の二つの突起76は、第2レンズ部材70の短尺方向における他方側に位置している。本実施形態では、二つの突起65は、第2レンズ部材70の中心軸を含み第2レンズ部材70の長尺方向に延在する平面と交わる。
【0052】
図7は、第2レンズ部材70を概略的に示す背面図であり、第2レンズ部材70をレンズ部71の一方の面71a側から見る図である。
図7に示すように、外周部72におけるレンズ部71の一方の面71a側の端面には、嵌合部としての孔77及び溝78と、当接部としての四つの突起79が形成されている。孔77は、第2レンズ部材70の長尺方向における一方側に位置し、第1レンズ部材60の嵌合部としての一方の突起65に対応している。溝78は、第2レンズ部材70の長尺方向における他方側に位置し、外周部72の外縁から内側に向かって所定の長さ延在しており、第1レンズ部材60の嵌合部としての他方の突起65に対応している。二つの突起79は、第2レンズ部材70の短尺方向における一方側に位置し、他の二つの突起79は、第2レンズ部材70の短尺方向における他方側に位置している。本実施形態では、これら四つの突起79と四つの突起76とは一対一で対応しており、第2レンズ部材70の中心軸70aに沿って見る場合に、突起79は、対応する突起76と重なる。また、孔77及び溝78は、第2レンズ部材70の中心軸70aを含み第2レンズ部材70の長尺方向に延在する平面と交わる。
【0053】
第2レンズ部材70の外周面である外周部72の外周面の全体には、第1レンズ部材60と同様に、所定の凹凸パターンが形成されている。所定の凹凸パターンとしては、例えば、第1レンズ部材60と同様の凹凸パターンが挙げられる。なお、外周部72の外周面には、所定の凹凸パターンが非形成であってもよい。
【0054】
図3、
図4に示すように、本実施形態の第3レンズ部材80は、透過する光の発散角を変化させるレンズ部81と、レンズ部81の外周の全体に接続する外周部82とからなる。第3レンズ部材80は、例えば樹脂やガラスから形成され、レンズ部81と外周部82とが一体に形成されている。本実施形態では、レンズ部81は、外形が所定の方向に長尺な概ねオーバルトラック形状の凸レンズであり、一方の面81a及び他方の面81bが凸状に湾曲している。外周部82は、レンズ部71の外周面の全周から外方に向かって突出するフランジである。
【0055】
このような第3レンズ部材80は、支持部51の開口51h2を挿通可能とされる。本実施形態では、第3レンズ部材80の中心軸に沿って見る場合の当該第3レンズ部材80の外形は、第1レンズ部材60と同様に、支持部51の開口51h2と概ね相似形状であり、開口51h1より僅かに小さい。なお、第3レンズ部材80の外形は特に制限されるものではない。また、外周部82には、嵌合部として孔87及びスリット88が形成されている。孔87は、第3レンズ部材80の長尺方向における一方側に位置し、第2レンズ部材70の嵌合部としての一方の突起75に対応している。スリット88は、第3レンズ部材80の長尺方向における他方側に位置し、外周部82の外縁から内側に向かって所定の長さ延在しており、第2レンズ部材70の嵌合部としての他方の突起75に対応している。
【0056】
第3レンズ部材80の外周面である外周部82の外周面の全体には、第1レンズ部材60と同様に、所定の凹凸パターンが形成されている。所定の凹凸パターンとしては、例えば、第1レンズ部材60と同様の凹凸パターンが挙げられる。なお、外周部82の外周面には、所定の凹凸パターンが非形成であってもよい。
【0057】
このような第1レンズ部材60、第2レンズ部材70、第3レンズ部材80は、この順でレンズホルダ50の支持部51の開口51h2から支持部51内に挿入され、支持部51に支持される。具体的には、長尺方向が左右方向となり中心軸60aが支持部51の中心軸51aと概ね一致する状態で、第1レンズ部材60を開口51h1から支持部51内に挿入する。そして、第1レンズ部材60をレンズホルダ50の支持壁54側に移動させ、
図4に示すように、突起66を支持壁54に形成される貫通孔54hに嵌め込み、筒壁63の端面を支持壁54に形成される当接部55に当接させる。
【0058】
