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特許7611374物質の噴霧のためのノズルおよびこのノズルの制御または調節のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】物質の噴霧のためのノズルおよびこのノズルの制御または調節のための方法
(51)【国際特許分類】
   B05B 1/30 20060101AFI20241226BHJP
   B05B 1/06 20060101ALI20241226BHJP
   B05B 7/08 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
B05B1/30
B05B1/06
B05B7/08
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2023523234
(86)(22)【出願日】2021-10-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 EP2021077508
(87)【国際公開番号】W WO2022084034
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】102020213179.1
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390009438
【氏名又は名称】グラット ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Glatt GmbH
【住所又は居所原語表記】Werner-Glatt-Str. 1, D-79589 Binzen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ノーヴァク・ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ティース・ヨッヘン
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-532721(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0124269(US,A1)
【文献】特開昭51-052508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/30
B05B 1/06
B05B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質、特に分散液、乳濁液、懸濁液の噴霧のためのノズル(1)において、
このノズルが、ノズル口金部(2)と長手方向軸線(X-X)とを有するノズル本体(3)を備えており、
このノズル本体(3)が、
噴霧されるべき前記物質のための供給部と結合された、内側管体通路-内側壁部(4)と、内側管体通路-横断面積(5)を有する内側管体通路-横断面(6)を備える内側管体通路(7)と、内側管体-流出開口部面積(8)を有する内側管体-流出開口部(9)とを備えている、内側管体(10)と、
前記内側管体(10)を、半径方向の間隔(11)を有して囲繞し、且つ、ガスのための供給部と結合された、外側管体-流出開口部面積(12)を有する外側管体-流出開口部(13)を備える、外側管体(14)とを有しており、および、
前記内側管体-流出開口部(9)と前記外側管体-流出開口部(13)とが、ノズル口金部(2)の領域内において配置されており、
噴霧されるべき前記物質を案内する前記内側管体通路(7)内において、前記内側管体-流出開口部(9)に対して間隔(17)をおいて、狭隘位置(18)が配置されており、この狭隘位置(18)において、前記内側管体通路-横断面積(5a)が、
前記狭隘位置(18)と前記内側管体-流出開口部(9)との間の内側管体通路流出部分(19)の前記内側管体通路-横断面積(5b)よりも小さい、上記ノズル(1)において、
前記狭隘位置(18)が、柔軟な材料(28)から形成されている、ことを特徴とするノズル(1)。
【請求項2】
前記狭隘位置(18)は、内側管体通路部分長さ(20)を有する内側管体通路部分(21)として形成されていることを特徴とする請求項1に記載のノズル(1)。
【請求項3】
前記内側管体通路部分(21)は、前記内側管体通路部分長さ(20)にわたって、一定の内側管体通路-横断面積(5a)を有していることを特徴とする請求項2に記載のノズル(1)。
【請求項4】
前記内側管体通路部分(21)は、前記内側管体通路部分長さ(20)にわたって、噴霧されるべき前記物質の流動方向に、次第に小さくなる内側管体通路-横断面積(5a)を有していることを特徴とする請求項2に記載のノズル(1)。
【請求項5】
前記狭隘位置(18)は、狭隘位置-流出開口部(26)を有しており、
前記内側管体通路-横断面積(5)が、狭隘位置出側区間(25)にわたって、噴霧されるべき前記物質の流動方向に拡径することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のノズル(1)。
【請求項6】
前記内側管体(10)と前記外側管体(14)とは、長手方向軸線(X-X)を中心として同軸に形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載のノズル(1)。
【請求項7】
前記内側管体(10)と前記外側管体(14)とは、前記内側管体-流出開口部(9)が、前記外側管体-流出開口部(13)に対して同心的に配置されているように、互いに配置されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載のノズル(1)。
【請求項8】
前記ノズル口金部(2)の領域内において、前記内側管体(10)と前記外側管体(14)との間に、ガス案内のための渦形成体、渦形成薄板、またはその種の他のものの形態での付属部材(31)が配置されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載のノズル(1)。
【請求項9】
前記付属部材(31)は、前記外側管体(14)内において、前記内側管体(10)の案内のために配置されていることを特徴とする請求項8に記載のノズル(1)。
【請求項10】
前記付属部材(31)は、前記内側管体(10)及び/または前記外側管体(14)と強固に結合されていることを特徴とする請求項8または9に記載のノズル(1)。
【請求項11】
前記柔軟な材料(28)は、ポリマー、有利には合成のポリマー、特にシリコンであることを特徴とする請求項1から10のいずれか一つに記載のノズル(1)。
【請求項12】
前記柔軟な材料(28)内において、チャンバー容積部(29)を有する1つの流体チャンバー(30)が配置されており、この流体チャンバーが、流体収容または流体放出のために適しており、従って、前記狭隘位置(18)における前記内側管体通路-横断面積(5a)が調節可能であることを特徴とする請求項1から11のいずれか一つに記載のノズル(1)。
【請求項13】
前記柔軟な材料(28)内において、チャンバー容積部(29)を有する複数の流体チャンバー(30)が配置されており、これらの流体チャンバーが、流体収容または流体放出のために適しており、従って、前記狭隘位置(18)において、前記内側管体通路-横断面積(5a)、及び/または、前記外側管体(14)内における外側管体通路-横断面積(33)が調節可能であることを特徴とする請求項に記載のノズル(1)。
【請求項14】
前記内側管体(10)は、複数の部材から成るように形成されていることを特徴とする請求項1から13のいずれか一つに記載のノズル(1)。
【請求項15】
物質、特に分散液、乳濁液、懸濁液の噴霧のために適しているノズル(1)の、噴霧されるべき物質及び/またはガスの容積流量の制御または調節のための方法であって、
前記ノズル(1)が、ノズル口金部(2)と長手方向軸線(X-X)とを有するノズル本体(3)を備えており、
このノズル本体(3)が、
噴霧されるべき前記物質のための供給部と結合された、内側管体通路-内側壁部(4)と、内側管体通路-横断面積(5)を有する内側管体通路-横断面(6)を備える内側管体通路(7)と、内側管体-流出開口部面積(8)を有する内側管体-流出開口部(9)とを備えている、内側管体(10)と、
前記内側管体(10)を、半径方向の間隔(11)を有して囲繞し、且つ、ガスのための供給部と結合された、外側管体-流出開口部面積(12)を有する外側管体-流出開口部(13)を備える、外側管体(14)とを有しており、および、
前記内側管体-流出開口部(9)と前記外側管体-流出開口部(13)とが、ノズル口金部(2)の領域内において配置されている、上記方法において、
