(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】原発性胆汁性肝硬変を診断するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
C07K 14/47 20060101AFI20241226BHJP
G01N 33/564 20060101ALI20241226BHJP
C07K 17/00 20060101ALI20241226BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20241226BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20241226BHJP
C12Q 1/6876 20180101ALN20241226BHJP
C07K 16/18 20060101ALN20241226BHJP
【FI】
C07K14/47
G01N33/564 Z ZNA
C07K17/00
G01N33/53 N
C12N15/12
C12Q1/6876 Z
C07K16/18
(21)【出願番号】P 2022579895
(86)(22)【出願日】2022-01-07
(86)【国際出願番号】 US2022011529
(87)【国際公開番号】W WO2022150536
(87)【国際公開日】2022-07-14
【審査請求日】2023-03-15
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509024123
【氏名又は名称】イノヴァ ダイアグノスティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ノーマン,ゲイリー,エル.
(72)【発明者】
【氏名】マーラー,マイケル
【審査官】松原 寛子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0057170(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00-19/00
G01N 33/564
G01N 33/53
C12N 15/00-15/90
C12Q 1/68
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号25のアミノ酸配列
から成るKelch様12(KLHL12)フラグメント
から成る抗KLHL12抗体に特異的な検出プローブ
を含むキット。
【請求項2】
前記KLHL12フラグメントは、抗KLHL12抗体に特異的に結合し、前記結合は、25以下の信号対雑音比の標準スコア(ZS)を示す、請求項1
に記載のキット。
【請求項3】
前記検出プローブは、抗体、抗体特異的結合ポリペプチド又は抗体若しくは抗体特異的結合ポリペプチドの機能的フラグメントを含む、請求項1
又は2に記載のキット。
【請求項4】
前記抗体又はその機能フラグメントは、抗IgGを含むか、あるいは、前記抗体特異的結合ポリペプチド又はその機能的フラグメントは、Aタンパク質又はGタンパク質を含む、請求項
3に記載のキット。
【請求項5】
前記検出プローブは、蛍光体、酵素、化学発光性部分、放射性部分、有機色素、小分子、リガンド及び粒子からなる群から選択されるレポータータグを更に含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載のキット。
【請求項6】
固体支持体、対照又は補助試薬を更に含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載のキット。
【請求項7】
(i)前記固体支持体は、ビーズ、球体、粒子、膜、チップ、スライド、プレート、ウェル及び試験管からなる群から選択され、
(ii)前記対照は、配列番号1~25からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドに特異的な抗体又はその機能的フラグメントを含み、そして/あるいは
(iii)前記補助試薬は、インキュベーション緩衝液、洗浄緩衝液、検出緩衝液及び検出機器からなる群から選択される、請求項
6に記載のキット。
【請求項8】
前記1つ以上の単離ポリペプチドは、前記固体支持体にコンジュゲートされる、請求項1~
7のいずれか一項に記載のキット。
【請求項9】
(a)生体試料を、配列番号25のアミノ酸配列
から成るKelch様12(KLHL12)フラグメント
から成る抗KLHL12抗体に特異的な検出プローブ
と接触させることと、
(b)前記検出プローブを用いて、前記生体試料中で抗KLHL12抗体の存在を検出することであって、前記結合された抗KLHL12抗体の前記存在は、PBCを示す、検出することと
を含む方法。
【請求項10】
前記試料が、PBCを有することが疑われる対象由来であるか、又は既知のPBC自己抗体について血清陰性である対象由来である、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記KLHL12フラグメントは、抗KLHL12抗体に特異的に結合し、前記結合は、25以下の信号対雑音比の標準スコア(ZS)を示す、請求項
9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記生体試料は、全血、血漿、血清、痰又は胆汁を含む、請求項
9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
配列番号25のアミノ酸配列
から成るKelch様12(KLHL12)フラグメント
。
【請求項14】
前記KLHL12フラグメントは、抗KLHL12抗体に特異的に結合し、前記結合は、25以下の信号対雑音比の標準スコア(ZS)を示す、請求項
13に記載の
KLHL12フラグメント。
【請求項15】
前記
KLHL12フラグメントは、固体支持体にコンジュゲートされる、請求項
13又は14に記載の
KLHL12フラグメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年1月8日出願の米国特許出願第63/135,469号の利益を主張する。
【0002】
電子的に提出された配列表の参照
[0002] 本出願は、ファイル名が「13510-035-228_SEQ_LISTING.txt」であり、作成日が2022年1月2日であり、6,613バイトのサイズを有する、ASCIIフォーマット配列表としてEFS-Webを介して電子的に提出された配列表を含む。EFS-Webを介して提出された配列表は、本明細書の一部であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
分野
[0003] 本開示は、自己免疫疾患の分野に関し、より詳細には、原発性胆汁性肝硬変を診断するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
[0004] 現在では原発性胆汁性胆管炎として知られる原発性胆汁性肝硬変(PBC)は、肝臓の慢性炎症性自己免疫疾患である。PBCは、肝臓中の胆管の進行性損傷を特徴とする。近年の研究により、PBCのバイオマーカーとして使用可能な循環自己抗体の存在が特定された。Norman et al., Liver Int., 35 (2): 642-651 (2015);Hirschfield et al., Annu Rev Pathol., 8: 303-330 (2013);Bogdanos et al., Dig Dis., 30 Suppl 1: 20-31 (2012)を参照されたい。しかしながら、PBC患者の下位集団は、既知の自己抗体について血清学的に陰性のままであり、より進行した疾患が形成されるまで診断が確定されない。したがって、更なる自己抗体種を検出するか、又は診断の精度若しくは感度を向上させる新規の及び/又はより特異的なバイオマーカーに対する必要性が存在する。本開示は、この必要性に対処し、関連する利益も提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
[0005] いくつかの実施形態では、本開示は、Kelch様12(KLHL12)フラグメントを含む単離ポリペプチドを提供する。KLHL12フラグメントは、配列番号1~25からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、アミノ酸配列は、最初に記載のアミノ酸残基から開始する。
【0006】
[0006] いくつかの実施形態では、KLHL12フラグメントは、15~622個のアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、KLHL12フラグメントは、15、20、25、30、35、40、45又は50個のアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、KLHL12フラグメントは、15個のアミノ酸残基である。
【0007】
[0007] いくつかの実施形態では、KLHL12フラグメントは、天然源からの単離、化学合成又は組み換え発現を含む方法によって得られる。
【0008】
[0008] いくつかの実施形態では、KLHL12フラグメントは、固体支持体を含む。いくつかの実施形態では、固体支持体は、ビーズ、球体、粒子、膜、チップ、スライド、プレート、ウェル及び試験管からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ビーズ、球体又は粒子は、マイクロメートル又はナノメートルの寸法を含む。いくつかの実施形態では、膜は、ニトロセルロース、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリ二フッ化ビニリデンからなる群から選択される。
【0009】
[0009] いくつかの実施形態では、KLHL12フラグメントは、抗KLHL12抗体に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗KLHL12抗体は、自己抗体を含む。いくつかの実施形態では、結合は、25以下の信号対雑音比の標準スコア(ZS)を示す。
【0010】
[0010] いくつかの実施形態では、本開示は、キットを提供する。キットは、(a)配列番号1~25からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するKLHL12フラグメントを含む1つ以上の単離ポリペプチドであって、アミノ酸配列は、最初に記載のアミノ酸残基から開始する、1つ以上の単離ポリペプチドと、(b)抗KLHL12抗体に特異的な検出プローブとを含む。
【0011】
[0011] いくつかの実施形態では、キットにおけるKLHL12フラグメントは、15~622個のアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、キットにおけるKLHL12フラグメントは、15、20、25、30、35、40、45又は50個のアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、キットにおけるKLHL12フラグメントは、15個のアミノ酸残基である。
【0012】
[0012] いくつかの実施形態では、キットにおけるKLHL12フラグメントは、抗KLHL12抗体に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗KLHL12抗体は、自己抗体を含む。いくつかの実施形態では、KLHL12フラグメントと抗KLHL12抗体との間の結合は、25以下の信号対雑音比の標準スコア(ZS)を示す。
【0013】
[0013] いくつかの実施形態では、キットにおけるKLHL12フラグメントは、天然源からの単離、化学合成又は組み換え発現を含む方法によって得られる。
【0014】
[0014] いくつかの実施形態では、検出プローブは、抗体、抗体特異的結合ポリペプチド又は抗体若しくは抗体特異的結合ポリペプチドの機能的フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその機能フラグメントは、抗IgGを含む。いくつかの実施形態では、抗体特異的結合ポリペプチド又はその機能的フラグメントは、Aタンパク質又はGタンパク質を含む。
【0015】
[0015] いくつかの実施形態では、検出プローブは、レポータータグを更に含む。いくつかの実施形態では、レポータータグは、標識である。いくつかの実施形態では、標識は、蛍光体、酵素、化学発光性部分、放射性部分、有機色素及び小分子からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、標識は、蛍光標識である。いくつかの実施形態では、蛍光標識は、フィコエリセリン(PE)、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼである。
【0016】
[0016] いくつかの実施形態では、レポータータグは、リガンド又は粒子を含む。いくつかの実施形態では、リガンドは、ビオチンである。いくつかの実施形態では、粒子は、ナノ粒子を含む。
【0017】
[0017] いくつかの実施形態では、キットは、固体支持体、対照又は補助試薬を更に含む。
【0018】
[0018] いくつかの実施形態では、固体支持体は、ビーズ、球体、粒子、膜、チップ、スライド、プレート、ウェル及び試験管からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ビーズ、球体又は粒子は、マイクロメートル又はナノメートルの寸法を含む。いくつかの実施形態では、膜は、ニトロセルロース、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリ二フッ化ビニリデンからなる群から選択される。
【0019】
[0019] いくつかの実施形態では、キットにおける1つ以上の単離ポリペプチドは固体支持体にコンジュゲートされる。
【0020】
[0020] いくつかの実施形態では、対照は、配列番号1~25からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する単離ポリペプチドに特異的な抗体又はその機能的フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその機能的フラグメントは、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体から選択される。
【0021】
[0021] いくつかの実施形態では、補助試薬は、インキュベーション緩衝液、洗浄緩衝液、検出緩衝液及び検出機器からなる群から選択される。
【0022】
[0022] いくつかの実施形態では、本開示は、PBCを診断する方法を提供する。方法は、(a)PBCを有することが疑われる対象由来の生体試料を、配列番号1~25からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するKLHL12フラグメントを含む1つ以上の単離ポリペプチドと接触させることと、(b)生体試料中で抗KLHL12抗体の存在を検出することであって、結合された抗KLHL12抗体の存在は、PBCを示す、検出することとを含む。
【0023】
[0023] いくつかの実施形態では、方法におけるKLHL12フラグメントは、15~622個のアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、方法におけるKLHL12フラグメントは、15、20、25、30、35、40、45又は50個のアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、方法におけるKLHL12フラグメントは、15個のアミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、方法におけるKLHL12フラグメントのアミノ酸配列は、最初に記載のアミノ酸残基から開始する。
