(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】レンズマッピング用測定装置
(51)【国際特許分類】
G01M 11/02 20060101AFI20241226BHJP
G02C 13/00 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
G01M11/02 B
G02C13/00
(21)【出願番号】P 2023518193
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(86)【国際出願番号】 IB2021059613
(87)【国際公開番号】W WO2022090867
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-05-09
(31)【優先権主張番号】102020000025450
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】514185529
【氏名又は名称】ヴィジア イメージング エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】フォッジ,アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】デル トンゴ,ルカ
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0340672(US,A1)
【文献】特開昭61-120940(JP,A)
【文献】国際公開第2005/096074(WO,A1)
【文献】特開2005-214681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 11/00 - G01M 11/02
G02C 1/00 - G02C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1組の眼鏡が有するレンズの光学特性を測定する装置であって、
光ビームを射出するよう構成された発光システム(150)と、
前記光ビームを受光するよう配置され、受光した前記光ビームの分析に適した受光システム(100)と、
アセンブリ(11,13,14,30,31)と、
所定の測定位置に合わせて、眼鏡の前記レンズの少なくとも一部を配置するよう構成された位置合わせシステム(70,80)であって、位置合わせを行う把持位置及びレンズの解放位置の間で動作可能であり、さらに、位置合わせ時に眼鏡を支持するよう構成された前記アセンブリ(11,13,14,30,31)と協働する位置合わせシステム(70,80)と、
を備え、
前記アセンブリ(11,13,14,30,31)は、
眼鏡のフレームを把持するよう構成された把持システム(13,14,16)であって、
前記把持システムは第1のプレート(14)及び第2のプレート(13)及び末端部(16)を含み、眼鏡を解放状態にする開位置と、眼鏡を把持して固定する閉位置と、の間で動作可能な把持システム(13,14,16)と、
前記発光システム(150)の使用時に眼鏡が載置される支持システム(30,31)と、
支持機構(11)全体が少なくとも一水平面(X,Y)に沿って移動可能なように、変位システムと接続され、前記
第2のプレート(13)及び前記末端部(16)及び前記支持システム(30,31)が
固定される支持機構(11)と、
を備え、
前記支持システムは、眼鏡用の支持台を形成するよう、互いに一定の距離をとって配置された、1本の第1のケーブル(30)及び1本の第2のケーブル(31)を備え、
前記第1のケーブル及び第2のケーブルは、前記第1のケーブル及び第2のケーブルが移動可能となるよう、構成された運動系機構(50,45,46,40a,41a)に接続されており、
前記把持システムが開構成にある場合、前記位置合わせシステムの起動後に、使用時に載置される眼鏡に対して、複数段階の自由度で、前記把持システムとは独立して移動可能であり、
前記アセンブリ(11,13,14,30,31)は、前記位置合わせシステムによる位置合わせが完了した後も、続く前記位置合わせシステムからの解放後も、前記支持システム及び前記把持システムによって、位置合わせされた前記測定位置に眼鏡を保持しながら、位置合わせされた前記測定位置に眼鏡を固定できるよう、さらに構成され、
前記位置合わせシステム(70,80)は、前記発光システムから射出される前記光ビームを遮断しないよう、前記発光システム(150)から一定の距離をもって配置され、
前記アセンブリ(11,13,14,30,31)は、その変位時に、位置合わせされた前記測定位置に眼鏡を保持したまま、眼鏡を前記光ビーム下で移動させるよう、変位可能である、ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記位置合わせシステム(70,80)は、下部要素(70)と、上部要素(80)と、を備え、前記下部要素及び前記上部要素の少なくとも一方は、レンズを間に挟んで位置合わせを行うよう、他方に向かって移動可能である、ことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記運動系機構は、第1のロッド対(40a,40b)と、第2のロッド対(41a,41b)と、を備え、
前記第1のロッド対(40a,40b)の各ロッドの一端は、固定位置に回動可能にヒンジ連結され、前記第1のロッド対の各ロッドの他端は、前記第1のケーブル(30)の一箇所に接続されており、これにより、前記第1のケーブルが、前記第1のロッド対の2本のロッドの間に延在し、前記第1のロッド対の各ロッドの回転に合わせて移動可能となり、
前記第1のロッド対には、前記第1のロッド対の2本のロッドのそれぞれを上昇位置に向けて弾性的に戻すように配置された、弾性手段(48)がさらに設けられ、
前記第2のロッド対(41a,41b)の各ロッドの一端は、固定位置に回動可能にヒンジ連結され、前記第2のロッド対の各ロッドの他端は、前記第2のケーブル(31)の一箇所に接続されており、これにより、前記第2のケーブルが、前記第2のロッド対の2本のロッドの間に延在し、前記第2のロッド対の各ロッドの回転に合わせて移動可能となり、
前記第2のロッド対には、前記第2のロッド対の2本のロッドのそれぞれを上昇位置に向けて弾性的に戻すように配置された、弾性手段がさらに設けられる、ことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のロッド対の2本のロッドは、互いに離れた位置に設けられ、それぞれのロッドがもう一方のロッドから独立して回転可能となるよう、互いに離間し、
前記第2のロッド対の2本のロッドは、互いに離れた位置に設けられ、それぞれのロッドがもう一方のロッドから独立して回転可能となるよう、互いに離間し、
前記第1のロッド対及び前記第2のロッド対は、前記支持機構にさらに固定された支持ブロック(50)にヒンジ連結されているか、あるいは、前記支持機構に直接ヒンジ連結されている、ことを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記弾性手段(48)は、前記第1のロッド対及び前記第2のロッド対のそれぞれのロッドに対して、弾性ばねを備え、
各ばねは、その一端が固定点に接続され、他端が前記ロッドに固定されることで、ロッドの回転時にばねが変形し、戻る力が生じる、ことを特徴とする、請求項3または4に記載の装置。
【請求項6】
前記把持システム(13,14)は、前記支持機構上で互いに対向する
前記第1のプレート及び
前記第2のプレートを備え、