噴霧されるべき前記物質を案内する前記内側管体通路(7)内において、前記内側管体-流出開口部(9)に対して間隔(17)をおいて、狭隘位置(18)が配置されており、その際、この狭隘位置(18)において、前記内側管体通路-横断面積(5a)が、前記狭隘位置(18)と前記内側管体-流出開口部(9)との間の内側管体通路流出部分(19)の前記内側管体通路-横断面積(5b)よりも小さく、且つ、前記狭隘位置(18)が、柔軟な材料(28)から形成されており、
前記狭隘位置(18)が、前記内側管体通路(7)の閉鎖のための閉鎖位置と、少なくとも1つの開放位置とを有しており、
少なくとも1つの前記開放位置において、少なくとも、前記内側管体通路(7)が、噴霧されるべき前記物質のために貫通流動可能であり、
前記柔軟な材料(28)内において、チャンバー容積部(29)を有する流体チャンバー(30)が配置されており、
この流体チャンバーが、流体収容または流体放出のために適しており、
従って、前記狭隘位置(18)において、前記内側管体通路-横断面積(5a)が調節可能であり、
このことによって、前記ノズル(1)が、前記内側管体通路(7)の1つの前記閉鎖位置から、この内側管体通路(7)の少なくとも1つの前記開放位置へと切り替え可能であり、または、切り替えられ、および、の逆に、前記ノズル(1)が、前記内側管体通路(7)の少なくとも1つの前記開放位置から、この内側管体通路(7)の1つの前記閉鎖位置へと切り替え可能であり、または、切り替えられる、
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記内側管体通路(7)の1つの前記閉鎖位置から、この内側管体通路(7)の少なくとも1つの前記開放位置への前記狭隘位置(18)の切り替えの際に、
前記外側管体(14)を通って流動するガスは、少なくとも、前記内側管体通路(7)の1つの前記閉鎖位置から、この内側管体通路(7)の少なくとも1つの前記開放位置への、前記狭隘位置(18)の切り替えと同時に、前記外側管体(14)を通っての流動を開始する、
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記内側管体通路(7)の1つの前記閉鎖位置から、この内側管体通路(7)の少なくとも1つの前記開放位置への、前記狭隘位置(18)の切り替えの際に、
前記外側管体(14)を通って流動するガスは、前記内側管体通路(7)の1つの前記閉鎖位置から、この内側管体通路(7)の少なくとも1つの前記開放位置への、前記狭隘位置(18)の切り替えの以前に、前記外側管体(14)を通っての流動を開始する、
ことを特徴とする請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記内側管体通路(7)の少なくとも1つの前記開放位置から、この内側管体通路(7)の1つの前記閉鎖位置への、前記狭隘位置(18)の切り替えの際に、
前記外側管体(14)を通って流動するガスは、早くとも、前記内側管体通路(7)の少なくとも1つの前記開放位置から、この内側管体通路(7)の1つの前記閉鎖位置への、前記狭隘位置(18)の切り替えと同時に、前記外側管体(14)を通っての流動を停止する、
ことを特徴とする請求項15または16に記載の方法。
【請求項19】
前記内側管体通路(7)の少なくとも1つの前記開放位置から、この内側管体通路(7)の1つの前記閉鎖位置への、前記狭隘位置(18)の切り替えの際に、
前記外側管体(14)を通って流動するガスは、早くとも、前記内側管体通路(7)の少なくとも1つの前記開放位置から、前記内側管体通路(7)の1つの前記閉鎖位置への、前記狭隘位置(18)の切り替えの後に、前記外側管体(14)を通っての流動を停止する、
ことを特徴とする請求項15から18のいずれか一つに記載の方法。
【請求項20】
前記流体チャンバー(30)の前記チャンバー容積部(29)は、流体収容または流体放出によって、無段式に変化可能である、または、変化される、または、
複数の前記流体チャンバー(30)の複数の前記チャンバー容積部(29)が、流体収容または流体放出によって、無段式に変化可能である、または、変化される、
ことを特徴とする請求項15から19のいずれか一つに記載の方法。
【請求項21】
複数の前記流体チャンバー(30)の複数の前記チャンバー容積部(29)は、流体収容または流体放出によって、互いに依存せずに変化可能である、または、変化されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
複数の前記流体チャンバー(30)は、前記内側管体(10)の前記内側管体通路(7)、または、前記外側管体(14)が、互いに依存せずに、開放可能且つ閉鎖可能であるように、制御可能であることを特徴とする請求項20または21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物質、特に分散液、乳濁液、懸濁液の噴霧のためのノズルに関し、
このノズルが、ノズル口金部と長手方向軸線とを有するノズル本体を備えており、
その際、このノズル本体が、
噴霧されるべき前記物質のための供給部と結合された、内側管体通路-内側壁部と、内側管体通路-横断面積を有する内側管体通路-横断面を備える内側管体通路と、内側管体-流出開口部面積を有する内側管体-流出開口部とを備えている、内側管体と、
前記内側管体を、半径方向の間隔を有して囲繞し、且つ、ガスのための供給部と結合された、外側管体-流出開口部面積を有する外側管体-流出開口部を備える、外側管体とを有しており、および、
前記内側管体-流出開口部と前記外側管体-流出開口部とが、ノズル口金部の領域内において配置されており、
噴霧されるべき前記物質を案内する前記内側管体通路内において、前記内側管体-流出開口部に対して間隔をおいて、狭隘位置が配置されており、
その際、この狭隘位置において、前記内側管体通路-横断面積が、前記狭隘位置と前記内側管体-流出開口部との間の内側管体通路流出部分の前記内側管体通路-横断面積よりも小さい
【0002】
更に、本発明は、物質、特に分散液、乳濁液、懸濁液の噴霧のために適しているノズルの、噴霧されるべき物質及び/またはガスの容積流量の制御または調節のための方法に関し、
その際、前記ノズルが、ノズル口金部と長手方向軸線とを有するノズル本体を備えており、
その際、このノズル本体が、
噴霧されるべき前記物質のための供給部と結合された、内側管体通路-内側壁部と、内側管体通路-横断面積を有する内側管体通路-横断面を備える内側管体通路と、内側管体-流出開口部面積を有する内側管体-流出開口部とを備えている、内側管体と、
前記内側管体を、半径方向の間隔を有して囲繞し、且つ、ガスのための供給部と結合された、外側管体-流出開口部面積を有する外側管体-流出開口部を備える、外側管体とを有しており、および、
前記内側管体-流出開口部と前記外側管体-流出開口部とが、ノズル口金部の領域内において配置されている。
【背景技術】
【0003】
例えば、粒状化、錠剤およびペレットのコーティング、並びに、ペレットの直接的な製造のような工業的なプロセス内において、極めて頻繁に、ノズルもしくは噴霧ノズルが使用される。その際、微粒子は、被膜及び/またはフィルムによって覆われる。
通常、その内において固形物質が溶解または懸濁されている液体が噴霧される。この噴霧プロセスには、多くの時間がかかる可能性がある。霧化(Zerstaeubung)によって、液体噴流は、小さな小滴へと霧化される(zerstaeubt)。
その際、生成する小滴サイズは、製造プロセス及び/または噴霧プロセスのために、本質的な意義がある。小滴が過度に小さい場合、これら小滴が、これら小滴の目標に到達する以前にこれら小滴が乾燥することの危険が存在し、または、小滴が過度に大きい場合、所望されない凝集が生成することの危険が存在する。
ノズルの前でのプロセスに起因する渦流によって、-特に長く持続する噴霧プロセスの際に-ノズル開口部における堆積、即ちいわゆる「ばり形成(Bartbildung)」を誘起する可能性がある。これら堆積は、スプレーの対称性および小滴サイズに影響を及ぼし、従って、例えば、噴霧乾燥及び/または局部的な過湿および凝集のような、所望されないプロセス効果を誘起する。
【0004】
以下の従来技術は、技術的な解決策を具現しており、これら解決策が、ノズル、特にノズル口金部における所望されない堆積を防止するか、または、少なくとも最小限に減らす。
【0005】
特許文献1は、自己浄化する噴霧ノズル、および、特に、制御された凝集方法による、微粒子材料の調合のための装置内における使用のための自己浄化するノズルを示している。
この自己浄化するノズルは、
液体を供給するための中央の通路を備える中央管を有し、その際、前記通路が液体を放出するための開口部へと開口し、
中央の管を囲繞する第2の管を有し、それによって、中央の管と第2の管との間に一次空気を供給するための第1の通路が形成されており、
ノズル錐体を有し、このノズル錐体が、第2の管の端に配置されており、且つ、第1の通路の第1の放出間隙の外側周囲を形成し、それによって、且つ、液体/基体噴霧を形成するために、第1の通路を通って供給された空気が前記液体と混合され、
第2の管を囲繞する第3の管を有し、それによって、第2および第3の管の間に、二次空気を供給するための第2の通路が形成されており、