【0024】
[0024] いくつかの実施形態では、方法におけるKLHL12フラグメントは、抗KLHL12抗体に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗KLHL12抗体は、自己抗体を含む。いくつかの実施形態では、KLHL12フラグメントと抗KLHL12抗体との間の結合は、25以下の信号対雑音比の標準スコア(ZS)を示す。
【0025】
[0025] いくつかの実施形態では、方法におけるKLHL12フラグメントは、天然源からの単離、化学合成又は組み換え発現を含む方法によって得られる。
【0026】
[0026] いくつかの実施形態では、生体試料は、全血、血漿、血清、痰又は胆汁を含む。いくつかの実施形態では、生体試料は、血清、血漿又は痰を含む。
【0027】
[0027] いくつかの実施形態では、検出は、イムノアッセイを含む。いくつかの実施形態では、イムノアッセイは、蛍光免疫吸着アッセイ(FIA)、化学発光イムノアッセイ(CIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、マルチプレックスイムノアッセイ、タンパク質/ペプチドアレイイムノアッセイ、固相ラジオイムノアッセイ(SPRIA)、間接免疫蛍光アッセイ(IIF)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)及び粒子ベース多検体試験(PMAT)又はドットブロットアッセイからなる群から選択される。
【0028】
[0028] いくつかの実施形態では、検出は、(a)抗KLHL12抗体を、抗KLHL12抗体に特異的な検出プローブと接触させることと、(b)検出プローブの特異的結合を検出することとを含む。いくつかの実施形態では、検出プローブは、抗体、抗体特異的結合ポリペプチド又は抗体若しくは抗体特異的結合ポリペプチドの機能的フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその機能フラグメントは、抗IgGを含む。いくつかの実施形態では、抗体特異的結合ポリペプチド又はその機能的フラグメントは、Aタンパク質又はGタンパク質を含む。
【0029】
[0029] いくつかの実施形態では、検出プローブは、レポータータグを含む。いくつかの実施形態では、レポータータグは、標識である。いくつかの実施形態では、標識は、蛍光体、酵素、化学発光性部分、放射性部分、有機色素及び小分子からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、標識は、蛍光標識である。いくつかの実施形態では、蛍光標識は、フィコエリセリン(PE)、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリ性ホスファターゼである。
【0030】
[0030] いくつかの実施形態では、レポータータグは、リガンド又は粒子を含む。いくつかの実施形態では、リガンドは、ビオチンである。いくつかの実施形態では、粒子は、ナノ粒子を含む。
【0031】
[0031] いくつかの実施形態では、検出は、固体支持体上で実施される。いくつかの実施形態では、固体支持体は、ビーズ、球体、粒子、膜、チップ、スライド、プレート、ウェル及び試験管からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ビーズ、球体又は粒子は、マイクロメートル又はナノメートルの寸法を含む。いくつかの実施形態では、膜は、ニトロセルロース、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリ二フッ化ビニリデンからなる群から選択される。
【0032】
[0032] いくつかの実施形態では、本開示は、既知のPBC自己抗体について血清陰性である対象においてPBCを診断する方法を提供する。方法は、(a)既知のPBC自己抗体について血清陰性である対象由来の生体試料を、配列番号1~25からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するKLHL12フラグメントを含む1つ以上の単離ポリペプチドと接触させることと、(b)生体試料中において、1つ以上の単離ポリペプチドに結合された抗KLHL12抗体の存在を検出することであって、結合された抗KLHL12抗体の存在は、PBCを示す、検出することとを含む。
【0033】
[0033] いくつかの実施形態では、対象は、無症状性である。
【0034】
[0034] いくつかの実施形態では、既知のPBC自己抗体は、抗ミトコンドリア抗体(AMA)、抗核抗体(ANA)、抗多核ドット(MND)自己抗体、抗核小体(NB)自己抗体、抗ヘキソキナーゼ1(HK1)抗体及び抗Kelch様12(KLHL12)抗体からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、既知のPBC自己抗体は、M2ミトコンドリア自己抗体、gp230自己抗体、ヌクレオポリンp62自己抗体、ラミンB受容体自己抗体、前骨髄球性白血病タンパク質(PML)自己抗体、抗sp100(斑点状)抗体、抗gp210、抗セントロメア、抗97/VCP、抗好酸球ペルオキシダーゼ(抗EPO)、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体E2サブユニット(PDC-E2)自己抗体、分岐鎖2-オキソ酸デヒドロゲナーゼ複合体(BCOADC-E2)自己抗体、2-オキソ-グルタル酸デヒドロゲナーゼ複合体(OGDC-E2)自己抗体及びNDP52自己抗体からなる群から選択される。
【0035】
[0035] いくつかの実施形態では、方法におけるKLHL12フラグメントは、15~622個のアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、方法におけるKLHL12フラグメントは、15、20、25、30、35、40、45又は50個のアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、方法におけるKLHL12フラグメントは、15個のアミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、方法におけるKLHL12フラグメントのアミノ酸配列は、最初に記載のアミノ酸残基から開始する。
【0036】
[0036] いくつかの実施形態では、方法におけるKLHL12フラグメントは、抗KLHL12抗体に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗KLHL12抗体は、自己抗体を含む。いくつかの実施形態では、KLHL12フラグメントと抗KLHL12抗体との間の結合は、25以下の信号対雑音比の標準スコア(ZS)を示す。
【0037】
[0037] いくつかの実施形態では、方法における1つ以上の単離ポリペプチドは、天然源からの単離、化学合成又は組み換え発現を含む方法によって得られる。
【0038】
[0038] いくつかの実施形態では、生体試料は、全血、血漿、血清、痰又は胆汁を含む。いくつかの実施形態では、生体試料は、血清、血漿又は痰を含む。
【0039】
[0039] いくつかの実施形態では、検出は、イムノアッセイを含む。いくつかの実施形態では、イムノアッセイは、蛍光免疫吸着アッセイ(FIA)、化学発光イムノアッセイ(CIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、マルチプレックスイムノアッセイ、タンパク質/ペプチドアレイイムノアッセイ、固相ラジオイムノアッセイ(SPRIA)、間接免疫蛍光アッセイ(IIF)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)及び粒子ベース多検体試験(PMAT)又はドットブロットアッセイからなる群から選択される。
【0040】
[0040] いくつかの実施形態では、検出は、(a)抗KLHL12抗体を、抗KLHL12抗体に特異的な検出プローブと接触させることと、(b)検出プローブの特異的結合を検出することとを含む。
【0041】
[0041] いくつかの実施形態では、検出プローブは、抗体、抗体特異的結合ポリペプチド又は抗体若しくは抗体特異的結合ポリペプチドの機能的フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその機能フラグメントは、抗IgGを含む。いくつかの実施形態では、抗体特異的結合ポリペプチド又はその機能的フラグメントは、Aタンパク質又はGタンパク質を含む。
【0042】
[0042] いくつかの実施形態では、検出プローブは、レポータータグを含む。いくつかの実施形態では、レポータータグは、標識である。いくつかの実施形態では、標識は、蛍光体、酵素、化学発光性部分、放射性部分、有機色素及び小分子からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、標識は、蛍光標識である。いくつかの実施形態では、蛍光標識は、フィコエリセリン(PE)、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリ性ホスファターゼである。
【0043】
[0043] いくつかの実施形態では、レポータータグは、リガンド又は粒子を含む。いくつかの実施形態では、リガンドは、ビオチンである。いくつかの実施形態では、粒子は、ナノ粒子を含む。
【0044】
[0044] いくつかの実施形態では、検出は、固体支持体上で実施される。いくつかの実施形態では、固体支持体は、ビーズ、球体、粒子、膜、チップ、スライド、プレート、ウェル及び試験管からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ビーズ、球体又は粒子は、マイクロメートル又はナノメートルの寸法を含む。いくつかの実施形態では、膜は、ニトロセルロース、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリ二フッ化ビニリデンからなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図面の簡単な説明
【
図1】[0045]KLHL12タンパク質のエピトープマッピングマイクロアレイスキャン結果の信号強度分析又は信号対雑音比分析のいずれかに基づく様々なKelch様12(KLHL12)フラグメントの分類を示す。高い信号強度又は高い信号対雑音比を有するペプチドが更に選択され、合成され、ELISA及びビーズ系技術を含むいくつかの固相アッセイを介して評価される。
【
図2】[0046]KLHL12フラグメントP2623-1(四角)、KLHL12フラグメントP2738-1(三角)及び商業的に産生した環状シトルリン化ペプチド(CCP)(菱形)の受信者動作特性(ROC)分析を示し、抗KLHL12抗体に特異的に結合するそれぞれの能力を例示する。P2623-1及びP2738-1のアミノ酸配列は、いずれも配列番号1である。その違いは、P2623-1が配列番号1のC末端においてビオチンで標識され、Costar高結合性マイクロウェルプレートに結合し、P2938-1が配列番号1のN末端において標識され、Inovaストレプトアビジンコーティングプレートに結合することである。CCPは、リウマチ関節炎を患う多くの患者に存在する抗体に対する抗原である。本明細書で使用するCCPコーティングプレートは、QUANTA Lite(登録商標)CCP3 IgG ELISAキット(Inova Diagnostics, San Diego, CA)から入手される。各マーカーの曲線下面積(AUC)は、図の凡例において示される。
【
図3】[0047]KLHL12フラグメントP2623-1(暗灰色)、KLHL12フラグメントP2738-1(黒)及びAbnova KLHL12(薄灰色)のROC分析を示し、抗KLHL12抗体に特異的に結合するそれぞれの能力を示す。
図3で用いられるKLHL12フラグメントP2623-1及びP2738-1は、
図2で用いられるものと同じである。Abnova KLHL12は、N末端にGSTタグを有する完全長の組み換えKLHL12タンパク質である。これは、Abnova Corporation(Taipei, Taiwan)から商業的に入手される。AUCは、図の凡例において丸括弧内に示される。
【
図4】[0048]ベン図を用いて抗MIT3、抗HK-1及び抗KLHL12抗体試験の重複を示す。抗MIT3抗体試験に抗HK-1及び抗KLHL12抗体試験を加えることで、原発性胆汁性肝硬変(PBC)を検出する感度は、試料のコホートについて、抗MIT3のみの85.0%から、抗MIT3と、抗HK-1と、抗KLHL12との組み合わせの90.8%に増加した。KL-pは、アッセイで使用されるKLHL12フラグメントを指す。
【
図5】[0049]PBCを患うフランス人患者のコホートにおける自己免疫肝疾患関連抗体の頻度及び重複を示す。KL-pは、アッセイで使用されるKLHL12フラグメントを指す。
【
図6】[0050]PBCを患う8名のMIT3陰性患者における抗HK-1、抗KLHL12、抗gp210、抗sp100、抗SLA及び抗LC1抗体の保有率を示す。KL-pは、アッセイで使用されるKLHL12フラグメントを指す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
詳細な説明
[0051] 本開示は、KLHL12タンパク質に対する自己抗体に特異的であり、現在では原発性胆汁性胆管炎として知られる原発性胆汁性肝硬変(PBC)の指標としての抗KLHL12抗体を検出するために使用され得るKelch様12(KLHL12)エピトープの発見に部分的に基づく。したがって、本開示は、例えば、PBCの既知のバイオマーカーに対して血清陰性である対象におけるものなどのPBCの存在を示す抗KLHL12抗体の特異的検出により、PBC対象に利益をもたらす。更に、こうした利益により、PBCのリスクがある対象又は早期PBCの対象が、疾患の進行及び関連する症状を予防又は低減することが可能となる。
【0047】
[0052] 本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、内容がそうでない旨を明確に示さない限り、複数の指示対象も包含することに留意されたい。
【0048】
[0053] 本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、数値の範囲が提供される場合、その範囲は、範囲を定義する数を含むものと理解されることにも留意されたい。内容がそうでない旨を明確に示さない限り、例えば、選択された介在整数の単位のうちの10個に1個又は列挙される範囲の下限を含む列挙される範囲及びその一部内の各介在整数は、本開示の範囲に含まれることが意図されることも理解されるであろう。
【0049】
[0054] 本明細書で使用するとき、用語「含む」、「含んでいる」、「包含する」、「包含している」、「有する」、「有している」、「含有する」、「含有している」及びこれらの任意の変化形は、非排他的な包含を網羅することを意図し、そのため、要素又は要素の一覧を含むか、有するか又は含有するプロセス、方法、プロダクトバイプロセス又は物質組成は、その要素のみを含むのではなく、明示的に列挙されていないか又はこうしたプロセス、方法、プロダクトバイプロセス若しくは物質組成に固有の他の要素も含み得る。
【0050】
[0055] 本開示は、KLHL12フラグメントを有する単離ポリペプチドを提供する。KLHL12フラグメントは、配列番号1~25からなる群から選択されるアミノ酸配列を有することができ、アミノ酸配列は、最初に記載のアミノ酸残基から開始する。単離KLHL12フラグメントは、本明細書で提供されるキットに含まれ得るか、又は本明細書で提供される方法で使用され得る。