2枚の前記プレートのうち、少なくとも1枚は、他方のプレートに向かって、又は、他方のプレートから離れるように移動するよう、前記支持機構に沿って変位可能である、ことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のプレート及び前記第2のプレートの
うち、少なくとも1枚のプレートを動かすための移動手段が設けられ、
前記移動手段は、歯車を回転動作させる電動モータを備え、
前記歯車は、回転方向にあわせて、前記プレートの変位が一方向又は逆方向に起こるよう、前記プレートに固定されたラックに係合されている、ことを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記プレートが両方とも変位可能であり、
一方のプレートに接続される第1のラックと、他方のプレートに接続される第2のラックと、が設けられ、
前記歯車が同時に両方の前記ラックに係合されていることで、一方向への回転により、前記プレートが互いに離間するよう移動し、逆方向への回転により、前記プレートが互いに近づくように移動する、ことを特徴とする、請求項
7に記載の装置。
【請求項9】
位置合わせが完了した後にのみ、前記把持システムを閉構成にし、その後、前記支持機構の変位を実行して、眼鏡レンズを前記発光システムに移動させるようプログラムされた、制御システムを備えることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
レンズ支持位置から前記ケーブル(30,31)を移動させるよう構成された移動システム(400)をさらに備える、ことを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡又は単レンズ用の測定機器、特に、1組の眼鏡又は単レンズのマッピングにおける技術分野に関する。
【0002】
特に、本発明は、非常に簡単な方法で、さらに、建設的に容易かつ機能的な解決法を伴って、レンズ又は眼鏡の位置合わせを実行可能な革新的な装置に関する。
【背景技術】
【0003】
よく知られているように、1組の眼鏡は、通常、フレームに固定された2枚のレンズ(任意の諧調を有し得る)からなる。
【0004】
さらに、フレームに接続された2本のサイドアームも設けられている。これにより、サイドアームが耳にかけられ、眼鏡を顔に固定することができる。
【0005】
したがって、フレームは、レンズを収容するための2つの孔が形成されたマスク状の構造を有し得る。
フレームは、鼻上部に眼鏡を安定させるためのブリッジを備える、あるいは、フレーム自体がブリッジとして機能する。
【0006】
また、フレームを有さない眼鏡も存在する。この場合、2枚のレンズを接続するブリッジのみを設け、鼻上部で安定させて使用することが意図されている。これにより、眼鏡が構造的な囲い要素に囲まれることはない。
【0007】
眼鏡の種類にかかわらず、また、フレームの有無にかかわらず、レンズマッピングに関する技術分野では、例えば、眼科での使用が想定される、レンズのマッピングを実施可能な装置が知られている。こうした技術の公開例として、Visionix社による特許文献1がある。
【0008】
一般的に、こうした装置により、眼鏡のレンズを1点で通過する光ビームが射出される。レンズを通過したビームは、既知のハルトマンマトリクスを利用した受光システムによって受光される。そして、プロセッサを利用して、受光した光ビームを分析し、レンズのマッピングが行われる。
【0009】
したがって、正確かつ適切な測定を行うためには、レンズを1点で通過する光ビームが、その通過点において、レンズに対して完全に直交していなければならないため、レンズの正確な位置合わせが、重要な鍵となる。
【0010】
レンズの位置合わせに関する機能的かつ簡易的なシステムについては、前述の特許文献1に記載がある。
【0011】
特許文献1に記載の装置は、光ビームを射出するための上部と、その上部の下に位置する光ビームの受光領域と、がいる。
【0012】
この2部分(上部及び光ビーム受光部)の間には、レンズを把持して移動させるシステムが設けられている。本システムは、高い自由度をもって構成されているため、異なる軸及び方向での種々の複合回転運動が可能である。これにより、把持された眼鏡を、測定に適切な位置に移動することができる。
【0013】
こうしたシステムは、光ビームの受光領域から延在する3つの突起部からなるアライナと協働する。この3つの突起部は、三角形をなすように配置される。
【0014】
したがって、このアライナは、光ビームと同軸にある。つまり、アライナは、光ビームの通過する経路上にあり、そのため、光ビームを遮断したり、光ビームを通過させたりする。
【0015】
眼鏡は、把持/移動システム全体の一部である把持装置によって把持されたあと、測定レンズが3つの突起部上にセットするよう、移動する。
【0016】
前述のものとは反対側に位置する、一般的に3つの突起部からなる補助アライナ要素が、突起部間でレンズを挟むよう、アライナに向けて下降する。
【0017】
把持装置で把持された眼鏡全体を自由に移動することができ、眼鏡が載置された3つの突起部によって所定の場所に設置することができる。これは、把持/移動システムが高い自由度を有しており、眼鏡アラインメント移動に応じて移動可能であるためである。
【0018】
眼鏡が3つの支持突起部上に把持され、支持される。これにより、眼鏡の動きに合わせた把持/移動システムの動きによって、位置合わせが実施される。
【0019】
より詳細には、眼鏡は、眼鏡フレームを挟み込む、挟みシステムによって把持される。挟みシステムは、ピンとともに後部に設けられた前部支持部に取り付けられている。該ピンは、ブッシングピン接続により、中間接続支持部の円筒状座部に回転挿入される。中間接続支持部は、さらに、二重支点システムを介して、後部支持部に接続される。二重支点システムは、中間装置の両側に1本ずつ設けられた、計2本のロッドからなり、両端がヒンジ接続されている。詳細には、一端が中間支持部の片側にヒンジ接続され、他端が後部支持部にヒンジ接続されている。
【0020】
後部支持部はさらに、剛性を有する垂直及び水平方向に変位するシステムに接続される。
【0021】
これにより、前部支持部全体、つまり、挟みシステムは、カップリングピンの縦軸を中心に、一体的に回転可能になっているカップリングピンは、中間支持部に回転挿入されている。また、二重支点接続により、中間支持部全体で、様々な自由度を実現することができる。このように、中間部は、中間部が接続されている後部に対して移動可能であるため、前部支持部全体が、一体となって複数の自由度を有することができる。
【0022】
挟みシステムと協働するケーブルがさらに設けられている。ケーブルは、前部支持部の一部をなし、固定された状態で挟みシステムの真下に延在する。これにより、眼鏡に対する、シンプルな固定支持面が形成される。
【0023】
したがって、実際の使用時に、眼鏡が挟みシステムによって把持され、3つの突起部上でガイドされることで、位置合わせが行われ、測定対象のレンズを3つの突起部上に設置できる。突起部に向かって下降する対向する突起部により、レンズを挟んだまま、位置合わせされた位置まで、レンズを強制的に移動させることができる。該位置は、眼鏡が載置された3つの突起部によって決定されたものである。
【0024】
把持システム、つまり、前部は、上述した、中間部及び後部における接続により、複数段階の自由度を有する。これにより、システム全体が、レンズの位置合わせ移動に従うことができる。
【0025】
したがって、眼鏡のレンズが前部の「はさみ」によって把持され、3つの突起部上に載置されると、上から下降する3つの対向する突起部に押圧される前に、種々の自由度で、回転・移動自在になっている。これは、把持システムが動きのすべてを支持しているためである。このように、レンズが完全に3つの突起部上に載置され、3つの突起部の間にある領域により、光ビームに対して直交又は略直交する位置が決定する。