第3の管の端部に配置されたスリーブを有し、このスリーブが第2の通路の第2の放出間隙の外側周囲を形成し、
その際、ノズル錐体が、第1の放出間隙のサイズ調節のために、調節可能に第2の管の端部に配置されている。
【0006】
特許文献2内において、ノズルハウジングと、このノズルハウジング内において配置されている、複数の部材から成るように形成されたノズル頭部とを有する、流体の噴霧のための自己浄化噴霧ノズルが記載されており、この自己浄化噴霧ノズルが、流体のための流出開口部を有する流動通路を備えており、
その際、ノズル頭部が、少なくとも1つの固定状態の頭部要素と、少なくとも1つの移動可能に支承された頭部要素とを備えており、これら頭部要素が、それぞれに、流出開口部の1つの部分を形成し、
その際、移動可能な頭部要素が、標準の作動の間じゅう、流体圧力によって、流体の流動方向に位置するストッパーに対して、および、自己浄化の間じゅう、低減された流体圧力の際に、ばねによって流動方向とは逆に押圧される。
【0007】
特許文献3は、圧力媒体供給源からの流体を噴霧する自己浄化する噴霧ノズルを示しており、
その際、管体形状の取付具が設けられており、この管体形状の取付具が、この管体形状の取付具の長手方向に延びる内部流路を有しており、この内部流路が流入部と流出部とを備えており、且つ、この内部流路が、圧力媒体供給源との結合を形成するための結合装置を備えており;
流入部および流出部を有する管体形状のシャフトが設けられており、この管体形状のシャフトを通って流体が貫通導通され得、その際、シャフトの流入部が、部分的に流出側の取付具の端部内へと、取付具内へと流入する流体が長手方向にシャフトを通って流動するように達しており、このシャフトがフランジを備えており;
弁座がエプロン部を備えており、このエプロン部が内側面を有しており、この内側面が、この内側面が滑り摺動可能にシャフトの周りで適合するように寸法を設定されており、且つ、このエプロン部が外側面を有しており、この外側面が、弁座の半径方向の位置を固定するために、この外側面が管体形状の取付具の流出部内へと適合するように寸法を設定されており、その際、弁座が、それに加えて、リップ状部を有しており、このリップが、このリップ状部がこの弁座を長手方向に管体形状の取付具の流出部において位置決めし、且つ、この弁座と、管体形状の取付具の流出部との間で密閉部を形成するように寸法を設定されており;
装置が設けられており、長手方向および半径方向における弁座の移動を防止するために、これら装置によって弁座が強制的に取付具との接触状態に保持されており、
管体形状のシャフトの固定のための固定装置を有する噴霧ヘッドが設けられており、その際、この噴霧ヘッドが、流出装置を備えており、且つ、弁座に対して適合された表面を備えており;
ばねが設けられており、強固に予め与えられた予負荷力を弁座に対して生成するために、このばねがシャフトを囲繞し且つこのシャフトのフランジに対して予負荷されており、その際、このばねが、弁座を、噴霧ヘッドの適合された表面に対して押圧し、従って、この密閉部における流体流動を制限するために、弁座と、弁ヘッドの適合された表面との間で、密閉部が形成され、且つ、その際、流出装置が、密閉部が形成されている場合に流体流動が予め与えられたパターンに従い分散もしくは噴霧されるような、流体流動のための通路を形成し;
その際、噴霧ヘッドに対して作用する、ばね予負荷を克服するため十分である力が、噴霧ヘッドを弁座から分離し、このことによって、密閉作用が解除され、且つ、流出装置の洗浄を、流体によって可能にされる。
【0008】
特許文献4は、流動床設備のための噴霧ノズルを開示しており、この噴霧ノズルが、ノズル本体と、ノズルキャップと、固形物質を与えられた液体ための少なくとも1つの流出開口部と、および、ガスのための少なくとも1つの流出開口部とから成り、
その際、ノズルキャップの周囲に、可撓性の洗浄キャップが配置されており、且つ、ノズルキャップと洗浄キャップとの間に、ノズル本体内において配置された、圧縮空気通路から成る供給部が、圧縮空気により負荷された洗浄空気のために配置されており、
その際、圧縮空気通路が、ノズル本体の外側面におけるリング形状の凹状部と、ノズルキャップ内における少なくとも1つの横方向穿孔とを介して、ノズルキャップの外側面におけるリング形状の凹状部と接続されている。
洗浄キャップは、直接的に狭小に、ノズルキャップに隣接している。圧縮空気通路を介して、調節可能な相違するインターバルにおいて、または、より大きな時間間隔にわたって、圧縮空気により負荷された洗浄空気の供給は行われる。
洗浄空気は、リング形状の凹状部と横方向穿孔とを介して、リング形状の凹状部に供給される。リング形状の凹状部を介して、洗浄空気は、ノズルキャップと洗浄キャップとの間の共通の周囲を介して供給される。
洗浄空気の圧力衝撃によって、弾性的な材料から成る洗浄キャップは外方へと湾曲し、従って、洗浄空気が、ノズルキャップの外側面と、洗浄キャップの内側面との間で、噴霧ノズルの流出開口部の方向へと導かれる。
洗浄空気は、圧力噴流として、リング形状に、全ての側から噴霧ノズルのノズル口へと導かれ、従って、噴流の衝撃が、損失無しに直接的に利用され得、且つ、渦流形成が回避される。噴霧ノズル内における、流出開口部の直接的な領域内における、相応する材料堆積は吹き飛ばされる。
【0009】
前記の技術的な解決策において、従来技術において述べられたこれら自己浄化するノズルが、それぞれに複数の個別部材を有し、これら個別部材が、複雑な、メンテナンス頻度の高いノズルへと組み立てられ、このことによって、示された技術的な解決策が、これらノズルの生産およびメンテナンスにおいて費用のかさむことは欠点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】欧州特許第1 497 034 B1号明細書
【文献】国際公開第2013/010930 A1号
【文献】独国特許出願公開第43 24 731 A1号明細書
【文献】独国特許出願公告第101 16 051 B4号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の課題は、コストの安い、および、ノズルの少ない数の個別部材に基づいて容易に製造され得、且つ、仕上げられ得る、従来技術の欠点を解消する自己浄化するノズルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、冒頭に記載された様式のノズルにおいて、前記狭隘位置が、柔軟な材料から形成されていることによって解決される。
このノズルの実施形態は、ノズル口金部、特に内側管体-流出開口部及び/または外側管体-流出開口部において、付着及び/または堆積が強度に低減され、且つ、同時に、1つのノズルが準備され、このノズルが、ただ極めて少ない構造部材から成っている、ことの利点を有している。
その上、ノズル内における狭隘位置によって、噴霧/噴射のために必要な所定の圧力が上昇され、この圧力が狭隘位置-流出開口部において作用する。狭隘位置-流出開口部は、これに伴って、ノズル開口部に相応し、このノズル開口部が小滴サイズ、特に小滴直径を調節する。この極めて重要な特性値が、狭隘位置-流出開口部(ノズル開口部)との比較において拡大された内側管体-流出開口部によって影響を及ぼされないことは、予想外に確認された。
【発明の効果】
【0013】
ノズルの、これに関連して有利な実施形態により、前記狭隘位置は、内側管体通路部分長さを有する内側管体通路部分として形成されている。
このことによって、噴霧されるべき物質、特に分散液、乳濁液、懸濁液内において、生じる圧力が更に上昇し、このことは噴霧工程全体を明確に改善する。
有利には、前記内側管体通路部分は、前記内側管体通路部分長さにわたって、一定の内側管体通路-横断面積を有しているか、または、
前記内側管体通路部分が、前記内側管体通路部分長さにわたって、噴霧されるべき前記物質の流動方向に、次第に小さくなる内側管体通路-横断面積を有している。
噴霧されるべき物質の流動方向に次第に小さくなる内側管体通路-横断面積によって、この噴霧されるべき物質の入側挙動は、乱流が低減されるというやり方で改善され、このことによって、狭隘位置の後に行われる噴霧工程が最適化される。
【0014】
ノズルの付加的で有利な更なる構成に相応して、前記狭隘位置は、狭隘位置-流出開口部を有しており、
前記内側管体通路-横断面積が、狭隘位置出側区間にわたって、噴霧されるべき前記物質の流動方向に拡径する。
この経過において、噴霧されるべき物質に、噴霧の際に、付着及び/または堆積のための少しの作用面が与えられ、且つ、これら付着及び/または堆積が、これに伴って、最小限化される。
【0015】
更に、ノズルの付加的で有利な実施形態に従い、前記内側管体と前記外側管体とは、長手方向軸線を中心として同軸に形成されている。
特に有利には、前記内側管体と前記外側管体とは、前記内側管体-流出開口部が、前記外側管体-流出開口部に対して同心的に配置されているように、互いに配置されている。