【0051】
[0056] 本明細書で使用するとき、用語「Kelch様12」又は「KLHL12」(別名Kelch様ファミリーメンバー12、DKIR、HDKIR、CUL3-相互作用タンパク質1、C3IP1及びKelch様タンパク質C3IP1)は、ユビキチン化を促進するためのカリン3ユビキチンリガーゼ複合体の基質アダプターとして作用するポリペプチドを指す。Rondou et al., J Biol Chem., 283: 11083-11096, (2008)を参照されたい。KLHL12は、数例を挙げると、肝臓、膵臓、胆嚢、結腸、副腎組織及び小腸などの様々な組織中で発現する。例示的なヒトKLHL12ヌクレオチド配列は、GenBank GI番号1676325197に見ることができ、GenBank GI番号733606608に見られるアミノ酸配列を有する例示的なヒトKLHL12をコードする。このKLHL12及び他のKLHL12イソ型のGenBank GI番号は、2つの配列識別子、GI番号及びGenBankアクセション番号を含む下記の表1に見ることができる。GI番号及びGenBankアクセション番号は、公開データベース中の参照配列にアクセスするための固有の識別子として並列に記載される。
【0052】
【0053】
[0057] 約476のコーディング単一ヌクレオチド多型(SNP)及び少なくとも257の既知のオルソログがKLHL12に関して同定された(例えば、NCBI遺伝子ID:59349を参照されたい)。全てのこうしたKLHL12ポリペプチド及びそのバリアントは、本明細書で使用する場合の用語「KLHL12」の意味に含まれる。
【0054】
[0058] バリアントは、野生型配列に類似しているが、野生型配列と少なくとも1ヌクレオチド又はアミノ酸だけ異なる核酸又はアミノ酸配列を指すことを理解されたい。野生型核酸又はアミノ酸配列は、集団内でよく見られ、その対応するバリアントに対する標準としての役割を果たすこれらの核酸及びアミノ酸配列を指す。
【0055】
[0059] 本開示は、抗KLHL12ヒト自己抗体を含む抗KLHL12抗体によって認識される抗原エピトープである、KLHL12フラグメントを有する単離ポリペプチドを提供する。したがって、本開示は、CYDPIIDSWEVVTSM(配列番号1)、IECYDPIIDSWEVVT(配列番号2)、YDPIIDSWEVVTSMG(配列番号3)、SIECYDPIIDSWEVV(配列番号4)、ECYDPIIDSWEVVTS(配列番号5)、VVASGVIYCLGGYDG(配列番号6)、GHWTNVTPMATKRSG(配列番号7)、AGVALLNDHIYVVGG(配列番号8)、ASGVIYCLGGYDGLN(配列番号9)、GAGVALLNDHIYVVG(配列番号10)、MGGIMAPKDIMTNTH(配列番号11)、GLVVASGVIYCLGGY(配列番号12)、SGVIYCLGGYDGLNI(配列番号13)、LQYVRMPLLTPRYIT(配列番号14)、MTTPRCYVGATVLRG(配列番号15)、GLAGATTLGDMIYVS(配列番号16)、RIYVIGGYDGRSRLS(配列番号17)、ECLDYTADEDGVWYS(配列番号18)、GVWYSVAPMNVRRGL(配列番号19)、DSWTTVTSMTTPRCY(配列番号20)、YNIRTDSWTTVTSMT(配列番号21)、GGFDGSRRHTSMERY(配列番号22)、RSGAGVALLNDHIYV(配列番号23)、LNDHIYVVGGFDGTA(配列番号24)又はIECYDPIIDSWEVVTSMG(配列番号25)から選択されるアミノ酸配列を有する単離KLHL12フラグメントを提供する。いくつかの実施形態では、単離KLHL12フラグメントは、最初に記載のアミノ酸配列から開始する。いくつかの実施形態では、単離KLHL12フラグメントは、最後に列挙されるアミノ酸残基において終了する。他の実施形態では、単離KLHL12フラグメントは、列挙されるアミノ酸残基において開始及び終了する。
【0056】
[0060] 本開示は、CYDPIIDSWEVVTSM(配列番号1)、IECYDPIIDSWEVVT(配列番号2)、YDPIIDSWEVVTSMG(配列番号3)、SIECYDPIIDSWEVV(配列番号4)、ECYDPIIDSWEVVTS(配列番号5)、VVASGVIYCLGGYDG(配列番号6)、GHWTNVTPMATKRSG(配列番号7)、AGVALLNDHIYVVGG(配列番号8)、ASGVIYCLGGYDGLN(配列番号9)、GAGVALLNDHIYVVG(配列番号10)、MGGIMAPKDIMTNTH(配列番号11)、GLVVASGVIYCLGGY(配列番号12)、SGVIYCLGGYDGLNI(配列番号13)、LQYVRMPLLTPRYIT(配列番号14)、MTTPRCYVGATVLRG(配列番号15)、GLAGATTLGDMIYVS(配列番号16)、RIYVIGGYDGRSRLS(配列番号17)、ECLDYTADEDGVWYS(配列番号18)、GVWYSVAPMNVRRGL(配列番号19)、DSWTTVTSMTTPRCY(配列番号20)、YNIRTDSWTTVTSMT(配列番号21)、GGFDGSRRHTSMERY(配列番号22)、RSGAGVALLNDHIYV(配列番号23)、LNDHIYVVGGFDGTA(配列番号24)又はIECYDPIIDSWEVVTSMG(配列番号25)から選択されるアミノ酸配列からなる単離KLHL12フラグメントを更に提供する。
【0057】
[0061] 上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号1は、ヒトKLHL12イソ型1のアミノ酸577~591に対応し、その配列は、GenBankのGenBank GI番号733606608に見ることができる。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号2は、ヒトKLHL12イソ型1のアミノ酸575~589に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号3は、ヒトKLHL12イソ型1のアミノ酸578~592に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号4は、ヒトKLHL12イソ型1のアミノ酸574~588に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号5は、ヒトKLHL12イソ型1のアミノ酸576~590に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号6は、ヒトKLHL12イソ型1のアミノ酸460~474に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号7は、ヒトKLHL12イソ型1のアミノ酸489~503に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号8は、ヒトKLHL12イソ型1のアミノ酸504~518に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号9は、ヒトKLHL12イソ型1のアミノ酸462~476に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号10は、ヒトKLHL12イソ型1のアミノ酸503~517に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号11は、ヒトKLHL12イソ型1のアミノ酸39~53に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号12は、ヒトKLHL12イソ型1のアミノ酸458~472に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号13は、ヒトKLHL12イソ型1のアミノ酸463~477に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号14は、ヒトKLHL12イソ型1のアミノ酸257~271に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号15は、ヒトKLHL12イソ型1のアミノ酸544~558に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号16は、ヒトKLHL12イソ型1のアミノ酸408~422に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号17は、ヒトKLHL12イソ型1のアミノ酸368~382に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号18は、ヒトKLHL12イソ型1のアミノ酸385~399に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号19は、ヒトKLHL12イソ型1のアミノ酸395~409に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号20は、ヒトKLHL12イソ型1のアミノ酸536~550に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号21は、ヒトKLHL12イソ型1のアミノ酸531~545に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号22は、ヒトKLHL12イソ型1のアミノ酸423~437に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号23は、ヒトKLHL12イソ型1のアミノ酸501~515に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号24は、ヒトKLHL12イソ型1のアミノ酸509~523に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号25は、ヒトKLHL12イソ型1のアミノ酸575~592に対応する。
【0058】
[0062] 上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号1のヌクレオチド配列は、ホモサピエンスKLHL12転写物バリアント1のヌクレオチド1779~1823に対応し、その配列は、GenBankのGenBank GI番号1676325197に見ることができる。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号2のヌクレオチド配列は、ホモサピエンスKLHL12転写物バリアント1のヌクレオチド1773~1817に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号3のヌクレオチド配列は、ホモサピエンスKLHL12転写物バリアント1のヌクレオチド1782~1826に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号4のヌクレオチド配列は、ホモサピエンスKLHL12転写物バリアント1のヌクレオチド1770~1814に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号5のヌクレオチド配列は、ホモサピエンスKLHL12転写物バリアント1のヌクレオチド1776~1820に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号6のヌクレオチド配列は、ホモサピエンスKLHL12転写物バリアント1のヌクレオチド1428~1472に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号7のヌクレオチド配列は、ホモサピエンスKLHL12転写物バリアント1のヌクレオチド1515~1559に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号8のヌクレオチド配列は、ホモサピエンスKLHL12転写物バリアント1のヌクレオチド1560~1604に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号9のヌクレオチド配列は、ホモサピエンスKLHL12転写物バリアント1のヌクレオチド1434~1478に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号10のヌクレオチド配列は、ホモサピエンスKLHL12転写物バリアント1のヌクレオチド1557~1601に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号11のヌクレオチド配列は、ホモサピエンスKLHL12転写物バリアント1のヌクレオチド165~209に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号12のヌクレオチド配列は、ホモサピエンスKLHL12転写物バリアント1のヌクレオチド1422~1466に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号13のヌクレオチド配列は、ホモサピエンスKLHL12転写物バリアント1のヌクレオチド1437~1481に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号14のヌクレオチド配列は、ホモサピエンスKLHL12転写物バリアント1のヌクレオチド819~863に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号15のヌクレオチド配列は、ホモサピエンスKLHL12転写物バリアント1のヌクレオチド1680~1724に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号16のヌクレオチド配列は、ホモサピエンスKLHL12転写物バリアント1のヌクレオチド1272~1316に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号17のヌクレオチド配列は、ホモサピエンスKLHL12転写物バリアント1のヌクレオチド1152~1196に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号18のヌクレオチド配列は、ホモサピエンスKLHL12転写物バリアント1のヌクレオチド1203~1247に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号19のヌクレオチド配列は、ホモサピエンスKLHL12転写物バリアント1のヌクレオチド1233~1277に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号20のヌクレオチド配列は、ホモサピエンスKLHL12転写物バリアント1のヌクレオチド1656~1700に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号21のヌクレオチド配列は、ホモサピエンスKLHL12転写物バリアント1のヌクレオチド1641~1685に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号22のヌクレオチド配列は、ホモサピエンスKLHL12転写物バリアント1のヌクレオチド1317~1361に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号23のヌクレオチド配列は、ホモサピエンスKLHL12転写物バリアント1のヌクレオチド1551~1595に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号24のヌクレオチド配列は、ホモサピエンスKLHL12転写物バリアント1のヌクレオチド1575~1619に対応する。上記の例示的な単離KLHL12フラグメントの配列番号25のヌクレオチド配列は、ホモサピエンスKLHL12転写物バリアント1のヌクレオチド1773~1826に対応する。