【0026】
しかしながら、記載されている解決策によれば、アライナの3つの突起部は、射出される光ビームに重なる位置に配置されている。光ビームの下には、ビームを分析する装置の受光領域がある。この点が、この解決策の技術的欠陥である。
【0027】
特に、アライナによって光ビームが遮断されてしまう(光ビームが3つの突起部からなる空間を通過する)ということは、レンズを通過したあとに、3つの突起部による影の領域によって、ビームが変化してしまうことを意味する。また、ビームは、作業領域における照明条件によっても左右される。3つの突起部とは異なる形状、例えば、リング形状のアライナの場合であっても、同様の問題が起こる。
【0028】
明るい周辺環境又は暗い周辺環境、及び/又は、人工的な光又は自然光のもとで測定が行われた場合、これらの光が入射することで、支持台の形状通りの影の領域ができてしまい、光ビームが変化してしまう。
【0029】
特許文献1では、こうした技術的問題点が認識されており、アライナの形状及び大きさを適切に選択することで、影の発生を最小限にするという解決策が提案されていた。
【0030】
こうした解決法は、機能的ではない。
【0031】
そのうえ、前部支持部、中間支持部、及び後部支持部からなるシステム全体において、それ自体が複雑な構造となっている。これは、多数の部品を複雑な方法で組み合わせることでシステムが構成されているためである。また、眼鏡を把持したあとでも、システム自体の位置合わせを単独かつ独立して行う必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
そこで、本発明の目的は、上述した技術的欠陥を克服する、眼科的分野で利用される新規の装置を提供することにある。
【0034】
特に、本発明の目的は、測定及び測定を実施するための関連する方法が、影となってしまう可能性のある領域の影響を受けず、より正確に行われる装置を提供することにある。
【0035】
本発明の目的はまた、構造的に簡易的かつ機能的な装置、レンズを測定するための相対位置合わせシステム、及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0036】
したがって、本発明の請求項1に記載された、1組の眼鏡が有するレンズの光学特性を測定する装置によって、以上の目的等が達成される。
【0037】
本装置は、
光ビームを射出するよう構成された光エミッタ(150)(発光システムとも称する)と、
光ビームを受光し、受光された光ビームを分析可能なように配置されるレシーバ(100)(受光システムとも称する)と、
所定の測定位置に合わせて、眼鏡のレンズの少なくとも一部を配置するよう構成された位置合わせシステム(70,80)と、
を備え、
位置合わせシステムは、レンズの位置合わせを行う把持位置及びレンズ解放位置の間で動作可能であり、
位置合わせシステムは、さらに、位置合わせ時に眼鏡を支持するよう構成されたアセンブリ(11,13,14,30,31)と協働する。
【0038】
本発明によれば、アセンブリ(11,13,14,30,31)は、位置合わせが完了した後も、開放構成に切り替えられた位置合わせシステムとともに、眼鏡を位置合わせされた測定位置に保持しながら、眼鏡を位置合わせされた測定位置に固定できるよう、さらに構成される。
【0039】
位置合わせシステム(70,80)は、使用時にエミッタから射出される光ビームを遮断しないよう、エミッタから一定の距離をもって配置される。
【0040】
アセンブリ(11,13,14,30,31)は、したがって、位置合わせされた測定位置に固定された眼鏡を、光ビーム下で移動させるよう、変位可能である。
【0041】
このように、前述の技術的欠陥は、すべて、容易に解決される。
【0042】
特に、特許文献1の場合、眼鏡把持/移動システム全体の構造は光ビームの光路上で位置合わせが必ず行われるようになっていた。特許文献1の場合では、実際に、位置合わせ後の眼鏡の動きに従って、システム全体が移動し、位置合わせを決定する力が解放されると(つまり、アライナが開放構成になると)、把持システム全体が元の位置にもどり、位置合わせを解除するようになっていた。したがって、欧州特許出願公開の場合では、眼鏡を固定及び支持するシステム全体が、測定中、レンズを位置合わせされた位置に確実に保持するよう、欧州特許出願公開のアライナ20及び欧州特許出願公開の上部要素25の間に押圧した状態で眼鏡を保持する必要があった。実際、上部要素がアライナ20から離間した直後、システム全体が、開始位置まで弾性的に戻っていた。これにより、眼鏡が上部要素25及び下部アライナ20の間に挟まれたままの状態で、測定光ビームが射出されることとなり、したがって、ビームがアライナとのみ同軸となり得る。つまり、アライナが光ビームの光路に存在することになる。
【0043】
新規に提案される解決策では、位置合わせされた位置を保持したまま、アライナを解放することができる。これにより、光ビームの光路の外側に、アライナの位置を配置することができ、影が発生することによって生じていた、前述の技術的課題をすべて解決することができる。
【0044】
このように、特許文献1とは異なり、光ビームが位置合わせシステムとは同軸上にないため、影によって引き起こされるすべての問題が解決される。
【0045】
有利な点として、可能な解決法の一つにおいて、上記のアセンブリ(11,13,14,30,31)は、
眼鏡を把持するよう構成された把持システム(13,14)であって、眼鏡を解放する開位置と、眼鏡を把持して固定する閉位置と、の間で動作可能な把持システムと、
使用時に眼鏡が載置される支持システム(30,31)と、
変位システムと接続される支持機構(10)と、
を備える。
好ましくは、変位システムは、平面上における1つ以上の方向への変位(例えば、水平面(X,Y)上における、X方向への変位及びY方向への変位)を可能し、その上に、把持システム(13,14)及び支持システム(30,31)が配置される。
本発明によれば、支持システムは、ここでは、把持システムから独立して移動可能である。
【0046】
このように、有利な点として、使用時、載置されている眼鏡に対し、位置合わせシステム(70,80)の起動や、開構成にある把持システムに合わせて、複数段階の自由度を持たせることが可能となる。
【0047】
したがって、把持システムが開位置にありながら、簡易的な移動可能支持システムにより、レンズ、又はアライナにあるレンズの一部分の位置合わせを行うことができる。
【0048】
光ビームの光路から外れたところで(又は、光ビームの光路から距離をもたせて)、眼鏡の位置合わせを行いながら、建設的に、より簡易的な解決策を提供することができる。
【0049】
つまり、位置合わせシステムは光ビームの光路から外れて位置しており、そのため、光ビームが遮断されないということである。
【0050】
欧州特許出願公開とは異なり、本明細書で提案される解決策においては、位置合わせが支持システムの動きにより確実に行われるようになる。この動きは、把持システムから独立した動きである。一方、把持システムは、開位置で静止した状態を保つ。これにより、位置合わせを行い、その後、続いて把持システムを起動させることができるため、眼鏡が位置合わせされた位置に固定される。
【0051】
この点において、位置合わせシステムが設けられた位置に対して、測定を行い、光ビームを射出する必要がないことは明らかである。また、例えば、位置合わせシステムから一定の距離をもって設けられた測定領域に向かって、全体を正確に移動させることにより、位置合わせされた位置に固定されたレンズを、位置合わせシステムから離れた任意の場所に、容易に移動可能である。
【0052】