次に、長尺方向が左右方向となり中心軸70aが支持部51の中心軸51aと概ね一致する状態で、第2レンズ部材70を開口51h1から支持部51内に挿入する。第2レンズ部材70を第1レンズ部材60側に移動させ、第1レンズ部材60の一方の突起66を第2レンズ部材70の孔77に嵌め込ませ、他方の突起66を第2レンズ部材70の溝78に嵌め込ませ、第2レンズ部材70の当接部としての突起79を筒壁63の端面に当接させる。
【0059】
次に、長尺方向が左右方向となり中心軸が支持部51の中心軸51aと概ね一致する状態で、第3レンズ部材80を開口51h1から支持部51内に挿入する。第2レンズ部材70の一方の突起75を第3レンズ部材80の孔87に嵌め込ませ、他方の突起75を第3レンズ部材80のスリット88に嵌め込ませ、第3レンズ部材80の外周部82を当接部としての突起75に当接させる。
【0060】
レンズ部材60,70,80がこのように支持部51内に挿入された状態では、これらレンズ部材60,70,80は、支持部51の中心軸51aに沿って並ぶ。つまり、支持部51は、レンズ部材60,70,80が中心軸51aに沿って並ぶように支持する。本実施形態では、このようにレンズ部材60,70,80が支持部51によって支持された状態において、レンズ部材60,70,80のそれぞれの中心軸は中心軸51aと概ね一致している。第1レンズ部材60のレンズ部61の一方の面61aは開口51h2を横切っている。第1レンズ部材60のレンズ部61の他方の面61bは第2レンズ部材70のレンズ部71の一方の面71aと対向し、第2レンズ部材70のレンズ部71の他方の面71bは第3レンズ部材80のレンズ部81の一方の面81aと対向している。第3レンズ部材80のレンズ部81の他方の面81bは支持部51の外側に位置している。
【0061】
図8は、レンズ部材60,70,80が支持部51に支持された状態を示す図であり、支持部51の中心軸51aと垂直に交わり左側の連通部56の中心56cを通る直線に沿って見る図である。
図8に示すように、本実施形態では、支持部51における左側の連通部56は、これらレンズ部材60,70,80を支持部51から露出させている。また、図示による説明は省略するが、右側の連通部56は、左側の連通部56と同様に、レンズ部材60,70,80を支持部51から露出させている。また、中心軸51aと垂直に交わり左側の連通部56の中心56cを通る直線に沿って見る場合、嵌合部としての孔77と、当該孔77に嵌る嵌合部としての他方の突起65と、嵌合部としての孔87と、当該孔87に嵌る嵌合部としての他方の突起75は、左側の連通部56と重なる。これら孔77、他方の突起65、孔87、他方の突起75は、中心軸51aより右側の連通部56側に位置している。支持部51に支持されるレンズ部材60,70,80は、カバー90によって開口51h1から抜けることを抑制される。
【0062】
本実施形態のカバー90は、支持部51に取り付けられた状態で支持部51の開口51h1の一部を覆うように構成される。
図1から
図4に示すように、本実施形態のカバー90は、弾性を有するとともに、ベース部91、一対の固定部92、及び一対の遮蔽部93を有する。本実施形態では、ベース部91、一対の固定部92、及び一対の遮蔽部93は、金属板を曲げ加工することで一体に形成され、遮光性を有する。なお、カバー90を構成する材料は特に制限されるものではない。例えば、カバー90は、樹脂から形成されてもよい。
【0063】
本実施形態では、ベース部91は、支持部51の外形と概ね相似形状の板状部材であり、ベース部91には、貫通孔91hが形成されている。一対の固定部92及び一対の遮蔽部93は、ベース部91を基準とした一方側において、ベース部91と概ね垂直な方向に延在する板状部材である。一対の固定部92には、貫通孔92hが形成されている。一方の固定部92のベース部91側の端部は、ベース部91の外縁部のうちベース部91の短尺方向の一方側において概ね直線状に延在する部分に接続する。他方の固定部92のベース部91側の端部は、ベース部91の外縁部のうちベース部91の短尺方向の他方側において概ね直線状に延在する部分に接続する。一方の遮蔽部93のベース部91側の端部は、ベース部91の外縁部のうちベース部91の長尺方向の一方側において概ね円弧状に延在する部分に接続する。他方の遮蔽部93のベース部91側の端部は、ベース部91の外縁部のうちベース部91の長尺方向の他方側において概ね円弧状に延在する部分に接続する。