【0059】
[0063] 「ポリペプチド」は、2~30アミノ酸(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、25又は30アミノ酸)及びより長いアミノ酸鎖(例えば、30超のアミノ酸、50超のアミノ酸、100超のアミノ酸、150超のアミノ酸、200超のアミノ酸、300超のアミノ酸、400超のアミノ酸、500超のアミノ酸又は600超のアミノ酸)を有する短いオリゴペプチドを含み得ることに留意されたい。こうした短いオリゴペプチドは、本明細書でKLHL12フラグメントと称される。
【0060】
[0064] 本明細書で開示される単離KLHL12フラグメントは、完全長KLHL12未満である。いくつかの実施形態では、単離KLHL12フラグメントは、完全長KLHL12の5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17以上、18以上、19以上、20以上、21以上、22以上、23以上、24以上又は25以上の連続的アミノ酸を含み得る、完全長KLHL12の部分的アミノ酸配列を共有する。
【0061】
[0065] いくつかの実施形態では、単離KLHL12フラグメントは、任意の哺乳類起源のものであり得る。他の実施形態では、単離KLHL12フラグメントは、ヒト起源のものであり得る。
【0062】
[0066] 本明細書で使用するとき、用語「単離される」は、ポリペプチドに関して使用されるとき、ポリペプチドが、成分の複雑な混合物から部分的に又は実質的に単離され得ることを意味することが意図される。複雑な混合物としては、例えば、ポリペプチドが化学的に合成されるか、組み換え発現されるか又は天然に発現される供給源が挙げられ得る。部分的な単離としては、ポリペプチド供給源由来の1つ以上の成分からの単離が挙げられ、実質的な単離としては、ポリペプチド供給源由来の例えば多くの、殆どの又は実質的に全ての成分からの単離が挙げられる。
【0063】
[0067] 本明細書で開示される部分的な単離は、本明細書で提供される方法及び組成物によって達成することができる。いくつかの実施形態では、部分単離KLHL12フラグメントは、捕捉プローブで実施することができる。いくつかの実施形態では、捕捉プローブは、KLHL12フラグメントに特異的なポリペプチド又はその機能的フラグメントである。いくつかの実施形態では、捕捉プローブは、抗KLHL12抗体である。本明細書で例示される実質的な単離は、当技術分野で既知の方法によって達成することができる。いくつかの実施形態では、単離KLHL12フラグメントは、抽出、沈殿及び可溶化プロセスにより実質的に精製される。
【0064】
[0068] 単離KLHL12フラグメントは、化学的に合成されるか、組み換え合成されるか、又は体液若しくは組織などの天然源から単離され得る。化学的に合成されたポリペプチド、組み換えポリペプチド又は天然源由来のポリペプチドを発現及び単離するための例示的な方法は、当技術分野で周知であり、Scopes R.K., Protein Purification-Principles and Practice, Springer Advanced Texts in Chemistry, 3rd Edition (1994);Simpson R. J. et al., Basic Methods in Protein Purification and Analysis: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1st Edition (2008);Green M. R. and Sambrook J., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 4th Edition (2012);Jensen K. J. et al., Peptide Synthesis and Applications (Methods in Molecular Biology), Humana Press, 2nd Edition (2013)に記載されていることが見出され得る。
【0065】
[0069] 組み換えポリペプチドは、細菌細胞(例えば、大腸菌(E. coli))、酵母細胞(例えば、S.セレヴィシエ(S. cerevisiae))、昆虫細胞(例えばSf9)、哺乳類細胞(例えば、CHO)及びその他の中で発現させ、及びそれらから精製することができる。組み換えポリペプチドは、開裂可能なタグ(例えば、TEV開裂部位を含むタグ)を含む、タンパク質検出用タグ又は親和性精製タグ(例えば、Hisタグ、GSTタグ、Mycタグ)を含む融合タンパク質として発現させ、及び精製することができる。当業者であれば、細胞、組織又は体液からポリペプチドを精製するための方法が当技術分野で周知であることを理解するであろう。
【0066】
[0070] 天然源から精製又は単離されたポリペプチドは、天然に発現した供給源からのポリペプチドの単離及び精製を指す。いくつかの実施形態では、単離KLHL12フラグメントは、有機体の細胞、組織又は体液に由来し得る。いくつかの実施形態では、細胞、組織又は体液としては、例えば、本開示の有機体由来の全血、血漿、血清、痰又は胆汁が挙げられ得る。同様に、単離KLHL12フラグメントは、本明細書で説明及び提供される任意の生体試料に由来し得る。
【0067】
[0071] いくつかの実施形態では、単離KLHL12フラグメントは、例えば、Jensen, K. J.(前述)に記載される方法を使用して化学的に合成され得る。
【0068】
[0072] いくつかの実施形態では、単離KLHL12フラグメントは、自然のKLHL12のフラグメントであり得る。いくつかの実施形態では、単離KLHL12フラグメントは、変性した又は折り畳まれていないKLHL12のフラグメントであり得る。いくつかの実施形態では、単離KLHL12フラグメントは、非天然アミノ酸を含み得る。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸は、α-アミノ基の位置でメチル化されて、メチル化骨格を有するポリペプチドを産生することができる。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸は、R-アミノ酸であり得る。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸は、色素(例えば、蛍光色素)又は親和性タグを含み得る。いくつかの実施形態では、単離KLHL12フラグメントは、化学修飾を含み得る。化学修飾としては、例えば、ビオチン、蛍光色素での化学修飾が挙げられ得る。当業者であれば、非天然アミノ酸をポリペプチドに導入するための方法及びポリペプチドを化学修飾するための方法が当技術分野で周知であることを認識するであろう。
【0069】
[0073] いくつかの実施形態では、単離された、化学的に合成された又は組み換えられたKLHL12フラグメントは、本明細書で開示される複数のKLHL12フラグメントであり得る。用語「複数」は、ポリペプチドメンバー又は他の参照される分子などの2つ以上のメンバーの集団を指すことに留意されたい。いくつかの実施形態では、複数のメンバーの2つ以上のメンバーが同じメンバーであり得る。例えば、複数のポリペプチドは、同じアミノ酸配列を有する2つ以上のポリペプチドメンバーを含み得る。例示として、同じアミノ酸配列を有する複数のメンバーは、配列番号1~25の単離KLHL12フラグメントのいずれか1つの2つ以上のメンバーを含み得る。いくつかの実施形態では、複数のメンバーの2つ以上のメンバーが異なるメンバーであり得る。例えば、複数のポリペプチドは、異なるアミノ酸配列を有する2つ以上のポリペプチドメンバーを含み得る。例示として、異なるアミノ酸配列を有する複数のメンバーは、配列番号1~25の単離KLHL12フラグメントの少なくとも2つ以上を含み得る。複数としては、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90若しくは100又はそれを超える異なるメンバーが挙げられ得る。複数としては、200、300、400、500、1000、5000若しくは10000又はそれを超える異なるメンバーも挙げられ得る。複数としては、例えば、上記の例示的な複数の数の間の全ての整数が挙げられる。いくつかの実施形態では、単離KLHL12フラグメントは、本開示の有機体由来の複数のKLHL12フラグメントであり得る。
【0070】
[0074] 本明細書で使用するとき、用語「固体支持体」、「固体表面」及び他の文法的均等物は、本開示の単離KLHL12フラグメントの結合に適しているか、又は適するように修飾され得る任意の材料を指す。可能な材料としては、例えば、ガラス及び修飾又は機能化ガラス、プラスチック(アクリル、ポリスチレン、メチルスチレン、ポリウレタン、テフロン(商標)などを含む)、常磁性体、トリアゾル、カーボングラファイト、酸化チタン、ラテックス又は架橋デキストラン(セファロース、セルロース多糖類、ナイロン又はニトロセルロースなどの)、セラミックス、樹脂、シリカ又はシリカ系材料(ケイ素及び修飾ケイ素を含む)、カーボンメタル、無機ガラス、光ファイバ束並びに様々な他のポリマーが挙げられる。一例として、本開示の固体支持体としては、96、384又は1536ウェルプレートなどのマルチウェルプレートが挙げられ得る。他の例では、固体支持体は、フローセル又はフローセル器具(例えば、Biacore(商標)チップ又はタンパク質チップ上のフローセル)内に配置され得る。本明細書で提供される例示的な固体支持体は、本開示の方法及びキットで使用することもできる。
【0071】
[0075] いくつかの実施形態では、固体支持体は、ビーズ、球体、粒子、膜、チップ、スライド、ウェル及び試験管であり得る。ビーズには、球体又は粒子が含まれる。本明細書では、「球体」若しくは「粒子」又は文法的均等物は、マイクロメートル又はナノメートル寸法の小型で分離した非平面状粒子を意味する。球体としては、例えば、小球体が挙げられ得る。粒子としては、例えば、ナノ粒子が挙げられ得る。いくつかの実施形態では、ビーズは、球状であり得、他の実施形態では、ビーズは、不規則状である。代わりに又は更に、ビーズは、多孔性であり得る。ビーズの寸法は、ナノメートル~ミリメートルの範囲であり、いくつかの実施形態では約0.2~約200ミクロンのビーズが好ましい。他の実施形態では、ビーズの寸法は、約0.5~約5ミクロンの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、0.2ミクロンよりも小さいビーズ及び200ミクロンよりも大きいビーズを使用し得る。いくつかの実施形態では、固体支持体は、表面にウェル又は凹みのアレイを含み得る。これは、当技術分野で既知のとおり、フォトリソグラフィー、スタンピング技術、成型技術及びマイクロエッチング技術を含む様々な技術を使用して製造可能である。当業者に認識されるように、使用される技術は、アレイ基材の組成及び形状に依存する。
【0072】
[0076] いくつかの実施形態では、固体支持体は、精製タンパク質を規則的なパターンで固定化するのに適切なパターン化表面(例えば、タンパク質チップ)を含むことができる。「パターン化表面」は、固体支持体の露出層中又は層上の異なる領域の配列を指す。例えば、1つ以上の領域は、1つ以上の精製タンパク質が存在する特徴であり得る。この特徴は、精製されたタンパク質が存在しない間質領域によって分離され得る。いくつかの実施形態では、パターンは、行及び列におけるx-y形式の特徴であり得る。いくつかの実施形態では、パターンは、特徴及び/又は間質領域の繰り返し配列であり得る。いくつかの実施形態では、パターンは、特徴及び/又は間質領域のランダム配列であり得る。本明細書に記載される方法及び組成物で使用され得る例示的なパターン化表面は、米国特許出願公開第2008/0280785A1号、同第2004/0253640A1号、同第2003/0153013A1号及び国際公開第2009/039170A2号で説明されている。
【0073】
[0077] いくつかの実施形態では、固体支持体は、その表面に単離KLHL12フラグメントを結合させ得る。配列番号1~25からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むことによって例示される任意の単離KLHL12フラグメントが固体支持体に結合され得る。いくつかの実施形態では、任意の単離KLHL12フラグメントを、リンカー分子を介して固体支持体に固定化することができる。いくつかの実施形態では、必要とされるのは、任意の単離KLHL12フラグメントなどの分子が、支持体を使用することが意図される条件下、例えば抗体の結合又は検出が必要な応用下において、支持体に固定化又は結合された状態を維持することのみである。用語「固定化される」は、明示的に又は文脈によってのいずれかで特に指示されない限り、「結合される」と互換的に用いられ、両方の用語が共有結合及び非共有性結合を含むと意図されることに留意されたい。
【0074】
[0078] 本明細書で使用するとき、用語「抗体」は、免疫グロブリン(Ig)と互換的に使用され、特異的分子抗原に結合可能であり、2つの重鎖及び2つの軽鎖からなるB細胞のポリペプチド産物又はその組み換え均等物を指す。各鎖の各アミノ末端部は、結合特異性を付与する可変領域を含む。Borrebaeck (ed.), Antibody Engineering, Second Edition, Oxford University Press. (1995);Kuby, Immunology, Third Edition, W. H. Freeman and Company, New York (1997)を参照されたい。この用語は、本明細書で開示される方法及びキットで検出プローブとして使用される自己抗体及び抗体を包含する。抗体は、単一の分子種に結合する特異的結合親和性又は1つ超の関連分子種に選択的に結合する汎特異的結合親和性を示し得る。本開示に関連して、本開示の抗体によって結合され得る特異的分子抗原としては、例えば、配列番号1~25を有するKLHL12フラグメントのいずれか又は例えば配列番号1~25を有するKLHL12フラグメントの任意の1つ以上に特異的な抗KLHL12抗体を含む抗KLHL12抗体が挙げられる。本開示の抗体は、マウス、ウサギ、ヤギ、ニワトリ、ロバなどを含む任意の哺乳類有機体から誘導され得る。更に、一次又は二次抗体は、モノクローナル、ポリクローナル、キメラ又はヒト化であり得る。本明細書で提供される抗体は、本開示の方法及びキットで使用することもできる。
【0075】
[0079] 本明細書で使用するとき、用語「抗KLHL12抗体」は、自己抗体に関連して用いられる場合、配列番号1~25を有する1つ以上のKLHL12フラグメントに特異的又は汎特異的な自己抗体を意味することが意図される。抗KLHL12抗体としては、任意の抗体クラス(IgG、IgM、IgD、IgA及びIgE)及びサブクラス(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)又はその機能的フラグメントが挙げられ得る。いくつかの実施形態では、抗KLHL12抗体としては、ヒトKLHL12に対するヒト自己抗体が挙げられる。
【0076】
[0080] 用語「自己抗体」は、その自己抗体を産生する対象の組織の構成要素に対する免疫グロブリンを指すことを理解されたい。この用語は、対象の免疫系によって産生される抗体であって、対象自身のポリペプチド又は抗原の1つ以上に対する抗体を含むことが意図される。したがって、自己抗体は、対象の免疫系により、その免疫系が自己組織構成要素と非自己組織構成要素との間の区別を全て又は部分的に失敗するときに産生され得る。本明細書で提供される場合、例示的な自己抗体としては、本明細書に記載される抗KLHL12抗体が挙げられる。