以上の事項によれば、ここで、位置合わせシステムは、エミッタから一定の距離をもって設置され、これにより、使用時に、少なくとも下部支持要素がエミッタから射出された光ビームを遮断することがなくなる。
【0053】
したがって、この解決策によれば、少なくとも下部支持要素は、光ビームの光路上に存在しない。
【0054】
したがって、好ましくは、下部要素及び上部要素からなる位置合わせシステム全体が、光ビームの光路の外側にある、つまり、光ビームを遮断しない。
【0055】
したがって、有利な点として、位置合わせシステムは、使用時にレンズが載置される下部要素(70)と、上部要素(80)と、を備える。位置合わせシステムにおいて、下部要素及び上部要素のうち、少なくとも一方が、他方に向けて移動可能となっており、これにより、その間にレンズを挟んで、位置合わせができるようになっている。
【0056】
1組の眼鏡が有するレンズの光学特性を測定するのに適した装置における、移動/固定システムを説明する。該システムは、
眼鏡の把持を実行するよう構成された把持システム(13,14)であって、眼鏡を解放する開位置と、眼鏡を把持して固定する閉位置と、の間で動作可能な把持システムと、
使用時に眼鏡が載置される支持システム(30,31)と、
装置の変位システムと接続可能であり、把持システム(13,14)及び支持システム(30,31)が配置される支持機構(10)と、
を備える。
【0057】
本発明によれば、支持システムは、独立して、把持システムから離間するよう移動可能である。
【0058】
このように、有利な点として、把持システムが開構成にある場合、使用時、支持システムに載置されている眼鏡に対し、複数段階の自由度を持たせることが可能となる。
【0059】
このように、上述のように、既存の装置に搭載可能なシステムを設けることや、本システムを備える装置を製造することが可能となる。
【0060】
有利な点として、すべての場合において、つまり、システムの場合、装置の場合、の両方において、支持システムは、少なくとも1本の第1のケーブル(30)及び少なくとも1本の第2のケーブル(31)を備える。これらのケーブルは、眼鏡に対する支持を構成するよう、互いに一定の距離をもって配置される。
【0061】
有利な点として、第1のケーブル及び第2のケーブルは、運動系機構に接続される。運動系機構は、第1のケーブル及び第2のケーブルが移動可能となるように、好ましくは、互いに独立して弧を描くように変位可能となるよう構成されている。これにより、位置合わせシステムの起動後に、把持システムが開構成にある状態で、位置合わせが実行される。
【0062】
有利な点として、すべての場合において、つまり、システムの場合、装置の場合、の両方において、運動系機構は、第1のロッド対と、第2のロッド対と、を備え、
第1のロッド対の各ロッドの一端は、固定位置に回動可能にヒンジ連結され、第1のロッド対の各ロッドの他端は、第1のケーブルの一箇所に接続されており、これにより、第1のケーブルが、第1のロッド対の2本のロッドの間に延在し、第1のロッド対の各ロッドの回転に合わせて移動可能となり、
第1のロッド対には、第1のロッド対の2本のロッドのそれぞれを上昇位置に向けて弾性的に戻すように配置された、弾性手段がさらに設けられ、
第2のロッド対の各ロッドの一端は、固定位置に回動可能にヒンジ連結され、第2のロッド対の各ロッドの他端は、第2のケーブルの一箇所に接続されており、これにより、第2のケーブルが、第2のロッド対の2本のロッドの間に延在し、第2のロッド対の各ロッドの回転に合わせて移動可能となり、
第2のロッド対には、第2のロッド対の2本のロッドのそれぞれを上昇位置に向けて弾性的に戻すように配置された、弾性手段がさらに設けられる。
【0063】
有利な点として、すべての場合において、つまり、システムの場合、装置の場合、の両方において、第1の対をなす2本のロッドは、一方が他方に対して独立して回転可能となるよう、互いに離間し、かつ、独立して設けられており、第2の対をなす2本のロッドもまた、一方が他方に対して独立して回転可能となるよう、互いに離間し、かつ、独立して設けられている。
【0064】
有利な点として、第1の対は、支持機構にさらに固定された支持ブロック(50)にヒンジ連結されているか、あるいは、支持機構に直接固定されている。
【0065】
いずれの場合であっても、第1のロッド対は、支持機構の片側から外側に向かって突出している。
【0066】
同様にして、第2の対は、支持機構の反対側から外側に向かって突出するよう、支持機構にさらに固定された支持ブロック(50)にヒンジ連結さているか、あるいは、支持機構に直接固定されている。
【0067】
有利な点として、すべての場合において、つまり、システムの場合、装置の場合、の両方において、弾性手段は、第1の対及び第2の対のロッドのそれぞれに対し、弾性ばねを備えている。
【0068】
有利な点として、各ばねは、ロッドの回転に従って、ばねが伸長して、戻る力を生成するように、その一端が固定点に接続され、他端がロッドに固定される。
【0069】
固定点は、構造の一部に、例えば、支持ブロック(50)自体に、常に接続された別体の固定ロッドであってもよい。
【0070】
また、ばねは、ロッドのヒンジ領域に取り付けられるような、捩りばねであってもよい。
【0071】
ここで、固定ロッドは必須のものではない。
【0072】
有利な点として、すべての場合において、つまり、システムの場合、装置の場合、の両方において、把持システム(13,14)は、支持機構上で互いに対向する第1のプレート及び第2のプレートを備え、2枚のプレートのうち、少なくとも1枚は、他方のプレートに向かって、又は、他方のプレートから離れるように移動するよう、支持機構に沿って変位可能である。
【0073】
有利な点として、すべての場合において、つまり、システムの場合、装置の場合、の両方において、変位動作にしたがって、少なくとも1枚のプレートを動かすための移動手段が設けられる。移動手段は、歯車を回転駆動する電動モータを備える。歯車は、歯車の回転方向にあわせて、プレートの変位が一方向又は逆方向に起こるよう、プレートに固定されたラックに係合されている。
【0074】
他の伝導部として、ウォームスクリュー等を用いてもよい。
【0075】
有利な点として、すべての場合において、つまり、システムの場合、装置の場合、の両方において、両プレートが移動可能に設けられる。
【0076】
この場合、一方のプレートに接続される第1のラックと、他方のプレートに接続される第2のラックと、が設けられる。歯車が同時に両方のラックに係合されることで、一方向への回転により、プレートが互いに離間するよう移動し、逆方向への回転により、プレートが互いに近づくように移動する。
【0077】
上述のように、ウォームによって実現されていてもよい。
【0078】
したがって、有利な点として、位置合わせが完了した後にのみ、把持システムを閉構成にし、その後、支持機構の変位を実行して、眼鏡レンズを光ビームエミッタに誘導するようプログラムされた、制御システムを設けてもよい。
【0079】
したがって、有利な点として、制御システムは、把持システムが開構成にある場合に、位置合わせシステムを起動させ、位置合わせを実行し、位置合わせが行われた後、閉構成にある把持システムの起動を実行して、眼鏡を位置合わせされた位置に固定し、支持機構の変位を続いて実行することで、眼鏡レンズ又は位置合わせされた単レンズをエミッタ下に移動させるよう、プログラムされている。
【0080】
さらに、ここで1組の眼鏡が有するレンズの光学特性を測定する方法について説明する。該方法は、
位置合わせシステム(70,80)により、眼鏡レンズの少なくとも一部が測定位置にくるよう、眼鏡レンズの位置合わせを行う工程と、
測定位置に合わせたまま、位置合わせシステムから一定の距離をあけて設けられた測定領域に、眼鏡を移動させる工程と、