このことによって、流動案内、特にガスの流動案内は、環状間隙内において明確に改善され、従って、スプレー対称性と小滴サイズが、改善されて調節可能である。
【0016】
その上、ノズルの付加的で有利な実施形態において、前記ノズル口金部の領域内において、前記内側管体と前記外側管体との間に、ガス案内のための渦形成体、渦形成薄板、またはその種の他のものの形態での付属部材が配置されている。
これに関連して有利には、前記付属部材は、前記外側管体内において、前記内側管体の案内のために配置されている。
更に、特に有利には、前記付属部材は、前記内側管体及び/または前記外側管体と強固に結合されている。
渦形成体、渦形成薄板、またはその種の他のものの形態での付属部材の組み込みによって、ノズル口金部における、ガス、特に霧化空気(Zerstaeuberluft)の流動案内は影響を及ぼされ得る。このことによって、特に、同様にノズル口金部の運動挙動および振動挙動も変化され得、従って、ノズル口金部における付着が最小限化可能である。付加的に、スプレー、即ち噴霧されるべき流体の噴霧対称性と小滴サイズとは直接的に調節可能である。
更に、内側管体は、外側管体内における組み込みの際に案内され、且つ、常に、所望された位置において保持される。
それに加えて、付属部材が、内側管体の振動を防止し、このことが、内側管体-流出開口部と外側管体-流出開口部との寸法の変化を誘起し、このことが、ノズル口金部における噴霧されるべき物質とガスとの流動挙動を変化し、および、これに伴って、同様にスプレー対称性および小滴サイズも変化する。
【0017】
ノズルの付加的で有利な実施形態により、前記狭隘位置は、柔軟な材料から形成されている。
これに関連して有利には、前記柔軟な材料は、ポリマー、有利には合成のポリマー、特にシリコンである。
ポリマーは、用途が広い材料であり、これらポリマーが、例えば安いコストで製造可能であり、極めて強靭であり、しかしながら、同様にそれぞれのポリマーに応じて極めて耐温度性でもある。ポリマー、特に合成のポリマーは、従って、極めて良好に、狭隘位置のための、および、極めて異なる噴霧されるべき物質のための合成のポリマーとして適している。
【0018】
合目的に、前記柔軟な材料内において、及び/または、この柔軟な材料において、チャンバー容積部を有する1つの流体チャンバーが配置されており、この流体チャンバーが、流体収容または流体放出のために適しており、従って、前記狭隘位置における前記内側管体通路-横断面積が調節可能である。
【0019】
更に有利には、前記内側管体は、複数の部材から成るように形成されている。
このことによって、狭隘位置を別個に仕上げること、及び/または、この狭隘位置を柔軟な材料から製造すること、および、引き続いて内側管体内へと統合することの可能性が存在する。
【0020】
合目的に、有利なノズルは、流動化装置またはコーティング装置内において使用される。
【0021】
ノズルの個々の構造部材、特に内側管体と外側管体とは、有利には、射出成形方法によって製造される。このことによって、金属から成る従来のノズルに対して、安いコストの、重量を節約する合成物質から成る選択肢が提供される。
合目的に、しかもその上に、ノズル全部が、1つの部材から成るように、射出成形方法によって製造され、このことは、明確な改善を従来のノズルに対して具現する。何故ならば、一方では、組み立てにおける欠陥が回避され、および、他方では、ノズルが、使い捨てノズルになり、即ち、ノズルの如何なる洗浄ももはや必要ではないからである。
これら使い捨てノズルは、これら使い捨てノズルの使用の後に交換される。この目的のために、特別の合成物質が使用され、表面性状に関してのこの合成物質の特性は、付着及び/または堆積を最小限化する。
【0022】
有利なノズルのこれに関連する構成に相応して、前記柔軟な材料内において、及び/または、この柔軟な材料において、チャンバー容積部を有する複数の流体チャンバーが配置されており、これらの流体チャンバーが、流体収容または流体放出のために適しており、従って、前記狭隘位置において、前記内側管体通路-横断面積、及び/または、前記外側管体内における外側管体通路-横断面積が調節可能である。
互いに依存しない、調節可能な内側管体通路-横断面積と外側管体通路-横断面積とは、噴霧されるべき物質の容積流量を、ガス、特に空気のような霧化ガスに依存せずに調節すること、および、これに伴って、プロセスの間じゅう変化するプロセス条件に対して、個々に応動可能とすることの利点を提供する。
【0023】
それに加えて、この課題は、冒頭に記載された様式の方法において、
噴霧されるべき前記物質を案内する前記内側管体通路内において、前記内側管体-流出開口部に対して間隔をおいて、狭隘位置が配置されており、
その際、この狭隘位置において、前記内側管体通路-横断面積が、前記狭隘位置と前記内側管体-流出開口部との間の内側管体通路流出部分の前記内側管体通路-横断面積よりも小さく、且つ、前記狭隘位置が、柔軟な材料から形成されており、
その際、前記狭隘位置が、前記内側管体通路の閉鎖のための閉鎖位置と、少なくとも1つの開放位置とを有しており、
その際、少なくとも1つの前記開放位置において、少なくとも、前記内側管体通路が、噴霧されるべき前記物質のために貫通流動可能であり、
その際、前記柔軟な材料内において、及び/または、この柔軟な材料において、チャンバー容積部を有する流体チャンバーが配置されており、
この流体チャンバーが、流体収容または流体放出のために適しており、
従って、前記狭隘位置において、前記内側管体通路-横断面積が調節可能であり、
このことによって、前記ノズルが、前記内側管体通路の1つの前記閉鎖位置から、この内側管体通路の少なくとも1つの前記開放位置へと切り替え可能であり、または、切り替えられ、および、
その逆に、前記ノズルが、前記内側管体通路の少なくとも1つの前記開放位置から、この内側管体通路の1つの前記閉鎖位置へと切り替え可能であり、または、切り替えられる、ことによって解決される。
この有利な方法の利点は、噴霧されるべき物質の容積流量が、最適に継続的なプロセスの要求に対して、特に噴霧される物質の小滴サイズに関して調節可能になることにある。
【0024】
これに関連して有利に構成された方法により、前記内側管体通路の1つの前記閉鎖位置から、この内側管体通路の少なくとも1つの前記開放位置への前記狭隘位置の切り替えの際に、
前記外側管体を通って流動するガスは、少なくとも、前記内側管体通路の1つの前記閉鎖位置から、この内側管体通路の少なくとも1つの前記開放位置への、前記狭隘位置の切り替えと同時に、前記外側管体を通っての流動を開始する。
有利には、この方法によって、噴霧工程の始動の際に、この噴霧されるべき物質が、直接的に環状間隙を通って流動するガスによって霧化されること無しに、ノズル口、即ち、内側管体-流出開口部および外側管体-流出開口部において、噴霧されるべき物質の流出という状態にならないことは保障される。
霧化は、これに伴って常に保証される。このことによって、一方では、例えば、過度に早期に流出する、噴霧されるべき物質の乾燥の際の、ノズル口における堆積及び/または付着という状態にならず、他方では、霧化されない、噴霧されるべき物質に基づいての、噴霧されるべき微粒子の凝集という状態にならない。
【0025】
有利には、前記内側管体通路の1つの前記閉鎖位置から、この内側管体通路の少なくとも1つの前記開放位置への、前記狭隘位置の切り替えの際に、
前記外側管体を通って流動するガスは、前記内側管体通路の1つの前記閉鎖位置から、この内側管体通路の少なくとも1つの前記開放位置への、前記狭隘位置の切り替えの以前に、前記外側管体を通っての流動を開始する。
このことによって、噴霧されるべき物質の添加は、更に、この噴霧されるべき物質が、直接的に環状間隙を通って流動するガスによって霧化されること無しに噴霧されるべき物質の流出の状態にならないように、最適化される。
霧化は、これに伴って、同様に常に保証され、その際、環状間隙を通って流動するガス-霧化ガス-が、既に、噴霧されるべき物質のための正確な容積流量へと調節されており、このことによって、霧化されない噴霧されるべき物質に基づいての、噴霧されるべき微粒子のノズル口における堆積もしくは凝集が、確実に防止される。
【0026】
有利な方法の付加的で有利な更なる構成に相応して、前記内側管体通路の少なくとも1つの前記開放位置から、この内側管体通路の1つの前記閉鎖位置への、前記狭隘位置の切り替えの際に、
前記外側管体を通って流動するガスは、早くとも、前記内側管体通路の少なくとも1つの前記開放位置から、この内側管体通路の1つの前記閉鎖位置への、前記狭隘位置の切り替えと同時に、前記外側管体を通っての流動を停止する。
特に有利には、前記内側管体通路の少なくとも1つの前記開放位置から、この内側管体通路の1つの前記閉鎖位置への、前記狭隘位置の切り替えの際に、
前記外側管体を通って流動するガスは、早くとも、前記内側管体通路の少なくとも1つの前記開放位置から、前記内側管体通路の1つの前記閉鎖位置への、前記狭隘位置の切り替えの後に、前記外側管体を通っての流動を停止する。