【0077】
[0081] 本明細書で使用するとき、用語「信号対雑音比」は、あるタンパク質のその標的に対する特異的結合親和性と、そのタンパク質の非標的に対する非特異的結合親和性との間の比を指す。当業者であれば、タンパク質間の結合親和性を測定するための方法が当技術分野で周知であることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、単離KLHL12フラグメントと、抗KLHL12自己抗体を含む抗KLHL12抗体との間の結合は、25以下の信号対雑音比の標準スコア(ZS)を示す。
【0078】
[0082] 本開示は、PBCを診断するためのキットを提供する。キットは、本開示の1つ以上の単離KLHL12フラグメントを含み得る。例示的な単離KLHL12フラグメントは、本明細書に開示され、下記の表2に見られる配列番号1~25を含む。いくつかの実施形態では、単離KLHL12フラグメントは、最初に記載のアミノ酸配列から開始する。いくつかの実施形態では、単離KLHL12フラグメントは、最後に列挙されるアミノ酸残基において終了する。他の実施形態では、単離KLHL12フラグメントは、列挙されるアミノ酸残基において開始及び終了する。単離KLHL12フラグメントは、化学的に合成されるか、組み換え合成されるか、又は本明細書に開示される天然源から単離され得る。単離KLHL12フラグメントは、抗KLHL12自己抗体を含む抗KLHL12抗体に特異的に結合することができ、結合は、25以下の信号対雑音比の標準スコア(ZS)を示す。
【0079】
[0083] キットは、抗KLHL12抗体に特異的な検出プローブを含むことができる。本明細書で使用するとき、用語「検出プローブ」は、標的に特異的に結合することが可能な結合剤を指す。こうした結合剤としては、例えば、抗体及び抗体特異的結合ポリペプチドが挙げられる。本明細書で提供される検出プローブは、本開示の方法で使用することもできる。
【0080】
[0084] 抗体としては、完全長抗体及び下記に例示するものなどの機能的フラグメントが挙げられる。本明細書で使用するとき、用語「機能的フラグメント」は、抗体に関連して使用される場合、そのフラグメントが由来する抗体の、抗体としての結合活性の一部又は全部を維持している重鎖又は軽鎖ポリペプチドを含む抗体の一部を指すことが意図される。こうした機能的フラグメントとしては、例えば、Fd、Fv、Fab、F(ab’)、F(ab)2、F(ab’)2、一本鎖Fv(scFv)、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ及びミニボディを挙げることができ、これらは、例えば、Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York (1989);Myers (ed.), Molec. Biology and Biotechnology: A Comprehensive Desk Reference, New York: VCH Publisher, Inc.;Huston et al., Cell Biophysics, 22: 189-224 (1993);Pluckthun and Skerra, Meth. Enzymol., 178: 497-515 (1989)及びDay, E. D., Advanced Immunochemistry, Second Ed., Wiley-Liss, Inc., New York, NY (1990)に記載されていることが見出され得る。本明細書で提供される抗体機能的フラグメントは、本開示の方法及び組成物で使用することができる。
【0081】
[0085] 抗体特異的結合ポリペプチドは、本明細書で提供され、抗体及びその機能的フラグメントを特異的に認識することができる任意のポリペプチドを含む。例示的な抗体特異的結合ポリペプチドとしては、ランダム又はコンビナトリアルライブラリのスクリーニングから同定されたIgG結合タンパク質、受容体、キメラ受容体及び結合ポリペプチドが挙げられる。本開示の例示的な抗体特異的結合ポリペプチドとしては、KLHL12若しくはその抗原フラグメント又はIgG結合タンパク質が挙げられる。例示的なIgG結合タンパク質としては、Aタンパク質及びGタンパク質が挙げられる。本開示の抗体特異的結合ポリペプチドは、例えば、化学的に合成されるか、天然源から精製されるか又は組み換え作製されるものを含む、本明細書で説明されるか又は当技術分野で既知の方法によって入手又は合成され得る。したがって、本明細書で説明される抗体特異的結合ポリペプチドは、哺乳類、例えばマウス、ウサギ、ヤギ、ニワトリ、ロバなどであり得る。本明細書で提供されるこうした抗体特異的結合ポリペプチドの全ては、本開示の方法及び組成物で使用することができる。
【0082】
[0086] 標的に対する特異的結合に言及する場合、本開示の検出プローブは、標的に直接結合し得るか、又はそれは、間接的手段によって標的に特異的にされ得る。例えば、抗KLHL12抗体に直接結合する検出プローブとしては、KLHL12又は本明細書に開示される単離KLHL12フラグメントのいずれかが挙げられる。直接的結合剤としては、例えば、KLHL12:抗KLHL12抗体複合体を特異的に認識する抗体又は他の抗体特異的結合ポリペプチド及び抗KLHL12抗体に特異的に結合する抗体又は他の抗体特異的結合ポリペプチドも挙げられる。間接的手段によって標的に対して特異的にすることができる本開示の検出プローブとしては、例えば、抗Ig又はIgに結合する他の抗体特異的結合ポリペプチドが挙げられ得る。こうした抗体及び抗体特異的結合ポリペプチドは、例えば、本明細書に記載される単離KLHL12フラグメントで抗KLHL12抗体を捕捉し、抗Ig又はIgに結合する他の抗体特異的結合ポリペプチドを添加する前に非抗KLHL12 Igを洗い流すことにより、抗KLHL12抗体に対して特異的にすることができる。標的への特異的結合を達成するために、こうした結合複合体を単離又は分離するための多くの他の構成が当技術分野で周知であり、その全ては、標的に特異的な検出プローブを作製するための間接的手段として使用可能である。したがって、「抗KLHL12抗体に特異的な検出プローブ」としては、例えば、KLHL12、KLHL12:抗KLHL12抗体複合体結合剤、抗KLHL12抗体結合剤及びIg結合剤が挙げられる。
【0083】
[0087] したがって、いくつかの実施形態では、抗KLHL12抗体に特異的な抗体は、ヤギ抗ヒトIgG又はその機能的フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗KLHL12抗体に特異的な結合ポリペプチドは、Aタンパク質若しくはGタンパク質又はその機能的フラグメントである。
【0084】
[0088] 検出プローブは、レポータータグを含み得る。本明細書で使用するとき、用語「レポータータグ」は、バイオマーカーの検出を示すアッセイ信号を生成可能な分子を指す。本開示の例示的なバイオマーカーとしては、抗KLHL12抗体が挙げられる。レポータータグは、例えば、非共有結合性又は共有結合性架橋を介して検出プローブに結合又はコンジュゲートすることができる。検出プローブへのレポータータグの非共有結合性及び共有結合性の固定化は、当技術分野で既知の任意の手段によって実施することができ、例えばDennler et al.,“Antibody conjugates: from heterogeneous populations to defined reagents,”Antibodies. 4: 197-224 (2015)に記載される方法を含む。レポータータグは、レポータータグの種類に応じて様々なアッセイ信号を生成する。当業者であれば、レポータータグによって包含される様々な標識が存在することを認識する。
【0085】
[0089] 本明細書で使用するとき、用語「標識」は、アッセイ信号を放出し、検体の検出のための読み取り値又は測定値として使用可能な分子実体を指す。様々なクラスの標識が存在する。これらのクラスの例としては、蛍光体、酵素、化学発光部分、放射性部分、有機色素、小分子、ポリペプチド又はその機能的フラグメントが挙げられる。蛍光体の例としては、フィコエリセリン(PE)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、テトラメチルローダミン(TRITC)、BODIPY及びAlexaFluor(登録商標)色素のような蛍光色素が挙げられる。蛍光色素としては、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)色素又は時間分解(TR)-FRET色素も挙げられる。蛍光体標識としては、緑色蛍光タンパク質(GFP)及びシアン色蛍光タンパク質(CFP)等の蛍光タンパク質も挙げられる。酵素標識の例としては、アルカリ性ホスファターゼ(AP)又は西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)が挙げられる。基質3,3’5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)、3,3’-ジアミノベンジデン(DAB)又は2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS)のいずれかがHRPに適用された場合、着色(発色)又は光(化学発光)アッセイ信号が生成される。放射性標識としては、例えば、炭素14又はトリチウムが挙げられる。小分子標識としては、ビオチン、アガロースビーズ及び蛍光標識磁気ビーズなどの樹脂又はコロイド金などのナノ粒子が挙げられる。ポリペプチド又は機能的フラグメント標識としては、ビオチンに対して親和性を有するアビジン、ストレプトアビジン又はニュートラアビジンが挙げられる。ポリペプチド又は機能的フラグメント標識としては、血球凝集素(HA)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)又はc-mycも挙げられる。本明細書で提供されるレポータータグ及び標識も本開示の方法で使用することができる。
【0086】
[0090] 本開示の標識は、本明細書で特定された検出プローブのいずれかにコンジュゲートされ得る。コンジュゲーションは、上記の非共有結合性又は共有結合性架橋を含み得る。いくつかの構成では、検出プローブにコンジュゲートした標識は、上記の追加的な基質又は結合剤を必要とする。例として、検出プローブにコンジュゲートされたHRP標識は、検出プローブを検出するために、上記で開示された基質を必要とする。標識のための多くの他の構成が当技術分野で既知である。本開示は、本明細書に例示され、及び/又は当技術分野で既知の全ての標識構成を含む。いくつかの実施形態では、標識構成としては、配列番号1~25からなる群から選択されるアミノ酸配列、KLHL12:抗KLHL12抗体複合体結合剤、抗KLHL12抗体結合剤又はIg結合剤を有する単離KLHL12フラグメントにコンジュゲートされたPEが挙げられ得る。
【0087】
[0091] キットは、固体支持体を含み得る。例示的な固体支持体としては、本明細書に開示されるビーズ、球体、粒子、膜、チップ、スライド、プレート、ウェル及び試験管が挙げられる。いくつかの実施形態では、ビーズ、球体又は粒子は、マイクロメートル又はナノメートルの寸法を含む。いくつかの実施形態では、膜は、ニトロセルロース、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリ二フッ化ビニリデンからなる群から選択される。配列番号1~25からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むことによって例示される任意の単離KLHL12フラグメントは、本明細書に開示される固体支持体に結合され得る。
【0088】
[0092] キットは、対照を含み得る。本明細書で使用するとき、「対照」は、抗KLHL12抗体の存在又は量が未知である場合に試験される試料に対して比較するための陽性又は陰性標準を指す。キットは、陽性対照を含み得る。いくつかの実施形態では、陽性対照は、検出可能な量の抗KLHL12抗体若しくはその機能的フラグメント又は閾値を超えるレベルを含む試料であり得る。いくつかの実施形態では、陽性対照は、閾値を超える抗KLHL12抗体のレベルを有する罹患対象から得ることができる。更に又は代わりに、陽性対照は、本明細書に記載される方法のいずれかを用いてインビトロで合成された、配列番号1~25からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する単離KLHL12フラグメントに対して特異的な抗体又はその機能的フラグメントを含むことができる。抗体又はその機能的フラグメントは、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体から選択することができる。他の実施形態では、キットは、陰性対照を含むことができる。陰性対照は、検出可能な量の抗KLHL12抗体若しくはその機能的フラグメントを含まないか又は閾値を下回るレベルを含む試料であり得る。いくつかの実施形態では、陰性対照は、健康な対照個体から得ることもでき、インビトロで合成することもできる。例えば、陰性対照としては、水又は緩衝液が挙げられ得る。
【0089】
[0093] キットは、1つ以上の補助試薬を含み得る。本明細書で使用するとき、「補助試薬」は、開示の組成物又は方法の意図された目的を実施するのに有用な物質、混合物、材料又は成分を指す。例示的な補助試薬としては、コンジュゲーション試薬、緩衝液、使用説明書、機器などが挙げられる。当業者であれば、様々な種類のインキュベーション、洗浄、検出及びブロッキング緩衝液が存在することを認識する。本明細書で提供される試薬も本開示の方法で使用することができる。
【0090】
[0094] いくつかの実施形態では、本開示のキットの試薬としては、共有結合性及び非共有結合性コンジュゲーション試薬を含む、当技術分野で既知の任意のコンジュゲーション試薬が挙げられ得る。共有結合性コンジュゲーション試薬としては、本開示のポリペプチドを表面に共有結合的に固定化するために使用可能な任意の化学的又は生物学的試薬が挙げられ得る。共有結合性コンジュゲーション試薬は、EDC若しくはDCCなどのカルボジイミドなどのカルボキシル-アミン反応性基、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル若しくはイミドエステルなどのアミン反応性基、マレイミド、ハロアセチル若しくはピリジルジスルフィドなどのスルフヒドリル反応性架橋剤、ヒドラジド若しくはアルコキシアミンなどのカルボニル反応性架橋基、アリールアジド若しくはジジリンなどの光反応性架橋剤又はシュタウディンガー反応対などの化学選択的ライゲーション基を含み得る。非共有結合性固定化試薬としては、ビオチンなどの親和性タグ、又はストレプトアビジンなどの捕捉試薬、又は抗His6若しくは抗Myc抗体などの抗タグ抗体など、本開示のポリペプチドを表面上に非共有的に固定化するために使用できる任意の化学的又は生物学的試薬を挙げることができる。
【0091】
[0095] 本開示のキットは、コンジュゲーション試薬の組み合わせを含むことができる。こうした組み合せとしては、例えば、EDC及びNHSが挙げられ、これらは、例えば、カルボキシル化デキストランマトリックスなどの表面上(例えば、BIAcore(商標)CM5チップ又はデキストランベースのビーズ上)に本開示のタンパク質を固定化するために使用することができる。コンジュゲーション試薬の組み合わせは、予混合試薬の組み合わせとして保存され得るか、又はその組み合わせの1つ以上のコンジュゲーション試薬を他のコンジュゲーション試薬と分けて保存され得る。
【0092】