測定位置に固定された眼鏡のレンズに当てるビームを生じさせる工程と、
を含み、
光ビームが位置合わせシステムに遮断されないように、位置合わせシステムから距離をあけて光ビームを生じさせる。
【0081】
有利な点として、以下のフェーズが実行される。
【0082】
支持機構全体が少なくとも一水平面(X,Y)に沿って移動可能なように、変位システムに接続された支持機構が配置される。支持機構には、眼鏡の把持を実行するよう構成された把持システムと、眼鏡を支持するよう構成された支持システム(30,31)と、が載置されている。把持システムは、眼鏡を解放する開位置と、眼鏡を把持して固定する閉位置と、の間で動作可能となっている。支持システムは、把持システムが開構成にある場合、使用時に載置される眼鏡に対して、複数段階の自由度で、把持システムとは独立して移動可能である。
【0083】
該方法は、
眼鏡を、支持システムに載置し、把持システムを、眼鏡が把持システムに対して種々の自由度で移動可能な開位置に配置する工程と、
下部要素(70)及び上部要素(80)の間に位置合わせされるレンズを挟み込む位置合わせシステムを起動させることで、眼鏡の位置合わせをする工程であって、挟み込みの後に、レンズの動きに合わせて移動する支持システムの動きにより、レンズが位置合わせされる工程と、
閉位置にある固定システムを起動することで、位置合わせされた位置に眼鏡を固定する工程と、
位置合わせシステムによって遮断されないよう、位置合わせシステムから一定の距離をおいている光ビーム下で測定を実施するため、レンズが変位するよう、続いて支持システムを変位させる工程と、
を含む。
【0084】
有利な点として、1枚のレンズに対し、こうした作業をN回繰り返す。具体的には、レンズの異なる部分に対し、位置合わせをN回実施し、位置合わせされた部分に対して、測定をN回行う。これにより、レンズ全体の正確なマッピングが実施される。
【0085】
また、単レンズを装置によって位置合わせする方法についても説明する。該装置は、支持機構全体が少なくとも一水平面(X,Y)に移動可能なように、変位システムに接続された支持機構(11)を備える。支持機構には、単レンズを把持するように構成された、少なくとも1つの把持システムが設けられる。把持システムは、単レンズを解放する開位置と、単レンズを把持して固定する閉位置と、の間を動作可能となっている。
【0086】
該方法は、
アライナ(70,80)の下部要素(70)上にレンズを載置し、下部要素及び上部要素(80)の間にレンズを固定することで位置合わせをする工程と、
レンズ把持/解放システムにおいて、アライナの下部要素及び上部要素により、位置合わせされた単レンズを把持する工程と、
光ビームをレンズに当てる測定位置まで、レンズを変位させる工程と、
を備え、
レンズに当てる光ビームは、アライナが光ビームの光路に被らないように、アライナから離れた位置で射出される。
【0087】
有利な点として、上述した工程の最後に、レンズを装置から降ろす。つまり、把持システムにより、レンズを初期載置位置まで戻し、操作者によって、装置から取り出される。
【0088】
同様にして、有利な点として、眼鏡の場合、眼鏡の片方のレンズの測定が完了すると、装置はシステムを初期載置位置まで戻し、もう片方のレンズの測定を介しする。
【0089】
場合によって、装置は、複数組の眼鏡の単レンズ、例えば、右レンズのマッピングを連続して実行するよう、プログラムされていてもよい。このように、測定された眼鏡の右レンズのすべての結果をレポートとしてまとめ、必要であれば、左レンズも同様にする。
【0090】
本明細書では、位置合わせという用語は、レンズを測定位置にあらかじめ設置しておくことを意味する。したがって、該測定位置において、アライナによって囲まれた空間に含まれるレンズ領域(3脚アライナの場合であれば、3つの突起部に囲まれた空間にある領域)は、光ビームに対して直交又は略直交する。
【0091】
したがって、本発明のさらなる変更例では、欧州特許出願公開で記載されていたようなシステム、例えば、把持部全体を位置合わせされた正確な位置に固定し、位置合わせシステムがレンズを解放しても、位置合わせされた位置を維持しながら変位する、一体化されたシステムを利用する可能性を排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0092】
添付の図面を参照しながら、非制限的な例示として、実施形態の一部に関する説明により、本発明に係るシステム及び関連する方法における、さらなる特徴及び利点を明らかにする。添付の図面は以下の通りである。
【
図1】
図1は、本発明に係る装置全体の軸測図を示す。
【
図2】
図2は、分解図における装置の一部を伴う軸測図を示す。
【
図3】
図3は、レンズを測定位置まで変位させる前に、レンズを把持し、位置合わせする際に利用するシステム(ユニットとも称する)全体の軸測図である。
【
図4】
図4は、レンズを測定位置まで変位させる前に、レンズを把持し、位置合わせする際に利用するシステム(ユニットとも称する)全体の軸測図である。
【
図5】
図5は、レンズを測定位置まで変位させる前に、レンズを把持し、位置合わせする際に利用するシステム(ユニットとも称する)全体の軸測図である。
【
図6】
図6は、眼鏡を載置する際の、プレート、把持/解放状態に関する上面図である。
【
図6A】
図6Aは、一方、位置合わせシステムの動作時における、開プレート状態を常に示す。ここで、開口隙間は最小となっている。つまり、ミリメートル単位ではあるが、眼鏡を把持状態から解放するには十分な隙間となっており、これにより、アライナが眼鏡を測定位置まで移動させることができる。
【
図8】
図8は、眼鏡に自由度を持たせるため、眼鏡を支持するケーブルの運動系機構に関する詳細を示す。
【
図9】
図9は、ケーブル30及び31と協働して、眼鏡のレンズの位置合わせを行うアライナを示す。
【
図10】
図10は、ケーブル30及び31と協働して、眼鏡のレンズの位置合わせを行うアライナを示す。
【
図12】
図12は、さらなる改善策を示す。ここでは、ケーブル変位システムが示される。レンズが位置合わせされた後、プレート間に挟まれると、ケーブル変位システムにより、ケーブル(30,31)が通常の支持位置から動かされる。この解決策によれば、ケーブルによって生じる影の問題が、さらに生じなくなる。
【
図13】
図13は、さらなる改善策を示す。ここでは、ケーブル変位システムが示される。レンズが位置合わせされた後、プレート間に挟まれると、ケーブル変位システムにより、ケーブル(30,31)が通常の支持位置から動かされる。ノブ400を回転させることにより、図12の状態から、ケーブルがプレート11の下に配置された図13の状態に移行することが可能である。この解決策によれば、ケーブルによって生じる影の問題が、さらに生じなくなる。
【発明を実施するための形態】
【0093】
図1は、本発明に係る装置(機械とも称する)の全体図を示す。
【0094】
図2は、
図1の装置の一部を示す分解図であり、これにより、特定の部分をより強調して示す。
【0095】
明らかであるように、装置は、以下に説明する構成要素が配置されるフレーム又は支持構造を備える。
【0096】
前述の図面を参照すると、したがって、画面200、好ましくは「タッチスクリーン」タイプの画面が設けられ、これにより、装置の機能を実行及び/又は制御する。
【0097】
図2の分解図に示すように、したがって、光エミッタ150を備えるゾーン150が設けられる。光エミッタ150は、従来技術でも既知であるように、測定用の光ビームを射出する。
【0098】
【0099】
エミッタはレシーバ(100)の上に配置されているため、光ビームがレシーバに当たるようになっている。