この方法のステップは、同様に、噴霧工程の終了の際にも、常に、ノズル口金部の領域内における、内側管体の流出開口部から流出する、噴霧されるべき物質の全部が、環状間隙を通って流動するガスによって霧化されることを保障する。
【0027】
この方法の、付加的で有利な更なる構成に従い、前記流体チャンバーの前記チャンバー容積部は、流体収容または流体放出によって、無段式に変化可能である、または、変化される、または、複数の前記流体チャンバーの複数の前記チャンバー容積部が、流体収容または流体放出によって、無段式に変化可能である、または、変化される。
これに関連して、有利には、複数の前記流体チャンバーの複数の前記チャンバー容積部は、流体収容または流体放出によって、互いに依存せずに変化可能である、または、変化される。
特に有利には、相応する流体チャンバーの、このチャンバー容積部またはこれらチャンバー容積部は、流体収容または流体放出によって、互いに依存せずに、変化可能である、または、変化される。
狭隘位置のこの流体チャンバーのこのチャンバー容積部、または、これら流体チャンバーのこれらチャンバー容積部の無段式の調節可能性によって、噴霧されるべき物質と、この噴霧されるべき物質を噴霧するガスとの容積流量を、正確且つ合目的に調節することは可能であり、従って、スプレーの対称性および小滴サイズが、最適にそれぞれのプロセスのために、特に微粒子、有利には錠剤の、コーティングプロセスのために調節可能である、または、調節される。
このチャンバー容積部またはこれらチャンバー容積部の、依存しない調節可能性によって、同様に、霧化ガスに対しての噴霧されるべき物質の容積流量の最適な適合は可能であり、および、その逆に、噴霧されるべき物質の容積流量に対しての霧化ガスの最適な適合も可能である。このことによって、同様に、スプレー内における対称性または小滴サイズにおける極めて小さな変化に対しても応動され得る。
【0028】
これに関連して、有利には、複数の前記流体チャンバーは、前記内側管体の前記内側管体通路、または、前記外側管体(が、互いに依存せずに、開放可能且つ閉鎖可能であるように、制御可能である。
互いに依存ぜずに制御可能な流体チャンバーは、内側管体通路-横断面積及び/または外側管体-流出開口部面積を、互いに依存せずに、それらの面積において変化することを許容し、従って、噴霧されるべき物質の容積流量が、ガス、特に空気のような霧化ガスに依存せずに調節であり、且つ、これに伴って、プロセスの間じゅう変化するプロセス条件に対して、個々に応動することを可能にする。
【0029】
以下で、本発明を、添付された図に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】有利なノズルの第1の実施形態の断面図である。
図2】有利なノズルの第1の実施形態の、ノズル口金部の平面図の図である。
図3】第1の開放位置における狭隘位置を有する、有利なノズルの第2の実施形態の断面図である。
図4】第2の開放位置における狭隘位置を有する、有利なノズルの第2の実施形態の断面図である。
図5】閉鎖位置における狭隘位置を有する、有利なノズルの第2の実施形態の断面図であり、その際、この閉鎖位置において、内側管体通路と同様に、環状間隙も閉鎖されている。
図6】第1の開放位置における狭隘位置と付属部材とを有する、有利なノズルの第3の実施形態の断面図であり、その際、この狭隘位置が、内側管体通路部分長さを有する内側管体通路部分として形成されており、および、その際、この内側管体通路部分が、この内側管体通路部分長さにわたって、噴霧されるべき物質の流動方向に、次第に小さくなる内側管体通路-横断面積を有している。
図7】狭隘位置の領域内において配置された、複数の流体チャンバーを有する、有利なノズルの第4の実施形態の断面図の図であり、その際、この狭隘位置が、開放位置において形成されている。
図8】狭隘位置の領域内において配置された、複数の流体チャンバーを有する、有利なノズルの第5の実施形態の断面図の図であり、その際、この狭隘位置が、開放位置において形成されており、且つ、流体チャンバーが、内側管体通路-横断面積か、または、外側管体通路-横断面積かのどちらかを調節する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
表現の異なる記載がされない限り、以下の説明は、物質の噴霧のための本発明に従うノズル1の、及び/または、物質、特に分散液、乳濁液、懸濁液の噴霧のために適しているノズル1の、噴霧されるべき物質及び/またはガスの容積流の制御及び/または調節のための本発明に従う方法の、図内において図示された実施形態全体に関する。
【0032】
図1は、有利なノズル1の第1の実施形態の断面図を示している。
【0033】
物質、特に分散液、乳濁液、懸濁液の噴霧のためのこのノズル1は、ノズル口金部2と長手方向軸線X-Xとを有するノズル本体3を備えている。このノズル本体3は、噴霧されるべき物質のための供給部と結合された、内側管体通路-内側壁部4と、内側管体通路-横断面積5を有する内側管体通路-横断面6を備える内側管体通路7と、内側管体-流出開口部面積8を有する内側管体-流出開口部9とを備えている、内側管体10を有している。
ノズル1の内側管体10は、第1の実施形態において、1つの部材から成るように、合目的に合成物質から形成されている。
【0034】
ノズル本体3は、内側管体10を、半径方向の間隔11を有して囲繞し、且つ、ガスのための供給部と結合された、外側管体-流出開口部面積12を有する外側管体-流出開口部13を備える、外側管体14を有している。内側管体10と外側管体14との間に、環状間隙幅15を有する環状間隙16が形成されている。ノズル口金部2の領域内において、環状間隙16の環状間隙幅15aは減少する。
【0035】
内側管体10と外側管体14とは、示された実施形態において、長手方向軸線X-Xを中心として同軸に形成されており、このことによって、この内側管体10が、基本的に、長手方向軸線X-Xのそれぞれの位置において、この外側管体14に対して同じ間隔を有している。ノズル口金部2の領域内において、内側管体10と外側管体14との間の間隔11aは、より小さな環状間隙幅15aに相応してより小さい。
有利なノズル1の第1の実施形態において、内側管体10と外側管体14とは、内側管体-流出開口部9が、外側管体-流出開口部13に対して同心的に配置されているように互いに配置されている。外側管体-流出開口部13に対する内側管体-流出開口部9の同心的でない他の配置は、示されていない実施形態において実現されている。
その上、内側管体-流出開口部9と外側管体-流出開口部13とは、ノズル口金部2の領域内において配置されている。
【0036】
噴霧されるべき物質を案内する内側管体通路7内において、内側管体-流出開口部9に対して間隔17をおいて、狭隘位置18が配置されている。狭隘位置18において、内側管体通路-横断面積5aは、この狭隘位置18と内側管体-流出開口部9との間の内側管体通路流出部分19の内側管体通路-横断面積5bよりも小さい。
【0037】
その上、狭隘位置18は、第1の実施形態において、内側管体通路部分長さ20を有する内側管体通路部分21として形成されている。その際、内側管体通路部分21は、内側管体通路部分長さ20にわたって、一定の内側管体通路-横断面積5aを有している。
示されていない他の実施形態において、狭隘位置18は、例えば、オリフィス部または絞り部として形成されている。
【0038】
更に、狭隘位置18は、狭隘位置入側長さ22を有する狭隘位置入側区間23と、狭隘位置出側長さ24を有する狭隘位置出側区間25とを有している。狭隘位置入側長さ22にわたって、内側管体通路-横断面積5は、内側管体通路-横断面積5aに至るまで減少する。
【0039】
内側管体通路-横断面積5aは、狭隘位置出側長さ24にわたって、噴霧されるべき物質の流動方向に、内側管体通路-横断面積5bへと増大する。堆積及び/または付着は、これに伴って、ノズル開口部に相応する、狭隘位置18の狭隘位置-流出開口部26の領域内において、形成されないか、または、極めて困難に形成される。
【0040】
図2内において、有利なノズル1の第1の実施形態の、ノズル口金部2の平面図が示されている。
【0041】
既に図1内において記載されているように、外側管体14は、内側管体10を囲繞している。外側管体14は、内側管体通路7を有する内側管体10に対して半径方向に離間されている。
外側管体14と内側管体10との間に、環状間隙幅15を有する環状間隙16が形成されており、この環状間隙を通って、ガス、特に霧化ガスが流動する。
【0042】
外側管体14は、円形に形成された外側管体-流出開口部面積12を有する、円形の外側管体-流出開口部13と、外側管体端面27とを有している。外側管体端面27において、有利には付着及び/または堆積が形成し、これら付着及び/または堆積は、ノズル1の噴霧形態を阻害する。
【0043】
内側管体通路-内側壁部4を備える内側管体通路7を有する内側管体10は、第1の実施形態において、円形に形成された内側管体-流出開口部面積8を有する円形の内側管体-流出開口部9を備えている。
【0044】