【0064】
カバー90は、固定部92の貫通孔92hに支持部51の突起58が嵌ることで支持部51に取り付けられる。カバー90が支持部51に取り付けられた状態において、開口51h1における外周側をベース部91が覆い、中心軸51aと平行な方向において、ベース部91と第3レンズ部材80の外周部82とが互いに重なる。このため、レンズ部材60,70,80が開口51h1から抜けることが抑制される。また、ベース部91は第3レンズ部材80の外周部82を支持部51の支持壁54側に押圧し、レンズ部材60,70,80は、ベース部91と支持壁54とに挟まれるように保持される。図示による説明は省略するが、支持部51の中心軸51aと平行で第2レンズ部材70の突起79を通る直線のそれぞれは、ベース部91、第3レンズ部材80の外周部82、第2レンズ部材70の突起76、第1レンズ部材60の63、及び支持壁54の当接部55を通る。このため、ベース部91と支持壁54とによって挟むようにレンズ部材60,70,80を保持する際に、レンズ部材60,70,80が中心軸51aに対して傾くことが抑制される。
【0065】
また、カバー90が支持部51に取り付けられた状態で、一方の遮蔽部93は、支持部51の外方から一方の連通部56を覆い、他方の遮蔽部93は、支持部51の外方から他方の連通部56を覆う。このため、カバー90が遮蔽部93を有さない場合と比べて、連通部56を介して支持部51内に埃や塵等が入ることを抑制し得る。また、カバー90が支持部51に取り付けられた状態で、それぞれの遮蔽部93は、支持部51の溝57に入り込んでいる。このため、支持部51の外周面から遮蔽部93が突出することが抑制されている。また、それぞれの遮蔽部93は、支持部51における連通部56の縁に沿った縁部の全体を覆っている。
【0066】
図2、
図3に示すように、このようなレンズユニット40は、左右の固定部52の貫通孔52h1,52h2にヒートシンク20のボス23,23が挿入されるようにベース板21の前面に載置され、ねじ95が固定部52の貫通孔52h2に挿入されてねじ孔24に締結されることで、ヒートシンク20に固定される。
図4に示すように、レンズユニット40がヒートシンク20に固定された状態では、支持部51の中心軸51aが光源部30の発光部32を通る。つまり、中心軸51aが発光部32を通るように、レンズホルダ50が構成されている。そして、光源部30から出射される光Lは、第1レンズ部材60、第2レンズ部材70、第3レンズ部材80の順にこれらレンズ部材60,70,80におけるレンズ部61,71,81を透過し、当該光Lの発散角が調整される。レンズ部材60,70,80によって発散角が調節された光Lがフロントカバー12を介して車両用灯具1から車両の前方へ向けて出射する。本実施形態では、光源部30から出射される光Lの配光パターンが、車両の前方に所定距離離れた仮想平面上において所定の大きさの所定の配光パターンとなって投影されるように、レンズ部材60,70,80におけるレンズ部61,71,81の形状が調整されている。
【0067】
以上説明したように、本実施形態のレンズユニット40は、透過する光の発散角を変化させるレンズ部61,71,81を有する複数のレンズ部材60,70,80と、レンズホルダ50と、を備える。レンズホルダ50は、前端の開口51h2が複数のレンズ部材60,70,80のそれぞれを挿通可能な筒状の支持部51を有する。支持部51は、複数のレンズ部材60,70,80を支持部51の中心軸51aに沿って並ぶように支持する。支持部51の側壁には、当該支持部51の内側と外側とを連通し、レンズ部材60,70,80の外周部62,72,82を支持部51から露出させる連通部56が形成されている。このため、本実施形態のレンズユニット40では、連通部56から露出するレンズ部材60,70,80を支持部51に支持させる際、例えば連通部56を介してレンズ部材60,70,80の外周部62,72,82を工具や作業者の指で押すなどして移動させ得る。このため、本実施形態のレンズユニット40によれば、連通部56が非形成の場合と比べて、レンズ部材60,70,80を支持部51内の所定の位置に支持させやすく、組立が容易になり得る。