【0100】
レシーバは、「ハートマンプレート」を備え、したがって、受光した光ビームや測定対象のレンズを通過した光ビームを処理するための処理部を備える。これにより、先行技術における測定が実行できる。
【0101】
特に、ハートマンプレートにより、平面が画定される。より高価な「シャック・ハルトマン」センサの場合であっても、本発明を適用可能である(ハートマンプレートにあるようなマイクロ孔部に替えて、小型レンズアレイがある)。したがって、本発明によれば、本装置は、例えば、ハートマンプレートタイプ、又はシャック・ハルトマンセンサタイプのその他の種類の測定システムを備え得る。
【0102】
本発明によれば、簡易的な構造的で、かつ、レシーバから離れた領域で眼鏡の位置合わせを実行可能な眼鏡把持/移動システム300を提供することが可能であり、これにより、前述した先行技術における問題点を解決することができる。
【0103】
したがって、
図2を参照すると、前述の把持/移動システム300が示されており、理解しやすくなるよう、装置の他部分とは分けて、詳細を説明する。
【0104】
システム300は、例えば、本発明の構成要素が固定される、プレート11(例えば、金属製)としての支持機構10からなる。構成要素は、具体的には、1組の眼鏡を把持するよう構成された把持システム(13,14)と、使用時に載置された眼鏡を支持するよう構成された支持システム(30,31)と、である。
【0105】
これらの構成要素の詳細を以下に説明する。
【0106】
把持システム
図3を参照すると、把持システムは、プレート対(13,14)からなる。プレート対は、対向する2枚のプレートであって、互いに近づくよう、及び/又は、互いに離間するよう、支持機構11に沿って変位可能である。
【0107】
ここで、
図3は、2枚のプレートが開位置にあり、眼鏡がまだ解放された状態で、これら2枚のプレート間に配置される1組の眼鏡を示す。
【0108】
図6は、上面図であり、
図3で示したような開位置と、眼鏡のフレーム(つまり、いわゆる「リム」)がプレートで挟まれている閉位置と、により、2つのプレートをより明確に示すものである。
【0109】
支持機構にはまた、摺動チャネル15(
図7Aに断面で示す)が設けられている。摺動チャネル15内に、ロッド15´が摺動可能に載置され、末端部16で終端している。
【0110】
末端部は、ロッドに一体化して接続されることで、二部品間の相対移動が行われないことが好ましい。
【0111】
チャネル15の内部には、ばね(M)が設けられている。ばね(M)が、摺動チャネルの外側に向かって、ロッド、ひいては、末端部を押圧する。これにより、プレート間を確実に密閉し、同時に、眼鏡の矢状面を一意的に画定しながら、末端部が眼鏡に対して押圧され得る。
【0112】
実際、末端部は、フレームのブリッジに正確に嵌合するような形状を有しており、これにより、矢状面(例えば、
図6参照)が確実に画定される。
【0113】
図5に示す通り、図面によれば、システムは、プレートをなす2枚の対向するプレートの動き、特に変位を許容する。
【0114】
特に、引き続き
図5に示す通り、下部面に合わせて支持機構11に接続された第1のラック20が設けられている(実際に、
図5は、支持機構に関する底面図である)。第1のラックは、第1のプレート14に接続される。
【0115】
また、再び
図5に示す通り、第2のプレート13に接続される第2のラック21が設けられている。
【0116】
最後に、電動モータ24によって一方向又は反対方向に回転する歯車23が設けられている。
【0117】
このように、ラックを介して、歯車が回転することにより、プレートが移動する。これにより、プレートは互いに近づくように、あるいは相互に離間するように移動可能になる。
【0118】
したがって、眼鏡のフレームが解放されるまでプレートが開くように、又は、一定の締付力によってフレームが固定されるまでプレートが閉じるように、適切な制御システムによってプレートを制御することができる。
【0119】
当然ながら、装置で測定される眼鏡によって、眼鏡のフレームは、場合により異なるサイズ及び/又は形状を有し得る。フレームの把持又はフレームの解放に応じた、プレートの1回の移動量は、測定対象の眼鏡によって変化する(眼鏡は、大きくても小さくてもよく、大人用であっても子ども用であってもよい)。
【0120】
このため、種々の方法で把持及び開放位置に達したフレームを検知するシステムを、容易に実現することができる。
【0121】
例えば、可能な解決法の一つにおいて、モータによって電流が吸収されていることが検知され得る。これは、眼鏡が締め付けられ始めると、電流が増え、電流の遮断は、把持が完了したことを意味するためである。
【0122】
電流吸収値がある程度まで達すると、所望の締付値を達成しているため、システムは電流を遮断し、モータが停止する。
【0123】
電流の遮断からかなり遠い状態では、したがって、レンズが解放された状態となっている。
【0124】
支持機構上にはまた、以下に説明する支持システムも設けられている。
【0125】
支持システム
支持システムは、例えば、
図6及び
図4に示すように延在する、2本のケーブル(30,31)からなる。
図4又は
図6を参照すると、第1のケーブル30は、支持機構10の片側に沿って延在するよう設けられ、一方、第2のケーブル31は、支持機構の反対側に沿うよう設けられる。
【0126】
2本のケーブル(30,31)のそれぞれは、回転支点周りにヒンジ連結されたロッドにより、2つの固定点間に延在している。
【0127】
図8における詳細により、本解決策の構造的詳細がよりよく示されている。
【0128】
実際の使用では、
図7を参照すると、支持機構の片側に、一定の距離をあけて互いに対向しており、支点周りに回転可能なようにヒンジ連結されている第1のロッド及び第2のロッド(40a,40b)が設けられている。ケーブル30は、2本のロッド間に延在する。
【0129】
反対側で第1のロッド及び第2のロッド(41a,41b)間を延在するケーブル31も同様である。両ロッドは、一定の距離をあけて互いに対向しており、支点周りに回転可能なようにヒンジ連結されている。
【0130】
図8は、したがって、ロッド40a及び41aの拡大図を示す(つまり、前部ではあるが、ロッド40b及び41bのある後部でも同様である)。ロッドは、好ましい形態において、さらに支持システムに固定された支持台50と、ヒンジ連結されている。
【0131】
図8は、ヒンジ連結されたロッドのすべて(前部及び後部の両方)に使用される回転ヒンジ42を示す。
【0132】
支持台50及びロッド(40a,41a)に関連する前部(
図8に示す)は、上述のように、後部と略類似しているため、前部に関する説明は、後部に関するものと同様である。
【0133】
再び
図8を参照すると、固定された支持台50は、ロッド40a側にロッド45と、ロッド41a側にロッド46と、をさらに備える。
【0134】
これらのロッド45及び46は、構造50に固定されており(したがって、回転はしない)、端部をみたときに、ロッド(40a,41a)よりも大幅に高くなるような長さを有している。
【0135】
これらの固定ロッドは、弾性ばね48を対応する回転ロッドに接続するのに利用される。
【0136】
ばねは、一端がロッド41aに、他端が固定ロッドに接続されている(
図8からも分かるように、ロッド40aと同様である)。したがって、ばねは、回転ロッドを固定ロッドに向けて、常に戻すよう作用する。
【0137】
ばねを回転ロッドに接続させるため、異なる距離をおいて、孔を設けてもよい。こうした孔により、したがって、異なるポジショニングが可能となり、戻る力を異なる値に調節することが可能となる。
【0138】