図2内において図示された有利なノズル1の第1の実施形態において、内側管体10と外側管体14とは、内側管体-流出開口部9が外側管体-流出開口部13に対して同心的に配置されているように、互いに配置されている。
【0045】
図3は、有利なノズル1の第2の実施形態の断面図を示している。ノズル1の内側管体は、図1および2内において図示されているノズル1の第1の実施形態とは異なり、複数の部材から成るように形成されている。
合目的に、狭隘位置18は、内側管体通路部分長さ20を有する内側管体通路部分21として形成されており、その際、この狭隘位置18が、柔軟な材料28から形成されている。
【0046】
柔軟な材料28は、合目的に、ポリマー、有利には合成のポリマー、特にシリコンである。
【0047】
柔軟な材料28内において、チャンバー容積部29を有する流体チャンバー30が形成されている。流体チャンバー30は、流体収容または流体放出のために適しており、従って、狭隘位置18における内側管体通路-横断面積5aが調節可能である。
即ち、流体チャンバー30のチャンバー容積部29からの流体収容または流体放出によって、内側管体通路7を通って流動する物質の容積流量は、可変に変化可能であり、且つ、合目的に、正確に調節可能である。
それに加えて、流体チャンバー30は、合目的に、チャンバー容積部29を調節する流体、特にガスのための、供給導管および流出導管を備えている。流体収容によりチャンバー容積部29は拡大し、流体放出によってこのチャンバー容積部29が相応して縮小する。
【0048】
第2の実施形態に従う有利なノズル1は、このノズルの基本的な構造において、その他の点では、図1および2内において示された有利なノズル1の第1の実施形態に相応している。
【0049】
図3内において示された第2の実施形態において、流体チャンバー30のチャンバー容積部29は、ノズル1が第1の開放位置に位置するように充填されている。
流体チャンバー30のチャンバー容積部29は、空の状態である。内側管体通路-横断面積5aは、内側管体通路部分21として形成された狭隘位置18の全ての内側管体通路部分長さ20にわたって最大である。
【0050】
図4は、第2の開放位置における狭隘位置18を有する、有利なノズル1の第2の実施形態の断面図を図示している。
第2の開放位置において、流体チャンバー30のチャンバー容積部29は、流体収容によって拡大した。拡大されたチャンバー容積部29によって、一方では、内側管体通路-横断面積5aが減少され、且つ、柔軟な材料28の構成に相応して、同様に、環状間隙16の環状間隙幅15も減少される。
特に、流体チャンバー30のチャンバー容積部29は、流体収容または流体放出によって、無段式に変化可能である。このことによって、内側管体通路7を通って流動する噴霧されるべき物質、及び/または、環状間隙16を通って流動するガスの、容積流量を正確に調節することの可能性が存在する。
【0051】
更に別の実施形態において、狭隘位置18の柔軟な材料28は、内側管体通路7を通って流動する噴霧されるべき物質か、または、環状間隙16を通って流動するガスかのどちらかが、調節可能であるように構成される。
【0052】
図5は、閉鎖位置における狭隘位置18を有する、有利なノズル1の第2の実施形態の断面図を示しており、その際、この閉鎖位置において、内側管体通路7と同様に、環状間隙16も閉鎖されている。
【0053】
図3から5までは、物質、特に分散液、乳濁液、懸濁液の噴霧のために適しているノズル1の、噴霧されるべき物質およびガスの容積流量の制御または調節のための方法を説明している。
【0054】
相応して、ノズル1は、ノズル口金部2と長手方向軸線X-Xとを有するノズル本体3を有している。
その際、このノズル本体3は、
噴霧されるべき前記物質のための供給部と結合された、内側管体通路-内側壁部4と、内側管体通路-横断面積5を有する内側管体通路-横断面6を備える内側管体通路7と、内側管体-流出開口部面積8を有する内側管体-流出開口部9とを備えている、内側管体10と、
前記内側管体10を、半径方向の間隔11を有して囲繞し、且つ、ガスのための供給部と結合された、外側管体-流出開口部面積12を有する外側管体-流出開口部13を備える、外側管体14とを有している。
【0055】
前記内側管体-流出開口部9と前記外側管体-流出開口部13とは、ノズル口金部2の領域内において配置されている。
【0056】
噴霧されるべき前記物質を案内する前記内側管体通路7内において、前記内側管体-流出開口部9に対して間隔17をおいて、狭隘位置18が配置されており、
その際、この狭隘位置18において、前記内側管体通路-横断面積5aは、
前記狭隘位置18と前記内側管体-流出開口部9との間の内側管体通路流出部分19の前記内側管体通路-横断面積5bよりも小さい。
ノズル1の内側管体は、複数の部材から成るように形成されている。
【0057】
この場合、この狭隘位置18は、柔軟な材料28から形成されており、
その際、狭隘位置18が、内側管体通路7の閉鎖のための閉鎖位置と、少なくとも1つの開放位置とを有しており、
その際、少なくとも1つの開放位置において、少なくとも、内側管体通路7が、噴霧されるべき物質のために貫通流動可能である。
狭隘位置18の領域内において、柔軟な材料28内においてチャンバー容積部29を有する流体チャンバー30が配置されており、
この流体チャンバーは、流体収容または流体放出のために適しており、
従って、この狭隘位置18において、内側管体通路-横断面積5aが調節可能であり、
このことによって、ノズルが、内側管体通路7の1つの閉鎖位置から、この内側管体通路7の少なくとも1つの開放位置へと切り替え可能であり、または、切り替えられ、および、
その逆に、ノズルが、内側管体通路7の少なくとも1つの開放位置から、内側管体通路7の1つの閉鎖位置へと、切り替え可能であり、または、切り替えられる。
【0058】
内側管体通路7の1つの閉鎖位置から、この内側管体通路7の少なくとも1つの開放位置への狭隘位置18の切り替えの際に、
外側管体14の環状間隙16を通って流動するガスは、少なくとも、内側管体通路7の1つの閉鎖位置から、内側管体通路7の少なくとも1つの開放位置への、狭隘位置18の切り替えと同時に、外側管体14を通っての流動を開始する。
ノズル1の有利な実施形態において、内側管体通路7の1つの閉鎖位置から、内側管体通路7の少なくとも1つの開放位置への、狭隘位置18の切り替えの際に、
外側管体14を通って流動するガスは、内側管体通路7の1つの閉鎖位置から、内側管体通路7の少なくとも1つの開放位置への、狭隘位置18の切り替えの以前に、外側管体14を通っての流動を開始する。
【0059】
その上、内側管体通路7の少なくとも1つの開放位置から、内側管体通路7の1つの閉鎖位置への、狭隘位置18の切り替えの際に、
外側管体14の環状間隙16を通って流動するガスは、早くとも、内側管体通路7の少なくとも1つの開放位置から、内側管体通路7の1つの閉鎖位置への、狭隘位置18の切り替えと同時に、外側管体14を通っての流動を停止する。
合目的に、内側管体通路7の少なくとも1つの開放位置から、内側管体通路7の1つの閉鎖位置への、狭隘位置18の切り替えの際に、
外側管体14を通って流動するガスは、早くとも、内側管体通路7の少なくとも1つの開放位置から、内側管体通路7の1つの閉鎖位置への、狭隘位置18の切り替えの後に、外側管体14を通っての流動を停止する。
【0060】
有利なノズル1は、示された実施形態において、内側管体10と同様に外側管体14、特に環状間隙16とのための、1つの閉鎖位置を有している。その際、内側管体10と外側管体14とは、互いに依存して開放可能および閉鎖可能である。
【0061】
図6内において、第1の開放位置における狭隘位置18と、内側管体10と外側管体14との間において配置された選択的な付属部材31とを有する、有利なノズル1の第3の実施形態の断面図が示されている。
【0062】
第3の実施形態に従う有利なノズル1は、このノズルの基本的な構造において、図3から5まで内において示された有利なノズル1の第2の実施形態に相応している。
両方の実施形態の間の相違は、第3の実施形態の有利なノズル1が、第2の実施形態のノズル1とは異なり、選択的な付属部材31を有していることにあり、この選択的な付属部材が、ガス案内のための渦形成薄板の形態で形成されている。
それに加えて、狭隘位置18は、内側管体通路部分21として形成されており、この内側管体通路部分が、内側管体通路部分長さ20を有しており、および、その際、
この内側管体通路部分21が、この内側管体通路部分長さ20にわたって、噴霧されるべき物質の流動方向に、次第に小さくなる内側管体通路-横断面積5aを有している。
【0063】
有利なノズル1の今ここで問題になっている第3の実施形態において、付属部材31は開口部32を有しており、これら開口部が、外側管体14に対して平行に流動するガス、特に霧化空気に対して角度をもって形成されている。このことによって、環状間隙16内において流動するガスは、長手方向軸線X-Xを中心としてねじれを被る。長手方向軸線X-Xを中心としたねじれによって、外側管体14の外側管体-流出開口部13における噴霧されるべき物質の流れが、影響を及ぼされることは可能である。