[0096] 他の実施形態では、キットの試薬は、コーティング緩衝液などの試薬を含み得る。コーティング緩衝液としては、炭酸ナトリウム-水酸化ナトリウム又はリン酸塩が挙げられ得る。いくつかの実施形態では、コーティング緩衝液は、0.1MのNaHCO3(例えば、約pH9.6)であり得る。
【0093】
[0097] いくつかの実施形態では、キットの試薬は、洗浄緩衝液を含むことができる。洗浄緩衝液としては、トリス緩衝生理食塩水(TBS)などのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)ベース緩衝液又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)などのリン酸塩緩衝液が挙げられ得る。洗浄緩衝液は、イオン性又は非イオン性洗剤などの洗剤で構成され得る。いくつかの実施形態では、洗浄緩衝液は、Tween(登録商標)20を約0.05%で含む、pH約7.4のPBS緩衝液であり得る。他の実施形態では、洗浄緩衝液は、BIO-FLASH(商標)Special Wash Solution(Inova Diagnostics, Inc., San Diego, CA)であり得る。
【0094】
[0098] いくつかの実施形態では、キットの試薬は、希釈緩衝液を含むことができる。当技術分野で既知の任意の希釈緩衝液を本開示のキットに含めることができる。典型的な希釈緩衝液は、ウシ血清アルブミン(BSA)などの担体タンパク質及びTween(登録商標)20などの洗剤を含み得る。いくつかの実施形態では、希釈緩衝液は、約1%BSAのBSA及び約0.05%のTween(登録商標)20を含む、pH約7.4のPBSであり得る。
【0095】
[0099] いくつかの実施形態では、試薬は、検出緩衝液又はアッセイ緩衝液を含み得る。当技術分野で既知の任意の検出又はアッセイ緩衝液を本開示のキットに含めることができる。検出又はアッセイ緩衝液は、比色検出若しくはアッセイ緩衝液、蛍光検出若しくはアッセイ緩衝液又は化学発光検出若しくはアッセイ緩衝液であり得る。比色検出又はアッセイ緩衝液は、PNPP(p-ニトロフェニルリン酸)、ABTS(2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸))又はOPD(o-フェニレンジアミン)を含み得る。蛍光検出又はアッセイ緩衝液としては、QuantaBlu(商標)又はQuantaRed(商標)(Thermo Scientific, Waltham, MA)が挙げられる。化学発光検出又はアッセイ緩衝液は、ルミノール又はルシフェリンを含み得る。検出又はアッセイ緩衝液は、H2O2などのトリガー及びイソルミノール-コンジュゲートなどのトレーサーも含み得る。いくつかの実施形態では、検出試薬は、1つ以上のBIO-FLASH(商標)トリガー溶液(Inova Diagnostics, Inc., San Diego, CA)を含み得る。いくつかの実施形態では、本開示のキットの試薬は、較正又は試験に有用な溶液を含むことができる。
【0096】
[00100] いくつかの実施形態では、キットの試薬は、停止液を含むことができる。当技術分野で既知の任意の停止液を本開示のキットに含めることができる。本開示の停止液は、検出試薬及び対応するアッセイ信号の更なる発生を終結又は遅延させる。停止液は、例えば、低pH緩衝液(例えば、グリシン緩衝液、pH2.0)、カオトロピック剤(例えば、塩化グアニジウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS))又は還元剤(例えば、ジチオスレイトール、β-メカプトエタノール)などを含むことができる。
【0097】
[00101] いくつかの実施形態では、本開示のキットの試薬は、クリーニング試薬を含むことができる。クリーニング試薬は、当技術分野で既知の任意のクリーニング試薬を含むことができる。いくつかの実施形態では、クリーニング試薬は、自動アッセイシステムの製造者によって推奨されるクリーニング試薬であり得る。いくつかの実施形態では、クリーニング試薬は、BIO-FLASH(商標)System Rinse又はBIO-FLASH(商標)System Cleaning溶液(Inova Diagnostics, Inc., San Diego, CA)を含むことができる。
【0098】
[00102] いくつかの実施形態では、本開示のキットは、自動アッセイシステム用の機器を含むことができる。自動アッセイシステムは、任意の製造業者によるシステムを含むことができる。いくつかの実施形態では、自動アッセイシステムは、例えば、BIO-FLASH(商標)、QUANTA-Lyser(登録商標)4000、QUANTA-Lyser(登録商標)3000、QUANTA-Lyser(登録商標)160、QUANTA-Lyser(登録商標)240、QUANTA-Lyser(登録商標)2及びDS2(商標)(Inova Diagnostics, Inc., San Diego, CA)を含むことができる。いくつかの実施形態では、自動アッセイシステムは、例えば、BEST2000(商標)、ELx50 WASHER、ELx800 READER及びAutoblot S20(商標)(Biokit, Barcelona, Spain)を含むことができる。他の実施形態では、キットの機器は、検出機器であり得る。検出機器は、当技術分野の任意の検出機器を含むことができる。検出機器は、本開示のレポータータグの標識を検出又は測定することが可能である。したがって、検出機器は、蛍光、発光、化学発光又は吸光率、反射率、透過率、複屈折若しくは屈折率を検出又は測定することが可能である。いくつかの実施形態では、検出機器は、共焦点及び非共焦点顕微鏡検査、マイクロプレートリーダー、フローサイトメーターなどを含むことができる。
【0099】
[00103] いくつかの実施形態では、本開示で提供されるキットは、下記の生体試料を収集するのに適した構成要素を含むことができる。この構成要素は、収集管、カラム、シリンジ、針などを含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、キットの構成要素を使用するための使用説明書を含むことができる。使用説明書は、キットの内側又は外側で任意の形式であり得る。使用説明書は、プロトコル及び分析技術に関する詳細を提供する。
【0100】
[00104] 本開示のキットの構成要素は、様々な物理的状態であり得る。例えば、構成要素の一部又は全部は、凍結乾燥されるか、又は水溶液中にあるか、又は冷凍され得る。こうした構成要素としては、単離KLHL12フラグメント、検出プローブ及び補助試薬が挙げられる。
【0101】
[00105] 本開示のキットは、特定のアッセイ技術に適合され得る。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書で例示されるアッセイ技術に適合され得る。例えば、いくつかの実施形態では、キットは、FIAキット、CIAキット、RIAキット、マルチプレックスイムノアッセイキット、タンパク質/ペプチドアレイイムノアッセイキット、SPRIAキット、IIFキット、ELISA、PMATキット又はドットブロットキットであり得る。いくつかの実施形態では、ELSAキットは、洗浄緩衝液、試料希釈剤、二次抗体-酵素コンジュゲート、検出試薬及び停止液を含むことができる。いくつかの実施形態では、ドットブロットキットは、洗浄緩衝液、試料希釈剤、二次抗体-酵素コンジュゲート、検出試薬及び停止液を含むことができる。いくつかの実施形態では、CIAキットは、洗浄緩衝液、試料希釈剤、トレーサー(例えば、イソルミノール-コンジュゲート)及びトリガー(例えば、H2O2)を含むことができる。いくつかの実施形態では、マルチプレックスキットは、洗浄緩衝液、試料希釈剤及び二次抗体-酵素コンジュゲートを含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、Luminexプラットフォームに適合させることができ、例えばxMAP(登録商標)ビーズを含むことができる。
【0102】
[00106] キットは、単離KLHL12フラグメントに結合された抗KLHL12抗体を検出するための手段を提供することにより、PBCを診断するために用いられ得る。キットは、本明細書に開示される方法のいずれか(下記を参照されたい)によって抗KLHL12抗体を検出することができる。KLHL12:抗KLHL12抗体複合体又はその抗原フラグメントは、1対1又は1超対1の抗KLHL12抗体の化学量論比を有し得る。いくつかの実施形態では、複合体は、1つの単離KLHL12フラグメントあたり1つの抗KLHL12抗体を有し得る。いくつかの実施形態では、複合体は、1つの単離KLHL12フラグメントあたり2つの抗KLHL12抗体を有し得る。いくつかの実施形態では、複合体は、1つの単離KLHL12フラグメントあたり2つ超の抗KLHL12抗体を有し得る。2つの抗原の結合化学量論比を測定するための方法は、当技術分野で周知であり、例えば等温滴定熱量測定法(ITC)及び超遠心分離法を含む。
【0103】
[00107] いくつかの実施形態では、KLHL12:抗KLHL12抗体複合体又はその抗原フラグメントは、同一の化学量論比を有する複数の複合体であり得る。例えば、複数の複合体中の全ての複合体は、1つの単離KLHL12フラグメントあたり1つの抗KLHL12抗体を有する。いくつかの実施形態では、KLHL12:抗KLHL12抗体複合体又はその抗原フラグメントは、異なる化学量論比を有する複数の複合体であり得る。例えば、複数の複合体中のいくつかの複合体は、1つの単離KLHL12フラグメントあたり1つの抗KLHL12抗体を有することができ、複数の複合体中の他の複合体は、1つの単離KLHL12フラグメントあたり1つ超の抗KLHL12抗体を有することができる。
【0104】
[00108] いくつかの実施形態では、単離KLHL12フラグメントは、より高い親和性で抗KLHL12抗体によって結合され得る。いくつかの実施形態では、抗KLHL12抗体の結合部位は、抗KLHL12抗体により、2倍を超える、3倍を超える、4倍を超える、5倍を超える、8倍を超える、10倍を超える、15倍を超える、20倍を超える、25倍を超える、50倍を超える、100倍を超える、300倍を超える、1,000倍を超える、3,000倍を超える、10,000倍を超える、30,000倍を超える又は100,000倍を超える結合親和性で結合され得る。より大きい結合親和性は、KLHL12:抗KLHL12抗体複合体のより低い解離定数(KDS)又は抗KLHL12抗体及びKLHL12のそれぞれのより高い結合定数(KAS)によって明示される。いくつかの実施形態では、KLHL12:抗KLHL12抗体複合体の解離定数(KDS)は、1mM未満、300nM未満、100nM未満、30nM未満、10nM未満、3nM未満、1nM未満、300pM未満、100pM未満、30pM未満、10pM未満、3pM未満又は1pM未満であり得る。抗原に対する抗体の結合親和性を測定するための方法は、当技術分野で周知であり、ELISA、等温滴定熱量測定(ITC)及び表面プラズモン共鳴(SPR)を含む。
【0105】
[00109] 本開示は、既知のPBC抗体について血清陰性である対象におけるものなどのPBCを診断するための方法を提供する。こうした方法は、(a)既知のPBC抗体について血清陰性である対象を含む、PBCを有することが疑われる対象由来の生体試料を、本明細書で説明される単離KLHL12フラグメントと接触させることと、(b)生体試料中で抗KLHL12抗体の存在を検出することであって、結合された抗KLHL12抗体の存在は、PBCを示す、検出することとを含む。
【0106】
[00110] 対象における、健康な対照個体と比較して増加した抗KLHL12抗体の存在は、PBCの存在又はPBCを発症するリスクを示し得る。したがって、KLHL12に対する自己抗体の測定可能な増加は、PBCの診断に用いられる。抗KLHL12抗体のレベルを検出して対照と比較する例示的な方法が本明細書で提供され、下記でより詳細に説明される。
【0107】
[00111] いくつかの実施形態では、抗KLHL12抗体のレベルが検出される。他の実施形態では、本明細書に記載される組成物及び方法を用いてKLHL12:抗KLHL12抗体複合体を形成することができ、複合体中の抗KLHL12抗体を検出することができる。
【0108】
[00112] いくつかの実施形態では、健康な対照個体と比較して増加した抗KLHL12抗体のレベルの検出は、PBCを有する対象を示す。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物及び方法を用いてPBCを診断した後、PBCの発症又は存在に関連する様々な症状に基づいてPBCの存在を更に裏付けることができる。PBCに関連する臨床症状としては、例えば、疲労、そう痒、乾燥症候群及び上腹部不快感が挙げられる。Norman et al., Liver Int., 35 (2): 642-651 (2015);Onofrio et al,. Gastroenterol Hepatol (NY), 15 (3): 145-154 (2019)を参照されたい。
【0109】
[00113] いくつかの実施形態では、健康な対照個体と比較して増加した抗KLHL12抗体のレベルの検出は、対象にPBCの臨床症状を発症するリスクがあることを示す。いくつかの実施形態では、対象は、抗KLHL12抗体レベルの増加の判定から3ヶ月未満、6ヶ月未満、9ヶ月未満、12ヶ月未満、18ヶ月未満、2年未満、3年未満、4年未満、5年未満、6年未満、7年未満、8年未満、9年未満、10年未満、12年未満、14年未満又は16年未満以内にPBCの臨床症状を発症するリスクがあり得る。
【0110】
[00114] いくつかの実施形態では、健康な対照個体と比較して増加した抗KLHL12抗体のレベルの存在は、対象が、抗KLHL12抗体の増加の判定後5年以内にPBCの臨床症状を5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、60%超、70%超、又は80%超、又は90%超発症する可能性があることを示す。いくつかの実施形態では、増加した抗KLHL12抗体のレベルの存在は、対象が、健康な対照個体と比較して増加した抗KLHL12抗体レベルの判定後5年以内にPBCの臨床症状を2倍超、3倍超、4倍超、5倍超、6倍超、7倍超、8倍超、9倍超又は10倍超発症する可能性があることを示し得る。
【0111】
[00115] 本明細書で使用するとき、用語「対象」、「有機体」、「個体」又は「患者」は、同義語として互換的に使用され、脊椎動物の哺乳類を指す。哺乳類としては、ヒト;サル、チンパンジー、オランウータン及びゴリラなどの霊長類;ネコ、イヌ、ウサギ;ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ及びブタなどの家畜;並びにマウス、ラット、ハムスター及びモルモットなどのげっ歯類が挙げられる。一例として、本開示の対象としては、健康な対象、無症状性の対象及び疾患を有する対象が挙げられ得る。
【0112】
[00116] 本明細書で使用するとき、対象は、当技術分野で周知の特定のリスク因子の存在によって判定して「PBCを有することが疑われ」得る。こうしたリスク因子としては、例えば、遺伝的素因、個人の病歴、生活習慣因子、環境因子、診断上の指標などが挙げられる。
【0113】
[00117] いくつかの実施形態では、対象は、当技術分野で周知の特定のリスク因子の存在に基づいてPBCを有することが疑われ得る。PBCを有する又は発症するリスクのある対象は、PBCを発症する遺伝的素因又はPBC若しくは他の自己免疫疾患の家族歴を有し得る。対象は、PBCの発症を促進する特定の生活習慣因子(例えば、喫煙)又は環境因子に曝されている場合がある。対象は、PBCの特定の臨床的疾患徴候を示し得る。対象は、PBCを診断するか又はPBCを発症するリスクを評価するための臨床的精密検査を受けている患者であり得る。