図8に示す解決策によれば、したがって、ロッド(40a,41a)は、固定ロッドに近い位置から、支持システム11に向けて回転移動でき、(
図8のロッド41aの場合は、例えば、半時計周りに回転でき)、その後、
図8に示す他の構成となるよう、弾性的に戻ることができる。ここで、ロッドを固定ロッドから離間するよう回転させるための力が解放されると、ばねによって、元の場所に戻されるため、ロッド41aは、固定ロッドに近づく。
【0139】
後部ロッド(40b,41b)についても同様である。
【0140】
このように、したがって、ケーブル部(30,31)、この場合、具体的には、ケーブル30及びケーブル31の2本のケーブルのそれぞれが、互いに独立して移動可能な両端を有していることが分かる。
【0141】
特に、ケーブルの各端は、接続された対応する回転ロッドの回転によって画定される湾曲軌道60に沿って、移動可能である。
【0142】
この点において、実際に、
図8では、プレート13及びプレート14のそれぞれが、湾曲した溝60を有していることが示されている。これにより、ワイヤが、接続された回転ロッドの回転軌道にしたがって移動することができる。
【0143】
こうした特に簡易的な解決策によって、例えば、
図6に示されるように、眼鏡が2本のケーブル上に載置されることにより、眼鏡が吊るされて、支持された状態となる。また、ケーブルが移動可能な運動系機構に接続されているため、ケーブルの動きによって、眼鏡に複数段階の自由度をもたせることができ、さらに、アライナシステムによって位置合わせすることができる。
【0144】
各ロッド端(40a,40b;41a,41b)は、したがって、他端とは独立して湾曲軌道に沿って移動可能であり、各ケーブルが互いに独立して移動可能となる。
【0145】
これにより、システムの柔軟性が大幅に高まり、把持部全体を複数の移動部位から構成する必要がなく、複数段階の自由度が得られる。
【0146】
実際、以下の動作についての説明で明らかになる通り、プレート(13,14)は、接続されている支持システムに対し、回転や、自由度を付与することなく、変位動作のみを行う。プレートは、変位するだけで、眼鏡を把持・解放する。
【0147】
一方、ケーブルは、前述の回転ロッドにより固定される支持機構に対し、湾曲軌道に沿って変位する。
【0148】
実際に、運動系機構に接続されたケーブルとしての支持部によって、眼鏡の自由度を得る。運動系機構により、ケーブルの各端が、湾曲した、又は略湾曲した線状の軌道に沿って移動することができる。
【0149】
特に、下部位置合わせプレッサ及び上部位置合わせプレッサの間で位置合わせされるレンズの一部であって、ケーブル上に載置される部分は、ケーブルによって支持されているため、可能とされるすべての自由度を有する。
【0150】
無論、アライナ領域から離れたところにある眼鏡の部分も、いかなる問題を生じさせることなく、ケーブルから離れることができる。
【0151】
ケーブル軌道は、ケーブルが完全に強固な要素でない場合であっても、湾曲軌道に沿って、略線状として見なされ得る。ケーブルは、実際には、最小限の柔軟性を有する。これにより、その端部が接続されているロッドの変形や回転によって生じるケーブルの動きが、全体として、完全には湾曲した線形の動きでなくとも、湾曲軌道に沿った線形と見なされる。
【0152】
ケーブルの構成材料は、金属であることが好ましい。
【0153】
本発明の変形例では、ばね48は、各ロッドのヒンジ部分に直接設けられた捩りばねであってもよい。これにより、ロッドの回転方向に合わせて、ばねが捩れるため、ロッドを初期位置に戻すために解放するエネルギーが蓄積される。この変形例によれば、したがって、固定ロッド(45,46)を省くことができ、これにより、構造的により簡易的な解決策が提案される。
【0154】
支持機構10
支持機構は、剛性を有する金属プレート11として設けられ、装置の変位システムに接続され、上述した構造を強固に支持する。このように、支持機構を変位させると、上述したケーブルからなる支持システムと、上述したプレートからなる把持システムとが、強固に変位する。
【0155】
さらに詳細には、
図2を参照すると、把持/位置合わせシステム300(プレート(13,14)及びケーブル(30,31)が配置された支持部11によって、正確に形成されたシステム)の全体が、装置の摺動レールに接続される。これにより、ユニット300全体が、X方向及びY方向に変位し、水平面に沿って変位することとなる。
【0156】
Z軸に沿った変位は、本発明の好ましい解決策において、必須の要素でない場合であっても、以下に説明する位置合わせシステムによってZ軸の移動が行われるため、除外されない。
【0157】
水平面(X,Y)に沿って変位することで、眼鏡を位置合わせ領域内に移動させ、その後、測定領域に移動させることができる。
【0158】
位置合わせシステム
位置合わせシステムは、先行技術で説明したものと類似しており、
図9及び
図10に示されている。
【0159】
特に、
図9に模式的にしめすように、下部要素70と、その同軸上の上部に、上部要素80と、が設けられている。
【0160】
下部要素は、先行技術にもあったような、眼鏡を載置する支持要素71を構成する。支持面は、好ましくは、三角形をなすよう配置された3つの突起部(71a,71b,71c)からなるが、その他の形状(例えば、3つの突起部の替わりにリング)としてもよい。
【0161】
既に知られているように、3つの突起部を利用することで、実際に、レンズの位置合わせを正確に行う支持部が画定される。これにより、突起部がなす三角形によって画定されるレンズ領域に進入する測定光ビームが、3つの突起部によって画定されるレンズ領域(つまり、三角領域)に対して略直交するビームとなる。
【0162】
上部要素80は、前述の3つの突起部と重なるように配置された、3つの突起部(81a,81b,81c)からなる。これにより、レンズを間に挟むことができる。
【0163】
上部要素及び下部要素は、装置内の、測定領域から離れた領域内に配置され、水平面に対して直交する方向に、互いに向かって相互に移動する。
【0164】
実際に、
図2では、理解しやすくなるよう、光ビームの軸と、アライナの下部要素及び上部要素を接続する長手方向軸と、が示されている。光ビームが位置合わせシステムによって遮断されず、両者が互いに距離をとって設けられていることが分かる。
【0165】
上部要素及び下部要素は、したがって、装置内の、測定領域から離れた領域内に配置され、水平面(X,Y)に対して直交する方向、つまり、Z軸に沿って、互いに向かって相互に移動する。
【0166】
図9は、Z軸に沿って移動可能な下部要素を示し、
図10は、同様にZ軸に沿って移動可能な上部要素80を示す。このように、上部要素及び下部要素は、互いに近づくように、かつ、互いから離間するように構成されている。
【0167】
図11は、アライナを構成し、測定面100から距離をあけて設けられた、つまり、光ビームの外側に配置された、プッシャー70及び80の位置づけを、さらに明確に示している。
【0168】
好ましい構成において、プッシャーは、両方とも、互いに近づいたり、離間したりするよう、移動可能である。
【0169】
電動モータによって、それらの動きが付与されてもよい。
【0170】
しかしながら、本発明は、一方のみが他方に対して移動するという形態を排除するものではない。例えば、先行技術のように、固定された下部要素70に対して、上部要素80が近づいたり、離間したりする動きによって変位してもよい。
【0171】
しかしながら、この場合、ユニット300のZ軸に沿った動きを実行する必要があり得る。
【0172】
動作:
したがって、使用時において、装置は以下のように動作する。
【0173】
適切にプログラムされた制御システムが、以下に説明する動き及び動作のすべてを制御する。
【0174】