【0068】
また、本実施形態では、三つのレンズ部材60,70,80の外周部62,72,82が連通部56から露出する。このため、露出する三つのレンズ部材60,70,80の相対的な位置を所定の位置にし易く、組立がより容易になり得る。
【0069】
また、本実施形態では、連通部56は、支持部51の前端から後端に向かって延びるスリットである。例えばレンズ部材60,70,80を把持する工具や作業者の指がスリットである連通部56を通るようにすることで、レンズ部材60,70,80を把持した状態でレンズ部材60,70,80を前端の開口51h1から支持部51内に挿入して移動させ得る。このため、本実施形態のレンズユニット40によれば、組立がより容易になり得る。
【0070】
また、本実施形態では、連通部56は、中心軸51aを挟む所定方向の両側であり、中心軸51aと垂直な左右方向における支持部51の側壁の両側にそれぞれ形成されている。このため、例えばそれぞれの連通部56に工具や作業者の指を挿入することで、レンズ部材60,70,80を幅方向に挟んで把持して移動させ得る。このため、本実施形態のレンズユニット40によれば、組立がより容易になり得る。
【0071】
また、本実施形態では、上記のように二つの連通部56が形成され、更に、支持部51の中心軸51aに沿って見る場合におけるレンズ部材60,70,80の形状は、上記の所定方向に長尺である。また、それぞれの連通部56は支持部51からレンズ部材60,70,80を露出させている。レンズ部材を長尺な方向に挟む場合、短尺な方向に挟む場合と比べて、レンズ部材が厚さ方向に傾きにくくし得る。このため、本実施形態のレンズユニット40によれば、レンズ部材60,70,80の形状が上記の所定方向に短尺である場合と比べて、レンズ部材60,70,80を支持部51内で移動させ易くし得る。
【0072】
また、本実施形態では、レンズ部材60,70,80の外周面の全体には、所定の凹凸パターンが形成されている。このため、レンズ部材60,70,80における所定の凹凸パターンは、それぞれの連通部56から露出している。このため、所定の凹凸パターンが形成されない場合と比べて、レンズ部材60,70,80を幅方向に挟んで把持し易い。なお、レンズ部材を把持し易くする観点では、支持部51に二つの連通部56が形成され、レンズ部材60,70,80の少なくとも一つにおける外周面は所定の凹凸パターンが形成される領域を有し、当該領域が連通部56から露出していればよい。例えば、レンズ部材60の外周面の一部に凹凸パターンが形成され、凹凸パターンが形成される領域がそれぞれの連通部56から露出していてもよい。
【0073】
また、本実施形態では、
図4に示すように、互いに隣接するレンズ部材の組である第1レンズ部材60と第2レンズ部材70との組おける第1レンズ部材60には、嵌合部としての突起65,65が設けられ、第2レンズ部材70には、嵌合部としての孔77及び溝78が設けられる。孔77と一方の突起65とが互いに嵌合し、溝78と他方の突起65とが嵌合する。つまり、第1レンズ部材60と第2レンズ部材70との組には互いに嵌合する嵌合部が設けられている。このため、これら孔77、溝78、突起65,65が設けられない場合と比べて、第1レンズ部材60と第2レンズ部材70との相対的な位置がずれることを抑制し得る。また、