開口部32は、示されていない他の実施形態において実現可能であるように、同様に他の角度および開口幅を有することも可能である。このことによって、ガスのねじれが生成され、このことによって、スプレーの噴霧形態が、および、これに伴って、同様に小滴サイズも調節可能である。
【0064】
有利には、付属部材31は、外側管体14と内側管体10との間の、ノズル口金部2の領域内において配置されている。特に有利には、付属部材31は、内側管体10の案内のために配置されている。
【0065】
付属部材31が、同様に、ガス案内のための渦形成体、例えば流動案内薄板またはその種の他のものの形態で、形成されていることは可能である。付属部材31は、内側管体10および外側管体14と、合目的に、強固に結合されている。このことによって、ノズル口金部2の領域内におけるノズル1の安定性は、向上される。
それに加えて、渦形成体、流動案内薄板またはその種の他のものの形態での、付属部材31の組み込みによって、ガス、特に霧化空気の流動案内は、ノズル口金部2において、特にノズル1の領域内において影響を及ぼされる。このことによって、ノズル1のスプレー形態を、製造プロセス及び/または噴霧プロセスのために改善するために、環状間隙16を通って流動するガスの、外側管体-流出開口部13における流動挙動は変化可能であり、且つ、正確に調節され得る。
付加的に、このことによって、スプレー、即ち噴霧されるべき物質、有利には液体、極めて特に有利には分散液、乳濁液、懸濁液、の噴霧対称性および小滴サイズは、直接的に調節可能である。
【0066】
更に、内側管体10は、外側管体14内における組み込みの際に案内され、且つ、常に所望された位置、図6内において、長手方向軸線X-Xを中心として同心的な位置において保持される。
それに加えて、付属部材31は、内側管体10の揺動を防止し、この揺動が、内側管体-流出開口部9と外側管体-流出開口部13との変化を誘起し、この揺動が、ノズル口金部2における、特に流出領域内における流動挙動を変化し、且つ、これに伴って、同様にスプレー対称性および、スプレーの小滴サイズにも影響を及ぼす。
【0067】
図7は、狭隘位置18の領域内において配置された、複数の流体チャンバー30を有する、有利なノズル1の第4の実施形態の断面図を図示しており、その際、この狭隘位置18が、開放位置において形成されている。
【0068】
第4の実施形態に従う有利なノズル1は、このノズルの基本的な構造において、図3から5まで内において示された有利なノズル1の第2の実施形態に相応している。
両方の実施形態の間の相違は、第4の実施形態の有利なノズル1が、第2の実施形態のノズル1とは異なり、流体チャンバー30a、30b、30cの、複数の、即ち3つのチャンバー容積部29a、29b、29cを有しており、これらチャンバー容積部が、流体収容または流体放出によって、無段式に変化可能である。
示されていない他の実施形態において、同様に流体チャンバー30の他の数、例えば2つ、4つ、5つ、6つ、等々も実現されている。
【0069】
合目的に、流体チャンバー30a、30b、30cのチャンバー容積部29a、29b、29cは、流体収容または流体放出によって、互いに依存せずに調節可能及び/または変化可能である。
【0070】
流体チャンバー30aから30cまでのチャンバー容積部29aから29cまでの、無段式の調節可能性によって、噴霧されるべき物質と、この噴霧されるべき物質を霧化ガスするガスとの容積流量を正確且つ合目的に調節することは可能であり、従って、スプレーの対称性および小滴サイズが、最適にそれぞれのプロセスのために、特に微粒子、有利には錠剤の、コーティングプロセスのために、調節可能である。
チャンバー容積部29a、29b、29cの依存しない調節可能性によって、同様に、霧化ガスに対しての噴霧されるべき物質の容積流量の最適な適合は可能であり、および、その逆に、噴霧されるべき物質の容積流量に対しての霧化ガスの最適な適合も可能である。このことによって、同様に、スプレー内における対称性または小滴サイズにおける極めて小さな変化に対しても応動され得る。
【0071】
示されていない他の実施形態において、その上、複数の流体チャンバー30を、内側管体10の内側管体通路7か、または外側管体14かのどちらかが互いに依存せずに開放可能および閉鎖可能であるように制御することの可能性は存在する。
【0072】
図8は、狭隘位置18の領域内において配置された、複数の流体チャンバー30aから30cを有する、有利なノズル1の第5の実施形態の断面図を図示しており、その際、この狭隘位置18が、開放位置において形成されており、且つ、流体チャンバー30aから30cまでが、内側管体通路-横断面積5aか、または、外側管体通路-横断面積33かのどちらかを調節する。
この実施形態において、外側管体通路-横断面積33は環状間隙面積に相応する。
【0073】
この目的のために、第5の実施形態によるノズル1は、柔軟な材料28内において、及び/または、柔軟な材料28において、1つのチャンバー容積部29aから29cまでを有する複数の流体チャンバー30aから30cまでを有している。流体チャンバー30aから30cまでは、流体収容または流体放出に適している。
このことによって、狭隘位置18において、内側管体通路-横断面積5aが、及び/または、外側管体14内における外側管体通路-横断面積33が調節可能である。
流体チャンバー30aから30cまでの相互間での影響を防止するために、流体チャンバー制限装置34が、流体チャンバー30aから30cまでの間、ここで狭隘位置18およびこれに伴って内側管体通路-横断面積5aを調節する流体チャンバー30aおよび30bと、外側管体通路-横断面積33を調節するチャンバー容積部30cとの間、に設備されている。
【0074】
内側管体通路-横断面積5aが減少されるというやり方で、チャンバー容積部29aと29bとに対する流体供給の際に、流体チャンバー30aと30bとが拡大し、且つ、狭隘位置18を通る噴霧されるべき物質の流過を制限する。外側管体通路-横断面積33は、このことによって、影響を与えられていない状態に留まる。
【0075】
同様に、逆の状況は可能である:即ち、外側管体通路-横断面積33が減少されるというやり方で、チャンバー容積部29cに対する流体供給の際に、流体チャンバー30cが拡大し、且つ、ガスの流過を制限する。内側管体通路-横断面積5aは、このことによって、影響を与えられていない状態に留まる。
【0076】
それに加えて、チャンバー容積部29aから29cまでの制御によって、流体チャンバー30aから30cまでを、互いに依存せずに充填することの可能性が存在し、従って、内側管体通路-横断面積5a、及び/または、外側管体通路-横断面積33が、互いに依存せずに調節可能である。これに関連して、有利には、複数の流体チャンバーは、内側管体10の内側管体通路7、または、外側管体14が、互いに依存せずに、開放可能且つ閉鎖可能であるように、制御可能である。
互いに依存せずに調節可能な内側管体通路-横断面積5a、及び/または、外側管体通路-横断面積33は、噴霧されるべき物質の容積流量を、ガス、特に空気のような霧化ガスに依存せずに調節すること、および、これに伴って、プロセスの間じゅう変化するプロセス条件に対して、個々に応動することが可能であること、
の利点を提供する。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1. 物質、特に分散液、乳濁液、懸濁液の噴霧のためのノズル(1)において、
このノズルが、ノズル口金部(2)と長手方向軸線(X-X)とを有するノズル本体(3)を備えており、
このノズル本体(3)が、
噴霧されるべき前記物質のための供給部と結合された、内側管体通路-内側壁部(4)と、内側管体通路-横断面積(5)を有する内側管体通路-横断面(6)を備える内側管体通路(7)と、内側管体-流出開口部面積(8)を有する内側管体-流出開口部(9)とを備えている、内側管体(10)と、
前記内側管体(10)を、半径方向の間隔(11)を有して囲繞し、且つ、ガスのための供給部と結合された、外側管体-流出開口部面積(12)を有する外側管体-流出開口部(13)を備える、外側管体(14)とを有しており、および、
前記内側管体-流出開口部(9)と前記外側管体-流出開口部(13)とが、ノズル口金部(2)の領域内において配置されている、上記ノズル(1)において、
噴霧されるべき前記物質を案内する前記内側管体通路(7)内において、前記内側管体-流出開口部(9)に対して間隔(17)をおいて、狭隘位置(18)が配置されており、この狭隘位置(18)において、前記内側管体通路-横断面積(5a)が、
前記狭隘位置(18)と前記内側管体-流出開口部(9)との間の内側管体通路流出部分(19)の前記内側管体通路-横断面積(5b)よりも小さい、
ことを特徴とするノズル(1)。
2. 前記狭隘位置(18)は、内側管体通路部分長さ(20)を有する内側管体通路部分(21)として形成されていることを特徴とする上記1に記載のノズル(1)。