眼鏡は、ローディング位置に開いた状態にあるプレート間に、2本のケーブル上に載置されている(例えば、
図6「プレート開位置」参照)。
【0175】
この段階において、プレートは、したがって、
図6に示すような開いた状態にあり、眼鏡の位置決めをするように、操作者の手で末端部を戻す。末端部が、矢状面を画定しながら、ばねによって眼鏡のブリッジに向かって移動する。
【0176】
ここで、装置のスイッチが入れられ、測定が自動で行われる。
【0177】
位置合わせシステムの一部である下部要素70の上で測定されるレンズの位置決めを行うため、システム300が変位する。
【0178】
眼鏡が意図せず落下することを防ぐため、変位時、プレートは、部分的であっても閉じることができる。
【0179】
したがって、眼鏡の落下を防いで、眼鏡の位置を一意的に決定しつつ、眼鏡をしっかりと保持するため、この変位移動時に、プレートが閉じていることが好ましい。
【0180】
したがって、測定対象のレンズが、アライナ(70,80)に合わせて、つまり、2つの上部要素間の空間に移動するよう、ユニット300全体を変位させる。
【0181】
位置合わせ時、つまり、2つのプッシャー70及び80が互いに向かって移動して、レンズの一部を挟み込む時(又は、位置合わせ前のいずれの場合)に、プレート(13,14)が充分に開いて、眼鏡を解放し(
図6A参照-位置合わせ時にプレートが開いた状態にある)、眼鏡が、
図1の末端部16によってのみ、位置に保持されている。末端部16は、後部プレート13が眼鏡を解放するのに十分な距離をもって位置している間(一般的に、この場合、距離はミリメートル単位となる)、プレート14に対して眼鏡を弾性的に押圧する。
【0182】
分かりやすくするため、
図6は、眼鏡を設置するための開口、つまり、大きく距離をあけたプレートを示す。
【0183】
図6Aもまた、レンズの位置合わせ中に、アライナが動作中、つまり、プレート及びフレームに隙間がある状態の、プレートの開位置(したがって、眼鏡の開放位置)を示している。該隙間は、好ましくは、必須ではないものの、ミリメートル単位であり、眼鏡を解放するのに十分かつ、眼鏡がアライナの動きに合わせて移動可能となるものである。
【0184】
ゴムやプラスチックなどの、柔らかく耐摩耗性を有する、及び/又は、滑り止め効果のある材料によって、眼鏡と接触するプレート13及び14の部位をコーティングしてもよい。
【0185】
プレート(13)が引っ張られ、これにより、実際には、レンズに圧力が掛けることで、ケーブルに吊るされた眼鏡が移動する。
【0186】
支持ケーブルは、実際には、上昇位置及び下降位置の間で回転する独立したロッドに接続される。ここで、弾性的な戻る力が、ロッドに回転を掛ける力を上回った場合に、弾性手段(例えば、捩りばね又は収縮ばね)によって、上昇位置に戻される。
【0187】
眼鏡の位置合わせ移動時には、アライナによって規定された位置に到達する自由移動を妨げることなく、適切な形状を有する末端部が、フレーム構造上を摺動する。
【0188】
ここで、それぞれの3つの突起部が対向するよう、下部要素70及び上部要素80を互いに向かって移動させ、プッシャー間にレンズを挟み、3つの突起部によって、レンズの一部を正確に位置合わせすることで、位置合わせが実行される。
【0189】
実際、当然、眼鏡がケーブルによって支持されている間にレンズを3つの下部突起部に載置し、その後、3つの上部突起部でレンズを上から押圧することで、ケーブル上に載置された眼鏡を移動させて、位置合わせを行う。このケーブルは、回転ロッド運動系機構により、眼鏡の必須位置合わせ移動に従って移動する。
【0190】
位置合わせの実行が完了すると、レンズが、アライナの突起部及び対向する突起部の間に固定されたまま、レンズを支持するケーブル上に載置され、到達した位置に合わせられている間、プレートが閉じられて、位置合わせされた位置で締付が行われる。
【0191】
このように、下部要素及び上部要素を離間させることで、位置合わせされた位置でプレートによって固定されているレンズを解放することができる。また、眼鏡を変位させて、位置合わせされたレンズ領域を、光ビーム下の測定領域100に移動させることができる。
【0192】
適切にプログラムされた制御部により、モータの起動を制御して、上記の動きを管理する。
【0193】
したがって、上述した解決策によれば、レンズの位置合わせを正確に行い、位置合わせに使用したプレッサ(70,80)から距離をあけて、測定を行うことができる。また、これにより、構造的に簡易な解決策に加えて、プレッサ(70,80)によって生じた影の影響を受けずに、より正確な測定が可能となる。
【0194】
また、上述した装置により、より複雑かつより正確なマッピングを行うことができる。つまり、異なる部位において位置合わせを所定回数(n)(ここでn>1)行い、復元もn回行うことによって、マッピングが行われる。
【0195】
基本的に、上記の位置合わせのための工程では、プレート間に把持し、測定ビーム下まで変位させることを、同レンズの異なる部位において、n回実施することで、正確なマッピングを行うことができる。この工程は、例えば、遠近両用レンズの場合に有用であり得る。
【0196】
本発明における、さらなる改善された変形例においては、レンズがプレート間に位置合わせされ、把持された後、眼鏡を支持する必要がなくなったケーブル(30,31)を取り除くような変位システムが設けられていてもよい。これにより、眼鏡が載置されているケーブルが存在することによって生じ得る、残された影のリスクを完全に排除することができる。
【0197】
これが実現できるのは、本解決策により、レンズが位置合わせされた後、レンズがプレート間に把持され、その後、その下のケーブルを移動させることができるためである。
【0198】
ケーブル変位システムは、位置合わせが完了すると、前述のケーブル(30,31)をその位置から取り除くために、閉じられたプレートに介入する。したがって、上述した事項と矛盾することなく、こうしたケーブル変位システムを提供することが可能になる。
【0199】
【0200】
この場合、ケーブル(30,31)の一端が接続された各ロッドは、操作ノブ400に接続可能である。ノブ400を回転させることで、
図12の状態から、ケーブルがプレート11にある
図13の状態になる。
【0201】
Oリングガスケットがノブ400に取り付けられている。ガスケットは、弾性的であるため、したがって、摺動面に接触した際、部分的に変形し得る。
【0202】
位置合わせ後に眼鏡レンズが固定されると、レンズ支持ワイヤが部分的に加圧される、又は、全く加圧されない状態となる。
この時点で、右側に移動しながらOリングが平面上に圧縮される、XY平面上の特定の位置まで、システムが移動する。Oリングがノブ400を回転させると、ワイヤが回転を始める。
【0203】
図面で示した解決策では、各回転ロッドに接続されるばねが示されていないが、この場合、捩りばねが使われている。
【0204】
ここで説明する装置によれば、また、特定の工程により、1組の眼鏡が有するレンズに限らず、単レンズの測定も行うことができる。
【0205】
この場合、この工程により、位置合わせのために、下部要素70上に直接レンズを載置できる。
【0206】
レンズが載置され、単レンズを下部要素及び上部要素の間に挟むことにより、上述のように位置合わせが行われる。
【0207】
レンズがプレッサ(70,80)間にまだ固定されている状態にある時に、レンズがプレートの間に把持・固定できるように、プレートはすでに把持位置かつ開位置にある。
【0208】
これにより、プレートを閉じることができる。
【0209】
これによってのみ、プレート間で位置合わせされた位置に合わせられ、固定されたレンズが、測定位置に変位されるよう、プレッサが移動される。