図8に示すように、溝78及び溝78に嵌る一方の突起65は、中心軸51aと垂直に交わり左側の連通部56の中心56cを通る直線に沿って見る場合に、左側の連通部56と重なるとともに、中心軸51aより左側の連通部56側に位置する。このため、本実施形態のレンズユニット40によれば、このように見る場合に溝78及び一方の突起65が左側の連通部56と重ならない場合や、溝78及び一方の突起65が中心軸51aより左側の連通部56側と反対側に位置する場合と比べて、左側の連通部56を介して溝78及び一方の突起65を視認し易くし得る。このため、溝78に一方の突起65を嵌め易くし得る。また、図示による説明は省略するが、孔77及び孔77に嵌る他方の突起65は、中心軸51aと垂直に交わり右側の連通部56の中心を通る直線に沿って見る場合に、右側の連通部56と重なるとともに、中心軸51aより右側の連通部56側に位置する。このため、溝78及び一方の突起65と同様に、右側の連通部56を介して孔77及び他方の突起65を視認し易くし得、孔77に他方の突起65を嵌め易くし得る。
【0074】
また、本実施形態では、
図4に示すように、互いに隣接するレンズ部材の別の組である第2レンズ部材70と第3レンズ部材80との組における第2レンズ部材70には、嵌合部としての突起75,75が設けられ、第3レンズ部材80には、嵌合部としての孔87及びスリット88が設けられる。孔87と一方の突起75とが互いに嵌合し、スリット88と他方の突起75とが嵌合する。つまり、第2レンズ部材70と第3レンズ部材80との組には互いに嵌合する嵌合部が設けられている。このため、これら孔87、スリット88、突起75,75が設けられない場合と比べて、第2レンズ部材70と第3レンズ部材80との相対的な位置がずれることを抑制し得る。また、
図8に示すように、スリット88及びスリット88に嵌る一方の突起75は、中心軸51aと垂直に交わり左側の連通部56の中心56cを通る直線に沿って見る場合に、左側の連通部56と重なるとともに、中心軸51aより左側の連通部56側に位置する。このため、本実施形態のレンズユニット40によれば、このように見る場合にスリット88及び一方の突起75が左側の連通部56と重ならない場合や、スリット88及び一方の突起75が中心軸51aより左側の連通部56側と反対側に位置する場合と比べて、左側の連通部56を介して溝78及び一方の突起65を視認し易くし得る。このため、溝78に一方の突起65を嵌め易くし得る。また、図示による説明は省略するが、孔87及び孔87に嵌る他方の突起65は、中心軸51aと垂直に交わり右側の連通部56の中心を通る直線に沿って見る場合に、右側の連通部56と重なるとともに、中心軸51aより右側の連通部56側に位置する。このため、スリット88及び一方の突起75と同様に、右側の連通部56を介して孔87及び他方の突起75を視認し易くし得、孔87に他方の突起75を嵌め易くし得る。
【0075】
また、本実施形態では、
図8に示すように、溝78、溝78に嵌る一方の突起65、スリット88、及びスリット88に嵌る一方の突起75は、左側の連通部56から露出する。従って、左側の連通部56を介して溝78、一方の突起65、スリット88、及び一方の突起75を、より視認し易くし得、これらを嵌合させ易くし得る。
【0076】
また、本実施形態のレンズユニット40は、支持部51に取り付けられた状態で支持部51の外方から連通部56を覆う遮蔽部93を有するカバー90を更に備え、支持部51及び遮蔽部93は、遮光性を有する。このため、光源部30から出射してレンズ部材60,70,80のレンズ部61,71,81に入射する光Lの一部が連通部56を介して支持部51の外方に漏洩することを抑制し得る。
【0077】
また、本実施形態では、遮蔽部93は、支持部51における連通部56の縁に沿った縁部の全体を覆っている。遮蔽部93がこの縁部を覆わない場合と比べて、光Lの一部が支持部51の外方に漏洩することをより抑制し得る。なお、光Lの一部が漏洩することをより抑制する観点では、遮蔽部93は、支持部51における連通部56の縁に沿った縁部の一部を覆っていればよく、例えば、遮蔽部93の縁の一部が連通部56の縁に沿っていてもよい。
【0078】
また、本実施形態では、
図8に示すように、中心軸51aと垂直に交わり連通部56の中心56cを通る直線に沿って見る場合に、連通部56から露出するレンズ部材60,70の外周部62,72における厚さ方向の両側の外周縁62e,72eが連通部56を横切る。このため、例えば連通部56を介してレンズ部材60,70の外周部62,72を工具や作業者の指で厚さ方向に挟んで把持して移動させ得る。なお、本実施形態では、第3レンズ部材80の外周部82における第2レンズ部材70側の外周縁82eが連通部56を横切り他方側の外周縁82eは開口51h1から僅かに外に出ている。