3. 前記内側管体通路部分(21)は、前記内側管体通路部分長さ(20)にわたって、一定の内側管体通路-横断面積(5a)を有していることを特徴とする上記2に記載のノズル(1)。
4. 前記内側管体通路部分(21)は、前記内側管体通路部分長さ(20)にわたって、噴霧されるべき前記物質の流動方向に、次第に小さくなる内側管体通路-横断面積(5a)を有していることを特徴とする上記2に記載のノズル(1)。
5. 前記狭隘位置(18)は、狭隘位置-流出開口部(26)を有しており、
前記内側管体通路-横断面積(5)が、狭隘位置出側区間(25)にわたって、噴霧されるべき前記物質の流動方向に拡径することを特徴とする上記1から4のいずれか一つに記載のノズル(1)。
6. 前記内側管体(10)と前記外側管体(14)とは、長手方向軸線(X-X)を中心として同軸に形成されていることを特徴とする上記1から5のいずれか一つに記載のノズル(1)。
7. 前記内側管体(10)と前記外側管体(14)とは、前記内側管体-流出開口部(9)が、前記外側管体-流出開口部(13)に対して同心的に配置されているように、互いに配置されていることを特徴とする上記1から6のいずれか一つに記載のノズル(1)。
8. 前記ノズル口金部(2)の領域内において、前記内側管体(10)と前記外側管体(14)との間に、ガス案内のための渦形成体、渦形成薄板、またはその種の他のものの形態での付属部材(31)が配置されていることを特徴とする上記1から7のいずれか一つに記載のノズル(1)。
9. 前記付属部材(31)は、前記外側管体(14)内において、前記内側管体(10)の案内のために配置されていることを特徴とする上記8に記載のノズル(1)。
10. 前記付属部材(31)は、前記内側管体(10)及び/または前記外側管体(14)と強固に結合されていることを特徴とする上記8または9に記載のノズル(1)。
11. 前記狭隘位置(18)は、柔軟な材料(28)から形成されていることを特徴とする上記1から10のいずれか一つに記載のノズル(1)。
12. 前記柔軟な材料(28)は、ポリマー、有利には合成のポリマー、特にシリコンであることを特徴とする上記11に記載のノズル(1)。
13. 前記柔軟な材料(28)内において、及び/または、この柔軟な材料(28)において、チャンバー容積部(29)を有する1つの流体チャンバー(30)が配置されており、この流体チャンバーが、流体収容または流体放出のために適しており、従って、前記狭隘位置(18)における前記内側管体通路-横断面積(5a)が調節可能であることを特徴とする上記11または12に記載のノズル(1)。
14. 前記柔軟な材料(28)内において、及び/または、この柔軟な材料(28)において、チャンバー容積部(29)を有する複数の流体チャンバー(30)が配置されており、これらの流体チャンバーが、流体収容または流体放出のために適しており、従って、前記狭隘位置(18)において、前記内側管体通路-横断面積(5a)、及び/または、前記外側管体(14)内における外側管体通路-横断面積(33)が調節可能であることを特徴とする上記13に記載のノズル(1)。
15. 前記内側管体(10)は、複数の部材から成るように形成されていることを特徴とする上記1から14のいずれか一つに記載のノズル(1)。
16. 物質、特に分散液、乳濁液、懸濁液の噴霧のために適しているノズル(1)の、噴霧されるべき物質及び/またはガスの容積流量の制御または調節のための方法であって、
前記ノズル(1)が、ノズル口金部(2)と長手方向軸線(X-X)とを有するノズル本体(3)を備えており、
このノズル本体(3)が、
噴霧されるべき前記物質のための供給部と結合された、内側管体通路-内側壁部(4)と、内側管体通路-横断面積(5)を有する内側管体通路-横断面(6)を備える内側管体通路(7)と、内側管体-流出開口部面積(8)を有する内側管体-流出開口部(9)とを備えている、内側管体(10)と、
前記内側管体(10)を、半径方向の間隔(11)を有して囲繞し、且つ、ガスのための供給部と結合された、外側管体-流出開口部面積(12)を有する外側管体-流出開口部(13)を備える、外側管体(14)とを有しており、および、
前記内側管体-流出開口部(9)と前記外側管体-流出開口部(13)とが、ノズル口金部(2)の領域内において配置されている、上記方法において、
噴霧されるべき前記物質を案内する前記内側管体通路(7)内において、前記内側管体-流出開口部(9)に対して間隔(17)をおいて、狭隘位置(18)が配置されており、その際、この狭隘位置(18)において、前記内側管体通路-横断面積(5a)が、前記狭隘位置(18)と前記内側管体-流出開口部(9)との間の内側管体通路流出部分(19)の前記内側管体通路-横断面積(5b)よりも小さく、且つ、前記狭隘位置(18)が、柔軟な材料(28)から形成されており、
前記狭隘位置(18)が、前記内側管体通路(7)の閉鎖のための閉鎖位置と、少なくとも1つの開放位置とを有しており、
少なくとも1つの前記開放位置において、少なくとも、前記内側管体通路(7)が、噴霧されるべき前記物質のために貫通流動可能であり、
前記柔軟な材料(28)内において、及び/または、この柔軟な材料(28)において、チャンバー容積部(29)を有する流体チャンバー(30)が配置されており、
この流体チャンバーが、流体収容または流体放出のために適しており、
従って、前記狭隘位置(18)において、前記内側管体通路-横断面積(5a)が調節可能であり、
このことによって、前記ノズル(1)が、前記内側管体通路(7)の1つの前記閉鎖位置から、この内側管体通路(7)の少なくとも1つの前記開放位置へと切り替え可能であり、または、切り替えられ、および、の逆に、前記ノズル(1)が、前記内側管体通路(7)の少なくとも1つの前記開放位置から、この内側管体通路(7)の1つの前記閉鎖位置へと切り替え可能であり、または、切り替えられる、
ことを特徴とする方法。
17. 前記内側管体通路(7)の1つの前記閉鎖位置から、この内側管体通路(7)の少なくとも1つの前記開放位置への前記狭隘位置(18)の切り替えの際に、
前記外側管体(14)を通って流動するガスは、少なくとも、前記内側管体通路(7)の1つの前記閉鎖位置から、この内側管体通路(7)の少なくとも1つの前記開放位置への、前記狭隘位置(18)の切り替えと同時に、前記外側管体(14)を通っての流動を開始する、
ことを特徴とする上記16に記載の方法。
18. 前記内側管体通路(7)の1つの前記閉鎖位置から、この内側管体通路(7)の少なくとも1つの前記開放位置への、前記狭隘位置(18)の切り替えの際に、
前記外側管体(14)を通って流動するガスは、前記内側管体通路(7)の1つの前記閉鎖位置から、この内側管体通路(7)の少なくとも1つの前記開放位置への、前記狭隘位置(18)の切り替えの以前に、前記外側管体(14)を通っての流動を開始する、
ことを特徴とする上記16または17に記載の方法。
19. 前記内側管体通路(7)の少なくとも1つの前記開放位置から、この内側管体通路(7)の1つの前記閉鎖位置への、前記狭隘位置(18)の切り替えの際に、
前記外側管体(14)を通って流動するガスは、早くとも、前記内側管体通路(7)の少なくとも1つの前記開放位置から、この内側管体通路(7)の1つの前記閉鎖位置への、前記狭隘位置(18)の切り替えと同時に、前記外側管体(14)を通っての流動を停止する、
ことを特徴とする上記16から18のいずれか一つに記載の方法。
20. 前記内側管体通路(7)の少なくとも1つの前記開放位置から、この内側管体通路(7)の1つの前記閉鎖位置への、前記狭隘位置(18)の切り替えの際に、
前記外側管体(14)を通って流動するガスは、早くとも、前記内側管体通路(7)の少なくとも1つの前記開放位置から、前記内側管体通路(7)の1つの前記閉鎖位置への、前記狭隘位置(18)の切り替えの後に、前記外側管体(14)を通っての流動を停止する、
ことを特徴とする上記16から19のいずれか一つに記載の方法。
21. 前記流体チャンバー(30)の前記チャンバー容積部(29)は、流体収容または流体放出によって、無段式に変化可能である、または、変化される、または、
複数の前記流体チャンバー(30)の複数の前記チャンバー容積部(29)が、流体収容または流体放出によって、無段式に変化可能である、または、変化される、
ことを特徴とする上記16から20のいずれか一つに記載の方法。
22. 複数の前記流体チャンバー(30)の複数の前記チャンバー容積部(29)は、流体収容または流体放出によって、互いに依存せずに変化可能である、または、変化されることを特徴とする上記21に記載の方法。
23. 複数の前記流体チャンバー(30)は、前記内側管体(10)の前記内側管体通路(7)、または、前記外側管体(14)が、互いに依存せずに、開放可能且つ閉鎖可能であるように、制御可能であることを特徴とする上記21または22に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8