【0114】
[00118] いくつかの実施形態では、対象は、その体液又は組織中に抗KLHL12抗体を有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、その体液又は組織中において、正常な健康対象と比較して高い抗KLHL12抗体を有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、その体液又は組織中において、正常な健康対象と比較して高い抗KLHL12抗体を有さない。
【0115】
[00119] いくつかの実施形態では、対象は、治療を受けたことがない場合がある。いくつかの実施形態では、対象は、PBCの治療(例えば、薬物治療)を受けている場合がある。いくつかの実施形態では、対象は、寛解期であり得る。いくつかの実施形態では、寛解は、薬物で誘発されたものであり得る。いくつかの実施形態では、寛解は、薬物を含まないものであり得る。
【0116】
[00120] いくつかの実施形態では、対象は、PBCの動物モデルであり得る。いくつかの実施形態では、動物モデルは、PBCのマウス、ウサギ又は霊長類モデルであり得る。いくつかの実施形態では、動物モデルは、動物をKLHL12で免疫化又はワクチン接種することにより、抗KLHL12抗体応答を誘発することを伴い得る。
【0117】
[00121] 本明細書で使用するとき、対象は、血液検査で既知のPBC自己抗体の存在を検出できないことにより判定して、「既知のPBC自己抗体について血清陰性」であり得る。
【0118】
[00122] いくつかの実施形態では、既知のPBC抗体は、抗ミトコンドリア抗体(AMA)、抗核抗体(ANA)、抗多核ドット(MND)自己抗体、抗核小体(NB)自己抗体、抗ヘキソキナーゼ1(HK1)抗体及び抗KLHL12抗体であり得る。いくつかの実施形態では、既知のPBC抗体は、M2ミトコンドリア自己抗体、gp230自己抗体、ヌクレオポリンp62自己抗体、ラミンB受容体自己抗体、前骨髄球性白血病タンパク質(PML)自己抗体、抗sp100(斑点状)抗体、抗gp210、抗セントロメア、抗97/VCP、抗好酸球ペルオキシダーゼ(抗EPO)、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体E2サブユニット(PDC-E2)自己抗体、分岐鎖2-オキソ酸デヒドロゲナーゼ複合体(BCOADC-E2)自己抗体、2-オキソ-グルタル酸デヒドロゲナーゼ複合体(OGDC-E2)自己抗体及びNDP52自己抗体であり得る。
【0119】
[00123] いくつかの実施形態では、対象は、無症状性であり得る。無症状性の対象としては、PBCを発症するリスクが本質的にないか又はごくわずかである健康な対象が挙げられる(例えば、その後の5年間にわたって無症状性の患者がPBCを発症する可能性は、10%未満、5%未満、3%未満又は1%未満である)。無症状性の対象としては、PBCを発症するリスクの高い健康な対象が更に挙げられる(例えば、その後の5年間にわたって無症状性の患者がPBCを発症する可能性は、50%超、70%超、90%超又は95%超である)。無症状性の対象としては、軽度の早期のPBCの診断指標を示し得るが、他の点で疾患又は病状を有さない、疾患を有する対象が更に挙げられる。
【0120】
[00124] 本明細書では、用語「健康な対照個体」、「健康な対象」及び文法的均等物は、互換的に使用され、抗KLHL12抗体の増加が、非PBC対象を表すと知られているか又は判定されるベースライン又は標準を超えない対象を指すことに留意されたい。
【0121】
[00125] いくつかの実施形態では、健康な対象は、特定の疾患に罹ったことがない場合がある。いくつかの実施形態では、健康な対象は、過去に疾患を有していた場合がある。いくつかの実施形態では、健康な対象は、定期的な健康診断を受けている場合がある。いくつかの実施形態では、健康な対象は、例えば、臨床試験における対照群のメンバーである場合がある。いくつかの実施形態では、健康な対象は、当技術分野で周知の特定のリスク因子の存在によって判定して、疾患に罹るリスクがある場合がある。こうしたリスク因子としては、非限定的に、遺伝的素因、個人の病歴、家族の病歴、生活習慣因子、環境因子、診断上の指標などが挙げられる。
【0122】
[00126] 対象を非PBC対象と判定又は定義するベースライン又は標準は、基準範囲である。診断又は健康関連分野において、基準範囲は、特定のパーセンタイルによって指定される、健康な対照個体であり得る基準対象で観察される値の範囲である。基準範囲は、当業者によって判定される任意の値の範囲であり得る。CLSI,“How to define and determine reference intervals in the clinical laboratory: approved guideline”C28: A2 (2000)を参照されたい。場合により、特定の測定対象の検体又は研究対象の疾患に応じて、基準範囲は、厳しい場合も又はあまり厳しくない場合もある。当業者は、基準範囲を決定するときに使用すべき適切な厳密性を理解するであろう。したがって、いくつかの実施形態では、基準範囲は、95パーセンタイルに設定され得る。特異度を増加させ、感度を低下させる、例えば厳密度を増加させるために、96パーセンタイル又は97、若しくは98、若しくは99などのより高いカットオフを使用することができる。
【0123】
[00127] 本開示では、抗KLHL12抗体レベルが、健康な対照対象における抗KLHL12抗体レベルと比較して少なくとも95パーセンタイルを上回る場合、抗KLHL12抗体が対象中で増加したとみなされ得る。他の実施形態では、抗KLHL12抗体レベルが96、97、98又は99パーセンタイルを上回る場合、抗KLHL12抗体が対象中で増加したとみなされ得る。抗KLHL12抗体レベルが、開示される基準範囲のいずれか以上である本開示の対象は、PBCを有するとみなされる。
【0124】
[00128] いくつかの実施形態では、抗KLHL12抗体の存在は、健康な対象におけるバックグラウンドに対する信号の比較に基づき得る。いくつかの実施形態では、抗KLHL12抗体の存在は、健康な対象の集団で観察される平均又は中央抗KLHL12抗体レベルと比較して増加又は低減し得る。いくつかの実施形態では、抗KLHL12抗体は、健康な対象中に存在しない場合がある。いくつかの実施形態では、抗KLHL12抗体レベルは、抗KLHL12抗体レベルを決定するのに用いられるそれぞれのアッセイのノイズを上回って検出されない場合がある。いくつかの実施形態では、抗KLHL12抗体レベルが、抗KLHL12抗体レベルを決定するのに用いられるそれぞれのアッセイのノイズを上回って検出され得る場合、抗KLHL12抗体が試料中で存在するとみなされ得る。いくつかの実施形態では、抗KLHL12抗体検出アッセイ中の信号が、対照試料の平均又は中央信号などのノイズを少なくとも2標準偏差だけ上回る場合、抗KLHL12抗体が試料中で増加したとみなされ得る。いくつかの実施形態では、抗KLHL12抗体のレベルが所定の閾値レベルを超える場合、抗KLHL12抗体が試料中で存在するとみなされ得る。抗KLHL12抗体の閾値レベルは、特定の臨床試験の目的若しくは特定の抗KLHL12抗体レベルの診断的及び予後的有意性又は抗KLHL12抗体レベルの検出を伴わないPBCの別の診断試験の結果などの様々な因子に基づき、臨床医師などの当業者によって決定され得る。
【0125】
[00129] 抗KLHL12抗体は、対象から入手される多様な生体試料中で検出され得る。本明細書で使用するとき、用語「生体試料」は、分析又は診断に使用可能な有機体の身体由来の任意の試験体を指す。一例として、生体試料としては、全血、血漿、血清、滑液、羊水、痰、胸膜液、腹膜液、中枢髄液、尿、胆汁、唾液又は涙などの液体試料が挙げられ得る。生体試料としては、肝生検、骨髄、頬又は他の固体又は半固体の凝集細胞などの固体組織試料も挙げられ得る。本開示に関連して、対象から得た生体試料は、自己抗体を含有するか又は含有すると疑われる任意の試料であり得、抗KLHL12抗体が検出され得る対象由来の任意の材料を包含する。
【0126】
[00130] 本開示の生体試料は、抗KLHL12抗体を含有するか又は含有すると疑われる任意の対象から得ることができる。本開示の生体試料は、抗KLHL12抗体を有さないか又は有する疑いのない任意の対象からも得ることができる。したがって、いくつかの実施形態では、生体試料は、症状性の対象、無症状性の対象及び抗KLHL12抗体に対して陰性である対象から得ることができる。更なる実施形態では、生体試料は、ヒト;サル、チンパンジー、オランウータン及びゴリラなどの霊長類;ネコ、イヌ、ウサギ;ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ及びブタなどの家畜;並びにマウス、ラット、ハムスター及びモルモットなどのげっ歯類などの哺乳動物から得ることができる。
【0127】
[00131] 本開示の生体試料は、回収して即座に処理され得るか、又は回収され、冷凍され、及び後日処理され得る。生体試料は、本明細書に記載の対象の1つに由来する複数の試料を含むこともできる。いくつかの実施形態では、複数の生体試料は、12時間超、1日超、2日超、3日超、4日超、5日超、6日超、7日超、10日超、14日超、3週間超、1ヶ月超、2ヶ月超、3ヶ月超、4ヶ月超、5ヶ月超、6ヶ月超、9ヶ月超、12ヶ月超、18ヶ月超、24ヶ月超、30ヶ月超、3年超、4年超又は5年超にわたって定期的に回収され得る。
【0128】
[00132] 本開示の生体試料は、全血、血清、血漿又は痰であり得る。いくつかの実施形態では、本開示の生体試料は、肝生検などの組織生検であり得る。肝生検は、長さ10mm未満、11mm未満、12mm未満、13mm未満、14mm未満、15mm未満、16mm未満、17mm未満、18mm未満、19mm未満、20mm未満、21mm未満、22mm未満、21mm未満、23mm未満、24mm未満又は25mm未満であり得る。肝生検は、本明細書で開示される長さに加えて、少なくとも4つの門脈三管、少なくとも5つの門脈三管、少なくとも6つの門脈三管、少なくとも7つの門脈三管、少なくとも8つの門脈三管、少なくとも9つの門脈三管、少なくとも10の門脈三管又は少なくとも11の門脈三管を含み得る。
【0129】
[00133] 本明細書に提供される方法は、本開示の1つ以上の単離KLHL12フラグメントを含み得る。例示的な単離KLHL12フラグメントは、本明細書に開示され、下記の表2に見られる配列番号1~25を含む。いくつかの実施形態では、単離KLHL12フラグメントは、最初に記載のアミノ酸配列から開始する。いくつかの実施形態では、単離KLHL12フラグメントは、最後に列挙されるアミノ酸残基において終了する。他の実施形態では、単離KLHL12フラグメントは、列挙されるアミノ酸残基において開始及び終了する。単離KLHL12フラグメントは、化学的に合成されるか、組み換え合成されるか、又は本明細書に開示される天然源から単離され得る。単離KLHL12フラグメントは、抗KLHL12自己抗体を含む抗KLHL12抗体に特異的に結合することができ、結合は、25以下の信号対雑音比の標準スコア(ZS)を示す。
【0130】
[00134] いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、生体試料を、1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上又は16以上の本明細書に開示される単離KLHL12フラグメントと接触させることによって実施することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の単離KLHL12フラグメントは、本明細書に開示される固体支持体のいずれかにコンジュゲートされる。他の実施形態では、1つ以上の単離KLHL12フラグメントは、本明細書に開示される固体支持体のいずれかにコンジュゲートされない。
【0131】
[00135] 結合された抗KLHL12抗体の存在の検出は、抗KLHL12抗体を、抗KLHL12抗体に特異的な検出プローブと接触させることと、検出プローブの特異的結合を検出することとを含む。
【0132】
[00136] 本方法の検出プローブは、上記の検出プローブのいずれかを含み得る。簡潔に言えば、本方法の検出プローブは、抗体及び抗体特異的結合ポリペプチド又は抗体若しくは抗体特異的結合ポリペプチドの機能的フラグメントを含み得る。したがって、抗KLHL12抗体に特異的な検出プローブとしては、例えば、単離KLHL12フラグメント、KLHL12:抗KLHL12抗体複合体結合剤、抗KLHL12抗体結合剤及びIg結合剤が挙げられる。
【0133】
[00137] いくつかの実施形態では、抗KLHL12抗体に特異的な抗体は、ヤギ抗ヒトIgG又はその機能的フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗KLHL12抗体に特異的な結合ポリペプチドは、Aタンパク質若しくはGタンパク質又はその機能的フラグメントである。
【0134】
[00138] 本明細書で提供され、本開示のキットに関連して例示されるように、本開示の方法は、レポータータグを含み得る。レポータータグは、バイオマーカー検出のための信号を生成するように機能する。いくつかの実施形態では、レポータータグは、リガンド又は粒子を含む。いくつかの実施形態では、リガンドは、ビオチンである。いくつかの実施形態では、粒子は、ナノ粒子を含む。レポータータグは、例えば、非共有結合性又は共有結合性架橋を介して、本明細書で使用される検出プローブのいずれかに結合することができる。本開示のキットに関連して例示されるように、本開示の方法は、本明細書で説明又は例示される標識のいずれかを含むことができる。例えば、キットの標識としては、蛍光体、酵素、化学発光性部分、放射性部分、有機色素、小分子、ポリペプチド又はその機能的フラグメントが挙げられ得る。いくつかの実施形態では、キットの標識は、蛍光標識を含む。いくつかの実施形態では、蛍光標識は、PE、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリ性ホスファターゼである。いくつかの実施形態では、本開示の標識は、上記で例示される本開示の検出プローブにコンジュゲートされる。
【0135】
[00139] 本明細書で提供されるように、PBCは、結合された抗KLHL12抗体の存在を検出することによって本開示の対象中で決定され得る。本開示の標識によって生成された信号を検出、測定及び/又は定量化するための方法は、当技術分野で周知であり、これは、蛍光、発光、化学発光又は吸光率、反射率、透過率、複屈折若しくは屈折率の検出を含む。光学的方法は、共焦点及び非共焦点顕微鏡検査などの画像検査法並びにマイクロプレートリーダーなどの非画像検査法を含む。いくつかの実施形態では、生体試料中の抗KLHL12抗体を検出する方法は、生体試料中の蛍光、比色又は吸光信号の視覚化、定量化又はその両方を含み得る。
【0136】
[00140] 本開示のいくつかの実施形態では、抗KLHL12抗体の存在は、イムノアッセイによって検出され得る。イムノアッセイ及び生物物理学的なタンパク質相互作用アッセイを実施するための方法及びプロトコルは、当技術分野で周知である。例えば、Wild D., The Immunoassay Handbook, Elsevier Science, 4th Edition (2013);Fu H., Protein-Protein Interactions, Humana Press, 4th Edition (2004)を参照されたい。例示的なイムノアッセイとしては、蛍光免疫吸着アッセイ(FIA)、化学発光イムノアッセイ(CIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、マルチプレックスイムノアッセイ、タンパク質/ペプチドアレイイムノアッセイ、固相ラジオイムノアッセイ(SPRIA)、間接免疫蛍光アッセイ(IIF)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)及び粒子ベース多検体試験(PMAT)又はドットブロットアッセイが挙げられる。