【0079】
以上、本発明について、上記実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0080】
例えば、上記実施形態では、車両用灯具1は、前照灯とされたが、特に制限されるものではない。例えば、車両用灯具1は、画像を構成する光を路面等の被照射体に照射するものとされてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、支持部51に取り付けられた状態で支持部51の外方から連通部56を覆う遮蔽部93を有するカバー90を例に説明した。しかし、遮蔽部93はカバー90と別体とされ、支持部51に取り付けられてもよい。また、レンズユニット40は、遮蔽部93を有さなくてもよい。この場合、光源部30から出射してレンズ部材60,70,80のレンズ部61,71,81に入射する光Lの一部を連通部56からレンズユニット40の外方へ出射し得、意匠性を向上し得る。なお、このように光によって意匠性を向上する観点では、遮蔽部93が光透過性を有していてもよい。また、この観点では、レンズ部材60,70,80の少なくとも一つにおける外周面が、上記の所定の凹凸パターンが形成されている領域を有し、この領域が連通部56から露出していてもよい。この場合、この凹凸パターンを調節することで、連通部56を介して出射する光の出射方向や拡散状態を調節し得、意匠性をより向上し得る。
【0082】
また、上記実施形態では、三つのレンズ部材60,70,80を支持する支持部51を例に説明した。しかし、支持部51は複数のレンズ部材を支持すればよく、例えば、支持部51は二つのレンズ部材を支持してもよい。また、上記実施形態では、三つのレンズ部材60,70,80を露出させる連通部56を例に説明したが、連通部56は少なくとも一つのレンズ部材を露出させればよい。この場合、連通部56から露出するレンズ部材の外周部を工具や作業者の指で押すなどして移動させ得る。なお、少なくとも二つのレンズ部材が露出していることがより好ましい。このような構成にすることで、露出する少なくとも二つのレンズ部材の相対的な位置を所定の位置にし易く、組立がより容易になり得る。
【0083】
また、上記実施形態では、カバー90を備えるレンズユニット40を例に説明したが、レンズユニット40はカバー90を備えなくてもよい。この場合、例えば、第3レンズ部材80が他端側から一端側に向かう方向に移動することを規制する部材を支持部51に設ける。この部材の構成としては、例えば、中心軸51aに沿う方向において第3レンズ部材80よりも開口51h1側に位置し、支持部51の内周面から突出する突起が挙げられる。このようにすることで、第3レンズ部材80が開口51h1から抜けることを抑制し得る。
【0084】
また、上記実施形態では、レンズ部61,71,81と外周部62,72,82とからなるレンズ部材60,70,80を例に説明した。しかし、レンズ部材60,70,80はレンズ部61,71,81を有していればよく、例えば、レンズ部61,71,81のみから構成されてもよい。この場合、レンズ部材60,70,80の外周部であるレンズ部61,71,81の外周部が連通部56から露出する。また、外周部62,72,82は、レンズ部61,71,81の周方向において断続的に設けられてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、第1レンズ部材60と第2レンズ部材70との組における互いに嵌合し合う嵌合部は、突起65と孔77との構成と、突起65と溝78との構成であった。また、第2レンズ部材70と第3レンズ部材80との組における互いに嵌合し合う嵌合部は、突起75と孔87との構成と、突起75とスリット88との構成であった。しかし、互いに嵌合し合う嵌合部の構成は特に制限されるものではない。また、レンズ部材60,70,80は嵌合部を有していなくてもよい。
【0086】
本発明によれば、組立を容易にし得るレンズユニット及び車両用灯具が提供され、自動車等の車両用灯具などの分野において利用可能である。