【0137】
[00141] いくつかの実施形態では、ELISAは、サンドイッチELISAであり得る。いくつかの実施形態では、サンドイッチELISAは、本明細書に開示される固体支持体上に本開示の単離KLHL12フラグメントを固定化する最初の工程を含み得る。例えば、単離KLHL12フラグメントは、マイクロタイタープレートウェル又はキュベットの壁面に固定化され得る。いくつかの実施形態では、対象由来の試料を単離KLHL12フラグメントと接触させることは、試料を単離KLHL12フラグメントに曝露することを含み得る。
【0138】
[00142] いくつかの実施形態では、ELISAは、直接ELISAであり得る。いくつかの実施形態では、直接ELISAは、本明細書に開示される固体支持体のいずれかの上に単離KLHL12フラグメントを固定化する最初の工程を含み得る。例えば、単離KLHL12フラグメントは、マイクロタイタープレートウェル又はキュベットの壁に固定化され得る。いくつかの実施形態では、対象由来の試料を単離KLHL12フラグメントと接触させることは、患者の試料に含有される抗KLHL12抗体を、固定化された単離KLHL12フラグメントに曝露することを含み得る。本明細書に開示される(上記を参照されたい)及び当技術分野におけるイムノアッセイのいずれも、本明細書に開示される方法のいずれでも使用され得るか、又は使用するために修正され得る。
【0139】
[00143] 本明細書で使用するとき、用語「粒子ベース多検体試験(PMAT)」は、単一のアッセイで2つ以上の検体を同時に測定することを可能にするイムノアッセイを意味することが意図される。例えば、PMATでは、様々な種類の粒子が同時に用いられ、それぞれの種類は、その粒子表面上で特定の分子種のための特定の結合パートナーを固定化している。溶液中において、検出対象の検体分子は、対応する粒子タイプ上でその結合パートナーに結合している。続いて、マルチプレックスアッセイの全ての粒子に結合した検体分子をマークする二次マーカーを添加することにより、結合が視覚的に検出される。PMATは、フローサイトメトリ、捕捉サンドイッチイムノアッセイ又は競合イムノアッセイなど、当技術分野で既知の様々なフォーマットを用いて実施することができる。例えば、デュアルレーザーフローベースの検出機器を用いて、自己抗体などの検体画分の結合を、二次マーカーの蛍光を介して検出することができる。いくつかの実施形態では、PMAT粒子は、ビーズであり得る。PMATを使用すると、自己免疫疾患に特異的に関連する1つ以上の自己抗体の存在が特定可能であり、患者は、PMATによって特定される自己抗体に特異的に関連する自己免疫疾患と診断され得る。
【0140】
[00144] いくつかの実施形態では、ドットブロット又はラインイムノアッセイ(LIA)を用いて生体試料中の抗KLHL12抗体を検出することができる。ポリペプチド濃度の推定を含むドットブロットの方法及びプロトコルは、当技術分野で周知である。Joint ProteomicS Laboratory (JPSL) of the Ludwig Institute for Cancer Research, Estimating protein concentration by dot blotting of multiple samples, Cold Spring Harbor Protocols, New York (2006)を参照されたい。
【0141】
[00145] イムノアッセイは、ブロッキング工程、洗浄工程及び追加的に又は代替的に溶出工程を更に含み得る。ブロッキング工程は、ブロッキング緩衝液中、ブロッキングを可能とするのに十分な時間及び温度でイムノアッセイの固体支持体に接触することを含み得る。例示的なブロッキング緩衝液は、上記で特定されている。洗浄工程は、固体支持体に対するポリペプチドの非特異的結合を排除するために、イムノアッセイの固体支持体を洗浄緩衝液と接触させることを含む。例示的な洗浄緩衝液は、上記で説明されている。溶出緩衝液としては、当技術分野で既知の又は本明細書に開示される様々な溶出緩衝液のいずれかが挙げられ得る。溶出緩衝液としては、例えば、pH2.5~3の0.1Mグリシン:HCl溶液が挙げられる。ポリペプチド複合体は、例えば、KLHL12:抗KLHL12抗体複合体の検出及び測定に役立つために、イムノアッセイの固体支持体から溶出され得る。
【0142】
[00146] 検出は、固体支持体上で実施される。例示的な固体支持体としては、本明細書に開示されるビーズ、球体、粒子、膜、チップ、スライド、プレート、ウェル及び試験管が挙げられる。いくつかの実施形態では、ビーズ、球体又は粒子は、マイクロメートル又はナノメートルの寸法を含む。いくつかの実施形態では、膜は、ニトロセルロース、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリ二フッ化ビニリデンからなる群から選択される。
【0143】
配列
[00147] 表2の配列は、本明細書に記載される単離KLHL12フラグメントの例示的なアミノ酸配列である。
【0144】
【実施例】
【0145】
実施例I
KLHL12タンパク質のエピトープマッピングを介したKLHL12フラグメント候補の選択
[00148] 本実施例は、KLHL12タンパク質のエピトープマッピングを介したKLHL12フラグメント候補の選択プロセスを例示する。
【0146】
[00149] エピトープマッピングには、2つの血清プールを用いた。第1のプールは、抗KLHL12抗体を含有する血清からなり、第2のプールは、抗KLHL12抗体に対して陰性である全身性エリテマトーデス(SLE)患者由来の血清からなっていた。2つのプールを使用して、固相マトリックス上で合成されたKLHL12フラグメントと重複するカスタム配列上でエピトープマッピングを実施した(PEPperPRINT GmbH, Heidelberg, Germany)。
【0147】
[00150] 切断されたKLHL12フラグメントを回避するために、KLHL12タンパク質の配列(NCBI遺伝子ID:59349)をC及びN末端において天然のGSGSGSG(配列番号26)リンカーで延長した。延長されたKLHL12タンパク質配列を、14アミノ酸のペプチド間重複を含む15アミノ酸のKLHL12フラグメントに翻訳した。得られたKLHL12フラグメントを2連でプリントし、追加の制御ペプチド(YPYDVPDYAG(配列番号:27))によってフレームを形成した。得られたKLHL12フラグメント及び制御ペプチドの両方を含むマイクロアレイの1つのコピーを、続いて抗KLHL12抗体を含有する血清のプールでインキュベートした。マイクロアレイの他のコピーは、抗KLHL12抗体に対して陰性である血清のプールでインキュベートした。
【0148】
[00151] 2つのマイクロアレイ中の各スポットの信号強度を画像化機器によって定量化した。
図1に示す高い信号強度又は高い信号対雑音比を有するスポットは、更なる分析のためのKLHL12フラグメント候補を示唆した。これらのKLHL12フラグメント候補を合成し、ELISA及びビーズ系技術を含むいくつかの固相アッセイを介して評価した。
【0149】
[00152] この実施例は、抗KLHL12抗体に特異的に結合する能力を有する、本明細書で開示されるKLHL12フラグメントが体系的にスクリーニング及び評価されることを実証する。
【0150】
実施例II
PBC患者由来の血清試験体中での抗KLHL12抗体の検出における単離KLHL12フラグメントの性能
[00153] 本実施例は、単離KLHL12フラグメントがPBC患者由来の血清試験体中で抗KLHL12抗体を検出する能力を例示する。
【0151】
[00154] 配列番号1のアミノ酸配列からなるKLHL12フラグメントをC末端(P2623-1の場合)又はN末端(P2738-1の場合)のいずれかにおいてビオチンで標識化した。標識化KLHL12フラグメントを、標準のInovaが所有するプロトコル及び材料を用いて、Costar高結合性マイクロウェルプレート(P2623-1の場合)又はInovaストレプトアビジンコーティングプレート(P2738-1の場合)のいずれかに5μg/mlで更にコーティングした。
【0152】
[00155] 血清試験体中の抗KLHL12抗体の検出は、(1)西洋ワサビペルオキシダーゼ(HR)中血清試験体の1:101希釈の試料希釈剤を作製することと、(2)100μlの希釈試験体を各ウェルに塗布することと、(3)室温で希釈試験体を、固定化KLHL12フラグメントを含有するウェルで30分間インキュベートすることとによって実施した。インキュベーション完了時、ウェルを200~300μlのHRP洗浄溶液で3回洗浄し、未結合の抗KLHL12抗体を洗い流した。続いて各ウェルを室温で、100μlのHRPでコンジュゲートされたヤギ抗ヒトIgGで30分間インキュベートした。インキュベーション完了時、ウェルを200~300μlのHRP洗浄溶液で3回洗浄し、未結合のHRPでコンジュゲートされたヤギ抗ヒトIgGを洗い流した。続いて、各ウェルを100μlのTMB(3,3’,5,5;-テトラメチルベンジジン)クロマゲンで30分間インキュベートした。100μlの0.1NのH2SO4停止液を添加することにより、反応を停止した。発色した色の強度を450/620nmで分光光学的に測定して反応性を評価した。
【0153】
[00156] KLHL12フラグメントに対するPBC患者由来の血清試験体の選択的反応性を実証するために、血清試験体を、リウマチ関節炎(RA)を患う多くの患者に存在する抗体の標的である環状シトルリン化ペプチド(CCP)に対する反応性に関しても試験した。本明細書で使用するCCPコーティングプレートは、QUANTA Lite(登録商標)CCP3 IgG ELISAキット(Inova Diagnostics, San Diego, CA)から入手した。結果の受信者動作特性(ROC)分析は、KLHL12フラグメントに対するPBC患者由来の血清試験体の選択的結合を明確に示した。対照的に、PBC患者由来の血清試験体は、RA関連抗原であるCCPに対するごくわずかな結合のみを示した。
図2を参照されたい。
【0154】
[00157] PBC患者由来の血清試験体中で抗KLHL12抗体を検出する際のKLHL12フラグメントの有効性を実証するために、血清試験体を、N末端にGSTタグを有する完全長組み換えKLHL12タンパク質の反応性に関しても試験した。KLHL12タンパク質は、Abnova Corporation(Taipei, Taiwan)から商業的に入手した。結果の受信者動作特性(ROC)分析は、PBC患者由来の血清試験体中で抗KLHL12抗体に結合する際、KLHL12フラグメントが、完全長KLHL12タンパク質と有効性が同じであったことを明確に示した。
図3を参照されたい。
【0155】
[00158] Liver Unit of the Hospital Clinic of Barcelona, Spainからの254人のPBC患者及びSaint-Antoine Hospital of Paris, Franceからの40人のPBC患者由来の血清試験体を回収した。QUANTA Lite(登録商標)ELISAキット(Inova Diagnostics, San Diego, CA)を使用して、回収した試験体の抗KLHL12抗体保有率を試験した。使用されたKLHL12フラグメントのアミノ酸配列は、C末端に3つの追加のアミノ酸を有する、配列番号2のアミノ酸配列からなるIECYDPIIDSWEVVTSMG(配列番号25)であった。KLHL12フラグメントをC末端においてビオチンで標識化した。
【0156】
[00159] 抗KLHL12抗体は、PBC患者のスペインコホートの22.8%及びPBC患者のフランス人コホートの20%で陽性であり、これは、KLHL12フラグメントが、異なる地理的場所出身のPBC患者由来の血清試験体中で抗KLHL12抗体を検出することを実証した。
【0157】
[00160] この実施例は、本明細書で開示されるKLHL12フラグメントが、PBC患者由来の血清試験体中で抗KLHL12抗体を検出することを介してPBCを診断可能であることを実証する。
【0158】
実施例III
単離KLHL12フラグメントを使用してPBC診断の感度を向上させる
[00161] この実施例は、本明細書で開示されるKLHL12フラグメントを使用した抗KLHL12抗体試験を加えると、PBC診断の感度が向上され得ることを例示する。この実施例で使用されたKLHL12フラグメントのアミノ酸配列は、C末端に3つの追加のアミノ酸を有する、配列番号2のアミノ酸配列からなるIECYDPIIDSWEVVTSMG(配列番号25)であった。KLHL12フラグメントをC末端においてビオチンで標識化した。
【0159】
[00162] ヨーロッパ肝臓学会(EASL)ガイドラインに従って診断された、臨床的に文書化されたPBC又はPBC/AIH重複を有する合計487人の患者由来の血清試験体を5つの専門臨床現場で回収した(Barcelona, Spain;Salamanca, Spain;Calgary, Canada;Edmonton, Canada;Warsaw, Poland)。QUANTA Lite(登録商標)ELISAキット(Inova Diagnostics, San Diego, CA)を使用して、回収した試験体をヘキソキナーゼ1(HK-1)及びKLHL12に対する抗体の存在に関して試験した。全ての血清試験体を抗MIT3自己抗体に関しても試験した。
【0160】
[00163] 抗MIT3抗体試験に抗HK-1及び抗KLHL12抗体試験を加えることで、PBCを検出する感度は、試料のコホートについて、抗MIT3のみの85.0%から、抗MIT3と、抗HK-1と、抗KLHL12との組み合わせの90.8%に増加した。
図4を参照されたい。
【0161】
[00164] この実施例は、本明細書で開示されるKLHL12フラグメントを用いて、PBC診断の感度を向上させ得ることを実証する。
【0162】
実施例IV
単離KLHL12フラグメントを使用してPBC診断の臨床的信頼性を向上させる
[00165] この実施例は、本明細書で開示されるKLHL12フラグメントを使用した抗KLHL12抗体試験を加えると、PBC診断の臨床的信頼性が向上され得ることを例示する。この実施例で使用されたKLHL12フラグメントのアミノ酸配列は、C末端に3つの追加のアミノ酸を有する、配列番号2のアミノ酸配列からなるIECYDPIIDSWEVVTSMG(配列番号25)であった。KLHL12フラグメントをC末端においてビオチンで標識化した。
【0163】
[00166] ここで試験した血清試験体は、上記の実施例IIに記載したSaint-Antoine Hospital of Paris, Franceからの40人のPBC患者由来であった。試験体を、Aptiva(登録商標)肝臓試薬(研究用途のみ、Inova Diagnostics, San Diego, CA)を用いて、MIT3、LKM-1、SLA、LC-1、sp100、gp210、HK-1及びKLHL12に対する抗体の存在に関して試験した。
【0164】
[00167] 40人のPBC患者で検出された自己免疫肝疾患関連バイオマーカーの頻度及び重複を
図5に示す。抗KLHL12抗体は、他のPBC特異性バイオマーカーと共に存在することが示された。更に、MIT3陰性PBC患者のうち、25%(2/8)が抗KLHL12抗体並びに抗gp210及び抗HK-1抗体に対して陽性であった。
図6を参照されたい。
【0165】
[00168] この実施例は、本明細書で開示されるKLHL12フラグメントが多検体アッセイの成分として含まれ得ることを実証する。こうして含めることでPBC診断の臨床的信頼性が向上する。
【配列表】